(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103356
(43)【公開日】2023-07-26
(54)【発明の名称】構造化磁性材料を利用する構造物と方法
(51)【国際特許分類】
H02K 1/14 20060101AFI20230719BHJP
H01F 7/20 20060101ALI20230719BHJP
H02K 1/02 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
H02K1/14 Z
H01F7/20 D
H02K1/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078286
(22)【出願日】2023-05-11
(62)【分割の表示】P 2022069201の分割
【原出願日】2014-09-30
(31)【優先権主張番号】61/941,644
(32)【優先日】2014-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/884,415
(32)【優先日】2013-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/933,386
(32)【優先日】2014-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/920,043
(32)【優先日】2013-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514062448
【氏名又は名称】パーシモン テクノロジーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】PERSIMMON TECHNOLOGIES, CORP.
【住所又は居所原語表記】200 Harvard Mill Square Wakefield, MA 01880 US
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】サー スリパティ
(72)【発明者】
【氏名】ホシェク マルチン
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナサミー ジャヤラマン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】エネルギー効率のよい装置での使用に好適な特性を有する軟磁性材料に関する。
【解決手段】モータ800は、少なくとも1つのコアと、軸方向に延伸する外壁とを有する固定子806と、少なくとも1つのコアに巻かれるコイル810と、回転子極812を有し、固定子に対して回転可能に搭載される回転子802と、固定子と回転子の間に装着された少なくとも1つの磁石807、809と、固定子と少なくとも1つの磁石との間の円錐状の空隙とを備える。外壁の端部の位置が、軸方向に面するコイルの面の位置より低いか、同じであるか、又は超えており、外壁はコイルの外縁で終端し、回転軸に垂直な分割面が固定子と回転子を通って延び、コイルと、少なくとも1つの磁石と、円錐状の空隙とは、一緒になって、固定子と回転子との間の磁束の流れが、3次元磁束パターンにおいて、分割面を横断しないことを可能にするように構成されている。
【選択図】
図14A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのコアと、軸方向に延伸する外壁とを有する固定子と;
前記少なくとも1つのコアに巻かれるコイルと;
回転子極を有し、前記固定子に対して回転可能に搭載される回転子と;
前記固定子と前記回転子の間に装着された少なくとも1つの磁石と;
前記固定子と前記少なくとも1つの磁石との間の円錐状の空隙と;
を備え、
前記外壁の端部の位置が、前記軸方向に面する前記コイルの面の位置より低いか、同じであるか、又は超えており、前記外壁は前記コイルの外縁で終端し、
回転軸に垂直な分割面が前記固定子と前記回転子を通って延び、
前記コイルと、前記少なくとも1つの磁石と、前記円錐状の空隙とは、一緒になって、前記固定子と前記回転子との間の磁束の流れが、3次元磁束パターンにおいて、前記分割面を横断しないことを可能にするように構成されている、
モータ。
【請求項2】
前記回転子極及び前記固定子は、前記少なくとも1つの磁石と協働して、前記固定子と前記回転子との間の磁束を、3次元空間における一つの平面の外側の方向へ導く、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記固定子は、前記少なくとも一つの磁石の断面の形状に対応する面を規定する断面の形状に近似するように構成される、請求項1に記載のモータ。
【請求項4】
前記回転子極は、前記固定子と前記少なくとも1つの磁石との間の前記円錐状の空隙を形成するべく、前記固定子の方向へと延びている、請求項1に記載のモータ。
【請求項5】
前記コイルは径方向において先細りである、請求項1に記載のモータ。
【請求項6】
前記少なくとも一つのコアが前記固定子の表面上に形成され、スロットレス固定子を形成する、請求項1に記載のモータ。
【請求項7】
前記回転子は第1の回転子部及び第2の回転子部を有する、請求項1に記載のモータ。
【請求項8】
前記固定子は第1の固定子部及び第2の固定子部を有する、請求項1に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する例示的で非限定的な実施形態は、一般には磁性材料およびそのような材料を包含する構造物に関し、より詳細にはエネルギー効率のよい装置での使用に好適な特性を有する軟磁性材料に関する。
【先行技術の簡単な説明】
【0002】
一般に自動機械装置は、電動モータを使用して装置の種々の可動素子を直線運動または回転運動させる。使用される電動モータは、典型的には、固定素子と組み立てた回転素子を含む。回転素子と固定素子の間には磁石が配置される。固定素子の軟鉄芯の周囲にはコイルが巻回され、該コイルは磁石の近傍に配置される。
【0003】
電動モータの作動に際し、コイルに電流が流れると磁場が発生し、それが磁石に作用する。磁場が磁石に作用すると、回転素子の一方の側が押され、回転素子の反対側が引っ張られ、それによって固定素子に対して回転素子が回転するようになる。回転効率は、少なくとも一部には、電動モータの製造で使用する材料の特性に基づく。
【摘要】
【0004】
以下の摘要は、単に例を示しただけであり、請求項の範囲を限定するものではない。
はじめにモータが開示される。このモータは、
少なくとも1つのコアと、軸方向に延伸する外壁とを有する固定子と;
前記少なくとも1つのコアに巻かれるコイルと;
回転子極を有し、前記固定子に対して回転可能に搭載される回転子と;
前記固定子と前記回転子の間に装着された少なくとも1つの磁石と;
前記固定子と前記少なくとも1つの磁石との間の円錐状の空隙と;
を備え、
前記外壁の端部の位置が、前記軸方向に面する前記コイルの面の位置より低いか、同じであるか、又は超えており、前記外壁は前記コイルの外縁で終端し、
回転軸に垂直な分割面が前記固定子と前記回転子を通って延び、
前記コイルと、前記少なくとも1つの磁石と、前記円錐状の空隙とは、一緒になって、前記固定子と前記回転子との間の磁束の流れが、3次元磁束パターンにおいて、前記分割面を横断しないことを可能にするように構成されている。
【0005】
基板上に堆積される軟磁性材料も開示される。この軟磁性材料は、
個々の微小領域からなる微細構造を有する連続した複数の薄膜を形成する複数の鉄含有粒子を有し、
前記複数の鉄含有粒子は、それぞれ実質的に純粋な鉄からなる鉄のコアと、前記鉄のコア上の絶縁層とを有し、
前記絶縁層は、前記鉄のコアから前記鉄含有粒子の表面へと上昇するアルミニウム濃度により生じる濃度勾配を有するアルミナ層を有し、
前記複数の鉄含有粒子は、絶縁境界により互いに隔てられる複数の透磁性微小領域の凝集体を形成し、
前記凝集体は、前記基板上に溶射されると、溶射された鉄含有粒子の連続層を形成する連続的な複数の微小領域を有し、
前記鉄のコア及び前記絶縁層により規定される前記鉄含有粒子は高密度の固体層を形成し、前記固体層において、前記形成された連続層中の粒子は、底部の接触部において直前の層の粒子に密着し、該底部は、前記密着している前記直前の層の粒子の形状に合わせた形状を有する。
少なくとも1つのコアを有する固定子と、前記少なくとも1つのコア上のコイルと、前記固定子内に回動可能に搭載される回転子と、前記固定子と前記回転子の間に搭載される少なくとも1つの磁石とを備え、前記少なくとも1つのコアが前記軟磁性材料を含む、装置も開示される。
【0006】
次のような方法も開示される。この方法は、
実質的に純粋な鉄からなる鉄粒子を加熱することと;
前記鉄粒子を溶射することと;
前記鉄粒子を酸化して、前記鉄粒子上にアルミナを含む絶縁層を形成し、酸化鉄含有粒子を形成することと;
前記酸化鉄含有粒子を基板に堆積して軟磁性材料を形成することと;
を含み、
複数の鉄含有粒子が、個々の微小領域からなる微細構造を有する連続した複数の薄膜を形成し;
前記複数の鉄含有粒子は、絶縁境界により互いに隔てられる複数の透磁性微小領域の凝集体を形成し;
前記凝集体は、前記基板上に溶射されると、鉄粒子の連続層を形成する連続的な複数の微小領域を有し;
前記複数の鉄含有粒子及び該複数の鉄含有粒子の前記絶縁層は高密度の固体層を形成し、前記固体層の前記連続層中の粒子は、底部の接触部において直前の層の粒子に密着し、該底部は、前記密着している前記直前の層の粒子の形状に合わせた形状を有し;
前記絶縁層は、前記鉄のコアから前記鉄含有粒子の表面へと上昇するアルミニウム濃度により生じる濃度勾配を有するアルミナ層により形成され、前記アルミニウム濃度の上昇は、前記鉄粒子にアルミニウム層を堆積させて熱処理することで前記鉄粒子内にアルミニウムを拡散させ、アルミニウム濃度が変化する合金を形成することによって達成される。
【0007】
[1]次のような組成物も開示される。この組成物は、鉄を含有する複数の粒子と該鉄を含有する粒子上の絶縁層とを含む。前記鉄を含有する粒子は、絶縁境界により分離された透磁性微小領域の凝集体を規定する。
別の態様によれば、方法は、鉄-アルミニウム合金粒子を加熱し、前記鉄-アルミニウム粒子を熱溶射し、前記鉄-アルミニウム粒子を酸化させ、前記酸化させた鉄-アルミニウム粒子を基板に堆積させる、ことを含む。
別の態様によれば、装置は、少なくとも1つのコアを有する固定子と、前記少なくとも1つのコア上のコイルと、前記固定子の中に回転可能に装着された回転子と、前記固定子と前記回転子の間に装着された少なくとも1つの磁石とを含む。前記少なくとも1つのコアは、酸化物層が配置された鉄を含有する粒子により規定された組成物を含む。
[2]次のような軟磁性材料も開示される。この軟磁性材料は、
先行する微小領域から成長した連続する複数の微小領域を形成する複数の鉄含有粒子であって、前記連続する複数の微小領域が形成される際に針状比をほぼ維持する鉄含有粒子と;
前記鉄含有粒子上の絶縁層であって、酸化物を含む絶縁層と;
を含み、
前記軟磁性材料は、絶縁境界により分離された透磁性微小領域の凝集体であり;
前記凝集体は前記連続する複数の微小領域を含み、該連続する複数の微小領域は、溶射された鉄含有粒子の連続層を形成し、
前記複数の鉄含有粒子及び該複数の鉄含有粒子の前記絶縁層によって定められる複数の粒子は高密度の固体層を形成し、該固体層における前記連続層中の粒子は、頂部が球状であると共に、底部の接触部において、直前に形成された層の粒子に密着・接触し、該底部は、前記密着・接触している前記粒子の形状に合わせた形状を有し、
前記複数の微小領域は三次元的な等方性を呈し、
微小領域の粒子は実質的に完全に絶縁層で囲まれている。
[3]次のような方法も開示される。この方法は、
鉄含有粒子を加熱することと;
前記鉄含有粒子を熱溶射することと;
