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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103036
(43)【公開日】2023-07-26
(54)【発明の名称】振れ補正機能付き光学ユニット
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20230719BHJP
   H04N 23/54 20230101ALI20230719BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20230719BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20230719BHJP
【FI】
G03B5/00 J
H04N5/225 300
H04N5/225 100
G03B30/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003865
(22)【出願日】2022-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】南澤 伸司
(72)【発明者】
【氏名】新井 努
(72)【発明者】
【氏名】須江 猛
【テーマコード(参考)】
2K005
5C122
【Fターム(参考)】
2K005AA20
2K005CA04
2K005CA22
2K005CA44
2K005CA53
5C122DA09
5C122EA05
5C122EA41
5C122EA54
5C122FB08
5C122FB23
5C122GE04
5C122GE05
5C122GE07
5C122GE11
5C122GE22
5C122HA82
(57)【要約】
【課題】カメラモジュールが内周側に固定されるホルダを有する振れ補正機能付き光学ユニットにおいて、ホルダの強度を確保しつつ、カメラモジュールの径方向でホルダを小型化することが可能な振れ補正機能付き光学ユニットを提供する。
【解決手段】この振れ補正機能付き光学ユニットでは、カメラモジュールが内周側に固定される枠状のホルダ14は、金属材料で形成される金属部32と、樹脂材料で形成されるとともにインサート成形によって金属部32と一体になった樹脂部33とによって構成されている。金属部32は、磁性材料で形成されるとともに駆動用磁石が固定される磁石固定部32a、32bと、ホルダ14の回動の支点となる金属製の球体が接触する球体接触部32c、32dとを備えている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラモジュールを有する可動体と、前記可動体を回動可能に保持する中間部材と、前記中間部材を回動可能に保持する固定体と、前記カメラモジュールの光軸が任意の方向に傾くように前記固定体に対して前記可動体を回動させるための磁気駆動機構と、前記中間部材に対する前記可動体の回動の支点となる第1支点部と、前記固定体に対する前記中間部材の回動の支点となる第2支点部とを備え、
前記可動体は、前記カメラモジュールの光軸に交差する第1交差方向を回動の軸方向として前記中間部材に対して回動可能となっており、
前記中間部材は、前記第1交差方向に交差するとともに前記カメラモジュールの光軸に交差する第2交差方向を回動の軸方向として前記固定体に対して回動可能になっており、
前記第1支点部は、前記第1交差方向における前記中間部材の両端側に配置され、
前記可動体は、前記カメラモジュールが内周側に固定される枠状のホルダを備え、
前記中間部材は、前記第1交差方向における前記中間部材の端部を構成する2個の腕部を備え、
前記磁気駆動機構は、前記ホルダに固定される駆動用磁石と、前記固定体に固定される駆動用コイルとを備え、
前記第1支点部は、前記腕部と前記ホルダとの間に配置される球体を備え、
前記ホルダは、金属材料で形成される金属部と、樹脂材料で形成されるとともにインサート成形によって前記金属部と一体になった樹脂部とによって構成され、
前記金属部は、磁性材料で形成されるとともに前記駆動用磁石が固定される磁石固定部と、前記球体が接触する球体接触部とを備えることを特徴とする振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項2】
前記カメラモジュールの光軸の方向である光軸方向における前記樹脂部の両端は、前記光軸方向における前記金属部の両端よりも前記光軸方向の外側に配置されていることを特徴とする請求項1記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項3】
前記カメラモジュールの光軸の方向である光軸方向に直交する前記ホルダの径方向における前記樹脂部の外側端は、前記ホルダの径方向における前記金属部の外側端よりも前記ホルダの径方向の外側に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項4】
前記カメラモジュールの光軸の方向である光軸方向から見たときの前記ホルダの外形は、正方形状または長方形状となっており、
前記磁石固定部は、前記光軸方向から見たときに、外形が正方形状または長方形状をなす前記ホルダの4辺のうちの隣接する2辺に配置され、
前記球体接触部は、前記光軸方向から見たときに、外形が正方形状または長方形状をなす前記ホルダの4個の角部のうちの一方の対角線上に配置される2個の角部に配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項5】
2個の前記球体接触部のうちの1個の前記球体接触部は、前記ホルダの周方向において2個の前記磁石固定部の間に配置され2個の前記磁石固定部と一体で形成されていることを特徴とする請求項4記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項6】
