(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102965
(43)【公開日】2023-07-26
(54)【発明の名称】家族意向取得装置
(51)【国際特許分類】
G16H 10/20 20180101AFI20230719BHJP
G06Q 50/22 20180101ALI20230719BHJP
G16H 80/00 20180101ALI20230719BHJP
【FI】
G16H10/20
G06Q50/22
G16H80/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003749
(22)【出願日】2022-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂口 卓弥
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 恭子
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA01
(57)【要約】
【課題】 患者の意向と家族の意向とを区別して取得すること。
【解決手段】 実施形態に係る家族意向取得装置は、取得部と、付与部と、送信部とを備えている。前記取得部は、患者の意向と、前記患者を介護又は支援する家族の意向とをそれぞれ取得する。前記付与部は、前記患者の意向に患者IDを付与し、前記家族の意向に家族IDを付与する。前記送信部は、前記患者IDを付与した意向と、前記家族IDを付与した意向とを含む意向情報を送信する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の意向と、前記患者を介護又は支援する家族の意向とをそれぞれ取得する取得部と、
前記患者の意向に患者IDを付与し、前記家族の意向に家族IDを付与する付与部と、
前記患者IDを付与した意向と、前記家族IDを付与した意向とを含む意向情報を送信する送信部と
を備えた家族意向取得装置。
【請求項2】
前記患者の意向を入力するための患者入力欄と、前記家族の意向を入力するための家族入力欄とを表示部に表示させる表示制御部、を更に備え、
前記取得部は、
前記患者入力欄への入力内容を前記患者の意向として取得し、
前記家族入力欄への入力内容を前記家族の意向として取得する、
請求項1記載の家族意向取得装置。
【請求項3】
前記患者から音声入力を行うための外部装置を登録する登録部と、
本体マイクと、
を更に備え、
前記取得部は、
前記外部装置からの音声入力内容を前記患者の意向として取得し、
前記本体マイクからの音声入力内容を前記家族の意向として取得する、
請求項1記載の家族意向取得装置。
【請求項4】
本体マイクを備え、
前記取得部は、
前記本体マイクからの音声入力内容に対して前記患者及び前記家族の声紋認識を行うことにより、前記患者の声紋に対応する音声入力内容を前記患者の意向として取得し、前記家族の声紋に対応する音声入力内容を前記家族の意向として取得する、
請求項1記載の家族意向取得装置。
【請求項5】
前記取得部は、
前記患者と前記家族とがビデオ通話を実行中に、当該ビデオ通話の音声内容を取り込んで前記患者及び前記家族の声紋認識を行うことにより、前記患者の声紋に対応する音声内容を前記患者の意向として取得し、前記家族の声紋に対応する音声内容を前記家族の意向として取得する、
請求項1記載の家族意向取得装置。
【請求項6】
前記患者の意向と前記家族の意向とを解析することにより、前記患者の意向が前記家族の意向に誘導されたか否かを判定する第1判定部、を更に備え、
前記送信部は、前記判定の結果を更に含む前記意向情報を送信する、
請求項3乃至5のいずれか一項に記載の家族意向取得装置。
【請求項7】
前記判定の結果、前記患者の意向が誘導された場合、当該誘導された意向が納得を示すか否かを判定する第2判定部、を更に備え、
前記送信部は、前記第2判定部による判定の結果を更に含む前記意向情報を送信する、
請求項6記載の家族意向取得装置。
【請求項8】
前記第2判定部は、前記誘導された意向の納得度を推測し、当該納得度が閾値を超えた場合に、前記誘導された意向が納得を示すことを判定する、
請求項7記載の家族意向取得装置。
【請求項9】
前記誘導された意向の納得度を表示部に表示させる表示制御部、
を更に備えた請求項8記載の家族意向取得装置。
【請求項10】
前記患者の意向と、前記家族の意向とのそれぞれに対して、当該意向の納得の有無の入力を受け付ける受付部、を更に備え、
前記送信部は、前記入力を受け付けた前記納得の有無を更に含む前記意向情報を送信する、請求項6記載の家族意向取得装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、家族意向取得装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、患者の意向に沿って治療や未来生活を決めていくことが主流になってきている。ここで、患者が自己判断できない場合には、患者の家族の意向を取得することが必要となる。例えば、介護や費用などの間接的な事情を判断する場合、患者の自己判断が困難であり、当事者となる家族の意向を尊重する必要がある。
【0003】
一方、医療スタッフにとっては、患者からあるいは家族から提出された情報が、患者の意向であるか、家族の意向であるかが不明なことから、治療を適切に選択できない可能性がある。従って、患者の意向と家族の意向とを区別して取得できることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、患者の意向と家族の意向とを区別して取得することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る家族意向取得装置は、取得部と、付与部と、送信部とを備えている。前記取得部は、患者の意向と、前記患者を介護又は支援する家族の意向とをそれぞれ取得する。前記付与部は、前記患者の意向に患者IDを付与し、前記家族の意向に家族IDを付与する。前記送信部は、前記患者IDを付与した意向と、前記家族IDを付与した意向とを含む意向情報を送信する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る家族意向取得装置を備えた家族意向取得システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、
図1の家族意向取得装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、
図1の医用端末の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態における動作を説明するためのシーケンス図である。
【
図5】
図5は、
図4の動作における説明文の一例を示す模式図である。
【
図6】
図6は、
図4の動作における特記付きの説明文の一例を示す模式図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態の第1変形例に係る家族意向取得システムの構成を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、
図7のAI処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、
図7の家族意向取得システムの動作を説明するためのシーケンス図である。
【
図10】
図10は、第1の実施形態の第3変形例に係る家族意向取得システムの構成を示すブロック図である。
【
図11】
図11は、
図10の家族意向取得システムの動作を説明するためのシーケンス図である。
【
図12】
図12は、第1の実施形態の第4変形例に係る家族意向取得システムの構成を示すブロック図である。
【
図13】
図13は、
図12の家族意向取得システムの動作を説明するためのシーケンス図である。
【
図14】
図14は、第2の実施形態に係る家族意向取得システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【
図18】
図18は、
図14の動作を説明するための表示画面の更に他の変形例を示す模式図である。
【
図19】
図19は、第3の実施形態に係る家族意向取得システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【
