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特開2023-102937無線通信システム、無線受信装置、無線送信装置、及び無線通信方法
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  • 特開-無線通信システム、無線受信装置、無線送信装置、及び無線通信方法 図1
  • 特開-無線通信システム、無線受信装置、無線送信装置、及び無線通信方法 図2
  • 特開-無線通信システム、無線受信装置、無線送信装置、及び無線通信方法 図3
  • 特開-無線通信システム、無線受信装置、無線送信装置、及び無線通信方法 図4
  • 特開-無線通信システム、無線受信装置、無線送信装置、及び無線通信方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102937
(43)【公開日】2023-07-26
(54)【発明の名称】無線通信システム、無線受信装置、無線送信装置、及び無線通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 56/00 20090101AFI20230719BHJP
【FI】
H04W56/00 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003700
(22)【出願日】2022-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】松川 朋樹
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA13
5K067AA42
5K067DD25
5K067EE02
5K067EE10
(57)【要約】
【課題】簡単な方法によって、基準となる無線フレームの位置を特定する。
【解決手段】無線通信システムであって、フレームを用いて通信する無線送信装置と無線受信装置とを備え、前記無線受信装置は、受信したフレームに含まれる同期ワードを検出し、前記検出された同期ワードによって基準となるフレームを特定し、前記特定されたフレームに同期して送信タイミングを制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信システムであって、
フレームを用いて通信する無線送信装置と無線受信装置とを備え、
前記無線受信装置は、
受信したフレームに含まれる同期ワードを検出し、
前記検出された同期ワードによって基準となるフレームを特定し、
前記特定されたフレームに同期して送信タイミングを制御することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の無線通信システムであって、
前記フレームは、所定数の前記フレームを含むスーパーフレームに纏められており、
前記スーパーフレーム内では、先頭フレームと前記先頭フレームに後続する後続フレームとに異なる同期ワードが割り当てられており、
前記無線受信装置は、前記先頭フレームに割り当てられる同期ワードによって、前記スーパーフレームに同期することを特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
請求項2に記載の無線通信システムであって、
前記スーパーフレームは、所定数の前記スーパーフレームを含むスーパーフレーム群に纏められており、
前記スーパーフレーム群内では、先頭スーパーフレーム内のフレームと前記先頭スーパーフレームに後続する後続スーパーフレーム内のフレームとに異なる同期ワードが割り当てられており、
前記無線受信装置は、前記先頭スーパーフレーム内の先頭フレームに割り当てられる同期ワードによって、前記スーパーフレーム群に同期することを特徴とする無線通信システム。
【請求項4】
請求項3に記載の無線通信システムであって、
前記先頭スーパーフレームの先頭フレームには第1の同期ワードが割り当てられており、
前記先頭スーパーフレームの後続フレームには第2の同期ワードが割り当てられており、
前記後続スーパーフレームの先頭フレームには第3の同期ワードが割り当てられており、
前記後続スーパーフレームの後続フレームには第4の同期ワードが割り当てられており、
前記無線受信装置は、前記第1の同期ワードによって、前記スーパーフレーム群内の先頭スーパーフレームの先頭フレームを検出することを特徴とする無線通信システム。
【請求項5】
請求項4に記載の無線通信システムであって、
前記無線受信装置は、前記第2の同期ワードを受信した後のフレームの前記第3の同期ワードによって、前記スーパーフレーム群内の後続スーパーフレームの先頭フレームを検出することを特徴とする無線通信システム。
