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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023010301
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/18 20060101AFI20230113BHJP
【FI】
A61L2/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021114346
(22)【出願日】2021-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】000106106
【氏名又は名称】サラヤ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】新谷 尚生
(72)【発明者】
【氏名】深澤 恒正
(72)【発明者】
【氏名】服部 豊
(72)【発明者】
【氏名】平井 光太
(72)【発明者】
【氏名】村田 智明
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA29
4C058BB07
4C058DD01
4C058DD03
4C058DD13
4C058DD14
4C058JJ06
(57)【要約】
【課題】
店舗デザインを棄損することなく、その存在を目立たせることができる液体吐出装置を提供する。
【解決手段】
液体吐出装置10は、液体が吐出される空間16を形成するハウジング11と、空間に液体を吐出する液体吐出部26と、空間を照明する照明手段24、29と、照明手段の発光を周期的に変化させる第1のモードと、照明手段の発光を一定に維持する第2のモードと、空間の近くに接近した人を検知する第1のセンサ30を備えており、第1のセンサの出力に応じて照明手段を第1のモードと第2のモードとの間で切り換える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が吐出される空間を形成するハウジングと、
前記空間に液体を吐出する液体吐出部と、
前記空間の近くに配置された照明手段と、
前記照明手段の発光を周期的に又は非周期的に変化させる第1のモードと、
前記照明手段の発光を前記第1のモードと異なる状態に設定する第2のモードと、
前記空間の近くに接近した人を検知する第1のセンサを備えており、
前記第1のセンサの出力に応じて前記照明手段を前記第1のモードと前記第2のモードとの間で切り換えることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記空間に差し込まれた手指を検知する第2のセンサと、
人の手指が前記空間に差し込まれたことを前記第2のセンサが検知すると、前記空間に差し込まれた手指に前記液体吐出部から液体を吐出する第3のモードを有する請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記ハウジングはタワー型の外観を有し、
前記空間は前記ハウジングの前面から後方に向かって窪んだ陥凹部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記第1のモードは、
前記照明手段の発光量が次第に大きくなる第1の状態と、
前記第1の状態の後に前記照明手段の発光量が次第に小さくなる第2の状態を含む請求項1~3のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記第1のモードは、
前記第2の状態の後に前記照明手段の発光を停止する第3の状態を含む請求項4に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記空間は前方に開口されており、
前記第1のセンサは前記空間に前記前方から接近する人を検知することを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記空間は前方と左右側方に開口されており、
前記第1のセンサは前記空間に前記前方及び前記左右側方から接近する人を検知することを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記ハウジングは、
前記空間を挟んで上下方向に対向する天井部と床部と、
