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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103009
(43)【公開日】2023-07-26
(54)【発明の名称】故障調査システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20230719BHJP
【FI】
H02J13/00 301A
H02J13/00 301K
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003818
(22)【出願日】2022-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 圭吾
【テーマコード(参考)】
5G064
【Fターム(参考)】
5G064AA01
5G064BA02
5G064BA05
5G064BA09
5G064CB16
5G064DA02
(57)【要約】
【課題】変電所の故障発生時の対応に要する時間を短くする。
【解決手段】実施形態の故障調査システムは、変電所で故障が発生した場合に、前記変電所の保守員が収集した故障詳細情報に対する補足情報の収集を、前記保守員が所持する保守員端末に要求する要求部と、前記保守員端末から、前記補足情報を取得する取得部と、前記補足情報を、前記故障と関連付けて記憶部に記憶させる制御部と、を備える。前記要求部は、次に前記変電所で故障が発生した場合に、前記保守員端末に対して、前記記憶部に記憶された前記補足情報を含めた故障詳細情報の収集を前記保守員端末に要求する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変電所で故障が発生した場合に、前記変電所の保守員が収集した故障詳細情報に対する補足情報の収集を、前記保守員が所持する保守員端末に要求する要求部と、
前記保守員端末から、前記補足情報を取得する取得部と、
前記補足情報を、前記故障と関連付けて記憶部に記憶させる制御部と、を備え、
前記要求部は、次に前記変電所で故障が発生した場合に、前記保守員端末に対して、前記記憶部に記憶された前記補足情報を含めた故障詳細情報の収集を前記保守員端末に要求する、故障調査システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記保守員端末から取得した前記補足情報のうち、前記変電所のメーカ担当者によって有用と判定された前記補足情報だけを、前記故障と関連付けて記憶部に記憶させる、請求項1に記載の故障調査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、変電所の故障調査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、変電所で故障が発生した場合、監視制御システムが故障を検知する。これを受けて、保守員は、変電所に行き、故障内容の調査と復旧作業を行う。保守員は、調査の結果、復旧が困難と判断した場合は、メーカ担当者(カスタマーセンタ員、営業員、技術員等)に対して、故障詳細情報を提供し、復旧手順を問い合わせる。
【0003】
この問い合わせに応じて、メーカ技術員(例えば設計部門や品質保証部門の技術員)は、故障詳細情報に基づいて故障の解析を行う。そして、故障詳細情報が解析に不十分である場合、メーカ技術員は、保守員に補足情報の収集を依頼する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-116291号公報
【特許文献2】特開2019-28836号公報
【特許文献3】特開2010-259175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、故障が夜間や休日に発生した場合は、上述のような復旧手順の問い合わせにすぐには対応できないことがある。その場合、保守員は、独断で故障内容の確認と仮処置をして、故障詳細情報をメーカ担当者にメール等で提供し、一旦、変電所を離れる。
【0006】
後日、メーカ技術員は、提供された故障詳細情報をもとに解析を行い、必要な情報が不足していると判断した場合は、補足情報の収集を保守員に依頼する。この依頼に応じて、保守員は、再度、変電所に行って補足情報を収集する。このように、従来技術では、変電所の故障発生時に、保守員の作業時間や故障の解析と復旧にかかる時間が長くなってしまうことがあり、改善の余地がある。
【0007】
