(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102818
(43)【公開日】2023-07-26
(54)【発明の名称】マット、水路構造および水路を保護する方法
(51)【国際特許分類】
E02D 17/20 20060101AFI20230719BHJP
【FI】
E02D17/20 102B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003472
(22)【出願日】2022-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000226747
【氏名又は名称】日新産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 友人
(72)【発明者】
【氏名】石田 和宏
(72)【発明者】
【氏名】長沼 寛
【テーマコード(参考)】
2D044
【Fターム(参考)】
2D044DA12
(57)【要約】
【課題】傾斜路の侵食防止に加え、その自然景観を向上させるために、飛来種子や落葉や小枝等を含めた有機資源を効果的に捕集および保持可能であるマットを提供する。
【解決手段】マット100は、縦横に延在し、傾斜路の傾斜方向に沿って縦方向が配置される、可撓性のマット本体101と、該マット本体101の表面から所定の高さで自立する短冊状の1または複数の捕集部材103と、を備える。捕集部材103は、マット本体101の縦方向に交差する方向に長手状に延在し、傾斜路の上流から下流への流水の通過を少なくとも許容する一方で、傾斜路の上流から下流へと移動する有機資源を捕集するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜路の表面を被覆するように設置されるマットであって、
縦横に延在し、前記傾斜路の傾斜方向に沿って縦方向が配置される、可撓性のマット本体と、
前記マット本体の表面から所定の高さで自立する短冊状の1または複数の捕集部材と、を備え、
前記捕集部材は、前記マット本体の縦方向に交差する方向に長手状に延在し、前記傾斜路の上流から下流への流水の通過を少なくとも許容する一方で、前記傾斜路の上流から下流へと移動する有機資源を捕集するように構成されていることを特徴とするマット。
【請求項2】
前記マット本体は、内部に緑化材を充填する植生マットからなることを特徴とする請求項1に記載のマット。
【請求項3】
前記マット本体は、水路をなす前記傾斜路に設置され、流水による土壌の侵食を防止する侵食防止材を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のマット。
【請求項4】
前記捕集部材が可撓性または弾性を有する短冊状体であり、前記マット本体を前記傾斜路の凹み状または凹溝状の横断面形状に沿わせて変形させて敷設する際、前記捕集部材は、前記捕集部材の自立姿勢を維持したまま、前記マット本体の変形に追従して撓み変形可能であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のマット。
【請求項5】
前記捕集部材が高さ方向に切れ目を形成可能に構成され、前記マット本体を前記傾斜路の凹み状または凹溝状の横断面形状に沿わせて変形させて敷設する際、前記捕集部材は、前記捕集部材の自立姿勢を維持したまま、形成された前記切れ目を介して前記マット本体の変形に追従して変形可能であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のマット。
【請求項6】
前記捕集部材は、頂端部で2つ折りにして重ね合わせたネット体からなることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のマット。
【請求項7】
前記捕集部材を自立姿勢に支持する支持部材をさらに備え、前記支持部材は、前記捕集部材を支持可能な高さで前記マット本体の表面から突出するように地面に打設されるアンカーピンであることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のマット。
【請求項8】
凹み状または凹溝状の横断面形状を有する水路をなす傾斜路に請求項1から7のいずれか一項に記載のマットが設置された水路構造であって、
前記マットの捕集部材によって有機資源が捕集されることで、マット本体の表面全体に前記有機資源が堆積する一方で、前記水路の横断面が前記有機資源で埋め尽くされないように、前記水路の深さよりも前記マットから自立する捕集部材の高さが小さいことを特徴とする水路構造。
【請求項9】
凹み状または凹溝状の横断面形状を有し、底部および側部を備える水路を保護する方法であって、
縦横に延在し、前記水路の傾斜方向に沿って縦方向が配置される、可撓性のマット本体と、前記マット本体の表面から所定の高さで自立する短冊状の1または複数の捕集部材と、を備えるマットであって、前記捕集部材は、前記マット本体の縦方向に交差する方向に長手状に延在し、前記傾斜路の上流から下流への流水の通過を少なくとも許容する一方で、前記傾斜路の上流から下流へと移動する有機資源を捕集するように構成されている、マットを準備する工程と、
