(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102994
(43)【公開日】2023-07-26
(54)【発明の名称】傾斜抑制具および杭の傾斜抑制方法
(51)【国際特許分類】
E02D 13/04 20060101AFI20230719BHJP
E02D 7/22 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
E02D13/04
E02D7/22
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003793
(22)【出願日】2022-01-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】515277300
【氏名又は名称】ジャパンパイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087712
【弁理士】
【氏名又は名称】山木 義明
(72)【発明者】
【氏名】小松 吾郎
(72)【発明者】
【氏名】平賀 直樹
【テーマコード(参考)】
2D050
【Fターム(参考)】
2D050AA02
2D050CB23
2D050EE10
2D050EE19
(57)【要約】
【課題】杭の直径に対して杭孔の直径が大きくなっても、容易かつ確実に杭の傾斜を抑制することができる傾斜抑制具、及び、それを用いた杭の傾斜抑制方法を提供すること。
【解決手段】既製杭工法に用いられる杭22の杭頭部に、杭22の半径方向外側に向かって突出するように設けられた回転金具24に取り付けられる傾斜抑制具12であって、回転金具24の杭22の半径方向外側の端部から、杭22の半径方向外側に向かって伸びるように設けられた腕部14と、腕部14の杭22の半径方向外側の端部から、杭22の周方向に沿うように設けられた支持部16を備え、腕部14の杭22の半径方向内側の端部には、傾斜抑制具12を回転金具24の端部に着脱自在に取り付けることができるような連結手段18が設けられた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既製杭工法に用いられる杭の杭頭部に、前記杭の半径方向外側に向かって突出するように設けられた回転金具に取り付けられる傾斜抑制具であって、
前記回転金具の前記杭の半径方向外側の端部から、前記杭の半径方向外側に向かって伸びるように設けられた腕部と、
前記腕部の前記杭の半径方向外側の端部から、前記杭の周方向に沿うように設けられた支持部を備え、
前記腕部の前記杭の半径方向内側の端部には、前記傾斜抑制具を前記回転金具の端部に着脱自在に取り付けることができるような連結手段が設けられた
ことを特徴とする傾斜抑制具。
【請求項2】
前記支持部は、所定の幅寸法と高さ寸法を有する平面形状が幅方向に細長い略矩形の板状に形成されると共に、幅方向の両端部が中央部に対して、前記支持部の裏面側にわずかに曲げられることにより、高さ方向に対して垂直な断面形状が略円弧状に形成され、
前記腕部の前記杭の半径方向外側の端部が、前記支持部の裏面の略中央部に当接するように配置されて一体的に固定された
ことを特徴とする請求項1に記載の傾斜抑制具。
【請求項3】
前記支持部の上辺部と下辺部に沿って、前記支持部の上端部と下端部から前記支持部の裏面側に向かって斜めに折り曲げられた傾斜部が形成された
ことを特徴とする請求項2に記載の傾斜抑制具。
【請求項4】
前記連結手段は、前記腕部の前記杭の半径方向内側の端部に設けられたオネジ部又はメネジ孔と、前記回転金具の前記杭の半径方向外側の端部に設けられたメネジ孔又はオネジ部によるネジ結合である
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の傾斜抑制具。
【請求項5】
既製杭工法に用いられる杭の杭頭部に、前記杭の半径方向外側に向かって突出するように設けられた回転金具に取り付けられる傾斜抑制具であって、
前記回転金具の前記杭の半径方向外側の端部から、前記杭の半径方向外側に向かって伸びるように設けられた腕部と、
前記腕部の前記杭の半径方向外側の端部から、前記杭の周方向に沿うように設けられた支持部を備え、
前記腕部の前記杭の半径方向内側の端部には、前記傾斜抑制具を前記回転金具の端部に着脱自在に取り付けることができるような連結手段が設けられた傾斜抑制具を用い、
前記既製杭工法において、
前記杭の杭頭部を杭打機のオーガーに接続し、
前記オーガーを用いて前記杭を回転させながら、前記オーガーを前記杭打機のリーダーに沿って下降させることにより、杭孔内に前記杭を埋設し、
前記杭が、杭頭部に設けられた前記回転金具の高さ位置が前記リーダーの下端部より下方に位置するまで、杭孔内に埋設されたところで、前記傾斜抑制具を、前記杭の杭頭部に設けられた前記回転金具の端部に取り付け、
その状態から更に前記杭を杭孔内に埋設して、前記傾斜抑制具の支持部が杭孔の周壁に沿って接触するようにした
