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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023010332
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】磁気結合型リアクトル及び昇圧回路
(51)【国際特許分類】
   H01F 37/00 20060101AFI20230113BHJP
   H01F 27/24 20060101ALI20230113BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
H01F37/00 M
H01F37/00 C
H01F37/00 A
H01F27/24 H
H01F37/00 R
H02M3/155 Y
H02M3/155 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021114397
(22)【出願日】2021-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅井 石南
(72)【発明者】
【氏名】千葉 真
(72)【発明者】
【氏名】井上 洋平
(72)【発明者】
【氏名】吉田 剛
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AS04
5H730BB14
5H730BB57
5H730BB82
5H730BB88
5H730DD03
5H730DD16
5H730ZZ17
(57)【要約】
【課題】大型化を抑制しつつ漏れ磁束が巻き線に鎖交することを低減可能とする。
【解決手段】磁気結合型リアクトルのリアクトルコアは、第一方向に延びる二つの第一脚部と、二つの第一脚部を繋ぐ第一基部と、を有する第一外側コア部と、第一方向に延びる二つの第二脚部と、二つの第二脚部を繋ぐ第二基部と、を有する第二外側コア部と、第一方向に連続するように一体に延びて第一脚部と第二脚部とを接続する中間コア部と、を備え、第一脚部と中間コア部との接続される第一接続部は、第一方向で第一コイル部の巻き回されている範囲内に位置し、第二脚部と中間コア部との接続される第二接続部は、第一方向で第二コイル部の巻き回されている範囲内に位置している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉磁路を形成するリアクトルコアと、
前記リアクトルコアに分割巻きされた第一コイル部と、
前記リアクトルコアのうち前記第一コイル部とは第一方向で離間した位置に分割巻きされた第二コイル部と、を備え、
前記リアクトルコアは、
第一方向に延びる二つの第一脚部と、前記第一方向の第一側で二つの前記第一脚部を繋ぐ第一基部と、を有する第一外側コア部と、
第一方向に延びる二つの第二脚部と、前記第一方向の第二側で二つの前記第二脚部を繋ぐ第二基部と、を有する第二外側コア部と、
前記第一方向と交差する第二方向に並んで配置されると共に前記第一方向に連続して一体に延びて前記第一脚部と前記第二脚部とを接続する二つの中間コア部と、
を備え、
前記第一コイル部及び前記第二コイル部は、前記第二方向に並んで配置された二つの前記中間コア部に少なくとも渡るように分割巻きされ、
前記第一脚部と前記中間コア部との接続される第一接続部は、前記第一方向で前記第一コイル部の巻き回されている範囲内に位置し、
前記第二脚部と前記中間コア部との接続される第二接続部は、前記第一方向で前記第二コイル部の巻き回されている範囲内に位置している
磁気結合型リアクトル。
【請求項2】
前記第一接続部と前記第二接続部との少なくとも一方に、磁気抵抗を増加させる第一セパレータを有する
請求項1に記載の磁気結合型リアクトル。
【請求項3】
前記第一コイル部及び前記第二コイル部は、
前記第一コイル部により前記閉磁路に生ずる磁束の向きに対して、前記第二コイル部により前記閉磁路に生ずる磁束の向きを逆向きとする方向に巻き回されている
請求項1又は2に記載の磁気結合型リアクトル。
【請求項4】
前記第一外側コア部の前記第一脚部のうち前記第一コイル部の巻き回されている範囲内と、前記第二外側コア部の前記第二脚部のうち前記第二コイル部の巻き回されている範囲内との少なくとも一方に、磁気抵抗を増加させる第二セパレータを有する