前記水路の前記底部と前記側部との間の屈曲部位で前記捕集部材を屈折変形させるように、前記捕集部材に切断工具で高さ方向に切れ目を形成する工程と、
前記マット本体を前記水路の横断面形状に沿わせて変形させて敷設する工程と、
前記捕集部材の自立姿勢を維持したまま、前記捕集部材を前記切れ目を介して前記マット本体の変形に追従して変形させる工程と、
前記マット本体を固定部材で前記水路に固定する工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾斜路に設置されるマット、該マットが水路に設置された水路構造、および、水路を保護する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
法面や水路などの自然の傾斜路においては、緑化によって自然景観を維持すると共に、流水による地山の侵食を防止することが行われている。例えば、土、種子、肥料、保水材などの緑化材(または植生材料)を保持する植生マットが傾斜路の土壌にアンカーなどを用いて固定されることにより、傾斜路が緑化とともに保護される。
【0003】
特許文献1は、傾斜路を保護可能なマットの一例として、自然植生植物で緑化すべき土壌の表面に敷設される植生マットを示している。以下、当該段落において、()内に特許文献1の符号を示す。植生マット(100)は、緑化すべき土壌(P)の自然環境に対応する埋土種子(111)を含む現地発生土(106)を収容した第1収容部(102)と、第1収容部(102)と異なる位置で人工土(107)を収容した第2収容部(103)と、を備える。第1及び第2収容部(102,103)は、長手方向に延伸する網状の長筒体から構成され、現地発生土(106)又は人工土(107)を収容するマット(108)を保持可能に構成されている。植生マット(100)は、法面等の美化と共に土砂の流失を防止するために土壌(P)に設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、国立公園等の自然度の高い地域における法面や水路などの傾斜路においては、周辺における自生植物由来の種子を活用した緑化工が行われてきた。しかしながら、従来のマットであっても、傾斜路の地山の侵食防止を行うことが可能であるものの、従来のマットは、飛来種子や落葉や小枝等を含めた有機資源一式を効果的に捕集する能力を有していないことから、設置後の長い期間、マット表面が露出し、その自然景観が損われることが課題として挙げられる。特に水路においては、有機資源一式が表面水流によって流出してしまい、有機資源を水路表面に定着させることが難く、マット表面が常に露出してしまう。したがって、発明者らは、傾斜路の侵食防止に加え、傾斜路上に有機資源をより効果的に定着させて、その自然景観をより一層向上させることを課題とした。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、傾斜路の侵食防止に加え、その自然景観を向上させるために、飛来種子や落葉や小枝等を含めた有機資源を効果的に捕集および保持可能であるマット、マットを水路に設置した水路構造、および、マットによる水路保護方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態のマットは、傾斜路の表面を被覆するように設置されるマットであって、
縦横に延在し、前記傾斜路の傾斜方向に沿って縦方向が配置される、可撓性のマット本体と、
前記マット本体の表面から所定の高さで自立する短冊状の1または複数の捕集部材と、を備え、
前記捕集部材は、前記マット本体の縦方向に交差する方向に長手状に延在し、前記傾斜路の上流から下流への流水の通過を少なくとも許容する一方で、前記傾斜路の上流から下流へと移動する有機資源を捕集するように構成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の一形態のマットによれば、自立する短冊状の捕集部材が、マット本体表面を縦方向に流れる流水を堰止めることなく、流水によって流される飛来種子や落葉や小枝を含む有機資源を捕集し、捕集部材の傾斜方向上側に有機資源を効果的に定着させることによって、マット本体表面上に順に有機資源を堆積させ、マット本体表面を露出させずに有機資源で被覆することが可能である。したがって、本発明のマットは、傾斜路の侵食防止効果に加えて、マット本体表面を有機資源で覆い隠して、その自然景観を向上させることが可能である。
【0009】
本発明のさらなる形態のマットは、上記形態のマットにおいて、前記マット本体は、内部に緑化材を充填する植生マットからなることを特徴とする。すなわち、植生マットに含まれる緑化材によって、植生植物の生育を促進し、傾斜路をより早期に緑化することが可能となる。さらに、マットは、マット本体上に定着した有機資源一式のうち飛来種子を効果的に発芽させることが可能であり、その地域由来の自然植物で傾斜路を緑化することをも可能とする。
【0010】
