(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102899
(43)【公開日】2023-07-26
(54)【発明の名称】ラダーマクラギ
(51)【国際特許分類】
E01B 3/00 20060101AFI20230719BHJP
E01B 3/38 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
E01B3/00
E01B3/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003642
(22)【出願日】2022-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】599032349
【氏名又は名称】株式会社テス
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 勉
(72)【発明者】
【氏名】浅沼 潔
(57)【要約】
【課題】バラストに伝達される力を緩和することができるラダーマクラギを提供することである。
【解決手段】本発明のラダーマクラギ10は、一対の縦梁12と、端部閉合梁18と、中間閉合梁21と、を有する。一対の縦梁12は、X方向に伸びる一対のレール5の下方に配置可能であり、X方向に伸びる。端部閉合梁18は、X方向において一対の縦梁12の端部の近くに配置され、Y方向に伸びる。中間閉合梁21は、X方向において端部閉合梁18より一対の縦梁12の中央部Cに近い位置に配置され、Y方向に伸び、コンクリート製である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に伸びる一対のレールの下方に配置可能であり、前記第1方向に伸びる一対の縦梁と、
前記第1方向において前記一対の縦梁の端部の近くに配置され、上下方向および前記第1方向に交差する第2方向に伸びる端部梁と、
前記第1方向において前記端部梁より前記一対の縦梁の中央部に近い位置に配置され、前記第2方向に伸びる、コンクリート製の中間梁と、を有する、
ラダーマクラギ。
【請求項2】
前記第1方向に並んで前記一対の縦梁に形成され、前記レールの締結装置の取付けに使用される複数の取付部を有し、
前記複数の取付部は、前記第1方向において前記一対の縦梁の中央部の隣に位置する第1取付部を含み、
前記中間梁は、前記第1方向において前記第1取付部の位置に配置される、
請求項1に記載のラダーマクラギ。
【請求項3】
前記第1方向に並んで前記一対の縦梁に形成され、前記レールの締結に使用される複数の取付部を有し、
前記複数の取付部は、前記第1方向において前記一対の縦梁の中央部の両隣に位置する一対の第2取付部を含み、
前記中間梁は、前記第1方向において前記一対の第2取付部の位置に配置される、
請求項1に記載のラダーマクラギ。
【請求項4】
前記中間梁は、前記一対の縦梁の両方に固定される両端固定梁である、
請求項1から3のいずれか1項に記載のラダーマクラギ。
【請求項5】
前記中間梁は、前記一対の縦梁のうち一方のみに固定される片持ち梁であり、前記一対の縦梁の前記第2方向の内側および外側のうち一方のみに配置される、
請求項1から3のいずれか1項に記載のラダーマクラギ。
【請求項6】
前記中間梁は、前記一対の縦梁のうち一方のみに固定される片持ち梁であり、前記一対の縦梁の前記第2方向の内側および外側の両方に配置される、
請求項1から3のいずれか1項に記載のラダーマクラギ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラダーマクラギに関する。
【背景技術】
【0002】
バラスト軌道の保守省力化等を目的として、ラダーマクラギが実用化されている。ラダーマクラギとは、プレストレストコンクリート(PC)製の長尺な縦梁をレールに沿って配置し、一対の縦梁を鋼製の継材で繋いだ、はしご状のマクラギである(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鉄道車両がレールの継目を走行するとき、バラストに衝撃荷重が作用する。レールの継目にラダーマクラギが配置される場合、ラダーマクラギは衝撃荷重を分散させてバラストに伝達する。ラダーマクラギを介してバラストに伝達される力は、一般的な横まくらぎを介してバラストに伝達される力より小さい。