(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103020
(43)【公開日】2023-07-26
(54)【発明の名称】畳床の裁断装置
(51)【国際特許分類】
B26D 1/14 20060101AFI20230719BHJP
B26D 3/02 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
B26D1/14 A
B26D3/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003835
(22)【出願日】2022-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000163121
【氏名又は名称】極東産機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103218
【弁理士】
【氏名又は名称】牧村 浩次
(72)【発明者】
【氏名】久保 朋之
【テーマコード(参考)】
3C027
【Fターム(参考)】
3C027LL06
(57)【要約】
【課題】厚みの厚い畳を製造する場合、厚みの薄い畳を製造する場合、ならびに、慣習的なサイズ以外の畳を製造する場合にも、正確な裁断角度α、刃入れ深さHを、簡単に設定でき、簡単な構造で、しかも、煩雑な工程が不要で、手間も時間もかからず、コストも低減することが可能な畳床の裁断装置を提供する。
【解決手段】傾倒部材16の旋回中心Q1が、傾倒部材16の下端で、畳床400の切断位置Xの上方に設けられ、傾倒部材16の旋回中心Q1が、畳床400を切断する際に、床押さえ部材22の畳床400の被切断側辺側端部に干渉しない位置に設けられ、傾倒部材16の旋回中心Q1が、畳床400の被切断側辺に干渉しない位置に設けられ、畳床400の厚さに応じて、畳床400の垂直面408に対する畳床の裁断角度α、畳床400の垂直面408の刃入れ深さHを調整することができるように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前記畳床の被切断側辺の裁断方向に沿って配置されるフレーム部材と、
前記フレーム部材の裁断方向に沿って移動自在な走行部材と、
前記走行部材に連結され、走行部材に対して、裁断方向に対して垂直な方向に、旋回中心を中心に傾動可能に構成された傾倒部材と、
前記傾倒部材に備えられ、畳床を断面視で傾斜して切断する回転刃とを備えた畳床の側辺を裁断するための畳床の裁断装置であって、
前記傾倒部材の旋回中心が、傾倒部材の下端で、畳床の切断位置Xの上方に設けられ、
前記傾倒部材の旋回中心が、畳床を切断する際に、畳床の被切断側辺に沿って畳床の上面に配置される床押さえ部材の畳床の被切断側辺側端部に干渉しない位置に設けられ、
前記傾倒部材の旋回中心が、畳床の被切断側辺に干渉しない位置に設けられ、
前記畳床の厚さに応じて、畳床の垂直面に対する畳床の裁断角度α、畳床の垂直面の刃入れ深さHを調整することができるように構成されていることを特徴とする畳床の裁断装置。
【請求項2】
前記畳床の裁断方向において、回転刃よりも上流側に配置されるとともに、走行部材に連結され、走行部材に対して、裁断方向に対して垂直な方向の垂直裁断刃を備えることを特徴とする請求項1に記載の畳床の裁断装置。
【請求項3】
前記垂直裁断刃が、上下に移動可能に構成されていることを特徴とする請求項2に記載の畳床の裁断装置。
【請求項4】
前記床押さえ部材の畳床の被切断側辺側端部が、走行部材と傾倒部材に干渉しないように、切断側に傾斜面を有する形状であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の畳床の裁断装置。
【請求項5】
前記走行部材に連結された傾倒部材が、畳床の被切断側辺に対して水平方向に移動自在に構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の畳床の裁断装置。
【請求項6】
前記走行部材には、水平方向ブラケット部材を備え、
前記水平方向ブラケット部材に対して、水平方向に移動自在に連結された傾倒部水平移動部材を備え、
前記傾倒部材が、傾倒部水平移動部材に対して、旋回中心を中心に傾動可能に連結されていることを特徴とする請求項5に記載の畳床の裁断装置。
【請求項7】
前記水平方向ブラケット部材には、水平方向に延設された水平案内溝が形成され、
前記傾倒部水平移動部材には、水平移動固定部材が備えられ、
前記傾倒部水平移動部材の水平移動固定部材を、水平方向ブラケット部材の水平案内溝にスライド固定することによって、
前記水平方向ブラケット部材に対して、傾倒部水平移動部材が、水平方向に移動固定自在に構成されていることを特徴とする請求項6に記載の畳床の裁断装置。
【請求項8】
前記水平方向ブラケット部材には、傾倒部水平移動部材の水平方向の移動量を示す水平方向指標部と、水平方向に形成された水平方向指標溝部が形成され、
前記傾倒部水平移動部材には、水平方向ブラケット部材の水平方向指標溝部内を移動可能な水平方向指針部が形成され、
前記水平方向ブラケット部材に対して、傾倒部水平移動部材の水平方向の移動量を設定することができるように構成されていることを特徴とする請求項7に記載の畳床の裁断装置。
【請求項9】
前記傾倒部水平移動部材には、傾倒部材の傾動角度を示す傾動角度指標部と、傾倒部材の旋回中心に円弧状に形成された傾動角度指標溝部が形成され、
前記傾倒部材には、傾倒部水平移動部材の傾動角度指標溝部内を移動可能な傾動角度指針部が形成され、
前記傾倒部水平移動部材に対して、傾倒部材の傾動角度を設定することができるように構成されていることを特徴とする請求項7から8のいずれかに記載の畳床の裁断装置。
【請求項10】
厚さ30mm~60mmの厚みの厚い畳を裁断する場合に、
裁断角度αが、畳床の垂直面に対して、畳床を8°の裁断角度α1で裁断するように設定されるとともに、
畳床の垂直面の刃入れ深さHが、畳床を13mmの刃入れ深さH1で裁断するように設定され、
厚さ10mm~30mm未満の厚みの薄い畳を裁断する場合に、
裁断角度αが、畳床の垂直面に対して、畳床を13°の裁断角度α2で裁断するように設定されるとともに、
畳床の垂直面の刃入れ深さHが、畳床を3mmの刃入れ深さH2で裁断するように設定されていることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の畳床の裁断装置。
【請求項11】