【請求項6】
無線送信装置との間でフレームを用いて通信する無線受信装置であって、
前記無線送信装置との間で無線信号を受信する無線部と、
前記無線部が受信した無線信号に含まれる同期ワードを検出する同期ワード検出部と、
前記無線受信装置の動作を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、受信したフレームに含まれる同期ワードを検出し、前記検出された同期ワードによって基準となるフレームを特定し、前記特定されたフレームに同期して送信タイミングを制御することを特徴とする無線受信装置。
【請求項7】
無線受信装置との間でフレームを用いて通信する無線送信装置であって、
前記無線受信装置との間で無線信号を送信する無線部と、
前記無線部が送信する無線信号に含まれる同期ワードを生成する同期ワード生成部とを備え、
前記フレームは、所定数の前記フレームがスーパーフレームに纏められており、
前記同期ワード生成部は、前記無線受信装置が同期ワードによって前記スーパーフレームに同期するために、前記スーパーフレーム内で、先頭フレームと前記先頭フレームに後続する後続フレームとに異なる同期ワードを割り当てることを特徴とする無線送信装置。
【請求項8】
無線送信装置と無線受信装置との間でフレームを用いて通信する無線通信方法であって、
前記フレームは、所定数の前記フレームを含むスーパーフレームに纏められており、
前記無線通信方法は、
前記無線送信装置が、前記スーパーフレーム内で、先頭フレームと前記先頭フレームに後続する後続フレームとに異なる同期ワードを割り当ててフレームを送信し、
前記無線受信装置が、受信したフレームに含まれる同期ワードを検出し、前記検出された同期ワードによって基準となる先頭フレームを特定し、前記特定された先頭フレームに同期して送信タイミングを制御することを特徴とする無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムに関し、特に、移動局間でタイミングを生成できない移動無線システムにおいて、基地局の信号に基づいてタイミング同期を実現する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムの内、特にSCPC(Single Channel Per Carrier)方式では同報通信を行うのに適しており、1対多通信には利用しやすいが、1対1通信では利用しづらい。SCPCは、主に1対多通信で使用されるものの、例えば位置情報や動態情報において付加的に1対1通信を行うケースがある。移動局が定期的に位置情報を送信する場合、全ての移動局が同一の周波数を使用するSCPC方式では、移動局間で送信タイミングをずらす必要がある。移動局間でタイミングを同期するためには共通の諸元信号を基準とする必要があり、基地局から時刻情報を通知する、GPSなどの外部システムを諸元とする方法がある。
【0003】
本技術分野の背景技術として、以下の先行技術がある。特許文献1(特開2015-144408号公報)には、無線回線制御装置及び複数の基地局無線装置は、互いに同期したタイミングで動作し、無線回線制御装置は、複数の基地局無線装置に対して下り送信の開始指示を送信するにあたり、当該開始指示に付する下り送信の開始タイミングフレーム番号として、下り送信の開始指示の送信タイミングに対して当該無線回線制御装置と複数の基地局無線装置との間の伝送時間の最大値分の間隔を置いたフレーム番号を設定する無線通信システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-144408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したように、移動局間でタイミングを同期するためには共通の諸元信号を基準とする必要があるが、例えば、基地局から時刻情報を通知する、GPSなどの外部システムを諸元とする方法がある。基地局から時刻情報を通知する場合、時刻情報を基地局から定期的に送信するため、その分、ユーザデータの伝送に使用できるデータ量が小さくなる。特に狭帯域なシステムではデータ量の浪費は問題となる。また、GPSを諸元とする場合、移動局側にGPS受信機が必要となり、コストが高くなる。
【0006】
