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特開2023-103259情報処理装置、データ同期プログラム、データ同期方法、データ同期システム及び端末装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103259
(43)【公開日】2023-07-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、データ同期プログラム、データ同期方法、データ同期システム及び端末装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 67/1095 20220101AFI20230719BHJP
   H04L 67/131 20220101ALI20230719BHJP
   G06T 19/20 20110101ALI20230719BHJP
   A63F 13/70 20140101ALI20230719BHJP
   A63F 13/60 20140101ALI20230719BHJP
   A63F 13/35 20140101ALI20230719BHJP
【FI】
H04L67/1095
H04L67/131
G06T19/20
A63F13/70
A63F13/60
A63F13/35
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069164
(22)【出願日】2023-04-20
(62)【分割の表示】P 2022555956の分割
【原出願日】2022-06-14
(31)【優先権主張番号】P 2021098419
(32)【優先日】2021-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYTHON
2.TWITTER
3.FACEBOOK
(71)【出願人】
【識別番号】308020799
【氏名又は名称】株式会社ソフトギア
(74)【代理人】
【識別番号】100180758
【弁理士】
【氏名又は名称】荒木 利之
(72)【発明者】
【氏名】青木 健悟
(72)【発明者】
【氏名】宮永 直樹
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複数のユーザ端末のデータを同期する状況において、処理負担や通信負担の増加を抑制する情報処理装置、データ同期プログラム、データ同期方法、データ同期システム及び端末装置を提供する。
【解決手段】サーバ装置1は、仮想空間に参加する複数のクライアントとネットワークで接続され、仮想空間の同期対象オブジェクトは当該オブジェクトの所有権を有するクライアントと所有権を有しないクライアントから構成される同期グループのクライアント間で同期されるものであり、オブジェクトの所有権を有するクライアントから当該同期対象オブジェクトの差分を受信するデータ受信手段104と、メモリ12に格納され、差分により同期対象オブジェクトを複製した複数のレプリカを更新するデータ更新手段107と、差分を複数のクライアントのうち所有権を有するクライアント以外へ送信するデータ送信手段105と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の仮想空間に参加する複数のクライアントとネットワークで接続された情報処理装置であって、
前記仮想空間の同期対象オブジェクトは同期グループのクライアント間で同期されるものであり、当該同期対象オブジェクトは、仮想空間を構成するコンテンツを再現するための地形情報を含むものであって、
前記同期グループのクライアントから当該同期対象オブジェクトの変更内容情報を受信する受信手段と、
前記変更内容情報により、前記同期対象オブジェクトを複製した複製オブジェクトを更新する更新手段と、
前記変更内容情報を前記同期グループのクライアントへ送信する送信手段とを有する情報処理装置。
【請求項2】
前記地形情報の編集権を有するクライアントからの操作内容に基づいて前記地形情報を編集する編集手段としてさらに機能させる請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記仮想空間の前記同期対象オブジェクトを含むオブジェクトに対応した識別子を発行する地形情報管理手段としてさらに機能させる請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記識別子は、前記クライアントが前記仮想空間のコンテンツへのアクセスに用いられる請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記仮想空間のコンテンツへのアクセスは、前記クライアントの前記仮想空間への参加である請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記仮想空間のコンテンツへのアクセスは、前記クライアントの前記コンテンツの編集である請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記仮想空間のコンテンツへのアクセスは、前記クライアントにおける前記仮想空間への参加のためのプログラムの起動である請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記仮想空間のコンテンツへのアクセスは、前記クライアントにおける前記コンテンツの編集のためのウェブサイトへのアクセスであって、当該ウェブサイトへのアクセスのためのウェブブラウザの起動である請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記クライアントが1以上の前記同期グループに属する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記同期グループは、前記同期対象オブジェクトのうち互いのユーザ情報の同期を行うクライアントから構成される請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記同期対象オブジェクトのうち前記地形情報に対応する同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントは、サーバ上のダミークライアントである請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
仮想空間に参加する複数のクライアントとネットワークで接続されたコンピュータを機能させるためのデータ同期プログラムであって、
前記仮想空間の同期対象オブジェクトは同期グループのクライアント間で同期されるものであり、当該同期対象オブジェクトは、仮想空間を構成するコンテンツを再現するための地形情報を含むものであって、
同期グループのクライアントから当該同期対象オブジェクトの変更内容情報を受信する受信手段と、
前記変更内容情報により、前記同期対象オブジェクトを複製した複製オブジェクトを更新する更新手段と、
前記変更内容情報を前記同期グループのクライアントへ送信する送信手段として機能させるためのデータ同期プログラム。
【請求項13】
仮想空間に参加する複数のクライアントと、
前記複数のクライアントとネットワークで接続された情報処理装置であって、
前記仮想空間の同期対象オブジェクトは同期グループのクライアント間で同期されるものであり、当該同期対象オブジェクトは、仮想空間を構成するコンテンツを再現するための地形情報を含むものであって、
同期グループのクライアントから当該同期対象オブジェクトの変更内容情報を受信する受信手段と、
前記変更内容情報により、前記同期対象オブジェクトを複製した複製オブジェクトを更新する更新手段と、
前記変更内容情報を前記同期グループのクライアントへ送信する送信手段とを有する情報処理装置とを備えたデータ同期システム。
【請求項14】
前記複数のクライアントは、前記同期対象オブジェクトの変更内容情報として変更前の前記同期対象オブジェクトとの差分を前記情報処理装置に送信する請求項13に記載のデータ同期システム。
【請求項15】
情報処理装置を介して他のクライアントとネットワークで接続される、仮想空間に参加するクライアントとしての端末装置であって、
前記仮想空間の同期対象オブジェクトは同期グループのクライアント間で同期されるものであり、当該同期対象オブジェクトは、仮想空間を構成するコンテンツを再現するための地形情報を含むものであって、
当該同期対象オブジェクトの変更内容情報を、前記情報処理装置を介して受信する受信手段と、
前記変更内容情報により、前記同期対象オブジェクトを複製した複製オブジェクトを更新する更新手段と、
前記変更内容情報を前記同期グループのクライアントへ送信する送信手段とを有し、前記情報処理装置と通信可能に接続されるクライアントとしての端末装置。
【請求項16】
情報処理装置を介して他のクライアントとネットワークで接続される、仮想空間に参加するクライアントとしての端末装置であって、
前記仮想空間の同期対象オブジェクトは同期グループのクライアント間で同期されるものであり、当該同期対象オブジェクトは、仮想空間を構成するコンテンツを再現するための地形情報を含むものであって、
同期対象オブジェクトを複製した複製オブジェクトが自己クライアントにおいて更新された場合、
当該前記変更内容情報を前記情報処理装置へ送信する送信手段とを有し、前記情報処理装置と通信可能に接続されるクライアントとしての端末装置。
【請求項17】
前記同期対象オブジェクトの変更内容情報として変更前の前記同期対象オブジェクトとの差分を前記情報処理装置に送信する請求項15又は16に記載のクライアントとしての端末装置。
【請求項18】
前記情報処理装置により発行された識別子により前記仮想空間へのアクセス及び前記仮想空間を構成するコンテンツを再現するための地形情報の編集ウェブサイトへアクセスする請求項15又は16に記載の端末装置。
【請求項19】
1以上の仮想空間に参加する複数のクライアントとネットワークで接続された仮想空間管理提供装置であって、
前記仮想空間の同期対象オブジェクトは同期グループのクライアント間で同期されるものであり、当該同期対象オブジェクトは、仮想空間を構成するコンテンツを再現するための地形情報を含むものであって、
前記同期グループのクライアントから当該同期対象オブジェクトの変更内容情報を受信する受信手段と、
前記変更内容情報により、前記同期対象オブジェクトを複製した複製オブジェクトを更新する更新手段と、
前記変更内容情報を前記同期グループのクライアントへ送信する送信手段とを有する仮想空間管理提供装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、データ同期プログラム、データ同期方法、データ同期システム及び端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、ユーザ端末のユーザオブジェクトとシミュレータのシミュレート対象とを同期する情報処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示された情報処理装置は、予め定められたシミュレート対象の挙動をシミュレートする個別シミュレータと、ユーザから入力される指示に従ってユーザオブジェクトの挙動を決定するユーザ端末と接続され、情報処理装置はユーザオブジェクト及びシミュレート対象のコピーを保持し、ユーザ端末は、予め定めたタイミング決定ルールに基づいて定められる同期タイミングごとに、シミュレート対象の情報を、情報処理装置を介して個別シミュレータから取得し、同期タイミング外の時点で、最後に取得したシミュレート対象の情報に基づいて、シミュレート対象の挙動を予測し、その予測の結果をユーザに提示する。このような構成において、処理負担や通信負担を軽減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-185446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の情報処理装置は、ユーザオブジェクト及びシミュレート対象のコピーを保持し、ユーザオブジェクトの視野範囲に含まれるシミュレート対象のコピーをユーザ端末に送信するため、処理負担や通信負担を軽減するものの、情報処理装置においてシミュレート対象の衝突判定を行い、相互作用を実施するように対応するシミュレータに通知するものであるため、当該判定のために情報処理装置の処理負担があるし、シミュレータに対してはユーザオブジェクト及び他のシミュレート対象のコピーを送信しないものであるため、複数のユーザ端末が参加する構成において複数のユーザ端末のデータを同期する状況にはそのまま適用できない、という問題がある。この問題は、特に非常に多くのユーザ端末が参加したり、さらに途中参加や途中退出が自由でユーザ端末が随時入れ替わったりするようなメタバースや多人数参加型ゲーム(MMOG:Massively Multiplayer Online Game)では顕在化する。
【0006】
従って本発明の目的は、複数のユーザ端末が参加する構成であって、複数のユーザ端末のデータを同期する状況において、処理負担や通信負担の増加を抑制する情報処理装置、データ同期プログラム、データ同期方法、データ同期システム及び端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、上記目的を達成するため、以下の情報処理装置、データ同期プログラム、データ同期方法、データ同期システム及び端末装置を提供する。
【0008】
[1]1以上の仮想空間に参加する複数のクライアントとネットワークで接続された情報処理装置であって、
前記仮想空間の同期対象オブジェクトは同期グループのクライアント間で同期されるものであり、当該同期対象オブジェクトは、仮想空間を構成するコンテンツを再現するための地形情報を含むものであって、
前記同期グループのクライアントから当該同期対象オブジェクトの変更内容情報を受信する受信手段と、
前記変更内容情報により、前記同期対象オブジェクトを複製した複製オブジェクトを更新する更新手段と、
前記変更内容情報を前記同期グループのクライアントへ送信する送信手段とを有する情報処理装置。
[2]前記地形情報の編集権を有するクライアントからの操作内容に基づいて前記地形情報を編集する編集手段としてさらに機能させる前記[1]に記載の情報処理装置。
[3]前記仮想空間の前記同期対象オブジェクトを含むオブジェクトに対応した識別子を発行する地形情報管理手段としてさらに機能させる前記[2]に記載の情報処理装置。
[4]前記識別子は、前記クライアントが前記仮想空間のコンテンツへのアクセスに用いられる前記[3]に記載の情報処理装置。
[5]前記仮想空間のコンテンツへのアクセスは、前記クライアントの前記仮想空間への参加である前記[4]に記載の情報処理装置。
[6]前記仮想空間のコンテンツへのアクセスは、前記クライアントの前記コンテンツの編集である前記[4]に記載の情報処理装置。
[7]前記仮想空間のコンテンツへのアクセスは、前記クライアントにおける前記仮想空間への参加のためのプログラムの起動である前記[5]に記載の情報処理装置。
[8]前記仮想空間のコンテンツへのアクセスは、前記クライアントにおける前記コンテンツの編集のためのウェブサイトへのアクセスであって、当該ウェブサイトへのアクセスのためのウェブブラウザの起動である前記[6]に記載の情報処理装置。
[9]前記クライアントが1以上の前記同期グループに属する前記[1]に記載の情報処理装置。
[10]前記同期グループは、前記同期対象オブジェクトのうち互いのユーザ情報の同期を行うクライアントから構成される前記[1]に記載の情報処理装置。
[11]前記同期対象オブジェクトのうち前記地形情報に対応する同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントは、サーバ上のダミークライアントである前記[10]に記載の情報処理装置。
[12]仮想空間に参加する複数のクライアントとネットワークで接続されたコンピュータを機能させるためのデータ同期プログラムであって、
前記仮想空間の同期対象オブジェクトは同期グループのクライアント間で同期されるものであり、当該同期対象オブジェクトは、仮想空間を構成するコンテンツを再現するための地形情報を含むものであって、
同期グループのクライアントから当該同期対象オブジェクトの変更内容情報を受信する受信手段と、
前記変更内容情報により、前記同期対象オブジェクトを複製した複製オブジェクトを更新する更新手段と、
前記変更内容情報を前記同期グループのクライアントへ送信する送信手段として機能させるためのデータ同期プログラム。
[13]仮想空間に参加する複数のクライアントと、
前記複数のクライアントとネットワークで接続された情報処理装置であって、
前記仮想空間の同期対象オブジェクトは同期グループのクライアント間で同期されるものであり、当該同期対象オブジェクトは、仮想空間を構成するコンテンツを再現するための地形情報を含むものであって、
同期グループのクライアントから当該同期対象オブジェクトの変更内容情報を受信する受信手段と、
前記変更内容情報により、前記同期対象オブジェクトを複製した複製オブジェクトを更新する更新手段と、
前記変更内容情報を前記同期グループのクライアントへ送信する送信手段とを有する情報処理装置とを備えたデータ同期システム。
[14]前記複数のクライアントは、前記同期対象オブジェクトの変更内容情報として変更前の前記同期対象オブジェクトとの差分を前記情報処理装置に送信する前記[13]に記載のデータ同期システム。
[15]情報処理装置を介して他のクライアントとネットワークで接続される、仮想空間に参加するクライアントとしての端末装置であって、
前記仮想空間の同期対象オブジェクトは同期グループのクライアント間で同期されるものであり、当該同期対象オブジェクトは、仮想空間を構成するコンテンツを再現するための地形情報を含むものであって、
当該同期対象オブジェクトの変更内容情報を、前記情報処理装置を介して受信する受信手段と、
前記変更内容情報により、前記同期対象オブジェクトを複製した複製オブジェクトを更新する更新手段と、
前記変更内容情報を前記同期グループのクライアントへ送信する送信手段とを有し、前記情報処理装置と通信可能に接続されるクライアントとしての端末装置。
[16]情報処理装置を介して他のクライアントとネットワークで接続される、仮想空間に参加するクライアントとしての端末装置であって、
前記仮想空間の同期対象オブジェクトは同期グループのクライアント間で同期されるものであり、当該同期対象オブジェクトは、仮想空間を構成するコンテンツを再現するための地形情報を含むものであって、
同期対象オブジェクトを複製した複製オブジェクトが自己クライアントにおいて更新された場合、
当該前記変更内容情報を前記情報処理装置へ送信する送信手段とを有し、前記情報処理装置と通信可能に接続されるクライアントとしての端末装置。
[17]前記同期対象オブジェクトの変更内容情報として変更前の前記同期対象オブジェクトとの差分を前記情報処理装置に送信する前記[15]又は[16]に記載のクライアントとしての端末装置。
[18]前記情報処理装置により発行された識別子により前記仮想空間へのアクセス及び前記仮想空間を構成するコンテンツを再現するための地形情報の編集ウェブサイトへアクセスする前記[15]又は[16]に記載の端末装置。
[19]1以上の仮想空間に参加する複数のクライアントとネットワークで接続された仮想空間管理提供装置であって、
前記仮想空間の同期対象オブジェクトは同期グループのクライアント間で同期されるものであり、当該同期対象オブジェクトは、仮想空間を構成するコンテンツを再現するための地形情報を含むものであって、
前記同期グループのクライアントから当該同期対象オブジェクトの変更内容情報を受信する受信手段と、
前記変更内容情報により、前記同期対象オブジェクトを複製した複製オブジェクトを更新する更新手段と、
前記変更内容情報を前記同期グループのクライアントへ送信する送信手段とを有する仮想空間管理提供装置。
【発明の効果】
【0009】
本願発明によれば、複数のユーザ端末が参加する構成であって、複数のユーザ端末のデータを同期する状況において、処理負担や通信負担の増加を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態に係る同期システムの構成の一例を示す概略図である。
図2図2は、地形情報(エリア)及びルーム(ワールド)の関係を示す概略図である。