図20】
図20は、第3の実施形態における動作を説明するための模式図である。
【
図21】
図21は、
図20の動作における音声入力デバイスの変形例を説明するための模式図である。
【
図30】
図30は、第4の実施形態に係る家族意向取得システムの構成を示すブロック図である。
【
図31】
図31は、
図30の家族意向取得システムの動作を説明するためのシーケンス図である。
【
図33】
図33は、第5の実施形態に係る家族意向取得装置の構成を示すブロック図である。
【
図34】
図34は、第5の実施形態における動作を説明するためのシーケンス図である。
【
図37】
図37は、
図34の動作を説明するための表示画面の更に他の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、各実施形態について図面を用いて説明する。なお、本明細書中、家族とは、患者を介護又は支援する者であり、患者と同居している者や、患者と血縁のある者に限定しない。すなわち、家族としては、例えば、患者の後見人や、患者の身の回りの世話をする方々を含んでいる。
【0009】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る家族意向取得装置を備えた家族意向取得システムの構成を示すブロック図である。家族意向取得装置10は、患者や患者の家族に使用され、インターネット等の通信ネットワークNwを介して医用端末20に通信可能な端末装置である。家族意向取得装置10としては、例えば、スマートフォン、タブレット端末又はノートPCなどのモバイル端末でもよく、デスクトップPCなどの設置端末でもよい。
【0010】
ここで、家族意向取得装置10は、
図2に示すように、メモリ11、入力インタフェース12、ディスプレイ13、通信インタフェース14及び処理回路15を備えている。メモリ11、入力インタフェース12、ディスプレイ13、通信インタフェース14及び処理回路15は、例えば、バスを介して互いに通信可能に接続されている。
【0011】
ここで、メモリ11は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hardware Disk Drive)及び画像メモリなど電気的情報を記録するメモリと、それらメモリに付随するメモリコントローラやメモリインタフェースなどの周辺回路から構成されている。メモリ11は、例えば、家族意向取得装置10の意向取得プログラム等の各種プログラムと、各種テーブル、処理途中のデータ、処理後のデータ等の各種データとを記憶する。
【0012】
入力インタフェース12は、操作者(ユーザ)からの各種指示・命令・情報・選択・設定を家族意向取得装置本体に入力するためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド(又はトラックパッド)、音声入力操作を行う本体マイク、及び表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチパネルディスプレイ(又はタッチスクリーン)等によって実現される。入力インタフェース12は、処理回路15に接続されており、ユーザから受け取った入力操作を電気信号へ変換し処理回路15へと出力する。この場合、入力インタフェース12は、ユーザがマウス、キーボード等の物理的な操作部品により各種指示を入力するためのユーザインタフェース(GUI:Graphical User Interface)をディスプレイ13に表示させてもよい。なお、本明細書において入力インタフェース12は物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器(例、外部のマイク、外部のウエアラブル端末)から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路15へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース12の例に含まれる。以下の説明では、「ユーザによる入力インタフェース12の操作」を「ユーザの操作」ともいう。
【0013】
ディスプレイ13は、各種画面を表示するディスプレイ本体と、ディスプレイ本体に表示用の信号を供給する内部回路、ディスプレイと内部回路とをつなぐコネクタやケーブルなどの周辺回路から構成されている。ディスプレイ13は、例えば、患者入力欄、家族入力欄、入力内容、アイコン、GUIなど、任意のデータを適宜、表示可能である。ディスプレイ13は、表示部の一例である。
【0014】
通信インタフェース14は、家族意向取得装置10をネットワークに接続して他の装置と通信するための回路である。通信インタフェース14としては、例えば、ネットワークインタフェースカード(NIC)が使用可能となっている。以下の説明では、家族意向取得装置10と他の装置との間の通信に通信インタフェース14が介在する旨の記載を省略する。
【0015】
処理回路15は、ユーザにより入力インタフェース12を介してから入力された指示に基づいて、メモリ11に記憶されたプログラムを読み出し、これらに従って家族意向取得装置10を制御する。例えば、処理回路15は、メモリ11から読み出した各種プログラムに従って、家族意向取得装置10の各機能を実現させるプロセッサである。各機能としては、例えば、制御機能15a及び意向取得機能15bなどがある。なお、各機能は、適宜、複数のプロセッサに分散させて実現してもよい。あるいは、各機能又は各機能の一部を、適宜、他の装置に実行させてもよい。例えば、各機能のうち、意向取得機能15b内の後述する声紋認識機能などを、図示しない他の装置に実行させてもよい。
【0016】
ここで、制御機能15aは、通常のコンピュータ機能であり、主には、意向取得機能15b以外の機能であるが、意向取得機能15bの周辺機能を含む。意向取得機能15bの周辺機能としては、例えば、意向取得機能15bにより患者IDを付与した意向と、家族IDを付与した意向とを含む意向情報を送信する送信機能がある。また例えば、意向取得機能15bの周辺機能としては、患者の意向を入力するための患者入力欄と、家族の意向を入力するための家族入力欄とをディスプレイ13に表示させる表示制御機能がある。制御機能15aは、送信部及び表示制御部の一例である。
【0017】
意向取得機能15bは、患者の意向と、患者を介護又は支援する家族の意向とをそれぞれ取得する。例えば、意向取得機能15bは、患者入力欄への入力内容を患者の意向として取得し、家族入力欄への入力内容を家族の意向として取得する。また、意向取得機能15bは、患者の意向に患者IDを付与し、家族の意向に家族IDを付与する。意向取得機能15bは、取得部及び付与部の一例である。
【0018】
一方、医用端末20は、患者の治療を担当する医師や医療スタッフに使用され、インターネット等の通信ネットワークNwを介して家族意向取得装置10に通信可能な端末装置である。医用端末20としては、例えば、スマートフォン、タブレット端末又はノートPCなどのモバイル端末でもよく、デスクトップPCなどの設置端末でもよい。
【0019】
ここで、医用端末20は、
図3に示すように、メモリ21、入力インタフェース22、ディスプレイ23、通信インタフェース24及び処理回路25を備えている。メモリ21、入力インタフェース22、ディスプレイ23、通信インタフェース24及び処理回路25は、例えば、バスを介して互いに通信可能に接続されている。
【0020】
ここで、メモリ21は、ROM、RAM、HDD及び画像メモリなど電気的情報を記録するメモリと、それらメモリに付随するメモリコントローラやメモリインタフェースなどの周辺回路から構成されている。メモリ21は、例えば、医用端末20の各種プログラムと、各種テーブル、処理途中のデータ、処理後のデータ等の各種データとを記憶する。
【0021】
