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特開2023-102928非ステロイド性消炎鎮痛薬を含む錠剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102928
(43)【公開日】2023-07-26
(54)【発明の名称】非ステロイド性消炎鎮痛薬を含む錠剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/20 20060101AFI20230719BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20230719BHJP
   A61K 31/616 20060101ALI20230719BHJP
   A61K 31/166 20060101ALI20230719BHJP
   A61K 31/405 20060101ALI20230719BHJP
   A61K 31/192 20060101ALI20230719BHJP
   A61K 31/415 20060101ALI20230719BHJP
   A61K 31/42 20060101ALI20230719BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20230719BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20230719BHJP
   A61K 31/167 20060101ALI20230719BHJP
   A61K 31/5415 20060101ALI20230719BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230719BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20230719BHJP
   C07D 209/28 20060101ALN20230719BHJP
   C07D 231/12 20060101ALN20230719BHJP
   C07D 261/08 20060101ALN20230719BHJP
   C07D 277/68 20060101ALN20230719BHJP
   C07D 237/22 20060101ALN20230719BHJP
   C07D 417/12 20060101ALN20230719BHJP
【FI】
A61K9/20
A61K47/02
A61K31/616
A61K31/166
A61K31/405
A61K31/192
A61K31/415
A61K31/42
A61K31/496
A61K31/5377
A61K31/167
A61K31/5415
A61P29/00
A61P25/04
C07D209/28
C07D231/12 C
C07D261/08
C07D277/68
C07D237/22
C07D417/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】27
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003684
(22)【出願日】2022-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】399101201
【氏名又は名称】健栄製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104802
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 尚人
(74)【代理人】
【識別番号】100186772
【弁理士】
【氏名又は名称】入佐 大心
(72)【発明者】
【氏名】中島 博史
(72)【発明者】
【氏名】芝田 裕一
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 拓海
【テーマコード(参考)】
4C063
4C076
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB07
4C063CC64
4C063DD62
4C063EE01
4C076AA37
4C076BB01
4C076CC01
4C076CC05
4C076DD29H
4C076DD41C
4C076DD55T
4C076DD67A
4C076EE06H
4C076EE16B
4C076EE31A
4C076FF01
4C076FF06
4C076FF21
4C076FF36
4C076GG01
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC15
4C086BC67
4C086BC73
4C086BC84
4C086BC89
4C086DA17
4C086DA20
4C086GA07
4C086GA09
4C086GA10
4C086GA12
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA20
4C086ZA08
4C086ZB11
4C206AA01
4C206AA02
4C206DA23
4C206GA02
4C206GA07
4C206GA22
4C206GA31
4C206KA01
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA55
