(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103334
(43)【公開日】2023-07-26
(54)【発明の名称】LIDARシステム内における送信および受信モードの空間的変位の提供
(51)【国際特許分類】
G01S 7/481 20060101AFI20230719BHJP
G01S 17/931 20200101ALI20230719BHJP
G01C 3/06 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G01S17/931
G01C3/06 120Q
G01C3/06 140
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023077302
(22)【出願日】2023-05-09
(62)【分割の表示】P 2021563052の分割
【原出願日】2020-02-10
(31)【優先権主張番号】62/837,050
(32)【優先日】2019-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519174791
【氏名又は名称】ブラックモア センサーズ アンド アナリティクス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】ロジャーズ・エヴァン
(72)【発明者】
【氏名】ギャロウェイ・ライアン
(72)【発明者】
【氏名】バーバー・ゼブ
(72)【発明者】
【氏名】スピレイン・ショーン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】LIDARを使用して距離の光学的検出を提供するためのシステムおよび方法に関する。
【解決手段】装置は、トランシーバーと1つ以上の光学機器とを含む。トランシーバーは、送信モードでレーザーソースから送信信号を送信し、受信モードでオブジェクトによって反射したリターン信号を受信するように構成される。1つ以上の光学機器は、送信信号とリターン信号との間の距離を光学的に変更することにより、送信モードと受信モードを空間的に分離するように構成される。
【選択図】
図2i
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光検出および距離測定(LIDAR)システムとして、
送信モードでレーザーソースからの送信信号を送信し、受信モードでオブジェクトによって反射したリターン信号を受信するように構成されたトランシーバーと、
前記送信信号と前記リターン信号との間の距離を光学的に変更することにより、前記送信モードと前記受信モードを空間的に分離するように構成された1つ以上の光学機器と、を含むLIDARシステム。
【請求項2】
前記トランシーバーは、送信導波管および受信導波管を含むバイスタティックトランシーバーであり、そして、
前記1つ以上の光学機器は、前記バイスタティックトランシーバーと前記オブジェクトとの間に位置する請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項3】
前記1つ以上の光学機器は、前記送信信号と前記リターン信号のうちの1つの信号を前記送信信号と前記リターン信号のうちの前記1つの信号の方向に直交する方向に変位させるように構成された複屈折ディスプレーサを含む請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項4】
前記送信導波管から送信された前記送信信号を成形し、前記オブジェクトによって反射したリターン信号を成形するように構成されたコリメート光学機器をさらに含む請求項3に記載のLIDARシステム。
【請求項5】
前記送信信号と前記リターン信号の直交フィールド成分との間の相対位相を調整するように構成された偏光変換光学機器をさらに備え、
前記複屈折ディスプレーサおよび前記偏光変換光学機器は、前記バイスタティックトランシーバーと前記コリメート光学機器との間に位置する請求項4に記載のLIDARシステム。
【請求項6】
前記受信導波管は、前記送信導波管から間隔だけ離隔し、
前記複屈折ディスプレーサは、前記送信信号と前記リターン信号のうちの1つの信号を前記送信信号と前記リターン信号のうちの前記1つの信号の方向と直交する距離だけ変位させるように構成され、そして、
前記距離は、前記間隔に基づいている請求項2に記載のLIDARシステム。
【請求項7】
前記複屈折ディスプレーサは、前記装置の縦軸に沿った寸法を有し、前記寸法は、前記距離が前記間隔とほぼ同じになるように大きさが形成される請求項6に記載のLIDARシステム。
【請求項8】
前記複屈折ディスプレーサは、前記間隔に基づいて前記リターン信号を変位させるが、前記変位したリターン信号が前記受信導波管に入射するように前記送信信号を変位させることなく、前記リターン信号を変位させるように構成される請求項6に記載のLIDARシステム。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のうち、いずれかの記載のLIDARシステムおよび1つ以上のプロセッサーを含む自律車両制御システムとして、
前記1つ以上のプロセッサーは、
前記トランシーバーをして送信モードでレーザーソースから送信信号を送信し、受信モードでオブジェクトによって反射したリターン信号を受信するようにし、
前記1つ以上の光学機器をして前記送信信号と前記リターン信号との間の距離を光学的に変更することにより、前記送信モードと前記受信モードを空間的に分離させるように構成された自律車両制御システム。
【請求項10】
前記1つ以上の光学機器は、複屈折ディスプレーサを含み、
前記1つ以上のプロセッサーは、前記複屈折ディスプレーサをして、前記送信信号と前記リターン信号のうちの1つの信号を前記送信信号と前記リターン信号のうちの前記1つの信号の方向に直交する方向に変位させるように構成された請求項9に記載の自律車両制御システム。
【請求項11】
前記1つ以上のプロセッサーは、コリメート光学機器をして前記送信導波管から送信された送信信号を成形し、前記オブジェクトによって反射した前記リターン信号を成形させるように構成され、
前記1つ以上のプロセッサーは、偏光変換光学機器をして前記送信信号と前記リターン信号の直交フィールド成分との間の相対位相を調整させるように構成され、
前記複屈折ディスプレーサと前記偏光変換光学機器は、前記バイスタティックトランシーバーと前記コリメート光学機器との間に位置する請求項10に記載の自律車両制御システム。
【請求項12】
請求項1ないし請求項8のうち、いずれかの記載のLIDARシステムを使用する方法として、
レーザーソースからの送信信号を前記トランシーバーの送信導波管から送信するステップと、
前記トランシーバーの受信導波管によってオブジェクトによって反射したリターン信号を受信するステップと、
複屈折ディスプレーサによって、前記送信信号と前記リターン信号のうちの1つの信号を前記送信信号と前記リターン信号のうちの前記1つの信号の方向と直交する方向に変位させるステップと、を含み、
前記複屈折ディスプレーサは、前記トランシーバーと前記オブジェクトとの間に位置する方法。
【請求項13】
前記受信導波管は、前記送信導波管から間隔だけ離隔しており、
前記変位は、前記送信信号と前記リターン信号のうちの1つの信号を前記送信信号と前記リターン信号のうちの前記1つの信号の方向に直交する距離だけ変位させることを含み、前記距離は、前記間隔に基づいている請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記受信導波管は、前記送信導波管から間隔だけ離隔しており、前記変位は、前記複屈折ディスプレーサによって前記リターン信号を前記間隔に基づいて前記リターン信号の方向に直交する方向に変位させるが、前記変位したリターン信号が前記受信導波管に入射するように前記送信信号を前記送信信号の方向に直交する方向に変位させることなく、前記リターン信号を変位させることを含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
偏光変換光学機器によって、前記送信信号と前記リターン信号の直交フィールド成分の相対位相を調整するステップと、
コリメート光学機器によって、前記送信導波管から送信された前記送信信号および前記オブジェクトから反射した前記リターン信号を成形するステップと、をさらに含み、
前記複屈折ディスプレーサおよび前記偏光変換光学機器は、前記トランシーバーと前記コリメート光学機器との間に位置する請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願についての相互参照
本出願は、全体の開示内容が本明細書に参照として含まれる2019年4月22日付に出願された米国臨時出願番号第62/837、050号についての利益およびその優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
光学検出および距離測定(Light Detection and Ranging)のためのニーモニック(Mnemonic)であるLIDAR(ライダ)として参照され、時には、レーザーRADARとも呼ばれるレーザーを用いる光学距離検出は、高度測定からイメージング、衝突回避に至るまで様々なアプリケーションのために使用される。LIDARは、RADAR(Radio-wave Detection and Ranging)のような従来のマイクロ波距離測定システム(Microwave Ranging System)よりも小さいビームの大きさでより微細なスケール範囲(Scale Range)の解像度を提供する。距離の光学検出は、オブジェクトについての光パルスの往復移動時間(Round Trip Travel Time)に基づく直接距離測定と送信されたチャープされた(Chirped)光信号と、オブジェクトから散乱してリターンされた信号との間の周波数差に基づいているチャープ検出と、自然信号から区別可能な一連の単一周波数位相変化のシーケンスに基づく位相エンコードされた検出(Phase-Encoded Detection)を含む様々な他の技術を用いて行われ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示内容の実施例は、概括的に、コヒーレントLIDARにおいて送信および受信モードの空間的変位(Spatial Displacement)を提供するためのシステムおよび方法を含むが、これに限定されないLIDARを使用して距離の光学的検出を提供するためのシステムおよび方法に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1セットの実施例において、装置は、トランシーバーおよび自由空間光学機器を含む。トランシーバーは、送信経路に沿ってレーザーソースから第1信号を送信し、ターゲットによって反射した第2信号を受信するように構成され得る。自由空間光学機器は、第2信号が送信経路で受信されないように、受信経路に沿って第2信号を指向するように構成され得る。トランシーバーは、単一モード導波管を含むモノスタティックトランシーバー(Monostatic Transceiver)であり得る。自由空間光学機器は、レーザーソースと単一モード導波管との間に位置し得る。一部の実施例において、自由空間光学機器は、光サーキュレータ、光アイソレータ、偏光ビームスプリッタ/結合器、または光ファイバ結合の光サーキュレータのうちの1つである。一部の実施例において、自由空間光学機器は、光アイソレータまたは偏光ビームスプリッタ/結合器のうちの1つである。自由空間光学機器は、第1偏光で送信経路からの第1信号を偏光させ、第1偏光に直交する第2偏光で第2信号を偏光させるように構成され得る。一部の実施例において、自由空間光学機器は、送信経路に接続された第1ポート、単一モード導波管の先端に接続された第2ポート、および受信経路に接続された第3ポートを含む光ファイバ結合の光サーキュレータであり得る。自由空間光学機器は、第1ポートから第2ポート方向への信号の移動を許容し、第2ポートから第1ポートへの信号の移動を許容しないように構成され得る。自由空間光学機器は、第2ポートから第3ポート方向への信号の移動を許容し、第3ポートから第2ポートへの信号の移動を許容しないように構成され得る。一部の実施例において、装置は、単一モード導波管とターゲットとの間に位置したコリメート光学機器をさらに含み得る。コリメート光学機器は、単一モード導波管から送信された第1信号をコリメートし、第2信号を単一モード導波管の先端にフォーカシングさせるように構成され得る。
【0005】
第2セットの実施例において、装置は、トランシーバーおよび自由空間光学機器を含む。トランシーバーは、送信モードでレーザーソースから第1信号を送信し、受信モードでターゲットによって反射した第2信号を受信するように構成され得る。自由空間光学機器は、第1信号と第2信号との間の距離を光学的に変更することによって、送信モードと受信モードを空間的に分離するように構成され得る。一部の実施例において、トランシーバーは、送信導波管および受信導波管を含むバイスタティックトランシーバー(Bistatic Transceiver)であり得る。自由空間光学機器は、バイスタティックトランシーバーとターゲットとの間に位置し得る。一部の実施例において、自由空間光学機器は、第1信号と第2信号のうちの1つの信号を第1信号と第2信号のうちの1つの信号の方向に直交する方向に変位させるように構成された複屈折ディスプレーサ(Birefringent Displacer)であり得る。一部の実施例において、装置は、送信導波管から送信された第1信号を成形(Shape)し、ターゲットによって反射した第2信号を成形するように構成されたコリメート光学機器をさらに含み得る。一部の実施例において、装置は、第1信号と第2信号の直交フィールド成分の間の相対位相を調整するように構成された偏光変換光学機器をさらに含み得る。複屈折ディスプレーサおよび偏光変換光学機器は、バイスタティックトランシーバーとコリメート光学機器との間に位置し得る。一部の実施例において、受信導波管は、送信導波管から間隔だけ離隔し得る。複屈折ディスプレーサは、第1信号と第2信号のうちの1つの信号を第1信号と第2信号のうちの1つの信号の方向と直交する距離だけ変位させるように構成され得る。距離は、間隔に基づく可能性がある。一部の実施例において、複屈折ディスプレーサは、装置の縦軸に沿った寸法を有し得、寸法は、距離が間隔とほぼ同じになるように大きさが形成される。一部の実施例において、複屈折ディスプレーサは、第1信号を変位させないようにし、変位した第2信号が受信導波管に入射するように、第2信号を間隔に基づいて変位させるように構成され得る。
【0006】
第3セットの実施例において、方法は、レーザーソースからトランシーバーの送信導波管からの第1信号を送信するステップを含む。方法は、トランシーバーの受信導波管によってターゲットによって反射した第2信号を受信するステップを含み得る。方法は、複屈折ディスプレーサにより、第1信号と第2信号のうちの1つの信号を第1信号と第2信号のうちの1つの信号の方向と直交する方向に変位させるステップを含み得る。複屈折ディスプレーサは、トランシーバーとターゲットとの間に位置し得る。受信導波管は、送信導波管から間隔だけ離隔し得る。変位は、第1信号と第2信号のうちの1つの信号を第1信号と第2信号のうちの1つの信号の方向と直交する距離だけ変位させることを含み得、距離は、間隔に基づく。受信導波管は、送信導波管から間隔だけ離隔し得る。変位は、第1信号を第1信号の方向と直交する方向に変位させることなく、複屈折ディスプレーサによって第2信号を変位した第2信号が受信導波管に入射するように、間隔に基づく第2信号の方向と直交する方向に変位させることを含み得る。一部の実施例において、方法は、偏光変換光学機器によって第1信号と第2信号の直交フィールド成分との間の相対位相を調整するステップを含み得る。方法は、コリメート光学機器によって送信導波管から送信された第1信号およびターゲットから反射した第2信号を成形するステップを含み得る。複屈折ディスプレーサおよび偏光変換光学機器は、トランシーバーとコリメート光学機器との間に位置し得る。一部の実施例において、調整ステップは、偏光変換光学機器によって第1信号の第1線形偏光を第1方向の第1円偏光に調整し、偏光変換光学機器によってターゲットによって反射した第2信号の第2円偏光を第1線形偏光に直交する第2線形偏光に調整することを含み、第2円偏光は、第1方向とは反対の第2方向を有し得る。一部の実施例において、変位は、複屈折ディスプレーサのうち、第1複屈折ディスプレーサによって第1信号の第1成分を変位させるが、第1成分の第1線形偏光に基づいて変位させ、第1信号の第2成分を変位させないが、第1線形偏光に直交する第2成分の第2線形偏光に基づいて変位させないことを含み得る。調整は、偏光変換光学機器によって第1成分の第1線形偏光を第2線形偏光に回転させ、第2成分の第2線形偏光を第1線形偏光に回転させることを含み得る。変位は、複屈折ディスプレーサのうち、第2複屈折ディスプレーサによって偏光変換光学機器から入射する第1信号の第2成分を変位させるが、第2成分の第1線形偏光に基づいて変位させ、第1信号の第1成分を変位させないが、第1成分の第2線形偏光に基づいて変位させないことを含み得る。
【0007】
また他の様態、特徴および長所は、本開示内容を行うために考慮される最上のモードを含む多数の特定の実施例および実装例を単純に例示する以下の詳細な説明から容易に理解できる。また、他の実施例は、また他のおよび異なる特徴および長所を有し得、これらの多くの具体的内容は、本開示内容の思想および範囲を逸脱することなく、様々な明白な側面で修正できる。したがって、図面および説明は、制限的であるものではなく、本質的に例示的であるものとみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
添付された図面における実施例は、制限的な方式ではなく、例示的な方式で説明され、類似の参照番号については、類似の要素を指す。
【0009】
【
図1a】一実施例によって一連の2進数(Binary Digit)の例示的な送信された信号を距離の測定のためにリターンされた光信号とともに示す概略的なグラフであり、
【
図1b】一実施例によって基準信号の例示的なスペクトルとドップラーシフトされたリターン信号(Doppler Shifted Return Signal)の例示的なスペクトルを示す概略的なグラフであり、
【
図1c】一実施例によってドップラーシフトされたリターン信号の位相成分の例示的な交差-スペクトル(Cross-Spectrum)を示す概略的なグラフであり、
【
図1d】一実施例によって例示的な光チャープ(Optical Chirp)距離測定を示す一連のグラフであり、
【
図1e】対称LO信号を使用するグラフであって、一実施例によってドップラーシフトがないとき、リターン信号を周波数時間プロット(Frequency Time Plot)で破線として示し、
【
図1f】対称LO信号を使用する
図1eと同様のグラフであって、一実施例によって非ゼロドップラーシフトがあるとき、リターン信号を周波数時間プロットで破線として示し、
【
図2a】一実施例によって高解像度(Hi-res)LIDARシステムの例示的なコンポネントを示すブロック図であり、
【
図2b】一部の実施例で使用される高解像度ドップラーシステムのための鋸歯状(Saw Tooth)スキャンパターンを示すブロック図であり、
【
図2c】一実施例によって高解像度ドップラーLIDARシステムによって生成された例示的な速度ポイントクラウド(Speed Point Cloud)を示すイメージであり、
【
図2d】一実施例によって高解像度LIDARシステムの例示的なコンポネントを示すブロック図であり、
【
図2e】一実施例によってバイスタティック(Bistatic)LIDARシステムの例示的なコンポネントの側面図を示すブロック図であり、
【
図2f】一実施例によって
図2eの例示的なコンポネントの上面図を示すブロック図であり、
【
図2g】一実施例によってモノスタティック(Monostatic)LIDARシステムの例示的なコンポネントの側面図を示すブロック図であり、
【
図2h】一実施例によってモノスタティックLIDARシステムの例示的なコンポネントの上面図を示すブロック図であり、
【
図2i】一実施例によってバイスタティックLIDARシステムの例示的なコンポネントの上面図を示すブロック図であり、
【
図2j】一実施例によってバイスタティックLIDARシステムの例示的なコンポネントの上面図を示すブロック図であり、
【
図2k】一実施例によってバイスタティックLIDARシステムの例示的なコンポネントの上面図を示すブロック図であり、
【
図2l】一実施例によって
図2iのLIDARシステムのバイスタティックトランシーバー(Bistatic Transceiver)の正面図を示すブロック図であり、
【
図2m】一実施例によって
図2iのLIDARシステムのバイスタティックトランシーバーの正面図を示すブロック図であり、
【
図2n】一実施例によってバイスタティックLIDARシステムの例示的なコンポネントの上面図を示すブロック図であり、
【
図2o】一実施例によってバイスタティックLIDARシステムの例示的なコンポネントの上面図を示すブロック図であり、
【
図3a】一実施例によって車両に取り付けられた少なくとも1つの高解像度LIDARシステムを含む例示的なシステムを示すブロック図であり、
【
図3b】一実施例によって車両に取り付けられた少なくとも1つの高解像度LIDARシステムを含む例示的なシステムを示すブロック図であり、
【
図3c】一実施例によって
図3bのLIDARシステムから多重角度で送信されたビームの例を示すブロック図であり、
【
図3d】一実施例によって車両に取り付けられた少なくとも1つの高解像度LIDARシステムを含む例示的なシステムを示すブロック図であり、
【
図4a】一実施例によってスキャニングなしの
図2dのシステムから送信された信号についての例示的な信号対雑音比(SNR)対ターゲット距離を示すグラフであり、
【
図4b】一実施例によってファーフィールド(Far Field)における
図4aのSNR曲線の形状を駆動する1/r2乗損失を示す曲線の一例を示すグラフであり、
【
図4c】一実施例によってスキャニングなしの
図2dのシステムから送信された信号についてのコリメートされたビーム直径対距離の一例を示すグラフであり、
【
図4d】一実施例によってスキャニングなしの
図2dのシステムから送信された信号についての収集効率に関連するSNR対距離の一例を示すグラフであり、
【
図4e】一実施例によって
図2eのシステムにおける様々なターゲット距離およびスキャン速度についてのビーム離脱(Walkoff)の一例を示すイメージであり、
【
図4f】一実施例によって
図2eのシステムにおける様々なスキャンレート(Scan Rate)についてのカップリング効率対ターゲット距離の一例を示すグラフであり、
【
図4g】一実施例によって
図2eのシステムにおける様々なスキャンレートについてのSNR対ターゲット距離の一例を示すグラフであり、
【
図4h】一実施例によって移動する車両に取り付けられた
図2eのシステムにおけるビームの通常のスキャン軌跡の一例を示すグラフであり、
【
図4i】一実施例によって
図2eのシステムにおける様々なインティグレーションタイム(Integration Time)についてのSNR対ターゲット距離の一例を示すグラフであり、
【
図4j】一実施例によって
図2eのシステムにおける測定レート(Measurement Rate)対ターゲット距離の一例を示すグラフであり、
【
図4k】一実施例によって
図2eのシステムにおける様々な間隔の値についてのSNR対ターゲット距離の一例を示すグラフであり、
【
図4l】一実施例によって
図2eのシステムにおける様々なSNR値についての間隔対ターゲット距離の一例を示すグラフであり、
【
図4m】一実施例によって
図2eのシステムにおける様々な間隔の値についてのSNR対ターゲット距離の一例を示すグラフであり、
【
図4n】一実施例によって
図2eのシステムにおける様々なSNR値についての間隔対ターゲット距離の一例を示すグラフであり、
【
図4o】一実施例によって
図2eのシステムにおける最小しきい値SNRを有する様々なターゲット距離についての間隔対スキャン速度の一例を示すグラフであり、
【
図5】一実施例によって
図2eのシステムにおける多重の角度範囲にわたって時間に応じた垂直角度の一例を示すグラフであり、
【
図6a】一実施例によってLIDARシステムのスキャンパターンを最適化するための例示的な方法を示すフローチャートであり、
【
図6b】一実施例によってバイスタティックLIDARシステム内の送信および受信モジュールの空間的変位のための例示的な方法を示すフローチャートであり、
【
図7】本開示内容の一実施例を実装できるコンピュータシステムを示すブロック図であり、
【
図8】本開示内容の一実施例を実装できるチップセット(Chip Set)を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示内容の実施例は、一般的に、コヒーレントLIDAR内で送信および受信モードの空間的変位(Spatial Displacement)を提供するためのシステムおよび方法を含むが、これに限定されないLIDARを使用して距離の光学的検出を提供するためのシステムおよび方法に関するものである。
【0011】
許容可能な距離精度および検出感度を実現するため、直接長距離LIDAR(Direct Long Range LIDAR)システムは、低いパルス反復率および非常に高いパルスピークパワーを有する短パルスレーザーを使用する。高いパルスパワーは、光学コンポネントの急速な劣化につながり得る。チャープおよび位相エンコードされた(Chirped and Phase-Encoded)LIDARシステムは、相対的に低いピーク光パワーを有する長い光パルスを使用する。この構成において、距離精度は、パルス持続時間より位相コードの帯域幅およびチャープ帯域幅または長さに応じて増加するため、依然として、優れた距離精度が得られる。
【0012】
光搬送波を変調するために広帯域無線周波数(RF)の電気信号を用いて有用な光帯域幅が実現された。LIDARの最近の発展は、同一の変調された光搬送波を基準信号として使用することを含み、基準信号は、光検出器からリターンされた信号と結合し、結果的な電気信号から基準信号とリターンされた光信号との間の周波数または位相差に比例するRF帯域の相対的に低いビート周波数を生成する。検出器における周波数差についてのこれらの種類のビート周波数検出をヘテロダイン検出(Heterodyne Detection)という。これは、準備かつ安価な可用性のRFコンポネントを使用する長所のようないくつかの長所を有する。
【0013】
本発明者による最近の研究は、改善された距離だけでなく、LIDARシステムとそれぞれの外部オブジェクトとの間のベクトルについての相対的な符号の速度を提供するリターンされた信号のドップラーシフトを検出するための光学コンポネントの新しい配列および干渉性処理を示している。これらのシステムは、ここで高解像度距離ドップラーLIDARと呼ばれる。これらの改善事項は、目標速度の有無にかかわらず、適切な周波数または位相コンテンツのペンシル型の薄いレーザービームに距離を提供し得る。これらのビームがシーン(Scene)をスウェプト(Swept)すると、周囲のオブジェクトの位置と速度に関する情報を取得できる。この情報は、自律走行や運転者補助車両などの自律走行車の制御システムにおいて価値があると期待される。
【0014】
さらに、本開示内容の発明者は、モノスタティックトランシーバー(Monostatic Transceiver)を使用することを含む従来のLIDARシステムが、コリメート光学機器の焦点面で単一モード(SM)光ファイバの整列を含むことに注目した。この配列は、送信および受信光が同じ光経路に従っているため、自己整列の長所を有するが、本開示内容の発明者は、また、送信および受信モードの分離が一部の循環手段を介してSM光ファイバ内で行われるべきであることを認識した。本開示内容の発明者は、また、バイスタティックトランシーバーを使用する従来のLIDARシステムが送信モードと受信モードを空間的に分離するための手段を提供していないことを認識した。この欠乏の1つの短所は、このような従来のLIDARシステム内のバイスタティックトランシーバーのそれぞれの送信および受信導波管と送信および受信モードの必要な整列が非常に困難であるということである。
【0015】
この問題を解決するために、本開示内容の一部の実施例は、送信および受信モードを空間的に分離するためにトランシーバー(例えば、バイスタティックトランシーバー)の送信および受信導波管の外部に位置した自由空間光学コンポネント(自由空間光学機器)を提供する。この構成は、トランシーバー(例えば、バイスタティックトランシーバー)内のそれぞれの送受信導波管と送信および受信モードを容易に整列させる長所を提供し得る。ここで、「自由空間光学機器」という用語は、通信またはコンピュータネットワーキングのためにデータを無線送信するために自由空間(例えば、空気、宇宙空間、真空など)で伝搬される光を使用する光学コンポネントまたは装置を意味する。
【0016】
一部の実施例において、装置は、トランシーバー(例えば、モノスタティックトランシーバー)および自由空間光学機器を含む。トランシーバーは、送信経路に沿ってレーザーソースから第1信号を送信し、ターゲットによって反射した第2信号を受信するように構成され得る。自由空間光学機器は、第2信号が送信経路で受信されないように、受信経路に沿って第2信号を指向するように構成され得る。この構成は、トランシーバー(例えば、モノスタティックトランシーバー)内で送信経路からのみ送信ビームを送信し、受信経路でのみリターンビームを受信して送信および受信モードがトランシーバー内で分離される長所を提供し得る。
【0017】
以下、LIDARシステムのスキャニングのための方法、装置、システムおよびコンピュータ読み取り可能な媒体を説明する。以下の説明において、説明の目的に、本開示内容の完全な理解を提供するために多数の特定の詳細が提示される。しかし、本開示内容は、このような特定の詳細なしに実施されることができるということが当該技術分野における通常の技術者に明らかであろう。他の場合において、本開示内容が不要に曖昧にすることを避けるために広く知られている構造と装置がブロック図の形として例示される。
【0018】
本開示内容の一部の実施例は、高解像度LIDARシステムの側面で以下に説明される。本開示内容の一実施例は、高解像度バイスタティックLIDARシステムの側面で説明される。本開示内容の他の実施例は、自家用自動車の前面に取り付けられた単一の高解像度ドップラーLIDARシステムの側面で説明されるが、実施例は、このような側面に限定されない。他の実施例において、重複または重複しない視野を有し、ドップラーコンポネントの有無にかかわらず、同じタイプまたは他の高解像度LIDARの1つまたは複数のシステム、またはパイロットされるか、または自律的なより小さいか、またはより大きな地上、海上、空中または宇宙運送手段に取り付けられた1つ以上のこのようなシステムが使用される。静的-地上ベース(Static-Land Based)のLIDARスキャニングは、また、以下に説明される開示内容の実施例にも適用可能である。
【0019】
