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特開2023-102860ゲーム装置、ゲーム環境設定方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102860
(43)【公開日】2023-07-26
(54)【発明の名称】ゲーム装置、ゲーム環境設定方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/63 20140101AFI20230719BHJP
   A63F 13/215 20140101ALI20230719BHJP
   A63F 13/424 20140101ALI20230719BHJP
   A63F 13/53 20140101ALI20230719BHJP
【FI】
A63F13/63
A63F13/215
A63F13/424
A63F13/53
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003574
(22)【出願日】2022-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003584
【氏名又は名称】株式会社タカラトミー
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 國彦
(72)【発明者】
【氏名】柏崎 和彦
(72)【発明者】
【氏名】海上 貴信
(72)【発明者】
【氏名】上島 拓
(57)【要約】
【課題】ゲームの環境を設定するに際して多種多様な環境を設定するとともに当該環境を確実に設定する。
【解決手段】ゲーム装置10のCPU11は、音声入力部15を介して音声を取得し、取得された音声に基づいて、当該音声に係る特徴データを抽出し、抽出された特徴データに基づいて、ゲームの環境として所定のキャラクタの特性(攻撃力、守備力、スピード)を設定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された音声に基づいて、当該音声に係る特徴データを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された特徴データに基づいて、ゲームの環境を設定する設定手段と、
を備えることを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
前記抽出手段により抽出された特徴データを数値化する数値化手段を備え、
前記設定手段は、前記数値化手段により数値化された前記特徴データに基づいて、ゲームの環境を設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載のゲーム装置。
【請求項3】
前記数値化手段は、前記特徴データに基づいて、複数の数値に数値化する、
ことを特徴とする請求項2に記載のゲーム装置。
【請求項4】
前記抽出手段は、前記取得手段により取得された音声の波形データから得られる周波数スペクトルを複数の周波数領域に分割し、分割された各周波数領域でのスペクトル下の面積を前記特徴データとして抽出する、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のゲーム装置。
【請求項5】
前記数値化手段は、前記各周波数領域の前記面積をそれぞれが該当する予め定められた範囲に対応する所定の整数に変換することで前記特徴データを数値化する、
ことを特徴とする請求項4に記載のゲーム装置。
【請求項6】
前記数値化手段により数値化された前記特徴データの前記整数のそれぞれをバイナリデータに変換する変換手段と、
前記変換手段により変換された各バイナリデータを複数のグループのうちの予め指定されたグループにそれぞれ割り当て、当該グループごとに割り当てられて構成されたバイナリデータに基づいて、各グループに対応する複数のパラメータを生成する生成手段と、
を備え、
前記設定手段は、前記生成手段により生成された複数のパラメータに基づいて、前記ゲームの環境として当該ゲームで使用されるキャラクタの複数の特性を設定する、
ことを特徴とする請求項5に記載のゲーム装置。
【請求項7】
前記設定手段により設定された前記キャラクタの複数の特性を表示部に表示させる表示制御手段を備える、
ことを特徴とする請求項6に記載のゲーム装置。
【請求項8】
前記数値化手段により数値化された前記特徴データの前記整数の並びを変更する変更手段を備え、
前記変換手段は、前記変更手段により前記整数の並びが変更された場合、当該整数の並びが変更された後の前記特徴データに基づいて、当該特徴データの前記整数のそれぞれをバイナリデータに変換する、
ことを特徴とする請求項6又は7に記載のゲーム装置。
【請求項9】
前記周波数スペクトルの各周波数には前記整数の並びを変更する際の配列が対応付けられており、
前記抽出手段は、前記特徴データとして前記周波数スペクトルにおいて最大ゲインとなる周波数を更に抽出し、