本発明のさらなる形態のマットは、上記形態のマットにおいて、前記マット本体は、水路をなす前記傾斜路に設置され、流水による土壌の侵食を防止する侵食防止材を含むことを特徴とする。すなわち、マット本体を侵食防止材とすることにより、(通常の法面と比べて侵食の度合いが激しい)水路表面の侵食を効果的に防止することが可能である。
【0011】
本発明のさらなる形態のマットは、上記形態のマットにおいて、前記捕集部材が可撓性または弾性を有する短冊状体であり、前記マット本体を前記傾斜路の凹み状または凹溝状の横断面形状に沿わせて変形させて敷設する際、前記捕集部材は、前記捕集部材の自立姿勢を維持したまま、前記マット本体の変形に追従して撓み変形可能であることを特徴とする。すなわち、捕集部材を傾斜路の横断面形状に沿って長手方向に撓み変形させることで、傾斜路の横断面形状の屈曲部位に影響を受けることなく捕集部材を自立させて有機資源を効果的に捕集することが可能である。
【0012】
本発明のさらなる形態のマットは、上記形態のマットにおいて、前記捕集部材が高さ方向に切れ目を形成可能に構成され、前記マット本体を前記傾斜路の凹み状または凹溝状の横断面形状に沿わせて変形させて敷設する際、前記捕集部材は、前記捕集部材の自立姿勢を維持したまま、形成された前記切れ目を介して前記マット本体の変形に追従して変形可能であることを特徴とする。すなわち、傾斜路の横断面形状の屈曲部位に合わせて捕集部材に切れ目を形成し、当該切れ目を介して捕集部材を傾斜路の横断面形状に沿って長手方向に折り曲げ変形させることで、傾斜路の横断面形状の屈曲部位に影響を受けることなく捕集部材を自立させて有機資源を効果的に捕集することが可能である。
【0013】
本発明のさらなる形態のマットは、上記形態のマットにおいて、前記捕集部材は、頂端部で2つ折りにして重ね合わせたネット体からなることを特徴とする。すなわち、捕集部材が頂端部で2つ折りにして重ね合わせたネット体であることから、捕集部材をマット本体上で安定的に自立させることが可能である。
【0014】
本発明のさらなる形態のマットは、上記形態のマットにおいて、前記捕集部材を自立姿勢に支持する支持部材をさらに備え、前記支持部材は、前記捕集部材を支持可能な高さで前記マット本体の表面から突出するように地面に打設されるアンカーピンであることを特徴とする。すなわち、支持部材が捕集部材を支持することにより、水流や捕集した有機資源等の重みなどで捕集部材が下流側に倒れることを防止し、安定した捕集性能を維持することが可能となる。さらに、支持部材が地面から突出するように打設されるアンカーピンであることから、支持部材の施工が容易である。
【0015】
本発明の一形態の水路構造は、凹み状または凹溝の横断面形状を有する水路をなす傾斜路に上記形態のマットが設置された水路構造であって、
前記マットの捕集部材によって有機資源が捕集されることで、マット本体の表面全体に有機資源が堆積する一方で、前記水路の横断面が前記有機資源で埋め尽くされないように、前記水路の深さよりも前記マットから自立する捕集部材の高さが小さいことを特徴とする。
【0016】
本発明の一形態の水路構造は、上記形態のマットの作用効果を水路構造として発揮することができる。さらに、捕集部材の高さが水路の深さ(水路底部から開口部までの距離)よりも小さいことから、水路の断面形状の深さ全体が有機資材で埋め尽くされることが防止され、水路の水流を維持することが可能である。
【0017】
本発明の一形態の方法は、凹み状または凹溝状の横断面形状を有し、底部および側部を備える水路を保護する方法であって、
縦横に延在し、前記水路の傾斜方向に沿って縦方向が配置される、可撓性のマット本体と、前記マット本体の表面から所定の高さで自立する短冊状の1または複数の捕集部材と、を備えるマットであって、前記捕集部材は、前記マット本体の縦方向に交差する方向に長手状に延在し、前記傾斜路の上流から下流への流水の通過を少なくとも許容する一方で、前記傾斜路の上流から下流へと移動する有機資源を捕集するように構成されている、マットを準備する工程と、
前記水路の前記底部と前記側部との間の屈曲部位で前記捕集部材を屈折変形させるように、前記捕集部材に切断工具で高さ方向に切れ目を形成する工程と、
前記マット本体を前記水路の横断面形状に沿わせて変形させて敷設する工程と、
前記捕集部材の自立姿勢を維持したまま、前記捕集部材を前記切れ目を介して前記マット本体の変形に追従して変形させる工程と、
前記マット本体を固定部材で前記水路に固定する工程と、
を含むことを特徴とする。
【0018】