この説明の目的として、「バイスタティックLIDARシステム」は、ターゲットにある送信導波管からビームを送信し、1つ以上の受信導波管でターゲットから反射した1つ以上のリターンビームを受信するためにバイスタティックトランシーバーを使用するLIDARシステムを意味する。さらに、この説明の目的として、「バイスタティックトランシーバー」は、少なくとも1つの送信導波管および少なくとも1つの受信導波管を含む導波管アレイを意味する。一部の実施例において、バイスタティックトランシーバーは、1つ以上の導波管の対であり、ここで導波管の各対は、1つの送信導波管および1つの受信導波管である。他の実施例において、バイスタティックトランシーバーは、1つの送信導波管、第1間隔だけ導波管の第1側面から離隔した第1受信導波管および第2間隔だけ送信導波管の第2側面から離隔した第2受信導波管をそれぞれ含む1つ以上のグループの導波管である。また他の実施例において、バイスタティックトランシーバーの導波管は、1次元アレイまたは2次元アレイの導波管に配列される。
1.位相エンコーディング(Phase-Encoded)検出概要
【0020】
距離測定のための光位相エンコーディング信号を用いると、送信された信号は、送信された信号の一部についての搬送波(Carrier)と同相(Inphase)であり(位相=0)、次に、短い時間間隔の間にシンボルΔφによって表現される1つ以上の位相変化だけ変動し(したがって、位相=Δφ)、送信された信号について繰り返しに2以上の位相値の間で前後にスイッチングする。一定の位相の最も短い間隔は、パルス持続時間τと呼ばれるエンコーディングのパラメータであり、通常、帯域で最も低い周波数の多数の周期の持続時間である。逆(1/τ)は、ボーレート(Baud Rate)であり、それぞれのボーは、シンボルを示す。送信された信号の時間中のこのような一定の位相パルスの数(N)は、シンボルの数(N)であり、エンコーディングの長さを示す。2進(Binary)エンコーディングにおいて、2つの位相値が存在し、最も短い間隔の位相が1つの値について0とみなされ得、他の1つの値は、1とみなされ得、したがって、シンボルは、1ビット(Bit)であり、ボーレートもビットレート(Bit Rate)と呼ばれる。多重(Multiple)位相エンコーディングで多数の位相値が存在する。例えば、Δφ*{0、1、2および3}のような4つの位相値は、Δφ=π/2(90度)に対して{0、π/2、πおよび3π/2}とそれぞれ同じであり、したがって、4つの位相値は、それぞれ0、1、2、3を示し得る。この例において、それぞれのシンボルは、2ビットであり、ビットレートは、ボーレートの2倍である。
【0021】
位相シフト変調(Phase-Shift Keying、PSK)は、基準信号(搬送波)の位相を変更(変調)させることによって、データを伝達するデジタル変調方式を意味する。変調は、正確な時間にサイン入力とコサイン入力を変化させることによって刻印する。無線周波数(RF)において、PSKは、無線近距離通信網(LAN)、無線周波数認識(RFID)およびブルートゥース(登録商標)通信のために広範囲に使用される。代替的に、一定の基準波(Reference Wave)に対して動作する代わりに、送信は、それ自体に対して動作し得る。単一の送信された波形の位相変化は、シンボルとみなされ得る。このシステムにおいて、復調器は(基準波についての)、位相その自体ではなく、受信信号の位相変化を決定する。前記方式が連続する位相の間の差に依存するため、これは、差動位相シフト変調(Differential Phase-Shift Keying、DPSK)と称される。復調器が受信信号の正確な位相を決定するために基準信号のコピーを有する必要がないため、DPSKは、通信アプリケーションで通常のPSKよりもかなり簡単に実装できる(したがって、これは非コヒーレント(Non-Coherent)、すなわち、非同期方式である)。
【0022】
送信機および受信機が同じ装置内にあるため、光距離測定アプリケーションにコヒーレントPSKが使用できる。搬送波周波数(Carrier Frequency)は、光周波数(fc)であり、RF周波数(f0)は、光搬送波(Optical Carrier)に変調される。シンボルの数(N)と持続時間τは、要求される距離精度と解像度を実現するために選択される。シンボルのパターンは、ノイズとコード化された信号の他のソースから区別できるように選択される。したがって、送信された信号とリターンされた信号との間の強い相関関係は、反射するか、または後方散乱した(Backscattered)信号の強い表示である。送信された信号は、1つ以上のシンボルのブロックで構成され、それぞれのブロックは、ノイズが存在する場合にも反射するか、または後方散乱したリターンとの強い相関関係を提供するほど十分に長い。次の説明において、送信された信号は、ブロック当たりN個のシンボルのM個のブロックで構成され、MとNは、負ではない整数であるものと仮定する。
【0023】
図1aは、一実施例によって一連の2進数(Binary Digit)として例示的な送信された信号を距離の測定のためにリターンされた光信号とともに示す概略的なグラフ120である。水平軸122は、0(Zero)での開始時間後の時間を任意単位(Arbitrary Unit)で示す。垂直軸124aは、送信された光信号の振幅を0についての周波数(f
C+f
0)の任意単位で表す。垂直軸124bは、リターンされた光信号の振幅を0についての周波数(f
C+f
0)の任意単位で示し、トレースを分離するために軸124aからオフセットされる。トレース125は、00011010から開始して省略符号で表示されたように、継続するコードを生成するために
図1aに示すような位相変化を有するM*N2進シンボルの送信された信号を示す。トレース126は、動いていないオブジェクトから散乱した理想的な(ノイズがない)リターン信号を示す(したがって、リターンは、ドップラーシフトされない)。振幅は、減少されるが、コード00011010は、認識可能である。トレース127は、動いているオブジェクトから散乱することによって、ドップラーシフトされる理想的な(ノイズがない)リターン信号を示す。リターンは、適切な光周波数(f
C+f
0)になく、予想した周波数帯域内でよく検出されず、したがって、振幅が減少する。
【0024】
リターンの観察された周波数(f')は、数式1によって与えられるドップラー効果によるリターンの正確な周波数(f=f
c+f
0)と異なる。
【数1】
ここで、cは、媒質内の光の速度であり、v
0は、観察者の速度であり、v
sは、ソースと受信機を連結するベクトルによるソースの速度である。観察者とソースが両者の間のベクトル上で同じ方向に同じ速度で動いている場合、2つの周波数は、同じであることに注目するべきである。2つの周波数の間の差(Δf=f'-f)は、距離測定について問題点を引き起こすドップラーシフト(Δf
D)であり、数式2によって与えられる。
【数2】
誤差の大きさは、信号の周波数fに応じて増加することに注目するべきである。また、静止したLIDARシステム(v
0=0)の場合、毎秒10メートル(v
s=10)で移動するオブジェクトと約500THzの周波数を有する可視光線についてのドップラーシフトの大きさは、約16メガヘルツ(MHz、1MHz=10
6ヘルツ(Hz)、1Hz=毎秒1サイクル)であることに注目するべきである。以下に説明される様々な実施例において、距離計算のためにデータを処理するためにドップラーシフトの誤差が検出されて使用される。
【0025】
位相コード化された距離測定(Phase Coded Ranging)において、位相コード化された反射の到達は、送信された信号または他の基準信号をRF信号のためのコードをヘテロダイン(Heterodyne)検出を用いる光検出器(Optical Detector)からの電気信号と交差相関させ、RF帯域に戻すダウンミキシング(Down-Mixing)を行うことにより、実質的に実装できるリターンされた信号と交差相関(Cross-Correlations)させることによって、リターンで検出される。任意の1つのラグ(Lag)のための交差相関は、2つのトレースをコンボリューション処理(Convolving)することによって、すなわち、2つのトレース内の対応する値を乗じ、トレース内のすべての点(Point)について加算した後、それぞれのタイムラグ(Time Lag)ごとに繰り返すことによって計算される。代替的に、交差相関は、2つのトレースそれぞれのフーリエ変換を乗じた後に、逆方向フーリエ変換(Inverse Fourier Transform )を行うことによって達成され得る。高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform、FFT)のための効率的なハードウェアおよびソフトウェアの実装例は、順方向および逆方向の両方のフーリエ変換について広く使用できる。
【0026】
交差相関の計算は、通常、リターンの振幅と位相が光検出器から検出された後に、アナログまたはデジタル電気信号を用いて行われることに注目するべきである。光検出器における信号を容易にデジタル化できるRF周波数範囲に移動させるために、光リターン信号は、検出器に衝突する前に基準信号と光学的にミックスされる。位相エンコード化された送信された光信号のコピーは、基準信号として使用できるが、レーザーによって出力される連続波搬送波周波数光信号(Continuous Wave Carrier Frequency Optical Signal)を基準信号として使用し、検出器によって出力される電気信号の振幅と位相の両方をキャプチャすることも可能であり、多くの場合好ましい。
【0027】
動いていないオブジェクトから反射した(したがって、リターンがドップラーシフトされない)理想的な(ノイズがない)リターン信号について、ピークは、送信された信号の開始後に時間Δtで発生する。これは、リターン信号が時間Δtから開始する送信された位相コードのバージョンを含むことを示す。反射する(または後方散乱する)オブジェクトについての距離Rは、数式3によって与えられるように、媒質内の光の速度Cに基づく双方向旅行時間遅延(Two Way Travel Time Delay)から計算される。
【数3】
【0028】
動いているオブジェクトから散乱した(したがって、リターンがドップラーシフトされた)理想的な(ノイズがない)リターン信号について、リターン信号は、適切な周波数ビン(Frequency Bin)内の位相エンコーディングを含まず、相関関係は、すべてのタイムラグ(Time Lag)について低く保持され、ピークは、容易に検出されず、ノイズがある場合には、多くの場合に検出可能ではない。したがって、Δtは、容易に決定されず、距離Rは、容易に生成されない。
【0029】
本発明者の以前研究の様々な実施例によると、ドップラーシフトは、リターンされた信号の電気的処理で決定され、交差相関計算を補正するためにドップラーシフトが適用される。したがって、ピークは、より容易に発見され、距離は、より容易に決定され得る。
図1bは、一実施例によって送信された信号の例示的スペクトルとドップラーシフトされた複素数リターン信号の例示的スペクトルを示す概略的なグラフ140である。水平軸142は、光搬送波f
cからオフセットされたRF周波数を任意単位で表す。垂直軸144aは、スペクトル密度(Spectral Density)とも呼ばれる特定の狭い周波数ビンの振幅を0に相対的な任意単位で表す。垂直軸144bは、スペクトル密度を0に相対的な任意単位で示し、トレースを分離するために垂直軸144aからオフセットされる。トレース145は、送信された信号を示し、ピークは、適切なRFf
0で発生する。トレース146は、LIDARシステムに向けて動いているオブジェクトから後方散乱し、より高い周波数にドップラーシフト(ブルーシフト(Blue Shift)と呼ばれる)された理想的な(ノイズがない)複素数リターン信号を示す。リターンは、適切なRFf
0でピークを有しない。しかし、代わりにΔf
Dほどシフトされた周波数f
Sにブルーシフトされる。実際に、リターンの同相および直交位相 (In-Phase and Quadrature、I/Q)成分をすべて示す複素数リターンは、+Δf
Dでピークを決定するのに使用されるため、ドップラーシフトの方向およびセンサとオブジェクトとの間のベクトル上でターゲットの移動方向は、単一リターンから明確である。
【0030】
一部のドップラー補償(Doppler Compensation)実施例において、
図1bに示されたように、送信された信号とリターンされた信号の両方のスペクトルを得、それぞれでピークを見つけてから対応するピークの周波数を減算することによりΔf
Dを捜す代わりに、RF帯域でダウンミキシングされたリターンされた信号の同相および直交位相成分の交差スペクトル(Cross Spectrum)を取ることがより効果的であり得る。
図1cは、一実施例によって例示的な交差スペクトルを示す概略的なグラフ150である。水平軸152は、基準スペクトルについての周波数シフトを任意単位で示し、垂直軸154は、交差スペクトルの振幅を0に相対的な任意単位で表す。トレース155は、LIDARシステムに向けて動いている第1オブジェクト(Δf
D1のブルーシフト=
図1bのΔf
D)とLIDARシステムから離れている第2オブジェクト(Δf
D2のレッドシフト(Red Shift))によって生成された理想的な(ノイズがない)リターン信号との交差スペクトルを示す。1つのピークは、成分のうちの1つがブルーシフトΔf
D1されるときに発生し、他のピークは、成分のうちの1つがレッドシフトΔf
D2されるときに発生する。したがって、ドップラーシフトが決定される。これらのシフトは、例えば、衝突防止アプリケーションについて重要であるように、LIDAR付近でオブジェクトの符号を有する接近速度(Signed Velocity of Approach)を決定するのに用いられ得る。しかし、I/Q処理が完了していない場合、ピークは、+/-Δf
D1および+/-Δf
D2の両方に示され、したがって、ドップラーシフトの符号およびこれによる移動方向で曖昧さが存在し得る。
【0031】
本発明者の以前研究でより詳細に説明したように、交差スペクトル内で検出されるドップラーシフトは、ピーク135がラグΔtでドップラー補償されたドップラーシフトされたリターンで明らかになり、距離Rが決定されるように、交差相関を補正するのに使用される。一部の実施例において、同時I/Q処理は、全体の内容が本明細書に完全に説明されたように、参照として含まれたS.Crouchなどによる「Method and system for Doppler detection and Doppler correction of optical phase-encoded range detection」という題下の特許出願公開により詳細に説明されているように行われる。他の実施例において、直列I/Q処理は、全体の内容が本明細書に完全に説明されたように、参照として含まれたS.Crouchなどによる「Method and System for Time Separated Quadrature Detection of Doppler Effects in Optical Range Measurements」という題下の特許出願公開により詳細に説明されているようにドップラーリターンの符号を決定するのに使用される。他の実施例において、ドップラー補正を決定するために他の手段が使用され、様々な実施例において、ドップラー補正を行うために当該技術分野に知られている任意の方法が使用される。一部の実施例において、ドップラーシフトによるエラーが、容認されるか、または無視され、どのようなドップラー補正も距離測定に適用されない。
2.チャープ検出概要(Chirped Detection Overview )
【0032】
図1dは、一実施例によって例示的な光チャープ距離測定(Optical Chirp Measurement of Range)を示す一連のグラフである。水平軸102は、4つのグラフすべてについて同じであり、時間を約ミリ秒(ms、1ms=10
-3秒)の任意単位で表す。グラフ100は、送信された光信号として使用される光のビームのパワーを示す。グラフ100の垂直軸104は、送信された信号のパワーを任意単位で表す。トレース106は、時間0で開始して制限されたパルス持続時間τの間、パワーがOnであることを表す。グラフ110は、送信された信号の周波数を表す。垂直軸114は、送信された信号の周波数を任意単位で表す。トレース116は、パルスの持続時間τにわたってパルスの周波数がf
1からf
2に増加し、これによって帯域幅B=f
2-f
1を有することを表す。周波数変化率は、(f
2-f
1)/τである。
【0033】
リターンされた信号は、グラフ110のように時間を表す水平軸102と周波数を表す垂直軸114を有するグラフ160に示される。また、グラフ110のチャープ(例えば、トレース116)がグラフ160上に点線で示される。強度(図示せず)が減少され、Δtだけ遅延した送信された基準信号である第1リターンされた信号は、トレース166aで与えられる。リターンされた信号が2Rの距離を移動した後に、外部オブジェクトから受信されるとき、リターンされた信号は、前述の数式3によって2R/cで与えられる遅延した時間Δtで開始し、ここで、Rは、ターゲットまでの距離であり、cは、媒質内の光の速度(約3×10
8m/s)である。この時間の間、周波数f
Rは、距離に基づく量だけ変更され、周波数変化率に遅延時間を乗じて与えられる。これは、数式4aによって与えられる。
【数4a】
f
Rの値は、デチャーピング(De-chirping)と呼ばれる時間ドメインミキシング動作で送信された信号116とリターンされた信号166aとの間の周波数差によって測定される。したがって、距離Rは、数式4bによって与えられる。
【数4b】
もちろん、パルスが完全に送信された後にリターンされた信号が到着すると、すなわち、2R/cがτよりも大きければ、数式4aおよび4bは、有効ではない。この場合に、基準信号は、リターンされた信号が基準信号と重畳することを保証するように知られた量または定められた量だけ遅延する。基準信号の定められた遅延時間または知られた遅延時間は、数式4bから計算された距離に追加される追加距離を提供するために光の速度Cと乗じられる。媒質で光の速度の不確実性によって絶対距離は不正確であり得るが、これは、ほとんど一定の誤差(Near-Constant Error)であり、周波数差を基盤とした相対的距離は、相変らず非常に正確である。
【0034】
一部の状況において、送信された光ビームによって照明される地点(ペンシルビームの断面(Pencil Beam Cross Section))は、半透明オブジェクトの前方および後方、またはLIDARから様々な距離にあるオブジェクトのより近い部分とより遠い部分、または照明された地点内で2つの分離したオブジェクトのように異なる距離にある2つ以上の異なる散乱体に出会う。このような状況において、グラフ160にトレース166bで表示されたように、第2減少した強度および異なるように遅延した信号も受信される。これは、数式4bを使用して異なる距離を提供するfRの異なる測定値を有する。一部の状況においては、複数の追加のリターンされた信号が受信される。
【0035】
グラフ170は、第1リターンされた信号166aと基準チャープ116との間の差の周波数f
Rを示す。水平軸102は、
図1dで整列した他のすべてのグラフのように時間を示し、垂直軸164は、より拡大したスケール上で周波数差を示す。トレース176は、送信されたチャープに応答して測定された一定の周波数f
Rを示し、数式4bによって与えられる特定の距離を示す。第2リターンされた信号166bは、存在する場合、デチャーピング中に異なるより大きい値のf
R(図示せず)を発生させ、結果的に、数式4bを使用してより大きい距離を算出するであろう。
【0036】
デチャーピング(De-chirping)のための共通の方法は、基準光信号とリターンされた光信号を同じ光検出器に送ることである。検出器の電気的出力は、検出器に収束する2つの信号の周波数差と同じであるか、またはこれに依存するビート周波数(Beat Frequency)によって左右される。このような電気的出力信号のフーリエ変換は、ビート周波数でピークを算出するであろう。このようなビート周波数は、テラヘルツ(THz、1THz=1012ヘルツ)の光周波数の範囲ではないメガヘルツ(MHz、1MHz=106Hz=毎秒106サイクル)の無線周波数(RF)範囲内にある。このような信号は、マイクロプロセッサーまたは特殊製作されたFFT(Fast Fourier Transform)またはその他のデジタル信号処理(Digital Signal Processing、DSP)集積回路で行われるFFTアルゴリズムのような一般的な低コストのRFコンポネントによって容易に処理される。他の実施例において、リターン信号は、(局部発振器(Local Oscillator)の役目をするチャープと比べて)局部発振器の役目をする連続波(Continuous Wave、CW)トーン(Tone)と混合(Mix)され得る。これは、その自体がチャープ(またはどんな波形が送信されても)である検出された信号につながる。この場合、検出された信号は、ここに使用されたものとは一致しない用語を除き、その全体内容がここに完全に言及されたように含まれる1990年度Kachelmyerに記述されているように、デジタルドメインで整合フィルタリングを経ることになるだろう。短所は、デジタイザー(Digitizer)帯域幅の要求事項が一般的により高いものである。そうでない場合、コヒーレント検出の肯定的な面は保持される。
【0037】
一部の実施例において、LIDARシステムは、同時アップおよびダウンチャープ(Simultaneous Up and Down Chirps)を生成するように変更される。この接近方式は、他のものの中でも、オブジェクトの速度差、実際に距離を変更するオブジェクトに対するLIDAR位置変更またはビーム内の一時的な散乱体(Scatterers)、またはこれらの組み合わせによって誘発される変動性を除去する。前記方式は、アップおよびダウンチャープで測定されたドップラーシフトおよび距離が事実上同じであり、最も有用に結合され得ることを保証する。ドップラー方式は、高い確率の正確な補償のために周波数空間で非対称にシフトされたリターンペアの並列キャプチャ(Parallel Capture)を保証する。
【0038】
図1eは、一実施例によって対称LO信号を使用するグラフであり、ドップラーシフトがないとき、リターン信号を周波数時間プロット(Frequency Time Plot)で破線として示す。水平軸は、時間を10
-5秒(数十マイクロ秒)の例示的な単位で表す。垂直軸は、搬送波周波数f
cまたは基準信号に対する送信された光信号の周波数をギガヘルツ(GHz、1GHz=10
9ヘルツ)の例示的な単位で表す。パルス持続時間の間、いつでも2つの光周波数を含む光ビームが生成される。1つの周波数が、例えば、f
1から(例えば、光搬送波より1~2GHz高い)f
2に増加し、同時に他の周波数がf
4から(例えば、光搬送波より1~2GHz低い)f
3に減少する。2つの周波数帯域(例えば、f
1~f
2の帯域1と、f
3~f
4の帯域2)は、オーバーラップされないため、送信された信号およびリターン信号が通過周波数f
Pから開始する通過帯域を有する高域通過フィルタや低域通過フィルタまたはこれらの組み合わせによって光学的に分離できる。例えば、f
1<f
2<f
p<f
3<f
4であり得る。例示される実施例において、より高い周波数がアップチャープを提供し、より低い周波数がダウンチャープを提供するが、他の実施例においては、より高い周波数がダウンチャープを生成し、より低い周波数がアップチャープを生成する。
【0039】
一部の実施例において、2つの異なるレーザーソースが毎時間ごとにそれぞれのビームで2つの異なる光周波数を生成するのに使用される。しかし、一部の実施例において、単一の光搬送波は、単一のRFチャープによって変調され、同時アップおよびダウンチャープの役目をする対称的な側波帯(Symmetrical Sideband)を生成する。これらの実施例のうち、一部において、一般的に搬送波周波数に多くのエネルギーを残さず、代わりに、ほぼすべてのエネルギーが側波帯に入る2重側波帯マッハツェンダ強度変調器(Double Sideband Mach-Zehnder Intensity Modulator)が使用される。
【0040】
側波帯対称(Sideband Symmetry)の結果として、同じ次数の側波帯が使用されると、2つの光チャープの帯域幅は、同じである。一部の実施例において、他の側波帯が使用され、例えば、2つの2次側波帯が使用されるか、1次側波帯および重畳しない2次側波帯が使用されるか、または一部の他の組み合わせが使用される。
【0041】
Crouchなどによる「Method and System for Doppler Detection and Doppler Correction of Optical Chirped Range Detection」という題下の米国特許出願公開に記述されているように、送信TXおよび局部発振器LOチャープ波形を選択するとき、システムの周波数シフトされた帯域(Frequency Shifted Band)が利用可能なデジタイザー(Digitizer)帯域幅を最大限に活用することが有利である。一般的に、これは、0に近い距離周波数ビートを有するように、アップチャープまたはダウンチャープをシフトして達成される。
【0042】
図1fは、対称LO信号を使用する
図1eと同様のグラフであり、非ゼロのドップラーシフトがあるとき、周波数時間プロットでリターン信号を破線として示す。チャープされた波形の場合、時間分離されたI/Q処理(時間ドメイン多重化(Time Domain Multiplexing)とも呼ばれる)が前述したように、他のアプローチのハードウェア要求事項を克服するために使用できる。その場合、AOMが実数値(Real Valued)信号に対する距離ドップラー曖昧さを打開するために使用される。一部の実施例において、その全体の内容がここに完全に説明されているように参照で含まれたS.Crouchなどによる「Method and system for Doppler detection and Doppler correction of optical chirped range detection」という題下の特許出願公開により詳細に説明されているように、スコアリングシステム(Scoring System)がアップおよびダウンチャープリターンをペアリングするために使用される。一部の実施例において、その全体の内容がここに完全に説明されているように参照で含まれたS.Crouchなどによる「Method and System for Time Separated Quadrature Detection of Doppler Effects in Optical Range Measurements」という題下の特許出願公開により詳細に説明されているように、I/Q処理がドップラーチャープの符号を決定するために使用される。
3.光検出ハードウェア概要
【0043】
高解像度距離ドップラー検出システムを使用する方法を説明するために、いくつかの一般ハードウェア接近方式を記述する。
図2aは、一実施例によって高解像度距離LIDARシステム200の例示的なコンポネントを示すブロック図である。光信号は、矢印で表示される。電子的な(Electronic)有線または無線連結は、矢先がない線分で表示される。レーザーソース212は、持続時間Dを有する位相コード化されたり、チャープされた光信号203を生成するために、スプリッタ216の以前または以後に、変調器282aから位相または周波数変調された搬送波201を放出する。スプリッタ216は、基準経路220に使用するための変調された(または、図示されたように、変調されない)光信号を分離する。ビーム201のエネルギーの大部分を有する本明細書において送信された信号(Transmitted Signal)とも呼ばれるターゲットビーム205が生成される。また、少ない量ではあるが、オブジェクト(図示せず)から散乱したリターンされた光291とよくミックスされるのに十分な量のエネルギーを有する変調されるか、または変調されていない基準ビーム207aが生成される。例示された実施例において、基準ビーム207aは、変調器282bで個別に変調される。基準ビーム207aは、基準経路220を通過し、基準ビーム207bとして1つ以上の検出器に指向される。一部の実施例において、基準経路220は、基準ビーム207bが関心距離の範囲(Spread of Ranges of Interest)内でLIDAR外部のオブジェクトから散乱した光とともに検出器アレイ230に到逹するのに十分な知られた遅延を導入する。一部の実施例において、基準ビーム207bは、別個の発振器から局部的に生成された基準ビーム207bを生成する従来の接近方式を意味する局部発振器(Local Oscillator、LO)信号と命名される。様々な実施例において、柔軟性が低い接近方式からより柔軟な接近方式まで網羅し、基準ビームは、1)経路の長さがよくマッチングされるように検出器アレイから送信されたビームの一部をまた反射させるために場面(Scene)内にミラーを配置すること、2)経路の長さを近くマッチングさせ、特定の距離について観察されたり、予測された位相または周波数差を補償するための経路長さ調節を利用したり、利用せずに、
図2aで提案されたように、検出器アレイ付近の光学機器を用いて基準ビームをブロードキャスト(Broadcast)するためにファイバ遅延(Fiber Delay)を用いること、3)経路長さの不一致(Mismatch)を補償するための別個の変調を生成するために周波数シフティングデバイス(音響光学変調器(Acousto-Optic Modulator、AOM)または(例えば、変調器282b内))局部発振器の波形変調の時間遅延を用いること、または一部の組み合わせを通じて散乱するか、または反射したフィールド(視野)を持って到着することになる。一部の実施例において、オブジェクトは十分に近く、送信された持続時間は十分に長く、リターンが遅延することなく基準信号と十分に重畳する。
【0044】
送信された信号は、多くの場合、一部のスキャニング光学機器(Scanning Optics)218を介して関心領域を照明するために送信される。検出器アレイは、ペアをなすか、またはペアをなさない単一の検出器またはオブジェクトからリターンされたビーム291におおよそ垂直な平面に配列されたペアをなすか、またはペアをなさない検出器の1次元(1D)または2次元(2D)アレイである。基準ビーム207bおよびリターンされたビーム291は、適切に検出される光特性信号を生成するために0またはその以上の光ミキサ284で結合される。干渉パターンの周波数、位相または振幅または一部の組み合わせは、獲得システム240によってそれぞれの検出器に対して信号持続時間Dの間、複数回記録される。信号持続時間当たり処理される時間的(Temporal)サンプルの数またはインティグレーションタイム(Integration Time)は、ダウン-レンジ規模(Down-Range Extent)に影響を与える。数またはインティグレーションタイムは、信号当たりシンボルの数、信号反復率(Signal Repetition Rate)および可用カメラフレーム率(Available Camera Frame Rate)に基づいて選択される実質的な考慮事項である場合がある。フレームレートは、サンプリング帯域幅であり、「デジタイザー(Digitizer)周波数」と呼ばれる。距離規模(Range Extent)の唯一の根本的な限界は、レーザーのコヒーレンス(Coherence)長さおよび(明確な距離測定のために)これが繰り返す前のチャープまたは固有位相コードの長さである。これは、リターンされたヘテロダイン(Heterodyne)信号またはビット(Bits)のデジタルレコードが以前の送信履歴から送信されたビットの任意の部分と比較されたり、交差相関できるため、可能になる。
