IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ DMG森精機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-ミストコレクタ 図1
  • 特開-ミストコレクタ 図2
  • 特開-ミストコレクタ 図3
  • 特開-ミストコレクタ 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102962
(43)【公開日】2023-07-26
(54)【発明の名称】ミストコレクタ
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/00 20060101AFI20230719BHJP
   B23Q 11/12 20060101ALI20230719BHJP
   B01D 46/10 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
B23Q11/00 Z
B23Q11/12 A
B01D46/10 E
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003743
(22)【出願日】2022-01-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 幸佑
(72)【発明者】
【氏名】小菅 正裕
【テーマコード(参考)】
3C011
4D058
【Fターム(参考)】
3C011AA00
3C011FF00
4D058JA12
4D058LA01
4D058QA01
4D058QA03
4D058QA13
4D058QA21
4D058SA15
4D058UA06
(57)【要約】
【課題】モータを効率的に冷却することが可能なミストコレクタ、を提供する。
【解決手段】ミストコレクタは、ファン81と、ファン81を回転させるためのモータ71と、ファン81の回転により発生する空気流れの経路上に設けられ、空気に含まれるミストを捕集する第1フィルタ31と、第1フィルタ31からの空気が流れ、モータ71に向けて空気を排出する排気通路46を形成する排気通路形成部43とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンと、
前記ファンを回転させるためのモータと、
前記ファンの回転により発生する空気流れの経路上に設けられ、空気に含まれるミストを捕集する第1フィルタと、
前記第1フィルタからの空気が流れ、前記モータに向けて空気を排出する排気通路を形成する排気通路形成部とを備える、ミストコレクタ。
【請求項2】
前記排気通路形成部を有し、前記ファンおよび前記第1フィルタを収容するケース体をさらに備える、請求項1に記載のミストコレクタ。
【請求項3】
前記モータは、
ロータおよびステータと、
前記ケース体の内部で前記ファンに接続され、前記ロータからの回転運動を出力する出力軸と、
前記ロータおよび前記ステータを収容するモータケースとを有し、
前記モータケースの少なくとも一部が、前記ケース体の外部に配置される、請求項2に記載のミストコレクタ。
【請求項4】
前記ファンは、所定軸の軸方向に空気を吸い込み、前記所定軸の半径方向外側に向けて空気を送出する遠心ファンであり、
前記排気通路形成部は、前記ファンから前記所定軸の半径方向外側に離れた位置に設けられる、請求項1から3のいずれか1項に記載のミストコレクタ。
【請求項5】
前記モータは、前記所定軸の軸方向において前記ファンと並んで設けられ、
前記排気通路は、前記ファンから前記所定軸の半径方向外側に向けて延び、前記所定軸の半径方向において反転し、前記所定軸の半径方向内側を向いて開口する、請求項4に記載のミストコレクタ。
【請求項6】
前記排気通路に配置される第2フィルタをさらに備える、請求項1から5のいずれか1項に記載のミストコレクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ミストコレクタに関する。
【背景技術】
【0002】
実開平6-36742号公報(特許文献1)には、開口部が設けられる全体カバーと、開口部に配置される自動開閉カバーと、開口部の対向二辺に設けられる複数の吐出口および吸入口と、ダクトを介して吸入口と接続されるミスト回収装置とを備える工作機械用ミスト飛散防止装置が開示されている。自動開閉カバーが開いた場合に、吐出口から吸入口に向かう空気流れを設けることによって、エアカーテンを形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6-36742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に開示されるように、ミストを回収するためのミストコレクタが知られている。たとえば、工作機械においてクーラントを用いてワークの加工を行なうと、加工熱により温められたクーラントがミスト状(霧状)になる。このようなオイルミストが工作機械の機外に排出されると、工場内を汚損する原因となるため、ミストコレクタが用いられる。
