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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103338
(43)【公開日】2023-07-26
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/047 20230101AFI20230719BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20230719BHJP
   G06Q 50/30 20120101ALI20230719BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20230719BHJP
   G08G 1/123 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
G06Q10/047
G06Q50/10
G06Q50/30
G01C21/34
G08G1/123 A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077435
(22)【出願日】2023-05-09
(62)【分割の表示】P 2018174267の分割
【原出願日】2018-09-18
(71)【出願人】
【識別番号】514274753
【氏名又は名称】山口 松之進
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【弁理士】
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】山口 松之進
(57)【要約】
【課題】複数のエリアを巡回する移動体を導入して地域移動を支援すると共に、当該移動体の複数のエリアに跨る運行の効率を向上させること。
【解決手段】サーバ1は、ユーザを乗せて移動し得るAI運行バスの移動経路として、1以上の拠点を夫々有する複数のエリアを通過する経路を決定する。具体的には、予約情報取得部72は、1以上のユーザの夫々について、当該AI運行バスに乗る際に利用する拠点及び当該AI運行バスから降りる際に利用する拠点を含む移動の予定を取得する。ルート決定部73は、1以上のユーザの夫々の予定に基づいて、複数のエリアの中から移動経路に含める2以上のエリアを決定すると共に、夫々の移動順番を決定する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動対象を乗せて移動し得る移動体の移動経路として、1以上の拠点を夫々有する複数のエリアを通過する経路を決定する情報処理装置であって、
1以上の前記移動対象の夫々について、前記移動体に乗る際に利用する拠点及び前記移動体から降りる際に利用する拠点を含む移動の予定を取得する予定取得手段と、
前記1以上の移動対象の夫々の前記予定に基づいて、前記複数のエリアの中から前記移動経路に含める2以上のエリアを決定すると共に、夫々の移動順番を決定する経路決定手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記経路決定手段は、さらに、前記移動経路に含める前記エリア毎に、前記1以上の拠点の中から前記移動体が停留する拠点を決定すると共に、夫々の移動順番を決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
1つの前記エリアは、前記移動体とは異なる種類の別種移動体の移動範囲であって、
前記移動対象が前記別種移動体を利用して前記エリア内で移動する際の対価は、当該エリア内で一律に設定されている、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電車や地下鉄の公共交通機関は、路線についてのインフラ設備を必要とするため、都市部と比較して地方での普及は遅れている。したがって、地方では、これらの公共交通機関の代わりに、バスやタクシー等によってカバーされている場合が多い。
このようなバスやタクシー等を利用する従来の技術としては、例えば、第1の技術や第2の技術が知られている。
【0003】
即ち、第1の技術として、ユーザが指示した乗車地点に基づいて、タクシーの配車手配を行う技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、第2の技術として、一地域内に居を構える高齢者に対して、施設や場所への移動のための運転手付きの車両を共同で使用するカーシェアリングによる送迎サービスを支援する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-030790号公報
【特許文献2】特開2016-162438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した第1技術及び第2技術を含め従来の技術では、一地域を越えた広い地域を移動する場合については考慮されていなかった。
また、金銭面をみても、従来の技術を用いて長距離を移動する場合には、距離又は乗車時間に応じて利用負担が大きくなるのが一般的である。したがって、従来の技術に基づいてインフラを構築するにしても、コストが高くなり、サービスの継続性の面で不安が残る。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、複数のエリアを巡回する移動体を導入して地域移動を支援すると共に、当該移動体の複数のエリアに跨る運行の効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の情報処理装置は、
移動対象を乗せて移動し得る移動体の移動経路として、1以上の拠点を夫々有する複数のエリアを通過する経路を決定する情報処理装置であって、
1以上の前記移動対象の夫々について、前記移動体に乗る際に利用する拠点及び前記移動体から降りる際に利用する拠点を含む移動の予定を取得する予定取得手段と、
前記1以上の移動対象の夫々の前記予定に基づいて、前記複数のエリアの中から前記移動経路に含める2以上のエリアを決定すると共に、夫々の移動順番を決定する経路決定手段と、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数のエリアを巡回する移動体を導入して地域移動を支援すると共に、当該移動体の複数のエリアに跨る運行の効率を向上させる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】定額タクシーの配車対応地域について説明する図である。