本発明の一形態の方法によれば、自立する短冊状の捕集部材が、マット本体表面を縦方向に流れる流水を堰止めることなく、流水によって流される飛来種子や落葉や小枝を含む有機資源を捕集し、捕集部材の傾斜方向上側に有機資源を効果的に定着させることによって、マット本体表面上に順に有機資源を堆積させ、マット本体表面を露出させずに有機資源で被覆することが可能である。また、水路の横断面形状の屈曲部位に合わせて捕集部材に切れ目を形成し、当該切れ目を介して捕集部材を水路の横断面形状に沿って長手方向に折り曲げ変形させることで、水路の横断面形状の屈曲部位に影響を受けることなく捕集部材を自立させて有機資源を効果的に捕集することが可能である。したがって、本発明の方法は、水路表面の侵食防止効果に加えて、マット本体表面を有機資源で覆い隠して、その自然景観を向上させるように水路を保護することが可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明のマット、水路構造および水路保護方法は、傾斜路または水路の侵食防止に加え、飛来種子や落葉や小枝を含めた有機資源一式をその表面上に効果的に捕集および保持し、その自然景観を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図5】本発明の一実施形態の水路構造(設置直後)の概略斜視図。
【
図8】本発明の一実施形態の水路構造(経時後)を模式的に示した概略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状寸法を説明する上での概念図又は概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本発明は、図面における寸法比率に限定されるものではない。
【0022】
本発明の一実施形態のマット100は、法面や水路等の傾斜路に設置されることで、傾斜路の表面を被覆して、土壌の侵食を防止し、および/または、自然景観を向上させるものである。また、本実施形態のマット100は、傾斜路として、凹み状または凹溝状の横断面形状を有する水路に設置されるように構成されたが、水路以外の傾斜路(例えば法面)に設置されてもよいことは言うまでもない。なお、本明細書では、マット100が傾斜路(水路)に敷設されたときに傾斜路の傾斜方向に沿う方向を「縦」方向とし、斜面の等高線方向に沿う方向を「横」方向として定義する。さらに、マット100が傾斜路に敷設されたときに法肩側(上方または高所側)に配置される側を「上」位置とし、法尻側(下方または低所側)に配置される側を「下」位置として定義する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態のマット100の概略斜視図である。
図2は、マット100の部分拡大斜視図である。
図3は、マット100の部分拡大平面図である。
図4は、マット100のA-A断面図である。
図1乃至
図4に示すとおり、マット100は、縦横に延在し、水路の傾斜方向に沿って縦方向が配置される、可撓性のマット本体101と、該マット本体101の表面から所定の高さで自立する短冊状の複数の捕集部材103と、捕集部材103を自立姿勢に支持する複数の支持部材105と、を備える。
【0024】
マット本体101は、水路表面を被覆し、水路表面を保護し得るように縦横に延在する可撓性のシートである。本実施形態では、マット本体101は、内部に緑化材を充填する植生マットである。マット本体101は、縦横に延在する可撓性の網状シート101aから構成されている。網状シート101aには、網状体が2重となる複数の箇所を有し、当該箇所に横方向に長筒状に延びる複数の収容部101bが設けられている。収容部101bは、網状の長筒体から構成され、緑化材を内包する植生袋102を保持可能に構成されている。なお、緑化材は、緑化に用いられる植生材料であって、種子、肥料、土壌改良材、保水材、撥水抑制材、土砂、生育基盤材などを少なくとも1つ含むものである。各収容部101bは、マット本体101の横方向に亘って長手状に延在している。なお、マット本体101の裏面に種子付シート(表面に植物の種子を散布した不織布シート)が貼り付けられてよい。
【0025】
また、
図2および
図3に示すように、網状の収容部101bは、縦方向に位置する複数の縦糸と、該縦糸を連結する横糸とにより構成されて、横糸を表裏に分割してこれら各横糸のそれぞれに各縦糸を横方向に対して交互に編み込むことにより筒状を形成したものである。つまり、収容部101bは、2枚の網状体が重ね合わされた袋状に形成されている。
【0026】
そして、収容部101bは、その長手方向がマット本体101の横方向に沿うように一端から他端に亘って延在している。該収容部101bの長手方向の端部の一端又は両端が開口し、筒状の植生袋102を開口から挿入可能に構成されている。すなわち、本実施形態のマット本体101では、複数の植生袋102を複数の収容部101bにそれぞれ挿入していくことにより、複数の植生袋102をマット本体101に容易に装着することが可能である。なお、図示のように、全ての収容部101bに植生袋102が挿入されてもよいが、間隔をあけて(例えば、1つおきに)収容部101bに植生袋102が挿入されてもよい。
【0027】
捕集部材103は、マット本体101表面に所定の高さで自立可能な可撓性および弾性の短冊状体であり、有機資源を捕集または捕捉するように構成されている。