前記変更手段は、前記抽出手段により抽出された前記周波数に対応する前記配列に基づいて、前記整数の並びを変更する、
ことを特徴とする請求項8に記載のゲーム装置。
【請求項10】
音声を取得する取得工程と、
前記取得工程により取得された音声に基づいて、当該音声に係る特徴データを抽出する抽出工程と、
前記抽出工程により抽出された特徴データに基づいて、ゲームの環境を設定する設定工程と、
を含むことを特徴とするゲーム環境設定方法。
【請求項11】
コンピュータを、
音声を取得する取得手段、
前記取得手段により取得された音声に基づいて、当該音声に係る特徴データを抽出する抽出手段、
前記抽出手段により抽出された特徴データに基づいて、ゲームの環境を設定する設定手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム装置、ゲーム環境設定方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プレイヤーが入力した音声等に基づいてゲームの環境を設定できるゲーム装置が知られている。例えば、特許文献1には、プレイヤーが入力する音又は音声に応じて、該入力された音又は音声に対応する特定のキャラクタを表示画面に出現させるゲーム装置が開示されている。特許文献2には、プレイヤーが入力した音声と、予めゲームの操作と対応付けられて記憶されている音声と、を比較し、比較結果に応じて、効果を異ならせた操作をゲーム内で発動させるゲームシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3996174号
【特許文献2】特開2020-103790号公報
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されているゲーム装置や上記特許文献2に開示されているゲームシステムでは、プレイヤーが入力する音声の特徴と、予めデータベースに記憶された音声の特徴情報と、を照合する所謂パターンマッチングによって、上記のキャラクタ等を出現させるため、プレイヤーが音声を入力する際の条件が同じ(例えば、同じセリフ)であれば、同じパラメータのキャラクタ等が出現しやすく、興趣に欠けるといった問題がある。また、入力された音声がデータベースに記憶された音声の特徴情報と一致しなかった場合、上記のキャラクタ等を出現させることができないといった問題がある。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みなされたもので、ゲームの環境を設定するに際して多種多様な環境を設定することができるとともに当該環境を確実に設定することができるゲーム装置、ゲーム環境設定方法及びプログラムを提供することを目的としている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、
音声を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された音声に基づいて、当該音声に係る特徴データを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された特徴データに基づいて、ゲームの環境を設定する設定手段と、
を備えることを特徴とするゲーム装置である。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載のゲーム装置であって、
前記抽出手段により抽出された特徴データを数値化する数値化手段を備え、
前記設定手段は、前記数値化手段により数値化された前記特徴データに基づいて、ゲームの環境を設定する、
ことを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載のゲーム装置であって、
前記数値化手段は、前記特徴データに基づいて、複数の数値に数値化する、
ことを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項2又は3に記載のゲーム装置であって、
前記抽出手段は、前記取得手段により取得された音声の波形データから得られる周波数スペクトルを複数の周波数領域に分割し、分割された各周波数領域でのスペクトル下の面積を前記特徴データとして抽出する、
ことを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、請求項4に記載のゲーム装置であって、
前記数値化手段は、前記各周波数領域の前記面積をそれぞれが該当する予め定められた範囲に対応する所定の整数に変換することで前記特徴データを数値化する、
ことを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、請求項5に記載のゲーム装置であって、
前記数値化手段により数値化された前記特徴データの前記整数のそれぞれをバイナリデータに変換する変換手段と、
前記変換手段により変換された各バイナリデータを複数のグループのうちの予め指定されたグループにそれぞれ割り当て、当該グループごとに割り当てられて構成されたバイナリデータに基づいて、各グループに対応する複数のパラメータを生成する生成手段と、
