(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103400
(43)【公開日】2023-07-26
(54)【発明の名称】老視を治療するための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/439 20060101AFI20230719BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20230719BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230719BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230719BHJP
A61K 45/06 20060101ALI20230719BHJP
A61K 31/4409 20060101ALI20230719BHJP
A61K 31/498 20060101ALI20230719BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20230719BHJP
A61K 47/40 20060101ALI20230719BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20230719BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20230719BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20230719BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20230719BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20230719BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20230719BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20230719BHJP
A61K 31/165 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
A61K31/439
A61P27/02
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K45/06
A61K31/4409
A61K31/498
A61K47/38
A61K47/40
A61K47/26
A61K47/34
A61K47/10
A61K47/02
A61K47/18
A61K47/12
A61K47/04
A61K31/165
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081444
(22)【出願日】2023-05-17
(62)【分割の表示】P 2021133867の分割
【原出願日】2014-08-22
(31)【優先権主張番号】61/871,215
(32)【優先日】2013-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/882,998
(32)【優先日】2013-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/904,510
(32)【優先日】2013-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/917,620
(32)【優先日】2013-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/938,438
(32)【優先日】2014-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516060727
【氏名又は名称】レンズ・セラピューティクス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド・ホーン
(72)【発明者】
【氏名】リー・ノーダン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】少ない副作用で非侵襲性で便利な老視の治療のための組成物を提供する。
【解決手段】好ましくは、組成物はアセクリジンを別個に、または毛様体筋麻痺薬と一緒に、及び/またはノニオン性界面活性剤及び粘度強化剤と一緒に、及び/または低濃度の選択的α-2アドレナリン受容体アゴニストと一緒に使用する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アセクリジンを含む老視を治療するための眼科用組成物。
【請求項2】
更に毛様体筋麻痺薬を含む請求項1に記載の眼科用組成物。
【請求項3】
更に選択的α-2アドレナリン受容体アゴニストを含む請求項1に記載の眼科用組成物。
【請求項4】
前記毛様体筋麻痺薬はトロピカミドである請求項2に記載の眼科用組成物。
【請求項5】
前記選択的α-2アドレナリン受容体アゴニストはブリモニジンである請求項3に記載の眼科用組成物。
【請求項6】
一般的縮瞳薬及び毛様体筋麻痺薬を含む老視を治療するための眼科用組成物。
【請求項7】
更に粘度強化剤、及びアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及びその組合せからなる群から選択される界面活性剤を含む請求項6に記載の眼科用組成物。
【請求項8】
前記粘度強化剤はカルボキシメチルセルロースであり;
前記アニオン性界面活性剤はγ-シクロデキストリン、キャプティソル(R)、ナトリウムラウリルスルフェート及びナトリウムエステルラウリルスルフェートからなる群から選択され;
前記ノニオン性界面活性剤はポロキサマー、ポリソルベート、スパン(R)20-80、ポリオキシアルキル、シクロデキストリン及びその誘導体からなる群から選択される;
請求項7に記載の眼科用組成物。
【請求項9】
前記界面活性剤はキャプティソル(R)、ポリオキシ40ステアレート及び2-ヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリンからなる群から選択される請求項7に記載の眼科用組成物。
【請求項10】
更にポロキサマー188、ポリオキシ40ステアレート、ポリオキシ35ヒマシ油、ポリソルベート、スパン(R)20-80、チロキサポール及びその組合せからなる群から選択される1つ以上の追加の非イオン性界面活性剤を含む請求項7に記載の眼科用組成物。
【請求項11】
前記毛様体筋麻痺薬はピレンゼピン、トロピカミド、サイクロジル(R)、4-ジフェニルアセトキシ-N-メチルピペリジンメチオジド(4-DAMP)、AF-DX 384、メトクトラミン、トリピトラミン、ダリフェナシン、ソリフェナシン、トルテロジン、オキシブチニン、イプラトロピウム、オキシトロピウム、チオトロピウム、オテンゼパド及びその組合せからなる群から選択される請求項6に記載の眼科用組成物。
【請求項12】
前記毛様体筋麻痺薬はトロピカミドである請求項11に記載の眼科用組成物。
【請求項13】
前記一般的縮瞳薬はピロカルピン、カルバコール及びホスホリンアイオダイドからなる群から選択される請求項6に記載の眼科用組成物。
【請求項14】
約0.25%から約2.0%w/vの濃度のアセクリジン;及び
約0.025%から約0.1%w/vの濃度のトロピカミド;
を含み、
w/vは重量/体積を示す老視を治療するための眼科用組成物。
【請求項15】
更に約0.1%から約1.2%w/vの濃度のカルボキシメチルセルロース(1%=2,500cp);及び
約0.01%から約1.0%w/vの濃度の塩化ナトリウム;
を含み、
w/vは重量/体積を示す請求項14に記載の眼科用組成物。
【請求項16】
アセクリジンは約1.40~1.45%w/vの濃度で存在し、
トロピカミドは約0.044%w/vの濃度で存在し、
カルボキシメチルセルロースは約0.85%w/vの濃度で存在し、
塩化ナトリウムは約0.05%から0.90%w/vの濃度で存在し、
前記組成物は更に、
約10ミリモルの濃度のホウ酸緩衝液;
約0.01%w/vの濃度の塩化ベンザルコニウム;
約5.5%w/vの濃度のポリオキシ40ステアレート;
約0.2%w/vの濃度のシトレート;
を含み、
前記組成物は約7.0のpHを有し、
w/vは重量/体積を示す請求項15に記載の眼科用組成物。
【請求項17】
アセクリジンは約1.40 w/vの濃度で存在し、
トロピカミドは約0.044%w/vの濃度で存在し、
カルボキシメチルセルロースは約0.80%から約0.85%w/vの濃度で存在し、
塩化ナトリウムは約0.05%w/vの濃度で存在し、
前記組成物は更に、
約10ミリモルの濃度のホウ酸緩衝液;
約0.01%w/vの濃度の塩化ベンザルコニウム;
約5.5%w/vの濃度のポリオキシ40ステアレート;
約0.01%w/vからの濃度のジカルシウムジエチレントリアミンペンタ酢酸(“Ca2DTPA”);
を含み、
前記組成物は約7.0のpHを有し、
w/vは重量/体積を示す請求項15に記載の眼科用組成物。
【請求項18】
アセクリジンは約0.5%w/vの濃度で存在し、
前記組成物は更に、
約0.1%w/vのポロキサマー188;
約0.2%w/vのポロキサマー407;
約5%w/vのポリオキシステアレート;
約0.25%w/vのポリオキシ35ヒマシ油;
約0.80%から約0.85%w/vの濃度のカルボキシメチルセルロース;
約0.25%w/vの濃度の塩化ナトリウムを含み、
約0.02%w/vの濃度の過ホウ酸塩を含んでもよく;
約4から約75mMの濃度のクエン酸緩衝液を含んでもよく;
約0.03%w/vの濃度のグアンファシンを含んでもよく;前記組成物は約5.0から約8.0のpHを有し、
w/vは重量/体積を示す請求項1に記載の眼科用組成物。
【請求項19】
アセクリジンは約1.35%w/vの濃度で存在し、
トロピカミドは約0.044%w/vの濃度で存在し、
カルボキシメチルセルロースは約0.80%w/vの濃度で存在し、
塩化ナトリウムは約0.025%から約0.50%w/vの濃度で存在し、
前記組成物は更に
約5.0%から約6.0%w/vの濃度のポリオキシ40ステアレート;及び
リン酸緩衝液及びホウ酸緩衝液からなる群から選択される緩衝液;
を含み、
前記緩衝液の濃度は約4.0ミリモルから約5.0ミリモルであり、
w/vは重量/体積を示す請求項15に記載の眼科用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は老視を治療するための組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人は年をとると、遠見視力を矯正したり、遠見視力が裸眼で優れているならば、対象物がはっきり見える眼からの最短距離は長くなる。例えば、10才の人は、優れた遠見視力を保持しながら、彼の眼からたった3インチ(0.072メートル)、すなわち「焦点」で、40才の人は6インチ(0.15メートル)で、60才の人は不便な39インチ(1.0メートル)で対象物に焦点を合わせることができる。こうした優れた裸眼遠見視力を有する個人の長い最短焦点距離の状態は老視と呼ばれており、大まかに「老眼」と説明されている。
【0003】
優れた裸眼遠見視力は正視としても公知である。遠い焦点に焦点を合わせることができないことは近視として公知であり、近い焦点に焦点を合わせることができないことは遠視として公知である。具体的には、「遠見」視力は眼から1メートル以上の焦点と見なされ、近見視力は眼から1メートル未満の焦点である。対象物がはっきり見える最短焦点距離は「近点」として公知である。遠点から近点への焦点及びその間の焦点の変化は調節と称される。調節はしばしばジオプターで測定されている。ジオプターは焦点距離(単位メートル)の逆数を取ることにより計算される。例えば、10才の眼から60才の眼への調節の減少は約13ジオプター(1÷0.072メートル=13.89ジオプター;1÷1メートル=1ジオプター)である。
【0004】
老視の最初の愁訴の最高頻度は42~44才の人で起こる。人は年をとるにつれて近距離反射-瞳孔収縮、眼の輻輳、及び特に毛様体筋収縮を用いる眼の調節能力が低下するために、老視が生ずる。このように調節能力が低下する結果、正常な肥厚が十分に変化せず、遠い対象物から近い対象物に焦点を移すために必要な水晶体前面が大きく湾曲する。老視により影響される重要な短焦点タスクはコンピュータースクリーンを見ること(21インチ)及び印刷物を読むこと(16インチ)を含む。
【0005】
老視は老化の正常な不可避の影響であり、年をとった40才代の多くの人にとって最初の明白なサインである。1つの研究から、2005年に世界中で10億人以上が老視であったことが分かった。この同一の研究は、2050年までにこの数がほぼ2倍になると予測した。45才以上の誰もが老視であると見なされるならば、2010年に米国だけでも推定1億2200万人の人が老視を有している。ベビーブーマーが更年期に達したら、この数は増えそうである。
【0006】