入力インタフェース22は、操作者(ユーザ)からの各種指示・命令・情報・選択・設定を家族意向取得装置本体に入力するためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド(又はトラックパッド)、音声入力操作を行う本体マイク、及び表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチパネルディスプレイ(又はタッチスクリーン)等によって実現される。入力インタフェース22は、処理回路25に接続されており、ユーザから受け取った入力操作を電気信号へ変換し処理回路25へと出力する。この場合、入力インタフェース22は、ユーザがマウス、キーボード等の物理的な操作部品により各種指示を入力するためのユーザインタフェース(GUI:Graphical User Interface)をディスプレイ23に表示させてもよい。なお、本明細書において入力インタフェース22は物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器(例、外部のマイク、外部のウエアラブル端末)から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路25へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース22の例に含まれる。以下の説明では、「ユーザによる入力インタフェース22の操作」を「ユーザの操作」ともいう。
【0022】
ディスプレイ23は、各種画面を表示するディスプレイ本体と、ディスプレイ本体に表示用の信号を供給する内部回路、ディスプレイと内部回路とをつなぐコネクタやケーブルなどの周辺回路から構成されている。ディスプレイ23は、例えば、患者入力欄、家族入力欄、入力内容、アイコン、GUIなど、任意のデータを適宜、表示可能である。ディスプレイ13は、表示部の一例である。
【0023】
通信インタフェース24は、医用端末20を通信ネットワークNwに接続して他の装置と通信するための回路である。通信インタフェース24としては、例えば、ネットワークインタフェースカード(NIC)が使用可能となっている。以下の説明では、医用端末20と他の装置との間の通信に通信インタフェース24が介在する旨の記載を省略する。
【0024】
処理回路25は、ユーザにより入力インタフェース22を介してから入力された指示に基づいて、メモリ21に記憶されたプログラムを読み出し、これらに従って医用端末20を制御する。例えば、処理回路25は、メモリ21から読み出した各種プログラムに従って、医用端末20の各機能を実現させるプロセッサである。各機能としては、例えば、通常のコンピュータ機能や、患者及び家族への説明文に特記の処理を行う機能などがある。なお、各機能は、適宜、複数のプロセッサに分散させて実現してもよい。あるいは、各機能又は各機能の一部を、適宜、他の装置に実行させてもよい。例えば、各機能のうち、特記の処理を行う機能などを、図示しない他の装置に実行させてもよい。
【0025】
次に、以上のように構成された家族意向取得装置を備えた家族意向取得システムの動作について
図4のシーケンス図、
図5及び
図6の模式図を用いて説明する。
【0026】
いま、医用端末20は、
図5に示すように、医療スタッフの操作に応じて、患者及び家族に対する説明文D1を作成し、当該説明文D1をメモリ21に保存しているとする。説明文D1は、患者や家族に対して、薬・介護・通院・医療などの一般的な説明が記載されているものの、家族が当事者になることについては記載されていない。この状態でステップST10が開始される。
【0027】
ステップST10において、医用端末20の処理回路25は、医療スタッフの操作に応じて、説明文D1を家族意向取得装置10に送信する。家族意向取得装置10は、説明文D1を受信してメモリ11に保存する。
【0028】
ステップST10の後、ステップST20において、家族意向取得装置10の処理回路15は、メモリ11内の説明文D1を読み出し、当該説明文D1に対する特記の処理を行う。特記の処理は、説明文D1のうち、家族が当事者となる全体又は一部の項目について特記して当該家族に通知する処理である。具体的には例えば、説明文D1に対する定型文Cm1を付加してもよい。また例えば、特記の処理としては、特記の項目や記述を目立たせる処理や、特記の項目に関する定型文Cm2を付加する処理が、適宜、使用可能となっている。目立たせる処理としては、例えば、ハイライトHLといった文字修飾を用いる方式や、特記の項目又は定型文Cm2にマークMkを付加する方式などがある。また、特記の処理としては、例えば、定型文Cm2等を見たことを確認するためのチェック欄Ckを付加してもよい。あるいはチェック欄Ckに代えて、定型文Cmを見たことを示すマーク等の所定画像の貼付を促すメッセージを付加してもよい。
【0029】
具体的には例えば、処理回路15は、まず、説明文D1から特記の項目を抽出する。特記の項目としては、例えば、薬の説明内の「副作用」、介護の説明内の「床ずれ」、通院の説明内の「保険証」、医療費の説明内の「〇〇制度」、などの所望の項目が適宜、使用可能となっている。
【0030】
続いて、処理回路15は、抽出した項目に基づいて、ハイライトHL、定型文Cm2、マークMk、チェック欄Ckを付加する。また、処理回路15は、説明文D1の全体に対して定型文Cm1を付加する。このように、処理回路15は、説明文D1に特記の処理を施して説明文D1xを作成する。
【0031】
ステップST20の後、ステップST30において、処理回路15は、作成した説明文D1xをディスプレイ13に表示させる。また、処理回路15は、説明文D1xに対する意向の入力画面(図示せず)をディスプレイ13に表示させる。
【0032】
ステップST30の後、ステップST40において、処理回路15は、入力画面に対する患者の操作に応じて、患者の意向を取得する。また、処理回路15は、説明文D1xに対する家族の操作に応じて、説明文D1xのチェック欄Ckを更新し、入力画面に対する家族の操作に応じて、家族の意向を取得する。しかる後、処理回路15は、当該取得した患者の意向に患者IDを付与し、当該取得した家族の意向に家族IDを付与する。
【0033】
ステップST40の後、ステップST50において、処理回路15は、チェック欄Ckを更新した説明文D1xと、患者IDを付与した意向と、家族IDを付与した意向とを含む意向情報を医用端末20に送信する。但し、チェック欄Ckを更新した説明文D1xは、定型文Cm2を見たことが家族の意向から自明な場合があるので、省略可能である。
【0034】
ステップST50の後、医用端末20は、受信した意向情報に基づいて、患者の意向と家族の意向とを区別してディスプレイ23に表示させる。これにより、医療スタッフは、患者の意向と、家族の意向とを区別して把握することができる。
【0035】
上述したように第1の実施形態によれば、患者の意向と、患者を介護又は支援する家族の意向とをそれぞれ取得する。また、患者の意向に患者IDを付与し、家族の意向に家族IDを付与する。また、患者IDを付与した意向と、家族IDを付与した意向とを含む意向情報を送信する。このように、患者の意向と家族の意向とを区別して取得することができる。
【0036】
[第1の実施形態の変形例]
第1の実施形態は、以下の第1変形例乃至第4変形例に示す形態で実施してもよい。
【0037】
[第1の実施形態の第1変形例]
図7は、第1の実施形態の第1変形例に係る家族意向取得システムの構成を示すブロック図であり、
図1と略同一部分には同一符号を付してその詳しい説明を省略し、ここでは、主に、異なる部分について述べる。以下の各変形例及び各実施形態も同様にして重複した説明を省略する。
【0038】
第1変形例は、説明文D1に特記の処理を施して説明文D1xを作成する際に、説明文D1から特記の項目を抽出する処理を、無線通信可能なAI処理装置30に分担させて実行する構成となっている。具体的には、
図7に示すように、家族意向取得装置10に無線通信可能なAI処理装置30を備えている。
【0039】
ここで、AI処理装置30は、
図8に示すように、メモリ31と、通信インタフェース32と、処理回路33とを備えている。
【0040】
メモリ31は、ROM、RAM、HDD及び画像メモリなど電気的情報を記録するメモリと、それらメモリに付随するメモリコントローラやメモリインタフェースなどの周辺回路から構成されている。メモリ31は、例えば、AI処理装置30の各種プログラムと、学習済みモデル、各種テーブル、処理途中のデータ、処理後のデータ等の各種データとを記憶する。学習済みモデルは、説明文D1に基づいて、説明文D1から家族が当事者となる項目を生成するように機械学習されたニューラルネットワークである。
【0041】
通信インタフェース32は、AI処理装置30を通信ネットワークNwに接続して他の装置と通信するための回路である。通信インタフェース32としては、例えば、ネットワークインタフェースカード(NIC)が使用可能となっている。以下の説明では、AI処理装置30と他の装置との間の通信に通信インタフェース32が介在する旨の記載を省略する。