請求項1から3の何れか一項に記載の磁気結合型リアクトル。
【請求項5】
請求項1から4の何れか一項に記載の磁気結合型リアクトルと、
前記磁気結合型リアクトルの前記第一コイル部と前記第二コイル部とに接続された二相のチョッパ回路と、
入力端子間及び出力端子間に接続された二つの平滑コンデンサと、
を備える昇圧回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、磁気結合型リアクトル及び昇圧回路に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ハイブリッド自動車や電気自動車等の自動車に搭載される磁気結合型リアクトルが記載されている。このリアクトルのリアクトルコアは、U字状の二つの分割コアを有しており、これら分割コアの端面同士を突き合せて閉磁路を構成している。また、特許文献1では、一つのリアクトルコアに対して複数相のコイルを巻き回して、互いの磁束の向きを相反させることで直流磁束を打ち消している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-202633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の磁気結合型リアクトルは、リアクトルコアの端面を突き合せた部分から磁束が漏れ、この漏れ磁束がコイルの巻き線と鎖交することで、巻き線内に渦電流が生じてしまう可能性が有る。このような渦電流の発生は、巻き線の電流密度に偏りを生じさせてしまい、温度上昇を引き起こす可能性が有る。そのため、磁気結合型リアクトルを大型化するなどの対策が必要になるという課題がある。
【0005】
本開示は、このような課題に鑑みてなされたものであり、大型化を抑制しつつ漏れ磁束が巻き線に鎖交することを低減可能な磁気結合型リアクトル及び昇圧回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る磁気結合型リアクトルは、閉磁路を形成するリアクトルコアと、前記リアクトルコアに分割巻きされた第一コイル部と、前記リアクトルコアのうち前記第一コイル部とは第一方向で離間した位置に分割巻きされた第二コイル部と、を備えている。前記リアクトルコアは、第一方向に延びる二つの第一脚部と、前記第一方向の第一側で二つの前記第一脚部を繋ぐ第一基部と、を有する第一外側コア部と、第一方向に延びる二つの第二脚部と、前記第一方向の第二側で二つの前記第二脚部を繋ぐ第二基部と、を有する第二外側コア部と、前記第一方向と交差する第二方向に並んで配置されると共に前記第一方向に連続して一体に延びて前記第一脚部と前記第二脚部とを接続する二つの中間コア部と、を備える。前記第一コイル部及び前記第二コイル部は、少なくとも前記第二方向に並んで配置された二つの前記中間コア部に渡るように分割巻きされ、前記第一脚部と前記中間コア部との接続される第一接続部は、前記第一方向で前記第一コイル部の巻き回されている範囲内に位置し、前記第二脚部と前記中間コア部との接続される第二接続部は、前記第一方向で前記第二コイル部の巻き回されている範囲内に位置している。
【発明の効果】
【0007】
上記態様によれば、大型化を抑制しつつ漏れ磁束が巻き線に鎖交することを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施形態に係る昇圧回路の回路図である。
図2】本開示の一実施形態に係るリアクトルの斜視図である。
図3】本開示の一実施形態に係るリアクトルコアの平面図である。
図4】上記リアクトルを第二方向から見た側面図である。
図5】本開示の一実施形態の変形例に係るリアクトルコアの図3に相当する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の一実施形態について図1図4を参照して詳細に説明する。
<昇圧回路>
図1に示すように、本実施形態の磁気結合型リアクトル10は、インターリーブ方式の昇圧回路100に用いられる磁気結合型リアクトルである。本実施形態の昇圧回路100は、例えば、ハイブリッド油圧ショベル等に搭載された電動機を駆動するインバーターに内蔵されて、キャパシタ等の端子電圧V1をインバーターで必要な電圧V2まで昇圧する。
