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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103176
(43)【公開日】2023-07-26
(54)【発明の名称】自動印刷エンジン速度制御
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20230719BHJP
   B41J 29/46 20060101ALI20230719BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
B41J29/38 302
B41J29/46 Z
G03G21/00 386
G03G21/00 380
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207925
(22)【出願日】2022-12-26
(31)【優先権主張番号】17/574,613
(32)【優先日】2022-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】バリー、ケイ.、アヤシュ
(72)【発明者】
【氏名】ランディ、アール.、スプレイグ
(72)【発明者】
【氏名】マーク、エー.、ルール
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AR03
2C061AS02
2C061HJ02
2C061HJ07
2C061HK07
2C061HN04
2C061HN20
2C061HN22
2C061HV01
2C061HV33
2H270LA31
2H270LA37
2H270LC04
2H270LD03
2H270MB07
2H270MC56
2H270MC61
2H270QA13
2H270QA23
2H270QB02
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】      (修正有)
【解決手段】印刷装置のプロセッサは、印刷装置の媒体記憶構成要素内に配置された印刷媒体の媒体タイプを取得及び維持する。プロセッサはまた、異なる媒体タイプのための異なる印刷速度制限を含む参照ファイルにアクセスする。参照ファイルは、印刷装置の電子記憶構成要素に維持することができる。プロセッサは、参照ファイルを使用して、媒体記憶構成要素内の印刷媒体の媒体タイプに対応する印刷装置の印刷エンジンの適切な印刷速度制限を判定する。更に、印刷エンジンのジョブ設定印刷速度が印刷速度制限を上回っていることに基づいて、印刷装置のユーザインターフェースは、過速度インジケータを表示することができ、及び/又はプロセッサは、印刷の実行を停止することができる。
【効果】時間及び費用を節約し、印刷ジョブが間違った印刷速度で実行されないようにすることによって無駄を最小限に抑えるのに役立つ。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、
前記プロセッサに動作可能に接続された印刷エンジンと、
前記プロセッサに動作可能に接続された媒体記憶構成要素と、
前記プロセッサに動作可能に接続されたユーザインターフェースと、
を備え、
前記プロセッサが、前記媒体記憶構成要素内の印刷媒体の媒体タイプを維持するように適合されており、
前記プロセッサが、異なる媒体タイプのための異なる印刷速度制限を含む参照ファイルにアクセスするように適合されており、
前記プロセッサが、前記参照ファイルを使用して、前記媒体記憶構成要素内の前記印刷媒体の前記媒体タイプに対応する前記印刷エンジンの印刷速度制限を判定するように適合されており、
前記ユーザインターフェースが、前記印刷エンジンのジョブ設定印刷速度が前記印刷速度制限を上回っていることに基づいて、過速度インジケータを表示するように適合されている、
印刷装置。
【請求項2】
前記過速度インジケータが、前記ジョブ設定印刷速度が前記印刷速度制限を上回っていることを表示し、前記過速度インジケータが、
前記ジョブ設定印刷速度で前記印刷エンジンを動作させることと、
前記ジョブ設定印刷速度を下回る速度で前記印刷エンジンを動作させることと、を含む、ユーザ選択可能オプションを表示する、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記プロセッサが、前記ジョブ設定印刷速度が前記印刷速度制限を上回っていることに基づいて、前記印刷エンジンの速度を前記ジョブ設定印刷速度から前記印刷速度制限に自動的に低減させるように適合されている、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記過速度インジケータが、前記印刷エンジンの前記速度が自動的に低減されたことを示す、請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記異なる媒体タイプが、媒体重量、媒体コーティングなどに基づく、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記プロセッサに動作可能に接続された電子記憶構成要素を更に備え、前記参照ファイルが、前記電子記憶構成要素内に維持される、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記異なる印刷速度制限が、少なくとも3つの異なる速度を含む、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項8】
プロセッサと、
前記プロセッサに動作可能に接続された印刷エンジンと、
前記プロセッサに動作可能に接続された媒体記憶構成要素と、
前記プロセッサに動作可能に接続されたユーザインターフェースと、
を備え、
前記プロセッサが、前記媒体記憶構成要素内の印刷媒体の媒体タイプを維持するように適合されており、
前記プロセッサが、異なる媒体タイプのための異なる印刷速度制限を含む参照ファイルにアクセスするように適合されており、
前記プロセッサが、前記参照ファイルを使用して、前記媒体記憶構成要素内の前記印刷媒体の前記媒体タイプに対応する前記印刷エンジンの印刷速度制限を判定するように適合されており、