ことを特徴とする杭の傾斜抑制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既製杭工法において、杭孔内に挿入した杭の傾斜を抑制するために用いられる傾斜抑制具、及びそれを用いた杭の傾斜抑制方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
予め掘削した杭孔に既製の杭を挿入する既製杭工法においては、杭孔内の目的の深さ位置に杭を配置するために、
図9に示すように、回転キャップ6を用いて杭2の杭頭部を杭打機10のオーガー10aに接続し、オーガー10aによって杭2を回転させながら下降させることにより、セメントミルクが注入されソイルセメント状に改良された杭孔3a内に杭2の先端部を埋設する工法が用いられている。
【0003】
その際、杭の杭頭の中心が杭孔の中心からずれて、杭がわずかに傾斜してしまう場合があり、そのような杭の傾斜を抑制するために、先端部が杭頭部の外周部から半径方向外側に向かって突出するように杭頭部に設けられた回転金具(かみ合わせ金物)の先端部に板材を接合することによって、杭孔内に杭を埋設した際に、その板材が杭孔の孔壁に接触して杭頭部が支持されるようにした杭の傾斜抑制方法が知られている(特許文献1の
図13参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような従来の杭の傾斜抑制方法では、杭孔の直径が杭の直径に対して大きくなると、杭孔内に杭を埋設する際に、杭頭部に設けた回転金具と杭打機が干渉してしまうという問題があった。
【0006】
すなわち、上述したような既製杭工法に用いられる杭打機10は、
図9に示すように、杭2を回転させるオーガー10aがリーダー10bに沿って下降(及び上昇)するようになっているため、回転半径方向の寸法の最大値が、オーガー10aの回転駆動軸からリーダー10bまでの距離Dより大きい物を、オーガー10aに接続して回転させようとすると、対象物がリーダー10bと接触してしまい、回転させることができないという機械的な制約があった。
【0007】
その一方で、近年、上述したような既製杭工法においては、設計上の様々な要求によって、杭の直径に対して大きな直径の杭孔を掘削する機会が増えており、上述したような回転金具の先端部に板材を接合する方法では、杭の直径に対して杭孔の直径が大きくなるほど、杭頭部の外周部から突出する回転金具の長さ寸法を大きくする必要があるため、杭打機の仕様によっては、そのような回転金具が設けられた杭の杭頭部を、杭打機のオーガーに接続して回転させようとすると、回転金具が杭打機のリーダーと接触してしまい、杭を回転させることができないという問題が生じるおそれがあり、それにより、杭頭部に回転金具や板材を設けることができなかったり、杭頭部に回転金具や板材を設けるために杭打機の交換等が必要となって余計なコストが生じたりするおそれがあった。
【0008】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みて、杭の直径に対して杭孔の直径が大きくなっても、容易かつ確実に杭の傾斜を抑制することができる傾斜抑制具、及び、その傾斜抑制具を用いた杭の傾斜抑制方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1による傾斜抑制具は、上記課題を解決するために、
既製杭工法に用いられる杭の杭頭部に、前記杭の半径方向外側に向かって突出するように設けられた回転金具に取り付けられる傾斜抑制具であって、
前記回転金具の前記杭の半径方向外側の端部から、前記杭の半径方向外側に向かって伸びるように設けられた腕部と、
前記腕部の前記杭の半径方向外側の端部から、前記杭の周方向に沿うように設けられた支持部を備え、
前記腕部の前記杭の半径方向内側の端部には、前記傾斜抑制具を前記回転金具の端部に着脱自在に取り付けることができるような連結手段が設けられたことを特徴とするものである。
【0010】
上記構成の傾斜抑制具によれば、任意のタイミングで傾斜抑制具を杭頭部に取り付けることができるため、杭の直径や杭孔の直径によらず、杭の傾斜を抑制することができる。
【0011】
すなわち、杭を挿入する杭孔の直径が大きくなっても、その分、腕部の長さ寸法を大きくした傾斜抑制具を用意して用いればよいため、杭孔の直径がどのような寸法であっても、杭打機と干渉することなく、確実に杭の傾斜を抑制することができる。
【0012】
また、本発明の請求項2による傾斜抑制具は、
前記支持部は、所定の幅寸法と高さ寸法を有する平面形状が幅方向に細長い略矩形の板状に形成されると共に、幅方向の両端部が中央部に対して、前記支持部の裏面側にわずかに曲げられることにより、高さ方向に対して垂直な断面形状が略円弧状に形成され、
前記腕部の前記杭の半径方向外側の端部が、前記支持部の裏面の略中央部に当接するように配置されて一体的に固定されたことを特徴とするものである。
【0013】
上記構成の傾斜抑制具によれば、杭が杭孔内に埋設された際に、支持部の曲面形状が杭孔の周壁の曲面形状に沿って接触するように配置されて、杭の杭頭部が杭孔の周壁に向かって倒れないように杭を支持することができる。
【0014】
また、本発明の請求項3による傾斜抑制具は、