前記中間部材は、板バネであり、
前記腕部は、前記ホルダの内周側に配置されるとともに前記ホルダに向かって前記球体を付勢し、
前記ホルダは、前記光軸方向から見たときに、前記球体接触部が配置されていない他方の対角線上において分割される第1ホルダ部および第2ホルダ部によって構成され、
別体で形成された前記第1ホルダ部と前記第2ホルダ部とが互いに固定されていることを特徴とする請求項4または5記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯機器等に搭載される振れ補正機能付き光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯機器等に搭載される振れ補正機能付き光学ユニットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の振れ補正機能付き光学ユニットは、光学モジュールを有する可動体と、可動体を回動可能に保持するジンバルフレームと、ジンバルフレームを回動可能に保持する固定体と、固定体に対して可動体を揺動させる振れ補正用駆動機構とを備えている。可動体は、ジンバルフレームに対して光学モジュールの光軸に直交する第1軸回りに回動可能になっている。ジンバルフレームは、固定体に対して光軸および第1軸に直交する第2軸回りに回動可能になっている。
【0003】
特許文献1に記載の振れ補正機能付き光学ユニットでは、可動体は、光学モジュールを保持するホルダ枠を備えている。ホルダ枠は、樹脂材料で形成されている。振れ補正用駆動機構は、ホルダ枠に固定される駆動用磁石と、固定体に固定される駆動用コイルとを備えている。ホルダ枠には、駆動用磁石が配置される磁石配置用凹部が形成されている。ホルダ枠が樹脂製であるため、磁石配置用凹部には、板状のヨーク部材が配置されている。
【0004】
また、特許文献1に記載の振れ補正機能付き光学ユニットでは、可動体の第1軸上の対角位置に、ジンバルフレームに対する可動体の回動の支点となる第1支点部が配置されている。第1支点部は、ジンバルフレームとホルダ枠との間に配置される金属製の第1球体を備えている。球状に形成された金属製の第1球体を樹脂製のホルダ枠に所定の固定強度で固定することは困難であるため、第1支点部は、第1球体が固定されるとともにホルダ枠に固定される金属製の第1スラスト受け部材を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-160370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の振れ補正機能付き光学ユニットでは、ホルダ枠が樹脂材料で形成されている。したがって、この振れ補正機能付き光学ユニットでは、ホルダ枠の強度を確保するために光学モジュールの径方向におけるホルダ枠の厚さを厚くする必要がある。しかしながら、光学モジュールの径方向におけるホルダ枠の厚さを厚くすると、光学モジュールの径方向でホルダ枠が大型化して、その結果、光学モジュールの径方向で振れ補正機能付き光学ユニットが大型化するおそれがある。
【0007】
そこで、本発明の課題は、カメラモジュールが内周側に固定されるホルダを有する振れ補正機能付き光学ユニットにおいて、ホルダの強度を確保しつつ、カメラモジュールの径方向でホルダを小型化することが可能な振れ補正機能付き光学ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の振れ補正機能付き光学ユニットは、カメラモジュールを有する可動体と、可動体を回動可能に保持する中間部材と、中間部材を回動可能に保持する固定体と、カメラモジュールの光軸が任意の方向に傾くように固定体に対して可動体を回動させるための磁気駆動機構と、中間部材に対する可動体の回動の支点となる第1支点部と、固定体に対する中間部材の回動の支点となる第2支点部とを備え、可動体は、カメラモジュールの光軸に交差する第1交差方向を回動の軸方向として中間部材に対して回動可能となっており、中間部材は、第1交差方向に交差するとともにカメラモジュールの光軸に交差する第2交差方向を回動の軸方向として固定体に対して回動可能になっており、第1支点部は、第1交差方向における中間部材の両端側に配置され、可動体は、カメラモジュールが内周側に固定される枠状のホルダを備え、中間部材は、第1交差方向における中間部材の端部を構成する2個の腕部を備え、磁気駆動機構は、ホルダに固定される駆動用磁石と、固定体に固定される駆動用コイルとを備え、第1支点部は、腕部とホルダとの間に配置される球体を備え、ホルダは、金属材料で形成される金属部と、樹脂材料で形成されるとともにインサート成形によって金属部と一体になった樹脂部とによって構成され、金属部は、磁性材料で形成されるとともに駆動用磁石が固定される磁石固定部と、球体が接触する球体接触部とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の振れ補正機能付き光学ユニットでは、カメラモジュールが内周側に固定される枠状のホルダは、金属材料で形成される金属部と、樹脂材料で形成されるとともにインサート成形によって金属部と一体になった樹脂部とによって構成されている。そのため、本発明では、金属部の作用によって、ホルダの強度を確保しつつ、カメラモジュールの径方向におけるホルダの厚さを薄くすることが可能になる。したがって、本発明では、ホルダの強度を確保しつつ、カメラモジュールの径方向でホルダを小型化することが可能になる。
【0010】