【0005】
ミストコレクタには、ミストを含む空気を導入するためのファンと、ファンを回転させるためのモータとが設けられる。モータは、ミストコレクタの駆動に伴って発熱するため、モータを効率的に冷却することが求められる。
【0006】
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、モータを効率的に冷却することが可能なミストコレクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に従ったミストコレクタは、ファンと、ファンを回転させるためのモータと、ファンの回転により発生する空気流れの経路上に設けられ、空気に含まれるミストを捕集する第1フィルタと、第1フィルタからの空気が流れ、モータに向けて空気を排出する排気通路を形成する排気通路形成部とを備える。
【0008】
このように構成されたミストコレクタによれば、第1フィルタによりミストが除去され、排気通路から排出される空気を、モータに向かわせる。これにより、モータを効率的に冷却することができる。
【0009】
また好ましくは、ミストコレクタは、排気通路形成部を有し、ファンおよび第1フィルタを収容するケース体をさらに備える。
【0010】
このように構成されたミストコレクタによれば、排気通路を形成する排気通路形成部を、ファンおよび第1フィルタを収容するケース体に一体に設けることによって、ミストコレクタを簡易な構成にできる。
【0011】
また好ましくは、モータは、ロータおよびステータと、ケース体の内部でファンに接続され、ロータからの回転運動を出力する出力軸と、ロータおよびステータを収容するモータケースとを有する。モータケースの少なくとも一部が、ケース体の外部に配置される。
【0012】
このように構成されたミストコレクタによれば、排気通路から排出される空気を、ロータおよびステータを収容するモータケースに向かわせる。これにより、ミストコレクタの駆動に伴って特に大きく発熱するロータおよびステータを効率的に冷却することができる。
【0013】
また好ましくは、ファンは、所定軸の軸方向に空気を吸い込み、所定軸の半径方向外側に向けて空気を送出する遠心ファンである。排気通路形成部は、ファンから所定軸の半径方向外側に離れた位置に設けられる。
【0014】
このように構成されたミストコレクタによれば、遠心ファンを用いることによって、排気通路形成部をファンから所定軸の半径方向外側に離れた位置に設ける構成が可能となる。これにより、所定軸の軸方向においてミストコレクタを薄型化することができる。
【0015】
また好ましくは、モータは、所定軸の軸方向においてファンと並んで設けられる。排気通路は、ファンから所定軸の半径方向外側に向けて延び、所定軸の半径方向において反転し、所定軸の半径方向内側を向いて開口する。
【0016】
このように構成されたミストコレクタによれば、排気通路を所定軸の半径方向において反転させることによって、排気通路形成部をコンパクトに構成しつつ、排気通路が、モータが配置される所定軸の半径方向内側を向いて開口する構成を実現することができる。
【0017】
また好ましくは、ミストコレクタは、排気通路に配置される第2フィルタをさらに備える。
【0018】
このように構成されたミストコレクタによれば、排気通路を流れる空気を第2フィルタに通すことによって、ミストの捕集率を高めることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上に説明したように、この発明に従えば、モータを効率的に冷却することが可能なミストコレクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】工作機械を示す斜視図である。
図2図1中のミストコレクタを示す斜視図である。
図3図1中のミストコレクタを示す断面図である。
図4図2中のIV-IV線上の矢視方向に見たミストコレクタを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0022】
図1は、工作機械を示す斜視図である。図1を参照して、工作機械100は、回転するワークに工具を接触させることによって、ワーク加工を行なう旋盤である。工作機械100は、コンピュータによる数値制御によって、ワーク加工のための各種動作が自動化されたNC(Numerical Control)工作機械である。
