(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023010300
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】作業用頭巾
(51)【国際特許分類】
A41D 13/00 20060101AFI20230113BHJP
A42B 3/28 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
A41D13/00 107
A42B3/28
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021114344
(22)【出願日】2021-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】521269849
【氏名又は名称】株式会社金田工業
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 千恵
【テーマコード(参考)】
3B011
3B107
【Fターム(参考)】
3B011AB01
3B011AC02
3B011AC05
3B011AC14
3B011AC15
3B011AC18
3B107BA03
3B107DA21
3B107EA04
(57)【要約】
【課題】頭巾本体の内部の温度上昇を抑制可能な作業用頭巾を提供する。
【解決手段】作業者の頭部及び首部を覆う頭巾本体14と、頭巾本体14に設けられ、かつ、頭部に被せられるヘルメットに取り付け及び取り外しが可能なベルト29と、頭巾本体14を厚さ方向に貫通する取付穴と、取付穴に取り付けられ、かつ、頭巾本体14が頭部及び首部を覆った場合に頭巾本体14の外部の空気を頭巾本体14の内部に送る送風ファン15と、を有する、作業用頭巾10を構成した。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者の頭部及び首部を覆う頭巾本体と、
前記頭巾本体に設けられ、かつ、前記頭部に被せられるヘルメットに取り付け及び取り外しが可能な保持部材と、
前記頭巾本体を厚さ方向に貫通する取付穴と、
前記取付穴に取り付けられ、かつ、前記頭巾本体が前記頭部及び前記首部を覆った場合に前記頭巾本体の外部の空気を前記頭巾本体の内部に送る送風ファンと、
を有する、作業用頭巾。
【請求項2】
請求項1記載の作業用頭巾において、
前記頭巾本体は、前記取付穴を囲む補強部材を備え、
前記送風ファンは、
モータと、
前記モータを支持するハウジングと、
前記ハウジングに取り付け及び取り外しが可能なカバーと、
を有し、
前記ハウジングと前記カバーとが、前記補強部材を両側から挟む構成である、作業用頭巾。
【請求項3】
請求項2記載の作業用頭巾において、
前記頭巾本体は、
前記取付穴を有する中央部と、
前記中央部の両側に配置される第1側方部及び第2側方部と、
を有し、
前記第1側方部に設けられる第1係合部と、
前記第2側方部に設けられ、かつ、前記第1係合部に対して係合及び解放が可能な第2係合部と、
がさらに設けられている、作業用頭巾。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接作業、または金属等の研磨作業を行う際に作業者の後頭部、首等を覆う作業用頭巾に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の作業を行う作業者の後頭部、首等を覆う作業用頭巾の一例が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された作業用頭巾は、頭部及び首部を覆う頭巾本体と、頭巾本体に設けたフェイスガードと、を備えている。また、頭巾本体は、顔が覗く開口部を有し、フェイスガードは、頭巾本体の開口部の左右両側にまたがって設けてある。さらに、頭巾本体は、ネックガードを有し、ネックガードは、スナップボタン等の止着具により、中央部で開閉可能に設けてある。フェイスガードは、目の周りと鼻及び口の周りを除いた部分を覆う。特許文献1には、顔面のやけどや細かな切創等を確実に防止できる、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は、特許文献1に記載された作業用頭巾は、頭部、首等の全体を覆うため、頭巾本体の内部に空気がこもり易く、頭巾本体の内部の温度が上昇する、という課題を認識した。