本発明は、同期ワードを用いて基準となる無線フレームの位置を特定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願において開示される発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。すなわち、無線通信システムであって、フレームを用いて通信する無線送信装置と無線受信装置とを備え、前記無線受信装置は、受信したフレームに含まれる同期ワードを検出し、前記検出された同期ワードによって基準となるフレームを特定し、前記特定されたフレームに同期して送信タイミングを制御することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一例の無線通信システムでは、前記フレームは、所定数の前記フレームを含むスーパーフレームに纏められており、前記スーパーフレーム内では、先頭フレームと前記先頭フレームに後続する後続フレームとに異なる同期ワードが割り当てられており、前記無線受信装置は、前記先頭フレームに割り当てられる同期ワードによって、前記スーパーフレームに同期することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一例の無線通信システムでは、前記スーパーフレームは、所定数の前記スーパーフレームを含むスーパーフレーム群に纏められており、前記スーパーフレーム群内では、先頭スーパーフレーム内のフレームと前記先頭スーパーフレームに後続する後続スーパーフレーム内のフレームとに異なる同期ワードが割り当てられており、前記無線受信装置は、前記先頭スーパーフレーム内の先頭フレームに割り当てられる同期ワードによって、前記スーパーフレーム群に同期することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一例の無線通信システムでは、前記先頭スーパーフレームの先頭フレームには第1の同期ワード(S1)が割り当てられており、前記先頭スーパーフレームの後続フレームには第2の同期ワード(S2)が割り当てられており、前記後続スーパーフレームの先頭フレームには第3の同期ワード(S3)が割り当てられており、前記後続スーパーフレームの後続フレームには第4の同期ワード(S4)が割り当てられており、前記無線受信装置は、前記第1の同期ワード(S1)によって、前記スーパーフレーム群内の先頭スーパーフレームの先頭フレームを検出することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一例の無線通信システムでは、前記無線受信装置は、前記第2の同期ワード(S2)を受信した後のフレームの前記第3の同期ワード(S3)によって、前記スーパーフレーム群内の後続スーパーフレームの先頭フレームを検出することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一例の無線受信装置は、無線送信装置との間でフレームを用いて通信する無線受信装置であって、前記無線送信装置との間で無線信号を受信する無線部と、前記無線部が受信した無線信号に含まれる同期ワードを検出する同期ワード検出部と、前記無線受信装置の動作を制御する制御部とを備え、前記制御部は、受信したフレームに含まれる同期ワードを検出し、前記検出された同期ワードによって基準となるフレームを特定し、前記特定されたフレームに同期して送信タイミングを制御することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の一例の無線送信装置は、無線受信装置との間でフレームを用いて通信する無線送信装置であって、前記無線受信装置との間で無線信号を送信する無線部と、前記無線部が送信する無線信号に含まれる同期ワードを生成する同期ワード生成部とを備え、前記フレームは、所定数の前記フレームがスーパーフレームに纏められており、前記同期ワード生成部は、前記無線受信装置が同期ワードによって前記スーパーフレームに同期するために、前記スーパーフレーム内で、先頭フレームと前記先頭フレームに後続する後続フレームとに異なる同期ワードを割り当てることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の一例の無線通信方法は、無線送信装置と無線受信装置との間でフレームを用いて通信する無線通信方法であって、前記フレームは、所定数の前記フレームを含むスーパーフレームに纏められており、前記無線通信方法は、前記無線送信装置が、前記スーパーフレーム内で、先頭フレームと前記先頭フレームに後続する後続フレームとに異なる同期ワードを割り当ててフレームを送信し、前記無線受信装置が、受信したフレームに含まれる同期ワードを検出し、前記検出された同期ワードによって基準となる先頭フレームを特定し、前記特定された先頭フレームに同期して送信タイミングを制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様によれば、同期ワードを用いた簡単な方法によって、基準となる無線フレームの位置を特定できる。前述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例の無線通信装置(移動局)の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施例の無線通信装置が使用するフレームの構成図である。
