(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103436
(43)【公開日】2023-07-26
(54)【発明の名称】誘導センサを用いるマルチレベル回転リゾルバー
(51)【国際特許分類】
G01D 5/20 20060101AFI20230719BHJP
【FI】
G01D5/20 110F
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082709
(22)【出願日】2023-05-19
(62)【分割の表示】P 2021116261の分割
【原出願日】2015-09-25
(31)【優先権主張番号】14/853,842
(32)【優先日】2015-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/055,467
(32)【優先日】2014-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【弁護士】
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】ドンタイ リウ
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ ピー リーツマ
(72)【発明者】
【氏名】エフゲニー フォミン
(57)【要約】 (修正有)
【解決手段】回転リゾルバーシステムが回転シャフト215を含み、回転シャフト215には、少なくとも一つの偏心伝導性粗分解能ディスク205が固定され、少なくとも一つの伝導性細分解能ディスク210も固定される。細分解能ディスク210は、概して半円形の突出する端部セグメント230を画定する。少なくとも一つの伝導性粗ディスク感知コイル220、225が、粗分解能ディスク205の端部に近接して配置され、少なくとも一つの伝導性細ディスク感知コイル235、240が、細分解能ディスク210の端部に近接して配置される。これらのコイルは、それぞれのディスクの軸感知のために方向付けられ得る。
【効果】過酷な環境に対して耐性があり、回転感知において、複数のインダクタンスコイルの利用により、連続的な360度の角度位置感知が可能となり、感知精度が増大される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転リゾルバーであって、
回転シャフト、
前記回転シャフト上に固定される少なくとも一つの伝導性偏心粗分解能ディスク、
前記回転シャフト上に固定される少なくとも一つの伝導性細分解能ディスクであって、複数の概して半円形の突出する端部セグメントを画定する、前記細分解能ディスク、
前記粗分解能ディスクの端部に近接して配置される少なくとも一つの伝導性粗ディスク感知コイル、及び
前記細分解能ディスクの端部に近接して配置される少なくとも一つの伝導性細ディスク感知コイル、
を含む、回転リゾルバー。
【請求項2】
請求項1に記載の回転リゾルバーであって、
前記コイルが、前記それぞれのディスクの軸感知のために方向付けられる、回転リゾルバー。
【請求項3】
請求項1に記載の回転リゾルバーであって、
前記シャフト及びそれによる前記ディスクの回転が、各粗ディスク感知コイル及び前記粗分解能ディスク間の前記距離を、回転サイクル毎に一つの感知サイクルに対応して、各回転サイクルに最大距離と最小距離との間で循環させる、回転リゾルバー。
【請求項4】
請求項3に記載の回転リゾルバーであって、
前記シャフト及びそれによる前記ディスクの回転が、前記各細ディスク感知コイル及び前記細分解能ディスク間の距離を、端部セグメントの数に等しい回転サイクル毎の多数の感知サイクルに対応して、各端部セグメントの通過の間、最大、最小、及び前記最大の間で循環させる、回転リゾルバー。
【請求項5】
請求項1に記載の回転リゾルバーであって、
前記少なくとも一つの粗ディスク感知コイルが、同相粗ディスク感知コイルと直交粗ディスク感知コイルとを含む粗ディスク感知コイルの少なくとも一つのペアを含み、
前記少なくとも一つの細ディスク感知コイルが、同相細ディスク感知コイルと直交細ディスク感知コイルとを含む細ディスク感知コイルの少なくとも一つのペアを含む、回転リゾルバー。
【請求項6】
請求項1に記載の回転リゾルバーであって、
前記少なくとも一つの伝導性細分解能ディスクが、伝導性細分解能ディスクのペアを含み、前記細分解能ディスクの第1の細分解能ディスクが同相で配置され、前記細分解能ディスクの第2の細分解能ディスクが、前記第1の細分解能ディスクに対して直交して配置される、回転リゾルバー。
【請求項7】
請求項6に記載の回転リゾルバーであって、
前記シャフト及びそれによる前記ディスクの回転が、前記各細ディスク感知コイル及び前記細分解能ディスク間の距離を、各端部セグメントの通過の間、最大、最小、及び前記最大間で循環させ、
前記第1又は第2の細分解能ディスクの一方の前記端部に近接して配置される前記一つ又は複数の伝導性コイルが、概して正弦波状の周期的な第1の信号を出力し、