前記垂直裁断刃の切断面から、傾動部材の回転刃の旋回中心Q1を、同一線上よりも、距離Eだけ水平方向外側にずらして構成されていることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の畳床の裁断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、縁無し畳、縁付き畳などの畳に用いる畳床の裁断装置に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、特に、畳床を断面視で、上方を鉛直方向に垂直面(刃入れ深さH)で、下方を内側に傾斜した傾斜面(裁断角度)で、畳床を裁断するための畳床の裁断装置に関する。
【背景技術】
【0003】
従来、畳を製造する際には、畳表を縫い付ける前、または、畳表を張り付ける前に、畳床の裁断装置によって、畳床を所定の寸法に裁断している。
【0004】
この場合、
図16に示したように、框402側の裁断は、畳を敷き詰めやすいように、断面視で、畳床400の上方を鉛直方向に垂直面408で、下方を内側に傾斜した傾斜面412で、畳床400を裁断するようになっている。
【0005】
このような裁断では、
図16に示したように、裁断角度αは、厚みの厚い畳を製造する場合(例えば、厚さ30mm~60mm)には、畳床400の垂直面408に対して、畳床400を、約8°の裁断角度αで裁断している。
【0006】
一方、厚みの薄い畳を製造する場合(例えば、厚さ10mm~30mm未満)には、畳床400の垂直面408に対して、畳床400を、約13°の裁断角度αで裁断している。
【0007】
このような裁断状態を実現するために、従来の畳床の裁断装置としては、例えば、特許文献1(特開2010-042505号公報)、特許文献2(特開2009-166174号公報)、特許文献3(実開1983-169994号公報)に開示されるような畳床の裁断装置が開示されている。
【0008】
特許文献1、特許文献2では、いずれも、このように、厚みの厚い畳、厚みの薄い畳に対して、裁断角度αの相違に対処するために、いずれも、畳床の裁断装置に仮想の旋回中心を設けて、裁断角度αの角度変更を可能とする構造である。
【0009】
また、
図17に示したように、特許文献3の畳床の裁断装置300では、実軸である枢軸302を設けて、この枢軸302を中心に、傾動台304を任意の傾角で固定することができるようにして、裁断角度αの角度変更を可能とする構造である。
【0010】
すなわち、特許文献3では、
図17に示したように、送り台306に、枢軸302により軸支した傾動台304が、取り付けられている。
そして、傾動台304の上部に嵌入したボルト308の頭部を、送り台306のブラケットに設けた円弧溝310から突出させ、ナットなどの締結部材312で締め付けるように構成されている。
【0011】
円弧溝310が、枢軸310を中心として、円弧状になっているので、傾動台304を任意の角度で固定することができようになっている。
そして、傾動台304に、中間カッター314、後続カッター316が、鉛直方向長穴を介して、ボルトにより、それぞれ上下位置調整可能に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2010-042505号公報
【特許文献2】特開2009-166174号公報
【特許文献3】実開1983-169994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、厚みの厚い畳と、厚みの薄い畳を製造する場合、いずれも、畳床400の垂直面408に対する畳床の裁断角度αの変更に加えて、畳床400の垂直面408の刃入れ深さHを調整(変更)することが望ましい。
【0014】
図18に示したように、特許文献1の畳床の裁断装置100では、レール102に沿って移動自在な支持部104に、回転刃106を設けている。
【0015】
レール102は、フレーム114に支持された昇降シリンダー108により支えられている。これにより、レール102に沿って移動する支持部104と、支持部104に設けられた回転刃106が、テーブル112に載置した畳床400に対して昇降することができるように構成されている。
【0016】
これにより、厚みの厚い畳と、厚みの薄い畳を製造する場合、いずれも、畳床400の垂直面408に対する畳床400の裁断角度αの変更を行うように構成されている。
【0017】
しかしながら、特許文献1の畳床の裁断装置100では、傾倒本体116の傾きに関係なく、仮想傾倒軸Pは、テーブル112に載置した畳床400に対して常に同じ位置にあるとの記載から、畳床400の垂直面408の刃入れ深さHを調整(変更)することが出来ない構成である。
【0018】
一方、
図19~
図20に示したように、特許文献2の畳床の裁断装置200では、裁断方向に配置されたフレーム202と、このフレーム202に沿って走行する走行部材204を備えている。
そして、走行部材204に固定され、裁断面を通る一点の旋回中心Pを共有する複数の円弧状の長穴206、206を形成した支持用基板208を備えている。
【0019】
この支持用基板208の複数の円弧状の長穴206、206に、それぞれ嵌挿する複数のピン210、210を植設した刃物用基板212が備えている。
この刃物用基板212に固定された架台214に搭載されて、モーターにより回転される円形の裁断刃216よりなる刃物アッセンブリ218を備えている。
【0020】
そして、支持用基板208に対する刃物用基板212の相対位置を、旋回中心Pを軸として、刃物用基板212の旋回(C方向)により、円形の裁断刃216の角度を設定できるように構成されている。
【0021】
なお、
図19~
図20では、説明の便宜上、畳床400を、約8°の裁断角度αで裁断する場合を図示している。
【0022】
そして、特許文献2の畳床の裁断装置200では、
図19に示したように、厚みの厚い畳を製造する場合(例えば、厚さ30mm~60mm)には、畳床400の垂直面408の刃入れ深さHで、かつ、畳床400の垂直面408に対して、畳床400を、約8°の裁断角度αで裁断している。
【0023】
一方、特許文献2の畳床の裁断装置200では、
図20に示したように、床押さえ222の下方に、スペーサ224を配置している。
これにより、厚みの薄い畳を製造する場合(例えば、厚さ10mm~30mm未満)には、畳床400の垂直面408の刃入れ深さHで、かつ、畳床400の垂直面408に対して、畳床400を、約13°の裁断角度αで裁断している。
【0024】
しかしながら、特許文献1の畳床の裁断装置100では、昇降シリンダー108などの昇降機構を設けなければならず、複雑な構成で、部品点数も多く、コストが高くつくことになる。
【0025】
また、特許文献2の畳床の裁断装置200では、厚みの薄い畳の場合に、床押さえ222の下方に、スペーサ224を配置しなければならず、煩雑な工程が必要で、手間も時間もかかりコストが高くつくことになる。
