(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102955
(43)【公開日】2023-07-26
(54)【発明の名称】スクレーパコンベヤ
(51)【国際特許分類】
B65G 19/10 20060101AFI20230719BHJP
B65G 43/02 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
B65G19/10
B65G43/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003731
(22)【出願日】2022-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】592028031
【氏名又は名称】日本省力機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154092
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 一宏
(72)【発明者】
【氏名】辰村 周平
(72)【発明者】
【氏名】辰村 創平
【テーマコード(参考)】
3F013
3F027
【Fターム(参考)】
3F013BA01
3F013BB05
3F013BB12
3F013BB14
3F013BC05
3F013BC11
3F013BC13
3F027AA04
3F027CA07
3F027DA24
3F027EA09
3F027FA02
(57)【要約】
【課題】 コンベヤのチェーンに掛かる張力を測定することで、コンベヤの運転の見える化、故障の予知、運転の支援、省力化、脱炭素及びチェーンのテークアップの張り調整に対応できるスクレーパコンベヤを提供するものである。
【解決手段】 底板を有するケーシング11と、ケーシング11内に設けられた駆動軸1と、駆動軸1の回転を受け従動して回転する従動軸2と、駆動軸1から従動軸2に連接される回転を伝達するコンベヤチェーン10R、10Lとコンベヤチェーンに取り付けられたスクレーパ9がケーシング内を循環走行して搬送物を搬送するスクレーパコンベヤにおいて、駆動軸1にロードセル23R、23L、張力表示器25、記録装置26、データ解析装置27、運転支援装置28、スクレーパ検出器29、振動検出器30を設けたスクレーパコンベヤとした。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板を有するケーシングと、前記ケーシング内に設けた駆動軸と、前記駆動軸の回転を受け従動して回転する従動軸と、前記駆動軸から前記従動軸に連接される回転を伝達する左右のコンベヤチェーンと、前記左右のコンベヤチェーンに取り付けられ、搬送物を前記底板に沿って搬送するスクレーパと、からなるスクレーパコンベヤにおいて、
前記駆動軸に減速機付きモーターを取り付け、
前記駆動軸を完全同期運転させることで、左右のコンベヤチェーンを同期させ、前記スクレーパを搬送方向に対して平行に動かすことができると共に、
前記駆動軸を回転制御し、
前記駆動軸にロードセルを取り付け、前記左右のコンベヤチェーンに掛かる荷重と前記減速機付きモーターに掛かる荷重とを測定することができることを特徴とするスクレーパコンベヤ。
【請求項2】
前記ロードセルによる前記左右のコンベヤチェーンに掛かる荷重と前記減速機付きモーターに掛かる荷重との測定した値に基づき、前記左右のコンベヤチェーンに掛かる張力を導き出すことを特徴とする請求項1記載のスクレーパコンベヤ。
【請求項3】
前記左右のコンベヤチェーンに掛かる張力を表示する張力表示器を設けたことを特徴とする請求項2記載のスクレーパコンベヤ。
【請求項4】
前記左右のコンベヤチェーンに掛かる張力を記録する記録装置を設けたことを特徴とする請求項2又は請求項3記載のスクレーパコンベヤ。
【請求項5】
前記左右のコンベヤチェーンに掛かる張力の数値に基づき、張力のデータを解析し、チェーンの取換時期、チェーンの状態を把握することができるようにデータ解析装置を設けたことを特徴とする請求項2から請求項4のいずれかに記載のスクレーパコンベヤ。
【請求項6】
前記記録装置に記録された張力のデータ及び前記データ解析装置により解析された結果をインターネット回線、WiFiルーターを用いて、パソコン又はスマートフォンに転送することができることを特徴とする請求項2から請求項5のいずれかに記載のスクレーパコンベヤ。
【請求項7】
前記左右のコンベヤチェーンに掛かる張力のデータ及び前記データ解析装置により解析された結果を基に、チェーン張力が上限値を超えた場合に、前記スクレーパと底板との間に搬送物が噛み込んだと判断し、スクレーパを正転逆転運転させることができる運転支援装置を設けたことを特徴とする請求項2から請求項6のいずれかに記載のスクレーパコンベヤ。
【請求項8】
前記左右のコンベヤチェーンに掛かる張力を監視することにより、コンベヤの始動時及び運転中における安全装置を有することを特徴とする請求項2から請求項7のいずれかに記載のスクレーパコンベヤ。
【請求項9】
