(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103337
(43)【公開日】2023-07-26
(54)【発明の名称】圧電センサ
(51)【国際特許分類】
H10N 30/06 20230101AFI20230719BHJP
H10N 30/077 20230101ALI20230719BHJP
H10N 30/30 20230101ALI20230719BHJP
H10N 30/857 20230101ALI20230719BHJP
H10N 30/87 20230101ALI20230719BHJP
G01L 1/16 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
H10N30/06
H10N30/077
H10N30/30
H10N30/857
H10N30/87
G01L1/16 Z
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077365
(22)【出願日】2023-05-09
(62)【分割の表示】P 2021518772の分割
【原出願日】2018-10-10
(71)【出願人】
【識別番号】515055203
【氏名又は名称】ヨアノイム リサーチ フォルシュングスゲゼルシャフト エムベーハー
【氏名又は名称原語表記】JOANNEUM RESEARCH FORSCHUNGSGESELLSCHAFT MBH
【住所又は居所原語表記】Leonhardstrasse 59,A-8010 Graz,Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(72)【発明者】
【氏名】シュタットローバー,バーバラ
(72)【発明者】
【氏名】ツィルクル,マーティン
(72)【発明者】
【氏名】シャフナー,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ツェッペ,アンドレアス
(57)【要約】 (修正有)
【課題】横方向応力に寄与するあらゆる力に対する感度を向上させる圧電センサを提供する。
【解決手段】少なくとも1つの第1電極3と、少なくとも1つの第2電極5と、圧電体6と、を備える圧電センサ1であって、圧電体6は、異方性電気機械結合を有し、少なくとも1つの第1電極3および第2電極5は、少なくとも部分的に圧電体6に埋め込まれている。圧電体6は、第1面4を有し、第1電極3および第2電極5が、第1面4から圧電体6内で垂直に延びている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1電極(3)と、
少なくとも1つの第2電極(5)と、
圧電体(6)を備える圧電センサ(1)であって、
前記圧電体(6)は異方性電気機械結合を有し、少なくとも1つの前記第1電極および
第2電極(3、5)は少なくとも部分的に前記圧電体(6)に埋め込まれており、前記圧
電体(6)は第1面(4)を有し、前記第1電極および第2電極(3、5)が前記第1面
(4)から前記圧電体(6)内で実質的に直角に延びている圧電センサ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電センサに関する。
【背景技術】
【0002】
力を検出するためのアクティブセンサは、通常、圧電効果に基づいている。アクティブ
センサは作用時に電気エネルギーを発生させるセンサであって、電気エネルギーを消散さ
せるセンサではない。センサの表面に力が加えられた場合には、加えられた力に対する定
量的および定性的な度合いによって機械的応力の一部が電気エネルギーに変換される。圧
電センサは、通常、複数の層を備えており、アクティブセンサ材料が垂直層アセンブリを
形成する上部電極層と下部電極層の間に埋め込まれている。アクティブセンサ材料は、好
ましくは、無機セラミックス、または例えばポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)、お
よび/またはポリ(フッ化ビニリデン:トリフルオロエチレン)、(P(VDF:TrF
E))である電気活性ポリマー、または(例えばナノ複合材料などの)それらの任意の組
み合わせから構成される。これらのポリマー材料は、高い機械的柔軟性を提供し、工業規
模で処理することができる。
一般のアクティブセンサでは、センサ材料はセンサフィルムとして具体化されている。
センサの表面に加えられた機械的応力は、電極内に補償電荷を発生させるセンサ材料の変
形をもたらす。これらの電荷は信号に変換される。この一般のセンサレイアウトでは、電
荷の量および信号は、機械的応力が加えられる方向に大きく依存する。センサフィルムに
対する法線方向(センサ材料の自発分極に平行な方向を意味する)に、より大きな応力が
加えられれば電荷はより大きくなる。フィルムの平面内で作用する(センサフィルムの表
面に平行な)横方向の力、張力、トルクは、比較的低い電圧を生成するだけであり、法線
成分を持つ力によって生成された信号と区別することはできない。
【0003】
横方向の力を測定するために圧電センサの幾つかの構想が開発されてきている。例えば
、センサフィルムを形成するセンサ材料は、センサ材料の内部に横方向の力の法線成分を
発生させるために機械的構造で補強されている。別の例では、センサフィルムは、繊維が