図3】本発明の実施例のフレームカウンタの関係を示す図である。
図4】本発明の実施例のカウンタ初期同期処理のフローチャートである。
図5】本発明の実施例の無線通信装置(基地局)の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の実施例の無線通信装置(移動局)の構成を示すブロック図である。
【0018】
本実施例の無線通信装置(移動局)は、無線部1、同期ワード検出部2、カウンタ同期部3、カウンタ部4、送信データ生成部5、制御部6、及び不揮発性記憶領域(図中、不揮発領域)7を有する。
【0019】
無線部1は、他の無線通信装置(基地局)との間で無線信号を送受信する無線送受信機である。同期ワード検出部2は、無線部1が受信した無線信号に含まれる同期ワードを検出する。カウンタ同期部3は、同期ワード検出部2が検出した同期ワードを用いてカウンタ同期を行い、無線信号の劣化などによって同期ワードの検出に失敗した場合でも、同期保護を行う。カウンタ部4は、フレームカウンタと、スーパーフレームカウンタと、スーパーフレーム群カウンタをカウントする。カウンタ部4は、所定回数連続して同期ワードを検出できなくなるまではカウントアップ処理を継続して実行するので、無線信号が不安定な環境において、再同期に必要な時間を低減できる。送信データ生成部5は、無線通信で送信すべきデータを生成する。制御部6は、無線通信装置(移動局)の動作を制御する。不揮発性記憶領域7は、制御部6が使用する動作タイミング(例えば、送信タイミング)を格納する。
【0020】
図2は、本発明の実施例の無線通信装置が使用するフレームの構成図である。
【0021】
無線通信装置(基地局と移動局)の間では、所定周期(例えば40ミリ秒周期)で無線フレームを送受信する。無線フレームの中にはデータの他、フレームタイミングを特定するための同期ワード(例えば、データ中に出現しないデータ配列)が含まれる。
【0022】
また、複数のフレームを束ねたスーパーフレームの構造が定義される。スーパーフレームによって一つのデータを複数のフレームに分割して送信でき、1フレームに収まらないデータをスーパーフレームに纏めて送信できる。スーパーフレームは、所定数(例えば80個)のスーパーフレームを含むスーパーフレーム群によって管理される。一つのスーパーフレームが720ミリ秒とすると、スーパーフレーム群の長さは57.6秒になる。
【0023】
ここで、スーパーフレームの先頭フレームと、先頭フレーム以外の後続フレームを区別する必要がある。例えば、スーパーフレームを18フレームで構成した場合、18フレーム全てを受信してデータを復号できるが、先頭フレームを識別できないと、データの纏まりの区切りを正しく認識できず、データを復号できないためである。そこで、先頭フレームと後続フレームで同期ワードを変えて、先頭フレームを識別する。同期ワードの検出後、次の先頭フレームの同期ワードを検出まで受信することによって、スーパーフレームの同期を確立できる。
【0024】
本実施例では、スーパーフレーム内の先頭フレームと後続フレームで同期ワードを変えるだけでなく、図2に示すように、スーパーフレーム群の先頭フレームと後続フレームで同期ワードを変えて、複数のスーパーフレームを束ねたスーパーフレーム群を形成する。
【0025】
例えば、図2に示すように、同期ワードは、S1からS4の4種類が準備されており、所定のルールに従って各スーパーフレームに配置される。スーパーフレーム群の先頭のスーパーフレーム内の先頭フレームに同期ワードS1を配置し、スーパーフレーム群の先頭のスーパーフレーム内の後続フレームに同期ワードS2を配置する。また、スーパーフレーム群の後続スーパーフレーム内の先頭フレームに同期ワードS3を配置し、スーパーフレーム群の後続スーパーフレーム内の後続フレームに同期ワードS4を配置する。すなわち、同期ワードS1、S2はスーパーフレーム群内の先頭スーパーフレームに割り当てられ、同期ワードS3、S4はスーパーフレーム群内の先頭スーパーフレーム以外の後続スーパーフレームに割り当てられる。また、同期ワードS1、S3はスーパーフレーム内の先頭フレームに割り当てられ、同期ワードS2、S4はスーパーフレーム内の後続フレームに割り当てられる。
【0026】
なお、本実施例では、スーパーフレーム群の先頭のスーパーフレーム内の後続フレームに同じ同期ワードS2を配置するが、後続フレームの同期ワードを異なるものにしてもよい。例えば、最初の後続フレームの同期ワードをS2-1とし、次の後続フレームの同期ワードをS2-2とし、n番目の後続フレームの同期ワードをS2-nとしてもよい。同様に、スーパーフレーム群の後続スーパーフレーム内の後続フレームに同じ同期ワードS4を配置するが、後続フレームの同期ワードを異なるものにしてもよい。例えば、最初の後続フレームの同期ワードをS4-1とし、次の後続フレームの同期ワードをS4-2とし、n番目の後続フレームの同期ワードをS4-nとしてもよい。