前記空間の後方に位置し、前記天井部と前記床部を連結する後部壁とを有することを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記照明手段は前記天井部に配置されており、
前記照明手段は、前記床部の床面に照明スポットを形成する第1の光源を有することを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項10】
前記照明手段は、少なくとも前記空間の前方に向けて光を発する第2の光源を有することを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項11】
前記第2の光源は、前記床面に向かって前記天井部から前記空間内に突出していることを特徴とする請求項10に記載の液体吐出装置。
【請求項12】
前記第2の光源は、前記第1の光源の周りに環状に配置されていることを特徴とする請求項10又は11に記載の液体吐出装置。
【請求項13】
前記床面は前方から後方に向かって上り勾配の傾斜面であることを特徴とする請求項9~12のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項14】
前記床面は該床面を上下に貫通する複数の開口を備えた開口板で構成されており、
前記開口板の下には前記開口を通過した液体を受ける容器が配置されていることを特徴とする請求項9~13のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項15】
前記液体吐出部から吐出される液体が薬剤であることを特徴とする請求項1~14のいずれかに記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体(例えば、薬剤)を吐出する液体吐出装置に関する。特に、本発明は、感染症を防止する消毒液を用いて手指消毒するための薬液吐出器として使用できる液体吐出装置である。
【背景技術】
【0002】
感染症を防止するために有効な手段の一つとして手指消毒がある。そのため、近年、建物や店舗等の出入口には、手指消毒用の液体吐出装置が配置されている。しかし、現在使用されている液体吐出装置は、例えば特許文献1に示されているように、消毒液を収容したボトルにノズルを取り付けただけの簡素なものが多く、意匠的に見栄えの良いものとは言い難い。
【0003】
そのため、サービスを提供する商業施設、特に高価な商品やサービスを扱う店舗にあっては、上述のようにボトルがむき出しの液体吐出装置は、店舗独自のデザインにマッチせず、高級感を棄損するものでしかない。一方で、液体吐出装置の外観を店舗デザインに合わせて設計すると、液体吐出装置が店舗デザインの中に埋没してその存在が目立たないことになる。しかし、液体吐出装置の存在を際立たせようとすれば、店舗デザインに棄損しかねない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-28613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、上述の相反する課題を解消し、店舗デザインを棄損することなく、その存在を目立たせることができる設計の液体吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る液体吐出装置の実施形態は、
液体が吐出される空間を形成するハウジングと、
前記空間に液体を吐出する液体吐出部と、
前記空間の近くに配置された照明手段と、
前記照明手段の発光を周期的に又は非周期的に変化させる第1のモードと、
前記照明手段の発光を前記第1のモードと異なる状態に設定する第2のモードと、
前記空間の近くに接近した人を検知する第1のセンサを備えており、
前記第1のセンサの出力に応じて前記照明手段を前記第1のモードと前記第2のモードとの間で切り換えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
このような構成を備えた実施形態の液体吐出装置によれば、発光量が周期的に又は非周期的に変化する第1のモードの明かりによってユーザが液体吐出装置に一次誘導され、さらに第1のモードと異なる発光状態の第2のモードの明かりによってユーザは薬液吐出空間に二次誘導される。また、周期的に変化する明かりにより、液体吐出装置はその存在感を失うことなく、置かれた環境のデザインに溶け込むため、例えば高級感のある店舗デザインを毀損することがない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る液体吐出装置の斜視図。