しかしながら、バラストに伝達される力のさらなる緩和が求められる。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、バラストに伝達される力を緩和することができるラダーマクラギを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のラダーマクラギは、一対の縦梁と、端部梁と、中間梁と、を有する。一対の縦梁は、第1方向に伸びる一対のレールの下方に配置可能であり、第1方向に伸びる。端部梁は、第1方向において一対の縦梁の端部の近くに配置され、上下方向および第1方向に交差する第2方向に伸びる。中間梁は、第1方向において端部梁より一対の縦梁の中央部に近い位置に配置され、第2方向に伸び、コンクリート製である。
【0007】
第1方向において、ラダーマクラギの中央部の近くが、レールの継目の位置に配置される。鉄道車両がレールの継目を走行するとき、ラダーマクラギの中央部の近くに衝撃荷重が作用する。中間梁は、第1方向において端部梁より一対の縦梁の中央部の近くに配置される。衝撃荷重は、コンクリート製の中間梁により分散されてバラストに伝達される。これにより、バラストに伝達される力が緩和される。
【0008】
ラダーマクラギは、複数の取付部を有する。複数の取付部は、第1方向に並んで一対の縦梁に形成され、レールの締結装置の取付けに使用される。複数の取付部は、第1方向において一対の縦梁の中央部の隣に位置する第1取付部を含む。中間梁は、第1方向において第1取付部の位置に配置されてもよい。
【0009】
第1方向において、ラダーマクラギの第1取付部の位置が、レールの継目の位置に配置される。鉄道車両がレールの継目を走行するとき、ラダーマクラギの第1取付部に衝撃荷重が作用する。中間梁は、第1方向において第1取付部の位置に配置される。衝撃荷重は、中間梁により十分に分散されてバラストに伝達される。これにより、バラストに伝達される力が十分に緩和される。
【0010】
ラダーマクラギは、複数の取付部を有する。複数の取付部は、第1方向に並んで一対の縦梁に形成され、レールの締結装置の取付けに使用される。複数の取付部は、第1方向において一対の縦梁の中央部の両隣に位置する一対の第2取付部を含む。中間梁は、第1方向において一対の第2取付部の位置に配置されてもよい。
【0011】
第1方向において、ラダーマクラギの一対の第2取付部の中央部が、レールの継目の位置に配置される。鉄道車両がレールの継目を走行するとき、ラダーマクラギの一対の第2取付部に衝撃荷重が作用する。中間梁は、第1方向において、一対の第2取付部の位置に配置される。衝撃荷重は、中間梁により十分に分散されてバラストに伝達される。これにより、バラストに伝達される力が十分に緩和される。
【0012】
中間梁は、一対の縦梁の両方に固定される両端固定梁であってもよい。
これにより、衝撃荷重が十分に分散されてバラストに伝達される。したがって、バラストに伝達される力が十分に緩和される。
【0013】
中間梁は、一対の縦梁のうち一方のみに固定される片持ち梁であり、一対の縦梁の第2方向の内側および外側のうち一方のみに配置されてもよい。
中間梁が片持ち梁である場合には、中間梁を一般的な鉄筋コンクリート構造とすることができる。中間梁が両端固定梁である場合には、ひび割れ防止の観点からPC鋼棒に緊張力を導入する必要があるが、鉄筋コンクリート構造とすることにより、緊張作業が省略できる。これにより、ラダーマクラギの生産性が向上する。中間梁が一対の縦梁の内側のみに配置される場合には、ラダーマクラギが第2方向に拡大しない。中間梁が一対の縦梁の外側のみに配置される場合には、一対の縦梁の内側におけるバラストのつき固め作業が容易になる。
【0014】
中間梁は、一対の縦梁のうち一方のみに固定される片持ち梁であり、一対の縦梁の第2方向の内側および外側の両方に配置されてもよい。
これにより、中間梁とバラスト道床との接触面積が大きくなる。衝撃荷重が十分に分散されてバラストに伝達される。したがって、バラストに伝達される力が十分に緩和される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の中間梁は、第1方向において端部梁より一対の縦梁の中央部に近い位置に配置され、第2方向に伸び、コンクリート製である。これにより、バラストに伝達される力が十分に緩和される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1実施形態のラダーマクラギを使用したバラスト・ラダー軌道の斜視図。
