(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102863
(43)【公開日】2023-07-26
(54)【発明の名称】折り合せ縫製装置
(51)【国際特許分類】
D05B 35/00 20060101AFI20230719BHJP
D05B 23/00 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
D05B35/00 Z
D05B23/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003577
(22)【出願日】2022-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000213149
【氏名又は名称】中日本ジューキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】加藤 甲子巳
【テーマコード(参考)】
3B150
【Fターム(参考)】
3B150BA00
3B150CB26
3B150CC03
3B150CC05
3B150CE23
3B150EB05
3B150EB06
3B150EB13
3B150EC08
3B150EC10
3B150ED09
3B150EF04
3B150EH11
3B150EH17
3B150JA03
3B150JA08
3B150JA13
3B150JA17
(57)【要約】
【課題】多様な生地、並びに、複数の折り合せサイズにそれぞれ対応して仕上がりの綺麗な折り合せ加工を行える折り合せ縫製装置を提供する。
【解決手段】折り合せ縫製装置は、生地縁部を一端部から他端部にかけて保持可能な第1保持器と、第1保持器の位置を変更可能な駆動機構と、生地を前記第1辺に沿った方向の一端部から他端部にかけて載せることが可能なテーブルと、テーブル上の前記生地を保持可能な第2保持器とを備える。さらに、第2保持器は、テーブル上の生地をX方向に移動可能であり、駆動機構は、第1保持器をX方向及びY方向へ移動させることと、Z方向の軸を中心とする回動方向に回動させることとが可能である。そして、第2保持器による生地の移動と、駆動機構による第1保持器の移動及び回動により、生地の第1辺側の帯状の範囲を折り合せる。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生地の第1辺側の帯状の範囲を折り合せ加工する折り合せ縫製装置であって、
前記第1辺又は前記第1辺を折り込んだときの折目部を生地縁部として、前記生地縁部を前記第1辺に沿った方向の一端部から他端部にかけて保持可能な第1保持器と、
前記第1保持器の位置を変更可能な駆動機構と、
前記生地を前記第1辺に沿った方向の一端部から他端部にかけて載せることが可能なテーブルと、
前記テーブル上の前記生地を保持可能な第2保持器と、
縫製機構と、
を備え、
前記第1保持器に保持された前記生地縁部の延在方向をZ方向、前記Z方向に直交しかつ前記テーブルに沿った方向をX方向、前記X方向及び前記Z方向に直交する方向をY方向として、
前記第2保持器は、前記テーブル上の前記生地を前記X方向に移動可能であり、
前記駆動機構は、前記第1保持器を前記X方向及び前記Y方向へ移動させることと、前記Z方向の軸を中心とする回動方向に回動させることとが可能であり、
前記第2保持器による前記生地の移動と、前記駆動機構による前記第1保持器の移動及び回動により、前記生地の前記第1辺側の帯状の範囲を折り合せ、
前記縫製機構が当該折り合せた部分を縫い合わすことを特徴とする折り合せ縫製装置。
【請求項2】
前記生地の保持工程において、
前記第1保持器は、前記テーブルの一方の縁部であるテーブル縁部よりも外側で前記生地縁部を保持する一方、
前記第2保持器は、前記生地を前記テーブル縁部側へスライド可能に前記テーブル上の前記生地を保持し、
前記生地を折り合せる工程において、
前記第2保持器は、前記生地を保持しながら前記テーブル縁部まで移動する一方、
前記駆動機構は、前記第1保持器を前記テーブルから離す方向に一旦移動させる動作と、前記生地縁部の下方に前記生地が連なる向きに前記第1保持器を回動させる動作と、前記第1保持器を前記テーブル縁部へ近づくように移動させる動作と、を含んだ動作を行うことで、
前記生地の前記帯状の範囲が、前記テーブル縁部の横に垂れ下がるように折り合わされることを特徴とする請求項1記載の折り合せ縫製装置。
【請求項3】
前記第2保持器は、前記生地の前記X方向の移動量を調整可能に構成され、
前記移動量が変わることにより、前記生地の折り合わされた部分の長さが変化することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の折り合せ縫製装置。
【請求項4】
前記生地の折り合わされた部分を把持及び搬送可能な送り機構を更に備え、
前記送り機構は、前記生地の折り合わされた部分を把持した後、前記第1保持器及び前記第2保持器による前記生地の保持が解除されてから、当該部分を搬送し、
前記縫製機構は、前記送り機構により搬送された前記生地を縫い合わせることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の折り合せ縫製装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り合せ縫製装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カーテンを縫製する工程には、カーテン生地の上部及び裾部を二つ折り又は三巻にして縫い合わせる折り合せ工程、並びに、カーテン生地の左辺及び右辺を二つ折り又は三巻にして縫い合わせる耳部の折り合せ工程が含まれる。一般に、上部及び裾部の折り合せのサイズは大きく、耳部における折り合せのサイズは小さい。