図3図3は、実施の形態に係るサーバ装置の構成例を示すブロック図である。
図4図4は、地形情報(エリア管理情報)の構成を示す図である。
図5図5は、ルーム管理情報の構成を示す図である。
図6図6は、あるルームの参加者管理情報の構成を示す図である。
図7図7は、あるエリアのレプリカ管理情報の構成を示す図である。
図8図8は、あるルームのレプリカ管理情報の構成を示す図である。
図9図9は、同期動作の一例を説明するためのフローチャートである。
図10図10は、所有権に基づく同期動作の一例を説明するためのフローチャートである。
図11図11は、途中参加における同期動作の一例を説明するためのフローチャートである。
図12図12は、途中退出における同期動作の一例を説明するためのフローチャートである。
図13図13は、途中退出における同期動作の他の例を説明するためのフローチャートである。
図14図14は、エリア所有者が途中参加した時の同期動作の一例を説明するためのフローチャートである。
図15図15は、エリア所有者が途中参加した時の同期動作の他の例を説明するためのフローチャートである。
図16図16は、エリアごとに管理するエリア情報の同期オブジェクトとルームごとに管理する非エリア情報の同期オブジェクトの同期動作の関係を示す図である。
【0011】
[実施の形態]
本実施の形態における同期システムにおいて、複数の参加者が共通の仮想空間における活動、例えば、メタバースや多人数参加型ゲーム(MMOG:Massively Multiplayer Online Game)が実行される。当該仮想空間には地面、建物、部屋及びこれらに付随する物(家具、時計、ドア等)、さらには当該地面、建物、部屋において提供されるサービス及び当該サービスにおいて実行されるプログラム等が用意されるが、これらは後述する地形情報として管理される。これら仮想空間の地形情報は、仮想空間で行える体験(以後、「ゲーム体験」ということもある)のコンテンツ情報に相当する。本実施の形態では、これらの地形情報もサーバで一元的に管理し、仮想空間に参加する時にサーバより取得することを可能とする。あらかじめ参加者端末にダウンロードや配信をしている場合に比べて、より多くのコンテンツを、より最新の状態で経験することが可能となる。さらに、最新のコンテンツ情報がサーバで管理されるので、参加者がコンテンツの開発や修正に寄与することも可能となる。
【0012】
メタバースや多人数参加型ゲームでは仮想空間において時間の経過とともに、参加者の活動が互いに関連する。複数の参加者によって操作される複数の仮想のキャラクターは、時間の経過に従って対話し、戦闘し、共闘し、協働作業し、あるいはアイテムを集める等の活動を行う。そしてこの活動によってキャラクターは所有するアイテム、戦闘に関する数値や行動についての経験値を増減する。キャラクター間のインタラクションによって、仮想空間での体験を共有し、没入感や一体感を感じる。また、地形情報に含まれる地面、建物、部屋及びこれらに付随する物もキャラクターの操作により変化する(例えば、地面の変形、建物の増築、取り壊し、家具の移動、時計の動作、ドアの開閉等)。
【0013】
このような仮想空間で、クライアント端末では、仮想のキャラクターやアイテム、地形情報による、活動の時間経過による変化の状況が同期して表示され、参加者は同じ仮想空間を体験することができる。言い換えれば、各クライアント間で、仮想のキャラクターやアイテムといった、メタバース又はゲーム上に存在するオブジェクト及び地形情報を同期させる必要がある。
【0014】
特に、メタバースでは、参加者のホームワールド、参加者作成のワールドなど、参加者が自由に作成、修正、カスタマイズできるルーム(ワールド、エリア)が定義できることが多い。お気に入りの趣味の世界観(アニメ、宇宙旅行、猫、ミニゲーム、ダンジョンなど)を表現する個人のルームであったり、ネット販売やショールームや展示会を目的とする企業のルームであったりする。なお、ルーム、ワールド、エリアは仮想空間と同義であることが多いが、本実施の形態では、エリアとルームは仮想空間の全部あるいは一部で体験を共有できる一定の領域に対応する。以後、仮想空間は、本実施の形態が提供される仮想空間の全部(体験共有の場として分割された一定の領域の集合体、あるいは、本実施の形態を利用した仮想空間アプリケーションや仮想空間サービスが提供する仮想空間の全域)を意味することもり、体験共有の場として分割された一定の領域である仮想空間の一部を意味することもある。特に区別する必要がある時は、前者を1以上の仮想空間などと呼ぶこともあり、後者は後述するようにエリアあるいはルームと呼ぶこともある。さまざま制限や都合で、同じコンテンツ(エリアに対応)を体験できる仮想空間(ル―ムに対応)が複数存在することがあり、同じ仮想空間に同時に入場したつもりでも、別の仮想空間(ルーム、参加者にとってはパラレルワールド状態となる)に振り分けられて、同じエリアのコンテンツを体験できるにもかかわらず、その仮想空間(ルーム)の互いに出会えないことがある。本実施の形態では、仮想空間のコンテンツそのものをユニークに存在するエリアと呼び、エリアに参加した参加者が実際に体験する仮想空間を0個以上存在するルームと呼び使い分けることがある。単一の仮想空間(エリア)に参加できる単一の仮想体験の空間(ルーム)しか存在しない場合は、エリアとルームはほぼ同義である。
【0015】
つまり、上記したようなメタバースや多人数参加型ゲームとしてのオンラインゲームや、その他会議システムなどのネットワークアプリケーションにおいては、参加者の端末間で、ドキュメントや動画などのコンテンツ情報を同期させる技術が用いられる。ここで、参加者人数や同期対象のコンテンツ(同期対象オブジェクト。以降、仮想のキャラクターやアイテム、地形情報なども含めて、時間経過による変化の状況を同期させる対象すべてを「同期対象オブジェクト」と呼ぶ。)の数が大きくなると同期に必要なデータ量が増加し、同期の遅れ(ラグ、あるいは、レイテンシ)が増大し、ネットワークアプリケーションとして使用に耐えなくなる。
【0016】
なお、以上のような同期対象オブジェクトは、言い換えれば、エリア情報と非エリア情報の2種類に区別される。エリア情報は、上記説明した地形情報であり、地形にかかわらず仮想空間を構成するコンテンツ(エリア)を再現するのに必要なエリアの属性情報で、同期対象情報を含み、例えば、地面、建物、部屋及びこれらに付随する物で、キャラクターの操作によっても変化してもよい(例えば、地面の変形、建物の増築、取り壊し、家具の移動、時計の動作、ドアの開閉等)。非エリア情報は、エリア情報以外の同期対象情報で、主に参加者の属性情報である。キャラクター、所有するアイテム、戦闘に関する数値や行動についての経験値などである。エリア情報と非エリア情報の区別の境界、同期対象のオブジェクトの指定はゲームデザインによって変更可能である。例えば、エリア情報はエリアのコンテンツの内容を管理し、協働作業の結果が適用されて保持される。一方で、非エリア情報はルーム内で活動するユーザやユーザの所有物の状態を管理し、進行中の作業経過などを保持する(以後、仮想空間で活動するユーザやユーザの所有物の状態などユーザが一義的に管理・運用する情報であるアバター、服装・武器などの装備や持ち物をすべて総称して、ユーザ情報と呼ぶことがある。ユーザ情報をお互いに共有することで、仮想空間(ルーム)の参加者はお互いのアバターの活動を認識、共有できる。)。エリア情報及び非エリア情報は、それぞれの代表的なものが地形情報及びユーザ情報であるが、それらに限定されるものではない。ただし、以降の説明では、主に地形情報とユーザ情報について説明するが、それぞれの説明はエリア情報及び非エリア情報の説明とよみかえることができる。
【0017】
メタバース、MMOG、特にFPS(First-Person Shooter)ゲームなどの世界では、同期の遅れは致命的であり、サービスとして成立しなくなる。そのため、同期対象オブジェクトの数や参加者人数を減らす工夫がなされている。
【0018】
同期対象オブジェクトの数を減らすためには、メタバースやゲーム設計に工夫が必要である。参加人数を減らすために、共有する仮想空間を分割したり、あるいは、人数制限を設定して同じ仮想空間(ルーム、ワールド)を複数用意したりする。ただ、この方法では、参加しているルームが異なる参加者(パラレルワールド状態の参加者)はゲーム体験を共有できない。そのため、ゲーム体験を完全に共有するためには、すべての参加者が同一のルームに参加することが望ましい。
【0019】
単一ルームに収容可能な共有オブジェクトや参加者の数を大きくできれば、ゲーム設計の自由度や参加者のゲーム体験を大きく改善できる。以降、単一ルーム(ワールド)に収容可能な共有オブジェクトや参加者の数を大きくするとともに、同期の遅延を抑制するための同期システムの構成について説明する。また、さらに参加するルームの特定方法、選択方法、共有方法を簡易にするための同期システムについて説明する。さらに地形情報に含まれる地面、建物、部屋及びこれらに付随する物のカスタム(作成、編集、削除など)を容易にするための同期システムについて説明する。
【0020】
(同期システムの構成)
図1は、実施の形態に係る同期システムの構成の一例を示す概略図である。
【0021】
この同期システムは、情報処理装置としてのサーバ装置1と、クライアントとしての端末装置2a、2b、2cとをネットワークによって互いに通信可能に接続することで構成される。装置やネットワークは、クラウドやパソコンやゲーム端末やLANやインターネットであってもよいし、仮想マシンや仮想ネットワークなどであってもよい。
【0022】
サーバ装置1は、サーバ型の情報処理装置であり、操作者の操作する端末装置2a、2b、2cの要求に応じて動作するものであって、本体内に情報を処理するための機能を有するCPU(Central Processing Unit)やHDD(Hard Disk Drive)又はフラッシュメモリ、揮発性メモリ、LANボード(無線/有線)等の電子部品を備える。サーバ装置1は、端末装置2a、2b、2cと通信し、データの送受信を行うことで端末装置2a、2b、2c上で扱うデータの同期を行うものであって、例えば、メタバースサーバ、ゲームサーバ等である。なお、サーバ装置1は、複数のクラスターによって構成してもよく、分散処理を実行するよう構成してもよい。あるいは、クラウド環境において仮想マシンとして構成してもよい。
【0023】
端末装置2a、2b、2cは、端末型の情報処理装置であり、プログラムに基づいて動作するものであって、本体内に情報を処理するための機能を有するCPUやHDD又はフラッシュメモリ等の電子部品を備える。端末装置2a、2b、2cは、例えば、メタバース、MMOG等のプログラムが予めインストールされており、当該プログラムに基づいて動作し、動作の結果としてデータをサーバ装置1に対して逐次出力するとともに、サーバ装置1から他の端末の動作の結果としてのデータを受信して各端末装置2a、2b、2c間で高頻度にオブジェクトを同期するものである。なお、端末装置2は3つの装置で描かれているが単一あるいは2個の装置であってもよいし、4以上の装置で構成してもよく、好ましくは、1000台オーダーの端末装置が接続されるような場合であっても通信可能な構成を提供する。なお、メタバース、MMOG等のプログラムは、独立したアプリケーションであってもよいし、ウェブブラウザ上で動作するプログラムであってもよい。
【0024】
ネットワークは、高速通信が可能な通信ネットワークであり、例えば、インターネット、イントラネットやLAN(Local Area Network)や第5世代移動通信システム(5G)等の有線又は無線の通信網である。
【0025】
一例として、サーバ装置1及び端末装置2a、2b、2cは、メタバース上での活動、ゲームの進行に伴い各装置内でオブジェクトとして保持している情報(同期対象オブジェクト)を、各装置間で同期するために動作し、各装置内のオブジェクトのコピーをレプリカ(複製オブジェクト)として保持し、当該レプリカの所有権を管理しながらレプリカを各装置でコピーして(ターシャリコピーとして)保持するためにレプリカの送受信(リレー)をすることで同期動作の補助を行う。なお、サーバ装置1は実際には同期動作を行っているわけではなく、リレーを行うものであるが、同期のためのリレーのことをより広義に「同期」、この動作のことを「同期動作」、「同期処理」と言う場合がある。また、より具体的には、所有権を有するユーザの端末装置におけるオブジェクトの更新によってのみサーバ装置1のレプリカの内容が更新され、同期動作により所有権を有しない他のユーザの端末装置におけるオブジェクト(ターシャリコピー)が更新される。所有権を有しない他のユーザの端末装置における所有権を有しないオブジェクト(ターシャリコピー)の更新は行われない。以降、サーバ装置1がリレーサーバとなって端末装置2a、2b、2cの間でオブジェクトの同期を行う際の構成、動作の詳細について、実施の形態において具体的に説明する。
【0026】
また、本実施の形態において使用する「オブジェクト」、「クラス」、「フィールド」、「インスタンス」等の語句は、例えば、Java(登録商標)、C++、C#、Python、JavaScript(登録商標)、Ruby等で用いられる同語句と同義で用いられるが、以降、クラス、及びインスタンス化されたクラス(インスタンス)のことを総称して「オブジェクト」と言う場合がある。「クラス」は、プログラムを実行するための処理をまとめたものであり、クラス中には処理を実行するメソッド、メソッドが処理を実行する際に用いる変数としてフィールドが含まれる。オブジェクトは0個以降のフィールドを有し、各フィールドは、単数又は複数のフィールド名、フィールド値を有する。
【0027】
図2は、エリア(地形情報111)、及び、ルーム(ワールド)関係を示す概略図である。
【0028】
エリア情報としての地形情報111a~111cは、メタバース又はゲームの舞台となる地形や建物(及びその付属物)の定義であり、例えば、個人や企業が自由に作成した趣味の世界やビジネスの舞台である。サーバ装置1は利用者の参加希望を受け付けた際に利用者の化身であるアバター4a~4cを希望する地形情報111a~111cに対応するルーム112a~112cに参加させる(以後、仮想空間の全体あるいは一部であるエリアを体験するためのルームに参加することを、単に、「エリアに参加する」と記述することもある。エリアに対応するルームが1個の場合はエリア参加とルーム参加は同義であるが、エリアに対応するルームが複数ある場合は、特定のルームに参加する場合などは、「エリアに参加する」ではなく、厳密に「ルームに参加する」と使いわける場合もある。仮想空間に参加すると、典型的には、「エリア」と「ルーム」の両方に参加することになる。)。サーバ装置1は常にすべてのエリア管理情報、及び、すべてのルーム管理情報、及び、それぞれに対応するレプリカ管理情報114をメモリ上に保持していてもよいが、運用上、参加者が存在するアクティブな管理情報(エリア管理情報、及び、ルーム管理情報、及びレプリカ管理情報)のみ保持することが現実的である。つまり、あるエリアや、あるルームからアバター4a~4cがすべていなくなる(参加者がゼロ人となる)とサーバ装置1は対応する管理情報の設定値を保存して一旦メモリからは削除される。この運用の場合は、エリア管理情報、及び、ルーム管理情報、及び、それぞれに対応するレプリカ管理情報は、それぞれ、エリアへの参加希望を受け付けた際にすでに生成されている対応する管理情報(エリア管理情報、及び、ルーム管理情報、及び、レプリカ管理情報)がサーバ装置1にあれば対応する管理情報に参加させ、もし、生成されている管理情報の一部あるいは全部がなければ、サーバ装置1によりエリア管理情報、及び、ルーム管理情報、及び、レプリカ管理情報を生成(復元)されたそれぞれの管理情報に参加する。また、エリアやルームの削除前に設定値を保存するタイミングだけに限定せず、それぞれの管理情報(エリア管理情報、及び、ルーム管理情報、及び、レプリカ管理情報)が、管理しているオブジェクトの状態の更新結果をエリアやルーム(より厳密にはそれぞれエリア参加者やルーム参加者の有無に相当)の存続にかかわらず永続的に累積するためには、データ管理プログラム110及びエリア管理情報111及びルーム管理情報112が保持するコンテンツに対応するオブジェクトを同期させるために、一定の時間隔で定期的に、それぞれのコンテンツをレプリカ管理情報の変更結果と同期させるために更新するなどして、適宜更新してもよい。なお、例えば、1つのエリア(地形情報111c)に対してルーム112cが生成され、当該ルーム112cに対する参加者数がサーバ装置1のパフォーマンス上、上限に達した場合、エリア(地形情報111c)に対して別のルーム112xが生成される場合がある。その場合でも、ルーム112cと112xの地形情報111cを同期させることで、ルーム112cと112xに参加したアバターは互いの存在が見えなくても、地形情報の変化体験を共有できる。たとえば、互いの存在はわからなくても、ルーム別に作業分担が可能な建築作業や掘削作業などのエリア(地形情報111)の変化結果を共有できるので、ルーム112cと112xに参加したアバターは協働作業が可能となる。ルームの参加者は、エリア管理情報の同期と、非エリア情報の同期(ルーム内のエリア管理情報以外の情報の同期で、たとえば、アバター、オブジェクトなど)の両方を体験する(後述の図16参照)。地形情報111a~111cはエリアIDと呼ばれる識別子で管理され、ルーム112a~112c、112xはルームIDと呼ばれる識別子で管理されるものとする。
【0029】
なお、エリア(地形情報111a~111c)を体験するルームに参加(エリアに参加)するには、各エリア(地形情報111a~111c)にユニークな識別子として例えばURL(Uniform Resource Locator,本実施の形態の文脈では、URI(Uniform Resource Identifier)と読み替えてもよい。)が用いられ、当該URLを端末装置2a、2b、2c…のウェブブラウザに入力することでメタバース又はゲームのためのプログラムが起動し、当該URLに対応したルームへの参加が処理される。指定したエリア(地形情報)に対応するルームがサーバ装置1にまだ存在しない(アクティブでない)、あるいは、指定したエリア(地形情報)に対応するルームがすべて満室である場合は、サーバ装置1が新規に作成するルームに参加し、指定したエリア(地形情報)に対応するルームがサーバ装置1に存在してまだ収容人員(ルーム定員など)に余裕がある場合は当該余裕があるルーム内の一つのルームに途中参加する。さらに、既存参加者からの招待による途中参加など、既存の特定のルーム112a~112c、112xを直接指定して参加するためには、各ルーム112a~112c、112xにユニークなURLを指定できるようにしてもよい。その場合、招待した参加者が退出してしまうなど何らかの理由で参加しようとしたルームが存在しなくなっている場合は、エラーとせずに、対応するエリアに新たなルームを用意して参加するよう処理をしてもよい。
【0030】
また、エリア(地形情報111a~111c)に対してはエリアIDと所有者が定義されており、所有者である利用者は、地形情報111a~111cなどエリアの内容を編集することができる。当該地形情報111a~111cの編集の際にも当該エリア(地形情報111a~111c)にユニークなURLが用いられ、端末装置2a、2b、2c…のウェブブラウザにおいて地形編集のページにアクセスし、当該ページにおいてURLを入力することで対応する地形情報がロードされ、編集が可能となる。なお、ルーム参加の参加時の認証やエリアの地形編集開始時の認証は、既存の様々な認証方法を適用するものとし、端末装置認証であったり、ユーザID/パスワード認証であったりする。従って、所有権は端末装置にユニークに関連付けられているとは限らず、適宜、別の端末から所有者として参加、編集することができる。
【0031】
(サーバ装置の構成)
図3は、実施の形態に係るサーバ装置1の構成例を示すブロック図である。
【0032】
サーバ装置1は、CPU(Central Processing Unit)等から構成され、各部を制御するとともに、各種のプログラムを実行する制御部10と、フラッシュメモリ等の記憶媒体から構成され情報を記憶する記憶部11と、揮発性記録媒体から構成され一時的に情報を記憶するメモリ12と、ネットワークを介して外部と通信する通信部13とを備える。
【0033】
制御部10は、データ同期プログラムとしてのデータ管理プログラム110を実行することで、地形情報管理手段100、地形情報編集手段101、ルーム管理手段102、参加者管理手段103、データ受信手段104、データ送信手段105、レプリカ管理手段106、データ更新手段107等として機能する。