【
図4】第2実施形態の第1変形例のラダーマクラギの平面図。
【
図5】第2実施形態の第2変形例のラダーマクラギの平面図。
【
図6】第3実施形態のラダーマクラギを使用したバラスト・ラダー軌道の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施形態のラダーマクラギを、図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態のラダーマクラギを使用したバラスト・ラダー軌道の斜視図である。バラスト・ラダー軌道1は、バラスト道床3の上に、ラダーマクラギ10を敷設した軌道である。ラダーマクラギ10は、レール5の直下に配置した、はしご状の縦マクラギである。レール5は、締結装置6によりラダーマクラギ10に固定される。
【0018】
本願において、直交座標系のZ方向、X方向およびY方向が以下のように定義される。Z方向は鉛直方向であり、+Z方向は上方向である。X方向(第1方向)は、レール5およびラダーマクラギ10が伸びる方向である。Y方向(第2方向)は、Z方向およびX方向に直交する方向である。X方向およびY方向は水平方向である。X方向およびY方向において、ラダーマクラギ10の中央部に近い側を内側と呼び、中央部から遠い側を外側と呼ぶ場合がある。
【0019】
図2は、第1実施形態のラダーマクラギの平面図である。ラダーマクラギ10は、一対の縦梁12と、継材14と、端部閉合梁(端部梁)18と、を有する。ラダーマクラギ10は、一対の縦梁12を複数の継材14で剛結合することにより、はしご状に形成される。
【0020】
縦梁12は、X方向に伸びる。縦梁12は、プレストレストコンクリート(PC)により形成される。PCは、PC鋼材によりプレストレスを与えられたコンクリートである。一対の縦梁12が、Y方向に間隔を置いて平行に配置される。一対の縦梁12の上面には、締結装置6(
図1参照)の取付けに使用される取付部16が形成される。例えば、取付部16は、ボルトが挿入される取付穴である。取付穴は、レール5(
図1参照)のY方向の両側に相当する位置に1個ずつ形成される。複数の取付部16が、X方向に沿って略等間隔に並んで配置される。X方向における締結装置6および取付部16の個数は、各図の例に限定されない。
【0021】
継材14は、鋼管や鋼棒等の鋼製部材等により形成される。例えば、継材14は、Y方向に伸びる直線状の異形棒鋼により形成される。継材14は、一対の縦梁12に跨って配置される。継材14のY方向の両端部は、一対の縦梁12の内部に埋め込まれる。複数の継材14が、X方向に間隔を置いて平行に配置される。継材14は、内部にモルタルを充填した鋼管により形成されてもよい。
【0022】
端部閉合梁18は、一対の縦梁12のX方向の端部の近くに配置される。端部閉合梁18は、Y方向に伸びる。端部閉合梁18は、一対の縦梁12の両方に固定される両端固定梁である。端部閉合梁18の基本構造は鉄筋コンクリート構造である。ただし、端部閉合梁18のひび割れを防止するため、補助的にアンボンドPC鋼材によりプレストレス(ポストテンション式)が与えられている。端部閉合梁18は、バラスト道床3との接触面積を拡大する。端部閉合梁18は、一対の縦梁12のX方向の端部がバラスト道床3に沈下するのを抑制する。
【0023】
ラダーマクラギ10は、中間梁20を有する。中間梁20は、X方向において、端部閉合梁18より、一対の縦梁12の中央部Cに近い位置に配置される。中間梁20は、Y方向に伸びる。中間梁20は、コンクリート製である。
【0024】
第1実施形態の中間梁20は、中間閉合梁21である。中間閉合梁21は、一対の縦梁12の両方に固定される両端固定梁である。中間閉合梁21のX方向の幅は、端部閉合梁18と同等である。これにより、中間閉合梁21は、一対の縦梁12の内側におけるバラストのつき固め作業を妨げない。
【0025】
中間閉合梁21の基本構造は鉄筋コンクリート構造であり、端部閉合梁18と同様である。中間閉合梁21のひび割れを防止するため、補助的にアンボンドPC鋼材によりプレストレス(ポストテンション式)が与えられている。中間閉合梁21に関する施工方法は以下の通りである。最初に、同部位の型枠を組み立てて鉄筋を配置する。次に、表面をアンボンド処理したPC鋼材を所定位置に配置する。次に、PC鋼材を一次緊張させて弛みをとる。次に、コンクリートを打設して硬化させ、縦梁12にプレストレスを付与する。次に、PC鋼材を二次緊張させ、中間閉合梁21にプレストレスを付与する。