圧電体である電界紡糸(electrospinning)によって形成されており、これによってセン
サフィルムの感度向上を達成している。圧電センサの表面に加えられる力の接線方向成分
や、センサの取り付けまたは埋め込み表面に生じるせん断力またはトルクを検出する場合
には、これらの構想はいまだ満足のいく解決策を提供できていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、横方向応力に寄与するあらゆる力に対する感度を向上させる圧電センサを提
供することを目的とする。
【0005】
解決策は独立請求項に規定されている。より好都合な実施形態は従属請求項に規定され
ている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の概要)
本発明は、少なくとも1つの第1電極と、少なくとも1つの第2電極と、圧電体を備え
る圧電センサを提供する。圧電体は異方性電気機械結合(anisotropic electromechanica
l coupling)を有し、少なくとも1つの第1電極および第2電極は少なくとも部分的に圧
電体に埋め込まれている。圧電体は第1面を有し、第1電極および第2電極が第1面から
圧電体内で実質的に直角に延びている。
【0007】
本発明は、異方性電気機械結合を示す圧電体(PM)の使用に基づいており、ここで異
方性は、i)本質的である。ii)加工または堆積の際に導入される。またはiii)堆
積後の処理手段により導入することができる。ここで述べる電気機械結合とは、圧電体に
加えられた応力または張力が圧電体の分極内で電気的に測定可能な変化を引き起こす効果
をいう。この電気機械結合は通常、横方向よりも、主配向(primary orientation)と記
述する一方向の方が最大である。ゼロではない自発分極を有する圧電性または強誘電性材
料に対しては、主配向は全体的な自発分極の方向として定義される。材料の例としては、
強誘電体、圧電セラミックス、繊維およびポリマー、強誘電体材料、少なくとも一成分が
圧電体である複合材料などがある。iii)に関しては、保磁力(coercive field stren
gth)を超える高い外部電界を印加することで強誘電体ドメインの配向を変化させること
ができる強誘電体がこれに適した圧電体として明示される。
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
本発明によるセンサは、圧電体内に埋め込まれた互い違いの極性を有する第1電極およ
び第2電極を備えている。圧電体内における張力または応力は、圧電体を変形させ第1電
極および第2電極上に電荷を発生させる。応力が圧電体の第1面に対して横方向に作用す
るならば、すなわち、分極の主配向に対して平行で、かつ圧電体の第1面から延びる第1
電極および第2電極に対して実質的に垂直であるならば、センサ信号は最大になる。好ま
しくは、電極は第1面から垂直に、すなわち90度の角度で延びる。しかしながら、本発
明は正確に90度の角度に限定されない。電極は例えば直角からプラス/マイナス10度
以内の範囲で伸びていてもよい。換言すれば、センサの感度は横方向の力や応力に対して
最大である。
しかしながら、垂直方向、すなわち、圧電体の第1面に対して垂直方向に作用する応力
は、圧電体の異方性のためにより低い感度で検出される。感度に関しては、断面形状、横
方向の幾何学的配列、アスペクト比(高さ・幅)、および第1電極と第2電極の分離、お
よび圧電体の厚さや配置を変えることで調整可能である。圧電体が強誘電体の場合には、
温度はもちろん、印加交流電圧または直流電圧および周波数を用いるポーリング方法がさ
らに感度に影響を与える。圧電体内に埋め込まれた第1電極および第2電極が特許請求さ
れているが、この原理は圧電体の下方または上に第1電極および第2電極を配置する場合
、特に圧電体が堆積後に横方向に整列した主配向を有する場合、すなわち、堆積後にポー
リングを必要としない場合にも当てはまる。
最後の場合の例としては、第1電極および第2電極の縁に主配向を横方向および法線方
向に整列した(ポリマーまたは無機)圧電ファイバ(例えばZnOナノワイヤ)などがあ
る。結果として、圧電体の主配向は、圧電体の第1面に対して実質的に平行であり、セン
サは、以下の様な圧電体層内における高い横方向応力に寄与する任意の力に対して最も感
度が高い。
a)直接的にまたは中間層を介して圧電体の表面上に加えられた力の接線成分。
b)センサが取り付けられているまたは埋め込まれている表面上に生じるせん断力。
c)センサが取り付けられているまたは埋め込まれている表面に、または表面上に作用
するトルク。
d)センサが取り付けられているまたは埋め込まれているインタフェース領域または領
域内で、(GHzまでの)音響および音波で発生する時間的および空間的に変化する力、
特に弾性表面波および実体波による力。
圧電体層内での横方向のひずみも圧電センサを形成するセンサ応答を引き起こすので、
アクティブひずみセンサとしても有用になる。
【0013】
圧電センサの別の実施形態では、第1電極および第2電極は、圧電体内で相互篏合した
櫛形構造を形成する横方向にかみ合わされた第1電極フィンガーおよび第2電極フィンガ
ーであり、電極フィンガーは別々に電気的に接続可能である。電極フィンガーの篏合数が
