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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103074
(43)【公開日】2023-07-26
(54)【発明の名称】配線板組立体
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/11 20060101AFI20230719BHJP
   H05K 1/14 20060101ALI20230719BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
H05K1/11 C
H05K1/14 C
H05K1/18 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003923
(22)【出願日】2022-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】522185818
【氏名又は名称】株式会社フジクラプリントサーキット
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 雄志
(72)【発明者】
【氏名】荒井 大輔
(72)【発明者】
【氏名】小池 伴幸
【テーマコード(参考)】
5E317
5E336
5E344
【Fターム(参考)】
5E317AA04
5E317BB12
5E317BB13
5E317BB14
5E317GG16
5E336BB02
5E336BB12
5E336BC21
5E336BC36
5E336DD12
5E336EE15
5E336GG30
5E344AA02
5E344BB02
5E344BB05
5E344CC09
5E344DD04
5E344DD06
5E344DD14
5E344EE21
(57)【要約】
【課題】生産性及び歩留まりの向上、並びに、低コスト化を図ることが可能な配線板組立体を提供する。
【解決手段】配線板組立体1は、第1のFPC10と、第2のFPC20と、第1及び第2のFPC10,20が接続されたコネクタ40と、を備え、第1のFPC10の基材11は、配線パターン12の端子部122が配置された第1の領域111を含み、第2のFPC20の基材21は、配線パターン22の端子部222が配置された第3の領域211を含み、第1のFPC10と第2のFPC20は、第1及び第3の領域111,211で相互に重ねられており、当該相互に重ねた第1及び第2のFPC10,20を第1及び第3の領域111,211で折り曲げた状態で、端子部122、222に接続されたコンタクトピン13,23がハウジング41の収容孔411に挿入されてコネクタ端子42と嵌合している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のフレキシブルプリント配線板と、
第2のフレキシブルプリント配線板と、
前記第1及び第2のフレキシブルプリント配線板が接続されたコネクタと、を備え、
前記第1のフレキシブルプリント配線板は、
電気絶縁性を有する第1の基材と、
前記第1の基材に設けられていると共に、第1の端子部を有する第1の配線パターンと、
前記第1の端子部に接続された第1の接続端子と、を備え、
前記第2のフレキシブルプリント配線板は、
電気絶縁性を有する第2の基材と、
前記第2の基材に設けられていると共に、第2の端子部を有する第2の配線パターンと、
前記第2の端子部に接続された第2の接続端子と、を備え、
前記コネクタは、
前記第1及び第2の接続端子が嵌合するコネクタ端子と、
前記コネクタ端子を収容する収容孔を有するハウジングと、を備えており、
前記第1の基材は、
前記第1の端子部が配置された第1の領域と、
前記第1の領域から延出する第2の領域と、を含み、
前記第2の基材は、
前記第2の端子部が配置された第3の領域と、
前記第3の領域から延出する第4の領域と、を含み、
前記第1のフレキシブルプリント配線板と前記第2のフレキシブルプリント配線板は、前記第1の領域と前記第3の領域で相互に重ねられており、
前記相互に重ねた第1及び第2のフレキシブルプリント配線板を前記第1及び第3の領域で折り曲げた状態で、前記第1及び第2の接続端子が前記ハウジングの前記収容孔に挿入されて前記コネクタ端子と嵌合している配線板組立体。
【請求項2】
請求項1に記載の配線板組立体であって、
前記配線板組立体は、前記第1及び第2のフレキシブルプリント配線板を接着する接着層を備えており、
前記接着層は、平面視において前記第1の領域と前記第3の領域とが相互に重複する重複部分に配置されている配線板組立体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の配線板組立体であって、
前記第2の領域の長手方向の長さは、前記第1の領域の長手方向の長さよりも長く、
前記第4の領域の長手方向の長さは、前記第3の領域の長手方向の長さよりも長い配線板組立体。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の配線板組立体であって、
前記第1の領域は、前記第1の端子部が設けられた第1の突出部分を含み、
前記第3の領域は、前記第2の端子部が設けられた第2の突出部分を含んでおり、
前記第1及び第2のフレキシブルプリント配線板を前記第1及び第3の領域で相互に重ねた状態において、前記第1の突出部分と前記第2の突出部分とが相互に非重複であると共に、前記第1の接続端子と前記第2の接続端子とが所定の位置関係で配置されている配線板組立体。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の配線板組立体であって、
前記配線板組立体は、前記第1及び第2のフレキシブルプリント配線板を前記第1及び第3の領域で相互に重ねた状態において、前記第1の接続端子と前記第2の接続端子との位置関係を規定する位置決め機構を備えており、
前記位置決め機構は、
