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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103190
(43)【公開日】2023-07-26
(54)【発明の名称】DC漏れ検出のための安全回路
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/308 20210101AFI20230719BHJP
   A61B 18/14 20060101ALI20230719BHJP
   A61B 5/367 20210101ALI20230719BHJP
【FI】
A61B5/308
A61B18/14
A61B5/367
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023002923
(22)【出願日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】63/299,138
(32)【優先日】2022-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/990,907
(32)【優先日】2022-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
(72)【発明者】
【氏名】バディム・グリナー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレス・クラウディオ・アルトマン
【テーマコード(参考)】
4C127
4C160
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127CC01
4C127EE03
4C127LL08
4C160KK16
4C160MM38
(57)【要約】
【課題】カテーテルに結合された増幅回路からの直流(DC)漏れを検出するための装置を提供すること。
【解決手段】カテーテルと結合するための、スイッチボックスの形態の安全回路は、カテーテルの増幅回路からのDC漏れ又はDC放出を検出し、増幅回路への電力を即時に打ち切る(遮断する)ようにスイッチを切り替える。この即時の電力打ち切りにより、未確認のままかそうでなければ検出されないままであれば心臓に到達し心臓の電気的活動を妨害し他の損傷を引き起こす可能性がある、DC漏れを瞬時に停止させる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルに結合された増幅回路からの直流(DC)漏れを検出するための装置であって、前記装置が、
電源から前記増幅回路への電力の流れを制御するためのスイッチであって、前記電源から前記増幅回路に電力が供給される第1の設定と、前記電源から前記増幅回路への前記電力が遮断される第2の設定と、を含む、スイッチと、
前記増幅回路と通信する直流(DC)モニタであって、前記増幅回路からのDC信号をモニタするための直流(DC)モニタと、
前記DCモニタ及び前記スイッチと通信するコントローラと、を含み、前記コントローラが、前記DCモニタからの前記検出されたDC信号が閾値DC信号を少なくとも満たしているかどうかを前記コントローラが判定することに応答して、前記第1の設定と前記第2の設定との間で前記スイッチの切り替えを制御するためのものである、装置。
【請求項2】
前記検出されたDC信号の電流及び/又は電圧が閾値電流及び/又は電圧を少なくとも満たしたときに、前記コントローラが、前記スイッチの切り替えを、前記第1の設定から前記第2の設定に変更するように、又は前記第2の設定に留まるように更に制御する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記コントローラと通信する温度モニタを更に含み、前記温度モニタが、前記増幅回路の1つ又は2つ以上の温度をモニタ及び取得するためのものであり、かつ前記取得された温度を前記コントローラに報告するためのものであり、前記報告された取得された温度のうちの1つ又は2つ以上が閾値温度を少なくとも満たす場合、前記コントローラが、前記スイッチに、1)前記第1の設定から前記第2の設定に切り替えさせるか、又は2)前記スイッチが前記第2の設定にある場合は前記第2の設定に留まらせる、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記DCモニタからの前記検出されたDC信号が閾値DC信号を少なくとも満たしているかどうかを前記コントローラが判定することが、前記カテーテルと前記増幅回路との間に延在する個別のラインのうちの少なくとも1本からの前記DC信号に基づく、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記閾値DC信号が、1μAmp~4μAmpの電流を含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記DCモニタからの前記検出されたDC信号が閾値DC信号を少なくとも満たしているかどうかを前記コントローラが判定することが、前記カテーテルと前記増幅回路との間に延在する少なくとも複数の個別のラインからの累積DC信号に基づく、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