【0045】
獲得されたデータは、
図7を参照して後述されるコンピュータシステムまたは
図8を参照して後述されるチップセットのような処理システム250に利用可能に構成される。スキャナ制御モジュール270は、後述する1つ以上の実施例によるスキャニング光学機器218を駆動するためのスキャニング信号を提供する。一実施例において、スキャナ制御モジュール270は、
図6aのフローチャートに関連する方法600および/または
図6bのフローチャートに関連する方法650の1つ以上のステップを行うための命令語を含む。処理システム250で符号付きのドップラー補償モジュール(図示せず)は、ドップラーシフトの符号と大きさを決定し、任意の他の補正とともにそれに基づく補正された距離を決定する。また、処理システム250は、変調器282a、282bを駆動する1つ以上の電気信号を送信するための変調信号モジュール(図示せず)を含む。一部の実施例において、処理システムは、システム200が設置される車両を制御するための車両制御モジュール272をさらに含む。
【0046】
任意の公知の装置またはシステムがレーザーソース212、変調器282a、282b、ビームスプリッタ216、基準経路220、光ミキサ284、検出器アレイ230、スキャニング光学機器218または獲得システム240を具現するために使用できる。瞳孔面(Pupil Plane)を通過する焦点またはターゲット上の焦点または投光照明(Flood)についての光カップリング(Optical Coupling)は、示されていない。本明細書に使用されたように、光カプラ(Optical Coupler)は、他のものの中でも、真空、空気、ガラス、クリスタル、ミラー、レンズ、光サーキュレータ(Optical Circulator)、ビームスプリッタ、位相板(Phase Plate)、偏光子(Polarizer)、光ファイバ(Optical Fiber)、光ミキサのような他のコンポネントを単独または一部の組み合わせのように、1つのコンポネントから他のコンポネントに光を指向させるために空間座標内で光の伝搬(Propagation)に影響を与える任意のコンポネントである。
【0047】
また、
図2aは、一実施例による同時アップおよびダウンチャープLIDARシステムのためのコンポネントの例を示す。この実施例において、変調器282aは、送信されたビーム205の光経路に追加された周波数シフタ(Shifter)である。他の実施例において、これとは異なり、周波数シフタは、リターンされたビーム291の光経路または基準経路220に追加される。一般的に、変調器(例えば、AOM、Acousto-Optic Modulator)として使用される装置が関連する損失を有し、損失の多いコンポネントを受信側に配置するか、または光増幅器の後ろに配置することは、不利であるため、周波数シフティング要素は、局部発振器(Local Oscillator(LO)、基準経路ともいう)側または送信側(光増幅器の前)に変調器282bとして追加される。光シフタの目的は、光検出器230によって出力される電気信号の分析において、例えば、処理システム250内のFFTコンポネントによってピックアップされ得る異なる周波数帯域でアップおよびダウンチャープのビート周波数が発生するように、基準信号の周波数について送信された信号(またはリターン信号)の周波数を知られた量(Δf
S)だけシフトするものである。例えば、距離効果を発生させるブルーシフトがf
Bであれば、アップチャープのビート周波数は、オフセットだけ増加してf
B+Δf
Sで表され、ダウンチャープのビート周波数は、f
B-Δf
Sでオフセットだけ減少するであろう。したがって、アップチャープは、ダウンチャープよりも高い周波数を有し、これによってこれらは分離される。Δf
Sが予想されたドップラー効果よりも大きければ、アップチャープおよびダウンチャープに連関した距離での曖昧性はないだろう。その次に、測定されたビートは、適切なアップチャープおよびダウンチャープの距離を得るために知られたΔf
Sの正確に符号が付与された値に補正されることができる。一部の実施例において、平衡検出器(Balanced Detector)から由来するRF信号は、FFTを介して分離される帯域とともに直接デジタル化される。一部の実施例において、平衡検出器から由来するRF信号は、直接デジタル化できる低帯域(アップチャープまたはダウンチャープのうち、1つに対応)と基底帯域に電子的にダウンミックス(Down-Mixed)後、デジタル化できる高帯域(反対するチャープに対応)に分離するためにアナログRF電子装置を用いて前処理される。両方の実施例は、検出された信号の帯域を使用可能なデジタイザーリソース(Digitizer Resource)に一致させる経路を提供する。一部(例えば、直接距離測定)の実施例において、変調器282aは、除外される。
【0048】
図2bは、一部の実施例に使用される高解像度ドップラーシステムのための簡単な鋸歯型(Saw Tooth)スキャンパターンを示すブロック図である。スキャンは、(水平に)方位角(Azimuth Angle)範囲をスイープし、傾斜角(Inclination Angle)の範囲を(0傾斜から水平方向(Level Direction)の上下の垂直に)スイープ(Sweep)する。以下に説明される様々な実施例において、他のスキャンパターンが使用される。当該技術分野に知られている任意のスキャンパターンが様々な実施例で使用できる。例えば、一部の実施例において、その全体の内容ががここに完全に説明されているように参照で含まれたCrouchによる「Method and system for adaptive scanning with optical ranging systems」または「Method and system for automatic real-time adaptive scanning with optical ranging system」という題下のPCT特許出願に説明された方法を用いて適応型スキャニング(Adaptive Scanning)が行われる。
図2cは、一部の実施例によって高解像度ドップラーLIDARシステムによって生成された例示的な速度ポイントクラウドを示すイメージである。
【0049】
図2dは、一部の実施例によって高解像度(Hi res)LIDARシステム200'の例示的なコンポネントを示すブロック図である。一実施例において、システム200'は、ここで議論される特徴を除いてシステム200と同様である。一実施例において、システム200'は、モノスタティックトランシーバー(Monostatic Transceiver)を用いて構成されるコヒーレントLIDARシステムである。システム200'は、送信経路222上の単一モード光導波管に沿って自由空間光学機器226を介してコリメート(Collimating)光学機器229の焦点平面内に位置した単一モード光導波管の先端(tip)217の外へ搬送波201を送信するソース212を含む。一部の実施例において、先端217は、コリメート光学機器229の焦点平面の臨界距離(例えば、約100μm)内またはコリメート光学機器229の焦点長さの約0.1%ないし約0.5%内に位置する。他の実施例において、コリメート光学機器229は、2重(Doublet)、非球面または多重要素デザインのうち、1つ以上を含む。一実施例において、光導波管の先端217を抜け出る搬送波201は、スキャニング光学器機218によって角度範囲227にわたってスキャンされるコリメートされたターゲットビーム205'に光学器機229によって作られる。一部の実施例において、搬送波201は、コリメート光学器機229の上流にある変調器282aで位相または周波数変調される。他の実施例において、変調器282は、除外される。一実施例において、リターンビーム291が単一モード光導波管の先端217で受信されるように、オブジェクトからリターンされたリターンビーム291は、スキャニング光学機器218によって指向され、コリメート光学機器229によって先端217にフォーカシングされる。一実施例において、次に、リターンビーム291は、自由空間光学機器226によって受信経路224に沿って単一モード光導波管内に、そして、リターンビーム291が局部発振器経路220に沿って単一モード光導波管を介して指向される基準ビーム207bと結合される光ミキサ284に再指向(Redirect)される。一実施例において、システム200'は、基準信号207bとリターンされたビーム291の最大空間モード重畳(Maximum Spatial Mode Overlap)がリターンされた信号291と局部発振器207bとの間のヘテロダインミキシング(光干渉)効率を最大化するという原理のもとで動作する。このモノスタティック配列は、バイスタティック(Bi-static)LIDARシステムに連関する易しくない整列手続きを回避するのに役立つため、有利である。
【0050】
図2eは、一実施例によってバイスタティックLIDARシステム200''の例示的なコンポネントの例示的な側断面図を示すブロック図である。
図2fは、一実施例によって
図2eのバイスタティックLIDARシステム200''の例示的なコンポネントの上面図を示すブロック図である。一実施例において、バイスタティックLIDARシステム200''は、ここで論議される特徴を除いて
図2dのシステム200'と同様である。
【0051】
一実施例において、システム200''は、送信導波管223および1つ以上の受信導波管225a、225bを含むバイスタティックトランシーバー215を含む。第1受信導波管225aは、間隔221aだけ送信導波管223と離隔する。第2受信導波管225bは、間隔221aより大きい間隔221bだけ送信導波管223から離隔する。
図2fは、2つの受信導波管225a、225bを示すが、システムは、2つの受信導波管に限定されず、1つまたは3つ以上の受信導波管を含み得る。例示的な実施例において、バイスタティックトランシーバー215は、密接に離隔した導波管の製造がバイスタティックトランシーバー開口として働くようにする平面光回路のようなオン-チップ(On-Chip)導波管技術によって支援される。例示的な一実施例において、バイスタティックトランシーバー215は、カリフォルニア州サンノゼ所在のNeoPhotonics(登録商標) Corporationによって開発された平面光波回路技術を特徴とする。他の例示的な実施例において、バイスタティックトランシーバー215は、平面光波回路技術の標準製造工程についての最小の修正でカスタムメイド製作される。また他の例示的な実施例において、バイスタティックトランシーバー215は、オハイオ州コロンバスのPLC Connections(登録商標)によって製造される。
【0052】
一実施例において、システム200''におけるソース212は、搬送波201を送信経路222を介して送信導波管223に沿って送信導波管223の先端217に送信する。一実施例において、システム200''は、システム200''のコストおよび複雑性を有利に低減できる自由空間光学機器226を排除する。送信導波管223の先端217を抜け出る搬送波201は、システム200'のように、コリメート光学機器229によってコリメートされたターゲットビーム205'に形成される。
【0053】
一実施例において、スキャニング光学機器218は、複数のミラーまたはファセット245a、245bを有し、回転軸243を中心に角速度249で回転するように構成されたポリゴンスキャナ244である。一実施例において、ポリゴンスキャナ244は、回転軸243を中心に一定の速度で回転するように構成される。例示的な実施例において、ポリゴンスキャナ244は、次の特性、すなわち、Copal回転ミラー(Turned Mirror)を有するBlackmore(登録商標) Sensorsによって製造されたもの、約2インチまたは範囲が約1インチないし約3インチである内接直径を有するもの、それぞれのミラーが約0.5インチであるか、または約0.25インチないし約0.75インチの範囲の高さを有するもの、全体の高さが約2.5インチまたは約2インチないし約3インチの範囲であるもの、エンコーダポールペアスイッチングを有する3相ブラシレス直流(Brushless Direct Current、BLDC)モータによって電力が供給されるもの、範囲が約1、000rpmないし約5、000rpmの回転速度を有するもの、減少比が約5:1であり、コリメータ229からの距離が約1.5インチであるか、または1インチないし約2インチの範囲であるもののうち、1つ以上を有する。他の実施例において、システム200''のスキャニング光学機器218は、ポリゴンスキャナ244ではない任意の光学機器である。
【0054】
一実施例において、コリメートされたターゲットビーム205'は、ポリゴンファセット245のうちの1つからスキャンされたビーム205''に反射し、ポリゴンスキャナ244が角速度249で回転することにより、角度範囲227を通じてスキャンされる。一実施例において、送信導波管223および受信導波管225を含むバイスタティックトランシーバー215は、第1平面(例えば、
図2fの平面)に配列され、ポリゴンスキャナ244は、同じ第1平面(または、第1平面と平行な平面)で角度範囲227にわたってビーム205''の方向を調整する。他の実施例において、第1平面は、回転軸243に直交する。この説明の目的上、「平行」は、±10度以内を意味し、「直交」は、90±10度以内を意味する。
【0055】
一実施例において、ビーム205''は、所定の距離に位置したターゲットによって反射し、リターンビーム291'は、リターンビーム291'を受信導波管225aの先端217にフォーカシングするコリメート光学機器229にファセット245のうちの1つによって反射する。
【0056】
一実施例において、システム200''、200'''、200''''の1つ以上のパラメータの値は、リターンビーム291'の信号対雑音比(SNR)を最適化するためにシステム200''、200'''、200''''の設計段階中に選択される。一実施例において、これらのパラメータ値は、SNRを最適化するために角度範囲227にわたってターゲット設計範囲に基づいて選択されるポリゴンスキャナ244の回転速度の値を含む。
図4gは、一実施例によって
図2eのシステム200''における様々なスキャンレートに対するターゲット範囲対SNRの例を示すグラフである。水平軸402は、メートル(m)単位のターゲット距離であり、垂直軸404は、デシベル(dB)単位のSNRである。第1曲線440dは、ビームがスキャンされていないターゲット距離に基づいて受信導波管225の先端217にフォーカシングされたリターンビーム291'のSNRを示す。第2曲線440bは、ビームが遅いスキャンレート(例えば、毎秒約2、500度)でスキャンされるターゲット距離に基づいて受信導波管225の先端217にフォーカシングされたリターンビーム291'のSNRを示す。第3曲線440cは、ビームが最適なスキャンレート(例えば、約5、500deg/sec)でスキャンされるターゲット距離に基づいて受信導波管225の先端217にフォーカシングされたリターンビーム291'のSNRを示す。SNRしきい値442(例えば、10dB)も示されている。したがって、システム200''を設計する際、ユーザは、まず角度範囲(例えば、0m~150m)にわたってターゲット設計距離を決定した後、
図4gを用いて曲線440b、440c、440dのうち、いずれの曲線がそのターゲット設計距離にわたってSNRしきい値442よりも高いSNRを維持するのかを迅速に決定する。この例示的な実施例において、曲線440cは、ターゲット設計距離(例えば、0m~150m)にわたってSNRしきい値442よりも高いSNRを維持するため、ユーザは、システム200''を設計する際、曲線440cに係る最適なスキャン速度(例えば、約5、500deg/sec)を選択する。したがって、ポリゴンスキャナ244は、この最適なスキャン速度に基づいて固定された回転速度を有するように設定される。したがって、曲線440は、特に、ポリゴンスキャナ244の固定されたスキャン速度を選択するときに、ユーザがシステム200''を設計する効率的な方法を有利に提供する。一実施例において、それぞれの曲線440は、システム200''を使用して生成され、各曲線440に関連するポリゴンスキャナの各スキャン速度でリターンビーム291'のSNRを測定する。曲線440は、
図4gに示されたものに限定されず、同様の手段を使用して生成されたすべてのSNR曲線を含む。一部の実施例において、
図4gの曲線と同様の曲線は、前記システム200''と同様の方式でシステム200'''(
図2i)またはシステム200''''(
図2j)に対して生成し得、ユーザにシステム200'''またはシステム200''''を設計する有利かつ効率的な方法を提供する。
【0057】
他の実施例において、システム200'の設計段階中に選択される設計パラメータの値は、SNRを最適化するために角度範囲227にわたってターゲット設計距離およびポリゴンスキャナ244のスキャン速度に基づいて選択される間隔221の値を含む。他の実施例において、システム200'''(
図2i)の設計段階中に選択される設計パラメータの値は、自由空間光学機器260の間隔221および/または長さ262の値を含む。一部の実施例において、自由空間光学機器260は、複屈折ディスプレーサ(Birefringent Displacer)であり得るが、これに限定されない。一実施例において、自由空間光学機器260の長さ262は、システムの縦軸に沿って測定され、ここで縦軸は、送信されたビーム205'(
図2i)および/またはリターンビーム291(
図2j)および/または光ファイバアレイ215'、215''からターゲット292に向かうベクトルの方向によって定義される。また他の実施例において、システム200''''(
図2j)の設計段階中に選択される設計パラメータの値は、第1自由空間光学機器260aの間隔221a、221bおよび/または長さ262aおよび/または第2自由空間光学機器260bの長さ262bを含む。一部の実施例において、第1および第2自由空間光学機器のそれぞれは、複屈折ディスプレーサであり得るが、これに限定されない。
図4kは、一実施例によって低い固定されたスキャン速度(例えば、4、000度/秒)における
図2eのシステム200''内の様々な間隔221の値に対するターゲット距離対SNRの例を示すグラフである。水平軸402は、メートル(m)単位のターゲット距離であり、垂直軸404は、デシベル(dB)単位のSNRである。第1曲線464aは、4w
0の間隔221に対するターゲット距離に基づいて受信導波管225の先端217にフォーカシングされたリターンビーム291'のSNRを示し、ここで、w
oは、送信導波管223の直径である。第2曲線464bは、0(例えば、0w
0)の間隔221に対するターゲット距離に基づいて受信導波管225の先端217にフォーカシングされたリターンビーム291'のSNRを示す。第1曲線464aと第2曲線464bとの間の各曲線464は、間隔221の値で0.25w
oの減少を示す。一実施例において、ターゲット設計距離にわたってSNRしきい値442よりも高いSNR値を有するため、曲線464cは、ターゲット設計距離(例えば、0m~250m)に対して選択される。曲線464cに関連する間隔値221は、0.25w
oであり、したがって、ターゲット設計距離(例えば、0m~250m)および低い固定されたスキャン速度(例えば、4、000度/秒)でシステム200''を設計する際、間隔221は、0.25w
0に設定される。一部の実施例において、
図4kの曲線464と同様のSNR曲線がシステム200'''(
図2i)の様々な間隔221および/または長さ262の値に基づいて、および/またはシステム200''''(
図2j)の様々な間隔221a、221bおよび長さ262a、262bの値に基づいて生成し得る。
図4lは、低い固定されたスキャン速度(例えば、4、000度/秒)を有するシステム200''に対する複数のSNR曲線466を示すグラフである。水平軸402に沿った特定のターゲット設計距離(例えば、250m)に対して、SNR曲線466は、曲線466に関連するSNRレベルを維持するのに必要な(垂直軸409に沿った)間隔221の値を伝達する。例示的な実施例において、250mのターゲット設計距離に対して、曲線466aは、18dBのSNRが間隔221の多重値(例えば、約0.25w
0および約2.75w
0)に維持でき、したがって、システム200''の設計時にユーザに異なるオプションを提供する。
図4kに加えて、曲線466は、知られたターゲット設計距離および固定されたスキャン速度に基づいてシステム200''を設計する際に、ユーザのための迅速な照会手段を提供する。一実施例において、
図4kの曲線464のように、曲線466は、多重ターゲット距離値にわたって多重間隔221値でリターンビーム291'のSNRを測定することによって、システム200''を使用して生成される。さらに、曲線466は、
図4lに示されたものに限定されない。一部の実施例において、
図4lの曲線466と同様のSNR曲線は、システム200'''の様々な間隔221および/または長さ262の値に基づいて、および/またはシステム200''''の様々な間隔221a、221bおよび長さ262a、262bの値に基づいて生成し得る。
【0058】
図4mは、
図4kのグラフと同様のグラフであるが、高い固定されたスキャン速度(例えば、12、000度/秒)についてのグラフである。第1曲線465aは、第1曲線464aと同様であり、4w
oの間隔221の場合である。第2曲線465bは、第2曲線464bと同様であり、ゼロ(例えば、0w
o)の間隔221の場合である。同じターゲット設計距離(例えば、0m~250m)を使用し、曲線465cは、ターゲット設計距離にわたってSNRしきい値442よりも高いSNR値を有するために選択される。曲線465cに関連する間隔221の値は、2.75w
oであり、したがって、ポリゴンスキャナ244が高い固定されたスキャン速度(例えば、12、000度/秒)で動作する場合、システム200''における間隔221は、2.75w
oに設定される。したがって、システム200''を設計する際、ユーザは、まず角度の範囲にわたってターゲット設計距離(例えば、0m~250m)を決定した後、
図4mを使用して曲線465のうち、いずれがポリゴンスキャナ244の固定されたスキャン速度およびターゲット設計距離にわたってSNRしきい値442よりも高いSNRを維持するのかを迅速に決定し得る。一部の実施例において、
図4mの曲線465と同様のSNR曲線は、システム200'''の様々な間隔221および/または長さ262の値および/またはシステム200''''の様々な間隔221a、221bおよび長さ262a、262bの値に基づいて生成し得る。
図4nは、高い固定されたスキャン速度(例えば、12、000度/秒)を有するシステム200''についての複数のSNR曲線467を示すグラフである。水平軸402に沿った特定のターゲット設計距離(例えば、100m)について、SNR曲線467は、曲線467に関連するSNRレベルを維持するのに必要な(垂直軸409に沿った)間隔221の値を伝達する。例示的な実施例において、100mのターゲット設計距離について、曲線467aは、28dBのSNRが多重間隔221の値(例えば、約0.75w
oおよび約2.25w
0)に維持できることを示す。
図4mに加えて、曲線467は、知られたターゲット設計距離および固定されたスキャン速度に基づいてシステム200''を設計する際に、ユーザのための迅速な照会手段を提供する。一実施例において、
図4mの曲線465のように、曲線467は、システム200''を使用して多重ターゲット距離値にわたって多重間隔221の値でリターンビーム291'のSNRを測定することによって生成される。また、曲線467は、
図4nに示されたものに限定されない。一部の実施例において、
図4nの曲線467と同様のSNR曲線は、システム200'''の様々な間隔221および/または長さ262の値に基づいて、および/またはシステム200''''の様々な間隔221a、221bおよび長さ262a、262bの値に基づいて生成し得る。
【0059】
図4oは、一実施例によって
図2eのシステムにおいて、最小しきい値SNRを有する様々なターゲット距離値についての間隔対スキャン速度の例を示すグラフである。水平軸403は、毎秒キロ度(Kilo Degrees Per Second)単位のスキャン速度である。垂直軸409は、w
o単位の間隔221である。水平軸403に沿った特定のスキャン速度において、曲線469は、曲線469に関連するターゲット設計距離値にわたってSNRしきい値442(例えば、10dB)を維持するために間隔221の値を提供する。例示的な実施例において、12、000度/秒のスキャン速度における曲線469aは、250mのターゲット設計距離に対してSNRしきい値442を維持するために約2.75w
oの間隔221値を示す。これは、
図4mの曲線465cの例示的な実施例と一致する。さらに、例示的な実施例において、4、000度/秒のスキャン速度に対して曲線469aは、250mのターゲット設計距離に対してSNRしきい値442を維持するために約0.25w
oの間隔221値を示す。これは、
図4kの曲線464cの例示的な実施例と一致する。したがって、
図4oは、システム200''の設計段階中に有用な追加の有利な照会グラフを提供する。一部の実施例において、
図4oの曲線469と同様の曲線は、システム200'''の様々な間隔221および/または長さ262の値に基づいて、および/またはシステム200''''の様々な間隔221a、221bおよび長さ262a、262bの値に基づいて生成し得る。
【0060】
図2fに示されたように、ポリゴンスキャナ244は、例えば、ターゲットへの往復時間の間、例えば、ビーム205''がファセット245aからターゲットに反射される時間と、リターンビーム291'がファセット245aによって光学機器229に反射される時間の間に第1指向(例えば、実線)から第2指向(例えば、点線)に回転する。一実施例において、これらの時間の間のファセット245aの回転は、リターンビーム291'が入射ビーム205'について所定の角度228でファセット245aによって偏向する原因である。一実施例において、ポリゴンスキャナ244の(例えば、往復時間に基づく)ターゲット距離および/または回転速度および/またはバイスタティックトランシーバー215上のリターンビーム291'のイメージ418(
図4e)の直径は、角度228を決定し、これにより送信導波管223に対して受信導波管225aを位置させ、リターンビーム291'が受信導波管225aの先端にフォーカシングするように選択される間隔221aを決定する。
図2iのシステム200'''の実施例において、リターンビーム291'が受信導波管225'の先端にフォーカシングされるように、自由空間光学機器260(例えば、複屈折ディスプレーサ)の長さ262および/またはリターンビーム291'の変位距離264以外に前記パラメータのうちの1つ以上も考慮される。
図2jのシステム200''''の実施例において、リターンビーム291'が受信導波管225a'、225b'の先端にフォーカシングされるように、自由空間光学機器260a、260bの長さ262a、 262bおよび/またはリターンビーム291'の変位距離264a、264b以外に前記パラメータのうちの1つ以上も考慮される。一実施例において、
図2fのシステム200''について、数式5は、間隔221、ポリゴンスキャナ244の回転速度およびターゲット距離の間の関係を表現する。
【数5】
ここで、yは、間隔221であり、焦点距離は、コリメート光学機器229の焦点長さ(メートル単位)であり、回転速度は、ポリゴンスキャナ244の回転速度(毎秒ラジアン単位)であり、cは、光速(毎秒メートル単位)であり、距離は、ターゲット距離(メートル単位)である。
【0061】
システム200'''、システム200''''の実施例において、変位したビーム(例えば、第2線形偏光254を有するリターンビーム291')が偏向する角度(例えば、
図2iの角度259)として定義される自由空間光学機器260(例えば、複屈折ディスプレーサ)についてのビーム離脱(Walk-oFF)角度αは、以下によって定義される。
【数6】
ここで、n
oおよびn
eは、自由空間光学機器260(例えば、複屈折ディスプレーサ)の正常および異常屈折率であり、θは、結晶軸角度(例えば、離脱を最大化するために一般的に約45度)である。一実施例において、変位距離264は、単に次のとおりである。
【数7】
ここで、dは、変位距離であり、Lは、自由空間光学機器260の長さ262である。一実施例において、システム200'''、200''''における導波管間の間隔221は、(例えば、数式7を用いた)変位ベクトルdおよび(例えば、数式5を用いた)往復遅延に基づく間隔の大きさの和である。ここで、「正常屈折率」は、結晶軸に直交し(例えば、自由空間光学機器260の表面に対して垂直に入射し、自由空間光学機器260を介して当該方向に継続する)、正常の屈折法則に従って挙動する線形偏光(例えば、
図2i~2jの線形偏光252)のビームが屈折する屈折率を意味する。さらに、「異常屈折率」は、結晶軸に平行であり(例えば、自由空間光学機器260の表面に対して垂直に入射し、自由空間光学機器260を介して当該方向に継続しない)、正常の屈折法則に従って挙動しない線形偏光(例えば、
図2i~2jの線形偏光252)のビームが屈折する屈折率を意味する。
【0062】
一実施例において、受信導波管225aは、送信導波管223の直径w
oの約2~5倍の間隔221aを有し、追加の距離(例えば、約50mを超える)に位置するターゲットからリターンビーム291'を受信するために使用される。追加の距離に位置したターゲットの場合、往復時間がより長く、ファセット245aは、
図2fに示されたものよりも大きく回転し、したがって、リターンビーム291'は、コリメート光学機器229についてより大きな角度228だけ偏向する。しかし、追加の距離に位置したターゲットの場合、バイスタティックトランシーバー215上のリターンビーム291'のイメージ418(
図4e)の直径がより小さいため、間隔221aの大きさおよび範囲がより小さく(例えば、精度が向上して)、イメージ418が適切な間隔221aによって受信導波管225aに移動されることを保証する。一実施例において、間隔221は、イメージ418の直径の比率(例えば、1未満)に基づく。一部の実施例において、間隔221(
図2i)および/または間隔221a、221b(
図2j)は、また、それぞれのバイスタティックトランシーバー215'、215''上のイメージ418の直径の比率(例えば、1未満)および/または複屈折ディスプレーサの長さおよび/または複屈折ディスプレーサによるビームの変位距離などの他のパラメータに基づく。
【0063】
一実施例において、受信導波管225bは、送信導波管223の直径w
0の約5~10倍の間隔221bを有し、より小さい距離(例えば、より小さい約50m未満)に位置したターゲットからリターンビーム291'を受信するのに使用される。より小さい距離に位置したターゲットの場合、往復時間がより短く、ファセット245aは、
図2fに示されたものよりも少ない程度で回転し、したがって、リターンビーム291'は、コリメート光学機器229に対してより小さい角度228だけ偏向する。しかし、より小さい距離に位置したターゲットの場合、受信導波管225bで最小SNRを達成するためにより大きいイメージ418が特定の量だけシフトされるかどうかについてのより広い許容度(Latitude)があるため、バイスタティックトランシーバー215上のリターンビーム291'のイメージ418(