多いほど、センサの感度は高くなる。
【0014】
圧電センサの別の実施形態では、第1電極フィンガーおよび第2電極ファインガーは、
互いに0<α<90度の角度αで配置されている。センサ信号は、電極フィンガーの間の
角度および圧電体の平面内での横方向応力の方向に依存する。相互篏合設計は第1電極お
よび第2電極に対する一つの変形として選択可能である。第1電極および第2電極が平行
に配置される必要はない。圧電体で囲まれた又は覆われた第1電極および第2電極の及ぶ
領域が、センサの空間分解能を決定する。第1電極および第2電極の互いに対する格子形
状および配置は、検出すべき機械的励起のタイプに合わせて調整可能である。
【0015】
圧電センサの別の実施形態では、第1電極および第2電極は、第1面に対して星形配置
を形成する。星形幾何学的配列は、トルクや放射状の対称形の変形(radial symmetric d
eformation)に対して特に感度を良くするために選択されうる。
【0016】
圧電センサの別の実施形態では、圧電体はさらに焦電体である。圧電体が焦電体でもあ
る場合には、物質内の温度変化がセンサ信号に寄与し、従って検出可能である。このよう
な温度変化は、(部分的に)吸収された熱放射、すなわち、検出領域に照射される、中・
近赤外(MIR/NIR)の範囲の電磁波によって引き起こされる可能性がある。第1電
極および第2電極は、横方向に配置されて圧電体内に埋め込まれているので、第1電極お
よび第2電極は、吸収された熱放射を再放出または放散することでこの効果にも寄与し、
圧電体への照射のみに比べて温度変化を増加させやすい。
【0017】
圧電センサの別の実施形態では、第1電極および第2電極は、円盤状または楕円形であ
る。電極のこの形状は、熱放射の吸収を増加可能であり、センサを熱および/または放射
線の検出に対して適したものにできる。前記形状、および/または適切な材料を使用する
ことにより、λ/4型電波吸収体構造(λ/4 wave absorber structure)に匹敵する吸収
の増大および/またはプラズモン効果の利用が達成される。
【0018】
圧電センサの別の実施形態では、圧電センサは基板を備え、圧電体が基板上に層を形成
し、基板は柔軟であって、弾性基板であり、好ましくはポリエチレンテレフタレート(P
ET)などのポリマー箔である。圧電体は、圧電体の主配向が圧電体と基板との間の境界
面に平行に位置するように加工されて基板上に付けられる。請求項に係るセンサは、測定
用の目標物体に埋め込んだり取り付けたりすることができる。この場合には、基板を省く
ことができる。センサの柔軟性のおかげで、センサは種々の形状を有する面に取り付け可
能である。圧電体内への前述の力の結合は、適切な基板材料を選択することにより最適化
できる。結合は、圧電体層、第1電極および第2電極、目標物体の表面に対する、基板の
厚さや基板の結合を変化させることにより調整可能である。圧電体で囲まれた又は覆われ
た第1電極および第2電極が及ぶ領域が、センサの空間分解能を決定する。
【0019】
本発明の別の実施形態では、センサは第3電極を備えており、第3電極は圧電体の第1
面、または第1面の反対側の第2面に配置されており、第3電極は第1電極および第2電
極から離間している。この実施形態では、第3電極はマルチモードセンサを形成するため
にセンサに組み合わせられる。第3電極は、第1電極および第2電極を備えるセンサに追
加される。第3電極と第1電極および第2電極とは、別々に接続可能である。第3電極は
、圧電体の上面(第1面)または底面(第2面)に配置されている(又はその逆)。さら
に、ここで第1電極と第2電極との間の領域に層が存在する(第1電極および第2電極の
上面と第3電極との間:この層は圧電体により形成されている)。第3電極のおかげで、
センサは、センサの上面に作用する垂直な力および上面を表す平面に作用する横方向の力
(せん断力、トルク)の両方の検出が可能である。
【0020】
センサの別の実施形態では、第3電極は圧電体と基板との間に配置されている。第3電
極は、第1電極および第2電極と圧電体で満たされた接続部分との間の領域があることを
条件に、圧電体と基板との間の下側接続部分に配置することができる。
【0021】
本発明の別の実施形態では、第3電極と、第1電極および第2電極の上面との間の圧電
体の分極の主配向は、第1電極および第2電極の上下方向の延伸に対して実質的に平行で
あり、第3電極の横方向の延伸を表す平面に対して実質的に垂直である。第1電極および
第2電極(それらの上面)と第3電極との間に圧電体の主配向が主に垂直方向に整列して
いる。第1電極および第2電極の上面と第3電極との間、および第1電極と第2電極との
間の領域に強誘電体材料が満たされている場合には、そのような垂直の整列は、ポーリン
グによって導き出させる。第3電極上に垂直に作用する応力は、その後、第1電極および
第2電極の上面と第3電極との間に測定可能な電荷変位を引き起こす。電荷変位は作用力
の法線成分の量を表す。作用力の接線成分は、第1電極と第2電極との間の測定可能な電
荷変位によって検出可能である。
【0022】
本発明の別の実施形態では、センサは、機械的応力による圧電体の変形時に圧電体によ
り発生した電気的エネルギーを獲得するように配置された低電力回路を備えており、ここ
で、回路は無線送信機を用いて信号処理するように配置されている。センサは、測定プロ
