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特開2023-103433イットリア含有量の異なる多層構造ジルコニア
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  • 特開-イットリア含有量の異なる多層構造ジルコニア 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103433
(43)【公開日】2023-07-26
(54)【発明の名称】イットリア含有量の異なる多層構造ジルコニア
(51)【国際特許分類】
   A61K 6/818 20200101AFI20230719BHJP
   A61K 6/822 20200101ALI20230719BHJP
   A61K 6/824 20200101ALI20230719BHJP
【FI】
A61K6/818
A61K6/822
A61K6/824
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082661
(22)【出願日】2023-05-19
(62)【分割の表示】P 2019048083の分割
【原出願日】2019-03-15
(31)【優先権主張番号】P 2018052050
(32)【優先日】2018-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】390011143
【氏名又は名称】株式会社松風
(74)【代理人】
【識別番号】100173657
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬沼 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】饗場 理恵子
(72)【発明者】
【氏名】高橋周平
(72)【発明者】
【氏名】北村敏夫
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高透過で天然歯に近い色調再現が可能であり口腔内で耐えられる強度を有する歯科用ジルコニアブランクを提供する。さらに、高い強度を有した、4ユニット以上の補綴装置も作製可能な歯科用ジルコニアブランクを提供する。
【解決手段】複数の層を有する歯科用ジルコニアブランクであって、酸化ジルコニウムを91.6-96.5mol%および酸化イットリウムを3.5~8.4 mol%含有する高透過性セラミックスから構成される第1の層と、酸化ジルコニウムを95.6-98.5mol%および酸化イットリウムを1.5~4.4 mol%含有する低透過性セラミックスから構成される第2の層と、を含み、低透過性セラミックスの酸化イットリウムの含有率は、高透過性セラミックスの酸化イットリウムの含有率より0.5-5.4 mol%少なく、第1の層は、複数の層の積層方向の一端に位置することを特徴とする歯科用ジルコニアブランクである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の層を有する歯科用ジルコニアブランクであって、
酸化ジルコニウムを91.6-96.5mol%および酸化イットリウムを3.5~8.4 mol%含有する高透過性セラミックスから構成される第1の層と、
酸化ジルコニウムを95.6-98.5mol%および酸化イットリウムを1.5~4.4 mol%含有する低透過性セラミックスから構成される第2の層と、を含み、
低透過性セラミックスの酸化イットリウムの含有率は、高透過性セラミックスの酸化イットリウムの含有率より0.5-5.4 mol%少なく、
第1の層は、複数の層の積層方向の一端に位置することを特徴とする歯科用ジルコニアブランク。
【請求項2】
第1の層は、組成が互いに異なる複数の高透過性層状領域から構成されていることを特徴とする請求項1の歯科用ジルコニアブランク。
【請求項3】
第1の層は、高透過性セラミックスにおける酸化ジルコニウムの含有率及び/又は酸化イットリウムの含有率が互いに異なる複数の高透過性層状領域を有することを特徴とする請求項2の歯科用ジルコニアブランク。
【請求項4】
少なくとも一つの高透過性層状領域が、酸化エルビウムを0.0001~0.30 mol%含有することを特徴とする請求項2~3のいずれかの歯科用ジルコニアブランク。
【請求項5】
第2の層は、組成が互いに異なる複数の低透過性層状領域から構成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれかの歯科用ジルコニアブランク。
【請求項6】
第2の層は、低透過性セラミックスにおける酸化ジルコニウムの含有率及び/又は酸化イットリウムの含有率が互いに異なる複数の低透過性層状領域を有することを特徴とする請求項5の歯科用ジルコニアブランク。
【請求項7】
少なくとも一つの低透過性層状領域が、酸化エルビウムを0.0001~0.30 mol%含有することを特徴とする請求項5~6のいずれかの歯科用ジルコニアブランク。
