(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103050
(43)【公開日】2023-07-26
(54)【発明の名称】VRヘッドマウントシステム
(51)【国際特許分類】
H04N 5/64 20060101AFI20230719BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20230719BHJP
G06F 3/04842 20220101ALI20230719BHJP
【FI】
H04N5/64 511A
G06F3/01 510
G06F3/0484 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003886
(22)【出願日】2022-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】520029860
【氏名又は名称】株式会社ワールドスキャンプロジェクト
(74)【代理人】
【識別番号】110003018
【氏名又は名称】弁理士法人プロテクトスタンス
(72)【発明者】
【氏名】上瀧 良平
(72)【発明者】
【氏名】市川 泰雅
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA63
5E555AA75
5E555BA05
5E555BA06
5E555BA38
5E555BB05
5E555BB06
5E555BB38
5E555BC17
5E555BE17
5E555CA42
5E555CA44
5E555CB34
5E555CB56
5E555CB66
5E555CC01
5E555DA08
5E555DA09
5E555DB18
5E555DB53
5E555DC09
5E555DC10
5E555DC13
5E555DD06
5E555EA07
5E555EA09
5E555EA22
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】 ポータブルデバイスを取り付けたヘッドマウントであっても、6DOF対応の全天球映像を視聴することできるヘッドマウントシステムを提供する。
【解決手段】 ヘッドマウントシステム100は、第1面にカメラCAと第2面に表示部DISとを含むポータブルデバイスSPがヘッドマウント本体10に取り付けられて、利用者が表示部DISに投影される映像を視聴する。ヘッドマウント本体10は、第1面が前方を向くようにポータブルデバイスを収納しカメラが前方を撮影できるように切り欠かれた収容ポケット12を有する。さらにポータブルデバイス10は、ロール・ピッチ・ヨーの3回転方向の回転量を感知する回転量センサJSと、カメラの撮影画像から特徴点を検出して、3つの直交軸方向の並進移動量を計算する並進移動量計算部32と、回転量及び並進移動量に基づいて、全天球映像から視野内映像を生成する視野内映像生成部36と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面にカメラと第2面に表示部とを含むポータブルデバイスがヘッドマウント本体に取り付けられて、前記表示部に投影される映像を視聴するためのヘッドマウントシステムであって、
前記ヘッドマウント本体は、
前記第1面が前方を向くように前記ポータブルデバイスを収納し、前記カメラが前方を撮影できるように切り欠かれた収容ポケットを有し、
前記ポータブルデバイスは、
ロール・ピッチ・ヨーの3回転方向の回転量を感知する回転量センサと、
前記カメラの撮影画像から特徴点を検出して、3つの直交軸方向の並進移動量を計算する並進移動量計算部と、
前記回転量及び前記並進移動量に基づいて、全天球映像から視野内映像を生成する視野内映像生成部と、
を有する、ヘッドマウントシステム。
【請求項2】
前記ポータブルデバイスは、
前記カメラの撮影画像から利用者の手を検出してトラッキングするハンドトラッキング部と、
前記手が所定時間より長く前記撮影画像内にあるとき、ハンド画像を生成するハンド画像生成部と、
前記手が所定時間より長く前記撮影画像内にあるとき、前記視野内映像に関連するGUI画像を生成するGUI画像生成部と、
前記視野内映像に、前記ハンド画像及び前記GUI画像を合成する映像合成部と、
を有し、
前記表示部に、前記視野内映像、前記ハンド画像及び前記GUI画像が投影される請求項1に記載のヘッドマウントシステム。
【請求項3】
前記ポータブルデバイスは、
前記ハンド画像が前記GUI画像の指示アイコンに所定時間存在していたかを判定するGUI指示判定部を有し、
前記GUI指示判定部は、前記ハンド画像が前記GUI画像の指示アイコン上にある場合に、前記指示アイコンの動作の実行を指示する、請求項2に記載のヘッドマウントシステム。
【請求項4】
前記ポータブルデバイスは、
前記視野内映像が商品を購入できるショッピング店舗であるか否かを判定するショッピング店舗判定部と、
前記ショッピング店舗で販売される複数の商品画像を蓄積する商品画像蓄積部と、
を有し、
前記GUI指示判定部が、前記ハンド画像がショッピングのGUI画像上にある場合に、前記商品画像蓄積部が前記商品画像を前記映像合成部に供給する、請求項3に記載のヘッドマウントシステム。