前記左右のコンベヤチェーンに掛かる張力の変化により、インバータを用いた変速機でスクレーパの速度を変えて運転することができることを特徴とする請求項2から請求項8のいずれかに記載のスクレーパコンベヤ。
【請求項10】
前記駆動軸を正転、停止、逆転させることにより、前記左右のコンベヤチェーンの張力を測定し、前記左右のコンベヤチェーンの延びを算出し、前記左右のコンベヤチェーンをテークアップする調整が所定の設定通りにできることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載のスクレーパコンベヤ。
【請求項11】
底板を有するケーシングと、前記ケーシング内に設けた駆動軸と、前記駆動軸の回転を受け従動して回転する従動軸と、前記駆動軸から前記従動軸に連接される回転を伝達する左右のコンベヤチェーンと、前記左右のコンベヤチェーンに取り付けられ、搬送物を前記底板に沿って搬送するスクレーパと、からなるスクレーパコンベヤにおいて、
前記駆動軸に減速機付きモーターを取り付け、
前記駆動軸を完全同期運転させることで、左右のコンベヤチェーンを同期させ、前記スクレーパを搬送方向に対して平行に動かすことができ、
前段機器から搬送物が落ちてくる位置に復路側の前記スクレーパを停止させないためにスクレーパ検知器を設けたことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれかに記載のスクレーパコンベヤ。
【請求項12】
前記前段機器から搬送物が落ちてくる位置より手前に往路側の前記スクレーパを停止させることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれかに記載のスクレーパコンベヤ。
【請求項13】
前記ケーシングの底部の前記前段機器から搬送物が落ちてくる位置に、搬送物が落ちてきたことを検知する振動検知器を設けたことを特徴とする請求項1から請求項12のいずれかに記載のスクレーパコンベヤ。
【請求項14】
前記振動検出器による搬送物の検知に基づき、スクレーパコンベヤを間欠運転させることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれかに記載のスクレーパコンベヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクレーパコンベヤに関するものである。
【0002】
近年、人工知能等を活用した「見える化」や「運転支援システム」の導入が進み、今までの「運ぶ」だけのコンベヤから、どのような状態で運転、運搬されているかが判る「運転の見える化」、「故障の予知」、「運転の支援」、「省力化」、「脱炭素」及び「テークアップの張り調整」に対応できるコンベヤに関するものである。
【0003】
スクレーパコンベヤのコンベヤチェーンに掛かる荷重を測定し、コンベヤチェーンの張力を測定し、測定した張力を表示するとともに、回転制御及び間欠運転を適切に行うことができるスクレーパコンベヤに関するものである。
【0004】
また、測定した張力に基づき、チェーンをテークアップすることにより、適切な張力となるよう調整することができるスクレーパコンベヤに関するものである。
また、測定した張力に基づき、搬送物の有無、量等を推定することもできるようになり、効率的な搬送を図れるものである。
【0005】
また、スクレーパの位置検出器を設けることにより、前段機器から搬送物を落下させる位置の調整が図られ、また、ケーシングの底部に振動検知器を設けることにより、搬送物の投下を感知し、それに基づき、スクレーパコンベヤを間欠運転させて、スクレーパコンベヤの省エネルギー化を図りつつ駆動させることのできるスクレーパコンベヤに関するものである。
【背景技術】
【0006】
従来、コンベヤによる搬送の場合、コンベヤ内を見ることができず、搬送物の量、搬送状態、コンベヤの駆動状態等を見ることができず、コンベヤの運転を把握することが難しかった。
このため、チェーン張力を測ることにより、コンベヤ内での運転の見える化を図り、チェーンの摩耗、レールの変形等も予測でき、部品の取替え時期の計画等もできるようにする。
【0007】
また、焼却場で用いられるコンベヤの場合、搬送物に金属片、石等の固形物が家庭ゴミに混じっており、焼却後の灰にこれらがそのまま混じり、スクレーパコンベヤのスクレーパと底板との間に噛み込みを起こすことが多く、その場合に、スクレーパコンベヤを止めて確認するなど、24時間運転の場合には、夜間にトラブルが起こる場合もあり、手動でスクレーパコンベヤを正転逆転して正常な運転に復旧しなければならない等の作業が必要であった。
また、コンベヤにおいて、チェーンの延びを測定することによって、テークアップを行っていたが、延びの度合いを検出することが難しく、作業者の感に頼って調整することが多かった。
【0008】
また、チェーンの延びを測定して調整することも考えられるが、ケーシングの中にあるチェーンの長さを測定することは非常に困難であった。
チェーンのたるみについては、コンベヤの形状によって異なり、コンベヤの水平度合い、コンベヤ自体の長さが長い場合、コンベヤの傾斜の有無、傾斜の角度が大きい場合など、多様なコンベヤがあり、それぞれのコンベヤの形状に応じたチェーンのたるみを正確に把握しづらく、また、正確に把握できていない場合も多々あった。