4C206MA72
4C206NA20
4C206ZA08
4C206ZB11
(57)【要約】
【課題】非ステロイド性消炎鎮痛薬を有効成分として含有する医薬錠剤であって、小型で、崩壊性が良く、製造時における打錠障害の発生が抑制される、新たな錠剤を提供することを主な課題とする。
【解決手段】本発明として、例えば、非ステロイド性消炎鎮痛薬(例えば、アセトアミノフェン)、流動化剤、およびその他の添加剤からなる錠剤であって、非ステロイド性消炎鎮痛薬またはそれを含む造粒物が流動化剤(例えば、軽質無水ケイ酸)で被覆されており、かつ当該被覆造粒物と添加剤との混合物からなることを特徴とする錠剤を挙げることができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非ステロイド性消炎鎮痛薬、流動化剤、およびその他の添加剤からなる錠剤であって、非ステロイド性消炎鎮痛薬またはそれを含む造粒物が流動化剤で被覆されており、かつ当該被覆造粒物と添加剤との混合物からなることを特徴とする、錠剤。
【請求項2】
流動化剤が、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、またはケイ酸カルシウムである、請求項1に記載の錠剤。
【請求項3】
非ステロイド性消炎鎮痛薬が、アスピリン、エテンザミド、ジフルニサル、インドメタシン、ジクロフェナクナトリウム、スリンダク、フェルビナク、フェンブフェン、エトドラク、モフェゾラク、メフェナム酸、フロクタフェニン、イブプロフェン、フルルビプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、ロキソプロフェンナトリウム、ザルトプロフェン、ケトロラク、ケトフェニルブタゾン、ピロキシカム、メロキシカム、ロルノキシカム、アンピロキシカム、セレコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブナトリウム、塩酸チアラミド、塩酸ペンジダミン、塩酸チノリジン、エピリドール、エモルファゾン、アセトアミノフェン、スルピリン、またはイソプロピルアンチピリンである、請求項1または2に記載の錠剤。
【請求項4】
非ステロイド性消炎鎮痛薬またはそれを含む造粒物の平均粒子径が、1~200μmの範囲内である、請求項1~3のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項5】
非ステロイド性消炎鎮痛薬に対する流動化剤の含有割合が、0.1~2質量%の範囲内である、請求項1~4のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項6】
流動化剤の比表面積が、10~500m/gの範囲内である、請求項1~5のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項7】
重量が、150~700mgの範囲内である、請求項1~6のいずれかに記載の錠剤。
【請求項8】
有効成分の含有量が一単位錠剤あたり70~90質量%の範囲内である、請求項1~7のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項9】
アセトアミノフェン、軽質無水ケイ酸、およびその他の添加剤からなる錠剤であって、アセトアミノフェン、軽質無水ケイ酸、および結合剤からなる造粒物と添加剤との混合物からなることを特徴とする、錠剤。
【請求項10】
造粒物の平均粒子径が、1~200μmの範囲内である、請求項9に記載の錠剤。
【請求項11】
アセトアミノフェンに対する軽質無水ケイ酸の含有割合が、0.1~2質量%の範囲内である、請求項9または10に記載の錠剤。
【請求項12】
軽質無水ケイ酸の比表面積が、10~500m/gの範囲内である、請求項9~11のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項13】
重量が、150~700mgの範囲内である、請求項9~12のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項14】
有効成分の含有量が一単位錠剤あたり70~90質量%の範囲内である、請求項9~13のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項15】
錠剤が口腔内崩壊錠であって、口腔内で1分以内に崩壊するものである、請求項1~14のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の錠剤がコーティング剤で被覆されてなる、錠剤。
【請求項17】
次の1~3の工程を含むことを特徴とする、錠剤の製造方法:
1.非ステロイド性消炎鎮痛薬またはそれを含む造粒物を流動化剤で被覆して被覆造粒物を調製する工程、
2.被覆造粒物と添加剤とを乾式で物理的に混合して乾式混合物を調製する工程、
3.乾式混合物を打錠し、錠剤に成形する工程。
【請求項18】
非ステロイド性消炎鎮痛薬を含む造粒物の流動化剤による被覆が、流動層造粒法によるものである、請求項17に記載の錠剤の製造方法。
【請求項19】
流動化剤が、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、またはケイ酸カルシウムである、請求項17または18に記載の錠剤の製造方法。
【請求項20】