老視は、以前はほぼ直ぐにできた遠点と近点の両方に焦点を合わせることを必要とする多くのタスクで迅速に機能する能力が制限されると起こる徴候を有している。老視患者では、これらのタスクは眼鏡、コンタクトレンズを使用することにより、または侵襲手術を受けた後にのみ実施し得る。1つの光学修飾のモノビジョン法は、眼鏡、コンタクトレンズを使用して、または手術して実行され得る。モノビジョン法は短焦点のために1つの眼、長焦点のために他の眼を矯正する。しかしながら、モノビジョン矯正は通常奥行感覚及び特に薄暗い所(例えば、夜間)での遠見視力のロスを伴う。老視を緩和するために開発された他の外科的処置には、(1)眼内レンズ(イントラコア(R);Technolas Perfect Vision GMBHの登録商標)の挿入;(2)角膜の変形(PresbyLASIK及び伝導式角膜形成術);(3)強膜バンド拡張;及び(4)角膜インレー(フレキシビュー・マイクロレンズ(R);PresbiBio LLCの登録商標、カムラ(R);AcuFocus,Inc.and Vue+の登録商標)の挿入;が含まれる。AcuFocus製カムラ(R)角膜インレーは、焦点深度を高めるために角膜上にピンホールをはめ込むことにより働く。同様の効果が一般的縮瞳薬、例えばピロカルピン(非選択的ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニスト)、カルバコール(非選択的ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニスト)、及びホスホリンアイオダイド(アセチルコリンエステラーゼ阻害剤)を用いて達成され得る。これらの一般的縮瞳薬は増加した毛様体筋収縮をトリガーし、残存する予備能を調節して、幾つかの調節機能をなお保持している個人の遠見視力を犠牲にして近見視力を改善する。これらの一般的縮瞳薬は縮瞳(すなわち、収縮)により起こるピンホール効果により焦点深度を調節が生ずる程度まで改善し得るが、ピンホール効果は遠見に対して誘発性調節性近視を部分的にしか相殺しない。ピロカルピンまたはカルバコールを用いるような幾つかの場合には、誘発性調節は最大5ジオプター以上の誘発性近視を生じさせる恐れがあり、これにより通常及び遠点から近点に焦点を移す間にぼやけた遠見視力が生ずる。これらの一般的縮瞳薬はまた相当な充血、重い鼻閉を生じたり、毛様体筋痙攣を起し、これらは一般的に重症で長く持続し得る不快感を誘発する。極端な場合には、毛様体筋痙攣により網膜剥離が生ずる恐れがある。
【0007】
縮瞳薬は老視を治療するために各種特許及び特許出願に記載されている。米国特許第6,291,466号及び6,410,544号は、毛様体筋の収縮を調節して眼をその静止状態に戻し、潜在的にその調節能力を回復させるためのピロカルピンの使用を記載している。
【0008】
US米国特許出願公開第2010/0016395号は、毛様体筋痙攣に由来する眼瞼痛を軽減し、毛様体筋収縮を調節する時間を延ばすためのピロカルピンと非ステロイド系抗炎症剤のジクロフェナクの併用を記載している。PCT出願公開WO/2013/041967は、老視のような眼の状態を一時的に解消するためのピロカルピンとオキシメタゾリンまたはメロキシカムの併用を記載している。
【0009】
米国特許第8,299,079号(HEK Development LLC)は、直接作用型一般的縮瞳薬、例えばピロカルピン、カルバコール及びホスホリンアイオダイドと0.05%から3.0%w/vの濃度のブリモニジンの併用を記載している。しかしながら、0.05%w/v以上の濃度のブリモニジンを使用すると、反撥性充血が高まる。例えば、0.20%w/vのブリモニジン(アルファガン(R);Allergan,Inc.の登録商標)を1日2回使用すると患者の25%で反撥性充血が生ずる。
【0010】
老視のための縮瞳治療へのこれらの試みはすべて、遠見視力をほぼ法的盲まで減少させる数ジオプターの一過性近視を引き起こし、または改善された近見視力を犠牲にして典型的には数時間持続するその最大作用時間を悪化させる。
【0011】
よって、当業界では少ない副作用で非侵襲性で便利な老視の治療が要望されている。具体的には、老視を患っている人が低下した遠見視力、ぼやけ目、痛み、充血、損なわれた夜間運転または暗所視の無能化、誘発された鼻閉、または網膜剥離のリスクのような重大な副作用を呈することなく近い対象物に焦点を合わせることができる眼科用組成物が要望されている。更に、前記治療は数分での迅速発現、及び約1.65~2.40mm、より好ましくは1.80mm~約2.2mmの縮瞳を達成する数時間の最大作用時間を与えなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6,291,466号明細書
【特許文献2】米国特許第6,410,544号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2010/0016395号明細書
【特許文献4】国際公開2013/041967号
【特許文献5】米国特許第8,299,079号明細書
【発明の概要】
【0013】
特定の実施形態において、本発明は、老視を治療するための組成物及び方法に関する。
【0014】
特定の実施形態において、本発明は、M1及びM3ムスカリン性アセチルコリン受容体を優先的に活性化するムスカリン性アゴニストを含む老視を治療するための組成物及び方法に関する。更により好ましい実施形態において、ムスカリン性アゴニストはM3よりもM1に対してより高選択的である。最も好ましい実施形態において、ムスカリン性アゴニストはM1のみを活性化する。
【0015】
特定の実施形態において、本発明は、
式I:
【0016】
【0017】
【化2】
(上記式中、
R
1はH、O、CH
3、アルキル、アセチル、アシル、アジリジン、ニトリル、イミン、ニトリル-イミンメチル置換、結合しているエステルでのニトリル-イミンメチル置換、芳香族環、置換芳香族環、アジド、アセトアミド、ピリジン、置換ピリジン、ピロリジン、置換ピロリジン、イミダゾール、置換イミダゾール、1個以上の炭素原子がOまたはSで置換されているイミダゾール、1個以上の炭素原子がOまたはSで置換されている置換イミダゾール、ベンゾイミダゾール、置換ベンゾイミダゾール、1個以上の炭素原子がOまたはSで置換されているベンゾイミダゾール、または1個以上の炭素原子がOまたはSで置換されている置換ベンゾイミダゾールであり;
R
2はH、O、CH
3、アルキル、アセチル、アシル、ニトリル、イミン、ニトリル-イミンメチル置換、またはエステル-O-アルキルであり;
R
3はH、CH
3、アシル、アセチル、またはエステルであり;
R
4はアシル、アセチル、エステル、CH
3、アルキル、芳香族環、置換芳香族環、シクロヘキサン、または置換シクロヘキサン環であり;
R
1及びR
2の各々は独立してキヌクリジン環の-CH
2-のHを置換する)
のムスカリン性アゴニストを含む老視を治療するための組成物及び方法に関する。
【0018】
特定の実施形態において、本発明は、M1及びM3ムスカリン性アセチルコリン受容体を優先的に活性化するムスカリン性アゴニストを含む老視を治療するための組成物及び方法に関する。
【0019】
特定の実施形態において、本発明は、アセクリジン、タルサクリジン、サブコメリン、セビメリン、WAY-132983、AFB267B(NGX267)、AC-42、AC-260584、77-LH-28-1及びLY593039、またはその医薬的に許容され得る塩、エステル、アナログ、プロドラッグまたは誘導体からなる群から選択されるムスカリン性アゴニストを含む老視を治療するための組成物及び方法に関する。
【0020】
特定の実施形態において、本発明は、M1ムスカリン性アセチルコリン受容体のみを活性化するムスカリン性アゴニストを含む老視を治療するための組成物及び方法に関する。
【0021】
特定の他の実施形態において、本発明は、アセクリジンを含む老視を治療するための眼科用組成物に関する。
【0022】
特定の他の実施形態において、本発明は、アセクリジン及び毛様体筋麻痺薬を含む老視を治療するための眼科用組成物に関する。
【0023】
特定の他の実施形態において、本発明は、アセクリジン及び選択的α-2アドレナリン受容体アゴニストを含む老視を治療するための眼科用組成物に関する。
【0024】
特定の他の実施形態において、本発明は、アセクリジン、毛様体筋麻痺薬及び選択的α-2アドレナリン受容体アゴニストを含む老視を治療するための眼科用組成物に関する。
【0025】
特定の他の実施形態において、本発明は、一般的縮瞳薬及び毛様体筋麻痺薬を含む老視を治療するための眼科用組成物に関する。
【0026】
特定の他の実施形態において、本発明は、
一般的縮瞳薬、式IまたはIIの化合物、ムスカリン性アゴニスト、またはアセクリジン;
場合により毛様体筋麻痺薬;
場合により選択的α-2アドレナリン受容体アゴニスト;
粘度強化剤;及び
アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及びその組合せからなる群から選択される界面活性剤;
を含む本発明の眼科用組成物に関する。
【0027】
特定の他の実施形態において、粘度強化剤はカルボキシメチルセルロースであり;
アニオン性界面活性剤はγ-シクロデキストリン、キャプティソル(R)(キャプティソルはCydex Pharmaceuticalsの登録商標である)、ナトリウムラウリルスルフェート及びナトリウムエステルラウリルスルフェートからなる群から選択され;ノニオン性界面活性剤はポロキサマー、ポリソルベート、スパン(R)20-80(スパンはUniqema Americas Inc.の登録商標である)、ポリオキシルアルキル、シクロデキストリン及びその誘導体からなる群から選択される。
【0028】
特定の他の実施形態において、本発明は、
一般的縮瞳薬、式IまたはIIの化合物、ムスカリン性アゴニスト、またはアセクリジン;
場合により毛様体筋麻痺薬;
場合により選択的α-2アドレナリン受容体アゴニスト;及び
キャプティソル(R)、ポリオキシル40ステアレート及び2-ヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリンからなる群から選択される界面活性剤;
を含む本発明の眼科用組成物に関する。
【0029】
特定の他の実施形態において、本発明は、
一般的縮瞳薬、式IまたはIIの化合物、ムスカリン性アゴニスト、またはアセクリジン;
場合により毛様体筋麻痺薬;
場合により選択的α-2アドレナリン受容体アゴニスト;
キャプティソル(R)、ポリオキシル40ステアレート及び2-ヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリンからなる群から選択される界面活性剤;及び
1つ以上の追加の非イオン性界面活性剤界面活性剤;
を含む本発明の眼科用組成物に関する。
【0030】
特定の他の実施形態において、1つ以上の追加の非イオン性界面活性剤はポロキサマー188、ポリオキシル40ステアレート、ポリオキシル35ヒマシ油、ポリソルベート、スパン(R)20-80、チロキサポール及びその組合せからなる群から選択される。
【0031】
特定の他の実施形態において、本発明は、
一般的縮瞳薬、式IまたはIIの化合物、ムスカリン性アゴニスト、またはアセクリジン;
場合により毛様体筋麻痺薬;及び
場合により選択的α-2アドレナリン受容体アゴニスト;
を含み、
前記選択的α-2アドレナリン受容体アゴニストがブリモニジン、デクスメデトミジン、ファドルミジン及びグアンファシンからなる群から選択される本発明の眼科用組成物に関する。
【0032】
特定の他の実施形態において、本発明は、
一般的縮瞳薬、式IまたはIIの化合物、ムスカリン性アゴニスト、またはアセクリジン;
場合により毛様体筋麻痺薬;及び
場合により選択的α-2アドレナリン受容体アゴニスト;
を含み、
前記毛様体筋麻痺薬がピレンゼピン、トロピカミド、サイクロジル(R)(サイクロジルはAlcon Research,LTDの登録商標である)、4-ジフェニルアセトキシ-N-メチルピペリジンメチオジド(4-DAMP)、キサノメリン、オテンゼパド及びその組合せからなる群から選択される本発明の眼科用組成物に関する。好ましい実施形態において、毛様体筋麻痺薬はトロピカミドである。
【0033】
好ましい実施形態において、本発明の組成物は約5.5以上、好ましくは6.0以上、より好ましくは6.5以上、最も好ましくは7.0以上のpHを有している。
【0034】
特定の他の実施形態において、本発明は
一般的縮瞳薬、式IまたはIIの化合物、ムスカリン性アゴニスト、またはアセクリジン;
場合により毛様体筋麻痺薬;
場合により選択的α-2アドレナリン受容体アゴニスト;及び
in situゲル;
を含む本発明の眼科用組成物に関する.
【0035】
好ましい実施形態において、in situゲルは約0.0001%から約0.4%w/vの濃度のカーボポール(R)(カーボポールはLubrizol Advanced Materials,Inc.の登録商標である)、アルギネート、ペクチン、キサンタンガム及びグアーガムからなる群から選択される。
【0036】
好ましい実施形態において、本発明は、
約0.25%から約2.0%w/vの濃度のアセクリジン;
約0.025%から約0.1%w/vの濃度のトロピカミド;
約0.1%から約1.2%w/vの濃度のカルボキシメチルセルロース;及び
約0.01%から約1.0%w/vの濃度の塩化ナトリウム;
を含む老視を治療するための眼科用組成物に関する。
【0037】
好ましい実施形態において、本発明は、
約0.25%から約2.0%w/vの濃度のアセクリジン;
約0.025%から約0.1%w/vの濃度のトロピカミド;
約0.1%から約1.2%w/vの濃度のカルボキシメチルセルロース;
約0.01%から約1.0%w/vの濃度の塩化ナトリウム;及び
約0.007%から約0.01%w/vの濃度の塩化ベンザルコニウム;
を含む老視を治療するための眼科用組成物に関する。
【0038】
好ましい実施形態において、本発明は、
約0.25%から約2.0%w/vの濃度のアセクリジン;
約0.025%から約0.1%w/vの濃度のトロピカミド;
約0.1%から約1.2%w/vの濃度のカルボキシメチルセルロース;
約0.01%から約1.0%w/vの濃度の塩化ナトリウム;及び
約1%から約15%w/vの濃度の界面活性剤;
を含む老視を治療するための眼科用組成物に関する。
【0039】
好ましい実施形態において、本発明は、
約0.25%から約2.0%w/vの濃度のアセクリジン;
約0.025%から約0.1%w/vの濃度のトロピカミド;
約0.1%から約1.2%w/vの濃度のカルボキシメチルセルロース;
約0.01%から約1.0%w/vの濃度の塩化ナトリウム;及び
約5.0%から約6.0%w/vの濃度のキャプティソル(R);
を含む老視を治療するための眼科用組成物に関する。
【0040】
好ましい実施形態において、本発明は、
約0.25%から約2.0%w/vの濃度のアセクリジン;
約0.025%から約0.1%w/vの濃度のトロピカミド;
約0.1%から約1.2%w/vの濃度のカルボキシメチルセルロース;
約0.01%から約1.0%w/vの濃度の塩化ナトリウム;及び
約5.0%から約6.0%w/vの濃度のポリオキシル40ステアレート;
を含む老視を治療するための眼科用組成物に関する。
【0041】
本発明は更に、その必要がある患者に対して本発明の組成物を投与することを含む老視の治療方法に関する。
【0042】