前記プロセッサが、前記印刷エンジンのジョブ設定印刷速度が前記印刷速度制限を上回っていることに基づいて、前記印刷の実行を停止するように適合されている、
印刷装置。
【請求項9】
前記ユーザインターフェースが、前記印刷エンジンの前記ジョブ設定印刷速度が前記印刷速度制限を上回っていることに基づいて、過速度インジケータを表示するように適合されており、前記過速度インジケータが、前記ジョブ設定印刷速度が前記印刷速度制限を上回っていることを表示し、前記過速度インジケータが、
前記ジョブ設定印刷速度で前記印刷エンジンを動作させることと、
前記ジョブ設定印刷速度を下回る速度で前記印刷エンジンを動作させることと、
を含む、ユーザ選択可能オプションを表示する、
請求項8に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記プロセッサが、前記ジョブ設定印刷速度が前記印刷速度制限を上回っていることに基づいて、前記印刷エンジンの速度を前記ジョブ設定印刷速度から前記印刷速度制限に自動的に低減させるように適合されている、請求項8に記載の印刷装置。
【請求項11】
前記過速度インジケータが、前記印刷エンジンの前記速度が自動的に低減されたことを示す、請求項10に記載の印刷装置。
【請求項12】
前記異なる媒体タイプが、媒体重量、媒体コーティングなどに基づく、請求項8に記載の印刷装置。
【請求項13】
前記プロセッサに動作可能に接続された電子記憶構成要素を更に備え、前記参照ファイルが、前記電子記憶構成要素内に維持される、請求項8に記載の印刷装置。
【請求項14】
前記異なる印刷速度制限が、少なくとも3つの異なる速度を含む、請求項8に記載の印刷装置。
【請求項15】
印刷装置のプロセッサによって、前記印刷装置の媒体記憶構成要素内の印刷媒体の媒体タイプを維持することと、
前記プロセッサによって、異なる媒体タイプのための異なる印刷速度制限を含む参照ファイルにアクセスすることと、
前記プロセッサによって、前記参照ファイルを使用して、前記媒体記憶構成要素内の前記印刷媒体の前記媒体タイプに対応する前記印刷装置の印刷エンジンの印刷速度制限を判定することと、
前記印刷装置のユーザインターフェースによって、前記印刷エンジンのジョブ設定印刷速度が前記印刷速度制限を上回っていることに基づいて、過速度インジケータを表示することと、
を含む、方法。
【請求項16】
前記過速度インジケータを表示することが、前記ジョブ設定印刷速度が前記印刷速度制限を上回っていることを表示し、前記過速度インジケータを表示することが、
前記ジョブ設定印刷速度で前記印刷エンジンを動作させることと、
前記ジョブ設定印刷速度を下回る速度で前記印刷エンジンを動作させることと、
を含む、ユーザ選択可能オプションを表示する、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ジョブ設定印刷速度が前記印刷速度制限を上回っていることに基づいて、前記プロセッサによって、前記印刷エンジンの速度を前記ジョブ設定印刷速度から前記印刷速度制限に自動的に変更することを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記過速度インジケータを表示することが、前記印刷エンジンの前記速度が自動的に低減されたことを示す、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記異なる媒体タイプが、媒体重量、媒体コーティングなどに基づく、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記印刷装置の電子記憶構成要素によって、前記参照ファイルを維持することを更に含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本明細書のシステム及び方法は、概して、印刷デバイス及びその使用に関し、より具体的には、印刷デバイスの印刷速度の制御に関する。
【0002】
現代の印刷デバイスは、様々な速度で動作し、印刷速度が増加するにつれて様々なトレードオフが生じる。低価格のプリンタの中には、単一の相対的により遅い速度でしか印刷しないものもある。より高速に動作するプリンタを所望するユーザは、通常、そのようなより高速のデバイスに対して割増料金を支払う。加えて、より高速の印刷デバイスは、異なる速度で動作することができ、印刷品質は、一般に、速度が増加するにつれて減少する。
【発明の概要】
【0003】
本明細書における様々な印刷デバイスは、(他の構成要素の中でも)印刷エンジン、電子記憶構成要素、媒体記憶構成要素、ユーザインターフェースなどを含み、これらは全て、少なくとも1つのプロセッサに動作可能に(直接的又は間接的に)接続される。プロセッサは、媒体記憶構成要素内の印刷媒体の媒体タイプ(例えば、媒体の物理的特性を示す)を手動又は自動で供給され、かつ維持するように適合されている。異なる媒体タイプは、媒体重量、媒体コーティングなどに基づくことができる。
【0004】
プロセッサはまた、異なる媒体タイプのための異なる印刷速度制限を含む参照ファイルにアクセスするように適合されている。例えば、参照ファイルは、電子記憶構成要素内に維持することができ、参照ファイルは、例えば、異なる媒体タイプのための少なくとも3つの異なる速度を含むことができる。これと共に、プロセッサは、参照ファイルを使用して、媒体記憶構成要素内の印刷媒体の媒体タイプに対応する印刷エンジンの適切な印刷速度制限を自動的に判定するように適合されている。
【0005】
ユーザインターフェースは、印刷エンジンのジョブ設定印刷速度が印刷速度制限を上回っていることに基づいて、過速度インジケータを表示するように適合されており、及び/又はプロセッサは、印刷エンジンのジョブ設定印刷速度が印刷速度制限を上回っていることに基づいて、印刷の実行を停止するように適合されている。このような過速度インジケータは、ジョブ設定印刷速度が印刷速度制限を上回っていることを表示することができる。過速度インジケータはまた、ジョブ設定印刷速度で印刷エンジンを動作させるオプション、又はジョブ設定印刷速度を下回る速度で(例えば、印刷速度制限で)印刷エンジンを動作させるオプションを含むことができる様々なユーザ選択可能オプションを表示することができる。
【0006】