【0023】
本明細書においては、工作機械100の構造を説明する便宜上、工作機械100の左右方向(幅方向)に平行で、水平方向に延びる軸を「Z軸」といい、工作機械100の前後方向(奥行き方向)に平行で、水平方向に延びる軸を「Y軸」といい、上下方向に延びる軸を「X軸」という。
【0024】
まず、本実施の形態におけるミストコレクタ10が用いられる工作機械100の全体構造について説明する。
【0025】
工作機械100は、カバー体21を有する。カバー体21は、加工エリア200を区画形成するとともに、工作機械100の外観をなしている。加工エリア200は、ワークの加工が行なわれる空間であり、ワーク加工に伴う切屑または切削油等の異物が加工エリア200の外側に漏出しないように密閉されている。
【0026】
加工エリア200には、Z軸に平行な回転中心軸210を中心にワークを回転させるためのワーク主軸11と、複数の工具を保持し、Z軸方向に平行な旋回中心軸220を中心に旋回可能なタレットタイプの刃物台12とが配置されている。刃物台12は、Z軸方向と、Y軸方向成分およびX軸方向成分を含む斜め方向とに移動可能である。加工エリア200には、ワークの回転中心を支持するための心押し台、または、Z軸方向においてワーク主軸11と対向して配置される対向ワーク主軸がさらに配置されてもよい。
【0027】
カバー体21には、カバー開口部26が設けられている。カバー開口部26は、加工エリア200を外部空間に開放している。
【0028】
カバー体21は、第1サイドカバー22および第2サイドカバー23と、天井カバー24とを有する。
【0029】
第1サイドカバー22および第2サイドカバー23は、Z軸方向おいて、カバー開口部26の両側にそれぞれ設けられている。第1サイドカバー22には、操作パネル28が設けられている。操作パネル28は、作業者が工作機械100を操作する際に用いる各種のボタンおよびスイッチ、ならびに、工作機械100におけるワークの加工状態等を示す表示部などを含む。第2サイドカバー23の内側には、ワーク主軸11等が配置されている。
【0030】
天井カバー24は、工作機械100の天井に配置されている。第1サイドカバー22、第2サイドカバー23および天井カバー24により、カバー開口部26が画定されている。
【0031】
工作機械100は、扉部25をさらに有する。扉部25は、カバー開口部26に設けられている。扉部25は、カバー開口部26を開状態とする開位置(図1中に示される扉部25の位置)と、カバー開口部26を閉状態とする閉位置との間において、Z軸方向にスライド動作可能である。扉部25は、開位置に位置決めされた場合に、第2サイドカバー23と重なって配置される。扉部25は、閉位置に位置決めされた場合に、加工エリア200を区画形成している。
【0032】
工作機械100は、ミストコレクタ10をさらに有する。ミストコレクタ10は、カバー体21に接続されている。ミストコレクタ10には、加工エリア200から、クーラントがミスト状となったオイルミストを含む空気が導かれる。ミストコレクタ10は、空気中に含まれるオイルミストを回収し、清浄な空気を排出する装置である。
【0033】
ミストコレクタ10は、天井カバー24に接続されている。ミストコレクタ10は、後出の回転中心軸110がX軸方向(上下方向)に延びる姿勢で設けられている。ミストコレクタ10が接続されるカバー体21の位置は、特に限定されず、たとえば、第2サイドカバー23の側面であってもよい。この場合に、ミストコレクタ10は、後出の回転中心軸110が水平方向に延びる姿勢で設けられてもよい。
【0034】
続いて、本実施の形態におけるミストコレクタ10の構造について詳細に説明する。図2は、図1中のミストコレクタを示す斜視図である。図3は、図1中のミストコレクタを示す断面図である。図4は、図2中のIV-IV線上の矢視方向に見たミストコレクタを示す断面図である。
【0035】
図2から図4を参照して、ミストコレクタ10は、ファン81と、モータ71と、第1フィルタ31と、ケース体41とを有する。
【0036】
ファン81は、回転中心軸110を中心にして回転可能である。ファン81は、その回転に伴って、加工エリア200からケース体41内に向けてミストを含む空気を導入する。モータ71は、ファン81を回転させる動力源として設けられている。第1フィルタ31は、ファン81の回転により発生する空気流れの経路上に設けられている。第1フィルタ31は、空気に含まれるミストを捕集可能なように構成されている。
【0037】
ケース体41は、ミストコレクタ10の外観をなしている。ケース体41は、カバー体21(天井カバー24)に接続されている。
【0038】