【請求項8】
高透過性セラミックスは、組成の異なる複数のセラミックス粉末の仮焼体であることを特徴とする請求項1~7のいずれかの歯科用ジルコニアブランク。
【請求項9】
低透過性セラミックスは、組成の異なる複数のセラミックス粉末の仮焼体であることを特徴とする請求項1~8のいずれかの歯科用ジルコニアブランク。
【請求項10】
第1の層は、第1の層が位置する歯科用ジルコニアブランクの積層方向の一端側の表面の重心からの垂線上における、一端側の表面と対向する他端側の表面までの寸法の5~40%の範囲まで位置していることを特徴とする請求項1~9のいずれかの歯科用ジルコニアブランク。
【請求項11】
高透過性セラミックスを構成するセラミックス粉末及び低透過性セラミックスを構成するセラミックス粉末は、BET比表面積の差が2m2/gの範囲であり、かつ、平均1次粒子径の差が20nmの範囲であることを特徴とする請求項1~10の歯科用ジルコニアブランク。
【請求項12】
少なくとも1つの高透過性層状領域の透明性が、第2の層の透明性よりも高く、
前記少なくとも1つの高透過性層状領域のL*a*b*表色系による色度をLE、aE、bEで表した時、
LEが65.0以上82.0以下であり、
aEが-4.0以上2.0以下であり、
bEが0.0以上20.0以下であることを特徴とする請求項2~4のいずれかの歯科用ジルコニアブランク。
【請求項13】
第1の層の透明性が、第2の層の透明性よりも高く、
第1の層のL*a*b*表色系による色度をLE、aE、bEで表した時、
LEが65.0以上82.0以下であり、
aEが-4.0以上2.0以下であり、
bEが0.0以上20.0以下であることを特徴とする請求項1~12のいずれかの歯科用ジルコニアブランク。
【請求項14】
第1の層が、酸化エルビウムを0.0001~0.30 mol%含有することを特徴とする請求項1~13のいずれかの歯科用ジルコニアブランク。
【請求項15】
第2の層が、酸化エルビウムを0.0001~0.30 mol%含有することを特徴とする請求項1~14のいずれかの歯科用ジルコニアブランク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科分野においてCAD/CAM用の切削加工で用いられる歯科用ジルコニアブランクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、歯冠欠損部の歯科治療においては一般に鋳造クラウン・ブリッジや義歯による補綴修復が行われてきている。具体的には陶材焼付用の鋳造用合金で作製した金属フレーム表面に陶材を焼付けて、歯冠形態を再現させた機能性と審美性を兼備した陶材焼付クラウン・ブリッジの臨床応用が挙げられる。
【0003】
また、金属アレルギーの発症や貴金属の相場に左右される価格高騰等の観点から、また天然歯の色調に模倣することができる審美性の観点から、アルミナ、アルミノシリケートガラス、二ケイ酸リチウムガラス等を用いたディッピング法やセラミックスインゴットを用いたプレス法などの技法により作製された補綴装置、いわゆるオールセラミックスが注目されてきており、それを用いた補綴修復も増加してきている。
【0004】
近年、歯科用CAD/CAMシステムを用いた切削加工により補綴装置を作製する技術が急速に普及してきている。これによりジルコニア、アルミナ、アルミノシリケートガラス、二ケイ酸リチウムガラスで製造されたブロックやディスクなどのブランク材を切削加工して、容易に補綴装置を作製することが可能となってきている。また高強度セラミックスとしてジルコニアが臨床で多用されてきているが、ジルコニアブランクの切削性を向上させるために、完全焼結まで行わず、低い焼成温度で仮焼して切削加工に有利な強度や硬さに調整したジルコニアブランク(予備焼結体)が一般に用いられてきている。
【0005】
ジルコニアブランクのうち、4ユニット以上のブリッジフレームに用いられる曲げ強さを有するため、3mol%の酸化イットリウムを含有したジルコニアブランクが実用化されている。この3mol%の酸化イットリウムを含有したジルコニアブランクには、焼結性の向上と低温劣化の抑制のためアルミナを微量添加させている。
【0006】
しかし、3~4mol%の酸化イットリウムを含有したジルコニアブランクは、歯のエナメル部に相当する透明性を再現するのは困難であった。そのため、エナメル質に陶材と呼ばれるガラスを築盛する必要があった。しかし、この工程は非常に煩雑な工程であるとともに、技工士のテクニックを必要とするものであった。
【0007】
近年では、臼歯フルクラウンに適用可能な光透過性を高めるために、アルミナ含有量を極微量に抑えたジルコニア粉末で製造したジルコニアブランクも臨床で用いられている。また、より審美性が求められる前歯のフルクラウンにも使用できるように、安定化剤として添加している酸化イットリウムの含有量を5~6mol%に増量させて、光透過性を高く設計したジルコニアブランクも使用されてきている。
【0008】