非ステロイド性消炎鎮痛薬が、アスピリン、エテンザミド、ジフルニサル、インドメタシン、ジクロフェナクナトリウム、スリンダク、フェルビナク、フェンブフェン、エトドラク、モフェゾラク、メフェナム酸、フロクタフェニン、イブプロフェン、フルルビプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、ロキソプロフェンナトリウム、ザルトプロフェン、ケトロラク、ケトフェニルブタゾン、ピロキシカム、メロキシカム、ロルノキシカム、アンピロキシカム、セレコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブナトリウム、塩酸チアラミド、塩酸ペンジダミン、塩酸チノリジン、エピリドール、エモルファゾン、アセトアミノフェン、スルピリン、またはイソプロピルアンチピリンである、請求項17~19のいずれか一項に記載の錠剤の製造方法。
【請求項21】
非ステロイド性消炎鎮痛薬またはそれを含む造粒物の平均粒子径が、1~200μmの範囲内である、請求項17~20のいずれか一項に記載の錠剤の製造方法。
【請求項22】
非ステロイド性消炎鎮痛薬に対する流動化剤の配合割合が、0.1~2質量%の範囲内である、請求項17~21のいずれか一項に記載の錠剤の製造方法。
【請求項23】
流動化剤の比表面積が、10~500m/gの範囲内である、請求項17~22のいずれか一項に記載の錠剤の製造方法。
【請求項24】
錠剤の重量が、150~700mgの範囲内である、請求項17~23のいずれか一項に記載の錠剤の製造方法。
【請求項25】
有効成分の含有量が一単位錠剤あたり70~90質量%の範囲内である、請求項17~24のいずれか一項に記載の錠剤の製造方法。
【請求項26】
錠剤が口腔内崩壊錠であって、口腔内で1分以内に崩壊するものである、請求項17~25のいずれか一項に記載の錠剤の製造方法。
【請求項27】
さらに、錠剤をコーティング剤で被覆する工程を含む、請求項17~26のいずれか一項に記載の錠剤の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機活性成分を含有する医薬品製剤の技術分野に属する。本発明は、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs:Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs)を有効成分として含有する医薬錠剤であって、打錠成形に際して打錠障害を抑制することができる当該錠剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
錠剤は、通常、上下に多くのいわゆる臼と杵が配置された打錠機を用いて、臼と杵の一群が高速で回転しながら、有効成分などを含む粉体ないし顆粒が臼に均一に充填され、その上から杵で打ちつけることによって圧縮成形され、大量に製造される。その際、キャッピング、スティッキング、ラミネーション、バインディング、ピッキングなどといった打錠障害が発生することがある。かかる打錠障害の発生は、大量生産に支障をきたし、品質不良の製品を生み出す原因ともなる。
【0003】
非ステロイド性消炎鎮痛薬は、ステロイドではない、抗炎症作用、鎮痛作用、および/または解熱作用を有する薬物である。非ステロイド性消炎鎮痛薬として様々な種類の薬物が知られているが、代表例として、アスピリン、ロキソプロフェンナトリウム、ジクロフェナクナトリウム、インドメタシン、メフェナム酸、イブプロフェン、エテンザミドなどの酸性非ステロイド性消炎鎮痛薬;塩酸チアラミド、塩酸ペンジダミンなどの塩基性非ステロイド性消炎鎮痛薬;アセトアミノフェン、スルピリン、イソプロピルアンチピリンなどのその他の非ステロイド性消炎鎮痛薬を挙げることができる。これらの多くは、錠剤としても提供されており、錠剤製造に際しては打錠障害に留意する必要がある。
【0004】
非ステロイド性消炎鎮痛薬を含む錠剤を製造するに際して、単に打錠障害を抑制するだけであれば、添加剤の量を増やしたり、非ステロイド性消炎鎮痛薬の粒子を粗くしたり、非ステロイド性消炎鎮痛薬を高分子で被覆することなどによって、ある程度打錠障害を抑制することができる。
特許文献1では、薬物原末を、可塑剤を含んだ、水溶性高分子を主成分とするコーティング剤で被覆した顆粒とすることにより、打錠時のスティッキングを解消する技術が開示されている。特許文献2では、アセトアミノフェンに結晶セルロースとヒドロキシプロピルセルロースとを配合した顆粒を調製することにより、アセトアミノフェンを高濃度で含有する錠剤を圧縮成形する際のキャッピングといった打錠障害の発生を抑制する技術が開示されている。特許文献3では、薬物および賦形剤を含む第一の造粒物を製造し、その第一の造粒物に二酸化ケイ素を付与して第二の造粒物を製造し、これを打錠することにより、スティッキングといった打錠障害を抑制して口腔内崩壊錠とする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-169273号公報
【特許文献2】特開2010-106014号公報
【特許文献3】特開2013-203690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
添加剤の量を増やしたり、非ステロイド性消炎鎮痛薬の粒子を粗くしたり、あるいは非ステロイド性消炎鎮痛薬を高分子で被覆することなどによって、ある程度打錠障害を抑制することができる。しかしながら、そのような従来の方法では、錠剤が大型化したり、崩壊が遅延するなどといった問題を惹起するおそれがある。錠剤の大型化、崩壊の遅延は、特に口腔内での崩壊を求める口腔内崩壊錠において好ましくない。錠剤の大型化は、クオリティ・オブ・ライフ(QOL)上も好ましいとは言えない。