【0009】
チェーンのたるみ具合の基準も不明確な点があり、実際の現場においてはチェーンの調整に困っていた。
チェーンのたるみがゆるみ過ぎるとレールにチェーンが引っ掛かり、レールを曲げてしまうことや、チェーンが破断するなどの事故につながることもあった。
【0010】
一方、チェーンを張り過ぎるとチェーンの摩耗が進み、逃げ代がないため搬送物との挟まりが増える、など、コンベヤのメンテナンス、寿命に大きく関わることも多かった。
また、ごみ焼却場の場合、投入口から搬送物が間欠的に落ちてくることが多く、常時稼働させているよりも、搬送物が投入された時にのみ稼働させることで、コンベヤによる搬送も省力エネルギー化を図ることが課題としてあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2021-172480 チェーンコンベア、焼却施設、溶融施設 この文献には、運転中に左右のチェーンの伸びの差を検出するために、左右一対の距離センサと、距離センサの測定結果に基づいて隣り合うフライト間の距離を左右2箇所で算出し、算出結果から左右一対のチェーンの伸びの差を算出する構成となっている。 この文献によれば、左右のチェーンの伸びを測定するのみであり、チェーンに掛かる張力を考慮されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
コンベヤによる搬送の場合の搬送物の量、搬送状態、コンベヤの駆動状態等を見ることができるようにし、コンベヤの運転を把握できるようにする。
そのために、チェーン張力を測ることにより、コンベヤ内での運転の見える化を図り、チェーンの摩耗、レールの変形等も予測でき、部品の取替え時期の計画等もできるようにする。
【0013】
また、スクレーパコンベヤのスクレーパと底板との間に噛み込みを起こした場合に、自動でスクレーパコンベヤを正転逆転運転して正常な運転に復旧できるようにする。
また、左右のコンベヤチェーンに掛かる張力の変化を把握することで、コンベヤチェーンのたるみを把握し、従動軸のテークアップ装置でチェーンへ適切な張りを調整することを容易にする。
【0014】
さらに、コンベヤの駆動を制御することにより、省エネルギー化を図り、チェーン、レール、スプロケット等の摩耗を少なくすることができ、ランニングコストを下げ、脱炭素に寄与することができる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
第1発明として、底板を有するケーシングと、前記ケーシング内に設けた駆動軸と、前記駆動軸の回転を受け従動して回転する従動軸と、前記駆動軸から前記従動軸に連接される回転を伝達する左右のコンベヤチェーンと、前記左右のコンベヤチェーンに取り付けられ、搬送物を前記底板に沿って搬送するスクレーパと、からなるスクレーパコンベヤにおいて、前記駆動軸に減速機付きモーターを取り付け、前記駆動軸を完全同期運転させることで、左右のコンベヤチェーンを同期させ、前記スクレーパを搬送方向に対して平行に動かすことができると共に、前記駆動軸を回転制御し、前記駆動軸にロードセルを取り付け、前記左右のコンベヤチェーンに掛かる荷重と前記減速機付きモーターに掛かる荷重とを測定することができるスクレーパコンベヤとした。
【0016】
第2発明として、前記ロードセルによる前記左右のコンベヤチェーンに掛かる荷重と前記減速機付きモーターに掛かる荷重との測定した値に基づき、前記左右のコンベヤチェーンに掛かる張力を導き出すスクレーパコンベヤとした。
【0017】
第3発明として、前記左右のコンベヤチェーンに掛かる張力を表示する張力表示器を設けたスクレーパコンベヤとした。
【0018】
第4発明として、前記左右のコンベヤチェーンに掛かる張力を記録する記録装置を設けたスクレーパコンベヤとした。
【0019】
第5発明として、前記記録装置に記録された張力の数値に基づき、張力のデータを解析し、チェーンの取換時期、チェーンの状態を把握することができるようにデータ解析装置を設けたスクレーパコンベヤとした。
【0020】
第6発明として、前記記録装置に記録された張力のデータ及び前記データ解析装置により解析された結果をインターネット回線、WiFiルーターを用いて、パソコン又はスマートフォンに転送することができるスクレーパコンベヤとした。
【0021】
第7発明として、前記左右のコンベヤチェーンに掛かる張力のデータ及び前記データ解析装置により解析された結果を基に、チェーン張力が上限値を超えた場合に、前記スクレーパと底板との間に搬送物が噛み込んだと判断し、スクレーパを正転逆転運転することができる運転支援装置を設けたスクレーパコンベヤとした。
【0022】
第8発明として、前記左右のコンベヤチェーンに掛かる張力を監視することにより、コンベヤの始動時及び運転中における安全装置を有するスクレーパコンベヤとした。
【0023】
第9発明として、前記左右のコンベヤチェーンに掛かる張力の変化により、インバータを用いた変速機でスクレーパの速度を変えて運転することができるスクレーパコンベヤとした。