【0003】
特許文献1には、カーテン生地の裾部を三巻にして縫い合わせる縫製機が示されている。当該縫製機においては、カーテン生地を送る過程で、カーテン生地の裾部をガイドに沿って次第に折り返しながら搬送し、そして、三巻に折り返された部位を縫製機構が縫着する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カーテン生地の折り合せ加工を行う縫製装置は、生地の厚さ、生地の伸縮性、織目の種類等が異なる多様なカーテン生地に対応できることが望ましい。さらに、二つ折り又は三巻に縫い合わせる装置においては、折り合せのサイズが大きいものにも小さいものにも対応できると望ましい。しかしながら、特許文献1のようにカーテン生地を搬送する過程で次第に折り返していく装置では、多様なカーテン生地の各々で綺麗な仕上がりを実現することは困難であった。また、複数の折り合せサイズに対応することは困難であった。このような課題は、カーテン生地を折り合せ加工する場合に限られず、テント生地、アパレル生地など、様々な生地を折り合せ加工する場合にも同様に生じる。
【0006】
本発明は、多様な生地、並びに、複数の折り合せサイズにそれぞれ対応して仕上がりの綺麗な折り合せ加工を行うことのできる折り合せ縫製装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
生地の第1辺側の帯状の範囲を折り合せ加工する折り合せ縫製装置であって、
前記第1辺又は前記第1辺を折り込んだときの折目部を生地縁部として、前記生地縁部を前記第1辺に沿った方向の一端部から他端部にかけて保持可能な第1保持器と、
前記第1保持器の位置を変更可能な駆動機構と、
前記生地を前記第1辺に沿った方向の一端部から他端部にかけて載せることが可能なテーブルと、
前記テーブル上の前記生地を保持可能な第2保持器と、
縫製機構と、
を備え、
前記第1保持器に保持された前記生地縁部の延在方向をZ方向、前記Z方向に直交しかつ前記テーブルに沿った方向をX方向、前記X方向及び前記Z方向に直交する方向をY方向として、
前記第2保持器は、前記テーブル上の前記生地を前記X方向に移動可能であり、
前記駆動機構は、前記第1保持器を前記X方向及び前記Y方向へ移動させることと、前記Z方向の軸を中心とする回動方向に回動させることとが可能であり、
前記第2保持器による前記生地の移動と、前記駆動機構による前記第1保持器の移動及び回動により、前記生地の前記第1辺側の帯状の範囲を折り合せ、
前記縫製機構が当該折り合せた部分を縫い合わすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、前記第1保持器が、生地縁部を一端部から他端部にかけて保持する一方、第2保持器が、生地を第1辺に沿った方向の一端部から他端部にかけて載せることが可能なテーブル上で保持する。そして、第1保持器の回動と移動、並びに、第2保持器による生地の移動により、生地の第1辺側の帯状の範囲が折り合わされる。すなわち、生地の第1辺に沿った方向の一端部から他端部にかけて同時に折り合せのための動作が行われ、延いては、生地のシンプルな動きによって上記の折り合せが実現される。したがって、多様な生地、並びに、複数の折り合せサイズにそれぞれ対応して、仕上がりの綺麗な折り合せ加工を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る実施形態の折り合せ縫製装置を示す斜視図である。
【
図2】
図1の折り合せ縫製装置の送り機構及び縫製機構を示す斜視図である。
【
図3】カーテン生地を説明する図であり、(A)は折りの無い状態、(B)は一回目の折り込み後の状態、(C)は二回目の折り合せ後の状態を示す。
【
図4】第1保持器と当該第1保持器を回動及び移動させる運動伝達機構とを示す図である。
【
図5】運動伝達機構の動作を説明する図であり、(A)~(D)は第1過程から第4過程を示す。
【
図6】カーテン生地のセット工程から第1保持器による生地縁部の保持工程までの動作を説明する図である。
【
図7】ガイド板と第1保持器の押え部との配置関係を示す平面図である。
【
図8】ガイド板を抜き取る工程の動作を説明する図である。
【
図9】カーテン生地の折り合せ工程の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係る実施形態の折り合せ縫製装置を示す斜視図である。
図2は、
図1の折り合せ縫製装置の送り機構及び縫製機構を示す斜視図である。
図2においてはテーブルより上方の機構が省略されている。
図3は、カーテン生地を説明する図であり、(A)は折りの無い状態、(B)は一回目の折り込み後の状態、(C)は二回目の折り合せ後の状態を示す。
図4は、第1保持器と当該第1保持器を回動及び移動させる運動伝達機構とを示す図である。
【0011】
<カーテン生地の折り合せ加工>
本実施形態に係る折り合せ縫製装置1は、カーテン生地Fの第1辺f1側の帯状の範囲H(