図2】地域移動支援サービスにおける定額タクシーの適用地域とAI運行バスの経路の一例を示す図である。
図3】AI運行バスを利用する場合のユーザの予約情報を示す図である。
図4図3の予約情報に基づいて決定されるAI運行バスのルートの一例を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係る情報処理システムの構成を示す図である。
図6図5の情報処理システムのうちサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
図7図5のサーバ、定額タクシー搭載端末、AI運行バス搭載端末、及びユーザ端末の機能的構成例を示す機能ブロック図である。
図8図7のサーバが実行する予約情報取得処理の流れを説明するフローチャートである。
図9図7のサーバが実行するルート決定処理の流れを説明するフローチャートである。
図10図9のルート決定処理のうち経路情報生成処理の詳細の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで、本発明の実施形態について、説明するに先立ち、簡単に本発明の前提となるサービス全般について説明する。
【0012】
日本は4人に1人が65歳以上という超高齢化社会を迎え、医療や福祉などに関する問題だけでなく、交通に関する問題も生じるようになっている。具体的に例えば、国土交通省による調査結果によれば、65歳から74歳では、一日に500m程度以上の歩行が困難な割合が2割程度、75歳以上では、5割程度に上るとされている。
【0013】
他方、高齢者の運転による交通事故は年々増加しており、今後も増加すると予測される。高齢化の進展と共に75歳以上の運転免許保有者数は、2018年には533万人に達すると予測されており、高齢者が運転をしなくても問題なく生活できる環境作りについて対策する必要がある。その対策の1つとして、例えば、中心部に様々な機能を集約し、市街地をコンパクトな規模に収めた都市形態(コンパクトシティ)が考えられるが、特に地方部では各種拠点や住居が散在しているため、実現が難しい。
【0014】
このような状況のため、特に地方の高齢者においては、「加齢と共に歩いて移動できる距離が短くなる」、「交通事故は怖いが、車を運転できないと生活に支障をきたす」、「近所づきあいがなく家に閉じこもったり、何かあったときに頼れる人がいない」等の問題や悩みを抱えている場合が多い。
【0015】
さらに言えば、高齢者は勿論、一般の人々にとって、自家用車の購入や維持には、高額の費用が掛かるのが通常である。
【0016】
そこで、高齢者の地域生活支援のため、見守り支援、地域生活支援、地域移動支援(自由に地域内を移動)の価値を提供するプラットフォームを構築し、高齢者向けに複合的なサービスを提供することが求められている。このようなサービスこそ、本発明に係る一実施形態の情報処理システム(例えば、図5の情報処理システム)の適用対象となるサービス(以下、「本サービス」と呼ぶ)である。
【0017】
本サービスを提供されたユーザ、特に高齢者のユーザにとっては、「自由で欲のある生活」や「生きがいあふれる人生」が実現される。一方、本サービスを提供する者(後述するサービス提供者の従業員等)にとっては、「活かされている」、「実感・やりがい」を持ってサービスを提供することが可能になる。これらが有機的に機能することで、「生きがいの循環」が得られることになる。
【0018】
続いて、このような「生きがいの循環」を目指すにあたり、構築される地域生活支援プラットフォームについて、簡単に説明する。
地域生活支援プラットフォームとは、本出願人等により提案されたサービスであり、他の事業者等と連携し、高齢者等向けに複合的サービスを提供するサービス提供プラットフォームである。
即ち、地域生活支援プラットフォームは、「見守り支援」、「地域生活支援」、「所定の地域内を自由に移動」といった価値を高齢者等に対して提供することができる。
具体的には例えば、地域生活支援プラットフォームには、「コンシェルジュ」、「地域移動支援」、「地域情報の集約・提供」、「お出かけチケット(地域通貨)提供」等のサービスが含まれる。
【0019】
以上、本発明の実施形態の説明に先立ち、簡単に本発明の前提となるサービス全般について説明した。なお、以降の説明においては、上述の各種サービスのうち「地域移動支援」に関連する「定額タクシー」のサービスを採用した場合の例を中心として説明する。
【0020】
ここで、定額タクシーについて説明する。
後述する地域移動支援サービスでは、各地域間の移動ではAI運行バスが利用されるが、各地域内の移動では定額タクシーが利用される。
定額タクシーとは、所定地域内に限定する移動ではその対価が一律に設定されているタクシーをいう。
ここで、一律とは、ユーザを乗せてタクシーが所定地域内で移動した際の対価が、所定の時間単位(例えば1ヶ月)では一定となることをいう。ただし、所定の時間単位(例えば1ヶ月)あたりの対価は、全てのユーザにとって同一でなく、松竹梅の3区分等のように複数区分が設定されている場合には、区分毎に異なることになる。
なお、以下の例では、ユーザは、毎月一定の金額(例えば、区分毎に決定される金額)を支払うことで、定額タクシーを利用するものとする。
【0021】
図1は、本サービスが適用される定額タクシーの配車対応地域について説明する図である。図1の例では、地域A1,A2が示されている。なお、地域は例示であって、これに限定されず、任意の範囲の領域、即ち「エリア」であってよい。
【0022】
ここで、定額タクシーの夫々は、予め決められた地域を担当し、その地域内を移動するようになっている。例えば、図1の例では、地域A1を担当する定額タクシーは地域A1内を移動し、地域A2を担当する定額タクシーT-1、T-2は地域A2内を移動する。
ユーザは、自宅等が含まれる地域(例えば、地域A2)を設定し、毎月一定の金額(例えば、3万円)を支払うことで、設定した地域を担当する定額タクシー(例えば、地域A2では定額タクシーT-1,T-2)に限り、設定した地域内で自由に利用することができる。ただし、ここでいう「自由に利用する」とは、松竹梅の3区分等のように複数区分が設定されている場合には、区分毎に設定された利用方法の範囲内で利用することをいう。
【0023】
図1には、地域A2を担当する定額タクシーT-3、T-4のみが図示されているが、地域A1にも、図示せぬ所定台数(例えば2台)の定額タクシーが担当する。
地域A2の例では、例えば運転手3名が交代で、定額タクシーT-3、T-4の2台を運転する。
この様に、運転手は、所定の一地域のみを担当させ、かつ、ある程度少数の者に限定とする好適である。ユーザと運転手とにおいて濃い人間関係を形成し、ユーザに安心感を与えることが可能となるからである。