前記第1のフレキシブルプリント配線板に設けられた第1の位置決め部と、
前記第1の位置決め部に対応するように前記第2のフレキシブルプリント配線板に設けられた第2の位置決め部と、を含む配線板組立体。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の配線板組立体であって、
前記第2のフレキシブルプリント配線板は、前記第2の基材に設けられた第3の配線パターンを備え、
前記配線板組立体は、前記第1の配線パターンと前記第3の配線パターンとを電気的に接続する接続部を備えており、
前記接続部は、平面視において前記第1の領域と前記第3の領域とが相互に重複する重複部分に配置されている配線板組立体。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の配線板組立体であって、
前記第1又は第2のフレキシブルプリント配線板の少なくとも一方の長手方向の長さは、250mm以上である配線板組立体。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の配線板組立体であって、
前記第1の配線パターンは、前記第2の領域に配置された第1のタブを有し、
前記第2の配線パターンは、前記第4の領域に配置された第2のタブを有している配線板組立体。
【請求項9】
請求項8に記載の配線板組立体であって、
前記第1及び第2のタブは、直列接続された複数の電池セルが備える電池モジュールの第1及び第2のバスバにそれぞれ接合され、
前記コネクタは、前記電池モジュールの状態を監視する監視ユニットに接続される配線板組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のフレキシブルプリント配線板とコネクタを備えた配線板組立体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
直列接続された複数の電池セルを備えた電池モジュールに用いられる電池モジュール監視用の配線板組立体として、特許文献1及び2に記載のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-86246号公報
【特許文献2】特開2020-4573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の配線板組立体では、単一のフレキシブルプリント配線板が用いられている。しかしながら、このフレキシブルプリント配線板は、比較的大きなサイズ(例えば、縦400mm(または750mm)×横250mm)を有しているため(例えば、特許文献1(段落[0024])参照)、生産性及び歩留まりが低い、という問題がある。
【0005】
一方、特許文献2の配線組立体では、3枚のフレキシブルプリント配線板が用いられている。しかしながら、これらのフレキシブルプリント配線板同士をコネクタを用いて接続しているため、部品点数及び製造工程の増加により高コスト化を招来している、という問題がある。
【0006】
本発明の目的は、生産性及び歩留まりの向上、並びに、低コスト化を図ることが可能な配線板組立体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本発明に係る配線板組立体は、第1のフレキシブルプリント配線板と、第2のフレキシブルプリント配線板と、前記第1及び第2のフレキシブルプリント配線板が接続されたコネクタと、を備え、前記第1のフレキシブルプリント配線板は、電気絶縁性を有する第1の基材と、前記第1の基材に設けられていると共に、第1の端子部を有する第1の配線パターンと、前記第1の端子部に接続された第1の接続端子と、を備え、前記第2のフレキシブルプリント配線板は、電気絶縁性を有する第2の基材と、前記第2の基材に設けられていると共に、第2の端子部を有する第2の配線パターンと、前記第2の端子部に接続された第2の接続端子と、を備え、前記コネクタは、前記第1及び第2の接続端子が嵌合するコネクタ端子と、前記コネクタ端子を収容する収容孔を有するハウジングと、を備えており、前記第1の基材は、前記第1の端子部が配置された第1の領域と、前記第1の領域から延出する第2の領域と、を含み、前記第2の基材は、前記第2の端子部が配置された第3の領域と、前記第3の領域から延出する第4の領域と、を含み、前記第1のフレキシブルプリント配線板と前記第2のフレキシブルプリント配線板は、前記第1の領域と前記第3の領域で相互に重ねられており、前記相互に重ねた第1及び第2のフレキシブルプリント配線板を前記第1及び第3の領域で折り曲げた状態で、前記第1及び第2の接続端子が前記ハウジングの前記収容孔に挿入されて前記コネクタ端子と嵌合している配線板組立体である。
【0008】
[2]上記発明において、前記配線板組立体は、前記第1及び第2のフレキシブルプリント配線板を接着する接着層を備えており、前記接着層は、平面視において前記第1の領域と前記第3の領域とが相互に重複する重複部分に配置されていてもよい。
【0009】
[3]上記発明において、前記第2の領域の長手方向の長さは、前記第1の領域の長手方向の長さよりも長く、前記第4の領域の長手方向の長さは、前記第3の領域の長手方向の長さよりも長くてもよい。
【0010】
[4]上記発明において、前記第1の領域は、前記第1の端子部が設けられた第1の突出部分を含み、前記第3の領域は、前記第2の端子部が設けられた第2の突出部分を含んでおり、前記第1及び第2のフレキシブルプリント配線板を前記第1及び第3の領域で相互に重ねた状態において、前記第1の突出部分と前記第2の突出部分とが相互に非重複であると共に、前記第1の接続端子と前記第2の接続端子とが所定の位置関係で配置されていてもよい。
【0011】
[5]上記発明において、前記配線板組立体は、前記第1及び第2のフレキシブルプリント配線板を前記第1及び第3の領域で相互に重ねた状態において、前記第1の接続端子と前記第2の接続端子との位置関係を規定する位置決め機構を備えており、前記位置決め機構は、前記第1のフレキシブルプリント配線板に設けられた第1の位置決め部と、前記第1の位置決め部に対応するように前記第2のフレキシブルプリント配線板に設けられた第2の位置決め部と、を含んでいてもよい。