ケース体41は、ケース本体部42と、排気通路形成部43とを有する。ケース本体部42には、ファン81と、第1フィルタ31と、モータ71の一部とが収容されている。排気通路形成部43は、第1フィルタ31からの空気が流れる排気通路46を形成している。
【0039】
ケース体41には、吸気口45と、排気口44とが設けられている。ファン81の回転に伴って、吸気口45を通じてケース体41内に吸気され、ケース体41の内部を流れて、排気口44を通じてケース体41から排気される空気流れが形成される。
【0040】
吸気口45は、ケース本体部42に設けられている。吸気口45は、回転中心軸110の半径方向外側を向いて開口している。吸気口45は、回転中心軸110の軸方向において一定の幅を有しながら、回転中心軸110を中心に帯状に周回する開口形状をなしている。吸気口45は、加工エリア200の内部で開口している。なお、吸気口45の開口形状は、特に限定されず、たとえば、吸気口45は、回転中心軸110の軸方向を向いて開口してもよい。
【0041】
排気口44は、排気通路形成部43に設けられている。排気口44は、排気通路46がなす開口部である。排気口44は、加工エリア200の外部で開口している。吸気口45は、矩形の開口形状をなしている。なお、排気口44の配置については、後で詳細に説明する。
【0042】
ミストコレクタ10は、第1整流板61と、第2整流板62とをさらに有する。第1整流板61および第2整流板62は、ケース体41に収容されている。第1整流板61および第2整流板62は、ケース本体部42に収容されている。
【0043】
第1整流板61および第2整流板62は、ケース本体部42に固定されている。第1整流板61および第2整流板62は、回転中心軸110を中心に配置されている。第1整流板61および第2整流板62は、回転中心軸110の軸方向において、互いに間隔を開けて設けられている。第1整流板61は、第2整流板62よりも、ケース体41内に形成される空気流れの上流側に配置されている。第1整流板61および第2整流板62は、ケース体41内に形成される空気流れを整える。
【0044】
第1フィルタ31は、ケース本体部42に収容されている。第1フィルタ31は、回転中心軸110を中心とする円盤形状を有する。第1フィルタ31は、回転中心軸110に直交する平面に平行に配置されている。第1フィルタ31は、回転中心軸110の軸方向において、第1整流板61および第2整流板62の間に配置されている。第1フィルタ31は、微細な孔が並ぶ網目状のメッシュ体を含む。
【0045】
ファン81は、遠心ファンである。ファン81は、回転中心軸110の軸方向に空気を吸い込み、回転中心軸110の半径方向外側に向けて空気を送出する。
【0046】
ファン81は、回転中心軸110に直交する平面に平行に配置されている。ファン81は、回転中心軸110の軸方向において、第2整流板62と対向して配置されている。第2整流板62は、回転中心軸110の軸方向において、第1フィルタ31およびファン81の間に配置されている。
【0047】
モータ71は、回転中心軸110に軸方向において、ファン81と並んで配置されている。ファン81は、回転中心軸110の軸方向において、モータ71および第2整流板62の間に配置されている。
【0048】
ミストコレクタ10は、ファンケース59をさらに有する。ファンケース59は、ケース本体部42に収容されている。ファンケース59は、回転中心軸110を中心とする円筒形状を有する。ファンケース59には、開口部83が設けられている。開口部83は、回転中心軸110の軸周りの所定の角度範囲において、回転中心軸110の半径方向外側を向いて開口している。ファンケース59は、ファン81から送り出される空気を回転中心軸110の周方向に案内するとともに、開口部83を通じて回転中心軸110の半径方向外側に向かわせている。
【0049】
モータ71は、出力軸76と、ロータ79と、ステータ78と、モータケース72とを有する。
【0050】
出力軸76は、回転中心軸110の軸上で延びている。ロータ79は、回転中心軸110を中心に配置されている。ロータ79は、出力軸76に接続されている。出力軸76は、図示しない軸受けにより、回転中心軸110を中心に回転可能なように支持されている。出力軸76は、ロータ79からの回転運動を出力する。
【0051】
ステータ78は、回転中心軸110を中心に配置されている。ステータ78は、回転中心軸110の半径方向における隙間を設けて、ロータ79の外周上に配置されている。ステータ78は、図示しないハウジングにより支持されている。
【0052】