【0042】
処理回路33は、メモリ31に記憶されたプログラムを読み出し、これらに従ってAI処理装置30を制御するプロセッサである。処理回路33は、例えば、通信ネットワークNwから説明文D1を受けると、説明文D1に基づいて、当該説明文D1から家族が当事者となる特記の項目を生成する学習済みモデルに対して、説明文D1を入力することで、家族が当事者となる特記の項目を生成する。また、処理回路33は、生成した結果を当該説明文D1の送信元に返信する。
【0043】
これに伴い、家族意向取得装置10の処理回路15は、医用端末20から受けた説明文D1をAI処理装置30に送信し、AI処理装置30から返信された項目に基づいて、ハイライトHL、定型文Cm2、マークMk、チェック欄Ckを付加する。また、処理回路15は、説明文D1の全体に対して定型文Cm1を付加する。このように、処理回路15は、説明文D1に特記の処理を施して説明文D1xを作成する。
【0044】
他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0045】
このような第1変形例では、ステップST20に代えて、ステップST21a~ST23aからなるステップST20aの動作が行われる点で第1の実施形態とは異なる。例えば、ステップST10が前述同様に実行され、家族意向取得装置10の処理回路15は、説明文D1を受信してメモリ11に保存する。
【0046】
また、処理回路15は、説明文D1をAI処理装置30に送信する(ステップST21a)。
【0047】
AI処理装置30では、説明文D1を受けると、説明文D1に基づいて、当該説明文D1から家族が当事者となる特記の項目を生成し(ステップST22a)、生成した結果を家族意向取得装置10に返信する(ステップST23a)。
【0048】
家族意向取得装置10の処理回路15は、AI処理装置30から返信された項目に基づいて、ハイライトHL、定型文Cm2、マークMk、チェック欄Ckを付加する。また、処理回路15は、説明文D1の全体に対して定型文Cm1を付加する。このように、処理回路15は、説明文D1に特記の処理を施して説明文D1xを作成する。
【0049】
しかる後、ステップST30以降の処理が前述同様に実行される。
【0050】
以上のような第1変形例によれば、説明文D1に特記の処理を施して説明文D1xを作成する際に、説明文D1から特記の項目を抽出する処理を、無線通信可能なAI処理装置30に分担して実行することができる。
【0051】
[第1の実施形態の第2変形例]
第2変形例は、説明文D1に特記の処理を施して説明文D1xを作成する処理を、医用端末20に分担させて実行する構成となっている。具体的には、
図1に示したように、医師又は医療スタッフに操作される医用端末20が通信ネットワークNwを介して家族意向取得装置10に通信可能となっている。
【0052】
これに伴い、医用端末20の処理回路25は、例えば、医療スタッフの操作に応じて、説明文D1を作成してメモリ21に保存する。また、処理回路25は、メモリ21内の説明文D1を読み出し、当該説明文D1に対する特記の処理を行う。特記の処理は、説明文D1のうち、家族が当事者となる全体又は一部の項目について特記して当該家族に通知する処理である。具体的には前述同様に、処理回路25は、説明文D1から特記の項目を抽出し、抽出した項目に基づいて、ハイライトHL、定型文Cm2、マークMk、チェック欄Ckを付加する。また、処理回路25は、説明文D1の全体に対して定型文Cm1を付加する。このように、処理回路25は、説明文D1に特記の処理を施して説明文D1xを作成する。また、処理回路25は、医療スタッフの操作に応じて、作成した説明文D1xを家族意向取得装置10に送信する。
【0053】
他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0054】
以上のような構成の第2変形例によれば、説明文D1に特記の処理を施して説明文D1xを作成する処理を医用端末20に分担して実行することができる。
【0055】
[第1の実施形態の第3変形例]
第3変形例は、第2変形例に第1変形例を組み合わせたものである。すなわち、第3変形例は、
図10に示すように、医用端末20側で説明文D1に特記の処理を施して説明文D1xを作成する際に、説明文D1から特記の項目を抽出する処理を、無線通信可能なAI処理装置30に分担させて実行する構成となっている。AI処理装置30の構成は、第1変形例と同様である。
【0056】
これに伴い、医用端末20の処理回路25は、例えば、医療スタッフの操作に応じて、説明文D1を作成してメモリ21に保存する。また、処理回路25は、メモリ21内の説明文D1をAI処理装置30に送信し、AI処理装置30から返信された項目に基づいて、ハイライトHL、定型文Cm2、マークMk、チェック欄Ckを付加する。また、処理回路25は、説明文D1の全体に対して定型文Cm1を付加する。このように、処理回路25は、説明文D1に特記の処理を施して説明文D1xを作成する。また、処理回路25は、医療スタッフの操作に応じて、作成した説明文D1xを家族意向取得装置10に送信する。
【0057】
他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0058】
このような第3変形例では、
図11に示すように、ステップST10に代えて、ステップST11b~ST14bからなるステップST10bの動作が行われる点で第1の実施形態とは異なる。
【0059】
医用端末20の処理回路25は、例えば、医療スタッフの操作に応じて、説明文D1を作成してメモリ21に保存する。また、処理回路25は、メモリ21内の説明文D1をAI処理装置30に送信する(ステップST11b)。
【0060】
AI処理装置30は、前述同様に、説明文D1に基づいて、当該説明文D1から家族が当事者となる特記の項目を生成し(ステップST12b)、生成した結果を医用端末20に返信する(ステップST13b)。
【0061】
医用端末20の処理回路25は、AI処理装置30から返信された項目に基づいて、説明文D1に特記の処理を施して説明文D1xを作成する。また、処理回路25は、医療スタッフの操作に応じて、作成した説明文D1xを家族意向取得装置10に送信する(ステップST14b)。これにより、ステップST11b~ST14bからなるステップST10bが終了する。
【0062】
しかる後、ステップST30以降の処理が前述同様に実行される。
【0063】
以上のような第3変形例によれば、医用端末20側で説明文D1に特記の処理を施して説明文D1xを作成する際に、説明文D1から特記の項目を抽出する処理を、無線通信可能なAI処理装置30に分担して実行することができる。
【0064】
[第1の実施形態の第4変形例]
第4変形例は、
図12に示すように、AI処理装置30を、医用端末20と家族意向取得装置10との間の通信ネットワークNw上に配置したものである。具体的には、第4変形例は、医用端末20から送信した説明文D1に対し、通信ネットワークNw上のAI処理装置30が特記の処理を施して説明文D1xを作成し、当該説明文D1xを家族意向取得装置10に送信する構成となっている。なお、AI処理装置30は、通信ネットワークNwを管理する通信会社に運営され、通信ネットワークNw上の医用端末20から家族意向取得装置10宛の通信を受信する機能をもっている。
【0065】
これに伴い、AI処理装置30の処理回路33は、前述した説明文D1に基づいて、特記の項目を生成する機能に加え、生成した項目に基づいて、ハイライトHL、定型文Cm2、マークMk、チェック欄Ckを説明文D1に付加する。また、処理回路33は、説明文D1の全体に対して定型文Cm1を付加する。このように、処理回路33は、説明文D1に特記の処理を施して説明文D1xを作成する。また、処理回路33は、作成した説明文D1xを家族意向取得装置10に送信する。
【0066】
他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0067】
このような第4変形例では、
図13に示すように、ステップST10に代えて、ステップST11c~ST13cからなるステップST10cの動作が行われる点で第1の実施形態とは異なる。
【0068】