前記鉄含有粒子を酸化して、前記鉄含有粒子上にアルミナを有する絶縁層を形成することと;
前記酸化した鉄含有粒子を基板に堆積して軟磁性材料を形成することと;
を含み、
複数の鉄含有粒子が、個々の微小領域からなる微細構造を有する連続した複数の薄膜を形成し;
前記複数の鉄含有粒子は、絶縁境界により互いに隔てられる複数の透磁性微小領域の凝集体を形成し;
前記基板上に溶射された前記凝集体は、鉄含有粒子の連続層を形成する前記連続した薄膜を有し、該鉄含有粒子は前記連続した薄膜が形成される際に針状比をほぼ維持し;
前記鉄含有粒子及び該鉄含有粒子の前記絶縁層は高密度の固体層を形成し、前記固体層における前記連続層中の粒子は、底部の接触部において直前に形成された層の粒子に密着し、該底部は、前記密着している前記粒子の形状に合わせた形状を有し;
前記鉄含有粒子は体心立方構造を有し、該体心立方構造が三次元的に等方的な磁気特性を提供する。
【0008】
次のようなモータも開示される。このモータは、
少なくとも1つのコアと、軸方向に延伸する外壁とを有する固定子と;
前記少なくとも1つのコアに巻かれるコイルと;
回転子極を有し、前記固定子に対して回転可能に搭載される回転子と;
前記固定子と前記回転子の間に装着された少なくとも1つの磁石と;
前記固定子と前記少なくとも1つの磁石との間の円錐状の空隙と;
を有し、
前記外壁の端部の高さが、前記軸方向に面する前記コイルの面の高さより低いか、同じであるか、又は超えており、前記外壁は前記コイルの外縁で終端し、
回転軸に垂直な分割面が前記固定子及び前記回転子を通って延び、
前記コイルと、前記少なくとも1つの磁石と、前記空隙とによって、前記固定子と前記回転子との間に磁束が流れることが可能となるように構成され、前記磁束の流れは、該磁束の流れが前記分割面を横切らないような3次元磁束パターンを呈する。
上記態様およびその他の特徴を、付属図面を参照しつつ以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】絶縁境界で区切られた透磁性微小領域の凝集体微細構造を有する軟磁性材料の、1つの例示的な実施形態の略図である。
【0010】
【
図2】
図2Aと2Bは、
図1の軟磁性材料を形成するための、鉄-アルミニウム合金の成膜工程を示す略図である。
【0011】
【
図3】
図3A-Cは、種々の成膜法を使用して生成した軟磁性材料の微細構造の写真である。
【0012】
【
図4】
図4A-Cは、軟磁性材料を使用して作成した構造物の写真である。
【0013】
【
図5】
図5A-Dは、軟磁性材料の種々の形態の略図である。
【0014】
【
図6A】軟磁性材料を使用して作成したリング構造物の略図である。
【0015】
【
図6B-D】
図6B-Dは、軟磁性材料の微細構造の写真であり、XZ面、YZ面、およびXY面の等方性を示す。
【0016】
【
図7】軟磁性材料を包含するモータの、1つの例示的な実施形態の斜視断面図である。
【0017】
【
図8】軟磁性材料を包含するモータの、別の例示的な実施形態の斜視断面図である。
【0018】
【
図9】軟磁性材料を包含するモータの、別の例示的な実施形態の斜視断面図である。
【0019】
【
図10A】軟磁性材料を包含するモータの、別の例示的な実施形態の斜視断面図である。
【0020】
【
図10B】
図10Aのモータの固定子極の、1つの例示的な実施形態の斜視図である。
【0021】
【
図11】軟磁性材料を包含するモータの、別の例示的な実施形態の斜視断面図である。
【
図12】軟磁性材料を包含するモータの、別の例示的な実施形態の斜視断面図である。
【
図13】軟磁性材料を包含するモータの、別の例示的な実施形態の斜視断面図である。
【
図14A】軟磁性材料を包含するモータの、別の例示的な実施形態の斜視断面図である。
【0022】
【0023】
【
図15A】軟磁性材料を包含するモータの、別の例示的な実施形態の斜視断面図である。
【0024】
【0025】
【
図16A】軟磁性材料を包含するモータの、別の例示的な実施形態の斜視断面図である。
【0026】
【0027】
【
図17A】モータの1つの例示的な実施形態における固定子断面の略図である。
【0028】
【
図17B-C】
図17B-Cは、軟磁性材料を包含するモータの例示的な実施形態における固定子断面の略図である。
【0029】
【
図18A】軟磁性材料を包含するモータの、別の例示的な実施形態の斜視断面図である。
【0030】
【0031】
【0032】
【
図19】軟磁性材料を包含するモータの断面の略図である。
【0033】
【
図20】軟磁性材料を包含するモータにおける固定子の例示的な実施形態の斜視断面図である。
【0034】
【
図21】
図20の固定子とともに使用する回転子の例示的な実施形態の斜視断面図である。
【0035】
【
図22】軟磁性材料を包含するモータの例示的な実施形態の斜視断面図である。
【
図23】軟磁性材料を包含するモータの例示的な実施形態の斜視断面図である。
【0036】
【
図24】軟磁性材料を包含するモータにおける回転子の例示的な実施形態の斜視断面図である。
【0037】
【
図25】
図24の回転子とともに使用する固定子の例示的な実施形態の斜視断面図である。
【0038】
【0039】
【
図27】軟磁性材料を包含する固定子の例示的な実施形態の断面の略図である。
【0040】
【
図28】軟磁性材料を包含するモータの例示的な実施形態の斜視断面図である。
【
図29】軟磁性材料を包含するモータの例示的な実施形態の斜視断面図である。
【0041】
【
図30】軟磁性材料を包含するスロットレス固定子の1つの例示的な実施形態の斜視断面図である。
【0042】
【
図31】
図30のスロットレス固定子とともに使用する回転子の1つの例示的な実施形態の斜視断面分解組立図である。
【0043】
【
図32】
図30のスロットレス固定子と
図31の回転子を包含するモータの1つの例示的な実施形態の斜視断面図である。
【0044】
【
図33】スロットレス固定子と軟磁性材料を包含するモータの別の例示的な実施形態の斜視断面図である。
【0045】
【
図34】ハイブリッド・スロットレス・モータの1つの例示的な実施形態の斜視断面図である。
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【
図40】
図34のモータの略図であり、固定子にポッティングされたコイル巻線を示す。
【0053】
【
図41】軟磁性材料の断面の電子顕微鏡画像である。
【0054】
【
図42】軟磁性材料のX線回折スペクトルを示すグラフである。
【0055】
【
図43】溶射されたニッケル-アルミニウム合金粒子の微細構造の画像である。
【0056】
【
図44A】Fe-Al-Si合金とFe-Al合金それぞれの状態図である。
【
図44B】Fe-Al-Si合金とFe-Al合金それぞれの状態図である。
【0057】
【
図45】軟磁性材料を包含する固定子を形成するのに使用するマスク/ステンシルシステムの略図である。
【0058】
【
図46】
図46A-Cは、スロット付き固定子を有するモータの例示的な実施形態の略図である。
【実施形態の詳細説明】
【0059】
図1~6Dを参照しながら、電気機器用および電気機器の部品用の軟磁性材料、ならびにそのような材料と電気機器そのものの製造方法について、例示的な実施形態を記載する。軟磁性材料は一般に参照番号10で表す。このような軟磁性材料10とともに使用することができる電気機器としては電動モータがあるが、それに限定されない。このような電動モータは、たとえばロボット応用製品、産業オートメーション、HVACシステム、電気製品、医療装置、軍事や宇宙探査応用製品、などで使用することができる。このような材料とともに使用することができる部品としては、電動モータの巻芯やその他の好適な軟磁芯などがあるが、それらに限定されない。図面に示された実施形態を参照して本発明を記載するが、本発明は様々な形での別の実施形態として実施してもよいことを理解すべきである。また、任意の好適なサイズ、形状または種類の材料や素子を使用することができる。
【0060】
特に
図1を参照すると、軟磁性材料10は、好適な軟性と機械強度の微細構造を有し、反応性雰囲気内で合金用元素を堆積させてバルク材として形成され、高透磁率と低保磁力を有するとともに、導電率を制限する絶縁境界14により分離された、小さい微小領域12の凝集体を生成する。電気機器内でこのようなバルク材を使用すると、性能と効率の向上が期待できる。たとえばモータ巻芯内で軟磁性材料10を使用すると、このモータ巻芯が実装されたモータが回転したときに、磁場の急速な変動に伴い巻芯内に誘起される渦電流に関連した損失を最小限に抑えながら、効率的な磁路を実現することができる。これにより、一般に従来のモータの異方性積層芯と関連した設計上の制約が実質的に解消される。
【0061】
図2Aおよび2Bを参照すると、軟磁性材料10を得るための成膜工程の1つの例示的な実施形態の略図は、一般に参照番号20で表し、以後「成膜工程20」と称する。成膜工程20の
図2Aに示されるように、合金用元素の粒子22は、金属溶射法に基づく単一工程のネットシェイプ製造工程より、基板24の上に堆積される。所望の微細構造を有する軟磁性材料10を得るため、使用する合金の状態に関する種々のパラメータが規定される。第1の例示的なパラメータについて言えば、粒子22の温度は、粒子22の材料の融点を下回りながら、その材料を軟化させるのに十分に高い温度である。このように、粒子22は実質的に固体状態のままであり、基板24の表面に衝突したときにその全体の針状比が維持される。より具体的には、粒子22は飛行中に半溶融状態にある。第2の例示的なパラメータについて言えば、成膜工程20の期間中は、粒子22の酸化が制限され、その結果、粒子22は実質的に金属状態のままであり、その機械強度と磁気特性が維持される。第3のパラメータに関して言えば、成膜工程20期間中の粒子22の速度は、すでに堆積した粒子に粒子22が確実に付着する略最小飛行速度以上であってよく、それによって、
図2Bに示されるように、一塊の合金が堆積して、十分な機械強度を有する軟磁性材料10が形成される。前記パラメータは(ならびに他のパラメータも)、粒子サイズの範囲、化学組成、および成膜工程20の種々の工程パラメータを選択することにより達成することができる。成膜工程20の実施に使用するシステムは、高速空気燃料(HVAF)システム、高速酸素燃料(HVOF)システム、あるいはプラズマ溶射システムであってよい。
【0062】
粒子22としては、市販の合金用元素を使用してよい。合金用元素としては、たとえばインディアナ州、インディアナポリスのプラクスエア工学株式会社から入手可能なものなど、任意の好適なアルミニウム系粉体(たとえばFE-125-27など)であってよい。1つの例示的な実施形態において、合金は、89%Fe-10%Al-0.25%C(すべての割合は重量百分率)の組成を有してよい。このような合金の融点は約1450℃であるため、合金を気霧化するのに使用するキャリアガスの温度が約900℃~約1200℃であるHVAFシステで使用するのに好適である。このような合金はまた、約1400℃より低い温度で動作するHVOFシステムでも好適である。ここに記載する例示的な実施形態は89%Fe-10%Al-0.25%Cの組成を有する合金を対象としているが、別の例示的な実施形態においては、他の組成の合金を採用してもよい。
【0063】
合金粒子は一般に球形であり、気霧化することが可能であるため、成膜工程20期間中に凝集することなく自由に流れることができるので、HVAFあるいはHVOFシステムにおいて粒子22として使用するのに好適である。合金粒子のサイズの選択は、成膜工程20期間中の合金粒子の温度だけでなく粒子速度にも影響する。HVOFによる成膜を使用する1つの例示的な実施形態においては、約25マイクロン~約45マイクロンの範囲の合金粒子により、所望の粒子温度と粒子速度を達成することができる。
【0064】