【請求項5】
前記ポータブルデバイスは、
前記ハンド画像が前記商品画像に所定時間存在していたかを判定する商品特定判定部を有し、
前記商品特定判定部は、前記ハンド画像と前記商品画像とを一体化するとともに、且つカート画像では前記ハンド画像と前記商品画像とを切り離す、請求項4に記載のヘッドマウントシステム。
【請求項6】
前記商品画像蓄積部が前記商品画像を前記映像合成部に供給する際には、
前記映像合成部は前記視野内映像を合成しない、請求項4に記載のヘッドマウントシステム。
【請求項7】
第1面にカメラと第2面に表示部とを含むポータブルデバイスをヘッドマウント本体の収容ポケットに収納して、前記表示部に視野内画像を投影する方法であって、
前記収容ポケットは、前記カメラが前方を撮影できるように切り欠かれており、
前記ポータブルデバイスが、
ロール・ピッチ・ヨーの3回転方向の回転量を感知し、
前記カメラの撮影画像から特徴点を検出して、3つの直交軸方向の並進移動量を計算し、
前記回転量及び前記並進移動量に基づいて、全天球映像から視野内映像を生成する、
視野内画像を投影する方法。
【請求項8】
前記ポータブルデバイスが、
前記カメラの撮影画像から利用者の手を検出してトラッキングし、
前記手が所定時間より長く前記撮影画像内にあるとき、ハンド画像を生成し、
前記手が所定時間より長く前記撮影画像内にあるとき、前記視野内映像に関連するGUI画像を生成し、
前記視野内映像に、前記ハンド画像及び前記GUI画像を合成し、
前記表示部に、前記視野内映像、前記ハンド画像及び前記GUI画像が投影される請求項7に記載の視野内画像を投影する方法。
【請求項9】
前記ポータブルデバイスが、
前記ハンド画像が前記GUI画像の指示アイコンに所定時間存在していたかを判定し、
前記ハンド画像が前記GUI画像の指示アイコン上にある場合に、前記指示アイコンの動作の実行を指示する、請求項8に記載の視野内画像を投影する方法。
【請求項10】
前記ポータブルデバイスが、
前記視野内映像が商品を購入できるショッピング店舗であるか否かを判定し、
前記ショッピング店舗で販売される複数の商品画像を蓄積し、
前記ハンド画像がショッピングのGUI画像上にある場合に、前記商品画像蓄積部が前記商品画像を前記映像合成部に供給する、請求項9に記載の視野内画像を投影する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スマートフォン等のポータブルデバイスを使って、全天球映像等を6DOF(Degree of Freedom)に応じて視野内映像が変化する映像の表示を行うVRヘッドマウントシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
VR(virtual reality)等の分野で、周囲360°の撮影が可能な撮影装置によって撮影された全天球映像の利用が進んでいる。利用者は、ヘッドマウントにスマートフォン等のポータブルデバイスを取り付けて、ポータブルデバイスの表示部に、全天球映像を立体視が可能な視差付きのステレオ映像として表示させて、全天球映像を視聴することができる。特許文献1は、ポータブルデバイスをヘッドマウントに取り付ける発明を開示している。
【0003】
ポータブルデバイスをヘッドマウントに取り付けると、ポータブルデバイスが有する角速度センサで、X軸・Y軸・Z軸周りの3つの動き(ロール、ピッチ、ヨー)を感知することができる。このため利用者の頭の回転や傾きを感知して、3DOF対応の全天球映像を視聴することができる。
【0004】
しかし、特許文献1のポータブルデバイスを取り付けたヘッドマウントは、X軸・Y軸・Z軸方向の「併進移動」という3つの動きを検知することができない。このため利用者は、併進移動を含めた6DOF対応の全天球映像を視聴することができない問題があった。さらに、全天球映像を視聴するだけでなく、全天球映像を巻き戻したり進めたりするためには、スマートフォン等のポータブルデバイス以外に手(ハンド)で持つコントローラも用意する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本実施形態は、ポータブルデバイスを取り付けたヘッドマウントであっても、6DOF対応の全天球映像を視聴することできるようにすることを目的とする。またコントローラも用意しなくても、全天球映像に対して処理(停止処理、巻き戻し処理等)できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態のヘッドマウントシステムは、第1面にカメラと第2面に表示部とを含むポータブルデバイスがヘッドマウント本体に取り付けられて、表示部に投影される映像を視聴するためのヘッドマウントシステムである。そしてヘッドマウント本体は、第1面が前方を向くようにポータブルデバイスを収納しカメラが前方を撮影できるように切り欠かれた収容ポケットを有する。さらにポータブルデバイスは、ロール・ピッチ・ヨーの3回転方向の回転量を感知する回転量センサと、カメラの撮影画像から特徴点を検出して、3つの直交軸方向の並進移動量を計算する並進移動量計算部と、回転量及び並進移動量に基づいて、全天球映像から視野内映像を生成する視野内映像生成部と、を有する。