を備え、
前記設定手段は、前記生成手段により生成された複数のパラメータに基づいて、前記ゲームの環境として当該ゲームで使用されるキャラクタの複数の特性を設定する、
ことを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明は、請求項6に記載のゲーム装置であって、
前記設定手段により設定された前記キャラクタの複数の特性を表示部に表示させる表示制御手段を備える、
ことを特徴とする。
【0013】
請求項8の発明は、請求項6又は7に記載のゲーム装置であって、
前記数値化手段により数値化された前記特徴データの前記整数の並びを変更する変更手段を備え、
前記変換手段は、前記変更手段により前記整数の並びが変更された場合、当該整数の並びが変更された後の前記特徴データに基づいて、当該特徴データの前記整数のそれぞれをバイナリデータに変換する、
ことを特徴とする。
【0014】
請求項9の発明は、請求項8に記載のゲーム装置であって、
前記周波数スペクトルの各周波数には前記整数の並びを変更する際の配列が対応付けられており、
前記抽出手段は、前記特徴データとして前記周波数スペクトルにおいて最大ゲインとなる周波数を更に抽出し、
前記変更手段は、前記抽出手段により抽出された前記周波数に対応する前記配列に基づいて、前記整数の並びを変更する、
ことを特徴とする。
【0015】
請求項10の発明は、
音声を取得する取得工程と、
前記取得工程により取得された音声に基づいて、当該音声に係る特徴データを抽出する抽出工程と、
前記抽出工程により抽出された特徴データに基づいて、ゲームの環境を設定する設定工程と、
を含むことを特徴とするゲーム環境設定方法である。
【0016】
請求項11の発明は、
コンピュータを、
音声を取得する取得手段、
前記取得手段により取得された音声に基づいて、当該音声に係る特徴データを抽出する抽出手段、
前記抽出手段により抽出された特徴データに基づいて、ゲームの環境を設定する設定手段、
として機能させることを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ゲームの環境を設定するに際して多種多様な環境を設定することができるとともに当該環境を確実に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】ゲーム装置の外観例を示す図である。
図2】ゲーム装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図3】キャラクタ生成処理の流れを示すフローチャートである。
図4】録音モード画面の例を示す図である。
図5】音声データから得られる周波数スペクトルを4等分にしたときの各区間の面積を示す図である。
図6】音声データから得られる周波数スペクトルの各区間の面積の値を0~3のいずれかの整数に変換する際に用いられる変換表の例を示す図である。
図7】攻撃力、守備力、スピードの3つのパラメータの生成手順を示す図である。
図8】キャラクタ生成画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照し、本発明を適用したゲーム装置について詳細に説明する。
【0020】
[外観]
図1は、ゲーム装置10の外観例を示す図である。
図1に示すように、ゲーム装置10は、タブレット型の端末装置であり、表示部14や音声入力部15等を具備し、音声入力部15より入力された音声データに基づいて、所定のキャラクタ(例えば、ゲーム装置10で行われるゲームのメインキャラクタ)の特性(攻撃力、守備力、スピード)を設定し、設定された当該キャラクタの特性を表示部14に表示する制御を行う。このゲーム装置10のプレイヤーは、上記の特性が設定されたキャラクタを使用して他のプレイヤーやコンピュータとのバトルゲームを楽しむ。
【0021】
[機能構成]
図2は、ゲーム装置10の機能構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、ゲーム装置10は、CPU(Central Processing Unit)11と、記憶部12と、操作部13と、表示部14と、音声入力部15と、スピーカ部16と、バス17と、を備える。ゲーム装置10の各部は、バス17を介して接続されている。
【0022】
CPU11は、ゲーム装置10の各部を制御するプロセッサである。CPU11は、記憶部12のROM(Read Only Memory)に記憶されているシステムプログラムやアプリケーションプログラムのうち、指定されたプログラムを読み出して、当該ROM上で当該プログラムに従って各種処理を実行する。なお、CPU11は、指定されたプログラムを記憶部12のRAM(Random Access Memory)に展開し、当該プログラムに従って各種処理を実行するようにしてもよい。
【0023】