特許文献1や2の技術では水溶性高分子を用いて打錠障害の改善が図られているが、水溶性高分子は一般に錠剤の崩壊を遅延させるおそれがあり、口腔内崩壊錠のように口腔内で速やかに崩壊させる必要があるものには不向きである。特許文献3の技術では、譬え打錠障害の改善が図られたとしても、高含量の薬物を含む錠剤とすることは困難である。特許文献3の技術では、薬物を高含量で含む錠剤を製造することは難しく、多くとも10%程度の薬物を含有する錠剤しかできない。
本発明は、非ステロイド性消炎鎮痛薬を有効成分として含有する医薬錠剤であって、小型で、崩壊性が良く、製造時における打錠障害の発生が抑制される、新たな錠剤を提供することを主な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、非ステロイド性消炎鎮痛薬またはそれを含む造粒物を流動化剤で被覆し、かかる被覆造粒物と添加剤との混合物からなる顆粒を用いて打錠成形することにより、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明としては、例えば、下記を挙げることができる。
【0009】
[1]非ステロイド性消炎鎮痛薬、流動化剤、およびその他の添加剤からなる錠剤であって、非ステロイド性消炎鎮痛薬またはそれを含む造粒物が流動化剤で被覆されており、かつ当該被覆造粒物と添加剤との混合物からなることを特徴とする、錠剤。
[2]流動化剤が、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、またはケイ酸カルシウムである、上記[1]に記載の錠剤。
[3]非ステロイド性消炎鎮痛薬が、アスピリン、エテンザミド、ジフルニサル、インドメタシン、ジクロフェナクナトリウム、スリンダク、フェルビナク、フェンブフェン、エトドラク、モフェゾラク、メフェナム酸、フロクタフェニン、イブプロフェン、フルルビプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、ロキソプロフェンナトリウム、ザルトプロフェン、ケトロラク、ケトフェニルブタゾン、ピロキシカム、メロキシカム、ロルノキシカム、アンピロキシカム、セレコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブナトリウム、塩酸チアラミド、塩酸ペンジダミン、塩酸チノリジン、エピリドール、エモルファゾン、アセトアミノフェン、スルピリン、またはイソプロピルアンチピリンである、上記[1]または[2]に記載の錠剤。
[4]非ステロイド性消炎鎮痛薬またはそれを含む造粒物の平均粒子径が、1~200μmの範囲内である、上記[1]~[3]のいずれか一項に記載の錠剤。
[5]非ステロイド性消炎鎮痛薬に対する流動化剤の含有割合が、0.1~2質量%の範囲内である、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載の錠剤。
[6]流動化剤の比表面積が、10~500m/gの範囲内である、上記[1]~[5]のいずれか一項に記載の錠剤。
[7]重量が、150~700mgの範囲内である、上記[1]~[6]のいずれか一項に記載の錠剤。
[8]有効成分の含有量が一単位錠剤あたり70~90質量%の範囲内である、上記[1]~[7]のいずれか一項に記載の錠剤。
【0010】
[9]アセトアミノフェン、軽質無水ケイ酸、およびその他の添加剤からなる錠剤であって、アセトアミノフェン、軽質無水ケイ酸、および結合剤からなる造粒物と添加剤との混合物からなることを特徴とする、錠剤。
[10]造粒物の平均粒子径が、1~200μmの範囲内である、上記[9]に記載の錠剤。
[11]アセトアミノフェンに対する軽質無水ケイ酸の含有割合が、0.1~2質量%の範囲内である、上記[9]または[10]に記載の錠剤。
[12]軽質無水ケイ酸の比表面積が、10~500m/gの範囲内である、上記[9]~[11]のいずれか一項に記載の錠剤。
[13]重量が、150~700mgの範囲内である、上記[9]~[12]のいずれか一項に記載の錠剤。
[14]有効成分の含有量が一単位錠剤あたり70~90質量%の範囲内である、上記[9]~[13]のいずれか一項に記載の錠剤。
[15]錠剤が口腔内崩壊錠であって、口腔内で1分以内に崩壊するものである、上記[1]~[14]のいずれか一項に記載の錠剤。
[16]上記[1]~[15]のいずれか一項に記載の錠剤がコーティング剤で被覆されてなる、錠剤。
【0011】
[17]次の1~3の工程を含むことを特徴とする、錠剤の製造方法:
1.非ステロイド性消炎鎮痛薬またはそれを含む造粒物を流動化剤で被覆して被覆造粒物を調製する工程、
2.被覆造粒物と添加剤とを乾式で物理的に混合して乾式混合物を調製する工程、
3.乾式混合物を打錠し、錠剤に成形する工程。
[18]非ステロイド性消炎鎮痛薬を含む造粒物の流動化剤による被覆が、流動層造粒法によるものである、上記[17]に記載の錠剤の製造方法。
[19]流動化剤が、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、またはケイ酸カルシウムである、上記[17]または[18]に記載の錠剤の製造方法。