【0027】
そして、図3に示すように、スーパーフレーム群の先頭スーパーフレームからスーパーフレーム数を計数する積算カウンタであるスーパーフレーム群カウンタと、スーパーフレームの先頭フレームからスーパーフレーム内のフレーム数を計数する積算カウンタであるスーパーフレームカウンタを設け、スーパーフレーム群カウンタとスーパーフレームカウンタを組み合わせて、スーパーフレーム群内で一意のフレームカウンタを算出でき、スーパーフレーム群の先頭を認識でき、受信フレームのスーパーフレーム群内での位置を特定できる。これにより、各移動局は同一基地局と接続される他の移動局との間でタイミングを同期できる。また、フレーム単位で計数するフレームカウンタも設けられている。
【0028】
次に、図1図4を参照して、移動局が基地局から受信した無線信号の処理手順を説明する。
【0029】
同期ワード検出部2は、無線部1が受信した無線信号に含まれる同期ワードを検出し、受信した無線信号のフレームタイミングを特定する。
【0030】
次に、カウンタ同期部3は、同期ワード検出部2が検出した同期ワードから、図4の手順に従ってスーパーフレーム、スーパーフレーム群のカウンタ同期の初期同期を行う。
【0031】
まず、同期ワードがS1であるかを判定する(ステップ11)。同期ワードS1はスーパーフレーム群内の先頭スーパーフレームの先頭フレームに割り当てられる。このため、同期ワードがS1である場合、このフレームはスーパーフレーム群内の先頭スーパーフレームの先頭フレームなので、スーパーフレーム群カウンタ及びスーパーフレームカウンタを初期化する(ステップ14、ステップ15)。
【0032】
同期ワードがS1でない場合、同期ワードがS2であるかを判定する(ステップ12)。同期ワードS2はスーパーフレーム群内の先頭スーパーフレームの後続フレームに割り当てられる。このため、同期ワードがS2である場合、このフレームはスーパーフレーム群内の先頭スーパーフレームの後続フレームなので、S2検出フラグをONにする(ステップ16)。S2検出フラグによって、先頭スーパーフレームに後続するスーパーフレームを検出できる。そして、スーパーフレーム群カウンタを初期化し(ステップ17)、スーパーフレームカウンタを初期化する(ステップ15)。これにより、同期ワードS1を受信し損ねてもカウンタ同期の初期同期を行うことができる。
【0033】
同期ワードがS2でない場合、同期ワードがS3であるかを判定する(ステップ13)。同期ワードS3はスーパーフレーム群内の後続スーパーフレームの先頭フレームに割り当てられる。このため、同期ワードがS3である場合、このフレームはスーパーフレーム群内の後続スーパーフレームの先頭フレームである。そのため、S2検出フラグがONであるかを判定する(ステップ18)。ここでS2検出フラグがONである場合(ステップ18でY)、前スーパーフレームがスーパーフレーム群の先頭であるため、スーパーフレーム群カウンタに1を設定し(ステップ19)、S2検出フラグをOFFにし(ステップ20)、スーパーフレームカウンタを初期化する(ステップ15)。つまり、図3に示すように、同期ワードS3の検出タイミングでスーパーフレームカウンタが0に初期化され、同期ワードS2が検出された後の最初の同期ワードS3の検出タイミングでスーパーフレーム群カウンタが1に設定される(ステップ19)。
【0034】
一方、S2検出フラグがOFFである場合(ステップ18でN)、同期ワードS1、S2を検出していない状態であるため、スーパーフレームカウンタを初期化して(ステップ15)、カウンタ初期同期処理を終了する。
【0035】
また、同期ワードがS3でなかった場合(ステップ13のN)、同期ワードS4であるため、スーパーフレーム群カウンタ及びスーパーフレームカウンタを初期化することなく、カウンタ初期同期処理をそのまま終了する。
【0036】
以上の処理によって、カウンタ初期同期処理において同期ワードS1を受信できなくても、同期ワードS1に連続する同期ワードS2の受信によって、スーパーフレーム群カウンタを設定でき、カウンタ値を同期できる確率を向上できる。
【0037】
カウンタ同期部3が、カウンタ初期同期処理が完了した後、カウンタ部4が、図3に示す周期でフレームカウンタ、スーパーフレームカウンタ、及び、スーパーフレーム群カウンタのカウントアップ処理を実行する。
【0038】
