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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103014
(43)【公開日】2023-07-26
(54)【発明の名称】モータ及び車両
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/14 20060101AFI20230719BHJP
   H02K 1/16 20060101ALI20230719BHJP
   B60K 7/00 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
H02K1/14 Z
H02K1/16 Z
B60K7/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003825
(22)【出願日】2022-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井口 卓郎
【テーマコード(参考)】
3D235
5H601
【Fターム(参考)】
3D235AA23
3D235BB18
3D235CC42
3D235FF32
3D235FF35
3D235GA01
3D235GB34
5H601AA04
5H601AA24
5H601BB20
5H601CC01
5H601CC15
5H601DD02
5H601DD10
5H601DD11
5H601EE30
5H601GA02
5H601GA38
5H601GA39
5H601GB05
5H601GB12
5H601GB33
5H601GB48
5H601GC04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】磁気特性に影響を与えることなく、重量を低減するモータを提供する。
【解決手段】モータは、上下方向に延びる中心軸の径方向外側に環状に配置されたマグネット21を有し、中心軸を中心として回転可能なロータ2と、ロータの径方向内側に、マグネットと径方向に対向して配置されるステータ3と、を有する。ステータは、環状のコアバック311、及びコアバックから径方向外側に延びる複数のティース312を有するステータコア31と、ティースに配置される巻線と、ステータコアの軸方向を覆い、ティースと巻線との間に配置される絶縁部材33と、軸方向においてステータコアと絶縁部材との間に配置される磁性体のスペーサと、を有する。スペーサは、径方向外縁部に配置された突出部341を有する。突出部は、軸方向においてステータコアから離れる方向に延び、マグネットと径方向に対向する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びる中心軸の径方向外側に環状に配置されたマグネットを有し、前記中心軸を中心として回転可能なロータと、
前記ロータの径方向内側に、前記マグネットと径方向に対向して配置されるステータと、
を有し、
前記ステータは、
前記中心軸を中心とする環状のコアバック、及び前記コアバックから径方向外側に延びて周方向に配置される複数のティースを有するステータコアと、
前記ティースに配置される巻線と、
前記ステータコアの軸方向を覆い、前記ティースと前記巻線との間に配置される絶縁部材と、
軸方向において前記ステータコアと前記絶縁部材との間に配置される磁性体のスペーサと、
を有し、
前記スペーサは、径方向外縁部に配置された突出部を有し、
前記突出部は、軸方向において前記ステータコアから離れる方向に延び、前記マグネットと径方向に対向する、
モータ。
【請求項2】
前記突出部は、前記ステータコアに対して軸方向一方側に延び、
前記突出部の先端部は、前記マグネットの軸方向一方側の端部より軸方向他方側に位置する、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記突出部は、前記ステータコアに対して軸方向一方側に延び、
前記突出部の先端部は、前記マグネットの軸方向一方側の端部と同じ位置に位置する、請求項1に記載のモータ。
【請求項4】
前記突出部の径方向外周部と、前記マグネットの径方向内周部との径方向の間隔は、軸方向において一定である、請求項1から請求項3のいずれかに記載のモータ。
【請求項5】
前記突出部の径方向外周部と、前記マグネットの径方向内周部との径方向の間隔は、前記ステータコアの径方向外周部と、前記マグネットの径方向内周部との径方向の間隔と同じである、請求項1から請求項4のいずれかに記載のモータ。
【請求項6】
前記突出部は、前記絶縁部材と径方向に対向して配置され、
前記突出部と前記絶縁部材とは、径方向において離間している、請求項1から請求項5のいずれかに記載のモータ。
【請求項7】
前記スペーサと前記ステータコアとは、単一部材により形成される、請求項1から請求項6のいずれかに記載のモータ。
【請求項8】
