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  • 特開-超純水製造設備 図1
  • 特開-超純水製造設備 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102999
(43)【公開日】2023-07-26
(54)【発明の名称】超純水製造設備
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/44 20230101AFI20230719BHJP
【FI】
C02F1/44 J
C02F1/44 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003800
(22)【出願日】2022-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】細部 恵司
(72)【発明者】
【氏名】森 隼人
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA06
4D006JA59Z
4D006JA63C
4D006KA01
4D006KA17
4D006KB04
4D006KB11
4D006PB06
4D006PC02
(57)【要約】
【課題】バイパス流路内の残留水が超純水に混入することが防止される超純水製造設備を提供する。
【解決手段】サブタンク1内の水が、ポンプ2、熱交換装置3、UV酸化装置4、脱イオン装置5及びUF膜分離装置7で処理されて超純水とされる。UF膜分離装置7を迂回するようにバイパス流路20が設けられている。バイパス流路20は、第1配管21、第1バルブ22、第2配管23、第2バルブ24、及び第3配管25を備えている。第1配管21が配管6に連なり、第3配管25が配管8に連なっている。配管21,25の長さは短いものとなっている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾過装置及び該濾過装置を迂回するバイパス流路を有する超純水製造設備において、
該バイパス流路の最上流部に第1開閉弁が設けられ、最下流部に第2開閉弁が設けられていることを特徴とする超純水製造設備。
【請求項2】
前記第1開閉弁と第2開閉弁との間の流路から残留水を排出する排出手段を有する請求項1の超純水製造設備。
【請求項3】
前記排出手段は、前記第1開閉弁と第2開閉弁との間の流路の一端側に設けられたドレンバルブと、他端側にパージガスを供給するパージガス供給手段とを有する請求項2の超純水製造設備。
【請求項4】
前記パージガスは窒素ガスである請求項3の超純水製造設備。
【請求項5】
前記バイパス流路の上流端から前記第1開閉弁までの配管長さが0.3m以下であり、
前記バイパス流路の下流端から前記第2開閉弁までの配管長さが0.3m以下である請求項1~4のいずれかの超純水製造設備。
【請求項6】
前記第1開閉弁及び第2開閉弁がフッ素樹脂製である請求項1~5のいずれかの超純水製造設備。
【請求項7】
濾過装置及び該濾過装置を迂回するバイパス流路を有する超純水製造設備において、
該バイパス流路の最上流部に第1開閉弁が設けられ、
該第1開閉弁よりも下流側のバイパス流路内の残留水を排出する排出手段が設けられていることを特徴とする超純水製造設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超純水製造設備に係り、特に最終段に濾過装置が設置されている超純水製造設備に関する。さらに詳しくは、本発明は、この濾過装置を迂回するようにバイパス流路が設けられている超純水製造設備に関する。
【背景技術】
【0002】
超純水製造設備では、一次純水貯水用のサブタンク内の水が、ポンプ、熱交換装置、紫外線(UV)酸化装置、脱イオン装置及び限外濾過(UF)膜分離装置で処理されて超純水とされる。製造された超純水は、配管(供給ライン)を介してユースポイントへ送られ、ユースポイントでその一部が使用(例えば半導体の洗浄)され、未使用の超純水が配管(リターンライン)を経てサブタンクに戻される。
【0003】
一次純水は、例えば、工水、井水、市水等の原水を凝集沈殿等の前処理後、逆浸透膜分離処理、アニオン性及びカチオン性のイオン交換樹脂による処理を順に行い、更に逆浸透膜処理することにより得られる。
【0004】
特許文献1には、超純水製造設備のUF膜分離装置を迂回するバイパス流路を設けることが記載されている。このバイパス流路にはバルブが設けられており、他の機器の殺菌排水やリンス排水がUF膜分離装置を迂回するようにバルブの開閉が切り替えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-275881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
UF膜分離装置を迂回するバイパス流路を有した従来の超純水製造設備にあっては、バイパス流路内に水が残留する。この残留水が超純水に混入すると、超純水の水質が低下する。
【0007】
本発明は、バイパス流路内の残留水が超純水に混入することを防止する超純水製造設備を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1] 濾過装置及び該濾過装置を迂回するバイパス流路を有する超純水製造設備において、該バイパス流路の最上流部に第1開閉弁が設けられ、最下流部に第2開閉弁が設けられていることを特徴とする超純水製造設備。
【0009】
[2] 前記第1開閉弁と第2開閉弁との間の流路から残留水を排出する排出手段を有する[1]の超純水製造設備。
【0010】
[3] 前記排出手段は、前記第1開閉弁と第2開閉弁との間の流路の一端側に設けられたドレンバルブと、他端側にパージガスを供給するパージガス供給手段とを有する[2]の超純水製造設備。
【0011】
[4] 前記パージガスは窒素ガスである[3]の超純水製造設備。
【0012】
[5] 前記バイパス流路の上流端から前記第1開閉弁までの配管長さが0.3m以下であり、前記バイパス流路の下流端から前記第2開閉弁までの配管長さが0.3m以下である[1]~[4]のいずれかの超純水製造設備。
【0013】
[6] 前記第1開閉弁及び第2開閉弁がフッ素樹脂製である[1]~[5]のいずれかの超純水製造設備。