制御部6は、得られた各種カウンタ値から送信タイミングを計算し、送信データを生成する。ここで、制御部6は、同期ワード検出部2が検出した同期ワードによって基準となるフレームを特定し、特定された基準となるフレームを検出して、該検出されたフレームに同期して移動局間で衝突しないように送信タイミングを定める。このため、定められた送信タイミングを予め不揮発性記憶領域7に設定する。また、基地局等から移動局に送信タイミングを設定してもよい。
【0039】
無線部1は、生成された送信データを計算された送信タイミングで基地局へ無線信号を送出する。
【0040】
このとき、制御部6は、スーパーフレーム群カウンタによって送信タイミングを計算してもよい。
【0041】
また、スーパーフレーム群カウンタとスーパーフレームカウンタから計算されるフレーム周期カウンタを用いて送信タイミングを計算してもよい。これは、スーパーフレームのフレーム数が予め定められた数であることから、下記の式によって計算できる。この場合、送信タイミングを細かく指定でき、データの送信効率を高めることができる。
フレーム周期カウンタ数=スーパーフレーム群カウンタ×スーパーフレーム数+スーパーフレームカウンタ
【0042】
図5は、本発明の実施例の無線通信装置(基地局)の構成を示すブロック図である。
【0043】
本実施例の無線通信装置(基地局)は、無線部31、同期ワード生成部32、送信データ生成部33、及び制御部34を有する。
【0044】
無線部31は、他の無線通信装置(移動局)との間で無線信号を送受信する無線送受信機である。同期ワード生成部32は、図2等を用いて上述するように、無線通信装置(移動局)が受信する無線信号に含まれる同期ワードを生成する。送信データ生成部33は、無線通信で送信すべきデータを生成する。制御部34は、無線通信装置(基地局)の動作を制御する。例えば、制御部34は、例えばGPS受信機または高精度な周波数発振器を備え、同期ワード生成部32が同期ワードS1~S4のいずれを生成するかを制御し、さらに、無線部31による無線信号の送信タイミングを制御する。
【0045】
ここまで、無線通信装置(基地局)を送信側、無線通信装置(移動局)を受信側として実施例を説明したが、送信側と受信側とは他の組み合わせでもよい。例えば、無線通信装置(移動局)を送信側、無線通信装置(基地局局)を受信側としてもよく、無線通信装置(移動局)を送信側、他の無線通信装置(移動局)を受信側としてもよい。
【0046】
以上に説明したように、本発明の実施例によると、複数種類の同期ワードを用いた簡単な方法によって、特別な装置を設けることなく、基準となる無線フレームの位置を特定できる。これにより、基準となる無線フレームからのフレーム数を同一基地局と接続される移動局間で一致でき、移動局間でタイミングを同期でき、他移動局と干渉せずにデータを送信できる。また、無線フレームの同期に必要な同期ワードを用いるので、フレーム同期のための特別なデータを挿入する必要がなく、転送できるデータ量へ影響せずに、基準となる無線フレームの位置を特定できる。
【0047】
なお、本発明は前述した実施例に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲の趣旨内における様々な変形例及び同等の構成が含まれる。例えば、前述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに本発明は限定されない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えてもよい。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えてもよい。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をしてもよい。
【0048】
また、前述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により、ハードウェアで実現してもよく、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。
【0049】
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に格納することができる。
【0050】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、実装上必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてよい。
【符号の説明】
【0051】
1、31 無線部
2 同期ワード検出部
3 カウンタ同期部
4 カウンタ部
5、33 送信データ生成部
6、34 制御部
7 不揮発性記憶領域
32 同期ワード生成部
図1
図2
図3
図4
図5