記憶部12は、RAM(Random Access Memory)等の一時的な記憶領域として利用される記憶デバイスや、プログラム及びデータを記憶する少なくとも1つのメモリ(例えば、ROMやストレージメモリ)を備える。記憶部12に記憶されるプログラムとしては、例えば、CPU11にゲーム装置10を統合的に制御させるためのシステムプログラムや、ゲームを実行させるために必要なゲームプログラムなどがある。
【0024】
操作部13は、ゲーム装置10本体の表示部14の周囲に設けられた電源ボタン131やホームボタン132、表示部14上に設けられる図示しないタッチセンサ等を有して構成され、プレイヤーの入力操作を受け付けて、その操作情報をCPU11に出力する。
【0025】
表示部14は、LCD(Liquid Crystal Display)、EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等で構成され、CPU11から指示された表示情報に従い各種表示を行う。なお、表示部14は、ゲーム装置10と一体でもよいが、ゲーム装置10とは別体のテレビその他の表示装置により実現されていてもよい。
【0026】
音声入力部15は、マイク、ADコンバーター等を有して構成され、音声入力時にマイクからプレイヤー等の音声の入力を受け付け、入力された音声をデジタルの音声データに変換してCPU11に出力する。
【0027】
スピーカ部16は、DAコンバーター、アンプ、スピーカ等を有して構成され、音響出力時にデジタルのオーディオ信号をアナログのオーディオ信号に変換してスピーカから出力する。
【0028】
[処理の流れ]
次に、本実施形態のゲーム装置10により行われるキャラクタ生成処理について説明する。
【0029】
図3は、キャラクタ生成処理の流れを示すフローチャートである。なお、ここで説明するキャラクタ生成処理は、操作部13を介して録音モード画面31(後述)を表示部14に表示させるための所定の操作がなされたことを契機として開始される処理となっている。
【0030】
図3に示すように、キャラクタ生成処理が開始されると、まず、ゲーム装置10のCPU11は、録音モード画面31を表示部14に表示させる(ステップS1)。
【0031】
図4は、録音モード画面31の例を示す図である。
図4に示すように、録音モード画面31では、「マイクに向かって録音しよう!」のメッセージ情報311が表示されるようになっている。また、録音モード画面31では、録音ボタン312と、戻るボタン313と、が表示されるようになっている。録音ボタン312は、録音処理(後述)を開始するためのボタンである。戻るボタン313は、録音モード画面31に遷移する前の所定の画面(図示省略)を表示部14に表示させるためのボタンである。
【0032】
キャラクタ生成処理の説明に戻り、CPU11は、操作部13を介して録音ボタン312のタッチ操作がなされたか否かを判定する(ステップS2)。
【0033】
ステップS2において、操作部13を介して録音ボタン312のタッチ操作がなされていないと判定された場合(ステップS2;NO)、CPU11は、ステップS3をスキップして、処理をステップS4に進める。
【0034】
また、ステップS2において、操作部13を介して録音ボタン312のタッチ操作がなされたと判定された場合(ステップS2;YES)、CPU11は、所定時間(例えば、2秒)の間、音声入力部15を介して録音処理を行う(ステップS3)。ここで録音処理が行われることにより、プレイヤー等の音声データが取得されて記憶部12のRAMに一時的に記憶されるようになっている。そして、CPU11は、処理をステップS4に進める。なお、ステップS3の録音処理では、プレイヤーに任意の単語(例えば、“召喚”や“モンスター名”等)を発声してもらう取り決めがなされているものとする。このとき、プレイヤーに代わって周囲の人(友人や家族等)に任意の単語を発声してもらうようにしてもよい。
【0035】
次いで、CPU11は、操作部13を介して戻るボタン313のタッチ操作がなされたか否かを判定する(ステップS4)。
【0036】
ステップS4において、操作部13を介して戻るボタン313のタッチ操作がなされていないと判定された場合(ステップS4;NO)、CPU11は、処理をステップS2に戻し、それ以降の処理を繰り返し行う。
【0037】
また、ステップS4において、操作部13を介して戻るボタン313のタッチ操作がなされたと判定された場合(ステップS4;YES)、CPU11は、記憶部12のRAMに音声データ(録音データ)の記録があるか否かを判定する(ステップS5)。
【0038】
ステップS5において、記憶部12のRAMに音声データ(録音データ)の記録があると判定された場合(ステップS5;YES)、CPU11は、当該音声データについて高速フーリエ変換(FFT;Fast Fourier Transform)を行い、周波数スペクトルを導出する(ステップS6)。高速フーリエ変換は、上記音声データについて512サンプルを1フレームとして半フレーム(256サンプル)ずつシフトしながら実行されるようになっている。本実施形態では、上記音声データのサンプル数は約42000となるので、高速フーリエ変換は、約160(=42000/256)回実行されることとなる。また、本実施形態では、音声データを前半と後半とでそれぞれ約21000サンプル分のデータに分け、当該音声データの前半と後半のそれぞれの周波数スペクトルを導出する。