そこで、本実施形態は、上記事情に鑑みてなされたものであって、変電所の故障発生時の対応に要する時間を短くすることができる故障調査システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の故障調査システムは、変電所で故障が発生した場合に、前記変電所の保守員が収集した故障詳細情報に対する補足情報の収集を、前記保守員が所持する保守員端末に要求する要求部と、前記保守員端末から、前記補足情報を取得する取得部と、前記補足情報を、前記故障と関連付けて記憶部に記憶させる制御部と、を備える。前記要求部は、次に前記変電所で故障が発生した場合に、前記保守員端末に対して、前記記憶部に記憶された前記補足情報を含めた故障詳細情報の収集を前記保守員端末に要求する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態のシステムの全体構成図である。
図2図2は、実施形態の画面例である。
図3図3は、実施形態のシステムによる第1の処理シーケンス図である。
図4図4は、実施形態のシステムによる第2の処理シーケンス図である。
図5図5は、実施形態のシステムによる第3の処理シーケンス図である。
図6図6は、実施形態のシステムによる第4の処理シーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面を用いて、本発明の故障調査システムを含むシステムの実施形態について説明する。まず、実施形態で使用する用語について定義する。
【0011】
基本情報とは、変電所所有者名、変電所名、故障発生日時、故障発生経緯を含む情報である。
故障情報とは、故障表示内容、遠制表示内容を含む情報である。
故障詳細情報とは、故障調査システムが要求する故障の詳細な情報(故障箇所の写真など)である。
補足情報とは、故障情報、故障詳細情報だけでは故障の解析ができない場合に追加で要求される故障の情報である。
【0012】
図1は、実施形態のシステムSの全体構成図である。システムSは、変電所1と、故障調査システム2と、メーカ3と、を備える。
【0013】
変電所1は、監視制御システム11を備える。監視制御システム11は、変電所1が安全な電力の供給をできるように、開閉機器、変圧器、整流器、避雷器等の各種電気機器に関して、監視、制御、保護、計測等を行うシステム(例えばコンピュータシステム)である。監視制御システム11は、変電所1内に配置される。また、変電所1の遠方には、遠方制御指令室(不図示)が配置される。
【0014】
保守員Aは、変電所1で故障を復旧する人員であり、保守員端末12を所持する。保守員端末12は、例えば、タブレット端末やPC(Personal Computer)であり、有線または無線によって、故障調査システム2と通信可能に接続される。保守員Aは、変電所1に行った際、監視制御システム11の情報を目視で確認して、必要に応じて保守員端末12を操作して情報入力等を行う。
【0015】
メーカ3には、メーカ担当者Bが配置される。メーカ担当者Bは、例えば、カスタマーセンタ員、営業員、技術員(例えば設計部門や品質保証部門の技術員)等であり、メーカ端末31を所持する。メーカ端末31は、例えば、タブレット端末やPCであり、有線または無線によって、故障調査システム2と通信可能に接続される。
【0016】
故障調査システム2は、コンピュータシステムであって、処理部21と、記憶部22と、入力部23と、出力部24と、通信部25と、を備える。
【0017】
記憶部22は、各種情報を記憶する。記憶部22は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等を含む記憶装置である。記憶部22は、処理部21が実行するプログラムや各種データを記憶する。
【0018】
入力部23は、ユーザが情報を入力する手段であり、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等である。
【0019】
出力部24は、情報を出力する手段であり、例えば、表示装置や音声発生装置である。
【0020】
通信部25は、保守員端末12やメーカ端末31などの外部装置と通信するための通信インタフェースである。
【0021】
処理部21は、各種情報処理を行う。処理部21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含むプロセッサ等の演算処理装置である。処理部21は、記憶部22に格納されたプログラムを読み込むことによって、機能部として、取得部211と、要求部212と、制御部213と、を実現する。なお、各機能部の一部または全部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)を含む回路等のハードウエアによって実現されてもよい。
【0022】
取得部211は、保守員端末12やメーカ端末31から各種情報を取得する。取得部211は、例えば、保守員端末12から、基本情報、故障情報、故障詳細情報、補足情報等を取得する。また、取得部211は、メーカ端末31から、故障に関する解析結果や、補足情報の有用性の確認結果等を取得する。