カテーテルに結合された増幅回路からの直流(DC)漏れを検出するための方法であって、前記方法が、
前記増幅回路をモニタして、前記増幅回路から放出されるDC信号を検出することと、
前記検出されたDC信号が所定の閾値電流及び/又は電圧を少なくとも満たすかどうかを判定することと、
前記検出されたDC信号からの電流及び/又は電圧が前記所定の閾値電流及び/又は電圧を少なくとも満たす場合、電源から前記増幅回路への電力が遮断される設定になるようにスイッチに信号伝送することと、を含む、方法。
【請求項8】
前記増幅回路の少なくとも1つの場所の温度を検出するために、前記増幅回路が更にモニタされ、前記方法が、
前記検出された温度が所定の閾値温度を少なくとも満たすかどうかを判定することと、
前記検出された温度が前記所定の閾値温度を少なくとも満たす場合、電源から前記増幅回路への電力が遮断される設定になるようにスイッチに信号伝送することと、を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
電源から前記増幅回路への電力が遮断される前記設定になるように前記スイッチに前記信号伝送することが、1)前記スイッチを閉設定から開設定に変更すること、又は2)前記スイッチが前記開設定にある場合は、前記スイッチを前記開設定に維持することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記電源から前記増幅回路への電力が遮断される前記設定になるように前記スイッチに前記信号伝送することが、1)前記スイッチを閉設定から開設定に変更すること、又は2)前記スイッチが前記開設定にある場合は、前記スイッチを前記開設定に維持することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記検出されたDC信号が、前記カテーテルと前記増幅回路との間に延在する個別のラインのうちの少なくとも1本からのDC信号を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記検出されたDC信号が、前記カテーテルと前記増幅回路との間に延在する少なくとも複数の個別のラインからの累積DC信号を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記所定の閾値電流が、前記カテーテルと前記増幅回路との間に延在する個別のラインのうちの少なくとも1本に沿った1μAmp~4μAmpである、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年1月13日出願の米国特許仮出願第63/299,138号の利益を主張し、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、概して医療用プローブに関し、詳細には、カテーテルから入力電流を受け取る増幅回路のための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
電気生理学カテーテルは、心臓の電気的活動をマッピングするために一般的に使用されている。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本開示の主題は、その実施例の以下の詳細な説明から、図面と併せてより完全に理解されるであろう。図面中、対応する又は同様の参照番号若しくは参照文字は、対応する又は同様の要素を示す。
図1】開示される主題の安全回路の実施例において使用される、バスケット部分が膨張した展開構成にあるバスケットカテーテルシステムの概略図である。
図2】バスケット部分が折り畳まれた(collapsed)構成にある、図1のカテーテルの概略図である。
図3図1及び図2のカテーテルを概略的に示すブロック図である。
図4図1図3のカテーテルを用いた例示的な動作における、開示された主題の安全回路のブロック図である。
図5】本開示の一実施例による、図4の安全回路によって実施される例示的な動作プロセスを概略的に示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