【0024】
第10発明として、前記駆動軸を正転、停止、逆転させることにより、前記左右のコンベヤチェーンの張力を測定し、前記左右のコンベヤチェーンの延びを算出し、前記左右のコンベヤチェーンをテークアップする調整が所定の設定通りにできるスクレーパコンベヤとした。
【0025】
第11発明として、 底板を有するケーシングと、前記ケーシング内に設けた駆動軸と、前記駆動軸の回転を受け従動して回転する従動軸と、前記駆動軸から前記従動軸に連接される回転を伝達する左右のコンベヤチェーンと、前記左右のコンベヤチェーンに取り付けられ、搬送物を前記底板に沿って搬送するスクレーパと、からなるスクレーパコンベヤにおいて、前記駆動軸に減速機付きモーターを取り付け、前記駆動軸を完全同期運転させることで、左右のコンベヤチェーンを同期させ、前記スクレーパを搬送方向に対して平行に動かすことができ、前段機器から搬送物が落ちてくる位置に前記スクレーパを停止させないためにスクレーパ検知器を設けたスクレーパコンベヤとした。
【0026】
第12発明として、前記前段機器から搬送物が落ちてくる位置より手前に往路側の前記スクレーパを停止させ、投入シュートの真下に前記スクレーパがいないスクレーパコンベヤとした。
【0027】
第13発明として、前記ケーシングの底部の前記前段機器から搬送物が落ちてくる位置に、搬送物が落ちてきたことを検知する振動検知器を設けたスクレーパコンベヤとした。
【0028】
第14発明として、前記振動検出器による搬送物の検知に基づき、スクレーパコンベヤを間欠運転させるスクレーパコンベヤとした。
【発明の効果】
【0029】
本発明により、張力の測定値データに基づき、搬送物の有無、量等を推定できることで、「運転の見える化」を実現することができる。
また、張力の測定値データの基づき、スクレーパコンベヤの動きを間欠運転や速度を遅くした運転が自動で制御でき、省エネルギー化を図れる。
さらに、チェーン、レール、スプロケットの摩耗を少なくすることができ、スプロケットの摩耗を少なくすることで、部品の取替え回数が減り、部品の長寿命により、製作する部品の数を減らすことでき、脱炭素が図れる。
【0030】
さらに、本発明により、スクレーパコンベヤのチェーンに掛かる張力を測定し、その張力を記録し、張力の数値に基づき、張力のデータを解析することで、スクレーパコンベヤのスクレーパと底板との噛み込みを把握でき、駆動軸の正転逆転を自動で行い、正常な運転に自動で復旧することができる運転支援が図れ働き方改革にも貢献できるようになる。
【0031】
さらに、本発明により、スクレーパコンベヤのチェーンに掛かる張力を測定し、その張力を記録し、張力の数値に基づき、張力のデータを解析し、チェーンの取換時期、チェーンの状態を把握することができるようになる。また、張力の測定に基づき、チェーンの延びを算出し、コンベヤチェーンをテークアップする調整の目安とすることができる。
【0032】
また、搬送物の落下を検知し、コンベヤを間欠運転させることができ、ランニングコストを下げ、Co2削減に寄与することができる。
更に、前段機器からの搬送物の投下をスクレーパコンベヤの復路側のスクレーパに乗りかかることを防止することにより、ケーシングの端に搬送物が溜まらないようにすることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図3】本発明のスクレーパコンベヤの駆動軸部分の正面説明図
【
図4】本発明のスクレーパコンベヤのコンベヤチェーンとスクレーパとの連接を示す平面説明図
【
図5】本発明のスクレーパコンベヤのコンベヤチェーンとスクレーパとの連接を示す平面説明図
【
図6】本発明のスクレーパコンベヤのケーシング内におけるスクレーパの状態を示す断面説明図
【
図7】本発明のスクレーパの位置と搬送物の落下との関係を説明する図
【
図8】本発明のスクレーパの位置と搬送物の落下との関係を説明する図
【
図9】本発明のスクレーパの位置と搬送物の落下との関係を説明する図
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
図1、
図2及び
図3は、本発明のスクレーパコンベヤについての説明図である。本発明のスクレーパコンベヤの他に、フライトコンベヤ、エプロンコンベヤ、バケットエレベーター、スラットコンベヤ等の左右の2条のコンベヤチェーンによって駆動するコンベヤにも対応することができるようになっている。
【0035】
図1において、1は、駆動軸であり、ケーシング内に設けている。以下の各符号に付したRは右側、Lは左側を示す。2は、従動軸であり、駆動軸1からの駆動にしたがってコンベヤチェーンを介して回転する軸である。この従動軸2は、駆動軸1からの駆動を受けて従動して回転する。3R、3Lは、ヘッドスプロケットであり、駆動軸1の左右に対応している。4は、テールスプロケットであり、ヘッドスプロット3R、3Lのそれぞれに対応し、駆動軸1の駆動を従動軸2に伝える役割をする。
【0036】
5は、ヘッド側チェンホイルであり、駆動軸1を駆動させるために、減速機付きモーターからの動力を、モーター側チェンホイル6を介して伝えるように構成されている。