本発明は更に、その必要がある患者に対してアセクリジン、及び場合によりα-2アドレナリン作動薬及び/または毛様体筋麻痺薬を含む組成物を投与することを含む老視の治療方法に関し、前記治療は単一製剤または複数の製剤中に、或いはα-2アドレナリン作動薬の同時投与または逐次投与により、及び/または毛様体筋麻痺薬の同時投与または逐次投与により組み合わされ得、両方を同時投与または逐次投与することが好ましい。
【0043】
本発明は更に、その必要がある被験者に対して医薬有効量の本発明の眼科用組成物を投与することを含む被写界深度(すなわち、焦点深度)の向上方法に関する。
【0044】
本発明は更に、その必要がある被験者の両眼(両眼視)に医薬有効量の本発明の眼科用組成物を投与することを含む裸眼近見視力の改善時に奥行視覚を向上させる方法に関し、両眼視能は更に別々に片眼の近見視力を超えて近見視力を強化する。
【0045】
本発明は更に、その必要がある被験者に対して医薬有効量の本発明の眼科用組成物を投与することを含む縮瞳を誘発させる方法に関する。
【0046】
本発明は更に、その必要がある被験者に対して医薬有効量の本発明の眼科用組成物を投与することを含む縮瞳を誘発させる方法に関し、縮瞳は約1.40から約2.0mmである。
【0047】
本発明は更に、その必要がある被験者に対して医薬有効量の本発明の眼科用組成物を投与することを含む縮瞳を誘発させる方法に関し、縮瞳は約1.50から約1.70mmである。
【0048】
本発明は更に、その必要がある被験者に対して医薬有効量の本発明の眼科用組成物を投与することを含む縮瞳を誘発させる方法に関し、縮瞳は約1.80から約2.0mmである。
【0049】
本発明は更に、その必要がある被験者に対して医薬有効量の本発明の眼科用組成物を投与することを含む縮瞳を誘発させる方法に関し、縮瞳は約1.50から約1.70mmであり、縮瞳作用期間は少なくとも約4時間である。
【0050】
本発明は更に、その必要がある被験者に対して医薬有効量の本発明の眼科用組成物を投与することを含む縮瞳を誘発させる方法に関し、縮瞳は約1.50から約1.70mmであり、縮瞳作用期間は少なくとも約6時間である。
【0051】
本発明は更に、その必要がある被験者に対して医薬有効量の本発明の眼科用組成物を投与することを含む縮瞳を誘発させる方法に関し、縮瞳は約1.50から約1.70mmであり、縮瞳作用期間は少なくとも約7.5時間である。
【0052】
本発明は更に、その必要がある被験者に対して医薬有効量の本発明の眼科用組成物を投与することを含む縮瞳を誘発させる方法に関し、縮瞳は約1.50から約1.70mmであり、縮瞳作用期間は少なくとも約9時間である。
【0053】
本発明は更に、その必要がある被験者に対して医薬有効量の本発明の眼科用組成物を投与することを含む縮瞳を誘発させる方法に関し、縮瞳は約1.50から約2.50mmであり、縮瞳作用期間は少なくとも約9時間である。
【0054】
本発明は更に、その必要がある被験者に対して医薬有効量の本発明の眼科用組成物を投与することを含む縮瞳を誘発させる方法に関し、縮瞳は約1.80から約2.00mmであり、縮瞳作用期間は少なくとも約4時間である。
【0055】
本発明は更に、その必要がある被験者に対して医薬有効量の本発明の眼科用組成物を投与することを含む縮瞳を誘発させる方法に関し、縮瞳は約1.80から約2.00mmであり、縮瞳作用期間は少なくとも約6時間である。
【0056】
本発明は更に、その必要がある被験者に対して医薬有効量の本発明の眼科用組成物を投与することを含む縮瞳を誘発させる方法に関し、縮瞳は約1.80から約2.00mmであり、縮瞳作用期間は少なくとも約7.5時間である。
【0057】
本発明は更に、その必要がある被験者に対して医薬有効量の本発明の眼科用組成物を投与することを含む縮瞳を誘発させる方法に関し、縮瞳は約1.80から約2.00mmであり、縮瞳作用期間は少なくとも約9時間である。
【0058】
本発明は更に、遠見視力の顕著なロスまたは遠見視力の質の他の低下なしに焦点深度増強が達成されるように調節しないかまたは約0.50ジオプター以下の最小調節で約1.35から2.0mmの縮瞳を誘発させる方法に関する。
【0059】
本発明は更に、遠見視力の顕著なロスまたは遠見視力の質の他の低下なしに焦点深度増強が達成され、典型的には点眼から約30から60分後のピーク最小瞳孔径が不正乱視、瞳孔散大(すなわち、虹彩の放射状筋の拡張)、または作用期間の実質的ロスを誘発させることなく毛様体筋麻痺薬の添加により調節され得るように臨床的に無視できる程度の調節で約1.50から2.4mmの縮瞳を誘発させる方法に関する。
【0060】
本発明は更に、その必要がある被験者に対して医薬有効量の本発明の組成物を投与することを含む屈折異常(視力異常)を有する被験者の視力の改善方法に関する。
【0061】
本発明は更に、その必要がある被験者に対して医薬有効量の本発明の組成物を投与することを含む屈折異常を有する被験者の視力の改善方法に関し、屈折異常は近視、遠視、正乱視、不正乱視及び高度の正乱視からなる群から選択される。
【0062】
本発明は更に、中心1.5mmのオプティカルゾーンに隣接するかまたはその周辺の領域を含む角膜のむら、混濁、またはかなり高度の正乱視に起因する光学収差を除き、これにより円錐角膜、光学的角膜切除術に起因する角膜混濁、びまん性層間角膜炎(“DLK”)(レーシック後DLK)、白内障切開、緑内障濾過ブレブ、移植した緑内障バルブ、除去を伴うまたは伴わない角膜インレー、角膜手術(レーシック)後及び二次感染の角膜拡張症のような他の医原性角膜誘発性不規則のような状態で起こるような不正乱視または高度の正乱視を患っている人においてこれらの異常な視力を濾過することによる視力及び見え方の質の改善の誘発に関する。
【0063】
本発明は更に、存在する矯正されていない屈折異常に対する視力の改善に関する。このように視力を改善すると、現在乱視のために余り快適でないトーリックコンタクトレンズ及び瞬きのたびにずれる恐れがある眼鏡を必要としている患者は多くの場合非トーリックソフトコンタクトレンズしかまたはコンタクトレンズを全く必要としないことがある。更に、空気透過性コンタクトレンズを必要としている患者はもはやコンタクトレンズを必要とせず、非常により快適なソフトコンタクトレンズしか必要としない。高度の乱視を有している患者は現在全くまたは殆ど乱視矯正をしなくてすむことがある。軽度または中程度の近視を有する患者は全くまたは殆ど矯正をしなくてすむ。軽度または中程度の遠視(遠視)を有している患者は全くまたは殆ど矯正をしなくてすむ。
【0064】
本発明は、視力を改善するための方法及び眼科用組成物に関する。好ましい実施形態において、本発明は老視を治療するための方法及び眼科用組成物に関する。より好ましい実施形態において、本発明はアセクリジンを含む眼科用組成物に関する。更により好ましい実施形態において、本発明はアセクリジン及び低用量の毛様体筋麻痺薬を含む眼科用組成物に関する。最も好ましい実施形態において、本発明は、アセクリジン、低用量の毛様体筋麻痺薬、及びアセクリジンを有効にし及び/またはその有効性を強化する不活性成分の組合せを含む眼科用組成物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【
図1】45才以上の患者におけるトロピカミドを含むまたは含まない、担体を含むまたは含まないピロカルピン及びアセクリジンの近見視力及び遠見視力に対する効果のグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
本発明は、その必要がある患者に対してM1及びM3ムスカリン性アセチルコリン受容体を優先的に活性化する、好ましくはM3以上にM1を活性化するムスカリン性アゴニスト、最も好ましくはアセクリジンまたはその誘導体を含む医薬組成物を投与することを含む老視、不正乱視及び/または屈折異常を治療する組成物及び方法に関する。驚くことに、予期せぬことに、アセクリジンは、本発明の組成物を用いると無視できる程度の副作用で昼間または夜間高い老視反転(見るとき、1つ以上の直接または反射光源を含む)を与えることを知見した。
【0067】
本発明の組成物及び方法は、暗いまたは薄暗い所で瞳孔散大を減らし、調節なしに特定の程度及び期間の縮瞳を生じ、見た目に白さを与え、及び/または充血予防を誘発する眼科用組成物を眼に対して投与することにより老視患者の焦点深度を改善することにより老視を治療する。本発明の組成物及び方法は有意な瞳孔リバウンド、タキフィラキシー、毛様体筋痙攣、近視の誘発、または遠見視力の低下も引き起こさない。加えて、本発明の組成物及び方法により、両眼(両方の眼)治療の視力及び奥行感覚が更に改善される。本発明の眼科用組成物は、驚くことに調節トーンは無視できる程度しか上昇せず、さもなければ縮瞳薬の使用の特徴である充血を減少乃至除去して、前虹彩面で約1.5から約2.4mm、角膜面で約2.0mmの瞳孔を生ずる。大きく減少または存在させない調節トーンでのこの縮瞳はカムラ(R)及びフレキシビュー・マイクロレンズ(R)角膜インレーのピンホール効果よりも優れている。実際の瞳孔の収縮はインレーにより生ずる前角膜ピンホールの光散乱ボーダーに起因する付随する重症の夜間視力障害をもたらさないので、縮瞳は優れている。更に、縮瞳はより大きな視野及びより集中的な光の伝達を与える。アセクリジンの使用は縦毛様体筋に対して最小の作用を有し、よって一般的ムスカリン性アゴニスト、例えばピロカルピン及びカルバコールの使用と比較したとき網膜剥離のリスクが減る。毛様体筋麻痺薬を更に配合すると、0.04mmしか前眼房が浅くならない。本発明の場合特に強化されるアセクリジンはまた最小瞳孔直径のより大きいマグニチュード、期間及びコントロールも有している。本発明の組成物は、調節に対して無視できる程度の作用を有しながら、これらの作用効果を達成し、典型的にはピロカルピン及び/またはカルバコール誘発性縮瞳の応答として患者で見られる遠見ぼやけが避けられる。調節に対する作用は毛様体筋麻痺薬を用いる好ましい実施形態において更に減少または完全に解消され得る。アセクリジンは、選択的α-2アドレナリン受容体アゴニスト(“α-2アゴニスト”)を必要とすることなく本明細書中に記載されている縮瞳により向上した焦点深度を生じさせることができる。本発明の組成物の使用で特に高い縮瞳が起こり、よって眼充血を減らすために低濃度でα-2アゴニストを使用することができる。更に、アセクリジンの明白な驚くべき選択性により、眼への投与は毛様体筋収縮よりも縮瞳にほぼ専ら影響を与える。よって、アセクリジンを投与すると、調節及び付随する遠見かすみを呈することなく縮瞳が生ずる。しかしながら、アセクリジンは若干の充血及び眼瞼痛を引き起こすことがあり、本発明の処方を強化することなく最適未満の縮瞳、または非常に高濃度で薄暗いまたはライトがない中で目のかすみを伴うより多くの所望のピーク縮瞳を生じ得る。
【0068】
本発明の特定実施形態は、ノニオン性界面活性剤及び粘度強化剤の好ましい実施形態を用いて多くの患者に対して約1.50~2.20mmの一定の範囲の効果を与えることにより好ましい程度の縮瞳を強化する。同様のベネフィットが他の浸透強化剤、特にカーボポール(R)、及び薬物残留時間を延長させる各種粘度添加剤、例えばキサンタンガム、グアーガム、アルギネート、及び当業者に公知の他のin situゲルを用いることにより達成され得る。本発明は更に、好ましい実施形態のレオロジー特性のために大量のアセクリジンレベルが鼻粘膜に到達するときに生ずる鼻閉を予防する。
【0069】
アセクリジンと低濃度の選択的α-2アドレナリン受容体アゴニスト(α-2アゴニストまたはα-2アドレナリン作動薬)、例えばファドルミジン、ブリモニジン、またはグアンファシンを組み合わせると、全くまたは少しの充血しか呈さずに所望の縮瞳作用が生ずる。低濃度の選択的α-2アゴニストを使用すると、約0.06%w/v以上の濃度で見られる反撥性充血のリスクが大きく低下して充血が大きく低下する。更に、低濃度の選択的α-2アゴニストを使用すると、アセクリジンに起因する瞳孔収縮を悪化させない。対照的に、夜間視力のために瞳孔調節するために局所的に適用されるときに0.20%w/v ブリモニジンを使用すると、使用の4週間以内に治療を受けた被験者のほぼ100%においてα-2受容体アップレギュレーションのために瞳孔調節のタキフィラキシーが生ずる。
【0070】
予期せぬことに、毛様体筋麻痺薬を添加すると、縮瞳応答を損なうことなく点眼時の毛様体筋痙攣の程度を更に低下させることにより眼瞼痛または関連する不快感が減少する。トロピカミドのような特定の毛様体筋麻痺薬は0.01%w/vくらいの低濃度で公知の瞳孔散大作用を有するので(Grunberger J.ら,The pupillary response test as a a method to differentiate various types of dementia,Neuropsychiatr,2009,23(1).p.57)、こうして縮瞳応答が損なわれなくなることは予期せぬ驚く知見である。より具体的には、毛様体筋麻痺薬は散瞳(すなわち、虹彩の放射状筋肉の拡張)を引き起こす。更に、縮瞳薬に毛様体筋麻痺薬を添加すると、瞳孔が余りに収縮されることなく所望の大きさの範囲を維持している時間が予期せぬことに長くなる。30~60分でのビーク縮瞳作用は毛様体筋麻痺薬の濃度と反比例で用量設定され得る。本発明で知見されたトロピカミド濃度は、一見虹彩放射状筋系よりも毛様体筋をより多く弛緩させる。実際、虹彩散瞳は、本発明で使用される濃度のアセクリジンを含有している組成物にトロピカミドを添加することにより抑制され、その代わりに縮瞳が縮瞳作用の間より一定のレベルであることが知見された。加えて且つかなり驚くことに、予期せぬことに、有利には、トロピカミドの添加は散瞳を誘発させることなくピーク縮瞳の程度を減少させることができ、それにより薬物誘発性縮瞳中ずっとより一定且つ理想の瞳孔径が生ずる。このより一定の瞳孔径により、ピーク縮瞳で見られる非常に小さい瞳孔径(例えば、1.25mm)での回折限界のために目のかすみまたは分割ロスすることなく有利な近見及び遠見視力が得られる。
【0071】
一般的縮瞳薬、例えばピロカルピン、カルバコール及びホスホリンジエステラーゼは縮瞳を引き起こすことができ、よって老視患者の近見視力を改善させる。しかしながら、アセクリジンでは見られないピーク効果での縮瞳及び調節からのこれらの一般的縮瞳薬に関連する遠見視力の反転低下がある。毛様体筋麻痺薬をアセクリジンと共投与すると、驚くことにこの遠見視力の低下が弱くなる。