【0010】
昇圧回路100は、入力端子Ti1,Ti2間に設けられた平滑コンデンサ11Aと、出力端子To1,To2間に設けられた平滑コンデンサ11Bと、多相化(本実施形態では二相化)された昇圧チョッパ回路14と、を備えている。これら二相の昇圧チョッパ回路14は、ハイサイドアーム15とローサイドアーム16とをそれぞれ構成するスイッチング素子12及び還流ダイオード13と、これらハイサイドアーム15のスイッチング素子12とローサイドアーム16のスイッチング素子12との間に接続された磁気結合型リアクトル10とにより構成されている。これら二相の昇圧チョッパ回路14は、互いの位相をずらして駆動される。
【0011】
<磁気結合型リアクトル>
図2に示すように、磁気結合型リアクトル10は、二相の昇圧チョッパ回路14で用いる第一コイル部21及び第二コイル部22と、閉磁路を形成する一つのリアクトルコア23とを備えている。リアクトルコア23は、これら第一コイル部21と第二コイル部22とを磁気結合させている。これら第一コイル部21と第二コイル部22とは、互いの磁束を打ち消すように(図3中、磁束の向きの例を矢印で示す)リアクトルコア23に対して巻き回されている。本実施形態の磁気結合型リアクトル10は、ハイブリッド油圧ショベル等に用いるリアクトルであり、自動車等の車両に用いる磁気結合型リアクトルと比較して大電流が流れる。そのため、本実施形態の磁気結合型リアクトル10は、自動車等の車両に用いるリアクトルと比較して大型である。
【0012】
<リアクトルコア>
図3図4に示すように、リアクトルコア23は、第一外側コア部31と、第二外側コア部32と、二つの中間コア部33と、を備えている。以下の説明においては、第一方向を「Dx」、第一方向と交差する第二方向を「Dy」とする。また、第一方向Dx及び第二方向Dyに交差する第三方向を「Dz」とする。本実施形態におけるリアクトルコア23は、例えば、珪素鋼板等の電磁鋼板を第三方向Dzに複数積層することで形成されている。
【0013】
第一外側コア部31は、二つの第一脚部35と、一つの第一基部36とを備えている。二つの第一脚部35は、何れも第一方向Dxに延びている。本実施形態の二つの第一脚部35は、同一の四角柱形状とされ、第一方向Dxで同一長さを有している。これら二つの第一脚部35は、第二方向Dyに離間して配置されている。第二方向Dyにおける二つの第一脚部35の間隔は、第一コイル部21の線径等に応じて設定されている。
【0014】
第一基部36は、二つの第一脚部35の第一方向Dxの第一側Dx1に配置されて、二つの第一脚部35の間を第二方向Dyに渡るように形成されている。つまり、第一基部36は、第一方向Dxの第一側Dx1で二つの第一脚部35を繋いでいる。本実施形態における第一基部36は、第二方向Dyに延びる四角柱形状とされている。また、第一基部36は、第一脚部35と一体に形成されている。言い換えれば、第一脚部35と第一基部36との間にはギャップ等が形成されず連続している。これにより第一外側コア部31は、第三方向Dzから見てU字状をなしている。本実施形態では、第二方向Dyと垂直な断面における第一基部36の断面積と、第一方向Dxと垂直な断面における第一脚部35の断面積とが同一の場合を例示している。また、二つの第一脚部35の端面35tは、第一方向Dxに垂直な平面とされ、第一方向Dxの第二側Dx2を向いている。
【0015】
第二外側コア部32は、第一方向Dxで第一外側コア部31と対称に形成されている。第二外側コア部32は、二つの第二脚部37と、一つの第二基部38とを備えている。二つの第二脚部37は、何れも第一方向Dxに延びている。本実施形態の二つの第二脚部37は、第一脚部35と同じ四角柱形状とされている。二つの第二脚部37の第一方向Dxの長さは、同一とされている。そして、これら二つの第二脚部37は、第二方向Dyに離間して配置されている。第二方向Dyにおける二つの第二脚部37の間隔は、第二方向Dyにおける二つの第一脚部35の間隔と同一とされている。
【0016】