HVAFシステムを使用する成膜工程20では、生成された軟磁性材料10の所望の微細構造は、連続して薄い被膜を堆積させることにより、バルク材として得ることができる。HVAFシステムは、集束粒子線を使用することが可能であり、約80%以上の付着率を持つことができる。
図3Aに見られるように、軟磁性材料10の微細構造の断面に微小領域12が明瞭に表され、軟磁性材料10のより大きな粒子は、その全体の針状比を維持したまま、境界14により明瞭に示されている。
【0065】
HVOFシステムを使用する成膜工程20は、
図3Bに示されるような軟磁性材料10の所望の微細構造を生成するために、約1400℃~約1600℃の温度範囲で動作させてよい。HVOFシステムにおいては、堆積された材料を薄い被膜とするために、低い燃焼温度設定値で軟磁性材料10を生成してよい。しかしながら、燃焼温度設定値を低くすると、粒子22がより低い速度で基板24に衝突することになり、その結果、付着率が50%を下回る可能性がある。
【0066】
図3Cを参照すると、軟磁性材料10の所望の微細構造は、低エネルギーのプラズマ溶射システムを使用して生成してよい。見てわかるとおり、微小領域12とより大きな粒子の区別は、HVAFやHVOFシステムを使用して生成した軟磁性材料10ほど一目瞭然ではないかもしれない。
【0067】
上記の例示的なシステムのどのシステムを使用した成膜工程20でも、粒子22としての合金を基板24に熱溶射することで軟磁性材料10が形成される。溶射された粒子22は、電気絶縁を為す絶縁境界14で区切られた緻密な微小領域12から構成される材料の、高密度かつ緻密な固体層を形成する。さらに、材料の固体層を形成する溶射粒子22を、約1925度Fの温度で約4時間熱処理し、その後約900度Fまでゆっくりと冷却し(毎時約100度Fの速度で約10時間かけて)、最後に略室内温度になるまで空冷してもよい。
【0068】
合金用元素は、いくつかの異なる形態のうち任意の形態の粒子22により規定してよい。どの形態であっても、合金用元素(衝突粒子)は鉄とアルミニウムを含有し、そのうちアルミニウムは酸化してアルミナ保護層(つまりアルミニウム酸化物)を鉄の上に形成する。粒子のコアはアルミナ保護層により完全に覆われてもよいし、あるいは保護層に欠陥や閉塞が存在して、それにより粒子のコアが完全に覆われなくてもよい。アルミナはどの鉄酸化物より安定しているので、合金のアルミニウム濃度を好適にすることで、酸化鉄のない(あるいは実質的にない)十分な量のアルミナが作成される。実施形態の一例では、合金は、89%Fe-10%Al-0.25%Cを含むFe-Al合金である。この点に関し合金に制限はなく、その他の任意の好適な材料を使用してよい。
【0069】
図4A~4Cを参照すると、成膜工程20を使用することで、軟磁性材料10を使って、鋳塊30(
図4A)、円筒32(
図4B)、あるいはリング状部品34(
図4C)を作成するために機械加工が可能な任意の好適な構造物を作成することができる。成膜工程20で生成された構造物(たとえば円筒32、リング状部品など)は、モータやモータ部品を製造する際の素子として使用することができる。
【0070】
図5Aに示されるように、軟磁性材料10を形成するのに使用した粒子22の1つの例示的な形態では、粒子22は均一な組成のFe-Al合金40を有する。粒子22の表面のアルミニウムは、周囲環境(空気または酸素富化空気でよい)内の酸素と反応してアルミナを形成して、外表面に薄いアルミナ層42を有するFe-Al合金粒子を生成する。Fe-Al合金40のアルミニウム濃度は、酸化鉄の形成を防止または少なくとも最小限に抑えながら、連続したアルミナ層42の形成が容易になるように、選択する。酸化速度は温度とともに上昇するので、粒子の温度を上げて酸化反応速度を上昇させてもよい。また、粒子を軟化させ、高密度の構造物を形成するのに必要な変形を得るのに十分に高い温度まで粒子温度を上昇させる。高密度の固体を形成するには、粒子が表面に衝突する前に十分な速度になるまで粒子を加速させる。実施形態によっては、合金用元素としてシリコンを添加してよい。組成によっては、シリコンを添加すると磁気特性が改善されると同時に、アルミナの形成を妨げることがない。
【0071】
図5Bに示されるように、粒子22の別の例示的な形態においては、Fe-Al合金40から表面までの濃度勾配により粒子22を規定してもよい。表面のアルミニウムは、Fe-Al合金の好適なアルミニウム濃度により形成される。しかしながらアルミニウムは、鉄の飽和磁束密度を低下させる。飽和磁束密度を最大化するために、得られた粒子は純鉄芯44を有し、鉄芯44から粒子表面48に向かってアルミニウム濃度46が増加する。この形態は、アルミニウムが粒子内に拡散してアルミニウム濃度46が変化する合金が形成されるように、アルミニウム層を粒子に堆積させて熱処理することで達成される。酸化鉄を(少なくとも実質的には)形成することなく、表面48に沿って連続したアルミナ層42が形成されやすくなるようにアルミニウム濃度を選択し、粒子を不活性環境内で熱処理してアルミニウムの酸化を防止する。周囲環境は空気または酸素富化空気でよく、酸化速度は温度とともに上昇するるので、合金粒子の温度を上げて酸化反応速度を上昇させてもよい。前記の実施形態と同様、高密度の固体を形成するには、粒子が表面に衝突する前に十分な速度に達するまで粒子を加速させる。また、合金材料を軟化させ、高密度の構造物を形成するのに必要な変形を得るのに十分に高い温度まで粒子温度を上昇させる。さらに、合金用元素としてシリコンを添加して、たとえば、アルミナの形成を妨げることなく磁気特性を改善してもよい。
【0072】
図5Cに示されるように、粒子22の別の例示的な形態では、鉄または鉄合金の母粒子50をアルミナ層42に封止してもよい。これらアルミナ被覆の鉄(あるいは鉄合金)粒子は、原子層堆積(ALD)工程により、つまり薄いアルミニウム層を堆積させてその層を酸素にさらして酸化させ、以降の層も次々と堆積・酸化させる、という方法により得てもよい。しかし、堆積工程はALDに限定されるわけでなく、任意の好適な工程により、鉄粒子あるいは鉄合金粒子上にアルミナ層を形成してよい。このような層を何層か堆積させて、所要の厚さのアルミナ層42が達成される。母粒子50は、純鉄、あるいは磁気特性を強化する、鉄-コバルト、鉄-ニッケル、鉄-シリコンなどの鉄合金、とすることができる。高密度の固体を形成するためには、表面に衝突するする前に十分な速度に達するまで、粒子を加速させる。成膜工程20の期間中は、粒子を軟化させ、高密度の構造物を形成するのに必要な粒子の変形を得るのに十分に高い温度まで粒子温度を上昇させる。他の実施形態と同様、合金用元素としてシリコンを添加して、アルミナの形成を防止または最小限に抑えながら磁気特性を改善してもよい。約10wt.%アルミニウムを有するFe-Al合金に、合金用元素として1%シリコンを添加すると、最小の炭素含有量(さらにはもしかしたらより大きなサイズの粒子)の原材料が生成されるようになる。
【0073】
図5Dに示されるように、粒子22の別の例示的な形態では、母粒子50はアルミニウムに封止してもよい鉄芯あるいは鉄合金芯を含み、そのアルミニウムは、堆積工程の間に酸化してアルミナ層42を形成する。母粒子50は、たとえば純鉄、あるいは磁気特性を強化する鉄合金(たとえば、鉄-コバルト、鉄-ニッケル、鉄-シリコンなど)とすることができる。周囲環境は、空気または酸素富化空気、あるいは厳格に制御された酸素環境を有する環境であってよい。前記の実施形態と同様、高密度の固体を形成するために、表面に衝突するする前に十分な速度に達するまで粒子を加速させる。成膜工程20の期間中は、粒子を軟化させ、高密度の構造物を形成するのに必要な粒子の変形を得るのに十分に高い温度まで粒子温度を上昇させる。上記の実施形態と同様、合金用元素としてシリコンを添加して、アルミナの形成を防止または最小限に抑えながら磁気特性を改善してもよい。
【0074】
上記の粒子22の形態のうちの任意の形態から形成された軟磁性材料10の電磁気特性としては、飽和磁束密度、透磁率、ヒステリシスによるエネルギー損失、および渦電流によるネルギー損失、を含むが、それらに限定されない。好適な磁気特性を有し、それぞれが薄い絶縁境界に包囲された、高密度の微小領域を含む微細構造により、このような所望の電磁気特性が実現される。そして、微小領域の磁気特性および境界の絶縁特性は、合金の組成、格子構造、酸化熱力学、および反応速度など、1つ以上の物理的性質および科学的特性の関数である。
【0075】
格子構造に関して言えば、89%Fe-10%Alを含む合金は、鉄と同じ体心立方(BCC)構造を有している。この格子構造は、高い透磁率および好適な磁気特性と関連している。さらに、0.25%炭素が存在する場合、温度1000℃まで合金はそのBCC構造を維持する。熱処理により、固体に存在する任意の面心立方構造およびマルテンサイト構造を、BCC構造に変換することができる。合金におけるアルミニウムの原子分率は約20%であり、したがって、合金は純鉄より約20%低い飽和磁束密度を有している。また、合金は純鉄より大きい電気抵抗率を有することが知られているため、結果として渦電流損失が低下する。
【0076】
約0.25%の範囲内の炭素により、粉体生成時の気霧化処理を容易にすることができる。約1000℃より低い温度では、炭素は、初期透磁率を低下させたりヒステリシス損を増加させるなど、磁気特性に影響を与える可能性のある折出炭化物として存在する。
【0077】
合金粒子が約1000℃~約1500℃の温度範囲の酸化作用環境にある場合に形成される好適な安定した酸化物は、アルミナである。この酸化物層の形成速度と推定厚さは、成膜環境における合金粒子の酸化反応速度により決定される。アルミニウム元素は厚さ1~2ナノメートル(nm)の酸化物層を形成して、さらなる酸化を効果的に防止する。また、ソフトウェア・シミュレーション・パッケージを使用した酸化反応速度シミュレーションにより、サイズが25~40マイクロンおよび温度が約1500℃の純鉄粒子は、飛行期間中に厚さ500nmの酸化物層を形成すると判断された(ここに記載したHVAF、HVOF、あるいはプラズマ溶射システムのうち任意のシステムによる成膜工程20を使用した場合、約0.001秒であると予想される)。したがって、各粒子の周囲に形成される酸化物層の推定厚さは、約1nm以上~約500nm以下である。
【0078】
次に
図6A~6Dを参照すると、どの実施形態でも、溶射された試料の磁気特性は、等方性を有することが望ましい。等方性があれば、当該材料を使用するモータで磁束の3次元フローが期待できる。記載した実施形態で測定可能な磁気特性は、ASTM A773標準にしたがい、(
図6Aに示されるような)リング状試料の円周方向に沿って測定可能である。他の2つの直交方向(軸方向と径方向)に沿った測定が可能でない場合であっても、
図6B、6C、および6Dにそれぞれ示された、XZ面、YZ面、およびXY面に対応する3つの直交面における試料断面の微細構造により、材料の等方性の度合いがわかる。微小領域が円周方向に沿ってある程度延びても、この円周方向は溶射方向に直角な方向なので、その形状は高度な等方性を示す。
【0079】
図7~40および46を参照すると、軟磁性材料10が包含されたモータの種々の例示的な実施形態が示されている。記載したモータは、高解像度ロータリーエンコーダから位置フィードバックを使用する、正弦波整流での3相ブラシレスモータとして駆動されることを意図している。
【0080】
特に
図7を参照すると、磁束フローがモータの回転軸に直角な面に沿っている永久磁石モータを、一般に100で示す。モータ100は、磁性鋼(あるいは他の好適な磁性材料)から成り固定子106の中に回転可能に装着された、回転子102を有している。磁石104は、回転子102の径方向外側の面に配置されている。固定子106は、固定子106の内縁に沿って固定子極108が規定されている積層鋼芯と、各固定子極108に配置された巻線あるいはコイル110とを有している。モータ100は、軟磁性材料10を包含してよい。
【0081】