図2】液体吐出装置の上部を正面から見た正面図。
図3】液体吐出装置の上部を斜め下方から見た斜視図。
図4】液体吐出装置の天井部の内部構造を示す断面図。
図5】液体吐出装置の薬液吐出空間の下に位置する部材の分解斜視図。
図6】液体吐出装置から正面の扉を外した状態を示す斜視図。
図7】液体吐出装置に内蔵された各種装置の回路ブロック図。
図8】液体吐出装置で実行される運転ON/OFF処理の流れ図。
図9】液体吐出装置で実行される通常運転処理を示す流れ図。
図10】液体吐出装置で実行される液切れ予告/表示処理を示す流れ図。
図11】液体吐出装置で実行される液切れ処理を示す流れ図。
図12】液体吐出装置で実行されるリセット処理を示す流れ図。
図13】照明用ライトに供給される電流の変化を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付図面を参照して本発明に係る液体吐出装置の実施形態を説明する。
【0010】
[A.構成]
まず液体吐出装置の構成を説明する。
【0011】
[ハウジング]
図1は液体吐出装置10の外観を示す。図示するように、液体吐出装置10は、その外観を構成するハウジング11を有する。実施形態において、ハウジング11は、前面12,後面13及び左右側面14を有する四角柱型のタワー型ハウジングである。
【0012】
ハウジング11の上部には、前面12から後面13に向かって(矢印x方向の反対方向)窪んだ陥凹部15が形成されている。実施形態において、陥凹部15は左右側面14を貫通している。したがって、ハウジング11の上部はこれを側方(例えば、矢印y方向)から見たとき略コ字形に表れる。
【0013】
後に説明するように、陥凹部15は、手指消毒するために人がその手を差し込むための空間、またそこに差し込まれた手に薬液を吐出又は噴霧するための空間として機能する。したがって、以下、陥凹部15を「薬液吐出空間」という。
【0014】
図1~3に示すように、薬液吐出空間15は、天井部16、床部18及び後壁19の3要素によって形成されており、前方(矢印x方向)、左右側方(矢印y方向とその反対方向)に開口している。
【0015】
[天井部]
薬液吐出空間15の天井部16は、水平方向に延在する下部天井面21を有する。図2,3に示すように、天井面21の中央には、下方に向かって薬液吐出空間15に突出する突出部22が形成されている。実施形態において、突出部22は逆円錐台形状を有する。
【0016】
図4に示すように、突出部22の略中央部又は中央部から多少後方に移動した位置には、突出部22の下面から上方に向かって窪み23が形成されている。実施形態において、窪み23は円錐台形状又は非対称な円錐台形状を有する。
【0017】
窪み23の中央付近には照明手段である光源(第1の光源)24が配置されている。実施形態において、光源24は、指向性の高いLEDが使用されており、図1に示すように又後述するように、光源24から放射状に出射された光が傾斜した床面に照明スポット25を形成し、該照明スポット25が遠くからも目視で確認できるように設計されている。したがって、実施形態において、光源24はスポットライトとして機能する。以下、光源24を「スポットライト」という。
【0018】
再び図3,4を参照すると、突出部22にはまた、窪み23の前方に、薬液吐出ノズル26が配置されている。実施形態において、薬液吐出ノズル26は、該薬液吐出ノズル26から吐出される薬液が、スポットライト24から出射される光の経路上に拡散されるように方向付けされている。
【0019】
窪み23と薬液吐出ノズル26を囲み、突出部22の外周側面を構成する部分は、透明又は半透明の逆円錐台形状のカバー27で覆われており、カバー27の下部内側に環状空間28が形成されている。環状空間28には照明手段が配置されている。実施形態において、この照明手段は、周方向に一定の間隔をあけて複数の発光源(例えば、LED)を配置した帯状の光源(第2の光源)29で構成されている。したがって、光源29から出射された光は、環状空間28を介してカバー27の下部環状部27aから周囲に発散し、スポットライト24と共に薬液吐出空間15の存在を周囲に知らせる。以下、光源29を「環状ライト」という。なお、図示する実施形態では、下部環状部27aの全体から均一な明かりが出射するように、発光源はその発光部を径方向内側に向けて配置する一方、発光源の発光部から出射された光を該発光源の内側部材に反射させてから径方向外側に出射する、いわゆる間接照明を採用している。