第二基部38は、第一方向Dxの第二側Dx2で二つの第二脚部37を繋いでいる。言い換えれば、第二基部38は、二つの第二脚部37の第一方向Dxの第二側Dx2に配置されて、二つ第二脚部37の間を第二方向Dyに渡るように形成されている。本実施形態における第二基部38は、第一基部36と同様に、第二方向Dyに延びる四角柱形状とされている。また、第二基部38は、第二脚部37と一体に形成されている。つまり、第二脚部37と第二基部38との間にはギャップ等が形成されず連続している。これにより第二外側コア部32は、第三方向Dzから見てU字状をなしている。本実施形態では、第二方向Dyと垂直な断面における第二基部38の断面積と、第一方向Dxと垂直な断面における第二脚部37の断面積とが同一の場合を例示している。また、二つの第二脚部37の端面37tは、第一方向Dxに垂直な平面とされ、第一方向Dxの第一側Dx1を向いている。
【0017】
中間コア部33は、第一方向Dxに延びている。中間コア部33は、第一方向Dxに連続して一体に形成されている。言い換えれば、中間コア部33は、その第一方向Dxの中途に、第一方向Dxと交差する方向に延びる接合面などの切れ目を有していない。
【0018】
中間コア部33は、上述した第一外側コア部31の第一脚部35と、第二外側コア部32の第二脚部37とを接続している。具体的には、中間コア部33は、第二方向Dyで同一位置に配置された第一脚部35と第二脚部37とを接続している。つまり、本実施形態の中間コア部33は、第二方向Dyに並んで二つ配置されている。さらに、本実施形態の中間コア部33は、第一脚部35及び第二脚部37を第一方向Dxに延長するように形成されている。具体的には、本実施形態の中間コア部33は、四角柱形状をなしており、第一方向Dxと垂直な断面において、中間コア部33の断面積と、第一脚部35の断面積及び第二脚部37の断面積とは同一になっている。
【0019】
本実施形態における中間コア部33と第一脚部35とを接続する第一接続部41、及び、中間コア部33と第二脚部37とを接続する第二接続部42には、第一セパレータ39が設けられている。この第一セパレータ39は、磁気抵抗を増加させて磁気飽和を低減するためのギャップを形成している。本実施形態の第一セパレータ39は、例えば、エポキシ、アルミナ等の耐熱性に優れた材料を用いることができる。なお、第一セパレータ39は、必要に応じて設ければ良い。
【0020】
<コイル>
第一コイル部21と第二コイル部22とは、銅線等の線材をソレノイド状に巻回して形成されている。第一コイル部21と第二コイル部22とは、リアクトルコア23に分割巻きされている。第一コイル部21と第二コイル部22とは、少なくとも第二方向Dyに並んで配置された二つの中間コア部33(以下の説明では、第一中間コア部33A、第二中間コア部33Bと称する)に渡るように分割巻きされている。
【0021】
本実施形態の第一コイル部21は、直列接続された二つの第一分割コイル部21A,21Bを有している。第一分割コイル部21Aは、少なくとも第一中間コア部33Aに巻き回され、第一分割コイル部21Bは、少なくとも第二中間コア部33Bに巻き回されている。本実施形態の第一分割コイル部21A,21Bは、それぞれ第一方向Dxで第一外側コア部31の第一脚部35と中間コア部33とに渡るように巻き回されている。同様に、本実施形態の第二コイル部22は、直列接続された二つの第二分割コイル部22A,22Bを有している。第二分割コイル部22Aは、少なくとも第一中間コア部33Aに巻き回され、第二分割コイル部22Bは、少なくとも第二中間コア部33Bに巻き回されている。本実施形態の第二分割コイル部22A,22Bは、それぞれ第一方向Dxで第二外側コア部32の第二脚部37と中間コア部33とに渡るように巻き回されている。
【0022】
第一コイル部21の二つの第一分割コイル部21A,21Bの巻き線の巻き方向は、これら二つの第一分割コイル部21A,21Bにより発生するリアクトルコア23の閉磁路における磁束の向きが同一となる方向とされている。同様に、第二コイル部22の二つの第二分割コイル部22A,22Bの巻き線の巻かれる方向は、これら二つの第二分割コイル部22A,22Bにより発生するリアクトルコア23の閉磁路における磁束の向きが同一となる方向とされている。一方で、第一分割コイル部21A,21Bの巻き線と第二分割コイル部22A,22Bの巻き線とは、第一分割コイル部21A,21Bにより発生する磁束と、第二分割コイル部22A,22Bにより発生する磁束と、が互いに打ち消し合うように反対向きに巻かれている。