【0072】
本発明の眼科用組成物の好ましい実施形態の快適性、安全性及び有効性は、ノニオン性界面活性剤、例えばシクロデキストリンα、βまたはγ鎖、好ましくは2-ヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリン(“HPβCD”)及び/またはβ-シクロデキストリンのスルホブチルエーテル誘導体(キャプティソル(R))、ポリオキシル40ステアレートまたはポロキサマー407;粘度強化剤、例えばカルボキシメチルセルロース(“CMC”);等張化剤、例えば塩化ナトリウム;保存剤、例えば塩化ベンザルコニウムの存在、及びpH約5.0から約8.0から生ずる。更に、粘度剤及び電解質の濃度を増加させると、充血を減少させ得る。具体的には、CMCを0.50%から0.75%w/v(好ましくは、0.80%w/v)に、塩化ナトリウムを0.25%から0.50%w/vに増加させると、充血が減少する。
【0073】
定義
本明細書中で使用されている用語「組成物」は、特定量の特定成分を含む製品、及び特定量の特定成分を組み合わせて直接または間接的に得られる製品を包含すると意図される。
【0074】
本明細書中で使用されている量、重量等に関するすべての数値は「約」として定義され、各具体的値は±10%である。例えば、フレーズ「約5%w/v」は「4.5%から5.5%w/v」と理解されるべきである。従って、特許請求されている値の10%以内の量が特許請求の範囲に包含される。
【0075】
本明細書中で使用されている「%w/v」は全組成物の重量パーセントを指す。
【0076】
本明細書中で使用されている用語「被験者」は、ヒトまたは他の動物を指すが、これらに限定されない。
【0077】
用語「ムスカリン性受容体アゴニスト」(「ムスカリン性アゴニスト」)は、ムスカリン性アセチルコリン受容体(「ムスカリン性受容体」)を活性化するアゴニストを包含する。ムスカリン性受容体はM1~M5と名付けられる5つのサブタイプに分類される。本発明のムスカリン性アゴニストには、M2、M4及びM5受容体よりもM1及びM3受容体を優先的に活性化するムスカリン性アゴニスト(「M1/M3アゴニスト」)が含まれる。M1/M3アゴニストには、アセクリジン、キサノメリン、タルサクリジン、サブコメリン、セビメリン、アルバメリン、アレコリン、ミラメリン、SDZ-210-086、YM-796、RS-86、CDD-0102A(5-[3-エチル-1,2,4-オキサジアゾル-5-イル]-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン塩酸塩)、N-アリールウレア-置換3-モルホリンアレコリン、VUO255-035(N-[3-オキソ-3-[4-(4-ピリジニル)-1-ピペラジニル]プロピル]-2,1,3-ベンゾチアジアゾール-4-スルホンアミド)、ベンジルキノロンカルボン酸(BQCA)、WAY-132983、AFB267B(NGX267)、AC-42、AC-260584、非限定的に挙げられるL-687、306、L-689-660、77-LH-28-1、LY593039を含めたクロロピラジン、及び特にエステル、硫黄、または置換された窒素及び/または酸素を有するものを含めた5または6炭素環構造を含む1つ以上の炭素置換を有するキニクリジン環、或いはその医薬的に許容され得る塩、エステル、アナログ、プロドラッグまたは誘導体が含まれるが、これらに限定されない。好ましいM1/M3アゴニストはアセクリジンである。好ましい実施形態において、本発明のムスカリン性アゴニストには、M2、M4及びM5よりもM1及びM3を優先的に活性化するムスカリン性アゴニスト、更により好ましくはM3よりもM1を優先的に活性化するムスカリン性アゴニストが含まれる。より好ましい実施形態において、本発明のムスカリン性アゴニストには、M1のみを活性化するムスカリン性アゴニストが含まれる。
【0078】
用語「アセクリジン」は、その塩、エステル、アナログ、プロドラッグ及び誘導体を包含し、ラセミ混合物としてのアセクリジン、アセクリジン(+)エナンチオマー、アセクリジン(-)エナンチオマー、非限定的に挙げられるWard.J.S.ら,1,2,5-Thiadiazole analogues of aceclidine as potent m1 muscarinic agonists,J.Med.Chem.,1998,Jan.29,41(3),379-392に開示されているような高M1選択的1,2,5-チアジアゾール置換アナログを含めたアセクリジンアナログ、及び非限定的に挙げられるカルバメートエステルを含めたアセクリジンプロドラッグが含まれるが、これらに限定されない。
【0079】
用語「選択的α-2アドレナリン受容体アゴニスト」または「α-2アゴニスト」は、α-1アドレナリン受容体よりもα-2アドレナリン受容体に対して900倍以上の結合親和性、またはα-1アドレナリン受容体よりもα-2aまたはα-2bアドレナリン受容体に対して300倍以上の結合親和性を有するすべてのα-2アドレナリン受容体アゴニストを包含する。この用語は、選択的α-2アドレナリン受容体アゴニストの医薬的に許容され得る塩、エステル、プロドラッグ及び他の誘導体も包含する。
【0080】
用語「低濃度」または「低用量」は、約0.0001%から約0.065%w/v、より好ましくは約0.001%から約0.035%w/v、さらにより好ましくは約0.01%から約0.035%w/v、さらにより好ましくは約0.03%から約0.035%w/vの濃度を指す。
【0081】
用語「ブリモニジン」は、非限定的にブリモニジン塩及び他の誘導体を包含し、具体的にはブリモニジン酒石酸塩、5-ブロモ-6-(2-イミダゾリン-2-イルアミノ)キノキサリンD-酒石酸塩及びアルファガン(R)が含まれるが、これらに限定されない。
【0082】
用語「治療する」及び「治療」は、この用語を適用する疾患、障害または状態、或いは前記した疾患、障害または状態の1つ以上の症状の進行の逆転、緩和、抑制または遅延を指す。
【0083】
用語「医薬的に許容され得る」は、生物学的または他の方法で望ましくなくない(すなわち、許容できないレベルの望ましくない生物学的作用を生じさせたり、有害な方法で相互作用することがない)材料を指す。
【0084】
本明細書中で使用されている用語「医薬有効量」は、所望の生物学的効果、例えば非限定的に挙げられる疾患または障害の徴候または症状の予防、減少、緩和または消失を含めた有効な結果を発揮するのに十分な量を指す。よって、医薬組成物または方法の各活性成分の全量は有意義な被験者ベネフィットを示すのに十分である。よって、「医薬有効量」は投与される環境に依存する。医薬有効量は1つ以上の予防的または治療的投与で投与され得る。
【0085】
用語「プロドラッグ」は、開裂可能な基を有し、生理学的条件下でインビボで医薬的に活性な化合物になる化合物を指し、これらには本発明の化合物のモノマー及びダイマーが含まれるが、これらに限定されない。
【0086】
本明細書中で使用されている「塩」は、親化合物の生物学的有効性及び特性を保持し、投与された量で生物学的または他の点で有害でない塩を指す。本発明の化合物の塩は無機または有機の酸または塩基から製造され得る。
【0087】
本発明の化合物は、無機または有機の酸または塩基から誘導される医薬的に許容され得る塩の形態で使用され得る。フレーズ「医薬的に許容され得る塩」は、適切な医学的判断の範囲内で過度の毒性、刺激、アレルギー反応等を生ずることなくヒト及び下等動物の組織と接触させて使用するのに適しており、合理的なベネフィット/リスク比でつりあう塩を意味する。医薬的に許容され得る塩は当業者に公知である。例えば、S.M.Bergeらは医薬的に許容され得る塩をJ.Pharmaceutical Sciences,1977,66:1以降に詳細に記載している。
【0088】
塩は、本発明の化合物の最終単離及び精製中にその場で、または遊離塩基官能基を適当な有機酸と反応させることにより別々に製造され得る。代表的酸付加塩には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、硫酸水素塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、ジグルコン酸塩、グリセロリン酸塩、半硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩(イソチオネート)、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、炭酸水素塩、p-トルエンスルホン酸塩及びウンデカン酸塩が含まれるが、これらに限定されない。また、塩基性窒素含有基は、低級アルキルハロゲン化物、例えばメチル、エチル、プロピル及びブチル塩化物、臭化物及びヨウ化物;ジアルキル硫酸塩、例えばジメチル、ジエチル、ジブチル及びジアミル硫酸塩;長鎖ハロゲン化物、例えばデシル、ラウリル、ミリスチル及びステアリル塩化物、臭化物及びヨウ化物;アリールアルキルハロゲン化物、例えばベンジル及びフェネチル臭化物;等のような物質を用いて4級化され得る。こうして、水または油溶解性または分散性製品が得られる。医薬的に許容され得る酸付加塩を形成するために使用され得る酸の例には、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、ヒアルロン酸、リンゴ酸、硫酸及びリン酸;有機酸、例えばシュウ酸、リンゴ酸、マレイン酸、メタノスルホン酸、コハク酸及びクエン酸が含まれる。
【0089】
塩基付加塩は、本発明の化合物の最終単離及び精製中にカルボン酸含有部分を適当な塩基、例えば医薬的に許容され得る金属カチオンの水酸化物、炭酸塩またば炭酸水素塩、或いはアンモニア、または有機第1級、第2級または第3級アミンと反応させることによりその場で製造され得る。医薬的に許容され得る塩には、特にリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム及びアルミニウム塩等のようなアルカリ金属またはアルカリ土類金属をベースとするカチオン;アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム及びエチルアンモニウムを含めた非毒性第4級アンモニア及びアミンカチオンが含まれるが、これらに限定されない。塩基付加塩を形成するために有用な他の代表的有機アミンには、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、ピペラジン等が含まれる。
【0090】
本明細書中で使用されている用語「エステル」は、式-OC(O)A1または-C(O)OA1(式中、A1はアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール基、または他の適当な置換基であり得る)で表される。
【0091】
本発明の組成物
1つの実施形態において、本発明はアセクリジンを含む眼科用組成物に関する。好ましい実施形態において、アセクリジンは約0.25%から約2.0%w/v、より好ましくは約0.50%から約1.90%w/v、さらにより好ましくは約1.25%から約1.85%w/v、最も好ましくは約1.35%から約1.65%w/vの濃度で存在する。アセクリジンは不斉を有する第3級アミンであるので、+及び-光学異性体が存在する(幾つかの研究では(+)がより強力であり、他の研究では(-)がより強力であり得ると考えられる)。上記濃度の場合、旋光測定はこれらの濃度で(+)及び(-)異性体の正確に等しい比を示した。従って、この比を変更すると、比の変化に比例してこの濃度範囲が変更する。
【0092】
本発明は更に、ムスカリン性アゴニスト、好ましくは組成物の臨界ミセル濃度を超えるノニオン性界面活性剤及び粘度強化剤、またはin situゲル化剤を含む眼科用組成物に関する。好ましい実施形態において、局所適用する際の組成物の初期粘度は低剪断(1/s)で20cpを超える、好ましくは50cpを超える、より好ましくは70cpを超える。
【0093】
本発明のために適しているノニオン性界面活性剤には、シクロデキストリン、ポリオキシルアルキル、ポロキサマーまたはその組合せが含まれ、加えて他のノニオン性界面活性剤、例えばポリソルベートとの組合せが含まれ得る。好ましい実施形態には、ポリオキシル40ステアレート、及び場合によりポロキサマー188、ポロキサマー407、ポリソルベート20、ポリソルベート80、ブチル化塩を含むまたは含まないイオン的に帯電した(例えば、アニオン性)β-シクロデキストリン(キャプティソル(R))、2-ヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリン(“HPβCD”)、α-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、ポリオキシル35ヒマシ油及びポリオキシル40水素化ヒマシ油、またはその組合せが含まれる。