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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102956
(43)【公開日】2023-07-26
(54)【発明の名称】半導体パッケージ
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/12 20060101AFI20230719BHJP
【FI】
H01L31/12 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003733
(22)【出願日】2022-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】390009667
【氏名又は名称】セイコーNPC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】内藤 孝洋
(72)【発明者】
【氏名】山口 学
(72)【発明者】
【氏名】藤原 和也
【テーマコード(参考)】
5F889
【Fターム(参考)】
5F889BC01
5F889BC11
5F889CA04
5F889CA06
5F889EA04
(57)【要約】
【課題】本発明に係る半導体パッケージによれば、光送受信の信頼性を高めつつ、容易に製造可能である。
【解決手段】本発明に係る半導体パッケージ1は、シート状の基体10と、基体10の表面に備えられ、表面側に受光部21を有する受光素子20と、基体10の表面の発光素子領域12へ備えられた発光素子30と、基体10と受光素子20とを接続するワイヤ40と、基体10の表面に樹脂で形成され、少なくともワイヤ40を封止する樹脂封止部60と、を備えた半導体パッケージ1であって、樹脂封止部60は、受光素子20の受光部21が表面側へ露出するように開口した第一開口部63と、発光素子領域12が露出するように表面側へ開口し発光素子領域12へ発光素子30を配置可能な第二開口部64と、第一開口部63と、第二開口部64との間に立設する壁部62と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の基体と、
前記基体の表面に備えられ、前記表面側に受光部を有する受光素子と、
前記基体の前記表面の発光素子領域へ備えられた発光素子と、
前記基体と前記受光素子とを接続するワイヤと、
前記基体の前記表面に樹脂で形成され、少なくとも前記ワイヤを封止する樹脂封止部と、
を備えた半導体パッケージであって、
前記樹脂封止部は、
前記受光素子の前記受光部が前記表面側へ露出するように開口した第一開口部と、
前記発光素子領域が露出するように前記表面側へ開口し前記発光素子領域へ前記発光素子を配置可能な第二開口部と、
前記第一開口部と、前記第二開口部との間に立設する壁部と、
を備えている
半導体パッケージ。
【請求項2】
前記壁部の上面の高さは、前記基体の厚み方向において、前記受光素子の受光面の高さと略同じである
請求項1に記載の半導体パッケージ。
【請求項3】
前記受光素子の側面と表面の外縁部とは、前記樹脂封止部で覆われている
請求項1または請求項2に記載の半導体パッケージ。
【請求項4】
前記樹脂封止部は、遮光性を有する樹脂材料で形成されている
請求項1から請求項3のいずれかの1項に記載の半導体パッケージ。
【請求項5】
前記樹脂封止部は、黒色の樹脂材料で形成されている
請求項1から請求項3のいずれかの1項に記載の半導体パッケージ。
【請求項6】
前記半導体パッケージは、さらに板状の蓋体を備え、前記表面に開口した前記第一開口部と、前記第二開口部とを閉口する
請求項1から請求項5のいずれかの1項に記載の半導体パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光半導体素子である発光ダイオード(LED)等の発光素子と、フォトダイオード(PD)等の受光素子とが載置された光半導体パッケージが知られている。光半導体パッケージは、小型化、薄型化、高集積化、経済化等を図るため、一つの光半導体パッケージの中に集積化されている。上記半導体パッケージにおいて、発光素子から発光された光は、外部に光を出すが、一部の光は反射し、迷光として半導体パッケージの内部にも発光される。この迷光成分が受光素子に照射されると雑音や通信障害等が発生し、通信不良を起こしてしまう。特許文献1の光半導体素子パッケージは、光半導体素子パッケージに備えられた無機材料からなる光吸収部材が、蓋部材の内面に取り付けられている。