モータケース72は、モータ71の外観をなしている。ロータ79およびステータ78は、モータケース72に収容されている。モータケース72は、回転中心軸110の軸方向において、ファンケース59と並んで設けられている。モータケース72の少なくとも一部は、ケース体41の外部に配置されている。出力軸76は、モータケース72の内部から外部に向けて延出している。出力軸76は、モータケース72の外部において、ファン81および第1フィルタ31に接続されている。
【0053】
ケース体41(ケース本体部42)は、側部56と、頂部57と、テーパ部58とを有する。
【0054】
側部56は、回転中心軸110の軸方向に沿って延在している。側部56は、回転中心軸110の外周上で、モータ71、ファン81、第2整流板62および第1フィルタ31を取り囲むように設けられている。頂部57は、回転中心軸110に直交する平面方向に延在している。頂部57は、回転中心軸110を中心にリング状に設けられている。頂部57の外周縁は、回転中心軸110の軸方向における側部56の端部に接続されている。
【0055】
テーパ部58は、頂部57の内周縁から、回転中心軸110の軸方向において、ファン81に近づく方向に延在している。テーパ部58は、回転中心軸110を中心とする直径が、回転中心軸110の軸方向においてファン81に近づくに従って小さくなるテーパ形状をなしている。テーパ部58は、回転中心軸110の外周上で、モータケース72を取り囲むように設けられている。
【0056】
モータケース72は、側部74と、頂部73とを有する。側部74は、回転中心軸110を中心とする円筒形状を有する。側部74は、回転中心軸110の外周上で、ステータ78を取り囲むように設けられている。頂部73は、回転中心軸110に直交する平面方向に延在している。頂部73は、回転中心軸110を中心とする円盤形状を有する。頂部73は、回転中心軸110の軸方向において、ロータ79およびステータ78と対向している。頂部73の外周縁は、回転中心軸110の軸方向における側部74の端部に接続されている。
【0057】
側部74の一部は、回転中心軸110の半径方向において、テーパ部58と対向している。回転中心軸110の半径方向において互いに対向する側部74の一部およびテーパ部58の間の空間は、ケース体41の外部の空間(外部空間)である。回転中心軸110の軸方向におけるファン81および頂部73の間の距離は、回転中心軸110の軸方向におけるファン81および頂部57の間の距離よりも大きい。すなわち、頂部73は、回転中心軸110の軸方向において、頂部57よりも外部空間に向けて突出するように設けられている。
【0058】
排気通路形成部43は、ミストコレクタ10の外観をなすとともに、排気通路46を形成するダクトをなしている。排気通路46は、ファン81により送り出された空気を排気口44まで導く。
【0059】
排気通路形成部43は、ファン81から回転中心軸110の半径方向外側に離れた位置に設けられている。排気通路形成部43は、第1フィルタ31から回転中心軸110の半径方向外側に離れた位置に設けられている。排気通路形成部43は、回転中心軸110の半径方向外側からケース本体部42に接続されている。
【0060】
排気通路46は、ファン81から回転中心軸110の半径方向外側に向けて延び、回転中心軸110の半径方向において反転し、回転中心軸110の半径方向内側を向いて開口している。
【0061】
より具体的には、排気通路46は、第1排気通路46Aと、第2排気通路46Bと、第3排気通路46Cとを含む。第1排気通路46A、第2排気通路46Bおよび第3排気通路46Cは、挙げた順に、排気通路46における空気流れの上流側から下流側に連なって設けられている。
【0062】
第1排気通路46Aは、開口部83を介して、ファンケース59内の空間82と連通している。第1排気通路46Aは、ファンケース59から、回転中心軸110の半径方向外側に向かって延びている。第1排気通路46Aは、回転中心軸110に直交する平面方向において、ファン81,第2整流板62および第1フィルタ31と隣り合って設けられている。第1排気通路46Aは、ファンケース59内の空間82からの空気を、回転中心軸110の半径方向外側に向けて案内している。
【0063】
第2排気通路46Bは、回転中心軸110の軸方向において、第1排気通路46Aに積み重なって設けられている。第2排気通路46Bは、第1排気通路46Aから、回転中心軸110の軸方向に延びている。第2排気通路46Bは、回転中心軸110に直交する平面方向において、モータ71(モータケース72)と隣り合って設けられている。第2排気通路46Bは、第1排気通路46Aからの空気を、回転中心軸110の軸方向に向けて案内している。
【0064】