前記支持部の上辺部と下辺部に沿って、前記支持部の上端部と下端部から前記支持部の裏面側に向かって斜めに折り曲げられた傾斜部が形成されたことを特徴とするものである。
【0015】
上記構成の傾斜抑制具によれば、杭が杭孔内に埋設される際に、支持部の上辺部や下辺部が杭孔の周壁の小さな凹凸と接触して引っ掛かり難くすることができ、杭をスムーズに埋設することができる。
【0016】
また、本発明の請求項4による傾斜抑制具は、
前記連結手段は、前記腕部の前記杭の半径方向内側の端部に設けられたオネジ部又はメネジ孔と、前記回転金具の前記杭の半径方向外側の端部に設けられたメネジ孔又はオネジ部によるネジ結合であることを特徴とするものである。
【0017】
上記構成の傾斜抑制具によれば、溶接等の高度な技能を有する者でなくとも、迅速かつ容易に取り付け又は取り外すことができる。
【0018】
また、本発明の請求項5による杭の傾斜抑制方法は、
既製杭工法に用いられる杭の杭頭部に、前記杭の半径方向外側に向かって突出するように設けられた回転金具に取り付けられる傾斜抑制具であって、
前記回転金具の前記杭の半径方向外側の端部から、前記杭の半径方向外側に向かって伸びるように設けられた腕部と、
前記腕部の前記杭の半径方向外側の端部から、前記杭の周方向に沿うように設けられた支持部を備え、
前記腕部の前記杭の半径方向内側の端部には、前記傾斜抑制具を前記回転金具の端部に着脱自在に取り付けることができるような連結手段が設けられた傾斜抑制具を用い、
前記既製杭工法において、
前記杭の杭頭部を杭打機のオーガーに接続し、
前記オーガーを用いて前記杭を回転させながら、前記オーガーを前記杭打機のリーダーに沿って下降させることにより、杭孔内に前記杭を埋設し、
前記杭が、杭頭部に設けられた前記回転金具の高さ位置が前記リーダーの下端部より下方に位置するまで、杭孔内に埋設されたところで、前記傾斜抑制具を、前記杭の杭頭部に設けられた前記回転金具の端部に取り付け、
その状態から更に前記杭を杭孔内に埋設して、前記傾斜抑制具の支持部が杭孔の周壁に沿って接触するようにしたことを特徴とするものである。
【0019】
上記構成の杭の傾斜抑制方法によれば、任意のタイミングで傾斜抑制具を杭頭部に取り付けることができるため、杭の直径や杭孔の直径によらず、杭の傾斜を抑制することができる。
【0020】
すなわち、杭を挿入する杭孔の直径が大きくなっても、その分、腕部の長さ寸法を大きくした傾斜抑制具を用意して用いればよいため、杭孔の直径がどのような寸法であっても、杭打機と干渉することなく、確実に杭の傾斜を抑制することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明による傾斜抑制具、及び、それを用いた杭の傾斜抑制方法によれば、杭の直径に対して杭孔の直径が大きくなっても、容易かつ確実に杭の傾斜を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る傾斜抑制具12を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す傾斜抑制具12を示す図であって、
図2(a)はその平面図であり、
図2(b)はその正面図である。
【
図3】既製杭工法において用いられる、杭22の杭頭部を示す図であって、
図3(a)はその平面図であり、
図3(b)はその側面図である。
【
図4】
図1に示す傾斜抑制具12が取り付けられた杭22の杭頭部を示す平面図である。
【
図5】既製杭工法における、傾斜抑制具12を用いた杭の傾斜抑制方法を説明するための概略側面図である。
【
図6】既製杭工法における、傾斜抑制具12を用いた杭の傾斜抑制方法を説明するための概略側面図である。
【
図7】既製杭工法において用いられる、回転キャップ6を示す図であって、
図7(a)はその一部を省略して示す正面図であり、
図7(b)は
図7(a)のA-A線矢視断面図である。
【
図8】本発明の他の実施の形態を示す図であって、
図8(a)は本発明の第2の実施の形態に係る傾斜抑制具32の斜視図であり、
図8(b)は本発明の第3の実施の形態に係る傾斜抑制具42の斜視図である。
【
図9】一般的な既製杭工法について説明するための概略側面図である。
【
図10】既製杭工法において用いられる、杭22の杭頭部及び回転金具24の別の構成を示す図であって、
図10(a)はその平面図であり、
図10(b)はその側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明による傾斜抑制具、及び、それを用いた杭の傾斜抑制方法を実施するための形態について、図面に基づいて具体的に説明する。
【0024】
図1ないし
図7は、本発明の第1の実施の形態に係る傾斜抑制具12、及び、その傾斜抑制具12を用いた杭の傾斜抑制方法について説明するために参照する図である。なお、
図9に示す従来の構成と同様の部分には、一部を除き同じ符号を付して説明するものとする。
【0025】
本実施の形態に係る傾斜抑制具12は、
図1に示すように、細長く伸びる棒状の腕部14と、腕部14の長さ方向の一方の端部に設けられた板状の支持部16を備え、腕部14の長さ方向の他方の端部に、連結手段18が設けられている。