【0034】
地形情報管理手段100は、メタバース又はゲームの舞台となる地形や建物(及びその付属物)である地形情報111を管理する。具体的には、ルームに対する地形情報111のロード、エリアIDの管理、地形情報111に対応する識別子の一例としてURLの発行、地形情報111の更新等を行う。なお、識別子はURLに限られるものではなく、できれば特定のMMOGやメタバースアプリのみで通用するものではなく、オープンな環境で使える汎用的なものが望ましいが、オブジェクトID、オブジェクトのUUID(Universally Unique IDentifier)等であってもよいし、それらの識別子の一部、あるいは、それらの識別子を含む文字列、あるいは、それら識別子や文字列を圧縮やエンコーディングなどの演算結果であるバイト列であってもよい。
【0035】
地形情報編集手段101は、端末装置2a~2cの要求に応じて地形情報111、特に地形データの編集を行う。地形データは、具体的に、地形、建物、これらの付属物であり、地形情報編集手段101は、地形や建物の形状変更や配置変更、地形の付属物の動作内容変更等を行う。また、地形データに付随する操作(例えば、ドアの開け締めなど)を記述するプログラム(スクリプト)の編集も行う。図示しないが、非地形情報についても、例えば、アバターやモンスター、乗り物などの装備、チャット掲示板などについても、地形情報編集手段101と同様に、それぞれに対応する編集手段を提供してもよい。
【0036】
ルーム管理手段102は、通常ルームIDが付与されたルームと呼ばれる共通の仮想空間の生成、一時停止、再開、削除等を行い、これらの動作に応じてルーム管理情報112を管理する。
【0037】
参加者管理手段103は、ルームに参加する参加者に当該参加者のユーザID、当該参加者の端末装置のソケットID等を記録して当該ルームの参加者管理情報113として記憶部11に格納する。単一の仮想空間しか提供しないシステムでは、ルームを区別する必要がないので、ルームIDが不要な場合もある。
【0038】
データ受信手段104は、通信部13を介して端末装置2a、2b、2cからそれぞれが所有する同期対象のデータとして、ゼロ個以上任意個のオブジェクト(地形データも含む。)を受信して複製し、複製オブジェクトとしてレプリカ120a、レプリカ120b、レプリカ120cをメモリ12に格納する。同期対象のデータは、ルーム内にロードされた地形情報111及びルームの参加者、アイテム等のオブジェクトである。エリア管理情報に関する同期オブジェクトはエリア単位で管理(レプリカ管理情報114A)し、非エリア情報に関する同期オブジェクトはルーム単位で管理(レプリカ管理情報114B)する。
【0039】
データ送信手段105は、参加者管理情報113とレプリカ管理情報114A又は114Bの送信ルールに基づいて送信先として定められた端末にレプリカ120a、レプリカ120b、レプリカ120cを、通信部13を介して送信する。
【0040】
レプリカ管理手段106は、レプリカ120a、レプリカ120b、レプリカ120cが生成された際に当該レプリカ120a、レプリカ120b、レプリカ120cのレプリカIDと、当該レプリカIDのレプリカの所有権を有する所有者のユーザID、同期する利用者を示す送信ルール、移譲の可否等のポリシーを記録して、エリア情報のレプリカ及び非エリア情報のレプリカについては、それぞれ、エリア単位でレプリカ管理情報114A及びルーム単位でレプリカ管理情報114Bとして記憶部11に格納する。
【0041】
データ更新手段107は、レプリカ120a、レプリカ120b、レプリカ120cに対応するオブジェクトが更新された場合に、データ受信手段104によってレプリカ管理情報114A又は114Bに基づいて所有権を有するユーザの端末装置からその差分を受信し、対応するレプリカを更新する。なお、差分を受信することがネットワークの情報量を抑制する観点で好ましいが、更新されたオブジェクトそのものを受信してもよい。さらに、データ送信手段105は、参加者管理情報113とレプリカ管理情報114A又は114Bに基づいて送信先として定められた端末に、差分を送る。なお、差分を送信することがネットワークの情報量を抑制する観点で好ましいが、更新されたオブジェクトそのものを送信してもよい。なお、レプリカ管理情報114Aは地形情報111の同期対象オブジェクトの管理に用いられ、レプリカ管理情報114Bはアバター等のキャラクター、アイテム等の非エリア情報の同期対象オブジェクトの管理に用いられる。
【0042】
記憶部11は、制御部10を上述した各手段100-107として動作させるデータ管理プログラム110、地形情報111、ルーム管理情報112、参加者管理情報113、レプリカ管理情報114A及び114B等を記憶する。記憶部は、リレーショナル・データベースやファイルシステムなどを用いる。なお、高速化のために、Redisなどインメモリデータベースを利用、あるいは、併用してもよい。
【0043】
メモリ12は、レプリカ120a、120b、120c…及びその他の情報を一時的に記憶する。
【0044】
なお、端末装置2a、2b、2cは、サーバ装置1と同様の構成に加え、操作部及び表示部を備える。サーバ装置1と構成が共通する部分については説明を省略する。
【0045】
図4は、全エリア(全ての地形情報111)の管理情報の構成を示す図である。
【0046】
地形情報111は、仮想空間であるルームにロードされる地形や建物及びその付属物に関する情報であり、ひとつの仮想空間(エリア)が作成されると、ひとつの地形情報(図4の1行に相当)が作成される。地形情報111は、地形情報を識別するためのエリアIDと、地形や建物の形状や配置、地形の付属物の動作内容等を示す地形データと、エリアが表現している仮想空間を体験するために参加するエリアを指定したり後述する地形情報の編集ページにアクセスしたりするためのURLと、地形情報が更新された日時である更新日時、当該ルームを作成した参加者IDを示す作成者と、当該ルームに対する所有権や編集権を有する参加者IDを示す所有者や編集者と、同期するために当該地形情報のレプリカを送信すべき送信先ルールと、既にルームが作成されている地形情報111を用いて新たなルームを作成する際のルールを規定した新規ルーム作成ルールなどとを有する。なお、作成者や所有者や編集者は複数であってもよい。また、地形情報111の所有者が、編集権を持たないような場合、当該所有者に対して仮の編集権を付与するようにしてもよい。新規ルーム作成ルールは、「参加者2,000人以上」のように条件が定められたものであってもよいし、「参加者の要求に応じる」のように外部からの要求に応じるものであってもよい。エリアIDやURLは、地形情報編集手段101が当該地形情報(1行分)を作成する時に生成される。地形データは、地形情報編集手段101による作成、編集に応じて、さらには、エリア内での参加者が地形情報に影響するような活動結果に応じて、更新される。例えば、当該地形情報についての各種操作権限(作成、消去、編集、参照、所有権移譲)に応じて、作成者(作成のみ)、所有者(作成、消去、編集、参照、所有権移譲すべて可)、編集者(編集と参照のみ可)、参照者(参照のみ可)など、参加者IDを一つあるいは複数指定して管理する。また、URLは例えば、所有者の要求に応じて、URL、そのもの、あるいは、短縮などの操作を加えたURL同等のものを発行し、所有者は、他の参加者、あるいは、当該仮想空間提供サービスを全くしらない人(当該仮想空間提供サービスの未登録者・未利用者で潜在的な新規登録者・新規参加者)に開示することで、当該仮想空間提供サービスの利用者であっても、あるいは、まったく当該仮想空間提供サービスを利用したことがない潜在的な利用者であっても、URLだけで当該所有者が当該仮想空間に参加できるように参加を勧誘できる。ただし、当該仮想空間提供サービスの未登録者については、当該仮想空間への参加の前に、当該仮想空間サービスの登録やダウンロードを伴う場合もある。
【0047】
図5は、ルーム管理情報112の構成を示す図である。
【0048】
ルーム管理情報112は、仮想空間であるルームを識別するためのルームIDと、ルームで展開される地形情報111を示すエリアIDと、ルームに参加するためのURLと、ルームが生成された日時である生成日時などを有する。
【0049】
図6は、参加者管理情報113の構成を示す図である。
【0050】
参加者管理情報113は、仮想空間であるルームごとに作成され、参加者を識別するためのユーザIDと、参加者のユーザ名と、参加者の操作する端末装置及びサーバ装置1のIPアドレス、ポート番号等の送受信に必要な情報を含むソケット(TCPソケットあるいはUDPソケット)のソケットIDと、当該ルームに参加した日時を示す参加日時とを有する。さらに参加者のルーム内での役割、所属グループ、共有オブジェクト更新時の送信、受信する同期対象オブジェクトの選定ルール(距離が近い、視界に入っている)、受信の形式あるいはそのプリファランス(デフォルト)を記述してもよい。
【0051】
図7は、エリアごと管理される地形情報に関する同期対象オブジェクトのレプリカ管理情報114Aの構成を示す図である。
【0052】
地形情報のレプリカ管理情報114Aは、仮想空間(のテンプレート)であるエリアごとに作成され、エリアのアクティブなルームIDのリストと、レプリカを識別するためのレプリカIDと、当該レプリカの所有権を有する参加者IDを示す所有者と、同期するために当該レプリカを送信すべき送信のルールと、当該レプリカの所有権が移転可能か否かを示す移譲とを有する。当該エリアでアクティブな参加者は、ルームIDのリストを参照して、それぞれのルームの参加者管理情報113を参照すれば取得できるが、地形情報のレプリカ管理情報114Aでもアクティブな参加者リストを冗長に保持(ル―ムの参加者管理情報113更新時に同期してこちらも更新する必要がある)してもよい。さらに、移譲できる場合は移転方法のルールや、オブジェクト更新時の送信、受信のデータ形式あるいはそのプリファランスを記述してもよい。なお、送信のルールは、クライアント端末の性能、クライアント端末のネットワーク状況所有権を有するユーザの役割、所属グループによって定義してもよい。地形情報に関するオブジェクト所有者は、本来的に全てエリアの所有者であるのが望ましいが、当該所有者が、常時、当該エリアのルームに参加していると仮定するのは現実的ではない。一般的な利用形態では、地形情報に関する同期オブジェクトの所有者は、全てのレプリカについて、システムなどの特別なユーザ(ダミークライアントなど)とするか、エリアに対応するルームに参加している最古の参加者となる。ダミークライアントを利用する場合は、サーバ装置1又はたのサーバ上にダミークライアントを用意し、当該ダミークライアントを地形情報111の所有者とするようにしてもよい。なお、ここで「ダミークライアント」とは、例えば、サーバ装置1上で動作するものであって、クライアントのソフトウェアの一部又は全部を動作させ、同期グループに参加することで、他の同期グループのクライアントと同期動作を行うものである。ここで、最古の参加者とは、エリアに対応するルームが複数ある場合でも、そのエリアに参加した最初の参加者、あるいは、その最初の参加者など最古の参加者が退出した場合は、次に古くから参加している参加者である。最古の参加者とせずに、所有者を決定すべきときに、参加者IDが一番小さい参加者とするなど、別の方法をとってもよい。ほとんどの地形情報(たとえば、地面の形状情報G1,G2や建物情報B1)は移譲されて維持されるべきであるが、特別な作業マーク(例えばM1)のような移譲される必要がないものが存在してもよい。
【0053】
ダミークライアントが(同期対象オブジェクトの)所有者となる場合は、ダミークライアントは、そのエリアのいずれかのルームがアクティブになった際に起動され、エリア管理情報111より、当該エリア情報を取得し、当該エリアの同期対象オブジェクトについてプライマリを作成して保持する。また、最古の参加者が(同期対象オブジェクトの)所有者となる場合は、参加者がエリアのルームに参加する際に、エリア管理情報111より、当該エリア情報を取得し、当該エリアに他の参加者(その中のひとりが最古の参加者)が存在する場合は、サーバ装置1より当該エリアの同期対象オブジェクトのレプリカを取得して、ターシャリを生成して保持する。もし、エリアのどのルームにも参加者がいない場合(ルームが存在しない場合を含む)、すなわち、当該参加者がエリアのルームの最初の参加者である場合、当該参加者は、当該エリアの最古の参加者となり、エリア管理情報より、当該エリア情報を取得し、当該エリアの同期対象オブジェクトについてプライマリを作成して保持する。
【0054】
図8は、あるルームでの非エリア情報のレプリカ管理情報114Bの構成を示す図である。
【0055】
非エリア情報のレプリカ管理情報114Bは、仮想空間であるルームごとに作成され、レプリカを識別するためのレプリカIDと、当該レプリカの所有権を有する参加者IDを示す所有者と、同期するために当該レプリカを送信すべき送信のルールと、当該レプリカの所有権が移転可能か否かを示す移譲とを有する。さらに、移譲できる場合は移転方法のルールや、オブジェクト更新時の送信、受信のデータ形式あるいはそのプリファランスを記述してもよい。なお、送信のルールは、クライアント端末の性能、クライアント端末のネットワーク状況所有権を有するユーザの役割、所属グループによって定義してもよいし(図8内の「グループα」)、当該オブジェクトに対する距離が近い、視界に入っている等の基準によって定義してもよい(図8内の「距離50以内」)。あるいは、クライアント端末の性能、クライアント端末のネットワーク状況で定義してもよい。当該ルームの参加者は、参加者管理情報113を参照すれば取得できるが、非エリア情報のレプリカ管理情報114Bでも参加者リストを冗長に保持(ル―ムの参加者管理情報113更新時に同期してこちらも更新する必要がある)してもよい。
【0056】
(情報処理装置の動作)
次に、本実施の形態の作用を、(1)基本動作、(2)地形情報編集動作、(3)同期動作、(4)途中参加・退出動作に分けて説明する。
【0057】
(1) 基本動作
複数のユーザが、複数のオブジェクトを同期させて同一の仮想空間(ルーム、ワールド)での体験(メタバース、ゲームプレイ)を共有するために、ある地形情報111(エリア)がロードされた仮想空間(ルーム)に参加する。なお、「(3)同期動作」においては、オブジェクトの同期動作の説明では簡単のため、単一の仮想空間のみを提供するメタバースの例を中心に説明する。複数の仮想空間(ルーム)に同一の地形情報111(エリア)がロードされる場合は、地形情報111の同期動作はメタバース、ゲームのデザイン及びポリシーに基づいて定められる。地形情報111の同期動作の具体例としては、それぞれのルームごとに非エリア情報について同期をとり、さらに、同じエリアに属するルームをまとめて、エリアごとにエリア情報について同期をとればよい(図16参照)。なお、ルーム内で同期動作するアバターやアバターの付属物、又は、それらに関連付けられる同期対象オブジェクトは、ルーム内の参加者端末がそれぞれ自身のアバターなどの所有権を保持するが、同期グループはルーム内の参加者端末ですべての同期対象オブジェクトに同じであるので、図114Bに示すように、ルーム単位で複数のオブジェクトを単一の同期グループで管理すると効率がよい。もちろん単一ではなく複数の同期グループとして管理してもよいし、同期対象オブジェクトごとに管理してもよい。同様のことはエリア内の地形情報についても該当し、図114Aに示すように、エリア単位で複数の地形オブジェクトを単一のエリアグループで管理してもよい。
【0058】
利用者3a、3b、3cは、端末装置2a、2b、2cを操作してメタバースの希望する仮想空間(指定したエリア)に参加するためにサーバに接続するが、参加方法として地形情報111のエリアID毎にユニークに用意されたURLを用いることで所望の部屋やイベント会場等が用意された地形情報111(エリア)に対応するルームに直接参加する。URLからアプリを起動する、特にアプリの特定の状態(仮想空間内の特定の場所、位置。例えばルーム内の椅子の上などの特定の位置に参加者のアバターが座っている状態など)を起動するには、URLスキーム、ディープリンク、Universal Linksなどの手法が利用できる。そのため、アプリを起動した後に、仮想空間内でさまざまな検索や選択や移動を繰り返して、ようやく参加するルームに到達するようなステップが不要である。また、ルームに参加中の参加者が、他の参加者と一緒にルームでの仮想体験を行うために、他の参加者を同じルームに招待するには、自分が参加しているルーム(場合によってはエリア)に対応するURLをメールやメッセージにより共有することで、他の参加者は簡単に同じルームに合流できる。あるいは、展示会などのメタバースにおいて、参加企業は、自社の出展するエリアに対応するURLを、ポスター、パンフレット、名刺、メール、SNS(twitter, facebookなど)などの方法で、顧客に伝えることにより、顧客は他の企業のルームなどに寄り道をすることなく、招待した企業のルームに直接参加することができる。
【0059】
つまり、端末装置2a、2b、2cは、端末上のURLが入力されたブラウザ経由でメタバース用のアプリケーションを起動し、当該アプリケーションはサーバ装置より当該地形情報111(エリア)の地形データ(同期対象外のオブジェクト及びオブジェクトの動作のプログラムやスクリプトも含む)をダウンロードして、さらに、ルームへの参加をサーバ装置1へ要求し、エリア情報及び非エリア情報の同期処理を開始するものとする。なお、地形データのダウンロードの、同期対象情報(位置などのパラメータ)については、データ受信手段104に記述する方法をとる。具体的には、エリアに属する最初のルームの参加者が自身にプライマリコピーを保持してサーバにもレプリカを作成し、それ以降の参加者はサーバのレプリカを取得して自身はターシャリを作成し同期に必要なパラメータ(同期対象オブジェクト)を初期化する。
【0060】
なお、エリア(地形情報111)は仮想空間のコンテンツに相当する。通常のMMOGなどのゲームでは、コンテンツの追加や修正にともない、クライアントプログラムの更新が必要であるが、本実施の形態のように地形情報を都度ダウンロードする構成にすることで、コンテンツの追加や修正にともなうクライアントプログラムの更新は不要となる。特に、膨大なコンテンツ(エリア)を提供するようなメタバースでは、そもそもすべてのコンテンツをクライアントプログラムに含めて保持することは非効率であったり、場合によっては不可能であったりする。一方で、都度ダウンロードする場合は、コンテンツのダウンロード後にようやくルームに参加できるため、ルームの参加の待ち時間が問題となる場合もある。都度ダウンロードせずに、一度ダウンロードしたコンテンツはキャッシュをして、コンテンツの更新がない場合はキャッシュのコンテンツを再利用する、次に利用しそうなコンテンツを予想して先を見越してダウンロードしておくなどの工夫を行ってもよい。
【0061】
サーバ装置1のルーム管理手段102は、端末装置2a、2b、2cから要求を受信すると、ルーム管理情報112を参照して該当するエリアIDに対してルームが用意されているか確認し、ルームが用意されていない場合、又はルームは既に存在するが参加者管理手段103により地形情報111の新規ルーム作成ルールを満たしていると判断された場合(例えば、ルームの参加者が上限に達していると判断された場合)、新たなルームを用意して当該新規ルームに地形情報111をロードして提供する。エリアが複数のルームを提供する場合は、ルーム管理手段102により、1のエリアIDに複数のルームIDが関連付けられ、ルームID毎に参加者管理手段103がルームに参加する参加者を参加者管理情報113で管理し、レプリカ管理手段106がルームで扱われるエリア情報及びエリア情報のレプリカの所有者を、それぞれエリア情報(エリア)のレプリカ管理情報114A又は非エリア情報(ルーム)のレプリカ管理情報114Bで管理する。
【0062】
サーバ装置1の参加者管理手段103は、ルームへの参加要求を受信すると、参加者に対してユーザID、ユーザ名、ソケットID、参加日時とともに記憶部11の当該ルームIDに関連付けられた参加者管理情報113に記録する。
【0063】