図1に示すように、複数の捕集部材103が、マット本体101表面に縦方向に沿って所定の間隔で設けられている。捕集部材103の間隔は、好ましくは、0.5~3m程度(本実施形態では約1m)であるが、当該間隔は任意に定められ得る。各捕集部材103は、マット本体101の縦方向に略直交(または交差)する方向に長手状に延在している。すなわち、複数の捕集部材103が、それぞれ、マット本体101の縦方向に略直交して配置され、マット本体101の幅方向の一端近傍から他端近傍へと幅全体に亘って延びている。なお、本発明において、捕集部材の長手方向とマット本体の縦方向との間の交差角は、直角に限定されないが、約45度~90度の間で定められることが好ましい。
【0028】
本実施形態では、捕集部材103は、一体の合成樹脂製のネット体から構成された。特には、捕集部材103は、頂端部103aで2つ折りにして重ね合わせたネット体からなる。
図4に示すように、ネット体の底端部103bは、互いに離隔した2つの底辺からなる。捕集部材103の底端部103bが、脚部として、複数の連結具104を介してマット本体101に連結されている。ここでは、連結具104はCリングである。捕集部材103は、ネット体を折り曲げて2つの底辺を固定したことで、自身の弾性力によってピンと張った状態で、マット本体101上にアーチ状に自立している。つまり、捕集部材103は、支持部材105の支えがなくても自立性を有し得る。そして、捕集部材103は、マット本体101の平面に対して略直角に立ち上がっている。なお、本発明において、捕集部材は、支えがない自然状態でマット本体上に自立可能でなくてもよく、少なくとも、支持部材の支持によって自立可能であればよい。
【0029】
一方で、捕集部材103は、所定の荷重をかけることによって、その自立姿勢から底端部103bを中心に傾倒可能であり、マット100自体をコンパクトに変形させることができる。特に、製品運搬の際、捕集部材103をマット本体101上に寝かすことにより、マット100をコンパクトに折り畳んだり、巻いたりすることが可能となる。
【0030】
また、捕集部材103は、水路の上流から下流への流水の通過を少なくとも許容する一方で、水路の上流から下流へと移動する有機資源を捕集するように構成されている。つまり、捕集部材103は、所定の大きさの網目を有し、流水や網目よりも小さい土砂や有機資源などを選択的に通過させる一方で、網目よりも大きい、ドングリや松ぼっくりに代表される大粒の飛来種子、落葉、小枝などの有機資源一式の通過を選択的に規制するものである。換言すれば、網目の目合いの大きさを変更することにより、捕集の対象となる有機資源を選択することもできる。本実施形態のマット100のように、大粒の飛来種子、落葉、小枝が含まれる有機資源を捕集対象とする場合、捕集部材103の網目の目合いは、流水を堰止めることなく有機資源を捕集し得るように、約1mm~30mmであることが好ましい。さらに、捕集部材103の網目の目合いは、有機資源を捕集しつつ不要な土砂を捕捉せずに下流へと流せる目合いとして、約3mm~20mmであることがより好ましい。なお、本実施形態では、網目の目合いは、約10mmとした。
【0031】
さらに、捕集部材103の立ち上がりの高さ(水路に設置時の鉛直高さ)が、設置される水路の凹み状または凹溝状の横断面形状の深さ(底部から開口部までの距離)よりも小さく定められることが好ましい。つまり、捕集部材103の高さは、水路の横断面の深さ方向全体を有機資源で埋めきらないように設定される。より具体的には、捕集部材103の底端部103bから頂端部103aの距離は、設置される対象の大きさや傾斜にもよるが、適量の有機資源を捕集し、かつ、水路としての機能を維持するために有機資源を堆積しすぎないように、約30~150mmであることが好ましい。なお、本実施形態では、約70mmである。
【0032】
さらに、捕集部材103は、マット本体101を水路の横断面形状に沿わせて変形させて敷設する際、捕集部材103の自立姿勢を維持したまま、マット本体101の横方向の変形に追従して撓み変形可能である。また、捕集部材103は、高さ方向に切れ目を形成可能に構成されている。すなわち、水路の横断面形状の屈曲が緩やかである場合、捕集部材103を撓ませて、水路の横断面形状の屈曲部位(特に、底部と側部との間の境界部位)に沿って変形させることが可能である。一方で、水路の横断面形状の屈曲の度合いが大きい場合、捕集部材103が自立姿勢を維持したまま屈曲部位に沿って変形することができなくなる。このような場合、捕集部材103の高さ方向に頂端部103aから切れ目103c(
図6参照)を入れることで、捕集部材103を水路の横断面形状の屈曲部位に沿って変形させることが可能である。切れ目103cは、捕集部材103を長手方向に屈曲変形させた後、留め具103d(Cリングやピン)によって連結(または補修)され得る。なお、ネット体がハサミやカッターなどの切断工具で切断可能な材質からなることから、切れ目103cは、施工時に、水路の横断面形状に合わせて切断工具で簡単に形成され得る。
【0033】