前記第1又は第2の細分解能ディスクの他方の細分解能ディスクの前記端部に近接して配置される前記一つ又は複数の伝導性コイルの別の一つが、前記第1の信号に概して直交する概して正弦波状の周期的な第2の信号を出力する、回転リゾルバー。
【請求項8】
請求項7に記載の回転リゾルバーであって、
前記少なくとも一つの粗ディスク感知コイルが、同相粗ディスク感知コイルと直交粗ディスク感知コイルとを含む粗ディスク感知コイルの少なくとも一つのペアを含み、
前記少なくとも一つの細ディスク感知コイルが、同相細ディスク感知コイルと直交細ディスク感知コイルとを含む細ディスク感知コイルの少なくとも一つのペアを含み、
前記同相細ディスク感知コイルが、前記第1又は第2の細分解能ディスクの一方に近接して配置され、前記直交細ディスク感知コイルが、前記第1又は第2の細分解能ディスクの他方に近接して配置される、回転リゾルバー。
【請求項9】
請求項8に記載の回転リゾルバーであって、
前記同相細ディスク感知コイル及び前記直交細ディスク感知コイルが、互いに整合され、前記回転シャフトに概して平行である、回転リゾルバー。
【請求項10】
回転位置感知の方法であって、前記方法が、
シャフト上に、偏心伝導性粗分解能ディスクを搭載すること、
前記シャフト上の複数の概して半円形の突出する端部セグメントを画定する伝導性細分解能ディスクを搭載すること、
直交して配置される伝導性粗ディスク感知コイルの少なくとも一つのペアを、前記粗分解能ディスクの軸感知のため前記粗分解能ディスクの端部に近接して配置すること、及び
少なくとも一つの伝導性細ディスク感知コイルを、前記細分解能ディスクの軸感知のため前記細分解能ディスクの前記端部に近接して配置すること、
を含む、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、更に、
前記シャフトを及びそれにより前記ディスクを回転させることであって、それによって、各粗ディスク感知コイル及び前記粗分解能ディスク間の距離を、回転サイクル毎に一つの感知サイクルに対応して、各回転サイクルで最大距離と最小距離との間で循環させ、及び各細ディスク感知コイル及び前記細分解能ディスク間の前記距離を、端部セグメントの数に等しい回転サイクル毎の多数の感知サイクルに対応して、各端部セグメントの通過の間、最大、最小、及び前記最大の間で循環させる、前記シャフトを及びそれにより前記ディスクを回転させること、
回転サイクル毎に前記一つの感知サイクルを、前記伝導性粗ディスクの各々により感知すること、及び
前記ディスクの回転位置に対応する回転毎に複数の感知サイクルを、前記一つ又は複数の伝導性細ディスク感知コイルの各々により感知すること、
を含む、方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法であって、
直交して配置される伝導性粗ディスク感知コイルの各ペアが、同相粗ディスク感知コイルと直交粗ディスク感知コイルとを含み、前記少なくとも一つの細ディスク感知コイルが、同相細ディスク感知コイルと直交細ディスク感知コイルとを含む細ディスク感知コイルの少なくとも一つのペアを含む、方法。
【請求項13】
請求項10に記載の方法であって、更に、
前記シャフト上の複数の概して半円形の突出する端部セグメントを画定する第2の伝導性細分解能ディスクを搭載することであって、前記細分解能ディスクの第1の細分解能ディスクが同相に配置され、前記細分解能ディスクの第2の細分解能ディスクが、前記第1の細分解能ディスクに対して直交して配置される、前記第2の伝導性細分解能ディスクを搭載すること、及び
前記シャフトを及びそれにより前記ディスクを回転させることであって、それによって、各細ディスク感知コイル及び関連する細分解能ディスク間の距離を、各端部セグメント
の通過の間、最大、最小、及び前記最大の間で循環させ、前記第1又は第2の細分解能ディスクの一方の前記端部に近接して配置される前記一つ又は複数の伝導性コイルが、概して正弦波状の周期的な第1の信号を出力し、前記第1又は第2の細分解能ディスクの他方の前記端部に近接して配置される前記一つ又は複数の伝導性コイルの別の一つが、前記第1の信号に概して直交する概して正弦波状の周期的な第2の信号を出力する、前記シャフトを及びそれにより前記ディスクを回転させること、
に含む、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、
前記少なくとも一つの細ディスク感知コイルが、同相細ディスク感知コイルと直交細ディスク感知コイルとを含む細ディスク感知コイルの少なくとも一つのペアを含み、前記方法が更に、
前記第1又は第2の細分解能ディスクの一方に近接して前記同相細ディスク感知コイルを配置すること、及び
前記第1又は第2の細分解能ディスクの他方に近接し、前記同相細ディスク感知コイルと概して整合して、配置される前記直交コイル細ディスク感知を配置することであって、前記同相細ディスク感知コイル及び前記直交細ディスク感知コイルが、前記シャフトに概して平行であること、
を含む、方法。
【請求項15】
回転位置及び速度感知システムであって、
インダクタンス・デジタルコンバータ、
複数のインダクタンスタンク回路、及び