前記突出部は、前記ステータコアに対して軸方向の両側にそれぞれ配置される、請求項1から請求項7のいずれかに記載のモータ。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載のモータを備える、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アウターロータ型のモータでは、径方向内側に位置するステータのステータコアと、径方向外側に位置するロータのマグネットとが径方向に対向して配置される。ステータコアと、マグネットとは、軸方向において概ね同じ長さを有し、それらの軸方向の全域にわたって径方向に対向する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-233122公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、好適な磁気特性を得ようとすると、ステータコアの軸方向長さが長くなり、モータの重量が大きくなることに課題があった。
【0005】
上記の点に鑑み、本開示は、磁気特性に影響を与えることなく、モータの重量を低減することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の例示的なモータは、上下方向に延びる中心軸の径方向外側に環状に配置されたマグネットを有し、前記中心軸を中心として回転可能なロータと、前記ロータの径方向内側に、前記マグネットと径方向に対向して配置されるステータと、を有する。前記ステータは、前記中心軸を中心とする環状のコアバック、及び前記コアバックから径方向外側に延びて周方向に配置される複数のティースを有するステータコアと、前記ティースに配置される巻線と、前記ステータコアの軸方向を覆い、前記ティースと前記巻線との間に配置される絶縁部材と、軸方向において前記ステータコアと前記絶縁部材との間に配置される磁性体のスペーサと、を有する。前記スペーサは、径方向外縁部に配置された突出部を有する。前記突出部は、軸方向において前記ステータコアから離れる方向に延び、前記マグネットと径方向に対向する。
【0007】
本開示の例示的な車両は、上記構成のモータを備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、磁気特性に影響を与えることなく、モータの重量を低減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の一実施形態のモータの縦断面図である。
図2図2は、モータの部分横断面図である。
図3図3は、モータのステータコア周辺の部分縦断面図である。
図4図4は、変形例1のモータのステータコア周辺の部分縦断面図である。
図5図5は、変形例2のモータのステータコア周辺の部分縦断面図である。
図6図6は、変形例3のモータのステータコア周辺の部分縦断面図である。
図7図7は、本開示の一実施形態の車両の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本開示の例示的な一実施形態に係るモータについて説明する。なお、本開示の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0011】
本書では、モータの中心軸に平行な方向を単に「軸方向」と呼び、モータの中心軸と直交する方向を単に「径方向」と呼び、モータの中心軸を中心とする円に沿う方向を単に「周方向」と呼ぶ。また、本書では、説明の便宜上、モータの中心軸は、上下方向に延びることとする。これにより、軸方向を「上下方向」とし、図1における上下方向をモータの上下方向として各部の形状及び位置関係を説明する。なお、この上下方向の定義は、モータの使用時の向き及び位置関係を限定するものではない。例えば、モータを車両に搭載する場合に、モータの軸方向は、車両の水平方向に延びることがある。
【0012】
また、本書では、軸方向に平行な断面を「縦断面」と呼び、軸方向と直交する断面を「横断面」と呼ぶ。また、本書で用いる「平行」、「直交」は、厳密な意味で平行、直交を表すものではなく、略平行、略直交を含む。
【0013】
<1.モータの概略構成>
図1は、一実施形態のモータ1の縦断面図である。モータ1は、例えば本実施形態において、車両の車輪に搭載される(図7参照)。モータ1は、ロータ2と、ステータ3と、を有する。さらに、モータ1は、シャフト4と、ステータホルダ5と、軸受6と、を有する。
【0014】
ロータ2は、ステータ3の径方向外側に配置される。ロータ2は、マグネット21を有する。マグネット21は、上下方向に延びる中心軸Cの径方向外側に環状に配置される。詳細に言えば、本実施形態において、ロータ2は、複数のマグネット21を有する。複数のマグネット21は、周方向に並べて配置される。なお、マグネット21は、単一の環状に形成されたマグネットであっても良い。マグネット21は、周方向において交互に配列されたS極及びN極を有する。マグネット21は、ステータ3と径方向に対向して配置される。ロータ2は、中心軸Cを中心として回転可能である。
【0015】
ロータ2は、ロータヨーク22と、リム23と、ホイールカバー24と、ブレーキドラム25と、をさらに有する。
【0016】