セスの際に電気エネルギーを消散しないような方法で活性化されているが、活性化の際に
費やされた機械的エネルギーおよび/または熱エネルギーの一部を電気エネルギーへ変換
する。このエネルギーは、信号処理用の低電力電子回路および無線送信機に供給すること
ができる。十分なエネルギーが獲得できた場合には、信号送信が行える。従って、センサ
は自己維持型センサネットワーク内で必須の構成要素を形成することができる。
【0023】
本発明の別の観点では、前述の実施形態の任意の組み合わせにより複数のセンサを備え
るセンサアレイが提供され、ここでセンサは互いに回転している。回転している複数のセ
ンサを隣り合わせに配置することにより、応力またはせん断力の方向およびそれらの量を
解明することが可能になる。
【0024】
センサアレイの別の実施形態では、センサアレイは、第1サブアレイおよび第2サブア
レイを備え、各サブアレイは、少なくとも2個のセンサを有しており、各サブアレイの2
個のセンサは、特に互いに45度の角度で延びるように配置されている。横方向の力の方
向を解明するためにセンサの変位配置が提供される。この配置のおかげで、作用力は4つ
の異なるセンサ信号レベルを生成する。第1電極および第2電極の間の圧電体の分極の主
配向のために、センサにより生成される信号レベルは作用力と第1電極および第2電極の
間の角度に依存する。力の方向とは無関係に、サブアレイごとの少なくとも1つのセンサ
の傾斜、好ましくは45度の傾斜が、異なる相対的な信号レベルをもたらす。なぜならば
、アレイがサブアレイごとの少なくとも1つのセンサ間の角度が、0度を超えて90度未
満(0度<角度<90度)を提供するためである。異なる相対的信号レベルにより、力は
定性的および定量的に区別可能である。
【0025】
本発明の別の観点では、圧電センサの製造方法が提供される。方法は、複数の第1電極
および第2電極を単一層に提供するステップと、第1電極および第2電極上に活性材料を
配置するステップとを含む。簡単で工業的規模のプロセスが提供され、ここでプロセスス
テップは公知のさまざまな製造技術によって実施されうる。単一層は、活性材料の表面と
同一平面状となる基板の表面であってもよい。
【0026】
方法の1実施形態では、複数の第1電極および第2電極を単一層に提供するステップは
、以下のうちの1つ、またはそれらの任意の組み合わせによって実施される。印刷プロセ
ス、リソグラフィプロセス、マイクロ流体構造化(microfluidic structuring)。特にそ
れらのプロセスは、インクジェット印刷、スクリーン印刷、エアロゾルジェット印刷、フ
ォトリソグラフィ、電子ビームリソグラフィ、または電極層の厚さを増すために金属リフ
トオフ(metal liftoff)および/または電鋳(electroforming)と組み合わせたインプ
リントリソグラフィ(imprint lithography)、または、導電性インクがマイクロ毛細管
力によって前処理されたマイクロ流体通路に駆動されて広がるマイクロ流体構造化プロセ
スであってもよい。
【0027】
別の実施形態では、方法は、さらに基板を提供するステップ、基板上に活性材料を配置
するステップ、圧電ポリマー層を形成するステップ、圧電ポリマー層内に通路をインプリ
ントするステップ、および/または複数の第1電極および第2電極を提供するために通路
内に電極材料を堆積するステップを含む。
【0028】
方法の別の実施形態では、電極材料は導電性インクであり、好ましくは銀、銅、または
、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PS
S)であり、導電性インクは毛細管力により通路内に挿入される。マイクロ流体構造化の
使用により、良好な結果が得られる規模を有するプロセスを大変簡単に作る。
【0029】
別の実施形態では、方法はさらに導電性インクを熱的硬化または紫外線硬化またはフォ
トニック焼結(photonic sintering)させるステップを含む。これはより良い導電性およ
び表面品質、すなわち耐久性をもたらす。
【0030】
方法の別の実施形態では、基板上への活性材料の配置は以下のいずれか1つにより行わ
れる。スピンキャスティング(spin casting)、ドロップコーティング(drop coating)
、バーコーティング(bar coating)、インクジェット印刷、スクリーン印刷、グラビア
印刷、物理または化学気相成長(physical or chemical vapor deposition)、原子層堆
積(atomic layer deposition)。
圧電体は、柔軟な弾性基板上に適用されて、これにより検出すべき機械的励起の種類に
対して厚さおよび弾性特性(ヤング率)が最適化される。適切なポリマー箔基材は、ポリ
エチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート(PEN)
、ポリカーボネート(PC)など、または繊維、革などがある。ポリマーまたは複合材料
に基づく圧電体の場合には、基板上への圧電体の付与は、上述した製造プロセスにより実
現される。
【0031】
方法の別の実施形態では、通路は第1電極および第2電極の形状を画定する、矩形、矩
形、台形、または三角形の輪郭を有している。インプリントするステップはホットエンボ