更に、眼科用に適合する他のノニオン性界面活性剤と置換すると類似の製剤化利点が生じ得、その中には1つ以上の非イオン化界面活性剤、例えばポロキサマー、ポロキサマー103、ポロキサマー123及びポロキサマー124、ポロキサマー407、ポロキサマー188及びポロキサマー338、ポロキサマーアナログまたは誘導体、ポリソルベート、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ポリソルベートアナログまたは誘導体、シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-γ-シクロデキストリン、ランダムメチル化β-シクロデキストリン、β-シクロデキストリンスルホブチルエーテル、γ-シクロデキストリンスルホブチルエーテルまたはグルコシル-β-シクロデキストリン、シクロデキストリンアナログまたは誘導体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレングリコール、ポリソルベートアナログまたは誘導体、ポリオキシエチレン水素化ヒマシ油60、ポリオキシエチレン(200)、ポリオキシプロピレングリコール(70)、ポリオキシエチレン水素化ヒマシ油、ポリオキシエチレン水素化ヒマシ油60、ポリオキシル、ポリオキシルステアレート、ノノキシノール、オクチルフェノールエトキシレート、ノニルフェノールエトキシレート、カプリオール、ラウログリコール、PEG、ブリジ(R)35(ブリジはUniqema Americas LLCの登録商標である)、グリセリルラウレート、ラウリルグリコシド、デシルゴルコシド、またはセチルアルコール;両イオン性界面活性剤、例えばパルミトイルカルニチン、コカミドDEA、コカミドDEA誘導体、コカミドプロピルベタインまたはトリメチルグリシンベタイン、N-2(2-アセトアミド)-2-アミノエタンスルホン酸(ACES)、N-2-アセトアミドイミノジ酢酸(ADA)、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸(BES)、2-[ビス-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ]-2-ヒドロキシメチル-プロパン-1,3-ジオール(ビス-トリス)、3-シクロヘキシルアミノ-1-プロパンスルホン酸(CAPS)、2-シクロヘキシルアミノ-1-エタンスルホン酸(CHES)、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(DIPSO)、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンプロパンスルホン酸(EPPS)、N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N’-2-エタンスルホン酸(HEPES)、2-(N-モルホリノ)-エタンスルホン酸(MES)、4-(N-モルホリノ)-ブタンスルホン酸(MOBS)、2-(N-モルホリノ)-プロパンスルホン酸(MOPS)、3-モルホリノ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(MOPSO)、1,4-ピペラジン-ビス-(エタンスルホン酸)(PIPES)、ピペラジン-N,N’-ビス(2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)(POPSO)、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-2-アミノプロパンスルホン酸(TAPS)、N-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]-3-アミノ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(TAPSO)、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-2-アミノエタンスルホン酸(TES)、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-プロパン-1,3-ジオール(トリス)、チロキサポール、及びスパン(R)20-80が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、アニオン性界面活性剤、例えばナトリウムラウリルスルフェート及び/またはナトリウムエステルラウリルスルフェートの添加が好ましいことがある。
【0094】
1つ以上のノニオン性界面活性剤の代わりにまたは加えて使用され得る眼科用in situゲルには、ゼラチン、カルボマー934P及び974Pを含めた各種分子量のカルボマー、キサンタンガム、アルギン酸(アルギネート)、グアーガム、ローカストビーンガム、キトサン、ペクチン、及び当業者に公知の他のゲル化剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0095】
好ましい実施形態において、ノニオン性界面活性剤は約1から約15%w/v、より好ましくは約5.5%w/v濃度のポリオキシル40ステアレートである。
【0096】
前記した好ましい実施形態において、ポリオキシル40ステアレートは、特にα-2アゴニストの存在下で水溶液及び他のノニオン性界面活性剤、例えばポロキサマー407に比して優先的に充血減少作用を高めることが認められる。
【0097】
本発明のために適している粘度強化剤には、カルボキシメチルセルロース(“CMC”)、メチルセルロース、メチルセルロース4000、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース2906、カルボキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースまたはヒドロキシエチルセルロース、ヒアルロン酸、デキストラン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゲラン、カラギーナン、アルギン酸、カルボキシビニルポリマー、またはその組合せが含まれるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、粘度強化剤は瞬きと瞬きの間10センチポイズ(“cp”)から100cpの間の平衡粘度、1回の瞬き中30cp以下、好ましくは20cp以下、より好ましくは15cp以下の平衡粘度を有する。好ましい実施形態において、粘度強化剤は0.62%から1.25%w/v CMC、より好ましくは0.75%から0.87%w/v CMC(1%=2,500センチポイズ)、最も好ましくは0.80%w/v CMC(水中1%=2,500センチポイズ)である。
【0098】
特定の理論に束縛されるものではないが、ノニオン性界面活性剤と粘度強化剤を組み合わせると、例えばスフェロイドであるナノメーター直径粒子、例えば二層に凝集する他の幾何学形状棒または楕円体が生ずるようである。これらの粒子は低表面張力を有し、比較的高い粘度を有し得、これにより涙点を出る涙が最小流量で長時間残留することができ、よって涙粘膜層及び角膜によりうまく浸透し、鼻粘膜浸透及び局所作用を低下させ、全身吸収を低下させる。一旦局所的に適用すると、20cpを超える初期粘度は、直接血管拡張するコリン作動性薬物であり、さもなければある程度の鼻閉を引き起こし得るアセクリジンに起因する鼻涙排液及び鼻閉を予防する。この快適さは、循環への鼻涙血管進入に由来する全身性副作用を生ずることなく達成され、アセクリジン水性組成物からの結果として鼻閉をもたらす鼻粘膜に対する直接作用が抑制される。
【0099】
選択的α-2アゴニストは本発明の組成物内に配合され得、或いは敏感な被験者のために鼻閉または充血を減らすための追加手段が望ましいならば、好ましくはほんの数分前に、または余り好ましくはないがほんの数分後に局所的に適用され得る。本発明のために適している選択的α-2アゴニストは低濃度で最小α-1アゴニスト活性を有している。例えばブリモニジンまたはファドルミジンの場合、1%から2%w/vは非常に高いとみなされ、0.5%から1.0%w/vはα-1受容体を高度に誘導し、本発明の目的のために毒性である。更に、0.10%から0.5%w/vは余りに高く、0.070%から0.10%w/vは反撥性充血の好ましい発生率よりも高い発生率に関連している(ただし、デクスメデトミジンの場合その高い親油性及び眼内移行はこの範囲の反撥性リスクを低下させる)。0.065%w/v以下のみが潜在的に許容され得るが、多くのα-2アゴニストの場合選択度に応じて0.050%w/v、更により好ましくは0.035%w/v以下が望ましい。一方、ある程度有用な活性は1桁以上の濃度の更なる低下で生じ得る。本発明の好ましい実施形態のブリモニジン、ファドルミジン及びグアンファシンは、α-1アドレナリン受容体が過度の大血管細動脈狭細化及び血管収縮性虚血を引き起こすのに十分に刺激されないようにα-2アドレナリン受容体、さらにより好ましくはα-2bアドレナリン受容体を優先的に刺激する。加えて、さもなければ直接充血を引き起こす薬物、例えばアセチルコリンアゴニスト、アセクリジンの場合充血を予防または抑制すると、α-2アゴニストを含んでいない本発明の処方物を用いても充血または鼻閉を誘発する恐れがある敏感な被験者のコンプライアンスを高めることが知見された。しかしながら、α-2アゴニストはそのイオン化平衡にシフトするので、酸性pHは前記アゴニストが中性またはアルカリ性pHでより高い効果を発揮する事実により若干相殺される。従って、各α-2アゴニストは、アセクリジンを含む本発明組成物に添加したときのpKa値及び親油性に応じて好ましいpH範囲を有する。本発明の場合、5.0から8.0のpH範囲が許容されるが、好ましい実施形態のpHは5.5から7.5、より好ましくは6.5から7.0である。更に、ノニオン性界面活性剤成分としてまたは単一ノニオン性界面活性剤としてのシクロデキストリン及び/またはポリオキシル40ステアレートにより、組成物中にポロキサマー407ではなくα-2アゴニストを配合したときにより高いホワイトニング効果が生ずることが知見された。α-2アゴニストは時折敏感な被験者を除いて必要でないが、α-2アゴニストは場合により別々に、または特定の好ましい実施形態ではα-2アゴニストを含んでいない本発明の処方物、例えばノニオン性界面活性剤としてポリオキシル40ステアレート5.5%w/vを有している処方物と一緒に適用され得る。ファドルミジンは最高の親水性、従って本発明の場合高い表層貯留を有するα-2アゴニストに相当する。グアンファシンも非常に選択的であり、親水性である。ブリモニジンは高選択的で、適度の親油性を有している。最後に、デクスメデトミジンは高選択的で、高い親油性を有しており、本発明の目的のために充血を減らすためには低い有効性で使用され得る(ただし、一部の患者では副作用とて疲労を引き起こす可能性がある)。好ましい実施形態において、ポリオキシル40ステアレート5.5%w/v、CMC 0.80%w/v、NaCl 0.037%w/v、EDTA 0.015%w/v、ホウ酸緩衝液 5mM及びBAK 0.007%w/vを使用すると、4点満点中約1.0から1.5の充血が生じ、これは約10分間一時的に続き、30分までにほぼベースラインに戻る。
【0100】
1つの実施形態において、選択的α-2アドレナリン受容体アゴニストは約900以上、さらにより好ましくは約1000倍以上、最も好ましくは約1500以上の結合親和性を有する化合物である。
【0101】
選択的α-2アドレナリン受容体アゴニストは約0.0001%から約0.065%w/v、より好ましくは約0.001%から約0.035%w/v、さらにより好ましくは約0.01%から約0.035%w/v、さらにより好ましくは約0.020%から約0.035%w/vの濃度で存在し得る。
【0102】
1つの実施形態において、選択的α-2アドレナリン受容体は、ブリモニジン、グアンファシン、ファドルミジン、デクスメデトミジン、(+)-(S)-4-[1-(2,3-ジメチル-フェニル)-エチル]-1,3-ジヒドロ-イミダゾール-2-チオン、1-[(イミダゾリジン-2-イル)イミノ]インダゾール、及びこれらの化合物の混合物からなる群から選択される。高選択的α-2アゴニストとして機能するこれらの化合物のアナログも本発明の組成物及び方法において使用され得る。
【0103】
より好ましい実施形態において、選択的α-2アゴニストはファドルミジン、グアンファシン及びブリモニジンからなる群から選択される。さらにより好ましい実施形態において、選択的α-2アゴニストは0.025%から0.065%w/v、より好ましくは0.03%から0.035%w/vの濃度の塩の形態のブリモニジンである。好ましい実施形態において、塩は酒石酸塩である。
【0104】
別のさらにより好ましい実施形態において、選択的α-2アゴニストは約0.005%から約0.05%w/v、より好ましくは0.02%から約0.035%w/vの濃度の塩酸(“HCl”)塩の形態のファドルミジンである。
【0105】
別のさらにより好ましい実施形態において、選択的α-2アゴニストは約0.005%から約0.05%w/v、より好ましくは0.02%から約0.035%w/vの濃度のHCl塩の形態のグアンファシンである。
【0106】
別のさらにより好ましい実施形態において、選択的α-2アゴニストは約0.005%から約0.05%w/v、より好ましくは0.04%から約0.05%w/vの濃度のHCl塩の形態のデクスメデトミジンである。
【0107】
別の好ましい実施形態において、ブリモニジンの場合生理学的pHより低いpH、好ましくはpH4.5から6.5、より好ましくはpH5.5から6.0がホワイトニング効果を強化することが認められる。しかしながら、充血減少はすべてのpHで達成され、アセクリジン吸収の強化はアルカリ性pHで生じて、所与の濃度からより多くの効果が生じ、従って4.5から8.0のpH範囲で有効であるが、本発明の場合6.5から7.5のpH範囲が好ましく、7.0から7.5のpH範囲が最も好ましい。
【0108】
本発明は更に、毛様体筋麻痺薬を含む眼科用組成物に関する。本発明の驚くべき、全く予期せぬ知見は、特定の毛様体筋麻痺薬が縮瞳の発現、程度または期間を低下させることなく縮瞳薬、特に本発明の場合アセクリジンと組み合わせることができ、更に所望の処方に応じて発現後15から30分間から6から10時間の一定縮瞳対時間を与えるように水性処方物におけるピーク吸収時間に一致する縮瞳作用の通常付随するスパイクを鈍くすることである。毛様体筋麻痺薬を添加すると、さもなければ点眼後すぐに生ずる多分毛様体痙攣または過度の縮瞳の結果である残存する関連する不快感をも低下させる。
【0109】
本発明のために適している毛様体筋麻痺薬には、アトロピン、サイクロジル(R)、ヒヨスチン、ピレンゼピン、トロピカミド、アトロピン、4-ジフェニルアセトキシ-N-メチルピペリジンメトブロミド(4-DAMP)、AF-DX 384、メトクトラミン、トリピトラミン、ダリフェナシン、ソリフェナシン(ベシケア)、トルテロジン、オキシブチニン、イプラトロピウム、オキシトロピウム、チオトロピウム(スピリーバ)、及びオテンゼパド(AF-DX 116、または11-{[2-(ジエチルアミノ)メチル]-1-ピペリジニル}アセチル]-5,11-ジヒドロ-6H-ピリド[2,3b][1,4]ベンゾジアゼピン-6-オンとしても公知)が含まれるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、毛様体筋麻痺薬は約0.01%から約0.10%w/v、より好ましくは約0.025%から約0.080%w/v、さらにより好ましくは約0.04%から約0.06%w/vの濃度のトロピカミドである。別の好ましい実施形態において、毛様体筋麻痺薬は約0.04%から約0.07%w/vの濃度のトロピカミド、または約0.002%から約0.05%w/vの濃度のピレンゼピンまたはオテンゼパドの混合物である。
