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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103203
(43)【公開日】2023-07-26
(54)【発明の名称】粒子を含む液体試料を分析する装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/49 20060101AFI20230719BHJP
   G01N 15/06 20060101ALI20230719BHJP
   G01N 33/483 20060101ALI20230719BHJP
   G01N 33/18 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
G01N21/49 Z
G01N15/06 E
G01N15/06 C
G01N33/483 C
G01N33/18 F
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023060257
(22)【出願日】2023-04-03
(62)【分割の表示】P 2020567646の分割
【原出願日】2019-02-27
(31)【優先権主張番号】1803212.8
(32)【優先日】2018-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1804958.5
(32)【優先日】2018-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】511083994
【氏名又は名称】ユニバーシティー コート オブ ザ ユニバーシティー オブ セイント アンドリューズ
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY COURT OF THE UNIVERSITY OF ST ANDREWS
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179903
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン エイチ ジレスピー
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ジェイ エイチ ハモンド
(57)【要約】      (修正有)
【課題】粒子を含む液体試料を分析する装置であって、現場(in-field)及び/又は高スループット試験を実現できることが望ましい。
【解決手段】第1室(12)、第2室(14)、及び第1室(12)と第2室(14)との間の光路を備え、第1室(12)は、試料を収納する試料空間と、試料との相互作用のための第1室(12)への光の入力用の光入力部(24)と、散乱及び/又は反射光を第1室から光路を介して第2室(14)へ伝えるように配置された出射開口(26)とを含む試料室であり、第2室(14)は、光路から光を受光する入力開口(28)と、被検出光を検出する検出器(25)又は受光する検出器開口とを含む検出室であり、第1室(12)及び第2室(14)は、少なくとも1つの光積分容積を提供し、第1室(12)は、動作の際に液体試料が第1室(12)内にあり第2室(14)から隔離されるように構成される装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子を含む液体試料を分析する装置であって、
第1室、第2室、及び前記第1室と前記第2室との間の光路を備え、
前記第1室は、
前記試料を収納する試料空間と、
前記試料との相互作用のための前記第1室への光の入力用の光入力部と、
散乱及び/又は反射光を前記第1室から前記光路を介して前記第2室へ伝えるように
配置された出射開口と
を含む試料室であり、前記第2室は、
前記光路から光を受光する入力開口と、
被検出光を検出する検出器又は受光する検出器開口と
を含む検出室であり、前記第1室及び前記第2室は、少なくとも1つの光積分容積を提供
し、前記第1室は、動作の際に前記液体試料が前記第1室内にあり前記第2室から隔離さ
れるように構成される装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
a)前記第1室は、前記光入力部と整列した、場合によりビームダンプにつながる光ビ
ーム出射ポートをさらに含む、又は
b)前記光入力部は光入力開口を含む
の少なくとも一方である装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の装置において、前記第1室は光集積室であり、前記第2室は光
集積室である装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の装置において、前記第1室の壁が反射性である装
置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の装置において、前記第1室は、前記試料を収容す
る取外し可能な試料セルを収納するように構成される装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置において、前記試料空間は、前記取外し可能な試料セルが前記試
料空間に挿入されると該試料空間を実質的に満たすように構成される装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の装置において、前記試料セルは、少なくとも1つの実質的に透
明な開口を含む少なくとも1つの実質的に不透明な反射壁を含み、前記少なくとも1つの
実質的に透明な開口は、前記試料セルが前記第1室に収納されると前記試料セルの前記開
口又は複数の前記開口の少なくとも1つが前記第1室の前記光入力部と整列するように、
且つ/又は前記試料セルの前記開口又は複数の前記開口の少なくとも1つが前記第1室の
前記出射開口と整列するように配置される装置。
【請求項8】
請求項1~7に記載の装置において、前記光入力部及び前記出射開口は、動作の際に、
光入力部からの光の少なくとも一部、場合により実質的に全部が少なくとも1回反射且つ
/又は散乱された後に前記出射開口を通過するように配置される装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の装置において、前記第2室の壁が、動作の際に、
前記光路を介して入る光の少なくとも一部、場合により実質的に全部が少なくとも1回反
射を経た後に前記検出器により検出されるように反射性である装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の装置において、前記第1室及び/又は前記第2室
の前記壁は、反射材料、場合により酸化チタン、アルミニウム、又は銀を含む装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の装置において、前記第1室及び/又は前記第2
室の前記壁は、拡散光を発するように構成された拡散コーティングを含む装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の装置において、前記検出器は受光素子を含む装
置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置において、前記光路及び前記第2室の配置は、前記入力開口か
ら該入力開口に対向する前記第2室の壁上の点又は領域まで光軸を規定し、前記検出器の
前記受光素子は、前記光軸に対して軸外位置に位置付けられる装置。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の装置において、前記光入力部は、光源、場合に
よりレーザ及び/又はLEDを含むか、又はそれから光を受光するように構成される装置
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の装置において、前記光入力部は、光源を含むか
又は光源から光を受光するように構成され、前記光源は、既知の変調の光を入力するよう
に構成される装置。
【請求項16】
粒子を含む複数の液体試料を分析するシステムにおいて、
複数の試料室と、検出室と、前記複数の試料室のうち1つの試料室を前記検出室と結合
構成にするように動作可能であり、前記結合構成において該装置が前記試料室と前記検出
室との間の光路を備えるようにする結合機構とを備え、
各試料室は、
前記複数の液体試料のうち1つの試料を収納する試料空間と、
前記試料との相互作用のための前記試料室への光の入力用の光入力部と、
前記試料室が前記検出室と結合構成にあるときに光を前記試料室から前記光路を介し
て前記検出室へ伝えるように配置された出射開口と
を含み、前記検出室は、
前記試料室が前記検出室と前記結合構成にあるときに前記光路から光を受光する入力開
口と、
被検出光を検出する検出器又は受光する検出器開口と
を含み、前記試料室及び前記検出室は、少なくとも1つの光積分容積を含み、前記試料室
は、動作の際に前記液体試料が前記試料室内にあり前記検出室から隔離されるように構成
されるシステム。
【請求項17】
請求項16に記載のシステムにおいて、前記結合機構は、各試料室を前記検出室と順次
に前記結合構成にするように動作可能であるシステム。
【請求項18】
請求項16又は17に記載のシステムにおいて、前記結合機構は、場合により前記試料
室を回転させるように動作可能であり、前記結合機構はカルーセル機構を含むシステム。
【請求項19】
請求項16~18のいずれか1項に記載のシステムにおいて、場合により前記結合機構
を駆動するように配置された駆動設備をさらに備え、該駆動設備は機械的又は電気機械的
手段を含むシステム。
【請求項20】
液体試料中の粒子を検出する方法であって、試料との相互作用のために試料室に光を入
力するステップであり、前記試料室は、前記試料により散乱された実質的に全部の光を別
個の検出室へ指向させる積分容積であるか又は積分容積を含むか又は積分容積の一部を形
成するステップと、前記検出室で前記試料室から受光した光を検出して、前記液体試料中
の粒子の存在及び/又は量を表す測定値を得るステップとを含む方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法において、複数の異なる時点で前記光を入力するステップ及び
前記測定値を得るステップを繰り返し、それにより、前記試料中の粒子の特性の変化を時
間の関数として且つ/又は前記試料の処理の関数として求めるステップをさらに含む方法
【請求項22】
請求項20又は21に記載の方法において、
a)前記粒子は微生物を含む、又は
b)前記試料は、血液、血漿、尿、水、細菌増殖液、脳脊髄液(CSF)、膿、又は関
節吸引液の少なくとも1つを含む
の少なくとも一方である方法。
【請求項23】
少なくとも1つの反射壁と、光の出入り用の少なくとも1つの開口とを備えたキュベッ
ト又は他の取外し可能な試料容器であって、光積分容積を提供するキュベット又は他の取
外し可能な試料容器。
【請求項24】
請求項1~15のいずれか1項に記載の装置の第1室により収納されるか又は請求項1
6~19のいずれか1項に記載の試料室により収納されるように構成された、キュベット
又は他の取外し可能な試料容器。
【請求項25】
1つ又は複数の検出器及び/又は検出室と共に用いられる試料容器であって、
液体試料を収容する収容部と、
複数の試料室を含む試料カセットと、
収容された前記液体試料を前記収容部から前記複数の試料室に分配する液体分配機構と
を備え、前記複数の試料室のそれぞれは、前記1つ又は複数の検出器及び/又は検出室と
結合構成にされるように構成される試料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を用いて試料、例えば細菌等の生体試料の少なくとも1つの特性を測定す
る装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の導入部分に記載されるように、吸収作用又は散乱作用を用いて細菌の光学
特性を決定するには、伝統的な分光光度計を用いることができる。試料の相対吸光度を測
定するには、吸光分光光度計を用いることができる。吸光度は、試料に入射される光の光
度と試料から出射される光の光度とを比較することにより測定される。光度が低下するこ
とは、ある光量が吸収されたことを表す。このことは、任意の数値、代表的には光学濃度
として表すことができる。これにより試料中に存在する細胞の数の正確な計数値を導出す
ることができる。
【0003】
散乱分光光度計は通常、レーザ又は極めて明るい白熱光源のような強力光源及びモノク
ロメータを有している。光は試料に入射され、種々の角度で散乱する。試料室を囲んで個
別の間隔で配置した検出器が散乱光を収集する。側方散乱領域における収集光は粒度に関
する情報を得るのに用いることができ、前方散乱領域における収集光は粒子の寸法に関す