なお、ルームへの参加はメタバース及び地形情報111のデザインによって様々な形態が考えられる。本実施の形態は、参加を希望するエリアあるいはルームに対応するURLを指定して、特定のエリア(地形情報)のルーム、あるいはすでに存在している特定のルームに直接参加する形態を想定しているが、本実施の形態は他の形態にも適用できる。仮想空間全体で単一のルームしか提供しない場合(単一の地形情報かつ単一のルーム)は、参加した(ログインなど)ユーザはすべてデフォルトのルームに参加する。仮想空間全体で複数のルームを提供する場合は、参加したユーザは待機所にあたるロビーという特殊なルーム(人数制限があれば複数ロビーが存在する場合もある)に入場した後、目的のルームに移動する形態もある。また、単一のエリア(地形情報)に複数のルームを提供する場合(パラレルワールド)には、ユーザが以前参加していたルームに復帰する形態もある。ルームが新規に作成された場合は、一人でメタバースが開始されてもよいし、参加者が数人集まってから適当なタイミングで開始されてもよい。また、既にルーム内でメタバースが開始されている場合は、参加するユーザは、途中参加として扱われる(後述する「(3)途中参加・退出動作」参照。)。本実施の形態ではルームへの参加方法は特に限定しない。なお、複数のルームが用意される場合は、ルーム管理情報112にて管理する。
【0064】
端末装置2a、2b、2cは、メタバース、ゲームでの活動中は、プログラムの実行に伴い地形情報111、及び複数のオブジェクト(キャラクター、武器、アイテム等)を逐次生成、更新、削除して処理する。サーバ装置1は、端末装置2a、2b、2cにおける地形情報111及びオブジェクト(以降、「同期対象オブジェクト」という。)の同期のためのリレー動作を行う。以下、まず、「(2)地形情報編集動作」において、地形情報111の編集動作について説明し、「(3)同期動作」において、例えば、メタバースでの活動中において、端末装置2a、2b、2cのすべての地形情報111及びオブジェクトが同期された後、端末装置2aにおいて新たな同期対象オブジェクトが生成された場合について、同期動作を説明する。
【0065】
(2)地形情報編集動作
まず、利用者3aは、地形情報111を編集するために端末装置2aを操作し、ウェブブラウザを起動して地形情報編集用のサイトに接続し、ログインする。また、編集対象のエリアIDを指定するため、図4の地形情報111に示したように、当該エリアIDに紐付けられたURLをウェブブラウザのサイトに入力する。ただし、当該地形情報111を編集可能な利用者(編集権を有する利用者)は、図7に示したようにレプリカ管理情報114Aにおいて該当するエリアIDの所有者であるものとするが、エリアIDの所有者と別の利用者に編集権を設定してもよい。
【0066】
サーバ装置1の地形情報編集手段101は、端末装置2aから上記URLによりアクセスを受け付けると、URLに含まれる文字列からエリアIDを特定し、利用者3aのユーザIDと照合し、レプリカ管理情報114Aにおいて所有者であるか確認して、所有者である場合に当該エリアIDに該当する地形データを編集するための画面を端末装置2aに表示制御する。
【0067】
利用者3aは、端末装置2aに表示された画面を確認しつつ、地面、建物、部屋及びこれらに付随する物並びにサービス等を提供するためのプログラム等を編集する。編集内容は端末装置2aからサーバ装置1に送信され、地面、建物、部屋及びこれらに付随する物を編集した場合は、地形情報編集手段101により地形情報111の地形データが更新される。
【0068】
通常、地形情報111の地形データの編集は、地形情報111がロードされていない場合(ルームが存在しない場合)に行われる。なお、メタバース、ゲームのデザイン、ポリシーが許すのであれば、地形情報111の地形データの編集は、地形情報111がロードされている場合(ルームが存在する場合)に行われてもよい。この場合、編集前の地形データと編集後の地形データとの差分は、「(3)同期動作」で説明される同期対象オブジェクトの差分として扱われる。同様にメタバース、ゲームの進行により地形情報が変更された場合は、当該変更による差分を編集対象としている地形情報111に反映される必要があるため、「(3)同期動作」で説明される同期対象オブジェクトの差分として扱われる。なお、地形情報111の編集とは、「(3)同期動作」で説明するプライマリコピーの編集を指すものとする。
【0069】
(3)同期動作
図9は、非エリア情報の同期動作の一例を説明するためのフローチャートである。非エリア情報の同期動作は、非エリア情報のレプリカ管理情報114Bを参照しながら、端末装置は、所有権をもつオブジェクト(プライマリコピー)の変更を、サーバ装置1へ送信し、サーバ装置1は対応するレプリカの更新と、ルーム参加者リストを参照して、送信先ルールに該当する当該オブジェクトの所有権をもたない端末装置へ更新情報を送信し、更新情報を受信したそれぞれの端末装置は所有権をもたないオブジェクト(ターシャリ)を更新することで、実現される。また、エリア情報の同期動作もほぼ同様に実現される。ただし、オブジェクト同期の範囲(ルームとエリアのちがい)とオブジェクトの所有者(エリアの所有者が常にオンラインとは限らない)の選定方法が異なる。同期の対象となる参加者リストは、かならずしも同じルームの参加者とは限らず、同じエリアに複数のルームが存在する場合は、同じエリアに対応しているすべてのルームの参加者となる。従って、エリア情報のレプリカの所有者は同じルームの参加者とは限らない。オブジェクトの本来の所有者はエリアの所有者であるべきだが、かならずしも常にオンラインであるとは限らない。エリアの所有者が当該エリアのルームに参加していない場合、別の参加者を所有者とする必要がある。そのため、所有者は、システム提供の特別なユーザ(ダミークライアントなど)であったり、最も古くから当該エリアのルームの参加者(エリアに対応するルーム参加継続時間が最長の参加者、複数ルームある場合は他のルームの参加者である場合もある)であったりする。エリアの所有者が当該エリアのルームに復帰した場合は、後述の途中退出と同様の手続きで、所有権をエリアの所有者に委譲するようにしてもよい。
【0070】
図16に、エリアには複数のルームが存在する場合のエリア情報の同期処理(レプリカ管理情報114A)と非エリア情報の同期処理(レプリカ管理情報114B)との関係を示す。基本的な同期の仕組み(プライマリコピー、レプリカ、ターシャリ)はすべて同じである。
【0071】
なお図16では、エリアとルームの関係は、エリア内の同期対象クライアントは複数のルームに属し、それぞれが同期動作する複数の端末装置(クライアント)から構成されている包含関係となっているが、本実施の形態の同期動作は、オブジェクトごとに同期グループを定義するので、包含関係のみに限定されない。よって、より一般的には、クライアントは複数の同期対象オブジェクトをもち、それぞれの同期対象オブジェクトは、それぞれ異なるオブジェクトの所有者と同期対象グループを持つより柔軟な構成でも使用できる。具体的には、同期対象のグループを、オブジェクトごとに、パーティ(グループ)、距離、目的などごとに定義し、それぞれのグループは互いに独立であったり、重なり合ったりしてもよい。
【0072】
例えば、ルーム毎に同期を行う場合、同期グループは、同期対象オブジェクトのうち互いのユーザ情報の同期を行うクライアントから構成されることになる。また、エリア毎に同期を行う場合、同期グループは、前記同期対象オブジェクトのうち仮想空間を構成するコンテンツを再現するための地形情報の同期を行うクライアントから構成されることとなる。
【0073】
まず、端末装置2aは、メタバース、ゲームの進行に伴い新たな同期対象オブジェクトとしてのオブジェクトAを生成する(S120a)。次に、端末装置2aは、当該オブジェクトAのプライマリコピーAを生成し(S121a)、サーバ装置1に送信する。なお、プライマリコピーを生成する理由は、オブジェクトAが経時的に変化するものであるため、あるタイミング(予め定めた同期タイミング又は変化が生じたタイミング等)におけるオブジェクトの状態を表すデータとしてプライマリコピーを生成して同期用の情報として扱う。また、プライマリコピーを生成する別の理由は、以後の同期において、経時変化による差分を確認するためにも、直前の同期に使用した情報は必要となる場合がある。一方で、実装によっては、プライマリコピーを作らずに、オブジェクトAを直接同期用の情報として扱い、サーバ装置1に送信してもよい。あるいは、特に複数のオブジェクトから構成される複合オブジェクトにおいては、両者の組み合わせでもよい。以下の説明では、プライマリコピーと同期対象オブジェクトは厳密に区別しない。
【0074】
サーバ装置1のデータ受信手段104は、通信部13を介して端末装置2aから同期対象のデータとしてオブジェクトのプライマリコピーを受信して複製し、セカンダリコピーとしてレプリカAをメモリ12に格納する(S110)。
【0075】
サーバ装置1のレプリカ管理手段106は、レプリカAが生成された際に、例えば、当該レプリカAの所有者「U001」(端末装置2aのユーザ)、送信先ルールとして端末装置2aのユーザ以外である「所有者以外」、移譲の可否「OK」等のポリシーを記録してレプリカ管理情報114A又は114Bを更新して記憶部11に格納する。ポリシーは、オブジェクトの種類ごとに固定で定義(例えば、デフォルトとして、送信先は所有者以外のルーム参加者全員、移譲は不可など)されていてもよいし、端末装置2aがオブジェクトを作成する時に指定したりしてもよいし、所有権を持つ端末装置2aがゲーム進行に応じて随時指定や変更をしてもよいし、送信先の端末装置2bが端末装置2aとは仮想空間上での距離がはなれるなどの理由で一時的に受け取らない指定をしてもよい。
【0076】
次に、サーバ装置1のデータ送信手段105は、レプリカ管理情報114A又は114Bに基づいて送信先として定められたユーザの端末装置2b、2c(必要に応じて参加者管理情報113などを参照して)にレプリカAを、通信部14を介して送信する。
【0077】
端末装置2b、2cは、サーバ装置1からレプリカAを受信して複製し、ターシャリコピーとしてのターシャリAをメモリに格納する(S120b、S120c)。端末装置2b、2cは、当該ターシャリAにより同期されたオブジェクトに基づいてメタバース、ゲームを進行する。なお、後のステップでターシャリの差分更新を行う場合では、メタバース、ゲームの進行によって、ターシャリを直接変更しないような工夫が必要である。もし、メタバース、ゲームの進行に応じた相互作用やラグを低減させるための動き予測で、ターシャリの内容を変更するような場合は、あらかじめメタバース、ゲーム進行用にターシャリのコピーを用いてメタバース、ゲームの進行にともなう操作し、後にサーバ装置1から差分更新情報が送られてきた場合は、ターシャリに差分を適用・更新したターシャリで、メタバース、ゲーム進行用のターシャリのコピーを置き換えて同期させる。瞬時に置き換えると、差分が大きい、あるいは、動きがスムースでない場合は、ターシャリのコピーのフィールド値は、更新後のターシャリのフィールド値に時間をかけてなめらかに一致させるなどして、ユーザ体験を向上してもよい。
【0078】
次に、端末装置2aは、メタバース、ゲームの進行とともにさらにオブジェクトAのフィールド値等を変更してオブジェクトAとする(S122a)。次に、端末装置2aは、当該オブジェクトAに対応させてプライマリコピーを更新(プライマリコピーA)するともに、オブジェクトAに対応するプライマリコピーAとの差分A01を生成し(S123a)、差分A01として変更されたフィールドの更新情報をサーバ装置1に送信する。好ましくは、同期対象オブジェクトのすべてのフィールドのうち、前回同期情報を送信してからの差分がメタバース、ゲームコンテンツに応じて予め定めているスレッシュホールドを超えて十分大きく、同期状態を維持するのには更新が必要なフィールドについてのみ、フィールド名とフィールド値のペアとして、更新が必要なフィールドの個数だけをリスト情報としてまとめて送信する。ゼロ個の場合、送信しない、あるいは、0個の更新として送信する。また、フィールド名が長い場合などは、フィールド名は番号などにコーディングして、データサイズを圧縮するようなデータシリアライゼーション技法を用いても良い。
【0079】
サーバ装置1のデータ受信手段104は、通信部13を介して端末装置2aから差分A01を受信し(S111)、データ更新手段107によりメモリ12のレプリカAをレプリカAに更新する(S112)。
【0080】
次に、サーバ装置1のデータ送信手段105は、レプリカ管理情報114A又は114Bに基づいて送信先として定められた端末装置2b、2cにレプリカAの差分A01を、通信部14を介して送信する。
【0081】
端末装置2b、2cは、サーバ装置1から差分A01を受信し(S121b、S121c)、メモリのターシャリAをターシャリAに更新し(S122b、S122c)、当該ターシャリAにより同期されたオブジェクトに基づいてメタバース、ゲームを進行する。端末装置2a、2b、2cはそれぞれがローカルに保存しているプライマリコピーとターシャリコピーを同期対象オブジェクトの最新状態だと仮定して、それぞれ独立にユーザ操作の処理や物理シミュレーションを行いながらメタバース、ゲームを進行する。その結果、それぞれのプライマリコピーに変更が生じた場合は、S422a及びS423aに相当する処理を行い、差分をサーバ装置1に送信することを繰り返す。
【0082】
なお、上記動作は、所有権を有するユーザID「U001」の端末装置2aがオブジェクトAの生成、変更を行う場合について説明したが、削除も行うことができ、削除された場合は、サーバ装置1に削除した旨を通知して、サーバ装置1が他の端末装置2b、2cに対して削除した旨を通知する。また、上記動作は、所有権を有するユーザID「U001」の端末装置2aがオブジェクトAを1個だけ生成する場合について説明したが、端末装置2a、2b、2cそれぞれが生成するオブジェクトの個数に制限はなく、オブジェクトはそれぞれが2個以上生成してもよいし、1個も生成しなくてもよい。
【0083】
また、端末装置2aは、オブジェクトに変更がない場合はサーバ装置1に通知しないことで通信量を抑制するが、変更がない場合も通知する仕様にしてもよい。また、端末装置2aは、オブジェクトに変更があった場合、差分情報を送信して通信量を抑制するが、フィールドの一部でも変更があった場合、あるいは、変更があってもなくても定期的に、変更のないフィールドも含めてオブジェクト全体を通知する仕様にしてもよい。また、これらの仕様を静的、動的に、同期対象オブジェクトごとに切り替えて通知する仕様にしてもよい。
【0084】
次に、オブジェクトが更新された場合の同期のルールについて説明する。
【0085】
図10は、所有権に基づく同期動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【0086】
端末装置2aのオブジェクトA(S220a、S221a)がレプリカAとしてサーバ装置1で複製され(S210)、サーバ装置1から端末装置2b、2cにターシャリAとして複製された状態(S220b、S220c)を前提とし、その後、端末装置2bにおいてメタバース、ゲームの進行に伴いターシャリAが更新されてターシャリA‘に変化した場合(S221b)、当該ターシャリA0’のオリジナルであるオブジェクトAの所有権は端末装置2aのユーザに定義されているため、端末装置2bによって更新されたターシャリA0’とターシャリAとの差分A00‘(S222b)によってサーバ装置1のレプリカA、他の端末装置2aのオブジェクトA、端末装置2cのターシャリAは更新されない。
【0087】
このようにターシャリA0’による同期の禁止は、ターシャリAとターシャリA‘との差分A00’を端末装置2bがサーバ装置1に送信しないこと(ア)、サーバ装置1が当該差分A00‘(S211)を受信しても同期処理をしない(レプリカに対して更新処理をしないし、更新情報の送信処理もしない)(無視、破棄する)こと(イ)、サーバ装置1が当該差分A00’を自身のレプリカAに適用せずに更新しないで、端末装置2a(及び端末装置2c)に送信しないこと(ウ)、端末装置2aが当該差分A00‘を受信しないこと(受信しても受信処理せずに、無視、破棄、拒否する)(エ)又は端末装置2aが当該差分A00‘を受信しても同期処理をしない(プライマリコピー、ターシャリのいずれに対しても更新処理をしない)こと(オ)のいずれかにより実現される。所有権を有するユーザの端末装置以外でのオブジェクト更新に基づく同期の禁止はア~オのいずれの方法、あるいはそれら1個以上の任意の組み合わせで実現してもよいが、ア~オのうちアを採用することで最もネットワーク通信で送受信される情報量が少なくなり、イ、ウ、エ、オの順で、ネットワーク通信で送受信される情報量が増えていくため、ア~オの順で好ましい構成である。また、ゲームの不正(チート)を防ぐために、サーバ検証は通常行われることが多いので、ア及びイの組み合わせ、又は、ア及びイ及びオの組み合わせが好適な最小構成である。
【0088】
(4)途中参加・退出動作
次に、端末装置2aが途中参加する場合について説明する。端末装置2bがオブジェクトBを生成しているとともに端末装置2bのユーザが当該オブジェクトBの所有権を有し、端末装置2cがオブジェクトCを生成しているとともに端末装置2cのユーザがオブジェクトCの所有権を有していることを前提とする。
【0089】
図11は、途中参加における同期動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【0090】
まず、端末装置2aは、まずルームに参加する。サーバ装置1は参加者管理情報113に端末装置2aに関連付けられたユーザU001の情報を追加する。また、端末装置2aは、途中参加とともに新たなオブジェクトAとして、例えば、新たなキャラクターを生成する(S320a)。次に、端末装置2aは、当該オブジェクトAのプライマリコピーを生成し(S321a)、サーバ装置1に送信する。
【0091】
サーバ装置1のデータ受信手段104は、通信部13を介して端末装置2aから同期対象のデータとしてオブジェクトのプライマリコピーを受信して複製し、セカンダリコピーとしてレプリカAをメモリ12に格納する(S310)。
【0092】
サーバ装置1のレプリカ管理手段106は、レプリカAが生成された際に当該レプリカAの所有者「U001」(端末装置2aのユーザ)、送信先ルールとして「端末装置2aのユーザ以外」、移譲の可否「OK」等のポリシーを記録してレプリカ管理情報114A又は114Bを更新して記憶部11に格納する。
【0093】
次に、サーバ装置1のデータ送信手段105は、レプリカ管理情報114A又は114Bに基づいて送信先として定められた端末装置2b、2cにレプリカAを、通信部14を介して送信する。
【0094】
端末装置2b、2cは、サーバ装置1からレプリカAを受信して複製し、ターシャリコピーとしてターシャリAをメモリに格納する(S320b、S320c)。
【0095】
また、サーバ装置1のデータ送信手段105は、他の端末装置2b、2cのユーザが所有権を有するオブジェクトのレプリカを予め管理しているため(S311)、レプリカ管理情報114A又は114Bに基づいて送信先として定められた端末装置2aにレプリカB、Cを、通信部14を介して送信する。なお、当該送信は、オブジェクトAの同期動作より先に行われるものであってもよい。
【0096】
端末装置2aは、サーバ装置1からレプリカB、Cを受信して複製し、ターシャリコピーとしてターシャリB、Cをメモリに格納する(S322a)。これら一連の動作により、端末装置2aは、端末装置2b、2cと通信することなくサーバ装置1とのみ通信して参加動作が完了する。ここでは、すでに参加していた端末は2台であるが、すでに千台の端末が参加している場合でも、端末装置2aはサーバ装置1とのみ通信することで参加が完了でき、すでに参加済の千台の端末は、それぞれが所有する同期対象オブジェクトを、端末装置2aに通知する必要がなく、端末装置2aが途中参加することによるネットワーク及び各端末装置の負荷は小さい。
【0097】
次に、端末装置2aが途中退出する場合について説明する。ここでは、端末装置2aが所有権を保持しているオブジェクトの存続及び所有権の委譲について、オブジェクトが存続する場合と、オブジェクトが消去される場合について説明する。図示しないが、エリア情報の同期処理において、エリアの所有者がエリアのルームのひとつに参加(復帰)した場合、各エリア情報のオブジェクトについて、エリアの所有者に所有権を委譲する場合も同様の方法となる。その場合は、所有権を保持する端末装置2aは退出することがトリガーとなるのではなく、エリアの所有者端末がエリアのルームに参加したことがトリガーとなり、サーバ装置1から端末装置2aに対し、所有権を委譲/所有しているオブジェクトを破棄するように指示し、それぞれ図12及び図13と類似した動作を行う。