図8を参照すると、(たとえば、固定子あるいは少なくとも固定子の一部として)ここに記載した軟磁性材料10を電動モータに組み込んでもよい。軟磁性材料10を包含する磁束モータの一つの例示的な実施形態は、一般に参照番号200で表し、以後「モータ200」と称する。モータ200は、固定子206の中に回転可能に装着された回転子202を有する、3次元磁束モータである。回転子202はシャフトとして構成してもよい。回転子202の径方向の外側の円筒形状面は回転子極212を規定し、固定子206の内縁は固定子極208を規定する。固定子206には、個々の巻線としてのコイル210が巻回されているコアを規定する複数のスロットが、固定子極208に沿って含まれる。しかし別の構成では、分布巻線として形成されたコイルを固定子極208に設けてよい。
【0082】
モータ200では、回転子極212に磁石204が配置されている。回転子極212と固定子極208は、磁石204の形状と相まって、3次元空間中の一つの平面の外側の方向に、回転子と固定子の間の磁束を向ける。磁石204は、2つの円錐形状面と当接しかつより短い直径の2つの円筒形状面で終端する、径方向外側の円筒形状面を有してよい。磁石204は形状的に単体として示されている。しかしながら、別の実施形態では、磁石は、その形状を形成する個別の分割片を含んでよい。同様に、固定子極208は、磁石204の対向面に対応する面を規定するY字形状の断面に近似するように、構成されている。さらに、Y字形状の断面により、固定子内において、モータの径方向、軸方向、および/または円周方向の1つ以上の方向に沿って、磁束が流れるようになる。
【0083】
磁石204と固定子極208の間の円錐形状の空隙214により、モータ200の径方向、軸方向、および円周方向に沿って磁束が流れるようになる。回転子極212が固定子極208の方向に延伸し、固定子極208も回転子極212の方向に延伸しているので、回転子極212と固定子極208の間の円錐形状の空隙214に円錐形状のトルク生成領域が規定され、その結果、
図7に示されている永久磁石モータ100と比較して、より高いトルク容量となる。円錐形状の空隙214により規定されたより大きな円錐形状のトルク生成領域は、トルク生成半径やコイル空間が多少小さくても、補って余りある。
【0084】
回転子202および/または固定子206(あるいは少なくとも固定子206のコア)は、高い飽和磁束密度、透磁率、およびヒステリシスによる低いエネルギー損失と渦電流によるネルギー損失を有する軟磁性材料10から作成してよい。好適な磁気特性を有し、それぞれが薄い絶縁境界に包囲された高密度の微小領域を含む微細構造により、所望の電磁気特性が実現され、たとえば一つの面内の経路など1次元の磁束経路を利用した従来のモータとは対照的に、3次元の磁束経路を利用しやすくすることができる。さらに記載する実施形態でも同様に、このような材料を利用してよい。
【0085】
次に
図9を参照すると、円筒形状の空隙を有する3次元磁束モータの変異形態を一般に300で示す。モータ300において、回転子312は、回転子極312が固定子極308に対向するように、固定子306の中に回転可能に装着されている。固定子306(あるいは少なくともそのコア)は、軟磁性材料10を含んでよい。磁石304は回転子極312に配置されている。回転子極312の磁石304と固定子極308の間の円錐形状の空隙314により規定されたトルク生成領域は、円筒形状であり、軸方向にだけ延伸している。また、固定子306の外壁307も同様に軸方向に延伸している。外壁307がこのように延びていることにより、磁束フローに利用される固定子壁の断面積を犠牲にすることなく、より薄い壁の固定子を使用することが可能となる。外壁307がこのように延びていると、コイル310用の空間も増える。円錐形状の空隙314は円筒形状であるが、回転子極312に配置されて固定子極308の近傍にある磁石304が延伸しているため、磁束は2つ以上の面方向に向けられ、それによって3次元磁束パターンが形成される。
【0086】
次に
図10Aと10Bを参照すると、磁束モータの別の例示的な実施形態は、一般に400で示される。すでに記載した実施形態と同様に、モータ400は、固定子406の中に回転可能に配置された回転子402を含む。固定子406は固定子極408とコイル410を含み、コイル410と固定子極408の両方が径方向に沿って先細りすることにより、コイル410の断面積は各固定子極408の断面積で最大限確保される。より具体的には、コイル410それぞれの円周方向の寸法は半径とともに増加するように界面416に沿って徐々に低下し、一方、固定子極408の軸方向の寸法は、半径とともに低下するように界面416に沿って徐々に低下する。ここに記載した実施例は、永久磁石モータについて表現しているが、別の態様においては、記載した実施形態の任意の実施形態を、可変リラクタンス型モータ(たとえば、非永久磁極)やその他の任意の好適なモータに適用可能である。先細り構造の固定子極408と表面が延伸された固定子極とを組み合わせることで、固定子406と回転子402の間の2つ以上の面で磁束が形成しやすくなる。
【0087】
図10Bを参照すると、2次元の先細り構造を表す固定子極408の1つの例示的な実施形態が示されている。見てわかるとおり、固定子極408の軸方向寸法は、半径が増加するにつれて高さH
1から高さH
2に低下する。また、固定子極408の円周方向の幅は、固定子極408の断面の「歯面積」を維持するため、幅W
1から幅W
2に径方向に沿って増加する。1つの例示的な態様では、固定子極408内の線束密度が断面全体にわたって維持されるように、固定子極408の先細り部の断面積を一定に維持してよい。
【0088】
次に
図11を参照すると、モータの別の例示的な変異形態を一般に500で示す。モータ500では、回転子502と固定子506を軸方向に組み立てることができる。この実施形態は、回転子502と固定子506の一端のみが(表面520に沿って)傾斜し、他端が直線状あるいは(表面522に沿って)円筒形状である点を除いて、
図10Aと
図10Bの実施形態と同様である。
図11に示した実施形態では、軸方向に沿って回転子502を固定子506に組み立てることが可能となる。別の実施形態では、すでに記載した実施形態の任意の態様を、任意の好適な組み合わせで組み合わせてよい。
【0089】
次に
図12を参照すると、モータ600は、回転子602と分割固定子606有し、固定子606は、巻回する前でも後でも、回転子602周りに簡単に組み立てられる。示されるように、モータ600は、上に例示した特徴と類似した特徴を有してよい。しかし、分割固定子606とすることで、回転子602を一つの単体として構築することが可能となり、その場合、第1の固定子部607と第2の固定子部609を回転子602周りに円周状に組み立て、該固定子部607と609を、磁束が向けられる面方向となる面に存在する分割線611で接合する。分割線611の反対側の分割固定子606の部分では、回転子602と分割固定子606の間の磁束は、2つ以上の面を含む方向に向けられ、それにより3次元磁束パターンとなる。
【0090】
次に
図13を参照すると、モータ700の別の例示的な実施形態は回転子702と分割固定子706を含み、分割固定子706は、コイル710が巻回される3つの層(内側部707、中央部709、および外側部713)に分割される。中央部709は、内側部707および外側部713とは異なる材料(たとえば積層鋼など)で作成してよい。中央部709では、磁束フローは実質的に平坦であってよい。内側部707と外側部713は、3次元磁束フローを実現しやすい材料で作成してよい。
【0091】
図14Aと14B示されるように、モータ800の別の例示的な実施形態は、第1および第2の回転子部803と805を有する分割凹形の回転子802を含み、それぞれの回転子部が対応する磁石807、809を有し、第1および第2の回転子部803と805のそれぞれが軸方向に沿って固定子806に組み立てられる。回転子802を分割構成とすることで、たとえばコイル810を巻回した後で、固定子806周りに回転子802の第1・第2の回転子部803、805を組み立てるような方法で、固定子806を一つの単体として構築とすることが可能となる。分割線817は、磁束が向けられる面方向となる面に存在する。分割線817の反対側の回転子802の部分では、回転子802と固定子806の磁束が2つ以上の面を含む方向に向けられ、それによって3次元磁束パターンが形成される。別の態様では、固定子806も2つ以上の層に分割することができる。たとえば、3つの部分に分割された固定子806では、すでに記載したように、中央部は、たとえば、積層鋼により作成してよい。モータ800は、径方向、軸方向、および円周方向に沿った磁束フローを可能にする。モータ800は、径方向に延びた固定子極808と回転子極812を有しているので、円錐形状のトルク生成空隙領域が増加し、従来のモータと比較したとき、より高いトルク容量が実現される。ここで、より大きなトルク生成領域は、トルク生成半径やコイル空間が多少小さくても、補って余りある。すでに記載したそれぞれの実施形態と同様、回転子802および/または固定子806は、高い飽和磁束密度、透磁率、およびヒステリシスによる低いエネルギー損失と渦電流によるネルギー損失を有する軟磁性材料10から作成してよい。好適な磁気特性を有し、それぞれが薄い絶縁境界に包囲された高密度の微小領域を含む、軟磁性材料10の微細構造により、所望の電磁気特性が実現され、たとえば一つの面内の経路など1次元の磁束経路を利用した従来のモータとは対照的に、3次元の磁束経路を利用しやすくすることができる。さらに記載する実施形態でも同様に、このような材料を利用してよい。別の実施形態では、すでに記載した実施形態の任意の態様を、任意の好適な組み合わせで組み合わせてよい。
【0092】
やはり
図14Aと14Bを参照して、磁石807、809は回転子極812にあって、その径方向外側の2つの円筒形状面は、回転子部803、805それぞれの2つの円錐形状面と当接し、直径がより短い2つの円筒形状面で終端している。磁石807、809はこの形状で単体として示されているが、その形状を形成する個別の分割片から構成してよい。固定子極808は、磁石803、805の対向面に対応する、同様に整形された面を有している。磁石の形状と組み合わせた極の形状により、3次元空間中の一つの平面の外側の方向に、回転子802と固定子806の間の磁束を向ける。示されたコイル810は、個別の固定子極808周りに包まれた個別の巻線として示されている。別の態様では、コイル810は分布巻線を含んでよい。
【0093】
次に
図15Aと15Bを参照すると、モータ900は、分割凹形の回転子902と分割固定子906を有するように示されている。分割凹形の回転子902は、第1の回転子部903と第2の回転子部905を有し、分割固定子906は、第1の固定子部907と第2の固定子部909を有している。
図13に示された分割固定子706とは対照的に、第1の固定子部907と第2の固定子部909のそれぞれは自分自身のコイル910、911を有し、回転子902と固定子906を組み立てる前に第1の固定子部907と第2の固定子部909のそれぞれに巻回できるようになっている。ここで、分割凹形の回転子902とすることで、たとえばすでに巻回した固定子906周りに第1の回転子部903と第2の回転子部905を組み立てるなど、分割固定子906を事前に組み立て巻回することが可能となる。固定子906は、モータ900により径方向、軸方向、および円周方向に沿って磁束を流すことができるように、分割される。モータ900では、回転子極912と固定子極908が延伸しているので、円錐形状のトルク生成空隙領域が増加し、従来のモータと比較してトルク容量がより高くなる。より大きなトルク生成領域は、トルク生成半径やコイル空間が多少小さくても、補って余りある。記載したそれぞれの実施形態と同様、回転子902および/または固定子906は、高い飽和磁束密度、透磁率、およびヒステリシスによる低いエネルギー損失と渦電流によるネルギー損失を有する軟磁性材料10から作成してよい。好適な磁気特性を有し、それぞれが薄い絶縁境界に包囲された高密度の微小領域を含む軟磁性材料10の微細構造により、所望の電磁気特性が実現され、たとえば一つの面内の経路など1次元の磁束経路を利用した従来のモータとは対照的に、3次元の磁束経路を利用しやすくすることができる。さらに記載する実施形態でも同様に、このような材料を利用してよい。別の実施形態では、すでに記載した実施形態の任意の態様を、任意の好適な組み合わせで組み合わせてよい。