他の実施形態はでは、プロセッサは、ジョブ設定印刷速度が印刷速度制限を上回っていることに基づいて、印刷エンジンの速度をジョブ設定印刷速度から印刷速度制限に自動的に低減させるように適合され得る。このような実施形態では、ユーザインターフェース上に表示される過速度インジケータは、印刷エンジンの速度が自動的に低減されたことを示すことができる。
【0007】
本明細書の様々な方法は、印刷装置の媒体記憶構成要素内に配置された印刷媒体の媒体タイプを(印刷装置のプロセッサを使用して)取得して、維持する。異なる媒体タイプは、媒体重量、媒体コーティングなどに基づくことができる。これらの方法はまた、異なる媒体タイプのための異なる印刷速度制限を含む参照ファイルに(プロセッサを使用して)アクセスする。参照ファイルは、印刷装置の電子記憶構成要素に維持することができる。
【0008】
本明細書の方法は、参照ファイルを使用して、媒体記憶構成要素内の印刷媒体の媒体タイプに対応する印刷装置の印刷エンジンの適切な印刷速度制限を(プロセッサを使用して)判定する。更に、このような方法は、印刷エンジンのジョブ設定印刷速度が印刷速度制限を上回っていることに基づいて、(印刷装置のユーザインターフェースを使用して)過速度インジケータを表示することができ、及び/又はプロセッサを使用して印刷の実行を停止することができる。
【0009】
過速度インジケータを表示するプロセスは、ジョブ設定印刷速度が印刷速度制限を上回っていることを表示することができ、及び/又はこのプロセスは、ジョブ設定印刷速度で印刷エンジンを動作させるか、又はジョブ設定印刷速度を下回る速度で印刷エンジンを動作させるオプションを含む、ユーザ選択可能オプションを表示することができる。
【0010】
他の実施形態では、これらの方法は、ジョブ設定印刷速度が印刷速度制限を上回っていることに基づいて、印刷エンジンの速度をジョブ設定印刷速度から印刷速度制限に(プロセッサを使用して)自動的に低減することができる。これらの方法により、過速度インジケータを表示するプロセスは、印刷エンジンの速度が自動的に低減されたことを示すことができる。
【0011】
これらの特徴及び他の特徴は、以下の詳細な説明に記載されるか、又はそれから明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
添付の図面を参照して、様々な例示的なシステム及び方法を以下で詳細に説明する。
図1】本明細書の様々な方法のフロー図である。
図2】本明細書の方法及びデバイスの動作を示す概念図である。
図3】本明細書のシステムを例解する概略図である。
図4】本明細書のデバイスを例解する概略図である。
図5】本明細書のデバイスを例解する概略図である。
図6】本明細書のデバイスを例解する概略図である。
図7】本明細書のデバイスを例解する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上で言及されるように、プリンタの印刷速度が増加するにつれてトレードオフが生じる。1つのトレードオフは、印刷機のコストに関わり、より高速なプリンタは一般により高価である。別のトレードオフは、印刷速度が増加するにつれて減少する可能性がある画像品質に関わる。
【0014】
一例では、印刷速度が増加するにつれて、任意の液体インクが乾燥する、及び/又は印刷媒体に吸収される時間が短縮される。この結果、未乾燥又は未吸収のインクで汚すか、又は所望されないマークを形成し、これは、印刷画像品質を減少させる。マーキングをシート上に定着させるプリンタでは、このような定着プロセスに割り当てられる時間も減少し、その結果、定着が不完全になり、印刷されない領域が生じる可能性がある。一般に、各プリンタは、最小画像品質閾値を上回る画像品質を依然として保持しながらプリントを生成することができる最大印刷速度を有する。
【0015】
本発明者らは、印刷中に利用される媒体のタイプも、画像品質欠陥が許容可能な欠陥閾値を超える前に特定のプリンタがどれだけ迅速に印刷できるかに影響を及ぼすことに注目した。具体的には、より重い重量のコーティングされた印刷媒体は、マーキング材料との結合を形成するためにより長い時間がかかり、例えば、より重い及び/又は光沢のある印刷媒体は、液体インクを吸収するためにより長い時間がかかる可能性があり、これは、最小画像品質基準を依然として維持しながら(より軽い重量の非光沢媒体と比較した場合)、印刷が実行され得る速度を低減せる。
【0016】
これらの問題を考慮して、本明細書のシステム及び方法は、プリンタの能力及び利用される印刷媒体のタイプに基づいて、各プリンタの印刷速度制限を自動的に判定する。したがって、利用される印刷媒体のタイプに応じて、印刷速度制限は、画像品質を、最小画像品質閾値を上回って維持しながら、印刷装置によって自動的に増加及び減少され得る。
【0017】
上で述べられるように、いくつかの印刷デバイスは、調整可能な印刷速度を有する。これは、ユーザが、印刷速度を選択することを可能にする。しかしながら、多くの場合、ユーザは、最小画像品質閾値を上回る印刷を維持するには速すぎる印刷速度を選択する。これを考慮して、本明細書のシステム及び方法は、プリンタの能力及び利用される印刷媒体のタイプに基づいて、各プリンタの印刷速度制限を判定する。本明細書のシステム及び方法は、ユーザが選択した印刷速度が高すぎるという警告を生成することができるか、印刷を停止することができるか、又はユーザが選択した印刷速度が、プリンタが判定した印刷速度制限を上回っている場合に、印刷速度を自動的に減少させることができる。これは、時間及び費用を節約し、印刷ジョブが間違った印刷速度で実行されないようにすることによって無駄を最小限に抑えるのに役立つ。
【0018】
図1は、本明細書の例示的な方法を例解するフローチャートである。項目100において、これらの方法は、印刷装置の媒体記憶構成要素に装填された印刷媒体の媒体タイプを(印刷装置のプロセッサを使用して)取得して、維持する。異なる媒体タイプは、媒体重量、媒体コーティングなどに基づくことができる。例えば、用紙又は他の印刷媒体がプリンタの印刷トレイに装填されるとき、印刷媒体を装填する人は、どのタイプの印刷媒体が装填されているかを(ユーザインターフェース上に提供されたフィールドに)入力することができ、又はプリンタは、センサ、スキャナなどを使用して、どのタイプの印刷媒体が装填されたかを自動的に判定することができる。したがって、プリンタ304は、印刷装置の媒体記憶構成要素(例えば、用紙トレイ)内に位置する印刷媒体の媒体タイプを(プロセッサ及びメモリを使用して)取得して、維持する。