【0098】
図12は、途中退出における同期動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【0099】
端末装置2aはオブジェクトAを生成するとともに(S420a)、更新してオブジェクトAとし(S422a)、端末装置2b、2cにターシャリA、Aがそれぞれ同期された後(S422b、S422c)に退出する(S424a)ものとする。まず、図4に示すように、レプリカ管理情報114A又は114BのレプリカID「A」の移譲項目が「OK」の場合について説明する。ここで、移譲項目が「OK」であるオブジェクトの例としては、ゲーム中で使用されるアイテム等が挙げられるがキャラクター(NPC: Non Playing Character)や敵であってもよい。
【0100】
端末装置2aは、退出をサーバ装置1に要求する。サーバ装置1の参加者管理手段103は、参加者管理情報113から端末装置2aに関連付けられたユーザ情報を削除する。さらに、サーバ装置1のレプリカ管理手段106は、レプリカ管理情報114A又は114Bの移譲項目を確認し、移譲項目が「OK」であれば、次の所有者を端末装置2bのユーザに変更してレプリカ管理情報114A又は114Bの内容を更新するとともに(S413)、端末装置2bに所有権が変更された旨を通知する。
【0101】
端末装置2bは、所有権が端末装置2bに変更された旨の通知をサーバ装置1から受け付けると、記憶していたターシャリAを自己に所有権があるオブジェクトAに変更する(S423b)ことで退出動作が完了する。なお、ここで、退出(S424a)は端末装置2aが明示的にサーバ装置1に通知したが、突然の回線断などで、退出を通知できない場合もある。その場合でも、サーバ装置1が、端末装置2aが切断(ソケットがクローズしたなど)を検出した場合、退出通知を明示的に受信した場合と同様に退出及び所有権の変更処理を完了できる。もし、各端末装置で、ターシャリの所有者を厳密に管理している場合は、図示しないが、サーバ装置1は、所有権を移譲されて、以後、ターシャリをプライマリとして管理する端末装置2b以外の同期動作に参加している残りのすべての端末装置(この場合は端末装置2c)にも、オブジェクトA(ターシャリA)の所有権が端末装置2aから端末装置2bに移譲されたことを通知する。各端末装置は、自身が管理する同期対象オブジェクトが、自身が所有権を持つプライマリであるか、自身が所有権を持たないターシャリであるかだけを管理する場合(ターシャリの所有者を管理しない場合)は、当該オブジェクトの所有権を保持しない端末装置(2c)への通知は必要ではない。ただし、その場合は、サーバ装置1は所有権を持つ端末装置がプライマリを変更した変更情報を受信した時のみに、所有権をもたない端末装置に当該更新情報を送信し、万一、所有権を持たない端末装置がターシャリを変更した変更情報を受信した時は、所有権をもたない端末装置に当該更新情報を送信してはならない。前者は、端末装置が厳密にターシャリの所有者を管理し、チートなどの異常な更新情報へ対応しやすくなるが、途中退出にともなう通信量が増大する。後者はチートなどの異常な更新情報はサーバ装置1での対応に依存するが、途中退出にともない通信量はきわめて少なくなり、膨大な数の端末が同期動作に参加している場合は有効である。同期対象のオブジェクトの種類や端末装置の性能により、個別に前者と後者を選択してもよい。
【0102】
なお、移譲項目が[OK]の場合、どのユーザに移譲するか予め定めておいてもよいし、退出の際に定めてもよいし、参加の日時順に移譲してもよいし、ランダムの割り当ててもよいし、処理能力の高い端末のユーザに割り当ててもよいし、ネットワーク環境のよい端末(帯域が大きい、レイテンシ/RTT(round-trip time)が小さい、通信が安定(RTTが安定して小さい)している)のユーザに割り当ててもよい。
【0103】
次に、レプリカ管理情報114A又は114BのレプリカID「A」の移譲項目が「NG」の場合について説明する。ここで、移譲項目が「NG」であるオブジェクトの例としては、ゲーム中でプレイされるキャラクター(ユーザ自身のアバター)や敵であるが、ゲーム中で使用されるアイテム等であってもよい。
【0104】
図13は、途中退出における同期動作の他の例を説明するためのフローチャートである。
【0105】
端末装置2aは、退出(S524a)をサーバ装置1に要求する。サーバ装置1は、レプリカ管理情報114A又は114Bの移譲項目を確認し、移譲項目が「NG」であれば、当該レプリカAに関する情報を削除して参加者管理情報113及びレプリカ管理情報114A又は114Bの内容を更新(端末装置2aに関連付けられたユーザ情報の削除、端末装置2aに関連付けられたユーザが所有する同期対象オブジェクトの削除)するとともに(S513)、端末装置2b、2cにレプリカAが削除された旨を通知する。
【0106】
端末装置2b、2cは、サーバ装置1からレプリカAが削除された旨の通知を受け付けると、記憶していたターシャリAを削除する(S523b、S523c)ことで退出動作が完了する。
【0107】
図14及び図15は、エリア所有者(エリア情報の編集権を有するユーザ)2cがエリアのいずれかのルームの途中参加(復帰)した場合(S620c、S720c)、エリア情報の同期対象オブジェクトの所有権を回復する場合の実施例を説明するためのフローチャートである。
【0108】
レプリカ管理情報114Aで移譲対象オブジェクトの場合は、図14で示すように、図12とほぼ同様の手順で、オブジェクトの所有権が端末装置2aからエリア所有者の端末装置2cに移譲され、端末装置2aのプライマリはターシャリ(例えばサーバ装置1は端末装置2aに所有権の移譲による所有権の喪失を通知する)となり(S624a)、端末装置2cがプライマリを保持する(S621c)(例えば、サーバ装置1は端末装置2cにレプリカを送信し、さらに所有権の移譲による所有権の取得を通知し(S614)、その結果、端末装置2aはプライマリをターシャリとして保持するようになり、一方、端末装置2cはレプリカを受信しプライマリとして保持する)。図示しないが、ターシャリの所有者を端末でも管理するなどの理由で必要があれば端末装置2bにも所有者の変更を通知する。レプリカ管理情報114Aで移譲対象外オブジェクトの場合は、図15で示すように、図13とほぼ同様の手順で、当該オブジェクトのレプリカは破棄され(S714)、エリアのすべてのルームに参加している参加者の対応するプライマリ及びターシャリも破棄される(S724a、S723b)。
【0109】
(実施の形態の効果)
上記した実施の形態によれば、端末装置2aが他の全ての端末装置2b、2cから同期対象のオブジェクトを受信せずに、サーバ装置1が全ての端末装置で生成されたオブジェクトのレプリカを保存し、端末装置2aがサーバ装置1から同期対象のオブジェクトを受信するようにしたため、複数の端末装置が参加する構成であって、複数の端末装置のデータを互いに同期する状況において、通信負担の増加を抑制することができる。また、サーバ装置1はメタバース、ゲームを進行しないため、処理負担を軽減することができる。その結果、1000ユーザ規模のメタバース、ゲームのオブジェクト同期が可能となる。
【0110】
また、途中参加は、サーバからレプリカを受信してターシャリを作成するのみでよいため、他のクライアントからオブジェクトを受信する必要がなく、通信負担及び処理負担の増加を抑制することができる。
【0111】
また、メタバースのように地形情報111(エリア)が多く存在する場合において、いずれの地形情報111に参加するかをURLによって指定するようにしたため、ルームを意識せずに地形情報111の属するルームに参加(指定したエリアに参加)することができ、さらに他の利用者に対する周知が容易であり共有がしやすい。特に、メタバース、MMOG等のプログラムがウェブブラウザ上で動作するものであれば、当該URLをウェブページ上に埋め込み、ウェブブラウザから参加するようにできる。
【0112】
また、当該地形情報111の編集を同様にURLによってウェブブラウザ経由で行うようにしたため、編集のためのアプリケーションを端末装置2a、2b、2cにインストールする必要がなく、編集開始のための工程を減ずることができる。
【0113】
また、管理情報のうち受信した同期対象オブジェクトの情報のみを参照すれば済み、該当するユーザがみつかるまで権限リストを参照する必要がないため、処理負担が軽減される、という効果を奏する。
【0114】
上記実施の形態では、1000人より少ないユーザ数(例えば、100人や10人)であっても、1000人の場合に比べて処理負担が10分の1、100分の1となるため、従来の方式に比べて処理負担を減少することができ、ひいては低コストで当該発明を用いたサービスを利用者へ提供することができる。
【0115】
例えば、サッカーゲームのボールのようなオブジェクトについて、当該ボールを保持するプレイヤーにボールの所有権を定義するような場合について、ゲームの進行において当該ボールのオブジェクトの所有権が変化するが、オブジェクト毎に所有権を管理しておけば管理情報の更新は一度で済み、複数のユーザの権限リストを確認、更新する必要がないため、処理負担及び通信負担が軽減する。
【0116】
本発明は、ゲームの設計を問わず、どのような設計であっても多人数参加型ゲームにおける同期動作を実行可能なサーバを提供することをさらなる課題としている。
【0117】
本発明は、例えば、同期対象オブジェクトの所有権が多人数で目まぐるしく変わるような設計、同期対象オブジェクトの所有権の数が大きいような設計にも十分耐えられる構成を有しており、現状想定できないような未知の設計を有するゲームにも対応可能な環境を提供することができる。
【0118】
[他の実施の形態]
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々な変形が可能である。
【0119】
なお、上記した実施の形態では、所有権を有するユーザが更新したオブジェクトがサーバ装置1のレプリカを更新し、さらに、同じルームの残りのクライアントへ更新情報を伝搬する構成としたため、メタバース、ゲーム進行における矛盾解決は所有者クライアント優先の矛盾解決となるが、メタバース、ゲームでのアバターは各クライアント自身で所有するメタバース、ゲームデザインであれば、平等を実現できる。所有者クライアント同士の競合はメタバース、ゲームのデザインで解決するものとする。例えば、直接相互関係をもたないようなデザインにするとか、RPC(Remote Procedure Call)のような別のメカニズム、あるいは、別のオブジェクトを介して、相互関係を持つようにして、直接同期対象オブジェクト同士が相互関係を持たないようにデザインすればよい。
【0120】
また、エリア情報に関する同期オブジェクトの所有権は、エリアごとに定義されるので、エリアに複数のルームが存在している場合、同じエリアのすべてのルームに適用され共有される。すなわち、所有権をもつクライアントがエリアの同期対象オブジェクトの状態を更新すると、当該クライアントが参加ルームのエリア情報だけでなく、当該クライアントが参加していない同じエリアに属するルームでも更新される。エリア情報は厳密には特定のクライアント専用のオブジェクトではないので、エリアの所有権を持たないクライアントが更新を行いたい場合も考えられる。エリアの所有権が持たないクライアントが更新を行うためには、同期対象オブジェクトの所有権(プライマリ)を持つクライアントに更新を依頼することになる。依頼方法のひとつの実施例としては、RPCなどのプログラム(スクリプト)を利用する。こうした所有権をもたないオブジェクトの変更を伴うような操作、例えば建物のドアの開け締めは、当該同期対象オブジェクト(この場合はドア)のプログラムとして操作され、そのプログラムを操作すると当該オブジェクトを同期動作するすべてのクライアントで操作が同様に実行され、所有権をもたないクライアントでの操作は失敗するが、所有権を持つクライアントでの操作は成功し、当該オブジェクトの状態が、変化(例えばしまっていたドアが開く)が所有権を持つクライアントのプライマリコピーで起こる。この変化は、オブジェクトの状態変化の同期の仕組みによって、サーバ装置1のレプリカに反映され、引き続き、所有権を持たない同じエリアの各ルームに参加する残りのクライアントのターシャリにも反映される。この仕組みにより、クライアントは所有権を持たないオブジェクトの操作を実現することもできる。ルームをまたがった、エリア内のエリア情報の同期の一例を示したが、同じRPCなどプログラム/スクリプトによる同期方法は、エリアに限定されず、ルーム内の所有権をもたない他人のオブジェクトに対しても行うことも可能である。ただし、この仕組では、複数クライアントが同じオブジェクトの操作を同時に試みた場合は、複数の同様のRPCのリクエストが多数発生するが、通信などの遅延や運も含めて、実行の順序はクライアントによって異なり、しかも、所有権を持つ端末でのどれかひとつだけのクライアントのRPCの動作だけが有効となるので、所有権をもつクライアントが圧倒的に有利で、所有権をもたないクライアント間では、当該クライアントと所有権を持つクライアントとの距離、当該クライアントのCPU性能、当該クライアントが接続しているネットワーク環境などに依存する。そのため、FPSなどタイムクリティカルな操作での同期動作として利用するには、からなずしもフェアとはいえないが、ソーシャルコンテンツのような頻度が少ない変化では十分である。前述したように、同期対象オブジェクトの選定、同期の範囲(エリア全体かルーム内か)、同期の方法(直接的なオブジェクト同期か、RPCなどプログラムを介した間接的な同期か)などは、提供するサービスの機能や性能に大きく影響するので、実現したいサービスの設計(ゲームデザイン)に応じて決定すべきである。
【0121】
また、上記した実施の形態では、クライアント間で同期しながらメタバース、ゲームを進行する手法については、既存技術が適用できるため詳細を省いた。特に世界各地から大人数が参加するような仮想環境では、同期対象オブジェクトに関する情報の伝達に遅延や欠損が生じる可能性がある。そのため情報の伝達には仮想空間の種類(メタバース、ゲームのジャンル)や同期対象オブジェクトの種類に応じて、本実施の形態が提案する手法に加えて、さまざまな一般的な工夫を併用する必要がある。
【0122】
まず、ネットワークの遅延を扱うためには、各クライアントは参加している仮想空間内の仮想空間時刻を同期させて、仮想空間時刻を同期対象オブジェクトに関する通信情報に添付することが多い。
【0123】
ネットワークの遅延を処理するためには、仮想空間内に参加するクライアント個々でメタバース、ゲーム進行にずれを生じさせる同期方法が広く用いられる。つまり、端末装置2a、2b、2cはそれぞれ独立に仮想空間を進行するが、それぞれが進行中の仮想空間内の時刻はわずかに一致しなくなる。もし、端末装置2aと端末装置2bを並べて見ることができたとすると、端末装置2aが端末装置2bに比べて少し仮想空間時刻が進んでいるようなことが起こる(ある事象が端末装置2bで発生した後で、端末装置2aでも発生する)。特に端末装置2aと端末装置2bが地理的に離れて設置されている時、さらに、端末装置2a及び端末装置2bとサーバ装置1とのそれぞれの距離に大きな違いがある時に顕著になる(例えば、サーバ装置1,端末装置2a、及び、端末装置2bが、それぞれ東京、大阪、及び、ニューヨークに存在する場合)。
【0124】
さらに、ネットワークの損失を処理するために、通信プロトコルにより再送が行われることがある。再送により、さらに同期対象オブジェクトに関する情報の伝達が遅延する。
【0125】
また、同期対象オブジェクトに関する情報の送信頻度を減らすために、前述したスレッシュホールドによる処理だけでなく、送信頻度を制限することも広く行われる。仮想空間の進行をフレーム(適当な時間間隔でメタバース、ゲームの状態をサンプリングし、そのサンプリングの頻度で、同期をとる)で管理する場合は、フレームレート(毎秒20回など)によりプライマリコピーを更新する。スレッシュホールドによる更新制御と組み合わせることもある。フレーム管理は、仮想空間共通の各フレーム時刻で、各端末装置が同期をとることである。より具体的には、仮想空間内の特定の共通仮想空間時刻ごとに各クライアントでプライマリコピーが更新(スレッシュホールドなどの条件も必要に応じて考慮する)され、その更新のタイミングで当該フレームのフレーム時刻(仮想空間時刻あるいはフレームの通し番号)を添付して更新情報(差分あるいは全部)としてサーバ装置1に送付する。一方で、各端末装置は、他端末のプライマリコピーの更新情報をそれぞれの更新時のフレーム時刻とともに受信する。端末装置が受信する他端末の更新情報に添付されているフレーム時刻は、遅延がない状態では、最新のプライマリコピーのフレーム時刻と一致する。遅延がある状態では、端末装置の存在場所、ネットワーク環境、あるいは、通信状態の一時的変化などさまざま理由により、端末装置が受信する更新情報に添付されるフレーム時刻はそれぞれを所有する端末装置により異なり、一般的には、端末自身のプライマリコピーのフレーム時刻より古いものとなる。異なるフレーム時刻のプライマリコピーとターシャリコピーに基づいて、メタバース、ゲームを単純に進行すると、端末間での同期の乖離が大きくなる場合がある。そのような場合は、例えば、まず、各端末から受信するフレーム時刻のずれをあらかじめ測定しておき、平均的に一番遅いフレーム時刻を送ってくる端末のフレーム時刻にあわせてメタバース、ゲームを進行するようこともできる。その場合は、数フレーム分の更新情報を端末装置でバッファリングして、同一フレーム時刻のものを組み合わせて、メタバース、ゲームを厳密に進行する。しかし、ラグが0.1秒以上(毎秒20フレームの場合だと2フレーム以上の遅れ)になると、メタバース、ゲームジャンルにもよるが、ユーザ体験が悪くなる。これ以上の詳細は省くが、さまざまな工夫、折衷案を用いて、メタバース、ゲームジャンルに合わせた手法がとられる。モバイル端末などでは、フレームの遅延が動的に大きく変化するので、別の対応も必要でとなる。
【0126】
あるいは、通信路の特質から、仮想空間内の仮想空間時刻情報を添付する場合もある。TCP/IPやRUDP(Reliable UDP)など信頼性のある通信プロトコルを用いている場合は受信する共有オブジェクトの更新情報の仮想空間時間順序の入れ替わりは起こらない。一方で、毎回、同期対象オブジェクト全体を送信して、信頼性を保証しないUDPなどのプロトコルを用いて、通信の欠損を想定し、同期対象オブジェクト全体を更新情報として伝達している場合は、更新情報の到達が一部欠損したり、更新情報の到着がプライマリコピーに添付されていた仮想空間時刻の順にならず、前後したりする場合がある。そのような場合、端末装置は、更新情報に添付されている仮想空間時刻を用いて、受信した情報を入れ替えたり、あるいは、古い更新情報を受信した場合は不要な古い情報は破棄したりなどして、オブジェクトを同期させて、メタバース、ゲームの進行を行う。
【0127】
また、参加者管理情報113は、参加者オブジェクトへのリンクを参加順にリストとして管理するものであってもよい。各リンクの参加者情報から対応する通信に必要な情報を取得してサーバ装置1が端末装置2a、2b、2cと通信を行うものであってもよい。
【0128】
上記実施の形態では制御部10の各手段100~104の機能をプログラムで実現したが、各手段の全て又は一部をASIC等のハードウエアによって実現してもよい。また、上記実施の形態で用いたプログラムをCD-ROM等の記録媒体に記憶して提供することもできる。また、上記実施の形態で説明した上記ステップの入れ替え、削除、追加等は上記実施の形態の要旨を変更しない範囲内で可能である。また、各手段の機能は適宜他の手段に結合してもよいし、複数の手段に分離してもよい。
【0129】
[他の実施の形態2]