【0005】
本発明の目的は、頭巾本体の内部の温度が上昇することを抑制可能な作業用頭巾を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の作業用頭巾は、作業者の頭部及び首部を覆う頭巾本体と、前記頭巾本体に設けられ、かつ、前記頭部に被せられるヘルメットに取り付け及び取り外しが可能なベルトと、前記頭巾本体を厚さ方向に貫通する取付穴と、前記取付穴に取り付けられ、かつ、前記頭巾本体が前記頭部及び前記首部を覆った場合に前記頭巾本体の外部の空気を前記頭巾本体の内部に送る送風ファンと、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の作業用頭巾によれば、頭巾本体の外部の空気を内部に送り込むことができる。したがって、頭巾本体の内部の温度が上昇することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】(A)は、作業用頭巾を装着した作業者の正面図、(B)は、作業用頭巾を装着した作業者の背面図である。
【
図2】展開した状態の作業用頭巾を外面側から見た平面図である。
【
図3】展開した状態の作業用頭巾を内面側から見た平面図である。
【
図4】(A)は、作業用頭巾に取り付けられる送風ファンのハウジングを示す図、(B)は、送風ファンのカバーを示す図である。
【
図5】送風ファンを頭巾本体に取り付けた状態の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1、
図2及び
図3は、本発明による作業用頭巾(空調頭巾)10の一実施形態を示している。作業用頭巾10は、作業者11が溶接作業、金属の研磨作業、ケレン作業等、各種の作業を行う際に用いられるものである。なお、作業者11は、作業用頭巾10と共に、
図1(A)に示すような保護メガネ12及び防塵マスク13、ヘルメット16等を併用する。
【0010】
作業用頭巾10は、ヘルメット16によって支持され、かつ、作業者11の後頭部、頭部側方、及び首周りを覆う。作業用頭巾10は、頭巾本体14及び送風ファン15を有する。頭巾本体14を構成する主な生地(素材)は、チノクロス・ツイル、綿100%の2種類であり、比較的、熱に強いものを用いている。頭巾本体14は、ヘルメット16に対して取り付け及び取り外しが可能であり、頭巾本体14は、作業者11の後頭部、頭部側方、首等を覆うための被覆部材である。頭巾本体14は、中央部17、第1側方部18及び第2側方部19を有する。中央部17、第1側方部18、第2側方部19は、頭巾本体14を展開して平面視した場合に、頭巾本体14の全体を便宜的に区画した領域を示すものである。
【0011】
中央部17は、第1側方部18と第2側方部19との間に位置する。
図2及び
図3には、便宜上、中央部17と第1側方部18とが第1区画線20により区画され、中央部17と第2側方部19とが、第2区画線21により区画された例を示している。なお、第1区画線20及び第2区画線21は、共に仮想線であり、中央部17、第1側方部18、第2側方部19をそれぞれ明確に区別する境界が物理的に存在している訳ではない。
【0012】
中央部17は、上縁22及び下縁23を有する。
図2のように、展開された頭巾本体14を外側から平面視し、
図3のように、展開された頭巾本体14を内側から平面視すると、上縁22は、第1区画線20の第1端部と、第2区画線21の第1端部との間に位置する。下縁23は、第1区画線20の第2端部と、第2区画線21の第2端部との間に位置する。上縁22及び下縁23は、同じ方向に膨らむ向きで湾曲されており、下縁23の全長は、上縁22の全長を超えている。このため、第1区画線20と第2区画線21との間の距離は、上縁22から下縁23に近づくことに伴い増加している。
【0013】
第1側方部18は、上縁24、下縁25、湾曲縁26、側縁27を有する。上縁24は上縁22につながり、下縁25は下縁23につながっている。側縁27は下縁25につながり、湾曲縁26は、上縁24及び側縁27につながっている。湾曲縁26は、第1区画線20に近づくように湾曲されている。第1側方部18には、側縁27に沿って複数、例えば、3個の係合部28が設けられている。3個の係合部28は、一例としてスナップボタンである。頭巾本体14の外面52には、第1側方部18から中央部17に亘って、面ファスナー36が取り付けられている。面ファスナー36は、上縁22,24に沿って設けられている。