【0012】
[6]上記発明において、前記第2のフレキシブルプリント配線板は、前記第2の基材に設けられた第3の配線パターンを備え、前記配線板組立体は、前記第1の配線パターンと前記第3の配線パターンとを電気的に接続する接続部を備えており、前記接続部は、平面視において前記第1の領域と前記第3の領域とが相互に重複する重複部分に配置されていてもよい。
【0013】
[7]上記発明において、前記第1又は第2のフレキシブルプリント配線板の少なくとも一方の長手方向の長さは、250mm以上であってもよい。
【0014】
[8]上記発明において、前記第1の配線パターンは、前記第2の領域に配置された第1のタブを有し、前記第2の配線パターンは、前記第4の領域に配置された第2のタブを有していてもよい。
【0015】
[9]上記発明において、前記第1及び第2のタブは、直列接続された複数の電池セルが備える電池モジュールの第1及び第2のバスバにそれぞれ接合され、前記コネクタは、前記電池モジュールの状態を監視する監視ユニットに接続されてもよい。
【0016】
[10]上記発明において、前記複数の第1のタブは、前記バスバの電圧順位に従って並ぶように前記第2の領域に配置され、前記複数の第2のタブは、前記バスバの電圧順位に従って並ぶように前記第4の領域に配置されていてもよい。
【0017】
[11]上記発明において、前記複数のバスバは、前記電池モジュールにおける電圧の順位が奇数である複数の第1のバスバと、前記電池モジュールにおける電圧の順位が偶数である複数の第2のバスバと、を含み、前記第1のタブは、前記第1のバスバに接続され、前記第2のタブは、前記第2のバスバに接続されており、前記複数の第1のタブは、前記第1のバスバの電圧順位に従って並ぶように前記第2の領域に配置され、前記複数の第2のタブは、前記第2のバスバの電圧順位に従って並ぶように前記第4の領域に配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、配線板組立体を構成するフレキシブルプリント配線板を2枚に分割しているので、個々のフレキシブルプリント配線板のサイズを小さくなり、配線板組立体の生産性及び歩留まりの向上を図ることができる。
【0019】
しかも、本発明では、第1及び第2のフレキシブルプリント配線板が重ねられた第1及び第3の領域において配線パターンを形成可能な面積を広く確保することができるので、配線板組立体の設計の自由度も向上する。
【0020】
また、本発明では、相互に重ねた2枚のフレキシブルプリント配線板を折り曲げた状態で、第1及び第2の接続端子をハウジングの収容孔に挿入してコネクタ端子と嵌合させることで、フレキシブルプリント配線板を一体化している。このため、フレキシブルプリント配線板同士の接続にコネクタを用いないので、配線板組立体の部品点数及び製造工程が低減し、配線板組立体の低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の実施形態における配線板組立体を電池モジュールに適用した例を示す概略平面図である。
図2図2は、本発明の実施形態における第1のフレキシブルプリント配線板を示す平面図である。
図3図3は、本発明の実施形態におけるコンタクトピン及び配線パターンの端子部を示す分解斜視図である。
図4図4は、本発明の実施形態における第2のフレキシブルプリント配線板を示す平面図である。
図5図5は、本発明の実施形態における配線板組立体の断面図であり、図2及び図4のV-V線に沿った断面図である。
図6図6は、本発明の実施形態におけるコネクタを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1は本実施形態における配線板組立体1を電池モジュール50に適用した例を示す平面図である。
【0024】
本実施形態における配線板組立体1は、電池モジュール監視用の配線板組立体であり、図1に示すように、電池モジュール50の監視箇所と監視ユニット60とを電気的に接続する部材である。特に限定されないが、この電池モジュール50は、例えば、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)等の電動車両に搭載される電池モジュールである。
【0025】
電池モジュール50は、複数(本例では7個)の電池セル51を備えている。この電池セル51は、特に限定されないが、例えば扁平型のリチウムイオン電池であり、一方の長側面の両端からそれぞれ突出している正極端子511と負極端子512を有している。複数の電池セル51は、異極端子511,512同士が対向するように相互に反転して重ねられている。なお、電池モジュール50を構成する電池セル51の数は、上記に限定されず、要求電圧等に応じて設定することができる。
【0026】
そして、相互に隣り合う電池セル51において、一方の電池セル51の正極端子511と他方の電池セル51の負極端子512とが、バスバ52,53を介して電気的に接続されている。このため、電池モジュール50が有する全ての電池セル51は複数のバスバ52,53を介して直列接続されている。なお、特に限定されないが、本実施形態では、それぞれのバスバ52,53に形成された貫通孔521,531に円柱状の電極端子511,512を挿入し、当該バスバ52,53と電極端子511,512とを半田接続することで、バスバ52,53と電極端子511,512とが接続されている。
【0027】
上述のように、複数の電池セル51は直列接続されているため、電池セル51の重ね方向に沿ってバスバ52,53の電圧が順に高くなっている。具体的には、電池セル51の重ね方向(図中のX軸方向)に並ぶ複数のバスバ52の列(図1においてX軸方向に沿って並ぶ上側のバスバ52の列)では、電池モジュール50における電圧の順位が奇数であるバスバ52が電圧順に並んでいる。一方、電池セル51の重ね方向に並ぶ複数のバスバ53の列(図1においてX軸方向に沿って並ぶ下側のバスバ53の列)では、電池モジュール50における電圧の順位が偶数であるバスバ53が電圧順に並んでいる。