そのため、光吸収部材が蓋部材に向かう迷光を吸収でき、受光素子が誤って受光してしまう光を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-189430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、発光素子は、設定した方向以外の方向にも、光を出してしまうことがある。特許文献1に記載の光半導体素子パッケージは、発光素子(光半導体素子)が設定した方向へ出す光が光学レンズ等の光学部材に反射した光を吸収できるが、発光素子が設定した方向以外の方向へ出す光は吸収できず、受光素子へ入ってしまう。そのため、受光素子(光半導体素子)がその光を受光してしまい、光半導体素子が誤作動してしまうという問題があった。
【0005】
上記事情を踏まえ、本発明は、光送受信の信頼性を高めつつ、容易に製造可能な半導体パッケージを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の第一の態様に係る半導体パッケージは、シート状の基体と、前記基体の表面に備えられ、前記表面側に受光部を有する受光素子と、前記基体の前記表面の発光素子領域に備えられた発光素子と、前記基体と前記受光素子とを接続するワイヤと、前記基体の前記表面に樹脂で形成され、少なくとも前記ワイヤを封止する樹脂封止部と、を備えた半導体パッケージであって、前記樹脂封止部は、前記受光素子の前記受光部が前記表面側へ露出するように開口した第一開口部と、前記発光素子領域が露出するように前記表面側へ開口し前記発光素子領域へ前記発光素子を配置可能な第二開口部と、前記第一開口部と、前記第二開口部との間に立設する壁部と、を備えている。
【0007】
本発明の第二の態様によれば、第一の態様に係る半導体パッケージは、前記壁部の上面の高さは、前記基体の厚み方向において、前記受光素子の受光面の高さと略同じである。
【0008】
本発明の第三の態様によれば、第一の態様または第二の態様に係る半導体パッケージは、前記受光素子の側面と表面の外縁部とは、前記樹脂封止部で覆われている。
【0009】
本発明の第四の態様によれば、第一の態様から第三の態様のいずれか一つに係る半導体パッケージは、前記樹脂封止部は、遮光性を有する樹脂材料で形成されている。
【0010】
本発明の第五の態様によれば、第一の態様から第三の態様のいずれか一つに係る半導体パッケージは、前記樹脂封止部は、黒色の樹脂材料で形成されている。
【0011】
本発明の第六の態様によれば、第一の態様から第五の態様のいずれか一つに係る半導体パッケージは、前記半導体パッケージは、さらに板状の蓋体を備え、前記表面に開口した前記第一開口部と、前記第二開口部とを閉口する。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る半導体パッケージによれば、光送受信の信頼性を高めつつ、容易に製造可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る半導体パッケージを表面側から見た外観図である。
図2図1のA-A断面に沿う同半導体パッケージの内部構成を示す側面図である。
図3図1の同半導体パッケージを表面側から見た外観図から樹脂封止部と蓋体とを除いた図である。
図4】同半導体パッケージの製造工程の一例を説明する図であり、(a)は、同半導体パッケージがモールド成型されている状態を示す図である。(b)は、同半導体パッケージがモールド成型後に個々の半導体パッケージに切削される状態を示す図である。(c)は、同半導体パッケージの蓋体が、第一開口部と第二開口部とを閉口する状態を示す図である。
図5】同半導体パッケージの製造工程で用いるモールド下金型とモールド上金型とを示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る半導体パッケージの変形例を示す図である。
図7】本発明の一実施形態に係る半導体パッケージの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(一実施形態)