[20]非ステロイド性消炎鎮痛薬が、アスピリン、エテンザミド、ジフルニサル、インドメタシン、ジクロフェナクナトリウム、スリンダク、フェルビナク、フェンブフェン、エトドラク、モフェゾラク、メフェナム酸、フロクタフェニン、イブプロフェン、フルルビプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、ロキソプロフェンナトリウム、ザルトプロフェン、ケトロラク、ケトフェニルブタゾン、ピロキシカム、メロキシカム、ロルノキシカム、アンピロキシカム、セレコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブナトリウム、塩酸チアラミド、塩酸ペンジダミン、塩酸チノリジン、エピリドール、エモルファゾン、アセトアミノフェン、スルピリン、またはイソプロピルアンチピリンである、上記[17]~[19]のいずれか一項に記載の錠剤の製造方法。
[21]非ステロイド性消炎鎮痛薬またはそれを含む造粒物の平均粒子径が、1~200μmの範囲内である、上記[17]~[20]のいずれか一項に記載の錠剤の製造方法。
[22]非ステロイド性消炎鎮痛薬に対する流動化剤の配合割合が、0.1~2質量%の範囲内である、上記[17]~[21]のいずれか一項に記載の錠剤の製造方法。
[23]流動化剤の比表面積が、10~500m/gの範囲内である、上記[17]~[22]のいずれか一項に記載の錠剤の製造方法。
[24]錠剤の重量が、150~700mgの範囲内である、上記[17]~[23]のいずれか一項に記載の錠剤の製造方法。
[25]有効成分の含有量が一単位錠剤あたり70~90質量%の範囲内である、上記[17]~[24]のいずれか一項に記載の錠剤の製造方法。
[26]錠剤が口腔内崩壊錠であって、口腔内で1分以内に崩壊するものである、上記[17]~[25]のいずれか一項に記載の錠剤の製造方法。
[27]さらに、錠剤をコーティング剤で被覆する工程を含む、上記[17]~[26]のいずれか一項に記載の錠剤の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、製造時における打錠障害の発生を抑制しながら、小型で、崩壊性の良い錠剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について詳述する。
1 本発明に係る錠剤
本発明に係る錠剤(以下、「本発明錠剤」という。)は、非ステロイド性消炎鎮痛薬、流動化剤、およびその他の添加剤からなる錠剤であって、非ステロイド性消炎鎮痛薬またはそれを含む造粒物が流動化剤で被覆されており、かつ当該被覆造粒物と添加剤との混合物からなることを特徴とする。
【0014】
1.1 非ステロイド性消炎鎮痛薬
本発明で使用される非ステロイド性消炎鎮痛薬は、ステロイドではなく、抗炎症作用、鎮痛作用、または解熱作用を有するいわゆるNSAIDsと言われる薬剤であれば特に制限されない。具体的には、そのような非ステロイド性消炎鎮痛薬として、例えば、アスピリン、エテンザミド、ジフルニサルなどのサリチル酸系NSAIDs;インドメタシン、ジクロフェナクナトリウム、スリンダク、フェルビナク、フェンブフェン、エトドラク、モフェゾラクなどのアリール酢酸系NSAIDs;メフェナム酸、フロクタフェニンなどのフェナム酸系NSAIDs;イブプロフェン、フルルビプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、ロキソプロフェンナトリウム、ザルトプロフェンなどのプロピオン酸系NSAIDs;ケトロラクなどのピロロ-ピロール誘導体NSAIDs;ケトフェニルブタゾンなどのピラゾロン系NSAIDs;ピロキシカム、メロキシカム、ロルノキシカム、アンピロキシカムなどのオキシカム系NSAIDs;セレコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブナトリウムなどのコキシブ系NSAIDs;塩酸チアラミド、塩酸ペンジダミン、塩酸チノリジン、エピリドール、エモルファゾンなどの塩基性NSAIDs;アセトアミノフェン、スルピリン、イソプロピルアンチピリンを挙げることができる。その中でも、本発明においては、アセトアミノフェンが好ましい。
【0015】
本発明錠剤中における当該非ステロイド性消炎鎮痛薬ないしアセトアミノフェンの含有量は、特に制限されないが、一単位錠剤あたり70~90質量%の範囲内が適当であり、75~85質量%の範囲内が好ましく、80質量%が特に好ましい。
【0016】
当該非ステロイド性消炎鎮痛薬またはそれを含む造粒物の大きさ(粒子径)は、特に制限されないが、平均粒子径として1~200μmの範囲内が適当であり、5~130μmの範囲内が好ましく、10~120μmの範囲内がより好ましい。100μm以下が特に好ましい。200μmより大きい場合、硬度の低下や均一性の悪化が懸念される。
ここで「平均粒子径」とは、体積平均粒子径であって、レーザー回折散乱法で測定したときに、小さい方からの累積分布が50%となる粒子径(D50、メディアン径)をいう。
【0017】
1.2 非ステロイド性消炎鎮痛薬またはそれを含む造粒物を被覆するための流動化剤
当該流動化剤は、医薬上許容される添加剤であって、製剤技術上、流動化剤として用いうるものであれば特に制限されない。具体的には、当該流動化剤として、例えば、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、結晶セルロース、合成ケイ酸アルミニウム、重質無水ケイ酸、水酸化アルミナマグネシウム、トウモロコシデンプン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムを挙げることができる。この中、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムが好ましい。
【0018】