図4e)の直径がより大きく、これにより間隔221aの大きさおよび範囲がより大きい(例えば、精度減少である)。
【0064】
したがって、一実施例において、受信導波管225a、225bは、ビーム205''が固定された回転速度で角度範囲227にわたってスキャンされるとき、異なる距離のターゲットからリターンビーム291'を受信するのに使用できる。例示的な実施例において、導波管225aは、角度範囲227の第1部分にわたってより長い距離に位置したターゲットからリターンビーム291'を受信し、導波管225bは、角度範囲227の第2部分にわたってより短い距離に位置したターゲットからリターンビーム291'を受信する。しかし、他の実施例において、ビーム205''が角度範囲227(例えば、約0m~約250m)にわたってスキャンされるとき、ターゲット距離の1つの値または値の範囲内において、ターゲットからリターンビーム291'を受信するために1つの受信導波管225aまたは225bだけが使用される。
【0065】
一実施例において、システム200''は、自由空間光学機器226を排除するため、受信導波管225aは、受信経路224に沿って提供され、光ミキサ284に連結される。基準ビーム207bは、基準ビーム207bが光ミキサ284内で受信導波管225aからのリターンビーム291'と結合されるように、LO経路220に沿って導波管内で送信される。複数の受信導波管225a、225bが提供される一実施例において、受信導波管225bが受信経路224に沿って提供され、それぞれの基準ビーム207bが受信導波管225bからのリターンビーム291'と結合されるそれぞれの光ミキサ284に連結されるように類似の配列が受信導波管225bに提供される。1つの受信導波管225aがバイスタティックトランシーバー215にある一実施例において、1つの処理チャネル(例えば、LO経路に沿った1つの受信導波管、1つの光ミキサ、1つの導波管)のみが提供される。例示的な実施例において、
図2iのシステム200'''のバイスタティックトランシーバー215'の受信導波管225'のために1つの処理チャネルのみが提供される。しかし、2対以上の導波管-ここで導波管の各対は、
図2iの送信導波管223'および受信導波管225'を含む-を含む導波管の線形アレイ(例えば、1次元線形アレイ)を示す
図2kのシステム200'''の受信導波管225a'、225b'のために複数の処理チャネルが提供される。複数の受信導波管225a、225bが提供される他の実施例において、複数の処理チャネルが提供される。例示的な実施例において、
図2jのシステム200''''のバイスタティックトランシーバー215''の受信導波管225a'、225b'のために複数の処理チャネルが提供される。この例示的な実施例において、複数の処理チャネルは、受信導波管225a'、225b'の先端に受信された複数のリターンビームの直交線形偏光を処理するように構成される。また他の例示的な実施例において、バイスタティックトランシーバー215''は、線形アレイ(例えば、1次元アレイ)であり、したがって、複数の処理チャネルが提供され、1次元線形アレイの導波管のうち、複数の受信導波管に受信された複数のリターンビーム信号(例えば、直交線形偏光を有する)を同時に処理する。したがって、一実施例において、システム200''、200'''、200''''は、受信導波管225の数と同じ数の処理チャネルを含む。一実施例において、これはリターンビーム291'が受信導波管225a、225bから非重畳期間に順次に受信されるため、獲得システム240および/または処理システム250は、リターンビーム291'を受信導波管225から順次の期間に応じて処理(例えば、第1時間周期にわたって受信導波管225aからリターンビーム291'を処理し、第2期間にわたって受信導波管225bからリターンビーム291'を処理)するように構成される。獲得システム240および/または処理システム250は、システム200'''、システム200''''内に受信された複数のリターンビームを同時に処理するように構成される。
4.コヒーレントLIDARシステムパラメータ
【0066】
一実施例において、システム200'のモノスタティックコヒーレントLIDAR性能は、いわゆる「リンクバジェット(Link Budget)」にシステムパラメータを含むことによってモデリングされる。リンクバジェットは、様々なシステムおよびターゲットパラメータについて信号対雑音比(SNR)の予想値を推定する。一実施例において、システム側におけるリンクバジェットは、出力光パワー、インティグレーションタイム、検出器特性、導波管連結における挿入損失、イメージングされたスポットとモノスタティック収集導波管との間のモード重畳および光トランシーバー特性のうち、1つ以上を含む。他の実施例において、ターゲット側におけるリンクバジェットは、大気特性(Atmospheric Characteristics)、ターゲット反射度およびターゲット距離のうち、1つ以上を含む。
【0067】
図4aは、一実施例によってスキャニングなしの
図2dのシステム200'でリターンビーム291についての例示的な信号対雑音比(SNR)対ターゲット距離を示すグラフである。他の実施例において、
図4aは、
図2aのシステム200におけるリターンビーム291についてのSNR対ターゲット距離の一例を示す。水平軸402は、メートル(m)単位のターゲット距離である。垂直軸404は、デシベル(dB)単位のSNRである。曲線410は、ニアフィールド(Near Field)406とファーフィールド(Far Field)に分割されたSNR対距離の値を示し、相対的に平坦な傾きを有する曲線410のニアフィールド406から負の傾き(例えば、約10m当たり-20dB)を有する曲線410のファーフィールド408へ遷移する。リターンビーム291が通過する散乱する大気がターゲットまでの距離の2乗によって増加し、リターンビーム291を収集するための光導波管の先端217の表面積が固定されるため、ファーフィールド408におけるSNR減少は、「r2乗(r-square)」の損失によって支配される。
図4bは、一実施例によってファーフィールド408におけるSNR曲線410の形状を駆動する1/r2乗の損失を示す曲線411の一例を示すグラフである。水平軸402は、メートル(m)単位の距離であり、垂直軸407は、単位のないパワー損失である。
【0068】
ニアフィールド406において、SNRの1次ドライバー(Driver)は、コリメート光学機器229によって先端217にフォーカシングされる前のコリメートされたリターンビーム291の直径である。
図4cは、一実施例によってスキャニングなしの
図2dのシステム200'におけるリターンビーム291についてのコリメートされたビーム直径対距離の一例を示すグラフである。水平軸402は、メートル(m)単位のターゲット距離であり、垂直軸405は、メートル(m)単位のリターンビーム291の直径である。一実施例において、曲線414は、リターンビーム291が光導波管の先端217にフォーカシングされる以前にコリメート光学機器229に入射するコリメートされたリターンビーム291の直径を示す。曲線414は、コリメート光学機器229に入射するコリメートされたリターンビーム291の直径が増加するターゲット距離に応じて増加することを示す。
【0069】
一実施例において、ニアフィールド406におけるコリメートされたリターンビーム291の直径がより大きいターゲット距離で増加するにつれて、コリメート光学機器229によって先端217にフォーカシングされるリターンビーム291の直径は縮小する。
図4dは、一実施例によってスキャニングなしの
図2dのシステムから送信された信号についてのリターンビーム291の先端217における収集効率に関連するSNR対距離の一例を示すグラフである。水平軸402は、メートル(m)単位のターゲット距離であり、垂直軸404は、デシベル(dB)単位のSNRである。曲線416は、コリメート光学機器229によって先端217にフォーカシングされたリターンビーム291のニアフィールドSNRをターゲット距離に基づいて示す。ニアフィールド406内の近い距離でコリメート光学機器229によって先端217にフォーカシングされたリターンビーム291のイメージ418aは、単一モード光ファイバ先端217のコアサイズよりも十分に大きい。したがって、収集効率に関連するSNRは、相対的に低い。ニアフィールド406内のより長い距離でコリメート光学機器229によって先端217にフォーカシングされたリターンビーム291のイメージ418bは、イメージ418aよりもはるかに小さく、したがって、収集効率に起因するSNRは、より長い距離で増加する。一実施例において、曲線416は、ニアフィールド406のSNRがフォーカシングされたリターンビーム291のより長い距離で改善された収集効率に基づいて正の傾き(例えば、10メートル当たり+20dB)を有することを示している。一実施例において、ニアフィールドSNRにおけるこのような正の傾きは、「r-2乗」の損失に起因する
図4bで論議されたニアフィールドSNRにおける負の傾きを相殺させ、したがって、ニアフィールド406における曲線410の相対的に平坦な領域につながる。
図4dのSNR曲線416内の正の傾きは、ファーフィールド408まで延長されず、したがって、ファーフィールド408におけるSNR曲線410に示されたように、
図4bの「r-2乗」損失がファーフィールド408SNRを支配する。
【0070】
図4aないし
図4dに係る論議においては、リターンビーム291のSNRをターゲット距離の関数として予想するが、
図4aないし
図4dで予想されるSNRは、モノスタティックコヒーレントLIDARシステム200'についてのものであって、これはスキャニング光学機器218のスキャンレートを考慮しないため、スキャンされたモノスタティックコヒーレントLIDARシステム200'の性能を完全に特徴化しない。以下、
図4eないし
図4gは、ビーム205''が0よりも大きいスキャンレートでスキャンされるバイスタティックコヒーレントLIDARシステム200''の側面で論議される。一実施例において、リターンビーム291'の往復移動遅延によって、ビームがスキャニング光学機器218(例えば、ポリゴンスキャナ244)によってスキャンされているときに、リターンビーム291'の受信モードは、送信されたビーム205'の送信されたモードから左右にシフトするか、または「離脱(Walk Off)」するであろう。一実施例において、リターンビーム291'は、送信されたビーム205'に対して角度228に偏向し、コリメート光学機器229は、側方向シフトまたは「離脱」が間隔221aに対応するか、または間隔221aのしきい値内にある場合、受信導波管225aの先端217へリターンビーム291'をフォーカシングする。一実施例において、しきい値は、受信導波管225の先端217上のリターンビーム291'のイメージの直径の最大比率(例えば、1より小さい比率)である。一実施例において、離脱は、リターンビーム291'のイメージ418と受信導波管225との重なりが最適な収集効率につながるようにすることが必要であり、例えば、離脱は、イメージ418の中心が受信導波管225の先端217の±10%以内になるように提供される。
図4eは、一実施例によって
図2eのシステム200''における様々なターゲット距離およびスキャン速度についてのビーム離脱の一例を示すイメージである。水平軸502は、ターゲット距離であり、垂直軸422は、スキャニング光学機器218を用いたビームのスキャン速度である。
図4eに示されたように、フォーカシングされたリターンビーム291のイメージ418aが送信導波管223の先端217に集中して短いターゲット距離でビーム離脱がないことを示し、フォーカシングされたリターンビーム291のイメージ418bも送信導波管223の先端217に集中して遠いターゲット距離でビーム離脱がないことを示すため、ビームがスキャンされないとき(下部行)においては、ビーム離脱はない。一実施例において、ビーム291'は、受信導波管225の先端217にまたはその近くに集中されず、および/またはビーム離脱がほとんどまたは全くないため、ビーム離脱は、送信導波管223と受信導波管225との間の間隔221のしきい値内にない。その結果、バイスタティックトランシーバーシステム200''についての最適な配列ではない。
図4eに示されたように、イメージ418aの直径は、間隔221よりも大きいため、リターンビーム291'のイメージ418aは、受信導波管225の先端217と部分的に重なる。その結果、リターンビーム291'の一部がより短いターゲット距離で受信導波管225の先端217に受信されるため、ビーム205''がスキャンされない場合でも信号対雑音比SNRは、0よりも大きい。さらに、
図4eに示されたように、イメージ418bの直径は、間隔221よりも小さいか、またはほぼ同じであるため、リターンビーム291'のイメージ418bは、より長いターゲット距離に対して受信導波管225の先端217と重畳していないことがある。結局、ビーム205''がスキャンされないとき、より長いターゲット距離で受信導波管225の先端にリターンビーム291'がほとんど受信されないか、または全く受信されない。
【0071】
ビーム205''が中間スキャン速度でスキャンされるとき(
図4eの中間行)、短いターゲット距離についてフォーカシングされたリターンビーム291'のイメージ418aと送信導波管223の先端217との間で中間ビーム離脱419aが観察され、遠いターゲット距離についてフォーカシングされたリターンビーム291'のイメージ418bと送信導波管223の先端217との間でより大きいビーム離脱419bが観察される。ビーム離脱419bは、より小さいターゲット距離についてのビーム離脱419aよりも大きいターゲット距離についてより大きいが、リターンビーム291'は、受信導波管225上のイメージ418aのはるかに大きい直径によってより小さいターゲット距離でより高いSNRを有する。離脱419bは、イメージ418bの直径の比より小さいため、これは、遠いターゲット距離についてのバイスタティックトランシーバーシステム200''についての最適の配列ではない。しかし、一部の実施例において、間隔221は、ポリゴンスキャナ244が中間スキャン速度で回転するときに、受信導波管225aが短い距離でリターンビーム291'を受信するように構成されるように離脱419aに基づいて選択されるが、これは、短いターゲット距離についてのイメージ418aの増加した直径は、小さな離脱419aにもかかわらず、リターンビーム291'のSNRがSNRしきい値よりも大きくなる可能性があるためである。
【0072】
ビーム205''が高いスキャン速度でスキャンされるとき(
図4eの上部行)、中間スキャン速度のビーム離脱419aを超過するビーム離脱421aが短い距離で観察され、中間スキャン速度のビーム離脱419bを超過するビーム離脱421bが長い距離で観察される。したがって、ビーム離脱は、ターゲット距離とスキャン速度が増加するにつれて増加する。一実施例において、増加したターゲット距離は、時間遅延を誘発し、その間に、イメージ418a、4l8bが送信導波管223の先端217から遠くシフトされる。したがって、モード重畳のモデルは、この離脱を適切に説明する。一実施例において、このようなモデルは、ビーム離脱419、421をイメージ418の直径に基づいて(例えば、イメージ418の直径の半分よりも大きくないように)制限しなければならず、したがって、より短いターゲット距離のターゲット418aについて、ビーム離脱419、421の許容可能な範囲についてのより広い許容度が存在する。一実施例において、ポリゴンスキャナ244が固定された最適のスキャン速度で設定でき、より短い距離のターゲットからのリターンされたビーム291'が受信導波管225bに偏向し、より長い距離のターゲットからリターンされたビーム291'が受信導波管225aに偏向するように、間隔221bは、ビーム離脱421aに基づいて調整され、間隔221aは、ビーム離脱421bに基づいて調整される。この例示的な実施例において、ビーム離脱421aは、間隔221aのしきい値内にあり、ビーム離脱421bは、間隔221bのしきい値内にある。一部の実施例において、
図4eに示されるものと同様のビーム離脱は、
図2iのシステム200'''および/または
図2jのシステム200''''における様々なターゲット距離、スキャン速度、複屈折ディスプレーサの長さおよび/または変位したビーム距離について生成し得る。
【0073】
図4fは、一実施例によって
図2eのシステム200''における様々なスキャンレートについてのカップリング効率対ターゲット距離の一例を示すグラフである。水平軸402は、メートル(m)単位のターゲット距離であり、垂直軸430は、単位がないカップリング効率である。一実施例において、カップリング効率は、間隔221とビーム離脱419、421との間の差および/またはイメージ418の直径に反比例する(例えば、より大きい直径の場合、間隔221とビーム離脱419、421との間の差でより広い許容度を有し、より小さい直径の場合、当該差でより狭い許容度をが有する)。第1曲線432aは、ビーム205'のスキャニングがないことに基づいてモノスタティックシステム200'の光ファイバの先端217にフォーカシングされたリターンビーム291の様々なターゲット距離についてのカップリング効率を示す。カップリング効率は、広い範囲のターゲット距離について相対的に高く、一定の状態を維持される。第2曲線432cは、ビームの中間スキャンレートに基づいて受信導波管225の先端217にフォーカシングされたリターンビーム291'の様々なターゲット距離についてのカップリング効率を示す。一実施例において、中間スキャンレートにおけるカップリング効率は、高いターゲット距離(例えば、約450m)でピークに到逹した後、前記高いターゲット距離上下のターゲット距離について減少する。第3曲線432bは、ビームの高いスキャンレートに基づいて受信導波管225の先端217にフォーカシングされたリターンビーム291'のカップリング効率を様々なターゲット距離について示す。一実施例において、高いスキャンレートのカップリング効率は、中間ターゲット距離(例えば、約180m)でピークに到逹した後、ターゲット距離が増加するにつれて減少する。第4曲線432dは、ビームのスキャニングがないとき、様々なターゲット距離についての受信導波管225の先端217にフォーカシングされたリターンビーム291'のカップリング効率を示す。ビームのスキャニングがないと、リターンビーム291'が送信導波管223(
図4eの下部行)に中心整列するため、カップリング効率は、ターゲット距離の全体にわたって約0である。結果的に、ビーム205''のスキャニングがない場合は、バイスタティックLIDARシステム200''についての有利な動作モードではない。一部の実施例において、
図4fに示されたものと同様のカップリング効率は、
図2iのシステム200'''および/または
図2jのシステム200''''における様々なターゲット範囲、スキャン速度、複屈折ディスプレーサの長さおよび/または変位したビーム距離について生成し得る。
【0074】
図4fにおける曲線に基づいて、スキャニングがなければ、受信導波管225へのカップリング効率がほとんどまたは全く発生しないため、バイスタティックLIDARシステム200''について最適ではない。また、スキャン速度が遅すぎると、広いターゲット距離(例えば、<300m)内で見られない。この場合に、フォーカシングされたリターンビーム291'のイメージ418bのビーム離脱419bは、非常に長いターゲット距離(例えば、300m以上)でのみ間隔221に接近する。結果的に、少なくともこのような非常に長い距離よりも短い距離を有するターゲット(例えば、距離が<300mであるターゲットの場合)についてのリターンビーム291'のデータをキャプチャするためにバイスタティックLIDARシステム200''を遅いスキャン速度で作動させることは、最適ではない。また、
図4fは、最適の速度(例えば、曲線432b)のスキャニングは、広いターゲット距離(例えば、約100~約300m)内に位置したターゲットを見られるようにすることを例示する。これは、ビーム離脱421bが間隔221のしきい値内にあることに基づく。例示的な一実施例において、中間スキャン速度は、約1、000度/秒ないし約2、000度/秒の範囲内にあり、最適のスキャン速度は、約4、000度/秒から約7、000度/秒までの範囲内にある。
【0075】
図4gは、一実施例によって
図2eのシステム200''における様々なスキャンレートについてのSNR対ターゲット距離の一例を示すグラフである。水平軸402は、メートル(m)単位のターゲット距離であり、垂直軸404は、デシベル(dB)単位のSNRである。第1曲線440dは、ビームがスキャンされない場合に、受信導波管225の先端217にフォーカシングされたリターンビーム291'のSNRをターゲット距離に基づいて示す。ビームがスキャンされないときにビーム離脱はないが、フォーカシングされたリターンビーム291'のイメージ418aは、受信導波管225の先端217と部分的に重畳し(
図4eの下部行)、したがって、SNRは、0よりも大きく、イメージ418aの直径が比較的大きいため、SNRしきい値442よりも大きいことがある。さらに、ビームが長いターゲット距離についてスキャンされないときに(
図4eの下部行)、フォーカシングされたリターンビーム291'のイメージ418bの直径は、より短いターゲット距離よりもはるかに小さく、受信導波管225の先端217と重畳していない。したがって、一部のターゲット距離(例えば、90m)を超えると、曲線440dのSNRは、0に近づく。
【0076】
第2曲線440bは、ビームが中間スキャンレートでスキャンされる場合に、受信導波管225の先端217にフォーカシングされたリターンビーム291'のSNRをターゲット距離に基づいて示す。例示的な実施例において、低いスキャンレートは、約2、500度/秒であるか、約1、000度/秒ないし約4、000度/秒の範囲または約500度/秒ないし約5、000度/秒の範囲内にある。第3曲線440cは、最適のスキャンレートでビームがスキャンされる場合に、受信導波管225の先端217にフォーカシングされたリターンビーム291'のSNRをターゲット距離に基づいて示す。例示的な実施例において、最適のスキャンレートは、約5、500度/秒であるか、約4、000度/秒ないし約7、000度/秒の範囲または約3、000度/秒ないし約8、000度/秒の範囲内にある。一実施例において、低いスキャンレートおよび最適のスキャンレートは、システム200''のビームの大きさおよび/または間隔221および/または目標を含むシステム200''の1つ以上のパラメータに基づく。例示的な実施例において、前述した低いスキャンレートと最適のスキャンレートの数値の範囲は、約400メートル(m)の最大ターゲット距離までイメージをスキャンするために使用される約1センチメートル(cm)の直径を有するコリメートされたビームに基づく。
【0077】
最終的に、ビーム離脱419、421と間隔221との間の差は、コヒーレントバイスタティックLIDARシステム200''におけるSNRの重要な抑制者(Inhibitor)であり、および/または特定ターゲット距離についてのイメージ418の直径は、しきい値SNRを達成するための前記差の許容誤差または精度を示す。一実施例において、バイスタティックシステム200''におけるビームのスキャンレートは、角度範囲および結果的なターゲット距離にわたって固定されたスキャンレート(例えば、ポリゴンスキャナ244の角速度249の固定された速度)に設定され、ここで固定スキャンレートは、固定スキャンレートの連関するSNRがターゲット距離にわたってSNRしきい値より高いように選択される。先に議論されたように、
図4gのSNR曲線は、システム200'''(
図2i)およびシステム200''''(
図2j)で受信導波管の先端に受信されたリターンビームに対して生成できる。一実施例において、本明細書で論じた方法と同様の方法は、(例えば、関連するSNR曲線がターゲット距離にわたってSNRしきい値よりも高いスキャンレートで設定された)このようなシステムにおいて、スキャニング光学機器の固定されたスキャンレートを決定するためにSNR曲線とともに使用できる。従来のコヒーレントLIDARシステムにおいて、これはスキャン軌跡460にわたってビームをスキャンするのに使用される相対的に低い固定されたスキャンレートをもたらし、これは
図4hに示されたように、隣接するスキャンの間に大きなギャップ462をもたらす。スキャン速度の制限は、ビーム軌跡460に沿って稠密なサンプリングにつながる。ビームが少ない数のかなり大きなフィールド(例えば、いずれの次元で数十倍の度)にわたってスキャンされるとき、ビーム軌跡460は、角度範囲に大きなギャップ462を残す。これは大きなギャップ462に位置したターゲットが検出されないため、理想的ではない。長方形サンプリングの「正方形グリッド」は、達成されない。代わりに、スキャン軌跡460に沿うサンプリングと10:1より大きいことがある軌跡460との間のギャップ462の間に非対称が観察される。この問題を念頭に置いて、本開示内容の発明者は、固定されたビームスキャン速度を最大化し、この概念についての効率的なハードウェアソルーション(例えば、ポリゴンスキャナ244)を提供するもののうち、1つ以上を含む様々の補完ソルーションを開発した。
【0078】
ビームのスキャンレートに加えて、リターンビーム291'のSNRは、獲得システム240および/または処理システム250がリターンビーム291'をサンプリングして処理するインティグレーションタイムによって影響を受ける。一部の実施例において、ビームは、離散角度(Discrete Angles)の間にスキャンされ、それぞれの離散角度におけるそれぞれのインティグレーションタイムの間、角度範囲227内の離散角度で固定された状態またはほとんど固定された状態に維持される。他の実施例において、ビームは、(例えば、ポリゴンスキャナ244を用いて)角度範囲227の全体にわたって固定されたスキャンレートでスキャンされる。リターンビーム291'のSNRは、インティグレーションタイムおよび/またはターゲット距離および/またはスキャンレートおよび/または間隔221の値によって影響を受ける。したがって、より長いターゲット距離からリターンビーム291'について同じSNRを達成するためにより長いインティグレーションタイムが必要である。
【0079】
図4iは、一実施例によって
図2eのシステム200''における様々なインティグレーションタイムについてのSNR対ターゲット距離の一例を示すグラフである。水平軸402は、メートル(m)単位のターゲット距離であり、垂直軸404は、デシベル(dB)単位のSNRである。第1曲線450aは、ターゲット距離にわたるリターンビーム291'のSNR値を表し、ここでシステム200''は、第1インティグレーションタイム(例えば、3.2μs)に設定される。第2曲線450bは、ターゲット距離にわたるリターンビーム291'のSNR値を表し、ここでシステム200''は、第2インティグレーションタイム(例えば、例えば、1.6μs)に設定される。第3曲線450cは、ターゲット距離にわたるリターンビーム291'のSNR値を表し、ここでシステム200''は、第3インティグレーションタイム(例えば、800ns)に設定される。第4曲線450dは、ターゲット距離にわたるリターンビーム291'のSNR値を表し、ここでシステム200''は、第4インティグレーションタイム(例えば、400ns)に設定される。曲線450は、固定されたターゲット距離についてインティグレーションタイムの増加と共に増加したSNRが達成されることを示す。さらに、曲線450は、固定されたインティグレーションタイムについて、リターンビーム291のSNRが以前に論じた理由で距離の増加と共に減少することを示す。一実施例において、固定されたインティグレーションタイムに関連するSNRがターゲット距離にわたるSNRしきい値452を超えるように、角度の範囲227および結果的なターゲット距離におけるスキャニングのために固定されたインティグレーションタイム(例えば、1.6μs)が選択される。他の実施例は、それぞれの角度におけるターゲット距離を用いて角度の範囲227内のそれぞれの角度におけるインティグレーションタイムを最小化し、角度の範囲227にわたってインティグレーションタイムを最小化することを含む。
図4jは、一実施例によって
図2eのシステム200''における測定速度(Measurement Rate)対ターゲット距離の一例を示すグラフである。水平軸402は、メートル(m)単位のターゲット距離であり、垂直軸474は、毎秒許容可能な測定回数単位の単位時間当たり許容可能な測定回数である。曲線476は、それぞれのターゲット距離における毎秒許容可能な測定回数を表す。一実施例において、曲線476は、インティグレーションタイムの逆数、例えば、毎秒それぞれのターゲット距離で検出できるリターンビーム291'の数を示し、インティグレーションタイムは、それぞれのターゲット距離でリターンビーム291'を処理するのにどれくらいかかるかを示す。また、曲線478が提供され、これはそれぞれのターゲット距離における毎秒許容可能な測定回数の良い目標である。曲線478は、与えられたアナログデジタル変換器(ADC)レートに対する2の累乗間隔に基づく。曲線478は、デジタル化されたサンプルの数が2の累乗であるとき、このような長さ信号についての高速フーリエ変換がより効率的であるため、毎秒許容可能な測定回数の良い目標を示す。曲線450は、限定されるものではないが、導波管間隔221、送信された信号205'の電力およびコリメート光学機器229の焦点距離を含む1つ以上のシステム200''システムパラメータに基づいて変化する。一実施例において、
図4iの曲線450と同様の曲線がシステム200'''(
図2i)およびシステム200''''(
図2j)で受信導波管の先端に受信されたリターンビームのインティグレーションタイムについて生成され得る。ここで論じた方法と同様の方法が、固定されたインティグレーションタイム、例えば、ターゲット距離にわたってSNRしきい値を超える曲線のインティグレーションタイムの値を決定するように使用できる。
5.バイスタティックLIDARシステムのための自由空間光学機器
【0080】
図2gおよび
図2hは、一実施例によってモノスタティックLIDARシステムの例示的なコンポネントの上面図を示すブロック図である。
図2gおよび
図2hに示されたモノスタティックLIDARシステムは、ここで議論される特徴を除いて
図2dのシステムと同様である。
図2dのシステムとは異なり、
図2gおよび
図2hのシステム207、209の送信経路222'および受信経路224'は、直交指向を有する偏光維持(PM)導波管である。また、
図2gのモノスタティックLIDARシステム207は、(
図2dの自由空間光学機器226の代わりに)自由空間光学機器226'およびコリメート光学機器229とターゲット292との間に位置した1/4波長板211を含む。一部の実施例において、自由空間光学機器226'は、光アイソレータ(Optical Isolator)または偏光ビームスプリッタ/結合器であり得るが、これらに限定されるものではない。自由空間光学機器226'(例えば、偏光ビームスプリッタ/結合器)は、第1線形偏光(例えば、垂直線形偏光)で送信経路222'からのビームを偏光させ、これは、モノスタティック光ファイバの先端217から出力される。次に、コリメート光学機器229は、第1線形偏光でビームをコリメートし、その後、1/4波長板211がビームの第1線形偏光を第1円偏光(例えば、右側円偏光)に変換する。次に、ビームは、第1円偏光の方向とは反対の第2円偏光(例えば、左側円偏光)への位相変化を引き起こすターゲット292から反射される。次に、コリメート光学機器229は、このリターンビームをモノスタティック光ファイバの先端217にフォーカシングさせる。次に、自由空間光学機器226'は、第2円偏光を送信ビームの第1線形偏光に直交する第2線形偏光(例えば、水平線形偏光)に変換することによってビームを偏光させる。受信経路224'のPM光ファイバは、第2線形偏光と整列しており、第2線形偏光を有するリターンビームは、受信経路224'のPM光ファイバでのみ受信され、送信経路222'のPM光ファイバでは受信されないが、これは第2線形偏光に直交状態に整列しているためである。