【0014】
第2側方部19は、上縁31、下縁32、湾曲縁33、側縁34を有する。上縁31は上縁22につながり、下縁32は下縁23につながっている。側縁34は下縁32につながり、湾曲縁33は、上縁31及び側縁34につながっている。湾曲縁33は、第2区画線21に近づくように湾曲されている。第2側方部19には、側縁34に沿って複数、例えば、3個の係合部35が設けられている。3個の係合部35は、一例としてスナップボタンである。係合部35は、係合部28に対して係合及び解放が可能である。係合部28,35は、第1側方部18と第2側方部19とを、作業者11の首の前方に保持させるために設けられている。第2側方部19には、湾曲縁33から延ばされたベルト29が設けられている。ベルト29は、頭巾本体14をヘルメット16に取り付けるために設けられている。ベルト29は、伸縮性を有する弾性部材、例えば、ゴム製である。ベルト29の片方の面には、面ファスナー30及び滑り止め49が設けられている。滑り止め49は、例えば、シリコンゴムである。
【0015】
送風ファン15の構成、及び送風ファン15を頭巾本体14に取り付け及び取り外し可能とするための構成を、
図4及び
図5を参照して説明する。送風ファン15は、ハウジング37、カバー38、モータ39、羽根40を有する。ハウジング37及びカバー38は、例えば合成樹脂製である。
図4(A)のように、ハウジング37は、全周に亘って環状のフランジ41を有する。
図4(B)のように、カバー38は環状である。モータ39及び羽根40は、ハウジング37に設けられている。羽根40は、合成樹脂製である。モータ39は、例えば直流電動機である。
【0016】
カバー38は環状であり、かつ、フランジ42を有する。ハウジング37の外周面に雄ねじ部が設けられ、カバー38の内周面に雌ねじ部が設けられている。このため、ハウジング37及びカバー38を共通の中心線A1を中心として配置し、かつ、カバー38をハウジング37に対して中心線A1を中心として回転させると、カバー38をハウジング37に対して固定すること、及びカバー38をハウジング37から取り外すこと、ができる。
【0017】
モータ39には、電力ケーブル44を介して電源45が接続されている。電源45は、直流電源であり、二次電池(バッテリ)または一次電池の何れでもよい。電源45に切り替えスイッチが設けられており、作業者11が切り替えスイッチをオンさせると、電源45の電力がモータ39に供給され、モータ39及び羽根40が回転される。作業者11が切り替えスイッチをオフさせると、電源45からモータ39に電力が供給されなくなり、モータ39及び羽根40が停止される。
【0018】
送風ファン15を頭巾本体14に取り付けるために、中央部17に取付穴43が設けられている。取付穴43は、中央部17を厚さ方向に貫通する円形の穴である。また、頭巾本体14の外面52において、中央部17に補強部材46が縫合によって固定されている。補強部材46は、頭巾本体14のうち送風ファン15を保持する箇所の強度を確保するために設けられている。補強部材46は、取付穴43の外側を囲むように設けられている。
【0019】
補強部材46は、穴48を有し、補強部材46の曲げ剛性は、中央部17の曲げ剛性よりも高い。補強部材46は、例えば、合成樹脂製のプレートを芯材とし、その芯材を布地で覆って構成されている。穴48の内径と取付穴43の内径とは同じであり、かつ、共通の中心線A1を中心として設けられている。取付穴43及び穴48の内径は、一例として88mmである。
【0020】
次に、作業用頭巾10の使用例を説明する。先ず、
図5に示すように、ハウジング37の一部を中央部17の穴48及び取付穴43へ挿入させる。そして、ハウジング37及びカバー38を共通の中心線A1に沿って同心状に配置し、カバー38をハウジング37に近づける。さらに、カバー38をハウジング37に対して中心線A1を中心として回転させると、カバー38をハウジング37に対して固定することができる。カバー38がハウジング37に固定された状態で、フランジ41とフランジ42とが中央部17及び補強部材46を両側から挟む構成である。このため、送風ファン15が中央部17に対して中心線A1を中心として回転することを防止できる。カバー38は、頭巾本体14の内面47側に位置し、ハウジング37のフランジ41は、頭巾本体14の外面52側に位置する。