特許文献1には、4.0mol%を超え6.5mol%以下の酸化イットリウムを含有するジルコニア焼結体が全光線透過率37%以上40%未満であり、特に前歯用として適した透光性及び強度を有していることが記載されている。透光性が高く、曲げ強度は500MPa以上とされている。
しかし、単冠において曲げ強度500MPaは十分な強度であると言えるが、ブリッジ等の複数ユニットの補綴装置の場合、500MPaでは十分な強度を有しているとは言えない。特に、連結部には、咬合等により大きな力が加わることとなり、より高い曲げ強度を有していることが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2015-143178
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来のジルコニア粉末を用いることで、光透過性及び審美性は向上したが、強度は低くなる。強度が低下すれば、適応症例も限定され、また、口腔内で補綴装置が割れるなどのリスクも懸念される。
本発明の目的は、高透過で天然歯に近い色調再現が可能であり口腔内で耐えられる強度を有する歯科用ジルコニアブランクを提供する。さらに、高い強度を有した、4ユニット以上の補綴装置も作製可能な歯科用ジルコニアブランクを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、複数の層を有する歯科用ジルコニアブランクであって、酸化ジルコニウムを91.6-96.5mol%および酸化イットリウムを3.5~8.4 mol%含有する高透過性セラミックスから構成される第1の層と、酸化ジルコニウムを95.6-98.5mol%および酸化イットリウムを1.5~4.4 mol%含有する低透過性セラミックスから構成される第2の層と、を含み、低透過性セラミックスの酸化イットリウムの含有率は、高透過性セラミックスの酸化イットリウムの含有率より0.5-5.4 mol%少なく、第1の層は、複数の層の積層方向の一端に位置することを特徴とする歯科用ジルコニアブランクを提供する。
【0012】
本発明においては、第1の層は、組成が互いに異なる複数の高透過性層状領域から構成されていることが好ましい。
本発明においては、第1の層は、高透過性セラミックスにおける酸化ジルコニウムの含有率及び/又は酸化イットリウムの含有率が互いに異なる複数の高透過性層状領域を有することが好ましい。
本発明においては、少なくとも一つの高透過性層状領域が、酸化エルビウムを0.0001~0.30 mol%含有することが好ましい。
本発明においては、第2の層は、組成が互いに異なる複数の低透過性層状領域から構成されていることが好ましい。
本発明においては、第2の層は、低透過性セラミックスにおける酸化ジルコニウムの含有率及び/又は酸化イットリウムの含有率が互いに異なる複数の低透過性層状領域を有することが好ましい。
本発明においては、少なくとも一つの低透過性層状領域が、酸化エルビウムを0.0001~0.30 mol%含有することが好ましい。
本発明においては、高透過性セラミックスは、組成の異なる複数のセラミックス粉末の仮焼体であることが好ましい。
本発明においては、低透過性セラミックスは、組成の異なる複数のセラミックス粉末の仮焼体であることが好ましい。
本発明においては、第1の層は、第1の層が位置する歯科用ジルコニアブランクの積層方向の一端側の表面の重心からの垂線上における、一端側の表面と対向する他端側の表面までの寸法の5~40%の範囲まで位置していることが好ましい。
本発明においては、高透過性セラミックスを構成するセラミックス粉末及び低透過性セラミックスを構成するセラミックス粉末は、BET比表面積の差が2m2/gの範囲であり、かつ、平均1次粒子径の差が20nmの範囲であることが好ましい。
本発明においては、少なくとも1つの高透過性層状領域の透明性が、第2の層の透明性よりも高く、第1の層のL*a*b*表色系による色度をLE、aE、bEで表した時、LEが65.0以上82.0以下であり、aEが-4.0以上2.0以下であり、bEが0.0以上20.0以下であることが好ましい。
本発明においては、第1の層の透明性が、第2の層の透明性よりも高く、第1の層のL*a*b*表色系による色度をLE、aE、bEで表した時、LEが65.0以上82.0以下であり、aEが-4.0以上2.0以下であり、bEが0.0以上20.0以下であることが好ましい。
本発明においては、第1の層が、酸化エルビウムを0.0001~.00 mol%含有することが好ましい。
本発明においては、第2の層が、酸化エルビウムを0.0001~1.00 mol%含有することが好ましい。
【0013】
本発明においては、高透過性セラミックスは、酸化ジルコニウム及び酸化イットリウムからなることが好ましい。
本発明においては、低透過性セラミックスは、酸化ジルコニウム及び酸化イットリウムからなることが好ましい。
本発明においては、第1の層は高透過性セラミックスからなることが好ましい。
本発明においては、第2の層は低透過性セラミックスからなることが好ましい。