概論
心臓カテーテルによって取得される電気生理学的(EP)信号は、典型的に、デジタル化及び処理される前に、好適な増幅器によって増幅される。このような構成から生じる1つの問題は、増幅器からのDC漏れである。増幅器入力は、心臓に挿入される電極に接続されるので、増幅器の入力におけるDC漏れ信号(電流又は電圧)は、心臓に到達し、心臓の正常な電気的活動を混乱させるか又は損傷を引き起こす可能性がある。
【0006】
開示される主題の実施例は、増幅回路からのDC漏れ又はDC放出を検出するための、スイッチボックスの形態の安全回路を提供し、デバイス動作の安全性を提供する。DC漏れは、増幅回路の経年劣化又は誤動作から生じる可能性がある。例えば、増幅回路に関連付けられたデバイスのインフラストラクチャにDC成分が到達し、最終的に心臓に到達した場合、心臓の正常な電気的活動を混乱させ、結果として心臓に損傷を与えるであろう。
【0007】
いくつかの実施例では、開示される安全回路は、電気生理学カテーテル内の増幅回路などの医療用プローブ構成要素から漏れたDC成分を検出するためのセンサを含み、DC成分が検出されると、増幅回路への電力を遮断させ、DC漏れを停止させる。このようにして、増幅回路からのDC漏れを検出し、それに応じて作用することができ、結果として患者の安全性が向上する。
【0008】
開示される安全回路は、各電極に対してかさばるアナログ構成要素を必要とする既知のバイパス回路に対する代替を提供する。現代の安全回路は、複数の電極を有するカテーテル上で動作するので、各電極は、かさばるアナログ構成要素を必要とすることになり、結果として、大きく高価な解決策になる。本開示の安全回路は、その構造及び構成要素により、複数の電極上で動作し、かつコンパクトであり、現代の大きくかさばる安全回路の必要性を排除する。
【0009】
システムの説明
図1は、バスケットカテーテル又はバスケット電気生理学カテーテルとしても知られる、カテーテル10の概略図であり、カテーテル10は、開示される安全回路300と共に使用するのに好適な、大面積マッピングのためのバスケット形状の高密度電極アセンブリ18を含む。バスケットカテーテル10は、例えば、同一所有者による「Basket Catheter With Microelectrode Array Distal Tip」と題される米国特許第9,963,733号に開示されているものに従い、その開示は参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0010】
バスケット形状の高密度電極アセンブリ18を備えたカテーテル10は、電極18の統合された遠位先端部22が鋭敏な限局的マッピングのための超高密度微小電極のアレイを提供するため、広いエリアのマッピングを提供する。カテーテル10は、近位端部と遠位端部とを有する細長いカテーテル本体12、カテーテル本体の近位端部に設けられた制御ハンドル16(カテーテル及びバスケットアセンブリ18の操作のための、偏向ノブ13を含む)、カテーテル本体12の遠位側の(外側チューブ34の)中間撓みセクション14、及び撓みセクション14の遠位端部に設けられたバスケット形状の電極アセンブリ18を含む。バスケット形状の電極アセンブリ(又は「バスケットアセンブリ」とも呼ぶ)18は、複数のスパイン27を有し、スパイン27の近位端部と遠位端部とは、膨張した構成(図1)と折り畳まれた構成(図2)との間で、バスケットアセンブリの形状を調節するために、カテーテルに対して長手方向に動くようになっている、細長い膨張部17/17Pを囲んでいる。バスケットアセンブリ18の遠位端部に装着されているのは、表面に埋め込まれた複数の微小電極26を有する遠位先端部22であり、この微小電極26の外面は、基体本体部の外面と概ね同一表面になっており、遠位先端部は概ね滑らかで非侵襲的な輪郭を示す。
【0011】
各スパイン27は、不整脈を診断するために心臓の内部形状の広いエリアを迅速にマッピングするために、心臓組織の電気的活動を検出する1つ又は2つ以上のリング電極240を含む。各リング電極240は、対応するワイヤ212A~212N(図3)(「電気ライン」又は「ライン」としても知られる)と通信し、Nは、少なくとも各スパイン27のリング電極240の数を表す。以下、ワイヤ212A~212Nを、概して要素212と呼ぶ。ワイヤ212は、例えば、ケーブル内にパッケージ化され、ワイヤ212は、カテーテル10の本体内の回路基板と通信する。
【0012】