【0020】
天井面21であって突出部22の前方に位置する箇所には、液体吐出装置10に接近した人を検知する人感センサ(第1のセンサ)30が配置されている。実施形態において、人感センサ30には、例えば、周囲と温度差のある人(物)が動く際におこる赤外線の変化量を検出するセンサが使用されている。図4に示すように、人感センサ30は前方に感度を有するように、斜め前方下方に向けられている。したがって、液体吐出装置10の前方及び斜め(左右)前方から液体吐出装置10に接近する人に反応してその出力を変化させる。
【0021】
天井面21であって突出部22の後方に位置する箇所には、薬液吐出空間15に差し込まれた手指を検知する手指検出センサ(第2のセンサ)31が配置されている。実施形態において、手指検出センサ31には、例えば、周囲と温度差のある人(物)が動く際におこる赤外線の変化量を検出する赤外線センサが使用されている。図4に示すように、手指検出センサ31は、薬液吐出ノズル26から吐出される薬液の吐出領域に感度を有するように、斜め前方下方に向けられている。したがって、手指検出センサ31は、薬液吐出空間15に差し込まれた手指に反応してその出力を変化させる。
【0022】
図示する実施形態では、突出部22の後方に位置する天井面部分21aを、例えば下部環状部27aの上端付近まで下げて、その下げた天井面部分21aに手指検出センサ31を設けている。これにより、手指検出センサ31の検知領域が突出部22に重なる(被る)ことがなく、薬液吐出空間15に差し込まれた手指を確実にかつ素早く検出できる。
【0023】
[床部]
再び図1,2を参照すると、薬液吐出空間15の床部18は床面32を有する。実施形態において、床面32を構成する床板33には、上面と下面を貫通する多数の開口が形成された開口板が使用されている。開口板には、例えば、適当な間隔をあけて多数の穴をあけた多孔板、格子状に穴をあけた格子板、または細長い開口を規則的に配置したルーバ板などが使用される。
【0024】
床面32は、前面12との境界にある前端から後方に向かって上り勾配に傾斜している。床面32の傾斜角は、約10度~約45度、好ましくは15度~40度、さらに好ましくは20度~30度である。したがって、上述したように、スポットライト24から出射された光が床面32にあたって形成される照明スポット25(図1参照)は、遠く前方に位置する人からも目視され、薬液吐出空間15の存在が認識される。
【0025】
実施形態では、床板33、特に床面32は、暗色系の色(例えば、黒)が付されている。これにより、傾斜した床面32に当たった照明スポット25は、遠くからでもはっきりと認識できる。
【0026】
図5に示すように、床板33は取り外し可能である。取り外しを容易にするために床板30には適当な箇所に人の指が入る程度の大きさの開口33a又は孔を形成することが好ましい。また、薬液吐出空間15の後壁19に隣接する床板後縁には、後壁19に沿って上方に向かって延在する立ち上がり壁部分を形成し、薬液吐出ノズル26から吐出された薬液が確実に床板33に受けられるようにすることが好ましい。この場合、立ち上がり壁部分を収容するくぼみ又は段差を後壁19に形成し、立ち上がり壁部分と後壁19との間に段差が生じないようにすることが好ましい。
【0027】
床板33の下にはトレイ34が配置されておりこのトレイ34に容器35が着脱可能に載置されるようになっている。容器35には、これをトレイ34から持ち上げるためのつまみ36が形成されている。したがって、薬液吐出ノズル26から吐出されて床板33に落下した薬液は、床板33の開口を通り、その下の容器35に受けられる。容器35に受けられた薬液は、床板33を取り外した後、つまみ36を掴んで容器35をトレイ34から取り上げて廃棄される。
【0028】
[ハウジング下部]
図1、6に示すように、薬液吐出空間15の下に位置する下部ハウジング部分の前面を構成する前壁部分(扉)40は、着脱可能又は開放可能に構成されている。図6に示すように、前壁部分40の内側空間は、薬液ボトル収容部41として利用されている。実施形態において、薬液ボトル収容部41は、上段収容部42と下段収容部43の2つに分かれており、上段収容部42と下段収容部43にそれぞれ薬液ボトル44,45が収容可能である。