【0039】
次いで、CPU11は、ステップS6で導出された周波数スペクトルから特徴データ(声紋データ)を抽出する(ステップS7)。具体的には、CPU11は、上記音声データの前半と後半のそれぞれを対象として導出された各周波数スペクトルを4等分にして、各区間の面積S,S,S,S図5参照)を特徴データ(声紋データ)として導出する。また、CPU11は、上記の各周波数スペクトルにおいて、最大のゲインを与える周波数の番号(0~255)をそれぞれ導出する。
【0040】
次いで、CPU11は、ステップS7で抽出された特徴データに基づいて、所定の規格に準じたパラメータを生成する(ステップS8)。
【0041】
具体的には、CPU11は、まず、ステップS7で導出された上記音声データの前半と後半の各周波数スペクトルにおける各区間の面積をI0,I1,I2,I3のいずれかの整数に変換する。詳しくは、図6に示すように、CPU11は、上記面積が第1閾値TH1未満である場合、当該面積をI0に変換する。また、上記面積が第1閾値TH1以上、第2閾値TH2未満である場合、当該面積をI1に変換する。また、上記面積が第2閾値TH2以上、第3閾値TH3未満である場合、当該面積をI2に変換する。また、上記面積が第3閾値TH3以上である場合、当該面積をI3に変換する。例えば、上記音声データの前半の周波数スペクトルの各区間の面積のデータをS1={S,S,S,S}で表し、上記整数に変換した後のデータをT1={T,T,T,T}で表すとすると、S≧TH3、TH1≦S<TH2、TH2≦S<TH3、S<TH1のとき、T1={I3,I1,I2,I0}となる。
【0042】
次に、CPU11は、ステップS7で導出された最大のゲインを与える周波数の番号Fに応じて、上記整数に変換した後のデータT={T,T,T,T}の並びを変更する。ここで、{T,T,T,T}の並びの入れ替え方は、C[0]={T,T,T,T}、C[1]={T,T,T,T}、C[2]={T,T,T,T}、…、C[23]={T,T,T,T}の24通りの入れ替え方があり、上記周波数の番号FそれぞれにC[0]~C[23]のうちいずれかの入れ替え方が予め対応付けられている。そして、上記整数に変換した後のデータTを上記周波数の番号Fに応じた入れ替え方で入れ替えた配列をUとすると、U={T´[0],T´[1],T´[2],T´[3]}となる。より具体的には、前半の周波数スペクトルから得られる配列をU1とすると、U1={T1´[0],T1´[1],T1´[2],T1´[3]}となる。また、後半の周波数スペクトルから得られる配列をU2とすると、U2={T2´[0],T2´[1],T2´[2],T2´[3]}となる。ここで、T1は、前半の周波数スペクトルの各区間の面積を上記整数に変換した後のデータを表し、T1´は、当該変換した後のデータを上記周波数の番号F1に応じた入れ替え方で入れ替えた後のデータを表している。T2は、後半の周波数スペクトルの各区間の面積を上記整数に変換した後のデータを表し、T2´は、当該変換した後のデータを上記周波数の番号F2に応じた入れ替え方で入れ替えた後のデータを表している。F1は、前半の周波数スペクトルにおいて最大のゲインを与える周波数の番号を表し、F2は、後半の周波数スペクトルにおいて最大のゲインを与える周波数の番号を表している。
【0043】
次に、CPU11は、上記の配列U1,U2に基づいて、上述したキャラクタの能力値となる攻撃力、守備力、スピードの3つのパラメータを生成する。例えば、図7に示すように、U1={I0,I3,I2,I1}、U2={I0,I2,I3,I3}である場合、CPU11は、配列U1,U2のそれぞれの整数を二進数のデータ(バイナリデータ)に変換する。そして、CPU11は、例えば、U1[0]、U1[1]、U1[2]のそれぞれに対応する各バイナリデータBD0,BD3,BD2を攻撃力に係るグループに割り当てる。また、CPU11は、例えば、U1[3]、U2[0]、U2[1]のそれぞれに対応する各バイナリデータBD1,BD0,BD2を守備力に係るグループに割り当てる。また、CPU11は、例えば、U2[2]、U2[3]のそれぞれに対応する各バイナリデータBD3,BD3をスピードに係るグループに割り当てる。そして、CPU11は、攻撃力に係るグループに割り当てられた各バイナリデータBD0,BD3,BD2を組み合わせて構成されるバイナリデータBD11を生成する。そして、CPU11は、生成されたバイナリデータBD11を十進数のデータDn1に変換し、このデータDn1に基づいて攻撃力のパラメータを生成する。また、CPU11は、守備力に係るグループに割り当てられた各バイナリデータBD1,BD0,BD2を組み合わせて構成されるバイナリデータBD12を生成する。そして、CPU11は、生成されたバイナリデータBD12を十進数のデータDn2に変換し、このデータDn2に基づいて守備力のパラメータを生成する。また、CPU11は、スピードに係るグループに割り当てられた各バイナリデータBD3,BD3を組み合わせて構成されるバイナリデータBD13を生成する。そして、CPU11は、生成されたバイナリデータBD13を十進数のデータDN3に変換し、このデータDN3に基づいて守備力のパラメータを生成する。