互いに同期する端末装置のグループは柔軟に指定することができる。実施の形態及び他の実施の形態では、エリアのエリア情報の同期動作、ルームの非エリア情報の同期操作として説明してきたが、互いに同期する端末装置のグループ(以後、単に「同期グループ」と呼ぶこともある。)はエリア(エリアのすべてのルームの参加者端末)あるいはルーム(ルームの参加者端末)に限定されるものではない。ここでルームの同期グループは、同期対象オブジェクトのうち互いのユーザ情報の同期を行うクライアントからルーム単位に1個以上(図8、114Bは1個の場合)構成され、エリアの同期グループは、同期対象オブジェクトのうち仮想空間を構成するコンテンツを再現するための当該地形情報(エリア)の同期を行うクライアントからエリア単位に1個以上(図7、114Aは1個の場合)構成される。また、それぞれの同期グループは、ルームの場合を例として説明したように、ダイナミックに生成、変更、消滅してよい。グループの管理は、ルーム管理情報や地形管理情報同様、それぞれのグループ管理情報として管理維持される。端末装置は、それぞれのグループのポリシーによって、適宜、1個又は複数個のグループに、参加、退出できる。例えば、あるエリアを指定して仮想体験を体験する場合は、エリアの同期グループとルームの同期グループに参加し、ルームから退出すると、それぞれのエリアの同期グループとルームの同期グループからも退出する。
【0130】
他の実施の形態2として、より汎用的な同期動作の構成方法を示す。ここでは、同期対象のオブジェクト、当該オブジェクトの同期動作に参加する端末装置から構成される同期動作のための端末装置グループ(同期グループ)が同期動作の基本となる。同期対象とするオブジェクトの構成方法、同期動作させる端末装置グループの構成方法により、さまざま同期の利用形態への対応、同期動作の効率化が可能である。
【0131】
(1)同期動作の基本
同期オブジェクトごとに所有者端末と対象のオブジェクトを同期動作させる所有権のない端末とがサーバ装置1と接続通信することでオブジェクトの同期動作が実現される。この場合、同期動作させる端末装置は同期グループを形成している。この端末装置グループ(同期グループ)は、仮想空間に参加するために、サーバ装置1に接続されている端末装置の全部あるいは一部である。
【0132】
個々の同期対象オブジェクトについて同期グループ内での同期動作は、図9図13で説明した通りである。当該オブジェクトの所有する参加者の端末装置が当該オブジェクトのプライマリを保持し、サーバ装置1が当該オブジェクトのレプリカを保持し、当該オブジェクトの所有権をもたない残りの同期グループの参加者の端末装置は当該オブジェクトのターシャリを保持する。プライマリにおける変更情報は、レプリカ、ターシャリに順次適用され、プライマリ、レプリカ、ターシャリは同じ状態に同期する。所有権をもたない参加者の端末装置は、ターシャリを直接変更してはいけないし、万一、ターシャリを変更しても、レプリカやプライマリや他端末のターシャリは変更されない。ターシャリを変更したい所有権をもたない参加者の端末装置は、ターシャリを直接変更せずに、所有権を持つ参加者の端末装置にプライマリの変更を依頼し、もし、所有権をもつ参加者の端末装置が依頼に応じてプライマリを更新すれば、その更新情報がレプリカ、ターシャリと伝搬して、結果的に自身の端末のターシャリも変更される。
【0133】
同期動作は同期対象のオブジェクトごとにレプリカ管理装置が管理、動作する。サーバ装置1は図7及び図8に示すように、同期対象のレプリカごとに、レプリカID、同期動作のための端末装置グループ(同期グループ)(所有者、所有権をもたない参加者、もし必要であれば送信先限定のルール)、移譲に関する情報などを保持する。なお、図7及び図8は、それぞれエリア参加者及びルーム参加者が同期動作のための端末装置グループを構成している場合に該当し、所有権をもたない参加者は、参加者リストから、所有者を除いた参加者となる。図7及び図8は、同期グループの構成端末装置が同じである複数の同期対象オブジェクトをそれぞれエリアあるいはルーム単位でまとめて管理しているが、同期対象オブジェクトを個別に管理しても同様の同期動作となる。ただし、同期グループの構成端末装置が同じである同期対象オブジェクトはまとめて図7及び図8のようにしてまとめて管理する方が、アクティブな同期グループの数を削減できて有利である。
【0134】
(2)同期対象オブジェクトの構成
同期対象とするオブジェクトは、仮想空間でオブジェクトして認識されるオブジェクトであってもよいが、オブジェクトそのものではなく、オブジェクトの同期状態を再現するために必要な位置や姿勢などのオブジェクトのパラメータ(オブジェクトのフィールドの一部やそれらをエンコードしたものなど)に限定したり、同様の挙動をする複数のオブジェクトをグループ化した結合オブジェクトとしたりすることで、実際に同期動作させるオブジェクトの数や内容を削減することで同期動作の負荷を削減することが望ましい。
【0135】
メタバースやMMOGにおいては、アバターやその付属品(服装や装備)、体験のコンテンツ(建物、地形)などに対応するオブジェクトについて、それぞれの状態が利用者の操作や時間経過にともない状態が変化し、同じコンテンツを体験している他の参加者間でそれぞれのオブジェクトの変化を共有(同期)させることより、仮想体験を共有する。同期させるオブジェクトとして、アバターや服装、建物の窓やドアなどがあるが、個々のオブジェクトをばらばらに同期させることはオブジェクトの数が膨大となり、レプリカとしての管理作業の負担(個数、サイズ、通信量など)が大きくなる。同期対象オブジェクトの数の負担を軽減するひとつの方法として、同期させたい個々のオブジェクトについて、オブジェクトを構成するパラメータの内の一部だけを同期させる設計とする。すなわち、アバターを同期させるといっても、アバターの変化しない形状や細部は同期動作させず、位置や姿勢といったパラメータ情報だけを同期動作させれば十分である。また、同期動作させる複数のオブジェクトが意味的に同じように挙動する場合については、それぞれの複数オブジェクトのパラメータの内、同期させたいパラメータ(必要ならさらに結合圧縮などのエンコードをする)のみから構成される単一の同期対象オブジェクトを作成して、管理して、同期動作するとよい。たとえば、アバター本体と、アバターの付属物は、別個の同期対象オブジェクトとして管理せずに、ひとまとまりのオブジェクト群として、パラメータを管理する特別な同期対象オブジェクトとして同期動作させるとよい。利用者のアバターやアバターの付属物については、非エリア情報として、エリアの建物や地表の状態や形状に関する情報については、エリア情報として、ユーザ(アバター)毎、エリア毎に、それぞれの状態を管理するパラメータだけを集めて単一(あるいは少数)の特別な同期対象オブジェクトとしてレプリカ管理情報(同期グループがルームの場合はルームのレプリカ管理情報114b、同期グループエリアの場合エリアのレプリカ管理情報114a)が管理し、個々の非エリア情報やエリア情報の同期動作の対象とするのがよい。
【0136】
さらに、同期対象オブジェクトの設計では、オブジェクトのフィールド(値、パラメータ)を同期(オブジェクトとして同期)させるか、プログラム動作のイベント(トリガー)として同期させるかなど、同期の方法も熟慮する必要がある。値やパラメータは前記のようにオブジェクトとして同期させるが、イベントはオブジェクトの値ではなく、トリガーとなるメッセージを自身の端末装置を含む同期グループに送り、そのトリガーを各端末装置のプログラム(スクリプト)でほぼ同時かつほぼ同様に実行(RPC, Remote Procedure Call)することで、それぞれの端末でクライアントプログラムの実行結果としてほぼ同様な体験が共有される。ここで、ほぼ同時、ほぼ同様ということは、端末間の実行のずれや、端末の内部状態の微妙なずれにより、実行結果が必ずしも完全には同じにならない場合があることを意味する。
【0137】
例えば、アバターのジャンプなどの複雑なアニメーションは位置や姿勢のパラメータ変化を逐一同期操作トリガーのではなく、ジャンプなどのアニメーション再生プロセスなどのイベント受信をトリガーに実行に同期させて、各端末装置で独立に実行する。初期値であるプログラム実行前の仮想空間の環境が、すべての端末装置でほぼ同じであれば、ほぼ同じアニメーションが実行され、実質的に仮想空間での体験共有が実現できる。プログラムの結果がオブジェクトの位置や姿勢に影響する場合は、プログラムの実行結果に伴いオブジェクトの同期動作の仕組みが使われて、変更対象のオブジェクトの所有権をもつ端末装置でのプログラムの実行結果が、当該プライマリの変更となり、その結果の反映として、レプリカやターシャリが更新される。所有権をもたない端末装置でのプログラムの実行は、直接ターシャリの変更は行わないが、所有権をもつ端末装置での同様なプログラムの実行でプライマリが変更されるので、その変更がレプリカ、ターシャリと反映され、結果的にターシャリも変更される。
【0138】
例えば、エリア情報の例として、ドアを開閉するプログラムをドアの所有権のない端末装置が実行した場合、その端末装置での、ドアの開閉動作のプログラム結果は失敗してドアに影響は与えないが、同じプログラムはドアの所有権をもつ端末装置でも実行され、そのプログラムの実行結果として、ドアに対応するプライマリが更新される。このプライマリの更新は、さらに、レプリカ、ターシャリと波及し、ドアの開閉操作をしようとした端末装置でも、ターシャリが変更され、結果的にドアの開閉操作の結果は反映される。詳述はしないが、こうしたプログラム(スクリプト)自体は同期対象ではないが、それぞれの非エリア情報、エリア情報の一部であり、対応するユーザや地形を仮想空間で表現される際に、非エリア情報、エリア情報の非同期対象外情報の一部として、クライアント端末にロードされる。
【0139】
実現したいオブジェクトの性質と機能によって、オブジェクトのパラメータ値による同期方法とプログラムの実行結果(RPC)による同期方法を使い分けるのが有効である。本実施の形態のオブジェクトの同期方法の基本的動作を開示し、さらに、プログラムの同期(RPC)については、既存のRPCの仕組みなど(他にも、単純なメッセージングとメッセージハンドラーの組み合わせなど、様々な手法が知られている)を利用するものとし、プログラムの実行結果として更新されるオブジェクトの同期方法についても基本的な同期動作とRPCの仕組みと組み合わせることで開示する。本実施の形態では、プログラム(スクリプト)の同期(RPC)自体については詳述しない。ただし、RPCによる同期方法とともに本実施の形態の同期動作を適用する場合は、所有権のないユーザが起動したプログラムの結果として、自身が所有権をもつオブジェクトに変更がある場合、多くの場合、所有権をもつオブジェクトでは、プログラムの実行について、有効性・妥当性を検証するとよい。操作権限の確認の他にも、複数端末が同時に単一のオブジェクトを操作しようとした場合の排他制御などを行うこともできる。
【0140】
同様にして、同期グループ内に単一の同期対象オブジェクトについて、複数のクライアントが所有権を持つ場合に、それぞれのプライマリを同期させるためには、プログラムの実行結果による同期方法を用いる必要がある。
【0141】
エリア情報や非エリア情報は、仮想空間の中でのコンテンツであり、仮想空間の中での操作(ゲーム操作)とは別の方法で、作成、編集、削除されることがある。これらコンテンツにはユニークなIDが指定されており、ユニークなIDのひとつとして、URLなどでも指定できるようにすると利便性が高くなる。
【0142】
例えば、仮想空間に参加するには、ユーザ登録を行うことが多い。その際に、名前やアバターなど、仮想空間内での非エリア情報(コンテンツ)を作成、編集することになる。
【0143】
また、仮想空間で新しいユーザ体験コンテンツ(エリア)などを追加作成する場合は、新しい仮想空間について、名前やエリア情報などユーザ体験を提供する空間を作成、編集することになる。
【0144】
こうした各種コンテンツ編集操作は、3Dエディタなどを駆使して行う。エリア情報や非エリア情報のコンテンツをURLで参照できることで、直接3Dエディタで、コンテンツを直接編集できるようになる。個々の構成オブジェクトごとに、コンテンツをダウンロードやアップロードを行い、3Dエディタで編集する方法に比べて、即時性と利便性が向上する。
【0145】
3Dエディタでは、点や線のような基本単位を組み合わせて精緻な物体を作成し、組み合わせたり、配置するようなものであってもよいし、エディタが提供する地面や家や山などの基本的なオブジェクトを配置して、それらの特性や属性(地面が芝生であるとか、コンクリートであるとか、家の高さ、広さ、階数を指定するとか)をカスタマイズするもであってもよいし、リビングルーム、ショールーム、公園、宇宙などのテンプレートの空間に、机やベンチや星などのオブジェクトを配置、カスタマイズするものであってもよい。
【0146】
メタバースやMMGOでは、非エリアやエリア情報を作成、編集する機能を仮想空間アプリの機能の一部として提供したり、汎用の3D編集アプリで作成したデータをアップロードしたりして、仮想空間に登録されることが多い。しかし、本の実施形態では、のように、非エリアやエリア情報を、原則としてサーバで管理する。端末装置でのプログラムの実行時に必要に応じてダウンロードする。同期対象情報の同期動作(プライマリ、レプリカ、ターシャリ)を行うような構成の場合、サーバに存在する非エリアやエリア情報などのコンテンツを直接指定できるような機構を提供することにより、利用者間、あるいは、同じ利用者の複数の端末間で各種コンテンツを簡単に共有できる。本の実施形態では、地形IDやキャラクターIDなどのアプリ内部の表現ではなく、URLなどのより汎用的に定義できるようにした。例えば、URLスキーム、ディープリンク、Universal Linksなどの手法が利用し、対象とするコンテンツやアクセスの方法に応じて、パラメータを調整することで、回り道をせずに、直接対象のコンテンツの編集、あるいはコンテンツへの参加など所望のモード(プログラム)でのアクセスを可能とした。また、汎用的なURLでアクセスできることにより、各コンテンツは本サービスでの利用にとどまらず、より、オープンな環境で相互利用、再利用することが可能となる。
【0147】
例えば、あるエリアA100に参加する場合は、「https://sample.metaverse.jp/?area_id=A100&action=join」、例えば、あるエリアA100に存在する特定のルームR101に参加する場合は、「https://sample.metaverse.jp/?area_id=A100&room_id=R101」又は「https://sample.metaverse.jp/?area_id=A100&room_id=R101&action=join」と、管理サイトsample.metavers.jpとエリアID A100や必要に応じてルームID R101とアクセスのモードjoin(参加)を指定すればよい。
【0148】
また、あるエリアA101のエリア情報を編集する場合は、「https://sample.metaverse.jp/?area_id=A100&action=edit」のように、管理サイトsample.metavers.jpとエリアID A100とアクセスのモードedit(編集)を指定すればよい。
【0149】
また、あるユーザU501の所有する非エリア情報(例えば、WEBのホームページに相当するような「ホーム」エリアなど)を編集するには、アクセスのモードedit(編集)を「https://sample.metaverse.jp/?user_id=U501&action=edit」のように、管理サイトsample.metavers.jpとユーザID U501とアクセスのモードedit(編集)と指定すればよい。それぞれのURLに応じて、必要に応じて、異なるアプリが起動され、必要に応じて、それぞれのコンテンツに対するアクセス管理(利用者IDやパスワードなど)や不足したパラメータなどの入力を経て、指定したコンテンツに指定したモードで、起動された適切なプログラム(ゲームプログラム、メタバースプログラム、WebGL、3Dエディタ)によって、直接アクセスができる。
【0150】
(3)同期グループの構成方法
同期動作させる端末装置は、当該同期オブジェクトの動作が仮想体験の共有に意味があるグループ間だけでの同期動作のみに限定されることが望ましい。
【0151】
同期動作させる端末装置の数が膨大になると、サーバ装置1や端末装置において、同期のための処理や通信量が膨大となり、CPUが高負荷になったり、通信帯域が限界に達したりする。サーバ装置1においては、クラウドなどの方法で、同期対象オブジェクトのレプリカに関する処理を分散し、スケールさせることで数の増大に対応可能であっても、端末装置での通信量の増大で通信帯域が限界に達してしまう。特に端末装置は、CPUの性能や通信速度において、からなずしも十分な性能が期待できない。特に、モバイルなどの無線環境での使用においては、通信速度が安定しない場合もあるし、従量制の通信料金の契約をしている端末では、通信量の増大は歓迎されないこともある。
【0152】
仮想空間での共有体験を提供するためには、仮想空間全体で、仮想空間内すべてのオブジェクトを、仮想空間に参加するすべての参加者で共有できれば理想的ではあるが、参加者が多くなると、実現が経済的に困難であったり、技術的に不可能であったりする。また、実際に、すべての参加者の挙動を把握することは、利用者にとって、不可能であったり、意味がなかったりする。この問題を解決するには、同期動作させるオブジェクトの数をへらすことや、オブジェクトを同期動作させる範囲(利用者数)をへらすことなどが必要である。前者の一例については、前項同期対象オブジェクトの構成(例えば、同様の挙動のオブジェクトをひとまとめにして、それらのオブジェクトうち同期処理が必要なパラメータ(フィールドなど)だけを抽出した特別な同期対象オブジェクト1個だけを構成する)で説明したとおりである。
【0153】
オブジェクトを同期動作させる範囲(利用者数)を削減するために、オブジェクトごとに同期動作させる端末の数を必要最小限に制限する。多くの場合、ユーザ端末には、仮想空間を構成するオブジェクトのすべてを表現せずに、ごく一部だけを表現している。従って、表現されているごく一部だけのオブジェクトについて、同期動作が実現されれば、他のオブジェクトについては、内部的に同期動作をしていても、していなくても、端末装置の利用者が知覚できる仮想空間での体験は同じである。
【0154】
オブジェクトごとに同期動作をさせる端末グループを定義し、そのグループ内でのみ同期動作を行えば良い。さらに、レプリカ管理情報114の送信先ルールにより同期グループの中にさらにサブグループを作成することもできる。典型的な仮想空間やMMOGでは、それぞれの仮想空間は複数の領域(仮想空間コンテンツを体験できるエリア)に分割され、エリアに対応する仮想空間を体験するルームに利用者の端末装置が参加する。同じルームに参加している端末装置は、アバターとして、エリアのコンテンツ(建物やアトラクションなど)に従って、他の端末装置のアバターとともに、エリアの提供するコンテンツを仮想体験する。この環境では、参加者が作成したアバターやアバターの付属物については、作成者である参加者が所有する同期対象のオブジェクトであり、自身の端末装置にプライマリを持ち、ルームに参加する他の参加者の端末装置と同期処理を行うことで、自身の活動状況を他の参加者に知らせることができる。なおここでは、説明の簡単のため同期対象オブジェクトとして、アバターやアバターの付属物として列挙しているが、実際の実装では、アバターやアバターの付属物からなるユーザが管理する複数個のオブジェクトの情報(非エリア情報)のうち、位置や姿勢など最小個数のパラメータとして集約し、ユーザ毎にアバターやアバターの付属物をまとめて、単一のユーザ情報管理用の特別なオブジェクト(同期対象非エリア情報)として実装し、同期処理を行うと効率がよい。
【0155】
仮想空間の特定の領域(ルーム)内で、他の参加者の活動状況を共有するためには、それぞれの参加者が自身の同期対象非エリアについて所有権を持ち、それぞれの参加者の端末装置は、自身の同期対象非エリアについては、プライマリを、他の参加者の同期対象ユーザ管理情報についてはターシャリを保持する。
【0156】
同様に、仮想空間での特定の領域のコンテンツ(エリア)について状態の変化(エリア情報)を共有することもできる。エリアに対応して、複数のルームが共存するような場合、ひとつのルームの参加者がエリア情報を変更した場合、同じルームの参加者だけでなく、異なるルームでも同じエリアの他のルーム(パラレルワールド)のエリア情報にも変更を反映させることも可能である。複数ルームで変更を共有するには同期動作させる端末グループをそのエリアのルームすべてについての参加者端末とすればよい。
【0157】