【0024】
ここで、本サービスの提供者等が目指す「本事業のビジョン」は、「高齢者の方々が行きたい場所まで、どこまでもいくことができる社会を構築する」ことである。このビジョンの達成のためには、定額タクシーの利用だけでは足りない場合もある。
例えば、ユーザは、自身の住居等がある地域内に存在するかかりつけの医院に診てもらう場合には定額タクシーを利用することができるが、別地域の大病院にいく必要が生じた場合には、同一地域内だけを移動可能な定額タクシーは利用することができない。そこで、同一地域内しか移動できない定額タクシーを補完するために、地域間を移動可能な移動手段が導入される。このような移動手段としては、例えば後述するAI運行バスが採用可能である。
同一地域内の移動では定額タクシーを利用し、異なる地域間の移動ではAI運行バス等の移動手段利用するサービスを、以下、地域移動支援サービスと呼ぶ。
【0025】
図2は、地域移動支援サービスにおける定額タクシーの適用地域とAI運行バスの経路の一例を示す図である。
AI運行バスとは、路線バスのように一定ルートを決まった時間で運行するのではなく、各地域(エリア)の各ユーザの「地域間の移動の予定」に応じて柔軟に運行ルート(運行時間帯)をAI(Artificial Intelligence)が適切に決定して運行するバスを示す。
【0026】
したがって、例えば、とあるユーザの予定の変更や、乗車予定のユーザの数の増減(急に隣町に出かけたくなった、急用で出かけるのをキャンセルした)に応じて、AIが運行ルートを適宜(走行中でも)更新することができる。
【0027】
図2の例では、地域A1乃至A7と、定額タクシーT-1乃至T-14と、AI運行バスBと、停留場BS-1乃至BS-7が示されている。
【0028】
なお、以下、地域A1乃至A7の夫々を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「地域A」と呼ぶ。
また、定額タクシーT-1乃至T-14の夫々を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「定額タクシーT」と呼ぶ。
また、停留場BS-1乃至BS-7の夫々を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「停留場BS」と呼ぶ。
【0029】
定額タクシーT-1乃至T-14の夫々は、担当する地域A内のみの移動をし、2以上の地域Aをまたがる移動をしない。図2の例では一例として、各地域Aには夫々2台の定額タクシーTが担当されているが、これに限定されず、1台以上であればよい。また、各地域Aで担当する定額タクシーTの台数は、特に同一にする必要はなく、独立した任意の台数でよい。
【0030】
図2の例では、AI運行バスBは、地域A1乃至A7の地域間を巡回運行する。
ただし、AI運行バスBが巡回運行し得る地域Aは、図2の例に特に限定されず、2以上の任意の地域A(図2に図示せぬ地域Aも含む)でよい。
【0031】
停留場BS-1乃至BS-7の夫々は、各地域A1乃至A7の夫々でAI運行バスBが停車して、乗客が乗り降りする拠点である。
図2の例では、停留場BS-1乃至BS-7の夫々は地域A1乃至A7の夫々に1つずつ設置されているが、これは例示に過ぎず、停留場BSは1つの地域Aに1以上設置されていれば足りる。また、各地域Aに設置される停留場BSの設置数は、特に同一にする必要はなく、独立した任意の台数でよい。
【0032】
ここで、停留場BSは、「設置」されると記載しているが、従来の路線バスの「バス停」のように、AI運行バスBの停車のために専用に「設置」される必要は特にない。換言すると、地域A内の既存の場所を停留場BSとして採用することができる。
具体的には例えば、町の集会所、将棋や囲碁をやる場所等、ユーザ(高齢者)が集まり(AI運行バスBを待っている間)コミュニケーションが図れる場所を、停留場BSとして採用することができる。
つまり、定額タクシーTやAI運行バスBは、必ずしも時間通りの運行を目的とするわけではなく、乗車したユーザ同士がワイワイとコミュニケーションを取りながら、移動を行うことを想定しているものである。これに伴い、ユーザは、定額タクシーTや運行バスBを待つ間、或いはこれらに乗車しなくても、停留場BSたる町の集会所等に集合して、ユーザ同士がワイワイとコミュニケーションを取ることも想定している。
【0033】
ここで、例えば、地域A1に居住しているユーザが地域A5の病院に通院する場合を想定する。この場合、ユーザは、定額タクシーT-1で自宅から停留場BS-1まで移動し、停留場BS-1に到着すると、定額タクシーT-1を降車する。それから、ユーザは、停留場BS-1にてAI運行バスBに乗車して、当該AI運行バスBで地域A5の停留場BS-5まで移動し、停留場BS-5に到着すると、AI運行バスBから降車する。それから、ユーザは、定額タクシーT-9に乗車して、目的の病院へ移動する。
【0034】
このように、自宅のある地域A1の外の地域Aに存在する目的地へ行く場合、AI運行バスBと定額タクシーを利用することで、低料金で無理なく、安全に目的地へ行くことができる。
【0035】
さらに、定額タクシーT、AI運行バスB、停留場BSは、単なる移動手段や停車場に留まらず、「高齢者の地域生活支援」という側面をも有する。即ち、「高齢者の地域生活支援」という点で、ユーザ(高齢者)は、定額タクシーTをいつも利用することで、定額タクシーTの運転手と知り合いになり、定額タクシーTの移動中ではコミュニケーションを図ることができる。換言すると、運転手は、ユーザ(高齢者)を見守る人にもなり、「いつも乗っているのにこの頃乗ってなければどうしたのだろう?」と生存確認等もできる。
これにより、ユーザに何か問題が生じた場合であっても、早期に発見することが可能となり、ユーザ、即ち、高齢者の地域生活の支援として機能することになる。
また、停留場BSやAI運行バスBは、上述のように、ユーザ同士がワイワイとコミュニケーションを取ることができる環境を提供することになる。
【0036】
また、ここで、AI運行バスとは、例えば、路線バスのように一定ルートを決まった時間で運行するのではなく、各地域(エリア)の各ユーザの「地域間の移動の予定」等に応じて柔軟に運行ルートや運行時間を適切に決定して運行するバスであることを意味する。そのため、ユーザの予定の変更や、ユーザの増減(例えば、急に隣町に出かけたくなった、体調が悪くバスの利用をキャンセルした)等に応じて、AIが運行ルートを、適宜、更新することができる。なお、AIが運行ルートの更新する処理の詳細については、図9等を用いて後述する。
【0037】