少なくとも一つの回転リゾルバーであって、各々、前記複数の前記複数のインダクタンスタンク回路を介して前記インダクタンス・デジタルコンバータに作用可能に結合される、少なくとも一つの回転リゾルバー、
を含み、
前記回転リゾルバーが、
回転シャフトと、
前記回転シャフト上に固定される偏心伝導性粗分解能ディスクと、
前記回転シャフト上に固定される伝導性細分解能ディスクであって、複数の概して半円形の突出する端部セグメントを画定する、前記伝導性細分解能ディスクと、
前記粗分解能ディスクの端部に近接して配置される少なくとも一つの伝導性粗ディスク感知コイルであって、前記回転シャフト及びそれによる前記ディスクの回転が、各粗ディスク感知コイル及び前記粗分解能ディスク間の距離を、各回転サイクルに最大距離と最小距離との間で循環させて、回転サイクル毎に一つの感知サイクルに対応する前記インダクタンス・デジタルコンバータへのインダクタンス信号の出力を生じさせるようになっている、前記少なくとも一つの伝導性粗ディスク感知コイルと、
前記細分解能ディスクの前記端部に近接して配置される少なくとも一つの伝導性細ディスク感知コイルであって、前記回転シャフト及びそれによる前記ディスクの回転が、各細ディスク感知コイル及び前記細分解能ディスク間の距離を、各端部セグメントの通過の間、最大、最小、及び前記最大の間で循環させて、前記ディスクの回転位置に対応する前記インダクタンス・デジタルコンバータへのインダクタンス信号の出力を生じさせるようになっている、前記少なくとも一つの伝導性細ディスク感知コイルと、
を含む、回転位置及び速度感知システム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムであって、
前記回転リゾルバーコイルが、前記それぞれのディスクの軸感知のために方向付けられる、回転位置及び速度感知システム。
【請求項17】
請求項15に記載のシステムであって、
前記回転リゾルバーの少なくとも一つの粗ディスク感知コイルが、同相粗ディスク感知コイルと直交粗ディスク感知コイルとを含む粗ディスク感知コイルの少なくとも一つのペアを含み、前記少なくとも一つの細ディスク感知コイルが、同相細ディスク感知コイルと直交細ディスク感知コイルとを含む細ディスク感知コイルの少なくとも一つのペアを含む、回転位置及び速度感知システム。
【請求項18】
請求項15に記載のシステムであって、
前記回転リゾルバーの少なくとも一つの伝導性細分解能ディスクが、伝導性細分解能ディスクのペアを含み、前記細分解能ディスクの第1の細分解能ディスクが、前記回転シャフト上に同相で固定され、前記細分解能ディスクの第2の細分解能ディスクが、前記第1の細分解能ディスクに対して直交して前記回転シャフト上に固定される、回転位置及び速度感知システム。
【請求項19】
請求項15に記載のシステムであって、
前記回転リゾルバーの前記回転シャフト及びそれによる前記ディスクの前記回転が、各細ディスク感知コイル及び前記細分解能ディスク間の前記距離を、各端部セグメントの通過の間、最大、最小、及び前記最大の間で循環させ、前記第1又は第2の細分解能ディスクの一方の前記端部に近接して配置される前記一つ又は複数の伝導性コイルが、概して正弦波状の周期的な第1の信号を前記インダクタンス・デジタルコンバータに出力し、前記第1又は第2の細分解能ディスクの他方の前記端部に近接して配置される前記一つ又は複数の伝導性コイルの別の伝導性コイルが、前記第1の信号に概して直交する概して正弦波状の周期的な第2の信号を前記インダクタンス・デジタル信号コンバータに出力する、回転位置及び速度感知システム。
【請求項20】
請求項15に記載のシステムであって、
前記回転リゾルバーの少なくとも一つの粗ディスク感知コイルが、同相粗ディスク感知コイルと直交粗ディスク感知コイルとを含む粗ディスク感知コイルの少なくとも一つのペアを含み、前記少なくとも一つの細ディスク感知コイルが、同相細ディスク感知コイルと直交細ディスク感知コイルとを含む細ディスク感知コイルの少なくとも一つのペアを含み、前記同相細ディスク感知コイルが、前記第1又は第2の細分解能ディスクの一方に近接して配置され、前記直交細ディスク感知コイルが、前記第1又は第2の細分解能ディスクの他方に近接し、前記同相細ディスク感知コイルと概して整合して、配置され、前記同相細ディスク感知コイル及び前記直交細ディスク感知コイルが、前記回転シャフトに概して平行に配置される、回転位置及び速度感知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、概して、回転位置及び/又は速度感知に関し、更に特定して言えば、誘導センサを用いるマルチレベル高分解能回転位置及び速度感知回転リゾルバーに関連する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転位置感知は、機械的接触に基づくシステムを主として用いて実装されてきている。これらのシステムは、可動部品に起因してそのシステムの寿命にわたって、壊れやすく、そのため費用のかかる交換につながりがちである。光学的感知を用いる代替の解決策は、汚れや埃に免疫がなく、多くの工業用途に対する制約となっている。ホールセンサを用いる代替の解決策は、大きな製造変動を受ける永久磁石に依存しており、そのため広範な較正を要する。