【0019】
項目102に示されるように、これらの方法はまた、異なる媒体タイプのための異なる印刷速度制限を含む参照ファイルに(プロセッサを使用して)アクセスする。参照ファイルは、印刷装置の電子記憶構成要素内に、又はネットワーク接続されたコンピュータサーバなどの他のコンピュータデバイス内に維持することができる。
【0020】
項目102において参照ファイルにアクセスすることは、本明細書の方法が、項目104に示されるように、印刷装置の印刷エンジンの適切な印刷速度制限を(プロセッサを使用して)判定することを可能にする。具体的には、項目104において、プロセッサは、参照ファイルから、印刷ジョブに使用されることになる媒体記憶構成要素内の印刷媒体の媒体タイプに対応するプリンタ固有の印刷速度制限を読み出す。
【0021】
項目106に示されるように、これらの方法は、ジョブ設定印刷速度が項目104で判定された印刷速度制限を超えるかどうかを判定する。ジョブ設定印刷速度が印刷速度制限を超えない場合、処理は項目114に進み、印刷ジョブは変更されずに進行する。
【0022】
しかしながら、項目108に示されるように、そのような方法は、印刷エンジンのジョブ設定印刷速度が項目106で判定された印刷速度制限を上回っていることに基づいて、印刷の実行を停止することができる。他の実施形態では、項目110に示されるように、これらの方法は、項目106においてジョブ設定印刷速度が印刷速度制限を上回っていることに基づいて、印刷エンジンの速度をジョブ設定印刷速度から印刷速度制限に(プロセッサを使用して)自動的に低減することができる。
【0023】
前述のステップに加えて、又はその代替として、項目112において、これらの方法は、項目114に示されるように、調整されていないジョブ設定印刷速度で印刷ジョブを依然として実行しながら、項目106において印刷エンジンのジョブ設定印刷速度が印刷速度制限を上回っているという警告又は過速度インジケータを(印刷装置のユーザインターフェースを使用して)表示することができる。この例では、項目112において過速度インジケータを表示するプロセスは、ジョブ設定印刷速度が印刷速度制限を上回っているというテキストを印刷装置のユーザインターフェース上に表示することができる。
【0024】
別のオプションとして、項目112において、処理は、印刷装置のユーザインターフェース上にユーザ選択可能オプションを表示することができる。そのようなメニューオプションの1つは、印刷速度制限を超える場合であっても、印刷エンジンをジョブ設定印刷速度で動作させるオプションである。これは、許容可能な品質を下回る印刷品質をもたらし得る。しかしながら、ユーザが速度を品質よりも重視する場合、そのようなことはユーザにとって許容可能であり得る。別のメニューオプションは、ジョブ設定印刷速度を下回る速度で印刷エンジンを動作させることであり、これは、ジョブ設定印刷速度を、印刷速度制限により近く低下させるか、ジョブ設定印刷速度を、印刷速度制限に低減させるか、又はジョブ設定印刷速度を、印刷速度制限を下回る速度に低減させることができる。これらのオプションのいずれかが選択された場合、処理は項目114に進むことができ、ここで、ユーザによって選択されたオプションに応じて、変更されていないジョブ設定印刷速度、又は低減された速度で印刷ジョブが実行される。
【0025】
また、印刷エンジンが項目108で停止された場合、これらの方法は、印刷エンジンのジョブ設定印刷速度が印刷速度制限を上回っているために印刷エンジンが停止されたという警告過速度インジケータを表示することができる。これは、ユーザが、所望される場合、ジョブ設定印刷速度を手動で調整することを可能にする。
【0026】
更に、項目110においてエンジン速度が自動的に低減される場合、項目112における過速度インジケータを表示するプロセスは、項目114に示されるように、自動的に低減されたジョブ設定印刷速度で印刷ジョブを実行することに進みながら、印刷エンジンの速度が自動的に低減されたというテキストを表示することができる。
【0027】
図2は、項目200において、ユーザ202がプリンタ304(又はプリンタシステム)に印刷ジョブを供給できることを示す概念図である。この印刷ジョブ200は、印刷速度(例えば、1分当たりの枚数、又は高、中、低などの他の尺度)、及び印刷ジョブに使用される媒体タイプを指定することができる。
【0028】
用紙又は他の印刷媒体がプリンタ304の印刷トレイに装填されるとき、印刷媒体を装填する者は、どのタイプの印刷媒体が装填されているかを指定することができ、又はプリンタ304は、どのタイプの印刷媒体が装填されたかを自動的に判定することができる。したがって、プリンタ304は、印刷装置の媒体記憶構成要素内に配置された印刷媒体の媒体タイプを(印刷装置304のプロセッサを使用して)取得して、維持する。異なる媒体タイプは、媒体重量、媒体コーティングなどに基づくことができる。
【0029】
項目210に示されるように、潜在的に、ユーザが印刷ジョブ200を供給することに応答して、又はユーザが印刷媒体を装填することに応答して、印刷装置304のプロセッサは、参照ファイル220にアクセスすることができる。上で述べられるように、参照ファイル220は、異なる媒体タイプのためのプリンタ固有の印刷速度制限を含む。参照ファイル220は、経験的試験及び/又はモデリングに基づいて事前に自動的に又は手動で準備することができる。図2に示される参照ファイル220の非限定的な例に見られるように、異なるプリンタモデル(例えば、0003、0006、0020、0080など)はそれぞれ、異なる媒体タイプ(例えば、コーティングされていない媒体、コーティングされた軽量媒体、コーティングされた重量媒体など)で印刷することができる。したがって、異なるプリンタモデルは、速度が増加するにつれて異なる印刷品質の減少を示すことがあり、画像品質のこの変化は、媒体タイプによって更に影響を受ける。
【0030】