【0026】
前述された複数の取付部16は、第1取付部16aを含む。第1取付部16aは、X方向において、一対の縦梁12の中央部Cの隣に位置する。中間閉合梁21は、X方向において第1取付部16aの位置に配置される。
【0027】
図1に示すように、レール5は継目Sを有する。レール5のY方向の側面には、継目Sを跨いで継目板7が装着される。X方向において、ラダーマクラギ10の中央部の近くが、継目Sの位置に配置される。
図2に示すように、X方向において、ラダーマクラギ10の第1取付部16aおよび中間閉合梁21が、継目Sの位置に配置される。
【0028】
第1取付部16aに取り付けられる締結装置6は、継目SのX方向の両側のレール5の端部を縦梁12に締結する。そのため、第1取付部16aは、継目Sに相当する位置のX方向の両側に取付穴を有する。これにより、第1取付部16aは、レール5のY方向の両側に相当する位置に2個ずつの取付穴を有する。
【0029】
中間閉合梁21は、X方向において継目Sと同じ位置で継目Sを支持する。継目Sは、いわゆる支え継ぎ法により支持される支え継目になる。第1実施形態のラダーマクラギ10は、支え継目に使用される。
【0030】
X方向において、ラダーマクラギ10の中央部Cの近くが、レール5の継目Sの位置に配置される。鉄道車両がレール5の継目Sを走行するとき、ラダーマクラギ10の中央部Cの近くに衝撃荷重が作用する。中間梁20である中間閉合梁21は、X方向において、端部閉合梁18より、一対の縦梁12の中央部Cの近くに配置される。衝撃荷重は、中間閉合梁21により分散されて、バラストに伝達される。これにより、バラストに伝達される力が緩和される。
【0031】
X方向において、ラダーマクラギ10の第1取付部16aの位置が、レール5の継目Sの位置に配置される。鉄道車両がレール5の継目Sを走行するとき、ラダーマクラギ10の第1取付部16aに衝撃荷重が作用する。中間閉合梁21は、X方向において第1取付部16aの位置に配置される。衝撃荷重は、中間閉合梁21により十分に分散されて、バラストに伝達される。これにより、バラストに伝達される力が十分に緩和される。その結果、バラストの摩耗やバラスト道床3の沈下などの劣化を抑制することができる。
【0032】
本願の発明者は、第1取付部16aに衝撃荷重が作用した場合の、ラダーマクラギ10の下面の圧力について、数値解析(シミュレーション)を行った。中間閉合梁21が無い場合に比べて、中間閉合梁21が有る場合には、ラダーマクラギ10の下面の圧力の最大値が10%程度低下した。中間閉合梁21によりバラストに伝達される力が十分に緩和されることが確認された。
【0033】
前述したように、第1実施形態の中間閉合梁21のX方向の幅は、端部閉合梁18と同等である。これに対して、中間閉合梁21のX方向の幅は、端部閉合梁18より大きくてもよい。これにより、中間閉合梁21とバラスト道床3との接触面積が大きくなり、バラストに伝達される力が十分に緩和される。
【0034】
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態のラダーマクラギの平面図である。第2実施形態のラダーマクラギ10は、中間梁20が中間突起22である点で、第1実施形態とは異なる。第1実施形態と同様である部分における第2実施形態の説明は省略される場合がある。
【0035】
第2実施形態の中間梁20は、中間突起22である。中間突起22は、一対の縦梁12の一方のみに固定される片持ち梁である。中間突起22は、一対の縦梁12のY方向の内側および外側のうち、内側のみに配置される。中間突起22は、一対の縦梁12のY方向の内側に突出する。一対の縦梁12のそれぞれから中間突起22が突出して、一対の中間突起22が形成される。
【0036】
中間突起22は、縦梁12からY方向に突出量22yだけ突出する。中間突起22は片持ち梁であるが、突出量22yが小さいため、ひび割れが発生しにくい。端部閉合梁18にはプレストレスが与えられるのに対して、中間突起22は一般的な鉄筋コンクリート(RC)構造である。PC鋼材の一次緊張および二次緊張の作業が、中間突起22の製造工程では不要である。したがって、ラダーマクラギ10の生産性が向上する。