図3を参照)を折り合せ加工する装置である。折り合せ加工とは、帯状の範囲Hを二つ折り又は三巻にして縫い合わせる加工のことである。帯状の範囲Hは、カーテン生地の上部又は裾部であってもよいし、左右の耳部に相当する部分であってもよい。折り合せの寸法は、加工箇所に対応させて異なってもよい。例えば、上部及び裾部の折り合せ加工の場合には、折り合せ範囲H2、H3の寸法L2は長く、左右の耳部の場合には折り合せ範囲H2、H3の寸法L2は短くてもよい。また、三巻の場合、一回目の折り込み範囲H1の寸法L1は、二回目の折り合せの範囲H2、H3の寸法L2と同一であってもよいし、当該寸法L2よりも短くてもよい。一回目の折り込みにより折目部faが生成される。以下では、カーテン生地Fを三巻にする場合について説明する。当該場合、折目部faが第1保持器20により保持される生地縁部f2となる。
【0012】
<折り合せ縫製装置>
以下、折り合せ縫製装置1にセットされるカーテン生地Fを基準に、当該カーテン生地Fの第1辺f1に沿った方向をZ方向、Z方向に直交しテーブル11の上面に沿った方向をX方向、Z方向とX方向とに直交する方向をY方向と記す。本実施形態では、X-Z方向を水平方向、Y方向を鉛直方向とし、+X方向を奥側、-X方向を手前側と呼んで説明するが、水平方向及び鉛直方向と、X方向、Y方向及びZ方向との関係は実施形態の例に限られない。
【0013】
折り合せ縫製装置1は、カーテン生地Fが載せられるテーブル11と、カーテン生地Fの生地縁部f2を保持可能な第1保持器20と、第1保持器20を昇降及び回動させる運動伝達機構30と、テーブル11上でカーテン生地Fを保持可能な第2保持器40と、カーテン生地Fの一回目の折り込み箇所をガイドするガイド板13と、カーテン生地Fの折り合わされた部分を把持及び搬送可能な送り機構50と、カーテン生地Fの折り合わされた部分を縫い合わせる縫製機構60(
図2)と、これらを支えるフレーム70とを備える。
【0014】
フレーム70は、第1保持器20及び運動伝達機構30をX方向にスライド移動可能に支持する第1スライド機構71と、第2保持器40をX方向にスライド移動可能に支持する第2スライド機構72と、送り機構50の奥側機構52をX方向にスライド移動可能に支持する第3スライド機構73とを備える。
【0015】
さらに、折り合せ縫製装置1は、第1保持器20及び運動伝達機構30を第1スライド機構71に沿って駆動する第1スライド駆動装置G71と、第2保持器40を第2スライド機構72に沿って駆動する第2スライド駆動装置G72と、送り機構50の奥側機構52を第3スライド機構73に沿ってクライド駆動する第3スライド駆動装置G73とを備える。第1スライド駆動装置G71及び第2スライド駆動装置G72は、スライド量を制御可能なサーボ装置である。第1スライド駆動装置G71、第2スライド駆動装置G72及び第3スライド駆動装置G73は、具体的には電動モータであってもよいし、エアーシリンダであってもよい。
【0016】
さらに、折り合せ縫製装置1は、第1保持器20を保持動作させる第1駆動装置G20と、第2保持器40を保持動作させる第2駆動装置G40と、ガイド板13を昇降させるガイド昇降装置G13と、運動伝達機構30を動作させる駆動装置G30と、送り機構50を駆動する搬送駆動装置G50と、を備える。第1駆動装置G20、第2駆動装置G40及びガイド昇降装置G13は、具体的にはエアーシリンダであってもよいし、電動モータであってもよい。駆動装置G30及び搬送駆動装置G50は、電動モータであってもよい。搬送駆動装置G50は、送り機構50における手前側機構51と奥側機構52とをそれぞれ同期させて駆動する2つの駆動装置を含む構成であってもよいし、1つの駆動装置と、駆動力を手前側機構51と奥側機構52とに同期させて伝達する2つの伝達機構とを含む構成であってもよい。
【0017】
上記の構成のうち、第1スライド機構71、第1スライド駆動装置G71、運動伝達機構30及び駆動装置G30は、本発明に係る駆動機構の一例に相当する。当該構成により、第1保持器20を、X方向及びY方向に移動させることと、Z方向の軸を中心とする回動方向に回動させることとが可能となる。
【0018】
テーブル11は、カーテン生地Fの第1辺f1に沿った方向の一端部から他端部までを載せることが可能なZ方向の寸法を有する。テーブル11のX方向の寸法は、カーテン生地Fの一部の範囲が載る寸法を有すればよい。テーブル11は、第1保持器20が配置される奥方において、直線状のテーブル縁部e11を有する。
【0019】
第1保持器20は、カーテン生地Fの生地縁部f2を保持する機構である。第1保持器20は、生地縁部f2を、第1辺f1に沿った方向の一端部から他端部にかけて保持する。ここで、一端部から他端部にかけて保持される状態とは、生地縁部f2の一端と他端とが固定されている必要はなく、また、生地縁部f2の一端から他端にかけた全体が固定されている必要もない。一端部から他端部にかけて保持可能な構成とは、生地縁部f2が許容量を超えてたるまない程度に一端から他端にかけた範囲の複数箇所を固定できる構成であればよい。
【0020】
第1保持器20は、第1面S21A、並びに、第1面S21Aの反対側に位置する第2面S21Bを有するベース部21(
図4を参照)と、第2面S21Bとの間にカーテン生地Fを挟んで把持する押え部22とを有する。押え部22は、先端に複数の突起を有する爪形状を有してもよい。押え部22は、その先端がベース部21から離間した状態と、第2面S21Bに近接又は接触する状態とに切替可能に支持され、第1駆動装置G20の駆動によって、これらの状態が切り替えられる。第1保持器20は、押え部22の先端がベース部21の第2面S21Bに近接したときに、押え部22の先端と第2面S21Bとの間にカーテン生地Fを挟んで、カーテン生地Fを保持することができる。