図2に示される参照ファイル220は、プリンタモデル及び媒体タイプの異なる組み合わせが、異なる印刷速度制限(例えば、示される例では、10ページ/分(ppm)~45ppm)をもたらし得ることを示す。参照ファイル220は、印刷装置304の電子記憶構成要素に保持され得るか、又は印刷装置304がアクセスする遠隔の場所(例えば、リモートサーバなど)に保持され得る。
【0031】
参照ファイル220にアクセスすることによって、項目212において、印刷装置304は、参照ファイル220を使用して、媒体記憶構成要素内の印刷媒体の媒体タイプに対応する印刷装置の印刷エンジンの適切な印刷速度制限を(プロセッサを使用して)判定する。例えば、プリンタは、対応するプリンタモデルと媒体タイプとの組み合わせを使用して、参照ファイル220内の印刷速度制限を特定する。
【0032】
項目214に示されるように、印刷装置304は、印刷エンジンのジョブ設定印刷速度が印刷速度制限を上回っている場合、(プロセッサを使用して)印刷の実行を停止することができる。別の代替として、項目214において、印刷装置304は(プロセッサを使用して)、ジョブ設定印刷速度が印刷速度制限を上回っている場合、印刷エンジンの速度をジョブ設定印刷速度から印刷速度制限に(プロセッサを使用して)自動的に低減させることができる。
【0033】
更に、項目204に示されるように、そのような方法は、印刷エンジンのジョブ設定印刷速度が印刷速度制限を上回っている、及び場合によってはこの状況のために印刷エンジンが停止された、という過速度インジケータを(印刷装置のユーザインターフェースを使用して)表示することができる。項目204において、ユーザインターフェースは、ジョブ設定印刷速度で印刷エンジンを動作させるか、又はジョブ設定印刷速度を下回る速度で印刷エンジンを動作させるオプションを含む、ユーザ選択可能オプションを更に表示することができる。また、項目204は、そのアクションが項目214で発生した場合、印刷エンジンの速度が自動的に低減されたことを表示することができる。
【0034】
図3に示されるように、本明細書の例示的なシステム及び方法は、異なる物理的な場所306に配置された様々なコンピュータデバイス300、304を含む。コンピュータデバイス300、304は、印刷サーバ、印刷デバイス、パーソナルコンピュータなどを含むことができ、ローカル又はワイドエリア(有線又は無線)ネットワーク302を介して通信する(互いに動作可能に接続されている)。
【0035】
図4は、コンピュータデバイス300を例解し、これは、本明細書のシステム及び方法と共に使用することができ、かつ、例えば、印刷サーバ、パーソナルコンピュータ、ポータブルコンピューティングデバイスなどを備えることができる。コンピュータデバイス300は、コントローラ/有形プロセッサ316、並びに有形プロセッサ316及びコンピュータデバイス300の外部にあるコンピュータネットワーク302に動作可能に接続された無線通信ポート(入力/出力)314を含む。また、コンピュータデバイス300は、ユーザインターフェース(user interface、UI)アセンブリ312などの少なくとも1つのアクセサリ機能構成要素を含むことができる。ユーザは、ユーザインターフェース又は制御パネル312から、過速度インジケータ、命令、及びメニューオプションを受信し、それらを介して命令を入力し得る。
【0036】
入力/出力デバイス314は、コンピュータデバイス300への、及びそれからの通信のために使用され、(現在既知であるか、又は将来開発されるかにかかわらず、任意の形態の)有線デバイス又は無線デバイスを備える。有形プロセッサ316は、コンピュータデバイスの様々な動作を制御する。非一時的かつ有形のコンピュータ記憶媒体デバイス310(光学、磁気、コンデンサベースなどとすることができ、一時的信号とは異なる)は、有形プロセッサ316によって読み取り可能であり、コンピュータデバイスが本明細書に記載されている機能のような各種機能を実行するのを可能にするように、有形プロセッサ316が実行する命令を記憶する。したがって、図4に示されるように、本体ハウジングは、交流電流(alternating current、AC)源320から電力供給部318によって供給された電力で動作する1つ以上の機能構成要素を有する。電力供給部318は、共通電力変換ユニット、電力貯蔵要素(例えば、バッテリーなど)などを備えることができる。
【0037】
図5は、印刷デバイス304であるコンピュータデバイスを例解し、これは、本明細書のシステム及び方法と共に使用され得、例えば、プリンタ、複写機、多機能マシン、多機能デバイス(multi-function device、MFD)などを備えることができる。印刷デバイス304は、上で言及される構成要素のうちの多くのもの、及び専用画像プロセッサ324(それは、画像データを処理するために特化されているため、汎用コンピュータとは異なり得る)に動作可能に接続された少なくとも1つのマーキングデバイス(印刷エンジン)340、連続媒体若しくはシート媒体をシート供給部330からマーキングデバイス340に供給するように位置付けられた媒体経路336などを含む。印刷エンジン340から様々なマーキングを受容した後に、シート媒体は、様々な印刷済みシートを折り畳み、ステープル留め、並び替えなどを行うことができるフィニッシャ334を任意選択的に通過することができる。また、印刷デバイス304は、同様に外部電力源320から(電力供給部318を介して)供給された電力で動作する、少なくとも1つのアクセサリ機能構成要素(例えば、スキャナ/文書ハンドラ332(自動文書送給機(automatic document feeder、ADF))など)を含むことができる。
【0038】
したがって、本明細書の様々な印刷装置は、(他の構成要素の中でも)印刷エンジン340、電子記憶構成要素310、媒体記憶構成要素330、ユーザインターフェース312などを含み、これらは全て、少なくとも1つのプロセッサ324に動作可能に(直接的又は間接的に)接続される。プロセッサは324、媒体記憶構成要素330内の印刷媒体の媒体タイプ(例えば、媒体の物理的特性を示す)を手動又は自動で供給され、かつ維持するように適合されている。異なる媒体タイプは、媒体重量、媒体コーティングなどに基づくことができる。
【0039】