本発明の一実施形態について、図1から図5を参照して説明する。また、以下で説明する実施形態や変形例において、相互に対応する構成については同一の符号を付し、重複部分については説明を省略する場合がある。さらに、以下の説明において、例えば「平行」や「直交」、「中心」、「同軸」等の相対的又は絶対的な配置を示す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差や同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体パッケージ1を表面側から見た外観図である。図2は、図1のA-A断面に沿う半導体パッケージ1の内部構成を示す側面図である。図3は、図1の半導体パッケージ1を表面側から見た外観図から樹脂封止部60と蓋体70とを除いた図である。図4は、半導体パッケージ1の製造工程の一例を説明する図であり、(a)は、半導体パッケージ1がモールド成型されている状態を示す図である。(b)は、半導体パッケージ1がモールド成型後に個々の半導体パッケージ1に切削される状態を示す図である。(c)は、半導体パッケージの蓋体70が、第一開口部63と第二開口部64とを閉口する状態を示す図である。図5は、同半導体パッケージ1の製造工程で用いるモールド下金型80とモールド上金型90とを示す図である。
【0016】
図1及び図2に示すように、半導体パッケージ1は、電流を光に変換する機能を有する光半導体装置である。また、半導体パッケージ1は、光を電流に変換する機能を有している。半導体パッケージ1は、基板(基体)10と、受光素子20と、発光素子30と、接続ワイヤ40と、発光素子用ワイヤ50と、樹脂封止部60と、蓋体70と、を備えている。
【0017】
基板(基体)10は、図1から図3に示すように、例えばシート状であり、半導体パッケージ1の厚み方向Dにおいて、上方に裏面10gよりも高い表面10fを有し、下方に裏面10gを有する。また、基板10は、厚み方向Dの表面側D1から見て、厚み方向Dに垂直な面(以下、水平面)に沿う長辺方向Xにおいて互いに対抗する長辺10aと、水平面上に長辺方向Xと直交する短辺方向Yにおいて互いに対抗する短辺10bとを備えた矩形状である。ここで、厚み方向Dとは、基板10の表面10fが位置する表面側D1と裏面10gが位置する裏面側D2とを有する方向である。また、長辺方向Xにおいて、一方側を左側X1とし、一方側と反対側を右側X2とする。また、短辺方向Yにおいて、一方側を上側Y1とし、一方側と反対側を下側Y2とする。なお、短辺方向Yは、必ずしも水平面において長辺方向Xに直交していなくてもよい。また、長辺10a及び短辺10bは、同じ長さであってもよいし、同じ長さでなくてもよい。
【0018】
基板10は、例えばガラスエポキシ基板を用いることができる。また、基板10は、液晶ポリマー基板、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂基板などの電気絶縁性樹脂基板を用いてもよい。さらに、基板10は、例えばガリウム砒素(GaAs)、インジウムリン(InP)、窒化ガリウムインジウム(InGaN)、サファイア、シリコン(Si)または炭化シリコン(SiC)等を用いてもよいし、発光素子30からの発熱を効率よく放熱させる目的で、熱伝導性の高いアルミニウム基板や銅基板等の金属製の基板を用いてもよい。また、基板10は、複数の材料が異なる基板を積層することで形成されていてもよい。
【0019】
また、基板10は、配線が所定の回路を構成するように設けられる。ただし、配線の形成方法は特に限定されない。また、基板10は、リードフレーム等を用いた基板であってもよい。
【0020】
基板10は、図3に示すように、複数の端子部11と、発光素子領域12と、発光素子用端子部13と、を備える。
【0021】
複数の端子部11は、基板10の表面10fに備えられる。複数の端子部11は、後述する樹脂封止部60の中央壁62のある長辺方向Xの右側X2以外の方向へ、受光素子20の周囲を囲むように備えられる。複数の端子部11は、受光素子20が備える複数の接続電極(不図示)に電気的に接続される。
【0022】
発光素子領域12は、基板10の表面10fに備えられ、表面側D1に露出している。発光素子領域12には、発光素子30が載置される。発光素子領域12は、発光素子30が容易に載置でき、発光素子30の周囲に発光素子用端子部13が配置できるような大きさに設定されている。
【0023】
発光素子用端子部13は、表面10fに備えられた発光素子領域12に配置される。発光素子用端子部13は、表面10fに載置される発光素子30の周囲に備えられ、発光素子30の接続電極(不図示)に発光素子用ワイヤ50を介して電気的に接続される。
【0024】