【0008】
またポータブルデバイスは、カメラの撮影画像から利用者の手を検出してトラッキングするハンドトラッキング部と、手が所定時間より長く撮影画像内にあるとき、ハンド画像を生成するハンド画像生成部と、手が所定時間より長く撮影画像内にあるとき、視野内映像に関連するGUI画像を生成するGUI画像生成部と、視野内映像に、ハンド画像及びGUI画像を合成する映像合成部と、を有することが好ましい。
【0009】
またポータブルデバイスは、ハンド画像がGUI画像の指示アイコンに所定時間存在していたかを判定するGUI指示判定部を有し、GUI指示判定部は、ハンド画像がGUI画像の指示アイコン上にある場合に、指示アイコンの動作の実行を指示してもよい。
またポータブルデバイスは、視野内映像が商品を購入できるショッピング店舗であるか否かを判定するショッピング店舗判定部と、ショッピング店舗で販売される複数の商品画像を蓄積する商品画像蓄積部と、を有する。GUI指示判定部が、ハンド画像がショッピングのGUI画像上にある場合に、商品画像蓄積部が商品画像を映像合成部に供給することが好ましい。
【0010】
またポータブルデバイスは、ハンド画像が商品画像に所定時間存在していたかを判定する商品特定判定部を有し、商品特定判定部は、ハンド画像と商品画像とを一体化するとともに、且つカート画像ではハンド画像と商品画像とを切り離すことが好ましい。
商品画像蓄積部が商品画像を映像合成部に供給する際には、映像合成部は視野内映像を合成しないことが好ましい。
【0011】
本実施形態の視野内画像を投影する方法は、第1面にカメラと第2面に表示部とを含むポータブルデバイスをヘッドマウント本体の収容ポケットに収納して、表示部に視野内画像を投影する方法である。そして収容ポケットは、カメラが前方を撮影できるように切り欠かれている。そしてポータブルデバイスが、ロール・ピッチ・ヨーの3回転方向の回転量を感知し、カメラの撮影画像から特徴点を検出して、3つの直交軸方向の並進移動量を計算し、回転量及び並進移動量に基づいて、全天球映像から視野内映像を生成する、
視野内画像を投影する。
【発明の効果】
【0012】
本実施形態のVRヘッドマウントシステムは、6DOF対応の全天球映像を視聴することができる。また、ハンドコントローラを用意することなく、全天球映像に対して処理を指示できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態のポータブルデバイスを取り付けたヘッドマウントシステムの斜視図である。
【
図2】(A)は、4方向から見たヘッドマウント(ポータブルデバイスを除く)図である。(B)は、瞳孔間の距離を調整する機構の説明図であり、(C)はレンズの焦点距離を調整する機構の説明図である。
【
図3】VRヘッドマウントシステムに使用されるポータブルデバイスのブロック図である。
【
図4】ハンドトラッキングに関するフローチャート1である。
【
図5】(A)は、ハンドトラッキングされたハンド画像の例である。(B)は、GUI画像の一例であり5つの指示アイコンが表示された例である。(C)から(F)は、ポータブルデバイスの表示部に表示される視野内映像の例である。なお表示部の画像又は映像は、人間の脳で認識する1つの視野内映像で描かれている。
【
図6】ハンドトラッキングに関するフローチャート2である。
【
図7】(A)から(F)は、ポータブルデバイスの表示部に表示される画像の例である。なお表示部の画像又は映像は、人間の脳で認識する1つの視野内映像で描かれている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[ヘッドマウントシステムの全体構成]
図1は本実施形態に係るのポータブルデバイスSPをヘッドマウント本体10に取り付けたヘッドマウントシステム100を示す斜視図である。
図1に示すように、ヘッドマウントシステム100は、ヘッドマウント本体10、ヘッドマウント本体10を利用者の頭部にしっかりと取り付けるストラップ20及びポータブルデバイスSPを含んでいる。
【0015】
ポータブルデバイスSPは、ヘッドマウント本体10の収納ポケット12に収納される。本実施形態に開示するポータブルデバイスSPは、第1面(-Y軸側)に1以上のカメラCAを設けており、第2面(+Y軸側)に表示部DIS(
図2を参照)を設けている。ポータブルデバイスSPは、以下に限定されるものではないが、いわゆるスマートフォン、タブレット端末もしくは手持ち式視覚メディアプレイヤなどが挙げられる。
【0016】
例示的なポータブルデバイスSPは、中央処理装置(CPU)(図示せず)、表示部DIS、カメラCA、および通信部を含み、システムと共に使用するためのアプリケーションを動作できるようにすることができる。ポータブルデバイスSP50は、1つまたは複数のジャイロセンサ、加速度センサ、比重計、又は磁気計等の回転角センサを組み込んでいる。本実施形態では、回転角センサで、ヘッドマウントシステム100のロール・ピッチ・ヨーの3回転方向の回転量を感知することができる。
【0017】
ヘッドマウント本体10にはストラップ20が取り付けられており、ストラップ20で利用者の頭部がしっかり固定される。なお。例えば、ヘッドマウント本体10は、ストラップなしで頭頂部に固定されるヘルメット様のデバイスに組み込むこともできる。