【0023】
本実施形態の第一コイル部21と、第二コイル部22とは、同一の巻き数とされている。そして、二つの第一分割コイル部21A,21Bは互いに同一巻き数とされ、二つの第二分割コイル部22A,22Bは互いに同一巻き数とされている。これら第一コイル部21と第二コイル部22とは、第一方向Dxに離間して配置されている。つまり、第一中間コア部33Aに巻き回された第一分割コイル部21Aと第二分割コイル部22Aとは、第一方向Dxに離間しており、第二中間コア部33Bに巻き回された第一分割コイル部21Bと第二分割コイル部22Bとは、第一方向Dxに離間している。本実施形態では、第一中間コア部33Aに巻き回された第一分割コイル部21Aと第二分割コイル部22Bとの間の距離は、第二中間コア部33Bに巻き回された第一分割コイル部21Bと第二分割コイル部22Bとの間の距離と同一に設定されている。
【0024】
第一脚部35と中間コア部33との接続される第一接続部41は、第一方向Dxで第一コイル部21の巻き回されている範囲内に位置している。同様に、第二脚部37と中間コア部33との接続される第二接続部42は、第一方向Dxで第二コイル部22の巻き回されている範囲内に位置している。言い換えれば、第一接続部41は、第一コイル部21によって第二方向Dy及び第三方向Dzから覆われ、第二接続部42は、第二コイル部22によって第二方向Dy及び第三方向Dzから覆われている。
【0025】
本実施形態における第一接続部41は、第一方向Dxにおける第一コイル部21の両端部から等距離となる中間部21Cに位置している。同様に、第二接続部42は、第一方向Dxにおける第二コイル部22の両端部から等距離となる中間部22Cに位置している場合を例示している。なお、第一接続部41は、上記中間部21Cに位置する場合に限られない。例えば、第一方向Dxにおける第一コイル部21の両端部よりも第一コイル部21の中間部21C側に位置していればよい。また、第一接続部41は、第一方向Dxにおける第一コイル部21の両端部よりも第一コイル部21の上記中間部21Cに近い側に位置してもよい。同様に、第二接続部42は、第二コイル部22の上記中間部22Cに位置する場合に限られない。例えば、第一方向Dxにおける第二コイル部22の両端部よりも中間部22C側に位置していればよい。また、第二接続部42は、第一方向Dxにおける第二コイル部22の両端部よりも第二コイル部22の上記中間部22Cに近い側に位置してもよい。
【0026】
<作用効果>
以上のように、本実施形態の磁気結合型リアクトル10では、第一コイル部21及び第二コイル部22は、第二方向Dyに並んで配置された二つの中間コア部33に少なくとも渡るように分割巻きされている。そして、第一脚部35と中間コア部33との接続される第一接続部41は、第一方向Dxで第一コイル部21の巻き回されている範囲内に位置し、第二脚部37と中間コア部33との接続される第二接続部42は、第一方向Dxで第二コイル部22の巻き回されている範囲内に位置している。そして、中間コア部33は、第一方向Dxに連続して一体に延びている。この場合、第一コイル部21と第二コイル部22との間に、リアクトルコア23の継ぎ目である第一接続部41や第二接続部42が配置されない。したがって、リアクトルコア23の継ぎ目から漏れた磁束が、第一方向Dxにおける第一コイル部21及び第二コイル部22の端部に鎖交することを抑制して、第一コイル部21及び第二コイル部22に生じる渦電流を低減することができる。
【0027】
本実施形態では、更に、第一接続部41と第二接続部42との少なくとも一方に、磁気抵抗を増加させる第一セパレータ39を有している。このように第一セパレータ39を有している場合には、第一接続部41や第二接続部42からの漏れ磁束が増大するが、第一接続部41や第二接続部42が第一コイル部21や第二コイル部22の巻き回される範囲内に位置するため、第一セパレータ39を有した第一接続部41や第二接続部42からの漏れ磁束の影響を有効に抑えることができる。
【0028】