図3は、AI運行バスを利用する場合のユーザの予約情報の一例を示す図である。ユーザは、スマートフォン等のユーザ端末(例えば後述する図5のユーザ端末4)を操作することで、AI運行バスの乗車の予約をすることができる。即ち、ユーザは、自身が居住する地域(居住地域)、AI運行バスBに乗車する場合に使用する停留場(乗車停留場)、AI運行バスBから降車する場合に使用する停留場(降車停留場)、AI運行バスBに乗車する時間帯(乗車時間帯)を、ユーザ端末を用いて指定操作をして、予約する。
【0038】
例えば、図3の例の予約情報によれば、地域A3に在住するユーザU1は、朝の時間帯に停留場BS32で乗車し、停留場BS21で降車する予約を行っている。地域A1に在住するユーザU2は、朝の時間帯に停留場BS11で乗車し、停留場BS22で降車する予約を行っている。地域A2に在住するユーザUn(nは任意の整数)は、昼の時間帯に停留場BS21で乗車し、停留場BS31で降車する予約を行っている。
【0039】
これらの予約情報に基づいて、AI運行バスBの経路が決定される。これについて、図4を用いて説明する。
【0040】
図4は、図3の予約情報に基づいて決定されるAI運行バスのルートの一例を示す図である。
図4の例では、より早い時間帯の予約情報からルートが決定され、かつ同じ時間帯の予約情報について効率的に各地域を廻れるようにルートが決定される。
【0041】
例えば、図3の例の予約情報の場合、朝の時間帯において、地域A1においてユーザU2を停留場BS11で乗せた後、AI運行バスBが地域A3まで移動するようにルートが決定される。次に、停留場BS32にて、ユーザU1を乗せた後、AI運行バスBが地域A2まで移動するようにルートが決定される。次に、停留場BS22にて、ユーザU2を降ろし、停留場BS21にて、ユーザU1を降ろすようにルートが決定される。次に、昼の時間帯において、地域A2において、AI運行バスBは、ユーザUnを乗せた後、地域A3へ移動し、停留場BS31にてユーザUnを降ろすようにルートが決定される。
【0042】
つまり、地域A1の停留場BS11→地域A3の停留場BS32→地域A2の停留場BS22→地域A2の停留場BS21→地域A3の停留場BS31の順で廻るルートが決定される。このようなルートでAI運行バスBは移動することで、効率的に地域を巡回でき、予約したユーザの乗車及び降車をスムーズにすることができる。
【0043】
以下、上述したような各種サービスの提供の際に適用される情報処理システムの実施形態、即ち、本発明の一実施形態に係る情報処理システムについて説明する。
【0044】
図5は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムの構成を示す図である。
図5に示す情報処理システムは、上述した地域移動支援サービスを実現するために、定額タクシーとAI運行バスとを管理するシステムである。
【0045】
情報処理システムは、図5に示すように、サーバ1と、定額タクシーT-1乃至T-n(nは任意の整数)の夫々に搭載されている定額タクシー搭載端末2-1乃至2-m(mは任意の整数)と、AI運行バスBに搭載されているAI運行バス搭載端末3と、ユーザ端末4-1乃至4-p(pは任意の整数)とを含むように構成される。
【0046】
サーバ1と、定額タクシー搭載端末2-1乃至2-mの夫々と、AI運行バス搭載端末3と、ユーザ端末4-1乃至4-pの夫々とは、インターネット等の所定のネットワークNを介して相互に接続される。
【0047】
なお、以下、定額タクシー搭載端末2-1乃至2-mの夫々を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「定額タクシー搭載端末2」と呼ぶ。また、ユーザ端末4-1乃至4-pの夫々を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「ユーザ端末4」と呼ぶ。
【0048】
図6は、図5の情報処理システムのうちサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【0049】
サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、出力部16と、入力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20とを備えている。
【0050】
CPU11は、ROM12に記憶されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0051】
CPU11,ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた。入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、出力部16、入力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。
【0052】
出力部16は、各種液晶ディスプレイ等で構成され、各種情報を出力する。
入力部17は、各種ハードウェア釦等で構成され、各種情報を入力する。
記憶部18は、ハードディスクやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
通信部19は、インターネットを含むネットワークNを介して他の装置(図5の例では、ユーザ端末4)との間で行う通信を制御する。
【0053】
ドライブ20は、必要に応じて設けられる。ドライブ20には磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、あるいは半導体メモリ等によりなる、リムーバブルメディア21が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア21から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。またリムーバブルメディア21は記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0054】
定額タクシー搭載端末2、AI運行バス搭載端末3、及びユーザ端末4の構成は、サーバ1の構成と基本的に同様であるので、ここではそれらの説明は省略する。
このような図5のサーバ1、定額タクシー搭載端末2、AI運行バス搭載端末3、及びユーザ端末4と各種ソフトウェアとの協働により、AI運行バスBの経路(ルート)を決定するための次のような一連の処理(以下、「ルート決定処理」と呼ぶ)の実行が可能となる。
【0055】
即ち、ユーザ端末4は、AI運行バスBの乗降予約に必要な情報として上述の「予約情報」の入力を受け付けて、当該予約情報をサーバ1へと送信する。