【0026】
傾斜抑制具12の腕部14は、
図2に示すように、所定の長さ寸法Lを有し、長さ方向に対して垂直な断面形状が略正方形に形成された角棒状に形成されている。
【0027】
傾斜抑制具12の支持部16は、
図2に示すように、所定の幅寸法Wと所定の高さ寸法Hを有し、平面形状が幅方向に細長い略矩形の板状に形成されると共に、その高さ方向に対して垂直な断面形状が、支持部16の裏面側(
図2(a)中上側)に凹むような略円弧状となるように、支持部16の幅方向の両端部が幅方向の中央部に対して、支持部16の裏面側にわずかに曲げられて形成されている。
【0028】
そして、
図2(a)に示すように、腕部14の長さ方向の一方の端部(図中下側の端部)が、支持部16の裏面(図中上側の面)の略中央部、すなわち、支持部16の幅方向と高さ方向のそれぞれの略中央部に当接するように配置されている。
【0029】
傾斜抑制具12の連結手段18は、
図2(a)に示すように、丸棒状の軸部の外周にオネジ部が形成されたボルト状の部材が、腕部14の長さ方向の他方の端部(図中上側の端部)から、腕部14の長さ方向(図中上下方向)に突出するように設けられている。
【0030】
このような傾斜抑制具12は、十分な強度を有する鋼材によって形成され、腕部14と支持部16、及び連結手段18は、溶接等によって、互いに一体的に固定されている。
【0031】
一方、本発明による杭の傾斜抑制方法に用いられる杭22は、
図3に示すように、略円筒状に形成された本体部22aの上端部と下端部の開口部に略円環板状に形成された端板22bを接合すると共に、本体部22aの内部に注入したコンクリート22cを、本体部22aを中心軸回りに回転させたその遠心力により締固めを行うことによって形成されており、その上端部である杭頭部は、半径Rの略円筒状に形成されている。
【0032】
そして、
図3に示すように、杭22の杭頭部の外周面の上端部より少し下の位置に、4つの回転金具24が、杭頭部の周方向(杭22の中心軸回り方向)に互いに一定の間隔をおいて、隣り合う回転金具24との角度が90度となるような位置に設けられている。
【0033】
それぞれの回転金具24は、
図3に示すように、杭22の半径方向に所定の長さ寸法L0を有し、その長さ方向に対して垂直な断面が略正方形に形成された略立方体状に形成されており、その長さ方向の一方の端部(杭22の半径方向内側の端部)が、杭22の杭頭部の外周面に溶接等により固定されて、杭22の杭頭部の外周面から杭22の半径方向外側に向かって突出するように設けられている。
【0034】
そして、
図3に示すように、それぞれの回転金具24の長さ方向の他方の端部(杭22の半径方向外側の端部)には、連結手段24aとして、傾斜抑制具12の連結手段18のオネジ部とネジ結合可能なメネジ孔が設けられている。
【0035】
それにより、
図4に示すように、傾斜抑制具12は、その連結手段18のオネジ部を、回転金具24の連結手段24aのメネジ孔にネジ結合することにより、回転金具24の長さ方向の他方の端部(杭22の半径方向外側の端部)に着脱自在に取り付けることができるようになっている。
【0036】
そして、傾斜抑制具12が回転金具24に取り付けられると、傾斜抑制具12は、その腕部16の長さ方向が、回転金具24の長さ方向の他方の端部(杭22の半径方向外側の端部)から、杭22の半径方向外側に向かって伸びるように設けられると共に、支持部18の幅方向が、腕部16の長さ方向の一方の端部(杭22の半径方向外側の端部)から、杭頭部の周方向(杭22の中心軸回り方向)に沿うように設けられるようになっている。
【0037】
すなわち、傾斜抑制具12を回転金具24の長さ方向の他方の端部に取り付けることにより、長さ寸法L0の回転金具24が、傾斜抑制具12の腕部16の長さ寸法Lだけ、杭22の半径方向外側に延長されると共に、その延長された先端部、すなわち、杭22の中心軸から、杭頭部の半径Rと回転金具24の長さ寸法L0と傾斜抑制具12の腕部16の長さ寸法Lを合計した寸法だけ離れた位置から、傾斜抑制具12の支持部18の板面が杭頭部の周方向に沿うように設けられるようになっている。
【0038】
次に、本実施の形態に係る傾斜抑制具12を用いた、既製杭工法における、杭の傾斜を抑制する方法について説明する。
【0039】
まず、オーガースクリュー等を用いて、地盤3に所定の直径及び所定の深さ寸法の杭孔3aを掘削すると共に、その杭孔3aの先端部に根固め部やその上方の杭周面部を形成するためのセメントミルクを注入して混合撹拌する(図示せず)。
【0040】
そして、工場等で予め製造されて施工現場に搬入され、施工現場において杭頭部に複数の回転金具24が設けられた、
図3に示すような杭22を、クレーン等を用いて吊り上げて、杭孔3aに挿入する。
【0041】
そして、
図5(a)に示すように、杭22が杭孔3a内にある程度挿入された段階で、
図7に示すような回転キャップ6を用いて、杭22の杭頭部を杭打機10のオーガー10aに接続する。
【0042】
回転キャップ6は、