本発明においては、歯科用ジルコニアブランクは、第1の層及び第2の層からなることが好ましい。
【0014】
本明細書における重心からの垂線は、例えば図1に示すものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、CAD/CAM技術で切削加工することが可能で、焼結後、高い透過性と高強度のジルコニア補綴装置を得ることができる。適応症例を限定することなく様々な症例で使用可能であり、また、多色多層構造により天然歯に近い色調再現が可能である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の歯科用ジルコニアブランクは複数の層を有するものであり、複数の層の積層方向の一端に位置する第1の層と第2の層を少なくとも有する。第1の層と第2の層は順番を示すものではない。第1の層がエナメル層であり、第2の層がボディ層であることが好ましい。
【0017】
第1の層は、酸化ジルコニウムを91.6-96.5mol%および酸化イットリウムを3.5~8.4 mol%含有する高透過性セラミックスから構成される。
【0018】
高透過性セラミックスにおける酸化イットリウムの含有量が3.5mol%未満の場合、エナメル層を再現することが難しくなる。また、高透過性セラミックスにおける酸化イットリウムの含有量が8.5mol%を超えると、十分な曲げ強度を得ることが難しくなる。高透過性セラミックスにおける酸化イットリウムの含有量は、好ましくは4.0~8.0 mol%、最も好ましくは4.5~6.5 mol%である。このような含有量とすることで、透過性が高まり、十分な曲げ強度も実現できる。
【0019】
第2の層は、酸化ジルコニウムを95.6-98.5mol%および酸化イットリウムを1.5~4.4 mol%含有する低透過性セラミックスから構成される。
【0020】
低透過性セラミックスにおける酸化イットリウムの含有量が1.5mol%未満の場合、焼結体が破壊される。また、低透過性セラミックスにおける酸化イットリウムの含有量が4.4mol%を超えると、着色を施しても背景色が反映されてしまう。低透過性セラミックスにおける酸化イットリウムの含有量は、好ましくは2.0~4.0 mol%、最も好ましくは2.5~3.5 mol%である。このような含有量とすることで、背景色に影響されにくく、十分な曲げ強度も実現できる。
【0021】
低透過性セラミックスの酸化イットリウムの含有率は、高透過性セラミックスの酸化イットリウムの含有率より0.5-5.4 mol%少ない。酸化イットリウムの含有量差が0.4mol%未満になると、複数層としたことによる審美性向上の効果を実感できない場合がある。一方、5.4mol%より大きくなると、審美性が損なわれる。第1の層及び第2の層の酸化イットリウムの含有量差は、好ましくは、0.5~4.0 mol%、最も好ましくは0.5~3.0 mol%である。このような含有量とすることで、より自然な透過性のグラデーションを実現でき、審美性が高まる。
【0022】
第1の層は、組成が互いに異なる複数の高透過性層状領域から構成してもよい。例えば、第1の層は、高透過性セラミックスにおける酸化ジルコニウムの含有率及び/酸化イットリウムの含有率が互いに異なる複数の高透過性層状領域を有してもよい。このような構成とすることにより、色調および/または透過性のグラデーションを形成し、より天然歯に近似した補綴装置を作製できるという効果が得られる。
【0023】
この場合、第1の層に含まれる少なくとも一つの高透過性層状領域が、酸化エルビウムを0.0001~0.30 mol%含有することが好ましい。少なくとも一つの高透過性層状領域が酸化エルビウムを含有することで、固溶され、焼成による色飛びを抑えて赤みを着色できるという効果が得られる。酸化エルビウムの含有量が0.0001mol%未満では、このような効果が得ることが難しい。一方、0.30 mol%よりも多くなると、赤みが強くなり過ぎ、歯冠色として適さないという問題が生じる場合がある。
【0024】
第2の層は、組成が互いに異なる複数の低透過性層状領域から構成してもよい。例えば、第2の層は、低透過性セラミックスにおける酸化ジルコニウムの含有率及び/又は酸化イットリウムの含有率が互いに異なる複数の低透過性層状領域を有してもよい。このような構成とすることにより、色調および/または透過性のグラデーションを形成し、より天然歯に近似した補綴装置を作製できるという効果が得られる。
【0025】
この場合、第2の層に含まれる少なくとも一つの低透過性層状領域が、酸化エルビウムを0.0001~0.30 mol%含有することが好ましい。少なくとも一つの低透過性層状領域が、酸化エルビウムを含有することで、固溶され、焼成による色飛びを抑えて赤みを着色できるという効果が得られる。酸化エルビウムの含有量が0.0001mol%未満では、このような効果が得ることが難しい。一方、0.30 mol%よりも多くなると、赤みが強くなり過ぎ、歯冠色として適さないという問題が生じる場合がある。