図3に示されるように、回路基板は、例えば、増幅回路281(例えば、ワイヤ(ライン)212毎に1つ又は2つ以上の増幅器(図示せず)を含む)として機能し、リング電極240から受信した信号を増幅し、受信した信号を、カテーテル10の外部にありカテーテル10と通信するコンピュータ283に、コンピュータ283によって理解可能な形式、例えばデータで送信する。コンピュータ283は、カテーテル10に直接(図3に実線で示される)又はネットワークを介して(図3に破線で示される)、繋がっている。増幅回路281は、その電力を電源285から受け取る。
【0013】
DC漏れの検出及び防止
図4は、バスケットカテーテル、例えば上で詳述されたバスケットカテーテル10と例示的に動作中の、「スイッチボックス」としても知られる安全回路300を示す。
【0014】
安全回路300と共に使用されるとき、カテーテル10は、安全回路300のスイッチ302が、電源285とカテーテル10の増幅回路281との中間(例えば、両者の間)にあるように修正される。スイッチ302は、例えば、ハードウェアスイッチ又はソフトウェア、若しくは「ソフト」スイッチのいずれかである。スイッチ302は、コントローラ304と通信する。安全回路300は、例えば、DCモニタ又はDCモニタリング回路312及び温度モニタ314を含み、その両方がコントローラ304と通信する。
【0015】
コントローラ304は、スイッチ302と通信して、このスイッチに信号伝送する。スイッチは、第1の若しくは閉位置(ハードウェアスイッチ)又は第1の設定(ソフトウェアスイッチ)であって、この第1の位置/設定は以下「第1の又は閉位置」と呼ばれ、スイッチ302が開いているか又は「オン」であり電源285から増幅回路281に電力が流れる、第1の又は閉位置と、第2の又は開位置/設定であって、この第2の位置/設定は以下「第2の又は開位置」と呼ばれ、スイッチ302が閉じているか又は「オフ」であり電源285から増幅回路281への電力の流れは遮断され、増幅回路281には到達しない、第2の又は開位置との間のスイッチである。例えば、スイッチ302の第1の又は閉位置は、電力が、電源285からスイッチ302を通って増幅回路281に流れるデフォルト位置である。
【0016】
例えば、コントローラ304は、閾値DC電流及び/又は電圧並びに閾値温度を受信するようにプログラム可能であり、閾値DC電流及び/又は電圧並びに閾値温度に到達するか又はそれを超えると、コントローラ304に、第2の又は開位置/設定に移動/リセットするか又はそれを維持するように、スイッチ302に信号伝送させ、それにより増幅回路281への電力が遮断されるようにする。この電力遮断は、DCがカテーテル10に流入し、その後心臓に到達しないよう、ひいては心臓の正常な電気的活動を妨害し、心臓に損傷を引き起こすことがないように、増幅回路281からのDC漏れ及び他のDC放出を停止する。
【0017】
典型的に、コントローラ304は、汎用プロセッサを含み、この汎用プロセッサは、本明細書に記載される機能を実行するようにソフトウェアでプログラムされている。このソフトウェアは、例えばネットワーク上で、コンピュータに電子形態でダウンロードすることができるか、あるいは、代替的に又は追加的に、磁気メモリ、光学メモリ若しくは電子メモリなどの、非一過性有形媒体上に提供及び/又は記憶することができる。
【0018】
リード線318は、DCモニタ312から、ワイヤ212の各々に沿って位置決めされたセンサ320まで延在する。例えば、各ワイヤ(ライン)212に沿って、少なくとも1つのセンサ320が位置決めされている。センサ320は、例えば、ワイヤ212を流れるDC電流及び/又は電圧を検出及び/又は測定する、DC信号センサである。DC電流及び/又は電圧の流れは、例えば、典型的には、増幅回路281から漏れるか別様に放出される(例えば、増幅回路281からカテーテル電極18への方向に流れる)ものである。検出された及び/又は測定されたDC電流及び/又は電圧は、DCモニタ312によってモニタリングされるが、これは、センサ320によって(例えば、DC信号から)測定され、それぞれのセンサ320によって送信される(送信は、連続的(例えば瞬間的)又は規則的若しくはランダムな間隔で、典型的にはリアルタイムである)DC電流及び/又は電圧を取得することによって、又はDCモニタ312が各それぞれのセンサ320を、例えば連続的(例えば瞬間的)又は規則的若しくはランダムな間隔で、典型的にはリアルタイムでポーリングすることによって、行われる。センサ320は、検出及び/又は測定されたDC電流及び/又は電圧を、個別に、又は2つ又は3つ以上のセンサのグループで一緒に送信することができ、ポーリングは、同時若しくは異なる時間における個別のセンサ320、又は同時若しくは異なる時間における2つ又は3つ以上のセンサのいずれかであり得る。
【0019】