【0021】
ベース部21は、Z方向に長く、カーテン生地Fの第1辺f1に沿った方向の一端部から他端部にかけた範囲と同等以上の長さを有する。複数の押え部22は、先端部がZ方向に一直線に並ぶ。Z方向を左右方向と見なしたとき、複数の押え部22の左端から右端までの長さは、カーテン生地Fの第1辺f1に沿った方向の一端から他端までの寸法と同等以上の長さに相当する。このような構成により、第1保持器20は、カーテン生地Fを第1辺f1に沿った方向の一端部から他端部にかけて保持することができる
【0022】
複数の押え部22は、Z方向において間隔を開けて並ぶ。すなわち、隣接する2つの押え部22の間には間隙が設けられる。なお、図示では、見やすくするために、複数の押え部22の幅及び間隔を大きく描いている。
【0023】
ベース部21の第1面S21Aの上には、カーテン生地Fの第1辺f1の位置を合わせるためのガイド23が設けられている。ガイド23は、第1面S21Aが水平にあるとき、第1面S21Aに沿ってX方向に位置調整可能である。
【0024】
第2保持器40は、テーブル11の上方に位置する複数の押え板41を有する。複数の押え板41は、昇降可能に支持され、第2駆動装置G40の駆動により、テーブル11から離間した状態と、テーブル11上でカーテン生地Fを押えた状態とに切り替え可能である。複数の押え板41により、カーテン生地Fの中央寄りの部分をテーブル11上で保持できる。
【0025】
複数の押え板41は、Z方向に連なるように、Z方向に並んで配置される。当該配置により複数の押え板41は、カーテン生地FをZ方向における広い範囲で押えることができる。
【0026】
第2保持器40は、第2スライド駆動装置G72の駆動により、X方向にスライド可能である。さらに、第2保持器40のX方向のスライド量は制御可能である。第2保持器40は、テーブル11上でカーテン生地Fを保持した状態で、第2スライド駆動装置G72によりX方向にスライドすることで、カーテン生地Fの保持した部位をテーブル11上でスライドさせてX方向に移動させることができる。
【0027】
ガイド板13は、板の先端がカーテン生地Fの一回目の折り込み位置に当たって、当該位置をガイドする。ガイド板13の先端は、複数の凹部13hと複数の凸部13tとが交互に並んだ形状を有する。凹部13hの幅は、第1保持器20の1つの押え部22の幅に対応する大きさを有する。凸部13tの幅は、第1保持器20の隣接する2つの押え部22の間の間隙に対応する大きさを有する。このような形状により、ガイド板13と第1保持器20とを対向させたときに、ガイド板13の複数の凸部13tは第1保持器20の複数の押え部22の間の間隙と重なり、かつ、第1保持器20の複数の押え部22はガイド板13の複数の凹部13hと重なる(
図7を参照)。したがって、第1保持器20の複数の押え部22がガイド板13の一部を把持してしまうことが避けられる。
【0028】
ガイド板13は、先端部がテーブル縁部e11から外側にはみ出し、残りの部分がテーブル11上に載る配置で、昇降可能に支持される。ガイド昇降装置G13の駆動により、ガイド板13は、テーブル11を下方に押した状態と、昇降方向にフリーな状態(軽い力で昇降移動可能な状態)と、テーブル11から上方に離間した状態とに切り替えることができる。
【0029】
送り機構50は、テーブル11の下方に配置される手前側機構51と、テーブル11よりも奥方に配置される奥側機構52とを含む。手前側機構51は、カーテン生地Fを奥方(X方向)に加圧可能に構成される。奥側機構52は、カーテン生地Fを手前側(-X方向)に加圧可能に構成される。
【0030】
手前側機構51は、カーテン生地Fに接触するベルト51aと、ベルト51aをX方向へ押す複数の支持ブロック51bと、ベルト51aを送るためのギヤ51c、51cとを有する。同様に、奥側機構52は、カーテン生地Fに接触するベルト52aと、ベルト52aを-X方向に押す複数の支持ブロック52bと、ベルト52aを送るためのギヤ52c、52cとを有する。送り機構50は、ベルト51a、52aの長手方向がZ方向に沿うように配置される。送り機構50の長手方向の寸法は、カーテン生地Fの第1辺f1の長さと同等、あるいは、第1辺f1よりも長い。
【0031】
手前側機構51は、カーテン生地Fに接触する面がテーブル縁部e11の近傍(例えばテーブル縁部e11の直下)に位置するように配置される。奥側機構52は、第3スライド駆動装置G73の駆動により、手前側機構51から離間した位置から手前側機構51に加圧する位置までスライド移動可能である。送り機構50は、奥側機構52と手前側機構51とが互いに加圧している状態で、搬送駆動装置G50が駆動することで、ベルト51a、52aが駆動され、ベルト51a、52aの間に挟まれたカーテン生地FがZ方向に送られる。
【0032】
縫製機構60は、針棒と当該針棒の駆動機構とを有する針棒機構61と、釜と当該釜の駆動機構とを有する釜機構62とを含む。縫製機構60は、送り機構50の搬送方向における先端側に配置される。縫製機構60は、送り機構50がカーテン生地Fを搬送可能な状態(奥側機構52が手前側に移動した状態)で、針棒機構61と釜機構62とが近接し、縫製動作が可能となる。縫製機構60及び送り機構50は、カーテン生地Fの送り動作と同期して針棒の位置が送り方向に移動する総合送りの構成であってもよいし、針棒の昇降に同期して送り機構50が間欠的にカーテン生地Fを送る構成であってもよい。
【0033】