【0094】
また、
図15Aと15Bに示されるように、磁石930、932は回転子極912にあって、その径方向外側の2つの円筒形状面は、回転子部903、905それぞれの2つの円錐形状面と当接し、直径がより短い2つの円筒形状面で終端している。磁石930、932はこの形状で単体として示されているが、その形状を形成する個別の分割片から構成してよい。同様に、固定子極908は、磁石930、932の対向面に対応する面を有する、整形された極である。磁石の形状と組み合わせた極の形状により、3次元空間中の一つの平面の外側の方向に、回転子902と固定子906の間の磁束を向ける。示されたコイル910は、個別の固定子極908周りに包まれた個別の巻線として示されている。別の態様では、コイル910は分布巻線を含んでよい。
【0095】
次に
図16Aと16Bを参照すると、モータ1000は、分割固定子1006と軸方向に組み立てられた分割凸形回転子1002を有するように示されている。分割凸形回転子1002は、第1の回転子部1003と第2の回転子部1005を含む。別の態様では、回転子1002を分割せずに、代わりに単体を含んでもよい。分割固定子1006は、第1の固定子部1007と第2の固定子部1009を含み、固定子のそれぞれの部分が自身のコイルセット1010、1011を有する。それぞれの固定子部1007、1009は、組み立てる前に巻回することができる。固定子1006は、モータ1000が径方向、軸方向、および円周方向に磁束を流せるように、分割される。モータ1000では、回転子極1012と固定子極1008が延伸しているので、円錐形状のトルク生成空隙領域が増加し、従来のモータと比較してトルク容量がより高くなる。より大きなトルク生成領域は、トルク生成半径やコイル空間が多少小さくても、補って余りある。記載したそれぞれの実施形態と同様、回転子1002および/または固定子1006は、高い飽和磁束密度、透磁率、およびヒステリシスによる低いエネルギー損失と渦電流によるネルギー損失を有する軟磁性材料10から作成してよい。好適な磁気特性を有し、それぞれが薄い絶縁境界に包囲された高密度の微小領域を含む軟磁性材料10の微細構造により、所望の電磁気特性が実現され、たとえば一つの面内の経路など1次元の磁束経路を利用した従来のモータとは対照的に、3次元の磁束経路を利用しやすくすることができる。さらに記載する実施形態でも同様に、このような材料を利用してよい。別の実施形態では、すでに記載した実施形態の任意の態様を、任意の好適な組み合わせで組み合わせてよい。
【0096】
やはり
図16Aと16Bを参照して、磁石1030、1032は回転子極1012にあって、その径方向外側の2つの円筒形状面は、回転子部1003、1005それぞれの2つの円錐形状面と当接し、直径がより短い2つの円筒形状面で終端している。磁石1030、1032はこの形状で単体として示されているが、その形状を形成する個別の分割片から構成してよい。同様に、固定子極1008は、磁石1030、1032の対向面に対応する面を有する、整形された極である。磁石の形状と組み合わせた極の形状により、3次元空間中の一つの平面の外側の方向に、回転子1002と固定子1006の間の磁束を向ける。示されたコイル1010、1011は、個別の固定子極1008周りに包まれた個別の巻線として示されている。別の態様では、コイル1010、1011は分布巻線を含んでよい。
【0097】
次に
図17A~17Cを参照すると、固定子断面の概略図が示されている。
図17Aは、モータコイル110、固定子極108、および固定子壁140の断面図を示している。固定子の断面積は、高さ142と幅144で示され、コイル110の幅は150、極の軸方向高さは152としてよい。固定子極108は、モータ固定子に好適な積層鋼で作成してよい。幅144で高さ142で定義された面積について後で記載するように、固定子内で3次元の磁束フローを可能とする、ここに記載した(
図17Bと17Cに示したような)軟磁性材料を使用すると、断面をより効率的に利用することができる。たとえば、
図17Bにおいて、コイル1110、固定子極1108、および固定子壁1140が示されているが、幅1176を短かくし、固定子壁1140の軸方向の高さ1178を長くして、コイル1108の断面積と長さ1180を大きくしてもよい。極の軸方向の高さは1190で示されている。さらに例を示せば、コイル1210、固定子極1208、および固定子壁1240が示されている
図17Cにおいて、
図17Bと同様に、固定子壁1240を薄くして軸方向の高さを長くすることで、固定子極の断面積を増加させてもよいが、またはコイル1210をより長くより薄くして
図17Aのコイルの断面積と同じ面積を維持してもよい。ここで、極の軸方向の高さ1290は、
図17Bに示す極の軸方向の高さ1190より長くてよい。
【0098】
次に18A~18Cを参照すると、モータ1300の別の例示的な実施形態の断面は、凸形の回転子1302と分割固定子1306を有している。固定子1306のそれぞれの半体は、自身の巻線セットを有している。単一の回転子1302と固定子1306が示されているが、別の態様では、複数の回転子および/または固定子を積層してもよい。示された実施形態は三角形の断面を含み、単一の三角形状断面あるいは凹形や凸形など複数の断面で構成してよい。さらに別の態様では、モータ1300は、凹形の回転子あるいは任意の好適な形状の回転子を備えてよい。固定子部1307、1309はそれぞれ、組み立てる前に巻回することができる。固定子部1307、1309は、先細り構造の極1308周りに巻回された傾斜巻線1310を有する。磁束は、固定子1306の上側隅部と下側隅部に三角形状の断面を有している固定子壁1340により、極から極へ向けられる。
図18Aの側断面図は、軸方向回転子1302に向かって断面が増加する、先細り構造の固定子極1308を示す。
図18Bの上断面図は、軸方向回転子に向かって断面が減少する、先細り構造の固定子極1306を示す。ここで、先細り構造を組み合わせて、固定子極1306の断面積を維持してもよい。固定子1306を分割構成とすることで、たとえば巻回の後に回転子1302周りに2つの固定子部1307、1309を組み立てるなど、固定子1306を事前に組み立てて巻回することが可能になる。固定子1306が分割された状態で示されているモータ1300では、径方向、軸方向、および円周方向に沿って磁束が流れる。他の例示的な実施形態ですでに記載したように、モータ1300では、回転子極と固定子極が延伸しているので、円錐形状のトルク生成空隙領域が増加し、従来のモータと比較してトルク容量がより高くなる。より大きなトルク生成領域は、トルク生成半径やコイル空間が多少小さくても、補って余りある。記載したそれぞれの実施形態と同様、回転子1302および/または固定子1306は、高い飽和磁束密度、透磁率、およびヒステリシスによる低いエネルギー損失と渦電流によるネルギー損失を有する軟磁性材料10から作成してよい。好適な磁気特性を有し、それぞれが薄い絶縁境界に包囲された高密度の微小領域を含む軟磁性材料10の微細構造により、所望の電磁気特性が実現され、たとえば一つの面内の経路など1次元の磁束経路を利用した従来のモータとは対照的に、3次元の磁束経路を利用しやすくすることができる。さらに記載する実施形態でも同様に、このような材料を利用してよい。別の実施形態では、すでに記載した実施形態の任意の態様を、任意の好適な組み合わせで組み合わせてよい。
【0099】
次に
図18Aと18Cを参照すると、磁石1340、1342は回転子極1312にあって、その径方向外側の2つの円筒形状面は、回転子部1307、1309それぞれの2つの円錐形状面と当接し、直径がより短い2つの円筒形状面で終端している。磁石1340、1342はこの形状で単体として示されているが、その形状を形成する個別の分割片から構成してよい。同様に、固定子極1308は、磁石1340、1342の対向面に対応する面を有する、整形された極である。磁石の形状と組み合わせた極の形状により、3次元空間中の一つの平面の外側の方向に、回転子1302と固定子1306の間の磁束を向ける。示されたコイル1310は、個別の固定子極1308周りに包まれた個別の巻線として示されている。別の態様では、コイル1310は分布巻線を含んでよい。
【0100】
次に
図19を参照すると、凸形回転子1402と固定子1406を有するモータ1400の断面が示されている。単一の回転子1402と単一の固定子1406が示されているが、別の態様では、複数の回転子および/または固定子を積層してもよい。固定子1406は、先細り構造の極1408周りに巻回された傾斜巻線1410を有する。磁束は、固定子1406の上側隅部に三角形状の断面を有している固定子壁1440により、極から極へ向けられる。示された実施形態では、巻線1410の巻回領域をさらに確保するため、三角形状断面の幅は極1408の端部でより広くなっている。同様に、回転子1402の磁石に対向する極1408の面は、示されたようにあるいは巻線1410用の巻回領域をさらに増やすために、延伸させてよい。別の実施形態では、すでに記載した実施形態の任意の態様を、任意の好適な組み合わせで組み合わせてよい。
【0101】
次に
図20と21を参照すると、固定子1506と回転子1502それぞれの等角断面図が示されている。示された例示的な実施形態では、内側に傾斜した固定子歯1550は、外側に傾斜した磁石1540の向きと垂直になる角度で配置される。このような配置により、利用可能な空間を使用して、磁束フローのための断面積を大きくしている。歯1550は、固定子歯1550各々の断面全体を磁束が流れるように、コイル1510と重なる上部1552と下部1554を有する。部分は同様に、固定子1506の歯から歯へ固定子リング1556の断面全体を磁束が流れるように、固定子リング1556のコイル1510と重なっている。極ごとに個別の巻線が示されているが、代わりに分布巻線を設けてよい。
【0102】
次に
図22と23を参照すると、組み立てられた回転子1602と固定子1606の配置が示されている。1つの例示的な態様では、単一の固定子1606と回転子1602を設けてよい。
図22に見られるように、固定子1606は、第1の固定子部1607と第2の固定子部1609を含んでよく、回転子1602は第1の回転子部1603と第2の回転子部1605を含んでよい。固定子1606と回転子1602は、第1および第2の固定子部が2つの三角形状断面を形成し、その三角形状断面どうしが狭い部分で径方向に沿って接合するように、組み立てられてよい。
図23に見られるように、第1の固定子部1607と第2の固定子部1609は、第1の回転子部1603と第2の回転子部1605とともに、固定子部が2つの三角形状断面を形成し、その三角形状断面どうしが広い部分で径方向に沿って接合するように、交互に組み立ててよい。別の態様では、任意の好適な組み合わせを設けてよい。固定子歯は凸形であり、回転子歯は凹形である。
【0103】
図20~23の例示的な実施形態では、歯の断面積とコイルの断面積を独立して決定できないことがある。結果として、コイル断面を小さくして大きな歯断面を確保したり、逆に歯断面を小さくして大きなコイル断面を確保する。後述するように、
図24~29の実施形態では、最適な設計を達成するために、歯断面を独立して変更するかどうかを選択することができる。しかし、この柔軟性と引き替えに磁石の面積が小さくなる。しかし、
図20に示す実施形態は、
図27でたとえばa=0とした場合など、