医用端末20の処理回路25は、例えば、医療スタッフの操作に応じて、説明文D1を作成してメモリ21に保存する。また、処理回路25は、メモリ21内の説明文D1を家族意向取得装置10宛に送信する(ステップST11c)。
【0069】
AI処理装置30は、家族意向取得装置10宛の説明文D1を受信し、前述同様に、説明文D1に基づいて、当該説明文D1から家族が当事者となる特記の項目を生成し、生成した項目に基づいて、説明文D1に特記の処理を施して説明文D1xを作成する(ステップST12c)。しかる後、AI処理装置30は、作成した説明文D1xを家族意向取得装置10に送信する(ステップST13c)。これにより、ステップST11c~ST13cからなるステップST10cが終了する。
【0070】
しかる後、ステップST30以降の処理が前述同様に実行される。
【0071】
以上のような第4変形例によれば、医用端末20から送信した説明文D1に対し、通信ネットワーク上のAI処理装置30が特記の処理を施して説明文D1xを作成し、当該説明文D1xを家族意向取得装置10に送信することができる。
【0072】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態に係る家族意向取得装置を備えた家族意向取得システムについて説明する。
【0073】
第2の実施形態は、前述した説明文D1xを提示される場合に限らず、患者の意向と家族の意向とを区別して取得する構成となっている。
【0074】
これに伴い、家族意向取得装置10における処理回路15の制御機能15aは、患者の意向を入力するための患者入力欄と、家族の意向を入力するための家族入力欄とをディスプレイ13に表示させる。この制御機能15aは、表示制御部の一例である。
【0075】
また、処理回路15の意向取得機能15bは、患者入力欄への入力内容を患者の意向として取得し、家族入力欄への入力内容を家族の意向として取得する。
【0076】
他の構成は、第1の実施形態と同様である。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態の各変形例に適用してもよい。
【0077】
以上のような構成によれば、前述同様にステップST10~ST30が実行され、説明文D1xに対する意向の入力画面をディスプレイ13に表示させたとする。すなわち、ステップST30において、処理回路15は、患者の意向を入力するための患者入力欄と、家族の意向を入力するための家族入力欄とをディスプレイ13に表示させる。
【0078】
ステップST30の後、
図14に示すように、ステップST41~ST42からなるステップST40が実行される。処理回路15は、患者又は家族の操作に応じて、患者又は家族が入力欄に入力したとする(ステップST41)。ここで、入力欄としては、例えば、
図15(a)に示すように、患者入力欄40Pと、家族入力欄50Fとが文字列により区別されてディスプレイ13に表示されている。あるいは、例えば
図15(b)に示すように、患者入力欄40Pと、家族入力欄50Fとが患者アイコン41P及び家族アイコン51Fにより区別されてディスプレイ13に表示されてもよい。なお、患者アイコン41P及び家族アイコン51Fは、互いに形状が異なる同色のアイコンである。いずれにしても、処理回路15は、患者入力欄40Pへの入力内容を患者の意向として取得し、家族入力欄50Fへの入力内容を家族の意向として取得する。
【0079】
ステップST41の後、ステップST42において、処理回路15は、当該取得した患者の意向に患者IDを付与し、当該取得した家族の意向に家族IDを付与する。これにより、ステップST41~ST42からなるステップST40が終了する。
【0080】
以下、前述同様に、ステップST50以降の処理が実行される。
【0081】
上述したように第2の実施形態によれば、患者の意向を入力するための患者入力欄と、家族の意向を入力するための家族入力欄とをディスプレイ13に表示させる。また、患者入力欄への入力内容を患者の意向として取得し、家族入力欄への入力内容を家族の意向として取得する。従って、第1の実施形態の効果に加え、患者入力欄への入力内容か、又は家族入力欄への入力内容かに応じて、患者の意向と家族の意向とを区別して取得することができる。
【0082】
[第2の実施形態の変形例]
なお、第2の実施形態では、1つの患者入力欄40P及び1つの家族入力欄50Fを表示させたが、これに限定されない。例えば
図16(a)に示すように、それぞれ複数の患者入力欄40P及び家族入力欄50Fを表示させてもよい。また例えば
図16(b)に示すように、それぞれ複数の患者入力欄40P及び家族入力欄50Fを表示させる場合に、画面左寄りの各々の患者入力欄40Pの近傍に患者アイコン41Pを表示させ、画面右寄りの各々の家族入力欄50Fの近傍に家族アイコン51Fを表示させてもよい。ここで、患者アイコン41P及び家族アイコン51Fは、第2の実施形態とは異なり、互いに同じ形状で互いに異なる色を持たせてもよい。
【0083】
また、患者入力欄40P及び患者アイコン41Pと、家族入力欄50F及び家族アイコン51Fとは、例えば
図17(a)に示すように、画面左寄りに上下方向に沿って交互に配置してもよい。患者アイコン41P及び家族アイコン51Fは、互いに異なる形状で互いに異なる色を持たせてもよい。また例えば、患者入力欄40P及び家族入力欄50Fとは、例えば
図17(b)に示すように、上下方向に沿って交互に配置した入力欄のうち、患者ボタン42Pを押して入力する入力欄を患者入力欄40Pとし、家族ボタン52Fを押して入力する入力欄を家族入力欄50Fとしてもよい。
【0084】
また、患者入力欄と家族入力欄とは別々の領域を占める場合に限定されない。例えば
図18に示すように、1つの軸上において、患者の意向を示す点43Pと、家族の意向を示す点53Fとを入力する形態としてもよい。
【0085】
また、図示しないが、患者入力欄及び家族入力欄は、互いに位置を変えて区別してよく、互いに色を変えて区別してもよい。あるいは、患者入力欄及び家族入力欄は、互いにフォントを変えて区別してよく、互いに大きさを変えて区別してもよい。あるいは、患者入力欄及び家族入力欄は、互いにデザインを変えて区別してもよい。
【0086】
また、患者入力欄及び家族入力欄への入力の際には、処理回路15は、互いにブラインドにしてもよい。すなわち、処理回路15は、患者入力欄及び家族入力欄のうち、一方を表示させて入力可能とし、他方を表示せずにブラインドにして入力不可としてもよい。
【0087】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態に係る家族意向取得装置を備えた家族意向取得システムについて説明する。
【0088】
第3の実施形態は、前述した説明文D1xを提示される場合に限らず、意向が音声入力される状況において、患者の意向と家族の意向とを区別して取得する構成となっている。
【0089】
これに伴い、家族意向取得装置10における処理回路15の制御機能15aは、患者から音声入力を行うための外部装置を登録する。外部装置としては、家族意向取得装置10に無線通信可能なマイクやウエアラブル端末等の任意の音声入力デバイスが適宜、使用可能となっている。この制御機能15aは、登録部の一例である。
【0090】
また、入力インタフェース12は、本体マイクを有している。
【0091】
処理回路15の意向取得機能15bは、外部装置からの音声入力内容を患者の意向として取得し、本体マイクからの音声入力内容を家族の意向として取得する。
【0092】
他の構成は、第1の実施形態と同様である。なお、第3の実施形態は、第1の実施形態の各変形例に適用してもよい。
【0093】
以上のような構成によれば、前述同様にステップST10~ST30が実行され、説明文D1xに対する意向の入力画面をディスプレイ13に表示させたとする。すなわち、ステップST30において、処理回路15は、患者の意向を入力するための患者入力欄と、家族の意向を入力するための家族入力欄とをディスプレイ13に表示させる。
【0094】
ステップST30の後、
図19に示すように、ステップST41a-1、ST41a-2、ST42からなるステップST40が実行される。処理回路15は、患者又は家族の操作に応じて、患者又は家族のマイクを登録したとする(ステップST41a-1)。ここで、マイクとしては、例えば、
図20(a)に示すように、患者Pのマイク12aを患者IDと関連付けて登録する。なお、これに限らず、例えば
