IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 荒川化学工業株式会社の特許一覧

特開2023-102907ポリイミド、接着剤、硬化物、接着シート、樹脂付銅箔、銅張積層板、プリント配線板
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102907
(43)【公開日】2023-07-26
(54)【発明の名称】ポリイミド、接着剤、硬化物、接着シート、樹脂付銅箔、銅張積層板、プリント配線板
(51)【国際特許分類】
   C08G 73/10 20060101AFI20230719BHJP
   C09J 179/08 20060101ALI20230719BHJP
   C09J 7/35 20180101ALI20230719BHJP
   B32B 15/088 20060101ALI20230719BHJP
   B32B 15/20 20060101ALI20230719BHJP
   B32B 27/34 20060101ALI20230719BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
C08G73/10
C09J179/08
C09J7/35
B32B15/088
B32B15/20
B32B27/34
H05K1/03 610N
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003651
(22)【出願日】2022-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000168414
【氏名又は名称】荒川化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山口 貴史
(72)【発明者】
【氏名】中村 太陽
(72)【発明者】
【氏名】山下 眞花
(72)【発明者】
【氏名】▲杉▼本 啓輔
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 淳
(72)【発明者】
【氏名】田▲崎▼ 崇司
【テーマコード(参考)】
4F100
4J004
4J040
4J043
【Fターム(参考)】
4F100AB17B
4F100AB17C
4F100AB33B
4F100AB33C
4F100AK49A
4F100AR00D
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100BA10C
4F100BA10D
4F100CB02A
4F100DC22C
4F100GB43
4F100JA02A
4F100JA05
4F100JB01
4F100JB13A
4F100JG04D
4F100JG05
4F100JL11A
4F100YY00A
4J004AA16
4J004AB05
4J004BA02
4J004CA04
4J004CA05
4J004CA06
4J004CA08
4J004CB03
4J004CC02
4J004CE01
4J004DB02
4J004EA04
4J004EA05
4J004FA05
4J040EF282
4J040EH031
4J040HB44
4J040HC22
4J040HC26
4J040HD32
4J040JA09
4J040JB02
4J040KA14
4J040KA16
4J040KA23
4J040KA36
4J040KA42
4J040LA09
4J040MA02
4J040MA10
4J040MB03
4J040MB09
4J040MB14
4J040NA19
4J040PA30
4J040PA33
4J043PA04
4J043QB15
4J043QB31
4J043RA35
4J043SA06
4J043SA42
4J043SA43
4J043SA45
4J043SA46
4J043SA47
4J043SA49
4J043SA54
4J043SA71
4J043SB03
4J043TA14
4J043TA22
4J043UA041
4J043UA122
4J043UA131
4J043UA132
4J043UA151
4J043UA152
4J043UA171
4J043UA231
4J043UA232
4J043UA262
4J043UB011
4J043UB012
4J043UB021
4J043UB022
4J043UB062
4J043UB121
4J043UB122
4J043UB151
4J043UB152
4J043UB161
4J043UB301
4J043UB302
4J043UB401
4J043UB402
4J043VA012
4J043VA021
4J043VA022
4J043VA061
4J043VA062
4J043VA092
4J043VA102
4J043XA19
4J043XB27
4J043YA06
4J043ZA35
4J043ZA42
4J043ZB01
4J043ZB50
(57)【要約】
【課題】ポリイミド、接着剤、硬化物、接着シート、樹脂付銅箔、銅張積層板、プリント配線板を提供すること。
【解決手段】本開示は、ポリイミドであって、前記ポリイミドは、芳香族テトラカルボン酸無水物並びにダイマージアミン及び芳香族ジアミンを含むジアミンを含むモノマー群の反応物であり、線膨張係数が2500ppm/K以下である、ポリイミドを提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイミドであって、
前記ポリイミドは、芳香族テトラカルボン酸無水物並びに
ダイマージアミン及び芳香族ジアミンを含むジアミン
を含むモノマー群の反応物であり、
線膨張係数が2500ppm/K以下である、ポリイミド。
【請求項2】
請求項1に記載のポリイミドを含む、接着剤。
【請求項3】
請求項2に記載の接着剤の硬化物。
【請求項4】
支持フィルムの少なくとも片面に、請求項3に記載の硬化物を有する接着シート。
【請求項5】
請求項3に記載の硬化物及び銅箔を含む、樹脂付銅箔。
【請求項6】
請求項5に記載の樹脂付銅箔及び
銅箔又は絶縁性シートを含む、銅張積層板。
【請求項7】
請求項6に記載の銅張積層板の銅箔面に回路パターンを有する、プリント配線板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポリイミド、接着剤、硬化物、接着シート、樹脂付銅箔、銅張積層板、プリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話及びスマートフォン等のモバイル型通信機器やその基地局装置、サーバー・ルーター等のネットワーク関連電子機器、大型コンピュータ等に含まれるプリント配線板等を製造するために各種公知の接着剤が使用されている。
【0003】
本出願人は「芳香族テトラカルボン酸類及び特定のダイマージアミンを30モル%以上含むジアミン類を反応させてなるポリイミド樹脂、熱硬化性樹脂、難燃剤、並びに有機溶媒を含むポリイミド系接着剤組成物」を提案している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5534378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、硬化物の誘電正接が低く、架橋剤との相溶性が良好なポリイミドを提供することとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、特定の成分を用いることにより、上記課題が解決されることを見出した。
【0007】
本開示により以下の項目が提供される。
(項目1)
ポリイミドであって、
前記ポリイミドは、芳香族テトラカルボン酸無水物並びに
ダイマージアミン及び芳香族ジアミンを含むジアミン
を含むモノマー群の反応物であり、
線膨張係数が2500ppm/K以下である、ポリイミド。
(項目2)
上記項目に記載のポリイミドを含む、接着剤。
(項目3)
上記項目に記載の接着剤の硬化物。
(項目4)
支持フィルムの少なくとも片面に、上記項目に記載の硬化物を有する接着シート。
(項目5)
上記項目に記載の硬化物及び銅箔を含む、樹脂付銅箔。
(項目6)
上記項目に記載の樹脂付銅箔及び
銅箔又は絶縁性シートを含む、銅張積層板。
(項目7)
上記項目に記載の銅張積層板の銅箔面に回路パターンを有する、プリント配線板。
【0008】
本開示において、上述した1又は複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供され得る。
【発明の効果】
【0009】