ス(hot-embossing)(T-ナノインプリントリソグラフィ(T-NIL))、または(
圧電体が紫外線硬化可能な場合)紫外線-ナノインプリントリソグラフィ(UV-NIL
)、紫外線インプリンティング(UV-imprinting)、金型鋳造(mold casting)で実施さ
れる。特定環境における特定の力の検出用に配置されるセンサを作製するために電極の輪
郭形状を変更する方法が使用可能である。
【0032】
別の実施形態では、方法はさらにインプリントするステップ後の圧電ポリマー層の表面
処理ステップを含む。これは、導電性インクによる濡れ性を改善し、圧電体と電極材料、
例えば硬化した導電インクとの間のより良い接着性に役立つ。
【0033】
方法の別の実施形態では、圧電ポリマー層は、電極よりも高い厚さを有する。これによ
り、第1電極および第2電極の上面と圧電体の表面との間の層を作製し、第1電極および
第2電極を、第3電極から離して配置することを可能にする。第1電極および第2電極と
第3電極との間の層は、第3電極を表す平面に対して少なくとも部分的に垂直に作用する
力に対する感度を作りだすために、層の内部の圧電体の分極方向の整列に対する必須条件
である。
【0034】
別の実施形態では、方法は、圧電ポリマー層内に強誘電体ドメインを一列に整列させる
ために、ポーリングステップをさらに含む。強誘電体(FM)が用いられる場合には、ポ
ーリングは、圧電体内に望ましい整列を誘導するために必要である。例えば強誘電体が第
1電極と第2電極との間の領域を満たす場合には、そのような整列を次のようなポーリン
グステップにより誘導することができる。
a)第1電極と第2電極とは自身の極性による高電圧電源に接続されている。ポーリン
グ手順は、強誘電体ドメインが第1電極および第2電極の垂直面に対して実質的に垂直な
主配向に一列に整列するように実施される。
b)異なる極性を有する第1電極および第2電極は、共に同一の電位に外部接続(例え
ば接地)されているが、第3電極は別の電位に接続されている。再びポーリング手順は、
第1電極および第2電極と第3電極との間の強誘電体ドメインが主に垂直な配向になるよ
うに実施される。両方のステップのシーケンスは、第1電極および第2電極の幾何学的配
列、第1電極および第2電極と第3電極との間の平均垂直方向分離(層の厚さ)、および
強誘電体の物理的性質に依存する。
【0035】
別の実施形態では、方法はさらに第3電極を形成するステップを含み、ここで第3電極
は第1電極および第2電極から離間しており、第3電極形成ステップは第1電極および第
2電極に対して実質的に垂直な圧電ポリマー層の表面で電極材料の層を堆積するステップ
を含む。これにより、マルチモードセンサが作製される。第1電極および第2電極と第3
電極との間の圧電体をポーリングするために、異なる極性の第1電極および第2電極は共
に同一の電位に外部接続されるが、第3電極は別の電位に接続される。再びポーリング手
順は、第1電極および第2電極と第3電極との間の強誘電体ドメインが主に垂直な配向に
なるように実施される。これにより垂直な力に対する感度を作り出す。
【0036】
方法の別の実施形態では、活性材料は圧電体であり、ここで、圧電体は異方性電気機械
結合を有し、複数の第1電極および第2電極は、少なくとも一部が圧電体に埋め込まれて
いる。特に、方法は、圧電体の第1面から圧電体内に実質的に直角に延びる電極を形成す
るステップをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本発明の例示的な実施形態を以下の図面に関連して述べる。
【
図2】本発明による圧電センサの概略構造を説明する図である。
【
図3】本発明による圧電センサのさらなる実施形態の概略構造を説明する図である。
【
図4】
図3による圧電センサの概略構造を説明する図である。
【
図5】本発明によるセンサアレイの概略構造を説明する図である。
【
図6】本発明によるセンサアレイの概略構造を説明する図である。
【
図7】本発明によるセンサアレイの概略構造を説明する図である。
【
図8a】作動状態にある
図3の圧電センサを説明する図である。
【
図8b】作動状態にある
図3の圧電センサを説明する図である。
【
図9a】本発明による圧電センサの例示的な製造プロセスのプロセスステップを説明するである。
【
図9b】本発明による圧電センサの例示的な製造プロセスのプロセスステップを説明する図である。
【
図9c】本発明による圧電センサの例示的な製造プロセスのプロセスステップを説明する図である。
【
図9d】本発明による圧電センサの例示的な製造プロセスのプロセスステップを説明する図である。
【
図9e】本発明による圧電センサの例示的な製造プロセスのプロセスステップを説明する図である。
【
図10】本発明の一態様によるインプリンティングプロセスのフロー図を説明する図である。
【
図11】本発明による圧電センサの例示的な製造プロセスのプロセスステップの別のシーケンスを説明する図である。
【
図12】本発明による圧電センサの例示的な製造プロセスのプロセスステップの別のシーケンスを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
(例示的な実施形態の詳細な説明)
図1は先行技術の圧電センサ1を示す。センサ1は基板2を備える。第1電気極性の第