また、本発明では、金属部は、磁性材料で形成されるとともに駆動用磁石が固定される磁石固定部と、球体が接触する球体接触部とを備えている。そのため、本発明では、特許文献1に記載の振れ補正機能付き光学ユニットのようにヨーク部材および第1スラスト受け部材を設ける必要がない。したがって、本発明では、振れ補正機能付き光学ユニットの構成を簡素化して、振れ補正機能付き光学ユニットを小型化することが可能になる。また、本発明では、ホルダの一部が樹脂材料で形成された樹脂部になっているため、ホルダの全体が金属材料で形成されている場合と比較して、ホルダを軽量化することが可能になり、その結果、振れ補正機能付き光学ユニットを軽量化することが可能になる。
【0011】
本発明において、カメラモジュールの光軸の方向である光軸方向における樹脂部の両端は、光軸方向における金属部の両端よりも光軸方向の外側に配置されていることが好ましい。このように構成すると、たとえば、落下等の衝撃が振れ補正機能付き光学ユニットに加わってホルダが光軸方向に過剰に動いたときに、振れ補正機能付き光学ユニットを構成する他の部品に金属部が接触するのを防止することが可能になる。したがって、ホルダが光軸方向に過剰に動いたときの、他の部品の損傷を防止することが可能になる。
【0012】
本発明において、カメラモジュールの光軸の方向である光軸方向に直交するホルダの径方向における樹脂部の外側端は、ホルダの径方向における金属部の外側端よりもホルダの径方向の外側に配置されていることが好ましい。このように構成すると、たとえば、落下等の衝撃が振れ補正機能付き光学ユニットに加わってホルダが径方向に過剰に動いたときに、振れ補正機能付き光学ユニットを構成する他の部品に金属部が接触するのを防止することが可能になる。したがって、ホルダが径方向に過剰に動いたときの、他の部品の損傷を防止することが可能になる。
【0013】
本発明において、たとえば、カメラモジュールの光軸の方向である光軸方向から見たときのホルダの外形は、正方形状または長方形状となっており、磁石固定部は、光軸方向から見たときに、外形が正方形状または長方形状をなすホルダの4辺のうちの隣接する2辺に配置され、球体接触部は、光軸方向から見たときに、外形が正方形状または長方形状をなすホルダの4個の角部のうちの一方の対角線上に配置される2個の角部に配置されている。
【0014】
本発明において、2個の球体接触部のうちの1個の球体接触部は、ホルダの周方向において2個の磁石固定部の間に配置され2個の磁石固定部と一体で形成されていることが好ましい。このように構成すると、2個の磁石固定部と球体接触部とが別体で形成されている場合と比較して、ホルダを製作する際の部品の取扱いが容易になる。
【0015】
本発明において、中間部材は、板バネであり、腕部は、ホルダの内周側に配置されるとともにホルダに向かって球体を付勢し、ホルダは、光軸方向から見たときに、球体接触部が配置されていない他方の対角線上において分割される第1ホルダ部および第2ホルダ部によって構成され、別体で形成された第1ホルダ部と第2ホルダ部とが互いに固定されていることが好ましい。
【0016】
枠状のホルダの全体がインサート成形によって一体で形成される場合には、ホルダに向かって球体を付勢する2個の腕部をホルダの内周側に配置するときに、ホルダの内周側まで腕部を弾性変形させた状態で2個の腕部をホルダの内周側に配置する必要が生じるため、振れ補正機能付き光学ユニットが小型化してホルダおよび中間部材が小型化すると、2個の腕部をホルダの内周側に配置しにくくなるが、このように構成すると、別体で形成された第1ホルダ部と第2ホルダ部との間に2個の腕部を配置した状態で第1ホルダ部と第2ホルダ部とを互いに固定することで、2個の腕部をホルダの内周側に配置することが可能になる。したがって、2個の腕部をホルダの内周側に配置しやすくなる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明では、カメラモジュールが内周側に固定されるホルダを有する振れ補正機能付き光学ユニットにおいて、ホルダの強度を確保しつつ、カメラモジュールの径方向でホルダを小型化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態にかかる振れ補正機能付き光学ユニットの斜視図である。
図2図1に示す振れ補正機能付き光学ユニットの分解斜視図である。
図3図2のE部の構成を説明するための拡大図である。
図4図2に示すホルダ、磁気駆動機構および球体を抜き出して示す平面図である。
図5図2に示すホルダを別の方向から示す斜視図である。
図6図5に示す金属部の斜視図である。
図7図5に示す第1ホルダ部と第2ホルダ部とが固定される前の状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
(振れ補正機能付き光学ユニットの全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる振れ補正機能付き光学ユニット1の斜視図である。図2は、図1に示す振れ補正機能付き光学ユニット1の分解斜視図である。図3は、図2のE部の構成を説明するための拡大図である。図4は、図2に示すホルダ14、磁気駆動機構8、9および球体21を抜き出して示す平面図である。
【0021】
以下の説明では、図1等に示すように、互いに直交する3方向のそれぞれをX方向、Y方向およびZ方向とし、X方向を左右方向、Y方向を前後方向、Z方向を上下方向とする。また、左右方向の一方側である図1等のX1方向側を「右」側とし、その反対側である図1等のX2方向側を「左」側とし、前後方向の一方側である図1等のY1方向側を「前」側とし、その反対側である図1等のY2方向側を「後ろ」側とし、上下方向の一方側である図1等のZ1方向側を「上」側とし、その反対側である図1等のZ2方向側を「下」側とする。
【0022】