【0029】
上段収容部42の薬液ボトル44は薬液を供給するサービスボトルで、下段収容部43の薬液ボトル45は予備ボトルである。したがって、上段収容部42に収容されている薬液ボトル44は、薬液吐出ポンプ46(図7参照)を有する薬液供給チューブ47(図4参照)を介して薬液吐出ノズル26に接続されており、薬液吐出ポンプ46の駆動に基づいて、薬液ボトル44から供給チューブ47を介して供給される薬液が薬液吐出ノズル26から吐出されるように構成されている。
【0030】
[液切れ検出]
上段収容部42に設置された薬液ボトル44の液切れを検出する液切れ検出部48が設けられる。また、液切れを表示するために、ハウジング11の前面上部には液切れ表示ランプ50が設けられている。
【0031】
液切れを検出する方法及び手段は種々考えられる。例えば、上段収容部42に収容されている薬液ボトル44の重量を検出することによって、または、薬液ボトル44と薬液吐出ノズル26を接続する薬液供給チューブ47の中の薬液又は空気の存在を確認することによって、さらに薬液吐出ポンプ46を駆動するモータの駆動時間又は回転数をカウントすることによって、薬液が無くなったことを直接的又は間接的に確認できる。
【0032】
実施形態では、上段収容部42の床面にボトルの重量を検出する重量検出器が配置されており、該重量検出器からの出力に基づいて液切れを判断している。以下、重量検出器に組み込まれたセンサを「液切れ検出センサ」49(図7参照)という。実施形態では、薬液吐出ポンプ46を駆動するモータの駆動時間又は回転数をカウントすることによって、薬液ボトル44から供給された薬液の量(すなわち、消費量又は残量)を検出している。
【0033】
[操作部]
実施形態において、薬液ボトル収容部41には操作部51が配置されている。図7に示すように、実施形態において、操作部51には、運転スイッチ52,リセットスイッチ53及びボトル交換スイッチ54と、これらのスイッチの操作状態を表示する運転ランプ55,リセットランプ56及びボトル交換ランプ57が配置されている。
【0034】
[制御回路]
図7は、上述した電気機器(センサ、スイッチ、ライト、ランプ等)を含む電気回路100を示す。図示するように、電気回路100は、制御基板101を有する。制御基板101には、マイクロプロセッサ102と、該マイクロプロセッサ102と通信可能に接続された複数の制御回路、例えば人感センサ制御回路103、スポットライト制御回路104,環状ライト制御回路105,液切れ表示ランプ制御回路106、液切れ検出センサ制御回路107,ポンプ駆動制御回路108及び手指センサ制御回路109が配置されている。人感センサ制御回路103、スポットライト制御回路104,環状ライト制御回路105,液切れ表示ランプ制御回路106、液切れ検出センサ制御回路107,ポンプ駆動制御回路108及び手指センサ制御回路109はそれぞれ、人感センサ30,スポットライト24,環状ライト29,液切れ表示ランプ50,液切れ検出センサ49,薬液吐出ポンプ46及び手指検出センサ31に接続されている。
【0035】
マイクロプロセッサ102はさらに、運転スイッチ52,リセットスイッチ53,ボトル交換スイッチ54,運転ランプ55,リセットランプ56及びボトル交換ランプ57と接続されている。
【0036】
制御基板101にはさらに記憶部(記憶回路)110,演算部(演算回路)111及び電源回路112が配置されている。電源回路112は、ACアダプタ113を介して商用電源(図示せず)に接続される。図示しないが、電源回路112は、マイクロプロセッサ102と各種回路103~112と電気的に接続されており、これらマイクロプロセッサ102と各種回路103~112等に必要な電力が供給されるように構成されている。
【0037】
[B.動作]
以上の構成を有する液体吐出装置10の動作を説明する。
【0038】
[運転のON/OFF処理(1000)]