【0028】
監視ユニット60は、電池モジュール50の状態を監視するユニット(CMU:Cell Monitoring Unit)である。特に限定されないが、この監視ユニット60は、例えば、電気回路を有するリジッド配線板から構成されており、電池モジュール50の電池セル51を直列接続するバスバ52,53から電圧を取得することで、それぞれの電池セル51の電圧を監視する。また、この監視ユニット60は、電池モジュール50に設けられた温度センサから温度を取得することで、それぞれの電池セル51の温度を監視してもよい。
【0029】
本実施形態における電池モジュール50が本発明における「電池モジュール」の一例に相当し、本実施形態における電池セル51が本発明における「電池セル」の一例に相当する。本実施形態におけるバスバ52が本発明における「第1のバスバ」の一例に相当し、本実施形態におけるバスバ53が本発明における「第2のバスバ」の一例に相当する。本実施形態における監視ユニット60が本発明における「監視ユニット」の一例に相当する。
【0030】
以下に、本実施形態における配線板組立体1の構成について、図1に加えて、図2図6を参照しながら説明する。
【0031】
図2は本実施形態における第1のフレキシブルプリント配線板10を示す平面図であり、図3は本実施形態におけるコンタクトピン13及び配線パターン12の端子部122を示す分解斜視図である。図4は本実施形態における第2のフレキシブルプリント配線板20を示す平面図である。図5は本実施形態における配線板組立体1の断面図であり、図2及び図4のV-V線に沿った断面図である。図6は本実施形態におけるコネクタ40を示す正面図である。
【0032】
本実施形態における配線板組立体1は、図1図2及び図4に示すように、第1のフレキシブルプリント配線板10と、第2のフレキシブルプリント配線板20と、コネクタ40と、を備えている。第1のフレキシブルプリント配線板10と第2のフレキシブルプリント配線板20は、後述するように、第1及び第3の領域111,211で重ねられた後に折り曲げ線BLに沿って折り曲げられた状態で、コネクタ40に挿入されている。以下において、第1のフレキシブルプリント配線板10を、単に「第1のFPC10」とも称し、第2のフレキシブルプリント配線板20を、単に「第2のFPC20」とも称する。
【0033】
なお、配線板組立体1が備えるフレキシブルプリント配線板の数は、複数であれば上記に限定されず、配線板組立体1が3枚以上のフレキシブルプリント配線板を備えていてもよい。また、当該複数のフレキシブルプリント配線板が有する折り曲げ線の数も、上記に限定されず、配線板組立体1が複数の折り曲げ線を有していてもよい。
【0034】
本実施形態における第1のFPC10が本発明における「第1のフレキシブルプリント配線板」の一例に相当し、本実施形態における第2のFPC20が本発明における「第2のフレキシブルプリント配線板」の一例に相当する。また、本実施形態におけるコネクタ40が、本発明における「コネクタ」の一例に相当する。
【0035】
第1のFPC10は、両面に導体層を備えた、所謂、両面フレキシブルプリント配線板である。具体的には、本実施形態の第1のFPC10は、図2及び図3に示すように、基材11と、配線パターン12と、コンタクトピン13と、カバーレイ14,15と、を備えている。この第1のFPC10は、当該第1のFPC10の長手方向(図中のX軸方向)に沿って、250mm以上の長さLを有している(L≧250mm)。なお、配線パターン12を見易くするため、図2にはカバーレイ14,15を図示していない。第1のFPC10として、片面のみに導体層を備えた、所謂、片面フレキシブルプリント配線板を用いてもよい。
【0036】
本実施形態における基材11が本発明における「第1の基材」の一例に相当し、本実施形態における配線パターン12が本発明における「第1の配線パターン」の一例に相当し、本実施形態におけるコンタクトピン13が本発明における「第1の接続端子」の一例に相当する。
【0037】
基材11は、可撓性を有する樹脂フィルムである。この基材11は、樹脂材料等の電気絶縁性を有する材料から構成されている。特に限定されないが、この基材11を構成する材料としては、例えば、ポリイミド(PI)、液晶ポリマ(LCP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、及び、アラミド等を例示することができる。
【0038】
この基材11は、第1の領域111と、第2の領域112と、を含んでいる。
【0039】
第1の領域111は、略L字状の形状を有しており、当該第1の領域111の長手方向(図中のX軸方向)に沿って長さLを有している。なお、後述のように、この第1の領域111は折り曲げ線BLで折り曲げられるが、第1の領域111の長手方向とは、当該折り曲げ線BLで折り曲げた状態における第1の領域111の長手方向を意味する。
【0040】
また、この第1の領域111は、図中+X方向に突出する複数の第1の突出部分111aを含んでいる。それぞれの第1の突出部分111aには配線パターン12の端子部122(後述)が設けられており、コンタクトピン13がこの第1の突出部分111aに加締められることで端子部122に接続されている。この複数の第1の突出部分111aの間には切り欠き111bが形成されている。第1及び第2のFPC10,20が重ねられると、この第1の突出部分111aが第2のFPC20の第2の突出部分211a(後述)と非重複であると共に、切り欠き111bを介して第2のFPC20のコンタクトピン23が露出する。なお、この第1の突出部分111aに補強板を貼り付けておくことで、当該第1の突出部分111aを補強してもよい。
【0041】