【0081】
図2hのシステム209は、
図2hのシステム209が自由空間光学機器226を特徴としており、1/4波長板211を排除することを除いて、
図2gのシステム207と同様の方式で動作する。一部の実施例において、
図2hの自由空間光学機器226は、光ファイバ結合のサーキュレータであり得るが、これに限定されるものではない。一部の実施例において、
図2hの自由空間光学機器226(例えば、光ファイバ結合のサーキュレータ)は、第1ポート(例えば、送信経路222'導波管)から第2ポート(例えば、導波管の先端217)への一方向にのみ移動を許容し、第2ポートから第1ポートへの反対方向に移動することは許容しないように設計される。同様に、自由空間光学機器226(例えば、光ファイバ結合のサーキュレータ)は、第2ポート(例えば、導波管の先端217)から第3ポート(例えば、受信経路224'導波管)への一方向にのみ移動を許容し、第3ポートから第2ポートへの反対方向に移動することは許容しないように設計される。これは、送信経路222'導波管からの送信ビームが導波管の先端217からのみ送信され、導波管の先端217から受信されたリターンビームが受信経路224'導波管でのみ受信されることを保証する。
【0082】
本開示内容の発明者は、
図2gおよび
図2hのシステムが、送信および受信モードがモノスタティック光ファイバ内で分離されるモノスタティックLIDARシステムのために特別に設計されることに注目した。したがって、これらのシステムは、光ファイバアレイまたはバイスタティックトランシーバー内に空間的に分離された送信および受信導波管があるバイスタティックLIDARシステムにおける送信および受信モードの空間的分離のためのメカニズムを提供しない。さらに、本開示内容の発明者は、
図2gのシステムが偏光変換光学機器(例えば、1/4波長板211)をコリメート光学機器229の越しに配置することを必要とするため、LIDARシステムにより近接した自由空間光学機器を便利に採用した配列を設計することがより有利であることを認識した。例えば、自由空間光学機器をLIDARシステムにより近接して配置すると、バイスタティックLIDARシステムの動作中に比べ、送信および受信モードの必須整列をより容易に維持できる長所がある。他の例において、LIDARシステムにより近接した自由空間光学機器の配置は、ビームがコリメートされたビームに比べて導波管の先端の近くではるかに小さいため、より小さい(例えば、より安価な)コンポネントを使用することを含む長所がある。また、コリメート光学機器の他側にサーキュレータを使用するには、整列許容誤差を維持することがより難しい受信モードの角度オフセットを生成するために複屈折ウェッジ(Birefringent Wedges)を使用しなければならない。
【0083】
図2iは、一実施例によってバイスタティックLIDARシステム200'''の例示的なコンポネントの上面図を示すブロック図である。一実施例において、バイスタティックLIDARシステム200'''は、本明細書で議論された特徴を除いては、バイスタティックLIDARシステム200''と同様である。一実施例において、システム200'''は、送信導波管223'および間隔221だけ送信導波管223'から離隔した受信導波管225'を含む一対の導波管を含む光ファイバアレイまたはバイスタティックトランシーバー215'を含む。例示的な実施例において、間隔221は、約127μmまたは約100μm~約150μmの範囲および/または約50μm~約300μmの範囲にある。一実施例において、バイスタティックトランシーバー215'は、導波管の(例えば、1次元または2次元の)線形アレイである。例示的な実施例において、バイスタティックトランシーバー215'は、フォトリソグラフィ技術によって定義された並列光ファイバ間のサブミクロン整列許容誤差を有する標準通信コンポネントである。一実施例において、送信導波管223'および/または受信導波管225'は、偏光維持(PM)導波管または光ファイバである。例示的な実施例において、送信導波管223'および受信導波管225'は、直交指向を有するPM光ファイバである(例えば、送信導波管223'は、垂直指向を有するPM光ファイバであり、受信導波管225'は、水平指向を有するPM光ファイバであるか、またはその逆である)。この実施例において、送信導波管223'の先端から送信されたビーム205'は、例えば、送信導波管223'のPM光ファイバに対応する第1線形偏光252(例えば、垂直線形偏光)で偏光される。さらに、この実施例において、受信導波管225'の先端で受信されたリターンビーム291'は、例えば、受信導波管225'のPM光ファイバに対応し、第1線形偏光に直交する第2線形偏光254(例えば、水平線形偏光)で偏光される。
【0084】
一実施例において、バイスタティックLIDARシステム200'''は、第1線形偏光252(例えば、垂直線形偏光)にビームを変位させることなく、ビームの方向に直交する距離264だけ第1線形偏光に直交する第2線形偏光254(例えば、水平線形偏光)にビームを変位させる自由空間光学機器260(例えば、複屈折ディスプレーサ)を含む。一実施例において、距離264は、ビームが横断する自由空間光学機器260の長さ262および/または自由空間光学機器260の材料に基づく。例示的な実施例において、自由空間光学機器260は、方解石、YVO
4、αBBOまたは金紅石(Rutile)のような任意の複屈折材料で製造される。他の例示的な実施例において、自由空間光学機器260は、長さ262について約±0.01ミリメートル(mm)および/または結晶軸および表面角度について±0.1度の精密製造公差を有する。これは変位距離264についてミクロンレベルの許容誤差を許容する。この説明の目的上、「表面角度」は、入射ビームおよび出射ビームについての複屈折ディスプレーサの入力および出力表面の任意の傾斜角度を意味する。さらに、この説明の目的上、「結晶軸」は、変位(例えば、
図2iの変位264)の方向を定義する複屈折ディスプレーサの結晶のc-軸(例えば、光軸)であり、ビームについてのその角度(例えば、
図2iの角度259)は、離脱角度を計算するために使用される。例示的な実施例において、一例における変位平面の角度(例えば、
図2iの平面における角度259)は、ビームの方向(例えば、
図2iの自由空間光学機器260に入射されるリターンビーム291'の方向)について約45度である。材料のタイプは、正または負の複屈折を表すため、結晶軸の方向は、材料によって異なる。
図2iの例示的な実施例において、自由空間光学機器260は、YVO
4材料(例えば、正の複屈折性)で製造され、左側下端から右側上端へ(方向ではない)約45度の角度で
図2iの平面で光軸を有する。他の例示的な実施例において、αBBO材料(例えば、負の複屈折性)で製造されたディスプレーサは、
図2iの平面で上部左側から下部右側に角をなす光軸を有する。偏向角度(例えば、離脱角度)は、数式6に定義されている。
【0085】
一実施例において、送信導波管223'から送信された第1線形偏光252を有するビーム205'は、自由空間光学機器260に入射する。自由空間光学機器260は、第1線形偏光252を有する入射ビームを変位させないため、送信されたビーム205'は、変位を受けずに自由空間光学機器260を通過する。次に、送信されたビーム205'は、送信されたビーム205'の直交フィールドコンポネント間の相対位相を調整するように偏光変換光学機器に入射される。一実施例において、偏光変換光学機器は、送信されたビーム205'の第1線形偏光252を第1方向(例えば、時計回り)を有する第1円偏光256に調整する1/4波長板211である。例示的な実施例において、1/4波長板は、石英で製造され、自由空間光学機器260の変位軸について約45度に指向される。
【0086】
次に、第1円偏光256を有する送信されたビーム205'は、コリメート光学機器229によってコリメートされ、および/またはスキャニング光学機器218によってスキャンされる。一部の実施例において、スキャニング光学機器218は、省略され、送信されたビーム205'は、コリメート光学機器229によってコリメートされる。例示的な実施例において、コリメート光学機器229は、研削および研磨またはモールディングによって製造することができる非球面レンズである。他の例示的な実施例において、コリメート光学機器229は、単一または多重要素(例えば、二重、三重要素など)の球面レンズである。
図2iに示されたように、自由空間光学機器260(例えば、複屈折ディスプレーサ)および偏光変換光学機器(例えば、1/4波長板211)は、バイスタティックトランシーバー215'とコリメート光学機器229との間に位置し、これは1/4波長板211がモノスタティック導波管の先端217からコリメート光学機器229の遠方に位置する
図2gのモノスタティックシステム207と区別される。
【0087】
一実施例において、コリメート光学機器229および/またはスキャニング光学機器218は、送信されたビーム205'をターゲット292に指向する。ここで、ターゲット292からのリターンビーム291'の反射は、第1円偏光256から第1円偏光256の第1方向と反対の第2方向(例えば、反時計回り)を有する第2円偏光258への位相変化を引き起こす。コリメート光学機器229および/またはスキャニング光学機器218は、第2円偏光258のリターンビーム291'を1/4波長板211に指向し、1/4波長板は、第2円偏光258を送信されたビーム205'の第1線形偏光252に直交する第2線形偏光254に調整する。
【0088】
一実施例において、第2線形偏光254のリターンビーム291'は、自由空間光学機器260(例えば、複屈折ディスプレーサ)に入射される。自由空間光学機器260は、第2線形偏光254の入射ビームを変位させるため、リターンビーム291'は、リターンビーム291'が自由空間光学機器260を通過するときに、リターンビーム291'の進行方向に直交する方向に距離264だけ変位する。一実施例において、自由空間光学機器260の長さ262および/または自由空間光学機器260の材料は、距離264が送信導波管223'と受信導波管225'との間隔221に基づいて調整されるように選択される。例示的な実施例において、自由空間光学機器260の長さ262および/または材料は、距離264が間隔221と(例えば、±2%または±5%以内で)ほぼ同じように選択される。他の例示的な実施例において、自由空間光学機器260の材料は、イットリウムオルソバナデート(YVO4)およびその結晶指向を有するように選択され、長さ262は、距離264が間隔221にほぼ同じように大きさが決定される。
【0089】
図2iに示されたように、リターンビーム291'が距離264だけ変位した後、リターンビーム291'は、受信導波管225'の先端と整列してその先端から受信される。例示的な実施例において、約1.2デシベル(dB)未満の典型的な結合損失が達成され得る。一実施例において、リターンビーム291'は、以降、検出器アレイ230内の1つ以上の光ミキサ284を使用して基準ビーム207b、またはLO信号と結合される。一実施例において、リターンビーム291'は、有利には、送信されたビーム205'の線形偏光252に直交する線形偏光254を有し、したがって、リターンビーム291'の処理は、他のバイスタティックシステムから得られないターゲット292に関する追加データを(例えば、リターンビーム291'の線形偏光254を使用して)提供し得る。排他的ではなく一般的に、天然材料は、散乱の際に偏光が除去される傾向があるが、塗布された金属を含む人工材料は、偏光をよりよく維持する傾向がある。処理ステップ中に獲得されたリターンビーム291'の偏光特性は、オブジェクトを類似の形状のオブジェクトから区別かつ識別するのに使用できる。例示的な実施例において、防衛または商業用の空中および地上の静的および移動プラットフォームについてのターゲット識別アプリケーションは、偏光情報から利益を得られる。
【0090】
図2iは、バイスタティックトランシーバー215'がアレイ(例えば、1次元アレイ)に配列された1つの送信導波管223'および1つの受信導波管225'を含む1対の導波管を含む一実施例を示すが、他の実施例において、バイスタティックトランシーバー215'は、2対以上の導波管を含む。
図2kは、一実施例によるバイスタティックLIDARシステム200'''の例示的なコンポネントの上面図を示すブロック図である。
図2kのバイスタティックトランシーバー215'は、2つ以上の送信導波管223a'、223b'および2つ以上の受信導波管225a'を含むが、それぞれの送信導波管223a'、225b'に隣接して受信導波管225a'、225b'を有するアレイ(例えば、1次元アレイ)に配列された2対以上の導波管を特徴とする。
図2kに示されたように、一実施例において、送信されたビーム205a'、205b'は、並列または直列に送信導波管223a'、223b'の先端から出力される。
図2kにさらに示されたように、一実施例において、リターンビーム291a'、291b'は、並列または直列に受信導波管225a'、225b'の先端で受信される。例示的な実施例において、送信導波管223a'、223b'の先端から出力された送信されたビーム205a'、205b'は、角度離隔した送信ビームのファン(Fan)を形成し、受信導波管225a'、225b'の先端から受信されたリターンビーム291a'、291b'は、角度離隔したリターンビームのファンを形成する。
図2kに示されたように、一実施例において、単一自由空間光学機器260(例えば、単一複屈折ディスプレーサ)および偏光変換光学機器(例えば、1/4波長板211)がバイスタティックトランシーバー215'から多重ビームを形成するのに使用され、これは、送信および受信導波管の各対について個別ビーム-形成光学機器が使用される既存のバイスタティックシステムと比較して長所を提供する。
【0091】
図2jは、一実施例によるバイスタティックLIDARシステム200''''の例示的なコンポネントの上面図を示すブロック図である。システム200''''は、ここで議論された特徴を除いて、
図2iのシステム200'''と同様である。一実施例において、
図2jの光ファイバアレイまたはバイスタティックトランシーバー215''は、送信導波管223、第1間隔221aだけ送信導波管223の第1側面から離隔した第1受信導波管225a'、および第2間隔221bだけ送信導波管223bの第2側面から離隔した第2受信導波管225b'を含む導波管(例えば、3つ)のグループを含む。一実施例において、バイスタティックトランシーバー215''の導波管は、1次元アレイまたは2次元アレイに配置される。一実施例において、2次元アレイは、1次元アレイの隣接積層と一致する導波管配列に基づく。一部の実施例において、第1間隔221aは、第2間隔221bとほぼ同じである。
図2jは、バイスタティックトランシーバー215''が送信導波管の両側に受信導波管を有する一対の受信導波管を含むことを例示しているが、他の実施例において、一対の受信導波管は、
図2fの配列のように送信導波管の同一側面に位置する。例示的な実施例において、間隔221aおよび/または221bは、約127μmまたは約100μm~約150μmの範囲および/または約50μm~約300μmの範囲にある。一実施例において、バイスタティックトランシーバー215''は、導波管の(例えば、1次元または2次元の)線形アレイである。例示的な実施例において、バイスタティックトランシーバー215''は、フォトリソグラフィ技術によって定義された並列光ファイバの間のサブミクロン整列許容誤差を有する標準通信コンポネントである。
【0092】
一実施例において、
図2jの送信導波管223は、単一モード(SM)光ファイバであり、受信導波管225a'、225b'は、互いに対して直交するように指向された偏光維持(PM)光ファイバである。一実施例において、送信導波管223の先端から送信されたビーム205'は、送信導波管223のSM光ファイバによって収容される非偏光253である。他の実施例において、第1受信導波管225a'に受信されたリターンビーム291'の第1成分237は、第1受信導波管225a'のPM光ファイバと整列する第1線形偏光252を有する。また、他の実施例において、第2受信導波管225b'に受信されたリターンビーム291'の第2成分239は、第2受信導波管225b'のPM光ファイバと整列する第2線形偏光254を有する。
【0093】
一実施例において、単一自由空間光学機器260(例えば、複屈折ディスプレーサ)を特徴とする
図2iのシステム200'''とは異なり、
図2jのシステム200''''は、第1自由空間光学機器260a(例えば、複屈折ディスプレーサ)、第2自由空間光学機器260b(例えば、他の複屈折ディスプレーサ)、および第1および第2自由空間光学機器260a、260bとの間に位置した1つ以上の偏光変換光学機器を特徴とする。一実施例において、第1および第2自由空間光学機器260a、260bは、ビーム(またはビームの成分)を第1線形偏光252に変位させ、ビーム(またはビームの成分)を第1線形偏光252に直交する第2線形偏光254に変位させないことを含む
図2iの自由空間光学機器260と同様の方法でビームを変位させる。また、第1および第2自由空間光学機器260a、260bは、自由空間光学機器260を製造するのに使用される類似の材料で製造することができる。2つの複屈折ディスプレーサが例示されているが、他の実施例においては、3つ以上の複屈折ディスプレーサが提供される。
【0094】
一実施例において、
図2jに示されたように、非偏光された253送信されたビーム205'は、第1自由空間光学機器260a(例えば、複屈折ディスプレーサ)に入射する。一実施例において、第1自由空間光学機器260aは、送信されたビーム205'の第1成分235を第1成分235の第1線形偏光252に基づいて送信されたビーム205'の移動方向と直交する距離264aだけ変位させる。一実施例において、第1自由空間光学機器260aは、送信されたビーム205'の第2成分233を第2成分233の第2線形偏光254に基づいて変位させない。したがって、一実施例において、第1自由空間光学機器260aは、非偏光された送信されたビーム205'を直交線形偏光252、254を有するそれぞれの成分233、235に分岐させる。一実施例において、第1自由空間光学機器260aの長さ262aおよび/または材料は、距離264aが第1間隔221aと(例えば、±10%以内)ほぼ同じようにサイズ調整されるように選択される。これは、有利にも、第1受信導波管225a'と整列するように送信されたビーム205'の第1成分235をシフトさせる。
【0095】
一実施例において、
図2jに示されたように、送信されたビーム205'および/またはリターンビーム291'の直交フィールド成分間の相対位相を調整するために1つ以上の偏光変換光学機器が提供される。一実施例において、偏光変換光学機器は、ファラデー回転子266および半波長板268を含む。例示的な実施例において、ファラデー回転子266は、ビスマス鉄ガーネット(BIG)材料で製造され、および/または約45度のファラデー回転を達成する。他の例示的な実施例において、半波長板268は、石英で製造され、および/または約45度だけ偏光を回転させるように指向される。他の実施例において、他の偏光変換光学機器が提供され、および/または偏光変換光学機器は、45度以外の角度で偏光を回転させる。
【0096】
一実施例において、第1成分235の第1線形偏光252は、ファラデー回転子266によって中間線形偏光255に回転され、第2成分233の第2線形偏光254は、ファラデー回転子266によって中間線形偏光257に回転される。また、一実施例において、第1成分235の中間線形偏光255は、半波長板268によって第2線形偏光254に回転され、中間線形偏光257は、半波長板268によって第1線形偏光252に回転される。したがって、一実施例において、ファラデー回転子266および半波長板268は、第1成分235の第1線形偏光252を第2線形偏光254に全体的に回転させ、さらに第2成分233の第2線形偏光254を第1線形偏光252に全体的に回転させる。
【0097】
一実施例において、第2自由空間光学機器260b(例えば、複屈折ディスプレーサ)は、第2成分233の第1線形偏光252に基づいて偏光変換光学機器から入射する送信されたビーム205'の第2成分233を変位させる。一実施例において、第2自由空間光学機器260bの長さ262bおよび/または材料は、第2成分233が第1間隔221aと(例えば、±10%以内)ほぼ同一の距離264aだけ変位するように選択される。他の実施例において、第2自由空間光学機器260bは、第1成分235の第2線形偏光254に基づいて送信されたビーム205'の第1成分235を変位させない。一実施例において、送信されたビーム205'の第1成分235および第2成分233は、自由空間光学機器260bの変位と非偏光253である送信されたビーム205'に基づいて再結合する。一実施例において、コリメート光学機器229および/またはスキャニング光学機器218に入射する再形成された(Reformed)送信されたビーム205'は、再形成された送信されたビーム205'が第1受信導波管225a'と整列するように横方向にシフトされたことを除いては、第1自由空間光学機器260aに入射する送信されたビーム205'と同じである。
【0098】
他の実施例において、再形成された送信されたビーム205'は、コリメート光学機器229によってコリメートされ、および/またはスキャニング光学機器218によってスキャンされる。一部の実施例において、スキャニング光学機器218は省略され、再形成された送信されたビーム205'は、コリメート光学機器によってコリメートされる。リターンビーム291'は、ターゲット292から反射され、同様に、非偏光253である。
図2jに示されたように、一実施例において、非偏光されたリターンビーム291'は、第2自由空間光学機器260b(例えば、複屈折ディスプレーサ)に入射する。一実施例において、第2自由空間光学機器260bは、第1成分237の第1線形偏光252に基づいてリターンビーム291'の第1成分237を変位させる。一実施例において、第1成分237は、第1間隔221aとほぼ同じ距離264aだけ変位する。他の実施例において、第2自由空間光学機器260bは、第1線形偏光252に直交する第2成分239の第2線形偏光254に基づいてリターンビーム291'の第2成分239を変位させない。
【0099】
他の実施例において、リターンビーム291'の第1成分237および第2成分239は、偏光変換光学機器に入射する。一実施例において、偏光変換光学機器は、第1成分237の第1線形偏光252および第2成分239の第2線形偏光254に影響を与えない。偏光変換光学機器がファラデー回転子266および半波長板268を含む一実施例において、半波長板268は、第1成分237の第1線形偏光252を中間線形偏光257に回転させ、第2成分239の第2線形偏光254を中間線形偏光255に回転させる。追加の実施例において、ファラデー回転子266は、続いて第1成分237の中間線形偏光257を第1線形偏光252に逆回転させ、第2成分239の中間線形偏光255を第2線形偏光254に逆回転させる。したがって、例示的な実施例において、半波長板268とファラデー回転子266は、第1および第2成分237、239が偏光変換光学機器に入射することと同じそれぞれの線形偏光で第1自由空間光学機器260a(例えば、複屈折ディスプレーサ)に入射するように、第1および第2成分237、239の線形偏光の回転に関連して相互に相殺される。例示的な実施例において、半波長板268およびファラデー回転子266は、それぞれの線形偏光を等しく反対方向に約45度回転させる。
【0100】
一実施例において、第1線形偏光252を有する第1成分237および第2線形偏光254を有するリターンビーム291'の第2成分239は、第1自由空間光学機器260a(例えば、複屈折ディスプレーサ)に入射する。一実施例において、第1自由空間光学機器260aは、第1成分237の第1線形偏光252に基づいてリターンビーム291'の第1成分237を変位させ、さらに第2成分の第2線形偏光254に基づいてリターンビーム291'の第2成分239を変位させることはない。一実施例において、第1成分237は、変位した第1成分237が第2受信導波管225b'と整列するように第2間隔221bに基づく距離264bだけ変位する。例示的な実施例において、自由空間光学機器260aの長さ262aおよび/または材料のような第1自由空間光学機器260aの1つ以上のパラメータが距離264bが第2間隔221bとほぼ等しく調整されるように選択される。
【0101】
図2lは、一実施例によって
図2iのLIDARシステム200'''のバイスタティックトランシーバー215'の正面図を示すブロック図である。
図2lの左側は、スキャニング光学機器218を有していない、および/または送信されたビーム205'のスキャニングが起こらない実施例を示す。一実施例において、変位ベクトル274は、リターンビーム291'が受信導波管225'の先端から受信されるように距離264にわったて自由空間光学機器260(例えば、複屈折ディスプレーサ)によって変位する方向を示す。送信されたビーム205'のスキャニングがないため、往復時間遅延による離脱は発生せず、したがって、自由空間光学機器260は、変位ベクトル274が送信導波管223'から受信導波管225'へのベクトル275と整列するように配置される。
【0102】
図2lの中間は、スキャニング光学機器218が採用され、送信されたビーム205'のスキャニングがスキャン方向276に発生する実施例を示す。この実施例において、スキャン方向276は、バイスタティックトランシーバー215'の送信および受信導波管223'、225'の間のベクトル275に対して(例えば、直交するように)角度をなす。一実施例において、リターンビーム291'は、送信および受信導波管223'、225'の間のベクトル275と整列している
図2lの左側のような同じ変位ベクトル274に沿って自由空間光学機器260(例えば、複屈折ディスプレーサ)によって変位する。しかし、
図2lの中間に示されたように、ビームのスキャニングに起因する往復時間遅延は、ビーム離脱277を引き起こし、これにより、リターンビーム291'が受信導波管225'を通過することにする。
【0103】
図2lの右側は、スキャニング光学機器218が採用され、送信されたビーム205'のスキャニングがスキャン方向276に発生する実施例を示す。一実施例において、リターンビーム291'は、送信および受信導波管223'、225'の間のベクトル275に対して所定の角度278に指向された補正された変位ベクトル274'に沿って自由空間光学機器260(例えば、複屈折ディスプレーサ)によって変位する。一実施例において、これは、自由空間光学機器260をバイスタティックトランシーバー215'に対して前記角度278だけ(例えば、
図2iの平面外の方向に)傾けたり指向することによって達成される。一実施例において、角度278は、ベクトル275に対してスキャン方向276と同じ方向に指向される。他の実施例において、角度278の大きさは、スキャン速度の大きさに基づく。例示的な実施例において、角度278は、約5度または約1度ないし約10度の範囲および/または約0度ないし約20度の範囲である。例示的な実施例において、角度278は、以下によってスキャン速度(例えば、ポリゴンスキャナの回転速度)に関連する。
【数8】
ここで、θは、角度278であり、焦点距離は、コリメート光学機器229の焦点長さ(メートル単位)であり、回転速度は、ポリゴンスキャナ244の回転速度(毎秒ラジアン単位)であり、距離は、ターゲット距離(メートル単位)であり、導波管間隔は、間隔221(メートル単位)であり、cは、光速(毎秒メートル単位)である。他の実施例において、自由空間光学機器260(例えば、複屈折ディスプレーサ)が(例えば、
図2iの平面外に)角度278だけ回転するよりも、自由空間光学機器260の光軸が同じ角度278だけ切断される。
図2lの右側に示されたように、傾斜した変位ベクトル274'およびスキャニングからの往復遅延に関連するビーム離脱277に基づいてリターンビーム291'は、受信導波管225'の先端から受信される。
【0104】
図2mは、一実施例によって
図2iのLIDARシステム200'''のバイスタティックトランシーバー215'の正面図を示すブロック図である。
図2mの上部は、スキャニング光学機器218がなく、したがって、送信されたビーム205'のスキャニングが発生しない実施例を示す。一実施例において、変位ベクトル274は、リターンビーム291'が自由空間光学機器260(例えば、複屈折ディスプレーサ)によって変位する方向に基づく方向およびリターンビーム291'が受信導波管225'の先端から受信される距離264に基づく大きさを有する。
【0105】
図2mの中間は、スキャニング光学機器218が採用され、送信されたビーム205'のスキャニングがスキャン方向276'に発生する実施例を示す。この実施例において、スキャン方向276'は、バイスタティックトランシーバー215'の送信および受信導波管223'、225'の間のベクトル275に対して(例えば、±10度以内に)ほぼ平行である。一実施例において、リターンビーム291'は、
図2lの左側のように、同じ変位ベクトル274の大きさによって自由空間光学機器260(例えば、複屈折ディスプレーサ)によって変位する。しかし、
図2mの中間に示されたように、ビームのスキャニングから往復時間遅延に起因するビーム離脱277'は、リターンビーム291'が送信導波管223'と受信導波管225'との間で受信導波管225'を通過させるため、変位ベクトル274の大きさ(例えば、距離264)は小さすぎた。
【0106】
図2mの下部は、スキャニング光学機器218が採用され、送信されたビーム205'のスキャニングがスキャン方向276'に発生する実施例を示す。一実施例において、リターンビーム291'は、往復遅延によるビーム離脱277'によってビーム291'が受信導波管225'で受信されるように増加した大きさ(例えば、増加した距離264)を有する補正された変位ベクトル274''によって自由空間光学機器260(例えば、複屈折ディスプレーサ)によって変位する。一部の実施例において、変位ベクトルの大きさは、自由空間光学機器260の長さ262を調整することによって調節される。例示的な実施例において、リターンビーム291'が変位する距離264は、自由空間光学機器の長さ262を増加させることによって増加する。実施例において、長さ262の変化は、変位距離264の変化の比率(例えば、約10x)である。例示的な実施例において、長さ262は、約200μm未満または約約100μmないし約300μmの範囲で変化する。他の例示的な実施例において、長さ262の変化は、バイスタティックトランシーバーに対するスキャン方向に応じて正の値または負の値となる。
【0107】