また、畳の厚さに合わせて、複数の高さのスペーサ224を準備しなければならず、煩雑な工程が必要で、手間も時間もかかりコストが高くつくことになる。
【0026】
さらに、特許文献1、特許文献2のようなピン軸と長穴との係合で、仮想軸の旋回軸を中心に回動するものでは、微小な隙間、ガタツキにより、正確な裁断角度α、刃入れ深さHを設定できないものである。
【0027】
一方、特許文献3の畳床の裁断装置300では、厚みの厚い畳と、厚みの薄い畳を製造する場合において、畳床400の垂直面408に対する畳床400の裁断角度αの変更に加えて、畳床400の垂直面408の刃入れ深さHを、調整(変更)することについては、全く考慮されていないものである。
【0028】
本発明は、このような現状に鑑み、厚みの厚い畳を製造する場合、厚みの薄い畳を製造する場合、ならびに、慣習的なサイズ以外の畳を製造する場合にも、正確な裁断角度α、刃入れ深さHを、簡単に設定でき、簡単な構造で、しかも、煩雑な工程が不要で、手間も時間もかからず、コストも低減することが可能な畳床の裁断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明されたものであって、本発明の畳床の裁断装置は、
前記畳床の被切断側辺の裁断方向に沿って配置されるフレーム部材と、
前記フレーム部材の裁断方向に沿って移動自在な走行部材と、
前記走行部材に連結され、走行部材に対して、裁断方向に対して垂直な方向に、旋回中心を中心に傾動可能に構成された傾倒部材と、
前記傾倒部材に備えられ、畳床を断面視で傾斜して切断する回転刃とを備えた畳床の側辺を裁断するための畳床の裁断装置であって、
前記傾倒部材の旋回中心が、傾倒部材の下端で、畳床の切断位置Xの上方に設けられ、
前記傾倒部材の旋回中心が、畳床を切断する際に、畳床の被切断側辺に沿って畳床の上面に配置される床押さえ部材の畳床の被切断側辺側端部に干渉しない位置に設けられ、
前記傾倒部材の旋回中心が、畳床の被切断側辺に干渉しない位置に設けられ、
前記畳床の厚さに応じて、畳床の垂直面に対する畳床の裁断角度α、畳床の垂直面の刃入れ深さHを調整することができるように構成されていることを特徴とする。
【0030】
このように構成することによって、傾倒部材の旋回中心が、傾倒部材の下端で、畳床の切断位置Xの上方に設けられ、傾倒部材の旋回中心が、畳床を切断する際に、畳床の被切断側辺に沿って畳床の上面に配置される、床押さえ部材の畳床の被切断側辺側端部に干渉しない位置に設けられている。
【0031】
従って、傾倒部材が、畳床の垂直面に対する畳床の裁断角度αを設定するために、旋回しても、床押さえ部材の畳床の被切断側辺側端部に干渉しないようになっている。
【0032】
また、畳床の厚さに応じて、畳床の垂直面に対する畳床の裁断角度α、畳床の垂直面の刃入れ深さHを調整することができる。
【0033】
その結果、厚みの厚い畳を製造する場合、厚みの薄い畳を製造する場合、ならびに、慣習的なサイズ以外の畳を製造する場合にも、正確な裁断角度α、刃入れ深さHを、簡単に設定できる。
しかも、簡単な構造であり、煩雑な工程が不要で、手間も時間もかからず、コストも低減することが可能な畳床の裁断装置を提供することができる。
【0034】
また、本発明の畳床の裁断装置は、
前記畳床の裁断方向において、回転刃よりも上流側に配置されるとともに、走行部材に連結され、走行部材に対して、裁断方向に対して垂直な方向の垂直裁断刃を備えることを特徴とする。
【0035】
このように構成することによって、裁断方向に対して垂直な方向に、旋回中心を中心に傾倒部材が傾動して、傾倒部材に備えられた回転刃が、旋回中心を中心に、畳床の垂直面に対する畳床の裁断角度αで傾動した際にも、
裁断方向に対して垂直な方向に垂直裁断刃を維持することが可能となる。
【0036】
従って、回転刃よりも上流側に配置された垂直裁断刃によって、裁断方向に対して垂直な方向に畳床の上部を切断した後に、旋回中心を中心に傾動され、傾倒部材に備えられた回転刃によって、畳床の垂直面に対する畳床の裁断角度αで正確に裁断することが可能となる。
【0037】
また、本発明の畳床の裁断装置は、
前記垂直裁断刃が、上下に移動可能に構成されていることを特徴とする。
【0038】
このように構成することによって、垂直裁断刃を、上下に移動調整することにより、裁断方向に対して垂直な方向に畳床の上部を、垂直方向に切断する深さを調整することが可能となる。
【0039】
また、本発明の畳床の裁断装置は、
前記床押さえ部材の畳床の被切断側辺側端部が、走行部材と傾倒部材に干渉しないように、切断側に傾斜面を有する形状であることを特徴とする。
【0040】
このように構成することによって、床押さえ部材の畳床の被切断側辺側端部が、切断側に傾斜面を有する形状であるので、走行部材と傾倒部材に干渉しないようになっている。
【0041】
従って、傾倒部材が、畳床の垂直面に対する畳床の裁断角度αを設定するために、旋回しても、走行部材と傾倒部材が、床押さえ部材の畳床の被切断側辺側端部に干渉しないようになっている。
【0042】
また、本発明の畳床の裁断装置は、
前記走行部材に連結された傾倒部材が、畳床の被切断側辺に対して水平方向に移動自在に構成されていることを特徴とする。
【0043】
このように構成することによって、走行部材に連結された傾倒部材が、畳床の被切断側辺に対して水平方向に移動自在に構成されている。
従って、傾倒部材を、水平方向に移動調整することによって、畳床の厚さに応じて、畳床の垂直面に対する畳床の裁断角度α、畳床の垂直面の刃入れ深さHを、無段階でかつ正確に調整することができる。
【0044】
その結果、厚みの厚い畳を製造する場合、厚みの薄い畳を製造する場合、ならびに、慣習的なサイズ以外の畳を製造する場合にも、無段階でかつ正確な裁断角度α、刃入れ深さHを、簡単に設定できる。
【0045】
また、本発明の畳床の裁断装置は、
前記走行部材には、水平方向ブラケット部材を備え、
前記水平方向ブラケット部材に対して、水平方向に移動自在に連結された傾倒部水平移動部材を備え、
前記傾倒部材が、傾倒部水平移動部材に対して、旋回中心を中心に傾動可能に連結されていることを特徴とする。
【0046】
このように構成することによって、傾倒部水平移動部材を、水平方向ブラケット部材に対して、水平方向に移動調整するとともに、傾倒部材を、傾倒部水平移動部材に対して、旋回中心を中心に傾動調整することによって、畳床の厚さに応じて、畳床の垂直面に対する畳床の裁断角度α、畳床の垂直面の刃入れ深さHを、正確に調整することができる。
【0047】
また、本発明の畳床の裁断装置は、
前記水平方向ブラケット部材には、水平方向に延設された水平案内溝が形成され、
前記傾倒部水平移動部材には、水平移動固定部材が備えられ、
前記傾倒部水平移動部材の水平移動固定部材を、水平方向ブラケット部材の水平案内溝にスライド固定することによって、