本形態の振れ補正機能付き光学ユニット1(以下、「光学ユニット1」とする。)は、たとえば、スマートフォン等の携帯機器に搭載される小型かつ薄型のユニットであり、撮影用のレンズおよび撮像素子を有するカメラモジュール2を備えている。光学ユニット1は、撮影時に振れが発生した場合の撮像画像に乱れが発生することを回避するための振れ補正機能を備えている。光学ユニット1は、全体として厚さの薄い扁平な直方体状に形成されている。本形態の光学ユニット1は、カメラモジュール2の光軸Lの方向である光軸方向から見たときの形状が正方形状となるように形成されている。光学ユニット1の4つの側面は、左右方向と上下方向とから構成されるZX平面または前後方向と上下方向とから構成されるYZ平面と平行になっている。
【0023】
光学ユニット1は、カメラモジュール2を有する可動体3(図1参照)と、可動体3を回動可能に保持する中間部材4と、中間部材4を回動可能に保持する固定体5(図1参照)とを備えている。可動体3は、カメラモジュール2の光軸Lに交差する第1交差方向(図1等のV方向)を回動の軸方向として中間部材4に対して回動可能となっている。すなわち、可動体3は、第1交差方向を軸線方向とする第1軸線L1(図4参照)を回動中心にして中間部材4に対して回動可能となっている。本形態の第1交差方向は、光軸Lに直交している。
【0024】
中間部材4は、第1交差方向に交差するとともにカメラモジュール2の光軸Lに交差する第2交差方向(図1等のW方向)を回動の軸方向として固定体5に対して回動可能となっている。すなわち、中間部材4は、第2交差方向を軸線方向とする第2軸線L2(図4参照)を回動中心にして固定体5に対して回動可能となっている。本形態では、第2交差方向は、第1交差方向に直交している。このように、可動体3と固定体5との間には、2軸のジンバル機構が構成されている。
【0025】
本形態では、後述の駆動用コイル25、27に電流が供給されていないときに、可動体3が所定の基準位置に配置されており、カメラモジュール2の光軸Lが所定の基準位置に配置されている。可動体3が基準位置に配置されていてカメラモジュール2の光軸Lが基準位置にあるときには、カメラモジュール2の光軸方向は、上下方向と一致している。なお、振れ補正が行われるときの、上下方向に対するカメラモジュール2の光軸Lの傾きはわずかである。そのため、カメラモジュール2の光軸方向は、上下方向とほぼ一致している。
【0026】
また、可動体3が基準位置に配置されているときには、第2交差方向(W方向)は、光軸Lに直交している。すなわち、可動体3が基準位置に配置されていて中間部材4に対して回動していないときには、第2交差方向は、光軸Lに直交している。一方、可動体3が中間部材4に対して回動しているときには、第2交差方向は、光軸Lに交差してはいるが、直角には交わっていない。第2交差方向(W方向)は、上側から見たときに、前後方向に対して図4の時計回りの方向へ約45°ずれた方向となっている。
【0027】
光学ユニット1は、カメラモジュール2の光軸Lが任意の方向に傾くように固定体5に対して可動体3を回動させるための磁気駆動機構8、9を備えている(図4参照)。また、光学ユニット1は、中間部材4に対する可動体3の回動の支点となる第1支点部12と、固定体5に対する中間部材4の回動の支点となる第2支点部13とを備えている。第1支点部12は、第1交差方向における中間部材4の両端側に配置され、第2支点部13は、第2交差方向における中間部材4の両端側に配置されている。
【0028】
可動体3は、全体として光軸方向の厚さが薄い扁平な略直方体状に形成されている。可動体3は、カメラモジュール2が内周側に固定される枠状のホルダ14を備えている。ホルダ14は、正方形の枠状に形成されており、光軸方向から見たときのホルダ14の外形は、正方形状となっている。また、可動体3が基準位置に配置されているときには、外形が正方形状をなすホルダ14の外周面を構成する4辺のうちの2辺は、前後方向と平行になっており、残りの2辺は、左右方向と平行になっている。ホルダ14の具体的な構成については後述する。
【0029】
カメラモジュール2は、ホルダ14によってカメラモジュール2の下端部の外周側が覆われるように、ホルダ14の内周面に固定されている。上述のように、カメラモジュール2は、レンズおよび撮像素子を備えている。撮像素子は、カメラモジュール2の下端側に配置されており、カメラモジュール2の上側に配置される被写体がカメラモジュール2によって撮影される。カメラモジュール2は、撮像素子が実装される配線基板15を備えている(図2参照)。配線基板15は、ガラスエポキシ基板等のリジッド基板である。配線基板15からは、フレキシブルプリント基板(図示省略)が引き出されている。
【0030】
上述のように、振れ補正が行われるときの、上下方向に対するカメラモジュール2の光軸Lの傾きはわずかであり、カメラモジュール2の光軸方向は、上下方向とほぼ一致している。そのため、カメラモジュール2の光軸方向の一方側(具体的には、カメラモジュール2の光軸方向において被写体が配置される側)を被写体側とし、被写体側の反対側(具体的には、カメラモジュール2の光軸方向において撮像素子が配置される側)を反被写体側とすると、被写体側は、上側とほぼ一致し、反被写体側は、下側とほぼ一致している。
【0031】
中間部材4は、ステンレス鋼等の金属材料によって形成されている。また、中間部材4は、バネ性を有する金属板を所定形状に折り曲げることで形成された板バネである。中間部材4は、ホルダ14よりも上側に配置される基部4aと、基部4aから第1交差方向の両側に向かって伸びる2個の腕部4bと、基部4aから第2交差方向の両側に向かって伸びる2個の腕部4cとによって構成されている。基部4aは、略正方形の枠状に形成されている。基部4aの内周側には、カメラモジュール2の上端部が配置されている。
【0032】
腕部4bは、第1交差方向における基部4aの両端部に繋がっている。腕部4bは、第1交差方向における中間部材4の端部を構成している。腕部4bは、下側に向かって折れ曲がっている。腕部4bの先端部4dは、第1交差方向を厚さ方向とする平板状に形成されている。先端部4dは、ホルダ14の内周側に配置されている。また、先端部4dは、カメラモジュール2の外周側に配置されている。先端部4dの下端部には、第1支点部12を構成する後述の球体21の一部が配置される半球状の凹部4eが形成されている(図3参照)。凹部4eは、第1交差方向の内側に向かって窪んでいる。