予約情報は、上述の図3の例では、ユーザ識別情報、居住地域情報、乗車停留場情報、降車停留場情報、及び乗車時間帯情報を含む。
ユーザ識別情報は、ユーザを識別する情報(例えば、ユーザID:U1)である。居住地域情報は、ユーザの居住地域(例えば、地域A3)を特定する情報である。乗車停留場情報は、ユーザがAI運行バスBに乗車する際に利用する停留場を特定する情報(例えば、停留場BS32)である。降車停留場情報は、ユーザが乗車したAI運行バスBから降車する際に利用する停留場を特定する情報(例えば、停留場BS21)である。乗車時間帯情報は、ユーザがAI運行バスBに乗車する時間帯を特定する情報(例えば、朝)である。
【0056】
サーバ1は、ユーザ端末4から送信される予約情報を取得すると、時間帯情報に基づいて、現時刻の直近の予約情報からルート決定処理を行う。具体的には、サーバ1は、現時刻の直近の時間帯の乗車停留場情報及び降車停留場情報に基づいて、各地域の停留場を効率的に巡回可能なルートを決定すべく、ルート決定処理を実行する。ルート決定処理では、例えば、CPU11がAIとして機能するプログラムを実行することにより、AIにより、経路のパターンを学習させて最適な経路を導かせてもよいし、又はダイクストラ法等の動的計画法を用いた経路探索アルゴリズムを利用してもよい。
【0057】
サーバ1は、ルート決定処理により算出された経路情報をAI運行バス搭載端末3及び定額タクシー搭載端末2へ通知する。
【0058】
AI運行バス搭載端末3は、通知された経路情報に基づいて、AI運行バスBを誘導する。
【0059】
定額タクシー搭載端末2は、例えば、配車された地域Aの停留場BSでAI運行バスBから降車するユーザを定額タクシーTに乗車させることができるように、通知された経路情報に基づいて、AI運行バスBがその停留場BSに停車する時刻の前に到着するように管理する。
また、定額タクシー搭載端末2は、例えば、配車された地域Aの停留場BSでAI運行バスBに乗車することができるように、通知された経路情報に基づいて、AI運行バスBがその停留場BSに停車する時刻の前に到着するように管理する。
ただし、停留場BSは、上述のようにユーザのコミュニケーションの場としても機能するので、定額タクシー搭載端末2は、停留場BSでのユーザの滞在時間を考慮して、定額タクシーTが当該停留場BSに到着する時間帯を柔軟に管理する。
【0060】
また、AI運行バス搭載端末3は、GPS(Global Positioning System)等で取得したAI運行バスBの位置情報を運行状況情報として所定のタイミングでサーバ1へ通知する。なお、定額タクシー搭載端末2も、GPS等で継続的に取得した定額タクシーTの位置情報を運行状況情報として所定のタイミングでサーバ1へ通知してもよい。
【0061】
サーバ1は、ユーザ端末4にAI運行バスBの運行状況情報(定額タクシーTの運行状況情報も含んでいてもよい)を通知する。
【0062】
ユーザ端末4は、サーバ1から通知されるAI運行バスBの運行状況情報(定額タクシーTの運行状況情報も含んでいてもよい。)に基づいて、AI運行バスBの運行状況(さらには、定額タクシーの運行状況)をユーザに提示する。
【0063】
このような一連の処理がルート決定処理である。
このルート決定処理を実現すべく、サーバ1、定額タクシー搭載端末2、AI運行バス搭載端末3、及びユーザ端末4は、図7に示すような機能的構成を有している。
【0064】
図7は、図5のサーバ1、定額タクシー搭載端末2、AI運行バス搭載端末3、及びユーザ端末4の機能的構成例を示す機能ブロック図である。
【0065】
ユーザ端末4のCPU81では、予約情報入力受付部90と、予約情報送信制御部91と、運行状況情報取得部92と、運行状況提示部93とが機能する。
【0066】
予約情報入力受付部90は、タッチ操作入力部80を介してユーザから入力される予約情報を受け付ける。
予約情報送信制御部91は、予約情報入力受付部90により受け付けられた予約情報を、通信部83を介してサーバ1へ送信するための制御を実行する。
【0067】
運行状況情報取得部92は、サーバ1から送信されてきたAI運行バスBの運行状況情報(定額タクシーTの運行状況情報も含んでいてもよい。)を通信部83を介して取得する。
運行状況提示部93は、運行状況情報取得部92により取得された運行状況情報を表示部82に表示させる制御を実行することで、ユーザに運行状況を提示する。
【0068】
定額タクシー搭載端末2のCPU30では、運行管理部40、運行状況情報送信制御部41、経路情報取得部42、及び経路情報管理部43とが機能する。
【0069】
運行管理部40は、図示せぬ人工衛星等からGPS等で継続的に取得した定額タクシーTの位置情報を運行状況情報として管理している。
運行状況情報送信制御部41は、運行管理部40で管理されている定額タクシーTの運行状況情報を、通信部31を介してサーバ1へ送信するための制御を実行する。
経路情報取得部42は、サーバ1から送信されてきたAI運行バスBの経路情報を通信部31を介して取得する。
経路情報管理部43は、経路情報取得部42により取得されたAI運行バスBの経路情報に基づいて、地域内においてユーザが降車する停留場及び降車予定時間を管理し、定額タクシーTを誘導する。
【0070】
AI運行バス搭載端末3のCPU50では、運行管理部60と、運行状況情報送信制御部61と、経路情報取得部62と、経路情報管理部63とが機能する。
【0071】
運行管理部60は、GPS等で継続的に取得したAI運行バスBの位置情報を運行状況情報として管理している。
運行状況情報送信制御部61は、運行管理部60で管理されているAI運行バスBの運行状況情報を、通信部51を介してサーバ1へ送信するための制御を実行する。
経路情報取得部62は、サーバ1から送信されてきたAI運行バスBの経路情報を通信部51を介して取得する。
経路情報管理部63は、経路情報取得部62により取得されたAI運行バスBの経路情報に基づいて、AI運行バスBの経路を管理する。
【0072】
サーバ1のCPU11では、運行状況情報取得部70と、運行状況情報送信制御部71と、予約情報取得部72と、ルート決定部73と、経路情報送信制御部74とが機能する。
【0073】
運行状況情報取得部70は、定額タクシー搭載端末2及びAI運行バス搭載端末3から送信された運行状況情報を、通信部19を介して取得する。
運行状況情報送信制御部71は、運行状況情報取得部70により取得された運行状況情報を、通信部19を介してユーザ端末4へ送信するための制御を実行する。
予約情報取得部72は、ユーザ端末4から送信された予約情報を通信部19を介して取得する。