【0037】
7R、7Lは、ヘッドベアリングであり、駆動軸1を滑らかに回転させるように設けられている。
8は、テールベアリングであり、従動軸2を滑らかに回転させるように設けられている。
【0038】
図2、
図3において、9は、スクレーパであり、搬送物を搬送するものである。このスクレーパ9は一定間隔で複数個設けられている。10(10R、10L)は、コンベヤチェーンであり、スクレーパ9を動かす駆動軸1の回転を従動軸2に伝える役割をする。
【0039】
11は、ケーシングであり、搬送物の搬送路である。12は、底板であり、ケーシング11の底部に設けられた板である。13は、レールであり、コンベヤチェーン10R、10Lを導き、スクレーパ9により搬送物を搬送する。
【0040】
図4、
図5において、スクレーパ9とコンベヤチェーン10R、10Lの連接関係を示した。
図4、
図5に矢印にて、スクレーパ9の進行方向を示している。
【0041】
図6において、13R、13Lは、レールであり、コンベヤチェーン10R、10Lの軌道になるものである。14R、14Lは、ガイド板であり、搬送物を投入する際に導くものである。
【0042】
図2において、15は、ヘッド架台、16は、脚である。
17は、投入シュートで、搬送物をケーシング11内に投入し、スクレーパ9により排出シュート18まで搬送されるようになっている。
図1に示したように、19は、減速機付きモーターであり、モーター側チェンホイル6及びヘッド側チェンホイル5を介して駆動軸1を駆動させるようになっている。20は、モーターベース、21は、チェンカバーである。22は、ローラーチェーンである。
【0043】
図1において、23R、23Lは、ヘッドベアリング7R、7Lに設けたロードセルである。このロードセル23R、23Lを利用し、ヘッド軸の自重などを除いた数式計算をすることで、駆動軸1のヘッドベアリング7R、7Lの荷重をそれぞれ測定することができるようになっている。
図2において、24は搬送物を示す。
【0044】
減速機付きモーター19から発生するパワーはローラーチェーン22でヘッド軸に伝えられ、ロードセル23R、23Lを利用することで、モーターに係る負荷を判別することにより、左右のコンベヤチェーンの張力の違いを判別することができるようになる。また、左右のそれぞれの負荷の状況を記録することによって、搬送物が挟まった時などの時刻を知ることもできるようになっている。
【0045】
さらに、例えば右側(R側)において、スクレーパと底板との間に固形の搬送物が挟まり、トリップした場合にあっても、ロードセル23R、23Lを利用することで、右側か左側かの判定が可能となる。
【0046】
また、ロードセルを駆動軸1の右側か左側の一方にのみ取り付けることもできる。この場合、モーターの電力値を測定し、負荷を計測できる。例えば、モーターの負荷を含んで計算すれば可能である。左右のチェーンの判別を力学的計算により判定が可能である。
【0047】
チェーンの張力を左右別々に計測することで、運転記録を残すことができ、異常の発生した時期、チェーンが仮に切断されるような事態が生じた時期、等の情報を入手でき、事故の発生を未然に把握し、解決する手段の検討もすることもできるようになる。
【0048】
本発明では、ロードセル23R、23Lを利用することで、コンベヤチェーンの左右のどちら側に問題が生じているかが判るようになっている。
【0049】
図2において、ロードセル23R、23Lの値から計算したチェーンの張力を表示できる張力表示器25を取り付ける。
この張力表示器25の表示に基づき、チェーンの張力を調整し、テークアップを行えるようになっている。
【0050】
張力表示器25では、チェーン張力をリアルタイムで表示することができる。
張力表示器25には、下記の表示を行うようにする。
(1)左右のチェーン張力の値
(2)設定された正常範囲にチェーン張力があることの表示
(3)設定されたチェーン張力1の上限値を超えた場合の表示
(4)設定されたチェーン張力2の上限値を超えた場合の表示(噛み込みと認定)
【0051】
また、26は記録装置であり、前記張力表示器25に表示された張力を記録するものである。例えば、記録装置26としてSDカード等により記録し、測定された張力を複数年記録して保存することもできる。
記録装置26には、下記のデータを記録する。
(1)左右のロードセルの値
(2)左右のチェーン張力の値
(3)設定された正常範囲にチェーン張力があることの表示
(4)設定されたチェーン張力1の上限値を超えた場合の表示
(5)設定されたチェーン張力2の上限値を超えた場合の表示(噛み込みと認定)
【0052】
27はデータ解析装置であり、前記記録装置26に記録された張力の数値に基づき、張力のデータを解析し、チェーンの取換時期、チェーンの状態を把握することができるようになっている。
前記記録装置26の記録をパソコンに取り込み(例えば、SDカード)、数値のグラフ化、他のコンベヤのデータとの比較、上限値を超えたチェーン張力の発生状況、等、多角的にデータを分析してチェーンの張力の変化を長期的に記録し、分析することができる。