本実施形態では、ネット体は、可撓性および弾性を有する比較的に硬質の合成樹脂で一体的に成形されてなる。このように、ネット体が合成樹脂で一体成形された所謂「編まないネット」として形成されているため、線材を編んで形成したネットよりも強度及び耐久性が高い。このようなネット体は、ネトロン(登録商標)シートとして呼称されている。本実施形態の捕集部材103では、合成樹脂材料として、剛性及び加工性に優れた高密度ポリエチレン(HDPE)を用いた。しかしながら、本発明はこれに限定されず、当業者であれば、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ABS樹脂等の可撓性及び弾性を有する他の合成樹脂を任意に選択可能である。また、ネット体の網目の形状は、有機資源の通過を規制する形状であれば、任意に選択され得る。
【0034】
支持部材105は、荷重による捕集部材103の傾倒を抑え、捕集部材103を自立姿勢に支持するように構成されている。本実施形態では、支持部材105は、地面に打設されるL字状のアンカーピンである。1つの捕集部材103に対して、長手方向に沿って複数の支持部材105が用いられる。また、支持部材105は、設置前の状態においてマット本体101に装着されないが、図面では、説明の便宜上、マット本体101を貫通した状態で描写されている。つまり、支持部材105は、他の固定部材(アンカーピン)107と同様に、マット本体101を水路に敷設した後に、捕集部材103に対して装着されるものである。また、支持部材105は、
図4に示すように、マット本体101を貫通して地中に打ち込まれる埋設部105aと、該埋設部105aの上端側に隣接し、捕集部材103を支持可能な高さでマット本体101の表面から突出する支持部105bと、該支持部105b上端でL字状に屈曲した頭部105cとを備える。支持部105bは、下流側から捕集部材103を支持するように、捕集部材103の下流側に隣接して配置される。また、支持部105bの突出高さは、捕集部材103の高さに対応している。すなわち、支持部材105は、有機資源の堆積量の増加に伴って捕集部材103にかかる下流側への荷重が増加したとしても、捕集部材103を支持して、その自立姿勢を維持するように機能する。
【0035】
次に、本実施形態のマット100を水路11に設置した水路構造10について説明する。
図5は、設置直後の水路構造10の概略斜視図である。
図6および
図7は、水路構造10の横断面図および縦断面図である。
【0036】
本実施形態では、水路11は、
図5に示すように、治山・山腹工事等の斜面において地山を掘削して所定幅で形成された凹溝であって、流水を通過させて斜面の排水を行うものである。つまり、水路11は、上流から下流に傾斜する細長い傾斜路である。また、水路11は、
図6に示すとおり、傾斜方向に直交する切断面である横断面形状において、底部11aと、該底部11aの両側から立ち上がる側部11bと、該側部11bの上端の間で開口する開口部11cとを備える。水路11の深さは、底部11aと開口部11cとの間の距離によって表される。そして、水路11表面に露出する土壌の侵食を抑えるために、マット100がその表面に亘って設置されることで、水路構造10が構築されている。
【0037】
本実施形態の水路構造10では、
図5に示すように、マット100の縦方向が水路11の傾斜方向に沿うようにして、マット100が水路11に設置されている。マット本体101は、水路11全体を覆うように敷設され、複数のアンカーピン(支持部材105および固定部材107)によって水路11の地面に固定されている。また、複数の捕集部材103が、傾斜方向(または縦方向)に所定の距離を隔てて、マット本体101上に自立姿勢で配列している。各捕集部材103は、その長手方向が傾斜方向と直交し、斜面の等高線に沿って延在している。水路11を流れる水がマット本体101表面上を流れることから、水路11の底部11aおよび側部11bの土壌が表面水流によって侵食されることが抑えられる。
【0038】
また、水路構造10では、
図6に示すように、マット100は、水路11の凹み状または凹溝状の横断面形状の表面に沿って、その横方向において略U字状に変形している。マット本体101は、底部11aおよび側部11bの内表面全体に密着するように水路11の横断面形状に沿って変形し、土壌表面を被覆および保護している。そして、捕集部材103は、自立姿勢を維持しつつ、マット本体101の変形に追従して長手方向に変形している。ここでは、捕集部材103には、水路11の底部11aおよび側部11bの間の屈曲部位に対応する箇所において切れ目103cが形成されている。そして、捕集部材103は、切れ目103cを介して長手方向に折れ曲がることで、長手方向全体において自立姿勢を維持している。なお、切れ目103cは、留め具103dによって綴じられている。すなわち、水路11を流れる表面流水は、水路11断面の内表面に全体に亘って自立する捕集部材103を必ず通過することから、捕集対象となる有機資源が流水とともに捕集部材103をすり抜けることが抑えられる。
【0039】
さらに、水路構造10では、
図7に示すように、捕集部材103は、水路11の斜面に対して略垂直に立ち上がっている。当該捕集部材103の下流側に隣接して支持部材105が水路11表面に打設されている。支持部材105の埋設部105aが地面に埋設し、支持部105bが捕集部材103の背面を下流側から支えている。このとき、支持部材105は、マット本体101を水路11に固定するためのアンカーピンとしても機能し得る。また、支持部材105の頭部105cは、水路11表面から浮いた位置にあり、捕集部材103の頂端部103aを上方から抑えるように配置されている。