例えば、エリアの作成者もエリアのルームのひとつに参加している場合を想定する。エリアの作成者はエリアのエリア情報の所有者とする。エリアのエリア情報の同期についても、個々の地形オブジェクトを直接同期するのではなく、同期させたい複数個の地形オブジェクトのフィールドの一部である同期対象となるエリア情報のみ特別な単一オブジェクトとしてまとめて、エリアの作成者端末は、エリアのルームの一つに参加している場合、自身の同期対象非エリア情報のプライマリ、同じルーム参加者の他の参加者の同期対象非エリア情報のターシャリに加えて、エリアの同期対象エリア情報のプライマリも保持する。この場合、エリアの作成者端末は、エリアの作成者であり、エリアの所有者であり、さらに、同期動作におけるエリアに関する同期対象オブジェクトの所有者(プライマリ保持者)である。エリア参加者以外のエリアのルームの参加者端末は、エリアの参加者の同じルームに参加しているか、別のルームに参加しているかにかかわらず、自身の同期対象非エリア情報のプライマリ、同じルーム参加者の他の参加者の同期対象非エリア情報のターシャリに加えて、エリアの同期対象エリア情報のターシャリを保持する。
【0158】
仮想空間の種類にもよるが、エリアの作成者が常に参加することを仮定することが現実的でない場合がある。ここではエリアの作成者が所有者であり、かつ編集者である場合を仮定している。しかし、例えば、会社のプロモーション用の仮想空間を考えると、エリアの作成者はある会社が外注したコンテンツクリエーターであって、所有者は当該会社の社長であり、編集者は当該会社の社長ほか広報部所属社員であったりする。ここではエリアの作成者がエリアの編集者でもある場合を記述するが、前記の会社のプロモーション用の仮想空間の例のように、必要応じて、以下の記述において、エリアの作成者はエリアの編集者と読み替えるのが妥当な場合もある。
【0159】
エリアの作成者(編集者)が参加していない場合でも、同期処理のためにはかならず同期対象のエリア情報には同期対象オブジェクトの所有者が必要となる。同期対象のエリア情報を同期処理するためには、必ず、同期対象のエリア情報の同期グループに所属するいずれかの端末装置が同期対象オブジェクトの所有者となる。同期対象オブジェクトの所有者の決定の仕方はどのような方法でもよい。例えば、当該同期グループに最も古くから参加している端末装置であってもよいし、一番小さな端末IDをもつ端末装置であってもよい。また、同期対象オブジェクトの数を削減するために、エリア情報を構成するすべてのオブジェクトから、それらの同期対象のパラメータだけから構成される単一あるいは、少数の同期対象エリア情報を同期させる手法を記述したが、エリア情報のように、同期対象オブジェクトを主体的に操作する参加者が決まっておらず、同期対象オブジェクトの所有者がだれでもよいような場合は、サーバ装置での負荷分散のために、あえて、複数の同期対象エリア情報オブジェクトを生成し、それぞれを別の端末装置に所有させてもよい。ただし、所有者の分散は慎重にする必要があり、互いに依存関係のある同期対象オブジェクトの所有者を別の端末装置とすると、制御が複雑になったり、かえって負荷が増加したりする場合もある。
【0160】
図16に、エリア100に複数のルーム101と102が存在する時に、同期対象の非エリアと同期対象のエリア情報が、プライマリ、レプリカ、ターシャリとして各対象端末で同期している様子を示す。ユーザA,B,Cはそれぞれ端末装置A,B,Cでエリア100のルーム101に参加している。同様にユーザX,Yはそれぞれ端末装置X,Yでエリア100のルーム102に参加している。ユーザA,B,Cの同期対象の非エリア(A0,B0,C0)は、ルーム101の参加者であるユーザ端末装置A,B,Cで同期(A2,B2,C2)し、サーバ装置1のレプリカ(A1,B1,C1)を介して、ユーザX,Yの同期対象の非エリア(X0,Y0)は、サーバ装置1のレプリカ(X1,Y1)を介して、ルーム102の参加者であるユーザ端末装置X,Yで同期(X2,Y2)し、エリア100の同期対象のエリア情報(G0)は、サーバ装置のレプリカ(G1)を介して、エリア100のルームであるルーム100と101の参加者であるユーザ端末装置A,B,C,X,Yで同期(G2)する。
【0161】
以上に、単一エリアに複数のルームが存在する場合について、同期動作させる端末装置グループをエリア参加端末、及び、ルーム参加端末とすることで、それぞれエリア情報と非エリアを同期する実施形態について説明した。しかし、同期グループはエリアとルームに限定されない。また、同期グループの関係はエリアとルームのように一方が他方に包含されるものにも限定されない。同期グループは自由に作成してよい。同期グループは、完全に一致したり、一部として含まれたり、一部分だけが共通であったり、全く独立で共通部分が存在しなかったりしてもよい。それぞれの同期グループは、図4あるいは図5に示すような方法で、参加者端末を管理する。ルームが動的に生成、削除される例については前述したが、同期グループは端末装置が固定的で不変なものとは限らない。提供する仮想空間の体験のコンテンツにも依存するが、それぞれの同期グループは、参加者が時間とともに変化し、同期グループが動的に作成、削除されたり、同期グループに対して端末が途中参加したり、途中退出したりするものでもよい。例えば、同期グループとしては、エリアやルーム以外にも、チャットグループ、協働パーティ、所属組織などが考えられる。チャットグループや協働パーティや所属組織は、ルームやエリアの境界を超えて存在し、それぞれの単位で、テキストや音声メッセージや活動ステータス(オンライン、宇宙空間X訪問中、猫ワールドY訪問中、モンスターX対戦中、M社ショールーム訪問中、N社と商談中など)などを、ルームやエリアでの同期体験の共有に重ね合わせるようにして同期共有する。例えば、音声チャットはスピーカーに重畳されて聞き取り、画面上のボタンやスイッチを切り替えることで、ルームへの発話かチャットグループかの発話か切り替えてもよい。また、活動ステータスは、画面右上に配したチームステータスアイコンをクリックすることで、所属組織メンバーのステータス一覧を参加中の仮想世界の表示画面に重ね合わせてもよい。
【0162】
また、本発明の他の態様は、上記目的を達成するため、以下の情報処理装置、データ同期プログラム、データ同期方法、データ同期システム及び端末装置を提供する。
【0163】
[1]オブジェクトを互いに同期する複数のクライアントとネットワークで接続された情報処理装置であって、
同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントから当該同期対象オブジェクトの変更内容情報を受信する受信手段と、
前記変更内容情報により、前記同期対象オブジェクトを複製した複製オブジェクトを更新する更新手段と、
前記変更内容情報を前記複数のクライアントのうち前記所有権を有するクライアント以外へ送信する送信手段とを有する情報処理装置。
[2]前記受信手段は、クライアントが参加した際に、当該クライアントが所有権を有する同期対象オブジェクトを受信して前記複製オブジェクトとして記録媒体に格納する前記[1]に記載の情報処理装置。
[3]前記受信手段は、前記クライアントが新たにオブジェクトを生成した際に、当該新たに生成したオブジェクトを同期対象オブジェクトとして複製して前記複製オブジェクトを記録媒体に格納する前記[1]に記載の情報処理装置。
[4]前記送信手段は、クライアントが参加した際、又は前記クライアントが新たにオブジェクトを生成した際に、記録媒体に格納した前記複製オブジェクト、又は前記同期対象オブジェクトを、前記複数のクライアントのうち前記所有権を有するクライアント以外へ送信する前記[2]又は[3]に記載の情報処理装置。
[5]前記受信手段は、前記同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアント以外のクライアントから当該同期対象オブジェクトの変更内容情報を受信しない前記[1]~[4]のいずれかに記載の情報処理装置。
[6]前記更新手段は、前記受信手段が前記同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアント以外のクライアントから当該同期対象オブジェクトの変更内容情報を受信した場合、前記複製オブジェクトを更新しない前記[1]~[4]のいずれかに記載の情報処理装置。
[7]前記送信手段は、前記受信手段が前記同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアント以外のクライアントから当該同期対象オブジェクトの変更内容情報を受信した場合、当該変更内容情報を、前記所有権を有するクライアントへ送信しない前記[1]~[4]のいずれかに記載の情報処理装置。
[8]前記更新手段は、前記受信手段が前記同期対象オブジェクトの変更内容情報として変更前の前記同期対象オブジェクトとの差分を受信して、前記複製オブジェクトを更新する前記[1]~[7]のいずれかに記載の情報処理装置。
[9]前記クライアントが退出した際に、当該クライアントが所有権を有していた前記同期対象オブジェクトに対応する複製オブジェクトの所有権を、当該所有権の移譲が許可されている場合に、予め定めたルールに基づいて当該クライアント以外の他のクライアントに移譲する管理手段としてさらに機能させる前記[1]~[8]のいずれかに記載の情報処理装置。
[10]前記クライアントが退出した際に、当該クライアントが所有権を有していた前記同期対象オブジェクトに対応する複製オブジェクトの所有権の移譲が許可されていない場合に、当該複製オブジェクトを削除する管理手段としてさらに機能させ、
前記送信手段は、当該クライアント以外の他のクライアントに保持されている前記複製オブジェクトに対応するオブジェクトを削除するよう当該他のクライアントに指示する前記[1]~[8]のいずれかに記載の情報処理装置。
[11]オブジェクトを互いに同期する複数のクライアントとネットワークで接続されたコンピュータを、
同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントから当該同期対象オブジェクトの変更内容情報を受信する受信手段と、
前記変更内容情報により、前記同期対象オブジェクトを複製した複製オブジェクトを更新する更新手段と、
前記変更内容情報を前記複数のクライアントのうち前記所有権を有するクライアント以外へ送信する送信手段として機能させるためのデータ同期プログラム。
[12]オブジェクトを互いに同期する複数のクライアントとネットワークで接続された情報処理装置において、
同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントから当該同期対象オブジェクトの変更内容情報を受信するステップと、
前記変更内容情報により、前記同期対象オブジェクトを複製した複製オブジェクトを更新するステップと、
前記変更内容情報を前記複数のクライアントのうち前記所有権を有するクライアント以外へ送信するステップとを有するデータ同期方法。
[13]オブジェクトを互いに同期する複数のクライアントと、
前記複数のクライアントとネットワークで接続された情報処理装置であって、
同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントから当該同期対象オブジェクトの変更内容情報を受信する受信手段と、
前記変更内容情報により、前記同期対象オブジェクトを複製した複製オブジェクトを更新する更新手段と、
前記変更内容情報を前記複数のクライアントのうち前記所有権を有するクライアント以外へ送信する送信手段とを有する情報処理装置
とを備えたデータ同期システム。
[14]前記複数のクライアントは、前記情報処理装置から自己が所有権を有する同期対象オブジェクトの複製オブジェクトを受信した場合、当該複製オブジェクトを受信拒否する前記[13]に記載のデータ同期システム。
[15]前記複数のクライアントは、前記同期対象オブジェクトの変更内容情報として変更前の前記同期対象オブジェクトとの差分を前記情報処理装置に送信する前記[13]又は[14]に記載のデータ同期システム。
[16]他のクライアントとオブジェクトを互いに同期するクライアントとしての端末装置であって、
同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントから当該同期対象オブジェクトの変更内容情報を受信する受信手段と、
前記変更内容情報により、前記同期対象オブジェクトを複製した複製オブジェクトを更新する更新手段と、
前記変更内容情報を前記複数のクライアントのうち前記所有権を有するクライアント以外へ送信する送信手段とを有する情報処理装置
と通信可能に接続されるクライアントとしての端末装置。
[17]前記情報処理装置から自己が所有権を有する同期対象オブジェクトの複製オブジェクトを受信した場合、当該複製オブジェクトを受信拒否する前記[16]に記載のクライアントとしての端末装置。
[18]前記同期対象オブジェクトの変更内容情報として変更前の前記同期対象オブジェクトとの差分を前記情報処理装置に送信する前記[16]又は[17]に記載のクライアントとしての端末装置。
[19]オブジェクトを互いに同期する複数のクライアントとネットワークで接続された情報処理装置であって、
前記複数のクライアントから同期対象オブジェクトの変更内容情報を受信する受信手段と、
前記同期対象オブジェクト毎に管理される管理情報であって、当該同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントを定義する前記管理情報を参照し、当該管理情報において送信元のクライアントが、当該同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントとして定義されている場合、前記変更内容情報により、前記同期対象オブジェクトを複製した複製オブジェクトを更新する更新手段と、
前記変更内容情報を前記複数のクライアントのうち前記所有権を有するクライアント以外へ送信する送信手段とを有する情報処理装置。
[20]オブジェクトを互いに同期する複数のクライアントとネットワークで接続された情報処理装置であって、
前記複数のクライアントから同期対象オブジェクトの変更内容情報を受信する受信手段と、
前記変更内容情報により、前記同期対象オブジェクトを複製した複製オブジェクトを更新する更新手段と、
前記同期対象オブジェクト毎に管理される管理情報であって、当該同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントを定義する前記管理情報を参照し、当該管理情報において送信元のクライアントが、当該同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントとして定義されている場合、前記変更内容情報を前記複数のクライアントのうち前記所有権を有するクライアント以外へ送信する送信手段とを有する情報処理装置。
[21]前記受信手段は、前記複数のクライアントが参加する仮想空間にクライアントが参加した際に、当該クライアントが所有権を有する同期対象オブジェクトを受信して前記複製オブジェクトとして記録媒体に格納する前記[19]又は[20]に記載の情報処理装置。
[22]前記受信手段は、前記クライアントが新たにオブジェクトを生成した際に、当該新たに生成したオブジェクトを同期対象オブジェクトとして複製して前記複製オブジェクトを記録媒体に格納する前記[19]又は[20]に記載の情報処理装置。
[23]前記送信手段は、クライアントが参加した際、又は前記クライアントが新たにオブジェクトを生成した際に、記録媒体に格納した前記複製オブジェクト、又は前記同期対象オブジェクトを、前記複数のクライアントのうち前記所有権を有するクライアント以外へ送信する前記[21]又は[22]に記載の情報処理装置。
[24]前記受信手段は、前記同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアント以外のクライアントから当該同期対象オブジェクトの変更内容情報を受信しない前記[19]~[23]のいずれかに記載の情報処理装置。
[25]前記更新手段は、前記受信手段が前記同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアント以外のクライアントから当該同期対象オブジェクトの変更内容情報を受信した場合、前記複製オブジェクトを更新しない前記[19]~[23]のいずれかに記載の情報処理装置。
[26]前記送信手段は、前記受信手段が前記同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアント以外のクライアントから当該同期対象オブジェクトの変更内容情報を受信した場合、当該変更内容情報を、前記所有権を有するクライアントへ送信しない前記[19]~[23]のいずれかに記載の情報処理装置。
[27]前記更新手段は、前記受信手段が前記同期対象オブジェクトの変更内容情報として変更前の前記同期対象オブジェクトとの差分を受信して、前記複製オブジェクトを更新する前記[19]~[26]のいずれかに記載の情報処理装置。
[28]前記クライアントが、前記複数のクライアントが参加する仮想空間から退出した際に、当該クライアントが所有権を有していた前記同期対象オブジェクトに対応する複製オブジェクトの所有権を、当該所有権の移譲が許可されている場合に、予め定めたルールに基づいて当該クライアント以外の他のクライアントに移譲する管理手段としてさらに機能させる前記[19]~[27]のいずれかに記載の情報処理装置。
[29]前記クライアントが、当該クライアントが参加する仮想空間から退出した際に、当該クライアントが所有権を有していた前記同期対象オブジェクトに対応する複製オブジェクトの所有権の移譲が許可されていない場合に、当該複製オブジェクトを削除する管理手段としてさらに機能させ、
前記送信手段は、当該クライアント以外の他のクライアントに保持されている前記複製オブジェクトに対応するオブジェクトを削除するよう当該他のクライアントに指示する前記[19]~[26]のいずれかに記載の情報処理装置。
[30]オブジェクトを互いに同期する複数のクライアントとネットワークで接続されたコンピュータを、
前記複数のクライアントから同期対象オブジェクトの変更内容情報を受信する受信手段と、
前記同期対象オブジェクト毎に管理される管理情報であって、当該同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントを定義する前記管理情報を参照し、当該管理情報において送信元のクライアントが、当該同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントとして定義されている場合、前記変更内容情報により、前記同期対象オブジェクトを複製した複製オブジェクトを更新する更新手段と、
前記変更内容情報を前記複数のクライアントのうち前記所有権を有するクライアント以外へ送信する送信手段として機能させるためのデータ同期プログラム。
[31]オブジェクトを互いに同期する複数のクライアントとネットワークで接続されたコンピュータを、
前記複数のクライアントから同期対象オブジェクトの変更内容情報を受信する受信手段と、
前記変更内容情報により、前記同期対象オブジェクトを複製した複製オブジェクトを更新する更新手段と、
前記同期対象オブジェクト毎に管理される管理情報であって、当該同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントを定義する前記管理情報を参照し、当該管理情報において送信元のクライアントが、当該同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントとして定義されている場合、前記変更内容情報を前記複数のクライアントのうち前記所有権を有するクライアント以外へ送信する送信手段として機能させるためのデータ同期プログラム。
[32]オブジェクトを互いに同期する複数のクライアントとネットワークで接続された情報処理装置において、
前記複数のクライアントから同期対象オブジェクトの変更内容情報を受信するステップと、
前記同期対象オブジェクト毎に管理される管理情報であって、当該同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントを定義する前記管理情報を参照し、当該管理情報において送信元のクライアントが、当該同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントとして定義されている場合、前記変更内容情報により、前記同期対象オブジェクトを複製した複製オブジェクトを更新するステップと、
前記変更内容情報を前記複数のクライアントのうち前記所有権を有するクライアント以外へ送信するステップとを有するデータ同期方法。