【0033】
腕部4cは、第2交差方向における基部4aの両端部に繋がっている。腕部4cは、第2交差方向における中間部材4の端部を構成している。腕部4cは、下側に向かって折れ曲がっている。腕部4cの先端部4fは、第2交差方向を厚さ方向とする平板状に形成されている。先端部4fは、ホルダ14の外周側に配置されている。また、先端部4fは、後述の配置穴17aの中に配置されている。先端部4fの下端部には、第2支点部13の一部を構成する後述の球体23の一部が配置される半球状の凹部4gが形成されている(図2参照)。凹部4gは、第2交差方向の内側に向かって窪んでいる。
【0034】
固定体5は、可動体3および中間部材4の外周側に配置される枠状のケース体17と、ケース体17の下面を覆うカバー部材18と、ケース体17の側面および上面を覆うカバー部材19とを備えている。中間部材4は、ケース体17に回動可能に保持されている。ケース体17は、樹脂材料で形成されている。ケース体17は、上下方向の両端が開口する扁平な四角筒状に形成されている。上下方向から見たときのケース体17の形状は、正方形の枠状となっている。
【0035】
上下方向から見たときに、外形が正方形状をなすケース体17の外周面を構成する4辺のうちの2辺は、前後方向と平行になっており、残りの2辺は、左右方向と平行になっている。ケース体17には、第2支点部13の一部を構成する後述の支持部材22が配置されて固定される配置穴17aが形成されている(図2参照)。配置穴17aは、第2交差方向におけるケース体17の両端部に形成されている。すなわち、配置穴17aは、ケース体17の左前端の角部と右後端の角部との2箇所に形成されている。
【0036】
カバー部材18は、正方形の平板状に形成される底部18aと、底部18aから上側に向かって立ち上がる四角筒状の筒部18bとを有する有底四角筒状に形成されている。上下方向から見たときのカバー部材18の外形は、正方形となっている。上下方向から見たときに、外形が正方形状をなすカバー部材18の外周面を構成する4辺のうちの2辺は、前後方向と平行になっており、残りの2辺は、左右方向と平行になっている。底部18aは、光学ユニット1の底面を構成している。筒部18bは、カバー部材19の一部を構成する後述の筒部19bの下端部の外周側を覆っている。筒部18bは、光学ユニット1の側面の一部を構成している。
【0037】
カバー部材19は、ケース体17の上端面を覆う平板状の覆部19aと、覆部19aから下側に向かって伸びる四角筒状の筒部19bとによって構成されている。覆部19aは、正方形の枠状に形成されている。上下方向から見たときのカバー部材19の外形は、正方形となっている。上下方向から見たときに、外形が正方形状をなすカバー部材19の外周面を構成する4辺のうちの2辺は、前後方向と平行になっており、残りの2辺は、左右方向と平行になっている。覆部19aの内周側には、カメラモジュール2および中間部材4の一部が配置されている。筒部19bは、ケース体17の外周側を覆っている。筒部19bは、光学ユニット1の側面の一部を構成している。
【0038】
第1支点部12は、腕部4bとホルダ14との間に配置される球状の球体21を備えている。本形態では、球体21が第1支点部12となっている。球体21は、金属材料で形成されている。球体21は、ホルダ14に固定されている。球体21の一部は、腕部4bの凹部4eの中に配置されている。球体21は、第1交差方向の外側から凹部4eに接触している。球体21は、腕部4bのバネ性によって、ホルダ14に向かって付勢されている。すなわち、腕部4bは、ホルダ14に向かって球体21を付勢している。また、腕部4bは、第1交差方向の外側に球体21を付勢している。
【0039】
第2支点部13は、固定体5に固定される支持部材22と、腕部4cと支持部材22との間に配置される球状の球体23(図2参照)とを備えている。支持部材22は、平板状の金属板を所定形状に折り曲げることで形成されている。支持部材22は、配置穴17aの中に配置されている。また、支持部材22は、配置穴17aに固定されている。すなわち、支持部材22は、ケース体17に固定されている。球体23は、金属材料で形成されている。球体23は、支持部材22に固定されている。
【0040】
球体23の一部は、腕部4cの凹部4gの中に配置されている。球体23は、第2交差方向の外側から凹部4gに接触している。支持部材22および球体23は、第2腕部4cのバネ性によって、ケース体17に向かって付勢されている。すなわち、第2腕部4cは、ケース体17に向かって支持部材22および球体23を付勢している。また、第2腕部4cは、第2交差方向の外側に支持部材22および球体23を付勢している。
【0041】
磁気駆動機構8は、左右方向で対向配置される駆動用磁石24および駆動用コイル25を備えている。磁気駆動機構9は、前後方向で対向配置される駆動用磁石26および駆動用コイル27を備えている。駆動用磁石24、26は、長方形の平板状に形成されている。駆動用磁石24、26は、ホルダ14に固定されている。駆動用コイル25、27は、たとえば、導線が空芯状に巻回されることで形成された空芯コイルである。
【0042】
駆動用磁石24は、ホルダ14の左面側に固定されている。駆動用コイル25は、ケース体17の左面部に形成される貫通穴の中に配置されている。また、駆動用コイル25は、フレキシブルプリント基板28(以下、「FPC28」とする。)に実装されている。磁気駆動機構8は、カメラモジュール2の光軸Lに直交するとともに前後方向に平行な軸線を回動中心にして固定体5に対して可動体3を回動させる。
【0043】