【0026】
高透過性セラミックスは、組成の異なる複数のセラミックス粉末の仮焼体とすることができる。このような構成とすることにより、CAD/CAM技術による切削加工で歯の形を形成し焼結することで、簡単に色調および/または透過性の異なる補綴装置を作製できるという効果が得られる。この場合、組成の異なる複数のセラミックス粉末は、複数の高透過性層状領域を構成してもよく、単数の高透過性層状領域を構成してもよい。複数の場合は色調再現性が優れるが、単数の場合は生産性が優れ色調再現することができる。
【0027】
低透過性セラミックスは、組成の異なる複数のセラミックス粉末の仮焼体とすることができる。このような構成とすることにより、CAD/CAM技術による切削加工で歯の形を形成し焼結することで、簡単に色調および/または透過性の異なる補綴装置を作製できるという効果が得られる。この場合、組成の異なる複数のセラミックス粉末は、複数の低透過性層状領域を構成してもよく、単数の高透過性層状領域を構成してもよい。複数の場合は色調再現性が優れるが、単数の場合は生産性が優れ色調再現することができる。
【0028】
本発明の歯科用ジルコニアブランクは、第1の層と第2の層を型に入れて形成し、焼結させることで得ることができる。
歯科用ジルコニアブランクは、CAD/CAM技術による切削加工に使用される。歯科用ジルコニアブランクは焼結体もしくは半焼結体で提供される。より好ましくは半焼結体で提供される。半焼結体で提供された歯科用ジルコニアブランクはCAD/CAM技術による切削加工後に再焼成され、焼結体として、口腔内で用いられる。
歯科用ジルコニアブランクの形状は、円柱体であるディスクタイプでも、立方体もしくは直方体であるブロックタイプでも良い。
【0029】
歯科用ジルコニアブランクを作製する際に、着色材を、高透過性セラミックスを構成するセラミックス粉末及び低透過性セラミックスを構成するセラミックス粉末に混合して用いることもできる。高透過性セラミックスを構成するセラミックス粉末や低透過性セラミックスを構成するセラミックス粉末を作製する際に着色材を固溶もしくは含有することが好ましい。着色材としては、鉄化合物、コバルト化合物、クロム化合物、プラセオジム化合物、バナジウム化合物などが挙げられる。
【0030】
高透過性セラミックスを構成するセラミックス粉末や低透過性セラミックスを構成するセラミックス粉末は、焼結性を高めるために焼結助剤としての酸化アルミニウムを含有することができる。酸化アルミニウムは0.005~0.5mol%含有することが好ましい。0.5mol%よりも多くなると、透光性が低下し、特に前歯を作製した場合、審美性が劣ることがある。
【0031】
第1の層は、図1に示すように、第1の層(図1のエナメル層)が位置する歯科用ジルコニアブランクの積層方向の一端側の表面の重心からの垂線上における、一端側の表面と対向する他端側の表面までの寸法の5~40%の範囲まで位置することができる。
【0032】
第1の層は、酸化イットリウムおよび酸化エルビウムの含有量や着色剤の含有量が同一の高透過性層状領域を、第1の層において50-100%含有することが好ましく、第1の層において図1の重心からの垂線に沿って50-100%の範囲で含有することがさらに好ましい。
【0033】
第2の層は、酸化イットリウムおよび酸化エルビウムの含有量や着色剤の含有量が同一の低透過性層状領域を、第2の層において50-100%含有することが好ましく、第2の層において図1の重心からの垂線に沿って50-100%の範囲で含有することがさらに好ましい。
【0034】
高透過性セラミックスを構成するセラミックス粉末及び低透過性セラミックスを構成するセラミックス粉末のそれぞれの平均1次粒子径は10-1000nm、BET比表面積は5-20m2/gであることが好ましい。平均1次粒子径が10nmより小さい場合は成型に支障を来たすことが多い。平均1次粒子径が1000nmより大きい場合は、成型に支障を来たすことが多い。BET比表面積は5m2/gより小さい場合は低温で焼結し辛い傾向にある。BET比表面積は20m2/gより大きい場合は凝集力が著しい。
【0035】
高透過性セラミックスを構成するセラミックス粉末と低透過性セラミックスを構成するセラミックス粉末はBET比表面積の差が2m2/gの範囲であることが好ましい。さらに、BET比表面積の差が1m2/gの範囲であることが好ましい。また、高透過性セラミックスを構成するセラミックス粉末と低透過性セラミックスを構成するセラミックス粉末は平均1次粒子径の差が20nmの範囲であることが好ましい。さらに、平均1次粒子径の差が10nmの範囲であることが好ましい。
高透過性セラミックスを構成するセラミックス粉末と低透過性セラミックスを構成するセラミックス粉末はBET比表面積の差が2m2/gの範囲で且つ、平均1次粒子径の差が20nmの範囲であることが好ましい。さらに、BET比表面積の差が1m2/gの範囲であり、且つ平均1次粒子径の差が10nmの範囲であることが好ましい。