【0023】
要求部212は、変電所1で故障が発生した場合に、保守員端末12に、故障詳細情報や補足情報の収集、送信を要求する。
【0024】
制御部213は、各種制御を実行する。制御部213は、例えば、過去に起きた故障の情報を記憶部22に蓄積したり、記憶部22において故障の情報の検索を行ったりする。また、制御部213は、補足情報を、故障と関連付けて記憶部22に記憶させる。その場合、例えば、制御部213は、保守員端末12から取得した補足情報のうち、メーカ担当者Bによって有用と判定された補足情報だけを、故障と関連付けて記憶部22に記憶させる。
【0025】
また、制御部213は、入力された内容をメールにまとめて送信する機能を有する。
【0026】
図2は、実施形態の画面例である。この画面は、メーカ端末31に表示される。画面の領域R1には、基本情報が表示される。領域R2には、故障情報が表示される。領域R3には、故障詳細情報が表示される。領域R4には、補足情報が表示される。メーカ担当者Bは、この領域R4において、補足情報ごとに、要か不要かを選択できる。メーカ端末31は、この選択情報を故障調査システム2に送信する。
【0027】
図3は、実施形態のシステムSによる第1の処理シーケンス図である。以下、変電所1において深夜に異常(故障)が発生した場合を例にとって説明する。図3は、異常発生からメーカ端末31に故障の情報が送られるまでの情報の流れを表している。
【0028】
まず、保守員Aは、例えば、遠方制御指令室(不図示)の監視員から連絡を受けて、異常(例えば伝送異常)が発生した変電所1に行く。そして、保守員Aは、変電所1において監視盤の故障表示や現場の状況から故障情報(例えばPLC(Programmable Logic Controller)とデジタルリレー間の伝送異常)を把握する。
【0029】
そして、保守員Aによる操作によって、ステップS11において、保守員端末12は、変電所の基本情報(例えば変電所名や異常発生日時など)と故障情報を故障調査システム2に送信する。
【0030】
次に、ステップS12において、故障調査システム2の制御部213は、記憶部22に蓄積されている記録データを参照し、今回と同様の故障情報がないか検索する。
【0031】
次に、ステップS13において、故障調査システム2の要求部212は、検索結果に基づいて、対応する故障詳細情報(例えばPLCの伝送基板の写真とデジタルリレー基板の写真)を保守員端末12に要求する。
【0032】
次に、保守員Aは、変電所1において、要求された故障詳細情報を収集する。そして、保守員Aによる操作によって、ステップS14において、保守員端末12は、故障詳細情報を故障調査システム2に送信する。
【0033】
次に、ステップS15において、故障調査システム2の制御部213は、変電所1における今回の故障に関する基本情報、故障情報、故障詳細情報をまとめたメールをメーカ端末31に送信する。
【0034】
図4は、実施形態のシステムSによる第2の処理シーケンス図である。この図4は、図3のステップS15の後から、メーカ担当者Bによる故障の解析結果が保守員端末12に送信されるまでの情報の流れを表している。
【0035】
図3のステップS15の後、メーカ担当者Bは、メーカ端末31で受信したメールから、変電所1における今回の故障に関する基本情報、故障情報、故障詳細情報を確認し、故障の解析を行う。
【0036】
そして、メーカ担当者Bによる操作によって、ステップS21において、メーカ端末31は、故障調査システム2に、解析に必要な補足情報(例えばスイッチングハブの写真とデジタルリレー画面の写真)を要求する。
【0037】
次に、ステップS22において、故障調査システム2の制御部213は、要求された補足情報をメールで保守員端末12に送信する。
【0038】
次に、保守員Aは、保守員端末12で受信したメールを見て、要求された補足情報を確認し、変電所1においてその補足情報を収集する。
【0039】
そして、保守員Aによる操作によって、ステップS23において、保守員端末12は、収集した補足情報を故障調査システム2に送信する。
【0040】
次に、ステップS24において、故障調査システム2の制御部213は、受信した補足情報をメールでメーカ端末31に送信する。
【0041】
次に、メーカ担当者Bは、メーカ端末31で受信した補足情報を確認し、その補足情報をもとに故障を解析し、復旧方法を決定する。次に、メーカ担当者Bによる操作によって、ステップS25において、メーカ端末31は、解析結果を故障調査システム2に送信する。
【0042】
次に、ステップS26において、故障調査システム2の制御部213は、解析結果を保守員端末12にメールで送信する。