【0003】
従来のリゾルバーは、回転の度合いを測定するためのロータリー電気的変圧器の一種である。これはアナログデバイスであると考えられ、スターター入力コイル、出力コイル、及びローターで構成される。誘導性感知は、永続性のある回転位置感知実装を提供する非接触感知技術である。この技術は、過酷な環境に対してきわめて耐性があり、概して耐水性及び防塵性(dirt proof)がある。回転感知において、複数のインダクタンスコイルの利用により、連続的な360度の角度位置感知が可能となり、感知精度が増大され得る。
【0004】
デジタルコンバータベースの回転リゾルバーシステムに対する既存の単一レベルインダクタンスにおいて、回転分解能は、典型的に、特に軸方向に沿ったリゾルバーとの機械的変動、温度変化、並びに、分解能及び速度の相容れない要件などの要因により制限される。例えば、従来の8192位置リゾルバーにおいて、インダクタンス・デジタルコンバータが、およそ3.8rpmの回転速度のみをサポートし得る。軸近接における1パーセントの変化は、100倍(100×)の位置誤差を生じさせ得る。温度が70℃変化するとき、10倍(10×)の位置誤差が典型的である。
【発明の概要】
【0005】
記載される例において、回転リゾルバーが回転シャフトを含み、回転シャフトには、少なくとも一つの伝導性偏心粗分解能ディスクが固定され、少なくとも一つの伝導性細分解能ディスクも固定される。細分解能ディスクは、複数の概して半円形の突出する端部セグメントを画定する。少なくとも一つの伝導性粗ディスク感知コイルが、粗分解能ディスクの端部に近接して配置され、少なくとも一つの伝導性細ディスク感知コイルが、細分解能ディスクの端部に近接して配置される。これらのコイルは、それぞれのディスクの軸感知のために方向付けられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】幾つかの実施例に従った、回転位置及び速度感知システムにおいて配置される回転リゾルバーを示す環境図である。
【0007】
【
図2】種々の実施例に従った、誘導センサを用いる例示のマルチレベル高分解能回転位置及び速度感知回転リゾルバーの概略的平面(頂部)図である。
【0008】
【
図3】種々の実施例に従った、
図1の例示のマルチレベル高分解能回転位置及び速度感知回転リゾルバーの概略的側部(立面)図である。
【0009】
【
図4】種々の実施例に従った、誘導センサを用いる別の例示のマルチレベル高分解能回転位置及び速度感知回転リゾルバーの概略的(頂部)平面図である。
【0010】
【
図5】種々の実施例に従った、誘導センサを用いる第3の例のマルチレベル高分解能回転位置及び速度感知回転リゾルバーの概略的側部(立面)図である。
【0011】
【
図6】種々の実施例に従った、誘導センサを用いる第4の例のマルチレベル高分解能回転位置及び速度感知回転リゾルバーの概略的側部(立面)図である。
【0012】
【
図7】種々の実施例に従った、誘導センサを用いる例示の代替のマルチレベル高分解能回転位置及び速度感知回転リゾルバーの概略的平面(頂部)図である。
【0013】
【
図8】種々の実施例に従った、
図7の例示の代替のマルチレベル高分解能回転位置及び速度感知回転リゾルバーの概略的側部(立面)図である。
【0014】
【
図9】幾つかの実施例に従って、誘導センサを用いるマルチレベル高分解能回転位置及び速度感知回転リゾルバーのための例示の計算される最大回転速度を表にしたものである。
【0015】
【
図10】
図9と同じ実施例に従って、誘導センサを用いるマルチレベル高分解能回転位置及び速度感知回転リゾルバーのための例示の計算される最大分解能を表にしたものである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この記載は、マルチディスク構成を用いるマルチレベル分解能を含む、誘導性感知に基づく回転リゾルバー(エンコーダ)のための装置及び方法に関連する。このようなリゾルバーは、単一シャフト(x-y平面回転)上の粗及び細回転ディスクを含み、種々の実施例において、それぞれの軸的に同相(I)及び直交(Q)の誘導性感知コイルが、ディスク端部において配置され、コイル軸がディスク回転軸に直交する。粗ディスクは、ディスク回転が、ディスク端部とそのIコイル及びQコイルとの間の(コイルの平面のz軸に沿った)距離を、回転サイクル毎に最大及び最小距離間で循環させるように、偏心である。細ディスクは、実質的に半円である角端部セグメントの数(n)を有して構成され、そのため、ディスク回転が、ディスク端部とそのIコイル及びQコイルとの間の(z軸に沿った)距離を、回転サイクル毎にnサイクルに対応して、各セグメントに最大距離から最小距離へ及び最大距離に戻って(即ち、谷/山/谷)、循環させる。
【0017】