る情報を得るのに用いることができる。散乱光の全体的強度によれば、濁度の測定値や、
存在する粒子の数の指示値が得られる。細菌を測定する散乱分光光度計では、光源の代表
的な波長は600nmである。この波長は、DNA、タンパク質、シトクロムのような種
々の有機物質により最も多く散乱されると共に最も少なく吸収されるものである。
【0004】
フローサイトメータによっても目的とする試料の特性を決定することができる。屈折率
適合液体のシースフローが細いチューブを通って流れると、この液体によりチューブの内
径を低減させてこの液体中の細胞が個別にチューブを通って流れるようにする。このこと
により細胞の計数を容易にする。個々の細胞が通過すると、細いチューブに入射したレー
ザ光が散乱する。研究中の細胞の寸法及び粒度に関する情報が得られるように側方及び前
方散乱データを記録し得る。このようにして数秒で且つ極めて少ない液体で数千の細胞を
ビーム中に通して測定するようにし得る。サイトメータはある分野では有効であるが、こ
れらのサイトメータは、オペレータの大々的な訓練を必要とする高性能の機器である。安
全な操作には試薬を規則的に入力する必要もあり、このことにより継続するランニングコ
ストに影響を及ぼす。得られたデータの解釈も難しくなる。
【0005】
液体又は気体中の懸濁粒子の濃度を測定する他の方法は比濁法である。比濁計は積分球
を用いるように構成し得る。このような構成では、光を試料に入射させ、この光が積分球
に入射される前に試料中の粒子により散乱されるようにし得る。次いで、この散乱された
光は積分球の出射ポートで検出される前にこの積分球の内部で反射されると共に拡散され
る。拡散されない光は積分球をまっすぐ通過して収集されない。
【0006】
参照により本明細書に援用する特許文献1(Hammond他)は、光を収集し且つ試料を収
容する積分球集光器と、積分球集光器に光を導入する光源であり、既知の変調の光を出力
するように動作可能な光源と、積分球集光器内の散乱光を検出すると共にこの散乱光を表
す信号を発生する検出器と、既知の光変調及びこの検出器により発生される信号を用いて
分析用の出力を生ぜしめるように動作可能なロックイン増幅器とを備えた試料測定システ
ムを開示している。特許文献1で分かっているのは、積分球集光器の使用を、ロックイン
増幅器を用いた変調光及び位相敏感検波の使用と組み合わせて用いることで、微生物等の
生物物質を含有し得る試料からの異なる時点の検出信号の変化を監視することができるこ
とである。このような構成を用いて、微生物の存在及び抗生物質に対する微生物の感受性
又は他の構成(the presence of microbes and their susceptibility to antibiotics o
r other arrangements)を迅速且つ簡便に十分な感度で決定できることが分かっている。
特許文献1に記載のいくつかの実施形態では、変調レーザビームが光入力として用いられ
、積分球内に装着されたキュベットに収容された試料を通過する。レーザビームは、試料
を直接通過し出射開口を介してビームダンプへ至り得る。試料により散乱されたレーザビ
ームからの光は、積分球内で反射されて最終的に検出器により受光される。検出信号は、
検出器と同じ変調周波数で変調され、変調された検出信号は、存在する生物物質の微生物
又は他の粒子の数を表す振幅を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2016/128747号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
実際には、現場(in-field)及び/又は高スループット試験を実現できるシステム、特
に保守のし易さ、試料の取り扱い、信頼性、及び/又は使い易さの1つ又は複数が改善さ
れたシステムが望ましい。微生物の存在及び/又は抗生物質の有効性の正確なポイントオ
ブケア決定が達成されれば、より迅速且つ簡便な試験が可能となり得ると共に、例えば試
料の複雑で時間がかかる臨床試験の必要が回避又は延期され得る。
【0009】
抗生物質の存在及び/又は抗生物質に対する感受性に関するより迅速且つ/又は単純且
つ/又は簡便な実地試験は、例えば、抗生物質の不必要な処方又は特定の条件に適さない
抗生物質の初期処方の低減につながり得る。例えばポイントオブケアにおいて、このよう
な迅速且つ正確な試験が行われなければ、詳細な試験を実行せずに且つ/又は推測的若し
くは予防的に(in a speculate or precautionary manner)抗生物質を処方するのが一般
的である。このような不適切な抗生物質の処方又は乱用は、世界人口における抗生物質耐
性の増加につながっており、これは重要な世界的課題として広く認識されている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1態様において、例えば液体試料中の粒子の存在を検出することにより、液体中の1
つ又は複数の粒子を含む試料を分析する検出装置が提供される。本装置は、第1室及び第
2室と、第1室と第2室との間の光路とを備える。第1室は、試料を収納する試料空間と
、試料との相互作用のための第1室への光の入力用の光入力部と、光、例えば散乱及び/
又は反射光を第1室から光路を介して第2室へ伝えるように配置された出射開口とを含む
試料室である。第2室は、光路から光を受光する入力開口と、被検出光を検出する検出器
又は受光する検出器開口とを含む検出室である。第1室及び第2室は、少なくとも1つの
光積分容積(light integrating volume)を提供し得る。実施形態では、第1室及び第2
室は少なくとも1つの積分容積を合わせて提供し得る。換言すれば、第1室及び第2室は
、散乱及び/又は反射光が室内で少なくとも部分的に積分されるようにそれぞれ構成され
得る。第1室は、動作の際に液体試料が第1室内にあり第2室から隔離されるように構成
され得る。実施形態では、第1室は、第2室の容積の少なくとも部分的に外部にある容積
を画定する。積分容積は、光を収集、散乱、及び/又は拡散させるものであり得る。実施
形態では、光入力部は光入射開口を含み得る。実施形態では、本装置は、光入力部を通し
て試料室に光を供給するように構成された光源をさらに備える。
【0011】
光入力部/光入射開口、出射開口、入力開口、及び検出器開口はそれぞれ、第1/第2
室(場合に応じて)における光を通過させる部分を含み得る。好ましくは、このような部
分は光を実質的に不変のまま通過させる。実施形態では、上記部分は、孔として又は透明
材料部分として構成され得る。
【0012】
第1室は、光入力部と整列した、場合によりビームダンプにつながる光ビーム出射ポー
トをさらに含み得る。
【0013】
光入力部は、光を光源から第1室へ伝える光入力ポートを含み得る。
【0014】
第1室は光積分室を含むことができ、第2室は光積分室を含むことができる。
【0015】
本装置は、試料の通過を防止することにより第2室からの液体試料の上記隔離をもたら
すバリアをさらに備え得る。
【0016】
第1室の壁は反射性であり得る。
【0017】
第1室の光入力部及び壁は、動作の際に光の少なくとも一部が第1室内で複数回反射さ
れた後に出射開口を介して第1室から出るように配置される。
【0018】
第1室は、試料の挿入用又は取外し可能な試料セルの挿入用の開口部を含み得る。開口
部は閉鎖可能であり得る。実施形態では、第1室は、取外し可能な試料セルを第1室に挿
入することにより開口部を閉じることができるように構成され得る。実施形態では、本装
置は、開口部を通して第1室に挿入された取外し可能な試料セルであって、第1室に挿入
されると開口部を閉じる取外し可能な試料セルを備え得る。実施形態では、取外し可能な
試料セルは、試料セルが第1室に挿入されると第1室内で光を反射させる反射面を含み得
る。
【0019】
第1室は、上記試料セル及び/又は上記試料の挿入を可能にするように開放可能又は取
外し可能な蓋、底、又は壁を含み得る。
【0020】
開放可能又は取外し可能な蓋、底、又は壁は、動作の際に第1室内で光を反射させる反
射面を含み得る。
【0021】
第1室は、試料を収容する取外し可能な試料セルを収納するように構成され得る。
【0022】
試料セルは、第2室からの液体試料の上記隔離をもたらすように構成され得る。
【0023】
本装置は、試料セルを収納する試料セル収納設備(arrangement)、例えば試料空間の
所望の位置に試料セルを導く少なくとも1つのガイドを備え得る。
【0024】
試料セルは、キュベットを含み得る。
【0025】
試料空間は、第1室に挿入されるよう試料セルの形状及び/又はサイズに一致する形状
及び/又はサイズを有し得ることで、例えば、動作の際に試料セルが試料空間内にある場
合に実質的に直立状態に保たれ、且つ/又は例えば第1室の壁と試料セルの壁との間の接
触又は近接により少なくとも1方向、好ましくは各方向の移動を実質的に防止されるよう
にする。試料空間の壁は、試料セルを所望の位置に、例えば実質的に直立状態に保つよう
に試料セルの移動を制限するように配置され得る。
【0026】
試料空間は、取外し可能な試料セルが挿入時に試料空間を実質的に満たすように構成さ
れ得る。
【0027】
試料セルは、光に対して少なくとも部分的に透明な壁(単数又は複数)を含み得ること
で、第1室の試料空間に挿入されると、入力部からの光が上記少なくとも部分的に透明な
壁(単数又は複数)を通して試料セルに出入りすることができるようにする。
【0028】
試料セルは、面積の実質的に全体が実質的に透明な壁を含み得る。例えば、試料セルの
壁のそれぞれが、面積の実質的に全体が実質的に透明であり得る。
【0029】
試料セルは、少なくとも1つの実質的に透明な開口を含む少なくとも1つの実質的に不
透明な壁を含み得る。
【0030】
第1室は、試料セルの開口又は複数の開口の少なくとも1つが第1室の光入力部と整列
するように、且つ/又は試料セルの開口又は複数の開口の少なくとも1つが第1室の出射
開口と整列するように構成され得る。
【0031】
試料セルの実質的に不透明な壁は、試料セル内の光が試料セルの壁で反射されるように
反射性であり且つ/又は反射層(単数又は複数)を含み得る。
【0032】
第1室の壁は、試料セルの壁よりも低反射であり得る。実施形態では、第1室の壁は実
質的に無反射である。このような実施形態は、反射壁を含む試料セルと組み合わせると特
に有用であり得る。
【0033】
試料セルは、使い捨ての試料セルを含み得る。実施形態では、試料セルは、「プラスチ
ック」と一般に称する有機ポリマー等のポリマーから作られ得る。例えば、試料セルは、
PVC、ポリエチレン等から作られ得る。こうした材料は、試料セルの廉価な製造を可能
にすることにより、試料セルの使い捨てを可能にし得ることが有利である。
【0034】
光入力部及び出射開口は、動作の際に、光入力部からの光の少なくとも一部、場合によ
り実質的に全部が少なくとも1回反射且つ/又は散乱された後に出射開口を通過するよう
に配置され得る。
【0035】
光入力部は、出射開口から遠位にある第1室の壁の点又は領域と整列し得る。
【0036】
第2室の壁は、動作の際に、光路を介して入る光の少なくとも一部、場合により実質的
に全部が少なくとも1回反射を経た後に検出器により検出されるように反射性であり得る
。第2室の壁の全部が反射性であり得る。
【0037】
第2室の壁の反射率及び配置は、光路を介して入る検出波長の光の実質的に全部が検出
器により受光されるようなものであり得る。
【0038】
第1室及び/又は第2室の壁は、反射材料、場合により酸化チタン、アルミニウム、又
は銀を含み得る。
【0039】
反射材料は、堆積プロセス、コーティングプロセス、スパッタ堆積プロセス、塗装プロ
セス、印刷プロセスの少なくとも1つを用いて第1室の壁及び/又は第2室の壁に設けら
れ得る。
【0040】
反射材料を形成する又は設けるために用いられる方法は、所望のコーティング均一性、
厚さ、反射率、拡散特性、生産容易性、速度、及び費用の少なくとも1つを提供するため
に選択され得る。
【0041】
第1室及び/又は第2室の壁は、拡散光を発するように構成された拡散コーティングを
含み得る。拡散コーティングは、酸化亜鉛及び/又は参加アルミニウムを含み得る。
【0042】
第2室の壁は、検出空間を画定することができ、少なくとも検出器の受光部分は、検出
空間内にあり得る。
【0043】
検出器の少なくとも一部は、壁の少なくとも1つから離れる方向に検出空間内へ延び得
る。
【0044】
検出器は、受光素子を含み得る。受光素子は、検出器の検出素子を含み得るか又は検出
器の検出素子に光を導くように構成され得る。
【0045】
検出素子は、光に応じて電気信号を生成するように構成された素子を含み得る。
【0046】
受光素子は、第2室の検出空間内で第2室の壁から遠隔に装着され得る。
【0047】
受光素子は、少なくとも第1方向及び反対の第2方向から受光するように第2室の壁に
対して配置され得る。
【0048】