本実施形態では、更に、第一コイル部21によって生ずる磁束の向きに対して、第二コイル部22により生ずる磁束の向きを逆向きとしている。この場合、図3に示すように、第一方向Dxにおける第一コイル部21と第二コイル部22との間で、互いの磁束が打ち消し合う。そのため、リアクトルコア23が大型化することを抑制できる。またこの際、例えば、第一コイル部21と第二コイル部22との間にリアクトルコア23の継ぎ目が存在した場合、この継ぎ目から漏れる磁束が特に増大するが、第一コイル部21と第二コイル部22との間にリアクトルコア23の継ぎ目が存在していないため、漏れ磁束の増大を抑えることができる。
【0029】
本実施形態では、更に、例えば、第一方向Dxに一体に延びる中間コア部33の長さを変更するだけで第一コイル部21と第二コイル部22との結合度を調整することができる。そのため、結合度を変更するためにリアクトルコア23自体を変更する場合と比較して、容易に結合度を変更することが可能となる。
【0030】
本実施形態の昇圧回路100では、上記磁気結合型リアクトル10を備えることで小型化を図ることができるため、昇圧回路100の設置自由度を向上することが可能となる。
【0031】
<実施形態の変形例>
次に、上述した実施形態の変形例について図5を参照して説明する。この実施形態の変形例は、上記実施形態と第一外側コア部及び第二外側コア部の構成が異なるだけであるため、上記実施形態と同一部分に同一符号を付して説明すると共に、重複する説明を省略する。
【0032】
図5に示すように、この変形例における磁気結合型リアクトル210は、第一コイル部21及び第二コイル部22と、リアクトルコア223とを備えている。リアクトルコア223は、上記実施形態のリアクトルコア23と同様に、第一コイル部21と第二コイル部22とを磁気結合させる一つの閉磁路を形成している。そして、第一コイル部21と第二コイル部22とは、互いの磁束を打ち消すようにリアクトルコア223に対して巻き回されている。
【0033】
リアクトルコア223は、第一外側コア部231と、第二外側コア部232と、二つの中間コア部33と、を備えている。
第一外側コア部231は、二つの第一脚部235と、一つの第一基部36とを備えている。二つの第一脚部235は、何れも第一方向Dxに延びている。二つの第一脚部235は、同一の四角柱形状とされ、第一方向Dxで同一長さを有している。これら二つの第一脚部235は、第二方向Dyに離間して配置されている。第二方向Dyにおける二つの第一脚部235の間隔は、第一コイル部21の線径等に応じて設定されている。
【0034】
第一脚部235は、脚部本体235Aと、分割脚部235Bと、を備えている。脚部本体235Aと、分割脚部235Bとは、第一方向Dxに並んで配置されている。分割脚部235Bは、脚部本体235Aを第一方向Dxの第二側Dx2へ延長するように形成され、脚部本体235Aと第一方向Dxで離間している。この変形例では、第一方向Dxにおける脚部本体235Aの第二側Dx2の端面235Atと分割脚部235Bの両端面235Btとが、何れも第一方向Dxと交差する方向に広がっている。この変形例における端面235At、235Btは、互いに平行な平面に形成されている。なお、端面235At、235Btの形状は、第一方向Dxと交差する方向に広がっていればよく、互いに平行な平面に限られない。また、この変形例で例示する脚部本体235A及び分割脚部235Bの第一方向Dxにおける長さ寸法は、同一となっているが、これら長さ寸法は同一に限られない。
【0035】
第一基部36は、上記実施形態の第一基部36と同一構成であり、第一方向Dxの第一側Dx1で二つの第一脚部235を繋いでいる。言い換えれば、第一基部36は、二つの第一脚部235の第一方向Dxの第一側Dx1に配置されて、二つの第一脚部35の間を第二方向Dyに渡るように形成されている。
【0036】
第二外側コア部232は、第一方向Dxで第一外側コア部231と対称に形成されている。第二外側コア部232は、二つの第二脚部237と、一つの第二基部38とを備えている。二つの第二脚部237は、何れも第一方向Dxに延びている。本実施形態の二つの第二脚部237は、第一脚部235と同じ四角柱形状とされている。二つの第二脚部237の第一方向Dxの長さは、同一とされている。これら二つの第二脚部237は、第二方向Dyに離間して配置されている。第二方向Dyにおける二つの第二脚部237の間隔は、第二方向Dyにおける二つの第一脚部235の間隔と同一とされている。
【0037】