ロータヨーク22は、例えば中心軸Cを中心として上下方向に延びる円筒状であり、マグネット21の径方向外側に配置される。マグネット21は、ロータヨーク22の径方向内周部に固定される。リム23は、例えば中心軸Cを中心として上下方向に延びる環状であり、ロータヨーク22の径方向外側に配置される。本実施形態において、リム23は、ロータヨーク22とは、一体である。言い換えれば、リム23と、ロータヨーク22とは、単一部材により形成される。
【0017】
ホイールカバー24は、ロータヨーク22の軸方向上側、且つリム23の径方向内側に配置される。ホイールカバー24は、例えば中心軸Cを中心として径方向外側に広がる円板状である。ホイールカバー24の径方向中心部は、軸受6を介してシャフト4に対して回転可能に取り付けられる。なお、シャフト4は、ホイールカバー24の径方向中心部を軸方向に貫通している。ホイールカバー24の径方向外縁部は、ロータヨーク22の軸方向上側に固定される。
【0018】
ブレーキドラム25は、ロータヨーク22の軸方向下側、且つリム23の径方向内側に配置される。ブレーキドラム25は、例えば中心軸Cを中心として径方向外側に広がる円板状である。ブレーキドラム25の径方向中心部は、軸受6を介してシャフト4に対して回転可能に取り付けられる。なお、シャフト4は、ブレーキドラム25の径方向中心部を軸方向に貫通している。ブレーキドラム25の径方向外縁部は、ロータヨーク22の軸方向下側に固定される。
【0019】
ステータ3は、ロータ2の径方向内側に配置される。ステータ3は、中心軸Cを中心とする環状である。ステータ3は、マグネット21と径方向に対向して配置される。本実施形態において、ステータ3は、ロータヨーク22の径方向内側、且つホイールカバー24の軸方向下側、且つブレーキドラム25の軸方向上側に形成される空間内に配置される。ステータ3は、ステータホルダ5の径方向外周部に固定される。
【0020】
シャフト4は、上下方向に延びる中心軸Cに沿って配置される。シャフト4は、軸方向に延びる柱状である。
【0021】
ステータホルダ5は、シャフト4の径方向外側、且つステータ3の径方向内側に配置される。ステータホルダ5は、軸方向に延びる有底筒状である。ステータホルダ5の径方向内周部は、シャフト4の径方向外周部に固定される。言い換えれば、シャフト4は、ステータホルダ5の径方向中心部を軸方向に貫通している。ステータホルダ5の径方向外周部は、ステータ3の径方向内周部に固定される。これにより、ステータ3は、シャフト4に対して回転不能に固定される。
【0022】
軸受6は、軸方向上下一対で配置される。本実施形態において、軸受6は、例えばボールベアリングで構成される。軸方向上側の軸受6は、ステータ3及びステータホルダ5の軸方向上側に位置する。軸方向上側の軸受6は、径方向においてシャフト4とホイールカバー24との間に配置され、ホイールカバー24をシャフト4に対して回転可能に支持する。軸方向下側の軸受6は、ステータ3及びステータホルダ5の軸方向下側に位置する。軸方向下側の軸受6は、径方向においてシャフト4とブレーキドラム25との間に配置され、ブレーキドラム25をシャフト4に対して回転可能に支持する。
【0023】
上記構成のモータ1において、ステータ3の後述するコイル321に駆動電流が供給されると、ステータ3に径方向の磁束が生じる。ステータ3の磁束によって生じる磁界と、マグネット21によって生じる磁界とが作用し、ロータ2の周方向にトルクが生じる。このトルクによって、ロータ2が、中心軸Cを中心として回転する。
【0024】
<2.ステータの詳細構成>
図2は、モータ1の部分横断面図である。図3は、モータ1のステータコア31周辺の部分縦断面図である。図3において、「Dx」はモータ1の軸方向を示し、「Dr」はモータ1の径方向を示す。ステータ3は、ステータコア31と、巻線32と、インシュレータ(絶縁部材)33と、スペーサ34と、を有する。なお、図3では、巻線32の描画を省略した。
【0025】
ステータコア31は、コアバック311と、複数のティース312と、を有する。コアバック311は、中心軸Cを中心とする環状である。複数のティース312は、コアバック311から径方向外側に延びて周方向に配置される。詳細に言えば、複数のティース312は、コアバック311の径方向外周部から径方向外側に延び、周方向に所定間隔で配列される。ステータコア31は、例えば帯状の鋼板を板面に沿って曲げ加工して螺旋状に積層し、構成される。ステータコア31は、例えば複数枚の同一形状の鋼板を軸方向に積層して構成しても良い。
【0026】
巻線32は、ティース312に配置される。複数のティース312それぞれにおいて、巻線32によるコイル321が形成される。言い換えれば、コイル321は、複数のティース312それぞれにおいて、インシュレータ33の周囲に巻き回された巻線32で構成される。複数のコイル321は、周方向に所定間隔で配列される。
【0027】
インシュレータ33は、ステータコア31に配置され、ステータコア31の軸方向を覆う。インシュレータ33は、ティース312の外面を囲んで設けられる。インシュレータ33は、ティース312と、巻線32との間に配置される。インシュレータ33は、例えば合成樹脂等の絶縁部材で構成される。インシュレータ33によって、ティース312と、巻線32とは、互いに電気的に絶縁される。なお、ティース312の径方向外周面であって、マグネット21との対向部は、インシュレータ33から露出する。