光路及び第2室の配置は、入力開口から入力開口に対向する第2室の壁上の点又は領域
まで光軸を規定することができ、検出器の受光素子は、上記光軸に対して軸外位置に位置
付けられる。
【0049】
第2室は、検出器により受光された光の少なくとも一部、場合により実質的に全部が受
光前に第2室内で少なくとも1回反射されるように形成且つ配置され得る。
【0050】
第2室及び検出器は、積分集光器として動作するように形成且つ配置され得る。
【0051】
検出器は、任意の適当なタイプの検出器、例えば任意の適当な光電デバイス、光起電力
デバイス、光化学デバイスを含み得る。検出器は、量子ドットデバイス、場合によりグラ
フェン/Si量子ドットデバイス、及び/又は任意の適当な半導体デバイスを含み得る。
【0052】
延出器は、少なくとも1つのフォトダイオード、及び/又は少なくとも1つのカメラ及
び/又は少なくとも1つの光電子増倍管を含み得る。
【0053】
光路は、第1室と第2室との間の通路を含み得る。実施形態では、本装置は、光路を形
成する第1室と第2室との間の通路を含む。
【0054】
通路は、少なくとも部分的に反射性の壁を含み得る。
【0055】
実施形態では、光入力部は、レーザ及び/又はLED等の光源から光を受光するように
構成され得る。
【0056】
実施形態では、光源はコリメート光源である。実施形態では、光源は単色コリメート光
源である。
【0057】
光は、粒子がある場合に粒子から又は粒子により光が散乱し且つ/又は吸収されるよう
な波長を有し得る。実施形態では、光は、光が散乱し且つ/又は微生物により吸収される
ような波長を有する。
【0058】
光は、600nm~800nmの範囲、場合により590nm~650nmの範囲又は
620nm~750nmの範囲の波長を有し得る。光は既知の変調を有し得る。
【0059】
第1室は第2室よりも大きくすることができる。第1室及び/又は第2室はそれぞれ、
各立方体又は直方体形状を有し得る。
【0060】
第1室及び第2室は、実質的にL字形構成で配置され得る。
【0061】
第1室は、1μL~10mLの範囲の容積を有することができ、且つ/又は第2室は、
1μL~10mLの範囲の容積を有することができる。
【0062】
出射開口及び/又は入力開口は、1mm~10mmの範囲の直径の断面積を有し得る。
開口の直径は、開口が嵌まる最小円の直径を指し得る。実施形態では、出射開口及び/又
は入力開口は、1mm~100mmの範囲の断面積を有し得る。
【0063】
第1室は、試料空間を画定する本体を含むことができ、且つ/又は第2室は、検出空間
を画定する本体を含むことができる。第1室及び/又は第2室は、プラスチック又は金属
から形成され得る。
【0064】
第1室の本体及び/又は第2室の本体は、成形プロセス、射出成形プロセス、印刷プロ
セスの少なくとも1つを用いて形成され得る。
【0065】
第1室の本体及び/又は第2室の本体は、相互から且つ/又はマウンティング若しくは
ハウジングから取外し可能であり得る。
【0066】
第1室の本体及び第2室の本体は、単体として形成され得る。
【0067】
粒子は生物を含み得る。
【0068】
粒子は、微生物、場合により細菌、真菌、又は他の粒子状物質を含み得る。
【0069】
試料は、血液、血漿、尿、水、細菌増殖液(bacterial growth fluid)、脳脊髄液(C
SF)、膿、又は関節吸引液(joint aspirate)の少なくとも1つを含み得る。
【0070】
第1態様の実施形態のいずれかによる検出装置と、任意の他の態様の実施形態のいずれ
かに関して記載した試料セルとを備えたシステムも提供される。
【0071】
別の態様では、特許請求の範囲又は本明細書に記載の少なくとも1つの検出装置を備え
、さらに検出器からの検出信号を処理する検出回路を備えたシステムであって、光が既知
の変調で入力され、検出回路が既知の変調及び検出信号を用いて測定信号を発生するよう
に構成された検出器を含むシステムが提供される。実施形態では、検出器は位相敏感検波
器である。実施形態では、検出器はロックイン増幅器を含む。実施形態では、本システム
は、本明細書に記載の少なくとも1つの試料セルをさらに備える。
【0072】
別の態様では、単一のハウジング又はマウンティングに設けられた特許請求の範囲又は
本明細書に記載の複数の検出装置を備えたシステムが提供される。
【0073】
さらに別の態様では、光源から複数の検出装置の光入力部へ光を導く光ガイド設備をさ
らに備えた、特許請求の範囲又は本明細書に記載の複数の検出装置を備えたシステムが提
供される。
【0074】
光ガイド設備は、それぞれが光源から光入力部のそれぞれへ光を導くように構成された
複数の光ファイバケーブル設備を含み得る。
【0075】
各光ファイバケーブル設備は、光ファイバケーブル又は光ファイバケーブル束を含み得
る。
【0076】
光ガイド設備は、少なくとも1つの光スイッチ、スプリッタ、又はルータを含み得る。
【0077】
独立して提供され得る別の態様では、例えば複数の液体試料中の粒子の存在を検出する
ことにより1つ又は複数の粒子を含む複数の液体試料を分析するシステムが提供される。
本システムは、複数の試料室と、検出室と、複数の試料室のうち1つの試料室を検出室と
結合構成にするように動作可能な結合機構とを備える。各試料室は、複数の液体試料のう
ち1つの試料を収納する試料空間と、試料との相互作用のための試料室への光の入力用の
光入力部と、試料室が検出室と結合構成にあるときに光を上記試料室から検出室へ伝える
ように配置された出射開口と、被検出光を検出する検出器又は受光する検出器開口とを含
み、上記試料室及び検出室は少なくとも1つの光積分容積を含み、試料室は、動作の際に
液体試料が試料室内にあり検出室から隔離されるように構成される。
【0078】
実施形態では、結合構成において、本装置は、上記試料室と検出室との間の光路を備え
、試料室の出射開口は、光を試料室から検出室へ光路を介して伝えるように配置され、検
出室は、試料室が検出室と結合構成にあるときに光路から光を受光する入力開口を含む。
【0079】
結合機構は、各試料室を検出室と順次に結合構成にするように動作可能であり得る。
【0080】
結合機構は、場合により試料室を回転させるように動作可能とすることができ、その場
合、結合機構はカルーセル機構を含む。
【0081】
本システムは、場合により結合機構を駆動するように配置された駆動設備をさらに備え
ることができ、駆動設備は、機械又は電気機械コンポーネント、例えば機械又は電気機械
アクチュエータを含む。
【0082】
独立して提供され得る別の態様では、例えば液体試料中の粒子を検出することにより粒
子を含む液体試料を分析する方法が提供される。本方法は、試料との相互作用のために試
料室に光を入力するステップであり、試料室は、試料により散乱された実質的に全部の光
を別個の検出室へ指向させる積分容積であるか又は積分容積を含むか又は積分容積の一部
を形成するステップと、検出室で試料室から受光した光を検出して、液体試料中の粒子の
存在及び/又は量等の試料の特性を表す測定値を得るステップとを含む。実施形態では、
試料の分析は、粒子の有無、粒子の数、粒子の濃度、及び粒子のサイズの1つ又は複数を
求めることを含む。換言すれば、本方法は、光を検出して試料中の粒子の有無、試料中の
粒子の数、試料中の粒子の濃度、及び試料中の粒子のサイズから選択された試料の特性を
表す測定値を得るステップを含み得る。
【0083】
本方法は、複数の異なる時点で光を入力するステップ及び測定値を得るステップを繰り
返すステップを含み得る。本方法は、それにより、試料中の粒子の数又はサイズの変化を
時間の関数として且つ/又は試料の処理の関数として求め得る。
【0084】
処理は、選択された1つ又は複数の物質、例えば選択された1つ又は複数の抗生物質で
の処理を含み得る。
【0085】
別の態様では、特許請求の範囲又は本明細書に記載のシステムを用いて複数の試料の測
定を実行する方法であって、異なる試料室のそれぞれに試料を供給するステップと、同時
に又は異なる時点で異なる試料室の試料の測定を実行するステップとを含む方法が提供さ
れる。
【0086】
本方法は、複数の異なる時点で試料の測定を繰り返すことにより、試料中の粒子の数又
はサイズの変化を時間の関数として且つ/又は試料の処理の関数として求めるステップを
含み得る。
【0087】
独立して提供され得る別の態様では、反射壁と、光の出入り用の少なくとも1つの開口
、場合により2つの開口とを備えたキュベット又は他の取外し可能な試料容器であって、
光積分容積を提供するキュベット又は他の取外し可能な試料容器が提供され得る。キュベ
ット又は他の試料容器の壁の全部が反射性であり得る。開口は、キュベット又は他の容器
の対向する辺上の開口を含み得る。開口は、動作の際に光が通る第1軸を有する第1開口
と、動作の際に光が通る第2軸を有する第2開口とを含むことができ、第1軸及び第2軸
は非整列であり得る。
【0088】
独立して提供され得る別の態様では、1つ又は複数の検出器及び/又は検出室と共に用
いられる試料容器であって、
液体試料を収容する収容部と、
複数の試料室を含む試料カセットと、
収容された液体試料を収容部から複数の試料室に分配する液体分配機構と
を備えた試料容器が提供される。複数の試料室のそれぞれは、1つ又は複数の検出器及び
/又は検出室と結合構成にされるように構成され得る。
【0089】
複数の試料室のうち試料室の少なくとも1つは、光積分容積を提供し得る。上記試料室
の少なくとも1つの表面は、反射材料を含み得る。上記試料室の少なくとも1つの表面は
、光に対して少なくとも部分的に透明であり得る。試料室の少なくとも1つの表面は、光
の通過を可能にする開口を含み得る。光は、試料に対して測定を実行するために選択され
た波長又は波長域の光を含み得る。
【0090】
複数の試料室のそれぞれは、
試料室内の液体試料との相互作用のための試料室への光の入力用の光入力部と、
試料室が検出室と結合構成にあるときに光を試料室から光路を介して1つ又は複数の検
出室の1つへ伝えるように配置された出射開口と
の少なくとも一方を含み得る。試料室及び検出室は、個別に又は組み合わせて、少なくと
も1つの光積分容積を含み得るか又は形成し得る。試料室は、動作の際に液体試料が試料
室内にあり検出室から隔離されるように構成され得る。
【0091】
動作の際に、液体試料は、試料室内にあり検出室から隔離され得る。
【0092】
収容部と試料カセットとは分離可能であり得る。試料カセットは、収容部と係合するよ
うに構成され得る。試料カセットは、収容部から係脱されるように構成され得る。
【0093】
分配機構は、収容部と試料カセットとが係合すると収容された液体試料を収容部から複
数の試料室に分配するように構成され得る。分配機構は、収容部と試料カセットとが分離
且つ/又は係脱されると複数の試料室への液体試料の分配を防止するように構成され且つ
/又は防止する手段を含み得る。
【0094】
試料容器及び試料室のそれぞれは、各係合及び/又は開放状態と各係脱及び/又は閉鎖
状態との間で可動であり得る。係合状態では、液体試料が試料容器から試料室へ移ること
ができ、係脱又は閉鎖状態では、液体試料が試料容器から試料室へ移ることが防止される
ようになり得る。
【0095】
試料容器は、収容部を試料カセットに取り付ける取付け機構をさらに含み得る。
【0096】
分配機構は、収容部から複数の試料室への液体の流れを制御するように構成された弁機
構をさらに含み得る。
【0097】
弁機構は、液体が収容部から試料カセットへ移ることを許される開放構成と、液体が収
容部から試料カセットへ移ることを遮られる閉鎖構成とから移動するように動作可能であ
り得る。
【0098】
弁機構は、容器部を試料カセットから分離すると開放構成から閉鎖構成へ移動するよう
に構成され得る。
【0099】
弁機構は、試料カセットを容器部に取り付けると閉鎖構成から開放構成へ移動するよう
に構成され得る。
【0100】
弁機構は、少なくとも1つの開口部、及び/又は少なくとも1つの開口部を覆うことに
より弁機構を閉鎖構成にするように動作可能な少なくとも可動部材(at least moveable
member)を含み得る。
【0101】
分配機構は、複数の試料室に結合された1つ又は複数の流路をさらに含み得る。
【0102】
分配機構は、それぞれが試料室を収容する複数の試料区画にカセットを分割する1つ又
は複数の分割壁をさらに含み得る。
【0103】
弁機構は、取付け機構と協働するように構成され得る。
【0104】
弁機構は、容器部を試料カセットから分離すると開放構成から閉鎖構成へ移動するよう
に構成され得る。
【0105】
弁機構は、試料カセットを容器部に取り付けると閉鎖構成から開放構成へ移動するよう
に構成され得る。
【0106】
取付け機構及び/又は弁機構は、試料カセットの1つ又は複数の回転により動作可能で
あり得る。
【0107】
試料容器は、液体容器部用の蓋をさらに含み得る。蓋は、容器の反転に応じて液体試料
から沈殿物及び/又は他の残屑を集めるための凹部を含み得る。
【0108】