当該流動化剤の中、その比表面積が10~500m/gの範囲内のものが好ましい。より好ましくは、比表面積が100~450m/gの範囲内のものであり、特に好ましくは、比表面積が150~400m/gの範囲内のものである。比表面積は、流動化剤の購入先が明示している場合がある他、例えば、窒素ガスによるいわゆるガス吸着法により測定することもできる。
【0019】
上記流動化剤は、1種または任意の2種以上を併用することができる。当該流動化剤の使用量としては、用いる流動化剤や非ステロイド性消炎鎮痛薬の種類・量などによって異なるが、非ステロイド性消炎鎮痛薬100質量部に対して、0.1~3質量部が適当であり、0.2~2質量部が好ましく、0.3~0.7質量部がより好ましい。非ステロイド性消炎鎮痛薬がアセトアミノフェンの場合でも同様である。
【0020】
1.3 造粒方法と被覆方法
当該非ステロイド性消炎鎮痛薬を含む造粒物は、常法により調製することができる。造粒方法は、湿式造粒および乾式造粒のいずれであってもよい。湿式造粒の場合、水または適当な医薬上許容される結合剤を溶解した溶液を非ステロイド性消炎鎮痛薬粉末に滴下、またはスプレー噴霧し湿潤させ、その水分を乾燥することにより、当該非ステロイド性消炎鎮痛薬を含む造粒物を調製することができる。
湿式造粒としては、例えば、撹拌造粒、流動層造粒、転動流動層造粒、転動層造粒、遠心転動造粒、噴霧乾燥造粒、混練造粒を挙げることができる。この中、流動層造粒が好ましい。
【0021】
当該造粒物の調製は、一般的には結合剤(水溶液)を用いて行われる。かかる結合剤としては、製剤技術上、結合剤として用いうるものであれば特に制限されないが、具体的には、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、HPMC)、微結晶セルロース、デキストリン、トラガント、ゼラチン、アルファ化デンプン、アラビアゴム、アカシア、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウムを挙げることができる。この中、水溶性の高いものが好ましく、具体的には、ポリビニルアルコールやその部分けん化物が好ましい。
【0022】
上記結合剤は、1種または任意の2種以上を併用することができる。当該結合剤の使用量としては、用いる結合剤や非ステロイド性消炎鎮痛薬の種類・量などによって異なるが、非ステロイド性消炎鎮痛薬100質量部に対して、0.5~5質量部が適当であり、0.7~3質量部が好ましく、1~2質量部がより好ましい。非ステロイド性消炎鎮痛薬がアセトアミノフェンの場合でも同様である。
【0023】
当該非ステロイド性消炎鎮痛薬を含む造粒物を流動化剤で被覆する方法としては、例えば、流動層造粒法、転動流動層造粒法、メカノケミカルな表面改質法を挙げることができる。流動層造粒法を用いる場合、流動層造粒機内で、水に流動化剤および必要に応じて後述の甘味剤などを溶解または懸濁した被覆剤を当該造粒物に噴霧し湿潤させ、その水分を乾燥により、当該造粒物を流動化剤で被覆することができる。
【0024】
1.4 添加剤
本発明錠剤は、流動化剤で被覆された上記造粒物と混合される添加剤を適当量含む。当該添加剤としては、例えば、賦形剤、崩壊剤、甘味剤、滑沢剤、矯味剤、着色剤、酸味剤を挙げることができる。
【0025】
本発明で用いうる賦形剤としては、例えば、乳糖(乳糖水和物)、デンプン(例、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コメデンプン、コムギデンプン)、結晶セルロース、マンニトール(D体、α型、β型、δ型)、デキストリン、ソルビトール、無水リン酸カルシウム、白糖、タルク(天然合水ケイ酸マグネシウム)、カオリン、沈降炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、酸化チタン、軽質無水ケイ酸、リン酸水素カルシウム、エリスリトールを挙げることができる。この中、乳糖(乳糖水和物)、結晶セルロース、D-マンニトール、デンプンが好ましい。
上記賦形剤は、1種または任意の2種以上を併用することができる。当該賦形剤の含有量としては、用いる賦形剤や他の添加剤、非ステロイド性消炎鎮痛薬の種類・量などによって異なるが、一単位錠剤あたり1~40質量%の範囲内が適当であり、5~3質量%の範囲内が好ましく、7~20質量%の範囲内がより好ましい。
【0026】
本発明で用いうる崩壊剤としては、例えば、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶セルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、部分的に加水分解されたデンプン、カンテン末、カルボキシメチルセルロースを挙げることができる。この中、クロスポビドンが好ましい。
【0027】
上記崩壊剤は、1種または任意の2種以上を併用することができる。当該崩壊剤の含有量としては、用いる崩壊剤や他の添加剤、非ステロイド性消炎鎮痛薬の種類・量などによって異なるが、一単位錠剤あたり1~25質量%の範囲内が適当であり、2~15質量%の範囲内が好ましく、3~10質量%の範囲内がより好ましい。
【0028】
本発明で用いうる甘味剤としては、例えば、アスパルテーム、ステビア、サッカリンナトリウム(水和物を含む。)、グリチルリチン二カリウム、ソーマチン、スクラロース、アセスルファームKを挙げることができる。この中、サッカリンナトリウム、スクラロースが好ましい。
【0029】