例えば、ワイヤ212毎に少なくとも1つのDC信号センサ320が存在し、センサ320とDCモニタ312との間に対応するリード線318があるが、ワイヤ212毎に2つ以上のDC信号センサ320が存在してもよい。例えば、ワイヤ212に対して複数のセンサ320が単一又は複数のリード線318上にあってもよく、リード線318は、DCモニタ312から延在する。
【0020】
DCモニタ312は典型的に、センサ320から取得した、DC信号の存在及び/又は測定されたDC電流及び/又は信号からの電圧(例えば、測定されたDC電流及び/又は電圧に対する値)を、コントローラ304に報告(例えば、送信)する。この報告又は送信は、例えば、連続的、瞬間的、及びリアルタイムである。コントローラ304は、所与の時間又は所与の期間にわたって、信号からの測定されたDC電流及び/又は電圧を、個別に、かつ/又は累積的なやり方の両方にて処理する。
【0021】
検出され報告されたDC電流が、例えば、個別のライン212の電流及び/若しくは電圧からの、閾値電流及び/若しくは電圧(例えば値として表現される)、又は累積的に、コントローラ304にプログラムされた単一の時間若しくは期間における2本又は3本以上の(少なくとも複数の)ライン212からの閾値電流及び/又は電圧(例えば値として表現される)に達するか若しくはそれを超える場合、コントローラ304は、スイッチ302に信号伝送する。スイッチ302のこの信号伝送は、スイッチの現在の位置に依存し、それによりスイッチ302は、第1の又は閉位置から第2の又は開位置に移動するか、又はスイッチ302が既に第2の又は開位置にある場合は、スイッチ302は第2の又は開位置に維持される。この瞬間的なアクションにより、安全回路300が増幅回路281への電力を瞬間的に打ち切り、カテーテル10へのDC漏れによる心臓への有害な影響を停止させることを可能にする。
【0022】
例えば、累積DCの閾値又はカットオフは20μAmpである。しかしながら、単一の特定用途向け集積回路(ASIC)上に複数のワイヤ(ライン)212が存在し得るので、閾値は、増幅回路281(ASIC)に接続された複数の、例えば16本のライン212の各ライン212(図4では、図示の便宜上、8本のライン212が示されている)に対して2μAmpであってもよく、あるいは代替的に、シリコンの同じ誤動作、例えば電流漏れが、ワイヤ(ライン)212のうちの1本に関連付けられた2つ以上の増幅器に影響を及ぼす場合に対処するために、閾値1~4μAmpであってもよい。更に、ワイヤ(ライン)212のうちのいずれか1本のDCが閾値を上回る場合、増幅回路281への電力が遮断されるであろう。
【0023】
温度モニタ314は、1本又は2本以上のリード線322(1本が示されている)を含み、その各々が、温度センサ324と通信する。温度センサ324は、増幅回路281のある場所と通信し、増幅回路281のその場所における温度を検出する。各検出温度は、温度センサ324をモニタする温度モニタ314によって取得される。モニタするとは、例えば、温度センサ324が温度モニタ314に温度を送信することによって、又は温度モニタ314が温度センサ324をポーリングすることによって、温度が取得されるようなものである。温度センサ324の送信又は温度モニタ314のポーリングは、連続的(例えば、瞬間的)であってもよく、又は規則的若しくはランダムな間隔であってもよく、典型的にはリアルタイムであってもよい。
【0024】
温度モニタ314は、取得した検出温度を、コントローラ304に(例えば、送信することによって)報告する。この報告又は送信は、例えば、連続的、瞬間的、及びリアルタイムである。
【0025】
検出され報告された温度が、例えば、コントローラ304にプログラムされた閾値温度に達するか又はそれを超える場合、コントローラ304は、スイッチ302に信号伝送して、第1の又は閉位置から第2の又は開位置に移動させるか、又はスイッチ302が既に第2の又は開位置にある場合は、スイッチ302を第2の又は開位置に維持する。この瞬間的なアクションにより、安全回路300が増幅回路281への電力を瞬間的に打ち切り、カテーテル10内の高温によって引き起こされるDC漏れの有害な影響を停止させることを可能にする。
【0026】
ここで図5に注目すると、図5は、開示される主題の実施例によるコンピュータ実装プロセスを詳述するフロー図を示す。サブプロセスを含む前述のプロセスは、例えば、安全回路300、例えば、DCモニタ312、コントローラ304、及びスイッチ302によって、例えば、自動的に及び/又はリアルタイムで実施される。プロセスは、上述されるように、図1図4の要素を参照する。
【0027】
プロセスは、開始ブロック402で開始する。例えば、スイッチ302が、増幅回路281が電源285から電力を受け取る第1の位置/設定にあるように、カテーテル10が動作しており、安全回路300が作動している。
【0028】