【0021】
作業者11は、作業着50を着ており、頭部にヘルメット16を被り、かつ、保護メガネ12及び防塵マスク13を顔に装着している。そして、内面47を作業者11の後頭部及び首に向けて、作業用頭巾10を作業者11に近づける。さらに、作業用頭巾10を湾曲させて、上縁22,24,31をヘルメット16の外面に接触させ、かつ、ベルト29をヘルメット16の外面に接触させる。滑り止め49がヘルメット16の外面に接触され、ベルト29の一部を頭巾本体14の一部に重ねることで、面ファスナー30と面ファスナー36とが係合される。滑り止め49とヘルメット16の外面との摩擦力により、頭巾本体14がヘルメット16の外周面に沿った方向に移動することを防止できる。
【0022】
さらに、第1側方部18及び第2側方部19を作業者11の首に近づけるように、頭巾本体14を変形させ、
図1(A)のように、作業者11の顔の下で係合部28と係合部35とを係合させる。このようにして、作業用頭巾10を作業者11に装着する作業が完了すると、
図1(B)のように、送風ファン15は作業者11の首の後ろに位置する。電源45は、作業着50のポケット51に入れておくことが可能であり、電力ケーブル44が作業の邪魔になることは無い。
【0023】
作業者11は、保護メガネ12、防塵マスク13に加え、作業用頭巾10を装着しているため、溶接作業、または金属等の研磨作業を行う場合に、溶接個所から漏れるアーク光(紫外線)、飛来するスパッタ、スラグ、研磨屑等が、作業者11の顔、首等に到達することを防止できる。また、作業者11が切り替えスイッチをオンさせると、電源45の電力がモータ39に供給され、モータ39及び羽根40が回転される。すると、
図5のように、頭巾本体14の外部B1の空気が、送風ファン15によって吸い込まれ、頭巾本体14の内部B2へ供給される。内部B2へ供給された空気は、作業者の首、後頭部に沿って流れ、湾曲縁26,33と顔との間を通って外部B1へ排出される。
【0024】
したがって、内部B2の温度上昇を抑制でき、作業者11の作業環境を良好に維持できる。このため、作業者11の顔に出る汗を軽減(低減)でき、首元への送風による熱中症対策になる。また、保護メガネ12の内側と外側との温度差をなるべく小さくすることができ、保護メガネ12が曇ることを解決(防止)できる。さらに、頭巾本体14に穴が開いたり、汚れたりした場合は、カバー38をハウジング37に対して中心線A1を中心として回転させることにより、送風ファン15を頭巾本体14から取り外し、他の頭巾本体14に送風ファン15を取り付けることが可能である。
【0025】
本実施形態で説明した事項の技術的意味の一例は、次の通りである。作業用頭巾10は、作業用頭巾の一例である。頭巾本体14は、頭巾本体の一例である。ベルト29は、保持部材の一例である。取付穴43は、取付穴の一例である。送風ファン15は、送風ファンの一例である。補強部材46は、補強部材の一例である。モータ39は、モータの一例である。ハウジング37は、ハウジングの一例である。カバー38は、カバーの一例である。中央部17は、中央部の一例である。第1側方部18は、第1側方部の一例である。第2側方部19は、第2側方部の一例である。係合部28は、第1係合部の一例である。係合部35は、第2係合部の一例である。
【0026】
本実施形態で説明した作業用頭巾は、図面を用いて説明したものに限定されない。例えば、頭巾本体の素材は、帆布でもよい。また、第1側部と第2側部とを、ファスナーによって係合及び解放可能にしてもよい。さらに、保持部材は、ベルトに代えて紐でもよい。また、保持部材をヘルメットに掛けて頭巾本体で固定する構造は、面ファスナーに代えてスナップボタンでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本実施形態の作業用頭巾は、溶接作業、または金属等の研磨作業を行う際に作業者の後頭部、首等を覆うものとして利用可能である。
【符号の説明】
【0028】
10…作業用頭巾、11…作業者、14…頭巾本体、15…送風ファン、17…中央部、18…第1側方部、19…第2側方部、28,35…係合部、29…ベルト、37…ハウジング、38…カバー、39…モータ、43…取付穴、46…補強部材、B1…外部、B2…内部