受光素子20は、図1から図3に示すように、フォトダイオード(PD)等のチップで構成されている。受光素子20は、例えば、厚み方向Dの表面側D1から見て、矩形状に形成されている。受光素子20は、受光素子20の受光面20fに受光部21を有する状態で、基板10の表面10fに固着されている。受光素子20は、図3に示すように、受光部21及び右側X2の外縁を除く受光面20fの外縁部22に、図示しない複数の接続電極を備えている。また、受光素子20は、側面23に長辺方向Xの左側X1に左側面23aと、右側X2に右側面23bとを備え、短辺方向Yの上側Y1に上側面23cと、下側Y2に下側面23dとを備える。受光素子20の側面23及び外縁部22は、樹脂封止部60によって覆われている。
【0025】
なお、受光素子20は、フォトダイオードに代えて、フォトトランジスタを用いてもよい。また、受光素子20は、例えば、CMOSイメージセンサやCCDイメージセンサ等の受光部を備えた撮像素子であってもよい。
【0026】
発光素子30は、図1から図3に示すように、受光素子20よりも右側X2に配置され、基板10の表面10fに固着されている。発光素子30は、例えば、発光ダイオード(LED)である。発光素子30は、半導体を用いた発光素子であれば特に限定されず、半導体レーザ(LD)等を用いてもよい。発光素子30は、表面30fに図示しない接続電極が備えている。発光素子30の接続電極は、発光素子用ワイヤ50を介して発光素子用端子部13に電気的に接続される。
【0027】
接続ワイヤ(ワイヤ)40は、図1から図3に示すように、受光素子20と、基板10とを電気的に接続する。接続ワイヤ40は、本実施形態では、金(Au)線を用いている。また、接続ワイヤ40は、ワイヤボンディングによって接続される。
【0028】
なお、接続ワイヤ40は金線に限定されず、銅線、パラジューム被覆した銅線、アルミニウム線等で形成されてもよい。また、本実施形態では、接続ワイヤは、ワイヤボンディングによって受光素子20と基板10とを接続しているが、ワイヤボンディングの代わりに、電気配線をはんだなどによって受光素子20の接続電極に接合してもよい。さらに、接続電極の表面に金スタッドバンプ等を形成して、電気配線をはんだなどによってこの金スタッドバンプに接合してもよい。
【0029】
発光素子用ワイヤ50は、図1から図3に示すように、発光素子30の接続電極(不図示)と、基板10の発光素子用端子部13とを電気的に接続する。発光素子用ワイヤ50は、本実施形態では、ワイヤボンディングによって接続されている。発光素子用ワイヤ50は、本実施形態では、金(Au)線を用いているが、接続ワイヤ40と同様に、別の材質で構成されていてもよい。
【0030】
樹脂封止部60は、図1及び図2に示すように、モールド加工によって基板10の表面10fに備えられた保護材である。樹脂封止部60は、例えば、カーボンブラック等の黒色顔料を添加し黒色に形成された熱伝導率の低い樹脂材料を適用する。このため、樹脂封止部60は、発光素子30が設定されていた方向以外の方向へ発した光を好適に吸収することができる。また、そのような光がノイズとなって受光素子20の動作に影響を与えることを抑制できる。また、樹脂封止部60は、熱伝導率の低い樹脂材料を用いることで発光素子30が発する熱を抑制することができる。そのため、発光素子30の発した熱が、受光素子20の動作に影響を与えることを抑制できる。ただし、樹脂封止部60は、樹脂材料であれば特に限定されず、透明の樹脂材料であってもよいし、遮光性を有する樹脂材料であってもよい。また、樹脂封止部60は、可視光や赤外光に対して不透明となるようなエポキシ系樹脂材料やシリコン系樹脂等の樹脂材料で構成されていてもよい。
【0031】
樹脂封止部60は、外枠壁61と、中央壁(壁部)62と、第一開口部63と、第二開口部64とを備える。
【0032】
外枠壁61は、受光素子20と発光素子30とを囲うように基板10の外枠に形成され、基板10表面から厚み方向Dに沿って表面側D1に立設する。外枠壁61は、受光素子20と基板10とを接続している接続ワイヤ40を封止する。なお、外枠壁61の表面61fは、厚み方向Dにおいて受光素子20の表面20fよりも高い位置である。また、外枠壁61は、表面側D1から受光素子20の左側面23aと、上側面23cと、下側面23dと、表面20fの外縁部22と、を覆うように形成される。
【0033】
中央壁(壁部)62は、基板10の表面10fから厚み方向Dに沿って表面側D1へ立設する。中央壁62は、中央壁62の左側X1に第一側面62aと、中央壁62の右側X2に第二側面62bと、表面側D1に上面62fとを備える。中央壁62は、第一側面62aが受光素子20の右側面23bに当接するように配置されている。本実施形態では、中央壁62の上面62fの高さは、厚み方向Dにおいて、受光素子20の受光面20fと略同じ高さである。