第3排気通路46Cは、回転中心軸110の軸方向において、第2排気通路46Bに積み重なって設けられている。第3排気通路46Cは、第2排気通路46Bから、回転中心軸110の半径方向内側に向けて延びている。回転中心軸110の半径方向内側に向けて延びる第3排気通路46Cの先端部には、排気口44が設けられている。第3排気通路46Cは、第2排気通路46Bからの空気を、回転中心軸110の半径方向内側に向けて案内し、排気口44を通じて外部空間に排出させている。
【0065】
排気通路46(第3排気通路46C)は、モータ71に向けて空気を排出するように構成されている。排気口44は、頂部57の直上で開口している。排気口44は、回転中心軸110の半径方向内側を向いて開口している。回転中心軸110に直交する方向における排気口44の開口幅は、回転中心軸110を中心とする頂部73の直径よりも大きい。排気通路形成部43は、排気口44からの空気の排出方向が頂部57と平行となるように構成されている。
【0066】
ミストコレクタ10は、第2フィルタ36をさらに有する。第2フィルタ36は、排気通路46に配置されている。第2フィルタ36は、第2排気通路46Bに配置されている。第2フィルタ36は、直方体形状を有し、第2排気通路46Bを充填している。第2フィルタ36により捕集可能な微粒子径は、第1フィルタ31より捕集可能な微粒子径よりも小さい。
【0067】
ミストコレクタ10の駆動時、ロータ79からの回転運動が、出力軸76を介してファン81および第1フィルタ31に伝達される。これにより、ファン81および第1フィルタ31は、回転中心軸110を中心に回転する。ファン81が回転することにより、ケース体41内には、図3中の矢印に示される吸気口45から排気口44に向かう空気流れが形成される。
【0068】
加工エリア200内で発生したオイルミストを含む空気は、ファン81の回転に伴って、ミストコレクタ10に導かれる。吸気口45を通じてケース体41内に進入した空気は、回転中心軸110を中心に回転する第1フィルタ31を通過する。このとき、空気が第1フィルタ31の網目を通過する一方で、空気中に含まれるオイルミストは、高速回転する第1フィルタ31と衝突して、第1フィルタ31の網目を通過することができない。これにより、空気と、オイルミストとが分離される。分離されたオイルミストは、図示しないドレンを通じて、工作機械100の加工エリア200内またはクーラントタンクに回収される。
【0069】
第1フィルタ31を通過し、ファン81から送出された空気は、第1排気通路46A、第2排気通路46Bおよび第3排気通路46Cを挙げた順に流れる。このとき、空気が、第2排気通路46Bに配置された第2フィルタ36を通過することによって、空気中に残存するオイルミストが除去される。オイルミストが除去された空気は、排気口44を通じて外部空間に排出される。排気口44から排出された空気は、モータ71に向かって流れる。これにより、ミストコレクタ10の駆動に伴って発熱するモータ71を効率的に冷却することができる。
【0070】
特に本実施の形態では、排気口44から排出された空気が、頂部57上を通りながら、モータケース72(頂部73)の直上を流れる。これにより、モータケース72に収容されるロータ79およびステータ78を効率的に冷却することができる。
【0071】
また、排気通路46を形成する排気通路形成部43は、ケース体41に一体に設けられている。これにより、排気通路46を形成するためのホース等の管部材を別に設ける場合と比較して、ミストコレクタ10を簡易に構成することができる。
【0072】
また、ミストコレクタ10にミストを含む空気を導くためのファン81として、回転中心軸110の半径方向外側に向けて空気を送出する遠心ファンが用いられている。これにより、排気通路形成部43をファン81から回転中心軸110の半径方向外側に離れた位置に設ける構成が可能となるため、回転中心軸110の軸方向においてミストコレクタ10を薄型化することができる。特に本実施の形態では、ミストコレクタ10が、工作機械100の天井に搭載されるため、工作機械100の低背化に大きく貢献させることができる。
【0073】
以上に説明した、この発明の実施の形態におけるミストコレクタ10の構造をまとめると、本実施の形態におけるミストコレクタ10は、ファン81と、ファン81を回転させるためのモータ71と、ファン81の回転により発生する空気流れの経路上に設けられ、空気に含まれるミストを捕集する第1フィルタ31と、第1フィルタ31からの空気が流れ、モータ71に向けて空気を排出する排気通路46を形成する排気通路形成部43とを備える。
【0074】
このように構成された、この発明の実施の形態におけるミストコレクタ10によれば、排気通路46から排出される清浄な空気を利用して、モータ71を効率的に冷却することができる。
【0075】