前記水平方向ブラケット部材に対して、傾倒部水平移動部材が、水平方向に移動固定自在に構成されていることを特徴とする。
【0048】
このように構成することによって、傾倒部水平移動部材の水平移動固定部材を、水平方向ブラケット部材の水平案内溝にスライド固定することによって、水平方向ブラケット部材に対して、傾倒部水平移動部材が、水平方向に移動固定できる。
【0049】
その結果、畳床の厚さに応じて、畳床の垂直面に対する畳床の裁断角度α、畳床の垂直面の刃入れ深さHを、正確に調整することができる。
【0050】
また、本発明の畳床の裁断装置は、
前記水平方向ブラケット部材には、傾倒部水平移動部材の水平方向の移動量を示す水平方向指標部と、水平方向に形成された水平方向指標溝部が形成され、
前記傾倒部水平移動部材には、水平方向ブラケット部材の水平方向指標溝部内を移動可能な水平方向指針部が形成され、
前記水平方向ブラケット部材に対して、傾倒部水平移動部材の水平方向の移動量を設定することができるように構成されていることを特徴とする。
【0051】
このように構成することによって、水平方向ブラケット部材の水平方向指標溝部内を移動可能な水平方向指針部によって、水平方向ブラケット部材に対して、傾倒部水平移動部材の水平方向の移動量を正確に設定することができる。
【0052】
その結果、畳床の厚さに応じて、畳床の垂直面に対する畳床の裁断角度α、畳床の垂直面の刃入れ深さHを、正確に調整することができる。
【0053】
また、本発明の畳床の裁断装置は、
前記傾倒部水平移動部材には、傾倒部材の傾動角度を示す傾動角度指標部と、傾倒部材の旋回中心に円弧状に形成された傾動角度指標溝部が形成され、
前記傾倒部材には、傾倒部水平移動部材の傾動角度指標溝部内を移動可能な傾動角度指針部が形成され、
前記傾倒部水平移動部材に対して、傾倒部材の傾動角度を設定することができるように構成されていることを特徴とする。
【0054】
このように構成することによって、傾倒部水平移動部材の傾動角度指標溝部内を移動可能な傾動角度指針部によって、傾倒部水平移動部材に対して、傾倒部材の傾動角度を正確に設定することができる。
【0055】
その結果、畳床の厚さに応じて、畳床の垂直面に対する畳床の裁断角度α、畳床の垂直面の刃入れ深さHを、正確に調整することができる。
【0056】
また、本発明の畳床の裁断装置は、
厚さ30mm~60mmの厚みの厚い畳を裁断する場合に、
裁断角度αが、畳床の垂直面に対して、畳床を8°の裁断角度α1で裁断するように設定されるとともに、
畳床の垂直面の刃入れ深さHが、畳床を13mmの刃入れ深さH1で裁断するように設定され、
厚さ10mm~30mm未満の厚みの薄い畳を裁断する場合に、
裁断角度αが、畳床の垂直面に対して、畳床を13°の裁断角度α2で裁断するように設定されるとともに、
畳床の垂直面の刃入れ深さHが、畳床を3mmの刃入れ深さH2で裁断するように設定されていることを特徴とする。
【0057】
このように構成することによって、厚さ30mm~60mmの厚みの厚い畳を裁断する場合に、
裁断角度αが、畳床の垂直面に対して、畳床を8°の裁断角度α1で裁断することができるとともに、
畳床の垂直面の刃入れ深さHが、畳床を13mmの刃入れ深さH1で裁断することができる。
【0058】
また、厚さ10mm~30mm未満の厚みの薄い畳を裁断する場合に、
裁断角度αが、畳床の垂直面に対して、畳床を13°の裁断角度α2で裁断することができるとともに、
畳床の垂直面の刃入れ深さHが、畳床を3mmの刃入れ深さH2で裁断することができる。
【0059】
その結果、厚みの厚い畳を製造する場合、厚みの薄い畳を製造する場合にも、正確な裁断角度α、刃入れ深さHを、簡単に設定できる。
【0060】
また、本発明の畳床の裁断装置は、
前記垂直裁断刃の切断面から、傾動部材の回転刃の旋回中心Q1を、同一線上よりも、距離Eだけ水平方向外側にずらして構成されていることを特徴とする。
【0061】
このように構成することによって、垂直裁断刃の切断面から、傾倒部材の回転刃の旋回中心Q1を、同一線上よりも、距離E(例えば、0.2mm)だけ水平方向外側にずらすことによって、裁断角度αと刃入れ深さHの関係を、裁断角度8度で13m、裁断角度13度で3mmとなるように正確に調整できる。
【発明の効果】
【0062】
本発明によれば、傾倒部材の旋回中心が、傾倒部材の下端で、畳床の切断位置Xの上方に設けられ、傾倒部材の旋回中心が、畳床を切断する際に、畳床の被切断側辺に沿って畳床の上面に配置される、床押さえ部材の畳床の被切断側辺側端部に干渉しない位置に設けられている。
【0063】
従って、傾倒部材が、畳床の垂直面に対する畳床の裁断角度αを設定するために、旋回しても、床押さえ部材の畳床の被切断側辺側端部に干渉しないようになっている。
【0064】
また、畳床の厚さに応じて、畳床の垂直面に対する畳床の裁断角度α、畳床の垂直面の刃入れ深さHを調整することができる。
【0065】
また、走行部材に連結された傾倒部材が、畳床の被切断側辺に対して水平方向に移動自在に構成されている。
従って、傾倒部材を、水平方向に移動調整することによって、畳床の厚さに応じて、畳床の垂直面に対する畳床の裁断角度α、畳床の垂直面の刃入れ深さHを、無段階でかつ正確に調整することができる。
【0066】
その結果、厚みの厚い畳を製造する場合、厚みの薄い畳を製造する場合、ならびに、慣習的なサイズ以外の畳を製造する場合にも、無段階でかつ正確な裁断角度α、刃入れ深さHを、簡単に設定できる。
しかも、簡単な構造であり、煩雑な工程が不要で、手間も時間もかからず、コストも低減することが可能な畳床の裁断装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【
図1】
図1は、厚みの厚い畳を裁断する場合に、裁断角度αが、畳床400の垂直面408に対して、畳床を8°の裁断角度α1で裁断する場合を示す本発明の畳床の裁断装置10の正面図である。
【
図2】
図2は、厚みの薄い畳を裁断する場合に、裁断角度αが、畳床400の垂直面408に対して、畳床を13°の裁断角度α2で裁断する場合を示す本発明の畳床の裁断装置10の正面図である。
【
図4】
図4は、本発明の畳床の裁断装置10の走行部材14の水平方向ブラケット部材26の分解図である。
【
図5】
図5は、本発明の畳床の裁断装置10の傾倒部水平移動部材28の分解図である。
【
図6】
図6は、本発明の畳床の裁断装置10の傾倒部材16の分解図である。
【
図7】
図7は、本発明の畳床の裁断装置10の走行部材14の水平方向ブラケット部材26と、傾倒部水平移動部材28と、傾倒部材16の組み立て状態を説明する分解図である。
【
図8】
図8は、本発明の本発明の畳床の裁断装置10によって、厚みの厚い畳を裁断する場合と、厚みの薄い畳を裁断する場合の概略を説明する部分拡大図で、