本開示のポリイミドは、硬化物の誘電正接が低く、架橋剤との相溶性が良好である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の全体にわたり、各物性値、含有量等の数値の範囲は、適宜(例えば下記の各項目に記載の上限及び下限の値から選択して)設定され得る。具体的には、数値αについて、数値αの上限及び下限としてA3、A2、A1(A3>A2>A1とする)等が挙げられる場合、数値αの範囲は、例えば、A3以下、A2以下、A3未満、A2未満、A1以上、A2以上、A1より大きい、A2より大きい、A1~A2(A1以上A2以下)、A1~A3、A2~A3、A1以上A3未満、A1以上A2未満、A2以上A3未満、A1より大きくA3未満、A1より大きくA2未満、A2より大きくA3未満、A1より大きくA3以下、A1より大きくA2以下、A2より大きくA3以下等が挙げられる。
【0011】
本開示において、各成分、条件、数値等は、明細書で具体的に記載されたものに限定されるわけではない。本発明が解決しようとする課題が解決される限りにおいて、各成分、条件、数値等は、特に限定されない。
【0012】
本開示において「不揮発分」は、有機溶媒及び水以外の成分の合計質量である。1つの実施形態において、対象物Aの不揮発分は、対象物A 1gを180℃で加熱して恒量に達した時点で残存した成分の合計質量とする。
【0013】
[ポリイミド]
本開示は、ポリイミドであって、
前記ポリイミドは、芳香族テトラカルボン酸無水物並びに
ダイマージアミン及び芳香族ジアミンを含むジアミン
を含むモノマー群の反応物であり、
線膨張係数が2500ppm/K以下である、ポリイミドを提供する。
【0014】
<芳香族テトラカルボン酸無水物>
芳香族テトラカルボン酸無水物は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0015】
芳香族テトラカルボン酸無水物は、例えば、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、1,2,3,4-ベンゼンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸無水物、4,4’-[プロパン-2,2-ジイルビス(1,4-フェニレンオキシ)]ジフタル酸二無水物、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4‐ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシフェニル)スルホン二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸無水物、2,3,6,7-アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,8-ジメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロナフタレン-1,2,5,6-テトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2-ビス(3,3’,4,4’-テトラカルボキシフェニル)テトラフルオロプロパン二無水物等が挙げられる。
【0016】
1つの実施形態において、芳香族テトラカルボン酸無水物は、好ましくは、式(1)で表される化合物、より好ましくは、ビフェニル構造を有する化合物が挙げられ、さらに好ましくは、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物が挙げられる。
【0017】
<式(1)>
【化1】
(式(1)中、Xは単結合、-SO-、-CO-、-O-、-O-C-C(CH-C-O-、-C(CH-、-O-C-SO-C-O-、-C(CHF2-、-C(CF-、-COO-(CH-OCO-又は-COO-HC-HC(-O-C(=O)-CH)-CH-OCO-を表し、pは1~20の整数を表す。)
【0018】
モノマー群100モル%に対する芳香族テトラカルボン酸無水物の含有量の上限及び下限は、例えば、75モル%、70モル%、65モル%、60モル%、55モル%、50モル%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、50モル%~75モル%が挙げられる。
【0019】
モノマー群100質量%に対する芳香族テトラカルボン酸無水物の含有量の上限及び下限は、例えば、75質量%、70質量%、65質量%、60質量%、55質量%、50質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、50質量%~75質量%が挙げられる。
【0020】
<ジアミン>
ジアミンは、単独又は2種以上で使用され得る。
【0021】
ジアミンは、例えば、ダイマージアミン、芳香族ジアミン、ジアミノポリシロキサン等が挙げられる。
【0022】
(ダイマージアミン)
本開示においてダイマージアミンとは、オレイン酸等の不飽和脂肪酸の二量体であるダイマー酸の全てのカルボキシル基を一級アミノ基に置換したものである(特開平9-12712号公報等参照)。以下、ダイマージアミンの非限定的な一般式を示す(各式において、m+nは、好ましくは、6~17が挙げられ、p+qは、好ましくは、8~19が挙げられ、破線部は炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合を意味する)。
【化2】
【0023】
ダイマージアミンの市販品は、例えば、バーサミン551(コグニクスジャパン(株)製)、バーサミン552(コグニクスジャパン(株)製;バーサミン551の水添物)、PRIAMINE1075、PRIAMINE1074(いずれもクローダジャパン(株)製)等が挙げられる。
【0024】
ジアミン100モル%に対するダイマージアミン成分の含有量の上限及び下限は、例えば、60モル%、55モル%、50モル%、45モル%、40モル%、35モル%、30モル%、25モル%、20モル%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、20モル%~60モル%が挙げられる。
【0025】
ジアミン100質量%に対するダイマージアミン成分の含有量の上限及び下限は、例えば、60質量%、55質量%、50質量%、45質量%、40質量%、35質量%、30質量%、25質量%、20質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、20質量%~60質量%が挙げられる。
【0026】
モノマー群100モル%に対するダイマージアミンの含有量の上限及び下限は、例えば、30モル%、25モル%、20モル%、15モル%、10モル%、5モル%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、5モル%~30モル%が挙げられる。
【0027】
モノマー群100質量%に対するダイマージアミンの含有量の上限及び下限は、例えば、30質量%、25質量%、20質量%、15質量%、10質量%、5質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、5質量%~30質量%が挙げられる。
【0028】
(芳香族ジアミン)
本開示において、「芳香族ジアミン」は、芳香族基にアミノ基(-NH)が直接結合された基を2個有する化合物を意味する。
【0029】
芳香族ジアミンは、例えば、4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェニル-1,1’-ジイルジオキシ)ジアニリン、9,9’-ビス(アミノフェニル)フルオレン、9,9’-ビス(4-アミノ-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9’-ビス(4-アミノ-3-フルオロフェニル)フルオレン、9,9’-ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9’-ビス(4-メチル-3-アミノフェニル)フルオレン、9,9’-ビス(4-フルオロ-3-アミノフェニル)フルオレン、9,9’-ビス(4-ヒドロキシ-3-アミノフェニル)フルオレン、9,9’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン等が挙げられる。
【0030】
1つの実施形態において、芳香族ジアミンは、好ましくは、式(2)で表される化合物、より好ましくは、フルオレン骨格含有ジアミンが挙げられる。
<式(2)>
【化3】
(式中、Yは単結合、-SO-、-CO-、-O-、-O-C-O-、-O-C-C(CH-C-O-、-COO-(CH-OCO-、-COO-HC-HC(-O-C(=O)-CH)-CH-OCO-又は
【化4】
を表し、qは1~20の整数を表す。)
により表わされる。
【0031】
ジアミン100モル%中の芳香族ジアミンの含有量の上限及び下限は、例えば、80モル%、75モル%、70モル%、65モル%、60モル%、55モル%、50モル%、45モル%、40モル%、35モル%、30モル%、25モル%、20モル%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、20モル%~80モル%、より好ましくは、30モル%~70モル%が挙げられる。
【0032】