容器は、液体試料から沈殿物及び/又は他の残屑を集めるように構成された少なくとも
1つの接着且つ/又は反応表面又はコンポーネントを含み得る。
【0109】
試料カセット部は、容器部用の底又はスタンドを提供し得る。
【0110】
試料容器は、試料カセットから分離されると例えば容器部を支持する支持体をさらに含
み得る。
【0111】
分配機構は、
重力、流体圧力、及び/又は加圧力
の少なくとも1つの影響下で且つ/又はそれに応じて液体試料を分配するように構成され
得る。
【0112】
取付け機構、分配機構、及び/又は弁機構は、
ねじ及び対応の開口、バヨネットアタッチメント、ルアーロック型システム、プラグと
ソケット
の1つ又は複数を含み得る。
【0113】
独立して提供され得る別の態様では、液体試料中の粒子の存在を検出するシステムであ
って、
試料容器であり、
液体試料を収容する収容部と、
複数の試料室を含む試料カセットと、
収容された液体試料を収容部から複数の試料室に分配する液体分配機構と
を含む試料容器
を備えたシステムが提供される。
【0114】
本システムは、検出室と、試料カセットの試料室を検出室と結合構成にして、結合構成
で光が例えば試料室から検出室へ伝わることができるように動作可能な結合機構とをさら
に備え得る。実施形態では、本システムは、上記試料室と検出室との間の光路を備える。
【0115】
各試料室は、液体試料の一部を収納する試料空間と、試料との相互作用のための試料室
への光の入力用の光入力部と、試料室が検出室と結合構成にあるときに光を上記試料室か
ら光路を介して検出室へ伝えるように配置された出射開口とを含み得る。
【0116】
検出室は、試料室が検出室と結合構成にあるときに光路から光を受光する入力開口、及
び被検出光を検出する検出器又は受光する検出器開口の少なくとも一方を含み得る。単独
で又は組み合わせで考慮される上記試料室及び/又は検出室は、少なくとも1つの光積分
容積を含み得る。試料室は、動作の際に液体試料が試料室内にあり検出室から隔離される
ように構成され得る。
【0117】
試料室は透明壁(単数又は複数)を含むことができ、透明壁(単数又は複数)は光路を
提供することができる。代替として、試料室は、少なくとも1つの不透明且つ/又は反射
壁を含むことができ、光路は、上記少なくとも1つの不透明且つ/又は反射壁の少なくと
も1つの開口を含み得る。開口及び/又は光路は、検出室の検出器又は検出器入力部と整
列し得るか又は整列可能であり得る。試料室及び検出室は、試料室が検出室内で動作位置
に位置付けられているときに開口及び/又は光路が検出室の検出器又は検出器入力部と整
列するように形成且つ/又は配置され得る。
【0118】
独立して提供され得る別の態様では、例えば液体試料中の粒子を検出することにより粒
子を含む液体試料を分析する方法であって、
本明細書に記載の任意の態様、請求項、又は実施形態、例えば直前の態様に従って粒子
の存在を検出するシステムを用意するステップと、
試料容器の収容部で液体試料を得るステップと、
複数の試料室のそれぞれが液体試料の一部を収容するように試料カセットの複数の試料
室に液体試料を分配するステップと、
試料室を検出室と結合構成にするステップと、
試料室に収容された液体試料の上記一部との相互作用のために試料室に光を入力するス
テップであり、試料室は、試料により散乱された実質的に全部の光を検出室へ指向させる
積分容積であるか又は積分容積を含むか又は積分容積の一部を形成するステップと、検出
室で試料室から受光した光を検出して、上記試料室内の液体試料の上記一部中の粒子の存
在及び/又は量を表す測定値を得るステップと
を含む方法が提供される。
【0119】
本方法は、結合機構を操作して、さらに別の液体試料部分を収容する少なくとも1つの
さらに別の試料室を検出室と結合構成にするステップと、光を上記少なくとも1つのさら
に別の試料室に入力して、上記さらに別の液体試料部分中の粒子の存在及び/又は量を表
す測定値を得るステップとをさらに含み得る。
【0120】
本方法は、1つ又は複数の材料、例えば抗生物質を複数の試料室のそれぞれに導入する
ステップをさらに含み得る。
【0121】
独立して提供され得る別の態様では、液体試料を収納する試料空間を備え、少なくとも
1つの実質的に透明な開口を含む少なくとも1つの実質的に不透明な壁をさらに備えた試
料セルが提供される。
【0122】
試料セルの壁は反射性であり得る。
【0123】
試料セルはキュベットを含み得る。
【0124】
一態様における特徴は、任意の他の態様における特徴として任意の適当な組み合わせで
適用することができる。例えば、方法、装置、又はシステム特徴のいずれか1つ又は複数
を、他のいずれかの方法、装置、又はシステム特徴として適用することができる。
【0125】
次に、実施形態を例として添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0126】
図1】検出装置の概略図である。
図2】分解構成の検出装置の分解図である。
図3】組立て済みの開放構成の検出装置の図である。
図4】組立て済みの閉鎖構成の検出装置の図である。
図5図5(a)は、実施形態による検出装置の斜視切断図(perspective and cut-away view)での概略図である。図5(b)~図5(g)は、実施形態による検出装置の斜視切断図での概略図である。
図6】種々の濃度の第1タイプの抗生物質(メロペネム)の存在下での生体試料の時間の関数としての細菌増殖のプロットである。
図7】種々の濃度の第2タイプの抗生物質(ゲンタマイシン)の存在下での生体試料の時間の関数としての細菌増殖のプロットである。
図8図8(a)~図8(b)は、種々のタイプの抗生物質の存在下での時間の関数としての試料の細菌増殖を示すプロットである。
図9】検出装置の使用を示す概略図である。
図10】種々のタイプの抗生物質の存在下での尿試料の時間の関数としての細菌増殖のプロットである。
図11】試料容器を示す概略図である。
図12】試料容器の底部を示す概略図である。
図13】試料容器の弁機構を示す概略図である。
図14図14(a)~(b)は、検出室内の底部の試料室を示す概略図である。検出室内の底部の試料室を示す概略図である。
図15図15(a)~図15(k)は、上サンプラ容器部、底部、及び弁機構を含む試料容器の斜視図である。
図16】試料容器と共に検出装置を用いる方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0127】
図1は、実施形態による液体試料中の生物の存在を検出する検出装置10の概略図であ
る。検出装置10は、試料室12とも称する第1室及び検出室14とも称する第2室の2
室を有する。以下でさらに詳細に説明するように、光路が試料室12と検出室14との間
に設けられる。
【0128】
試料室12及び検出室14は、中空であり、光を積分するよう働く。試料室12は、光
拡散集光室12として働く光積分室である。検出室14も、光拡散集光室として働く光積
分室である。この実施形態では、各室が光路により結合された各光積分容積を提供する。
【0129】
以下でさらに詳細に説明するように、各室は、光拡散集光室として働く。光は、試料室に
導入され、試料により散乱され、内壁で複数回反射されて、室内全体で実質的に均一な光
の分布をもたらす。収集光は、光路を介して試料室12から出て検出室14に導入され、
そこで内壁で複数回反射されて、室内全体で実質的に均一な光の分布をもたらした後に検
出される。動作の際には、試料が試料室12内に位置付けられる。試料が試料室12内に
位置付けられるので、光は試料を複数回通過し得る。
【0130】
本実施形態では、試料室12は第1積分容積を提供し、検出器14は第2積分容積を提
供する。試料室12及び検出室14は、それぞれが個別に積分室14として機能するが、
本実施形態における試料室12、検出室14、及びこれらを繋ぐ光路(後述するように反
射壁を有する通路の形態であり得る)の組合せが、単一のより大きな積分室として機能す
ると考えることができる。
【0131】
さらに他の実施形態では、試料室12及び検出室14の一方のみが積分室を提供する。
いくつかの実施形態では、試料室12及び検出室14が光拡散及び集光用の積分容積を合
わせて提供する。
【0132】
試料室12は、被験試料を収納するように構成された試料空間とも称する空間を有する
。この実施形態では、試料は、取外し可能な試料セル18内に収容される。試料室12は
、開放構成又は閉鎖構成にすることができる。試料室12は、試料室12の構成を開放構
成から閉鎖構成に変えることができその逆もできるように、閉鎖可能な開口部を有する。
【0133】
開放構成では、試料室12は、試料、この実施形態では試料セル12を収納するように
構成される。閉鎖位置では、試料室12は検出用に構成される。この実施形態では、閉鎖
可能な開口部は、試料室の上端にあり蓋20により閉鎖可能である。この実施形態では、
蓋12は取外し可能である。
【0134】
閉鎖構成では、試料室12の試料空間は、試料室12の内壁及び蓋20により画定され
る。試料空間は、試料室12への取外し可能な試料セル18の挿入が可能となるように、
したがって試料室12内の試料の位置決めが可能となるように、取外し可能な試料セル1
8の形状及び/又はサイズに一致する寸法、例えば形状及び/又はサイズを有する。
【0135】
取外し可能な試料セル18は、被験試料を収容する。取外し可能な試料セル18は、試
料室12内に供給された液体試料の検出室14からの隔離をもたらす。いくつかの実施形
態では、試料セル18はキュベットであるか又はキュベットを含む。試料空間に挿入され
ると、取外し可能な試料セル18は、試料空間の容積を実質的に満たす。
【0136】
取外し可能な試料セル18は、試料セル18に供給された光が内部に収容された生体試
料と相互作用できるように光を出入りさせるように構成される。この実施形態では、取外
し可能な試料セル18は、光を通過させることにより試料セル18に出入りさせる透明壁
を有する。いくつかの実施形態では、壁は部分的に透明である。
【0137】
光源22が設けられる。試料室12は、光源22から光を受光するように構成された光
入力部24を有する。試料室12は、出射開口26も有する。ビーム軸が光源22と光入
力部24との間に画定されて、動作の際に光源22からの光が実質的にビーム軸に沿って
進み光入力部24を介して試料室12に入るようにすることができる。散乱光用の出射開
口26は、出射開口26と光入力部24とが整列しないようにビーム軸に対して軸外位置
に位置決めされる。いくつかの実施形態では、光入力部24は、ビーム軸に対して垂直な
方向で出射開口26から遠位にある試料室12の壁の点又は領域と整列する。
【0138】
いくつかの実施形態では、ビーム軸と整列する壁の点又は領域は、ビームダンプにつな
がる開口を含む。かかる実施形態では、光源からのレーザビーム又は他のコリメート変調
光が、試料を通過してビームダンプへ直接伝わる。かかる実施形態では、試料室により提
供される積分集光器により収集されるのは、試料により散乱された光だけである。散乱し
ない光はビームダンプへ直接伝わる。
【0139】
光源は、生物がある場合に生物から光が散乱し且つ/又は吸収されるような波長又は波
長域の光を発するように選択される。いくつかの実施形態では、光源は、600nm~8
00nmの範囲、場合により590nm~650nmの範囲、又は620nm~750n
mの範囲の波長を有する光を発し得る。検出器により検出され、生物粒子等の粒子の存在
及び/又は量を求めるのに用いられる選択波長又は波長域の光は、作動波長とも称され得
る。
【0140】
検出室14は、検出空間とも称する内部空間を画定する内壁を有する。装置10は、検
出室14に関連する検出器25も有する。
【0141】
検出器25は、光を受光する受光素子又は領域(図示せず)を有する。検出器25は、
受光素子の一部として又は別個のコンポーネントとして設けられ得る検出素子も有する。
検出器の受光素子は、光を受光して当該光を検出素子へ導くように構成される。検出素子
は、受光に応じて電気検出信号を生成する。
【0142】
この実施形態では、検出器25は、検出器25の受光領域が検出空間内にあるように検
出室装置の内壁から離れる方向に延びる。光検出素子は図示しない。検出器25の受光素
子は、検出室14の壁から離れて検出室14の検出空間内に装着される。検出器25の配
置を説明するために、入力開口28と入力開口28に対向する検出室14の点又は領域と
の間に光軸を規定することができる。この点又は領域は、バッフル領域を含み得るか又は
バッフル領域と考えられ得る。いくつかの実施形態では、追加のバッフル要素がその点又
は領域に設けられ得る。検出器25の受光素子は、この軸に対して軸外位置に位置付けら
れる。
【0143】
いくつかの実施形態では、受光素子は実質的に検出室内に設けられ、光検出素子は実質
的に検出室外に設けられる。
【0144】
試料室12は、散乱光を試料室から出すために試料室12の壁に設けられた出射開口2