【0034】
第一開口部63は、図1及び図2に示すように、受光素子20の受光面20fに備えられる開口部分である。第一開口部63は、少なくとも受光素子20の受光面20fに備えられた受光部21が露出されるように、表面側D1へ開口している。この構成によって、受光部21は、外部からの光を受光することができる。なお、第一開口部63は、少なくとも受光部21が露出されていればよく、開口部の大きさは任意に設定できる。
【0035】
第二開口部64は、図1及び図2に示すように、第一開口部63よりも右側X2に位置し、基板10の表面10fに備えられる開口部分である。第二開口部64は、基板10の表面10fに備えられた発光素子領域12を表面側D1へ露出するように開口している。この構成により、発光素子領域12に載置された発光素子30は、外部に光を発することができる。第二開口部64の内側面は、外枠壁61の第二側面62bの一部となる。
【0036】
本実施形態では、中央壁62の上面62fの高さが、厚み方向Dにおいて、受光素子20の受光面20fと略同じ高さであるため、第一開口部63の右側X2の一部と、第二開口部64の左側X1の一部が連結し、一つの大きな開口部として形成されている。なお、第一開口部63と第二開口部64とは、中央壁62で隔たれ、それぞれ独立した開口部であってもよい。
【0037】
蓋体70は、板状で透光性のキャップである。蓋体70は、第一開口部63と第二開口部64とを表面側D1から塞ぎ閉口することで、気密封止または保護する。蓋体70は、例えば、高分子樹脂フィルム(ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミドなど)を用いることができる。また、アクリル樹脂や硼珪酸ガラス等を用いてもよい。本実施形態の蓋体70は、表面側D1へ露出した受光素子20の受光部21と発光素子30とを物理的に保護することができればよく、石英ガラス(実質的には、紫外線カットフィルター)等であってもよい。また、蓋体70は、放射する光を吸収し、異なる波長の光を放出する蛍光物質を含んだ部材でもよい。
【0038】
次に、本実施形態における半導体パッケージ1の製造方法について、図4及び図5を用いて説明する。図4は、半導体パッケージ1の製造工程の一例を説明する図であり、(a)は、半導体パッケージ1がモールド成型されている状態を示す図である。(b)は、半導体パッケージ1がモールド成型後に個々の半導体パッケージ1に切削される状態を示す図である。(c)は、半導体パッケージの蓋体70が、第一開口部63と第二開口部64とを閉口する状態を示す図である。図5は、同半導体パッケージ1の製造工程で用いるモールド下金型80とモールド上金型90とを示す図である。
【0039】
まず、図4(a)において、受光素子20が、基板10へ、複数の端子部11が周囲に配置されるように載置される。その後、接続ワイヤ40が、受光素子20と複数の端子部11とへ接続される。これにより、受光素子20と基板10とは、電気的に接続される。なお、本実施形態では、受光素子20及び接続ワイヤ40を備えた基板10は、複数連結された状態で、モールド成型される。
【0040】
次に、基板10は、受光素子20及び接続ワイヤ40を備えた状態でモールド下金型80に載置される。次に、上述した樹脂封止部60の樹脂材料を、モールド上金型90を用いて、モールド成型し、熱硬化させることにより、樹脂封止部60が基板10の表面10f上に形成される。また、このとき、樹脂封止部60は外枠壁61を形成し、外枠壁61は、接続ワイヤ40を封止する。
【0041】
次に、図4(b)に示すように、基板10の表面10fの発光素子領域12に発光素子30を載置する。次に、発光素子用ワイヤ50が、発光素子30と発光素子用端子部13とへ接続される。これにより、発光素子30と基板10とは、電気的に接続される。
【0042】
次に、図4(b)において、ダイシングブレード等により切削部Qを切削することで、隣接する複数の半導体パッケージ1を個々の半導体パッケージ1に形成する。その後、図4(c)において、形成された第一開口部63と第二開口部64とを、蓋体で表面側D1から塞ぎ閉口する。以上の製造方法によって半導体パッケージ1が製造される。
【0043】
ここで、図4及び図5に示すように、半導体パッケージ1の樹脂封止部60は、モールド成型時にモールド下金型80とモールド上金型90とを用いて形成される。以下の説明では、モールド下金型80とモールド上金型90とによって形成される樹脂封止部60について説明する。
【0044】