<第1保持器を昇降及び回動させる運動伝達機構>
運動伝達機構30は、基部31と、基部31に回転可能に支持された入力軸32と、入力軸32に回転動力を入力する駆動装置G30と、入力軸32の回転運動をY方向の並進運動に変換する変換機構(例えばラック及びピニオン)36と、変換機構36の並進部36aに支持された支軸33と、基部31に固定されたカム板34aと、変換機構36の並進部36aに回動可能に支持されたカムレバー34bと、カムレバー34bの回動運動を伝達して支軸33を回動させるギヤ機構35a、35bとを備える。カム板34aはカム機構34の原動節に相当し、カムレバー34bはカム機構34の従動節に相当する。
【0034】
基部31は、X方向にスライド可能な状態で第1スライド機構71に支持されている。駆動装置G30は、回転量の制御が可能なサーボモータである。支軸33は第1保持器20を支持する。支軸33は、第1保持器20に対して回転不能に固定されている。支軸33が回動することで第1保持器20は支軸33を中心に回動する。カムレバー34bの一部(例えばローラ34br)はカム板34aのカム面に接触し、カム板34aに対してカムレバー34bが相対移動することで、カム板34aとカムレバー34bとの接触位置が変化し、カム板34aの形状に従ってカムレバー34bの角度が変わる。カムレバー34bの角度が変わると、当該変化がギヤ機構35a、35bを介して支軸33に伝達され、第1保持器20が支軸33を中心に回動する。
【0035】
図5は、運動伝達機構30の動作を説明する図であり、(A)~(D)は第1状態(初期状態)から第4状態を示す。入力軸32が一方向に回転することで、第1保持器20は、
図5(A)の第1状態から
図5(D)の第4状態へと変わる。第1状態は、基準高さでベース部21の第1面S21Aが水平になる状態である。基準高さとは、ベース部21の第1面S21Aがテーブル11の上面と面一になる高さである。第2状態は、ベース部21の第1面S21Aが水平のまま、第1保持器20が基準高さより上昇した状態である。第3状態は、第1保持器20のカーテン生地Fが挿入される開口側が下方を向くように回動し始めた状態である。第4状態は、第1保持器20の開口側が下方を向き、第1保持器20の先端(ベース部21の端)がテーブル11の上面近傍の高さに位置する状態である。第1保持器20は、第1面S21Aが所定の角度まで(例えば水平から90度)回動したときに、それ以上回動しないようにストッパーにより係止されてもよい。そして、その状態から更に入力軸32が回転して第1保持器20が上昇すると、カムローラ34brがカム板34aから離間することで、第1保持器20が回動せずに上昇し、第1保持器20が
図5(D)の第4状態に移行する構成としてもよい。
【0036】
運動伝達機構30による昇降及び回動と、第1スライド駆動装置G71によるX方向の移動とにより、第1保持器20のX-Y方向の移動と、Z方向の軸を中心とする回動方向の回動とが可能となる。
【0037】
なお、第1保持器20を回動させる機構は、上記の構成に限られない。例えば、上記のカム機構34が省略され、別の駆動装置(サーボモータ等)によって第1保持器20がZ方向の軸を中心とする回転方向へ駆動される構成が採用されてもよい。この場合、上記別の駆動装置と、昇降用の駆動装置G30とを連携させて制御することで、
図5(A)~
図5(D)のような第1保持器20の運動を実現できる。
【0038】
<測定器と制御部>
折り合せ縫製装置1は、さらに、カーテン生地Fの厚みを計測する測定器6と、各駆動部の駆動及び停止、並びに、駆動量の制御を行う制御部8とを備える。測定器6は、ガイド板13の昇降機構に設けられ、ガイド板13が降下した際のガイド板13の位置(テーブル11の上面からの距離)から、カーテン生地Fの厚みを計測し、計測結果を制御部8に送る。
【0039】
制御部8は、プログラムに従って動作するコンピュータ又はシーケンサである。制御部8は、測定器6から送られたカーテン生地Fの厚みに基づいて、幾つかの駆動工程における駆動量を決定する。すなわち、カーテン生地Fの厚みが異なれば、幾つかの駆動工程における駆動量が変化する。
【0040】
<制御及び動作>
図6、
図8~
図10は、折り合せ縫製装置1の一連の動作の一例を示す説明図である。
図6は、カーテン生地のセット工程から第1保持器による生地縁部の保持工程までを示す。
図8は、ガイド板を抜き取る工程を示す。
図9は、カーテン生地の折り合せ工程を示す。
図10は縫製工程を示す。
【0041】
カーテン生地Fをセットする工程では、第1保持器20は、テーブル11の上面とベース部21の第1面S21Aとが近接及び面一にされ(
図6(A)の状態)、第2保持器40及びガイド板13がテーブル11から上方に離間される。この状態で、作業者は、カーテン生地Fの第1辺f1がベース部21上のガイド23に当たるように、カーテン生地Fをテーブル11と第1保持器20のベース部21上に広げてセットする。そして、作業者がカーテン生地Fを押えるための操作を行うと、第2保持器40が降下し、テーブル11との間にカーテン生地Fを押えて保持する。さらに、ガイド板13がテーブル11上に降下し、当該箇所でカーテン生地Fを押える。
図6(A)はこのときの状態を示す。
【0042】
カーテン生地Fをセットする工程の前、作業者は、予め制御部8に折り合せ範囲H2、H3の寸法L2を入力しておく。そして、制御部8は、第2保持器40の押え板41を、“入力された寸法L2×2-所定長N1”だけ、テーブル縁部e11から手前側に離れた位置に移動させ、その位置で第2保持器40を降下させる。所定長N1は、ガイド板13がテーブル縁部e11よりも奥側にはみ出す長さである。