【0018】
ポータブルデバイスSPを収納する収納ポケット12は、板バネのように撓む構造になっており、ポータブルデバイスSPを、周壁11と収納ポケット12との間で挟み込む。収納ポケット12の幅(X軸方向)は、ポータブルデバイスSPの長さより短く切り欠かれた形状に形成されており、ポータブルデバイスSPのカメラCAが前方を撮影できるようになっている。収納ポケット12の幅が長い場合には、ポータブルデバイスSPのカメラCAに相当する周辺が切り欠かれ、カメラCAが前方を撮影できるようになっていてもよい。
【0019】
周壁11には、レンズの焦点距離を調整する焦点調製レバー14及び瞳孔間の距離に合わせてレンズを移動させる瞳孔間距離調整ダイヤル15が設けられている。
【0020】
[ヘッドマウント本体の構成]
図2は本実施形態に係るのヘッドマウント本体10を示した図である。
図2(A)はヘッドマウント本体10を4方向からの見た図である。
図2(B)(C)は、ヘッドマウント本体10の内部に配置されるレンズ周辺を示した図である。
【0021】
ヘッドマウント本体10の周壁11及び収納ポケット12は、好ましくは、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリウレタン(PU)、もしくはABS樹脂等のプラスチック材料で構成されるから。これらはそれぞれ、単独でまたは様々な組み合わせで利用することができる。好ましい実施形態では、周壁11及び収納ポケット12は射出成形などで成形される。周壁11の前方部分は概して矩形または箱形の形状を有している。
【0022】
周壁11の正面11aと収納ポケット12との距離は、ポータブルデバイスSPの厚みより若干短くなるように形成され、側方向(X軸方向)からみて収納ポケット12はS字形状になっている。プラスチック自体の弾性力と形状により、収納ポケット12は、板バネのような作用で、ポータブルデバイスSP(図示せず)を周壁11の正面11aをしっかりしっかりと装着することができる。周壁11の天面及び側面には、ストラップ20(
図1を参照)が取り付けられるストラップピン19が形成されている。
【0023】
収納ポケット12の幅L1は、ポータブルデバイスSPのタイプおよびサイズに応じて変更できるが、典型的には、ポータブルデバイスSPを把持および保持することが意図される。ポータブルデバイスSPの平均的な表示部のサイズは約5インチ(12.7cm)から6.5インチ(16.5cm)であり、ポータブルデバイスSPの第1面のカメラCAの位置は、Y軸方向からみて左上側に配置されていることが多く、
図1のようにポータブルデバイスSPを横置きすると、カメラCAは、右上に位置する。このカメラCAが隠れないように収納ポケット12の幅L1は切り欠かれている。
【0024】
利用者の額に接触するためのフェイス縁部17は、ゴム、ウレタンフォーム等の柔軟な素材であることが好ましい。周壁11とフェイス縁部17とは接着剤または篏合などで接合される。フェイス縁部17は、利用者の顔に接触した際は、周囲から中空13に光が入ることを防止する。
【0025】
中空13にはポータブルデバイスSPの表示部の映像を視聴するため一対のレンズLZが配置される。その一対のレンズLZをY軸方向及びX軸方向に移動させるため、周壁11は焦点調製レバー14及び瞳孔間距離調整ダイヤル15を有している。瞳孔間距離調整ダイヤル15は利用者によって異なる瞳孔間の距離を利用者に合わせて調整するダイヤルである。
図2(B)に示されるように、レンズLZを保持する一対のレンズホルダー18はそれぞれラック18aを有している。調整ダイヤル15にはピニオン15aが形成されており、ラック18aとピニオン15aとが噛み合っている。ピニオン15aが回転されることで、レンズホルダー18に保持されたレンズLZが中央側へ近づいたり外側に離れたりする。なお
図2(B)では理解を助けるため、瞳孔間距離調整ダイヤル15のピニオン15aとラック18aとが分離して描かれている。
【0026】
図2(C)に示されるように、焦点調製レバー14は、レンズLZの焦点距離を調整するため、利用者が調整レバーを前後(Y軸方向)に移動させる。レンズホルダー18は篏合板18bが形成されており、焦点調製レバー14のクランプ部14aが、篏合板18bを挟み込む。レンズLZは、利用者の眼とポータブルデバイスSPの表示部との間に位置する。理解できるように、利用者の眼がレンズLZと位置合わせされて、利用者はポータブルデバイスSPの表示部を視聴するためにレンズLZを通して見ることができる。レンズLZは、ポータブルデバイスSPの表示部に映し出された視野内映像の左または右の不連続の領域に、利用者の視界の焦点を合わせることができる。レンズを通して利用者の視界を適切に位置合わせすることは、仮想現実アプリケーションでは特に重要である。
【0027】
[ポータブルデバイスの構成]