プロセッサ324はまた、異なる媒体タイプのための異なるエンジン340の速度制限を含む参照ファイルにアクセスするように適合されている。例えば、参照ファイルは、電子記憶構成要素310内に維持することができ、参照ファイルは、例えば、異なる媒体タイプのための少なくとも3つの異なる速度を含むことができる。これと共に、プロセッサ324は、参照ファイルを使用して、媒体記憶構成要素330内の印刷媒体の媒体タイプに対応する印刷エンジン340の適切なエンジン340の速度制限を自動的に判定するように適合されている。
【0040】
ユーザインターフェース312は、印刷エンジン340のエンジン340の速度がエンジン340の速度制限を上回っていることに基づいて、過速度インジケータを表示するように適合されており、及び/又はプロセッサ324は、印刷エンジン340の現在のエンジン340の速度がエンジン340の速度制限を上回っていることに基づいて、印刷エンジン340の動作を停止するように適合されている。そのような過速度インジケータは、現在のエンジン340の速度がエンジン340の速度制限を上回っていることを表示することができる。過速度インジケータはまた、印刷エンジン340を現在のエンジン340の速度で動作させるオプション、又は印刷エンジン340を現在のエンジン340の速度を下回る速度で(例えば、エンジン340の速度制限以下で)動作させるオプションを含むことができる様々なユーザ選択可能オプションを表示することができる。
【0041】
他の実施形態では、プロセッサ324は、現在のエンジン340の速度がエンジン340の速度制限を上回っていることに基づいて、印刷エンジン340の速度を現在のエンジン340の速度からエンジン340の速度制限に自動的に低減させるように適合され得る。そのような実施形態では、ユーザインターフェース312上に表示される過速度インジケータは、印刷エンジン340の速度が自動的に低減されたことを示すことができる。
【0042】
1つ以上の印刷エンジン340は、現在既知であるか、又は将来開発されるかにかかわらず、マーキング材料(トナー、インクなど)を連続媒体又は媒体シートに塗布する任意のマーキングデバイスを例解することを意図しており、例えば、図6に示されるようなインクジェット撮像システム、又は図7に示されるような高速水性撮像システムを使用するデバイスを含むことができる。
【0043】
より具体的には、図6は、インクジェット撮像システムである上で言及される印刷エンジン380の一例を例解する。この例では、撮像装置380は、1つ以上のインクジェットプリントヘッドを使用するインクジェットプリンタの形態であり、各インクジェットプリントヘッドは、関連する固体又は液体インク供給源(342A~342D)を有する。例示的な直接シート相変化(direct-to-sheet phase-change)インクジェット撮像システム380は、媒体(例えば、紙、プラスチック、又は他の印刷可能な材料)を供給するように構成された媒体供給及び処理システム330を含む。媒体コンディショナ360、印刷済みシートコンディショナ344、コーティングステーション364、及びフィニッシャ334。
【0044】
媒体は、1つ以上のローラを回転させる様々なモータを含むことができるシート輸送部362によって推進される。両面動作の場合、インバータ366を使用してシートを裏返して、媒体の第2の面をプリントヘッド342A~342Dに提示し得る。
【0045】
媒体コンディショナ360は、例えば、予熱器を含む。予熱器は、媒体を、印刷される媒体のタイプ並びに使用されるインクのタイプ、色、及び数に対応する所望の画像特性のために選択される初期所定温度にする。予熱器は、接触熱、放射熱、伝導熱、又は対流熱を使用して、媒体を目標予熱温度にし得る。
【0046】
媒体は、一連のカラープリントヘッド342A~342Dを含む印刷ステーションを通って輸送され、各カラーユニットは、媒体の幅にわたって効果的に延在し、移動する媒体上にインクを直接(すなわち、中間又はオフセット部材を使用せずに)配置することができる。一般的に知られているように、プリントヘッドの各々は、単一色のインクを吐出し得、1つのプリントヘッドは、カラー印刷で通常使用される色のそれぞれ、すなわちシアン、マゼンタ、イエロー、及びブラック(cyan, magenta, yellow, black、CMYK)に対応する。コントローラ324は、媒体の通過と同期してプリントヘッド342A~342D内のインクジェット噴射器を作動させるためのタイミング信号を生成し、媒体上に4つの原色画像を形成するために、異なる色のパターンの位置合わせのための信頼できる精度で4色を吐出することを可能にする。インクジェット噴射器は、プリンタに送信され得る、プリンタの構成要素であるスキャナ(図示せず)によって生成され得る、又は他の方法で生成されてプリンタに送られ得る、コントローラ324によって処理された画像データに対応するように、発射信号によって作動される。様々な可能な実施形態において、各原色に対するカラーユニットは、1つ以上のプリントヘッドを含み得るか、カラーユニット内の複数のプリントヘッドは、単一列若しくは複数列のアレイに形成され得るか、複数行アレイのプリントヘッドは、互い違いに配置され得るか、プリントヘッドは、2つ以上の色を印刷し得るか、又は、プリントヘッド又はカラーユニットの一部は、スポットカラー用途などのために、処理方向を横切る方向に移動可能に装着され得る。
【0047】
カラープリントヘッド342A~342Dの各々は、媒体ウェブを横切る交差処理方向にプリントヘッドモジュールの各々におけるプリントヘッドを調整するように構成された少なくとも1つのアクチュエータを含み得る。典型的な実施形態では、各モータは、ステッパモータなどの電気機械デバイスである。実用的な実施形態では、プリントバーアクチュエータは、2つ以上のプリントヘッドを含むプリントバーに接続され、媒体ウェブの交差処理軸に沿ってプリントバーを摺動させることによってプリントバーを再位置付けするように構成されている。代替的な実施形態では、プリントヘッドを物理的に移動させないが、画像データを各ヘッド内の異なる噴射器にリダイレクトして、ヘッド位置を変更する、アクチュエータシステムが使用され得る。
【0048】