図7に示すように、略円筒状の杭頭保持部7と、杭頭保持部7の上端部から上方に向かって伸びる略棒状のロッド8を備えている。
【0043】
杭頭保持部7は、
図7(a)に示すように、図中上下方向に伸びる中心軸を有し、下端部が開放された略円筒状に形成されており、その中心孔の直径は杭22の杭頭部の直径よりわずかに大きく形成されている。
【0044】
そして、
図7(b)に示すように、杭頭保持部7の外周部、すなわち、円筒形状の周壁部には、4つの切欠7aが、杭頭保持部7の周方向(杭頭保持部7の中心軸回り方向)に互いに一定の間隔をおいて、隣り合う切欠7aとの角度が90度となるような位置に設けられている。
【0045】
それぞれの切欠7aは、
図7(a)に示すように、杭頭保持部7の外周部が、杭頭保持部7の下端部の開放部から図中上方に向かって略四角形に切り欠かれることによって形成された案内部7bと、案内部7bの上端部から杭頭保持部7の周方向の同一の方向(
図7(a)においては半時計回り方向)に向かって略四角形に切り欠かれることによって形成された係合部7cを備えて形成されている。
【0046】
それにより、
図3に示すような杭22の杭頭部を、杭頭保持部7の中心孔に下方から挿入して、杭22の杭頭部に設けられたそれぞれの回転金具24が、杭頭保持部7に形成されたそれぞれの切欠7aの案内部7bを通って係合部7cに配置されるようにすることにより、杭22の杭頭部を、杭頭保持部7に保持させることができるようになっている。
【0047】
そして、ロッド8は、
図7(a)に示すように、杭頭保持部7の中心軸線と同一線上に伸びる細長い棒状に形成され、その長さ方向の一方の端部(図中下端部)が、杭頭保持部7の上端面の略中央に一体的に固定され、その長さ方向の他方の端部(図中上端部)に、杭打機10のオーガー10aの回転駆動軸に接続可能な継手8aが設けられている。
【0048】
このような回転キャップ6を用い、杭22の杭頭部を杭頭保持部7に保持させると共に、ロッド8の継手8aを杭打機10のオーガー10aの回転駆動軸に接続することよって、杭22の杭頭部が杭打機10のオーガー10aに接続されるようになっている。
【0049】
そして、杭打機10のオーガー10aを用いて杭22を回転させながら、オーガー10aを杭打機10のリーダー10bに沿って下降させて杭孔3a内に杭22を埋設する。
【0050】
このとき、杭22の杭頭部の回転半径方向の寸法の最大値、すなわち、杭22の杭頭部の半径Rと回転金具24の長さ寸法L0を合計した寸法(
図4参照)は、杭打機10のオーガー10aの回転駆動軸からリーダー10bまでの距離D(
図9参照)より小さく形成されているため、杭22は、回転金具24が杭打機10のリーダー10bと接触せずに、杭孔3a内に埋設できるようになっている。
【0051】
そして、
図5(b)に示すように、杭孔3a内に杭22を埋設して、杭22の杭頭部に設けられた回転金具24の高さ位置が、杭打機10のリーダー10bの下端部より下方に位置するようになったところで、杭22の杭頭部に設けられた回転金具24の長さ方向の他方の端部に傾斜抑制具12を取り付ける。
【0052】
このとき、傾斜抑制具12の腕部16の長さ寸法Lは、杭22の杭頭部の半径Rと回転金具24の長さ寸法L0と腕部16の長さ寸法Lを合計した寸法(
図3参照)が、杭孔3aの半径よりわずかに小さくなるように形成されている。
【0053】
そして、
図6(a)に示すように、その状態から更に、杭22の杭頭部が杭孔3aの内部に位置するまで、杭孔3a内に杭22を埋設する。
【0054】
そして、
図6(b)に示すように、杭22の先端部が、杭孔3a内の目的の深さ位置に配置されたら、杭22の杭頭部から回転キャップ6を取り外す。
【0055】
このとき、傾斜抑制具12の支持部16は、その曲面形状が杭孔3aの周壁の曲面形状に沿って接触するように配置され、それにより、杭22の杭頭部が杭孔3aの周壁に向かって倒れないように支持されるようになっている。
【0056】
そのため、
図6(b)に示すように、杭22と杭打機10の接続を解除しても、杭孔3a内のセメントミルクが完全に硬化するまで、杭22の位置を保持できるようになっている。
【0057】
このように、本実施の形態に係る傾斜抑制具12、及び、それを用いた杭の傾斜抑制方法を用いることにより、杭22を挿入する杭孔3aの直径が大きくなっても、その分、腕部16の長さ寸法Lを大きくした傾斜抑制具12を用意して、回転金具24の先端部に取り付ければよいため、杭孔3aの直径がどのような寸法であっても、確実に杭の傾斜を抑制することができる。
【0058】
そして、それにより、杭打機の変更等の、大きな設計変更が生じて、余計なコストが生じることを防止することができる。
【0059】
また、傾斜抑制具12は、オネジ部とメネジ孔からなるネジ結合(連結手段18,24a)によって、回転金具24の先端部に取り付けられるため、溶接等の高度な技能を有する者でなくとも、迅速かつ容易に取り付け又は取り外すことができる。
【0060】
そして、溶接作業を行うことなく傾斜抑制具12を取り付けることができるため、その分のコスト(工賃)を削減することができると共に、作業時間を大幅に短縮することができ、また、取り付け作業は風雨の影響を受けないため、施工現場の気象状況によらず取り付け作業を行うことができる。