図15(b)に示すように、患者Pの腕時計型のウエアラブル端末12bを患者IDと関連付けて登録してもよい。但し、このウエアラブル端末12bは、音声入力可能なものである。しかる後、処理回路15は、登録したマイク12aからの音声入力内容を患者の意向として取得し(ステップST41a-2)、本体マイクからの音声入力内容を家族の意向として取得する。
【0095】
ステップST41a-2の後、ステップST42において、処理回路15は、当該取得した患者の意向に患者IDを付与し、当該取得した家族の意向に家族IDを付与する。これにより、ステップST40が終了する。
【0096】
以下、前述同様に、ステップST50以降の処理が実行される。
【0097】
上述したように第3の実施形態によれば、患者から音声入力を行うための外部装置を登録する。また、外部装置からの音声入力内容を患者の意向として取得し、本体マイクからの音声入力内容を家族の意向として取得する。従って、第1の実施形態の効果に加え、登録した外部装置からの音声入力内容か、又は本体マイクからの音声入力内容かに応じて、患者の意向と家族の意向とを区別して取得することができる。
【0098】
[第3の実施形態の変形例]
また、第3の実施形態では、外部装置の例として、マイク12a及び腕時計型のウエアラブル端末12bを挙げたが、これに限定されない。例えば、外部装置を、腕時計型以外に、腕や頭に装着するウエアラブル端末としてもよく、例えばメガネ型のウエアラブル端末としてもよい。また、外部装置をスマートフォン等のモバイル端末とし、SNSなどのチャットツールの入力に応じて患者と家族を区別してもよい。
【0099】
<第4の実施形態>
次に、第4の実施形態に係る家族意向取得装置を備えた家族意向取得システムについて説明する。
【0100】
第4の実施形態は、前述した説明文D1xを提示される場合に限らず、意向が音声入力される状況において、患者の意向と家族の意向とを区別して取得する構成となっている。
【0101】
これに伴い、家族意向取得装置10における処理回路15の意向取得機能15bは、入力インタフェース12の本体マイクからの音声入力内容に対して患者及び家族の声紋認識を行うことにより、患者の声紋に対応する音声入力内容を患者の意向として取得し、家族の声紋に対応する音声入力内容を家族の意向として取得する。
【0102】
他の構成は、第1の実施形態と同様である。なお、第4の実施形態は、第1の実施形態の各変形例に適用してもよい。
【0103】
以上のような構成によれば、前述同様にステップST10~ST30が実行され、説明文D1xに対する意向の入力画面をディスプレイ13に表示させたとする。すなわち、ステップST30において、処理回路15は、患者の意向を入力するための患者入力欄と、家族の意向を入力するための家族入力欄とをディスプレイ13に表示させる。
【0104】
ステップST30の後、
図22に示すように、ステップST41b-1、ST41b-2、ST42からなるステップST40が実行される。処理回路15は、患者又は家族の操作に応じて、患者又は家族が本体マイクから音声入力を行う(ステップST41b-1)。処理回路15は、本体マイクからの音声入力内容に対して患者及び家族の声紋認識を行うことにより、患者又は家族を識別する(ステップST41b-2)。しかる後、処理回路15は、患者の声紋に対応する音声入力内容を患者の意向として取得し、家族の声紋に対応する音声入力内容を家族の意向として取得する。
【0105】
ステップST41b-2の後、ステップST42において、処理回路15は、当該取得した患者の意向に患者IDを付与し、当該取得した家族の意向に家族IDを付与する。これにより、ステップST40が終了する。
【0106】
以下、前述同様に、ステップST50以降の処理が実行される。
【0107】
上述したように第4の実施形態によれば、本体マイクからの音声入力内容に対して患者及び家族の声紋認識を行うことにより、患者の声紋に対応する音声入力内容を患者の意向として取得し、家族の声紋に対応する音声入力内容を家族の意向として取得する。従って、第1の実施形態の効果に加え、声紋認識した患者からの音声入力内容か、又は声紋認識した家族からの音声入力内容かに応じて、患者の意向と家族の意向とを区別して取得することができる。
【0108】
[第4の実施形態の変形例]
なお、第4の実施形態では、家族意向取得装置10が声紋認識を行ったが、これに限定されない。例えば
図24に示すように、家族意向取得装置10が本体マイクから音声入力された音声信号を外部のAI処理装置30に送信し、AI処理装置30から声紋認識結果を受けるようにしてもよい。この場合、第4の実施形態の効果に加え、家族意向取得装置10における声紋認識の負荷を軽減させることができる。
【0109】
あるいは、例えば
図25に示すように、家族意向取得装置10が本体マイクから音声入力された音声信号を通信ネットワークNw上のAI処理装置30に送信してもよい(ステップST51c)。この場合、AI処理装置30が声紋認識により患者又は家族を識別し(ステップST52c)、識別結果に応じて患者ID又は家族IDを付与することにより(ステップST53c)、音声入力者の意向を医用端末20に送信する(ステップST54c)。この場合、第4の実施形態の効果に加え、家族意向取得装置10における声紋認識からID付与までの負荷を軽減させることができる。
【0110】
また、第4の実施形態では、1つの家族意向取得装置10で患者の意向と家族の意向とを区別するために声紋認識を行ったが、これに限定されない。例えば、患者の意向と家族の意向とを区別する手法として、言葉づかい、音紋、タブレット端末の指紋認証、名前を名乗る、SiRi(登録商標)のようなアシスタント機能、マイク指向性、ペン型入力デバイスやマウスの指紋認証、室内カメラのくちびる認証、などの識別方式が適宜、使用可能となっている。なお、ペン型入力デバイスは、指紋認証に限らず、持ち方、持つ位置、だれが持っているか、などをセンサ等で検出することにより、患者と家族とを区別することが可能である。
【0111】
また、第4の実施形態では、患者の意向と、家族の意向とを区別することについて特に述べなかったが、家族は、患者を最も介護又は支援する人を重視すればよく、他の家族を区別する必要はない。例えば、患者A氏、最も介護を行う家族B氏、他の家族C氏、D氏、E氏がいた場合、家族の意向としては、B氏を重視し、他の家族C氏、D氏、E氏の意向は、まとめて識別してもよい。
【0112】
<第5の実施形態>
次に、第5の実施形態に係る家族意向取得装置を備えた家族意向取得システムについて説明する。
【0113】
第5の実施形態は、前述した説明文D1xを提示される場合に限らず、意向が音声入力される状況において、患者の意向と家族の意向とを区別して取得する構成となっている。
【0114】
これに伴い、家族意向取得装置10における処理回路15の意向取得機能15bは、通常のスマートフォン等の患者端末をもつ患者と、家族意向取得装置10をもつ家族とがビデオ通話を実行中に、当該ビデオ通話の音声内容を取り込んで患者及び家族の声紋認識を行う。これにより、意向取得機能15bは、患者の声紋に対応する音声内容を患者の意向として取得し、家族の声紋に対応する音声内容を家族の意向として取得する。
【0115】
他の構成は、第1の実施形態と同様である。なお、第5の実施形態は、第1の実施形態の各変形例に適用してもよい。
【0116】
以上のような構成によれば、前述同様にステップST10~ST30が実行され、説明文D1xに対する意向の入力画面をディスプレイ13に表示させたとする。すなわち、ステップST30において、処理回路15は、患者の意向を入力するための患者入力欄と、家族の意向を入力するための家族入力欄とをディスプレイ13に表示させる。
【0117】
ステップST30の後、
図22に示すように、ステップST41d-1~ST41d-3、ST42からなるステップST40が実行される。処理回路15は、
図28及び
図29に示すように、患者端末Tpをもつ患者Pと家族意向取得装置10をもつ家族Fとがビデオ通話の実行中に(ステップST41d-1)、ビデオ通話画面60の音声内容を取り込むことによりビデオ通話内容の音声入力を行う(ステップST41b-2)。処理回路15は、ビデオ通話内容の音声内容に対して患者及び家族の声紋認識を行うことにより、患者又は家族を識別する(ステップST41d-3)。しかる後、処理回路15は、患者の声紋に対応する音声内容を患者入力欄40Pに入力すると共に、患者の意向として取得する。また、処理回路15は、家族の声紋に対応する音声内容を家族入力欄50Fに入力すると共に、家族の意向として取得する。