ジアミン100質量%中の芳香族ジアミンの含有量の上限及び下限は、例えば、72質量%、70質量%、65質量%、60質量%、55質量%、50質量%、45質量%、40質量%、35質量%、30質量%、25質量%、20質量%、15質量%、14質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、14質量%~72質量%、より好ましくは、22質量%~60質量%が挙げられる。
【0033】
モノマー群100モル%中の芳香族ジアミンの含有量の上限及び下限は、例えば、40モル%、35モル%、30モル%、25モル%、20モル%、15モル%、10モル%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、10モル%~40モル%、より好ましくは、15モル%~35モル%が挙げられる。
【0034】
モノマー群100質量%中の芳香族ジアミンの含有量の上限及び下限は、例えば、42質量%、40質量%、36質量%、35質量%、30質量%、25質量%、20質量%、15質量%、10質量%、9質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、9質量%~42質量%、より好ましくは、14質量%~36質量%が挙げられる。
【0035】
(ジアミノポリシロキサン)
ジアミノポリシロキサンは、例えば、α,ω-ビス(2-アミノエチル)ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス(3-アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス(4-アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス(5-アミノペンチル)ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(2-アミノフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(4-アミノフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサン、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(4-アミノブチル)テトラメチルジシロキサン等が挙げられる。
【0036】
ジアミン100モル%に対するジアミノポリシロキサンの含有量の上限及び下限は、例えば、5、4、3、2、1、0モル%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0~5モル%が挙げられる。
【0037】
ジアミン100質量%に対するジアミノポリシロキサンの含有量の上限及び下限は、例えば、5質量%、4質量%、3質量%、2質量%、1質量%、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0質量%~5質量%が挙げられる。
【0038】
モノマー群100モル%に対するジアミノポリシロキサンの含有量の上限及び下限は、例えば、5モル%、4モル%、3モル%、2モル%、1モル%、0モル%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0モル%~5モル%が挙げられる。
【0039】
モノマー群100質量%に対するジアミノポリシロキサンの含有量の上限及び下限は、例えば、5質量%、4質量%、3質量%、2質量%、1質量%、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0質量%~5質量%が挙げられる。
【0040】
芳香族テトラカルボン酸無水物とジアミンとのモル比〔芳香族テトラカルボン酸無水物/ジアミン〕の上限及び下限は、例えば、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0等が挙げられる。1つの実施形態において、上記モル比は、溶媒可溶性、溶液安定性の観点より、好ましくは、1.0~1.5が挙げられる。
【0041】
芳香族テトラカルボン酸無水物とジアミンとの質量比〔芳香族テトラカルボン酸無水物/ジアミン〕の上限及び下限は、例えば、1.5、1.4、1.2、1.0、0.9、0.7、0.6、0.5等が挙げられる。1つの実施形態において、上記質量比は、好ましくは、0.5~1.5が挙げられる。
【0042】
<その他のモノマー>
1つの実施形態において、モノマー群は、上述のもの以外のモノマー(その他のモノマーともいう)を含み得る。その他のモノマーは、例えば、脂肪族テトラカルボン酸無水物等が挙げられる。
【0043】
1つの実施形態において、モノマー群中のその他のモノマーの含有量は、例えば、5モル%未満、4モル%未満、1モル%未満、0.9モル%未満、0.5モル%未満、0.1モル%未満、0モル%等が挙げられる。
【0044】
1つの実施形態において、モノマー群中のその他のモノマーの含有量は、例えば、5質量%未満、4質量%未満、1質量%未満、0.9質量%未満、0.5質量%未満、0.1質量%未満、0質量%等が挙げられる。
【0045】
<ポリイミドの物性等>
上記ポリイミドの線膨張係数の上限及び下限は、例えば、2500ppm/K、2400ppm/K、2300ppm/K、2200ppm/K、2100ppm/K、2000ppm/K、1900ppm/K、1800ppm/K、1700ppm/K、1600ppm/K、1500ppm/K、1000ppm/K、900ppm/K、800ppm/K、700ppm/K、600ppm/K、500ppm/K、400ppm/K、300ppm/K、200ppm/K、100ppm/K等が挙げられる。1つの実施形態において、上記線膨張係数は、好ましくは、2500ppm/K以下、より好ましくは、100ppm/K~2500ppm/Kが挙げられる。
【0046】
上記ポリイミドのガラス転移温度の上限及び下限は、例えば、230℃、220℃、210℃、200℃、190℃、180℃、170℃、160℃、150℃、140℃、130℃等が挙げられる。1つの実施形態において、上記ガラス転移温度は、好ましくは、130℃~230℃が挙げられる。
【0047】
線膨張係数・ガラス転移温度の測定条件は、例えば、下記の条件等が挙げられる。
熱機械分析装置:製品名「TMA7100」、(株)島津製作所製)
荷重:12mN
試料幅:4mm
チャック間距離:10mm
40℃から200℃まで10℃/minで昇温
ガラス転移温度は傾きが変わる前後の接線の交点温度を採用する。
評価試料の製造方法は、例えば、下記の手法等が挙げられる。
(1)ポリイミドを、剥離紙((株)サンエー化研製)に塗工し、150℃×5分後に、170℃×30分の条件で乾燥させて、ポリイミド層を形成した積層フィルムを得る。
(2)当該積層フィルムから剥離紙を剥離して得た膜厚15μmのポリイミドフィルムを3枚積層し、170℃の熱プレスによって溶融させて膜厚45μmのポリイミドフィルム(評価試料)を得る。
【0048】
上記ポリイミドの重量平均分子量の上限及び下限は、例えば、50000、45000、40000、35000、30000、25000、20000、15000、10000、7500、5500、5000等が挙げられる。1つの実施形態において、上記重量平均分子量は、誘電特性、溶媒可溶性、柔軟性の観点から、好ましくは、5000~50000が挙げられる。
【0049】
上記ポリイミドの数平均分子量の上限及び下限は、例えば、40000、30000、20000、10000、7500、5000、3000、2000等が挙げられる。1つの実施形態において、上記ポリイミドの数平均分子量は誘電特性、溶媒可溶性、柔軟性の観点から、好ましくは、2000~40000が挙げられる。
【0050】
重量平均分子量及び数平均分子量の測定条件は、例えば、下記の条件等が挙げられる。
機種:製品名「HLC-8320GPC」(東ソー(株)製)
カラム:製品名「TSKgel SuperHZM-M」(東ソー(株)製)
展開溶媒:THF
流量:0.35mL/分
測定温度:40℃
検出器:RI
標準:ポリスチレン
ポリマー濃度:0.4wt%
【0051】
<ポリイミドの製造方法等>
上記ポリイミドは、各種公知の方法により製造できる。ポリイミドの製造方法は、芳香族テトラカルボン酸無水物、並びにダイマージアミン等を含むジアミンを含むモノマー群を重付加反応させて、重付加物を得る工程(重付加工程)を行い、イミド化反応(脱水閉環反応)を行い、ポリイミドを得る工程(イミド化工程)を含む方法等が挙げられる。
【0052】
1つの実施形態において、重付加工程の反応温度は、好ましくは、60~120℃程度、より好ましくは、80~100℃程度が挙げられる。
【0053】
1つの実施形態において、重付加工程の反応時間は、好ましくは0.1~2時間程度、より好ましくは、0.1~0.5時間程度が挙げられる。
【0054】
1つの実施形態において、イミド化工程の反応温度は、好ましくは、80~250℃程度、より好ましくは、100~200℃程度が挙げられる。