図8(A)は、傾倒部材16を傾動した場合を示し、
図8(B)は、傾倒部材16を水平方向に移動した場合を示す図である。
【
図9】
図9は、厚みの厚い畳を裁断する場合に、裁断角度αが、畳床400の垂直面408に対して、畳床を8°の裁断角度α1で裁断する場合を示す本発明の別の実施例の畳床の裁断装置10の正面図である。
【
図10】
図10は、厚みの薄い畳を裁断する場合に、裁断角度αが、畳床400の垂直面408に対して、畳床を13°の裁断角度α2で裁断する場合を示す本発明の別の実施例の畳床の裁断装置10の正面図である。
【
図12】
図12は、本発明の畳床の裁断装置10の走行部材14の水平方向ブラケット部材26の分解図である。
【
図13】
図13は、本発明の畳床の裁断装置10の傾倒部材16の分解図である。
【
図14】
図14は、本発明の畳床の裁断装置10の走行部材14の水平方向ブラケット部材26と、傾倒部材16の組み立て状態を説明する分解図である。
【
図15】
図15は、本発明の本発明の畳床の裁断装置10によって、厚みの厚い畳を裁断する場合と、厚みの薄い畳を裁断する場合の概略を説明する部分拡大図である。
【
図17】
図17は、特許文献3の畳床の裁断装置300の概略図である。
【
図18】
図18は、特許文献1の畳床の裁断装置100の概略図である。
【
図19】
図19は、特許文献2の畳床の裁断装置100の概略図である。
【
図20】
図20は、特許文献2の畳床の裁断装置100の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
(実施例1)
【0069】
図1は、厚みの厚い畳を裁断する場合に、裁断角度αが、畳床400の垂直面408に対して、畳床を8°の裁断角度α1で裁断する場合を示す本発明の畳床の裁断装置10の正面図、
図2は、厚みの薄い畳を裁断する場合に、裁断角度αが、畳床400の垂直面408に対して、畳床を13°の裁断角度α2で裁断する場合を示す本発明の畳床の裁断装置10の正面図、
図3は、
図1および
図2のA方向の側面図、
図4は、本発明の畳床の裁断装置10の走行部材14の水平方向ブラケット部材26の分解図、
図5は、本発明の畳床の裁断装置10の傾倒部水平移動部材28の分解図、
図6は、本発明の畳床の裁断装置10の傾倒部材16の分解図、
図7は、本発明の畳床の裁断装置10の走行部材14の水平方向ブラケット部材26と、傾倒部水平移動部材28と、傾倒部材16の組み立て状態を説明する分解図、
図8は、本発明の本発明の畳床の裁断装置10によって、厚みの厚い畳を裁断する場合と、厚みの薄い畳を裁断する場合の概略を説明する部分拡大図で、
図8(A)は、傾倒部材16を傾動した場合を示し、
図8(B)は、傾倒部材16を水平方向に移動した場合を示す図である。
【0070】
図1~
図2において、符号10は、全体で本発明の畳床の裁断装置を示している。
【0071】
本発明の畳床の裁断装置10は、
図1~
図3に示したように、畳床400の被切断側辺の裁断方向Bに沿って配置されるフレーム部材12を備えている。
このフレーム部材12は、
図1~
図3に示したように、断面略L字形状であって、その上部に、上部案内レール12aが設けられているとともに、下方の側端部には、下部案内レール12bが設けられている。
【0072】
また、フレーム部材12の裁断方向Bに沿って移動自在な走行部材14が備えられている。すなわち、走行部材14には、フレーム部材12の上部案内レール12a、下部案内レール12bに嵌合する、上部案内溝14a、下部案内溝14bがそれぞれ形成されている。
【0073】
これにより、走行部材14が、図示しない駆動機構によって、フレーム部材12の裁断方向Bに沿って移動自在な構成となっている。
【0074】
また、
図1~
図3に示したように、走行部材14に連結され、走行部材14に対して、裁断方向Bに対して垂直な方向(矢印C方向)に、実軸である旋回中心Q1を中心に傾動可能に構成された傾倒部材16を備えている。
【0075】
そして、傾倒部材16には、畳床400を断面視で傾斜して切断する回転刃18が備えられている。
【0076】
図1~
図3に示したように、傾倒部材16の上部には、駆動モーター20が備えられており、駆動モーター20のプーリー20aと、回転刃18の回転軸18aのプーリー18bとの間に架け渡された図示しない駆動ベルトにより、回転刃18が一定の速度で回転できるように構成されている。
【0077】
また、
図1~
図8に示したように、傾倒部材16の旋回中心Q1が、傾倒部材16の下端で、畳床400の切断位置Xの上方に設けられている。
そして、
図8に示したように、傾倒部材16の実軸である旋回中心Q1が、畳床400を切断する際に、畳床400の被切断側辺に沿って畳床400の上面に配置される床押さえ部材22の畳床の被切断側辺側端部22aに干渉しない位置に設けられている。
また、傾倒部材16の旋回中心Q1が、畳床400の被切断側辺に干渉しない位置に設けられている。
【0078】
このように構成することによって、傾倒部材16の旋回中心Q1が、傾倒部材16の下端で、畳床400の切断位置Xの上方に設けられ、傾倒部材16の旋回中心Q1が、畳床400を切断する際に、畳床400の被切断側辺に沿って畳床400の上面に配置される、床押さえ部材22の畳床の被切断側辺側端部22aに干渉しない位置に設けられている。
【0079】
従って、傾倒部材16が、畳床400の垂直面408に対する畳床400の裁断角度αを設定するために、旋回しても、床押さえ部材22の畳床の被切断側辺側端部22aに干渉しないようになっている。
【0080】
また、畳床400の厚さに応じて、畳床400の垂直面408に対する畳床の裁断角度α、畳床400の垂直面408の刃入れ深さHを調整することができる。
【0081】
その結果、厚みの厚い畳を製造する場合、厚みの薄い畳を製造する場合、ならびに、慣習的なサイズ以外の畳を製造する場合にも、正確な裁断角度α、刃入れ深さHを、簡単に設定できる。
しかも、簡単な構造であり、煩雑な工程が不要で、手間も時間もかからず、コストも低減することが可能な畳床の裁断装置10を提供することができる。
【0082】
また、本発明の畳床の裁断装置10は、
図3に示したように、畳床400の裁断方向Bにおいて、回転刃18よりも上流側に配置されるとともに、走行部材14に連結され、裁断方向Bに対して垂直な方向の垂直裁断刃24を備えている。
【0083】
なお、
図3に示したように、垂直裁断刃24には、上下調整用溝部24aが形成されており、例えば、ボルト・ナットなどの締結部材25によって、垂直裁断刃24の保持部材27に対して、その上下方向の位置が調整できるように構成されている。
【0084】