図6に示すように、捕集部材103の長手方向において、複数の支持部材105がマット本体101に装着されている。すなわち、捕集部材103が上流側から下流側への荷重を受けた際、複数の支持部材105によって下流に傾倒することが効果的に防止される。
【0040】
図5乃至
図7に示す設置直後の水路構造10では、マット100が外部に露出している。水路構造10の構築後、経時により、捕集部材103が、水路11の上流から下流への流水および(好ましくは)土砂の通過を許容する一方で、水路11の上流から下流へと移動する大粒の飛来種子、落葉、小枝などの有機資源を捕集する。すなわち、本実施形態の水路構造10は、水路11を流れる流水を堰止めることなく、経時的に、流水に乗って上流から下流に流される有機資源を捕集部材103によって捕集し、マット100上に順に堆積させることによって、水路11表面(またはマット100表面)を有機資源で自然(人の力を加えることなく)に覆い隠すものである。
【0041】
図8乃至
図10は、設置後、(環境によって異なるが)数ヶ月または数年の期間が経過した水路構造10’の形態を示す模式図である。
図5に示す水路構造10に対し、経時とともに有機資源13が徐々に捕集部材103によって捕集されて、捕集部材103の上流側に順に堆積していくことで、
図8に示す水路構造10’のように、水路11表面全体が有機資源13によって覆われ得る。このように、経時後の水路構造10’は、人工物の露出が抑えられ、その自然景観を向上させるものである。また、本実施形態の水路構造10では、水路11に堆積した有機資源13によって、表面水の流速軽減の効果が発揮され、侵食防止機能の向上が期待され得る。さらに、堆積した有機資源13は、さらなる経時によって腐葉土を形成し、植生環境の向上に寄与する効果もまた期待され得る。なお、有機資源13には飛来種子も含まれるので、その自然環境に応じた植生植物による緑化効果も期待できるが、説明の便宜上、植生植物の描写を省略した。
【0042】
また、経時後の水路構造10では、
図9および
図10に示すように、捕集部材103の頂端部103aまたはその近傍まで有機資源13が堆積されている。換言すると、有機資源13が捕集部材103の鉛直方向の高さと略同じ高さに堆積される一方で、水路11内の捕集部材103よりも上方の空間には有機資源13が堆積されていない。すなわち、水路11の深さよりもマット本体101から自立する捕集部材103の鉛直方向の高さが小さいことから、水路11の横断面の深さ方向全体が有機資源13で埋め尽くされず、上方に流水のための空間が残っている。そして、一旦、有機資源13が捕集部材103の高さまで堆積すると、新たに水路11に落ちた有機資源13が流水とともに捕集部材103の上方の空間を通って流れていくので、これ以上、有機資源13が捕集部材103に捕集されて水路11に堆積することがない。すなわち、水路構造10は、水路11の水流が妨げられることなく、尚且つ、マット本体101などの人工物を覆い隠すように適量の有機資源13を捕集するものである。したがって、本実施形態の水路構造10は、侵食防止機能を発揮しつつ、水路11としての排水機能と、自然景観の維持および向上との両立を可能としている。
【0043】
続いて、本実施形態のマット100を水路11に設置して水路構造10を構築する方法、すなわち、水路11を保護する方法について説明する。まず、保護すべき水路11の表面形状に合わせた大きさのマット100を(折り畳み形態から)展開して準備する。次に、必要に応じて、水路11の底部11aと側部11bとの間の屈曲部位で捕集部材103を屈折変形させるように、捕集部材103に切断工具で高さ方向に切れ目103cを形成する。切れ目103cは、捕集部材103の頂端部103aから入れられることが好ましい。そして、マット本体101を水路11の横断面形状(底部11aおよび側部11bの表面形状)に沿わせて変形させて敷設する。そして、捕集部材103の自立姿勢を維持したまま、捕集部材103を切れ目103cを介してマット本体101の変形に追従して変形させる。捕集部材103が長手方向に変形した状態で、切れ目103cを留め具103dによって綴じる。次いで、複数の支持部材105(アンカーピン)を、各捕集部材103の下流側から当接するように水路11表面に打設する。このとき、支持部材105は、その頭部105cを浮かせた状態で止められる。続いて、複数の固定部材107(アンカーピン)を打設することで、マット本体101を固定部材107で水路11に固定する。以上の工程を経て、水路構造10を構築することができる。なお、各工程は必要に応じて省略されたり、順番が入れ替えられてもよい。
【0044】
以上を踏まえ、本発明の一実施形態のマット100の作用効果について説明する。
【0045】