【0061】
また、傾斜抑制具12の構造は、簡単な形状の鋼板や角棒鋼を組み合わせた単純なものであるため、市販の材料を用いて低コストで製造することができるため、複数の杭を施工するために多数の傾斜抑制具12が必要となったとしても、コストが大幅に増加することを防止することができる。
【0062】
また、傾斜抑制具12は、回転金具24の先端部に先着脱自在に取り付けられるため、全ての杭の施工が終わって杭が完全に定着した後に、回転金具24の先端部から傾斜抑制具12を取り外して、他の現場で再利用することができる。
【0063】
したがって、このような本発明の一実施の形態に係る傾斜抑制具12、及び、それを用いた杭の傾斜抑制方法によれば、杭の直径に対して杭孔の直径が大きくなっても、容易かつ確実に杭の傾斜を抑制することができる。
【0064】
図8(a)は、本発明の第2の実施の形態に係る傾斜抑制具32について説明するために、参照する図である。
【0065】
傾斜抑制具32は、
図1及び
図2に示す前記第1の実施の形態に係る傾斜抑制具12における支持部16の代わりに、
図8(a)に示すような支持部36を備えている点において、前記第1の実施の形態に係る傾斜抑制具12とその構成が異なるものである。
【0066】
支持部36は、
図2に示す傾斜抑制具12の支持部16と同じように、所定の幅寸法と所定の高さ寸法を有し、平面形状が幅方向に細長い略矩形の板状に形成されると共に、その高さ方向に対して垂直な断面形状が、支持部36の裏面側に凹むような略円弧状になるように、支持部36の幅方向の両端部が幅方向の中央部に対して、支持部36の裏面側に曲げられて形成されている。
【0067】
それに加えて、支持部36の上辺部と下辺部には、支持部36の高さ方向の上端部と下端部から支持部36の裏面側に向かって斜めに折り曲げられたような傾斜部36aが、支持部36の上辺部と下辺部に沿ってその一方の端部から他方の端部まで連続して形成されている。
【0068】
その他の構成は、前記第1の実施の形態に係る傾斜抑制具12と同様であり、このような、傾斜抑制具32、及び、それを用いた杭の傾斜抑制方法においても、杭の直径に対して杭孔の直径が大きくなっても、容易かつ確実に杭の傾斜を抑制することができる。
【0069】
また、本実施の形態に係る傾斜抑制具32を用いることにより、杭孔3a内に杭22を埋設する際に、傾斜抑制具32の支持部36の上辺部や下辺部が杭孔3aの周壁の小さな凹凸と接触して引っ掛かり難くすることができ、杭22をスムーズに埋設することができる。
【0070】
図8(b)は、本発明の第3の実施の形態に係る傾斜抑制具42について説明するために、参照する図である。
【0071】
傾斜抑制具42は、
図1及び
図2に示す前記第1の実施の形態に係る傾斜抑制具12における支持部16の代わりに、
図8(b)に示すような支持部46を備えている点において、前記第1の実施の形態に係る傾斜抑制具12とその構成が異なるものである。
【0072】
支持部46は、
図8(b)に示すように、平面形状が略十字形の板状に形成されると共に、略十字形のそれぞれの先端部が略十字形の中央部に対して、支持部46の裏面側に曲げられて形成されている。
【0073】
すなわち、支持部46は、
図2に示す傾斜抑制具12の支持部16のような2つの部材を、それぞれの部材の幅方向の中央部で、それぞれの部材の幅方向が互いに略直角となるように重ねられたように形成されている。
【0074】
その他の構成は、前記第1の実施の形態に係る傾斜抑制具12と同様であり、このような、傾斜抑制具42、及び、それを用いた杭の傾斜抑制方法においても、杭の直径に対して杭孔の直径が大きくなっても、容易かつ確実に杭の傾斜を抑制することができる。
【0075】
また、本実施の形態に係る傾斜抑制具42を用いることにより、前記第2の実施の形態に係る傾斜抑制具32と同様に、杭22を杭孔3a内に埋設する際に、傾斜抑制具42の支持部46が杭孔3aの周壁の小さな凹凸と接触して引っ掛かり難くすることができ、杭22をスムーズに埋設することができる。
【0076】
また、本実施の形態に係る傾斜抑制具42を用いることにより、支持部46の表面の面積が大きくなる分、杭孔3aの周壁との接触面積が大きくなると共に、傾斜抑制具42を回転金具24に取り付けたときに、支持部46の幅方向が杭22の周方向に正確に沿うように配置されていなくても、略十字形の支持部46の4つの先端部が均等に杭孔3aの周壁と接触するため、より確実に杭を支持することができる。
【0077】
なお、本発明は、前記実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明と同一の目的を達成することができるものであれば、種々の変更が可能である。
【0078】
例えば、前記第1ないし第3の実施の形態に係る傾斜抑制具12,32,42においては、支持部16,36,46の平面形状は、細長い略矩形や略十字形に形成されているが、杭頭部が杭孔3aの周壁に向かって倒れないように杭22を支持することができるのであれば、支持部の形状はどのような形状であってもよく、例えば、支持部の平面形状が円形や正方形等に形成されていてもよい。