このように構成することによって、裁断方向Bに対して垂直な方向Cに、旋回中心Q1を中心に傾倒部材16が傾動して、傾倒部材16に備えられた回転刃18が、旋回中心Q1を中心に、畳床の垂直面に対する畳床の裁断角度αで傾動した際にも、裁断方向Bに対して垂直な方向に、回転刃18よりも上流側に配置された垂直裁断刃24を維持することが可能となる。
【0085】
すなわち、本発明の畳床の裁断装置10は、上記のように、
図3に示したように、垂直裁断刃24には、上下調整用溝部24aが形成されており、例えば、ボルト・ナットなどの締結部材25によって、垂直裁断刃24の保持部材27に対して、その上下方向の位置が調整できるように構成されている。
【0086】
従って、このように構成することによって、垂直裁断刃24を、上下に移動調整することにより、裁断方向に対して垂直な方向に畳床400の上部を、垂直方向に切断する深さを調整することが可能となる。
【0087】
従って、回転刃18よりも上流側に配置された垂直裁断刃24によって、裁断方向Bに対して垂直な方向に畳床400の上部を切断した後に、旋回中心Q1を中心に傾動され、傾倒部材16に備えられた回転刃18によって、畳床400の垂直面408に対する畳床の裁断角度αで正確に裁断することが可能となる。
【0088】
従って、傾倒部材16が、畳床の垂直面に対する畳床の裁断角度αを設定するために、旋回しても、垂直裁断刃24は、床押さえ部材22の畳床の被切断側辺側端部22aに干渉しないようになっている。
【0089】
また、本発明の畳床の裁断装置10は、
図8に示したように、床押さえ部材22の畳床の被切断側辺側端部22aが、走行部材14と傾倒部材16に干渉しないように、切断側に傾斜面22bを有する形状である。
【0090】
このように構成することによって、床押さえ部材22の畳床の被切断側辺側端部22aが、切断側に傾斜面22bを有する形状であるので、走行部材14と傾倒部材16に干渉しないようになっている。
【0091】
従って、傾倒部材16が、畳床400の垂直面408に対する畳床の裁断角度αを設定するために、旋回しても、走行部材14と傾倒部材16が、床押さえ部材22の畳床の被切断側辺側端部22aに干渉しないようになっている。
【0092】
また、本発明の畳床の裁断装置10は、走行部材14に連結された傾倒部材16が、畳床400の被切断側辺に対して水平方向に移動自在に構成されている。
【0093】
このように構成することによって、走行部材14に連結された傾倒部材16が、畳床400の被切断側辺に対して水平方向に移動自在に構成されている。
従って、傾倒部材16を、畳床400の被切断側辺に対して、水平方向に移動調整することによって、畳床400の厚さに応じて、畳床400の垂直面408に対する畳床の裁断角度α、畳床400の垂直面408の刃入れ深さHを、正確に調整することができる。
【0094】
具体的には、本発明の畳床の裁断装置10では、
図1~
図7に示したように、走行部材14には、水平方向ブラケット部材26が備えられている。
また、水平方向ブラケット部材26に対して、水平方向に移動自在に連結された傾倒部水平移動部材28を備えている。
そして、傾倒部材16が、傾倒部水平移動部材28に対して、旋回中心Q1を中心に傾動可能に連結されている。
【0095】
このように構成することによって、傾倒部水平移動部材28を、水平方向ブラケット部材26に対して、水平方向に移動調整するとともに、傾倒部材16を、傾倒部水平移動部材28に対して、旋回中心Q1を中心に傾動調整することによって、畳床400の厚さに応じて、畳床400の垂直面408に対する畳床の裁断角度α、畳床400の垂直面408の刃入れ深さHを、正確に調整することができる。
【0096】
また、本発明の畳床の裁断装置10では、
図4、
図7に示したように、水平方向ブラケット部材26には、水平方向に延設された3個の水平案内溝30a~30cが形成されている。
また、傾倒部水平移動部材28には、
図5、
図7に示したように、水平方向ブラケット部材26の水平案内溝30a~30cに対応する位置に、3個の水平移動固定部材32a~32cが備えられている。
【0097】
そして、
図7に示したように、傾倒部水平移動部材28の水平移動固定部材32a~32cを、水平方向ブラケット部材26の水平案内溝30a~30cにスライド固定する。
これにより、水平方向ブラケット部材26に対して、傾倒部水平移動部材28が、水平方向Dに移動固定自在に構成されている。
【0098】
このように構成することによって、傾倒部水平移動部材28の水平移動固定部材32a~32cを、水平方向ブラケット部材26の水平案内溝30a~30cにスライド固定することによって、水平方向ブラケット部材26に対して、傾倒部水平移動部材28が、水平方向Dに移動固定できる。
【0099】
その結果、畳床400の厚さに応じて、畳床400の垂直面408に対する畳床の裁断角度α、畳床400の垂直面408の刃入れ深さHを、正確に調整することができる。
【0100】
なお、
図4に示したように、傾動移動用溝部42aに対応するように、傾動移動用溝部42aよりも大きく開口する視認用開口部43が形成されている。
また、傾動移動用溝部42bに対応するように、傾動移動用溝部42bよりも大きく開口する視認用開口部45が形成されている。
【0101】
また、本発明の畳床の裁断装置10では、
図4、
図7に示したように、水平方向ブラケット部材26には、傾倒部水平移動部材28の水平方向の移動量を示す、例えば、目盛りなどから構成される水平方向指標部30が形成されている。
また、水平方向ブラケット部材26には、水平方向に形成された水平方向指標溝部32が形成されている。
【0102】
さらに、
図5、
図7に示したように、傾倒部水平移動部材28には、水平方向ブラケット部材26の水平方向指標溝部32内を移動可能な水平方向指針部34が形成されている。
これにより、水平方向ブラケット部材に対して、傾倒部水平移動部材の水平方向の移動量を設定することができるように構成されている。
【0103】
このように構成することによって、水平方向ブラケット部材26の水平方向指標溝部32内を移動可能な水平方向指針部34によって、水平方向ブラケット部材26に対して、傾倒部水平移動部材28の水平方向Dの移動量を正確に設定することができる。
【0104】
その結果、畳床400の厚さに応じて、畳床400の垂直面408に対する畳床の裁断角度α、畳床400の垂直面408の刃入れ深さHを、正確に調整することができる。
【0105】
また、本発明の畳床の裁断装置10では、
図5、
図7に示したように、傾倒部水平移動部材28には、傾倒部材16の傾動角度を示す、例えば、目盛りなどからなる傾動角度指標部36が形成されている。
また、傾倒部水平移動部材28には、傾倒部材16の旋回中心Q1に円弧状に形成された傾動角度指標溝部38を備えている。