図2nは、一実施例によってバイスタティックLIDARシステム200'''の例示的なコンポネントの上面図を示すブロック図である。一実施例において、
図2nは、バイスタティックトランシーバー215'内の送信および受信導波管223'、225'の間の方向または軸275に対して角度278で指向された自由空間光学機器260(例えば、複屈折ディスプレーサ)を示す。したがって、一実施例において、リターンビーム291'は、往復時間遅延に関連するビーム離脱277を考慮するとき、リターンビーム291'が受信導波管225'の先端から受信されるように、自由空間光学機器260によってバイスタティックトランシーバー215'に対して角度278で距離264だけ変位する。さらに、一実施例において、
図2nは、バイスタティックトランシーバー215'の1つ以上の送信導波管223'が発散する送信ビーム205a'、205b'のファンを送信し、その後、これらのビームのファンは、コリメート光学機器229および/またはスキャニング光学機器218によってコリメートされた送信されたビーム205a''、205b''のファンにコリメートされることを示す。例示的な実施例において、発散送信ビーム205a'、205b'は、コリメート光学機器229で約8mmまたは約4mmないし約12mmの範囲および/または約2mmないし約20mmの範囲の直径に拡大される。しかし、他の実施例において、発散送信ビーム205a'、205b'の直径は、LIDARシステムの物理的大きさおよび距離性能の要求を満たすように変化する。他の例示的な実施例において、コリメート光学機器229は、送信されたビーム205a''、205b''をコリメートする約40mmないし約50mmの範囲および/または約30mmないし約60mmの範囲の焦点長さを有する非球面レンズである。同様に、コリメート光学機器229は、それぞれのコリメートされた送信されたビーム205a''、205b''と大きく重なるコリメートされたリターンビーム(図示せず)のファンを受信する。例示的な実施例において、コリメートされた送信されたビーム205a''、205b''とコリメートされたリターンビームのファンの間の角度間隔は、約0.02度ないし約0.05度および/または約0.01度ないし約0.10度程度である。一実施例において、コリメート光学機器229は、コリメートされたリターンビームのファンを
図2nの1/4波長板211で収束リターンビームにフォーカシングする。一実施例において、
図2nの光ファイバアレイ215'と自由空間光学機器260(例えば、複屈折ディスプレーサ)との間の破線の下の細い点線は、隣接する受信導波管225'に入射する分離されたリターンビームを示す。一実施例において、
図2nのトランシーバーは、有利にも、2つの送信導波管が単一のコリメータから送信されたビームのファンを生成する配列を提供する。
【0108】
図2oは、一実施例によってバイスタティックLIDARシステム200''''の例示的なコンポネントの上面図を示すブロック図である。
図2oのバイスタティックトランシーバー215''は、1つ以上の導波管グループを含み、ここで導波管の各グループは、送信導波管223と送信導波管223の両側にある一対の受信導波管225a'、225b'である。例示的な実施例において、送信導波管223は、SM光ファイバであり、一対の受信導波管225a'、225b'は、直交指向を有するPM光ファイバである。例示的な実施例において、バイスタティックトランシーバー215''は、複数の3つの導波管を含み、ここで3つの導波管のそれぞれのグループは、送信導波管223および送信導波管223の両側にある一対の受信導波管225a'、225b'である。さらに、一実施例において、
図2oは、バイスタティックトランシーバー215''の1つ以上の送信導波管223が一対の発散する送信されたビームを送信し、その後、この一対のビームは、コリメート光学機器229および/またはスキャニング光学機器218によって(
図2nに示されたように)コリメートされた送信されたビームのファンにコリメートされることを示す。例示的な実施例において、発散する送信されたビームは、コリメート光学機器で約8mmまたは約4mmないし約12mmの範囲および/または約2mmないし約20mmの範囲の直径に拡張される。他の例示的な実施例において、コリメート光学機器229は、送信されたビーム205''をコリメートする約40mmないし約50mmの範囲および/または約30mmないし約60mmの範囲の焦点長さを有する非球面レンズである。同様に、コリメート光学機器229は、コリメートされたリターンビーム291a''、291b''のファンを受信し、収束リターンビーム291a'、291b'を
図2jの自由空間光学機器260bにフォーカシングする。
図2nの実施例のように、コリメートされたリターンビーム291a''、291b''のファンは、コリメートされた送信されたビームのファンと大きく重なる。例示的な実施例において、コリメートされたリターンビーム291a''、291b''のファンとコリメートされた送信されたビームとの間の角度間隔は、約0.02度ないし約0.05度および/または約0.01度ないし約0.10度程度である。一実施例において、
図2oのトランシーバーは、有利にも、2つの送信導波管が単一のコリメータから送信されたビームのファンを生成する配列を提供する。
【0109】
図6bは、一実施例によってバイスタティックLIDARシステム内における送信および受信モードの空間的変位のための例示的な方法650を示すフローチャートである。一実施例において、ステップ651におけるビーム205'がレーザーソース212から、そしてバイスタティックトランシーバーの送信導波管223'、223を介して送信される。一部の実施例におけるビーム205'が非偏光されるステップ651において、ビーム205'が
図2jのバイスタティックトランシーバー215''の送信導波管223(例えば、SM光ファイバ)から送信される。他の実施例におけるビーム205'が線形に偏光されるステップ651において、ビーム205'が
図2iのバイスタティックトランシーバー215'の送信導波管(例えば、PM光ファイバ)から送信される。
【0110】
一実施例において、ステップ653における送信されたビーム205'は、送信されたビーム205'の方向に直交する方向に複屈折ディスプレーサに変位する。一実施例において、ステップ653における
図2jのシステム200''''内の送信されたビーム205'の第1成分235は、送信されたビーム205'の方向に直交する距離264aだけ変位する。例示的な実施例において、距離264aは、変位した第1成分235が第1受信導波管225a'と整列するように第1間隔221aに基づく。一部の実施例において、例えば、
図2iのシステム200'''においてステップ653が省略される。
【0111】
一実施例において、ステップ655における送信されたビーム205'の直交フィールド成分間の相対位相が偏光変換光学機器で調整される。一実施例において、ステップ655における送信されたビーム205'の第1線形偏光252が1/4波長板211(
図2i)を使用して第1円偏光256に調整される。他の実施例において、ステップ655における送信されたビーム205'の第1成分235の第1線形偏光252がファラデー回転子266および半波長板268(
図2j)を使用して第1線形偏光252に直交する第2線形偏光254に回転する。同様に、ステップ655において、送信されたビーム205'の第2成分233の第2線形偏光254は、ファラデー回転子266および半波長板268(
図2j)を使用して第1線形偏光252に回転する。
【0112】
一実施例において、ステップ655におけるリターンビーム291'の直交フィールド成分間の相対位相が偏光変換光学機器で調整される。一実施例において、ステップ655におけるリターンビーム291'の第2円偏光258が1/4波長板211(
図2i)を使用して第2円偏光254に調整される。
【0113】
一実施例において、ステップ657におけるコリメート光学機器229を使用して送信導波管から送信されたビーム205'を成形(Shape)し、そして、ターゲット292から反射したリターンビーム291'を形成する。一実施例において、ステップ657におけるコリメート光学機器229は、発散する送信されたビーム205'(例えば、コリメート光学機器229における約8mmの直径)が光学機器229によってコリメートされるようにする焦点長さを有する。例示的な実施例において、コリメート光学機器229は、発散する送信されたビーム205'がコリメートされた送信されたビーム205''にコリメートされるようにする大きさ(例えば、約40mm~約50mmの範囲)の焦点長さを有する。
【0114】
一実施例において、ステップ658におけるリターンビーム291'は、リターンビーム291'の方向に直交する方向に複屈折ディスプレーサで変位する。一実施例において、ステップ658における
図2iのシステム200'''内のリターンビーム291'は、リターンビーム291'の方向に直交する距離264だけ変位する。例示的な実施例において、距離264は、間隔221に基づく。他の実施例において、ステップ658における
図2jのシステム200''''内のリターンビーム291'の第1成分237は、リターンビーム291'の方向に直交する距離264aだけ変位する。例示的な実施例において、距離264aは、変位した第1成分235が第1受信導波管225a'と整列するように第1間隔221aに基づく。
【0115】
一実施例において、ステップ659におけるリターンビーム291'は、バイスタティックトランシーバーの1つ以上の受信導波管で受信される。一実施例において、リターンビーム291'は、
図2iのシステム200'''の受信導波管225'で受信される。他の実施例において、リターンビーム291'の直交線形偏光の第1および第2成分237、239は、それぞれの受信導波管225a'、225b'で受信される。
【0116】
一実施例において、ステップ661におけるステップ659で受信されたリターンビーム291'は、1つ以上の光ミキサ284で基準信号207(またはLO信号)と結合される。リターンビーム291'の直交線形偏光の多重成分237、239がそれぞれの受信導波管225a'、225b'で受信される一部の実施例において、多重処理チャネルがそれぞれの成分に提供され、リターンビーム291'のそれぞれの個別成分を個別に処理する。一実施例において、ステップ663におけるステップ661の結合に基づいて信号が生成され、ステップ665における生成された信号に基づいて装置が動作される。一部の実施例において、装置は、車両の制動または加速または操向システムのような車両である。
6.車両制御概要
【0117】
一部の実施例において、車両は、車両に取り付けられた高解像度ドップラーLIDARシステムから受信されたデータに基づいて少なくとも部分的に制御される。
【0118】
図3aは、一実施例によって車両310に取り付けられた少なくとも1つの高解像度ドップラーLIDARシステム320を含む例示的なシステム301を示すブロック図である。一実施例において、LIDARシステム320は、LIDARシステム200、200'、200''、200'''、200''''のうち、1つと同様である。車両は、星311によって表示された質量中心を有し、矢印313によって与えられる前方方向に移動する。一部の実施例において、車両310は、処理システム250の車両制御モジュール272のようなプロセッサーの信号に応答して動作される操向または制動システム(図示せず)のようなコンポネントを含む。一部の実施例において、車両は、
図8に示されたチップセットのようなオン-ボード(On-Board)プロセッサー314を有する。一部の実施例において、オン-ボードプロセッサー314は、
図7に示されたように、遠隔プロセッサーと有線または無線通信する。一実施例において、LIDARシステムの処理システム250がオン-ボードプロセッサー314と通信可能に結合されたり、LIDARの処理システム250は、車両制御モジュール272が処理システム250にとって車両の方向および速度を制御するために車両の操向または制動システムに1つ以上の信号を送信させるように、オン-ボードプロセッサー314の動作を実行するのに使用される。高解像度ドップラーLIDARは、方位角視野324だけでなく、車両310周辺のスポット(Spots)を照明する垂直角度(
図3b)を通じて一方の側から将来(Future)のビーム323によって表示される他の側にスイープ(Sweep)するスキャニングビーム322を使用する。一部の実施例において、視野は、360度の方位角である。一部の実施例において、傾斜角の視野は、約+10度ないし約-10度であるか、またはこれの部分集合である。システム320がシステム200''である一部の実施例において、視野324は、角度範囲227によって定義される。システム301を設計する際、視野324にわたる各角度のビームのあらかじめ定められた最大設計距離が決定され、視野324の範囲内の各角度の最大予想ターゲット距離を示す。例示的な一実施例において、最大設計距離は、視野324についての固定値または固定値の範囲である。例示的な一実施例において、視野324についての最大設計距離は、約200メートルまたは約150メートルないし約300メートルの範囲である。
【0119】
一部の実施例において、車両は、当該技術分野に広く公知されている他のものの中から、GPSセンサ、走行距離計(Odometer)、回転速度計(Tachometer)、温度センサ、真空センサ、電圧または電流センサのような補助センサ(図示せず)を含む。一部の実施例において、回転情報を提供するためにジャイロスコープ330が含まれる。
【0120】
図3bは、一実施例によって車両310に取り付けられた少なくとも1つの高解像度LIDARシステム320を含む例示的なシステム301'を示すブロック図である。一実施例において、LIDARシステム320は、システム200またはシステム200'またはシステム200''と同様である。一実施例において、車両310は、矢印313に基づく前方方向に地面349(例えば、道路)の上に移動する。LIDARシステム320は、矢印313に対して測定された第1角度に指向された第1ビーム342から矢印313に対して測定された第2角度に指向された第2ビーム346まで角度の範囲326にわたってスキャンする。一実施例において、第1角度および第2角度は、地面349に対してほぼ垂直に指向された垂直平面内の垂直角度である。この説明の目的上、「ほぼ直交」は、地面349についての法線の±20度以内を意味する。LIDARシステム320がシステム200''と類似している一部の実施例において、角度の範囲326は、角度の範囲227によって定義される。
【0121】
システム301'を設計するのにおいて、それぞれの角度のビームのあらかじめ定められた最大設計距離が決定され、範囲326内のそれぞれの角度における最大予想ターゲット距離を示す。他の実施例において、それぞれの角度における最大設計距離は、あらかじめ決定されないが、増分期間における処理システム250のメモリで定期的に測定され、アップデートされる。一実施例において、第1ビーム342は、地面349に向けて指向され、車両310からの一部の最大設計距離内で地面349と交差する。したがって、第1角度において、システム320は、地面349を超えて位置したターゲットを考慮しない。例示的な実施例において、第1ビーム342の第1角度は、矢印313に対して約-15度であるか、または約-25度ないし約-10度の範囲であり、最大設計距離は、約4メートル(m)であるか、約1mないし約10mの範囲または約2mないし約6mの範囲内にある。一実施例において、第2ビーム346は、空に向けて指向され、車両310からの一部の最大設計距離内で上限347と交差する。したがって、第2角度において、システム320は、上限347の上に位置したターゲットを考慮しない。一実施例において、上限347は、(例えば、0mの高度と定義される)地面349から約12mの高度または約8mないし15m範囲内の高度にあり、第2ビーム346の第2角度は、矢印313に対して約15度であるか、または約10度ないし約25度の範囲内にある角度を形成し、最大設計距離は、約7mであるか、約4mないし約10mの範囲内にあるか、または約1mないし約15mの範囲内にある。一部の実施例において、上限347高度は、LIDARシステム320の高度(例えば、地面349が0mと定義される場合、約1.5mまたは約1mないし約4mの範囲)に依存する。一実施例において、第1ビーム342と第2ビーム346との間の中間ビーム344は、矢印313とほぼ平行に指向され、車両310から最大設計距離に位置したターゲット343と交差する。例示的な実施例において、
図3bは、スケールに合わせて図示せず、ターゲット343は、示されたものよりも車両310からはるかに遠い距離に位置する。この説明の目的上、「ほぼ平行に」は、矢印313の約±10度以内または約±15度以内を意味する。例示的な実施例において、ターゲット343の最大設計距離は、約200mであるか、約150mないし約300mの範囲内にあるか、または約100mないし約500mの範囲内にある。
【0122】
図3bは、地面349の上に走行するように構成された車両310に取り付けられたLIDARシステムを示しているが、本開示内容の実施例は、このようなタイプの車両に限定されず、LIDARシステムは、飛行するように構成された航空機310'(例えば、旅客機)に取り付けられ得る。一実施例において、車両310'は、1つ以上のターゲット343が存在する地面349の上に飛行するように構成される。
図3dは、一実施例によって地面349の上に飛行するように構成された車両310'に取り付けられた少なくとも1つの高解像度LIDARシステム320を含む例示的なシステム301''を示すブロック図である。一実施例において、LIDARシステム320は、矢印313に対する第1角度の第1ビーム342'の最大設計距離が地面349に対して下限348に基づいて定義されるという点を除いては、システム301'のLIDARシステム320と類似の方式で作動する。例示的な実施例において、下限348は、約0mないし約-10mの範囲または約0mないし約-2mの範囲のシステム320高度についての高度を有する。他の例示的な実施例において、上限347は、約0mないし約10m範囲のシステム320の高度についての高度を有する。他の例示的な実施例において、第1角度は、約-30度または約-60度ないし約-15度の範囲内にある。一部の実施例において、第1角度は、上限347の第2角度と同じであり、反対であり得る。
7.コヒーレントLIDARシステムにおけるスキャンパターンを最適化するための方法
【0123】
図6aは、自律走行車でLIDARシステムのスキャンパターンを最適化するための例示的な方法600を示すフローチャートである。一部の実施例において、システム600は、自律走行車に取り付けられるLIDARシステムのスキャンパターンを最適化するためのものである。ステップが例示の目的で特定の手順による統合ステップとして
図6aおよび
図6bそして、後続するフローチャートで示されるが、他の実施例において、1つ以上のステップまたはその一部は、異なる手順で行われるか、直列または並列に時間的に重畳して行われるか、省略されるか、または1つ以上の追加ステップが追加されるか、方法が一部の組み合わせ方式で変更される。
【0124】
601ステップにおいて、信号がバイスタティックトランシーバーの送信導波管によって送信された後にターゲットによって反射し、バイスタティックトランシーバーの受信導波管によって受信された信号の第1SNR値を示すプロセッサーからデータが受信されるが、ここで受信導波管は、間隔だけ送信導波管から離隔する。第1SNR値は、ターゲット距離の値に基づき、第1SNR値は、LIDARシステムのスキャンレートのそれぞれの値についてのものである。一実施例において、601ステップにおける第1SNR値は、ビーム205'が送信導波管223によって送信された後にターゲットによって反射し、バイスタティックトランシーバー215の受信導波管225によって受信されたリターンビーム291'の値であり、ここで受信導波管225は、間隔221だけ送信導波管223から離隔する。一実施例において、データは、システム200''の受信導波管225a、225bのうち、1つまたは両者の先端217にフォーカシングされたリターンビーム291'の第1SNR値である。他の実施例において、ステップ601におけるデータは、システム200''の検出器アレイ230上のフォーカシングされたリターンビーム291'の第1SNR値である。一実施例において、データは、リターンビーム291'のSNR値を示す曲線440bおよび/または曲線440cおよび/または曲線440dの値を含み、それぞれの曲線440は、ビームのスキャンレートのそれぞれの値についてのものである。例示的な一実施例において、曲線440b、440c、440dは、間隔221の同じ値に基づき、ステップ601において、複数のセットの曲線440b、440c、440dが複数の間隔221値のそれぞれに対して受信される。一部の実施例において、データは、曲線440b、440c、440dに限定されず、
図4gに示されたものよりも少ないか、またはより多くの曲線のSNR値を含み、ここでそれぞれのSNR曲線は、スキャンレートのそれぞれの値に基づき、および/または曲線440b、440c、440dは、間隔221の特定値に基づく。
【0125】
他の実施例において、601ステップで受信されたデータは、スキャンレートのそれぞれの値および/または間隔221のそれぞれの値についてのターゲット距離にわたって曲線を形成するのに使用できるSNR値を含む。一実施例において、曲線464、466は、スキャンレートの固定値(例えば、4、000度/秒)に基づいて間隔221の多重値に対して提供される。他の実施例において、曲線465、467は、スキャンレートの固定値(例えば、12、000度/秒)に基づいて間隔221の多重値に対して提供される。また他の実施例において、ステップ601における曲線469は、SNRしきい値を達成するためにそれぞれのターゲット距離に対して提供され、曲線469は、特定の固定されたスキャン速度について要求される間隔221値を示す。例示的な実施例において、ステップ601におけるデータは、処理システム250のメモリに格納され、各セットの第1SNR値は、LIDARシステムのスキャンレートの連関する値および/または間隔221の連関する値とともに格納される。一実施例において、601ステップにおける第1SNR値は、約0メートルないし約500メートル(例えば、自動車)の範囲にわたって、または約0メートルないし約1、000メートル(例えば、航空機)の範囲内で、そして約2、000度/秒ないし約6、000度/秒または約1、000度/秒ないし約7、000度/秒の範囲内のスキャンレート値についておよび/または約0w0ないし4w0または0w0ないし10w0の範囲の間隔221値について獲得され、ここでw0は、送信導波管223の直径である。一部の実施例において、第1SNR値は、あらかじめ定められ、ステップ601でプロセッサーによって受信される。他の実施例において、第1SNR値は、LIDARシステムによって測定され、続いてステップ601でプロセッサーによって受信される。一実施例において、データが入力装置712を用いてステップ601で入力され、および/または近距離通信網780、インターネット790または外部サーバー792からネットワークリンク778を介して処理システム250のメモリ704にアップロードされる。
【0126】
一実施例において、601ステップにおける第1SNR値(例えば、曲線440b、440c、440d)が第1間隔221aに基づいて第1受信導波管225aによって受信されたリターンビーム291'に対して受信され、他のセットの第1SNR値(例えば、曲線440b、440c、440d)が第2間隔221bに基づいて第2受信導波管225bによって受信されたリターンビーム291'に対して受信される。1つの例示的な実施例において、受信導波管225a、225bによって受信されたリターンビーム291'に対する第1SNR値は、あらかじめ定められ、ステップ601でプロセッサーによって受信される。他の例示的な実施例において、受信導波管225a、225bによって受信されたリターンビーム291'に対する第1SNR値は、LIDARシステムによって測定され、続いて601ステップでプロセッサーによって受信される。
【0127】
603ステップにおいて、ターゲットの距離の値に基づいてターゲットによって反射し、LIDARシステムによって検出された信号の第2SNR値を示すデータがプロセッサーから受信され、第2SNR値は、LIDARシステムのインティグレーションタイムのそれぞれの値についてのものである。一実施例において、603ステップにおけるデータは、それぞれのインティグレーションタイムについてのシステム200''でフォーカシングされたリターンビーム291'の第2SNR値であり、インティグレーションタイムの間、ビームが獲得システム240および/または処理システム250によって処理される。一実施例において、データは、リターンビーム291'のSNR値を示す曲線450aおよび/または曲線450bおよび/または曲線450cおよび/または曲線450dの値を含み、それぞれの曲線450は、ビームが獲得システム240および/または処理システム250によって処理されるインティグレーションタイムのそれぞれの値についてのものである。一部の実施例において、データは、曲線450a、450b、450c、450dに限定されず、
図4iに示されたものよりも少ないか、またはより多くの曲線を含み、それぞれのSNR曲線は、インティグレーションタイムのそれぞれの値に基づく。他の実施例において、データは、曲線である必要はなく、代わりにインティグレーションタイムのそれぞれの個別値についてターゲット距離にわたって曲線を形成するのに使用されるSNR値である。例示的な一実施例において、603ステップにおけるデータは、処理システム250のメモリに格納され、第2SNR値のそれぞれの集合は、LIDARシステムのインティグレーションタイムの連関する値とともに格納される。一実施例において、603ステップにおける第2SNR値は、(例えば、自動車の場合)約0メートルないし約500メートルの範囲にわたってまたは(例えば、航空機の場合)約0メートルないし約1、000メートルの範囲から、約100ナノ秒(ns)ないし約5ミリ秒(μs)のインティグレーションタイム値に対して獲得される。一部の実施例において、第2SNR値は、あらかじめ定められ、ステップ603でプロセッサーによって受信される。他の実施例において、第2SNR値は、LIDARシステムによって測定された後、ステップ603でプロセッサーによって受信される。一実施例において、データは、入力装置712を用いて603ステップで入力され、および/または近距離通信網780、インターネット790または外部サーバー792からネットワークリンク778を介して処理システム250のメモリ704にアップロードされる。
【0128】
605ステップにおいて、角度範囲227を定義する第1角度および第2角度を示すデータがプロセッサーから受信される。一実施例において、605ステップにおける第1角度および第2角度は、入力装置712(例えば、マウスまたはポインティング装置716)を用いて入力され、および/またはネットワークリンク778を介して処理システム250にアップロードされる。角度範囲227が
図3aの視野324である一実施例において、第1角度は、第1ビーム322と車両310の進行方向を示す矢印313との間の角度として定義され、第2角度は、第2ビーム323と矢印313との間の角度として定義される。
【0129】
角度範囲227が
図3bの角度範囲326である他の実施例において、第1角度は、第1ビーム342と車両310の進行方向を示す矢印313との間の角度として定義され、第2角度は、第2ビーム346と矢印313との間の角度として定義される。一実施例において、第1角度と第2角度は、矢印313に対して対称であり、例えば、第1角度と第2角度は、互いに同一かつ反対である。一実施例において、第1角度は、第1ビーム342が地面349に向けて指向されるように選択され、第2角度は、第2ビーム346が地面349から離れて上限347に向けて指向されるように選択される。
【0130】
一実施例において、ステップ601、603および605は、ステップ601、603および605のデータが1つの同時ステップでプロセッサーから受信される1つのステップで同時に行われる。
【0131】
607ステップにおいて、角度範囲内の各角度のターゲットの最大設計距離を示すデータがプロセッサーから受信される。一実施例において、最大設計距離は、角度範囲227の各角度のターゲットのあらかじめ定められた最大距離である。一実施例において、607ステップにおける各角度のターゲットの最大設計距離は、
図3aの視野324に基づく。例示的な実施例において、最大設計距離は、視野324についての固定された値または固定値の範囲である。例示的な実施例において、視野324についての最大設計距離は、約250メートルまたは約150メートルないし約300メートルの範囲にある。
【0132】
他の実施例において、607ステップのデータは、角度範囲326より大きい第1角度範囲にわたって提供される。一実施例において、607ステップのデータは、角度範囲にわたって増分角度で提供され、ここで増分角度は、約0.005度ないし約0.01度の範囲または約0.0005度ないし約0.01度の範囲で選択される。
【0133】
1つの例示的な実施例において、607ステップのデータは、入力装置712(例えば、マウスまたはポインティング装置716)を用いて入力され、および/またはネットワークリンク778を介して処理システム250にアップロードされる。一部の実施例において、最大設計距離は、あらかじめ定められ、607ステップ中に受信される。他の実施例において、システム200、200'、200''は、角度範囲227内の各角度の最大設計距離を測定するために使用され、各角度の最大設計距離は、続いて607ステップで処理システム250によって受信される。
【0134】
609ステップにおいて、LIDARシステムのSNRが最小SNRしきい値よりも大きいように角度範囲227内の各角度でLIDARシステムの最大スキャンレートが決定される。一実施例において、609ステップにおける角度範囲227の角度について固定された最大スキャンレートが決定される。角度範囲227についての最大設計距離についての値の範囲は、まず、607ステップで受信されたデータに基づいて決定される。次に、601ステップで受信されたSNR値が角度範囲227にわたって最大設計距離(例えば、約150m~約300m)の値または値の範囲について決定され、これらの第1SNR値のうち、いずれが最小SNRしきい値を超過するかがさらに決定される。一実施例において、曲線440b、440c、440dの値は、角度範囲227にわたって最大設計距離(例えば、約80m~約120m)の値の範囲について決定され、曲線440dの値だけが最大設計距離(例えば、約80m~約120m)の値の範囲について最小SNRしきい値442を超過することがさらに決定される。曲線440dの値だけが最小SNRしきい値442を超過するため、角度範囲227にわたって固定された最大スキャンレートは、曲線440dに対応するスキャンレートに設定される。例示的な一実施例において、ステップ609における最大スキャンレートの決定は、受信導波管225a、225bの先端217上のリターンビーム291'のビーム離脱419、421(