【0079】
また、前記第1ないし第3の実施の形態に係る傾斜抑制具12,32,42においては、傾斜抑制具12,32,42側にオネジ部(連結手段18)が設けられ、回転金具24側にメネジ孔(連結手段24a)が設けられているが、これを反対にして、傾斜抑制具12,32,42側にメネジ孔が設けられ、回転金具24側にオネジ部が設けられるようにしてもよく、また、上記メネジ孔にイモネジ等の養生手段が設けられるようにしてもよい。
【0080】
また、前記第1ないし第3の実施の形態に係る傾斜抑制具12,32,42においては、傾斜抑制具12,32,42と回転金具24は、オネジ部とメネジ孔からなるネジ結合(連結手段18,24a)によって、着脱自在に取り付けることができるようになっているが、傾斜抑制具と回転金具を着脱自在に取り付けることができるのであれば、ネジ結合以外の連結手段が用いられていてもよく、例えば、傾斜抑制具に設けられた棒状部材を回転金具に形成された孔に差し込んで連結されるようにすることにより、傾斜抑制具と回転金具が更に容易に着脱できるようにしてもよい。
【0081】
また、前記第1ないし第3の実施の形態に係る傾斜抑制具12,32,42を用いた杭の傾斜抑制方法において、傾斜抑制具12,32,42が取り付けられる回転金具24に形成されるメネジ孔を、回転金具24の長さ方向の一方の端部から他方の端部へと回転金具24を貫通するように形成することにより、回転金具24を杭22に溶接する際に、回転金具24の向きを気にせずに溶接できるようにしてもよい。
【0082】
また、前記第1ないし第3の実施の形態に係る傾斜抑制具12,32,42を用いた杭の傾斜抑制方法においては、傾斜抑制具12,32,42が取り付けられる回転金具24は、杭22の杭頭部の外周面に固定されていたが、
図10に示すように、細長い回転金具24が、杭22の上端部に設けられた端板22bの上面に沿うように配置されて、回転金具24の長さ部を端板22bの上面に溶接して固定されるようになっていてもよい。
【0083】
また、前記第1ないし第3の実施の形態に係る傾斜抑制具12,32,42を用いた杭の傾斜抑制方法においては、傾斜抑制具12,32,42が取り付けられる回転金具24は、杭22の杭頭部に4つ設けられているが、杭頭部に設けられる回転金具24の数は、4つより多くてもよいし、少なくてもよい。
【0084】
また、前記第1ないし第3の実施の形態に係る傾斜抑制具12,32,42を用いた杭の傾斜抑制方法においては、杭22の杭頭部に設けられた全ての回転金具24に傾斜抑制具12,32,42を取り付ける必要はなく、杭22の大きさ(径や高さ寸法)から支持重量を計算して、その重量を支持するために必要かつ十分な個数の傾斜抑制具12,32,42を取り付けるようにしてもよい。
【0085】
また、前記第1ないし第3の実施の形態に係る傾斜抑制具12,32,42を用いた杭の傾斜抑制方法においては、略円柱状の杭22が用いられているが、既製杭工法に用いられる既製杭の形状はそのようなもの限定されず、例えば、杭の断面形状が円形以外の形状に形成されたものや、杭の長さ途中部に複数の拡径部(節)が設けられたものが用いられていてもよい。
【符号の説明】
【0086】
2 杭
3 地盤
3a 杭孔
6 回転キャップ
7 杭頭保持部
7a 切欠
7b 導入部
7c 係合部
8 ロッド
8a 継手
10 杭打機
10a オーガー
10b リーダー
12 傾斜抑制具
14 腕部
16 支持部
18 連結手段
22 杭
22a 本体部
22b 端板
22c コンクリート
24 回転金具
24a 連結手段
32 傾斜抑制具
36 支持部
36a 傾斜部
42 傾斜抑制具
46 支持部
L0,L 長さ寸法
W 幅寸法
H 高さ寸法
R 半径
【手続補正書】
【提出日】2023-03-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既製杭工法に用いられる杭の杭頭部に、前記杭の半径方向外側に向かって突出するように設けられた回転金具に取り付けられる傾斜抑制具であって、
前記回転金具の前記杭の半径方向外側の端部から、前記杭の半径方向外側に向かって伸びるように設けられた腕部と、
前記腕部の前記杭の半径方向外側の端部から、前記杭の周方向に沿うように設けられた第1支持部と、前記第1支持部が沿う方向と略直角に交差する方向に設けられて、前記第1支持部と交差する部分が前記第1支持部と一体的に形成された第2支持部を備え、
前記腕部の前記杭の半径方向内側の端部には、前記傾斜抑制具を前記回転金具の端部に着脱自在に取り付けることができるような連結手段が設けられた
ことを特徴とする傾斜抑制具。
【請求項2】
前記第1,第2支持部の各々は、所定の幅寸法と高さ寸法を有する平面形状が幅方向に細長い略矩形の板状に形成されると共に、幅方向の両端部が中央部に対して、前記支持部の裏面側にわずかに曲げられることにより、高さ方向に対して垂直な断面形状が略円弧状に形成され、