【0043】
続いて、作業者は、制御部8に折り合せ加工の開始指令を与える。すると、まず、制御部8は、
図6(B)~
図6(E)に示すように、カーテン生地Fの一回目の折り込み処理を実行する。当該処理では、まず、第1保持器20が奥側に“a1”mm移動し(
図6(B))、次に、第1保持器20が“b1”mm上昇し(
図6(C))、さらに、第1保持器20が手前側に“a2”mm移動する。上記の“a1”mm、“b1”mm、“a2”mmは、次のように制御部8により制御される。
【0044】
“a1”mm =
図6(A)のセット工程においてベース部21とガイド板13とが平面視で重なっているX方向長さN2+カーテン生地Fの厚みd+マージンα
“b1”mm = ガイド板13の厚み+ベース部21の厚み+カーテン生地Fの厚みd×2+マージンβ
“a2”mm = 第1保持器20に入り込むカーテン生地Fの規定挿入量M+上記マージンα-カーテン生地Fの厚みd
マージンα、βは、ベース部21とガイド板13との干渉を避けるために加算される余裕分に相当し、僅かな長さであってよい。
【0045】
上記の
図6(A)~(D)の動作により、第1保持器20は、ベース部21の第1面S21Aがガイド板13の一方の面(下面)に対向する位置から、ガイド板13の先端部を超えて、ベース部21の第2面S21Bがガイド板13のもう一方の面(上面)に対向する位置まで移動する。そして、当該移動によって、カーテン生地Fの一回目の折り込み範囲H1がガイド板13の先端で折り返され、当該折り返しで生じた折目部faを生地縁部f2として、生地縁部f2が第1保持器20のベース部21と押え部22との間に挿入される。
【0046】
その後、
図6(E)に示すように、制御部8が第1保持器20の押え部22を駆動することで、カーテン生地Fの生地縁部f2が第1保持器20に保持(具体的には把持)される。
図7は、ガイド板13と第1保持器20の押え部22との配置関係を示す平面図である。
図7に示すように、第1保持器20の複数の押え部22は、ガイド板13の凹部13hに対応して配置されるので、
図6(E)の状態において、押え部22がガイド板13を挟み込むことなく、カーテン生地Fの生地縁部f2を保持する。
【0047】
次に、制御部8は、
図8(F)~
図8(I)に示すように、ガイド板13を離脱する処理を実行する。当該処理では、まず、第2保持器40が奥側に“a3”mm移動し、テーブル11上のカーテン生地Fをたるませる(
図8(F))。さらに、ガイド板13が昇降方向にフリーな状態(軽い力で昇降移動可能な状態)にされる。次に、第1保持器20が“b3”mm上昇し(
図8(G))、さらに、第1保持器20が“a4”mm奥側に移動する(
図8(H))。ここで、“a3”mm、“b3”mm、“a4”mmは、次のように制御部8により制御される。
【0048】
“a3”mm = “b3”mmの移動と“a4”mmの移動によりカーテン生地Fが引っ張られる長さ以上の移動量
“b3”mm = ガイド板13からテーブル11へ加わる圧力が解除される移動量(僅かな移動量で良い)
“a4”mm = 平面視で第1保持器20のベース部21とガイド板13との重なりが解消される移動量+カーテン生地Fの厚みd+マージンγ
マージンγは、ベース部21とガイド板13との干渉を避けるために加算される余裕分に相当し、僅かな長さであってよい。
【0049】
上記の第1保持器20の移動により、ガイド板13が第1保持器20から離間するので、その後、ガイド板13が上昇することで(
図8(I))、ガイド板13がテーブル11の近傍から離脱する。
【0050】
続いて、制御部8は、
図9(J)~
図9(N)に示すように、カーテン生地Fの折り合せ処理を実行する。当該処理では、まず、第2保持器40がテーブル縁部e11まで移動し、次に、カーテン生地Fが張らない移動量で第1保持器20が奥側に移動する(
図9(J))。上記の第2保持器40の移動と第1保持器20の移動とは同時並行して行われてもよい。
【0051】
続いて、第1保持器20の支軸33が、上昇しかつ手前側へ移動し、その間に第1保持器20が支軸33を中心に回動する(
図9(K)~
図9(M))。当該動作により、第1保持器20は、第1保持器20から保持したカーテン生地Fが垂れ下がる向きに回動しながら、第2保持器40に近接するように手前側に移動する(
図9(L))。そして、第1保持器20のベース部21の第1面S21Aがテーブル11の上面に対して直交する角度まで回動し、第1保持器20の保持点(押え部22の先端)がテーブル縁部e11に近接する位置で、第1保持器20が停止する(
図9(M))。このとき、カーテン生地Fの範囲H2、H3は、互いに折り合わさった状態で第1保持器20と第2保持器40との間、あるいは、第1保持器20とテーブル縁部e11との間に垂れ下がる。なお、
図9(J)~
図9(M)の動作中、第1保持器20の保持点(押え部22の先端)は、昇降を繰り返さずに、テーブル縁部e11に近接(高さ方向の近接と手前側への近接)するとよい。しかし、
図9(J)~
図9(M)における第1保持器20の高さ方向の運動は、次のような運動であってもよい。すなわち、
図9(J)~
図9(M)の動作中、第1保持器20の保持点(押え部22の先端)は、一旦、上昇した後にテーブル縁部e11の高さまで下降してもよい。あるいは、一旦、テーブル縁部e11より低い位置まで下降してからテーブル縁部e11の高さまで上昇してもよい。上記の各昇降動作は、第1保持器20の回動角度の変化前、回動角度の変化中、回動角度の変化後のいずれに行われてもよい。