【0044】
次いで、CPU11は、キャラクタ生成画面32を表示部14に表示する(ステップS9)。そして、CPU11は、キャラクタ生成処理を終了する。
【0045】
図8は、キャラクタ生成画面32の例を示す図である。
キャラクタ生成画面32は、録音モード画面31に遷移する前の所定の画面であって、ステップS8で生成されたパラメータに基づくキャラクタの特性等が表示された状態の画面である。具体的には、図8に示すように、キャラクタ生成画面32では、上述したキャラクタのイメージ画像321が表示されるとともに、パラメータデータ322が表示されるようになっている。パラメータデータ322は、攻撃力、守備力、スピードの3つのパラメータをそれぞれ数値と棒グラフとで表したデータとなっている。また、キャラクタ生成画面32では、ステップS3の録音処理にて記録された音声データ(波形データ)から得られる前半と後半の各周波数スペクトル323が表示されるとともに、当該音声データを周波数分析した結果をソナグラムで表した声紋324が表示されるようになっている。
【0046】
キャラクタ生成処理の説明に戻り、ステップS5において、記憶部12のRAMに音声データ(録音データ)の記録がないと判定された場合(ステップS5;NO)、CPU11は、ステップS6~ステップS9の処理をスキップして、キャラクタ生成処理を終了する。なお、記憶部12のRAMに音声データ(録音データ)の記録がないと判定された場合は、録音モード画面31に遷移する前の通常の所定の画面(図示省略)が表示されるようになっている。
【0047】
以上のように、本実施形態のゲーム装置10のCPU11は、音声入力部15を介して音声を取得し、取得された音声に基づいて、当該音声に係る特徴データを抽出し、抽出された特徴データを数値化し、数値化された特徴データに基づいて、ゲームの環境として所定のキャラクタの特性(攻撃力、守備力、スピード)を設定する。
したがって、本実施形態のゲーム装置10によれば、所謂パターンマッチングは行わず、音声に係る特徴データを数値化したものに基づいて所定のキャラクタの特性を設定するので、音声を入力する際の条件が同じ(例えば、同じセリフ)であったとしても、様々な特性のキャラクタを創り出すことができる。また、本実施形態のゲーム装置10によれば、所謂パターンマッチングは行わないため、音声を取得さえできれば、どのような音声であっても所定のキャラクタの特性を確実に設定することができる。
この結果、ゲーム装置10によれば、どのような人が、どのような声で、どのようなセリフを発声すれば、強いキャラクタが出現するか、等を楽しむことができるようになるので、遊びの幅が広がる。
【0048】
また、本実施形態のゲーム装置10のCPU11は、音声入力部15を介して取得された音声の波形データから得られる周波数スペクトルを複数の周波数領域に分割し、分割された各周波数領域でのスペクトル下の面積を特徴データとして抽出する。
したがって、本実施形態のゲーム装置10によれば、各周波数領域でのスペクトル下の面積を特徴データとして抽出するので、当該特徴データを際立たせることができる。この結果、ゲーム装置10によれば、或るプレイヤーが発声した単語(例えば、“召喚”や“モンスター名”)に応じて、異なる特徴データが抽出されるので、同一プレイヤーであっても発声する単語に応じた固有のキャラクタを創り出すことができる。また、或るプレイヤーが発声した単語(例えば、“召喚”)を別のプレイヤーが発声したとしても、異なる特徴データが抽出されるので、各プレイヤーに固有のキャラクタを創り出すことができる。また、或るプレイヤーが発声した単語を当該プレイヤーが再度発声した場合、同一内容の特徴データが抽出されることとなるので、キャラクタの創出に再現性を持たせることができる。
【0049】
また、本実施形態のゲーム装置10のCPU11は、各周波数領域のスペクトル下の面積をそれぞれが該当する予め定められた範囲に対応する所定の整数に変換することで特徴データを数値化する。
したがって、本実施形態のゲーム装置10によれば、各周波数領域のスペクトル下の面積をそれぞれが該当する予め定められた範囲に対応する所定の整数に変換することで特徴データを数値化するので、予め定められた規格に準じた範囲内で特徴データを数値化することができる。この結果、ゲーム装置10によれば、所定のキャラクタの特性を適切に設定することができる。
【0050】