これらのBET比表面積や平均1次粒子径の差が大きいセラミックス粉末を積層成型して焼結した場合、ジルコニアブランク成型体の歪みが生じることとなる。特に、半焼結体のジルコニアブランクから削り出す場合、ブランク自体が歪んで反りが発生する、最終焼結時に補綴装置が割れる、適合が合わない、等の不具合が生じる。
【0036】
BET比表面積や平均1次粒子径の調整は、高透過性セラミックスを構成するセラミックス粉末と低透過性セラミックスを構成するセラミックス粉末の製造時に行うことができる。
【0037】
本発明の歯科用ジルコニアブランクの第2の層の曲げ強度は1000MPa以上を有していることが好ましい。さらに好ましくは1200MPa以上である。第2の層の曲げ強度が1000MPa以上であれば、4ユニット以上のブリッジフレームに適用することが可能となる。一方、第1の層の曲げ強度は300MPa以上を有していることが好ましい。さらに好ましくは700MPa以上である。第1の層の曲げ強度が300MPa以上であれば、大臼歯の咬合力に適応することが可能となる。なお、本明細書においては、曲げ強度とは、ISO 6872に準じて行った3点曲げ強度をいう。
【0038】
また、本発明の歯科用ジルコニアブランクは、複数の高透過性層状領域及び/又は複数の低透過性層状領域から構成することが好ましい。好ましくは高透過性層状領域と低透過性層状領域を合わせて3-10層、より好ましくは4-6層で構成される。高透過性層状領域及び/又は低透過性層状領域を複数とすることで、審美性を得やすくなる。ただし、11層以上であれば生産性が低下する傾向がある。4-6層であれば、審美性、生産性などバランスが取れた歯科用ジルコニアブランクとなる。
【0039】
表層の高透過性層状領域は歯科用ジルコニアブランクに含まれる高透過性層状領域の中でも最もコントラスト比で示される透明度が高くなることが好ましい。
【0040】
第1の層のL*a*b*表色系による色度をLE、aE、bEで表した時、LEが65.0以上82.0以下であり、aEが-4.0以上2.0以下であり、bEが0.0以上20.0以下であることが好ましい。LEが69.0以上80.0以下であり、aEが-3.0以上1.0以下であり、bEが2.0以上15.0以下であることがより好ましい。また、少なくとも1つの高透過性層状領域のL*a*b*表色系による色度をLE、aE、bEで表した時、LEが65.0以上82.0以下であり、aEが-4.0以上2.0以下であり、bEが0.0以上20.0以下であることが好ましい。LEが69.0以上80.0以下であり、aEが-3.0以上1.0以下であり、bEが2.0以上15.0以下であることがより好ましい。さらに、第1の層の透明性及び/又は少なくとも1つの高透過性層状領域の透明性が、第2の層の透明性よりも高いことが好ましい。これにより、ジルコニアブランクから作製された補綴装置を、天然歯に近い色調に再現するための着色が容易になる。
【0041】
第2の層のL*a*b*表色系による色度をLB、aB、bBで表した時、LBが67.0以上78.0以下であり、aEが-2.5以上1.0以下であり、bBが5.0 以上15.0以下であることが好ましい。
【0042】
歯科用ジルコニアブランクの第1の層のコントラスト比は、第1の層が着色材を含まない場合には、0.71以下とすることが、審美性を高めることができる点で好ましい。一方、第1の層が着色材を含む場合には、第1の層のコントラスト比を0.75-0.85とすることが好ましい。着色材を含む第1の層のコントラスト比が0.75よりも小さい場合は、透過性が高くなり過ぎて暗くなり審美的が悪くなる場合がある。着色材を含む第1の層のコントラスト比が0.85よりも大きい場合は、透過性が低くなり過ぎて天然歯のような透過性が出ない場合がある。
【0043】
歯科用ジルコニアブランクの第2の層のコントラスト比は、第2の層が着色材を含まない場合には、0.70以上とすることで、審美性を高めることができる点で好ましい。一方、第2の層が着色材を含む場合には、第2の層のコントラスト比を0.80-0.90とすることが好ましい。着色材を含む第2の層のコントラスト比が0.80よりも小さい場合は、透過性が高くなり支台歯の色の影響を受け易くなる場合がある。第2の層のコントラスト比が0.90よりも大きい場合は、透過性が低くなり過ぎて口腔内で隣在歯との調和が取り難くなる場合がある。
【実施例0044】
以下、実施例により本発明をより詳細に、且つ具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(各層におけるセラミックス粉末の調合)
それぞれの平均1次粒子径が40-90nm、BET比表面積は7-13m2/gである市販のジルコニア粉末、酸化イットリウム含有ジルコニア粉末、酸化エルビウム含有ジルコニア粉末及び着色材含有ジルコニア粉末を用いた。
ジルコニア粉末、酸化イットリウム含有ジルコニア粉末、酸化エルビウム含有ジルコニア粉末及び着色剤含有ジルコニア粉末を用いて、表に示す組成となる様に調合し、第1の層及び第2の層に用いるセラミックス粉末を得た。セラミックス粉末は目的とする色に合わせて微量の鉄化合物、コバルト化合物の着色剤が配合されている。