さらに、傾倒部材16には、傾倒部水平移動部材28の傾動角度指標溝部38内を移動可能な傾動角度指針部40が形成されている。
これにより、傾倒部水平移動部材28に対して、傾倒部材16の傾動角度を設定することができるように構成されている。
【0106】
なお、水平方向ブラケット部材26には、これらの傾動角度指標溝部38と傾動角度指針部40とを外部から視認することができる視認用開口部11が形成されている、
【0107】
このように構成することによって、傾倒部水平移動部材28の傾動角度指標溝部38部内を移動可能な傾動角度指針部40によって、傾倒部水平移動部材28に対して、傾倒部材16の傾動角度を正確に設定することができる。
【0108】
その結果、畳床400の厚さに応じて、畳床400の垂直面408に対する畳床の裁断角度α、畳床の垂直面の刃入れ深さHを、正確に調整することができる。
【0109】
なお、本発明の畳床の裁断装置10では、
図5、
図7に示したように、傾倒部水平移動部材28には、傾倒部材16の旋回中心Q1に円弧状に形成された、2個の傾動移動用溝部42a~42bが形成されている。
【0110】
また、傾倒部材16には、傾倒部水平移動部材28の傾動移動用溝部42a~42bに対応する位置に、傾倒部水平移動部材28の傾動移動用溝部42a~42b内を移動可能な、例えば、ビスなどから構成される2個の傾動固定部材44a~44bが形成されている。
【0111】
これにより、傾倒部材16の傾動固定部材44a~44bを、傾倒部水平移動部材28の傾動移動用溝部42a~42b内で固定することによって、所定の角度で、傾倒部材16を固定することができるように構成されている。
【0112】
このように構成される本発明の畳床の裁断装置10は、
図8に示したように、框102側の裁断する際に、畳を敷き詰めやすいように、断面視で、畳床400の上方を鉛直方向に垂直面408で、下方を内側に傾斜した傾斜面412で、畳床400を裁断するようになっている。
【0113】
このような裁断では、本発明の畳床の裁断装置10では、
図8(A)に示したように、厚さ30mm~60mmの厚みの厚い畳を裁断する場合に、
裁断角度αが、畳床400の垂直面408に対して、畳床を8°の裁断角度α1で裁断するように設定されるとともに、
畳床400の垂直面408の刃入れ深さHが、畳床を13mmの刃入れ深さH1で裁断するように設定され、
厚さ10mm~30mm未満の厚みの薄い畳を裁断する場合に、
裁断角度αが、畳床400の垂直面408に対して、畳床を13°の裁断角度α2で裁断するように設定されるとともに、
畳床400の垂直面408の刃入れ深さHが、畳床を3mmの刃入れ深さH2で裁断するように設定されている。
【0114】
このように構成することによって、厚さ30mm~60mmの厚みの厚い畳を裁断する場合に、
裁断角度αが、畳床400の垂直面408に対して、畳床を8°の裁断角度α1で裁断することができるとともに、
畳床400の垂直面408面の刃入れ深さHが、畳床を13mmの刃入れ深さH1で裁断することができる。
【0115】
また、厚さ10mm~30mm未満の厚みの薄い畳を裁断する場合に、
裁断角度αが、畳床の垂直面に対して、畳床を13°の裁断角度α2で裁断することができるとともに、
畳床400の垂直面408の刃入れ深さHが、畳床を3mmの刃入れ深さH2で裁断することができる。
【0116】
その結果、厚みの厚い畳を製造する場合、厚みの薄い畳を製造する場合にも、正確な裁断角度α、刃入れ深さHを、簡単に設定できる。
【0117】
なお、
図8(A)において、距離Eは、垂直裁断刃24の切断面から、傾倒部材16の回転刃18の旋回中心Q1のオフセット値が、水平方向に、例えば、0.2mmある状態を示している。
すなわち、傾倒部材16の回転刃18の旋回中心Q1が、垂直裁断刃24の切断面から、外側(
図8(A)において右側)に位置することを示している。
【0118】
このように、垂直裁断刃24の切断面から、回転刃18の旋回中心Q1を、同一線上よりも、距離E(例えば、0.2mm)だけ水平方向外側にずらすことによって、裁断角度αと刃入れ深さHの関係を、裁断角度8度で13m、裁断角度13度で3mmとなるように正確に調整できるようになるためである。
【0119】
また、傾倒部水平移動部材28を、水平方向ブラケット部材26に対して、水平方向に移動調整することにより、結果として、
図8(B)に示したように、
図8(A)よりも、外側(
図8(A)において右側)に、傾倒部材16(回転刃18)を、水平方向に移動調整することができる。
また、傾倒部水平移動部材28に対して、傾倒部材16を旋回中心Q1を中心に傾動することによって、裁断角度αを移動調整することができる。
【0120】
これによって、畳床400の厚さに応じて、畳床400の垂直面408に対する畳床400の裁断角度α、畳床400の垂直面408の刃入れ深さHを、無段階でかつ正確に調整することができる。
【0121】
このように構成される実施例1の畳床の裁断装置10では、傾倒部材16の旋回中心Q1が、傾倒部材16の下端で、畳床400の切断位置Xの上方に設けられ、傾倒部材16の旋回中心Q1が、畳床400を切断する際に、畳床400の被切断側辺に沿って畳床400の上面に配置される、床押さえ部材22の畳床の被切断側辺側端部22aに干渉しない位置に設けられている。
【0122】
従って、傾倒部材16が、畳床400の垂直面408に対する畳床400の裁断角度αを設定するために、旋回しても、床押さえ部材22の畳床の被切断側辺側端部22aに干渉しないようになっている。
【0123】
また、畳床400の厚さに応じて、畳床400の垂直面408に対する畳床400の裁断角度α、畳床の垂直面の刃入れ深さHを調整することができる。
【0124】
また、走行部材14に連結された傾倒部材16が、
図8(B)に示したように、畳床400の被切断側辺に対して水平方向に移動自在に構成されている。
従って、傾倒部材16を、水平方向に移動調整することによって、畳床400の厚さに応じて、畳床400の垂直面408に対する畳床400の裁断角度α、畳床400の垂直面408の刃入れ深さHを、無段階でかつ正確に調整することができる。
【0125】
その結果、厚みの厚い畳を製造する場合、厚みの薄い畳を製造する場合、ならびに、慣習的なサイズ以外の畳を製造する場合にも、無段階でかつ正確な裁断角度α、刃入れ深さHを、簡単に設定できる。
しかも、簡単な構造であり、煩雑な工程が不要で、手間も時間もかからず、コストも低減することが可能な畳床の裁断装置10を提供することができる。
(実施例2)
【0126】
図9は、厚みの厚い畳を裁断する場合に、裁断角度αが、畳床400の垂直面408に対して、畳床を8°の裁断角度α1で裁断する場合を示す本発明の別の実施例の畳床の裁断装置10の正面図、