【0055】
1つの実施形態において、イミド化工程の反応時間は、好ましくは、0.5~50時間程度、より好ましくは、1~20時間程度が挙げられる。
【0056】
なお、イミド化反応させる工程では、各種公知の反応触媒、脱水剤、及び後述する有機溶媒が使用され得る。各種公知の反応触媒、脱水剤、及び後述する有機溶媒は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0057】
反応触媒は、例えば、トリエチルアミン等の脂肪族第3級アミン、ジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン、ピリジン、ピコリン、イソキノリン等の複素環式第3級アミン等が挙げられる。
【0058】
脱水剤は、例えば、無水酢酸等の脂肪族酸無水物や無水安息香酸等の芳香族酸無水物等が挙げられる。
【0059】
上記ポリイミドのイミド閉環率は特に限定されない。ここに「イミド閉環率」とは、ポリイミドにおける環状イミド結合の含有量を意味し、NMRやIR分析等の各種分光手段により決定できる。常温密着性及び耐熱密着性が良好となる観点から、上記ポリイミドのイミド閉環率は、好ましくは、70%以上程度、より好ましくは、85~100%程度が挙げられる。
【0060】
[接着剤]
本開示は、上記ポリイミドを含む、接着剤を提供する。
【0061】
上記接着剤100質量%に対する上記ポリイミドの含有量の上限及び下限は、例えば、90質量%、85質量%、80質量%、75質量%、70質量%、65質量%、60質量%、55質量%、50質量%、45質量%、40質量%、35質量%、30質量%、25質量%、20質量%、15質量%、10質量%、5質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、5質量%~90質量%程度が挙げられる。
【0062】
<架橋剤>
1つの実施形態において、上記接着剤は、架橋剤を含む。架橋剤は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0063】
架橋剤は、例えば、エポキシド、ベンゾオキサジン、ビスマレイミド、シアネートエステル、ポリイソシアネート、トリマートリアミン等が挙げられる。
【0064】
(エポキシド)
エポキシドは、例えば、フェノールノボラック型エポキシド、クレゾールノボラック型エポキシド、ビスフェノールA型エポキシド、ビスフェノールF型エポキシド、ビスフェノールS型エポキシド、水添ビスフェノールA型エポキシド、水添ビスフェノールF型エポキシド、スチルベン型エポキシド、トリアジン骨格含有エポキシド、フルオレン骨格含有エポキシド、線状脂肪族エポキシド、脂環式エポキシド、グリシジルアミン型エポキシド、トリフェノールメタン型エポキシド、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシド、ビフェニル型エポキシド、ジシクロペンタジエン骨格含有エポキシド、ナフタレン骨格含有エポキシド、アリールアルキレン型エポキシド、テトラグリシジルキシリレンジアミン、上記エポキシドのダイマー酸変性物であるダイマー酸変性エポキシド、ダイマー酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。1つの実施形態において、耐熱接着性、吸湿はんだ耐熱性及び低誘電特性のバランスの観点より、エポキシドは、好ましくは、ビスフェノールA型エポキシド、ビスフェノールF型エポキシド、水添ビスフェノールA型エポキシド及び脂環式エポキシドが挙げられる。
【0065】
エポキシドの市販品は、例えば、三菱化学(株)製の「jER828」や「jER834」、「jER807」、新日鐵化学(株)製の「ST-3000」、ダイセル化学工業(株)製の「セロキサイド2021P」、新日鐵化学(株)製の「YD-172-X75」、三菱ガス化学(株)製の「TETRAD-X」等が挙げられる。
【0066】
特に下記構造のテトラグリシジルジアミンは、上記ポリイミドとの相溶性が良好である。また、これを用いると接着層の低損失弾性率化が容易となり、その耐熱接着性及び低誘電特性も良好となる。
【化5】
(式中、Yはフェニレン基又はシクロヘキシレン基を表す。)
【0067】
架橋剤としてエポキシドを用いる場合、エポキシド用硬化剤、活性エステル系硬化剤を併用できる。前記硬化剤は、単独でも2種以上を組み合わせても良い。
【0068】
エポキシド用硬化剤は、例えば、無水コハク酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3-メチル-ヘキサヒドロ無水フタル酸、4-メチル-ヘキサヒドロ無水フタル酸、或いは4-メチル-ヘキサヒドロ無水フタル酸とヘキサヒドロ無水フタル酸との混合物、テトラヒドロ無水フタル酸、メチル-テトラヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、ノルボルナン-2,3-ジカルボン酸無水物、メチルノルボルナン-2,3-ジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、3-ドデセニル無水コハク酸、オクテニルコハク酸無水物等の酸無水物系硬化剤;ジシアンジアミド(DICY)、芳香族ジアミン(商品名「LonzacureM-DEA」、「LonzacureM-DETDA」等。いずれもロンザジャパン(株)製)、脂肪族アミン等のアミン系硬化剤;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂、トリアジン変性フェノールノボラック樹脂、フェノール性水酸基含有ホスファゼン(大塚化学(株)製の商品名「SPH-100」等)等のフェノール系硬化剤、環状ホスファゼン系化合物、マレイン酸変性ロジンやその水素化物等のロジン系架橋剤等が挙げられる。エポキシド用硬化剤は、好ましくは、フェノール系硬化剤、より好ましくは、フェノール性水酸基含有ホスファゼン系硬化剤が挙げられる。
【0069】
活性エステル系硬化剤は、例えば、特開2019-183071に記載のジシクロペンタジエニルジフェノール構造を含むもの、ナフタレン構造を含むもの、フェノールノボラックのアセチル化物、フェノールノボラックのベンゾイル化物等が挙げられる。
【0070】
活性エステル系硬化剤の市販品は、例えば、
ジシクロペンタジエニルジフェノール構造を含むものとして、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「HPC-8000」、「HPC-8000H」、「HPC-8000-65T」、「HPC-8000H-65MT」、「HPC-8000L-65MT」、「HPC-8150-62T」、「EXB-8000L」、「EXB-8000L-65TM」、「EXB-8150-65T」(以上、DIC(株)製);
ナフタレン構造を含むものとして、「EXB9416-70BK」(DIC(株)製);
フェノールノボラックのアセチル化物として、「DC808」(三菱ケミカル(株)製);
フェノールノボラックのベンゾイル化物として、「YLH1026」、「YLH1030」、「YLH1048」(三菱ケミカル(株)製)等が挙げられる。
【0071】
活性エステル系硬化剤は、例えば、特許第5152445号公報に記載される多官能フェノール化合物と芳香族カルボン酸類とを反応させたもの等が挙げられる。
【0072】
前記硬化剤の中でも活性エステル系硬化剤、フェノール系硬化剤、特に活性エステル系硬化剤が好ましい。1つの実施形態において、上記接着剤の不揮発分を100質量%とした場合、硬化剤の使用量は、好ましくは、0.1質量%~120質量%程度、より好ましくは、10質量%~40質量%程度が挙げられる。
【0073】
架橋剤としてエポキシド及びエポキシド用硬化剤を併用する場合、反応触媒をさらに併用できる。反応触媒は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0074】
反応触媒は、例えば、1,8-ジアザ-ビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン;2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール等のイミダゾ-ル類;トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等の有機ホスフィン;テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、2-エチル-4-メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N-メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩等が挙げられる。
【0075】
1つの実施形態において、反応触媒の使用量は、好ましくは、上記接着剤の不揮発分を100質量%とした場合において0.01質量%~5質量%程度が挙げられる。
【0076】