(歯科用ジルコニアブランクの成型方法)
各セラミックス粉末を直径100mmの金型に、表に記載の順番に第1の層側から必要な量を充填後、10kNの圧力で1分間プレス成型を行った。試験体の形状を図1に示す。図1の上部が第1の層であり、下部が第2の層である。
プレス成型を行った後200MPaの圧力で1分間CIP成型を行った。プレス成型体の脱脂は、50℃/hの昇温速度で500℃まで昇温し、2時間係留後、100℃/hの降温速度で室温まで冷却した。脱脂後、100℃/hの昇温速度で1000~1200℃まで昇温し、2時間係留後、炉内放冷をして予備焼結体であるジルコニアブランクを得た。
【0045】
(仮焼成時の反りの判定)
上記方法で成型した歯科用ジルコニアブランク(半焼結体)について、反りの有無を確認した。凸に変形した面を下にして設置した時、設置面から前記底面までの距離をデジタルマイクロスコープVHX-5000(KEYENCE社)を用いて測定した。10箇所測定して、最大距離が1mm以内である場合は○、1mmを越える場合は×として判定した。
【0046】
(本焼成時の反りの判定)
前歯6本の支台歯形成を行った石こう模型に、6本ブリッジのワックスアップを行い、D2000(3shape社)のスキャナを用いて6本ブリッジのデータを取り込み、DWX-50(ローランド社製)の加工機を用いて、上記方法で成型した歯科用ジルコニアブランクから、データを取り込んだ6本ブリッジを加工し、5℃/minの昇温速度で1450℃まで昇温し、2時間係留後、室温まで炉内放冷して焼結体とし、適合性を確認した。焼結した6本ブリッジを石こう模型に戻した際に、ガタツキ無く適合する場合は○、ガタツキがあり適合しない場合は×として判定した。
【0047】
(3点曲げ試験)
上記方法で成型した歯科用ジルコニアブランクの第1の層及び第2の層の積層方向における45~55%の部分から、試験体を加工し、5℃/minの昇温速度で1450℃まで昇温し、2時間係留後、室温まで炉内放冷して焼結体とし、さらに平面研磨により、幅4mm、厚さ1.2mm、長さ16mmの曲げ試験体を作製した。曲げ試験は、ISO 6872 : 7.3 Flexural strength に準じて行い、支点間距離は12mmとした。第1の層の曲げ強度は300MPa以上で臨床上使用可能とした。また第2の層の曲げ強度は、1000MPa以上で臨床上使用可能とした。
(色調及びコントラスト比測定)
上記方法で成型した歯科用ジルコニアブランクの各層から、試験体を加工し、5℃/minの昇温速度で1450℃まで昇温し、2時間係留後、室温まで炉内放冷して焼結体とし、さらに平面研磨により、直径14mm、厚さ1.2mmの丸板を作製した。色調の測定は分光測色計(CM-5:コニカミノルタ)を用いて、白バック測色の色度(L*、a*、b*)を測定した。また、白バック及び黒バック上において測色し、測定したそれぞれのY値(白バック上で測色したY値をYW、黒バック上で測色したY値をYBとする)を用いて、
(コントラスト比)=1-(1-YB/YW)
の式からコントラスト比を算出した。第1の層のコントラスト比は、着色材を含まない場合は0.71以下、着色材を含む場合は、0.75-0.85を臨床上使用可能とした。第2の層のコントラスト比は、着色材を含まない場合は0.70以上、着色材を含む場合は、0.80-0.90を臨床上使用可能とした。

【0048】
【表1】

【0049】
【表2】

【0050】
【表3】

【0051】
【表4】
【0052】
【表5】
【0053】
【表6】

【0054】
実施例1~20は、仮焼成時の反りは1mm以内となり、本焼結時のガタツキも無く適合性は良くなった。また、ジルコニアブランクの中間層(第1の層の表面から45~55%の位置)から作製した試験体の3点曲げ強度は1000MPa以上であった。また、第1の層のコントラスト比は、0.71以下であり、第2の層のコントラスト比は0.70以上であり、かつ、第1の層のコントラスト比<第2の層のコントラスト比であるため、十分な審美性を有していた。
比較例1は、第1の層における曲げ強度が不足していた。
比較例2は、仮焼成時の反りが1mmより大きく、本焼結時のガタツキがあり適合性は良くなかった。
比較例3は第1の層におけるコントラスト比が高く、十分な審美性が得られなかった。
比較例4は第1の層及び第2の層におけるコントラスト比に差がなく、十分な審美性が得られなかった。
比較例5は第2の層におけるコントラスト比が低く、十分な審美性が得られなかった。
比較例6は焼結体が崩壊してしまい、試験を行うことができなかった。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、CAD/CAM技術で切削加工することが可能で、焼結後、高い透過性と高強度のジルコニア補綴装置を得ることができる。適応症例を限定することなく様々な症例で使用可能であり、また、多色多層構造により天然歯に近い色調再現が可能なジルコニア補綴物を作製できる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1】歯科用ジルコニアブランクのイメージ図であって、仮想の垂線を示す補助線が設けられている。