図27に示す実施形態の特別な場合である。たとえば、a=0、b=cと設定すると、
図20~23の実施形態になる。
【0104】
次に
図24と25を参照すると、回転子1702と固定子1706それぞれの等角断面図が示されている。さらに
図26を参照すると、回転子1702と固定子1706が組み立てられて示されている。
図26に示されるように、単一の固定子1706と単一の回転子1702を設けてもよい。
図28に示されるように、固定子1706は、第1の固定子部1707と第2の固定子部1709を含んでよく、そのどちらも、断面の広い部分で径方向に沿って接合する2つの断面を形成するように、第1の回転子部1703と第2の回転子部1705とを含む回転子1702と組み立てることができる。
【0105】
図29に示されるように、固定子1806は、第1の固定子部1807と第2の固定子部1809を含んでよく、そのどちらも、断面の広い部分で径方向に沿って接合する2つの断面を形成するように、第1の回転子部1803と第2の回転子部1805とを含む回転子1802と組み立てることができる。
【0106】
戻って
図27を参照すると、可変パラメータが示された固定子極の断面図が示されている。示された実施形態では、固定子歯1550は、磁石の向きと垂直となるように種々の角度で配置させた面1562、1564、および1566を有している。このような配置により、利用可能な空間を使用して、磁束フロー用の断面積を大きくしている。歯1550は、固定子歯1550の断面全体を磁束が流れるようにコイル1510と重なる上部1552と下部1554を有している。極ごとに個別の巻線が示されているが、代わりに分布巻線を設けてよい。固定子歯1550は、測定パラメータa、b、c、およびdで示されるコイル1510が最適化されるように断面が変化する部分1570、を有している。別の態様では、任意の好適な組み合わせを設けてよい。
【0107】
次に
図30と31を参照すると、固定子1906と回転子1902の等角断面図がそれぞれ示されている。示された例示的な実施形態は、固定子1906が軟磁芯1912およびポッティングされた巻線1914を有する、スロットレス固定子設計を含んでいる。軟磁芯1912は、固定子1906の表面に直接規定され(このようにしてスロットの使用を回避する)、上述したように軟磁性材料10を含んでよい。示されるように、回転子1902は、
図31と32で示された2つの片からなる回転子であってよい(第1の回転子部1903と第2の回転子部1905を含む)。あるいは、回転子1902と固定子1906のちょうど半分により、モータを作成してもよい。
【0108】
次に
図33を参照すると、スロットレスモータの別の例示的な実施形態は、一般に2000で示す。スロットレスモータ2000は、スロットレス固定子2006の中に回転可能に装着された、回転子2002を含む。回転子2002は、共に対称な、第1の回転子部2003と第2の回転子部2005を含む。スロットレス固定子2006は、一定の断面を持つ連続部分を形成する壁2007と基部2009を含む。磁石2014は、回転子2002とスロットレス固定子2006の間に装着される。コイル2010としての巻線は、自己支持され、スロットレス固定子2006周りの内向面に均等に分布されて、水平視V字形状の断面を有している。モータ2000については、以下の実施例3でさらに記載する。
【0109】
次に
図34~40を参照すると、ここに記載した軟磁性材料を組み込んでよいスロットレスブラシレス永久磁石モータは、一般に2100で示す。モータ2100はハイブリッドモータである。
図34と37を見てわかるとおり、空隙断面2110はV字形状であり、スペーサ2112を含んでよい。
【0110】
図35A~35Eに示されるように、モータ2100の固定子組立体は、一般に2120で示す。
図35Cを見てわかるとおり、固定子組立体2120は、冷却ラインなどを確保するため、その後部壁2135に切欠2130を有している(後部壁2135はコイルの輪郭に追従している)。切欠2130は、任意の好適な形状を有してよく、材料を節約するために設けてよい。切欠2130は、たとえば巻線や極の間など、固定子の1つ以上の部分で均一な磁束分布を形成するように整形してよい。
図35Eに示されるように、固定子組立体2120のコア2140は、等方性の磁気特性を有する材料で作成されている。
図35A、35B、および35Cは、固定子コア2140に巻線コイル2150を重ねた固定子の断面図を示す。
図40に示されるように、巻線コイル2150は、ポッティング材2165を使用してコア2140に結合してよい。ポッティング材2165の外表面2166は、巻線のリードおよび熱電対のリード用に供してよい。全体として、モータ2100は、固定子の直径D1(外表面2166までの直径はD2)で規定される直径と高さHを有している。
【0111】
図35Dは、個別の巻線コイル2150を示す。位相ごとに1つずつ用意された、3つの巻線コイルは、内部に熱電対を埋め込んでもよい。1つの例示的な実施形態では、固定子組立体2120は、4つのフライングリード(3つのラインリードと1つの中央タップ)でWye巻きされている。固定子組立体2120は軸方向にクランプしてもよいので、フライイングリードは、外径のところで外表面2166から固定子リングを抜ける。ポッティング材2165を使って固定子コア2140と巻線コイル2150をポッティングすることで、1つの一体化された「固定子リング」を供してもよい。
【0112】
個別の巻線コイル2150を
図35Dと
図38に示す。巻線コイル2150はそれぞれ、コイルの長さ方向に異なる矩形断面を持つ。コイルの断面積がその長さに沿ってほぼ一定を保つように、コイル断面の幅は半径ともに増加し、その厚さは低下する。
図38はこの概念を例示している。線材は、絶縁層が120℃まで安定しているあるいはクラスHの、25AWGでよい。コイルは、外部で開始して終了するalpha巻きである。コイル断面の変化に従い、空間を最適に使用するため、ワイヤグリッドはコイルの長さに沿って8×6グリッドから10×5グリッドに変化する。巻線厚さは、半径が増加するにつれて低下する。したがって、空隙の隙間はそれに応じて減少する。ただし、これは一つの示唆されたグリッドパターンに過ぎない。巻線の空間制約を満足する、代わりのもっと効率的なグリッドパターンを採用してよい。
【0113】
次に
図34と36を参照すると、モータ2100の回転子組立体は、一般に2115で示す。簡単に組み立てられるように、回転子組立体2115は略等しい2つの半体から構成され、そのうちの1つを
図36Cに示す。半体のそれぞれが異なる方向に磁化される(あるいは個々の極において磁化方向が連続的に変化している)。
【0114】
回転子組立体2115はまた、単一のリングで作成してもよく、その場合、磁化は2つの直交する方向(円周方向および極長方向)に連続変化する。回転子の半体は、1018鋼などの低炭素鋼で作成してよい。腐食を防止するため、回転子半体に粉体による被覆を施してもよい。回転子組立体2115は、複数の回転子極を有し、それぞれが2つの磁石片2160を含む。
図36Eは、回転子半体の1つ、およびそれに取り付けた磁石2160の1つを示す。それぞれの回転子半体には、それぞれ径方向に磁化される、約30個の磁石2160を設けてよい。隣接する磁石どうしは、正反対の方向に磁化される。回転子磁石2160は、残留磁束密度が約1.3のネオジムで作成してよい。特性がN42UHやN42SHあるいは同等物と類似している磁石を使用してよい。磁石形状は、すでに磁化されたブロックから切り出して、研削仕上げにより整形してよい。
図36Dと39は、1つの回転子半体における極を含む2つの磁石片を示す。示されるように、それぞれの片は、磁化方向が放射状でなく平行となるように、磁化してよい。腐食を防止するため、研削時に磁石2160を被覆してよい。
【0115】
ハイブリッドモータ2100の代わりに、径方向磁束モータを採用してよい。このようなモータは、スロットレス巻線を有する3相ブラシレス直流モータを利用してよい。このようなモータでは、積層けい素鋼で固定子を作成してよい。
【0116】
一つの実施形態では、軟磁性材料は、鉄を含有する複数の粒子、および該鉄を含有する粒子上の絶縁層を含む。絶縁層は酸化物を含む。軟磁性材料は、絶縁境界により分離された透磁性微小領域の凝集体である。絶縁層の酸化物は、アルミナを含んでよい。鉄を含有する粒子は、体心立方構造を有してよい。鉄を含有する粒子は、シリコンを含んでよい。鉄を含有する粒子は、アルミニウム、コバルト、ニッケル、およびシリコンのうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0117】
他の実施形態では、軟磁性材料は鉄を含有する複数の粒子を含み、該鉄を含有する粒子のそれぞれの上にアルミナ層が配置されている。アルミナ層を鉄含有粒子に配置することにより、高透磁率と低保磁力を有し絶縁境界で分離された微小領域の凝集体を規定する、体心立方格子の微細構造が形成される。鉄を含有する粒子は、約89wt.%鉄、約10wt.%アルミニウム、および約0.25wt.%炭素を含んでよい。鉄を含有する粒子は、シリコンを含んでてよい。鉄を含有する粒子は、アルミニウム、コバルト、ニッケル、およびシリコンのうちの少なくとも1つを含んでよい。鉄を含有する粒子を、均一組成の鉄を含有するコアにより規定し、アルミナ層は、実質的に純粋なアルミニウム酸化物を含んでよい。軟磁性材料は、均一組成の鉄-アルミニウム合金のコアを有する粒子により規定してよく、アルミナ層は、該コアの表面において実質的にゼロアルミニウム酸化物~アルミナ層の外表面において実質的に純粋なアルミニウム酸化物までの濃度勾配により規定してよい。体心立方格子の微細構造は、XZ面、YZ面、およびXY面において実質的に等方であってよい。
【0118】
軟磁性材料を作成する一つの実施形態において、方法は、鉄-アルミニウム合金粒子を供給することと、鉄-アルミニウム合金粒子の融点より低いが鉄-アルミニウム合金粒子を軟化させるのに十分に高い温度まで鉄-アルミニウム合金粒子を加熱することと、鉄-アルミニウム合金粒子を熱溶射することと、鉄-アルミニウム合金粒子を酸化させることと、鉄-アルミニウム合金粒子を基板上に堆積させること、そして大量の鉄-アルミニウム合金粒子を基板上に堆積させ、さらに基板上に堆積された鉄-アルミニウム合金粒子の連続した層に堆積させることと、該大量の鉄-アルミニウム合金粒子を熱処理することを含む。鉄-アルミニウム合金粒子は、約89wt.%鉄、約10wt.%アルミニウム、および約0.25wt.%炭素の組成を有する合金を含んでよい。鉄-アルミニウム合金粒子の加熱は、約1450℃より低く加熱することを含んでよい。鉄-アルミニウム合金粒子の溶射は、キャリアガスで鉄-アルミニウム合金粒子を気霧化することを含んでよい。鉄-アルミニウム合金粒子の溶射は、キャリアガスが約900℃~約1200℃で作動して鉄-アルミニウム合金粒子を気霧化する、高速空気燃料システムを使用することを含んでよい。鉄-アルミニウム合金粒子の溶射は、約1400℃~約1600℃で作動して鉄-アルミニウム合金粒子を薄い被膜として堆積させる、高速酸素燃料システムを使用することを含んでよい。鉄-アルミニウム合金粒子の溶射は、低エネルギープラズマ溶射を使用することを含んでよい。鉄-アルミニウム合金粒子の酸化は、鉄-アルミニウム合金粒子の外表面にアルミナを形成することを含んでよい。
【0119】
一つの実施形態では、モータは、少なくとも1つのコアを含む固定子と、前記固定子の前記少なくとも1つのコアに巻回されたコイルと、回転子極を有し前記固定子に対して回転可能に装着された回転子と、前記回転子と前記固定子の間に配置された少なくとも1つの磁石とを含む。少なくとも1つのコアは、アルミナ層が配置された鉄含有粒子により規定された複合材を含む。回転子極と固定子は、少なくとも1つの磁石と相まって、3次元空間中の一つの平面の外側の方向に、前記回転子と前記固定子の間の磁束を向けてよい。固定子は、少なくとも1つの磁石の断面形状に対応する表面を規定する断面形状に近似するように構成してよい。固定子と少なくとも1つの磁石の間に円錐形状の空隙を配置し、該円錐形状の空隙によって、モータの径方向、軸方向、および円周方向に沿って磁束が流れるようにしてもよい。回転子極を固定子の方向に延ばして、固定子と少なくとも1つの磁石の間に円錐形状の空隙を生成してよい。コイルは、径方向に先細りする構造であってよい。少なくとも1つのコアを固定子の表面に形成して、スロットレス固定子を形成してよい。回転子は、第1の回転子部と第2の回転子部を含んでよい。固定子は、少なくとも第1の固定子部と第2の固定子部を含んでよい。