(ベンゾオキサジン)
ベンゾオキサジンは、例えば、6,6-(1-メチルエチリデン)ビス(3,4-ジヒドロ-3-フェニル-2H-1,3-ベンゾオキサジン)、6,6-(1-メチルエチリデン)ビス(3,4-ジヒドロ-3-メチル-2H-1,3-ベンゾオキサジン)等が挙げられる。なお、オキサジン環の窒素にはフェニル基、メチル基、シクロヘキシル基等が結合していてもよい。
【0077】
ベンゾオキサジンの市販品は、例えば、四国化成工業(株)社製の「ベンゾオキサジンF-a型」や「ベンゾオキサジンP-d型」、エア・ウォ-タ-社製の「RLV-100」等が挙げられる。
【0078】
(ビスマレイミド)
ビスマレイミドは、例えば、4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、m-フェニレンビスマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド、3,3’-ジメチル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、4-メチル-1,3-フェニレンビスマレイミド、1,6’-ビスマレイミド-(2,2,4-トリメチル)ヘキサン、4,4’-ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4’-ジフェニルスルフォンビスマレイミド等が挙げられる。
【0079】
ビスマレイミドの市販品は、例えば、JFEケミカル(株)社製の「BAF-BMI」等が挙げられる。
【0080】
(シアネートエステル)
シアネートエステルは、例えば、2-アリルフェノールシアネートエステル、4-メトキシフェノールシアネートエステル、2,2-ビス(4-シアナトフェノール)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、ビスフェノールAシアネートエステル、ジアリルビスフェノールAシアネートエステル、4-フェニルフェノールシアネートエステル、1,1,1-トリス(4-シアナトフェニル)エタン、4-クミルフェノールシアネートエステル、1,1-ビス(4-シアナトフェニル)エタン、4,4’-ビスフェノールシアネートエステル、及び2,2‐ビス(4‐シアナトフェニル)プロパン等が挙げられる。
【0081】
シアネートエステルの市販品は、例えば、「PRIMASET BTP-6020S(ロンザジャパン(株)製)」等が挙げられる。
【0082】
(ポリイソシアネート)
本開示において、「ポリイソシアネート」とは、2個以上のイソシアネート基(-N=C=O)を有する化合物である。
【0083】
ポリイソシアネートは、例えば、直鎖脂肪族ポリイソシアネート、分岐脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート並びにこれらのビウレット体、イソシアヌレート体、アロファネート体、アダクト体等が挙げられる。ポリイソシアネートは単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0084】
直鎖脂肪族基は、例えば、直鎖アルキレン基等が挙げられる。直鎖アルキレン基は一般式:-(CH-(nは1以上の整数)で表される。
【0085】
直鎖アルキレン基は、例えば、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-ヘキシレン基、n-ヘプチレン基、n-オクチレン基、n-ノニレン基、n-デカメチレン基等が挙げられる。
【0086】
直鎖脂肪族ポリイソシアネートは、例えば、メチレンジイソシアネート、ジメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0087】
分岐脂肪族基は、例えば、分岐アルキレン基等が挙げられる。
【0088】
分岐アルキレン基は、直鎖アルキレン基の少なくとも1つの水素原子がアルキル基によって置換された基であって、環状構造を有さない基である。
【0089】
分岐アルキレン基は、例えば、ジエチルペンチレン基、トリメチルブチレン基、トリメチルペンチレン基、トリメチルヘキシレン基(トリメチルヘキサメチレン基)等が挙げられる。
【0090】
分岐脂肪族ポリイソシアネートは、例えば、ジエチルペンチレンジイソシアネート、トリメチルブチレンジイソシアネート、トリメチルペンチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0091】
脂環族基は、例えば、シクロアルキレン基等が挙げられる。
【0092】
シクロアルキレン基は、例えば、単環シクロアルキレン基、架橋環シクロアルキレン基、縮合環シクロアルキレン基等が挙げられる。
【0093】
シクロアルキレン基は、1個以上の水素原子が直鎖又は分岐アルキル基によって置換されていてもよい。
【0094】
本開示において、単環とは、炭素の共有結合により形成された内部に橋かけ構造を有しない環状構造を意味する。また、縮合環とは、2つ以上の単環が2個の原子を共有している(すなわち、それぞれの環の辺を互いに1つだけ共有(縮合)している)環状構造を意味する。架橋環とは、2つ以上の単環が3個以上の原子を共有している環状構造を意味する。
【0095】
単環シクロアルキレン基は、例えば、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロデシレン基、3,5,5-トリメチルシクロヘキシレン基等が挙げられる。
【0096】
架橋環シクロアルキレン基は、例えば、トリシクロデシレン基、アダマンチレン基、ノルボルニレン基等が挙げられる。
【0097】
縮合環シクロアルキレン基は、例えば、ビシクロデシレン基等が挙げられる。
【0098】
脂環族ポリイソシアネートは、例えば、単環脂環族ポリイソシアネート、架橋環脂環族ポリイソシアネート、縮合環脂環族ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0099】
単環脂環族ポリイソシアネートは、例えば、水添キシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、シクロヘプチレンジイソシアネート、シクロデシレンジイソシアネート、3,5,5-トリメチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
【0100】
架橋環脂環族ポリイソシアネートは、例えば、トリシクロデシレンジイソシアネート、アダマンタンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等が挙げられる。
【0101】
縮合環脂環族ポリイソシアネートは、例えば、ビシクロデシレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0102】
芳香族基は、例えば、単環芳香族基、縮合環芳香族基等が挙げられる。また芳香族基は、1個以上の水素原子が直鎖又は分岐アルキル基によって置換されていてもよい。
【0103】
単環芳香族基は、例えば、フェニル基(フェニレン基)、トリル基(トリレン基)、メシチル基(メシチレン基)等が挙げられる。
【0104】
縮合環芳香族基は、例えば、ナフチル基(ナフチレン基)等が挙げられる。
【0105】
芳香族ポリイソシアネートは、例えば、単環芳香族ポリイソシアネート、縮合環芳香族ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0106】
単環芳香族ポリイソシアネートは、例えば、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート等のジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルテトラメチルメタンジイソシアネート等のテトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジベンジルイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0107】
縮合環芳香族ポリイソシアネートは、例えば、1,5-ナフチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0108】
ポリイソシアネートのビウレット体は、例えば、
下記構造式:
【化6】
[式中、nは、1以上の整数であり、RbA~RbEはそれぞれ独立に、アルキレン基、アリーレン基、又はアルキレン基とアリーレン基が組み合わさってなる基であり、Rbα~Rbβはそれぞれ独立に、イソシアネート基又は
【化7】
(nb1は、0以上の整数であり、Rb1~Rb5はそれぞれ独立に、アルキレン基、アリーレン基、又はアルキレン基とアリーレン基が組み合わさってなる基であり、R’~R'' はそれぞれ独立に、イソシアネート基又はRbα~Rbβ自身の基である。Rb4~Rb5、R''は、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。)である。RbD~RbE、Rbβは、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。]で表される化合物等が挙げられる。