【0037】
中間突起22のX方向の幅22xは、第1実施形態の中間閉合梁21のX方向の幅より大きい。突出量22yと幅22xとの積が、中間突起22とバラスト道床3との接触面積である。一対の中間突起22の接触面積の和は、第1実施形態の中間閉合梁21の接触面積と同等である。
【0038】
中間突起22は、X方向において第1取付部16aの位置に配置される。ラダーマクラギ10の第1取付部16aおよび中間突起22が、継目Sの位置に配置される。すなわち、第2実施形態のラダーマクラギ10は支え継目に使用される。鉄道車両がレール5の継目Sを走行するとき、ラダーマクラギ10の第1取付部16aに衝撃荷重が作用する。衝撃荷重は、中間突起22により十分に分散されて、バラストに伝達される。これにより、バラストに伝達される力が十分に緩和される。
【0039】
中間突起22は、一対の縦梁12のY方向の内側および外側のうち、内側のみに配置される。一対の縦梁12のY方向の外側に中間突起22が配置されないので、ラダーマクラギ10がY方向に拡大しない。
【0040】
図4は、第2実施形態の第1変形例のラダーマクラギの平面図である。第1変形例のラダーマクラギ10は、中間突起23が一対の縦梁12の外側のみに配置される点で、第2実施形態とは異なる。第2実施形態と同様である部分における第1変形例の説明は省略される場合がある。
【0041】
中間突起23は、一対の縦梁12のY方向の外側に突出する。中間突起23のY方向の突出量およびX方向の幅は、第2実施形態の中間突起22と同様である。中間突起23は、一般的な鉄筋コンクリート(RC)構造である。中間突起23は、X方向において第1取付部16aの位置に配置される。第1変形例のラダーマクラギ10は、支え継目に使用される。中間突起23により、衝撃荷重が十分に分散されて、バラストに伝達される。したがって、バラストに伝達される力が十分に緩和される。
【0042】
第1変形例の中間突起23は、一対の縦梁12のY方向の内側および外側のうち、外側のみに配置される。これにより、一対の縦梁12のY方向の内側におけるバラストのつき固め作業が容易になる。
【0043】
図5は、第2実施形態の第2変形例のラダーマクラギの平面図である。第2変形例のラダーマクラギ10は、中間突起22,23が一対の縦梁12の内側および外側の両方に配置される点で、第2実施形態とは異なる。第2実施形態またはその第1変形例と同様である部分における第2変形例の説明は省略される場合がある。
【0044】
中間突起22は、一対の縦梁12のY方向の内側に突出する。中間突起23は、一対の縦梁12のY方向の外側に突出する。中間突起22,23のY方向の突出量およびX方向の幅は、第2実施形態および第1変形例と同様である。中間突起22,23とバラスト道床3との接触面積の和は、第1実施形態の中間閉合梁21とバラスト道床3との接触面積より大きい。
【0045】
第2変形例の中間突起22,23は、一対の縦梁12のY方向の内側および外側の両方に配置される。これにより、中間突起22,23とバラスト道床3との接触面積が大きくなる。衝撃荷重が十分に分散されてバラストに伝達される。したがって、バラストに伝達される力が十分に緩和される。
【0046】
(第3実施形態)
図6は、第3実施形態のラダーマクラギを使用したバラスト・ラダー軌道の斜視図である。
図7は、第3実施形態のラダーマクラギの平面図である。第3実施形態のラダーマクラギ10は、掛け継目に使用される点で、第1実施形態とは異なる。第1実施形態と同様である部分における第3実施形態の説明は省略される場合がある。
【0047】
図7に示すように、中間梁20は、X方向において、端部閉合梁18より、一対の縦梁12の中央部Cに近い位置に配置される。中間梁20は、Y方向に伸びる。第3実施形態の中間梁20は、第1実施形態と同様の、コンクリート製の中間閉合梁21である。
【0048】
複数の取付部16は、一対の第2取付部16bを含む。一対の第2取付部16bは、X方向において、一対の縦梁12の中央部Cの両隣に位置する。中間閉合梁21は、X方向において一対の第2取付部16bの位置に配置される。一対の第2取付部16bのそれぞれの位置に中間閉合梁21が配置されて、一対の中間閉合梁21が形成される。
【0049】
図6に示すように、レール5は継目Sを有する。レール5のY方向の側面には、継目Sを跨いで継目板7が装着される。X方向において、ラダーマクラギ10の中央部が、継目Sの位置に配置される。