上記甘味剤は、1種または任意の2種以上を併用することができる。当該甘味剤の含有量としては、用いる甘味剤や他の添加剤、非ステロイド性消炎鎮痛薬の種類・量などによって異なるが、一単位錠剤あたり0.1~5質量%の範囲内が適当であり、0.2~3質量%の範囲内が好ましく、0.5~2質量%の範囲内がより好ましい。
【0030】
本発明で用いうる滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、ミネラルオイル、ステアリン酸、フマル酸、ポリエチレングリコール、カルシウム、ホウ酸、パラフィン、ココアバター、フマル酸ステアリルナトリウムを挙げることができる。この中、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウムが好ましい。
【0031】
上記滑沢剤は、1種または任意の2種以上を併用することができる。当該滑沢剤の含有量としては、用いる滑沢剤や他の添加剤、非ステロイド性消炎鎮痛薬の種類・量などによって異なるが、一単位錠剤あたり0.1~10質量%の範囲内が適当であり、0.5~5質量%の範囲内が好ましく、0.7~3質量%の範囲内がより好ましい。
【0032】
本発明で用いうる矯味剤としては、例えば、l-メントール、ハッカ油、ユーカリ油、ケイヒ油、ウイキョウ油、チョウジ油、オレンジ油、レモン油、ローズ油を挙げることができる。この中、l-メントールが好ましい。
【0033】
上記矯味剤は、1種または任意の2種以上を併用することができる。当該矯味剤の含有量としては、用いる矯味剤や他の添加剤、非ステロイド性消炎鎮痛薬の種類・量などによって異なるが、一単位錠剤あたり0.01~1質量%の範囲内が適当であり、0.02~0.5質量%の範囲内が好ましく、0.03~0.2質量%の範囲内がより好ましい。
【0034】
本発明で用いうる着色剤としては、例えば、厚生労働省令で定めた医薬品等に使用することができるタール色素、三二酸化鉄、酸化鉄赤、酸化鉄黄、二酸化チタン、無機色素、赤色3号、赤色20号、黄色6号、青色2号、緑色5号、橙色5号、赤色8号、カラメルを挙げることができる。
【0035】
本発明で用いうる酸味剤としては、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、フマル酸、コハク酸、グルコン酸、乳酸を挙げることができる。
上記酸味剤は、1種または任意の2種以上を併用することができる。当該酸味剤は適当量含有することができる。
【0036】
1.5 その他
本発明錠剤は、必要に応じて、適当なコーティング剤や糖類で被覆され、フィルムコーティング錠ないし糖衣錠とすることができる。かかるコーティング剤としては、錠剤のフィルムコートで使用しうるものであれば特に制限されないが、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース、HPMC)、メチルセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、液体グルコース、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドンと酢酸ビニルとのコポリマー、アクリル酸および/またはメタクリル酸エステルのトリメチルアンモニウムメチルアクリレートとのコポリマー、ジメチルアミノメタクリル酸および中性メタクリル酸エステルのコポリマー、メタクリル酸またはメタクリル酸エステルのポリマー、アクリル酸エチルエステルおよびメタクリル酸メチルエステルのコポリマー、アクリル酸およびアクリル酸メチルエステルのコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールとアクリル酸及びメタクリル酸メチルとのコポリマー、ポリビニルアルコールとポリエチレングリコールとのコポリマー、プルランを挙げることができる。
【0037】
本発明錠剤の種類としては、例えば、普通錠(素錠)、口腔内崩壊錠、フィルムコーティング錠、糖衣錠、チュアブル錠、トローチ錠、ペレット錠を挙げることができる。この中、口腔内崩壊錠が好ましい。口腔内崩壊錠の場合、健常人の口腔内で約1分以内に崩壊することができる。
本発明錠剤の平面形状は、丸形、楕円型、多角形、菱形など特に制限されず、また厚みや錠径、隅角(R、平)なども特に制限はないが、その重量は、通常、150~700mgの範囲内である。好ましくは180~300mgの範囲内であり、210~270mgの範囲内がより好ましい。本発明錠剤の硬度は、流通や保存に耐えうるものであれば特に制限されないが、例えば、30~200Nの範囲内が適当であり、35~130Nの範囲内とすることが好ましい。
【0038】
2 本発明錠剤の製造方法
本発明錠剤は、次の1~3の工程を含む方法により製造することができる。以下、当該製法を本発明製法という。
1.非ステロイド性消炎鎮痛薬またはそれを含む造粒物を流動化剤で被覆して被覆造粒物を調製する工程、
2.被覆造粒物と添加剤とを乾式で物理的に混合して乾式混合物を調製する工程、
3.乾式混合物を打錠し、錠剤に成形する工程。
【0039】
本発明製法において、成分名を含む用語、成分の使用量、成分の含有量などは前記と同義である。
本発明製法においては、必要に応じて、さらに整粒工程、混合工程、乾燥工程、被覆工程などを含むことができる。これらの工程は、常法により行うことができる。
【0040】
工程1における被覆造粒物の調製方法としては、例えば、流動層造粒法、転動流動層造粒法、メカノケミカルな表面改質法を挙げることができる。流動層造粒法を用いる場合、流動層造粒機内で、水に流動化剤および必要に応じて後述の甘味剤などを溶解または懸濁した被覆剤を当該造粒物に噴霧し湿潤させ、その水分を乾燥により、非ステロイド性消炎鎮痛薬を含む造粒物を流動化剤で被覆することができる。