【0110】
好ましい実施形態において、トロピカミド0.01%w/vは眼瞼痛を僅かに減少し、0.030%w/vは眼瞼痛を更に減少し、0.04%から約0.07%w/vは作用期間中平均縮瞳直径を減少させることなく眼瞼痛を完全に取り除くことが知見された。好ましい実施形態においてトロピカミドは効果の完全に予期せぬ感度を示し、約0.04%w/vで眼瞼痛及び毛様体筋痙攣痛を予期せぬほど非常に効果的に減少または取り除き、0.042%w/vで非常に顕著に更に減少し、(驚くべきに、散瞳剤としての一般的使用のために)毛様体筋痙攣のない好ましい実施形態では0.044%w/vでなくなる。さらに、トロピカミドは平均の縮瞳の程度、縮瞳の発現時間、またはその後の視力ベネフィットを低減させなかった。対照的に、トロピカミドはスムーズで一定の縮瞳作用を時間をかけて生じさせるために水性処方物で見られるピーク縮瞳を鈍化させた。以前の使用で観察された散瞳を呈することなくより均一の効果を時間をかけて達成させるためにピーク縮瞳を調節した。具体的には、トロピカミドは、幾つかの実施形態ではアセクリジンから30から60分後に1.50mm以下の一過性収縮を予防し、そうでなければ約30分のピーク発現でおこり得る一過性で過度の望ましくない目のかすみを減らすために有用である。例として、pH7.0の1.53%w/v アセクリジン、5%w/v HPβCD、0.75%w/v CMC、0.25%w/v NaCl、0.01%w/v BAK及びリン酸緩衝液を含む;または、pH7.0の1.45%w/v アセクリジン、5.5%w/v ポリオキシル40ステアレート、0.80%w/v CMC、0.037%w/v NaCl、0.015%w/v EDTA、0.007%w/v BAK及び5mM リン酸緩衝液を含む眼科用組成物を中程度の目のかすみが見られた0.040%w/v トロピカミドから非常に薄暗い条件以外で目のかすみが殆ど検出できなくなる0.044%w/v トロピカミドに変更した。毛様体筋麻痺薬を用いて瞳孔径を更に調節すると、望ましくない付随するピーク過度収縮及び不快な眼瞼痛を鈍化させながら長期間作用のために十分なアセクリジン濃度が生ずる。驚くことに、その短時間作用のために、トロピカミドは散瞳を生じさせることなくこの鈍化作用を達成する。更に、好ましい実施形態において、トロピカミド 0.014%w/vは眼瞼痛を減らし、0.021%w/vは眼瞼痛を更に減らし、0.028%から0.060%、幾つかの実施形態では最高0.09%w/vは毛様体筋麻痺(すなわち、眼の毛様体筋の麻痺)を生ずることなく眼瞼痛を完全に解消することが知見された。
【0111】
(+)及び(-)アセクリジン光学異性体(幾つかの研究で(+)はより強力であり、他の研究では(-)がより強力であると考えられる)のラセミ50:50混合物の場合、トロピカミド効果がアセクリジン対トロピカミドの比に応じて異なり得ることが知見された。例えば、pH7.5の1.55%w/v アセクリジン、5.5%w/v HPβCDまたは好ましい実施形態ではポリオキシル40ステアレート、0.75%w/v CMC(1%=2,500センチポイズ)、0.25%w/v NaCl、及び0.01%w/v BAKを含む本発明の眼科用組成物では、0.042%w/v トロピカミドが0.035%w/vと区別され得、前者は正常な室内夜間視力を示し、後者は低濃度でより顕著になる僅かなかすみを示す。約0.075%から約0.090%w/v トロピカミドのようなより高い濃度では、1.50mmから1.80mm範囲の好適範囲の瞳孔収縮のロスが始まり、より高濃度で明白な散瞳が起こり始める。異性体比は有効な濃度を変えるので、これはアセクリジンを用いて予測される臨床効果の因子とならなければならない。本発明の好ましい実施形態の場合、正確な50:50異性体比を調べるために旋光計(個人通信機関Toronto Research Chemicals)を使用した。
【0112】
図1は、毛様体筋麻痺薬を含むまたは含まない、担体を含むまたは含まない縮瞳薬の効果を示す。被験者はベースライン近見視力が20.100、ベースライン遠見視力が20.20の45才以上の正視者である。眼に対して食塩水中1%w/v ピロカルピンを局所投与すると近見視力が20.40(8a)に改善するが、この改善は20.100(8b)への遠見視力の低下を犠牲にして生じている。0.015%w/v トロピカミドを添加すると、20.25(9a)へ近見視力を改善し、20.55(9b)へ遠見視力の低下を少なくする。ただし、ある場合若干の不正乱視が誘発される(読書視野に少々しみのあるエリア)。食塩水中1.55%w/v アセクリジンを局所適用すると、ベースライン遠見視力(10b)に対して影響を与えることなく近見視力が20.40に6時間の長期間にわたり改善する(10a)。10c及び10dは5.5%w/v 2-ヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリン、0.75%w/v CMC(1%=2,500センチポイズ)、0.25%w/v NaCl及び0.01%w/v BAKからなる担体中のアセクリジンの投与の効果を示す。10cに見られるように、担体はアセクリジンの有効な効果を高めて、20.20以上の近見視力が得られる。10dに見られるように、遠見視力の類似の向上が生じる。10e及び10fは担体中のアセクリジンへの0.042%w/v トロピカミドの添加の効果を示す。10eに見られるように、最大視力の迅速発現で近見視力が20.15に改善する。10fに見られるように、遠見視力の類似の改善が見られる。まとめると、
図1はアセクリジンがベースライン遠見視力に影響を与えることなく老視被験者の近見視力を一時的に矯正することができることを示している。類似の結果がトロピカミドのような毛様体筋麻痺薬を添加した異なる縮瞳薬のピロカルピンで達成され得る。適切な薬物担体も有利な効果を有し得る。
【0113】
本発明は、更に等張化剤及び保存剤を含む眼科用組成物に関する。
【0114】
等張化剤は、非限定的に塩、例えば塩化ナトリウム(“NaCl”)、塩化カリウム、マンニトール、またはグリセリン、或いは別の医薬的または眼科的に許容され得る等張化剤であり得る。特定の実施形態において、等張化剤は0.037%w/v NaClである。
【0115】
本発明で使用され得る保存剤には、塩化ベンザルコニウム(“BAK”)、クロロブタノール、チメロサール、酢酸フェニル水銀、ジナトリウムエチレンジアミンテトラ酢酸、硝酸フェニル水銀、過ホウ酸塩、またはベンジルアルコールが含まれるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、保存剤は約0.001%から約1.0%w/vの濃度、より好ましくは約0.007%w/vの濃度のBAKである。別の好ましい実施形態において、保存剤は0.01%から約1.0%w/vの濃度、より好ましくは約0.02%w/vの濃度の過ホウ酸塩である。
【0116】
本発明の眼科用組成物を製造するためにpHを調節するための各種緩衝液及び手段を使用し得る。前記緩衝液には、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液及びホウ酸緩衝液が含まれるが、これらに限定されない。必要に応じて組成物のpHを調節するために酸または塩基を好ましくは1から10mM、より好ましくは約5mMの濃度で使用し得ると理解される。好ましい実施形態において、pHは約4.0から約8.0であり、より好ましい実施形態ではpHは約5.0から約7.0である。
【0117】
本発明は更に、抗酸化剤を更に含む眼科用組成物に関する。本発明で使用され得る抗酸化剤には、約0.005%から約0.50%w/vの濃度のジナトリウムエチレンジアミンテトラ酢酸、約0.01%から約0.3%w/wの濃度のシトレート、約0.001%から約0.2%w/vの濃度のジカルシウムジエチレントリアミンペンタ酢酸(“Ca2DTPA”)、好ましくは処方物に0.0084%w/v Ca(OH)2及び0.0032%w/v ペンテト酸を添加し、ゆっくり混合することにより調製され得る約0.01%w/vの濃度のCa2DTPAが含まれるが、これらに限定されない。抗酸化剤の更なる組合せが使用され得る。本発明で使用され得る他の抗酸化剤には、当業者に公知のもの、例えば約0.0001%から約0.015%w/vの濃度のエチレンジアミンテトラ酢酸が含まれる。
【0118】
本発明の局所処方物、特にpH7.0の1.35%から1.55%w/v アセクリジン、5.5%w/v ポリオキシル40ステアレート、0.80%w/v CMC、0.037%w/v NaCl、0.015%w/v EDTA、0.007%w/v BAK、及び5mM リン酸緩衝液を含む好ましい実施形態の1つにより、1日1回点眼後かなり長時間コンタクトレンズの装用及び快適感が得られることは驚く予期せぬ知見である。好ましい実施形態の1日1回使用により、ドライアイの被験者は以前には夜間視力がぼやけたり、除去し、洗浄したり交換する必要があるフイルムで覆われたコンタクトレンズを1週間の間レンズをつけて眠ることができる(実施例7参照されたい)。
【0119】
以下の代表的実施形態は例示の目的のみで提示されており、決して本発明を限定すると意図されない。
【0120】
代表的実施形態
特定の実施形態において、本発明は、式I:
【0121】
【0122】
【化4】
(上記式中、
R
1はH、O、CH
3、アルキル、アセチル、アシル、アジリジン、ニトリル、イミン、ニトリル-イミンメチル置換、結合しているエステルでのニトリル-イミンメチル置換、芳香族環、置換芳香族環、アジド、アセトアミド、ピリジン、置換ピリジン、ピロリジン、置換ピロリジン、イミダゾール、置換イミダゾール、1個以上の炭素原子がOまたはSで置換されているイミダゾール、1個以上の炭素原子がOまたはSで置換されている置換イミダゾール、ベンゾイミダゾール、置換ベンゾイミダゾール、1個以上の炭素原子がOまたはSで置換されているベンゾイミダゾール、または1個以上の炭素原子がOまたはSで置換されている置換ベンゾイミダゾールであり;
R
2はH、O、CH
3、アルキル、アセチル、アシル、ニトリル、イミン、ニトリル-イミンメチル置換、またはエステル-O-アルキルであり;
R
3はH、CH
3、アシル、アセチル、またはエステルであり;
R
4はアシル、アセチル、エステル、CH
3、アルキル、芳香族環、置換芳香族環、シクロヘキサン、または置換シクロヘキサン環であり;
R
1及びR
2の各々は独立してキヌクリジン環の-CH
2-のHを置換する)
のムスカリン性アゴニストを含む老視を治療するための組成物及び方法に関する。
【0123】
特定の実施形態において、本発明は、M1及びM3ムスカリン性アセチルコリン受容体を優先的に活性化するムスカリン性アゴニストを含む老視を治療するための組成物及び方法に関する。
【0124】
特定の実施形態において、本発明は、M1ムスカリン性アセチルコリン受容体のみを活性化するムスカリン性アゴニストを含む老視を治療するための組成物及び方法に関する。
【0125】
特定の他の実施形態において、本発明は、アセクリジンを含む老視を治療するための眼科用組成物に関する。
【0126】
特定の他の実施形態において、本発明は、アセクリジン及び毛様体筋麻痺薬を含む老視を治療するための眼科用組成物に関する。
【0127】
特定の他の実施形態において、本発明は、アセクリジン、毛様体筋麻痺薬及び選択的α-2アドレナリン受容体アゴニストを含む老視を治療するための眼科用組成物に関する。
【0128】
特定の他の実施形態において、本発明は、一般的縮瞳薬及び毛様体筋麻痺薬を含む老視を治療するための眼科用組成物に関する。
【0129】
特定の他の実施形態において、本発明は、
一般的縮瞳薬、式IまたはIIの化合物、ムスカリン性アゴニスト、またはアセクリジン;
場合により毛様体筋麻痺薬;
場合により選択的α-2アドレナリン受容体アゴニスト;
粘度強化剤;及び
アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及びその組合せからなる群から選択される界面活性剤;
を含む本発明の眼科用組成物に関する。
【0130】
特定の他の実施形態において、
粘度強化剤はカルボキシメチルセルロースであり、
アニオン性界面活性剤はγ-シクロデキストリン、キャプティソル(R)、ナトリウムラウリルスルフェート及びナトリウムエステルラウリルスルフェートからなる群から選択され、ノニオン性界面活性剤はポロキサマー、ポリソルベート、スパン(R)20-80、ポリオキシルアルキル、シクロデキストリン及びその誘導体からなる群から選択される。
【0131】
特定の他の実施形態において、本発明は、
一般的縮瞳薬、式IまたはIIの化合物、ムスカリン性アゴニスト、またはアセクリジン;
場合により毛様体筋麻痺薬;
場合により選択的α-2アドレナリン受容体アゴニスト;及び
キャプティソル(R)、ポリオキシル40ステアレート及び2-ヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリンからなる群から選択される界面活性剤;
を含む本発明の眼科用組成物に関する。
【0132】
特定の他の実施形態において、本発明は、
一般的縮瞳薬、式IまたはIIの化合物、ムスカリン性アゴニスト、またはアセクリジン;
場合により毛様体筋麻痺薬;
場合により選択的α-2アドレナリン受容体アゴニスト;
キャプティソル(R)、ポリオキシル40ステアレート及び2-ヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリンからなる群から選択される界面活性剤;及び
ポロキサマー188、ポリオキシル40ステアレート、ポリオキシル35ヒマシ油、ポリソルベート、スパン(R)20-80、チロキサポール及びその組合せからなる群から選択される1つ以上の追加の非イオン性界面活性剤;
を含む本発明の眼科用組成物に関する。
【0133】
特定の他の実施形態において、本発明は、
一般的縮瞳薬、式IまたはIIの化合物、ムスカリン性アゴニスト、またはアセクリジン;
場合により毛様体筋麻痺薬;及び
場合により選択的α-2アドレナリン受容体アゴニスト;
を含み、
前記選択的α-2アドレナリン受容体アゴニストがブリモニジン、デクスメデトミジン、ファドルミジン及びグアンファシンからなる群から選択される;
本発明の眼科用組成物に関する。
【0134】