【0120】
他の実施形態では、モータは、軟磁性複合材で形成された少なくとも1つのコアおよび該少なくとも1つのコアに配置されたコイルを含むスロットレス固定子と、スロットレス固定子に対して回転可能に装着された回転子と、回転子とスロットレス固定子の間で回転子に装着された少なくとも1つの磁石とを含む。軟磁性複合材は、少なくとも鉄を含有し、アルミナを含む絶縁性外面を有する粒子を含んでよい。少なくとも鉄を含有する粒子は、鉄-アルミニウム合金を含んでよい。モータは、スロットレス固定子と少なくとも1つの磁石の間に、断面形状が円錐形状の空隙を含んでよい。スロットレス固定子は連続表面を形成する壁を含み、その壁に少なくとも1つのコアが形成さてよい。軟磁性材料は、約89wt.%鉄、約10wt.%アルミニウム、および約0.25wt.%炭素を含んでよい。軟磁性材料はさらにシリコンを含んでよい。
【0121】
他の実施形態では、スロットレス磁束モータは、少なくとも1つのコアが配置された連続表面および該少なくとも1つのコアに配置された巻線により規定された固定子と、回転子極を有し固定子の中に回転可能に装着された回転子と、固定子と回転子極の間に装着された少なくとも1つの磁石とを含む。固定子と少なくとも1つの磁石の間で円錐形状の空隙が規定され、円錐形状の空隙により、モータの径方向、軸方向、および円周方向に磁束が流れるようになる。少なくとも1つのコアは、アルミナに封止された鉄含有粒子により規定された軟磁性複合材を含む。鉄を含有する粒子は、約89wt.%鉄、約10wt.%アルミニウム、および約0.25wt.%炭素を含んでよい鉄-アルミニウム合金を含んでよい。鉄を含有する粒子はさらにシリコンを含んでよい。軟磁性複合材の鉄含有粒子は、鉄-コバルト合金、鉄-ニッケル合金、および鉄-シリコン合金のうちの1つ以上を含んでよい。少なくとも1つのコアは、固定子の内向面で自己支持され、水平視V字形状の断面を有してよい。
【0122】
組成物の一つの実施形態は、鉄を含有する複数の粒子、および該鉄を含有する粒子上の絶縁層を含む。鉄を含有する粒子は、絶縁境界により分離された透磁性微小領域の凝集体を規定する。絶縁層は、酸化物を含んでよい。酸化物は、アルミニウム酸化物であってよい。鉄を含有する粒子は、体心立方構造を有してよい。体心立方構造は、3次元において実質的に等方であってよい。鉄を含有する粒子は、アルミニウム、コバルト、ニッケル、およびシリコンのうちの少なくとも1つを含んでよい。透磁性微小領域の凝集体は、高透磁率と低保磁力を有してよい。鉄を含有する粒子は、約89wt.%鉄、約10wt.%アルミニウム、および約0.25wt.%炭素を含んでよい。絶縁層は、濃度勾配を有する酸化物層により規定してよい。鉄を含有する粒子と絶縁層は、軟磁性材料を規定してよい。
【0123】
方法の一つの実施形態は、鉄-アルミニウム合金粒子を加熱することと、前記鉄-アルミニウム粒子を熱溶射することと、前記鉄-アルミニウム粒子を酸化させることと、前記酸化させた鉄-アルミニウム粒子を基板上に堆積させることとをを含む。鉄-アルミニウム合金粒子は、約89wt.%鉄、約10wt.%アルミニウム、および約0.25wt.%炭素を含んでよい。鉄-アルミニウム合金粒子の加熱は、約1450℃より低く加熱することを含んでよい。鉄-アルミニウム合金粒子の溶射は、高速空気燃料システム、高速酸素燃料システム、あるいは低エネルギープラズマ溶射を使用して溶射することを含んでよい。鉄-アルミニウム粒子の酸化は、鉄-アルミニウム合金粒子の外表面にアルミナを形成することを含んでよい。酸化させた鉄-アルミニウム粒子の基板上への堆積は、軟磁性材料を形成することを含んでよい。
【0124】
装置の一つの実施形態は、少なくとも1つのコアを有する固定子と、少なくとも1つのコア上のコイルと、固定子の中に回転可能に装着された回転子と、固定子と回転子の間に装着された少なくとも1つの磁石とを含む。少なくとも1つのコアは、酸化物層が配置された鉄を含有する粒子により規定された組成物を含んでよい。固定子はスロットレスであってよい。磁束は、回転子と固定子の間で3次元方向に向けてよい。装置は、回転子の外向面により規定された回転子極と固定子の内向面により規定された固定子極をさらに含み、少なくとも1つの磁石が、回転子の外向面に装着されていてもよい。少なくとも1つの磁石の断面形状は、固定子の内向面の断面形状に対応する面を規定してよい。少なくとも1つの磁石と回転子の内向面は、回転子と固定子の間の円錐形状の空隙を規定してよい。円錐形状の空隙により、装置の径方向、軸方向、および円周方向に磁束が流れるようにしてよい。鉄を含有する粒子により規定される組成物は、軟磁性材料を含む酸化物層を有してよい。鉄を含有する粒子は、約89wt.%鉄、約10wt.%アルミニウム、および約0.25wt.%炭素を有する合金を含んでよい。酸化物層は、アルミニウム酸化物であってよい。組成物はさらにシリコンを含んでよい。組成物は、酸化物層において濃度勾配を含んでよい。
【0125】
図41~45を参照し、軟磁性材料10を製造する際の種々の例示的な態様を、以下の実施例で記載する。
〔実施例1〕
【0126】
ここに記載する成膜工程20では、付着率が高いという理由によりHVAFシステムを選択し、絶縁境界特性および電磁気特性を持つ材料の試料を生成した。材料特性を評価するために2つの異なるHVAF設定値を選択した。第1の設定値は、理論空燃比の燃料-空気混合物に対応させた。第2の設定値は、キャリアガス温度がより低温となるより希薄な混合物に対応させた。第2の設定値は、完全溶融粒子の割合が低い微細構造を生成した。さらに、両方の設定値により生成された試料の一部に対して熱処理工程を実施し、試料を温度1050℃(共融温度より50℃高い温度)まで加熱し、還元性環境にて4時間その温度を維持し、その後室内温度までゆっくりと冷却して表1(下記)に示されるような試料1Aと2Aをそれぞれ生成した。試料は、薄い矩形試料、ならびに直径約2インチ、厚さ約0.25インチのリング状試料として生成した。薄い矩形は、電子顕微鏡ならびににX線回折システムより、微細構造を検討するのに使用した。リングは、ASTM A773標準による磁気特性を与えるために使用した。
【0127】
薄い矩形試料の断面を研磨し、エッチングを施し、電子顕微鏡ならびにエネルギー分散分光法(EDS)システムにより観察して、断面全体の元素マップを作成した。
図41は、試料2Aの断面(電子像1)、ならびに鉄、アルミニウム、および酸素元素に対応する元素マップを示す。酸素原子は主に粒子境界に濃縮し、鉄原子は粒子境界には存在しない。アルミニウム原子は粒子内部よりも境界において濃度が高く、これは粒子境界が優れた電気絶縁体であるアルミナから構成され、粒子内部が所望の軟磁性材料であるFe-Al合金から構成されているということを示している。この観察結果の裏付けとして、材料のX線回折スペクトルを示す
図42により、Fe-Al合金とともにアルミナが存在することが確認できる。
【0128】
このように、アルミナから構成される絶縁層は、高い温度でも(酸化鉄から作成された絶縁層と違って)安定することができる。電子顕微鏡画像から、絶縁境界の厚さは100nm~約500nmの範囲内にあると予想された。
【0129】
ASTM A773標準にしたがい、
図41に示したリング状試料に対しても磁気特性の測定を実施した。試料1、1A、2および2Aに対して以下の特性を測定した:着磁用磁場40kA/maまでの磁化曲線(B-H曲線)、40kA/mでの線束密度、B
sat@40kA/m、保磁力、H
c、線束密度1Tでの着磁用磁場、H
1T、ゼロ線束密度での比透磁率、m
r、DCエネルギー損失(ヒステリシスによる)、および磁束密度振動数60Hz、400HzでのACパワー損失。試料の結果を表1に示す。
[表1:フェーズ-1試料(P1で示す)と比較した、リング試料1、2、1A、および2Aの測定磁気特性]
【0130】
ここに記載したような軟磁性材料を電動モータで使用するには、飽和磁束密度と比透磁率を最大化し、必要な着磁用磁場、保磁力、DCエネルギー損失、およびACパワー損失を最小化する必要がある。表1の結果は、試料1Aが最大の飽和磁束密度、初期透磁率、および最小のDCエネルギー損失を有し、一方試料2Aが最小のACパワー損失を有していることを示している。焼鈍された試料は、焼鈍されていない対応部材と比較して、より高い透磁率と飽和磁束密度、およびより低い保磁力を有している。焼鈍することにより内部応力と転位密度が減少して粒径が増加した結果、磁性領域境界の移動に対する抵抗が減少する。試料1と1Aは試料2と2Aより高い燃焼温度に対応するので、より低い多孔性と関連した完全溶融粒子の割合が高くなる。結果として試料1Aは、試料2Aよりも透磁率が高くなり、保磁力が低くなる。これに対し資料2Aは、その完全溶融粒子の割合が低いため、渦電流が小さくなり、それに対応してACパワー損失も小さくなる。
【0131】
絶縁層は高温で安定したアルミナから構成されているので、飽和磁束密度と透磁率を改善し、また絶縁層と渦電流損失を犠牲にせずに保磁力を減少させるうえで、熱処理は非常に有効である。試料1Aと2Aに関して言えば、これらの試料は、表1のP1で表す試料よりも望ましい磁気特性を有している。
【0132】
さらなる磁気特性の改善は、粒子の化学的性質とサイズだけでなく工程パラメータを変化させることで達成できる。たとえば、燃焼温度が試料1と2の燃焼温度の間に落ち着くような最適な工程パラメータのセットが存在し、その結果、完全溶融粒子の割合が低くなると同時に、多孔性を無視できるレベルに抑えることができるかもしれない。また、より大きなサイズの粒子の粉体を使用すると、磁性領域の境界がより自由に移動できるようになるので、その結果ヒステリシス損が低下するかもしれない。また、合金の炭素含有量を0.05%より低くすると、炭化不純物が著しく低下し、ヒステリシス損が小さくなる。また、Fe-Al合金には、より低い最適なレベルのアルミニウムの割合が存在し、粒子間絶縁の完全性を損なうことなく、飽和磁束密度を増加させる可能性がある。
〔実施例2〕
【0133】
上記検討した粒子サイズと形状は、サイズが15~45マイクロンの範囲内、形状は球形だった。磁性材料は、印加された磁場の方向に成長する磁性微小領域の凝集体から構成される。材料が粒子の凝集体から構成される場合、絶縁層の存在が、領域境界の移動を粒子境界に制限し、それによって、有効な透磁率と飽和磁束密度が制限され可能性がある。また、材料特性のシミュレーションにより、境界の寸法に対する粒子寸法の理想的な「比」が1000:1であることが示されるかもしれない。上記得られた絶縁層の厚さは0.1~0.5マイクロンだったので、粒子サイズが100~200マイクロンの範囲にあることが一般に望ましい。
【0134】
HVAFとHVOFを使用する熱溶射工程において、典型的な粒子サイズは15~45マイクロンの範囲にある。この範囲の粒子サイズにより、高密の固体堆積物を形成するのに十分な速度と温度を得ることができるからである。より大きなサイズの粒子を溶射するためには、粒子へのエネルギー入力とエンタルピー入力を上昇させるために一定の工程変更が必要になる。
【0135】
より大きなサイズの粒子を溶射できるかどうかを判断するため、熱溶射粉体(スイスのOerlikon Metcoより入手可能なMetco-450NS)を使って実験を行った。これは、サイズがより大きい45~90マイクロンの範囲にある、95%ニッケルと5%アルミニウムの合金である。粒子に入力される熱エネルギーは、燃焼室を選択することにより制御し、機械的エネルギー入力は、収束発散ノズルの適正な射出直径を選択することにより制御した。いくつかの実験の後、堆積された粒子による高密度の層が得られた。