駆動用磁石26は、ホルダ14の後面側に固定されている。駆動用コイル27は、ケース体17の後面部に形成される貫通穴の中に配置されている。また、駆動用コイル27は、FPC28に実装されている。磁気駆動機構9は、カメラモジュール2の光軸Lに直交するとともに左右方向に平行な軸線を回動中心にして固定体5に対して可動体3を回動させる。FPC28は、ケース体17の後面、左側面および前面に沿って引き回されている。FPC28は、ケース体17の外周面に固定されている。すなわち、駆動用コイル25、27は、FPC28を介して固定体5に固定されている。
【0044】
光学ユニット1では、可動体3の傾きの変化を検知するための所定の検知機構によって可動体3の傾きの変化が検知されると、この検知機構の検知結果に基づいて、駆動用コイル25および駆動用コイル27の少なくともいずれか一方に電流が供給されて、振れが補正される。磁気駆動機構8および磁気駆動機構9は、第1軸線L1および第2軸線L2の少なくともいずれか一方を回動中心にして固定体5に対して可動体3を回動させる。
【0045】
(ホルダの構成)
図5は、図2に示すホルダ14を別の方向から示す斜視図である。図6は、図5に示す金属部32の斜視図である。図7は、図5に示す第1ホルダ部35と第2ホルダ部36とが固定される前の状態を示す平面図である。
【0046】
上述のように、光軸方向から見たときのホルダ14の外形は、正方形状となっている。本形態では、図4に示すように、光軸方向から見たときの外形が正方形状をなすホルダ14の四隅は、面取りされた状態となっている。ホルダ14は、金属材料で形成される金属部32と、樹脂材料で形成されるとともにインサート成形によって金属部32と一体になった樹脂部33とによって構成されている。すなわち、ホルダ14は、金属部32と、インサート成形によって金属部32と一体化した樹脂部33とによって構成されている。
【0047】
図6に示すように、金属部32は、光軸方向の両端が開口する扁平な四角筒状に形成されている。光軸方向から見たときの金属部32の外形は、正方形状となっている。本形態では、光軸方向から見たときの外形が正方形状をなす金属部32の四隅は、面取りされた状態となっている。また、本形態では、金属部32の全体が磁性材料で形成されている。金属部32は、駆動用磁石24が固定される磁石固定部32aと、駆動用磁石26が固定される磁石固定部32bと、球体21が接触する球体接触部32c、32dとを備えている。
【0048】
図4図6に示すように、ホルダ14の左辺部の一部が磁石固定部32aとなっており、ホルダ14の後辺部の一部が磁石固定部32bとなっている。すなわち、磁石固定部32a、32bは、光軸方向から見たときに、外形が正方形状をなすホルダ14の4辺のうちの隣接する2辺に配置されている。磁石固定部32a、32bは、平板状に形成されている。可動体3が基準位置に配置されているときには、磁石固定部32aの厚さ方向と左右方向とが一致し、磁石固定部32bの厚さ方向と前後方向とが一致している。
【0049】
また、ホルダ14の左後端の角部が球体接触部32cとなっており、ホルダ14の右前端の角部が球体接触部32dとなっている。すなわち、球体接触部32c、32dは、光軸方向から見たときに、外形が正方形状をなすホルダ14の4個の角部のうちの一方の対角線上に配置される2個の角部に配置されている。また、球体接触部32cは、枠状に形成されるホルダ14の周方向において磁石固定部32aと磁石固定部32bとの間に配置されている。すなわち、2個の球体接触部32c、32dのうちの1個の球体接触部32cは、ホルダ14の周方向において2個の磁石固定部32a、32bの間に配置されている。
【0050】
球体接触部32c、32dは、第1交差方向を厚さ方向とする平板状に形成されている。球体接触部32c、32dの中心部には、球体21の一部が配置される貫通穴32eが形成されている。貫通穴32eは、球体21を位置決めする機能を果たしている。球体21は、第1交差方向の内側から球体接触部32c、32dに固定されており、球体21の大半部分は、第1交差方向において球体接触部32c、32dの内側に配置されている。球体21は、たとえば、球体接触部32c、32dに溶接されて固定されている。
【0051】
樹脂部33は、光軸方向に直交するホルダ14の径方向における外側から金属部32の一部を覆うとともに、光軸方向の両側から金属部32の一部を覆っている。具体的には、樹脂部33は、金属部32の、磁石固定部32a、32bと球体接触部32c、32dとを除いた部分をホルダ14の径方向の外側から覆っている。また、樹脂部33は、金属部32の、磁石固定部32a、32bと球体接触部32c、32dとを除いた部分を被写体側(上側)から覆うとともに、金属部32の、球体接触部32c、32dを除いた部分を反被写体側(下側)から覆っている。なお、配線基板15から引き出されるフレキシブルプリント基板が金属部32の右辺部の反被写体側を通過しており、このフレキシブルプリント基板が通過する箇所においては、金属部32の反被写体側は樹脂部33に覆われていない(図5参照)。
【0052】
光軸方向における樹脂部33の両端は、光軸方向における金属部32の両端よりも光軸方向の外側に配置されている。すなわち、樹脂部33の被写体側端(上端)は、金属部32の被写体側端(上端)よりも被写体側に配置され、樹脂部33の反被写体側端(下端)は、金属部32の反被写体側端(下端)よりも反被写体側に配置されている。また、ホルダ14の径方向における樹脂部33の外側端は、ホルダ14の径方向における金属部32の外側端よりもホルダ14の径方向の外側に配置されている。すなわち、樹脂部33の外周面は、金属部32の外周面よりも外周側に配置されている。
【0053】