図4e)が間隔221のしきい値内にあることを保障し、ここでしきい値は、先端上のリターンビーム291'のイメージ418の直径に基づく(例えば、より大きい直径についてより大きいしきい値、より小さい直径についてより小さいしきい値を有する)。例示的な一実施例において、しきい値は、受信導波管225の先端217上のリターンビーム291'のイメージ418の直径の比率である。例示的な一実施例において、比率は、約0.5または約0.3ないし約0.7の範囲にある。
【0135】
他の実施例において、609ステップにおける間隔221の異なる値に対応する第1SNR値(例えば、曲線464、465、466、467、469)は、最小SNRしきい値442を超過し、最小SNRしきい値442を超過する第1SNR値のうち、最大値である第1SNR値(例えば、固定スキャン速度4、000度/秒についての曲線464のうちの1つまたは固定スキャン速度12、000度/秒についての曲線465のうちの1つ)を決定するのに使用される。一実施例において、システム200''の設計段階中に、送信導波管223と受信導波管225との間の間隔221は、決定された第1SNR値に対応する間隔221の値に基づいて選択され、固定された最大スキャンレートは、決定された第1SNR値に対応するスキャンレートに基づいて選択される(例えば、間隔221の値は、0m~250mのターゲット設計距離についての曲線465cに基づいて2.75w0で選択され、および/または固定スキャンレートは、曲線465について12、000度/秒の固定スキャンレートに基づいて選択される)。1つの例示的な実施例において、第1間隔221a(例えば、0.25w0)に対応する第1SNR値(例えば、曲線464c)は、SNRが(例えば、ターゲット距離>80mについての)角度範囲227の第1部分にわたってSNRしきい値442を超過するように、固定されたスキャンレート(例えば、4、000度/秒)について使用され、 第2間隔221b(例えば、4w0)に対応する第1SNR値(例えば、曲線464a)は、SNRが(例えば、ターゲット距離<80mについての)角度範囲227の第2部分にわたってSNRしきい値442を超過するように、固定されたスキャンレートについて使用される。この実施例において、角度範囲227にわたって固定された最大スキャンレートは、最適のスキャンレートに設定される。この実施例は、スキャンレートが角度範囲227にわたって固定されている間に、角度範囲227にわたって最大設計距離の異なる部分からリターンビーム291'データを検出するために多重受信導波管225a、 225bを有利に使用する(例えば、受信導波管225aは、より長い距離のターゲットからリターンビーム291'を受信し、受信導波管225bは、より短い距離のターゲットからリターンビーム291'を受信する)。角度範囲227が角度範囲326である例示的な実施例において、受信導波管225bは、第1および第2角度で送信されたビーム342、346に基づいてリターンビーム291'を受信し、受信導波管225aは、中間送信されたビーム344に基づいてリターンビーム291'を受信する。
【0136】
他の実施例において、609ステップにおける、角度範囲227の各角度についてそれぞれの最大スキャンレートが決定される。各角度において、当該角度についての最大設計距離は、607ステップで受信されたデータに基づいて先に決定される。次に、601ステップで受信された第1SNR値は、前記角度での最大設計距離について決定され、これらの第1SNR値のうち、いずれが最小SNRしきい値を超過するかがさらに決定される。一実施例において、曲線440b、440c、440dの値は、最大設計距離(例えば、約90m)について決定され、曲線440b、440cの値が最小SNRしきい値442を超過することがさらに決定される。最小SNRしきい値を超過する第1SNR値のうち、最大スキャンレートを有する第1SNR値が選択され、当該角度について最大スキャンレートが609ステップで決定される。前記実施例において、最大設計距離(例えば、約90m)で最小SNRしきい値442を超過する曲線440b、440cの値のうち、曲線440c値は、最大スキャンレートとして選択され、最大スキャンレート(例えば、曲線440cに連関する最適のスキャンレート)が当該角度について609ステップで決定される。1つの例示的な実施例において、
図4gは、第1および第2角度のビーム342、346についてステップ609で決定された最大スキャンレート(例えば、曲線440cに基づく最適のスキャンレート)が第1および第2角度との間の角度のビーム344についてステップ609で決定された最大スキャン(例えば、曲線440bに基づく遅いスキャンレート)よりも大きいことを示す。このような例示的な実施例において、スキャニング光学機器218のスキャンレートは、角度範囲227にわたって変更され、リターンビーム291'は、より短いターゲット距離(例えば、ビーム342、346)に対応する角度範囲227の当該部分について速いスキャンレートでスキャンされ、より長いターゲット距離(例えば、ビーム344)に対応する角度範囲227の当該部分について遅いスキャンレートでスキャンされる。このような例示的な実施例において、1つの受信導波管225が角度範囲227にわたってリターンビーム291'をキャプチャするのに使用される。例示的な一実施例において、ステップ609における最大スキャンレートの決定は、受信導波管225の先端217上のリターンビーム291'のビーム離脱419(
図4e)が間隔221のしきい値内にあり、ここでしきい値は、先端217上のリターンビーム291'のイメージ418の直径の比率よりも小さい。例示的な実施例において、前記比率は、約0.5または約0.3ないし約0.7の範囲にある。
【0137】
図3cは、一実施例によって
図3bのLIDARシステム320から多重角度345a、345bで送信されたビーム343a、343bの一例を示すブロック図である。一実施例において、ビーム343a、343bは、第1ビーム342と中間ビーム344との間の中間ビームである。他の実施例において、ビーム343aは、第1ビーム342であり、ビーム343bは、第1ビーム342の後に処理される後続ビームである。609ステップにおいて、LIDARシステム320の最大スキャンレートは、角度345aで決定される。角度345aでのビーム343aの最大設計距離(例えば、30m)が先に607ステップにおけるデータを用いて決定される。次に、最大設計距離についての601ステップからの第1SNR値が決定される。例示的な実施例において、第1SNR値は、曲線440b、440c、440dの値を含む。次に、最大設計距離の第1SNR値のうち、いずれが最小SNRしきい値を超過するかが決定される。例示的な実施例において、最大設計距離(例えば、30m)における曲線440b、440c、440dの値は、すべて最小SNRしきい値442を超過する。次に、これらの第1SNR値のうち、いずれが最大スキャンレートを有するのかが決定され、当該角度について609ステップで前記最大スキャンレートが決定される。例示的な実施例において、曲線440cは、最大スキャンレートを有し、したがって、この最大スキャンレートは、ビーム343aを角度345aでスキャンするのに使用される。一実施例において、
図4iは、第1および第2角度(例えば、曲線450dに基づく400ns)のビーム342、346について611ステップで決定された最小スキャンレートが第1および第2角度(例えば、曲線450aに基づく3.2μs)との間の角度のビーム344について611ステップで決定された最小インティグレーションタイムよりも短いことを示す。
【0138】
611ステップにおいて、LIDARシステムのSNRが最小SNRしきい値よりも大きいように、角度範囲227の各角度でLIDARシステムの最小インティグレーションタイムが決定される。最大設計距離が角度範囲227にわたって固定された値または固定された値の範囲を有する一部の実施例において、611ステップにおける、固定された最大設計距離(例えば、200m)または固定された最大設計距離の範囲(例えば、180m~220m)に基づいて角度範囲227にわたって固定された最小インティグレーションタイムが決定される。他の実施例において、角度範囲227のそれぞれの角度で当該角度についての最大設計距離が607ステップで受信されたデータに基づいて先に決定される。次に、603ステップで受信された第2SNR値が当該角度での最大設計距離について決定され、これらの第2SNR値のうち、いずれが最小SNRしきい値を超過するかがさらに決定される。一実施例において、曲線450a、450b、450c、450d値が最大設計距離(例えば、約120m)または最大設計距離についての値の範囲について決定され、曲線450a、450b、450cの値が最小SNRしきい値452を超過することがさらに決定する。最小SNRしきい値を超過する第2SNR値のうち、最小インティグレーションタイムを有する第2SNR値が選択され、当該角度または角度範囲227についての最小インティグレーションタイムが611ステップで決定される。前記実施例において、最大設計距離(例えば、120m)で最小SNRしきい値452を超過する曲線450a、450b、450cの値のうち、曲線450c値が最小インティグレーションタイムを有するものとして選択され、当該角度についての最小インティグレーションタイム(例えば、約800ns)が611ステップで決定される。
【0139】
611ステップにおいて、LIDARシステム320の最小インティグレーションタイムは、角度345aで決定される。角度345aでビーム343aの最大設計距離(例えば、30m)は、まず607ステップのデータを用いて決定される。次に、最大設計距離についての603ステップからの第2SNR値が決定される。例示的な実施例において、第2SNR値は、曲線450a、450b、450c、450dの値を含む。次に、最大設計距離でこれらの第2SNR値のうち、いずれが最小SNRしきい値を超過するかが決定される。例示的な実施例において、最大設計距離(例えば、30m)での曲線450a、450b、450c、450dの値は、すべて最小SNRしきい値452を超過する。次に、これらの第2SNR値のうち、いずれが最小インティグレーションタイムを有するかが決定され、当該角度についてこの最小インティグレーションタイムが611ステップで決定される。例示的な実施例において、曲線450dは、最小インティグレーションタイム(例えば、400ns)を有し、したがって、この最小インティグレーションタイムは、ビーム343aを角度345aで処理するのに使用される。
【0140】
613ステップにおいて、609、611ステップの他の繰り返しを行うために追加角度が角度範囲227に残っているかどうかが決定される。最大設計距離が角度範囲227にわたって固定された値または固定された値の範囲を有する一部の実施例において、609、611ステップが最大設計距離の固定された値または固定された値の範囲に基づいてそれぞれ一回行われ、613、615ステップは、省略され、方法600は、617ステップに進行する。この実施例において、最大設計距離の固定値または固定値の範囲に基づいて609ステップで固定された最大スキャンレートが決定され、固定された最小インティグレーションタイムが最大設計距離の固定値または固定値の範囲に基づいて611ステップで決定される。
【0141】
一実施例において、角度範囲326についての613ステップにおける609、611ステップの初期繰り返しが範囲326内の第1ビーム342の第1角度に行われた場合、613ステップは、609および611ステップの以前繰り返しが角度範囲326の第2ビーム346の第2角度でまたはそれ以上で行われたかどうかの決定を含む。609および611ステップの初期繰り返しが範囲326の第2角度で行われた他の実施例において、613ステップは、609および611ステップの以前繰り返しが角度範囲326の第1角度でそれ以上で行われたかどうかの決定を含む。613ステップが範囲326により多くの角度が残っていると決定すると、方法は、615ブロックに進行する。613ステップが範囲326内にこれ以上の角度が残っていないと決定すると、方法は、617ブロックに進行する。
【0142】
615ステップにおいて、初期角度で609および611ステップの以前繰り返しを行った後に、609および611ステップを繰り返す後続角度の決定が行われる。一実施例において、
図3cは、初期角度345aの初期ビーム343aで609および611ステップの以前繰り返しを行った後に、609および611ステップを繰り返す後続ビーム343bの後続角度345bを示している。一実施例において、615ステップは、後続角度345bと初期角度345aと後続角度345bとの間の角度増分350aの決定を含む。一実施例において、後続角度345bは、初期角度345a、609ステップで決定された角度345aの最大スキャンレートおよび611ステップで決定された角度345aの最小インティグレーションタイムに基づく。例示的な実施例において、後続角度θ
sは、次の数式を用いて初期角度θ
i、最大スキャンレートS
mおよび最小インティグレーションタイムI
mに基づく。
【数9】
例示的な実施例において、初期角度345aが-15度であり、最大スキャンレートが毎秒15度であり、最小インティグレーションタイムが2μsであれば、後続角度345bは、数式9を用いて約-14.97度である。615ステップで後続角度を決定した後、方法は、ブロック609に再進行して609および611ステップが後続角度で繰り返される。
【0143】
617ステップにおいて、609および611ステップのこれ以上の繰り返しが行われる必要がないと決定された後、LIDARシステムのスキャンパターンは、角度範囲326の各角度で609ステップからの最大スキャンレートおよびステップ611からの最小インティグレーションタイムに基づいて定義される。最大設計距離が角度範囲227にわたって固定された値または固定された値の範囲を有する一部の実施例において、固定された最大スキャンレートは、最大設計距離の固定された値または固定された値の範囲に基づいて609ステップで決定され、固定された最小インティグレーションタイムは、最大設計距離の固定された値または固定された値の範囲に基づいて611ステップで決定される。この実施例において、617ステップにおけるスキャンパターンは、角度範囲227にわたって各角度で固定された最大スキャンレートおよび固定された最小インティグレーションタイムに基づいて定義される。
【0144】
他の実施例において、スキャンパターンは、第1ビーム342の第1角度と第2ビーム346の第2角度との間の角度範囲326内の各角度についての最大スキャンパターンおよび最小インティグレーションタイムを含む。例示的な一実施例において、スキャンパターンは、処理システム250のメモリ(例えば、メモリ704)に格納される。他の例示的な実施例において、スキャンパターンの隣接する角度の間の角度増分は、615ステップで決定され、例えば、角度増分は、615ステップにおける後続角度と初期角度との間の間隔である。他の例示的な実施例において、
図3cは、615ステップの目的上、後続角度345bと初期角度345aとの間の角度増分350aおよび617ステップで決定されたスキャンパターンを例示する。
【0145】
619ステップにおいて、LIDARシステムは、617ステップで決定されたスキャンパターンに応じて作動する。最大設計距離が角度範囲227にわたって固定された値または固定された値の範囲を有する一実施例において、固定された最大スキャンレートは、最大設計距離の固定された値または固定された値の範囲に基づいて609ステップで決定される。この実施例において、619ステップにおけるLIDARシステムのビームは、角度範囲227にわたってスキャニング光学機器218を用いて固定された最大スキャンレートでスキャンされる。例示的な一実施例において、619ステップにおけるビーム205''は、ポリゴンスキャナ244を用いて固定された最大スキャンレートでスキャンされる。一実施例において、処理システム250は、ポリゴンスキャナ244によって角速度249の速度が固定された最大スキャンレートとなるように信号をポリゴンスキャナ244に送信する。さらに、この実施例において、LIDARシステムの最小インティグレーションタイムは、最大設計距離についての固定された値または固定された値の範囲に基づく固定された最小インティグレーションタイムに基づく。一実施例において、ビーム205''は、ビーム205''がポリゴンスキャナ244の隣接するファセット245によってスキャンされることにより、角度範囲227にわたって連続的にスキャンされる。したがって、例示的な一実施例において、ビーム205''は、角度範囲227にわたってファセット245aによってスキャンされ、続いて、ビーム205''は、角度範囲227にわたってファセット245bによってスキャンされる。619ステップのうち、リターンビーム291'は、コリメート光学機器229によって受信導波管225の先端217にフォーカシングされる。多数の受信導波管225a、225bが提供される例示的な実施例において、ビーム205''が角度範囲227の第1部分にわたって固定された最大スキャンレートでスキャンされるとき(例えば、追加のターゲット距離;ビーム344)、リターンビーム291'は、第1受信導波管225aの先端217にフォーカシングされ、ビーム205''が角度範囲227の第2部分にわたって固定された最大スキャンレートでスキャンされるとき(例えば、より短いターゲット距離;ビーム342、346)、リターンビーム291'は、第2受信導波管225bの先端にフォーカシングされる。他の例示的な実施例において、1つの受信導波管225aおよび受信導波管225bは省略され、ビーム205''が角度範囲227(例えば、視野324)にわたって固定された最大スキャンレートでスキャンされるとき、リターンビーム291'は、受信導波管225aの先端に受信される。
【0146】
619ステップにおいて、LIDARシステムの1つ以上のパラメータがシステム200''の設計段階中に選択される。例示的な実施例において、送信導波管223と受信導波管225との間の間隔221の値は、グラフ464、465、466、467、469のうち、1つ以上を使用することに基づいて選択され、ここでユーザは、リターンビーム291'のSNRしきい値を達成するためにターゲット設計距離およびスキャン速度の知られた値に基づく間隔221の値を決定する。また他の例示的な実施例において、ポリゴンスキャナ244のスキャン速度の値は、グラフ464、465、466、467、469およびグラフ440の使用に基づいて選択され、ここでユーザは、リターンビーム291'のSNRしきい値を達成するためにターゲット設計距離および間隔221の知られた値に基づいてスキャン速度の値を決定する。
【0147】
他の実施例において、619ステップにおけるLIDARシステムのビームは、1つ以上のサイクルにわたって角度範囲326でスキャンされ、ここで各角度のビームのスキャンレートは、当該角度についてのスキャンパターンの最大スキャンレートであり、各角度でのLIDARシステムのインティグレーションタイムは、当該角度についての最小インティグレーションタイムである。一実施例において、619ステップにおける、それぞれの角度でLIDARシステムの処理システム250は、それぞれの角度でのスキャンレートが当該角度についてのスキャンパターンの最大スキャンレートとなるように1つ以上の信号をスキャニング光学機器218に送信する。さらに、一実施例において、619ステップにおける、それぞれの角度でLIDARシステムの処理システム250は、インティグレーションタイムが当該角度についてのスキャンパターンの最小インティグレーションタイムになるように、各角度で受信されたリターンビーム291についての獲得システム240および/または処理システム250のインティグレーションタイムを調整する。これは有利にも、LIDARシステムが各角度で適切なSNRを維持することを保障しながら、ビームが最大スキャンレートでスキャンされ、リターンビームがそれぞれの角度で最も短いインティグレーションタイムで処理されることを保障する。
【0148】
図5は、一実施例によって
図2eのシステムにおける多重の角度範囲にわたって時間に応じた垂直角度を例示するグラフである。水平軸502は、秒(s)単位の時間であり、垂直軸は、ラジアン(rad)単位の角度である。曲線540は、619ステップにおける多重のスキャンパターンのうちにビームについてのスキャニング中に時間によるビームの角度を示す。時間の瞬間での曲線540の傾きは、当該時間のビームのスキャンレートを示す。一実施例において、曲線540の領域542は、ビームが上限347に向けて指向されるときに、より速いスキャンレート(例えば、曲線540の高い傾き)を示し、曲線540の領域544は、ビームが地面349に向けて指向されるときに、より速いスキャンレート(例えば、曲線540の高い傾き)を示し、曲線540の領域546は、ビームが地面349と平行に指向されるときに、より遅いスキャンレート(例えば、曲線540のより低い傾き)を示している。ビーム205''が固定された最大スキャンレートでスキャンされる他の実施例において、曲線は、角度範囲227にわたって固定された傾きを示している。
【0149】
他の実施例において、619ステップの途中または後に、プロセッサーは、少なくとも部分的に619ステップの途中にLIDARシステムによって収集されたデータに基づいて車両310を作動させる。一実施例において、LIDARシステムの処理システム250および/または車両310のプロセッサー314は、619ステップでLIDARシステムによって収集されたデータに基づいて車両の操向および/または制動システムに1つ以上の信号を送信する。1つの例示的な実施例において、処理システム250は、LIDARデータに応答して車両310の位置を制御するために車両310の操向または制動システムに1つ以上の信号を送信する。一部の実施例において、処理システム250は、619ステップで収集されたLIDARデータに基づいて車両310のプロセッサー314に1つ以上の信号を送信し、これにより、プロセッサー314は、車両310の操向および制動システムに1つ以上の信号を送信する。
8.コンピュータハードウェア概要
【0150】
図7は、本開示内容の一実施例を実装できるコンピュータシステム700を示すブロック図である。コンピュータシステム700は、コンピュータシステム700の他の内部および外部コンポネントの間に情報を伝達するためのバス710のような通信メカニズムを含む。情報は、典型的には電圧である測定可能な現状の物理的信号として表されるが、他の実施例において、磁気相互作用、電磁相互作用、圧力相互作用、化学相互作用、分子原子相互作用および量子相互作用のような現象を含む。例えば、N極およびS極磁場、または0の電圧および非ゼロの電圧は、2進数(ビット)の2つの状態(0、1)を示す。他の現象は、より高いベースの数を示し得る。測定前に複数の同時量子状態の重畳は、量子ビット(クビット)を示す。1つ以上の数字シーケンスは、数字または文字についてのコードを示すのに使用されるデジタルデータを構成する。一部の実施例において、アナログデータと呼ばれる情報は、特定の範囲内の測定可能な値の近接連続体(Near Continuum)に表示される。コンピュータシステム700またはその一部は、本明細書に説明された1つ以上の方法のうち、1つ以上のステップを行うための手段を構成する。
【0151】
2進数シーケンスは、数字または文字についてのコードを示すのに使用されるデジタルデータを構成する。バス710は、情報がバス710に連結された装置の間に迅速に送信されるように、多くの並列情報コンダクタ(Parallel Conductors of Information)を含み得る。情報を処理するための1つ以上のプロセッサー702がバス710と結合される。プロセッサー702は、情報についての一連の動作を行う。一連の動作は、バス710から情報を取得することおよびバス710上に情報を配置することを含む。また、一連の動作は、通常、2つ以上の情報単位の比較、情報単位の位置シフト、加算または乗算のような2つ以上の情報単位の結合を含む。プロセッサー702によって行われる動作シーケンスは、コンピュータ命令語を構成する。
【0152】
また、コンピュータシステム700は、バス710に結合されたメモリ704を含む。RAM(Random Access Memory)または他の動的格納装置のようなメモリ704は、コンピュータ命令語を含む情報を格納する。動的メモリは、その中に格納された情報がコンピュータシステム700によって変更されるようにする。RAMは、メモリアドレスと呼ばれる位置に格納された情報単位が隣接するアドレスの情報と独立して格納され、検索されるようにする。また、メモリ704は、コンピュータ命令語の実行中に一時的な値を格納するためにプロセッサー702によって使用される。また、コンピュータシステム700は、ROM(Read Only Memory)706またはコンピュータシステム700によって変更されない命令語を含む靜的情報を格納するためにバス710に結合された他の靜的格納装置を含む。また、コンピュータシステム700がオフになったり、それとも電力が損失されるときにも持続する命令語を含む情報を格納するための磁気ディスクまたは光ディスクのような不揮発性(永久)格納装置708がバス710に結合され得る。
【0153】
命令語を含む情報は、人間ユーザによって操作される文字-数字キーを含むキーボードのような外部入力装置712またはセンサからプロセッサーによる使用のためにバス710に提供される。センサは、その周辺の状態を検出し、このような検出をコンピュータシステム700で情報を表すために使用される信号と互換可能な信号に変換する。主に人間と相互作用するために使用されるバス710に結合された他の外部装置は、イメージを提供するためのCRT(Cathode Ray Tube)または液晶ディスプレイ(LCD)のようなディスプレイ装置714を含み、ディスプレイ714に提供される小さいカーソルイメージの位置を制御し、ディスプレイ714上に提供されるグラフィック要素に関連する命令を発行するためのマウスまたはトラックボールまたはカーソル方向キーのようなポインティング装置716を含む。
【0154】
図示された実施例において、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)720のような特殊目的のハードウェアがバス710に結合される。特殊目的のハードウェアは、特別な目的のためにプロセッサー702によって迅速に実行されない動作を十分に迅速に実行するように構成される。ASICの例は、ディスプレイ714のためのイメージを生成するためのグラフィックス加速器カード、ネットワークを介して送信されたメッセージを暗号化および復号化するための暗号化ボード(Cryptographic Board)、音声認識およびハードウェア内でより効率的に実装されている一部の複雑な一連の動作を繰り返しに行うロボットアーム(Robotic Arm)および医療スキャニング装備のような特別な外部装置とのインターフェースを含む。
【0155】
また、コンピュータシステム700は、バス710に連結された通信インターフェース770の1つ以上の例を含む。通信インターフェース770は、プリンター、スキャナおよび外部ディスクのような独自のプロセッサーで動作する様々な外部装置についての双方向通信カップリングを提供する。一般的に、カップリングは、独自のプロセッサーを有する様々な外部装置が接続されるローカルネットワーク780に接続されるネットワークリンク778を用いて行われる。例えば、通信インターフェース770は、パーソナルコンピュータ上の並列ポートまたは直列ポートまたはUSB(Universal Serial Bus)ポートであり得る。一部の実施例において、通信インターフェース770は、ISDN(Integrated Services Digital Network)カードまたはDSL(Digital Subscriber Line)カードまたは対応するタイプの電話回線への情報通信連結を提供する電話モデムである。一部の実施例において、通信インターフェース770は、バス710上の信号を同軸ケーブルを介する通信連結のための信号または光ファイバケーブルを介する通信連結のための光信号に変換するケーブルモデムである。他の例として、通信インターフェース770は、イーサネット(Ethernet)のような互換可能な近距離通信網(Local Area Network、LAN)へのデータ通信接続を提供するLANカードであり得る。また、無線リンクが具現できる。音波および電磁波-電波(Radio Wave)、光波(Optical Wave)および赤外線波(Infrared Wave)を含む-のような搬送波は、ワイヤまたはケーブルなしで空間を通過する。信号は、振幅、周波数、位相、偏光または搬送波の他の物理的特性の人工的な変動を含む。無線リンクについて、通信インターフェース770は、デジタルデータのような情報ストリームを運搬する赤外線および光信号を含む電気、音響または電磁信号を送受信する。
【0156】
本明細書において、コンピュータ読み取り可能な媒体という用語は、実行のための命令語を含む情報をプロセッサー702に提供するのに参与する任意の媒体を指すのに使用される。このような媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体および送信媒体を含むが、ここに限定されない様々な形態を取り得る。不揮発性媒体は、例えば、格納装置708のような、光または磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、例えば、動的メモリ704を含む。送信媒体は、例えば、同軸ケーブル、銅線、光ファイバケーブルおよび電波、光波および赤外線波を含む音波および電磁波のような、有線またはケーブルなしで空間を通過する波を含む。本明細書において、コンピュータ読み取り可能な格納媒体という用語は、送信媒体を除外し、プロセッサー702に情報を提供するのに参与する任意の媒体を指すために使用される。
【0157】
コンピュータ読み取り可能な媒体の一般的な形態は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブル(Flexible)ディスク、ハードディスク、磁気テープ、または任意の他の磁気媒体、コンパクトディスクROM(CD-ROM)、デジタルビデオディスク(DVD)または他の光媒体、パンチカード、ペーパーテープ、またはホールパターンを有する任意の他の物理的媒体、RAM、プログラム可能なROM(PROM)、消去可能なPROM(EPROM)、FLASH(登録商標)-EPROM、または他のメモリチップまたはカートリッジ、搬送波、またはコンピュータが読み取ることができる任意の他の媒体を含む。本明細書において、コンピュータ読み取り可能な非一時的な(Non-Transitory)格納媒体という用語は、搬送波および他の信号を除外し、プロセッサー702に情報を提供するのに参与する任意の媒体を指すために使用される。
【0158】
1つ以上の有形の媒体(Tangible Media)内にエンコードされたロジッグは、コンピュータ読み取り可能な格納媒体上のプロセッサー命令語およびASIC720のような特殊目的のハードウェアのうち、1つまたは両方を含む。
【0159】
ネットワークリンク778は、通常、情報を使用するか、または処理する他の装置への1つ以上のネットワークを介する情報通信を提供する。例えば、ネットワークリンク778は、ローカルネットワーク780を介してホストコンピュータ782またはインターネットサービス提供者(ISP)によって運営される装備784に接続を提供し得る。ISP装備784は、現在に一般的にインターネット790と呼ばれるネットワークの公開的かつ全世界的なパケット交換通信ネットワークを介してデータ通信サービスを提供する。インターネットに接続されたサーバー792と呼ばれるコンピュータは、インターネットを介して受信された情報に応答してサービスを提供する。例えば、サーバー792は、ディスプレイ714でプレゼンテーションするためのビデオデータを表す情報を提供する。