まず、モールド下金型80は、図5に示すように、表面80fと基板10の裏面10gとが平行となるように形成される。そのため、モールド下金型80は、表面80fに基板10を載置できる。
【0045】
モールド上金型90は、厚み方向Dにおいて、裏面側D2の面に複数の段差を設けており、第一下面91と第二下面92と第三下面93とを備える。第一下面91は、厚み方向Dにおいて、第二下面92よりも表面側D1にある。第二下面92は、厚み方向Dにおいて、第三下面93よりも表面側D1にある。
【0046】
ここで、モールド下金型80及びモールド上金型90は、一度の加工で複数の半導体パッケージ1が製造できるように同じ形状が複数連結して形成されている。ここでは、1つの半導体パッケージ1に対して用いられるモールド上金型90の第一形成部分Pについて説明し、連結したその他の半導体パッケージ1に対する形成部分については、重複部分であるとして説明を省略する。
【0047】
まず、第一下面91は、モールド成型時に基板10の外枠に配置され、厚み方向Dにおいて外枠壁61の表面61fと略同じ大きさであり、略同じ高さを有する。第一下面91は、厚み方向Dにおいて受光素子20の受光面20fよりも表面側D1にある。そのため、モールド上金型90は、受光素子20及び接続ワイヤ40を備えた基板10とモールド上金型90との間に空間S1を形成する。空間S1に樹脂材料を流し込むことで、樹脂封止部60の外枠壁61が形成される。
【0048】
次に、第二下面92は、モールド成型時に受光素子20の受光面20f上に配置され、厚み方向Dにおいて、受光面20fと略同じ高さである。そのため、モールド上金型90は、基板10とモールド上金型90の間に受光素子20を収容できる空間S2を備えることができる。ここで第二下面92は、受光素子20の受光面20fと略同じ高さであるため、受光素子20が空間S2に収容されると、モールド成型時に、樹脂材料が流れ込まない。そのため、モールド成型後は、受光素子20の表面側D1へ第一開口部63が形成される。
【0049】
受光素子20は、形成された第一開口部63によって、受光面20fの受光部21が露出するため、光を取り入れやすい。また、モールド上金型90は、受光素子20を収容できる空間S2を表面側D1へ備えることで、受光素子20をモールド成型時に圧力をかけすぎて、受光素子20が破損してしまうのを防ぐことができる。
【0050】
また、第二下面92は、長辺方向Xにおいて、受光素子20の右側面23bよりも右側X2へ樹脂封止部60の中央壁62の幅分だけ長くなっており、空間S3を形成する。そのため、モールド成型時に形成した空間S3に樹脂材料を流し込み、樹脂封止部60の中央壁62が形成される。
【0051】
第三下面93は、モールド成型時に第三下面93と基板10の表面10fとが当接するように形成される。このとき、第三下面93は、発光素子領域12と同じ大きさである。そのため、モールド上金型90は、モールド成型時に樹脂材料が流れ込まず、第二開口部64が形成される。以上の構成により樹脂封止部60が形成される。
【0052】
本実施形態では、上記の構成により、カーボンブラック等の黒色顔料を添加し、黒色に形成された熱伝導率の低い樹脂材料を用いた樹脂封止部60の外枠壁61が、受光素子20と発光素子30を囲うように基板10の外枠に形成されている。そのため、外枠壁61は、発光素子30が設定した方向以外の方向へ発した光を好適に吸収することができる。また、発光素子30が発した光がノイズとなって受光素子20の動作に影響を与えることを抑制できる。
【0053】
また、樹脂封止部60は、熱伝導率の低い樹脂材料を用いることで発光素子30が発する熱を抑制することができる。そのため、発光素子30の発した熱が、受光素子20の動作に影響を与えることを抑制できる。
【0054】
また、本実施形態では、樹脂封止部60の外枠壁61が、接続ワイヤ40を封止する。そのため、接続ワイヤ40が、外部から衝撃によって、倒れたり位置ずれしたりするのを防止することができる。さらに、外枠壁61は、接続ワイヤ40を封止することで、通信の信頼性を向上することができる。
【0055】
また、本実施形態では、樹脂封止部60の中央壁62が、受光素子20と発光素子30とを仕切る。そのため、発光素子30から発せられる光が受光素子20の受光部へ入ることを抑制できる。これにより、受光素子20は、受光精度を向上することができる。
【0056】