6を有する。検出室14は、壁に設けられた入力開口28を有する。光路は、試料室12
の出射開口26及び検出室14の入力開口28を通る。
【0145】
上述のように、試料室12の内壁及び蓋は試料空間を画定する。この実施形態では、壁
及び蓋は反射性である。反射性の壁及び蓋20は、試料室12に入る光の少なくとも一部
が複数回反射された後に出射開口26を介して試料室12から出るように配置される。
【0146】
この実施形態では、検出室14の内壁も反射性であり、検出室14に入る光が反射され
た後に検出器25により受光されるように配置される。
【0147】
本実施形態では、光路は試料室12と検出室14との間の通路である。通路は、試料室
12の出射開口26と検出室14の入力開口28とを結合する。通路は第1次元に延び得
る。通路は壁、例えば少なくとも部分反射性の壁を有し得る。
【0148】
使用の際には、生体の被験液体試料を調製し、取外し可能な試料セル18内に収容する
。試料室12の蓋20を開いて試料室12を開放構成にする。続いて、取外し可能な試料
セル18を試料室12に挿入し、蓋20を閉じて試料室12を閉鎖構成にする。
【0149】
閉鎖構成では、光源22が光入力部24へ向けて発光する。光は、光入力部24により
受光されて試料空間に導入される。導入された光の少なくとも一部は、取外し可能な試料
セル18の透明壁を通過し、取外し可能な試料セル18の透明壁を通過した光の少なくと
も一部は、第1散乱事象で試料と相互作用する。第1散乱事象は第1散乱光を発生させ、
第1散乱光の少なくとも一部は実質的に異なる方向に伝播する。第1散乱光の少なくとも
一部は、試料セル18の透明壁を通って試料セル18から出て反射壁の1つ又は複数及び
/又は蓋へ向かい、そこで反射される。反射光の少なくとも一部は、続いて試料セル18
へ向けて戻され、第2散乱事象で試料と相互作用する。
【0150】
散乱に加えて、光は試料により吸収もされ得る。
【0151】
したがって、試料室12に導入された光は、試料セル12の内面反射面により複数回反
射されるので、試料セル12を複数回通過する。したがって、光は、多重散乱事象を経て
試料と相互作用した後に、出射開口26を介して試料室12から出る。光入力部22及び
出射開口26は、光入力部22に入る光の少なくとも一部又は実質的に全部が少なくとも
1回反射又は散乱された後に出射開口26を通過するように配置される。
【0152】
いくつかの実施形態では、第2室の壁の反射率及び配置は、光路を介して入る検出波長
の光の実質的に全部が検出器により受光されるようなものである。
【0153】
試料室12から出る光は、光路を介して検出室14へ伝わる。特に、光は、出射開口2
6を通過し入力開口28を通過する。
【0154】
検出室14に入る光の実質的に全部が、検出室14の内壁により少なくとも1回反射さ
れた後に光検出器25により受光される。検出器25の受光素子の位置により、受光素子
は2方向以上から光を受光する。特に、受光素子は、少なくとも第1方向及び反対の第2
方向から光を受光する。
【0155】
試料室12、検出室14、及び検出器25は、積分集光器として動作するように配置さ
れて、試料室12及び検出室14が試料室及び検出室内で反射光を積分すなわち積算する
ようにする。反射光の和は、光検出器25によりサンプリングされる。試料が試料室12
内にある場合、光検出器25により検出される光の分布は試料の光学特性に応じて変わる
【0156】
図1図4の実施形態等の実施形態の特徴として、積分球の形態の単一の試料・検出室
を、積分空間を個別に又は合わせて提供する2つ以上の別個の室に置き換えてもよい。適
当な測定精度を得つつ室の任意の適当な形状を選択することができることが分かった。例
えば図1図4の実施形態のような直方体形状室の使用が、特に小型の設計をもたらし、
例えば小型の並列式又は他の様式で単一のハウジングに複数の装置を配置することを可能
にすることが分かった。これは、小型でロバストな設計が特に重要であり得るポイントオ
ブケア設計で特に有用であり得る。このような小型設計により、さらに後述するように単
一光源からの光を複数の検出室に多重化することもより容易になり得る。例えば図1~図
4の実施形態のような複数室設計は、検出室及び試料室の相対移動も可能にし得る。これ
は、例えば単一の検出室及び/又は検出器を複数の試料室と組み合わせて用いることが望
まれる場合に、有用であり得る。異なる試料室からの光は、例えば異なる試料室を移動さ
せて検出室と順に整列させることにより、又は光スイッチ及び/又はルーティングコンポ
ーネントを用いて光を異なる試料室から検出室へ順に指向させることにより、検出室へ順
に供給することができる。
【0157】
例えば図1図4のもの等の小型の多室設計により可能となり得るように、異なる試料
室に同じ光源を用いること、及び/又は異なる試料室に同じ検出器及び/又は検出室を用
いることは、例えば、試料毎に異なる光源及び/又は異なる検出器若しくは検出器設備の
使用から生じ得る測定値のばらつきを低減することができるので、有益であり得る。これ
は、オペレータによる大きな保守も較正もなく長期間にわたってロバスト且つ確実な動作
が特に重要であり得るポイントオブケア型システムに特に重要であり得る。
【0158】
光源22は任意の適当な光源であり得る。いくつかの実施形態では、光源22はレーザ
又はLEDである。光源が装置とは別個に設けられる実施形態もあれば、光源が装置の一
体部分として設けられる実施形態もある。いくつかの実施形態では、光源は、光入力部に
隣接して設けられる。いくつかの実施形態では、適当な光源は、任意のコリメート光源、
場合により単色コリメート光源である。
【0159】
代替的な実施形態では、光源は、光入力部22から遠隔に設けられ、光ファイバ又は他
の適当な光ガイドが、光源と光入力部との間に設けられて光を光源から光入力部へ進ませ
る。
【0160】
いくつかの実施形態では、光検出器25はフォトダイオードを含む。任意の適当な光検
出器又は検出器又は光検出デバイスが用いられ得ることが理解されよう。他の適当な光検
出器としては、限定はされないが、デジタルカメラ、光電子増倍管が挙げられる。
【0161】
付加的な検出回路(図示せず)も設けられる。検出回路は、検出器からの検出信号を処
理する。いくつかの実施形態では、検出回路は位相敏感検波器である。かかる実施形態で
は、光入力部に入る光を既知の変調方式を用いて変調することができ、検出回路は、既知
の変調・検出信号を用いて測定信号を発生するように構成される。
【0162】
上述のように、少なくとも検出器25の受光部分は検出空間内にある。他の実施形態で
は、検出器25の受光部分が完全に検出室14外に設けられ、且つ/又は検出器25自体
は、検出室14とは別個に且つ/又は完全に検出室14外に設けられる。かかる実施形態
では、検出開口(図示せず)が検出室の壁に設けられ、検出器及び検出開口は、光を検出
室14から検出器へ向けて出すように配置される。他の光学素子が、検出開口に、検出器
に、又は検出開口と検出器との間の光路上に設けられて、検出室から出る光を検出器25
に向けて導き且つ/又は集束させ得る。
【0163】
可動又は非可動の他の光学素子、例えばレンズが用いられ得る。非可動光学素子、例え
ば固定焦点レンズは、落下又は他の接触の場合のロバスト性の向上という利点をもたらす
ことができる。
【0164】
上記のように、いくつかの実施形態では、試料室12はビームダンプ出力部(図1には
図示せず)を有する。ビームダンプ出力部は、光源22と光入力部24との間に規定され
たビーム軸に沿って位置決めされる。動作の際には、光入力部24に入る少なくとも一部
の光は、試料により実質的に散乱も反射もされず、したがって実質的に試料を通過するの
で、試料室12からビームダンプ出力部を通してビームダンプ(図示せず)へ出る。ビー
ムダンプは、ビーム軸上に位置決めされる。ビームダンプの代わりにバッフルを設けるこ
ともできる。
【0165】
上述のように、試料室12は、動作の際に生体試料液が第1室内にあり第2室から隔離
されるように構成される。上述の実施形態では、隔離は試料セル12により行われる。他
の実施形態では、試料室12内にある生体試料液の隔離は、他の又は付加的な隔離手段に
より行われる。
【0166】
いくつかの実施形態では、生体試料の通過を防止するためにバリアが設けられる。バリ
アは、生体試料の通過を防止し且つ第2室から生体試料液を隔離する任意の位置に設けら
れ得ることが理解されよう。いくつかの実施形態では、バリアは、実質的に試料室12内
に設けられる。いくつかの実施形態では、バリアは、試料室12と検出室14との間に設
けられる。
【0167】
上述の実施形態では、取外し可能な試料セル18は透明壁を有する。いくつかの実施形
態では、これらの壁は実質的に透明である。いくつかの実施形態では、試料セルは、例え
ば実質的にその面積全体が実質的に透明な少なくとも1つの壁を含む。
【0168】
他の実施形態では、試料セルは、1つ又は複数の実質的に透明な開口を含む1つ又は複
数の実質的に不透明な壁を有し、1つ又は複数の実質的に透明な開口は、試料セル18の
不透明な壁に設けられて光を試料セル18に出入りさせる。いくつかの実施形態では、入
射開口(entrance aperture)が実質的に不透明な第1壁(例えば、光入力部24に最も
近い壁)に設けられ、出射開口が実質的に不透明な第2壁(例えば、試料室12の出射開
口26に最も近い壁)に設けられて、それぞれ試料セル18に光を出入りさせる。いくつ
かの実施形態では、試料セル18の入射開口は光入力部24と整列し、試料セルの出射開
口は試料室12の出射開口26と整列する。
【0169】
実質的に不透明な壁を有する実施形態では、上記壁は、試料セル内の光が試料セルの壁
で反射されるように反射性でもあり得るか又は反射層も含み得る。さらに他の実施形態で
は、試料セル18の実質的に不透明な壁は反射性であり、試料室12の内壁も反射性であ
る。試料セルの壁及び試料室の壁に異なる材料を選択することにより、試料室の壁を試料
セルの壁よりも低反射に又はその逆にすることができることが理解されよう。いくつかの
実施形態では、試料室12の内壁は実質的に無反射であり、試料セル18の壁は反射性で
あり、試料室12内の光の多重反射が試料セル12内でのみ起こるようになっている。し
たがって、かかる実施形態では、試料セル自体が試料室内の積分容積を提供し得る。
【0170】
上記の壁及び表面は、透明及び不透明と記載されている。これらの用語は、選択波長又
は波長域に対して実質的に透明及び実質的に不透明を意味し得ることが理解されよう。
【0171】
非限定的例として、試料室12及び検出室14の壁に適した材料として、反射材料、酸
化チタン、アルミニウム、銀、白金、を含む任意の材料が挙げられる。いくつかの実施形
態では、反射材料が試料室12の壁及び/又は検出室14の壁に設けられる。反射材料は
、任意の適当な塗布プロセス、例えば堆積プロセス、コーティングプロセス、スパッタ堆
積プロセス、塗装プロセス、印刷プロセスを用いて施され得る。
【0172】
アルミニウム、銀、及び/又は白金を含む反射層は、全てが室内に光を保つと共に室の
光積分を完了する(complete light integration)よう働く反射層である。
【0173】
壁は、拡散コーティング層、例えば酸化亜鉛及び酸化アルミニウムも含み得る。これら
のコーティングは、反射によるビームの形成を止め、光を光子の均質な膜にする。拡散表
面で反射された光は、室内を満たす。これにより、光検出器が室内の特定の点(例えばコ
ーナ)から反射した特定のビームではなく一般化された信号を取得していることが確実と
なる。
【0174】
いくつかの実施形態では、積分室の壁は実質的に反射性、すなわち「光密(light-tigh
t)」であり、光がビーム経路に沿って又は検出室内へだけ逃げることができるようにな
っている。試料室に入る光のうち、試料により吸収されない、すなわち試料室から出てき
た実質的に全部が反射されることが理解されよう。
【0175】
いくつかの実施形態では、レーザビームが通過すると、光のほぼ全部がビームダンプ出
力部を通して試料室を出る。試料により散乱された光の量は、関連する光、反射/屈折/
散乱(RRS)光である。いくつかの実施形態では、試料室に入る光の90%超がビーム
ダンプ出力部から出て、10A%未満が散乱、反射、又は屈折される。
【0176】
RRS光の一部は、レーザ入射及び出射ポートを介してチャンバを出るが、光の大部分
、実施形態によっては95%超が、試料を囲む試料室により収集される。
【0177】
上述の実施形態では、図2図3、及び図4を参照してさらに詳細に示すように、試料
空間は、試料室12に挿入されるよう取外し可能な試料セル18の形状及び/又はサイズ
に一致する形状及び/又はサイズを有する。上述の実施形態では、取外し可能な試料セル
18は、挿入されると実質的に直立状態に保たれる。取外し可能な試料セル18及び試料
室12の試料空間のサイズ及び/又は形状の一致により、試料セル18が少なくとも1方
向に、好ましくはいずれの方向にも移動を防止される。