図8を参照すると、運転をオン、オフするON/OFF制御1000では、ACアダプタ113が商用電源に接続される(1001)と、電源回路112からマイクロプロセッサ102及び各種回路103~112に電力が供給される。これにより、電源が遮断されたときのデータが記憶部110からマイクロプロセッサ102に読み出される。必要であれば、読み込まれたデータは必要な回路に供給される。この状態で、ハウジング11の前壁部分(扉)40をあけて操作部51の運転スイッチ52がオンされると、液体吐出装置10は動作可能な状態になり、運転ランプ55が点灯し、後に説明する手指消毒等の処理が行われる。その後、運転スイッチ52がオフされると、運転ランプ55が消灯し、液体吐出装置10は休止状態になる。
【0039】
[通常運転処理(2000)]
図9を参照すると、運転スイッチ52がオンされたときの通常運転制御2000では、例えば、液体吐出装置10の周囲(特に、人感センサ30の検知範囲)に人がいない状態では、スポットライト24と環状ライト29が点滅(間欠点灯)し、周期的に点灯と消灯を繰り返す(2001)。例えば、マイクロプロセッサ102からの指示に基づいて、スポットライト制御回路104と環状ライト制御回路105がそれぞれスポットライト24と環状ライト29に供給する電流を、例えば図13に示すように、1秒かけて0ミリアンペアからIrefまで徐々に上昇し、次に1秒かけてIrefから0ミリアンペアまで徐々に低下し、最後に2秒間は0ミリアンペアに維持する動作を繰り返す。
【0040】
これにより、スポットライト24と環状ライト29から出射する光は、ゆっくりと明るくなる状態(第1の状態)とゆっくりと暗くなる状態(第2の状態)を、消灯状態(第3の状態)を挟んで繰り返す。そのため、単に光が点滅して明るい状態と暗い状態を瞬間的に切り換える照明と違って、実施形態の液体吐出装置10は、温かく柔らかな雰囲気を周囲に醸し出す(以下、実施形態の照明を「揺らぎ照明」という。)。特に、高級感が求められる環境(例えば、ホテルのロビーや高級ブティック)にあっては、実施形態の揺らぎ照明は、店舗デザインを毀損することがなく、またそのような店舗デザインと相まって、顧客に高級なイメージを与えることができる。
【0041】
一方、店舗デザインに溶け込んだ揺らぎ照明は、決して存在感を失うことがなく、遠くからでもユーザ(顧客)に視覚的インパクトを与え、液体吐出装置10に向けてユーザを誘導する。したがって、第1の状態から第2の状態、さらに第3の状態に変化する揺らぎ照明は、ユーザを液体吐出装置10に向けて誘導する誘導モード(「一次誘導モード」又は「第1のモード」という。)として機能する。
【0042】
また、スポットライト24から出射される光は、図1に示すように、薬液吐出空間15の傾斜した暗色の床面32に照明スポット25を形成する。したがって、ユーザは、遠くからでも、薬液吐出空間15の存在をはっきりと認識できる。
【0043】
さらに、床面32は傾斜していることにより、ユーザは薬液吐出空間に例えばコップ等の容器を誤って置くことがない。したがって、液体吐出装置は、ウォータサーバと誤って使用されることがない。
【0044】
続いて、ユーザが液体吐出装置10に接近して人感センサ30の検出範囲に進入すると(2002)、人感センサ30は周囲の温度変化からユーザの存在を検知する(2003)。
【0045】
人感センサ30の検知信号は人感センサ制御回路103を介してマイクロプロセッサ102に送信される。これにより、マイクロプロセッサ102は、スポットライト24と環状ライト29を共に点灯(常時点灯)する(2004)。これにより、ユーザは照明の変化によって薬液が吐出される環境にあることを認識し、薬液吐出空間15のスポットライト24の下に手指を差し込む(2005)。したがって、スポットライト24と環状ライト29の点灯は、ユーザが手指を薬液吐出空間15に差し込む行為を誘導する誘導モード(「二次誘導モード」又は「第2のモード」という。)として機能する。
【0046】
薬液吐出空間15に手指が差し込まれると、手指検出センサ31は周囲の温度変化から手指の存在を検知する(2006)。
【0047】
手指検出センサ31の検知信号は手指センサ制御回路109を介してマイクロプロセッサ102に送信される。これにより、マイクロプロセッサ102は、ポンプ駆動制御回路108を介して薬液吐出ポンプ46を所定時間駆動し、必要量の薬液を薬液吐出ノズル26から吐出し、薬液吐出空間15に吐出する(2007)(この薬液を吐出するモードを「第3のモード」という。)。
【0048】
吐出された薬液は、薬液吐出空間15に差し込まれた手指に注がれる。これにより、ユーザは、手指に注がれた薬液を手指全体に広げて、手指消毒を行う(2008)。