【0053】
また、前記記録装置26に記録された張力のデータ及び前記データ解析装置27により解析された結果をインターネット回線、WiFiルーターを用いて、パソコン、スマートフォンに転送することができる。
28は運転支援装置であり、チェーン張力が上限値を超えた場合に、スクレーパと底板との間に搬送物が噛み込んだと判断し、スクレーパを正逆運転することで、噛み込みを外すことができるようにする。また、張力の値の大小を把握することで、搬送物の量を推定し、スクレーパの運転を搬送物の量に応じて間欠運転とし、省エネを図ることができるようになっている。
【0054】
また、左右のコンベヤチェーンに掛かる張力を常時監視することにより、左右のばらつき等についても分析、原因の究明等ができるようになる。
具体的には、チェーン張力は、
(1) 直近1秒間の平均
(2) 1分間の平均、最大値、最小値
(3) 1時間の平均、最大値、最小値
(4) 一日の平均、最大値、最小値
を取り、左右の張力の記録を残し、また、アラーム履歴のデータも残すことができる。
また、このデータを解析することにより、トラブル発生時期の推測や場所の特定に繋げコンベヤのより良い改良を図ることができるようになる。
また、コンベヤの経年変化が監視できる。
【0055】
コンベヤチェーンの摩耗、搬送物の付着などで、摩擦が増大し、張力が変化すると考えられ、監視装置の長期の運用でのデータ蓄積をすることで、将来的な運用を図ることができ、現場の人員の削減に役立てることができる。
【0056】
異物が噛み込むことでトリップが発生した場合、自動で正逆運転を繰り返し、復旧動作をコンベヤ制御で行うことで、コンベヤの運転支援を行う。
その際、噛み込み時には、左右どちらのチェーン張力が大きかったかが判るため、原因の究明も容易になる。
【0057】
更に、記録装置26、データ解析装置27のデータを、WiFiの設定をおこなうことで、遠隔での監視、スマートフォンなどで運転データを簡単に入手することができるようになる。
【0058】
また、左右のコンベヤチェーンに掛かる張力のデータ及びデータ解析装置により解析された結果を基に、チェーン張力が上限値を超えた場合に、スクレーパと底板との間に搬送物が噛み込んだと判断し、スクレーパを正転逆転運転することができる運転支援装置28とすることができる。
さらに、運転支援装置28を用いることで、正転運転、逆転運転を1週間に1回自動で行うプログラムをすることで、テークアップ調整のお知らせ機能をも持たせることができる。
【0059】
また、左右のコンベヤチェーンに掛かる張力を監視することにより、コンベヤの始動時及び運転中における安全装置とすることができる。
一般的なコンベヤの安全装置では、シャーピン式、トルクリミッター式、電力検出、電流検出がある。
シャーピン式では、シャーピンの切断すると復旧に時間がかかる。また、トルクリミッター式の場合では、すべりにより運転が止まってしまうので、噛み込みなどではそれ以上の負荷が掛けられないこととなる。
【0060】
また、電力検出、電流検出では、その値から安全装置の設定をしているが、誘導電動機の性質上、起動時は始動電流(定格の3倍くらい)が流れるため、電流値、電力で安全設定をしている場合、スタート時に安全装置が働くことから、スタートタイムを設けて、始動時、設定時間内は安全装置が作動しないようにしている。
一般にコンベヤでは、安全装置として電流値を監視するのが標準ではあるが、誘導電動機の始動電流を避けるために、スタート時は始動電流を無視する時間が必要であり、おおよそ2秒くらいの設定をしている。
【0061】
このため、始動時に安全装置がない状態になるため、始動時にコンベヤを壊す可能性がある。
本発明によれば、チェーン張力を張力で監視しているため、始動時から運転中においても安全装置として働かせることができ、スタートタイムでのトラブルも防止することができるようになっている。
また、左右のコンベヤチェーンに掛かる張力の変化により、インバータを用いた変速機でスクレーパの速度を変えて運転することができることで、省エネルギー化を図れる。
【0062】
さらに、ロードセル23R、23Lによるチェーン張力の測定によるチェーン張力の測定値に基づき、チェーンの張力の調整を行うために、テークアップをする。
コンベヤチェーンの伸びの調整方法は下記の通りである。
【0063】
通常、コンベヤチェーンの伸びは、テール部のテークアップ装置に付属しているねじを回して調整する。
チェーンの伸びの程度、チェーンの張力の程度の調整は、目安が判りずらく、作業者の感覚で行っているのが現状である。
【0064】
駆動用のローラーチェーンは、チェーンホイルが2ヶ所で配置もシンプルであり、見やすく、たるみも判りやすいことから、これについての指針は存在する。
しかし、コンベヤの場合は、直線がない場合が多く、ケースに入っていたり、蓋もされている場合が多いこと、などの理由で簡単に対処することができなかった。
【0065】
コンベヤを常に良好な状態で使用するためにテークアップを付ける必要がある。調整長さは、通常、チェーンの1.5から2ピッチ位を目安とすることが多い。