1電極が基板2の第1面(上面)4に配置されている。センサ1はさらに第2電気極性の
第2電極5を備える。第2電極は、第1電極3と第2電極5の間に活性層を形成する圧電
体6上に配置されている。圧電体6は、第1電極3、第2電極5、および基板2が表す平
面に対して垂直な分極の主配向7を有する。力Fnがセンサ1の上面8に作用すると、誘
導された機械的応力は圧電体6の変形をもたらし、従って圧電体6内の電荷の変位をもた
らす。第1電極3と第2電極5の間に生じる電圧は、作用する力Fnに対する定量的な大
きさを表す。
【0039】
図2は、本発明による圧電センサ1の概略構造を示す。第1電極および第2電極が基板
2上に配置されて、基板2の上面4から圧電体6内に実質的に直角(垂直)に延びている
。第1電極および第2電極(3、5)、すなわち第1電極3および第2電極5は、実質的
に矩形の輪郭を有して互いに逆方向の電気極性である。第1電極および第2電極は、圧電
体6内において相互篏合(interdigitating)構造を形成している。第1電極および第2
電極(3、5)は、圧電体6内に埋め込まれており、互いに実質的に平行に配置されてい
る。第1電極および第2電極(3、5)は、センサの上面8から離間している。第1電極
および第2電極(3、5)の上面9の間には、第1電極および第2電極(3、5)の上面
9を覆うように圧電体6の層10が形成されている。圧電体6は異方性電気機械結合を有
する。圧電体6に加えられた応力は、電気的に測定可能な電荷をその分極内に引き起こす
。力Fは、法線成分Fnと接線成分Ftを含む。第1電極および第2電極(3、5)の間
の圧電体6の分極の主配向7に実質的に平行なFの成分は、圧電体6内における電荷の電
気的測定可能な変位に大きく関与する。Ftは、分極の主配向7に対して平行に働くFの
成分であり、従って第1電極および第2電極(3、5)の間の圧電体6内における測定可
能な分極に大きく関与する。
【0040】
図3は、
図2による圧電センサの更なる実施形態の概略構造を示す。第3電極11が、
圧電体層6の上に配置されて上部電極を形成している。第3電極11の設置面は、第1電
極および第2電極(3、5)のそれぞれの少なくとも一部を覆っている。
【0041】
図4は、
図3による圧電センサ1の概略断面図を示す。第3電極11が圧電センサ1の
上面8を形成する圧電体6を覆っている。第3電極は、層10によって第1電極および第
2電極(3、5)の上面9から離間している。電極(3、5)の間の圧電体6(第3電極
11に平行で電極(3、5)に実質的に垂直)の分極に加えて、第1電極および第2電極
(3、5)の上面上の層10を形成する圧電体6の分極は、第1電極および第2電極(3
、5)に実質的に平行および第3電極11に実質的に垂直な分極の主配向7を有する。
【0042】
図5から
図7は、本発明によるセンサアレイ12を示す。センサアレイ12は、同種の
センサ1を複数個備える。それぞれのセンサの第1電極および第2電極は、相互篏合櫛形
構造として実施されている。複数のセンサ1の各センサは、第1電極および第2電極(3
、5)の間に分極の主配向7を有する。各センサは、その分極の主配向と同じ方向の接線
力を検出するように配置されている。作用力の定量的および定性的な測定値の両方を発生
させるために、各センサは互いに回転している。複数のセンサは、第1サブアレイ13と
第2サブアレイ14に細分化されている。各サブアレイは、少なくとも2個のセンサ1を
備える。各センサ1は、接線力またはせん断力が作用する平面の象限を表す。
図6に示すように力F1が仮想的な座標系15の軸に平行に加えられる場合、力F1の
方向に平行ではない第1電極および第2電極(3、5)を有するセンサは、測定可能な信
号を発生する。そのため、センサ1は作用力F1に対するそれらの回転に応じて異なる信
号レベルを発生する。
図7では力F2は座標系15に対して45度の角度で作用する。第1電極および第2電
極(3、5)がF2の方向に垂直であるセンサ1は、最高の信号レベルを発生する。第1
電極および第2電極(3、5)がF2の方向に平行であるセンサ1は、信号を発生しない
(または最小の信号を発生する)。第1電極および第2電極(3、5)がF2の方向に4
5度回転しているセンサ1は、それぞれが、同じ信号レベルだが異なる符号を有する信号
を発生する。
【0043】
図8aおよび
図8bは、動作状態にある
図3の圧電センサ1を示す。
図3に示す第3電
極11と同様に第1電極と第2電極(3、5)の電気的接続16が、横方向の力と垂直な
力(
図8a)、または応力成分(
図8b)を区別するために使用されている。図示するよ
うに、第3電極11は基準電位Φrefに接続され、基準電位と異なる極性の第1電極3と
の間、および基準電位と異なる極性の第2電極5との間で電位差V+、V-または電流I+
、I-が測定される。信号の和は、センサに作用する垂直な力または応力に比例し、信号
の差は、横方向の力または応力の寄与に対応する。
【0044】
図9aから
図9eは、本発明による圧電センサ1の例示的な製造プロセスのプロセスス
テップを図示する。
図9aでは基板2が提供されている。
図9bではポリマー圧電体6が
印刷プロセスにより、第1電極および第2電極(3、5)の高さよりもかなり高い厚さを
有するように形成されて基板2上に提供されている。
図9cでは、第1電極および第2電