本実施形態のマット100によれば、自立する短冊状の捕集部材103が、マット本体101表面を縦方向に流れる流水を堰止めることなく、流水によって流される飛来種子や落葉や小枝を含む有機資源13を捕集し、捕集部材103の傾斜方向上側に有機資源13を効果的に定着させることによって、マット本体101表面上に有機資源13を堆積させ、マット本体101表面を露出させずに有機資源13で被覆することが可能である。したがって、マット100は、水路11の侵食防止効果に加えて、マット本体101表面を有機資源13で覆い隠して、その自然景観を向上させることが可能である。
【0046】
[変形例]
本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変形例を取り得る。以下、本発明の変形例を説明する。なお、各変形例において、三桁で示される構成要素において下二桁が共通する構成要素は、説明がない限り、同一又は類似の特徴を有し、その説明を一部省略する。
【0047】
(1)本発明のマットは、上記実施形態に限定されず、種々の形態を取り得る。
図11は、変形例の水路構造20およびマット200を示している。
図11に示すマット200のように、捕集部材203は、マット本体201(および斜面)に対して傾斜し、かつ、設置する斜面に対して鉛直方向に延在するように配置されてもよい。この場合、支持部材205も同様に鉛直方向に打設される。マット200は、マット100と同様の作用効果を発揮し得る。
【0048】
(2)本発明のマットは、上記実施形態に限定されず、種々の形態を取り得る。本発明のマットのマット本体は、網状シートからなる植生マットに限定されず、他の種類のマットであってもよい。また、本発明のマットの捕集部材は、合成樹脂製のネット体を2つ折りにしたものに限定されず、他の形態や材質であってもよい。例えば、
図12は、変形例の水路構造30およびマット300を示している。
図12に示すように、マット300は、縦横に延在し、傾斜路の傾斜方向に沿って縦方向が配置される、可撓性のマット本体301と、該マット本体301の表面から所定の高さで自立する短冊状の1または複数の捕集部材303と、を備える。本実施形態のマット本体301は、不織布やヤシマットなどの吸出し防止材から構成された。このように、マット300は、マット本体301を吸出し防止材から構成したことにより、傾斜路(または水路)の侵食防止に特化した性能を有し得る。すなわち、マット本体は、植生機能を有する植生マットではなく、植生袋を保持するものでなくてもよい。また、マット本体は、網状シートでなくてもよい。なお、マット本体は、植生マットおよび侵食防止材が組み合わされて構成されたものであってもよい。
【0049】
また、マット300では、捕集部材303は、L字に屈折した短冊状体から構成された。捕集部材303のL字に屈折した部位が、地面に打設された固定部材307を介してマット本体301に連結することで、捕集部材303が自立している。本形態のマット300では、捕集部材303が、マット100よりも硬質な金網(ネット体)から構成された。本形態において、マット300を水路の横断面形状の屈曲部位に設置する場合、捕集部材303を塑性変形させることにより対応することが可能である。また、本形態のように、捕集部材303が自立姿勢を維持する強度(硬度)を有している場合、アンカーピン状の支持部材を省略することも可能である。さらに、本発明の捕集部材は、上記実施形態のネット体に限定されず、有機資源を通過させない間隙を有する縦格子や、有機資源を通過させない多数の孔を有するパンチング板などの形態であってもよい。この場合、縦格子の間隔や孔の径が、網目の目合いに相当する。
【0050】
(3)本発明のマットは、上記実施形態に限定されず、種々の形態を取り得る。上記実施形態のマットでは、マット本体、捕集部材および支持部材が別体として組み合わされたが、本発明はこれに限定されない。例えば、捕集部材が支持部材(アンカーピン)と一体的に形成されてもよい。また、捕集部材がマット本体と一体的に形成されてもよい。また、本発明において、傾斜路の表面を1枚のマット本体で被覆する必要はなく、傾斜路の表面の面積に応じて、複数枚のマット本体が継ぎ合わされてもよい。
【0051】
(4)上記実施形態では、マットが設置される傾斜路が、地山が露出する水路であったが、本発明はこれに限定されない。例えば、傾斜路は、凹溝や凹凸のない法面であってもよい。あるいは、傾斜路は、表面が舗装された斜面や水路であってもよい。
【0052】
なお、本発明は上述した複数の実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限りにおいて種々の態様で実施しうるものである。
【符号の説明】
【0053】
10 水路構造
11 水路(傾斜路)
11a 底部
11b 側部
11c 開口部
13 有機資源
100 マット
101 マット本体
101a 網状シート
101b 収容部
102 植生袋
103 捕集部材
103a 頂端部
103b 底端部
103c 切れ目
103d 留め具
104 連結具
105 支持部材(アンカーピン)
105a 埋設部
105b 支持部
105c 頭部
107 固定部材(アンカーピン)