ブロック404に移動して、増幅回路281からの、DC信号に関連する電流及び/又は電圧を含むDC信号が、例えば、ワイヤ212上で、リード線318を介して、及びそれぞれのDCセンサ320を介して、DCモニタ312によってモニタされる。プロセスはブロック406に移動し、ここで、モニタされたDC電流及び/又は電圧が、閾値DC電流及び/又は電圧を満たしたか又は超えたかどうかが、(DCモニタ312からDCデータを受信した)コントローラ304において判定される。
【0029】
コントローラ304が、モニタされたDC電流及び/又は電圧が閾値DC電流及び/又は電圧を満たしていないか又は超えていないと判定した場合、プロセスはブロック404に移動し、そこから再開する。
【0030】
代わりに、コントローラ304が、モニタされたDC電流及び/又は電圧が閾値DC電流及び/又は電圧を満たしたか又は超えたと判定した場合、プロセスはブロック408に移動する。ブロック408において、コントローラ304は、増幅回路218への電力が遮断される第2の又は開位置に移動/設定するように、スイッチ302に信号伝送する。この電力遮断により、増幅回路281の動作が停止し、増幅回路281からの全てのDC漏れ又はDC放出を停止させる。次に、プロセスは、ブロック410に移動して終了する。
【0031】
また、ブロック402から、プロセスがブロック404に移動するのと同時期に又は同時に、プロセスはブロック412に移動する。ブロック412において、温度モニタ314は、(温度センサ324を介して)温度について増幅回路281の1つ又は2つ以上の場所をモニタし、温度をコントローラ304に報告(例えば、送信)する。プロセスはブロック414に移動し、ここでコントローラ304は、閾値温度が満たされたか又は超えられたかどうかを判定する。ブロック414で「いいえ」の場合、プロセスはブロック412に移動し、そこから再開する。
【0032】
ブロック414で「はい」の場合、プロセスはブロック408に移動する。ブロック408において、コントローラ304は、増幅回路281への電力が遮断される第2の又は開位置に移動/設定するように、スイッチ302に信号伝送する。この電力遮断により、増幅回路281の動作が停止し、増幅回路281からの全てのDC漏れ又はDC放出を停止させる。次に、プロセスは、ブロック410に移動して終了する。
【0033】
安全回路300は、カテーテル10の外部にあるように示されているが、代わりに、安全回路300は、カテーテル10の内部にあってもカテーテル10の一部であってもよい。
【実施例0034】
(実施例1)
カテーテル(10)に結合された増幅回路(281)からの直流(DC)漏れを検出するための装置(300)。装置(300)は、電源(285)から増幅回路(281)への電力の流れを制御するためのスイッチ(302)であって、電源(285)から増幅回路(281)に電力が供給される第1の設定と、電源(285)から増幅回路(281)への電力が遮断される第2の設定と、を含む、スイッチ(302)と、増幅回路(281)と通信する直流(DC)モニタ(312)であって、増幅回路(281)からのDC信号をモニタするための直流(DC)モニタ(312)と、DCモニタ(312)及びスイッチ(302)と通信するコントローラ(304)と、を含み、コントローラ(304)は、DCモニタ(312)からの検出されたDC信号が閾値DC信号を少なくとも満たしているかどうかをコントローラ(304)が判定することに応答して、第1の設定と第2の設定との間でスイッチ(302)の切り替えを制御するためのものである。
【0035】
(実施例2)
検出されたDC信号の電流及び/又は電圧が閾値電流及び/又は電圧を少なくとも満たしたときに、コントローラ(304)が、スイッチ(302)の切り替えを、第1の設定から第2の設定に変更するように、又は第2の設定に留まるように更に制御する、実施例1に記載の装置。
【0036】
(実施例3)
コントローラ(304)と通信する温度モニタ(314)を更に含み、温度モニタ(314)が、増幅回路(281)の1つ又は2つ以上の温度をモニタ及び取得するためのものであり、かつ取得された温度をコントローラ(304)に報告するためのものであり、報告された取得された温度のうちの1つ又は2つ以上が閾値温度を少なくとも満たす場合、コントローラ(304)が、スイッチ(302)に、1)第1の設定から第2の設定に切り替えさせる、又は2)スイッチ(302)が第2の設定にある場合は第2の設定に留まらせる、実施例1又は実施例2に記載の装置。
【0037】
(実施例4)
DCモニタ(312)からの検出されたDC信号が閾値DC信号を少なくとも満たしているかどうかをコントローラ(304)が判定することが、カテーテル(10)と増幅回路(281)との間に延在する個別のライン(212)のうちの少なくとも1本からのDC信号に基づく、実施例1~実施例3のいずれかに記載の装置。