図3はポータブルデバイスSPの機能的構成を示すブロック図である。ポータブルデバイスSPは、スマートフォン、タブレット型コンピュータ又はパーソナルコンピュータ等を含む。表示装置DISは、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等の表示装置である。表示装置DISは、利用者の右眼用と左眼用にそれぞれ別の表示画面を備えるものであってもよく、一つの表示画面のみを備えるものであってもよい。ポータブルデバイスSPには、webサイト等のストアからアプリをダウンロードしてある。そしてアプリを起動することで、ポータブルデバイスSPは、以下に説明する機能を有している。またアプリから複数の全天球映像のデータをダウンロードできる。
【0028】
回転量センサJSは、ヘッドマウント本体10の動きを検出する。回転量センサJSは、ヨー、ロール及びピッチの3軸の回転(3DOF;Degrees Of Freedom)を検知することができる。なお、回転量センサJSは、IMU(inertial measurement unit:慣性計測装置)であってもよく、ジャイロセンサといった種々の組み合わせであっても良い。回転量センサJSがIMUの場合、Y軸方向(前後)、X軸方向(左右)及びZ軸方向(上下)の3方向の移動を検出可能である。
【0029】
ポータブルデバイスSPは、さらに通信部WF、映像データ蓄積部31、並進移動計算部32、ハンドトラッキング部33、ハンド画像生成部34、GUI画像生成部35、視野内映像生成部36、映像合成部37、GUI指示判定部38を有している。またポータブルデバイスSPは、ショッピング店舗判定部41、商品画像蓄積部42及び商品特定判定部43を備える。
【0030】
通信部WFは、5Gもしくは4Gなどの長距離通信、又はWiFi(商標)やbluetooth(商標)等の短距離通信を行う。映像データ蓄積部31は、全天球映像のデータ(以下、映像データ)を通信部WFを介して取得する。全天球映像は、ある一点を中心とする360°の全方位の映像であり、全天球カメラを利用して撮像された映像や複数のカメラで撮影された映像を合成した映像である。映像データ蓄積部31は、ポータブルデバイスSPに保存されている映像データを読出すことによって映像データを取得してもよい。映像データ蓄積部31は、映像データを取得すると、映像データを復号し、全天球映像を生成する。映像データ蓄積部31は、生成した全天球映像を視野内映像生成部36に供給する。
【0031】
並進移動計算部32は、カメラCAで撮影した撮影画像を定期的に取得し、現実空間に存在する特徴的な点を指標として、XYZ軸方向の並進移動量を計算する。具体的には、W. A. Hoff and K. Nguyen, "Computer vision-based registration techniques for augmented reality", Proc. SPIE, vol.2904, pp. 538-548, Nov. 1996に開示されている。
なお、
図3では並進移動計算部32はカメラCAの撮影画像のみから並進移動を計算するように描かれているが、回転量センサJSがIMU(慣性計測装置)であれば、6DOFを検出することができるので、カメラCAで撮影した撮影画像とIMUからのXYZ軸方向の並進方向の信号とを組み合わせて、XYZ軸方向の並進移動量を計算しても良い。定期的に撮影された撮影画像とセンサとを使った並進移動量の計算は、具体的には、S. You and U. Neumann, "Fusion of vision and gyro tracking for robust augmented reality registration", Proc. IEEE Virtual Reality 2001, pp.71-78, Mar. 2001.に開示されている。なお、XYZ軸方向の並進移動量の精度が低くて良い場合には、IMU(慣性計測装置)が検出する並進移動量を使い、カメラCAの撮影画像を使う並進移動計算部32が無くても良い。
【0032】
ハンドトラッキング部33は、カメラCAの撮影画像に基づいて、利用者の手(ハンド)及び指を認識し、手の位置及び指の動作をトラッキングする。ハンドトラッキング部33は、ディープラーニングモデルを使用して、カメラCAが撮影した撮影画像の中に、手が存在するか否かを判断することができる。
【0033】
ハンド画像生成部34は、ハンドトラッキング部33が利用者の手を認識したことに基づいて、映像内に映し出すハンド画像51を生成する。ハンド画像生成部34は、利用者の手が所定時間より長く撮影画像内にあるときに、ハンド画像51を生成することが好ましい。利用者が手を振って歩いている際に、一時的に映像視野内に手が入るような事象を排除するためである。
図5(A)は、表示部DISに投影されたハンド画像51の一例である。視野内映像にハンド画像51を重ねて表示しても視野内映像の視聴を妨げないように、ハンド画像51は半透明画像であることが好ましい。ハンド画像生成部34は、予め特有なハンド画像51(指差ししているハンド画像、親指と人差し指とで物をつかんでいるハンド画像等)を複数用意しておき、カメラCAの撮影画像中の手の形状に近いハンド画像51を選択してもよい。また画像処理により撮影された手の輪郭を検出してハンド画像51を生成しても良い。生成したハンド画像51は映像合成部37に供給される。カメラCAが撮影した撮影画像から、手が存在しなくなったら、ハンド画像生成部34はハンド画像の生成を止め、ハンド画像が消去される。