図7に示すように、X方向において、ラダーマクラギ10の一対の第2取付部16bおよび一対の中間閉合梁21の中央部Cが、継目Sの位置に配置される。
【0050】
第2取付部16bに取り付けられる締結装置6は、継目SからX方向に離れた位置でレール5をラダーマクラギ10に固定する。そのため、第2取付部16bは、他の取付部16と同様に、レール5のY方向の両側に相当する位置に1個ずつの取付穴を有する。
【0051】
中間閉合梁21は、X方向において継目Sの両隣の締結装置6の位置で継目Sを支持する。継目Sは、いわゆる掛け継ぎ法により支持される掛け継目になる。第3実施形態のラダーマクラギ10は、掛け継目に使用される。
【0052】
X方向において、ラダーマクラギ10の中央部が、レール5の継目Sの位置に配置される。鉄道車両がレール5の継目Sを走行するとき、ラダーマクラギ10の中央部Cに衝撃荷重が作用する。中間梁20である中間閉合梁21は、X方向において、端部閉合梁18より、一対の縦梁12の中央部Cの近くに配置される。衝撃荷重は、中間閉合梁21により分散されて、バラストに伝達される。これにより、バラストに伝達される力が緩和される。
【0053】
X方向において、ラダーマクラギ10の一対の第2取付部16bの中央部Cが、継目Sの位置に配置される。鉄道車両がレール5の継目Sを走行するとき、ラダーマクラギ10の一対の第2取付部16bに衝撃荷重が作用する。中間閉合梁21は、X方向において一対の第2取付部16bの位置に配置される。衝撃荷重は、中間閉合梁21により十分に分散されて、バラストに伝達される。これにより、バラストに伝達される力が十分に緩和される。その結果、バラストの摩耗や沈下などの劣化を抑制することができる。
【0054】
(第4実施形態)
図8は、第4実施形態のラダーマクラギの平面図である。第4実施形態のラダーマクラギ10は、中間梁20が中間突起22である点で、第3実施形態とは異なる。第3実施形態と同様である部分における第4実施形態の説明は省略される場合がある。
【0055】
第4実施形態の中間梁20は、第2実施形態と同様の中間突起22である。
中間突起22は、X方向において一対の第2取付部16bの位置に配置される。X方向において、ラダーマクラギ10の一対の第2取付部16bの中央部が、継目Sの位置に配置される。すなわち、第4実施形態のラダーマクラギ10は掛け継目に使用される。鉄道車両がレール5の継目Sを走行するとき、ラダーマクラギ10の一対の第2取付部16bに衝撃荷重が作用する。衝撃荷重は、中間突起22により十分に分散されて、バラストに伝達される。これにより、バラストに伝達される力が十分に緩和される。
【0056】
第4実施形態の中間突起22は、第2実施形態と同様に、一対の縦梁12のY方向の内側および外側のうち内側のみに配置される。中間突起22に代えて、第2実施形態の第1変形例と同様の中間突起23が採用されてもよい。中間突起23は、一対の縦梁12のY方向の内側および外側のうち外側のみに配置される。第2実施形態の第2変形例と同様に、中間突起22および中間突起23が同時に採用されてもよい。
【0057】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。
【0058】
実施形態の中間梁20は、X方向において第1取付部16aまたは一対の第2取付部16bの位置に配置される。これに対して、中間梁20は、隣り合う取付部16の間に配置されてもよい。この場合でも、中間梁20は、X方向において、端部閉合梁18より一対の縦梁12の中央部Cの近くに配置される。これにより、バラストに伝達される力が緩和される。
【0059】
実施形態の端部梁は、端部閉合梁18であり、一対の縦梁12の両方に固定される両端固定梁である。これに対して、端部梁は、中間突起22,23と同様の端部突起でもよい。端部突起は、一対の縦梁12のうち一方のみに固定される片持ち梁である。端部突起は、一般的な鉄筋コンクリート構造である。これにより、ラダーマクラギの生産性が向上する。
【符号の説明】
【0060】
C…中央部、S…継目、5…レール、6…締結装置、10…ラダーマクラギ、12…縦梁、16…取付部、16a…第1取付部、16b…第2取付部、18…端部閉合梁(端部梁)、20…中間梁、21…中間閉合梁(中間梁)、22…中間突起(中間梁)、23…中間突起(中間梁)。