【0052】
次に、送り機構50の奥側機構52が手前側に移動することで、手前側機構51と奥側機構52との間にカーテン生地Fの折り合わされた部分が挟まれる(
図9(N))。手前側機構51と奥側機構52とにより挟まれる部分には、一回目の折り込み範囲H1が含まれるよう、送り機構50は、テーブル11の上面になるだけ近い位置に配置される。
【0053】
その後、第1保持器20と第2保持器40とが保持動作を解き、第1保持器20が一旦上昇した後に奥方に退避する。一旦上昇する動作は、第1保持器20と奥側機構52との干渉を避けるために行われる。さらに、第2保持器40が上方及び手前側に退避する。これにより、カーテン生地Fの折り合せ範囲H2、H3が搬送可能に送り機構50に保持される。
【0054】
続いて、制御部8は、
図10(O)、(P)に示すように、カーテン生地Fの折り合せ部分の縫製処理を実行する。当該処理では、送り機構50が駆動され、カーテン生地Fの折り合せられた範囲HがZ方向に送られる。さらに、送り機構50の搬送動作と同期して縫製機構60が駆動し、カーテン生地Fの折り合せ部分が縫い合わされる。そして、カーテン生地Fの第1辺f1に沿った方向の一端部から他端部にかけて縫い合わせが完了したら、カーテン生地Fの縫製工程が終了する。
【0055】
<二つ折りの折り合せ加工>
上記では三巻の折り合せ加工を行う場合について説明した。しかし、本実施形態の折り合せ縫製装置1は二つ折りの折り合せ加工を行うこともできる。二つ折りを行う場合には、カーテン生地Fをセットする工程において、第1保持器20は、ベース部21から押え部22が離間した状態で、当該離間した部位がテーブル11の上面の延長上に配置される。さらに、第2保持器40は、二つ折りの寸法に合わせた位置で、かつ、テーブル11から離間して配置される。そして、作業者は、テーブル11上にカーテン生地Fを載せ、カーテン生地Fの第1辺f1を第1保持器20のベース部21と押え部22の間に挿入する。その後、作業者が、折り合せ縫製装置1に二つ折り加工の開始指示を与えると、第1保持器20がカーテン生地Fの第1辺f1を生地縁部として把持し、かつ、第2保持器40が下降してテーブル11との間でカーテン生地Fを保持する。その後は、
図9(J)~
図10(P)とほぼ同様の動作が行われて、二つ折りの折り合せ加工が達成される。
【0056】
<効果>
以上のように、本実施形態の折り合せ縫製装置1によれば、カーテン生地Fの生地縁部f2を第1辺f1に沿った方向の一端部から他端部までを保持する第1保持器20を備える。さらに、折り合せ縫製装置1は、カーテン生地Fを第1辺f1に沿った方向の一端部から他端部にかけて載せることが可能なテーブル11と、テーブル11上でカーテン生地Fを保持することが可能な第2保持器40とを備える。そして、第2スライド機構72により第2保持器40がカーテン生地Fをテーブル11に沿ってX方向に移動可能に構成され、運動伝達機構30と第1スライド機構71とにより第1保持器20がX方向及びY方向への移動とZ方向の軸を中心とする回動方向への回動とが可能に構成される。したがって、上記構成により、第1保持器20と第2保持器40とが、カーテン生地Fを保持した状態で互いが近接するように移動し、かつ、第1保持器20が回動することで、第1保持器20と第2保持器40との間で、カーテン生地Fの帯状の範囲Hを折り合せることができる。このような折り合せは、カーテン生地Fのシンプルな動きによって達成され、カーテン生地Fの第1辺f1に沿った方向の一端部から他端部にかけて同時に行われる。したがって、多様なカーテン生地Fを対象とした場合でも、各々のカーテン生地Fに対して同様の折り合せ動作が可能であり、各々のカーテン生地Fにおいて綺麗な仕上がりで折り合せ加工を達成できる。さらに、第2保持器40がカーテン生地Fを保持する位置、あるいは、第2保持器40がカーテン生地Fをテーブル11上で移動させる長さを変更することで、カーテン生地Fの折り合せサイズが変わるので、複数の折り合せサイズに対しても容易に対応することができる。
【0057】
さらに、本実施形態の折り合せ縫製装置1によれば、第1保持器20と第2保持器40とがカーテン生地Fを保持する工程において、第1保持器20は、テーブル縁部e11よりも奥側で生地縁部f2を保持する。さらに、第2保持器40は、カーテン生地Fをテーブル縁部e11側へスライド可能な状態で、テーブル11上のカーテン生地Fを保持する。そして、カーテン生地Fを折り合せる工程(
図8(I)、
図9(J)~(N))において、第2保持器40は、カーテン生地Fを保持しながらテーブル縁部e11まで移動する。さらに、駆動機構(第1スライド機構71及び運動伝達機構30)は、第1保持器20をテーブル11から離す方向に一旦移動させる動作(例えばX方向への移動及びY方向への上昇)と、生地縁部f2の下方にカーテン生地Fが連なる向きに第1保持器20を回動させる動作と、第1保持器20をテーブル縁部e11へ近づくように移動させる動作と、を含んだ動作を行う。そして、これらの動作により、カーテン生地Fの帯状の範囲Hが、テーブル縁部e11の横に垂れ下がるように折り合わされる。このような折り合せの動作によれば、折り合せ完了の時点で、第2保持器40は、カーテン生地Fを帯状の範囲Hの近傍で押える。さらに、第1保持器20が保持するカーテン生地Fの生地縁部f2の近傍には、重力に逆らうようなテンションが生じ難い。したがって、多様なカーテン生地、様々な折り合せのサイズにそれぞれ対応して、より綺麗な仕上がりで折り合せ加工を行うことができる。