【0109】
アルキレン基とアリーレン基が組み合わさってなる基は、例えば、アルキレンアリーレンアルキレン基等が挙げられる。
【0110】
アルキレンアリーレンアルキレン基は、
-Ralkylene-Rarylene-Ralkylene
(式中、Ralkyleneは、アルキレン基を表し、Raryleneは、アリーレン基を表す)
で表わされる基である。
【0111】
ポリイソシアネートのビウレット体は、例えば、デュラネート24A-100、デュラネート22A-75P、デュラネート21S-75E(以上旭化成(株)製)、デスモジュールN3200A(ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体)(以上住友バイエルウレタン(株)製)等が挙げられる。
【0112】
ポリイソシアネートのイソシアヌレート体は、例えば、
下記構造式:
【化8】
[式中、nは、0以上の整数であり、RiA~RiEはそれぞれ独立に、アルキレン基、アリーレン基、又はアルキレン基とアリーレン基が組み合わさってなる基であり、Riα~Riβはそれぞれ独立に、イソシアネート基又は
【化9】
(ni1は、0以上の整数であり、Ri1~Ri5はそれぞれ独立に、アルキレン基、アリーレン基、又はアルキレン基とアリーレン基が組み合わさってなる基であり、R’~R'' はそれぞれ独立に、イソシアネート基又はRiα~Riβ自身の基である。Ri5、R''は、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。)である。RiD~RiE、Riβは、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。]で表される化合物等が挙げられる。
【0113】
ポリイソシアネートのイソシアヌレート体は、例えば、デュラネートTPA-100、デュラネートTKA-100、デュラネートMFA-75B、デュラネートMHG-80B(以上旭化成(株)製)、コロネートHXR(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体)(以上東ソー(株)製)、タケネートD-131N(キシレンジイソシアネートのイソシアヌレート体)、タケネートD204EA-1(トルエンジイソシアネートのイソシアヌレート体)、タケネートD-127N(水添キシレンジイソシアネートのイソシアヌレート体)(以上三井化学(株)製)、VESTANAT T1890/100(イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体)(以上エボニック・ジャパン(株)製)等が挙げられる。
【0114】
ポリイソシアネートのアロファネート体は、例えば、
下記構造式:
【化10】
[式中、nは、0以上の整数であり、RaAは、アルキル基又はアリール基であり、RaB~RaGはそれぞれ独立に、アルキレン基、アリーレン基、又はアルキレン基とアリーレン基が組み合わさってなる基であり、Raα~Raγはそれぞれ独立に、イソシアネート基又は
【化11】
(na1は、0以上の整数であり、Ra1~Ra6はそれぞれ独立に、アルキレン基又はアリーレン基であり、R’~R''' はそれぞれ独立に、イソシアネート基又はRaα~Raγ自身の基である。Ra1~Ra4、R’~R'''は、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。)である。RaB~RaE、Raα~Raγは、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。]で表される化合物等が挙げられる。
【0115】
ポリイソシアネートのアロファネート体の市販品は、例えば、タケネートD-178N(三井化学(株)製)等が挙げられる。
【0116】
ポリイソシアネートのアダクト体は、例えば、
下記構造式:
【化12】
[式中、nadは0以上の整数であり、RadA~RadEは、それぞれ独立にアルキレン基、アリーレン基、又はアルキレン基とアリーレン基が組み合わさってなる基であり、Rad1~Rad2は、それぞれ独立に
【化13】
(式中、nad’は0以上の整数であり、Rad’~Rad’’は、それぞれ独立にアルキレン基、アリーレン基、又はアルキレン基とアリーレン基が組み合わさってなる基であり、Rad’’’は、Rad1~Rad2自身の基であり、Rad’~Rad’’’は、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。)
であり、RadD~RadE、Rad2は、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。]
で示されるトリメチロールプロパンとポリイソシアネートのアダクト体、
下記構造式
【化14】
[式中、nad1は0以上の整数であり、Radα~Radεは、それぞれ独立にアルキレン基又はアリーレン基であり、RadA~RadBは、それぞれ独立に
【化15】
(式中、nad1’は0以上の整数であり、Radδ’~Radε’は、それぞれ独立にアルキレン基、アリーレン基、又はアルキレン基とアリーレン基が組み合わさってなる基であり、RadB’は、RadA~RadB自身の基であり、Radδ’~Radε’、RadB’は、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。)
であり、Radδ~Radεは、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。]
で示されるグリセリンとポリイソシアネートのアダクト体等が挙げられる。
【0117】
ポリイソシアネートのアダクト体は、例えば、デュラネートP301-75E(以上旭化成(株)製)、タケネートD110N、タケネートD160N(以上三井化学(株)製)、コロネートL(以上東ソー(株)製)等が挙げられる。
【0118】
(トリマートリアミン)
トリマートリアミンは、オレイン酸等の不飽和脂肪酸の三量体であるトリマー酸(特表2013-505345号公報等参照)の全てのカルボキシル基を一級アミノ基に置換したものであり、各種公知のものを特に制限なく使用できる。以下、トリマートリアミンの非限定的な構造式を示す(破線部は炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合を意味し、Rは、エチレン基(-CHCH-)又はエテニレン基(-CH=CH-)を意味する。)。
【化16】
【0119】
トリマートリアミンの市販品は、例えば、PRIAMINE1071(クローダジャパン(株)製)等が挙げられる。なお、市販品におけるトリマートリアミン成分の含有量は通常15~20質量%程度であり、残部としてダイマージアミンが80質量%を超えて含まれていることがある。
【0120】
上記ポリイミド100質量部(不揮発分換算)に対する架橋剤の含有量の上限及び下限は、例えば、900質量部、800質量部、700質量部、600質量部、500質量部、400質量部、300質量部、200質量部、100質量部、50質量部、20質量部、10質量部、5質量部等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、5質量部~900質量部が挙げられる。
【0121】
上記接着剤100質量%に対する架橋剤の含有量の上限及び下限は、例えば、80質量%、70質量%、60質量%、50質量%、40質量%、30質量%、20質量%、10質量%、5質量%、2質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、2質量%~80質量%が挙げられる。
【0122】
<難燃剤>
1つの実施形態において、上記接着剤は、難燃剤を含む。難燃剤は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0123】
難燃剤は、例えば、リン系難燃剤、無機フィラー等が挙げられる。
【0124】
(リン系難燃剤(リン含有難燃剤))
リン系難燃剤は、例えば、ポリリン酸やリン酸エステル、フェノール性水酸基を含有しないホスファゼン誘導体等が挙げられる。1つの実施形態において、難燃性、耐熱性、耐ブリードアウト性等の観点から、リン系難燃剤は、好ましくは、環状ホスファゼン誘導体が挙げられる。
【0125】
環状ホスファゼン誘導体の市販品は、例えば、大塚化学(株)製のSPB-100や、伏見製薬所(株)製のラビトルFP-300B等が挙げられる。
【0126】
(無機フィラー)
無機フィラーは、例えば、シリカフィラー、リン系フィラー、フッ素系フィラー、無機イオン交換体フィラー等が挙げられる。
【0127】