ここでの回転エンコードは、直交アプローチを用いて実装される。I及びQのセンサコイルセットは、細及び粗ディスク(回転ターゲット)の端部に沿って配置される。この配置により、ディスクの角度及び回転方向の検出が可能となる。このI‐Qセンサ配置は、約360度の絶対回転角度を測定し得る。結果の出力波形は、正弦(及び/又は余弦)関数に類似し、これにより、データを処理するため及び出力から回転角度を見出すために三角関数を用いることが可能となる。
【0018】
マルチレベルインダクタンス・デジタルコンバータリゾルバーによって、種々の利点が達成される。マルチレベル(n)インダクタンス・デジタルコンバータセンサシステムにおいて、分解能要件は、P1-1/n倍程度、低減され得る(ここでPは分解能である)。これは、速度及び分解能間の要求トレードオフがより少なく、機械的変動及び温度変化に対する感度がより小さいことにつながる。例えば、2レベルの8192位置リゾルバーでは、インダクティブ・デジタルコンバータが、およそ340rpmの回転速度をサポートし得、軸近接における1パーセントの変化が、約1の大きさの位置誤差を生じさせ得、温度が70℃変化するとき位置誤差は約0.1の大きさである。更なる例として、3レベルの8192位置リゾルバーにおいて、インダクティブ・デジタルコンバータが、約1500rpmの回転速度をサポートし得、軸近接における1パーセントの変化が、約0.25の大きさの位置誤差を生じさせ得、温度が70℃変化するとき位置誤差はおよそ0.025の大きさである。
【0019】
図1は、幾つかの実施例に従って、回転位置及び速度感知システム100において配置される回転リゾルバー105を示す環境図である。回転位置及び速度感知システム100は、インダクタンス・デジタルコンバータ110、複数のインダクタンスタンク回路(コイル115~130、及びキャパシタ135~150など)、及び複数のインダクタンスタンク回路を介してインダクタンス・デジタルコンバータ110に作用可能に結合される回転リゾルバー105を含み得る。システム100において、回転リゾルバー105は、下記で詳細に説明するように、回転シャフト、シャフト上に固定される一つ又は複数の伝導性偏心粗分解能ディスク、及び同じくシャフト上に固定される一つ又は複数の伝導性細分解能ディスクを含み得る。
【0020】
誘導性位置感知の原理は、渦電流の現象に関連する。伝導性リゾルバーディスクなどの金属が、振動するLCタンクのコイル(コイル115~130及びキャパシタ135~150など)に近接して配置されるとき、その金属において誘導された電流は、コイルの有効インダクタンスを低減する反対のフィールドを生成し、そのため、共振周波数を変える。インダクタンス・デジタルコンバータ(110)は、LCタンク(コイル115~130及びキャパシタ135~150など)の共振する周波数を測定することによりインダクタンス変化を検出し、そのため、コイルとターゲット金属(伝導性リゾルバーディスクなど)との間の近接を測定する。従って、インダクタンス・デジタルコンバータ(110)は、ターゲットの位置を判定するためセンサ発振周波数を測定する。インダクタンス・デジタルコンバータ(110)は、周波数データをマイクロプロセッサ又は同様の電子回路要素(155)に渡し、これは、周波数データを送るその他の機器(ホストプラットホーム、コンピュータなど)と通信し得る。
【0021】
図2は、種々の実施例に従った、誘導センサを用いる例示のマルチレベル高分解能回転位置及び速度感知回転リゾルバー200の概略的平面(頂部)図である。
図3は、種々の実施例に従った、
図2の例示のマルチレベル高分解能回転位置及び速度感知回転リゾルバー200の概略的側部(立面)図である。
図2及び
図3の例示される例は、2レベルであり、粗及び細リゾルバーが軸感知コイルを備える。絶対エンコーダとして動作し得るマルチレベルインダクタンス・デジタルコンバータリゾルバー200は、(
図3に図示するように)同じシャフト215上に搭載される2つのディスク205及び210を備える、2レベルインダクタンス・デジタルコンバータベースのリゾルバーとし得る。レベル1の偏心粗分解能ディスク205は、アクティブレベル2「歯(teeth)」の角度を弁別し、レベル2はオフセット角度を弁別する。この(及び/又はその他の)実施例におけるディスク(又は、各ディスクの少なくともフレーム)はアルミニウムでつくられ得、中実の(solid)材料は、ディスクの少なくとも2mm外など、外半径においてのみ必要とされる。その偏心性に起因する、粗ディスクにおける不均衡は、ディスクにおける穴により相殺され得、シャフトの軸を介してそれを平衡させる。
【0022】
回転リゾルバー200は、回転リゾルバー粗ディスク感知コイルを含み得、これは、(a)同相(I)粗ディスク感知コイル(220)と直交(Q)粗ディスク感知コイル(225)とを有する、粗ディスク感知コイルのペアを含み得る。細ディスク感知コイルは、同相(I)細ディスク感知コイル(235)と直交(Q)細ディスク感知コイル(240)とで構成されるコイルのペアを含み得る。
【0023】