【0118】
ステップST41d-3の後、ステップST42において、処理回路15は、当該取得した患者の意向に患者IDを付与し、当該取得した家族の意向に家族IDを付与する。これにより、ステップST40が終了する。
【0119】
以下、前述同様に、ステップST50以降の処理が実行される。
【0120】
上述したように第5の実施形態によれば、患者と家族とがビデオ通話を実行中に、当該ビデオ通話の音声内容を取り込んで患者及び家族の声紋認識を行うことにより、患者の声紋に対応する音声内容を患者の意向として取得し、家族の声紋に対応する音声内容を家族の意向として取得する。従って、第1の実施形態の効果に加え、日常的なビデオ通話の音声内容から声紋認識を介して、患者の意向と家族の意向とを区別して取得することができる。
【0121】
[第5の実施形態の変形例]
なお、第5の実施形態では、ビデオ通話の音声内容を声紋認識することにより、患者の意向又は家族の意向として取得したが、これに限定されない。例えば、ビデオ通話中に、医療に関係する音声内容と、医療とは無関係の音声内容とを医療用語の有無などに基づいて分類し、医療に関係する音声内容のみを声紋認識して、患者の意向又は家族の意向として取得してもよい。この場合、ビデオ通話中に、医療とは無関係の話題を出してもよいので、患者と家族にとってビデオ通話を使用し易くすることができる。また、医療とは無関係の通話内容が医用端末20に送信されずに済むので、患者と家族のプライバシーの保護を図ることができる。
【0122】
<第6の実施形態>
第6の実施形態は、
図30に示すように、家族意向取得装置10を、医用端末20と、患者端末Tp及び家族端末Tfとの間の通信ネットワークNw上に配置したものである。具体的には、第6の実施形態は、医用端末20から送信した説明文D1に特記処理を施して説明文D1xを作成する処理と、患者端末Tpから取得した患者の意向と家族端末Tfから取得した家族の意向をまとめる処理とを行う構成となっている。なお、説明文D1xを作成する処理は、医用端末20が行ってもよい。患者端末Tp及び家族端末Tfは、通常のスマートフォン等の通信可能なモバイル装置である。
【0123】
これに伴い、家族意向取得装置10の処理回路15は、前述同様に、説明文D1に特記の処理を施して説明文D1xを作成する。但し、処理回路15は、作成した説明文D1xを患者端末Tp及び家族端末Tfに送信する。また、処理回路15は、患者端末Tpから取得した患者の意向と家族端末Tfから取得した家族の意向とを意向情報にまとめる。
【0124】
他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0125】
このような第6の実施形態では、
図31に示すように、ステップST10に代えて、ステップST10eの動作が行われる点と、ステップST40に代えて、ステップST40eの動作が行われる点で第1の実施形態とは異なる。なお、ステップST10eは、ステップST11e~ST13eからなり、ステップST40eは、ステップST41e~ST44eからなる。
【0126】
始めに、医用端末20の処理回路25は、例えば、医療スタッフの操作に応じて、説明文D1を作成してメモリ21に保存する。また、処理回路25は、メモリ21内の説明文D1を患者端末Tp及び家族端末Tf宛に家族意向取得装置10に送信する(ステップST11e)。
【0127】
家族意向取得装置10は、患者端末Tp及び家族端末Tf宛の説明文D1を受信し、前述同様に、説明文D1に基づいて、当該説明文D1から家族が当事者となる特記の項目を生成し、生成した項目に基づいて、説明文D1に特記の処理を施して説明文D1xを作成する(ステップST12e)。しかる後、家族意向取得装置10は、作成した説明文D1xを患者端末Tp及び家族端末Tfに送信する(ステップST13e)。これにより、ステップST11e~ST13eからなるステップST10eが終了する。
【0128】
ステップST10eの後、ステップST30において、患者端末Tp及び家族端末Tfは、それぞれ受信した説明文D1xをディスプレイに表示させる。また、患者端末Tp及び家族端末Tfは、それぞれ説明文D1xに対する意向の入力画面をディスプレイに表示させる。
【0129】
ステップST30の後、ステップST41eにおいて、
図32に示すように、患者端末Tpは、患者の操作に応じて、患者の意向を音声入力する。また、家族端末Tfは、家族の操作に応じて、家族の意向を音声入力する。また、家族端末Tfは、説明文D1xに対する家族の操作に応じて、説明文D1xのチェック欄Ckを更新し、入力画面に対する家族の操作に応じて、家族の意向を取得する。
【0130】
ステップST41eの後、ステップST42eにおいて、患者端末Tpは、音声入力により取得した患者の意向に患者IDを付与する。また、家族端末Tfは、音声入力により取得した家族の意向に家族IDを付与する。
【0131】
ステップST42eの後、ステップST43eにおいて、患者端末Tpは、患者IDを付与した意向を医用端末20宛に家族意向取得装置10に送信する。また、家族端末Tfは、チェック欄Ckを更新した説明文D1xと、家族IDを付与した意向とを医用端末20宛に家族意向取得装置10に送信する。但し、チェック欄Ckを更新した説明文D1xは、前述同様に省略可能である。
【0132】
ステップST43eの後、ステップST44eにおいて、家族意向取得装置10は、患者端末Tpから患者IDを付与した患者の意向を受信する。また、家族意向取得装置10は、家族端末Tfから家族IDを付与した家族の意向と、チェック欄Ckを更新した説明文D1xとを受信する。これにより、家族意向取得装置10の処理回路15は、患者IDを付与した患者の意向と、家族IDを付与した家族の意向とを区別して取得する。また、処理回路15は、患者IDを付与した患者の意向と、家族IDを付与した家族の意向と、チェック欄Ckを更新した説明文D1xとを含む意向情報を作成する。これにより、ステップ41e~44eからなるステップST40eが終了する。
【0133】
ステップST40eの後、ステップST50において、処理回路15は、意向情報を医用端末20に送信する。
【0134】
ステップST50の後、医用端末20は、受信した意向情報に基づいて、患者の意向と家族の意向とを区別してディスプレイ23に表示させる。これにより、医療スタッフは、患者の意向と、家族の意向とを区別して把握することができる。
【0135】
以上のような第6の実施形態によれば、通信ネットワークNw上の家族意向取得装置10が、医用端末20からの説明文D1に特記処理を施して説明文D1xを作成し、患者端末Tpから取得した患者の意向と家族端末Tfから取得した家族の意向をまとめる。従って、第1の実施形態の効果に加え、患者端末Tpや家族端末Tfに家族意向取得装置10を実装することなく、家族意向取得装置を実現することができる。
【0136】
<第7の実施形態>
次に、第7の実施形態に係る家族意向取得装置を備えた家族意向取得システムについて説明する。
【0137】
第7の実施形態は、患者の意向が家族の意向に誘導されたか否かが分かる構成となっている。例えば、患者個人の意思を尊重するために患者の意向は患者個人で決定されることが望ましい。患者の意向が家族から誘導された意見や意思であった場合、患者が十分納得していなかったり些細な疑問がある場合はその違和感が分かることが望ましい。但し、家族から誘導された意見や意思であった場合でも患者個人が十分に納得している場合には、問題ないので、患者が納得していることを意思表示できることが望ましい。
【0138】
これに伴い、家族意向取得装置10における処理回路15は、
図33に示すように、誘導判定機能15cを備えている。
【0139】
誘導判定機能15cは、患者の意向と家族の意向とを解析することにより、患者の意向が家族の意向に誘導されたか否かを判定する。この判定は、例えば、患者と家族の会話を解析することにより実行される。例えば、選択肢のそれぞれに対し、何分くらい家族と患者で話が行われたかを記録する。これにより、全ての選択肢を説明・議論しているか、全ての選択肢の時間配分は適切か、が分かる。例えば、ある選択肢のみ家族によって会話され、その他の選択肢が会話されていなかった場合、誘導された可能性が高い。あるいは、例えば、家族に「おなか痛い?」と繰り返し聞かれると、暗示により腹痛が生じる傾向がある。同様に、家族に「大丈夫だよ」と言われ続けると、暗示により痛みが麻痺して大丈夫な気分になる傾向がある。このように、誘導判定機能15cは、会話の解析により、家族の発言時間や発言内容の偏りを記録し、家族の発言の偏りに基づいて誘導の有無を判定する。