[33]オブジェクトを互いに同期する複数のクライアントとネットワークで接続された情報処理装置において、
前記複数のクライアントから同期対象オブジェクトの変更内容情報を受信するステップと、
前記変更内容情報により、前記同期対象オブジェクトを複製した複製オブジェクトを更新するステップと、
前記同期対象オブジェクト毎に管理される管理情報であって、当該同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントを定義する前記管理情報を参照し、当該管理情報において送信元のクライアントが、当該同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントとして定義されている場合、前記変更内容情報を前記複数のクライアントのうち前記所有権を有するクライアント以外へ送信するステップとを有するデータ同期方法。
[34]オブジェクトを互いに同期する複数のクライアントと、
前記複数のクライアントとネットワークで接続された情報処理装置であって、
前記複数のクライアントから同期対象オブジェクトの変更内容情報を受信する受信手段と、
前記同期対象オブジェクト毎に管理される管理情報であって、当該同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントを定義する前記管理情報を参照し、当該管理情報において送信元のクライアントが、当該同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントとして定義されている場合、前記変更内容情報により、前記同期対象オブジェクトを複製した複製オブジェクトを更新する更新手段と、
前記変更内容情報を前記複数のクライアントのうち前記所有権を有するクライアント以外へ送信する送信手段とを有する情報処理装置とを備えたデータ同期システム。
[35]オブジェクトを互いに同期する複数のクライアントと、
前記複数のクライアントとネットワークで接続された情報処理装置であって、
前記複数のクライアントから同期対象オブジェクトの変更内容情報を受信する受信手段と、
前記変更内容情報により、前記同期対象オブジェクトを複製した複製オブジェクトを更新する更新手段と、
前記同期対象オブジェクト毎に管理される管理情報であって、当該同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントを定義する前記管理情報を参照し、当該管理情報において送信元のクライアントが、当該同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントとして定義されている場合、前記変更内容情報を前記複数のクライアントのうち前記所有権を有するクライアント以外へ送信する送信手段とを有する情報処理装置とを備えたデータ同期システム。
[36]前記複数のクライアントは、前記同期対象オブジェクトの変更内容情報として変更前の前記同期対象オブジェクトとの差分を前記情報処理装置に送信する前記[34]又は[35]に記載のデータ同期システム。
[37]情報処理装置を介して他のクライアントとオブジェクトを互いに同期するクライアントとしての端末装置であって、
前記同期対象オブジェクト毎に管理される管理情報であって、当該同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントを定義する前記管理情報を参照し、当該管理情報において送信元のクライアントが、当該同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントとして定義されている場合、当該同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントからの当該同期対象オブジェクトの変更内容情報を、前記情報処理装置を介して受信する受信手段と、
前記変更内容情報により、前記同期対象オブジェクトを複製した複製オブジェクトを更新する更新手段と、
前記変更内容情報を前記複数のクライアントのうち前記所有権を有するクライアント以外へ送信する送信手段とを有する前記情報処理装置と通信可能に接続されるクライアントとしての端末装置。
[38]情報処理装置を介して他のクライアントとオブジェクトを互いに同期するクライアントとしての端末装置であって、
同期対象オブジェクトを複製した複製オブジェクトが自己クライアントにおいて更新された場合、
前記同期対象オブジェクト毎に管理される管理情報であって、当該同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントを定義する前記管理情報を参照し、当該管理情報において当該自己クライアントが、当該同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントとして定義されている場合、当該前記変更内容情報を前記情報処理装置へ送信する送信手段とを有する前記情報処理装置と通信可能に接続されるクライアントとしての端末装置。
[39]前記同期対象オブジェクトの変更内容情報として変更前の前記同期対象オブジェクトとの差分を前記情報処理装置に送信する前記[37]又は[38]に記載のクライアントとしての端末装置。
【0164】
また、本発明の他の態様は、上記目的を達成するため、以下の情報処理装置、データ同期プログラム、データ同期方法、データ同期システム及び端末装置を提供する。
【0165】
[1]1以上の仮想空間に参加する複数のクライアントとネットワークで接続された情報処理装置であって、
前記仮想空間の同期対象オブジェクトは当該同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントと所有権を有しないクライアントから構成される同期グループのクライアント間で同期されるものであり、
前記同期グループのクライアントのうち、前記同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントからそれぞれ当該同期対象オブジェクトの変更内容情報を受信する受信手段と、
前記同期対象オブジェクト毎に管理される管理情報であって、当該同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントを定義する前記管理情報を参照し、当該管理情報において送信元のクライアントが、当該同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントとして定義されている場合、前記変更内容情報により、前記同期対象オブジェクトを複製した複製オブジェクトを更新する更新手段と、
前記変更内容情報を前記同期グループのクライアントのうち前記所有権を有するクライアント以外へ送信する送信手段とを有する情報処理装置。
[2]
前記クライアントが1以上の前記同期グループに属する前記[1]に記載の情報処理装置。
[3]
前記同期グループは、前記同期対象オブジェクトのうち互いのユーザ情報の同期を行うクライアントから構成される前記[1]に記載の情報処理装置。
[4]
前記同期グループは、前記同期対象オブジェクトのうち仮想空間を構成するコンテンツを再現するための地形情報の同期を行うクライアントから構成される前記[1]に記載の情報処理装置。
[5]
前記同期対象オブジェクトのうち前記地形情報に対応する同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントは、サーバ上のダミークライアントである前記[4]に記載の情報処理装置。
[6]
前記地形情報の編集権を有するクライアントからの操作内容に基づいて前記地形情報を編集する編集手段としてさらに機能させる前記[4]に記載の情報処理装置。
[7]
前記仮想空間の前記同期対象オブジェクトを含むオブジェクトに対応した識別子を発行する地形情報管理手段としてさらに機能させる前記[6]に記載の情報処理装置。
[8]
前記識別子は、前記クライアントが前記仮想空間のコンテンツへのアクセスに用いられる前記[7]に記載の情報処理装置。
[9]
前記仮想空間のコンテンツへのアクセスは、前記クライアントの前記仮想空間への参加である前記[8]に記載の情報処理装置。
[10]
前記仮想空間のコンテンツへのアクセスは、前記クライアントの前記コンテンツの編集である前記[8]に記載の情報処理装置。
[11]
前記仮想空間のコンテンツへのアクセスは、前記クライアントにおける前記仮想空間への参加のためのプログラムの起動である前記[9]に記載の情報処理装置。
[12]
前記仮想空間のコンテンツへのアクセスは、前記クライアントにおける前記コンテンツの編集のためのウェブサイトへのアクセスであって、当該ウェブサイトへのアクセスのためのウェブブラウザの起動である前記[10]に記載の情報処理装置。
[13]
前記受信手段は、前記複数のクライアントが参加する同期グループにクライアントが参加した際に、当該クライアントが所有権を有する同期対象オブジェクトを受信して前記複製オブジェクトとして記録媒体に格納する前記[1]に記載の情報処理装置。
[14]
前記複数のクライアントが参加する同期グループにクライアントが参加した際に、当該クライアントが前記エリア情報の編集権を有する場合、前記送信手段は、前記複製オブジェクトを当該クライアントの同期対象オブジェクトとして当該クライアントに送信し、さらに所有権を移譲する前記[1]に記載の情報処理装置。
[15]
前記受信手段は、前記クライアントが新たにオブジェクトを生成した際に、当該新たに生成したオブジェクトを同期対象オブジェクトとして複製して前記複製オブジェクトを記録媒体に格納する前記[1]に記載の情報処理装置。
[16]
前記送信手段は、クライアントが参加した際、又は前記クライアントが新たにオブジェクトを生成した際に、記録媒体に格納した前記複製オブジェクト、又は前記同期対象オブジェクトを、前記複数のクライアントのうち前記所有権を有するクライアント以外へ送信する前記[13]から[15]のいずれかに記載の情報処理装置。
[17]
前記受信手段は、前記同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアント以外のクライアントから当該同期対象オブジェクトの変更内容情報を受信しない前記[13]から[15]のいずれかに記載の情報処理装置。
[18]
前記更新手段は、前記受信手段が前記同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアント以外のクライアントから当該同期対象オブジェクトの変更内容情報を受信した場合、前記複製オブジェクトを更新しない前記[13]から[15]のいずれかに記載の情報処理装置。
[19]
前記送信手段は、前記受信手段が前記同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアント以外のクライアントから当該同期対象オブジェクトの変更内容情報を受信した場合、当該変更内容情報を、前記所有権を有するクライアントへ送信しない前記[13]から[15]のいずれかに記載の情報処理装置。
[20]
前記更新手段は、前記受信手段が前記同期対象オブジェクトの変更内容情報として変更前の前記同期対象オブジェクトとの差分を受信して、前記複製オブジェクトを更新する前記[13]から[15]のいずれかに記載の情報処理装置。
[21]
前記クライアントが、前記複数のクライアントが参加する同期グループから退出した際に、当該クライアントが所有権を有していた前記同期対象オブジェクトに対応する複製オブジェクトの所有権を、当該所有権の移譲が許可されている場合に、予め定めたルールに基づいて当該クライアント以外の他のクライアントに移譲する管理手段としてさらに機能させる前記[13]から[15]のいずれかに記載の情報処理装置。
[22]
前記クライアントが、当該クライアントが参加する同期グループから退出した際に、当該クライアントが所有権を有していた前記同期対象オブジェクトに対応する複製オブジェクトの所有権の移譲が許可されていない場合に、当該複製オブジェクトを削除する管理手段としてさらに機能させ、
前記送信手段は、当該クライアント以外の他のクライアントに保持されている前記複製オブジェクトに対応するオブジェクトを削除するよう当該他のクライアントに指示する前記[13]から[15]のいずれかに記載の情報処理装置。
[23]
仮想空間に参加する複数のクライアントとネットワークで接続されたコンピュータを機能させるためのデータ同期プログラムであって、
前記仮想空間の同期対象オブジェクトは当該オブジェクトの所有権を有するクライアントと所有権を有しないクライアントから構成される同期グループのクライアント間で同期されるものであり、
前記同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントからそれぞれ当該同期対象オブジェクトの変更内容情報を受信する受信手段と、
前記同期対象オブジェクト毎に管理される管理情報であって、当該同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントを定義する前記管理情報を参照し、当該管理情報において送信元のクライアントが、当該同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントとして定義されている場合、前記変更内容情報により、前記同期対象オブジェクトを複製した複製オブジェクトを更新する更新手段と、
前記変更内容情報を前記同期グループのクライアントのうち前記所有権を有するクライアント以外へ送信する送信手段として機能させるためのデータ同期プログラム。
[24]
仮想空間に参加する複数のクライアントと、
前記複数のクライアントとネットワークで接続された情報処理装置であって、
前記仮想空間の同期対象オブジェクトは当該オブジェクトの所有権を有するクライアントと所有権を有しないクライアントから構成される同期グループのクライアント間で同期されるものであり、
前記同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントからそれぞれ当該同期対象オブジェクトの変更内容情報を受信する受信手段と、
前記同期対象オブジェクト毎に管理される管理情報であって、当該同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントを定義する前記管理情報を参照し、当該管理情報において送信元のクライアントが、当該同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントとして定義されている場合、前記変更内容情報により、前記同期対象オブジェクトを複製した複製オブジェクトを更新する更新手段と、
前記変更内容情報を前記同期グループのクライアントのうち前記所有権を有するクライアント以外へ送信する送信手段とを有する情報処理装置とを備えたデータ同期システム。
[25]
前記複数のクライアントは、前記同期対象オブジェクトの変更内容情報として変更前の前記同期対象オブジェクトとの差分を前記情報処理装置に送信する前記[24]に記載のデータ同期システム。
[26]
情報処理装置を介して他のクライアントとネットワークで接続される、仮想空間に参加するクライアントとしての端末装置であって、
前記仮想空間の同期対象オブジェクトは当該オブジェクトの所有権を有するクライアントと所有権を有しないクライアントから構成される同期グループのクライアント間で同期されるものであり、
前記同期対象オブジェクト毎に管理される管理情報であって、当該同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントを定義する前記管理情報を参照し、当該管理情報において送信元のクライアントが、当該同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントとして定義されている場合にのみ、当該同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントからの当該同期対象オブジェクトの変更内容情報を、前記情報処理装置を介して受信する受信手段と、
前記変更内容情報により、前記同期対象オブジェクトを複製した複製オブジェクトを更新する更新手段と、
前記変更内容情報を前記同期グループのクライアントのうち前記所有権を有するクライアント以外へ送信する送信手段とを有し、前記情報処理装置と通信可能に接続されるクライアントとしての端末装置。
[27]
情報処理装置を介して他のクライアントとネットワークで接続される、仮想空間に参加するクライアントとしての端末装置であって、
前記仮想空間の同期対象オブジェクトは当該オブジェクトの所有権を有するクライアントと所有権を有しないクライアントから構成される同期グループのクライアント間で同期されるものであり、
同期対象オブジェクトを複製した複製オブジェクトが自己クライアントにおいて更新された場合、
前記同期対象オブジェクト毎に管理される管理情報であって、当該同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントを定義する前記管理情報を参照し、当該管理情報において当該自己クライアントが、当該同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントとして定義されている場合にのみ、当該前記変更内容情報を前記情報処理装置へ送信する送信手段とを有し、前記情報処理装置と通信可能に接続されるクライアントとしての端末装置。
[28]
前記同期対象オブジェクトの変更内容情報として変更前の前記同期対象オブジェクトとの差分を前記情報処理装置に送信する前記[26]又は[27]に記載のクライアントとしての端末装置。
[29]
前記情報処理装置により発行された識別子により前記仮想空間へのアクセス及び前記仮想空間を構成するコンテンツを再現するための地形情報の編集ウェブサイトへアクセスする前記[26]又は[27]に記載の端末装置。
[30]
1以上の仮想空間に参加する複数のクライアントとネットワークで接続された仮想空間管理提供装置であって、
前記仮想空間の同期対象オブジェクトは当該同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントと所有権を有しないクライアントから構成される同期グループのクライアント間で同期されるものであり、
前記同期グループのクライアントのうち、前記同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントからそれぞれ当該同期対象オブジェクトの変更内容情報を受信する受信手段と、
前記同期対象オブジェクト毎に管理される管理情報であって、当該同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントを定義する前記管理情報を参照し、当該管理情報において送信元のクライアントが、当該同期対象オブジェクトの所有権を有するクライアントとして定義されている場合、前記変更内容情報により、前記同期対象オブジェクトを複製した複製オブジェクトを更新する更新手段と、
前記変更内容情報を前記同期グループのクライアントのうち前記所有権を有するクライアント以外へ送信する送信手段とを有する仮想空間管理提供装置。
【産業上の利用可能性】
【0166】
複数のユーザ端末が参加する構成であって、複数のユーザ端末のデータを同期する状況において、処理負担や通信負担の増加を抑制する情報処理装置、データ同期プログラム、データ同期方法、データ同期システム及び端末装置を提供する。
【符号の説明】
【0167】
1 :サーバ装置
2a、2b、2c:端末装置
3a、3b、3c:利用者
4a、4b、4c:アバター
10 :制御部
11 :記憶部
12 :メモリ
13 :通信部
100 :地形情報管理手段
101 :地形情報編集手段
102 :ルーム管理手段
103 :参加者管理手段
104 :データ受信手段
105 :データ送信手段
106 :レプリカ管理手段
107 :データ更新手段
110 :データ管理プログラム
111 :地形情報
112 :ルーム管理情報
113 :参加者管理情報
114A :レプリカ管理情報
114B :レプリカ管理情報
120a、120b、120c:レプリカ


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
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図16