【0074】
ルート決定部73は、予約情報取得部72により取得された予約情報に基づいて、予約したユーザが乗り降りする停留場等の拠点を巡回するルートを決定し、決定したルートを含む情報を経路情報として生成する。なお、このルート決定部73によるルートの決定や更新の詳細については、図10等を用いて後述する。
経路情報送信制御部74は、ルート決定部73により生成された経路情報を、通信部19を介してAI運行バスB及び定額タクシーTへ送信するための制御を実行する。
【0075】
次に、図8乃至図10を参照して、図7の機能的構成を有するサーバ1が実行する処理について説明する。
【0076】
図8は、サーバ1が実行する予約情報取得処理の流れを説明するフローチャートである。
【0077】
ステップS1において、予約情報取得部72は、予約情報が送信されてきたか否かを判定する。
ユーザ端末4から予約情報が送信されてこなければ、ステップS1においてNOであると判定されて、ステップS1においてYESであると判定されるまでステップS1の処理が繰り返される。
これに対して、ユーザ端末4から予約情報が送信されてきていれば、ステップS1においてYESであると判定されて、処理はステップS2に進む。
【0078】
ステップS2において、予約情報取得部72は、ユーザ端末4から予約情報を取得する。
ステップS3において、予約情報取得部72は、取得した予約情報を、記憶部18に設けられた図示せぬデータベース(以下、「DB」と呼ぶ)に格納する。
【0079】
図9は、サーバ1が実行するルート決定処理の流れを説明するフローチャートである。
ステップS11において、ルート決定部73は、現在時刻とDBに格納されている予約情報の乗車時間帯とを比較し、乗車時間帯が変わったか否か、即ち現在時刻が直近の乗車時間帯に含まれるようになったか否かを判定する。
乗車時間帯が変わっていない、即ち直近の乗車時間帯が到来していないと判定された場合には、ステップS11でNOであると判定されて、処理はステップS16に進む。
乗車時間帯が変わった、即ち直近の乗車時間帯が到来したと判定された場合には、ステップS11でYESと判定されて、処理はステップS12へ進む。
【0080】
ステップS12において、ルート決定部73は、DBから現在時刻を含む乗車時間帯の予約情報を抽出する。
ステップS13において、ルート決定部73は、抽出した予約情報を作業用予約情報と定義する。
【0081】
ステップS14において、ルート決定部73は、作業用予約情報に基づいて、経路情報生成処理を行う。S14の詳細については、図10で説明する。
ステップS15において、経路情報送信制御部74は、ステップS14で生成した経路情報を移動体端末(AI運行バス搭載端末3,定額タクシー搭載端末2)へ送信する。
【0082】
ステップS16以降の処理は、ルート決定処理中に、ユーザ端末4から送信された予約情報の乗車時間帯が、ステップS12で抽出した乗車時間帯と同じ時間帯であるために、その送信された予約情報を作業用予定情報に含めて再度ルート決定処理を行うための処理である。
【0083】
ステップS16において、予約情報取得部72は、予約情報が送信されてきたか否かを判定する。
ユーザ端末4から予約情報が送信されてこなければ、ステップS16においてNOであると判定されて、処理は終了する。
これに対して、ユーザ端末4から予約情報が送信されてきていれば、ステップS16においてYESであると判定されて、処理はステップS17に進む。
【0084】
ステップS17において、予約情報取得部72は、ユーザ端末4から予約情報を取得する。
ステップS18において、予約情報取得部72は、取得した予約情報をDBに格納する。
ステップS19において、ルート決定部73は、ステップS17で取得された予約情報の乗車時間帯と現在時刻とを比較し、現在時刻がその乗車時間帯に含まれるか否かを判定する。現在時刻がその乗車時間帯に含まれないと判定された場合には、ステップS19でNOであると判定されて、処理は終了する。現在時刻がその乗車時間帯に含まれると判定された場合には、ステップS19でYESであると判定されて、処理はステップS20へ進む。
【0085】
ステップS20において、ルート決定部73は、ステップS17で取得された予約情報を、ステップS13で定義された作業用予約情報に追加して、ステップS14以降の処理を繰り返す。
【0086】
図10は、図9のステップS14の経路情報生成処理の詳細な流れの一例を示すフローチャートである。
即ち、図9のステップS13の処理が実行されると、ステップS14の経路情報生成処理として、次のような処理が実行される。
【0087】
ステップS31において、ルート決定部73は、作業用予約情報に基づいて、経路情報に含めるエリアを決定する。ここで、DBには、乗車停留場及び降車停留場と、乗車停留場及び降車停留場が設置されているエリアとが関係付けられている。ルート決定部73は、作業用予約情報に含まれる乗車停留場情報及び降車停留場情報に基づいて、DBから乗車停留場及び降車停留場が設置されているエリアを検索し、決定する。
【0088】
ステップS32において、ルート決定部73は、エリアの移動順番を決定する。エリアの移動順番は、ルート決定処理では、例えば、CPU11がAIとして機能するプログラムを実行することにより、AIにより、経路のパターンを学習させて最適な経路を導かせてもよいし、又はダイクストラ法等の動的計画法を用いた経路探索アルゴリズムを利用してもよい。
【0089】
ステップS33において、ルート決定部73は、エリア毎に、拠点を決定する。拠点は、予約情報に含まれる乗車停留場及び降車停留場を含む。
ステップS34において、ルート決定部73は、拠点の移動順番を決定する。エリア毎の拠点の移動順番は、例えば、CPU11がAIとして機能するプログラムを実行することにより、AIにより、経路のパターンを学習させて最適な拠点の移動順番を導かせてもよいし、又はダイクストラ法等の動的計画法を用いた経路探索アルゴリズムを利用してもよい。
なお、エリア内でのスタートとなる拠点はその前までにいたエリアの最後の拠点、エリア内でのエンドとなる拠点は次のエリアの最初の拠点との位置関係やそこまでの移動時間に基づいて決定されてもよい。
【0090】
ステップS35において、ルート決定部73は、ステップS31乃至ステップS34で決定した情報を、経路情報として生成する。
これにより、図9のステップS14の経路情報生成処理が終了し、図9のステップS15の処理が実行される。
【0091】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限るものではない。