ディスク205の回転が、それぞれ、I及びQコイル220及び225に対する端部位置を変えるように、粗リゾルバーディスク205は偏心されている。端部位置変化は、比較的低周波数である。この偏心性は、シャフト215上に、中央シャフト215の軸に対して中心をずらして、概して円形のディスクを配置することによって提供され得る。代替として、偏心性は、粗ディスク自体が偏心されている(即ち、概してカム形状である)ことによって提供されてもよい。粗分解能ディスクは、回転の第1の半サイクル(0~180度など)においてそれぞれの粗ディスク感知コイルまでの距離を減少し続けさせ、回転サイクルの第2の半分(180~360度など)において距離を増大し続けさせる、ディスク形状として一般化され得る。形作られた(shaped)ディスクが、中心からずれた円形のディスク配置よりも、角度とセンサ出力との間で一層線形の関係を生成し得る。
【0024】
細ディスク210は、波形にされた、又はその他の方式で交互に規則的に突出する、端部セグメント230(又は「歯」)を有し得、端部セグメント230(又は「歯」)は、それぞれ、I及びQコイル235及び240を過ぎて回転し、各セグメントに対する位置が周期的に(概して正弦波状に)変化する。これらのサイクルは、(例えば、I及びQコイル220及び225に対する粗リゾルバーディスク205の位置変化に対して)比較的高周波数である。
【0025】
端部セグメント230は、半円形のプロファイルを備えて構成され得る。代替として、誘導センサ(コイル220、225、235、及び240など)は距離と共に低減する感度を有するので、粗ディスク205及び細ディスク210はいずれも、センサ応答が回転に対して実質的に線形であるような形状とされ得る。これは、(a)ディスクが近い(及びセンサが高感度を有する)とき、距離における変化が小さく、及び(b)ディスクが離れている(及びセンサが一層低い高感度を有する)とき、距離における変化が増大されるように、回転の各度合に対して距離における変化を変えることによるダイナミックレンジ最適化を介して達成され得る。従って、
図2に示す端部セグメント230の概して放物線状の形状は、このダイナミックレンジ最適化を実装し得る。従って、ディスクがセンサ(コイルに面する端部セグメントの頂部)に近いとき、一度の回転は、端部セグメントの底部(最大距離)が、端部セグメントの傾斜が一層急となるセンサの軸との整合に近づく場合に比して、ディスクとセンサとの間の距離における比較的小さな変化となる。
【0026】
較正及び/又は温度補償のために基準コイル245、250、255、及び260が用いられ得る。種々の実装に従って、位置感知のために4つ又はそれ以上コイル(コイル220、225、235、及び240など)が用いられ得る。このような実装において、4つの他のコイル(コイル245、250、255、及び260など)は、較正及び/又は補償(温度補償など)のために用いられ得る。補償/較正コイル245、250、255、及び260は、同じ回転リゾルバーハウジング(下記で用いられるものなど)において又は近隣の印刷回路基板(PCB)ロケーションにおいてなど、I及びQコイル220、225、235、及び240により経験されるものと同じ周囲温度を有する任意の箇所に置かれ得る。これら4つのセンサコイル220、225、235、及び240(及び/又は較正コイル245、250、255、及び260)は、コイルボードPCBの内部層(層2及び層3)上に印刷され得る。各コイルは、インダクタンスを最大化するため直列に接続される、印刷されたスパイラルコイルの二層を含み得る。この(及びその他の)実施例におけるコイルの厚みは、約2ミリメートルなど、それらを搭載するPCB(及び/又はPCB層)の厚みに基づき得る。4つのコイルを
図2及び
図3に図示するが、誘導センサを用いるこのマルチレベル高分解能回転位置及び速度感知回転リゾルバーに従って、任意の数のコイルが用いられ得る。概して、感知コイル220、225、235、及び240は、(a)コイル軸がディスク回転軸に直交し、位置におけるz軸の変化を測定するアキシャルコイル、又は(b)コイル軸がディスク回転軸に平行し、感知エリア内の端部コイル下のディスクエリアにおけるx-y変化を測定するラテラルコイルとし得る。ラテラルコイルは、集中した磁束の感知エリアを介してディスク端部(粗又は細)が回転するように、回転ディスクに対して共平面に巻かれ、関連する正接成分より実質的に大きい通常成分を備えた感知エリアに交差する磁場大きさベクトルにより特徴付けられる。ラテラルコイルにおいて、本願と同一出願人に譲渡された米国特許出願公報番号US2014/0247040に記載されるように、感知は感知エリア内のディスクエリアに依存し、この文献の開示は、全体として参照により本願に組み込まれている。しかし、本明細書に記載されるシステム及び方法に従って、アキシャルコイルセンサは、そのような実施例では機械的誤差小さいのでラテラルコイルセンサに比して、有利となり得る。
【特許文献1】米国特許公報US2014/0247040
【0027】
有利にも、同相(I)及び直交位相(Q)センサコイルの利用は、較正の必要性をなくすか又は大幅に低減し、熱的ドリフトを低減する。インダクタコイル間の良好なマッチングを仮定すると、次式により与えられるインダクタンス(L)の差動測定に基づいて位置が測定され得る。
(LI-LQ)/(LI+LQ)
【0028】