なお、本実施の形態では、排気通路形成部43がケース体41に一体に設けられている場合を説明したが、これに限られず、排気通路形成部は、ホース等の管部材から構成されてもよい。また、本発明における第1フィルタは、固定式であってもよいし、また、ファンよりもミストコレクタに導入される空気流れの下流側に設けられてもよい。本発明におけるミストコレクタは、工作機械と別置きされてもよく、この場合に、工作機械の加工エリアと、ミストコレクタの吸気口とが、ホース等の管部材を用いて連通されてもよい。
【0076】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0077】
この発明は、工作機械等で用いられるミストコレクタに利用される。
【符号の説明】
【0078】
10 ミストコレクタ、11 ワーク主軸、12 刃物台、21 カバー体、22 第1サイドカバー、23 第2サイドカバー、24 天井カバー、25 扉部、26 カバー開口部、28 操作パネル、31 第1フィルタ、36 第2フィルタ、41 ケース体、42 ケース本体部、43 排気通路形成部、44 排気口、45 吸気口、46 排気通路、46A 第1排気通路、46B 第2排気通路、46C 第3排気通路、56,74 側部、57,73 頂部、58 テーパ部、59 ファンケース、61 第1整流板、62 第2整流板、71 モータ、72 モータケース、76 出力軸、78 ステータ、79 ロータ、81 ファン、82 空間、83 開口部、100 工作機械、110,210 回転中心軸、200 加工エリア、220 旋回中心軸。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2022-06-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンと、
前記ファンを回転させるためのモータと、
前記ファンの回転により発生する空気流れの経路上に設けられ、空気に含まれるミストを捕集する第1フィルタと、
前記第1フィルタからの空気が流れ、前記モータに向けて空気を排出する排気通路を形成する排気通路形成部を有し、前記ファンおよび前記第1フィルタを収容するケース体とを備え、
前記モータは、
ロータおよびステータと、
前記ケース体の内部で前記ファンに接続され、前記ロータからの回転運動を出力する出力軸と、
前記ロータおよび前記ステータを収容するモータケースとを有し、
前記モータケースは、前記モータの回転中心軸の軸方向において、前記ロータおよび前記ステータと対向する頂部を有し、
前記頂部を含む前記モータケースの少なくとも一部が、前記ケース体の外部に配置され、
前記排気通路は、空気を前記モータの回転中心軸の軸方向における前記頂部の直上を通るように排出する、ミストコレクタ。
【請求項2】
前記ファンは、所定軸の軸方向に空気を吸い込み、前記所定軸の半径方向外側に向けて空気を送出する遠心ファンであり、
前記排気通路形成部は、前記ファンから前記所定軸の半径方向外側に離れた位置に設けられる、請求項1に記載のミストコレクタ。
【請求項3】
前記モータは、前記所定軸の軸方向において前記ファンと並んで設けられ、
前記排気通路は、前記ファンから前記所定軸の半径方向外側に向けて延び、前記所定軸の半径方向において反転し、前記所定軸の半径方向内側を向いて開口する、請求項に記載のミストコレクタ。
【請求項4】
前記排気通路に配置される第2フィルタをさらに備える、請求項1からのいずれか1項に記載のミストコレクタ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
この発明の1つの局面に従ったミストコレクタは、ファンと、ファンを回転させるためのモータと、ファンの回転により発生する空気流れの経路上に設けられ、空気に含まれるミストを捕集する第1フィルタと、第1フィルタからの空気が流れ、モータに向けて空気を排出する排気通路を形成する排気通路形成部を有し、ファンおよび第1フィルタを収容するケース体とを備える。モータは、ロータおよびステータと、ケース体の内部でファンに接続され、ロータからの回転運動を出力する出力軸と、ロータおよびステータを収容するモータケースとを有する。モータケースは、モータの回転中心軸の軸方向において、ロータおよびステータと対向する頂部を有する。頂部を含むモータケースの少なくとも一部が、ケース体の外部に配置される。排気通路は、空気をモータの回転中心軸の軸方向における頂部の直上を通るように排出する。
この発明の別の局面に従ったミストコレクタは、ファンと、ファンを回転させるためのモータと、ファンの回転により発生する空気流れの経路上に設けられ、空気に含まれるミストを捕集する第1フィルタと、第1フィルタからの空気が流れ、モータに向けて空気を排出する排気通路を形成する排気通路形成部とを備える。