【0049】
手指消毒を終えたユーザが液体吐出装置10から離れたことを人感センサ30が検知すると、マイクロプロセッサ102は、人感センサ制御回路103から出力される信号の変化に基づき、スポットライト制御回路104と環状ライト制御回路105を介してスポットライト24と環状ライト29を一次誘導モードに切り替え、点灯と消灯を周期的に繰り返す(2001)。
【0050】
[液切れ予告/表示の処理(3000)]
図10を参照すると、上段収容部42に収容されている薬液ボトル44の薬液が消費されて薬液ボトル44が空になると、ユーザは、薬液が消費された薬液ボトル44に接続されている薬液供給チューブ47を切り離し、この空の薬液ボトル44を上段収容部42から取り出し、代わりに、所定量の薬液が収容された新たな薬液ボトル44を上段収容部42に配置し、新たな薬液ボトル44と薬液供給チューブ47を接続して、再び薬液が供給可能な状態に設定する(3001)。
【0051】
薬液ボトル44の交換が完了すると、ユーザはボトル交換スイッチ54をオンする。これにより、マイクロプロセッサ102は、薬液吐出ポンプ46を所定時間駆動して薬液供給チューブ47に薬液を充填して、薬液吐出ノズル26から薬液がいつでも吐出できる状態に設定する。また、マイクロプロセッサ102は、記憶部110に記憶されている、薬液の消費量を検出する積算カウンタのカウント値をクリアする(すなわち、ゼロにリセットする)(3002)。
【0052】
その後、マイクロプロセッサ102は、薬液が吐出される度に積算カウンタのカウント値を更新(カウントアップ)し(3003)、サービス中の薬液ボトル44の薬液消費量又は薬液残量を検出する(3004)。マイクロプロセッサ102はまた、液切れ検出センサ49から液切れ検出センサ制御回路107を介して出力される信号に基づいて、サービス中の薬液ボトル44がほぼ液切れの状態になったか否か判断する(3004)。
【0053】
マイクロプロセッサ102は、積算カウンタのカウント値が液切れ予告基準値以下、すなわち、薬液ボトル44の薬液残量が所定の残量基準値以上の場合(例えば、十分に薬液が残っている場合)、液切れ表示ランプ制御回路106を介して液切れ表示ランプ50を消灯する(3005)。
【0054】
一方、積算カウンタのカウント値が液切れ予告基準値を超えると、すなわち、薬液ボトル44の薬液残量が所定の残量基準値未満になると、マイクロプロセッサ102は液切れ表示ランプ50を点滅し、点灯と消灯を周期的に繰り返して、新たな薬液ボトルの交換の準備を促す。
【0055】
その後、液切れセンサ49からの出力に基づいて、薬液ボトル44の薬液が殆ど無い状態になったことが検出されると、マイクロプロセッサ102は液切れ表示ランプ50を点灯(常時点灯)に切り換える(3007)。
【0056】
その後、空の薬液ボトル44が取り除かれ、所定量の薬液を収容した新たな薬液ボトル44に交換されて(3001)、ボトル交換スイッチ54が押されると、再び符号3002~3004の処理が繰り返される。
【0057】
[液切れ処理(4000)]
図11を参照すると、液切れ予告/表示3000で説明したように、サービス中の薬液ボトル44の薬液がすべて又はほぼすべて消費されると、液切れ表示ランプ50が点灯(常時点灯)される(4001)。その後、ユーザが薬液ボトルを交換し(4002)、ボトル交換スイッチ54をオンする(4003)。マイクロプロセッサ102は、ボトル交換スイッチ54のオン信号に基づいて、ボトル交換ランプ57をオン(点灯)し、ポンプ駆動回路108を介して薬液吐出ポンプ46を所定時間駆動して薬液ボトル44から薬液を吸い上げて薬液供給チューブ47に充填する。その後、マイクロプロセッサ102は、積算カウンタのカウント値をクリアし(ゼロに設定し)(4004)、液切れ表示ランプ50とボトル交換ランプ57を消灯する(4005)。これにより、液体吐出装置10は、再び薬液を吐出可能な状態になる。
【0058】
[リセット処理(5000)]
操作部51のリセットスイッチ56は、例えば、通常運転中、何等かの原因によって薬液供給チューブ47に空気が溜まる等のトラブルによって薬液が吐出できなくなった場合、その状況を解消するために押されるスイッチである。したがって、図12に示すように、マイクロスイッチ102がリセットスイッチ56がオンされたことを検知すると、マイクロプロセッサ102はリセットランプ56を点滅し(点灯と消灯を繰り返し)、ポンプ駆動制御回路108を介して薬液吐出ポンプ46を駆動する(5002)。薬液吐出ポンプ46の駆動は、タイマによって管理してもよいし、薬液供給チューブ47又は薬液吐出ノズル47に設けたセンサによって空気が検出しなくなったタイミングで停止してもよい。また、マイクロプロセッサ102は、薬液ポンプ46の駆動時間に応じて、積算カウンタのカウント値を更新する。