プリンタは、液体インク又は「相変化インク」を使用し得、これは、インクが室温で実質的に固体であり、画像受容表面上に噴射するために相変化インク溶融温度に加熱されたときに実質的に液体であることを意味する。相変化インク溶融温度は、固体相変化インクを液体又は溶融形態に溶融することができる任意の温度であり得る。本明細書で使用される場合、液体インクは、溶融固体又は液体インク、加熱ゲルインク、又は水性インク、インクエマルジョン、インク懸濁液、インク溶液などの他の既知の形態のインクを指す。
【0049】
各カラーユニットには、典型的にはバー又はロールの形態のバッキング部材が関連付けられており、バッキング部材は、媒体の裏側でカラーユニットに略対向して配置されている。各バッキング部材は、媒体を、バッキング部材に対向するプリントヘッドから所定の距離に位置付けるために使用される。各バッキング部材は、熱エネルギーを放出して媒体を所定の温度に加熱するように構成され得る。
【0050】
媒体経路に沿って印刷ゾーンに続くのは、1つ以上の「中間加熱器」344である。中間加熱器344は、接触熱、放射熱、伝導熱、及び/又は対流熱を使用して、媒体の温度を制御し、特に、スプレッダ346を通過するときに媒体を所望の特性に好適な温度にし得る。「スプレッダ」346の形態の定着アセンブリは、媒体に熱及び/又は圧力を加えて画像を媒体に定着させるように構成されている。スプレッダ346の機能は、本質的にシート上のインクの液滴、インクの液滴の列、又はインクのラインであるものを取り、それらを圧力及びいくつかのシステムでは熱によって塗りつけることであり、その結果、隣接する液滴間の空間が充填され、画像固体が均一になる。スプレッダ346は、媒体に熱及び圧力を加えるための、画像側ローラ352及び圧力ローラ350などのローラを含むことができ、そのいずれかは、媒体を所定の温度にするための、加熱要素348などの加熱要素を含み得る。スプレッダ346はまた、画像側ローラ352に関連付けられたクリーニング/オイリングステーション354を含み得る。ステーション354は、ローラ表面を洗浄し、かつ/又はローラ表面に何らかの剥離剤若しくは他の材料の層を塗布する。コーティングステーション364は、クリアインクを印刷された媒体に塗布して、光沢を修正し、及び/又は印刷された媒体をプリンタから取り出した後の汚れ若しくは他の環境劣化から保護するのを助ける。
【0051】
撮像システムの様々なサブシステム、構成要素、及び機能の動作並びに制御は、コントローラ324の支援を用いて実行される。コントローラ324は、プログラムされた命令を実行する汎用又は専用のプログラマブルプロセッサを用いて実装され得る。コントローラ324は、媒体ウェブの交差処理軸に沿ってプリントバー及びプリントヘッドの位置を調整するために、カラープリントヘッド342A~342Dのプリントバー及びプリントヘッドアクチュエータに動作可能に連結され得る。特に、コントローラは、カラーユニットのうちの1つ以上又は全てを横方向に又は処理方向を横切ってずらすように動作可能であり得る。
【0052】
撮像システムはまた、ウェブに転写される画像を作成するためのものと同様に構成されている光学撮像システム356を含み得る。光学撮像システムは、例えば、プリントヘッドアセンブリのインクジェットによって受容部材上に噴射されたインク液滴の存在、強度、及び/又は場所を検出するように構成されている。撮像システムは、不良又は欠陥のあるインクジェット又はプリントヘッドに起因し得る印刷エラーを検出するのに十分な印刷ウェブを照明することができる様々な光源を組み込み得る。撮像システム356は、排出前に、印刷されたウェブから反射された画像を感知する光検出器又は光学センサのアレイを更に含む。コントローラ324は、撮像システム356からの情報を分析して、とりわけ、故障又はインクジェット若しくはプリントヘッドが発生したかどうかを判定する。欠陥のある印刷要素の場所が識別され、診断手順中に保守技術者に利用可能になる。コントローラ324はまた、撮像システム356から得られたデータを使用して、カラーユニット又は1つ以上のプリントヘッドを移動させることなどによってカラーユニットの位置合わせを調整し得る。この画像データはまた、色制御のために使用され得る。
【0053】
図7は、上で考察されるプリンタ304の1つであるインクジェット又は水性インクプリンタシステム400を例解する。具体的には、図7は、高速インクジェット又は水性インク画像生成機械又はプリンタ400を例解する。プリンタ400は、媒体供給部410、前処理ユニット420、印刷ユニット430、乾燥器440、及びシートスタッカ450を含む。媒体供給部410は、プリンタ400によって印刷するための複数の媒体シート412を格納する。
【0054】
前処理ユニット420は、少なくとも1つの前処理デバイス422と、輸送ベルト424と、を含む。前処理ユニット420は、媒体供給部410から媒体シートを受容し、前処理ユニット420を通して処理方向(図7のブロック矢印)に媒体シートを輸送する。前処理デバイス422は、媒体シートを調整し、印刷ユニット430における印刷のために媒体シートを準備する。前処理ユニット420は、例えば、媒体シートにコーティングを塗布するコーティングデバイス、媒体シートを乾燥させる乾燥デバイス、及び/又は媒体シートを所定の温度に加熱する加熱デバイスを含み得る。いくつかの実施形態では、プリンタ400は、前処理ユニット420を含まず、媒体シートは、媒体供給部410から印刷ユニット430に直接送給される。他の実施形態では、プリンタ400は、2つ以上の前処理ユニットを含み得る。
【0055】
印刷ユニット430は、前処理ユニット420又は媒体供給部410から媒体シートを受容し、印刷ユニット430を介して媒体シートを輸送する、少なくとも1つのマーキングユニット輸送ベルト432を含む。印刷ユニット430は、少なくとも1つのプリントヘッド(標準のシアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックのカラープリントヘッドを表すために、図7ではCMYKとラベル付けされるが、任意のカラープリントヘッドが使用され得る)を更に含む。プリントヘッド(CMYK)は、媒体シートが印刷ユニット430を通って輸送されるときに媒体シート上に水性インクを吐出する。例解される実施形態では、印刷ユニット430は、それぞれが媒体シート上にシアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックインクのうちの1つを吐出する、4つのプリントヘッド(CMYK)を含む。しかしながら、他の実施形態は、より多い又は少ないプリントヘッド、プリントヘッドのアレイなどを含み得る他のプリントヘッド配置を含むことを、読者は理解すべきである。