【符号の説明】
【0057】
1 第1の層(エナメル層)
2 第2の層(ボディ層)

図1
【手続補正書】
【提出日】2023-05-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の層を有する歯科用ジルコニアブランクであって、
酸化ジルコニウムを91.6-96.5mol%および酸化イットリウムを3.5~8.4mol%含有する高透過性セラミックスから構成される第1の層と、
酸化ジルコニウムを96.5-97.5mol%および酸化イットリウムを2.5~3.5mol%含有する低透過性セラミックスから構成される第2の層と、を含み、
低透過性セラミックスの酸化イットリウムの含有率は、高透過性セラミックスの酸化イットリウムの含有率より0.5-5.4mol%少なく、
第1の層は、複数の層の積層方向の一端に位置し、
第2の層は、それぞれ酸化ジルコニウムを96.5-97.5mol%および酸化イットリウムを2.5~3.5mol%含有し、かつ、組成が互いに異なる複数の低透過性層状領域から構成され、
第1の層のコントラスト比は、第1の層が着色材を含まない場合に0.71以下であり、第1の層が着色材を含む場合に0.75-0.85であり、
第2の層のコントラスト比は、第2の層が着色材を含まない場合に0.70以上であり、第2の層が着色材を含む場合に0.80-0.90であることを特徴とする歯科用ジルコニアブランク。
【請求項2】
第1の層は、それぞれ酸化ジルコニウムを91.6-96.5mol%および酸化イットリウムを3.5~8.4mol%含有し、かつ、組成が互いに異なる複数の高透過性層状領域から構成されていることを特徴とする請求項1の歯科用ジルコニアブランク。
【請求項3】
第1の層は、高透過性セラミックスにおける酸化ジルコニウムの含有率及び/又は酸化イットリウムの含有率が互いに異なる複数の高透過性層状領域を有することを特徴とする請求項2の歯科用ジルコニアブランク。
【請求項4】
少なくとも一つの高透過性層状領域が、酸化エルビウムを0.0001~0.30mol%含有することを特徴とする請求項2~3のいずれかの歯科用ジルコニアブランク。
【請求項5】
第2の層は、低透過性セラミックスにおける酸化ジルコニウムの含有率及び/又は酸化イットリウムの含有率が互いに異なる複数の低透過性層状領域を有することを特徴とする請求項1~4のいずれかの歯科用ジルコニアブランク。
【請求項6】
少なくとも一つの低透過性層状領域が、酸化エルビウムを0.0001~0.30mol%含有することを特徴とする請求項1~5のいずれかの歯科用ジルコニアブランク。
【請求項7】
高透過性セラミックスは、組成の異なる複数のセラミックス粉末の仮焼体であることを特徴とする請求項1~6のいずれかの歯科用ジルコニアブランク。
【請求項8】
低透過性セラミックスは、組成の異なる複数のセラミックス粉末の仮焼体であることを特徴とする請求項1~7のいずれかの歯科用ジルコニアブランク。
【請求項9】
第1の層は、第1の層が位置する歯科用ジルコニアブランクの積層方向の一端側の表面の重心からの垂線上における、一端側の表面と対向する他端側の表面までの寸法の5~40%の範囲まで位置していることを特徴とする請求項1~8のいずれかの歯科用ジルコニアブランク。
【請求項10】
高透過性セラミックスを構成するセラミックス粉末及び低透過性セラミックスを構成するセラミックス粉末は、BET比表面積の差が2m2/gの範囲であり、かつ、平均1次粒子径の差が20nmの範囲であることを特徴とする請求項1~9の歯科用ジルコニアブランク。
【請求項11】
少なくとも1つの高透過性層状領域の透明性が、第2の層の透明性よりも高く、
前記少なくとも1つの高透過性層状領域のL*a*b*表色系による色度をLE、aE、bEで表した時、
LEが65.0以上82.0以下であり、
aEが-4.0以上2.0以下であり、
bEが0.0以上20.0以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれかの歯科用ジルコニアブランク。
【請求項12】
第1の層の透明性が、第2の層の透明性よりも高く、
第1の層のL*a*b*表色系による色度をLE、aE、bEで表した時、
LEが65.0以上82.0以下であり、
aEが-4.0以上2.0以下であり、
bEが0.0以上20.0以下であることを特徴とする請求項1~11のいずれかの歯科用ジルコニアブランク。
【請求項13】
第1の層が、酸化エルビウムを0.0001~0.30mol%含有することを特徴とする請求項1~12のいずれかの歯科用ジルコニアブランク。
【請求項14】
第2の層が、酸化エルビウムを0.0001~0.30mol%含有することを特徴とする請求項1~13のいずれかの歯科用ジルコニアブランク。