図43は、得られた材料の微細構造を示す。底部の材料層は、より小さい燃焼室を使って溶射し、上部の層は、より大きな燃焼室を使って溶射した。射出粒子の速度は、収束-発散ノズルの適切なサイズを選択することで制御した。
【0136】
霧化処理を支援するため炭素を添加するが、炭素は鉄と固溶体を形成せずに、代わりに折出炭化物を形成してしまい、それが磁性領域境界の移動を妨害して、結果として透磁率と飽和磁束密度を低下させてしまう。したがって、炭素の代わりにシリコン(透磁率を改善する)を使って、霧化処理を実現した。濃度が7.5%より低いと、シリコンはBCC格子構造を有する固溶体を形成し、折出物を形成しなかった。またシリコン濃度が低い場合、
図44Aと44Bの状態図に示すように、1500℃より低い温度では、シリコンはアルミナの形成を妨げることはなかった。
図44Aと44Bはそれぞれ、BCC構造を示すFe-9%Al-Si合金の、1400℃までの等値線(
図44A(a))、アルミナの形成に好適なFe-9%Al-1%Si-Oの等値線(
図44A(b))、BCC構造を示すFe-10%Al-Cの、1000℃までの等値線(
図44B(a))、およびアルミナの形成に好適なFe-10%Al-Oの等値線(
図44B(b))、を表している。このような検討の後、溶射形成試験には、Fe-9%Al-1%Siの合金組成を選択した。気霧化処理により、上記濃度を有する粉体がうまく生成され、炭素濃度は0.04%に減少した。シリコンの添加により、合金の融点が若干低下した。これは、より大きなサイズの粒子を溶射するうえで有利になると予想された。
【0137】
合金用元素としてアルミニウムが存在することで、絶縁層の形成が容易になった。しかし同時に、材料の飽和磁束密度も低下することとなった。重量比10%において、合金の飽和磁束密度は、純鉄の飽和磁束密度と比較して20%低下した。このようにして、以下の条件を満足する化学組成の粒子を持つことが望ましいと判断された。
【0138】
(a)表面においてアルミニウム酸化物の連続した層を形成するため、表面では十分な濃度のアルミニウム、それと同時に、高い飽和磁束密度を確保するため、表面下にはアルミニウムが少量しかあるいは全く存在しない。
【0139】
(b)表面上のアルミニウムは、アルミニウム元素としてではなく、鉄とアルミニウムの固溶体として存在する必要がある。これは、アルミニウム元素が、熱溶射の作動温度より低い融点を有しているからである。また、酸化していないアルミニウム元素は、望ましくない導電境界を粒子領域の周囲に形成してしまう。
実施例3
【0140】
スロットレスモータ2000の近似性能特性得るため、コンピュータモデリングプログラムを使用して、分析モデルを開発し実装した。モデルは、固定子と回転子の極数、巻線の巻数、および磁石と固定子の歯の近似寸法など、所望のモータパラメータセットを得るのに使用した。モデルによると、20個の回転子極を有し、表2の寸法に一致するハイブリッド界磁モータにより、同じ制約条件で設計した従来のモータと比較して、24%高いモータ定数が実現される。
[表2:モータ寸法仕様]
【0141】
しかし、分析モデルには、軟磁性材料のB-H曲線における非線形性と磁束飽和を考慮しないという点で制限がある。同じ理由で、分析モデルは、他の構成のモータ定数値を推定するのに十分ではない。より精密な解決を得るため、有限要素分析法を使って他の構成のモータを解析した。まず、モータの精巧な幾何モデルを開発し、モータの有限要素分析を実施した。
【0142】
モータ設計工程の最適化基準として、(a)静的な定速条件下でモータ効率を最大化すること、および(b)定速動作条件下でトルク容量を最大化すること、を含めた。
【0143】
モータ2000の部品を形成するのに、ニア・ネット・シェイプ製造を使用した。ASTM A773標準にしたがって磁気特性を測定するために使用したリング状部品は、熱工程を使用して溶射した。リング状試料を得る際に使用した戦略を変更して、
図33に示すスロットレス、コアレスモータを作成するのに必要な固定子幾何形状を得た。他のモータの固定子幾何形状を得るため、マスクやステンシルを使用したり、材料堆積の深度測定値に応じて(
図45に示されるように)ステンシルの動作を制御する、という戦略を利用した。このためには、堆積された材料の厚さを測定する測定システム、および溶射システムを制御するロボットと連携させたステンシル作動機構が必要だった。測定システム、ステンシル作動機構、および溶射システムの間の連携作業を実施する主制御装置として、コンピュータを動作させた。
【0144】
3-D印刷により得られた型を製造するのに、複雑な形状のステンシルとマスクを採用した。3-D印刷された型を使用して、固定子のプロトタイプを作成した。このプロトタイプ作製能力により、特に熱溶射法を利用した工程に関して、固定子設計の精査がはかどった。
【0145】
次に
図46A~46Cを参照すると、
図32に示したモータの別の態様が示されている。示された実施形態では、モータは、
図32に示したスロットレスモータと対照的に、スロット付きモータである。固定子1906'は、固定子1906と類似した適用可能な特徴を有してよく、モータの軸方向から見た場合の、歯2202と巻線2204の断面図が
図46Cのような、極や歯が設けられている。
図46Aは、固定子の接線方向から、歯2202の中心を通るように見た場合の、歯2202と巻線2204の断面図である。
図46Bは、固定子の接線方向から、歯2202の中心から外れて、歯2202と巻線2204を通るように見た場合の、歯2202と巻線2204の断面図である。歯2202では、その面2206とリング部2208が、コア部2210を介して接続されている。ここで、固定子1906'は、巻線2204の断面が実質的に変化しないように、かつ歯2202の断面が磁束経路に沿って実質的に変化しないように、構築される。面部2206は、回転子1902の磁石部分と界接する円錐形状面と、巻線2204と界接する対向面を有するように示されている。コア部2210は面部2206からリング部2208へ延伸し、巻線2204のワイヤが巻回される構造を形成する。ここで、コア部2210は、たとえば
図46Aと46Cに示されるように、巻線2204の断面が実質的に変化しないように、かつ歯2202の断面が磁束経路に沿って実質的に変化しないように、非均一な断面を有してよい。リング部2208は、示されるような三角形状断面を有し、隣接歯のための隣接構造と磁束経路を提供してよい。固定子1906'は、示された幾何形状により記載したが、任意の好適な幾何形状を設けてよい。固定子1906'あるいは記載されたような任意の他の固定子は、示されるような突出巻線あるいは分布巻線を備えてよい。同様に、記載されたどの固定子も、斜極あるいは任意の好適の幾何形状の極を有してよい。同様に、記載されたどの固定子も、記載されたような任意の好適な軟磁性材料、あるいは焼結された材料、機械加工された材料、積層された材料などの任意の好適材料、で作成してよい。
【0146】
ただし、上の記載は例に過ぎないことを理解すべきである。当業者は、様々な代替例と変形例を考案することができる。たとえば、種々の従属請求項に記載した特徴は、任意の好適な組み合わせで互いに組み合わせでよい。また、上記異なる実施形態から抜粋した特徴を選択的に組み合わせて、新たな実施形態としてももよい。したがって、上の記載は、添付の請求項の範囲を逸脱しないい限り、このような代替例、変形例、および変異例をすべて包含することを意図している。
【0147】
最後に、本願パテントファミリの最初の出願(特願2016-517291)の出願当初の特許請求の範囲に記載された実施例を載せておく。
[実施例1]
鉄を含有する複数の粒子と
前記鉄を含有する粒子上の絶縁層とを含み、
前記鉄を含有する粒子が、絶縁境界により分離された透磁性微小領域の凝集体を規定する組成物。
[実施例2]
前記絶縁層が酸化物を含む、実施例1に記載の組成物。
[実施例3]
前記酸化物がアルミニウム酸化物である、実施例2に記載の組成物。
[実施例4]
前記鉄を含有する粒子が体心立方構造を有する、実施例1に記載の組成物。
[実施例5]
前記体心立方構造が3次元において実質的に等方である、実施例4に記載の組成物。
[実施例6]
前記鉄を含有する粒子がアルミニウム、コバルト、ニッケル、およびシリコンの少なくとも1つを含む、実施例1に記載の組成物。
[実施例7]
透磁性微小領域の前記凝集体が高透磁率と低保磁力を有している、実施例1に記載の組成物。
[実施例8]
前記鉄を含有する粒子が約89wt.%鉄、約10wt.%アルミニウム、および約0.25wt.%炭素を含む、実施例1に記載の組成物。
[実施例9]
前記絶縁層が濃度勾配を有する酸化物層により規定される、実施例1に記載の組成物。
[実施例10]
前記鉄を含有する粒子および前記絶縁層が軟磁性材料を規定する、実施例1に記載の組成物。
[実施例11]
鉄-アルミニウム合金粒子を加熱し、
前記鉄-アルミニウム粒子を熱溶射し、
前記鉄-アルミニウム粒子を酸化させ、
前記酸化させた鉄-アルミニウム粒子を基板に堆積させる、ことを含む方法。
[実施例12]
前記鉄-アルミニウム合金粒子が約89wt.%鉄、約10wt.%アルミニウム、および約0.25wt.%炭素を含む、実施例11に記載の方法。
[実施例13]
前記鉄-アルミニウム合金粒子を加熱することが約1450℃より低く加熱することを含む、実施例11に記載の方法。
[実施例14]
前記鉄-アルミニウム合金粒子を熱溶射することが高速空気燃料システム、高速酸素燃料システム、あるいは低エネルギープラズマ溶射を使用して溶射することを含む、実施例11に記載の方法。
[実施例15]
前記鉄-アルミニウム粒子を酸化させることが前記鉄-アルミニウム合金粒子の外表面にアルミナを形成することを含む、実施例11に記載の方法。
[実施例16]
前記酸化させた鉄-アルミニウム粒子を基板に堆積させることが軟磁性材料を形成することを含む、実施例11に記載の方法。
[実施例17]
少なくとも1つのコアを有する固定子と、
前記少なくとも1つのコア上のコイルと、
前記固定子の中に回転可能に装着された回転子と、
前記固定子と前記回転子の間に装着された少なくとも1つの磁石と、
を備え、前記少なくとも1つのコアが、酸化物層が配置された鉄を含有する粒子により規定された組成物を含む、装置。
[実施例18]
前記固定子がスロットレスである、実施例17に記載の装置。
[実施例19]
前記磁束が前記回転子と前記固定子の間で3次元方向に向けられる、実施例17に記載の装置。
[実施例20]
前記回転子の外向面により規定される回転子極と、前記固定子の内向面により規定される固定子極とをさらにを含み、前記少なくとも1つの磁石が前記回転子の前記外向面に装着された、実施例17に記載の装置。
[実施例21]
前記少なくとも1つの磁石の断面形状が前記固定子の前記内向面の断面形状に対応する面を規定する、実施例20に記載の装置。
[実施例22]
前記少なくとも1つの磁石および前記回転子の前記内向面が、前記回転子と前記固定子の間で円錐形状の空隙を規定する、実施例20に記載の装置。
[実施例23]
前記円錐形状の空隙が前記装置の径方向、軸方向、および円周方向に磁束を流すことができる、実施例22に記載の装置。
[実施例24]
酸化物層を有する鉄を含有する粒子により規定された前記組成物が軟磁性材料を含む、実施例17に記載の装置。
[実施例25]
前記鉄を含有する粒子が、約89wt.%鉄、約10wt.%アルミニウム、および約0.25wt.%炭素を有する合金を含む、実施例17に記載の装置。
[実施例26]
前記酸化物層がアルミニウム酸化物である、実施例17に記載の装置。
[実施例27]
前記組成物がさらにシリコンを含む、実施例17に記載の装置。
[実施例28]
前記組成物が前記酸化物層の濃度勾配を含む、実施例17に記載の装置。