また、この第1の領域111は、2つの位置決め部113を有している。それぞれの位置決め部113は、凸部113aと、位置決め孔113bと、を備えている。凸部113aは、基材11の一部であり、第1の領域111から突出している部分である。位置決め孔113bは、この凸部113aを貫通している。この位置決め部113と第2のFPC20の位置決め部213(後述)を用いて、第1及び第2のFPC10,20を相互に位置決めすることで、第1のFPC10のコンタクトピン13と、第2のFPC20のコンタクトピン23(後述)とが所定の位置関係で整列される。なお、第1の領域111が有する位置決め部113の数や配置は上記に限定されない。
【0042】
第2の領域112は、第1の領域111から図中の-X方向に直線状に延出している。この第2の領域112は、当該第2の領域112の長手方向(図中のX軸方向)に沿って長さLを有している。この第2の領域112の長さLは、上述の第1の領域111の長さLよりも長くなっている(L>L)。
【0043】
なお、基材11の平面形状は、第2の領域112の長さLが第1の領域111の長さLよりも長くなっている限り(L>L)、上記に限定されない。また、基材11が、第1の領域111を複数備えていてもよいし、第2の領域112を複数備えていてもよい。
【0044】
この基材11には複数の配線パターン12が形成されている。本実施形態では、基材11の両面に配線パターン12が形成されているが、基材11の片面のみに配線パターン12を形成してもよい。この配線パターン12は、金属又はカーボン等の導電性材料から構成されている。この配線パターン12を構成する金属としては、例えば、銅、銀、金を例示することができる。なお、配線パターン12の本数や配置は、特に限定されず、電池モジュール50が備える電池セル51の数等に応じて設定することができる。
【0045】
基材11に配線パターン12を形成する方法としては、特に限定されないが、サブトラクティブ法やセミアディティブ法等の方法を例示することができる。或いは、導電性粒子を含む導電性ペーストを基材11上に印刷し、当該導電性ペーストを硬化させることにより、配線パターン12を形成してもよい。
【0046】
複数の配線パターン12は、配線部121と、端子部122と、を有している。また、当該複数の配線パターン12の中の一部の配線パターン12A~12Dは、配線部121及び端子部122に加えて、タブ123を有している。配線パターン12A~12Dは、電池セル51の電圧を検出するための配線パターンであるのに対し、それ以外の配線パターン12は、電圧検出以外の用途(例えば温度検出等)に用いられる配線パターンである。
【0047】
配線パターン12の配線部121は、第1の領域111の端部(図中の+X側の端部)から当該第1の領域111を横断して第2の領域112に進入しており、さらに、この第2の領域112内において当該第2の領域112の長手方向(図中のX軸方向)に沿って直線状に延在している。
【0048】
それぞれの配線部121の配線部121の一端(図中の+X側の端部)に端子部122が設けられている。端子部122は、基材11の第1の突出部分111aに設けられている。
【0049】
また、電圧検出用の配線パターン12A~12Dの配線部121の他端(図中の-X側の端部)には、タブ123が設けられている。それぞれのタブ123には、電池モジュール50のバスバ52が接合されている。なお、タブ123とバスバ52の具体的な接合方法としては、例えば、溶接を例示することができる。
【0050】
具体的には、配線パターン12Aは、バスバ52の中で最高電圧のバスバ52Aに対応する位置まで第2の領域112上を延在しており、当該配線パターン12Aのタブ123にバスバ52Aが接合されている。同様に、配線パターン12Bは、バスバ52の中で二番目に電圧の高いバスバ52Bに対応する位置まで第2の領域112上を延在しており、当該配線パターン12Bのタブ123にバスバ52Bが接合されている。同様に、配線パターン12Cは、バスバ52の中で三番目に電圧の高いバスバ52Cに対応する位置まで第2の領域112上を延在しており、当該配線パターン12Cのタブ123にバスバ52Cが接合されている。同様に、配線パターン12Dは、バスバ52の中で最低電圧のバスバ52Dに対応する位置まで第2の領域112上を延在しており、当該配線パターン12Dのタブ123にバスバ52Dが接合されている。
【0051】
このように、本実施形態では、配線パターン12A~12Dのタブ123は、第2の領域112において、当該第2の領域112の長手方向(図中のX軸方向)に沿って、バスバ52A~52Dの電圧順に従って並べられている。これに対し、第1のFPC10として両面配線基板を用いて配線パターン12A~12Dを三次元的に入れ替えることで、バスバ52A~52Dに接続された配線パターン12A~12Dの端子部122も、第1の領域111において、バスバ52A~52Dの電圧順に従って並べられている。
【0052】
コンタクトピン13は、図3に示すように、嵌合部131と、板状部132と、爪部133と、を備えている。嵌合部131は、コネクタ40が有するコネクタ端子42(後述)に嵌合する部分である。この嵌合部131に板状部132が接続されており、当該板状部132から複数の爪部133が下方に向かって突出している。この爪部133を基材11の第1の突出部分111aに突き刺して貫通させた後に当該爪部133を折り曲げることで、当該コンタクトピン13が基材11に加締められている。これにより、コンタクトピン13が、基材11に機械的に固定されていると共に、配線パターン12の端子部122に電気的に接続されている。
【0053】
カバーレイ14は、配線パターン12を保護するための層であり、(図3および図5参照)。このカバーレイ14は、樹脂材料等の電気絶縁性を有する材料からなるフィルムで構成されている。特に限定されないが、このカバーレイ14を構成する材料としては、ポリイミド(PI)、液晶ポリマ(LCP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、及び、アラミド等を例示することができる。なお、このカバーレイ14が、上述のフィルムを基材11に貼り付けるための接着層を備えていてもよい。こうした接着層を構成する材料としては、例えば、エポキシ系接着剤やアクリル系接着剤を例示することができる。