【0028】
スペーサ34は、軸方向においてステータコア31とインシュレータ33との間に配置される。本実施形態において、スペーサ34は、ステータコア31の軸方向上側に配置される。例えば、スペーサ34は、コアバック311の径方向内縁部からティース312の径方向外縁部まで延びる。スペーサ34は、磁性体であり、ステータコア31とは別体である。スペーサ34は、突出部341を有する。
【0029】
突出部341は、スペーサ34の径方向外縁部に配置される。突出部341は、軸方向においてステータコア31から離れる方向に延びる。すなわち、本実施形態において、突出部341は、ステータコア31に対して軸方向上側に突出して延びる。突出部341は、マグネット21と径方向に対向する。詳細に言えば、突出部341の径方向外周部と、マグネット21の径方向内周部とは、径方向に対向する。
【0030】
スペーサ34が突出部341を有することで、軸方向において、ステータコア31のマグネット21との対向する領域を増やすことができる。これにより、モータ1において、好適な磁気特性を確保することができる。そして、突出部341の軸方向長さの分だけ、ステータコア31の軸方向長さを短くすることができる。これにより、ステータコア31を構成し、軸方向に積層される鋼板の枚数を減らすことができ、ステータコア31の重量を低減することができる。したがって、上記の構成によれば、磁気特性に影響を与えることなく、モータ1の重量を低減することが可能になる。
【0031】
また、突出部341の軸方向上端部は、マグネット21の軸方向上端部よりも下側に位置する。言い換えれば、突出部341は、ステータコア31に対して軸方向一方側に延び、突出部341の先端部は、マグネット21の軸方向一方側の端部より軸方向他方側に位置する。これにより、ステータコア31とマグネット21との間において、磁束を通り易くすることができる。したがって、モータ1において、好適な磁気特性を確保でき、重量を低減することが可能になる。
【0032】
突出部341の径方向外周部と、マグネット21の径方向内周部とは、径方向に所定の間隔S1を有する。そして、突出部341の径方向外周部と、マグネット21の径方向内周部との径方向の間隔S1は、軸方向において一定である。これにより、例えば突出部341が軸方向上側に向かうにつれてマグネット21に近づくように傾く場合に、突出部341とマグネット21との接触を抑制することができる。また、例えば突出部341が軸方向上側に向かうにつれてマグネット21から離れるように傾く場合に、マグネット21の磁気の影響を受け難くなることを抑制することができる。したがって、モータ1の磁気特性を安定させることができる。
【0033】
ステータコア31の径方向外周部と、マグネット21の径方向内周部とは、径方向に所定の間隔S2を有する。そして、突出部341の径方向外周部と、マグネット21の径方向内周部との径方向の間隔S1は、ステータコア31の径方向外周部と、マグネット21の径方向内周部との径方向の間隔S2と同じである。これにより、モータ1の磁気特性の安定性を向上させることが可能である。
【0034】
突出部341は、インシュレータ33の径方向外側に位置する。言い換えれば、突出部341は、インシュレータ33と径方向に対向して配置される。さらに、突出部341とインシュレータ33とは、径方向において離間している。詳細に言えば、インシュレータ33の径方向外周部と、突出部341の径方向内周部とは、径方向に隙間S3を有する。
【0035】
例えば、インシュレータ33の径方向外周部が、突出部341の径方向内周部よりも径方向外側に位置する場合、インシュレータ33を突出部341の径方向内側に配置することが困難である。しかしながら、本実施形態の構成によれば、突出部341はインシュレータ33の径方向外側に位置して離間しており、インシュレータ33をスペーサ34の軸方向上側に取り付ける際、インシュレータ33の径方向外周部が、突出部341の径方向内周部に引っ掛からないようにすることができる。したがって、モータ1の組み立て時の作業性を向上させることができる。
【0036】
<3.モータの変形例>
続いて、モータ1の変形例について説明する。なお、変形例の基本的な構成は、図1から図3を用いて説明した上記実施形態と同じであるので、共通する構成要素には前と同じ符号または前と同じ名称を付してその説明を省略する場合がある。また、図中、特徴部分を除く構成要素の描画は省略した。
【0037】
<3.1 変形例1>
図4は、変形例1のモータ1のステータコア31周辺の部分縦断面図である。変形例1のモータ1のステータ3は、スペーサ35を有する。スペーサ35は、突出部351を有する。
【0038】
突出部351は、スペーサ35の径方向外縁部に配置される。突出部351は、軸方向においてステータコア31から離れる方向、すなわち軸方向上側に延びる。突出部351の軸方向上端部は、軸方向においてマグネット21の軸方向上端部と同じ位置に位置する。言い換えれば、突出部351は、ステータコア31に対して軸方向一方側に延びる。突出部351の先端部は、マグネット21の軸方向一方側の端部と同じ位置に位置する。
【0039】