特定の他の実施形態において、本発明は、
一般的縮瞳薬、式IまたはIIの化合物、ムスカリン性アゴニスト、またはアセクリジン;
場合により毛様体筋麻痺薬;及び
場合により選択的α-2アドレナリン受容体アゴニスト;
を含み、
前記毛様体筋麻痺薬がピレンゼピン、トロピカミド、サイクロジル(R)、4-ジフェニルアセトキシ-N-メチルピペリジンメチオジド(4-DAMP)、キサノメリン、オテンゼパド及びその組合せからなる群から選択される;
本発明の眼科用組成物に関する。
【0135】
好ましい実施形態において本発明の組成物は約5.5以上のpHを有する。
【0136】
特定の他の実施形態において、本発明は、
一般的縮瞳薬、式IまたはIIの化合物、ムスカリン性アゴニスト、またはアセクリジン;
場合により毛様体筋麻痺薬;
場合により選択的α-2アドレナリン受容体アゴニスト;及び
約0.0001%から約0.4%w/vの濃度のカーボポール(R)、アルギネート、ペクチン、キサンタンガム及びグアーガムからなる群から選択されるin situゲル;
を含む本発明の眼科用組成物に関する。
【0137】
好ましい実施形態において、眼科用組成物は、
約1.53%w/vの濃度のアセクリジン;
約0.044%w/vの濃度のトロピカミド;
約0.80%w/vの濃度のカルボキシメチルセルロース;
約0.75%w/vの濃度の塩化ナトリウム;
約0.01%w/vの濃度の塩化ベンザルコニウム;及び
約5ミリモルの濃度のリン酸緩衝液;
を含み、
pHは約8.0である。
【0138】
別の好ましい実施形態において、眼科用組成物は、
約1.53%w/vの濃度のアセクリジン;
約0.044%w/vの濃度のトロピカミド;
約0.042%w/vの濃度のブリモニジン;
約0.80%w/vの濃度のカルボキシメチルセルロース;
約0.75%w/vの濃度の塩化ナトリウム;
約0.01%w/vの濃度の塩化ベンザルコニウム;及び
約5ミリモルの濃度のリン酸緩衝液;
を含み、
pHは約8.0である。
【0139】
最も好ましい実施形態において、眼科用組成物は、
約1.45%w/vの濃度のアセクリジン;
約0.044%w/vの濃度のトロピカミド;
約5.5%w/vの濃度のポリオキシル40ステアレート;
約0.8%w/vの濃度のカルボキシメチルセルロース;
約0.37%w/vの濃度の塩化ナトリウム;
約0.015%w/vの濃度のジナトリウムエチレンジアミンテトラ酢酸;
約0.007%w/vの濃度の塩化ベンザルコニウム;及び
約5ミリモルの濃度のリン酸緩衝液;
を含み、
pHは約7.0であり、
場合により点眼からほぼ最初の10~20分後の間に一過性の充血を僅かに減少させるために0.40%w/vのブリモニジンを添加してもよい。
【0140】
別の実施形態において、眼科用組成物は、
約1.35%w/vの濃度のアセクリジン;
約0.044%w/vの濃度のトロピカミド;
約5.0%から約6.0%w/vの濃度のキャプティソル(R);
約0.90%から約1.2%w/vの濃度のカルボキシメチルセルロース;
約0.025%から約0.50%w/vの濃度の塩化ナトリウム;及び
約4.0ミリモルから約5.0ミリモルの濃度の、リン酸緩衝液及びホウ酸緩衝液からなる群から選択される緩衝液;
を含む。
【0141】
別の実施形態において、眼科用組成物は、
約1.35%w/vの濃度のアセクリジン;
約0.044%w/vの濃度のトロピカミド;
約5.0%から約6.0%w/vの濃度のキャプティソル(R);
約0.90%から約1.2%w/vの濃度のカルボキシメチルセルロース;
約0.025%から約0.50%w/v、好ましくは約0.037%から約0.05%w/vの濃度の塩化ナトリウム;
場合により約0.007%w/v以上の濃度の塩化ベンザルコニウム;及び
約4.0ミリモルから約5.0ミリモルの濃度の、リン酸緩衝液及びホウ酸緩衝液からなる群から選択される緩衝液;
を含む。
【0142】
別の実施形態において、眼科用組成物は、
約1.35%w/vの濃度のアセクリジン;
約0.044%w/vの濃度のトロピカミド;
約5.0%から約6.0%w/vの濃度のキャプティソル(R);
約0.90%から約1.2%w/vの濃度のカルボキシメチルセルロース;
約0.025%から約0.50%w/vの濃度の塩化ナトリウム;
約4.0%w/vの濃度のマンニトール;及び
約4.0ミリモルから約5.0ミリモルの濃度の、リン酸緩衝液及びホウ酸緩衝液からなる群から選択される緩衝液;
を含む。
【0143】
別の実施形態において、眼科用組成物は、
約1.35%w/vの濃度のアセクリジン;
約0.044%w/vの濃度のトロピカミド;
約5.0%から約6.0%w/vの濃度のキャプティソル(R);
約0.90%から約1.2%w/vの濃度のカルボキシメチルセルロース;
約0.025%から約0.50%w/vの濃度の塩化ナトリウム;
約0.005%から約0.50%w/vの濃度のジナトリウムエチレンジアミンテトラ酢酸、約0.01%から約0.3%w/vの濃度のシトレート、約0.001%から約0.2%w/vの濃度のCa2DTPA及びその組合せからなる群から選択される抗酸化剤、好ましくは約0.0001%から約0.015%w/vの濃度のエチレンジアミンテトラ酢酸;及び
約4.0ミリモルから約5.0ミリモルの濃度の、リン酸緩衝液及びホウ酸緩衝液からなる群から選択される緩衝液;
を含む。
【0144】
別の実施形態において、眼科用組成物は、
約1.35%w/vの濃度のアセクリジン;
約0.044%w/vの濃度のトロピカミド;
約5.0%から約6.0%w/vの濃度のキャプティソル(R);
約0.90%から約1.2%w/vの濃度のカルボキシメチルセルロース;
約0.025%から約0.50%w/vの濃度の塩化ナトリウム;
約0.025%から約0.045%w/vの濃度のブリモニジン、ファドルミジン及びグアンファシンからなる群から選択されるα-2アドレナリン受容体アゴニスト;及び
約4.0ミリモルから約5.0ミリモルの濃度の、リン酸緩衝液及びホウ酸緩衝液からなる群から選択される緩衝液;
を含む。
【0145】
別の実施形態において、眼科用組成物は、
約1.35%w/vの濃度のアセクリジン;
約0.044%w/vの濃度のトロピカミド;
約5.0%から約6.0%w/vのポリオキシル40ステアレート;
約0.80%w/vの濃度のカルボキシメチルセルロース;
約0.025%から約0.05%w/v、好ましくは約0.037%から約0.05%w/vの濃度の塩化ナトリウム;及び
約4.0ミリモルから約5.0ミリモルの濃度の、リン酸緩衝液及びホウ酸緩衝液からなる群から選択される緩衝液;
を含む。
【0146】
別の実施形態において、眼科用組成物は、
約1.35%w/vの濃度のアセクリジン;
約0.044%w/vの濃度のトロピカミド;
約1%から10%、より好ましくは、約5.0%から約6.0%w/vの濃度のポリオキシル40ステアレート;
約0.80%から0.90%w/vの濃度のカルボキシメチルセルロース;
約0.025%から約0.90%、より好ましくは0.05%w/vの濃度の塩化ナトリウム;
場合により約0.1%w/vの濃度のコカミドプロピルベタイン;及び
約4.0ミリモルから約5.0ミリモルの濃度の、リン酸緩衝液及びホウ酸緩衝液からなる群から選択される緩衝液;
を含む。
【0147】
別の実施形態において、眼科用組成物は、
約1.35%w/vの濃度のアセクリジン;
約0.044%w/vの濃度のトロピカミド;
約5.0%から約6.0%w/vの濃度のポリオキシル40ステアレート;
約0.80%w/vの濃度のカルボキシメチルセルロース;
約0.025%から約0.05%w/vの濃度の塩化ナトリウム;
約0.007%w/vの濃度の塩化ベンザルコニウム;及び
約4.0ミリモルから約5.0ミリモルの濃度の、リン酸緩衝液及びホウ酸緩衝液からなる群から選択される緩衝液;
を含む。
【0148】
別の実施形態において、眼科用組成物は、
約1.35%w/vの濃度のアセクリジン;
約0.044%w/vの濃度のトロピカミド;
約5.0%から約6.0%w/vの濃度のポリオキシル40ステアレート;
約0.80%w/vの濃度のカルボキシメチルセルロース;
約0.025%から約0.05%w/v、好ましくは約0.037%から約0.05%w/vの濃度の塩化ナトリウム;
約0.005%から約0.50%w/vの濃度のジナトリウムエチレンジアミンテトラ酢酸、約0.01%から約0.3%w/wの濃度のシトレート、約0.001%から約0.2%w/vの濃度のCa2DTPA及びその組合せからなる群から選択される抗酸化剤、好ましくは約0.0001%から約0.015%w/vの濃度のエチレンジアミンテトラ酢酸;及び
約4.0ミリモルから約5.0ミリモルの濃度の、リン酸緩衝液及びホウ酸緩衝液からなる群から選択される緩衝液;
を含む。
【0149】
別の実施形態において、眼科用組成物は、
約1.35%から1.45%w/vの濃度のアセクリジン;
約0.044%w/vの濃度のトロピカミド;
約5.0%から約6.0%w/vの濃度のポリオキシル40ステアレート;
約0.80%w/vの濃度のカルボキシメチルセルロース;
約0.025%から約0.05%w/v、好ましくは約0.037%から約0.05%w/vの濃度の塩化ナトリウム;
約0.025%から約0.045%w/vの濃度のブリモニジン、ファドルミジン及びグアンファシンからなる群から選択されるα-2アドレナリン受容体アゴニスト;及び
約4.0ミリモルから約5.0ミリモルの濃度の、リン酸緩衝液及びホウ酸緩衝液からなる群から選択される緩衝液;
を含む。
【0150】
別の実施形態において、眼科用組成物は、
約1.40から1.45%w/vの濃度のアセクリジン;
約0.044%w/vの濃度のトロピカミド;
約0.85%w/vの濃度のカルボキシメチルセルロース;
約0.75%w/vの濃度の塩化ナトリウム;
を含み、
前記組成物は更に
約10ミリモルの濃度のホウ酸緩衝液;
約0.01%w/vの濃度の塩化ベンザルコニウム;
約5.5%w/vの濃度のポリオキシル40ステアレート;
約0.2%w/vの濃度のシトレート;
を含み、
前記組成物は約7.0のpHを有し、
w/vは重量/体積を示す。
【0151】
別の実施形態において、眼科用組成物は、
約1.40%w/vの濃度のアセクリジン;
約0.044%w/vの濃度のトロピカミド;
約0.80%から約0.85%w/vの濃度のカルボキシメチルセルロース;
約0.05%w/vの濃度の塩化ナトリウム;
を含み、
前記組成物は更に
約10ミリモルの濃度のホウ酸緩衝液;
約0.01%w/vの濃度の塩化ベンザルコニウム;
約5.5%w/vの濃度のポリオキシル40ステアレート;
約0.01%w/vからの濃度のジカルシウムジエチレントリアミンペンタ酢酸(“Ca2DTPA”);
を含み、
前記組成物は約7.0のpHを有し、
w/vは重量/体積を示す。
【0152】
別の実施形態において、眼科用組成物は、
約0.5%w/vの濃度のアセクリジン;
約0.1%w/vのポロキサマー188;
約0.2%w/vのポロキサマー407;
約5%w/vのポリオキシルステアレート;
約0.25%w/vのポリオキシル35ヒマシ油;
約0.80%から約0.85%w/vの濃度のカルボキシメチルセルロース;
約0.25%w/vの濃度の塩化ナトリウム;
約0.02%w/vの濃度の過ホウ酸塩;
約15から約75mMの濃度のクエン酸緩衝液;及び
場合により、約0.03%w/vの濃度のグアンファシン;
を含み、
前記組成物は約5.0から約8.0、好ましくは約5.9から約6.2のpHを有し、
w/vは重量/体積を示す。
【0153】
以下の実施例は例示の目的のみで提示されており、決して本発明を限定すると意図しない。
【実施例0154】
実施例1 47から67才の被験者の視力に対するアセクリジンの効果
表1は、アセクリジンを含有している組成物を点眼する前及びその後の老視被験者の短焦点能力に対する効果を示す。各組成物は指定されている濃度のアセクリジン、5.5%w/v HPβCD、0.75%w/v CMC、0.25%w/v NaCl及び0.01%w/v BAKを含んでいた。加えて、被験者4及び5に対して投与した組成物は0.125%w/v トロピカミドを含んでいた。アセクリジンはエナンチオマーであるので、臨床有効性は異なる比で変化し得る。本研究の場合、旋光測定によりほぼ正確な50:50比の立体異性体がベストとして決定された。
【0155】
【0156】
表1に示されているように、すべての被験者が左目及び右目の両方で完全ではない近見視力(20.20)(対象物は眼から15インチ離している)を有しており、多くの被験者が組成物の投与前完全ではない遠見視力を有していた。組成物の投与後、すべての被験者が7から12時間続く近見視力の改善を経験した。驚くことに、被験者の大部分は同一期間遠見視力の改善も経験した。更に驚くことに、近点の改善は、快適な読書のために典型的に必要な16”よりもかなり近く、幾つかの場合には30才以下の個人でより通常見られる約8.5”に改善された。毛様体筋麻痺薬のトロピカミドの添加は視力矯正に対して付加的または有害な影響を有していなかった。
【0157】
実施例2
【0158】
【0159】
略語:(C)は矯正した視力を示す;(m)は分を示す;(hr)は時間を示す;mmはミリメートルを示す;BDはベースライン遠見視力を示す;BNはベースライン近見視力を示す;BPはベースライン瞳孔径を示す;ODは右眼を示す;OSは左眼を示す;OUは両眼を示す。
【0160】
パーセンテージはすべてw/vである。「pt」は印刷物のサイズを表し、4は20/20視力に等しく、3は20/15視力に等しい。
【0161】
「時間」は効果の期間を指す。
【0162】
表2に示すように、少なくとも1.1%w/vの濃度のアセクリジンは点眼から1時間後に瞳孔の大きさを1.63mmに縮小させることができ、近見及び遠見視力は少なくとも10時間矯正された。アセクリジンの濃度を0.75%w/vに低下させると(処方物#3)、1時間後に縮瞳効果が2.0~2.5mmに低下し、視力矯正は6.5時間しか続かなかった。0.03%w/v ブリモニジンを添加すると、眼の充血が点眼から30分以内に4点満点中1.5に低下し(ブリモニジンなしでは4点満点中4,示さず)、視力が矯正されている間中維持された。ノニオン性界面活性剤をHPβCDに変更すると(処方物#2-6)、眼の充血が更に減少した。アセクリジンの濃度を0.75%w/vに低下させると(処方物#3)、眼の充血は更に減少したが、上記したように処方物の視野矯正期間も短縮した。
【0163】