【0058】
なお、上記実施形態では、第1保持器20をテーブル11から離す方向に一旦移動させる動作として、X方向への移動とY方向への上昇と(
図8(I)→
図9(J)→
図9(K))を一例として示した。しかしながら、第1保持器20をテーブル11から離す方向に一旦移動させる動作は、例えばX方向への移動のみ、X方向への移動と-Y方向への下降、あるいは、Y方向への上昇のみとしてもよい。また、下方に干渉する構造がなければ、第1保持器20をテーブル11から離す方向に一旦移動させる動作は、Y方向への下降のみとしてもよい。
【0059】
さらに、上記実施形態では、第1保持器20をテーブル11から離間する方向に一旦移動させた後に、上記の回動させる動作と、テーブル縁部e11へ近づける動作とを並行して行う例を示した。しかしながら、第1保持器20をテーブル11から離間させる動作と並行して、回動動作の一部又は全部が行われてもよい。また、回動動作を独立して行い、回動動作が完了した後に、第1保持器20をテーブル縁部e11へ近づける動作を行ってもよい。その他、カーテン生地Fを折り合せる工程の第1保持器20の動作には、上記の各動作に加えて、別の動作が含まれてもよい。
【0060】
なお、本発明に係る第1保持器及び第2保持器の折り合せ加工の動作は、上記実施形態の動作に限定されない。さらに、カーテン生地Fの折り合せ完了の配置として、第2保持器40がテーブル縁部e11まで移動し、第1保持器20がテーブル縁部e11の近傍で90°回動した配置を示したが、このような配置に限られない。例えば、第2保持器40はテーブル縁部e11よりもテーブル11の中央寄りに停止して折り合せ完了としてもよい。また、第1保持器20は75°~120°など90°よりも小さく又は90°よりも大きく回動した向きで折り合せ完了としてもよい。また、カーテン生地Fに風圧などにより上向きの力を作用させることで、保持したカーテン生地Fの先が上方を向くように第1保持器20が回動して折り合せ完了とすることもできる。また、第2保持器40が移動してカーテン生地Fをテーブル11上でスライドさせる構成を示した。しかし、第2保持器40はカーテン生地Fをローラとテーブル11との間で挟んで保持し、ローラが回転することでカーテン生地Fをテーブル11上でX方向にスライドさせる構成としてもよい。
【0061】
本実施形態の折り合せ縫製装置1によれば、運動伝達機構30は、第1保持器20をZ方向の軸を中心に回動可能に支持する支軸33と、カム板34aとカムレバー34bとを有し支軸33を中心に第1保持器20を回動させるカム機構34と、回転運動が入力される入力軸32と、入力軸32の回転運動を支軸33及びカムレバー34bのY方向の運動に変換する変換機構36とを含む。そして、入力軸32の回転により、第1保持器20の回動と、第1保持器20の少なくともY方向への昇降とが可能である。このような構成により、カーテン生地Fを折り合せる動作の制御が容易となる。また、第1保持器20の昇降と回動とで2系動の駆動装置を設ける場合と比較して、駆動装置を減らして製品コストを低減できる。
【0062】
さらに、本実施形態の折り合せ縫製装置1によれば、第2保持器40がカーテン生地FのX方向への移動量を調整可能に構成され、当該移動量が変わることで、カーテン生地Fの折り合わされる範囲H2、H3の寸法L2が変化する。したがって、当該移動量の調整により、折り合せ加工のサイズを調整できる。
【0063】
さらに、本実施形態の折り合せ縫製装置1によれば、送り機構50が、カーテン生地Fの折り合わされた部分を把持及びZ方向に搬送し、縫製機構60が搬送されたカーテン生地を縫い合わせる。このような構成により、縫い合わせまで含めた折り合せ加工を達成することができるという効果が奏される。なお、実施形態で示した縫い合わせのための構成は一例に過ぎず、本発明に係る折り合せ縫製装置においては様々な縫い合わせの構成が採用されてもよい。
【0064】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は上記の実施形態に限られない。例えば、上記実施形態では、カーテン生地を折り合せ加工する縫製装置に本発明を適用した例を示したが、本発明に係る折り合せ縫製装置は、テント生地、アパレル生地などの様々な生地を折り合せ加工する縫製装置に適用されてもよい。また、上記実施形態では、三巻の折り合せ加工を行う場合に、一回目の折り込みが自動的に行われる構成を示したが、当該構成は任意な構成である。すなわち、カーテン生地Fのセット時に作業者が一回目の折り込みを行って折目部f2を第1保持器20に保持させてもよい。その他、実施の形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 折り合せ縫製装置
6 測定器
8 制御部
11 テーブル
13 ガイド板
20 第1保持器
21 ベース部
22 押え部
23 ガイド
30 運動伝達機構(駆動機構)
32 入力軸
33 支軸
34a カム板
34b カムレバー
34 カム機構
36 変換機構
40 第2保持器
41 押え板
50 送り機構
51 手前側機構
52 奥側機構
60 縫製機構
61 針棒機構
62 釜機構
71 第1スライド機構(駆動機構)
72 第2スライド機構
73 第3スライド機構
F カーテン生地
f1 第1辺
f2 生地縁部
H 帯状の範囲
H2、H3 折り合せの範囲
e11 テーブル縁部