また、本実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果の列挙に過ぎず、本発明による効果は、本実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0092】
また、上述の実施形態では、移動体としてAI運行バスBや定額タクシーTを用いて説明を行ったが、これらは説明のための例示に過ぎず、特にこれに限定されない。例えば、移動体として、バス、通常料金のタクシー、自動車だけでなく、バイク、自転車(電動式も含む)、船舶等、いかなる輸送車両を用いても構わない。
また、移動体の乗客は、上述の実施形態では主に老人を対象としていたが、特にこれに限定されない。例えば、通勤や通学に使用する者を、移動体の乗客としてもよい。この場合、移動体の乗客の属性等に応じて、当該移動体のルートを変更するようにしてもよい。
【0093】
この場合の移動体の料金の徴収形態は、特に限定されず、その都度でもよいし、定額タクシーの所定単位(例えば1月)毎の料金に含めてもよい。移動体の料金を定額タクシーの料金に含める場合も、全ての移動体の乗車について含めてもよいし、例えば、ユーザが事前に登録したエリア(例えば自宅等がある第1エリアと、病院等がある第2エリア)の間の移動のみ含めることとしてもよい。
【0094】
また、移動体がルートとして走行する可能性があるエリアは、全ての移動体に対して同一である必要は特にない。例えば、第1移動体は、全てのエリアを走行し得るのに対して、第2移動体は、人口や都市のサイズが大きなエリアのみを走行するようにしてもよい。
【0095】
また、ルート決定部73が実行するルート決定処理については、上述の実施形態に限らず、いかなるアルゴリズムや方法を用いることもできる。
即ち、本発明の目的を達成するための範囲において、どのような手段やアルゴリズムを用いることも可能である。
【0096】
また、上述の実施形態では、拠点として、乗車停留場及び降車停留場を挙げたが、これに限定されず、さらに、そのエリア内の他の場所も拠点に含めてよい。他の場所としては、例えば、公共交通機関の駅であったり、町の集会所、将棋や囲碁をやる場所等、ユーザ(高齢者)が集まり(AI運行バスを待っている間)コミュニケーションが図れる場所であってもよいし、道の駅や観光案内所であってもよいし、車両の燃料を補充したり、車両を整備するための場所であってもよい。
【0097】
また、上述の実施形態では、乗車時間帯として、朝、昼等を単位にしたが、これは例示に過ぎず、特にこれに限定されない。例えば、乗車時間帯として、1時間単位や2時間単位で、乗車時間帯を設定してもよいし、1日単位や2日単位、さらには、週単位や月単位等で設定してもよい。
【0098】
また、上述の実施形態では、ユーザ端末4から送信された予約情報に基づいてルートを決定したが、ルート決定のためのパラメータはこれに限定されるものではない。
例えば、ルート決定のためのパラメータとして、気象情報や渋滞情報(事故情報を含む)、当日の当該エリア内でのイベント情報等を用いてもよい。ルート決定のためのパラメータとして気象情報や渋滞情報等を用いるのは、気象の状況によって、人や自動車の流れが変わったり、道路状況(例えば、一部の道は通行止めになる)が変わるので、それに応じてルートを変更する必要もあるからである。なお、渋滞情報として、例えば、AI運行バス搭載端末3及び定額タクシー搭載端末2から送信される運行状況情報を用いてもよい。
【0099】
また、上述の実施形態では、本発明の情報処理システムは、サーバ1、定額タクシー搭載端末2、AI運行バス搭載端末3、及びユーザ端末4により構成されていたが、本発明の目的を達成するための例示に過ぎず、特に限定されない。
また、図6に示す各ハードウェア構成は、本発明の目的を達成するための例示に過ぎず、特に限定されない。
【0100】
また、図7に示す機能ブロック図は、例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるかは、特に図7の例に限定されない。即ち、ルート決定処理のための一連の処理は、単一の情報処理装置(例えば、サーバ1)によって実現されていてもよいし、複数の情報処理装置(サーバ1、ユーザ端末4等)からなる情報処理システムによって実現されてもよい。
【0101】
また、機能ブロックの存在場所も、図7に限定されず、任意でよい。例えば、サーバ1側の機能ブロックの少なくとも一部をユーザ端末4側に設けてもよいし、その逆でもよい。
そして1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体との組み合わせで構成してもよい。
【0102】
また、上述の実施形態ではユーザ端末4はスマートフォンで構成されていたが、スマートフォンだけでなく、タブレットや今後の新しいデバイスを含めた任意の装置で構成することもできる。
【0103】
各機能ブロックの処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するコンピュータが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
【0104】
コンピュータは、専門のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0105】
このようなプログラムを含む記録媒体は、各ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される、リムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態で各ユーザに提供される記録媒体等で構成される。
【0106】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理を含むものである。
【0107】
以上をまとめると、本発明が適用される情報処理装置は、次のような構成を取れば足り、各種各様な実施形態をとることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理装置は、
移動対象(自然人含む)を乗せて移動し得る移動体(例えばAI運行バス、通常料金のタクシー等)の移動経路として、1以上の拠点(例えば停留場)を夫々有する複数のエリアを通過する経路を決定する情報処理装置(例えば、サーバ1)であって、
1以上の前記移動対象の夫々について、前記移動体に乗る際に利用する拠点及び前記移動体から降りる際に利用する拠点を含む移動の予定を取得する予定取得手段(例えば、図7の予約情報取得部72)と、
前記1以上の移動対象の夫々の前記予定に基づいて、前記複数のエリアの中から前記移動経路に含める2以上のエリアを決定すると共に、夫々の移動順番を決定する経路決定手段(例えば、図7のルート決定部73)と、