前記腕部の前記杭の半径方向外側の端部が、前記第1,第2支持部の互いに交差する略十字形の板状に一体的に形成された部分の裏面の略中央部に当接するように配置されて、前記略十字形の板状の部分に一体的に固定された
ことを特徴とする請求項1に記載の傾斜抑制具。
【請求項3】
前記連結手段は、前記腕部の前記杭の半径方向内側の端部に設けられたオネジ部又はメネジ孔と、前記回転金具の前記杭の半径方向外側の端部に設けられたメネジ孔又はオネジ部によるネジ結合である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の傾斜抑制具。
【請求項4】
既製杭工法に用いられる杭の杭頭部に、前記杭の半径方向外側に向かって突出するように設けられた回転金具に取り付けられる傾斜抑制具であって、
前記回転金具の前記杭の半径方向外側の端部から、前記杭の半径方向外側に向かって伸びるように設けられた腕部と、
前記腕部の前記杭の半径方向外側の端部から、前記杭の周方向に沿うように設けられた支持部を備え、
前記腕部の前記杭の半径方向内側の端部には、前記傾斜抑制具を前記回転金具の端部に着脱自在に取り付けることができるような連結手段が設けられた傾斜抑制具を用い、
前記既製杭工法において、
前記杭の杭頭部を杭打機のオーガーに接続し、
前記オーガーを用いて前記杭を回転させながら、前記オーガーを前記杭打機のリーダーに沿って下降させることにより、杭孔内に前記杭を埋設し、
前記杭が、杭頭部に設けられた前記回転金具の高さ位置が前記リーダーの下端部より下方に位置するまで、杭孔内に埋設されたところで、前記傾斜抑制具を、前記杭の杭頭部に設けられた前記回転金具の端部に取り付け、
その状態から更に前記杭を杭孔内に埋設して、前記傾斜抑制具の支持部が杭孔の周壁に沿って接触するようにした
ことを特徴とする杭の傾斜抑制方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明の請求項1による傾斜抑制具は、上記課題を解決するために、
既製杭工法に用いられる杭の杭頭部に、前記杭の半径方向外側に向かって突出するように設けられた回転金具に取り付けられる傾斜抑制具であって、
前記回転金具の前記杭の半径方向外側の端部から、前記杭の半径方向外側に向かって伸びるように設けられた腕部と、
前記腕部の前記杭の半径方向外側の端部から、前記杭の周方向に沿うように設けられた第1支持部と、前記第1支持部が沿う方向と略直角に交差する方向に設けられて、前記第1支持部と交差する部分が前記第1支持部と一体的に形成された第2支持部を備え、
前記腕部の前記杭の半径方向内側の端部には、前記傾斜抑制具を前記回転金具の端部に着脱自在に取り付けることができるような連結手段が設けられたことを特徴とするものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
また、本発明の請求項2による傾斜抑制具は、
前記第1,第2支持部の各々は、所定の幅寸法と高さ寸法を有する平面形状が幅方向に細長い略矩形の板状に形成されると共に、幅方向の両端部が中央部に対して、前記支持部の裏面側にわずかに曲げられることにより、高さ方向に対して垂直な断面形状が略円弧状に形成され、
前記腕部の前記杭の半径方向外側の端部が、前記第1,第2支持部の互いに交差する略十字形の板状に一体的に形成された部分の裏面の略中央部に当接するように配置されて、前記略十字形の板状の部分に一体的に固定されたことを特徴とするものである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
また、本発明の請求項3による傾斜抑制具は、
前記連結手段は、前記腕部の前記杭の半径方向内側の端部に設けられたオネジ部又はメネジ孔と、前記回転金具の前記杭の半径方向外側の端部に設けられたメネジ孔又はオネジ部によるネジ結合であることを特徴とするものである。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
また、本発明の請求項4による杭の傾斜抑制方法は、
既製杭工法に用いられる杭の杭頭部に、前記杭の半径方向外側に向かって突出するように設けられた回転金具に取り付けられる傾斜抑制具であって、
前記回転金具の前記杭の半径方向外側の端部から、前記杭の半径方向外側に向かって伸びるように設けられた腕部と、
前記腕部の前記杭の半径方向外側の端部から、前記杭の周方向に沿うように設けられた支持部を備え、
前記腕部の前記杭の半径方向内側の端部には、前記傾斜抑制具を前記回転金具の端部に着脱自在に取り付けることができるような連結手段が設けられた傾斜抑制具を用い、
前記既製杭工法において、
前記杭の杭頭部を杭打機のオーガーに接続し、
前記オーガーを用いて前記杭を回転させながら、前記オーガーを前記杭打機のリーダーに沿って下降させることにより、杭孔内に前記杭を埋設し、
前記杭が、杭頭部に設けられた前記回転金具の高さ位置が前記リーダーの下端部より下方に位置するまで、杭孔内に埋設されたところで、前記傾斜抑制具を、前記杭の杭頭部に設けられた前記回転金具の端部に取り付け、
その状態から更に前記杭を杭孔内に埋設して、前記傾斜抑制具の支持部が杭孔の周壁に沿って接触するようにしたことを特徴とするものである。