極(3、5)の形状を画定する矩形、台形、または三角形の輪郭18を有するマイクロ流
体通路17が、圧電体6にホットエンボス(例えば、ナノインプリントリソグラフィなど
の技術(T-NIL))によってインプリントされる。その結果は
図9dに示す通路であ
る。
図9eでは、任意の表面処理により、導電インク19(例えば銀または銅)がマイク
ロ流体通路17に堆積および毛細管力により挿入されて、熱硬化される。
【0045】
図10は、圧電センサ1を製造するための例示的なナノインプリントリソグラフィ(N
IL)プロセスのフロー図である。紫外線硬化型樹脂を基板2上に塗布し、電極構造を含
むスタンプを用いて残留フリーでインプリントして硬化させる。樹脂の上に金属層を堆積
する。樹脂の上の金属層をリフトオフして樹脂を除去する。インプリントされた範囲内の
金属のみが基板2上に残る。転写された金属層は、同じまたは別の金属の電着によって強
化することができ、ここで、プリストラクチャされた金属層は電鋳中に陰極として機能す
る。
【0046】
図11は、本発明による圧電センサ1の別の典型的な製造プロセスのプロセスステップ
の別の典型的なシーケンスを示す。このプロセスは以下を含む。
【0047】
a)第1電極および第2電極(3、5)を接続するための、例えばグラビア印刷または
スクリーン印刷など(R2Rで可能)による導電性供給線20の堆積。基板2は、例えば
ポリイミドなどの(180℃までの)高い熱的安定性を有する箔である。
【0048】
b)圧電体6としてのポリ(フッ化ビニリデン:トリフルオロエチレン)(P(VDF
:TrFE))ペーストを供給線20の間に上塗りする。
【0049】
c)マイクロ流体通路17が、
図9aから
図9eに示した案により圧電体6内にホット
エンボスされる。
【0050】
d)例えばオゾンを数分間用いるなどの任意の表面処理のすぐ後で、例えば溶液中の銀
ナノ粒子などの導電性インク19が、インプリント設計で提供されたリザーバを介して通
路17内に堆積される。これにより(図示しない)更なる通路が提供されて導電性インク
19が供給線20と接触するように外側に流れることを可能にする。その後、導電性イン
ク19は高温で焼結され、圧電体6内に埋め込まれた導電性の第1電極および第2電極(
3、5)を形成する。
オプションで、第1電極および第2電極(3、5)は同じまたは別の金属の電着により
強化することができる。このプロセスを適用すると、基板2としてのポリイミド箔にスク
リーン印刷した後で、深さ7μmで幅8.8μmの通路が、P(VDF:TrFE)=7
0:30%mol内に形成される。銀ナノ粒子導電性インク19をリザーバ内に滴下し、
引き続き通路17内に搬送して150℃で硬化させる。銀ナノ粒子導電性インクは通路1
7の底面と側面を0.2~1.3μmの厚さで覆う層を形成する。
【0051】
図12は、圧電センサ1の第1電極および第2電極(3、5)を構造化する典型的なプ
ロセスのプロセスステップの別の典型的なシーケンスを示す。第1電極および第2電極(
3、5)をフォトリソグラフィおよび電鋳により構造化する。このプロセスを以下に示す
。
【0052】
a)基板2を、後に電鋳用のシード層21として機能する(例えば、ニッケルまたは銅
シード層に硫酸ニッケル浴を使用するなど)導電性を有する金属層21でコーティングす
る。
【0053】
b)レジスト22をガイド層22として機能するようにフォトリソグラフィで構造化す
る。
【0054】
c)試料を適切な電解質浴に入れてシード層21を電気的に接続し、レジスト22によ
って覆われていない領域に金属がガルバニックに堆積するようにする。
【0055】
d)レジスト22を化学的に除去する。
【0056】
e)シード層を金属が電鋳されていないところで湿式または乾式エッチングによって処
理する。(図示しない)更なるステップでは、ポリ(フッ化ビニリデン:トリフルオロエ
チレン)(P(VDF:TrFE))が、電極(3、5)を圧電体6に埋め込むために、
スピンキャスティングまたはスクリーン印刷によって、第1電極および第2電極(3、5
)上に塗布される。
【符号の説明】
【0057】
1 圧電センサ
2 基板
3 第1電極
4 基板の上面
5 第2電極
6 圧電体
7 分極の主配向
8 センサの上面
9 第1電極および第2電極の上面
10 層
11 第3電極
12 センサアレイ
13 第1サブアレイ
14 第2サブアレイ
15 座標系
16 電気的接続
17 通路
18 通路の輪郭
19 導電性インク
20 供給線
21 金属シード層
22 レジスト/ガイド層
【手続補正書】
【提出日】2023-05-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1電極(3)と、
少なくとも1つの第2電極(5)と、
第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を有する圧電体(6)と、を備える圧電センサ(1)であって、
前記第1および前記第2電極(3、5)は少なくとも部分的に前記圧電体(6)に埋め込まれており、前記第1面に対してほぼ直角に延びており、
前記第1面もしくは前記第2面に設けられて前記第1および前記第2電極に対してほぼ直角に延びる第3電極(11)を備え、
前記第3電極は、前記第1および前記第2電極から離れている圧電センサ(1)。