これは、2つの磁石がマッチングしないためにマッチングセンサ(コイル)を利用することができないホール効果ベースの実装など、磁石ベースの位置センサに対して著しい利点となる。同相及び直交位相センサの利用における更なる利点は、回転の方向が判定され得る点である。例えば、(a)Iチャネルは、一つの方向に回転するとき、Qチャネルにわたって同相を導き、(b)逆の方向で、Qチャネルは、Iチャネルにわたって同相を導く。また、(本明細書に記載されるシステム及び方法において用いられる装置のような)同相及び直交位相センサコイルは冗長性を提供する。センサの一つが、機能すること又は信号を提供することをやめる場合、単一チャネルバージョンが残る。精度が低減され得る一方で、システムは充分に機能し得、これは、クリティカルなアプリケーションにおいて重要であり得る。
【0029】
粗ディスクでは、形状の粗レベル計算が、粗レベルディスクの、結果として得られるラジアンによって提供され得る。粗及び細ディスク半径は、一つの式、
r=r0+f(Nθ)
を用いて表現され得、ここで、r0はベース半径であり、fは360度の周期を有する周期的関数であり、Nはそのディスクにおける「歯」の数であり、θは物理的角度であり、及びΝθは電気的位相を表す。関数f()の要件は、(a)周期的であり、(b)前半(0~180度)において増大し続け、(c)正弦波トランスファなど、後半(180~360度)において減少し続ける。
【0030】
粗ディスクの絶対角度の絶対検出では、一つの線形周期(上昇及び下降)は粗ディスクの固定ラジアンに変調される。正弦関数がf()として用いられる一つのあり得る実装において、正弦関数の正の半分のみが各歯に対して用いられ、旋回毎の歯の数が、Nとして設定される。上記式から、粗ディスク上の楕円曲線となる。50μm未満の機械的公差を仮定すると、(a)細ディスク精度は、2.5mm/50μm、又は50ステップであり、(b)粗ディスク精度は、約5mm/30/50μm又はセクター毎に約3.3ステップであり、これは、セクターを検出するために充分である。これにより、システムの較正及び/又は線形化なしに、360度毎に約1500ポイントの総精度が提供される。
図2及び
図3の例示の回転リゾルバー200において、総ポイントは、N×50、又はN×50/360ポイント/度である。
【0031】
回転リゾルバー200(
図2及び
図3)を
図1のシステム100に適用する際、シャフト215(及び、それによるディスク205及び210)の回転が、各粗ディスク感知コイル220及び225と粗分解能ディスク205との間の距離を、各回転サイクルに最大距離と最小距離との間で循環させるように、伝導性粗ディスク感知コイル220及び225は、粗分解能ディスク205の端部近くに配置され、その結果、回転サイクル毎に一感知サイクルに対応するインダクタンス・デジタルコンバータ110へのインダクタンス信号の出力となる。伝導性細ディスク感知コイル235及び240は、シャフト215(及び、それによるディスク205及び210)の回転が、各細ディスク感知コイル235及び240と細分解能ディスク210との間の距離を、各端部セグメント230の通過の間、最大、最小、及び再び最大の間で循環をさせるように、細分解能ディスク210の端部に近接して配置され、インダクタンス・デジタルコンバータ110への周期的インダクタンス信号の出力を生じさせる。この信号は、ディスクの回転位置に対応する。
【0032】
図4は、種々の実施例に従った、誘導センサを用いる別の例示のマルチレベル高分解能回転位置及び速度感知回転リゾルバー400の概略的(頂部)平面図である。例示のリゾルバー400は、中実のシャフト415を備えて、それぞれ、粗及び細ディスク405及び410を用いる。この例(これは、他の図面と同様、一定の縮尺で描かれてはない)では、粗ディスク405は、5mmの変調(線形オフセット)を備えて、72mmの直径を有する。また、この例では、粗ディスクの厚み(又は高さ)は16mm(14mm+2mm)である。それに関係なく、ディスク厚みは、それぞれのコイル直径より大きくすべきである。
図4の例において、4つの粗ディスクコイル420、422、425、及び427が、10mmの直径及び90度の位相シフトを有する(即ち、それらは、90度離れたI/Qペアを備えて粗ディスク405の周りに間隔を空けて配置される)。細ディスク410は、2.5mmの変調(波サイズ(scallop size))を備え(余弦の絶対値を提供するように形づくられる)、この例では80mmの直径を有する。この例では細ディスク410上の「歯」430の数は30であり、細ディスク410の高さ(厚み)は8mm(6+2mm)である。