チェーンの張りは強くなり過ぎないように適当なたるみを持たせておくことが必要である。チェーンを張り過ぎると、チェーンの摩耗が促進され、また、たるみが過ぎるとチェーンがスプロケットの歯に乗り上げたり故障の原因となるからである。
【0066】
チェーンの調整頻度は、当初のなじむまでの伸び(初期伸び)と運転後のピン~ブシュ間の摩耗によって伸びるので、常に適切なチェーンの張りを得るために、テークアップによって適宜調整を行う必要がある。
1日8時間運転とした場合のチェーンの点検調整回数の例としては次の通りである。長時間使用していると、テークアップの点検が怠りがちとなり、チェーンにたるみが生じ、事故を誘発することになる場合があるので、定期的に点検をするようにする。
【0067】
運転開始後、1週間以内 毎日1回
運転開始後、1ヵ月以内 毎週2回
1ヵ月経過後 毎月2回
【0068】
また、チェーンの速度が速い時や、1日の運転時間が長い時には、点検の間隔を縮めて行う必要がある。一方、チェーンの速度が遅い時には、点検の間隔を伸ばして行う。
【0069】
テークアップで調節しきれない時には、チェーンの余分のたるみをなくすため、2リンクを取り外して全長を短くして対応する。
また、テークアップの調節はなるべく左右均等におこなうようにする。
【0070】
チェーンの張力を測定して、テークアップを張って調整する方法は下記の通りである。
【0071】
【0072】
表1に示すように、駆動軸を、正転→停止→逆転、の順番で行う。
R1:R側時間、L1:L側時間
R2:R側時間、L2:L側時間
(1) 正転の時
正転の時には、往路のチェーン張力が最大であり、復路のチェーン張力が最小となる。
(2) 次に、一旦正転を停止させる。
(3) 次に、逆転した時
逆転をさせたとき、個々のチェーンのたるみがある間には張力は発生せず、たるみがなくなり、ピンと張った時にロードセルで逆転時の張力が測定できる。
【0073】
【0074】
【0075】
表2及び表3は、コンベヤチェーンの延びの測定変化を説明する表である。
表2は、試運転の時の値を示し、表3は、メンテナンス時の値を示す。
L側の張力及びR側の張力の発生時間の差を示すグラフである。
試運転時の値及びメンテナンス時の値により、チェーンの延びを計算することができる。
R2-R1=T1(秒)
L2-L1=T2(秒)
1秒間でチェーンがxmm動くと、T1、T2の値からチェーンの延びを計算することができる。
【0076】
チェーンが張り過ぎ、たるみがない場合には、正転→停止→逆転をさせたときに、直ちにチェーン張力が発生し、検知することになる。
【0077】
例えば、具体的には下記のように動作させる。
仮に、チェーンが100mm延びていたとする。
1m/minの速度でコンベヤが動いているとすると、1秒間で、1000mm/60sec=16.7mm/sec、100mmでは、100/16.7=5.9秒後にチェーン張力が発生し、これが適切な状態とすると、100mmテークアップを張って調整する。
【0078】
但し、モーターとヘッド軸を繋ぐローラーチェーンにもたるみがあるので、それを考慮する必要はある。
【0079】
チェーンの張力がわかることで、コンベヤ全長にどれくらいの搬送物が載っているか、運ばれているかをチェーン張力で検知することができ、搬送物の有無を検知すると共に、搬送物の量についてもある程度推定することができるようになる。また、搬送物の量に対応して、コンベヤの駆動を制御することで、省エネルギー化、チェーン、レールなどの摩耗を減らす効果を得ることができる。
【0080】
ゴミ焼却場のコンベヤの場合、前段機器からは搬送物が間欠的に供給される場合が多いので、搬送物がコンベヤに乗っているときのみ間欠的に駆動させることが望ましい。
【0081】
【0082】
チェーンの張力を検知することにより、通常は、ゆっくりした速度でコンベヤを運転させ、搬送物が間欠的に供給されたときは、チェーンの張力の増大を検知し、搬送物が落下したものとみなし、コンベヤの速度を上げて運転する。
その後、チェーンの張力が減れば、ゆっくりした速度でコンベヤを運転させる。チェーンの張力の減少は、ヘッドで搬送物が灰排出されたことも関係する。
【0083】
このように、チェーンの張力を検知することで、搬送物の有無を検知でき、コンベヤの速度を調整することができる。
また、チェーンの張力の増加を検知したときに、一定時間のタイマーでの間欠運転は行うことも設定により可能である。また、前段機器のON-OFFが信号として受け取れる場合も、コンベヤの間欠運転をすることができる。
【0084】
次に、スクレーパの位置検出器及び振動検出器について説明する。
図2において、29は、スクレーパの位置検出器であり、投入シュート17からの搬送物がリターン状態(復路側)のスクレーパ9に掛からないように調整する役割を持つ。
30は、振動検出器で、搬送物の投入シュート17の真下の位置に設け、前段機器からの搬送物の投入を検知することができるようになっている。
【0085】
図7、
図8及び
図9は、本発明のスクレーパの位置と搬送物の落下との関係を説明する図である。
図7、
図8及び