【0056】
乾燥器440は、加熱器442、及び印刷ユニット430から媒体シートを受容する真空乾燥ベルト444を含む。真空プレナム446は、交差処理方向の一方の側で真空ブロワ又は真空ブロワに接続された配管に接続される。シートスタッカ450は、印刷済シート452を受容及び積載する。
【0057】
図6及び図7は、回転ベルト(348、360)に隣接又は接触する4つのマーキングステーション342、350を例解するが、これは、赤、緑、青(red, green, blue、RGB)及び黒、又は、シアン、マゼンタ、イエロー、及び黒(CMYK)などの4つの異なる色でマーキングするシステムに有用であり、当業者によって理解されるように、そのようなデバイスは、単一のマーキングステーション(例えば、ブラック)を使用し得るか、又は任意の数のマーキングステーション(例えば、2、3、5、8、11など)を使用し得る。
【0058】
次に、印刷媒体は、シート出力輸送部336によって、ステープル留め、穴あけ、及びC又はZ折り、モジュール式製本機(modular booklet maker)などの異なる所望の動作を実行する出力トレイ又は多機能フィニッシングステーション334に輸送されるが、当業者であれば、フィニッシャ/出力トレイ334が任意の機能ユニットを備え得ることを理解するであろう。
【0059】
当業者には理解されるように、ここに図示される印刷デバイスは一実施例に過ぎず、本明細書のシステム及び方法は、より少ない構成要素又はより多くの構成要素を含み得る他のタイプの印刷デバイスにも等しく適用可能である。例えば、限定された数の印刷エンジン及び用紙経路が例解されているが、当業者は、より多くの用紙経路及び追加の印刷エンジンが、本明細書のシステム及び方法と共に使用される任意の印刷デバイス内に含まれ得ることを理解するであろう。
【0060】
多くのコンピュータデバイスが、上で考察されている。チップベースの中央処理装置(chip-based central processing unit、CPU)、入力/出力デバイス(グラフィックユーザインターフェース(graphic user interface、GUI)、メモリ、コンパレータ、有形プロセッサなどを含む)を含むコンピュータデバイスは、Dell Computers(Round Rock TX,USA)、及びApple Computer Co.(Cupertino CA,USA)などの製造業者によって製造された周知かつ容易に入手可能なデバイスである。そのようなコンピュータ化されたデバイスは、一般に、入力/出力デバイス、電力供給部、有形プロセッサ、電子記憶メモリ、配線などを含んでおり、これらの詳細は、読者が本明細書に記載されるシステム及び方法の顕著な態様に集中することを可能にするために、本明細書では省略されている。同様に、プリンタ、複写機、スキャナ、及び他の同様の周辺機器は、Xerox Corporation(Norwalk,CT,USA)から入手可能であり、そのようなデバイスの詳細は、簡潔さ及び読者の焦点のために本明細書では考察されていない。
【0061】
本明細書で使用するとき、プリンタ又は印刷デバイスという用語は、任意の目的のために印刷出力機能を実行する、デジタル複写機、製本機、ファクシミリマシン、多機能マシンなどの任意の装置を包含する。プリンタ、印刷エンジンなどの詳細は、周知であり、かつ提示される顕著な特徴に焦点を置いた本開示を維持するために、本明細書に詳細には記載されていない。本明細書のシステム及び方法は、カラー、モノクロで印刷する、又はカラー若しくはモノクロの画像データを扱う、システム及び方法を包含することができる。前述のシステム及び方法は全て、静電複写法及び/又は乾式複写法のマシン及び/又はプロセスに具体的に適用可能である。
【0062】
更に、「自動化された」又は「自動的に」という用語は、プロセスが(マシン又はユーザによって)開始されると、1つ以上のマシンが、任意のユーザからの更なる入力なしにプロセスを実行することを意味する。加えて、「~するように構成された」などの用語は、デバイスが、本明細書に記載される処理において特定の点で特定の動作又は機能を自動的に実行する特殊な内部又は外部構成要素を有するように具体的に設計されていることを意味し、このような特殊な構成要素は、本明細書に示される処理点で指定された動作/機能を(場合によっては、操作者のいかなる入力もアクションもなしで)実行するように物理的に成形され、位置付けられている。本明細書の図面中、同じ識別番号は、同じ又は類似の項目を識別する。
【0063】
いくつかの例示的な構造が添付の図面に例解されているが、当業者であれば、図面は簡略化された概略例解図であり、以下に提示される特許請求の範囲は、例解されていないが、そのようなデバイス及びシステムと共に一般的に利用される、より多くの(潜在的には、さほど多くない)特徴を包含することを理解するであろう。したがって、出願人は、以下に提示される特許請求の範囲が添付の図面によって限定されることを意図するものではなく、その代わりに添付の図面は、単に、特許請求される特徴を実装することができるいくつかの方法を例解するために提供されるに過ぎない。
【0064】
上記で開示された特徴及び機能及び他の特徴及び機能、又はこれらの代替物が、他の異なるシステム又は用途に望ましく組み合わされ得ることが理解されるであろう。様々な現在予期されていない、又は先行例のない代替物、修正、変形、又は改善が、その後に当業者によってなされ得、それらも以下の特許請求の範囲によって包含されることを意図している。特定の請求項自体に具体的に定義されない限り、本明細書におけるシステム及び方法のステップ又は構成要素は、任意の特定の順序、数、位置、サイズ、形状、角度、色、又は材料に限定されるように、上記の実施例のいずれかからも暗示され又は持ち込まれることができない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7