【0043】
図5は、実施形態のシステムSによる第3の処理シーケンス図である。この図5は、図4のステップS26の後、保守員Aが故障を復旧し、故障調査システム2で補足情報を蓄積するまでの情報の流れを表している。
【0044】
図4のステップS26の後、保守員Aは、保守員端末12で受信した解析結果を確認し、その解析結果をもとに復旧作業を行う。次に、保守員Aによる操作によって、ステップS31において、保守員端末12は、故障調査システム2に復旧報告を送信する。
【0045】
次に、ステップS32において、故障調査システム2の制御部213は、メーカ端末31に、補足情報の有用性の確認を要求する。
【0046】
次に、メーカ担当者Bの操作によって(図2)、ステップS33において、メーカ端末31は、確認結果を故障調査システム2に送信する。例えば、補足情報のうち解析に有用だった情報(例えばスイッチングハブの写真)を故障調査システム2に報告する。
【0047】
次に、ステップS34において、故障調査システム2の制御部213は、有用性のある補足情報(例えばスイッチングハブの写真)を故障情報(例えばPLCとデジタルリレー間の伝送異常)と関連付けて記憶部22に記憶させる。
【0048】
次に、図5の処理の後に、変電所1(他の変電所でも可)で同様の故障が起きた場合について説明する。異常発生からメーカ端末31に故障の情報を送るまでの情報の流れは、図3と同様である。ただし、図3のステップS12でデータ参照時に補足情報(例えばスイッチングハブの写真)を確認し、ステップS13で故障調査システム2から保守員端末12に故障詳細情報を要求する際に、故障詳細情報にその補足情報も含める。したがって、図4のステップS21~S24の処理を省略できる。
【0049】
図6は、実施形態のシステムSによる第4の処理シーケンス図である。図6は、メーカ担当者Bが補足情報を含めた故障詳細情報を入手してから故障が復旧するまでの情報の流れを表している。
【0050】
メーカ担当者Bは、図3のステップS15で保守員端末12で受信したメールから基本情報、故障情報、故障詳細情報(補足情報を含む。)を確認し、それらの情報をもとに故障を解析し、復旧方法を決定する。
【0051】
次に、メーカ担当者Bによる操作によって、ステップS41において、メーカ端末31は、解析結果を故障調査システム2に送信する。
【0052】
次に、ステップS42において、故障調査システム2の制御部213は、解析結果を保守員端末12にメールで送信する。
【0053】
次に、保守員Aは、保守員端末12で受信した解析結果を確認し、その解析結果をもとに復旧作業を行う。次に、保守員Aによる操作によって、ステップS43において、保守員端末12は、故障調査システム2に復旧報告を送信する。
【0054】
このように、本実施形態の故障調査システム2によれば、変電所1で故障が発生した場合に収集した補足情報を蓄積し、次に変電所1で故障が発生した場合に最初からその補足情報を含めた故障詳細情報の収集を保守員端末12に要求することで、変電所1の故障発生時の対応に要する時間を短くすることができる。つまり、保守員Aの作業時間や故障の解析と復旧にかかる時間を短縮できる。
【0055】
また、収集した補足情報のうち、メーカ担当者Bによって有用と判定された補足情報だけを蓄積することで、保守員Aが行う作業の効率化を図ることができる。
【0056】
なお、本実施形態の故障調査システム2で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disc)-ROM(Read Only Memory)、フレキシブルディスク(FD)、CD-R(Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータ装置で読み取り可能な記録媒体に記録して提供することができる。また、当該プログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するようにしてもよい。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0058】
例えば、補足情報の有用性の判断を、メーカ担当者Bの代わりにAI(Artificial Intelligence)が行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1…変電所、2…故障調査システム、3…メーカ、11…監視制御システム、12…保守員端末、21…処理部、22…記憶部、23…入力部、24…出力部、25…通信部、31…メーカ端末、211…取得部、212…要求部、213…制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6