【請求項2】
前記第1および前記第2電極(3、5)の間における前記圧電体(6)の分極の主配向である第1の主配向が前記第1面に平行である請求項1に記載の圧電センサ(1)。
【請求項3】
前記第3電極(11)は、前記圧電体(6)を介して前記第1および前記第2電極(3、5)から離れている請求項1もしくは2に記載の圧電センサ(1)。
【請求項4】
前記第3電極(11)と前記第1および前記第2電極(3、5)との間における前記圧電体(6)の分極の主配向である第2の主配向が、前記第3電極(11)が延びる面に対してほぼ直角である請求項3に記載の圧電センサ(1)。
【請求項5】
前記圧電体(6)は焦電体である請求項1~4のいずれかに記載の圧電センサ(1)。
【請求項6】
機械的応力による前記圧電体(6)の変形により前記圧電体(6)から発生する電気的エネルギーを獲得するように配置された低電力回路を備えている請求項1~5のいずれかに記載の圧電センサ(1)。
【請求項7】
前記低電力回路は無線送信機を用いて信号処理するようになっている請求項6に記載の圧電センサ(1)。
【請求項8】
基板(2)を備え、
前記第1および前記第2電極(3、5)は前記基板(2)の表面(4)からほぼ垂直に延びて設けられ、
前記圧電体(6)は前記基板(2)の上に設けられ、
前記第3電極(11)は前記基板(2)の前記表面(4)にほぼ平行に延びる面に沿って設けられている請求項1~7のいずれかに記載の圧電センサ(1)。
【請求項9】
前記基板(2)は、柔軟且つ弾性変形可能な部材である請求項8に記載の圧電センサ(1)。
【請求項10】
前記基板(2)はPETなどのポリマー箔である請求項8もしくは9に記載の圧電センサ(1)。
【請求項11】
前記第1電極および第2電極(3、5)は、前記圧電体内において、相互篏合した櫛形構造を形成する横方向にかみ合わされた第1電極フィンガーおよび第2電極フィンガーとして形成される請求項1~10のいずれかに記載の圧電センサ(1)。
【請求項12】
前記第1および前記第2電極フィンガーはそれぞれ電気接続可能である請求項11に記載の圧電センサ(1)。
【請求項13】
請求項1~12のいずれかに記載の圧電センサ(1)を複数備えて構成されるセンサアレイ(12)であって、
前記複数の圧電センサ(1)は、前記第1電極および第2電極(3、5)に平行に延びる軸を中心として互いに回転した位置に配置されているセンサアレイ(12)。
【請求項14】
前記センサアレイ(12)は、第1サブアレイおよび第2サブアレイ(13、14)を備え、
前記各サブアレイ(13、14)は、少なくとも2個の圧電センサ(1)を有しており、
前記各サブアレイ(13、14)における2個の前記圧電センサ(1)は、前記軸を中心として互いに45度の角度の回転位置を有する請求項13に記載のセンサアレイ(12)。
【請求項15】
請求項1~12のいずれかに記載の圧電センサ(1)を製造する方法であって、
第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を有する圧電体(6)を提供するステップと、
少なくとも一つの第1電極(3)と少なくとも一つの第2電極(5)を、前記第1面に対してほぼ直角に延びるようにして少なくとも部分的に前記圧電体(6)に埋め込むステップと、
前記第1面もしくは前記第2面に、前記第1および前記第2電極に対してほぼ直角に延び、前記第1および前記第2電極から離して第3電極(11)を形成するステップを有する方法。
【請求項16】
前記圧電体(6)内に通路(17)をインプリントするステップと、
前記第1および前記第2電極(3、5)を提供するために前記通路(17)内に電極材料を堆積するステップを有する請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1および前記第2電極(3、5)の間における前記圧電体(6)の分極の主配向である第1の主配向が前記第1面に平行とするように、前記圧電体(6)内において強誘電体ドメインを整列させるポーリング処理を行うステップを有する請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記第3電極は、前記圧電体(6)の一部を介して前記第1および前記第2電極から離れており、
前記第3電極(11)と前記第1および前記第2電極(3、5)との間における前記圧電体(6)の分極の主配向である第2の主配向が、前記第3電極(11)が延びる面に対してほぼ直角となるように、前記圧電体(6)内において強誘電体ドメインを整列させるポーリング処理を行うステップを有する請求項15~17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記第3電極(11)を形成するステップが、前記第1面もしくは前記第2面の上に電極材料の層を形成するステップを有する請求項15~18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
基板(2)を提供するステップと、
それぞれ前記基板(2)の表面(4)からほぼ直角に延びるように、前記第1および前記第2電極(3、5)を設けるステップと、
前記基板(2)の上に前記圧電体(6)を設けるステップと、
前記基板(2)の前記表面(4)にほぼ平行に延びるように前記第3電極(11)を設けるステップを有する請求項15~19のいずれかに記載の方法。