無機フィラーの市販品は、例えば、デンカ(株)製の「FB-3SDC」、「SFP-20M」、(株)アドマテックス製の「SC-2500-SPJ」、「SC-2500-SXJ」、「SC-2500-SVJ」、クラリアントケミカルズ(株)製の「Exolit OP935」、(株)喜多村製の「KTL-500F」、東亞合成株式会社製の「IXE」等が挙げられる。
【0128】
上記ポリイミド100質量部(不揮発分換算)に対する難燃剤の含有量の上限及び下限は、例えば、150質量部、100質量部、50質量部、10質量部、5質量部、1質量部等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、1質量部~150質量部が挙げられる。
【0129】
<反応性アルコキシシリル化合物>
1つの実施形態において、上記接着剤は、下記一般式の反応性アルコキシシリル化合物を含む。
一般式:Z-Si(R(OR3-a
(式中、Zは酸無水物基と反応する官能基を含む基を、Rは水素又は炭素数1~8の炭化水素基を、Rは炭素数1~8の炭化水素基を、aは0、1又は2を示す。)
【0130】
反応性アルコキシシリル化合物により、本開示の接着剤からなる接着層の低誘電特性を維持しつつ、その溶融粘度が調節され得る。その結果、該接着層と基材との界面密着力(所謂アンカー効果)を高めながら、該基材端から生ずる該硬化層の滲みだしが抑制され得る。
【0131】
上記一般式のZに含まれる反応性官能基は、例えば、アミノ基、エポキシ基及びチオール基等が挙げられる。1つの実施形態において、反応性及びフローコントロールの効果が良好となる観点から、反応性アルコキシシリル化合物は、好ましくは、Zがアミノ基を含む化合物が挙げられる。
【0132】
Zがアミノ基を含む化合物は、例えば、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン及び3-ウレイドプロピルトリアルコキシシラン等が挙げられる。
【0133】
Zがエポキシ基を含む化合物としては、例えば、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン及び3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0134】
Zがチオール基を含む化合物としては、例えば、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランや、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン及び3-メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
【0135】
上記ポリイミド100質量部(不揮発分換算)に対する反応性アルコキシシリル化合物の含有量の上限及び下限は、例えば、5質量部、2.5質量部、1質量部、0.5質量部、0.1質量部、0.05質量部、0.01質量部等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0.01質量部~5質量部が挙げられる。
【0136】
<有機溶媒>
1つの実施形態において、上記接着剤は、有機溶媒を含む。有機溶媒は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0137】
有機溶媒は、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルカプロラクタム、メチルトリグライム、メチルジグライム等の非プロトン性極性溶媒や、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサン等の脂環式溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ベンジルアルコール、クレゾ-ル等のアルコール系溶媒、トルエン等の芳香族系溶媒等が挙げられる。
【0138】
接着剤100質量%に対する有機溶媒の含有量の上限及び下限は、例えば、90質量%、95質量%、80質量%、75質量%、70質量%、65質量%、60質量%、55質量%、50質量%、45質量%、40質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、40質量%~90質量%が挙げられる。
【0139】
上記ポリイミド100質量部(不揮発分換算)に対する有機溶媒の含有量の上限及び下限は、例えば、900質量部、800質量部、700質量部、600質量部、500質量部、400質量部、300質量部、200質量部、150質量部等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、150質量部~900質量部が挙げられる。
【0140】
<添加剤>
上記接着剤には、上記ポリイミド、架橋剤、難燃剤、反応性アルコキシシリル化合物、有機溶媒のいずれにも該当しない剤を添加剤として含み得る。
【0141】
添加剤は、例えば、開環エステル化反応触媒、脱水剤、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤、離型剤、表面処理剤、粘度調節剤、シリカフィラー及びフッ素フィラー等が挙げられる。
【0142】
1つの実施形態において、添加剤の含有量は、例えば、接着剤100質量部に対して、1質量部未満、0.1質量部未満、0.01質量部未満、0質量部等が挙げられる。また、上記ポリイミド、架橋剤、難燃剤、反応性アルコキシシリル化合物、有機溶媒のいずれか100質量部に対して、例えば、1質量部未満、0.1質量部未満、0.01質量部未満、0質量部等が挙げられる。
【0143】
上記接着剤は、ポリイミド並びに必要に応じて架橋剤、難燃剤、反応性アルコキシシリル化合物、有機溶媒及び添加剤が、各種公知の手段により分散・混合されることにより製造され得る。なお、各成分の添加順序は特に限定されない。また、分散・混合手段としては、各種公知の装置(乳化分散機、超音波分散装置等)を用いることができる。
【0144】
上記接着剤は、層間絶縁材、銅張積層板用接着剤、プリント配線板用接着剤、蓄電デバイスバインダー、リチウムイオン電池バインダーとして使用され得る。線膨張係数が所定の値であることにより、上記接着剤は、層間絶縁材として好ましく使用され得る。
【0145】
[硬化物]
本開示は、上記接着剤の硬化物を提供する。
【0146】
硬化物の製造方法は、例えば、前記接着剤組成物を適当な支持体に塗工する工程、加熱して有機溶媒を揮発させることによって硬化させる工程、当該支持体を剥離する工程等を含む方法等が挙げられる。
【0147】
1つの実施形態において、硬化物の厚みは、好ましくは、3~40μm程度が挙げられる。
【0148】
支持体は、例えば、剥離紙、剥離フィルム、後述の支持フィルム等が挙げられる。
【0149】
前記硬化物を製造する際には、前記接着剤組成物と前記接着剤以外の各種公知の接着剤組成物とを併用しても良い。
【0150】
[接着シート]
本開示は、支持フィルムの少なくとも片面に、上記硬化物を有する接着シートを提供する。
【0151】
1つの実施形態において、前記接着シートは、支持フィルムの上に上記接着剤を塗工して加熱により硬化するか、又は支持フィルムの上に本開示に係る硬化物を貼り合わせることにより得られる。
【0152】
支持フィルムは、例えば、ポリイミド、ポリエステル、ポリイミド-シリカハイブリッド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂、エチレンテレフタレート、フェノール、フタル酸、ヒドロキシナフトエ酸等とパラヒドロキシ安息香酸とから得られる芳香族系ポリエステル樹脂(所謂液晶ポリマー;(株)クラレ製、「ベクスター」等)、シクロオレフィンポリマー、フッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)等)等が挙げられる。
【0153】
上記接着剤を前記支持フィルムに塗工する方法は、例えば、コンマ、ダイ、ナイフ、リップ等のコーターにて行うこと等が挙げられる。乾燥後の塗工層の厚みは、好ましくは、1μm~100μm程度、より好ましくは、3μm~50μm程度が挙げられる。また、当該接着シートの接着剤層は各種保護フィルムで保護してもよい。
【0154】
[樹脂付銅箔]
本開示は、上記硬化物及び銅箔を含む、樹脂付銅箔を提供する。
【0155】
上記樹脂付銅箔は、銅箔に上記接着剤を塗工して加熱硬化したもの、又は、銅箔に上記硬化物を貼り合わせたものである。銅箔は、例えば、圧延銅箔や電解銅箔等が挙げられる。
【0156】
銅箔は、各種の表面処理(粗化、防錆化等)が施されたものも使用できる。防錆化処理は、例えば、Ni,Zn,Sn等を含むメッキ液を用いたメッキ処理、クロメート処理等鏡面化処理が挙げられる。
【0157】
1つの実施形態において、銅箔の厚みは、好ましくは、1μm~100μm程度、より好ましくは、2~38μm程度が挙げられる。
【0158】
塗工手段は、例えば、コンマ、ダイ、ナイフ、リップ等のコーターにより行う方法等が挙げられる。
【0159】