【0178】
図2図3、及び図4は、検出装置の実施形態を示す。図2は、分解構成の検出装置の
分解図を示す。図3は、組立て済みの開放構成の検出装置を示す。図4は、組立て済みの
閉鎖構成の検出装置を示す。この実施形態では、蓋20が取り外されており、したがって
装置は蓋20の取り外しにより開放構成から閉鎖構成へ移動する。
【0179】
図2は、分解構成の装置10を示す。図2は、実質的に図1を参照して説明したような
、蓋20、試料室12、及び取外し可能な試料セル18を示す。装置10は、図1を参照
して説明したような光入力部24、検出室14、及び検出器14を含む本体50も有する
【0180】
上述の特徴と共に、本体50は、試料室12用のマウンティングも提供する。この実施
形態では、試料セル18が試料室12から取外し可能であるのに加えて、試料室12は、
検出室を含む本体50から取外し可能である。
【0181】
図2は、試料室12に挿入された取外し可能な試料セル18を示す。試料室12は、試
料セルを収納する試料セル収納設備を有する。試料セル収納設備は、試料セル18を試料
室12内へ導くガイド(図示せず)を有する。ガイドは、検出のために試料セルを試料空
間内の所望の位置へ導くことができる。
【0182】
上述の実施形態は、試料室18に挿入されるよう試料セル18の形状及び/又はサイズ
に一致する形状及び/又はサイズを有する試料空間を有し、動作の際に試料セル18が試
料空間内にあるときに実質的に直立状態で保たれ且つ/又は実質的に移動を防止されるよ
うになっている。試料空間は、試料室12の壁と試料セル18の壁との間の接触又は近接
によりいずれの方向にも移動を防止される。試料空間の壁も、試料セルを直立位置に保つ
ように試料セルの移動を制限する。他の実施形態では、異なる所望の位置を維持すること
ができる。
【0183】
図2から分かるように、試料室12は検出室14よりも大きい。試料室12及び検出室
14は、それぞれが立方体又は直方体形状を有する。
【0184】
図3は、組立て済みの閉鎖構成の装置10を示す。蓋20は取外し可能であり、図3
蓋20を取り外したものを示す。他の実施形態では、蓋20が試料室に固定されて試料室
12への試料セル18の挿入を可能にするように開放可能であり得ることが理解されよう
。他の実施形態では、試料室12の任意の壁、例えば底又は側壁が、試料室12への試料
セル18の挿入を可能にするように取外し可能又は開放可能であり得ることが理解されよ
う。上記取外し可能又は開放可能な蓋、壁、又は底は、動作の際に光を反射する反射面を
含むことができる。
【0185】
図4は、組立て済みの閉鎖構成の装置10を示す。試料室12及び検出室14が、実質
的にL字形構成で配置されていることが分かる。
【0186】
上述のように、第1室の本体及び第2室の本体は、相互に取外し可能である。他の実施
形態では、第1室の本体及び第2室の本体は、マウンティング又はハウジングを提供する
第3本体から取外し可能である。他の実施形態では、第1室の本体及び第2室の本体は、
単体の一部を形成する。
【0187】
試料室12の本体及び試料室14の本体は、金属から形成される。他の実施形態では、
本体の一方又は両方は、別の材料、例えばプラスチックから形成される。本体は、成形プ
ロセス、射出成形プロセス、印刷プロセスの少なくとも1つを用いて形成され得る。
【0188】
上述のように、試料セル18は、キュベットであり得るか又はキュベットを含み得る。
いくつかの実施形態では、試料セル18は使い捨てである。
【0189】
いくつかの実施形態では、試料室12の本体及び試料室が結合される任意のさらなる本
体は、1つ又は複数のロケーションピン又は試料室を所定位置に固定する他の固定手段を
有する。ロケーションピンは、試料室の開口と検出室及び/又は光源の開口との間の位置
合わせを可能にする。
【0190】
L字形構成により、2つの独立しているが協働する積分空間の可能性が得られる。これ
により、上記積分空間の独立した移動及び/又は1つ(又は複数)の検出器及び1つ(又
は複数の)試料室との積分空間の移動(moving integrating spaces with one (or more)
detector and one (or more) sample chambers)を可能にし得る。
【0191】
試料室内に密着嵌合する試料キュベットの使用により、試料自体と試料室の反射拡散壁
との間の空間が減り得る。これにより、散乱光子が光入力部又は出射ポートの一方から誤
って逸れる(したがって失われる)可能性、及び/又は散乱光子が試料キュベットと反射
壁との間の空間にある大気粒子により吸収されることで吸収により失われる可能性が減り
得る。このような配置は、直方体形状の試料室及び対応した形状の試料キュベットを用い
て容易に得ることができる。
【0192】
試料室の直方体形状は、付加的な利点をもたらし得る。(試料室が例えば球体ではなく
)試料室がキュベットに「被せられる(jackets)」すなわちキュベットを「覆う(cloth
es)」と、試料自体(キュベット内の液体)と試料室の反射拡散壁との間の空間が小さく
なる。空間が小さくなるので、散乱光子がレーザ入射又は出射ポートの一方から誤って逸
れる(したがって失われる)可能性が低くなる。さらに又は代替として、散乱光子が空間
内にある大気粒子により吸収されて吸収により失われる可能性が低くなる。
【0193】
直方体形状は、さらなる利点をもたらし得る。特に、直方体形状は、複数の試料室を例
えば積み重ね又は並列により高密度実装構成で配置することを可能にし得る。これにより
、以下の利点を得ることができる:効率的な空間使用;単一のレーザ及び/又は検出器ア
レイを用いて試料室を単一のレーザ及び/又は検出器アレイと結合構成で移動させる実施
形態での移動のし易さ;多数の並列の大きな積分球よりもはるかに容易なシステム全体(
全「積重ね」直方体状空間)の加熱及び冷却。効率的な空間使用は、作業空間が限られた
実験室及び/又は試料室の輸送の課題であり得る。
【0194】
この実装は、動作条件のばらつきの低減も可能にし得る。例えば、対照試料及び実験試
料を、それぞれが実質的に同じ環境にあるように相互に近接して配置することができる。
【0195】
図5(a)~図5(c)は、さらに別の実施形態による検出装置を斜視切取分解図で示
す。図5(a)~図5(c)の実施形態の装置の構造は、図1図4の実施形態と同様で
あり、試料室12、検出室14、及び挿入可能な使い捨てキュベット18の形態の試料セ
ルを含む。図5(a)及び図5(b)の図は、試料室12を切断図で、試料室12、キュ
ベット18、及び試料室蓋20を部分的に分解した構成で示す。図5(a)~図5(c)
の装置は、マウンティング設備30を含み、これに試料室12及び検出室14が装着され
て装置を形成する。試料室12及び検出室14は、マウンティング30に対して別個に着
脱可能であり、これがコンポーネントの保守、洗浄及び/又は修理、又は交換を容易にし
得る。
【0196】
マウンティング30は、レーザ又は他の光源を装着することができる開口32を含む取
付板を含む。レーザ又は他の光源が開口32に装着されると、レーザ又は他の光源の出力
部が試料室12の入力ポート34と整列し、入力ポート34はさらに試料室の出力ポート
36と整列している。装置が動作構成にある場合、レーザからの光が入力ポート34を通
過して試料室内の(キュベット18内の又は試料室に直接収容された)試料に伝わる。散
乱しないか又はレーザのビーム軸に沿って前方散乱された光は、出射ポート36を通り通
常はビームダンプ(図示せず)に向かって前方に伝わる。試料室12及び検出室のL字形
構成により、例えばビームダンプが少なくとも部分的に検出室14の上方に位置決めされ
得る小型構成が得られる。
【0197】
試料により散乱された光は、試料室内で(例えば、試料室の反射壁により且つ/又は特
定の実施形態によってはキュベットの反射壁により)反射され、最終的にさらに別のポー
ト38を介して試料室から出て、検出室の入力ポート40を介して検出室に入る。上記さ
らに別のポート38及び入力ポート30は、装置が動作構成にある場合に整列する。
【0198】
図5(d)及び図5(e)は、さらに別の実施形態による装置の斜視図である。図5
d)及び図5(e)の実施形態のコンポーネント及び構成は、図5(a)~図5(c)の
実施形態のものと同様だが、この場合は1列6個の検出室14がマウンティング50に装
着される。各検出室を用いて、別個のキュベット又は他の試料セル18を保持することが
できる。各試料セルは、例えば異なる試料、例えば異なる微生物、又は異なる抗生物質若
しくは他の潜在的活性作用物質(potentially active agents)と組み合わせた同じ微生
物を収容し得る。
【0199】
図5(d)及び図5(e)の実施形態では、各試料室12は、レーザ又は他の光源を装
着するためにマウンティングにそれぞれ関連する開口32を有する。代替として、単一の
光源を別個の光ガイド、例えば光源から開口32まで通る光ファイバケーブル(単数又は
複数)と共に用いてもよい。本装置は、所望に応じて各試料室12が命令で同時に又は順
次に又は個別に光源から光入力を受けることができるように制御素子及び/又は制御可能
な光学系を含み得る。
【0200】
図5(d)及び図5(e)の実施形態は、単一の検出器装置を含む単一の共通検出室1
4を含む。試料室への光入力部を順に作動させることができ、図5(d)及び図5(e)
の共通検出室14を用いて異なる試料室に対応した別個の測定値を順に得ることができる
【0201】
図5(f)及び図5(g)は、さらに別の実施形態による装置の斜視図である。図5
f)及び図5(g)の実施形態のコンポーネント及び構成は、図5(d)及び図5(e)
の実施形態のものと同様であり、1列6個の検出室14がマウンティング60に装着され
る。
【0202】
この場合も、各試料室12は、マウンティングにそれぞれ関連する開口32を有する。
この実施形態では、マウンティング60は可動であり、試料室12のうち選択された1つ
における試料の選択された1つの測定値を得るために、関連する開口がレーザ又は他の光
源(図示せず)と整列するようにマウンティングを横方向に移動させる。したがって、マ
ウンティング60の適当な移動により、試料室12のそれぞれにおける試料を順に、又は
試料室のうち任意の選択された1つを測定することができる。
【0203】
図5(f)及び図5(g)の装置は、対応する試料室12にそれぞれ関連する別個の検
出室14を含む。代替的な実施形態では、例えば図5(d)及び図5(e)に関して説明
したものと同様に、別個の検出室の代わりに単一の共通検出室を用いてもよい。
【0204】
任意の適当な検出分析システムを図1図5の実施形態と共に用いることができる。い
くつかの実施形態では、特許文献1に記載の検出分析システムが用いられる。特許文献1
の内容を参照により本明細書に援用する。いくつかの実施形態では、635nm波長レー
ザの形態の光源が用いられる(620nm~750nmの波長域の任意の光がいくつかの
他の実施形態で用いられる)。この実施形態のレーザは、レーザ出力の変調周波数及び位
相を制御するように適合された信号発生器に接続される。光検出器は、デジタル位相敏感
検波器(PSD)に接続される。増幅器の入力が信号発生器に接続される。増幅器の出力
がデジタルオシロスコープ66に接続される。PSDは、位相敏感検波を用いて、特定の
基準周波数及び位相、この場合は信号発生器により設定された変調周波数の信号の成分を
選出する。基準周波数以外の周波数の雑音信号は除去され、測定に影響を及ぼさない。デ
ジタルオシロスコープからの出力は、コンピュータディスプレイに供給される。
【0205】
信号発生器は、レーザ光源の出力周波数を変調するように配置される。一例として、レ
ーザは、+169°の位相及び200mVのピーク-ピーク振幅とした10kHzの周波
数で変調され得る。検出された信号は、PSDにより濾波される。PSDは、光検出器か
らの検出信号を濾波する。PSDは、検出信号を光源にかけられた変調と同期させて、不
所望な雑音、例えばバックグラウンド電気又は光(luminous)雑音を排除する減衰システ
ムを提供する。濾波された信号は、デジタルオシロスコープに送信されて記録される。記
録された信号は、コンピュータディスプレイで表示することができる。
【0206】
任意の適当な制御・測定回路が、代替的な実施形態で用いられ得る。例えば、いくつか
の実施形態では、ロックイン増幅器、信号発生器、及びアナログ又はデジタルオシロスコ
ープを用いて、レーザ又は他の光源を変調し且つ変調された検出信号を検出することがで
きる。代替として、それらのコンポーネントのいずれか又は全部を、ハードウェア、ソフ
トウェア、又はハードウェア及び(or)ソフトウェアの適当な組み合わせの形態での専用
デジタル信号処理と置き換えてもよい。いくつかの実施形態では、コリメートレンズを用
いて光入力がコリメートされ得る。光学的筒/通路を用いて、光学コンポーネント又は光
学室、例えば試料室及び検出室が連結され得る。いくつかの実施形態では、室及び/又は