【0054】
なお、カバーレイ14として、感光性カバーレイ材料からなるドライフィルムを用いて形成してもよいし、或いは、液状の感光性カバーレイ材料を露光及び現像することで、カバーレイ14を形成してもよい。或いは、液状のカバーレイインクを印刷することで、カバーレイ14を形成してもよい。
【0055】
或いは、カバーレイ14をソルダレジストで構成してもよい。具体的には、感光性レジスト材料からなるドライフィルムを用いてカバーレイ14を形成してもよい。或いは、液状の感光性レジスト材料を露光及び現像することで、カバーレイ14を形成してもよい。或いは、液状のソルダレジストインクを印刷することで、カバーレイ14を形成してもよい。
【0056】
このカバーレイ14は、配線パターン12を覆うように、基材11の一方の主面に設けられている。この際、カバーレイ14の一部に切り欠きや開口が形成されており、当該切り欠き及び開口を介して、配線パターン12の端子部122及びタブ123がカバーレイ14から露出している(図3参照)。
【0057】
カバーレイ15も、上述のカバーレイ14と同様の材料及び製法により形成されており、配線パターン12を覆うように、基材11の他方の主面に設けられている。
【0058】
第2のFPC20も、上述の第1のFPC10と同様に、両面に導体層を備えた、所謂、両面フレキシブルプリント配線板である。具体的には、本実施形態の第2のFPC20は、図4に示すように、基材21と、配線パターン22と、コンタクトピン23と、カバーレイ24,25(図3及び図5参照)と、を備えている。この第2のFPC20は、当該第2のFPC20の長手方向(図中のX軸方向)に沿って、250mm以上の長さLを有している(L≧250mm)。なお、配線パターン22を見易くするため、図4にはカバーレイ24,25を図示していない。第2のFPC20として、片面のみに導体層を備えた、所謂、片面フレキシブルプリント配線板を用いてもよい。
【0059】
本実施形態における基材21が本発明における「第2の基材」の一例に相当し、本実施形態における配線パターン22が本発明における「第2の配線パターン」の一例に相当し、本実施形態におけるコンタクトピン23が本発明における「第2の接続端子」の一例に相当する。
【0060】
基材21は、上述の第1のFPC10の基材11を構成する材料と同様の材料から構成されている。この基材21は、第3の領域211と、第4の領域212と、を含んでいる。
【0061】
第3の領域211は、略L字状の形状を有しており、当該第3の領域211の長手方向(図中のX軸方向)に沿って長さLを有している。なお、後述のように、この第3の領域211は折り曲げ線BLで折り曲げられるが、第3の領域211の長手方向とは、当該折り曲げ線BLで折り曲げた状態における第3の領域211の長手方向を意味する。
【0062】
また、この第3の領域211は、図中+X方向に突出する複数の第2の突出部分211aを含んでいる。それぞれの第2の突出部分211aには配線パターン22の端子部222(後述)が設けられており、コンタクトピン23がこの第2の突出部分211aに加締められることで端子部222に接続されている。この複数の第2の突出部分211aの間には切り欠き211bが形成されている。第1及び第2のFPC10,20が重ねられると、この第2の突出部分211aが第1のFPC10の第1の突出部分111aと非重複であると共に、切り欠き211b内に第1のFPC10のコンタクトピン13が位置する。なお、この第2の突出部分211aに補強板を貼り付けておくことで、当該第2の突出部分211aを補強してもよい。
【0063】
また、この第3の領域211は、2つの位置決め部213を有している。それぞれの位置決め部213は、凸部213aと、位置決め孔213bと、を備えている。凸部213aは、基材11の一部であり、第3の領域211から突出している部分である。位置決め孔213bは、この凸部213aを貫通している。この位置決め孔213bは、上述の第1のFPC10の位置決め孔113bに対応するように配置されている。なお、第3の領域211が有する位置決め部213の数や配置は上記に限定されない。
【0064】
また、位置決め部213の構成も上記に限定されず、例えば、位置決め孔213bに代えて、凸部213aに位置決めマークを形成し、第1のFPC10の位置決め孔113bを介して当該位置決め孔213bをカメラで撮像し、画像処理を用いて第1及び第2のFPC10,20を位置決めしてもよい。或いは、位置決め孔113b,213bに代えて、位置決めマークを位置決め部113,213の両方に形成し、これらのマークの相対的な位置関係に基づいて、画像処理を用いて第1及び第2のFPC10,20を位置決めしてもよい。なお、この場合には、第1のFPC10の凸部113aと、第2のFPC20の凸部2213aとを相互に重複しないように形成する。
【0065】
第4の領域212は、第3の領域211から図中の-Y方向に突出してから、図中の-X方向に直線状に延在している。この第4の領域212は、当該第4の領域212の長手方向(図中のX軸方向)に沿って長さLを有している。この第4の領域212の長さLは、上述の第3の領域211の長さLよりも長くなっている(L>L)。
【0066】
なお、基材21の平面形状は、第4の領域212の長さLが第3の領域211の長さLよりも長くなっている限り(L>L)、上記に限定されない。また、基材21が、第3の領域211を複数備えていてもよいし、第4の領域212を複数備えていてもよい。
【0067】
この基材21には複数の配線パターン22が形成されている。本実施形態では、基材21の両面に配線パターン22が形成されているが、基材21の片面のみに配線パターン22を形成してもよい。この配線パターン22は、上述の第1のFPC10の配線パターン12と同様の材料及び製法により形成されている。なお、配線パターン22の本数や配置は、特に限定されず、電池モジュール50が備える電池セル51の数等に応じて設定することができる。
【0068】