また、樹脂付銅箔の接着剤層は未硬化であってもよく、また加熱下に部分硬化ないし完全硬化させたものであっても良い。部分硬化の接着剤層は、いわゆるBステージと呼ばれる状態にある。また、接着剤層の厚みは、好ましくは、0.5μm~30μm程度が挙げられる。また、当該樹脂付銅箔の接着面に更に銅箔を貼り合わせ、両面樹脂付銅箔にすることもできる。
【0160】
[銅張積層板]
本開示は、上記樹脂付銅箔及び銅箔又は絶縁性シートを含む、銅張積層板を提供する。
【0161】
銅張積層板は、CCL(Copper Clad Laminate)とも呼ばれる。銅張積層板は、具体的には、各種公知の銅箔若しくは絶縁性シートの少なくとも片面又は両面に、前記樹脂付銅箔を、加熱下に圧着させたものである。片面に貼り合わせる場合には、他方の面に前記樹脂付銅箔とは異なるものを圧着させても良い。また、当該銅張積層板における樹脂付銅箔、銅箔及び絶縁性シートの枚数は特に限定されない。
【0162】
1つの実施形態において、絶縁性シートは、好ましくは、プリプレグ又は前記の支持フィルムが挙げられる。プリプレグは、ガラス布等の補強材に樹脂を含浸させBステージまで硬化させたシート状材料のことをいう(JIS C 5603)。該樹脂は、上記ポリイミド、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、液晶ポリマー、アラミド樹脂等の絶縁性樹脂が使用される。
【0163】
1つの実施形態において、絶縁性シートの厚みは、好ましくは、20μm~500μm程度が挙げられる。
【0164】
1つの実施形態において、加熱条件は、好ましくは、150℃~280℃程度、より好ましくは、170℃~240℃程度が挙げられる。
【0165】
1つの実施形態において、圧着条件は、好ましくは、0.5MPa~20MPa程度、より好ましくは、1MPa~8MPa程度が挙げられる。
【0166】
[プリント配線板]
本開示は、上記銅張積層板の銅箔面に回路パターンを有する、プリント配線板を提供する。
【0167】
銅張積層板の銅箔面に回路パターンを形成するパターニングの手段は、例えば、サブトラクティブ法、セミアディティブ法が挙げられる。セミアディティブ法は、例えば、銅張積層板の銅箔面に、レジストフィルムでパターニングした後、電解銅メッキを行い、レジストを除去し、アルカリ液でエッチングする方法が挙げられる。また、当該プリント配線板における回路パターン層の厚みは特に限定されない。また、当該プリント配線板をコアとし、その上に同一のプリント配線板や他の公知のプリント配線板又はプリント回路板を積層することによって、多層基板を得ることもできる。積層の際には前記接着剤組成物と前記接着剤組成物以外の他の公知の接着剤組成物とを併用できる。また、多層基板における積層数は特に限定されない。また、積層の都度、ビアホールを挿設し、内部をメッキ処理しても良い。前記回路パターンのライン/スペース比は、好ましくは、1μm/1μm~100μm/100μm程度が挙げられる。また、前記回路パターンの高さは、好ましくは、1μm~50μm程度が挙げられる。
【実施例0168】
以下、実施例及び比較例を通じて本発明を具体的に説明する。但し、上述の好ましい実施形態における説明及び以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本発明を限定する目的で提供するものではない。従って、本発明の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。また、各実施例及び比較例において、特に説明がない限り、部、%等の数値は質量基準である。
【0169】
実施例1
撹拌機、分水器、温度計及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物(商品名「BPDA」、三菱ケミカル(株)製。以下、BPDAと略す。)210.00g、シクロヘキサノン1543.42g及びメチルシクロヘキサン111.31gを仕込み、100℃まで加熱した。次いで、ダイマージアミン(商品名「PRIAMINE1075」、クローダジャパン(株)製)183.55g及び9,9’-ビス(アミノフェニル)フルオレン(商品名「BAF」、大阪ガスケミカル(株)製)118.44gを滴下した後、140℃で12時間かけてイミド化反応させることにより、不揮発分が22.6%のポリイミドの溶液を得た。ダイマージアミンと9,9’-ビス(アミノフェニル)フルオレンとのモル比は50/50である。
【0170】
特段言及がない限り、実施例1以外の実施例及び比較例は、下記表のように変更した以外、実施例1と同様にして行った。
【0171】
比較例2
撹拌機、分水器、温度計及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、4,4’-[プロパン-2,2-ジイルビス(1,4-フェニレンオキシ)]ジフタル酸二無水物(商品名「BisDA-1000」)350.00g、シクロヘキサノン1382.64g及びメチルシクロヘキサン198.66gを仕込み、40℃まで加熱した。次いで、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(商品名「ODA」、JFEケミカル(株)製。以下、ODAと略す。)89.85gを添加し、再度60℃まで加熱した。そして、ダイマージアミン(商品名「PRIAMINE1075」、クローダジャパン(株)製)103.85gを滴下した後、140℃で12時間かけてイミド化反応させることにより、不揮発分が24.5%のポリイミドの溶液を得た。ダイマージアミンとODAとのモル比は30/70である。
【0172】
<ポリイミドフィルムの作製>
実施例及び比較例のポリイミドを、剥離紙((株)サンエー化研製)に塗工し、150℃×5分後に、170℃×30分の条件で乾燥させて、ポリイミド層を形成した積層フィルムを得た。次に当該フィルムから剥離紙を剥離して得た膜厚15μmのポリイミドフィルムを3枚積層し、170℃の熱プレスによって溶融させて膜厚45μmの評価用のポリイミドフィルムを得た。
【0173】
<線膨張係数・ガラス転移温度の測定>
熱機械分析装置(製品名「TMA7100」、(株)島津製作所製)を用いて下記条件にて、線膨張係数及びガラス転移温度の測定を行った。また、ガラス転移温度は傾きが変わる前後の接線の交点温度を採用した。
荷重:12mN
試料幅:4mm
チャック間距離:10mm
40℃から200℃まで10℃/minで昇温
【0174】
<誘電正接の測定>
ネットワークアナライザ(Keysight Technologies社製、装置名:「P5003A」)と測定周波数10.124GHzのスプリットポスト誘電体共振器(QWED社製)を用いて、何も挿入していない共振器単体の共振周波数とそのピークのQ値を測定した。
次に、前記ポリイミドフィルムを4cm×5cmに裁断して試験片を作製した後、共振器内に挿入し、試験片が挿入されたときの共振周波数とQ値を測定した。
誘電正接(Df)は、共振器単体と試験片を挿入したときのQ値の差と共振周波数の差から算出した。
【0175】
<架橋成分との相溶性>
実施例1のポリイミドの溶液91.59質量部、架橋剤としてエポキシド(商品名:「TETRAD-X」、三菱ガス化学(株)製)0.55質量部、エポキシド用硬化剤として活性エステル樹脂(商品名:「EPICLON HPC-8000-65T」、DIC(株)製)1.91質量部、反応触媒としてイミダゾール系エポキシ樹脂(商品名:「2E4MZ-A」、四国化成工業(株)製)0.006質量部、希釈溶剤としてシクロペンタノン5.94質量部を混合し、よく攪拌して、不揮発分が22.5%の接着剤を得た。得られた接着剤を乾燥後の膜厚が15μmになるようにガラスに塗布した。塗布後に、150℃×5分後に、170℃×30分の条件で乾燥させてポリイミド層を形成し、下記基準によりポリイミドと架橋成分との相溶性を評価した。
〇・・・塗工面にムラなし
×・・・塗工面にムラあり
【0176】
【表1】
【0177】
<略称の説明>
BisDA:4,4’-[プロパン-2,2-ジイルビス(1,4-フェニレンオキシ)]ジフタル酸二無水物(商品名「BisDA-1000」、SABICイノベーティブプラスチックスジャパン合同会社製。)
【0178】
<電解液耐性>
上記ポリイミドがリチウムイオン電池バインダーとして使用できるか検討を行った。
実施例1及び比較例2のポリイミドを、剥離紙((株)サンエー化研製)に塗工し、150℃×5分の条件で乾燥させた。剥離したポリイミドフィルムを200℃×2時間の条件で乾燥させて、膜厚20μmポリイミドフィルムを得た。
得られたポリイミドフィルムの質量αを測定し、ジメチルカーボネート溶媒中に浸漬させ、室温で72時間保管した。その後、浸漬保管した固形樹脂をジメチルカーボネート溶媒中から取り出し、固形樹脂の表面に付着したジメチルカーボネートを120℃×3時間の条件で十分に乾燥させた後の質量βを測定した。
測定した質量α、βを用いて、ポリマーの重量変化率=(α-β)/α×100(%)を算出した。重量変化率が低い(0%に近い)ほどポリマーの電解液耐性が高いことを示す。
【0179】
【表2】