【0014】
[7] 濾過装置及び該濾過装置を迂回するバイパス流路を有する超純水製造設備において、該バイパス流路の最上流部に第1開閉弁が設けられ、該第1開閉弁よりも下流側のバイパス流路内の残留水を排出する排出手段が設けられていることを特徴とする超純水製造設備。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様では、バイパス流路に第1及び第2開閉弁を設けているので、バイパス流路を短絡的に水が流れて超純水に混入することが防止され、超純水の水質低下が防止される。
【0016】
本発明の一態様では、バイパス流路の第1開閉弁よりも上流側及び第2開閉弁よりも下流側の配管長さを短くしているので、これらの配管内の残留水量が少なく、超純水の水質低下が防止される。
【0017】
本発明の一態様では、バイパス流路内の残留水を排出するので、バイパス流路内の残留水が超純水に混入することがなく、超純水の水質低下が防止される。
【0018】
本発明の一態様では、バイパス流路内にパージガスとして窒素ガスを導入することにより、超純水に空気が混入することが防止され、超純水の水質低下(溶存酸素濃度上昇)が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施の形態に係る超純水製造設備の構成図である。
図2図1の一部(UF膜分離装置部分)の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図1,2を参照して実施の形態について説明する。
【0021】
図1は、実施の形態に係る超純水製造設備の全体構成図である。一次純水貯水用のサブタンク1内の水が、ポンプ2、熱交換装置3、紫外線(UV)酸化装置4、イオン交換装置などの脱イオン装置5及びUF膜分離装置7で処理されて超純水とされる。製造された超純水は、配管(供給ライン)8を介してユースポイント9へ送られ、ユースポイント9でその一部が使用され、未使用の超純水が配管(リターンライン)10を経てサブタンク1に戻される。
【0022】
なお、図2の通り、この実施の形態では、UF膜分離装置7は、複数のUF膜モジュール7aを並列に備えた構成のものであるが、これに限定されない。
【0023】
また、図2の通り、脱イオン装置5からの水をUF膜分離装置7に供給する配管6にバルブ11が設けられている。また、UF膜分離装置7から超純水を送り出す配管8にバルブ12が設けられている。
【0024】
この実施の形態では、UF膜分離装置7を迂回するようにバイパス流路20が設けられている。バイパス流路20の上流端は、バルブ11よりも上流側の配管6に連なる。また、バイパス流路20の下流端は、バルブ12より下流側の配管8に連なる。
【0025】
図2の通り、このバイパス流路20は、配管6側から配管8側に向って連なる、第1配管21、第1バルブ(第1開閉弁)22、第2配管23、第2バルブ(第2開閉弁)24、及び第3配管25を備えている。第1配管21が配管6に連なり、第3配管25が配管8に連なっている。配管21,25の長さは、それぞれ0.3m以下と短いものとなっている。バルブは、配管やフランジを含む継手の溶接線との干渉を回避するため、配管との接続寸法が、0.3mを超えてもよい。
【0026】
第2配管23のうち第1バルブ22直近部分には、バルブ31を有した配管30の一端が接続されており、配管30の他端には窒素ガスボンベ等のパージガス源32が設けられている。第2配管23のうち第2バルブ24直近部分にはドレンバルブ33を有したドレン配管34が接続されている。
【0027】
各バルブは、PTFEなどのフッ素樹脂製であることが好ましい。特にバルブ12,22,24はフッ素樹脂製であることが好ましい。
【0028】
この超純水製造設備においては、通常の超純水製造工程にあっては、バルブ11,12は開、バルブ22,24,31,33は閉とされる。脱イオン装置5からの水はUF膜分離装置7を通り、超純水となって配管8からユースポイント9に送水される。
【0029】
超純水製造設備の立ち上げ運転に際しては、脱イオン装置5及びそれよりも上流側の洗浄を行うが、該上流側を洗浄した洗浄排水(リンス排水を含む。)がUF膜分離装置7を通らないようにするために、バルブ11,12を閉、第1及び第2バルブ22,24を開とする。バルブ31,33は閉とする。これにより、洗浄排水はバイパス流路20のみを流れ、UF膜分離装置7を通らない。洗浄終了後は、バルブ22,24を閉とし、バルブ11,12を開とする。
【0030】
なお、超純水製造設備のUF膜分離装置7以外を殺菌処理する場合にも、殺菌水がUF膜分離装置7を通らないようにするために、上記と同様に、バルブ11,12を閉、第1及び第2バルブ22,24を開とする。バルブ31,33は閉とする。そして、殺菌終了後にバルブ22,24を閉とし、バルブ11,12を開とする。
【0031】
上記の洗浄又は殺菌終了後は、第2配管23内に洗浄排水又は殺菌排水が残留する。そこで、この実施の形態では、ドレンバルブ33を開とすると共に、バルブ31を閉とし、窒素ガス等のパージガスを配管23内に導入し、配管23内の残留水をドレン配管34から排出する。
【0032】
残留水排出後は、バルブ31,33を閉とする。
【0033】
この実施の形態では、バイパス流路20に第1及び第2バルブ22,24を設けているので、脱イオン装置5からの水がバイパス流路20を短絡的に通って超純水に混入することが防止され、超純水の水質低下が防止される。
【0034】
また、配管21,25を極めて短くしているので、配管21,25内の残留水量が少なく、この残留水が超純水に混入することによる超純水の水質低下が防止される。
【0035】
また、配管23内の残留水を排出するので、配管23内の残留水が超純水に混入することがないので、超純水の水質低下が防止される。
【0036】
さらに、配管23内にパージガスとして窒素ガスを導入することにより、超純水に空気が混入することが防止され、超純水の水質低下(溶存酸素濃度上昇)が防止される。
【符号の説明】
【0037】
1 サブタンク
2 紫外線酸化装置
5 脱イオン装置
7 UF膜分離装置
20 バイパス流路
21 第1配管
22 第1バルブ
23 第2配管
25 第2バルブ
25 第3配管
32 パージガス源
33 ドレンバルブ
図1
図2