複数の配線パターン22は、配線部221と、端子部222と、を有している。また、当該複数の配線パターン22の中の一部の配線パターン22A~22Dは、配線部221及び端子部222に加えて、タブ223を有している。配線パターン22A~22Dは、電池セル51の電圧を検出するための配線パターンであるのに対し、それ以外の配線パターン22は、電圧検出以外の用途(例えば温度検出等)に用いられる配線パターンである。
【0069】
なお、第2のFPC20が、配線パターン22Zを備えていてもよい。この配線パターン22Zは、端子部222を備えておらず、後述するように、接続部32を介して、第1のFPC10の配線パターン12に接続されている。この接続部32は、第1の領域111と第3の領域211とが重複する重複部分30に配置されている。本実施形態における配線パターン22Zが、本発明における「第3の配線パターン」の一例に相当する。
【0070】
配線パターン22の配線部221は、第3の領域211の端部(図中の+X側の端部)から当該第3の領域211を横断して第4の領域212に進入しており、さらに、この第4の領域212内において当該第4の領域212の長手方向(図中のX軸方向)に沿って直線状に延在している。
【0071】
それぞれの配線部221の配線部221の一端(図中の+X側の端部)に端子部222が設けられている。端子部222は、基材21の第2の突出部分211aに設けられている。
【0072】
また、電圧検出用の配線パターン22A~22Dの配線部221の他端(図中の-X側の端部)には、タブ223が設けられている。それぞれのタブ223には、電池モジュール50のバスバ53が接合されている。なお、タブ223とバスバ53の具体的な接合方法としては、例えば、溶接を例示することができる。
【0073】
具体的には、配線パターン22Aは、バスバ53の中で最高電圧のバスバ53Aに対応する位置まで第4の領域212上を延在しており、当該配線パターン22Aのタブ223にバスバ53Aが接合されている。同様に、配線パターン22Bは、バスバ53の中で二番目に電圧の高いバスバ53Bに対応する位置まで第4の領域212上を延在しており、当該配線パターン22Bのタブ223にバスバ53Bが接合されている。同様に、配線パターン22Cは、バスバ53の中で三番目に電圧の高いバスバ53Cに対応する位置まで第4の領域212上を延在しており、当該配線パターン22Cのタブ223にバスバ53Cが接合されている。同様に、配線パターン22Dは、バスバ53の中で最低電圧のバスバ53Dに対応する位置まで第4の領域212上を延在しており、当該配線パターン22Dのタブ223にバスバ53Dが接合されている。
【0074】
このように、本実施形態では、配線パターン22A~22Dのタブ223は、第4の領域212において、当該第4の領域212の長手方向(図中のX軸方向)に沿って、バスバ53A~53Dの電圧順に従って並べられている。これに対し、第2のFPC20として両面配線基板を用いて配線パターン22A~22Dを三次元的に入れ替えることで、バスバ53A~53Dに接続された配線パターン22A~22Dの端子部222も、第3の領域211において、バスバ53A~53Dの電圧順に従って並べられている。
【0075】
コンタクトピン23は、上述の第1のFPC10のコンタクトピン13と同様の構成を有している。このコンタクトピン23は、上述のコンタクトピン13と同様に、爪部を基材21に貫通させて折り曲げることで、基材11に機械的に固定されていると共に配線パターン12の端子部122に電気的に接続されている。
【0076】
カバーレイ24,25は、配線パターン12を保護するための層である(図3および図5参照)。このカバーレイ24,25は、上述の第1のFPC10のカバーレイ14,15と同様の材料及び製法により形成されている。カバーレイ24,25は、配線パターン22を覆うように、基材11の両主面に設けられている。この際、カバーレイ24,25の一部に切り欠きや開口が形成されており、当該切り欠き及び開口を介して、配線パターン22の端子部222及びタブ223がカバーレイ24,25から露出している。
【0077】
以上に説明した第1及び第2のFPC10,20は、先ず、第1及び第3の領域111,211で重ね合わせられている。
【0078】
この状態において、第1のFPC10の第1の突出部分111aと、第2のFPC20の第2の突出部分211aとが、相互に非重複となっている。本実施形態では、第1の突出部分111aが第2のFPC20の切り欠き211b内に位置していると共に、第2の突出部分211aが第1のFPC10の切り欠き111b内に位置しており、第1のFPC10の第1の突出部分111aと、第2のFPC20の第2の突出部分211aとは、交互に配置されている。従って、この状態において、第1のFPC10のコンタクトピン13が、第2のFPC20の切り欠き211b内に位置していると共に、第2のFPC20のコンタクトピン23が、第1のFPC10の切り欠き111b内に位置している。
【0079】
この際、第1のFPC10と第2のFPC20とは、接着層31を介して接着されている。この接着層31は、平面視において、第1の領域111と第3の領域211とが重複する重複部分30に配置されている。こうした接着層31を第1及び第3の領域111,211に設けることで、コンタクトピン23をコネクタ40に挿入し易くなると共に、コンタクトピン23を保持している当該第1及び第3の領域111,211を補強することもできる。なお、この接着層31を省略してもよい。
【0080】
また、第1及び第2のFPC10,20を重ね合わせる際に、例えば、位置決め治具のガイドピンを、第1のFPC10の位置決め孔113bと、第2のFPC20の位置決め孔213bとに挿入する。これにより、第1のFPC10と第2のFPC20とを高精度に位置決めすることができ、コンタクトピン13とコンタクトピン23を所定の位置関係で整列することができる。特に限定されないが、本実施形態では、位置決め部113,213により第1及び第2のFPC10,20を位置決めすると、図2及び図4に示すように、コンタクトピン13,23が所定のピッチPで等間隔に並べられる。