図9の図中にあるスクレーパ9については、それぞれ、スクレーパの位置により、符号9(1)、9(2)、9(3)、9(4)、9(5)、9(6)、9(7)、9(8)、9(9)、9(10)及び9(11)を付けている。
【0086】
図7、
図8及び
図9には、スクレーパ9の動く方向を矢印で示している。
A:復路側のスクレーパの進行方向
B:往路側のスクレーパの進行方向
【0087】
図7においては、スクレーパ9が常時動いている場合に起こりうるスクレーパの位置と搬送物の落下との関係を示している。
投入シュート17から搬送物24が投入された時に、復路側のスクレーパ9(1)が投入シュートの位置に差し掛かっている場合、搬送物24がスクレーパ9(1)に被さるように乗ってしまう。その後、スクレーパが矢印A方向に動き、9(2)の位置を通り、搬送物24がテール側へ運ばれ、テールスプロケット4により反転して、ケーシング11の端に溜まってしまうことになる。
【0088】
また、往路側のスクレーパ9(4)の上に搬送物24が落下されることで、スクレーパ9(4)の前後に分かれて搬送物24が投入されることになる。
この場合、搬送物24の中には、噛み込みを起こす可能性のある搬送物(鉄片、がれき、等)31が含まれていることがあり、噛み込みを起こす可能性のある搬送物が少量の時には、特にスクレーパに噛み込みやすい傾向にある。この噛み込みを防止するためには、1回のスクレーパが搬送する搬送物の量を多くすることが有効である。
【0089】
図8においては、復路側のスクレーパが、9(5)、9(6)の位置にあり、また、往路側のスクレーパが、9(7)、9(8)の位置にある。スクレーパの位置は、スクレーパ位置検出器29により調節する。
すなわち、前段機器から搬送物が落ちてくる位置にスクレーパを停止させないためにスクレーパ検知器29を設ける。
また、前段機器から搬送物が落ちてくる位置より手前に往路側のスクレーパを停止させ、投入シュートの真下にスクレーパがいないようにする。
【0090】
この場合、投入シュート17から投入された搬送物24は、復路側のスクレーパ9(5)、9(6)に掛かることがなく、テール側へ搬送物が運ばれることもない。
また、往路側のスクレーパが9(7)、9(8)の位置にあることから、搬送物及びカミ込む可能性のある搬送物31が往路側のスクレーパに掛かることもなく投入できるようになっている。
【0091】
図9において、往路側のスクレーパ9(11)が、搬送物及びカミ込む可能性のある搬送物31を纏めて搬送することができるようになっている。
この場合、
図7のスクレーパ9(4)、9(3)が搬送する搬送物に比べて、
図9におけるスクレーパ9(11)は搬送する搬送物が大量になることで、噛み込みが発生する可能性が低くなる。
インバーターを使わずに間欠運転する場合には、振動検知器30で前段機器からの搬送物の投入を検出した時にコンベヤを稼働させることができるようになっている。
【0092】
間欠運転の場合には、前段機器の投入シュート17の手前に、スクレーパの位置検出器29を配置し、戻りのスクレーパ9を投入シュート17から流れてくる搬送物が被さらない位置にて停止させるようにし、テール側に搬送物が運ばれないように駆動させることができる。テール側に搬送物が堆積することを防止する。
【0093】
上部レターン式の場合、搬送物が落下後に運転ON、運転時間はスクレーパの位置確認とタイマーでOFFとすることもできる。
次の搬送物の落下が起こるときに前段機器からのシュートを調整し、スクレーパの位置検出器29によって、スクレーパ9が落下位置にある場合、搬送物の落下を防止することができる。
【0094】
振動検出器30にて、前段機器からの搬送物の落下を検知した場合に、コンベヤの運転を間欠的に行う制御することができる。運転の停止は一定時間をタイマーで計測して行う。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、コンベヤのチェーンに掛かる張力を測定することで、どのような状態で運転、運搬されているかが判る「運転の見える化」、「故障の予知」、「運転の支援」、「省力化」、「脱炭素」に対応できるコンベヤである。
チェーンのテークアップに活用することができる。また、搬送物の落下に合わせてスクレーパの位置を制御し、また、搬送物の有無、搬送量に応じてコンベヤの駆動を制御することができるコンベヤである。
【符号の説明】
【0096】
1 駆動軸
2 従動軸
3R、3L ヘッドスプロケット
4 テールスプロケット
5 ヘッド側チェンホイル
6 モーター側チェンホイル
7R、7L ヘッドベアリング
8 テールベアリング
9 スクレーパ
10R、10L コンベヤチェーン
11 ケーシング
12 底板
13 レール
14 ガイド板
15 ヘッド架台
16 脚
17 投入シュート
18 排出シュート
19 減速機付きモーター
20 モーターベース
21 チェンカバー
22 ローラーチェーン
23R、23L ロードセル
24 搬送物
25 張力表示器
26 記録装置
27 データ解析装置
28 運転支援装置
29 振動検出器
30 スクレーパの位置検出器
31 噛み込みを起こす可能性のある搬送物(鉄片、がれき、等)