【0034】
GUI画像生成部35は、手を認識したことに基づいて、映像に関連するGUI画像52を生成する。GUI画像生成部35は、予め複数のGUI画像52を用意しておくことが好ましい。GUI画像52は、例えば、巻き戻し、レビュー、停止、キュー、早送り等の指示アイコンである。
図5(B)は、表示部DISに投影されたGUI画像52の一例である。また後述するように商品購入の指示アイコンであってもよい。なお、
図3ではハンド画像生成部34がハンド画像を生成した後にGUI画像52を生成するように矢印が描かれている。しかし、ハンドトラッキング部33で手を認識した後、ハンド画像51と同時にGUI画像52が生成されても良い。つまりGUI画像生成部35は、利用者の手が所定時間より長く撮影画像内にあるときに、GUI画像52を生成することが好ましい。GUI画像52は、視野内映像に応じて指示アイコンの数や種類が変化することが好ましい。
【0035】
GUI画像生成部35は生成したGUI画像52を表示空間に定位させることが好ましい。生成したGUI画像52は映像合成部37に供給される。視野内映像にGUI画像52を重ねて表示しても視野内映像の視聴を妨げないように、GUI画像52は半透明画像であることが好ましい。これにより、ヘッドマウント本体10を装着した利用者が実空間で向きを変えたり並進移動しても、GUI画像52は、表示空間の視点を基準とした所定の位置に実質的に固定され、GUI画像52は移動しない。
【0036】
視野内映像生成部36は、映像データ蓄積部31から供給された全天球映像から、表示部DISに表示される映像である視野内映像を生成する。視野内映像生成部36は、回転量センサJS及び並進移動計算部32から回転量及び並進移動量を取得し、ヘッドマウント本体10の向きや利用者の移動に応じて全天球映像の一部を抽出することによって視野内映像を生成することができる。視野内映像生成部36は、ヨー、ロール及びピッチの3軸の回転及びXYZ軸方向の移動量が検出されると、その回転及び移動量に応じて全天球映像のうち視野内映像となる範囲を移動させる。
【0037】
これにより、利用者が頭部を動かすとともに前後左右上下に移動すると、ヘッドマウント本体10の動きに追随して全天球映像のうち視野内映像となる範囲が移動し、利用者は周囲を見渡すかのように全天球映像を視聴することができる。即ち、視野内映像によって実現される全天球映像により、利用者の頭部の位置の変化に対して実質的に視点の位置が独立して制御される表示空間が形成される。なお、表示部DISには、右目用と左目用にそれぞれ視野内映像が投影されるが、
図5及び
図7では、人間の脳で認識するに1つの視野内映像として描かれている。
【0038】
映像合成部37は、視野内映像生成部36から供給された視野内映像と、ハンド画像生成部34から供給されたハンド画像と、GUI画像生成部35から供給されたGUI画像52とを合成する。合成された映像は表示部DISに投影される。
【0039】
GUI指示判定部38は、映像合成部37で表示部DISに投影されたGUI画像52に、利用者のハンド画像が所定時間(1~2秒)存在するかを判定する。GUI画像52に複数の指示アイコンが含まれる場合には、それらの1つの指示アイコンが特定されたかを判定する。例えば、利用者は、自身の手を移動させることで、ハンド画像をGUI画像52の早送りボタンの指示アイコンに移動させ、自身の手を1秒間維持する。GUI指示判定部38は、早送りの指示があったと判断し、視野内映像生成部36に映像を早送りするように指示する。
【0040】
ショッピング店舗判定部41は、視野内映像生成部36で生成される映像にショッピング店舗があるか否かを判定する。ショッピング店舗判定部41は、ディープラーニングモデルを使用して視野内映像の中に、ショッピング店舗が存在するか否かを判定する。ディープラーニングを使用せず、予め全天球映像にショッピング店舗の存在を示す特有信号を入れておき、ショッピング店舗判定部41が、その特有信号を検出してショッピング店舗が存在することを判定しても良い。
【0041】
商品画像蓄積部42は、ショッピング店舗で販売可能な商品の画像(静止画・動画)を蓄積している。例えば商品がカバンであれば、販売可能なショルダーバッグもしくは手提げバッグ等の写真を予め撮影しておき、商品画像蓄積部42は、それら複数の画像が蓄積している。また商品画像蓄積部42は、商品1つ1つの商品画像を順次映像合成部37に供給したり、サムネイル表示された複数の商品を映像合成部37に供給したりする。
【0042】
商品特定部43は、映像合成部37で表示部DISに投影された商品画像に、利用者のハンド画像が所定時間(1~2秒)存在するかを判定し、商品を特定したかを判定する。またはハンドトラッキング部33が利用者の手が親指と人差し指とで商品画像を摘まむような動作をトラッキングした際に、商品特定部43は、その商品を特定したと判定する。その後、商品が購入される手続に移る。
【0043】
[ヘッドマウントシステムの動作]
図4は、ヘッドマウントシステム100の動作を示すフローチャートである。