【0081】
なお、配線パターン22が、上述の配線パターン22Zを含んでいる場合には、以下の要領で、接続部32を形成する。すなわち、図5に示すように、第2のFPC20において、配線パターン22Zの端部を露出させるように、カバーレイ24に開口241を予め形成しておく。また、第1のFPC10において当該配線パターン22Zの端部に対向する位置に、スルーホール16を予め形成しておくと共に、接着層31において当該配線パターン22Zの端部に対向する位置にも、貫通孔311を予め形成しておく。そして、第1のFPC10と第2のFPC20を接着層31を介して貼り合わせた後、スルーホール16及び貫通孔311に半田を充填することで、第1のFPC10の配線パターン12と第2のFPC20の配線パターン22Zとを電気的に接続する。なお、半田に代えて、導電性ペーストを用いてもよい。
【0082】
次いで、第1及び第3の領域111,211で重ねられた第1及び第2のFPC10,20は、図1に示すように、折り曲げ線BLで折り曲げられている。この折り曲げ線BLは、図2及び図4に示すように、図中のX軸方向に沿って延在しており、第1のFPC10の第1の領域111に位置していると共に、第2のFPC20の第3の領域211に位置している。本実施形態では、相互に重ね合わせた第1及び第2のFPC10,20を折り曲げ線BLで折り曲げた状態では、コンタクトピン13,23が2行6列に配列されている。なお、コンタクトピン13,23の数や配列は、上記に限定されない。
【0083】
第1及び第3の領域111,211で重ねられ折り曲げ線BLで折り曲げられた第1及び第2のFPC10,20は、コネクタ40に接続されている。このコネクタ40は、図1に示すように、上述した監視ユニット60に電気的に接続されている。このコネクタ40は、図6に示すように、ハウジング41と、複数のコネクタ端子42と、を備えている。
【0084】
ハウジング41は、複数の収容孔411を有している。それぞれの収容孔411には、第1及び第2のFPC10,20のコンタクトピン13,23を挿入可能となっている。この複数の収容孔411は、上述の第1及び第2のFPC10,20のコンタクトピン13,23の配列に対応した配列でハウジング41に形成されている。本実施形態では、12個の収容孔411がコンタクトピン13,23の配列に合わせて2行6列で配列されており、収容孔411間のピッチPはコンタクトピン13,23のピッチP(図2及び図4参照)と同一となっている。
【0085】
それぞれの収容孔411内にはコネクタ端子42が配置されている。収容孔411内に挿入されたコンタクトピン13,23が、コネクタ端子42に嵌合することで、第1及び第2のFPC10,20がコネクタ40に接続される。
【0086】
以上のように、本実施形態では、配線板組立体1を構成するフレキシブルプリント配線板を、第1のFPC10と第2のFPC20に分割しているので、それぞれのFPC10,20のサイズを小さくなり、配線板組立体1の生産性及び歩留まりの向上を図ることができる。
【0087】
しかも、本実施形態では、第1及び第2のFPC10,20が重ねられた第1及び第3の領域111,211において配線パターンを形成可能な面積を広く確保することができるので、配線板組立体1の設計の自由度も向上する。
【0088】
また、本実施形態では、相互に重ねた2枚のFPC10,20を折り曲げた状態で、コンタクトピン13,23をハウジング41の収容孔411に挿入してコネクタ端子42と嵌合させることで、FPC10,20を一体化している。このため、FPC10,20同士の接続にコネクタを用いないので、配線板組立体1の部品点数及び製造工程が低減し、配線板組立体1の低コスト化を図ることができる。
【0089】
また、相互に積層した2枚のフレキシブルプリント配線板を、折り曲げずに、単にコネクタに挿入する場合には、上側のフレキシブルプリント配線板のコンタクトピンは、コネクタにおいて上段に配置された収容孔に収容されたコネクタ端子にしか接続することはできない。同様に、下側のフレキシブルプリント配線板のコンタクトピンは、コネクタにおいて下段に配置された収容孔に収容されたコンタクト端子にしか接続することはできない。
【0090】
これに対し、本実施形態では、相互に重ねたFPC10,20を折り曲げるので、第1のFPC10のコンタクトピン13をコネクタ40の下段の収容孔411に収容されたコネクタ端子42に接続したり、第2のFPC20のコンタクトピン23をコネクタ40の上段の収容孔411に収容されたコネクタ端子42に接続することができる。このため、本実施形態では、配線板組立体1の設計の自由度が向上する。
【0091】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0092】
例えば、上述の実施形態では、配線板組立体1を電池モジュール50の監視に用いた例について説明した。しかしながら、配線板組立体1の用途は、上記の用途に限定されず、電池モジュールの監視以外の用途に配線板組立体1を用いてもよい。
【符号の説明】
【0093】
1…配線板組立体
10…第1のFPC
11…基材
111…第1の領域
111a…第1の突出部分
112…第2の領域
113…位置決め部
12,12A~12D…配線パターン
122…端子部
123…タブ
13…コンタクトピン
16…スルーホール
20…第2のFPC
21…基材
211…第3の領域
211a…第2の突出部分
212…第4の領域
213…位置決め部
22,22A~22D,22Z…配線パターン
222…端子部
223…タブ
23…コンタクトピン
30…重複部分
31…接着層
32…接続部
BL…折り曲げ線
40…コネクタ
41…ハウジング
411…収容孔
42…コネクタ端子
50…電池モジュール
51…電池セル
511,512…電極端子
52,53…バスバ
60…監視ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6