駆動用磁石24は、磁石固定部32aの左面に固定されている。駆動用磁石26は、磁石固定部32bの後面に固定されている。磁石固定部32aの左面に固定される駆動用磁石24は、樹脂部33によって、ホルダ14の周方向において位置決めされるとともに反被写体側において位置決めされている。磁石固定部32bの後面に固定される駆動用磁石26は、樹脂部33によって、ホルダ14の周方向において位置決めされるとともに反被写体側において位置決めされている。すなわち、樹脂部33は、駆動用磁石24、26を位置決めする機能を果たしている。
【0054】
駆動用磁石24、26が配置されていないホルダ14の右辺部および前辺部では、樹脂部33に、上側に向かって突出する凸部33aが形成されている。ホルダ14の右辺部において樹脂部33に形成される凸部33aは、ホルダ14の右辺部の前後方向の中心部に配置され、ホルダ14の前辺部において樹脂部33に形成される凸部33aは、ホルダ14の前辺部の左右方向の中心部に配置されている。凸部33aは、ホルダ14の被写体側への移動を規制する機能を果たしている。
【0055】
また、本形態のホルダ14は、光軸方向から見たときに、球体接触部32c、32dが配置されていない他方の対角線上(すなわち、ホルダ14の右後端の角部と左前端の角部とを結ぶ対角線上)において分割される第1ホルダ部35および第2ホルダ部36とによって構成されており(図7参照)、別体で形成された第1ホルダ部35と第2ホルダ部36とが互いに固定されている。金属部32は、ホルダ14の右後端の角部と左前端の角部とを結ぶ対角線上において分割される第1金属部37および第2金属部38とによって構成されている。第1金属部37および第2金属部38は、金属製の平板を所定形状に折り曲げることで形成されている。
【0056】
第1金属部37 は、金属部32の左辺部および後辺部を構成しており、第1金属部37には、磁石固定部32a、32bと球体接触部32cとが含まれている。すなわち、球体接触部32cは、2個の磁石固定部32a、32bと一体で形成されている。第1ホルダ部35は、第1金属部37と、インサート成形によって第1金属部37と一体になった樹脂部33とによって構成されている。第1ホルダ部35は、ホルダ14の左辺部および後辺部を構成している。
【0057】
第2金属部38 は、金属部32の右辺部および前辺部を構成しており、第2金属部38には、球体接触部32dが含まれている。第2ホルダ部36は、第2金属部38と、インサート成形によって第2金属部38と一体になった樹脂部33とによって構成されている。第2ホルダ部36は、ホルダ14の右辺部および前辺部を構成している。
【0058】
第1ホルダ部35と第2ホルダ部36とは、ホルダ14の右後端の角部と左前端の角部とにおいて、たとえば、接着剤によって互いに固定されている。あるいは、第1ホルダ部35と第2ホルダ部36とは、ホルダ14の右後端の角部と左前端の角部とにおいて、たとえば、第1金属部37と第2金属部38とが溶接されることで互いに固定されている。ホルダ14の右後端の角部および左前端の角部では、たとえば、第1ホルダ部35の樹脂部33および第2ホルダ部36の樹脂部33に位置決め用の凹凸部が形成されている。
【0059】
本形態では、第1ホルダ部35と第2ホルダ部36とを互いに固定する前に、球体21を球体接触部32c、32dに固定する。また、本形態では、別体で形成された第1ホルダ部35と第2ホルダ部36との間に中間部材4の2個の腕部4bを配置した状態で第1ホルダ部35と第2ホルダ部36とを互いに固定する(図7参照)。
【0060】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、ホルダ14は、金属材料で形成される金属部32と、樹脂材料で形成されるとともにインサート成形によって金属部32と一体になった樹脂部33とによって構成されている。そのため、本形態では、金属部32の作用によって、ホルダ14の強度を確保しつつ、カメラモジュール2の径方向におけるホルダ14の厚さを薄くすることが可能になる。したがって、本形態では、ホルダ14の強度を確保しつつ、カメラモジュール2の径方向でホルダ14を小型化することが可能になる。また、本形態では、ホルダ14の一部が樹脂部33になっているため、ホルダ14の全体が金属材料で形成されている場合と比較して、ホルダ14を軽量化することが可能になり、その結果、光学ユニット1を軽量化することが可能になる。
【0061】
本形態では、金属部32は、駆動用磁石24、26が固定される磁石固定部32a、32bを備えている。また、本形態では、金属部32は、磁性材料で形成されている。そのため、本形態では、上記の特許文献1に記載された振れ補正機能付き光学ユニットのようにヨーク部材を設ける必要がない。また、本形態では、金属部32は、金属製の球体21が固定される球体接触部32c、32dを備えており、上記の特許文献1に記載された振れ補正機能付き光学ユニットのように第1スラスト受け部材を設ける必要がない。したがって、本形態では、光学ユニット1の構成を簡素化して、光学ユニット1を小型化することが可能になる。なお、本形態では、内周側にカメラモジュール2が固定されるホルダ14の金属部32が四角筒状に形成されているとともに磁性材料で形成されているため、金属部32は、カメラモジュール2に対する磁気シールド機能も果たしている。
【0062】
本形態では、光軸方向における樹脂部33の両端は、光軸方向における金属部32の両端よりも光軸方向の外側に配置されている。そのため、本形態では、たとえば、落下等の衝撃が光学ユニット1に加わってホルダ14が光軸方向に過剰に動いたときに、光学ユニット1を構成する他の部品に金属部32が接触するのを防止することが可能になる。したがって、本形態では、ホルダ14が光軸方向に過剰に動いたときの、他の部品の損傷を防止することが可能になる。
【0063】