まず利用者はポータブルデバイスSPにダウンロード済のアプリを起動する(S401)。そして利用者はヘッドマウント本体10の収納ポケット12にポータブルデバイスSPをセットする(S402)。利用者は、ヘッドマウントシステム100を装着する。
【0044】
視野内映像が表示部DISに投影され(S403)、利用者は例えば
図5(C)に示されるような視野内映像を視聴する。必要であれば、利用者は焦点調製レバー14を移動させレンズの焦点距離を調整し、また瞳孔間距離調整ダイヤル15を回して瞳孔間の距離に合わせてレンズを移動させる。回転量センサJSからのヘッドマウント本体10の動き(ヨー、ロール及びピッチ)の信号及びポータブルデバイスSPのカメラCAに基づく並進移動量の信号に基づき、視野内映像が変化する。
【0045】
視野内映像が表示部DISに投影されると同時に、カメラCAによるハンドトラッキングが開始される(S404)。利用者が自身の手を前方に突き出すと、ポータブルデバイスSPのカメラCAの撮影視野に利用者の手が入ってくる。そしてハンドトラッキング部33が、利用者の手及び指を認識し、手の位置及び指の動作をトラッキングする。利用者が自身の手を継続して所定時間(例えば1秒)撮影視野内に入っている場合に(S405 YES)、ハンド画像生成部34が生成したハンド画像51が表示部DISに投影される(S406)。
図5(D)に示されるように視野内映像に半透明のハンド画像51が重ねて表示される。
【0046】
ハンド画像51が表示部DISに投影されると同時に又は数秒遅れて、GUI画像生成部35が生成したGUI画像52が表示部DISに投影される(S407)。
図5(E)に示されるように視野内映像に半透明のGUI画像52が中央に重ねて表示される。本実施形態の一例では、GUI画像52は、左から、10秒巻き戻し指示アイコン、レビュー指示アイコン、停止指示アイコン、キュー指示アイコン、30秒早送り指示アイコンが表示されている。なお、視野内映像が停止している場合には、GUI画像52は停止指示アイコンが再生指示アイコンに切り替わる。本実施形態では、GUI画像52が表示部DISの中央に投影されているが、表示部DISの上端もしくは下端であってもよい。このGUI画像52は、利用者が頭を左右に動かしたりしてヘッドマウント本体10を動かして視野内映像が変化しても、一定位置に投影されるようになっていることが好ましい。
【0047】
GUI画像52は視野内映像が変化しても、一定位置に投影されている。このため
図5(E)に示されるように、利用者は自身の手を移動させることで、ハンドトラッキング部33が例えば点線で描かれたハンド画像51から、実線で描かれたハンド画像51に移動し、10秒巻き戻し指示アイコンに所定時間維持される。GUI指示判定部38は、ハンド画像51がGUI画像52の指示アイコンに存在するか否かを判断する(S408)。
図5(E)では、GUI指示判定部38は、10秒巻き戻し指示アイコンが指示されたと判定して、視野内映像生成部36に、映像を10秒巻き戻すように指示する(S409)。
【0048】
一方、利用者が自身の手をカメラCAの撮影視野から出した場合に(S405 NO)、
図5(E)に示される映像から、
図5(F)に示される映像に変わる。つまり、表示部DISからハンド画像51が消去され(S410)、同時もしくは少し遅れてGUI画像52が消去される。
【0049】
次に、利用者が複数の映像データから視聴したい映像データを選択する場合と、映像データがショッピング映像である場合に利用者が商品を購入する場合とを、
図6のフローチャート及び
図7(A)~
図7(F)を使って説明する。
【0050】
ポータブルデバイスSPのアプリを起動した際には、複数の映像データのカテゴリが選択できるようなサムネイル表示が表示部DISに投影される(S601)。
図7(A)は、表示部DISにその一例を示したサムネイル表示である。例えば、映像データのカテゴリには、日本旅行の映像、台湾旅行の映像、海中の映像、ショッピング映像等があり、利用者が自身の手を移動させてハンド映像51を横矢印71に所定時間置くことで、表示されていないサムネイル表示に移動させることができる。
図7(A)は、ハンド画像51がショッピング映像のカテゴリを選択した状態を示している。すると、
図7(B)に示されるように、複数のショッピング映像から1つのショッピング映像を選べるようなサムネイル表示が表示部DISに投影される。ショッピング映像ではなく、海中の映像を視聴したい場合には、利用者は自身の手を移動させ、ハンド映像51を上位カテゴリ矢印73に所定時間置けばよい。本実施形態では、利用者はハンド映像51をショッピング映像B74に所定時間置いて、ショッピング映像Bを選択した例である。
【0051】
視野内映像生成部36はショッピング映像Bを投影する(S602)。
図7(C)は、ショッピング映像の一例であり仮想上のショッピングモール74を示している。利用者が頭部を動かすとともに前後左右に移動すると、回転量センサJS及び並進移動計算部32から回転量及び並進移動量を取得し、視野内映像生成部36は、ショッピングモールの映像やショッピングモール内の店舗の視野内映像を投影する。利用者が移動してショッピングモールの仮想店舗(例えばカバン店)に入ると、ショッピング店舗判定部41が、商品を購入できるショッピング店舗であるか否かを判定する。ショッピングモールのすべての仮想店舗で商品を購入できるのであればショッピング店舗判定部41は無くてもよいが、例えばショッピングモールの一部の仮想店舗で商品を購入できるのであれば、利用者が入った仮想店舗がショッピング店舗か否かを利用者に示すために、ショッピング店舗判定部41が、全天球映像に含まれる特有信号を検出したり、ディープラーニングで認識したりする(S603)。