【0038】
(実施例5)
閾値DC信号が、1μAmp~4μAmpの電流を含む、実施例1~実施例4のいずれかに記載の装置。
【0039】
(実施例6)
DCモニタ(312)からの検出されたDC信号が閾値DC信号を少なくとも満たしているかどうかをコントローラ(304)が判定することが、カテーテル(10)と増幅回路(281)との間に延在する少なくとも複数の個別のライン(212)からの累積DC信号に基づく、実施例1~実施例5のいずれかに記載の装置。
【0040】
(実施例7)
カテーテル(10)に結合された増幅回路(281)からの直流(DC)漏れを検出するための方法。方法は、増幅回路(281)をモニタして、増幅回路から放出されるDC信号を検出することと、検出されたDC信号が所定の閾値電流及び/又は電圧を少なくとも満たすかどうかを判定し、検出されたDC信号からの電流及び/又は電圧が所定の閾値電流及び/又は電圧を少なくとも満たす場合、電源(285)から増幅回路(281)への電力が遮断される設定になるようにスイッチ(302)に信号伝送することと、を含む。
【0041】
(実施例8)
増幅回路(218)の少なくとも1つの場所の温度を検出するために、増幅回路(281)が更にモニタされ、検出された温度が所定の閾値温度を少なくとも満たすかどうかを判定することと、検出された温度が所定の閾値温度を少なくとも満たす場合、電源(285)から増幅回路(281)への電力が遮断される設定になるようにスイッチ(302)に信号伝送することと、を含む、実施例7に記載の方法。
【0042】
(実施例9)
電源(285)から増幅回路(281)への電力が遮断される設定になるようにスイッチ(302)に信号伝送することが、1)スイッチ(302)を閉設定から開設定に変更すること、又は2)スイッチ(302)が開設定にある場合は、スイッチ(302)を開設定に維持することを含む、実施例7又は実施例8に記載の方法。
【0043】
(実施例10)
電源(285)から増幅回路(281)への電力が遮断される設定になるようにスイッチ(302)に信号伝送することが、1)スイッチ(302)を閉設定から開設定に変更すること、又は2)スイッチ(302)が開設定にある場合は、スイッチ(302)を開設定に維持することを含む、実施例7~実施例9のいずれか1つに記載の方法。
【0044】
(実施例11)
検出されたDC信号が、カテーテル(10)と増幅回路(281)との間に延在する個別のライン(212)のうちの少なくとも1本からのDC信号を含む、実施例7~実施例10のいずれか1つに記載の方法。
【0045】
(実施例12)
検出されたDC信号が、カテーテル(10)と増幅回路(281)との間に延在する少なくとも複数の個別のライン(212)からの累積DC信号を含む、実施例7~実施例11のいずれか1つに記載の方法。
【0046】
(実施例13)
所定の閾値電流が、カテーテル(10)と増幅回路(281)との間に延在する個別のライン(212)のうちの少なくとも1本に沿った1μAmp~4μAmpである、実施例7~実施例12のいずれかに記載の方法。
【0047】
本明細書に記載される実施例は、主としてバスケットカテーテル等のカテーテルのための安全回路及び安全モニタに対処するが、本明細書に記載されるシステム及び方法はまた、DC漏れ又はDC放出が検出される必要がある、他の医療システム及び手術システム、並びに他のシステム及び医療用プローブ等の、他の用途において使用され得る。
【0048】
前述の開示された主題は、例えば、コンピュータソフトウェア製品の形態であってもよい。製品は、例えば、プログラム命令が記憶される有形の非一時的コンピュータ可読媒体を含み、命令は、プロセッサによって読み取られたときに、プロセッサに、バスケットカテーテルを含むカテーテルなどのシステムの増幅回路からの直流(DC)漏れを検出させる。
【0049】
したがって、上に記載される実施例は例として挙げたものであり、本開示は本明細書の上記で具体的に図示及び記載されるものに限定されない点が理解されよう。むしろ、本開示の範囲は、本明細書の上記した様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに前述の記載を読むと当業者に着想されるであろう、先行技術に開示されていないその変形及び修正を含む。参照により本特許出願に援用される文献は、これらの援用文献において、いずれかの用語が本明細書において明示的又は暗示的になされた定義と矛盾して定義されている場合には、本明細書における定義のみを考慮するものとする点を除き、本出願の一部と見なすものとする。
【0050】
〔実施の態様〕