通路及び/又は試料セルの表面には、反射及び/又は拡散層、例えばアルミニウム反射層
及び酸化チタン拡散層が設けられ得る。
【0207】
いくつかの実施形態では、唯一の能動光学素子は1つ又は複数のレーザである。レーザ
(単数又は複数)は、例えば10kHzの振動正弦波を作るように信号発生器(物理的又
は仮想)を駆動し得る。いくつかの実施形態では、このレーザ信号からの散乱が、受動フ
ォトダイオードにより検出されてLIAに中継され、LIAが雑音を濾波して振動レーザ
信号のみを報告する。いくつかの実施形態では、レーザ信号は、受動光ファイバにより試
料へ伝えられ得る。
【0208】
実施形態による装置を用いて、液体試料中の生物の存在を検出することができる。生物
は微生物を含み得る。いくつかの実施形態では、生物は細菌である。試料は、さまざまな
異なるタイプの試料、例えば、血液、血漿、尿、水、細菌増殖液、脳脊髄液(CSF)、
膿、又は関節吸引液の1つ又は複数のうちの少なくとも1つであり得る。
【0209】
いくつかの実施形態では、複数の装置が併設される。一例として、2つ以上の装置、単
一の光源、及び光ガイド設備がある。光ガイド設備は、複数の導光素子、例えば光ファイ
バを含む。光ガイド設備は、光源から複数の光ファイバへ伝わる光を選択するために光選
択素子、例えば光スイッチ、スプリッタ、又はルータも有する。各光ファイバは、光を光
源から各装置へ導く。各光ファイバ設備は、光ファイバケーブル又は当該ケーブルの束と
して設けることができる。
【0210】
複数の光ファイバを含む設備を設けることにより、試料毎の動作条件のばらつきを減ら
すことができる。例えば、全部の試料室に対して1つのレーザのみが設けられるので、試
料室毎に異なるレーザの動作に関するばらつきがなくなる。
【0211】
上述のように、いくつかの実施形態では、試料室は検出室から取外し可能である。さら
に他の実施形態では、結合機構及び駆動設備が設けられる。結合機構は、例えば実質的に
上述したように、試料室からの光(例えば、散乱/反射光)を検出室に伝達できるように
試料室を検出室に結合するように動作可能である。駆動設備は、結合機構を駆動するよう
に構成される。
【0212】
駆動設備は、ソフトウェア及び/又は電子制御下で電気機械的手段により動作可能であ
り得る。駆動設備はモータを含み得る。さらに別の制御装置が、駆動設備を制御するため
に設けられる。駆動設備は、電気的、磁気的、且つ/又は電磁的に駆動され得る。駆動設
備により駆動されるものとして上述したが、いくつかの実施形態では、結合機構は手動で
作動される。
【0213】
結合機構は、試料室を検出室と結合する。さらに詳細には、結合機構は、試料室及び検
出室の一方又は両方を移動させて相対移動を得るように動作可能である。
【0214】
試料室、検出室、試料セル、及び光源のいずれかを結合する結合機構を設けることがで
きることが理解されよう。いくつかの実施形態では、試料室及び検出室の一方又は両方を
移動させる代わりに、結合機構は、試料室及び検出室を固定の空間関係に保ち且つ光源を
試料室及び検出室に対して移動させるように構成される。
【0215】
結合機構は、試料室を検出室と結合構成にするように構成される。結合構成では、試料
室及び検出室は上述のように動作することができる。特に、結合構成では、試料室の出射
開口は結合室の入力開口と整列する。結合構成では、試料室と検出室との間に光路がある
。結合構成では、試料に関する信号を検出することができる。
【0216】
光源が試料室に対して可動である光源を有する実施形態では、結合機構は、光源及び試
料室を結合構成にして光源を試料室の光入力部と整列させることもできるように動作可能
であり得ることが理解されよう。
【0217】
さらに他の実施形態では、複数の試料室が、単一の検出室、結合機構、及び駆動設備と
共に設けられる。結合機構は、上述のように、複数の試料室の1つを検出室と結合構成又
は結合位置にするように動作可能である。結合機構は、一度に1つの試料室を結合構成に
する。いくつかの実施形態では、結合機構は、試料室を順番に結合位置にし、順番は所定
のものであり得る。いくつかの実施形態では、結合機構は、連続した試料室を検出室との
結合位置にする。
【0218】
結合機構は、直線的に又は回転により移動し得る。結合機構及び駆動設備は、検出室を
通過するように複数の試料室を移動させるためのモータにより駆動されるコンベヤ型又は
カルーセル型のシステムを含み得る。結合機構は、試料室が結合位置になると上記移動を
停止させるさらに別のコントローラを有し得る。これは、さらに他のセンサを用いて検出
室に対する試料室の位置を検出し且つ/又は2つの室間又はそれらの各開口間の整列を検
出し得る。この実施形態は、例えば臨床検査室環境での被験試料のスループットの向上(
large a higher throughput)を可能にし得る。
【0219】
図6図10は、実施形態による装置の使用から得られた結果を示す。
【0220】
図6は、種々の濃度の第1タイプの抗生物質(メロペネム)の存在下での生体試料の細
菌増殖を示す、時間の関数としての検出器出力(mV)のプロットである。生体試料は大
腸菌である。上側ラインは、抗生物質無しの対照ウェル内の細菌増殖を表す。この結果は
、生物の自然増殖が非常に短時間に有意量に達することを示す。プロットに示す他の5本
のラインは、メロペネムの濃度を増加させた場合の生物の増殖の結果を表す。プロットに
よれば、この生物の最小発育阻止濃度(MIC)は2mg/L未満である。同じくプロッ
トによれば、この値を上回ってメロペネムの濃度を高く選択するほどコントロールライン
からの逸脱が加速される。30分よりもはるかに短時間で結果を得ることができる。さら
に、プロットは、メロペネムが溶解及び散乱低減を引き起こすのでこの薬物の作用機序も
示す。
【0221】
図7は、種々の濃度の第2タイプの抗生物質(ゲンタマイシン)の存在下での生体試料
の時間の関数としての細菌増殖のプロットである。結果は図6に示すものと同様である。
図7のプロットによれば、ゲンタマイシンに対するこの生物のMICは2mg/L未満で
ある。図6を参照して説明したように、抗生物質の濃度がMICレベルを上回るほど、コ
ントロールラインからのテストラインの逸脱が加速される。生物が死滅すると、散乱は静
止する。
【0222】
図8(a)及び図8(b)は、種々のタイプの抗生物質の存在下での時間の関数として
の試料の細菌増殖を示すプロットである。図8(a)及び図8(b)は、種々のタイプの
抗生物質に関するブレークポイントを示す。図8(a)及び図8(b)に示すデータを用
いて得られた測定値をそれぞれ表1及び表2に示す。
【0223】
【表1】
【0224】
【表2】
【0225】
図9は、検出装置の使用方法を示す概略図である。図9に示す使用は、尿路感染症の迅
速診断用である。しかしながら、これは非限定的例として示すにすぎない。
【0226】
これは、複数の試料室を検出構成に順次に移動させることを含み得る。試料毎に2回以
上の測定を実行して記憶し、増殖曲線、例えば図6図7図8、及び図10に示すもの
を確定し得る。
【0227】
図10は、種々のタイプの抗生物質の存在下での尿試料の時間の関数としての細菌増殖
のプロットである。尿試料は、メロペネムに対して耐性がありペニシリン(pencillin)
、アモキシシリン、ゲンタマイシン、及びシプロフロキサシンに対して感受性があるクレ
ブシエラ属を有意量含有する。コントロールラインは最上ラインである。
【0228】
上から2本目のラインは、メロペネムで処理した尿試料の結果に対応する。上から2本
目のラインは、コントロールラインと部分的に重なる。したがって、尿試料はメロペネム
に対して耐性があることが分かる。他のラインは、シプロフロキサシン、ゲンタマイシン
、ペニシリン、及びアモキシシリンで処理した尿試料の結果に対応する。したがって、こ
れらの結果から、尿がシプロフロキサシン、ゲンタマイシン、ペニシリン、及びアモキシ
シリンに対して感受性がある細菌を含有していることが分かる。
【0229】
いくつかの実施形態では、上述のように、複数の試料室を単一の検出室、結合機構、及
び駆動設備と共に設けて、試料室を検出室との結合位置に連続的に移動させる。さらに他
の実施形態では、複数の試料室は、単一の検出室、結合機構、及び駆動設備と共に用いら
れる構造、例えば試料カセットの一部として設けられ得る。図11図15は、採取した
液体試料、例えば尿試料を収容する試料容器70と、複数の試料室を有する試料カセット
を有する底部とを示す。使用の際には、各試料室が異なる被験抗生物質及び/又は増殖培
地を収容する。採取した液体試料の少なくとも一部を複数の試料室に分配する分配機構が
、例えば底部の一部として設けられる。カセットを移動させることにより、複数の試料室
を連続的に単一の検出室との結合位置にして、試料室のそれぞれにおける試料の測定を実
行することができる。試料カセットを含む試料容器は、単一の試料を複数の異なる抗生物
質に対して試験できるようにするシステムを提供する。
【0230】
さらに詳細には、図11は、検出装置と共に用いる実施形態による試料容器70の概略
図である。図15(a)~図15(k)も、試料容器70の斜視図を示す。試料容器70
は円筒形である。代替的な実施形態では、試料容器の他の幾何学的形状が与えられる。
【0231】
試料容器70は、上採取部とも称し得る上容器部72と、取外し可能な底部74とを有
する。容器部72は、採取試料とも称する液体試料を上容器部内に入れることを可能にす
る上開口部を有する。上開口部は、円筒の実質的に上端に対応する。いくつかの実施形態
では、上開口部は、円筒の上端の一部に対応し得る。図12及び図15に示すように、取
外し可能な底部74は、検出装置と共に用いられる試料カセットを提供し、試料カセット
は、検出装置での試験対象の採取試料の一部を収容する複数の試料セルを有する。取外し
可能な蓋76も試料容器70の上開口部に設けられて、試料容器70がその上面で開閉さ
れる。いくつかの実施形態では、蓋は上容器72のシールを提供し得る。
【0232】
いくつかの実施形態では、取外し可能な蓋は平坦である。他の実施形態では、取外し可
能な蓋は凹部を含み、蓋を試料容器に取り付けて試料容器を逆さまにすることにより反転
させると、沈殿物及び他の望ましくない粒子状物質が蓋の凹部に集まるようになっている
【0233】
上容器部72及び蓋76は、試料、例えば尿試料を保持する密閉空間を提供する。容器
部72は内側接着面78を有する。蓋76も内側接着面を有する。容器部72の底の内面
は、忌避面(repellent surface)となるように処理される。内側接着面は、試料中の沈
殿物が内側接着面に付着するように処理される。内側接着面は、1つ又は複数の接着物質
により処理され得るか、又は粗いプラスチック面(rough plastic surface)を含み得る
【0234】
円筒形の試料容器70をその軸周りにスピンさせ、したがって液体を回転させることに
より、容器部72内の試料を分離又は精製する分離又は精製プロセスを実行することがで
きる。試料中の沈殿物は、こうして容器の回転から生じる力により接着面の方へ押されて
当該接着面に付着する。
【0235】
上容器部72及び下側底部74は、取付け機構により相互に着脱可能である。いくつか
の実施形態では、下側底部74は、捻ることにより上容器部72に着脱可能である。ロッ
クされるように構成された任意の適当な取付け機構、例えばねじ締結又はバヨネット締結
を用いてもよい。いくつかの実施形態では、ルアーロック型システムが上部と底部との間
に設けられて、上容器部に対する底部のロック及びロック解除を可能にする。
【0236】
図15、特に図15(j)及び図15(k)にさらに詳細に示すように、取付け機構は
プラグ・ソケット機構を含む。底部は、先細であり得るねじ部材を有し、上容器は、ねじ
部材を受けるようなサイズの対応するねじ開口を有する。底部は、ねじが上容器72の開
口と位置合わせされるように底部74を位置決めし、ねじを開口に部分的に挿入した後に
底部を回転させて上容器に固定することにより取り付けることができる。
【0237】
いくつかの実施形態では、複数のプラスチックタブが容器70の周囲にリング状に設け
られ、下側底部74を上容器部72に接合する。プラスチックタブは破断可能である。プ
ラスチックタブは、容器の最初の使用前は下側底部74を上容器に固定している。破断し
ていないプラスチックタブは、容器が未使用であることをユーザに示すものでもある。
【0238】
容器は、上部72と底部74との間に開閉弁機構80も有する。弁機構80は、上部7
2と底部74との間の開口部と、開口部を閉じる可動部材とを含む。弁機構は、液体を上
容器72から底容器74へ移動させることができる開放構成と、上容器部72から底部7
4への液体の移動が防止される閉鎖構成との間で移動するように動作可能である。使用の
際に、開放構成では、上容器部72内の採取試料が試験のために底部80の複数の試料室
に分配される。
【0239】