図10は、厚みの薄い畳を裁断する場合に、裁断角度αが、畳床400の垂直面408に対して、畳床を13°の裁断角度α2で裁断する場合を示す本発明の別の実施例の畳床の裁断装置10の正面図、
図11は、
図9および
図10のA方向の側面図、
図12は、本発明の畳床の裁断装置10の走行部材14の水平方向ブラケット部材26の分解図、
図13は、本発明の畳床の裁断装置10の傾倒部材16の分解図、
図14は、本発明の畳床の裁断装置10の走行部材14の水平方向ブラケット部材26と、傾倒部材16の組み立て状態を説明する分解図、
図15は、本発明の本発明の畳床の裁断装置10によって、厚みの厚い畳を裁断する場合と、厚みの薄い畳を裁断する場合の概略を説明する部分拡大図である。
【0127】
この実施例の畳床の裁断装置10は、
図1~
図8に示した実施例1の畳床の裁断装置10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0128】
図1~
図8に示した実施例1の畳床の裁断装置10では、走行部材14に連結された傾倒部材16が、畳床400の被切断側辺に対して水平方向に移動自在に構成されている。
これに対して、この実施例の畳床の裁断装置10では、
図9~
図15に示したように、走行部材14に連結された傾倒部材16が、走行部材14に対して、水平方向には移動できず、傾動方向に旋回のみできる構造となっている。
【0129】
従って、この実施例の畳床の裁断装置10では、傾倒部水平移動部材28が省略されている。
【0130】
この実施例の畳床の裁断装置10では、走行部材14の水平方向ブラケット部材26には、
図12~
図14に示したように、傾倒部材16の旋回中心Q1に円弧状に形成された、1個の傾動移動用溝部46が形成されている。
【0131】
また、傾倒部材16には、水平方向ブラケット部材26の傾動移動用溝部46に対応する位置に、水平方向ブラケット部材26の傾動移動用溝部46内を移動可能な、例えば、ビスなどから構成される1個の傾動固定部材48が形成されている。
【0132】
これにより、傾倒部材16の傾動固定部材48を、水平方向ブラケット部材26の傾動移動用溝部46内で固定することによって、所定の角度で、傾倒部材16を固定することができるように構成されている。
【0133】
このように構成される畳床の裁断装置10においても、
図9~
図15に示したように、傾倒部材16の旋回中心Q1が、傾倒部材16の下端で、畳床400の切断位置Xの上方に設けられている。
そして、
図15に示したように、傾倒部材16の実軸である旋回中心Q1が、畳床400を切断する際に、畳床400の被切断側辺に沿って畳床400の上面に配置される床押さえ部材22の畳床の被切断側辺側端部22aに干渉しない位置に設けられている。
また、傾倒部材16の旋回中心Q1が、畳床400の被切断側辺に干渉しない位置に設けられている。
【0134】
このように構成することによって、傾倒部材16の旋回中心Q1が、傾倒部材16の下端で、畳床400の切断位置Xの上方に設けられ、傾倒部材16の旋回中心Q1が、畳床400を切断する際に、畳床400の被切断側辺に沿って畳床400の上面に配置される、床押さえ部材22の畳床の被切断側辺側端部22aに干渉しない位置に設けられている。
【0135】
従って、傾倒部材16が、畳床400の垂直面408に対する畳床400の裁断角度αを設定するために、旋回しても、床押さえ部材22の畳床の被切断側辺側端部22aに干渉しないようになっている。
【0136】
また、畳床400の厚さに応じて、畳床400の垂直面408に対する畳床の裁断角度α、畳床400の垂直面408の刃入れ深さHを調整することができる。
【0137】
その結果、厚みの厚い畳を製造する場合、厚みの薄い畳を製造する場合、ならびに、慣習的なサイズ以外の畳を製造する場合にも、正確な裁断角度α、刃入れ深さHを、簡単に設定できる。
しかも、簡単な構造であり、煩雑な工程が不要で、手間も時間もかからず、コストも低減することが可能な畳床の裁断装置10を提供することができる。
【0138】
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば、上記実施例では、畳床400の裁断方向Bにおいて、畳床の裁断装置10を、畳床400の裁断方向Bに移動可能な移動機構を備えるように構成したが、移動機構を移動不能(固定)にして、畳床400を載置する載置台の方を、移動するようにして裁断することも可能であるなど本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0139】
本発明は、例えば、縁無し畳、縁付き畳などの畳に用いる畳床の裁断装置に適用することができる。
【0140】
より詳細には、本発明は、特に、畳床を断面視で、上方を鉛直方向に垂直面(刃入れ深さH)で、下方を内側に傾斜した傾斜面(裁断角度)で、畳床を裁断するための畳床の裁断装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0141】
10 畳床の裁断装置
11 視認用開口部
12 フレーム部材
12a 上部案内レール
12b 下部案内レール
14 走行部材
14a 上部案内溝
14b 下部案内溝
16 傾倒部材
18 回転刃
18a 回転軸
18b プーリー
20 駆動モーター
20a プーリー
22 床押さえ部材
22a 被切断側辺側端部
22b 傾斜面
24 垂直裁断刃
24a 上下調整用溝部
25 締結部材
26 水平方向ブラケット部材
27 保持部材
28 傾倒部水平移動部材
30 水平方向指標部
30a~30c 水平案内溝
32 水平方向指標溝部
32a~32c 水平移動固定部材
34 水平方向指針部
36 傾動角度指標部
38 傾動角度指標溝部
40 傾動角度指針部
42a~42b 傾動移動用溝部
44a~44b 傾動固定部材
43、45 視認用開口部
46 傾動移動用溝部
48 傾動固定部材
100 畳床の裁断装置
102 レール
104 支持部
106 回転刃
108 昇降シリンダー
112 テーブル
114 フレーム
200 畳床の裁断装置
202 フレーム
204 走行部材
206、206 長穴
208 支持用基板
210、210 ピン
212 刃物用基板
214 架台
216 裁断刃
218 刃物アッセンブリ
224 スペーサ
300 畳床の裁断装置
302 枢軸
304 傾動台
306 送り台
308 ボルト
310 円弧溝
312 締結部材
314 中間カッター
316 後続カッター
400 畳床
402 框
408 垂直面
412 傾斜面
B 裁断方向
C 裁断方向Bに対して垂直な方向
D 水平方向
P 旋回中心
Q1 旋回中心
X 切断位置
α 裁断角度
α1 裁断角度
α2 裁断角度