【0160】
本開示内容は、本明細書に説明された技術を具現するためのコンピュータシステム700の使用に関するものである。本開示内容の一実施例によると、この技術は、メモリ704に含まれた1つ以上の命令語の1つ以上のシーケンスを行うプロセッサー702に応答してコンピュータシステム700によって行われる。ソフトウェアおよびプログラムコードとも呼ばれるこれらの命令語は、格納装置708のような他のコンピュータ読み取り可能な媒体からメモリ704に読み込まれることができる。メモリ704に含まれた命令語シーケンスの実行は、プロセッサー702にとって本明細書に説明された方法のステップを行うようにする。代替の実施例において、ASIC720のようなハードウェアが本開示内容を具現するためにソフトウェアの代わりに、またはソフトウェアとともに使用できる。したがって、本開示内容の実施例は、ハードウェアとソフトウェアの任意の特定の組み合わせに制限されない。
【0161】
ネットワークリンク778および通信インターフェース770を介する他のネットワークを介して送信された信号は、コンピュータシステム700に、そして、それからの情報を運搬する。コンピュータシステム700は、他のものの中でも、ネットワーク780、790を介して、ネットワークリンク778および通信インターフェース770を介して、プログラムコードを含む情報を送受信し得る。インターネット790を用いる一例において、サーバー792は、インターネット790、ISP装備784、ローカルネットワーク780および通信インターフェース770を介して、コンピュータ700から送信されたメッセージによって要請された特定アプリケーションのためのプログラムコードを送信する。受信されたコードは、受信されるときにプロセッサー702によって行われるか、後で行うために格納装置708または他の不揮発性格納装置に格納されか、またはこれらのすべてが行われ得る。このような方式で、コンピュータシステム700は、搬送波上の信号の形態でアプリケーションプログラムコードを得られる。
【0162】
様々な形態のコンピュータ読み取り可能な媒体は、実行のためにプロセッサー702に命令語またはデータ、またはこの両方の1つ以上のシーケンスを運搬するのに関連し得る。例えば、命令語およびデータは、初期にホスト782のような遠隔コンピュータの磁気ディスク上に運搬され得る。遠隔コンピュータは、命令語およびデータをその動的メモリにローディングし、モデムを使用して電話回線を介して命令語およびデータを送信する。コンピュータシステム700にローカルなモデムは、電話回線上で命令語およびデータを受信し、赤外線送信機を使用して命令語およびデータをネットワークリンク778の役割をする赤外線搬送波上の信号に変換する。通信インターフェース770の役割をする赤外線検出器は、赤外線信号内に運搬された命令語およびデータを受信し、命令語およびデータを表す情報をバス710上に位置させる。バス710は、情報をメモリ704に運び、プロセッサー702は、命令語とともに送信されたデータの一部を用いてメモリ704から命令語を検索して実行する。メモリ704で受信された命令語およびデータは、プロセッサー702による実行前または後に格納装置708に選択的に格納され得る。
【0163】
図8は、本開示内容の一実施例が具現できるチップセット800を示す。チップセット800は、本明細書に説明された方法の1つ以上のステップを行うようにプログラミングされ、例えば、1つ以上の物理的パッケージ(例えば、チップ)に含まれた
図7に関連して説明されたプロセッサーおよびメモリコンポネントを含む。例として、物理的パッケージは、物理的強度、大きさの保存および/または電気的相互作用の制限のような1つ以上の特性を提供するために構造的アセンブリ(例えば、ベースボード)上の1つ以上の材料、コンポネントおよび/またはワイヤの配列を含む。所定の実施例において、チップセットは、単一チップで具現できることが考慮される。チップセット800またはその一部は、本明細書に説明された方法の1つ以上のステップを行うための手段を構成する。
【0164】
一実施例において、チップセット800は、チップセット800のコンポネントの間で情報を伝達するためのバス801のような通信メカニズムを含む。プロセッサー803は、命令語を実行し、例えば、メモリ805に格納された情報を処理するためにバス801に連結される。プロセッサー803は、それぞれのコアが独立して行うように構成された1つ以上のプロセッシングコアを含み得る。マルチコアプロセッサーは、単一の物理的パッケージ内で多重処理を可能にする。マルチコアプロセッサーの例は、2つ、4つ、8つまたはその以上のプロセッシングコアを含む。代替的または追加的に、プロセッサー803は、命令語、パイプライニング(Pipelining)およびマルチスレッディング(Multithreading)の独立的な実行を可能にするためにバス801を介して直列で構成された1つ以上のマイクロプロセッサーを含み得る。また、プロセッサー803は、1つ以上のデジタル信号プロセッサー(Digital Signal Processor、DSP)または1つ以上のASIC809のような所定の処理機能および作業を行うための1つ以上の特殊コンポネントを伴い得る。DSP807は、通常、プロセッサー803と独立して実世界の信号(例えば、サウンド)をリアルタイムで処理するように構成される。同様に、ASIC809は、汎用プロセッサーによって容易に実行されない特殊機能を行うように構成され得る。本明細書に説明された発明的機能を実行することを支援するための他の特殊コンポネントは、1つ以上のFPGA(Field Programmable Gate Array)(図示せず)、1つ以上のコントローラー(図示せず)または1つ以上の他の特殊目的のコンピュータチップを含む。
【0165】
プロセッサー803および随伴するコンポネントは、バス801を介してメモリ805に連結される。メモリ805は、実行されるときに本明細書に説明された方法の1つ以上のステップを行うように、実行可能な命令語を格納するための動的メモリ(例えば、RAM、磁気ディスク、書き込み可能な光ディスクなど)および靜的メモリ(例えば、ROM、CD-ROMなど)の両方を含む。また、メモリ805は、本明細書に説明された方法のうち、1つ以上のステップの実行に関連したり、その実行によって生成されたデータを格納する。
9.変更、拡張および修正
【0166】
前述の明細書において、本開示内容は、その特定の実施例を参照して説明されている。しかし、本開示内容のより広い思想および範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更が行われ得ることが明らかである。したがって、明細書および図面は、制限的な意味ではなく、例示的な意味とみなされるべきである。本明細書および特許請求の範囲の全体にわたって、文脈で異に要求しない限り、「含み」および「含んでいる」のような「含む」という単語およびその変形は、以下の言及された項目、要素またはステップまたは複数の項目、要素またはステップを含むことを意味するが、任意の他の項目、要素またはステップ、または項目、要素またはステップのグループを排除しないことを意味するものと理解できるであろう。単数形の項目は、当該単数形に限る項目、要素またはステップのうち、1つ以上を示すものを意味する。本明細書に使用されたように、文脈上明らかに異にしない限り、値は、他の値の2倍(2倍または半分)内にある場合、「およそ」他の値である。例示的な範囲が提供されるが、文脈で明らかに異にしない限り、任意の記載された範囲は、様々な実施例にも意図されたものである。したがって、0から10までの範囲は、一部の実施例において、1ないし4の範囲を含む。
【0167】
広い範囲を説明する数値範囲およびパラメータが近似値であるにもかかわらず、特定の非限定的な例に記載された数値は、できるだけ正確に報告される。しかし、任意の数値は、本質的に本文書作成の時点でそれぞれのテスト測定値から得られる標準偏差によって必然的に発生する特定の誤差を含んでいる。さらに、文脈上異なり明らかでない限り、ここに提示される数値は、最下位の数字によって与えられる黙示的な精度を有する。したがって、1.1の値は、1.05から1.15までを意味する。「約」という用語は、与えられた値を中心により広い範囲を示すために使用され、文脈上明らかでない限り、最下位の数字周辺のより広い範囲を意味するが、例えば、「約1.1」は、1.0から1.2までの範囲を意味する。最下位の数字が不明確な場合、「約」という用語は、2の引数(Factor of Two)を意味する。例えば、「約X」は、0.5Xから2Xまでの範囲の値を意味する。例えば、約100は、50から100までの範囲の値を意味する。また、本明細書に開示されているすべての範囲は、その中に含まれる任意のおよびすべての下位範囲を含むものと理解されるべきである。例えば、「10未満」の範囲は、最小値0と最大値10との間の(当該値を含む)任意のおよびすべての下位範囲、すなわち、0以上の最小値と10以下の最大値を有する任意のおよびすべての下位範囲、例えば、1ないし4の範囲である。
【0168】
本開示内容の一部の実施例は、光信号に変調された無線周波数における二進、π/2(90度)位相エンコーディングの側面で以下に説明されるが、実施例は、この側面に限定されない。他の実施例において、異なる位相差(例えば、30度、60度、または180度)を有するか、または3つ以上の異なる位相を有するエンコーディングである他の位相エンコーディングが使用される。実施例は、他の実施例において、以降、線形ステッピングまたは回転光学コンポネントであるか、または送信機アレイまたは検出器アレイまたは検出器の対を有する任意の知られたスキャン手段を使用してスキャンできる単一の光ビームと単一の検出器または一対の検出器についてのリターンの側面から説明される。この説明の目的上、「位相コード持続時間」は、光信号に変調された位相エンコードされた信号についての位相シーケンスを示すコードの持続時間である。
【0169】
一部の実施例において、装置は、バイスタティックトランシーバー、複屈折ディスプレーサ、偏光変換光学機器およびコリメート光学機器を含む。バイスタティックトランシーバーは、レーザーソースからの第1信号を送信するように構成された送信導波管および間隔だけ送信導波管から離隔しており、ターゲットによって反射した第2信号を受信するように構成された受信導波管を含み得る。複屈折ディスプレーサは、第1信号および第2信号のうち、1つの方向に直交する方向に第1信号および第2信号のうち、1つを変位させるように構成され得る。偏光変換光学機器は、第1信号と第2信号の直交フィールド成分の間の相対位相を調整するように構成され得る。コリメート光学機器は、送信導波管から送信された第1信号を成形し、ターゲットによって反射した第2信号を成形するように構成され得る。複屈折ディスプレーサと偏光変換光学機器がバイスタティックトランシーバーとコリメート光学機器との間に位置する。
【0170】
一部の実施例において、複屈折ディスプレーサは、第1信号および第2信号のうち、1つの方向に直交する距離だけ第1信号および第2信号のうち、1つを変位させるように構成され得、距離は間隔に基づく。
【0171】
一部の実施例において、複屈折ディスプレーサは、装置の縦軸に沿った寸法を有し得、寸法は、距離が間隔とほぼ同じになるように大きさが形成される。
【0172】
一部の実施例において、バイスタティックトランシーバーは、1つ以上の導波管の対を含み得る。それぞれの対は、1つの送信導波管と1つの受信導波管とを含み得る。複屈折ディスプレーサは、第1信号が複屈折ディスプレーサによって変位しないように構成され得、また、変位した第2信号が受信導波管に入射するように間隔に基づいて第2信号を変位させるように構成され得る。
【0173】
一部の実施例において、送信導波管および受信導波管は、直交指向を有する偏光維持光ファイバであり得る。第1信号および第2信号は、偏光維持光ファイバの直交指向に基づく直交偏光で線形偏光することができる。
【0174】
一部の実施例において、偏光変換光学機器は、1/4波長板であり得る。1/4波長板は、第1信号の第1線形偏光を第1方向の第1円偏光に調整するように構成され得る。1/4波長板は、ターゲットによって反射した第2信号の第2円偏光を第1線形偏光に直交する第2線形偏光に調整するようにさらに構成され得る。第2円偏光は、第1方向とは反対である第2方向を有し得る。
【0175】
一部の実施例において、バイスタティックトランシーバーは、1つの送信導波管と1対の受信導波管を含み得、1対の受信導波管は、送信導波管の第1側面から第1間隔だけ離隔した第1受信導波管および送信導波管の第2側面から第2間隔だけ離隔した第2受信導波管を含む。送信導波管は、単一モード光ファイバを含み得、第1および第2受信導波管は、直交指向を有する偏光維持光ファイバであり得る。第1信号は、偏光されないことがある。第1および第2受信導波管は、偏光維持光ファイバの直交指向に基づいて直交偏光で線形偏光されたそれぞれの第2信号を受信するように構成され得る。
【0176】
一部の実施例において、複屈折ディスプレーサは、第1複屈折ディスプレーサおよび第2複屈折ディスプレーサを含み得、第1複屈折ディスプレーサと第2複屈折ディスプレーサとの間に偏光変換光学機器が配置される。第1複屈折ディスプレーサは、第1成分の第1線形偏光に基づいて第1信号の第1成分を変位させるように構成され得、第1線形偏光に直交する第2成分の第2線形偏光に基づいて第1信号の第2成分を変位させないようにさらに構成され得る。偏光変換光学機器は、第1成分の第1線形偏光を第2線形偏光に回転させるように構成され得、第2成分の第2線形偏光を第1線形偏光に回転させるようにさらに構成され得る。第2複屈折ディスプレーサは、第2成分の第1線形偏光に基づいて偏光変換光学機器から入射する第1信号の第2成分を変位させるように構成され得、第1成分の第2線形偏光に基づいて第1信号の第1成分を変位させないようにさらに構成され得る。第1複屈折ディスプレーサに入射する第1信号は、偏光されないことがある。第1複屈折ディスプレーサは、第1間隔に基づいて第1信号の第1成分を変位させるように構成され得る。第2複屈折ディスプレーサは、第1間隔に基づいて第1信号の第2成分を変位させるように構成され得る。第2複屈折ディスプレーサは、第1成分の第1線形偏光に基づいてターゲットによって反射した第2信号の第1成分を変位させるように構成され得、第1線形偏光に直交する第2成分の第2線形偏光に基づいて第2信号の第2成分を変位させないようにさらに構成され得る。第1複屈折ディスプレーサは、第1成分の第1線形偏光に基づいて第2信号の第1成分を変位させるように構成され得、第1成分の第2線形偏光に基づいて第2信号の第2成分を変位させないようにさらに構成され得る。ターゲットから第2複屈折ディスプレーサに入射する第2信号は、偏光されないことがある。第2複屈折ディスプレーサは、第1間隔に基づいて第2信号の第1成分を変位させるように構成され得る。第1複屈折ディスプレーサは、第2間隔に基づいて第2信号の第1成分を変位させるように構成され得る。
【0177】
一部の実施例において、偏光変換光学機器は、第2複屈折ディスプレーサから偏光変換光学機器に入射する第2信号の第1および第2成分の線形偏光に影響を与えないように構成され得る。偏光光学機器は、ファラデー回転子および半波長板を含み得る。半波長板は、第2信号の第1および第2成分の線形偏光を回転させるように構成され得る。ファラデー回転子は、第2信号の第1および第2成分の線形偏光を半波長板と同じ量だけ逆に回転させるように構成され得る。
【0178】
一部の実施例において、装置は、第1角度および第2角度によって定義された角度範囲にわたってスキャンレートでスキャン方向に第1信号の方向を調整するように構成されたスキャニング光学機器を含み得る。スキャン方向は、送信導波管から受信導波管へのベクトルの方向について非平行であり得る。複屈折ディスプレーサは、変位した第2信号が受信導波管内に受信されるようにベクトルについての角度で指向されることがある。ベクトルについての角度の方向は、スキャン方向に基づくことができ、角度の大きさは、スキャンレートに基づくことができる。
【0179】
一部の実施例において、スキャン方向は、送信導波管から受信導波管へのベクトルの方向についてほぼ平行であり得る。複屈折ディスプレーサは、第2信号の変位の大きさがスキャン方向に基づくように構成され得る。装置の縦軸に沿った複屈折ディスプレーサの寸法は、変位の大きさを調整するように選択できる。一部の実施例において、スキャン方向は、ベクトルと同じ方向であり得る。変位の大きさは、変位した第2信号が受信導波管内に受信されるようにベクトルの大きさよりも大きいことがある。
【0180】
一部の実施例において、方法は、レーザーソースからバイスタティックトランシーバーの送信導波管からの第1信号を送信するステップを含む。方法は、また、バイスタティックトランシーバーの受信導波管でターゲットによって反射した第2信号を受信するステップを含む。受信導波管は、送信導波管から間隔だけ離隔し得る。方法は、また、複屈折ディスプレーサを使用して第1信号および第2信号のうちの1つを第1信号および第2信号のうちの1つの方向に直交する方向に変位させるステップを含む。方法は、また、偏光変換光学機器を使用して第1信号と第2信号の直交フィールド成分の間の相対位相を調整するステップを含む。方法は、また、コリメート光学機器を使用して送信導波管から送信された第1信号およびターゲットから反射した第2信号を成形するステップを含む。複屈折ディスプレーサおよび偏光光学機器は、バイスタティックトランシーバーとコリメート光学機器との間に位置し得る。
【0181】
一部の実施例において、変位は、第1信号と第2信号のうちの1つの信号を第1信号と第2信号のうちの1つの信号の方向に直交する距離だけ変位させることを含み得る。距離は、間隔に基づくことができる。
【0182】
一部の実施例において、変位は、複屈折ディスプレーサを使用して第1信号を第1信号の方向に直交する方向に変位させることなく第2信号を変位させるが、変位した第2信号が受信導波管に入射するように、第2信号を間隔に基づいて第2信号の方向に直交する方向に変位させることを含み得る。
【0183】
一部の実施例において、偏光変換光学機器は、1/4波長板であり得る。調整ステップは、1/4波長板を使用して第1信号の第1線形偏光を第1方向の第1円偏光に調整することを含み得る。調整ステップは、また、1/4波長板を使用してターゲットによって反射した第2信号の第2円偏光を第1線形偏光に直交する第2線形偏光に調整することを含み得る。第2円偏光は、第1方向とは反対の第2方向を有し得る。
【0184】
一部の実施例において、複屈折ディスプレーサは、第1複屈折ディスプレーサおよび第2複屈折ディスプレーサを含み得、第1複屈折ディスプレーサと第2複屈折ディスプレーサとの間に偏光変換光学機器が配置される。第1複屈折ディスプレーサによる変位は、第1信号の第1成分を変位させるが、第1成分の第1線形偏光に基づいて第1信号の第1成分を変位させ、第1信号の第2成分を変位させないが、第1線形偏光に直交する第2成分の第2線形偏光に基づいて第1信号の第2成分を変位させないことを含み得る。偏光変換光学機器による調整は、第1成分の第1線形偏光を第2線形偏光に回転させ、第2成分の第2線形偏光を第1線形偏光に回転させることを含み得る。第2複屈折ディスプレーサによる変位は、第2成分の第1線形偏光に基づいて偏光変換光学機器から入射する第1信号の第2成分を変位させ、第1成分の第2線形偏光に基づいて第1信号の第1成分を変位させないことを含み得る。
【0185】
一部の実施例において、バイスタティックトランシーバーは、1つの送信導波管と1対の受信導波管を含み得、1対の受信導波管は、送信導波管の第1側面から第1間隔だけ離隔した第1受信導波管および送信導波管の第2側面から第2間隔だけ離隔した第2受信導波管を含む。第1複屈折ディスプレーサに入射する第1信号は、偏光されないことがある。第1複屈折ディスプレーサで第1信号の第1成分を変位させることは、第1間隔に基づくことができる。第2複屈折ディスプレーサで第1信号の第2成分を変位させることは、第1間隔に基づくことができる。
【0186】
一部の実施例において、第2複屈折ディスプレーサによる変位は、ターゲットによって反射した第2信号の第1成分を変位させるが、第1成分の第1線形偏光に基づいて変位させ、第2信号の第2成分を変位させないが、第1線形偏光に直交する第2成分の第2線形偏光に基づいて変位させないことを含み得る。第1複屈折ディスプレーサによる変位は、第2信号の第1成分を変位させるが、第1成分の第1線形偏光に基づいて変位させ、第2信号の第2成分を変位させないが、第1成分の第2線形偏光に基づいて変位させないことを含み得る。
【0187】
一部の実施例において、バイスタティックトランシーバーは、1つの送信導波管と1対の受信導波管を含み得、1対の受信導波管は、送信導波管の第1側面から第1間隔だけ離隔した第1受信導波管および送信導波管の第2側面から第2間隔だけ離隔した第2受信導波管を含む。ターゲットからの第1複屈折ディスプレーサに入射する第2信号は、偏光されないことがある。第2複屈折ディスプレーサで第2信号の第1成分を変位させることは、第1間隔に基づくことができる。第1複屈折ディスプレーサで第2信号の第1成分を変位させることは、第2間隔に基づくことができる。
【0188】
一部の実施例において、偏光変換光学機器は、第2複屈折ディスプレーサから偏光変換光学機器に入射する第2信号の第1および第2成分の線形偏光に影響を与えないように構成され得る。偏光光学機器は、ファラデー回転子および半波長板を含み得る。調整ステップは、半波長板を使用して第2信号の第1および第2成分の線形偏光を回転させ、ファラデー回転子を使用して第2信号の第1および第2成分の線形偏光を半波長板と同じであるが、反対の量だけ回転させることを含み得る。
【0189】
一部の実施例において、方法は、スキャニング光学機器を使用して第1角度と第2角度によって定義された角度範囲にわたってスキャンレートでスキャン方向に第1信号の方向を調整するステップを含み得る。スキャン方向は、送信導波管から受信導波管へのベクトルに非平行であり得る。変位は、複屈折ディスプレーサをベクトルについての角度で指向させることを含み得る。角度の方向は、スキャン方向に基づいており、角度の大きさは、スキャンレートに基づく。スキャン方向は、送信導波管から受信導波管へのベクトルにほぼ平行であり得る。変位は、スキャン方向に基づいて変位の大きさを調整することを含み得る。
【0190】
一部の実施例において、LIDARシステムのスキャンパターンを最適化するシステムは、前述の装置およびレーザーソースを備えたLIDARシステムを含み得る。システムは、プロセッサーおよび1つ以上の命令語シーケンスを有する少なくとも1つのメモリをさらに含み得る。1つ以上の命令語シーケンスは、プロセッサーによって実行されるとき、システムが送信導波管から第1信号を送信し、受信導波管で第2信号を受信し、1つ以上の光ミキサで第2信号を1つのレーザーソースからの基準ビームと結合し、第2信号と基準ビームとの結合に基づいて信号を生成し、当該信号に基づいて装置を動作させるようにする。装置は、送信導波管および複数の受信導波管を備えた1次元バイスタティックトランシーバーを含み得る。システムは、複数の処理チャネルをさらに含み得る。第2信号を受信するステップは、それぞれの複数の受信導波管で複数の第2信号を受信するステップを含み得る。結合ステップは、複数の処理チャネル内で複数の第2信号を基準ビームと結合するステップを含み得る。それぞれの処理チャネルは、それぞれの受信導波管に割り当てられる。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光検出及び測距(LIDAR)システムにおいて、
レーザーソースと、トランシーバーと、1つ以上の光学機器とを備え、
前記レーザーソースは、ビームを生成するように構成され、
前記トランシーバーは、前記ビームに基づいて送信信号を生成し、前記送信信号を送信導波管を通して送信し、オブジェクトによって反射されたリターン信号を受信導波管を通して受信するように構成され、
1つ以上の前記光学機器は、
前記トランシーバーの外部にあり、
前記送信信号又は前記リターン信号の一方の信号を変位させることにより、前記送信信号と前記リターン信号の間の距離を光学的に変化させるように構成され、
前記変位前の一方の前記信号及び前記変位後の一方の前記信号は、互いに平行である、
LIDARシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のLIDARシステムであって、
1つ以上の前記光学機器は、前記リターン信号が進行する第2方向と直交する第1方向に前記リターン信号を変位させるように構成される、
LIDARシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のLIDARシステムであって、
1つ以上の前記光学機器は、少なくとも2つの屈折率を有するディスプレーサを含み、
前記ディスプレーサは、前記リターン信号を前記第1方向に変位させるように構成される、
LIDARシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のLIDARシステムであって、
第1光学機器を更に備え、
前記第1光学機器は、前記送信導波管から送信された前記送信信号をコリメートし、前記オブジェクトによって反射された前記リターン信号を集光するように構成される、
LIDARシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のLIDARシステムであって、
偏光変換光学機器を更に備え、
前記偏光変換光学機器は、前記送信信号及び前記リターン信号の偏光を、前記送信信号の調整された偏光が前記リターン信号の調整された偏光と直交するように、前記送信信号及び前記リターン信号の調整された偏光に調整するように構成された、
LIDARシステム。
【請求項6】
請求項5に記載のLIDARシステムであって、
前記ディスプレーサ及び前記偏光変換光学機器は、前記トランシーバーと前記第1光学機器との間に配置される、
LIDARシステム。
【請求項7】
請求項3に記載のLIDARシステムであって、
前記受信導波管は、前記送信導波管から離間して間隔をあけて配置され、
前記ディスプレーサは、前記リターン信号を前記第1方向に第1距離だけ変位させるように構成され、
前記第1距離は、前記間隔に基づく、
LIDARシステム。
【請求項8】
請求項1に記載のLIDARシステムであって。
1つ以上の前記光学機器は、前記送信信号が進む第4方向と直交する第3方向に前記送信信号を変位させるように構成される、
LIDARシステム。
【請求項9】
1つ以上のプロセッサを含む自律走行車制御システムにおいて、
1つ以上の前記プロセッサは、
レーザーソースに、ビームを生成させ、
トランシーバーに、前記ビームに基づいて送信信号を生成させ、前記送信信号を送信導波管を通して送信させ、オブジェクトによって反射されたリターン信号を受信導波管を通して受信させ、
1つ以上の光学機器に、前記送信信号又は前記リターン信号の一方の信号を変位させることにより、前記送信信号と前記リターン信号との間の距離を光学的に変化させ、前記変位前の一方の前記信号と前記変位後の一方の前記信号が互いに平行であり、
前記トランシーバーによって受信された前記リターン信号に基づいて車両を動作させる、
自律走行車制御システム。
【請求項10】
請求項9に記載の自律走行車制御システムであって、
1つ以上の前記光学機器は、少なくとも2つの屈折率を有するディスプレーサを含み、
1つ以上の前記プロセッサは、前記ディスプレーサに、前記リターン信号が進行する第2方向と直交する第1方向に前記リターン信号を変位させるように構成される、
自律走行車制御システム。
【請求項11】
請求項10に記載の自律走行車制御システムであって、
前記1つ以上のプロセッサは、第1光学機器に、前記送信導波管から送信された送信信号をコリメートし、前記オブジェクトによって反射された前記リターン信号を集光させように構成される、
自律走行車制御システム。
【請求項12】
請求項11に記載の自律走行車制御システムであって、
1つ以上の前記プロセッサは、偏光変換光学機器に、前記送信信号及び前記リターン信号の偏光を、前記送信信号の調整された偏光が前記リターン信号の調整された偏光と直交するように、前記送信信号及び前記リターン信号の調整された偏光に調整するように構成され、
前記ディスプレーサ及び前記偏光変換光学機器は、前記トランシーバーと前記第1光学機器との間に配置される、
自律走行車制御システム。
【請求項13】
請求項12に記載された自律走行車制御システムであって、
前記受信導波管は、前記送信導波管から離間して間隔を空けて配置され、
1つ以上の前記プロセッサは、前記ディスプレーサに、前記リターン信号を前記第1方向に第1距離だけ変位させるよう構成され、
前記第1距離は、前記間隔に基づく、
自律走行車制御システム。
【請求項14】
請求項10に記載の自律走行車制御システムであって、
1つ以上の前記プロセッサは、前記ディスプレーサに、前記送信信号が移動する第4方向と直交する第3方向に前記送信信号を変位させるように構成される、
自律走行車制御システム。
【請求項15】
光検出及び測距(LIDAR)システムを備える自律走行車において、
レーザーソースと、トランシーバーと、1つ以上の光学機器とを備え、
前記レーザーソースは、ビームを生成するように構成され、
前記トランシーバーは、前記ビームに基づいて送信信号を生成し、前記送信信号を送信導波管を通して送信し、オブジェクトによって反射されたリターン信号を受信導波管を通して受信するように構成され、
1つ以上の前記光学機器は、
前記トランシーバーの外部にあり、
前記送信信号又は前記リターン信号の一方の信号を変位させることにより、前記送信信号と前記リターン信号の間の距離を光学的に変化させるように構成され、
前記変位前の一方の前記信号及び前記変位後の一方の前記信号は、互いに平行である、
自律走行車。
【請求項16】
請求項15に記載の自律走行車であって、
1つ以上の前記光学機器は、少なくとも2つの屈折率を有するディスプレーサを含み、
前記ディスプレーサは、前記リターン信号が進行する第2方向と直交する第1方向に前記リターン信号を変位させるように構成される、
自律走行車。
【請求項17】
請求項16に記載の自律走行車であって、
第1光学機器を更に備え、
前記第1光学機器は、前記送信導波管から送信された前記送信信号をコリメートし、前記オブジェクトによって反射された前記リターン信号を集光するように構成される、
自律走行車。
【請求項18】
請求項17に記載の自律走行車であって、
前記LIDARシステムは、偏光変換光学機器を更に備え、
前記偏光変換光学機器は、前記送信信号及び前記リターン信号の偏光を、前記送信信号の調整された偏光が前記リターン信号の調整された偏光と直交するように、前記送信信号及び前記リターン信号の調整された偏光に調整するように構成され、
前記ディスプレーサ及び前記偏光変換光学機器は、前記トランシーバーと前記第1光学機器との間に配置される、
自律走行車。
【請求項19】
請求項18に記載の自律走行車であって、
前記受信導波管は、前記送信導波管から離間して間隔をあけて配置され、
前記ディスプレーサは、前記リターン信号を前記第1方向に第1距離だけ変位させるように構成され、
前記第1距離は、前記間隔に基づく、
自律走行車。
【請求項20】
請求項16に記載の自律走行車であって、
前記ディスプレーサは、前記送信信号が移動する第4方向と直交する第3方向に前記送信信号を変位させるように構成される、
自律走行車。
【外国語明細書】