処方物#1-3では、4点満点中2の疼痛レベルで眼の眼瞼痛及び刺痛は顕著であり、軽度の悪心、胃の調子の悪さ及び疲労の所見を伴っていた。驚くことに、毛様体筋麻痺薬のトロピカミドを添加すると、眼瞼痛及び刺痛がそれぞれ4点満点中0.5、4点満点中0に減少し、眼瞼痛は60分後に消失した(処方物#4)。更に、アセクリジンの濃度を1.1%w/vに上昇させると、眼の充血を増やすことなく処方物#1-2で見られたより長期間矯正視力が回復した。しかしながら、10時間の終わりに処方物#4を再点眼すると、顕著な眼瞼痛が生じた。処方物#4の後高いトロピカミド濃度を有する処方物#5を点眼(OD)及び(OS)すると、処方物#4の再点眼で経験した眼瞼痛が緩和された。処方物#5の有効期間の終わりに3回目の点眼をすると、処方物#5の再点眼により再びかなりの眼瞼痛が生じた。再び、処方物#6ではトロピカミドの濃度を上昇させると眼瞼痛を解消することができた。加えて、予期せぬことに、毛様体筋麻痺薬であるにもかかわらず、トロピカミドは縮瞳または視力矯正に対する効果はなかった。驚くことに、トロピカミドを添加すると、長期間の最適の瞳孔径収縮が生じた。
【0164】
縮瞳に対するブリモニジンの効果を調べるために、処方物#7を投与した。処方物#7を投与すると、縮瞳が1.70mmに僅かに減少し、遠見及び近見視力は処方物#5と同一の改善であった。2-3+結膜充血が見られた。
【0165】
すべてのベースライン視力データは遠見コンタクトレンズで矯正した視力に基づいていた。近見視力が点眼から1.5時間後に8インチから水平方向に突出していると被験者により認められた。すべての瞳孔径測定のために赤外カメラ及び積載瞳孔目盛りスケールを有するマルコ自動屈折計を使用した。像を選択したら、スクリーン上に残して、正確な較正を可能にした。
【0166】
実施例3
【0167】
【0168】
パーセンテージはすべてw/vである。鼻閉、初期刺痛、3分後刺痛、初期充血、15分後充血、ホワイトニング、疼痛及び総合評価に対するスコアは4点満点である。
【0169】
「pt」は印刷物のサイズを表し、4は20/20視力に等しく、3は20/15視力に等しい。
【0170】
ベースライン視力は遠見に関して両眼で20.20であり、近見に関して右裸眼で20.70、左眼で20.80である(最良@16”)。
【0171】
D/Cは我慢できない刺痛のために洗眼後の中止を表す。
【0172】
1.55%w/vの濃度のアセクリジンは、表3に示すように約7.5時間続く顕著な影響なしに、点眼から30分後瞳孔の大きさを約1.63mmに縮小させることができ、よって近見及び遠見視力を20.20以上に少なくとも6時間矯正することができる。アセクリジン濃度を1.25%w/v(示さず)に低下させると、約20.25~20.30への有用な近見視力改善が生じたが、より高用量の範囲で迅速な発現、より長い期間及びより高い効果が生じたアルカリpHほど有効でなかった。0.037%w/v ブリモニジンを添加すると、点眼から15分以内に眼の充血(ブリモニジンなしで4点満点中4、示さず)がベースラインに減少し、これがほぼ視力が矯正されている間中維持された。0.10%w/v グリセリンを添加すると、刺痛が顕著に減少した。しかしながら、代わりに0.05%w/v ポロキサマー188及び0.05%w/v ポリオキシル40ステアレートを添加すると、初期刺痛が更に減少したが、より粘性であった。pH6.5で0.1%w/v グリセリン及び0.1%w/v ポロキサマー188を組み合わせると、発現、期間、快適性及び有効性が顕著に減少した。AB11Tはグリセリン、ポロキサマー188、またはポリオキシル40ステアレートを含んでおらず、点眼直後に強い刺痛があり、眼をフラッシュ洗浄して実験を中断した。AB12T中にブリモニジンの代わりに0.037%w/v グアンファシンを使用すると、最小の初期充血、長期間の充血減少及びある程度のホワイトニングが生じ、最適の効果のために僅かにより高いアセクリジン濃度を必要とするが総合的にベストな美容術を与えるようであった。
【0173】
すべてのベースライン視力データは遠見コンタクトレンズで矯正した視力に基づいていた。近見視力はAB4T及びAB6Tの場合点眼から30分後に水平方向に対して8から10インチから水平方向に突出していると被験者により認められた。
【0174】
AB4T及びAB6Tをいずれも単眼及び両眼で繰り返した。両眼を治療したとき、単眼治療に比して奥行感覚、3pt(20.15)への近点視力及び近点距離(8”,20.20)の実質的改善が認められた。単眼治療では、治療した眼のみを試験したときに比して両眼を開けると視力が悪化した。
【0175】
実施例4
【0176】
【0177】
表4に示すように、処方物#8-9においてブリモニジンを0.42%w/vに上昇させると充血が0.5に減少し、0.75%w/v CMCは水様コンシステンシーを生じた。予期せぬことに、処方物#10-11においてCMCを0.75%w/vから0.80%w/vから0.87%w/vの範囲に上昇させ、NaClを0.25%w/vから0.75%w/vに上昇させると、より濃厚なコンシステンシーが生じ、残留時間が7時間から10~12時間へ延長し、鼻涙管に流れる薬物の量が減った。こうした鼻孔への少ない薬物デリバリーにより鼻閉が少なくなる。
【0178】
処方物#13-18において、アセクリジンの量を1.61%から1.53%w/vへ減少させると、1.8~2.0mmの瞳孔径範囲となった。瞳孔の収縮の結果としての目のかすみはアセクリジンの量の減少に伴って1.5から0.5に直線的に減少した。具体的には、1.8から2.0mmの瞳孔は1.5から1.7mmの瞳孔よりも41%より多い光を受けた。驚くことに、1.8から2.0mmの瞳孔は1.75Dの近見深度増加を有していた。これは、1.5~1.7mm範囲で見られる有効な2.00Dからたった0.25Dのロスである。よって、60才以下の個人では改善された近見視力の十分なベネフィットを得ながら、1.80から2.0mm範囲は41%より多い光を受ける。これに対して、60才以上の個人はなお高いコンピューターベネフィット及び若干高い近見ベネフィットを経験している。
【0179】
トロピカミド濃度を0.042%w/v(処方物#8-#11)から0.044%w/v(処方物#13-#18)に上昇させると、痛みが無視できる量まで減少した。痛みの量は個人の年齢にも相関し得る。45才以下の個人の場合、トロピカミド濃度を0.046%から0.060%w/vの範囲に上昇させることが好ましいことがある。
【0180】
更に、表4は、NaClを0.25%w/vから0.50から0.75%w/vの範囲に上昇させると、充血減少剤のブリモニジンを添加しなくてもたった1.0の許容できる充血スコアが得られた処方物#13及び#17において見られた予期せぬ結果を示している。
【0181】
処方物#15、#16及び#17の各々により、(1)少ないアセクリジン濃度により、処方物#8-#12で見られる近見視力ベネフィットに有意な影響を与えることなく受ける光の量が改善された;(2)高いNaCl濃度により、ブリモニジンが存在しなくても充血が更に減少した;及び(3)高いCMC濃度により眼上の滞留時間が延長した;というベネフィットを組み合わせることにより5の総合的最大評価を得る。
【0182】
処方物#19は、処方物#15-#17に対する高い応答者であり、1.53%w/v アセクリジンで顕著な目のかすみが生じた個人の少数に対する優れた代替物である。処方物#20は処方物#19に対して低い応答者である個人の少数に対する優れた代替物である。最後に、処方物#21は低い応答者であり、処方物#20で乏しい瞳孔応答を示した個人の少数に対する優れた代替物である。
【0183】
実施例5
【0184】
【0185】
臨床プロトコル:
十分遠見矯正されている20人の老視患者の各々に上記処方物(#22-#23)の1つを与えた。患者はすべて点眼前及び点眼後に遠見視力及び近見視力測定Zeiss Visante(R)(VisanteはCarl Zeiss Meditec AGの登録商標である)、光干渉断層法、軸長及びコントラスト視力検査(すなわち、Colenbrander-Michelson 10% Lumターゲット)を受け、次の結果を得た:
1)患者がすべて1.5から2.20mmの縮瞳を達成した;
2)患者は毛様体筋痛、毛様体筋痙攣、または誘発性調節を経験しなかった;
3)すべての患者が14”で20/30+以上の視力を達成し、高いコントラスト近見視力結果に非常に満足であり、焼けるまたはずきずきするという明らかな不平はなかった;
4)いずれの場合も作用期間は6~8時間続いた;
5)両眼視力はすべての患者に片眼検査よりも1~1.5追加ラインの近見視力を与えた;
6)最後の10人の患者を20”(すなわち、コンピューター距離、携帯電話距離)で検査し、すべてで20/25以上の近見視力を得た;
7)中程度の老視(約+2.25スフェア)の裸眼老眼は20/25以上のレベルに改善された遠見視力及び20/30範囲の近見視力に非常に満足だった;
及び
8)裸眼遠見視力は通常小さい屈折異常を矯正しないように選択した患者の場合しばしば改善された。
【0186】
表5に示されているように、ポリオキシル40ステアレートを使用すると、最低量の目のぼやけ及び充血しか示さない最も快適なアセクリジン処方物が得られる。処方物#22の結果と類似の結果を得るためには、処方物#23は10~15%以上の濃度の非イオン性界面活性剤を必要とし、処方物#24は15~20%以上の濃度の非イオン性界面活性剤を必要とする。HPβCDは、多分酸化を示す色の変化を経時的に誘発した。キャプティソル(R)で置換しても類似の所見が得られた。
【0187】
実施例6 好ましい実施形態におけるアセクリジン濃度の調節
好ましい実施形態:
アセクリジン 1.35%~1.55%w/v;
ポリオキシル40ステアレート 5.5%w/v;
NaCl 0.037%w/v;
CMC 0.80%w/v;
EDTA 0.015%w/v;
BAK 0.007%w/v;
リン酸またはホウ酸緩衝液 5mM;及び
pH7.0。
【0188】
1.35%w/v アセクリジンの場合
1)点眼時の刺痛:0.25/4.0(約2~5秒間続く);
2)10分で誘発された充血:1.0から1.5/4.0;
3)30分で誘発された充血:0.0から0.25/4.0;
4)快適性:非常に高い;
5)ぬれ:非常に高い。眼は1回点眼後24時間の殆どで改善されたぬれの感覚を維持している;
6)長焦点深度:優秀;
7)短焦点深度:優秀。
【0189】
数人の被験者に対して上記処方物を試験すると、アセクリジンの濃度に応じて臨床効果に僅かの範囲があり、1.35%~1.55%w/v アセクリジンが好ましく、1.35%w/v及び1.45%w/vの場合多くの被験者に対して所望のベネフィットを与えることが知見された。
【0190】
更に、次のように点眼したとき、1.35%w/v アセクリジンの臨床効果が改善され得ることが知見された。
1)ベースライン効果:各眼に1滴。
2)強化効果:各眼に2滴。
3)より大きい効果:上記2)後、上記1)を繰り返す。
4)最大効果:上記2)後、上記2)を繰り返す。
【0191】
実施例7 コンタクトレンズ装用を延長させるための好ましい実施形態の使用
好ましい実施形態:
アセクリジン 1.45%w/v;
ポリオキシル40ステアレート 5.5%w/v;
NaCl 0.037%w/v;
CMC 0.80%w/v;
EDTA 0.015%w/v;
BAK 0.007%w/v;
リン酸またはホウ酸緩衝液 5mM;
pH7.0。
【0192】
ベースラインとして、通常連続装用レンズ(Air Optix(R);Air OptixはNovartis AGの登録商標である)を装用していた被験者はこのレンズを1日だけ装用し、一晩寝た。毎朝の起床時、被験者の視力はぼやけており、コンタクトレンズの一晩で形成されたフィルム及び濁りを除去し、洗浄しなければならなかった。マイケルソンコントラスト視力表での起床時の平均遠見視力20.60;平均近見視力:20.80。
【0193】
その後、7日間連続装用のために、上記処方物を毎日午前7時から午前10時に1回点眼した。被験者は1日中Air Optix(R)レンズを装用し、レンズを装用して一晩寝た。毎朝の起床時、被験者の遠見視力は20.20+、裸眼近見視力は20.40であった。(被験者が一晩レンズを装用せず、その代わりに起床時レンズを装用したときには被験者のベースライン老視と一致する)。
【0194】
実施例8
【0195】
【0196】
表6に示すように、界面活性剤としてポリオキシル40ステアレートを使用する場合、ポリオキシル40ステアレート組成物の中でEDTAを除去すると充血が減少し、最良の総合評価が得られる(処方物#25及び#26)。コカミドプロピルベタイン(“CAPB”)を添加すると、充血が更に減少するが、明らかな痛みが生ずる(処方物#31)。ポリオキシル40ステアレートをキャプティソル(R)と交換し、マンニトールを添加すると、CAPBのポリオキシル40ステアレートへの添加として充血が減少するが、付随する痛みなしにアセクリジン組成物の中で最高の総合評価を得た(処方物#32)。数週間後、キャプティソル(R)を有する処方物は多分酸化を示す橙色の色調を有していた。
【0197】
実施例9 好ましい実施形態の使用
試験した組成物:
約0.5%w/vの濃度のアセクリジン;
約0.1%w/vのポロキサマー188;
約0.2%w/vのポロキサマー407;
約5%w/vのポリオキシルステアレート;
約0.25%w/vのポリオキシル35ヒマシ油;
約0.80%から約0.85%w/vの濃度のカルボキシメチルセルロース;
約0.25%w/vの濃度の塩化ナトリウム;
場合により約0.01%w/vの濃度のBAK;
約0.02%の濃度のクエン酸緩衝液;
約0.03%w/vの濃度のグアンファシンを含みまたは含まず、
前記組成物は約5.0から約8.0、好ましくは約5.9から約6.2のpHを有しており、
w/vは重量/体積を示す。
【0198】
上記した組成物を61才の被験者に投与し、1時間後再度点眼した。1.6mmの瞳孔、20.20+読書視力、20.20+遠見視力が得られた。毛様体痙攣も遠見視力のロスは生じなかった。グアンファシンなしでは4点満点中約2+の一過性充血が約20分間見られたのに対して、グアンファシンありでは5分未満続く4点満点中約0.5+の一過性充血が見られた。他の点で臨床結果は同一であった。BAKの存在または不在は臨床効果を有せず、任意の保存剤を与えるために使用した。