【0052】
利用者が移動している仮想店舗が商品を購入できるショッピング店舗であれば(S603 YES)、ショッピング店舗判定部41が、ショッピングのGUI画像52aを表示部DISに投影する(S604)。
図7(D)は、ショッピング店舗75の視野内映像にショッピングのGUI画像52aが表示部DISの下端に投影された例である。ショッピング店舗75の視野内映像で利用者が頭部を動かすと視野内映像が変化するが、ショッピングのGUI画像52aは一定位置に投影されたままである。利用者が前後左右に移動してショッピング店舗75から出てショッピングモール74の通路等にいると、ショッピングのGUI画像52aは消去される。利用者が移動している仮想店舗が商品を購入できるショッピング店舗でなければ(S604 NO)、引き続きショッピングモールの視野内映像が表示部DISに投影される(S403)。
【0053】
次にGUI指示判定部38は、ハンド画像51がショッピングのGUI画像52aに存在するか否かを判断する(S605)。
図7(D)では、ハンド画像51がショッピングのGUI画像52aに存在している状態を示している。ハンド画像51がショッピングのGUI画像52aに存在する場合(S605 YES)、商品画像蓄積部42は、そのショッピング店舗75の複数の商品画像(静止画もしくは動画)を映像合成部37に供給する。ハンド画像51がショッピングのGUI画像52aにない場合には、ハンドトラッキング部33は、引き続きカメラCAの撮影画像に基づいて、手の位置及び指の動作をトラッキングする(S404)。
【0054】
商品画像蓄積部42が複数の商品画像を映像合成部37に供給すると、
図7(E)に示されるように、商品画像76が投影されており、横矢印71でサムネイル画像(商品画像76)を移動させることによって利用者は別の商品画像76を視聴することができる。なお、
図7(E)ではショッピング店舗75の視野内映像が合成されずに、利用者が商品画像76を見やすいように商品画像76のみが投影されている。つまり映像合成部37は、視野内映像生成部36から供給された視野内映像を合成していない。しかしながら、ショッピング店舗75の視野内映像が半透明で投影されても良い。
【0055】
利用者は自身の手を動かし、ハンドトラッキング部33が手の位置及び指の動作をトラッキングする。商品特定判定部43は、ハンド画像51がある商品画像76に所定時間維持されると商品画像76を特定したと判定する(S608)。または、ハンドトラッキング部33が利用者の手が親指と人差し指とで商品画像76を摘まむような動作をトラッキングした際に、商品特定部43は、その商品画像76を特定したと判定する(S608)。商品画像76が特定されるとハンド画像51と商品画像76とが一体化され移動可能となる。
【0056】
次に、商品特定判定部43は、ハンド画像51が商品画像76と一体化されてカート77に移動したか、つまりハンド画像51がカート画像77に存在するかを判定する(S609)。ハンド画像51がカート画像77に存在すると(S609 YES)、商品画像76がカート77内に入り、ハンド画像51と商品画像77とが切り離される(S610)。そして
図7(F)に示されるように、商品購入GUI画像52bが投影される(S611)。商品購入GUI画像52bには、「購入に進む」指示アイコン、「商品を戻す」指示アイコン、「ショッピングを続ける」及び「ショッピングから退出する」指示アイコン等が投影される。利用者は自身の手を動かし、これらのいずれかの指示アイコンにハンド画像51を移動させる。ハンド画像51が「購入に進む」指示アイコンに所定時間存在すると、利用者は商品を購入する画面に進むことができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本実施形態では、ショッピング映像の場合に商品を購入できる例を説明したが、例えば海中の映像の途中に、シュノーケルや足ヒレの映像が出てきた際に、シュノーケルや足ヒレの購入画面が投影されてもよい。
【符号の説明】
【0058】
100 … ヘッドマウントシステム
10 … ヘッドマウント本体
11 … 周壁、 12 … 収納ポケット
14 … 焦点調製レバー、15 … 瞳孔間距離調整ダイヤル
17 … フェイス縁部、 20 … ストラップ
31 … 映像データ蓄積部、 32 … 並進移動計算部
33 … ハンドトラッキング部、 34 … ハンド画像生成部
35 … GUI画像生成部、 36 … 視野内映像生成部
37 … 映像合成部、 38 … GUI指示判定部
41 … ショッピング店舗判定部、 42 … 商品画像蓄積部
43 … 商品特定判定部
51 … ハンド画像、 52 … GUI画像
CA … カメラ、 DIS … 表示部、 JS … 回転量センサ
SP … ポータブルデバイス、 WF … 通信部