を備える情報処理装置であれば足りる。
このような情報処理装置を適用することで、複数のエリアを巡回する移動体を導入して地域移動を支援すると共に、当該移動体の複数のエリアに跨る運行の効率を向上させる技術を提供することができる。
【0108】
前記経路決定手段は、さらに、前記移動経路に含める前記エリア毎に、前記1以上の拠点の中から前記移動体が停留する拠点を決定すると共に、夫々の移動順番を決定することができる。
これにより、エリア毎の拠点及びその移動順番を決定することができるので、各エリア内を効率よく巡回することができる。
【0109】
また、1つの前記エリアは、前記移動体とは異なる種類の別種移動体(例えば、定額タクシー)の移動範囲であって、
前記移動対象が前記別種移動体を利用して前記エリア内で移動する際の対価は、当該エリア内で一律に設定されている。
これにより、ユーザ(移動対象)は、エリア内の自宅等から乗車時の拠点までの移動や、別のエリア内の降車時の拠点から病院等の目的地までの移動として、定額タクシーを利用することができる。その結果、ユーザは乗車距離や乗車時間に応じた利用料金を気にすることなく、一律に設定された料金でエリア内を移動することができるので、費用面での負担が軽減される。
【0110】
なお、本発明は、以上に述べた実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の構成又は実施形態を取ることができる。
【符号の説明】
【0111】
1・・・サーバ、2・・・定額タクシー搭載端末、3・・・AI運行バス搭載端末、4・・・ユーザ端末、40・・・運行管理部、41・・・運行状況情報送信制御部、42・・・経路情報取得部、43・・・経路情報管理部、60・・・運行管理部、61・・・運行状況情報送信制御部、62・・・経路情報取得部、63・・・経路情報管理部、70・・・運行状況情報取得部、71・・・運行状況情報送信制御部、72・・・予約情報取得部、73・・・ルート決定部、74・・・経路情報送信制御部、90・・・予約情報入力受付部、91・・・予約情報送信制御部、92・・・運行状況情報取得部、93・・・運行状況提示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2023-06-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動対象を乗せて移動し得る移動体の移動経路として、1以上の拠点を夫々有する複数のエリアを通過する経路を決定する情報処理装置であって、
前記複数のエリアは、前記移動体とは異なる種類の別種移動体の移動範囲となる所定エリアであって、前記移動対象が前記別種移動体を利用して当該移動範囲内で移動する際の対価は、所定時間単位では当該移動範囲内で一律に設定されていて、当該移動対象が当該所定時間単位毎に当該対価を支払うことを条件に当該移動範囲内で当該別種移動体を自由に利用することが可能な所定エリアを1以上有しており、
1以上の前記移動対象の夫々について、前記移動体に乗る際に利用する拠点及び前記移動体から降りる際に利用する拠点を含む移動の予定であって、当該1以上の移動対象のうち少なくとも一部については、前記移動体に乗る際に利用する前記拠点を含む第1エリア及び前記移動体から降りる際に利用する前記拠点を含む第2エリアの両方で前記別種移動体を利用する予定を取得する予定取得手段と、
前記1以上の移動対象の夫々の前記予定に基づいて、前記複数のエリアの中から前記移動経路に含める2以上のエリアを決定すると共に、夫々の移動順番を決定する経路決定手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記経路決定手段は、さらに、前記移動経路に含める前記エリア毎に、前記1以上の拠点の中から前記移動体が停留する拠点を決定すると共に、夫々の移動順番を決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
移動対象を乗せて移動し得る移動体の移動経路として、1以上の拠点を夫々有する複数のエリアを通過する経路を決定する情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
前記複数のエリアは、前記移動体とは異なる種類の別種移動体の移動範囲となる所定エリアであって、前記移動対象が前記別種移動体を利用して当該移動範囲内で移動する際の対価は、所定時間単位では当該移動範囲内で一律に設定されていて、当該移動対象が当該所定時間単位毎に当該対価を支払うことを条件に当該移動範囲内で当該別種移動体を自由に利用することが可能な所定エリアを1以上有している場合、
1以上の前記移動対象の夫々について、前記移動体に乗る際に利用する拠点及び前記移動体から降りる際に利用する拠点を含む移動の予定であって、当該1以上の移動対象のうち少なくとも一部については、前記移動体に乗る際に利用する前記拠点を含む第1エリア及び前記移動体から降りる際に利用する前記拠点を含む第2エリアの両方で前記別種移動体を利用する予定を取得する予定取得ステップと、
前記1以上の移動対象の夫々の前記予定に基づいて、前記複数のエリアの中から前記移動経路に含める2以上のエリアを決定すると共に、夫々の移動順番を決定する経路決定ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項4】
移動対象を乗せて移動し得る移動体の移動経路として、1以上の拠点を夫々有する複数のエリアを通過する経路を決定するコンピュータに、
前記複数のエリアは、前記移動体とは異なる種類の別種移動体の移動範囲となる所定エリアであって、前記移動対象が前記別種移動体を利用して当該移動範囲内で移動する際の対価は、所定時間単位では当該移動範囲内で一律に設定されていて、当該移動対象が当該所定時間単位毎に当該対価を支払うことを条件に当該移動範囲内で当該別種移動体を自由に利用することが可能な所定エリアを1以上有している場合、
1以上の前記移動対象の夫々について、前記移動体に乗る際に利用する拠点及び前記移動体から降りる際に利用する拠点を含む移動の予定であって、当該1以上の移動対象のうち少なくとも一部については、前記移動体に乗る際に利用する前記拠点を含む第1エリア及び前記移動体から降りる際に利用する前記拠点を含む第2エリアの両方で前記別種移動体を利用する予定を取得する予定取得ステップと、
前記1以上の移動対象の夫々の前記予定に基づいて、前記複数のエリアの中から前記移動経路に含める2以上のエリアを決定すると共に、夫々の移動順番を決定する経路決定ステップと、
を含む制御処理を実行させるプログラム。