【0140】
誘導判定機能15cは、判定の結果、患者の意向が誘導された場合、当該誘導された意向が納得を示すか否かを判定してもよい。この場合、誘導判定機能15cは、誘導された意向の納得度を推測し、当該納得度が閾値を超えた場合に、誘導された意向が納得を示すことを判定してもよい。なお、誘導判定機能15cは、第1判定部及び第2判定部の一例である。
【0141】
処理回路15の制御機能15aは、各々の判定の結果を更に含む意向情報を送信する。
【0142】
他の構成は、第4の実施形態と同様である。なお、第7の実施形態は、音声入力に関する第3、第5、第6の実施形態に適用してもよい。また、第7の実施形態は、第1又は第2の実施形態に適用することも可能である。
【0143】
以上のような構成によれば、
図34に示すように、前述同様にステップST10~ST30、ST41b-1、ST41b-2、ST42が実行され、患者の声紋に対応する音声入力内容を患者の意向として取得して患者IDを付与している。また、家族の声紋に対応する音声入力内容を家族の意向として取得して家族IDを付与している。これにより、ステップST42が終了する。
【0144】
ステップST42の後、家族意向取得装置10の処理回路15は、患者の意向と家族の意向とを解析することにより、患者の意向が家族の意向に誘導されたか否かを判定する(ステップST43)。判定の結果、誘導されていない場合には、ステップST40を終了してステップST50に移行する。
【0145】
また、ステップST43の判定の結果、患者の意向が誘導された場合には、処理回路15は、誘導された旨をメモリ11に記録する(ステップST44)。また、処理回路15は、
図35に示すように、当該誘導された意向に関連付けて、判定結果「誘導された」を示す判定結果Dt1をディスプレイ13に表示させる。
【0146】
続いて、処理回路15は、当該誘導された意向が納得を示すか否かを判定する(ステップST45)。例えば、処理回路15は、誘導された意向の納得度を推測し、当該納得度が閾値を超えた場合に、誘導された意向が納得を示すことを判定する。判定の結果、納得を示さない場合には、納得なしの旨をメモリ11に記録する(ステップST46)。処理回路15は、図示しないが、当該納得していない意向に関連付けて、判定結果「納得なし」を示す判定結果をディスプレイ13に表示させると共に、ステップST40を終了してステップST50に移行する。また、ステップST45の判定の結果、納得を示す場合には、納得ありの旨をメモリ11に記録する(ステップST47)。また、処理回路15は、
図35に示すように、当該納得した意向に関連付けて、判定結果「納得あり」を示す判定結果Dt2をディスプレイ13に表示させると共に、ステップST40を終了してステップST50に移行する。
【0147】
ステップST40の後、ステップST50において、処理回路15は、患者IDを付与した意向と、家族IDを付与した意向と、患者の意向が家族の意向に誘導されたか否かの判定の結果とを含む意向情報を医用端末20に送信する。なお、意向情報は、患者の意向が誘導された場合には、当該誘導された意向が納得を示すか否かの判定の結果を更に含む状態で送信される。
【0148】
上述したように第7の実施形態によれば、患者の意向と家族の意向とを解析することにより、患者の意向が家族の意向に誘導されたか否かを判定し、判定の結果を更に含む意向情報を送信する。従って、第4の実施形態の効果に加え、患者の意向が誘導されたものであるか否かを医療スタッフに通知することができる。
【0149】
また、第7の実施形態によれば、判定の結果、患者の意向が誘導された場合、当該誘導された意向が納得を示すか否かを判定し、当該判定の結果を更に含む意向情報を送信する。従って、前述した効果に加え、誘導された患者の意向に対し、患者が納得しているか否かを医療スタッフに通知することができる。
【0150】
また、第7の実施形態によれば、誘導された意向の納得度を推測し、当該納得度が閾値を超えた場合に、誘導された意向が納得を示すことを判定する。従って、前述した効果に加え、定量化した納得度と閾値という明確な判定基準により、納得の判定を行うことができる。
【0151】
[第7の実施形態の変形例]
なお、第7の実施形態では、定量化した納得度を表示しなかったが、これに限定されない。例えば
図36に示すように、1つの軸上において、患者の納得度を示す点43Pと、家族の納得度を示す点53Fとをディスプレイ13に表示する形態としてもよい。ここで、患者の納得度を示す点43Pは、患者の操作に応じて入力してもよく、誘導判定機能15cにより判定された誘導された意向の納得度を示す点としてもよい。また、家族の納得度を示す点53Fは、家族の操作により入力される。これらの場合、第7の実施形態の効果に加え、患者及び家族の納得度を定量的に表示できるので、患者と家族の話し合いを促すことが期待できる。
【0152】
また、第7の実施形態では、誘導判定機能15cによる納得に関する判定結果を表示したが、これに限定されない。例えば
図37に示すように、患者入力欄40P内の患者の意向と、家族入力欄50F内の家族の意向とのそれぞれに対して、当該意向の納得の有無の入力を受け付けるGUI44P,44Fを備えてもよい。
図37中、「納得した」に関連付けられたGUI44P、55Fは、納得ありの入力を受け付ける。また、「疑問あり」に関連付けられたGUI44P、55Fは、納得なしの入力を受け付ける。なお、GUI44P、55Fは、受付部の一例である。この場合、処理回路15は、当該入力を受け付けた納得の有無を更に含む意向情報を医用端末20に送信する。従って、この場合、第7の実施形態の効果に加え、患者及び家族の納得の有無を入力できるので、納得したか否かの判定結果と、実際に納得しているか否かとの不整合を防ぐことが期待できる。
【0153】
また、第7の実施形態では、患者の意向と、家族の意向とに対して重み付けをしなかったが、これに限定されない。例えば、痛みを訴えることの少ない患者が痛みを訴えた場合、家族が「大丈夫」との意向を示しても、重み付けを重くして記録される。また、患者が「大丈夫」と言い、家族が大騒ぎした場合、患者の意向の重み付けを軽くして記録し、家族の意向の重み付けを重くして記録する。これらの場合、前述した効果に加え、意向の客観化、定量化を図り、家族の意志の確認を効率的に行うことができる。
【0154】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、患者の意向と、患者を介護又は支援する家族の意向とをそれぞれ取得する。また、患者の意向に患者IDを付与し、家族の意向に家族IDを付与する。さらに、患者IDを付与した意向と、家族IDを付与した意向とを含む意向情報を送信する。従って、患者の意向と家族の意向とを区別して取得することができる。
【0155】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(central processing unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)等の回路を意味する。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出して実行することで機能を実現する。一方、プロセッサが例えばASICである場合、プログラムが記憶回路に保存される代わりに、当該機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、
図1、
図8又は
図33における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0156】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0157】
10 家族意向取得装置
11 メモリ
12 入力インタフェース
13 ディスプレイ
14 通信インタフェース
15 処理回路
15a 制御機能
15b 意向取得機能
15c 誘導判定機能