上記の構成によれば、ステータコア31とマグネット21との間において、最低限の磁束の通り道を確保しつつ、マグネット21の軸方向長さをできるだけ短くすることができる。したがって、モータ1において、磁気特性に影響を与えることなく、重量を低減することが可能になる。
【0040】
<3.2 変形例2>
図5は、変形例2のモータ1のステータコア31周辺の部分縦断面図である。変形例2のモータ1のステータ3は、スペーサ36を有する。スペーサ36は、突出部361を有する。
【0041】
スペーサ36とステータコア31とは、単一部材により形成される。言い換えれば、スペーサ36とステータコア31とは、同一の部材で構成される。また言い換えれば、スペーサ36とステータコア31とは、一体として形成される。これにより、ステータコア31と、スペーサ36との材料の統一を図ることができ、モータ1の磁気特性を安定させることができる。
【0042】
なお、本実施形態において、ステータコア31は、複数枚の鋼板を軸方向に積層して形成される。実施形態の例示の一つとして、スペーサ36は、軸方向の一番外側の鋼板で形成される。また、スペーサ36は、1枚の鋼板で形成されても良いし、2枚以上の鋼板で形成されても良い。
【0043】
<3.3 変形例3>
図6は、変形例3のモータ1のステータコア31周辺の部分縦断面図である。変形例3のモータ1のステータ3は、スペーサ34、37を有する。スペーサ34、37は、軸方向においてステータコア31とインシュレータ33との間に配置される。スペーサ34は、ステータコア31の軸方向上側に配置される。スペーサ37は、ステータコア31の軸方向下側に配置される。
【0044】
スペーサ34は、突出部341を有する。突出部341は、軸方向上側に突出して延びる。スペーサ37は、突出部371を有する。突出部371は、軸方向下側に突出して延びる。すなわち、突出部は、ステータコア31に対して軸方向の両側にそれぞれ配置される。
【0045】
ステータコア31の軸方向上側、下側のそれぞれにスペーサ34、37を設けることで、ステータコア31の軸方向長さを、さらに短くすることができる。これにより、磁気特性に影響を与えることなく、モータ1の重量を一層低減することが可能になる。
【0046】
<4.車両の構成>
図7は、本開示の一実施形態の車両400の概略図である。車両400は、モータ1を備える。本実施形態において、モータ1は、いわゆるインホイールモータであって、車両400に搭載される。車両400は、例えば電動バイクである。車両400は、車両本体401と、前輪402と、後輪403と、を有する。
【0047】
車両本体401は、座席401aと、ハンドル401bと、を有する。座席401aは、例えば車両本体401の進行方向後方に位置する。ハンドル401bは、車両本体401の進行方向前方に配置される。運転者は、座席401aに座り、ハンドル401bを握って車両400を操作する。ハンドル401bには、スロットル、ブレーキ等が設けられる(いずれも不図示)。
【0048】
前輪402は、車両本体401の進行方向前方に配置され、路面に接地する。後輪403は、車両本体401の進行方向後方に配置され、路面に接地する。車両400は、前輪402及び後輪403の回転によって、路面に対して移動可能である。モータ1は、例えば後輪403に配置される。車両400は、運転者によるスロットル操作に応じてモータ1の駆動を制御し、後輪403を回転させ、移動する。
【0049】
上記の構成によれば、車両400において、モータ1の磁気特性に影響を与えることなく、車両400の重量を低減することが可能になる。
【0050】
なお、本実施形態において、モータ1は、車両400の後輪403に設けられることとしたが、前輪402に設けられることにしても良い。また、本実施形態において、車両400は、二輪であることとしたが、三輪、四輪以上の車両であっても良い。
【0051】
<5.その他>
以上、本開示の実施形態につき説明したが、本開示の範囲はこれに限定されるものではなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換及び他の種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本開示は、モータ及び車両において利用可能である。
【符号の説明】
【0053】
1・・・モータ、2・・・ロータ、3・・・ステータ、4・・・シャフト、5・・・ステータホルダ、6・・・軸受、21・・・マグネット、22・・・ロータヨーク、23・・・リム、24・・・ホイールカバー、25・・・ブレーキドラム、31・・・ステータコア、32・・・巻線、33・・・インシュレータ(絶縁部材)、34・・・スペーサ、35・・・スペーサ、36・・・スペーサ、37・・・スペーサ、311・・・コアバック、312・・・ティース、321・・・コイル、341・・・突出部、351・・・突出部、371・・・突出部、400・・・車両、401・・・車両本体、401a・・・座席、401b・・・ハンドル、402・・・前輪、403・・・後輪、C・・・中心軸、Dr・・・径方向、Dx・・・軸方向、S1・・・間隔、S2・・・間隔、S3・・・隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7