第二脚部237は、脚部本体237Aと、分割脚部237Bと、を備えている。脚部本体237Aと、分割脚部237Bとは、第一方向Dxに並んで配置されている。分割脚部237Bは、脚部本体237Aを第一方向Dxの第一側Dx1へ延長するように形成され、脚部本体237Aと第一方向Dxで離間している。上記第一脚部235と同様に、この変形例では、第一方向Dxにおける脚部本体237Aの第一側Dx1の端面237Atと分割脚部237Bの両端面237Btとが、何れも第一方向Dxと交差する方向に広がっている。この変形例における端面237At、237Btは、互いに平行な平面に形成されている。なお、端面237At、237Btの形状は、第一方向Dxと交差する方向に広がっていればよく、互いに平行な平面に限られない。また、この変形例で例示する脚部本体237A及び分割脚部237Bの第一方向Dxにおける長さ寸法は、同一となっているが、これら長さ寸法は同一に限られない。
【0038】
第二基部38は、上記実施形態の第二基部38と同一構成であり第一方向Dxの第一側Dx1で二つの第二脚部37を繋いでいる。言い換えれば、第二基部38は、二つの第二脚部237の第一方向Dxの第二側Dx2に配置されて、二つの第二脚部237の間を第二方向Dyに渡るように形成されている。
【0039】
第一脚部235の脚部本体235Aと分割脚部235Bとの間(以下、第三接続部43と称する)、及び、第二脚部237の脚部本体237Aと分割脚部237Bとの間(以下、第四接続部44と称する)には、それぞれ第二セパレータ239が配置されている。第二セパレータ239は、上述した第一セパレータ39と同様の構成であり、例えば、エポキシ、アルミナ等の耐熱性に優れた材料を用いることができる。この第二セパレータ239により第一脚部235内及び第二脚部237内における第一方向Dxの磁気抵抗が増加されている。
【0040】
第一脚部235に設けられた第二セパレータ239(言い換えれば、第三接続部43)は、第一方向Dxで第一コイル部21の巻き回されている範囲内に配置されている。同様に、第二脚部237に設けられた第二セパレータ239(言い換えれば、第四接続部44)は、第一方向Dxで第二コイル部22の巻き回されている範囲内に配置されている。
【0041】
ここで、上記実施形態と同様に、第一脚部235と中間コア部33との接続される第一接続部41は、第一方向Dxで第一コイル部21の巻き回されている範囲内に位置している。同様に、第二脚部37と中間コア部33との接続される第二接続部42は、第一方向Dxで第二コイル部22の巻き回されている範囲内に位置している。つまり、第一接続部41、第二接続部42、第三接続部43及び第四接続部44は、何れも第一方向Dxで第一コイル部21又は第二コイル部22の巻き回されている範囲内に位置しており、第一接続部41、第二接続部42、第三接続部43及び第四接続部44は、第一コイル部21又は第二コイル部22に覆われている。
【0042】
この変形例において、第一接続部41と第三接続部43とは、第一コイル部21の中間部21Cを基準として第一方向Dxで対称な位置に形成され、第二接続部42と第四接続部44とは、第二コイル部22の中間部22Cを基準として第一方向Dxで対称な位置に形成されている。より具体的には、この変形例では、第一コイル部21を第一方向Dxに三等分した場合の境界位置に、それぞれ第一接続部41と第三接続部43とが位置し、第二コイル部22を第一方向Dxに三等分した場合の境界位置に、それぞれ第二接続部42と第四接続部44とが位置している場合を例示しているが、第一接続部41から第四接続部44の位置は、上記位置に限られるものでは無い。
【0043】
<作用効果>
以上のように、本実施形態の変形例における磁気結合型リアクトル10では、第一外側コア部231の第一脚部235のうち第一コイル部21の巻き回されている範囲内と、第二外側コア部232の第二脚部237のうち第二コイル部22の巻き回されている範囲内に磁気抵抗を増加させる第二セパレータ239を有している。この場合、リアクトルコア223に形成されるエアギャップ数を増加させることができるため、磁気飽和が生じることを抑えることができる。さらに、第一セパレータ39及び第二セパレータ239を第一コイル部21又は第二コイル部22により覆うことができるため、これら第一セパレータ39及び第二セパレータ239から漏れる磁束が第一コイル部21及び第二コイル部22に鎖交することを抑制して、第一コイル部21及び第二コイル部22に生じる渦電流を低減することができる。