また、本実施形態のゲーム装置10のCPU11は、数値化された特徴データの整数のそれぞれをバイナリデータに変換し、変換された各バイナリデータを複数のグループのうちの予め指定されたグループにそれぞれ割り当て、当該グループごとに割り当てられて構成されたバイナリデータに基づいて、各グループに対応する複数のパラメータを生成し、生成された複数のパラメータに基づいて、所定のキャラクタの複数の特性(攻撃力、守備力、スピード)を設定する。
したがって、本実施形態のゲーム装置10によれば、数値化された特徴データより生成される複数のパラメータに基づいて所定のキャラクタの複数の特性を設定するので、より独特なキャラクタを創り出すことができる。
【0051】
また、本実施形態のゲーム装置10のCPU11は、設定された所定のキャラクタの複数の特性(攻撃力、守備力、スピード)を表示部14に表示させる。
したがって、本実施形態のゲーム装置10によれば、設定された所定のキャラクタの複数の特性を表示部14に表示させるので、当該キャラクタの複数の特性をプレイヤーに把握させることができる。
【0052】
また、本実施形態のゲーム装置10のCPU11は、数値化された特徴データの整数の並びを変更可能であり、当該整数の並びが変更された場合、当該整数の並びが変更された後の特徴データに基づいて、当該特徴データの整数のそれぞれをバイナリデータに変換する。
したがって、本実施形態のゲーム装置10によれば、数値化された特徴データの整数の並びを変更することにより、当該特徴データのバリエーションを増やすことができるので、このような特徴データより生成される複数のパラメータに基づいて所定のキャラクタの複数の特性を設定することで、より一層独特なキャラクタを創り出すことができる。
【0053】
また、本実施形態のゲーム装置10のCPU11は、特徴データとして上記の周波数スペクトルにおいて最大ゲインとなる周波数を更に抽出し、抽出された周波数に対応する配列に基づいて、特徴データの整数の並びを変更する。
したがって、本実施形態のゲーム装置10によれば、音声入力部15を介して取得された音声がおなじものである、すなわち同一のプレイヤーにより同一の単語が発声された際の音声である場合、互いに同一の配列に基づいて、特徴データの整数の並びが変更されることとなるので、このような特徴データより生成される複数のパラメータに基づいて所定のキャラクタの複数の特性を設定することで、キャラクタ創出の再現性を担保することができる。
【0054】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0055】
例えば、上記実施形態では、ゲームの環境として所定のキャラクタの3つの特性である攻撃力、守備力、スピードを設定しているが、当該特性は3つに限らず、それ以上であってもよい。また、上記の特性は、能力値に関するものに限らず、キャラクタの外観等を含むようにしてもよい。かかる場合、特性の数に応じたパラメータを生成するようにする。
【0056】
また、上記実施形態では、ゲーム装置10は、音声入力部15を介して音声を取得する構成としたが、例えば、通信ネットワークに通信接続されて、通信ネットワーク上の機器との通信を行う通信部を具備し、当該通信部を介して外部機器から音声を取得するようにしてもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、音声データの前半と後半のそれぞれを対象として導出された各周波数スペクトルを4等分にして、各区間の面積S,S,S,Sを特徴データとして導出するようにしているが、当該各周波数スペクトルを4等分するにあたり、予め定められた4つの周波数領域に等分してもよいし、導出された各周波数スペクトルの最小周波数から最大周波数までの領域において当該各周波数スペクトルを4等分するようにしてもよい。また、特徴データを導出するにあたり、例えば、音声データを前半と後半に分けず、音声データ全体を通して導出された周波数スペクトルを8等分にして、各区間の面積S,S,…,Sを特徴データとして導出するようにしてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、数値化された特徴データT={T,T,T,T}の並びを変更するようにしているが、当該並びを変更せずに当該特徴データTから上記キャラクタの能力値となる攻撃力、守備力、スピードの3つのパラメータを生成するようにしてもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、キャラクタ生成処理(図3参照)において、ステップS7で抽出された特徴データを数値化し、数値化された当該特徴データに基づいて、所定の規格に準じたパラメータを生成するようにしているが、例えば、当該特徴データを数値化せずに、所定の変換方法に従って、ステップS7で抽出された特徴データから直接に当該パラメータを生成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0060】
10 ゲーム装置
11 CPU
12 記憶部
13 操作部
14 表示部
15 音声入力部
16 スピーカ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8