本形態では、ホルダ14の径方向における樹脂部33の外側端は、ホルダ14の径方向における金属部32の外側端よりもホルダ14の径方向の外側に配置されている。そのため、本形態では、たとえば、落下等の衝撃が光学ユニット1に加わってホルダ14が径方向に過剰に動いたときに、樹脂製のケース体17に金属部32が接触するのを防止することが可能になる。したがって、本形態では、ホルダ14が径方向に過剰に動いたときの、ケース体17の損傷を防止することが可能になるとともに、金属部32がケース体17に接触することに起因する塵埃の発生を防止することが可能になる。
【0064】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0065】
上述した形態では、別体で形成された第1ホルダ部35と第2ホルダ部36とが互いに固定されることでホルダ14が形成されているが、ホルダ14の全体がインサート成形によって一体で形成されていても良い。ただし、枠状のホルダ14の全体がインサート成形によって一体で形成される場合には、2個の腕部4bをホルダ14の内周側に配置するときに、ホルダ14の内周側まで腕部4bを弾性変形させた状態で2個の腕部4bをホルダ14の内周側に配置する必要が生じるため、光学ユニット1が小型化してホルダ14および中間部材4が小型化すると、2個の腕部4bをホルダ14の内周側に配置しにくくなる。
【0066】
これに対して、上述した形態のように、別体で形成された第1ホルダ部35と第2ホルダ部36とが互いに固定されることでホルダ14が形成されている場合には、上述のように、別体で形成された第1ホルダ部35と第2ホルダ部36との間に2個の腕部4bを配置した状態で第1ホルダ部35と第2ホルダ部36とを互いに固定することで、2個の腕部4bをホルダ14の内周側に配置することができるため、2個の腕部4bをホルダ14の内周側に配置しやすくなる。
【0067】
上述した形態において、磁石固定部32aと磁石固定部32bと球体接触部32cとが別体で形成されていても良い。ただし、上述した形態のように、磁石固定部32aと磁石固定部32bと球体接触部32cとが一体で形成されている場合には、ホルダ14を製作する際の部品の取扱いが容易になる。また、上述した形態において、金属部32は、磁石固定部32a、32bと球体接触部32c、32dとによって構成されていても良い。この場合には、磁石固定部32aと磁石固定部32bと球体接触部32cと球体接触部32dとが別体で形成されており、金属部32は、筒状には形成されていない。また、この場合には、磁石固定部32a、32bは、磁性材料で形成されているが、球体接触部32c、32dは、非磁性材料で形成されていても良い。
【0068】
上述した形態において、球体21は、腕部4bの先端部4dに固定されていても良い。この場合には、球体21は、球体接触部32c、32dに固定されていない。また、この場合には、たとえば、球体接触部32c、32dに球体21の一部が配置される凹部が形成されており、球体21は、第1交差方向の内側からこの凹部に接触している。また、上述した形態において、球体23は、腕部4cの先端部4fに固定されていても良い。この場合には、球体23は、支持部材22に固定されていない。また、支持部材22には、球体23の一部が配置される凹部が形成されており、球体23は、第2交差方向の内側からこの凹部に接触している。
【0069】
上述した形態において、駆動用磁石24は、ホルダ14の右面側に固定されていても良い。この場合には、ホルダ14の右辺部の一部が磁石固定部32aとなっており、駆動用コイル25は、ケース体17の右面部に形成される貫通穴の中に配置されている。また、上述した形態において、駆動用磁石26は、ホルダ14の前面側に固定されていても良い。この場合には、ホルダ14の前辺部の一部が磁石固定部32bとなっており、駆動用コイル27は、ケース体17の前面部に形成される貫通穴の中に配置されている。このように、上述した形態において、ホルダ14の周方向における磁石固定部32aと磁石固定部32bとの間に球体接触部32cが配置されていなくても良い。
【0070】
上述した形態において、光学ユニット1は、カメラモジュール2の光軸Lを回動中心にして中間部材4に対してカメラモジュール2を回動させる回動機構を備えていても良い。この場合には、中間部材4は、第1中間部材と第2中間部材とを備えている。可動体3は、カメラモジュール2の光軸Lを回動中心にして第1中間部材に対して回動可能になっており、第1中間部材は、第1軸線L1を回動中心にして第2中間部材に対して回動可能となっている。
【0071】
上述した形態において、金属部32に、光軸方向における樹脂部33の両端よりも光軸方向の外側に配置されている部分があっても良い。また、上述した形態において、金属部32に、ホルダ14の径方向における樹脂部33の外側端よりもホルダ14の径方向の外側に配置されている部分があっても良い。さらに、上述した形態において、2個の腕部4bは、ホルダ14の外周側に配置されていても良い。
【0072】
上述した形態において、光軸方向から見たときのホルダ14の外形は長方形状となっていても良い。また、上述した形態において、第1交差方向(V方向)は、光軸Lに直交していなくても良いし、第2交差方向(W方向)は、第1交差方向に直交していなくても良い。また、上述した形態において、光学ユニット1は、携帯機器以外の各種の機器に搭載されても良い。
【符号の説明】
【0073】
1 光学ユニット(振れ補正機能付き光学ユニット)
2 カメラモジュール
3 可動体
4 中間部材
4b 腕部
5 固定体
8、9 磁気駆動機構
12 第1支点部
13 第2支点部
14 ホルダ
21 球体
24、26 駆動用磁石
25、27 駆動用コイル
32 金属部
32a、32b 磁石固定部
32c、32d 球体接触部
33 樹脂部
35 第1ホルダ部
36 第2ホルダ部
L カメラモジュールの光軸
V 第1交差方向
W 第2交差方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7