【0059】
[他の実施形態]
上述した実施形態の液体吐出装置10は種々改変可能である。
【0060】
[変形例1]
例えば、スポットライト24と環状ライト29の点灯、消灯は、ユーザの誘導が効果的に行われるように、種々変更可能である。
【0061】
例えば、上述の実施形態では、一次誘導モードでは、スポットライト24と環状ライト29の2つのライトが共にゆっくりと点滅するものとしたが、スポットライト24と環状ライト29の少なくとも一方のライトがゆっくりと点滅(間欠点灯)し、その間他方はライトは消灯又は点灯(常時点灯)してもよい。
【0062】
また、上述の実施形態では、スポットライト24と環状ライト29の点灯と消灯を同期させたが、スポットライト24の点灯時間(第1の状態と第2の状態の時間)と環状ライト29の点灯時間(第1の状態と第2の状態の時間)を完全にずらしてもよいし、それらの点灯時間が部分的にのみ重なるようにしてもよい。
【0063】
上述の実施形態では、一次誘導モードにおいて、第1の状態(ゆっくりと点灯する状態)の終了直後に第2の状態(ゆっくりと消灯する状態)を実行するものとしたが、第1の状態と第2の状態の間にランプを常時点灯する状態を加えてもよい。また、上述の実施形態では、第2の状態の終了後、一定時間ライトを消灯する第3の状態を設けたが、第3の状態は省略し、第1の状態と第2の状態を繰り返してよい。
【0064】
上述の実施形態では、一次誘導モードにおいて、第1の状態と第2の状態ではライトに供給する電流を直線的に上昇又は下降させたが、電流の上昇と下降は非直線的であってもよい。上述の実施形態では、第3の状態ではライトに供給する電流を遮断(0ミリアンペア)したが、第3の状態でも多少の電流(例えば、0.1~0.3×Iref)を供給してもよい。さらに、上述の実施形態及び上述の変形例では、ライトに供給する電流を調整することによってライトの点灯・消灯及び明るさを調整したが、ライトに供給する電圧を調整することによって点灯・消灯の切り換え及び明るさを調整してもよい。
【0065】
上述の実施形態及び上述の変形例では、照明手段として2つ光源(スポットライト24と環状ライト29)を設けたが、少なくとも一方の光源だけでもよい。また、例えば、一次誘導モードにおいて、スポットライト24と環状ライト29が第1の状態~第2の状態又は第1の状態~第3の状態を周期的に繰り返すものとしたが、第1の状態~第2の状態又は第1の状態~第3の状態を非周期的に繰り返してもよい。例えば、第1の状態、第2の状態及び第3の状態のそれぞれの持続時間をランダムに変更することによって、より揺らぎ効果を発揮するようにしてもよい。
【0066】
上述の実施液体では、第2の状態における発光量を一定に維持したが、第2の状態における発光は第1の状態の発光と違っていればよい。例えば、第2の状態でも点灯と消灯を周期的又は非周期的に繰り返し、その繰り返し周期が第1の状態と異なるように設定してもよい。
【0067】
[変形例2]
上述した液切れ検出部48は、ハウジング11の上段収容部42の床に配置された重量検出器であってもよい。この場合、重量検出器から出力される薬液ボトル44の重量信号に基づいて液切れを検知する。代わりに、液切れ検出部48は、薬液供給チューブ47の外面に配置された一対の電極間の電気抵抗(つまり、薬液が存在するときの電気抵抗と薬液が存在しないときの電気抵抗)に基づいて液切れを検出するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0068】
10:液体吐出装置
11:ハウジング
15:陥凹部(薬液吐出空間)
16:天井部
18:床部
24:光源、スポットライト(照明手段、第1の光源)
25:照明スポット
26:薬液吐出ノズル
29:光源、環状ライト(照明手段、第2の光源)
30:人感センサ(第1のセンサ)
31:手指検出センサ(第2のセンサ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13