【実施例0041】
以下に実施例や比較例、試験例などを掲げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例等により何ら限定されるものではない。
【0042】
[実施例1]
表1の処方内容に従い、湿式造粒機(FD-MP-01、パウレック社製)内で、アセトアミノフェンにポリビニルアルコール(部分けん化物)の水溶液を噴霧し乾燥しながら造粒し、アセトアミノフェン造粒物(平均粒子径:約87μm)を得た。かかる造粒物にサッカリンナトリウム水和物および軽質無水ケイ酸の水性懸濁液を噴霧して被覆し、アセトアミノフェンを含む被覆造粒物を調製し、かかる被覆造粒物と、結晶セルロース、D-マンニトール、クロスポビドン、スクラロース、ステアリン酸マグネシウム、l-メントール、および香料とを混合し、かかる混合物をロータリー打錠機(HT-EX6SS-U、畑鐵工所社製)にて打錠成形し、目的とする錠剤を製造した。当該錠剤は、錠径9mm、高さ3.6mm、硬度約87Nであり、口腔内での崩壊時間は約27秒であった。
【0043】
【表1】
【0044】
[比較例1]
表1の処方内容に従い、湿式造粒機(FD-MP-01、パウレック社製)内で、アセトアミノフェンにポリビニルアルコール(部分けん化物)の水溶液を噴霧し乾燥しながら造粒し、アセトアミノフェン造粒物(平均粒子径:約87μm)を得た。かかる造粒物にサッカリンナトリウム水和物の水溶液を噴霧して被覆し、アセトアミノフェンを含む被覆造粒物(流動化剤を含まない)を調製し、かかる被覆造粒物と、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、D-マンニトール、クロスポビドン、スクララロース、ステアリン酸マグネシウム、l-メントール、および香料とを混合し、かかる混合物をロータリー打錠機(HT-EX6SS-U、畑鐵工所社製)にて打錠成形し、目的とする錠剤を製造した。当該錠剤は、錠径9mm、高さ3.6mm、硬度約82Nであり、口腔内での崩壊時間は約21秒であった。
【0045】
[試験例1]打錠障害の評価
実施例1および比較例1について、圧縮特性評価装置(GTP-2、Gamlen Instruments社製)を用い、杵形状:Φ6.0mm、圧縮圧力:500kg、測定速度:80mm/minの条件下で、錠剤の臼からの排出圧(主に、バインディングやキャッピングの指標)を測定した。その結果を表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】
表2から明らかな通り、実施例1では、比較例1に比べ排出圧が有意に低下し、比較例1より打錠障害が改善された。
【0048】
[実施例2]
表3の処方内容に従い、実施例1と同様にしてアセトアミノフェン造粒物(平均粒子径:約93μm)を得、目的とする錠剤を製造した。口腔内での崩壊時間は約30秒以内であった。
【0049】
【表3】
【0050】
[比較例2]
表3の処方内容に従い、比較例1と同様にしてアセトアミノフェン造粒物(平均粒子径:約97μm)を得、目的とする錠剤を製造した。口腔内での崩壊時間は約30秒以内であった。
【0051】
[試験例2]打錠障害の評価
実施例2および比較例2について、ロータリー打錠機(102i、Fette Compacting GmbH社製)にて打錠し、打錠障害の有無および錠剤の臼からの排出圧を測定した。打錠は回転数(打錠速度)を変えて行った。その結果を表4に示す。
【0052】
【表4】
【0053】
比較例2では低速回転時点から排出圧が高く、打錠障害が発生した。一方、実施例2では、高速回転でも排出圧は低く、打錠障害は発生しなかった。
【0054】
[実施例3~8、および比較例3~7]
表5の処方内容に従い、実施例については実施例1と同様にして、比較例については比較例1と同様にして目的とする錠剤を製造した。なお、各実施例および各比較例で使用した流動化剤は、表6に示す。
【0055】
【表5】
【0056】
【表6】
【0057】
[試験例3]打錠障害の評価
実施例3~8および比較例3~7について、圧縮特性評価装置(GTP-2、Gamlen Instruments社製)を用い、杵形状:Φ6.0mm、圧縮圧力:450kg、測定速度:120mm/minの条件下で、錠剤の臼からの排出圧を測定した。その結果を表7に示す。表中、平均粒子径は、各造粒部の平均粒子径である。なお、得られた錠剤の口腔内での崩壊時間は、いずれも30秒以内であった。
【0058】
【表7】
【0059】
表7に示す通り、流動化剤を配合しない処方(比較例3)に対し、混合部に流動化剤を配合(比較例4)することで排出圧の低下が認められた。また、造粒物を流動化剤で被覆(実施例)することで、更に排出圧が低下した。この効果は一般的な流動化剤である軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素およびメタケイ酸アルミン酸マグネシウムのいずれにおいても認められた(比較例4vs実施例4、比較例5vs実施例6、比較例6vs実施例7、比較例7vs実施例8)。また、流動化剤の配合量は有効成分に対して少なくとも0.1~1.0%の間で効果が認められた(比較例3・4vs実施例3~5)。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明錠剤は、その製造時に打錠障害を抑制して製造しうるから、医薬品産業において有用である。