【0044】
上記変形例では、上記実施形態と同様に、第一方向Dxに一体に延びる中間コア部33の長さを変更するだけで第一コイル部21と第二コイル部22との結合度を調整することができる。そのため、結合度を変更するためにリアクトルコア223自体を変更する場合と比較して、容易に結合度を変更することが可能となる。
【0045】
<その他の実施形態>
以上、本開示の実施の形態について説明したが、本開示はこれに限定されることなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
上記実施形態では、本開示をハイブリッド油圧ショベルの昇圧回路100に適用した例について説明したが、他の昇圧回路に適用してもよい。
上記実施形態のリアクトルコア23は、電磁鋼板を積層して形成した場合を例示した。しかし、リアクトルコア23は、軟磁性粉末を含む原料粉末を加圧成形して形成するようにしてもよい。原料粉末に含まれる軟磁性粉末としては、軟磁性材料である様々な合金や純鉄等の粉末を例示できる。
【0046】
上記実施形態及び変形例では、第一外側コア部31及び第二外側コア部32が、四角柱形状の組み合わせにより形成される場合について説明した。しかし、第一外側コア部31及び第二外側コア部32は、第三方向Dzから見てU字状を呈していればよく、上記形状に限られるものではない。また、中間コア部33が第一方向Dxに直線状に延びる場合について例示したが、直線状に限られるものではなく、例えば、曲線状であったり、曲線や直線等を適宜組み合わせた形状であったりしてもよい。
【0047】
上記実施形態の変形例では、第一外側コア部231の第一脚部235のうち第一コイル部21の巻き回されている範囲内と、第二外側コア部232の第二脚部237のうち第二コイル部22の巻き回されている範囲内との両方に、磁気抵抗を増加させる第二セパレータ239を備える場合について説明したが、第二セパレータ239は、第一外側コア部231の第一脚部235のうち第一コイル部21の巻き回されている範囲内と、第二外側コア部232の第二脚部237のうち第二コイル部22の巻き回されている範囲内との少なくとも一方に設ければ良い。
【0048】
さらに、上記変形例では、第一分割コイル部21A,21B、第二分割コイル部22A,22Bのうちの一つの分割コイル部の巻き回される範囲内に第一セパレータ39と第二セパレータ239との二つのセパレータを設ける場合について説明したが、第一方向Dxに間隔をあけて三つ以上のセパレータ(言い換えればエアギャップ)を設けるようにしてもよい。
【0049】
上記実施形態及び変形例における第一外側コア部31,231と中間コア部33との間、及び、第二外側コア部32,232と中間コア部33との間には、第一脚部35,235、第二脚部37,237を第一方向Dxに延長するように形成された他のコア部を設けてもよい。
上記実施形態の第一コイル部21とリアクトルコア23との間、及び、第二コイル部22とリアクトルコア23との間には、適宜、合成樹脂等からなる絶縁材を配置してもよい。
【符号の説明】
【0050】
10…磁気結合型リアクトル 11A,11B…平滑コンデンサ 12…スイッチング素子 13…還流ダイオード 14…昇圧チョッパ回路 15…ハイサイドアーム 16…ローサイドアーム 21…第一コイル部 21A,21B…第一分割コイル部 21C…中間部 22…第二コイル部 22A,22B…第二分割コイル部 22C…中間部 23,223…リアクトルコア 31,231…第一外側コア部 32,232…第二外側コア部 33…中間コア部 33A…第一中間コア部 33B…第二中間コア部 35,235…第一脚部 35t…端面 36…第一基部 37,237…第二脚部 37t…端面 38…第二基部 39…第一セパレータ 41…第一接続部 42…第二接続部 43…第三接続部 44…第四接続部 235A…脚部本体 235At…端面 235B…分割脚部 235Bt…端面 237A…脚部本体 237At…端面 237B…分割脚部 237Bt…端面 239…第二セパレータ
図1
図2
図3
図4
図5