また、本実施形態では、樹脂封止部60の第一開口部63が、少なくとも受光素子20の受光面20fに備える受光部21が露出されるように、表面側D1へ開口している。この構成によって、受光部21は、外部からの光を受光することができる。また、第一開口部63は、開口部の大きさを任意に設定できる。そのため、例えば、受光部21よりも大きな開口を設定することで、第一開口部63は、受光素子20を基板10に載置する際に位置ずれがあっても、位置ずれを許容しつつ、受光部21を露出することができる。
【0057】
また、本実施形態では、基板10が発光素子領域12を備えることで、発光素子30が容易に載置できる。そのため、発光素子30が精度の高い位置に設定しなくても、容易に発光素子30を取り付けることができる。また、樹脂封止部60の第一開口部64が、発光素子領域12を表面側D1へ露出するように開口している。そのため、発光素子領域12に載置された発光素子30は、外部へ光を発することができる。
【0058】
また、本実施形態では、受光素子20の側面23及び外縁部22は、樹脂封止部60によって覆われている。そのため、受光素子20が位置ずれせずに固定でき、外部からの衝撃や振動に対する強度を向上することができる。
【0059】
また、本実施形態では、モールド下金型80及びモールド上金型90を用いたモールド成型により、樹脂封止部60を容易に製造できる。さらに、半導体パッケージ1は、少ない部品点数で製造できるため、製造コストを削減することができる。
【0060】
また、本実施形態では、半導体パッケージ1は、受光素子20と発光素子30を同じ基板10に配置でき、さらに少ない部品点数で容易に製造できるため、半導体パッケージ1のサイズを小型化することができる。
【0061】
また、本実施形態では、半導体パッケージ1が、蓋体70を備えることで、第一開口部63と第二開口部64とを表面側D1から塞ぎ閉口する。これにより、第一開口部63と第二開口部64とから露出した受光部21及び発光素子30を水分や粉塵等の微粒子の進入を防止することができる。
【0062】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の一実施形態及び以下で示す変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【0063】
(変形例)
例えば、上記実施形態では、樹脂封止部60の中央壁62の上面62fの高さは、厚み方向Dにおいて、受光素子20の受光面20fと略同じ高さであるが、中央壁62の上面62fの高さは特に限定されない。
【0064】
例えば、図6に示すように、半導体パッケージ1Aの樹脂封止部60Aは、厚み方向Dにおいて、上面62Afの高さが受光素子20の受光面20fよりも表面側D1へ高くなるように中央壁62Aを備えてもよい。この場合は、樹脂封止部60Aの第一開口部63と第二開口部64とがそれぞれ独立する。そのため、発光素子30から発せられる光が受光素子20の受光部へ入ることをさらに抑制することができる。
【0065】
また、本発明の半導体パッケージは、異なる大きさの受光素子20を備えてもよい。例えば、図7に示すように、半導体パッケージ1は、本実施形態とは異なる大きさの受光素子20Aを備えている。この場合においても、本発明の半導体パッケージは、第一開口部63の大きさを調整するだけで、容易に樹脂封止部60の外枠壁61と中央壁62とを形成することができる。
【0066】
また、本発明の半導体パッケージは、樹脂封止部60の第一開口部及び第二開口部に不純物含有率の低い透光性樹脂を充填させてもよい。これにより、半導体パッケージは、構造の強度をさらに向上することができる。
【0067】
いずれの上記実施形態においても、本発明の半導体パッケージによれば、光送受信の信頼性を高めつつ、容易に製造可能である。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明に係る半導体パッケージによれば、光送受信の信頼性を高めつつ、容易に製造可能であるので産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0069】
1、1A 半導体パッケージ
10 基板(基体)
10f (基板10の)表面
12 発光素子領域
20、20A 受光素子
20f 受光面
21 受光部
22 外縁部
23 側面
30 発光素子
40 接続ワイヤ(ワイヤ)
50 発光素子用ワイヤ
60 樹脂封止部
61 外枠壁
62、62a 中央壁(壁部)
62f 上面
63 第一開口部
64 第二開口部
70 蓋体
80 モールド下金型
90 モールド上金型
D 厚み方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7