図12(a)は、取外し可能な底部の第1実施形態を示す。図12(b)は、取外し可
能な底部の第2実施形態を示す。特に、図12(a)及び図12(b)は、上容器部72
からの採取試料を底部74の複数の試料室に分配する分配機構の異なる実施形態を示す。
【0240】
図12(a)及び図12(b)の第1及び第2底部の両方が、複数の試料セルを有する
。使用の際には、各試料セルに異なる被験抗生物質が設けられる。試料液は、このときデ
ィスクの中央に位置決めされた開口部において各試料セルに導入され、試料セルへ運ばれ
る。各試料セル内の試料は、続いて検出装置を用いて試験される。
【0241】
いくつかの実施形態では、底部の開口は弁機構の開口である。いくつかの実施形態では
、底部74及び上容器72の弁機構は、底部74が取り付けられると底部74の開口が弁
機構の開口と位置合わせされるように構成される。
【0242】
図12(a)は、複数の分割壁により、それぞれが試料セルを提供する複数のセグメン
トに分割されたディスクを示す。図12(b)は、ディスクの外縁にある複数の試料セル
を示し、各試料セルは、液体を入口から試料セルへ運ぶ関連チャネルを有する。
【0243】
図13は、いくつかの実施形態による弁機構を示す。図13(a)は、開放構成の弁機
構を示し、図13(b)は、閉鎖構成の弁機構を示す。弁機構は、開口部92と中心軸周
りに回転可能な可動部材90とを有する。いくつかの実施形態では、2つ以上の独立可動
部材が設けられる。いくつかの実施形態では、開口部は底部又は上容器の一方に設けられ
、部材は底部又は上容器の他方の一部として設けられる。他の実施形態では、開口部及び
可動部材の両方が底部又は上容器の一部として設けられる。
【0244】
図13(a)に示すように、可動部材は、開口部92を覆うように可動である2つのアー
ムを有する。図13(b)は、閉鎖構成の弁機構を示す。図15は、弁機構のさらに他の
図を示す。
【0245】
いくつかの実施形態では、弁機構は取付け機構から独立しており、2つの部分間に液体
を流すことを可能にするのとは無関係に2つの部分を相互に固定且つロックすることがで
きる。
【0246】
他の実施形態では、弁機構は取付け機構により起動される。
【0247】
いくつかの実施形態では、弁機構及び取付け機構は、いずれも上容器及び底部の1つ又
は複数の(one or more of:一方又は両方の)同じ運動又は作用により起動される。図1
1~図15を参照して説明した実施形態では、別個の底部74及び上容器72が底部74
を位置合わせし捻ることにより相互に取り付けられる。底部のねじを上容器の対応する開
口内で回転させると、弁機構、この実施形態では上容器の一部が起動される。底部のねじ
は、それにより弁機構に結合して、底部のさらなる回転により弁機構の可動アームが動く
ようになる。このように、底部を上容器に固定すると弁機構が開く。
【0248】
いくつかの実施形態では、取付け機構は弁機構に結合される。いくつかの実施形態では
、弁機構は、上容器72からの底部74の離脱に応じて閉鎖構成から開放構成に移動し、
弁機構は、上容器72への底部74の取り付けに応じて閉鎖構成から開放構成に移動する
【0249】
さらに他の実施形態では、上容器内及び底部内の少なくとも一方の流体に圧力を加える
ことにより上容器72と底部74との間の液体の流れを制御する付加的な圧力手段が設け
られる。例えば、負圧を加えて液体を複数の試料室へ移動させることができる。
【0250】
いくつかの実施形態では、底部を取り外したときに上容器が直立できるように、支持手
段、例えば裾板(skirting)が設けられる。いくつかの実施形態では、支持手段はスカー
ト又はスタンドである。いくつかの実施形態では、スカートは、底部が取り付けられると
スカートに嵌まるようなサイズである。
【0251】
弁機構は、種々の方法で実施され得る。いくつかの実施形態では、閉鎖構成時に開口部
を完全に覆うサイズの1つ又は複数の閉鎖部材が設けられる。任意の適当な弁機構を用い
てもよい。
【0252】
使用の際には、液体試料を上採取部72に入れ、弁機構及び分配機構を介して底部74
の試料室に分配する。続いて、底部74を上部72に対して第1方向に(例えば、反時計
方向に)捻ることにより、底部74を上部72から取り外す。続いて、実質的に上述した
ような単一の検出室、結合機構、及び駆動設備を有する検出器装置内に、分離した底部7
4を配置する。底部の各試料室が連続的に検出室との結合位置になるように、分離した底
部をその軸周りに回転させることにより試料室を移動させる。
【0253】
底部74の取り外しの後に、さらに別の底部を同じ上採取部に取り付けて、上採取部に
収容された採取試料の残りの試料を得ることができる。代替的に、底部74自体を再度取
り付けて残りの試料を得てもよい。
【0254】
図14(a)及び図14(b)において、底部の試料室をいくつかの実施形態による単
一の検出室内に示す。
【0255】
図14(a)は、球状の検出室114内の球状の試料室112を示す。図14(b)も、
球状の検出室114内の球状の試料室112を示す。図14(a)では、外側の検出室1
14のみが光積分容積である。図14(b)では、内側の試料室112及び外側の検出室
114の両方が光積分容積である。図14(b)では、光検出器を保護するためにバッフ
ルが設けられる。
【0256】
図14(a)及び図14(b)は、検出室に入って試料室内の試料により散乱されるレ
ーザ光を示す。図14(a)及び図14(b)は、光検出器の異なる位置を示す。
【0257】
いくつかの実施形態では、図14(a)に示すように、内側の試料室112は、反射材
料でコーティングされ、光積分容積として働く(acts a light integrating volume)。
光を内側の試料室112から出す開口が設けられる。いくつかの実施形態では、内側の試
料室の開口は、外側の検出室114の内面に設けられた光検出器と整列する。
【0258】
いくつかの実施形態では、図14(b)に示すように、内側の試料室112は少なくと
も部分的に透明である。散乱光は、内側の試料室112の部分的に透明な面を通して試料
室112から出る。外側の検出室は、光積分容積として働く。これらの実施形態では、バ
ッフルがフォトダイオードの所に設けられる。
【0259】
図14には球状の幾何学的形状を示すが、任意の形状の光積分室が用いられ得る。例え
ば、上述の直方体形状及びL字形の実施形態が用いられ得る。
【0260】
任意の適当な速度を用いて、試料カセットの試料室を連続的に検出室との結合位置にす
ることができる。例えば、検出装置内の試料カセットに典型的な回転速度は480rpm
である。480rpmで回転する8個の試料室を有する試料カセットでは、各試料室が検
出室に結合されて毎秒1回の読取り速度で読み取られる。さらに他の制御及び読出しエレ
クトロニクスを回転速度と同期させて、各試料室の連続読取りを実行できるようにする。
【0261】
上記実施形態では、カセット及び底部を円筒形又はディスク形で図示しているが、他の
幾何学的形状が可能である。例えば、試料室を直列にした線形システムが設けられ得る。
【0262】
図16は、検出装置を試料容器と共に用いる方法を示すフローチャートである。図16
は、尿試料を用いる方法を対象とするが、同じ又は同様の方法を用いて他の試料を試験し
てもよい。
【0263】
第1ステップにおいて、患者試料を採取する。この実施形態では、試料は中間尿検体(
MSU)である。検体は続いて直ちに検査すべきである。
【0264】
第2ステップの清澄化(clarification)ステップにおいて、試料容器内の試料をその
軸上でスピンさせる。試料中のタンパク質及び細胞がトラップされて接着内面に付着する
。細胞及び細菌は下面で弾かれる。
【0265】
第3ステップにおいて、検出装置を用いた試験のために複数の試料を試料カセットに導
入する。特に、試料カセットへの入口を手動で又は装置により開くことにより、液体を試
料カセットの複数の試料室に導入する。
【0266】
第4ステップにおいて、インキュベーション及び読み値の取得を含む試験プロセスを実
行する。試験は、通常は最長30分間実行される。
【0267】
第5ステップにおいて、試験プロセスから得られた読み値に基づいて分析プロセスを実
行する。分析プロセスは、得られた読み値に基づいて株が試料室内の抗生物質又は他の作
用物質に対して感受性か耐性かを決定することを含む。試料が抗生物質又は他の作用物質
に対して感受性か耐性かの決定は、S結果又はR結果の取得と称し得る。試料がS結果か
R結果かの決定は、読み値を閾値基準と比較することを含み得る。
【0268】
第1例として、試料が50%阻害を示さない場合、試料は30分後にRと判定される。
いくつかの実施形態では、分析プロセスは感受性結果の提供を含む。
【0269】
フローチャートは、結果を医療従事者に報告することを含む次にステップも有する。
【0270】
最終ステップは、既存の医療廃棄物システムに検体を廃棄することを含む。総細菌数は
ほとんど変わらないので、全物質を医療廃棄物として廃棄することができる。
【0271】
当業者には、本発明から逸脱することなく本明細書に記載の構成(enclosed arrangeme
nt)の変形が可能であることが理解されよう。したがって、特定の実施形態の上記説明は
例として行ったものにすぎず、限定を目的としたものではない。当業者には明らかなよう
に、記載された動作を大幅に変えることなく僅かな変更を行うことができる。
図1
図2
図3
図4
図5-1】
図5-2】
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15a
図15b
図15c
図15d
図15e
図15f
図15g
図15h
図15i
図15j
図15k
図16
【手続補正書】
【提出日】2023-04-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子を含む複数の液体試料を分析するシステムにおいて、
複数の試料室と、検出室と、前記複数の試料室のうち1つの試料室を前記検出室と結合構成にするように動作可能であり、前記結合構成において該装置が前記試料室と前記検出室との間の光路を備えるようにする結合機構とを備え、
各試料室は、
前記複数の液体試料のうち1つの試料を収納する試料空間と、
前記試料との相互作用のための前記試料室への光の入力用の光入力部と、
前記試料室が前記検出室と結合構成にあるときに光を前記試料室から前記光路を介して前記検出室へ伝えるように配置された出射開口と
を含み、前記検出室は、
前記試料室が前記検出室と前記結合構成にあるときに前記光路から光を受光する入力開口と、
被検出光を検出する検出器又は受光する検出器開口と
を含み、前記試料室及び前記検出室は、少なくとも1つの光積分容積を含み、前記試料室は、動作の際に前記液体試料が前記試料室内にあり前記検出室から隔離されるように構成されるシステム。
【請求項2】
請求項に記載のシステムにおいて、前記結合機構は、各試料室を前記検出室と順次に前記結合構成にするように動作可能であるシステム。
【請求項3】
請求項又はに記載のシステムにおいて、前記結合機構は、任意に前記試料室を回転させるように動作可能であり、前記結合機構はカルーセル機構を含むシステム。
【請求項4】
請求項のいずれか1項に記載のシステムにおいて、任意に前記結合機構を駆動するように配置された駆動設備をさらに備え、該駆動設備は機械的又は電気機械的手段を含むシステム。
【請求項5】
液体試料中の粒子を検出する方法であって、試料との相互作用のために試料室に光を入力するステップであり、前記試料室は、前記試料により散乱された実質的に全部の光を別個の検出室へ指向させる積分容積であるか又は積分容積を含むか又は積分容積の一部を形成するステップと、前記検出室で前記試料室から受光した光を検出して、前記液体試料中の粒子の存在及び/又は量を表す測定値を得るステップとを含む方法。
【請求項6】
請求項に記載の方法において、複数の異なる時点で前記光を入力するステップ及び前記測定値を得るステップを繰り返し、それにより、前記試料中の粒子の特性の変化を時間の関数として且つ/又は前記試料の処理の関数として求めるステップをさらに含む方法。
【請求項7】
請求項又はに記載の方法において、
a)前記粒子は微生物を含む、又は
b)前記試料は、血液、血漿、尿、水、細菌増殖液、脳脊髄液(CSF)、膿、又は関節吸引液の少なくとも1つを含む
の少なくとも一方である方法。
【請求項8】
少なくとも1つの反射壁と、光の出入り用の少なくとも1つの開口とを備えたキュベット又は他の取外し可能な試料容器であって、光積分容積を提供するキュベット又は他の取外し可能な試料容器。
【請求項9】
1つ又は複数の検出器及び/又は検出室と共に用いられる試料容器であって、
液体試料を収容する収容部と、
複数の試料室を含む試料カセットと、
収容された前記液体試料を前記収容部から前記複数の試料室に分配する液体分配機構と
を備え、前記複数の試料室のそれぞれは、前記1つ又は複数の検出器及び/又は検出室と結合構成にされるように構成される試料容器。
【外国語明細書】