(1) カテーテルに結合された増幅回路からの直流(DC)漏れを検出するための装置であって、前記装置が、
電源から前記増幅回路への電力の流れを制御するためのスイッチであって、前記電源から前記増幅回路に電力が供給される第1の設定と、前記電源から前記増幅回路への前記電力が遮断される第2の設定と、を含む、スイッチと、
前記増幅回路と通信する直流(DC)モニタであって、前記増幅回路からのDC信号をモニタするための直流(DC)モニタと、
前記DCモニタ及び前記スイッチと通信するコントローラと、を含み、前記コントローラが、前記DCモニタからの前記検出されたDC信号が閾値DC信号を少なくとも満たしているかどうかを前記コントローラが判定することに応答して、前記第1の設定と前記第2の設定との間で前記スイッチの切り替えを制御するためのものである、装置。
(2) 前記検出されたDC信号の電流及び/又は電圧が閾値電流及び/又は電圧を少なくとも満たしたときに、前記コントローラが、前記スイッチの切り替えを、前記第1の設定から前記第2の設定に変更するように、又は前記第2の設定に留まるように更に制御する、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記コントローラと通信する温度モニタを更に含み、前記温度モニタが、前記増幅回路の1つ又は2つ以上の温度をモニタ及び取得するためのものであり、かつ前記取得された温度を前記コントローラに報告するためのものであり、前記報告された取得された温度のうちの1つ又は2つ以上が閾値温度を少なくとも満たす場合、前記コントローラが、前記スイッチに、1)前記第1の設定から前記第2の設定に切り替えさせるか、又は2)前記スイッチが前記第2の設定にある場合は前記第2の設定に留まらせる、実施態様1に記載の装置。
(4) 前記DCモニタからの前記検出されたDC信号が閾値DC信号を少なくとも満たしているかどうかを前記コントローラが判定することが、前記カテーテルと前記増幅回路との間に延在する個別のラインのうちの少なくとも1本からの前記DC信号に基づく、実施態様1に記載の装置。
(5) 前記閾値DC信号が、1μAmp~4μAmpの電流を含む、実施態様4に記載の装置。
【0051】
(6) 前記DCモニタからの前記検出されたDC信号が閾値DC信号を少なくとも満たしているかどうかを前記コントローラが判定することが、前記カテーテルと前記増幅回路との間に延在する少なくとも複数の個別のラインからの累積DC信号に基づく、実施態様1に記載の装置。
(7) カテーテルに結合された増幅回路からの直流(DC)漏れを検出するための方法であって、前記方法が、
前記増幅回路をモニタして、前記増幅回路から放出されるDC信号を検出することと、
前記検出されたDC信号が所定の閾値電流及び/又は電圧を少なくとも満たすかどうかを判定することと、
前記検出されたDC信号からの電流及び/又は電圧が前記所定の閾値電流及び/又は電圧を少なくとも満たす場合、電源から前記増幅回路への電力が遮断される設定になるようにスイッチに信号伝送することと、を含む、方法。
(8) 前記増幅回路の少なくとも1つの場所の温度を検出するために、前記増幅回路が更にモニタされ、前記方法が、
前記検出された温度が所定の閾値温度を少なくとも満たすかどうかを判定することと、
前記検出された温度が前記所定の閾値温度を少なくとも満たす場合、電源から前記増幅回路への電力が遮断される設定になるようにスイッチに信号伝送することと、を含む、実施態様7に記載の方法。
(9) 電源から前記増幅回路への電力が遮断される前記設定になるように前記スイッチに前記信号伝送することが、1)前記スイッチを閉設定から開設定に変更すること、又は2)前記スイッチが前記開設定にある場合は、前記スイッチを前記開設定に維持することを含む、実施態様7に記載の方法。
(10) 前記電源から前記増幅回路への電力が遮断される前記設定になるように前記スイッチに前記信号伝送することが、1)前記スイッチを閉設定から開設定に変更すること、又は2)前記スイッチが前記開設定にある場合は、前記スイッチを前記開設定に維持することを含む、実施態様8に記載の方法。
【0052】
(11) 前記検出されたDC信号が、前記カテーテルと前記増幅回路との間に延在する個別のラインのうちの少なくとも1本からのDC信号を含む、実施態様7に記載の方法。
(12) 前記検出されたDC信号が、前記カテーテルと前記増幅回路との間に延在する少なくとも複数の個別のラインからの累積DC信号を含む、実施態様7に記載の方法。
(13) 前記所定の閾値電流が、前記カテーテルと前記増幅回路との間に延在する個別のラインのうちの少なくとも1本に沿った1μAmp~4μAmpである、実施態様7に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】