図4の例において4つの細ディスクコイル(435、437、440、及び442)は各々、4mmの直径を有し、21度の位相シフトを有するように配される。従って、細ディスクコイルのI/Qペアは、各ペアのコイル同士が細ディスク410の周りで互いから21度離間され、これらのペアが、細ディスク410を横切って互いに概して対称的(diametrical)に配置され得るように、配される。この例における細ディスク410の周期は360/30であり、12の物理的角度、又は360の電気的角度に等しい。I及びQコイルは、+/-90+/-m×360の電気的角度(ここでmは任意の整数である)、又は+/-3+/-m×12の物理的角度離れているべきである。従って、Iコイルが0度で、Qコイルが2周期マイナス1/4周期である場合、21度となり得、それらの間の電気的位相は90度となり得る。更に、この例及び他の実施例に従って、粗ディスクの半径は、細ディスクの半径より細ディスクコイル直径のサイズだけ小さくし得る。また、この(及びその他の)例示の実施例において、ディスクフレーム(
図4には図示せず)から垂直細ディスクコイル435、437、440、及び442までの距離は、0.1~1mm(即ち、1ミリメートル未満)である。
【0033】
図5は、種々の実施例に従った、誘導センサを用いる別の例示のマルチレベル高分解能回転位置及び速度感知回転リゾルバー500の概略的側部(立面)図である。他の図面と同様、
図5は一定の縮尺で描かれていない。例えば、
図5においてz軸は拡張されている。また、例えば、リゾルバー500は、中実のシャフト515を備えて、それぞれ、粗及び細ディスク505及び510を用いる。この例では、粗ディスク505は、4mmの変調(線形オフセット)を備えて、67mmの直径を有し、粗ディスクの厚み(又は高さ)は16mm(14mm+2mm)であり、4つの粗ディスクコイル(概して520)は、10mmの直径を有し、細ディスク510は80mmの直径を有する。4つの細ディスクコイル(概して535)は各々4mmの直径を有する。そのため、この例に従って、粗ディスクの大きい方の半径は、細ディスクコイル直径のサイズ(
図4にあるように、この場合は4mm)だけ細ディスクの半径より小さくし得る。
【0034】
また、この(及びその他の)例示の実施例において、細ディスク(フレーム)51から垂直細ディスクコイル535までの距離は、0.1mm~1mm(1ミリメートル未満など)である。
図5の例示の実施例において、粗ディスクコイル520は、ハウジング565から内方に18mm(16mm+PCB厚みのための2mm)間隔があけられる。これは、粗ディスクコイル520と粗ディスク505との間の最大距離の約3倍である。ハウジング565までの細ディスクコイル距離は、14mm(12mm+2mm)であり、これは、細ディスク410(スカラップ(scallop)530間)と細ディスクコイル535(3.5mm)との間の最大距離の約4倍である。
【0035】
図5の例におけるハウジング565(及びその他の例示のための任意のハウジング)は、外部の移動する金属からコイルを遮蔽するために金属でつくられ得る。シャフト515は、中実でも又は中空であってもよいが、1ミリメートル未満の最大z軸の遊びを有するべきである。アッセンブリのランアウト(run-out)は、実用上可能な限り低くされるべきであり、許容差を含み、コイルとディスクとの間の最小距離の関数とし得る。
【0036】
図6は、種々の実施例に従った、誘導センサを用いる別の例示のマルチレベル高分解能回転位置及び速度感知回転リゾルバー600の概略的側部(立面)図である。
図6も(そのz軸が拡張されるなど)一定の縮尺で描かれていない。例示のリゾルバー600は、中実のシャフト610を備えて、それぞれ、粗及び細ディスク605及び610を用いる。この例では、粗ディスク605は、40mmなど、細ディスク610と同じ半径を有する。粗ディスク605の例示の厚み(高さ)は、20mm(即ち、10mmの粗ディスクコイルサイズの2倍)である。この例では、粗ディスクコイル(概して620)は、細ディスクコイル(概して635)と(軸シャフトから)同じ半径で搭載され、これは、40mm+1ミリメートル未満である。
図6の例示の回転リゾルバー600は、
図5の例示の回転リゾルバー500より大きなハウジング(665)を用い得るが、回転リゾルバー600は、有利にも、同じ半径で粗及び細ディスクコイル(620及び635)を搭載し、粗及び細コイル(620及び635)両方に対して単一PCBを用いるなど、PCBレイアウト及び搭載が簡略化される。
【0037】
図7は、種々の実施例に従った、誘導センサを用いる例示の代替のマルチレベル高分解能回転位置及び速度感知回転リゾルバー700の概略的平面(頂部)図である。
図8は、種々の実施例に従った、
図7の例示の代替のマルチレベル高分解能回転位置及び速度感知回転リゾルバー700の概略的の側部(立面)図である。
図7及び
図8の図示された例は、軸感知コイルを備えた代替の粗及び細リゾルバーである。マルチレベルインダクタンス・デジタルコンバータベースのリゾルバー700は、絶対エンコーダとして機能し得、(
図8において図示するように)、粗分解能ディスク705、第1の細分解能ディスク710、及び第2の細分解能ディスク712の3つのディスクを有し得、これらは全て同じシャフト715上に搭載される。この場合も、レベル1の偏心粗分解能ディスク705は、細分解能ディスク710及び712のアクティブレベル2「歯」の角度を弁別し、細分解能ディスク710は第1のオフセット角度を弁別し、細ディスク712は第2のオフセット角度を弁別する。
【0038】
この場合も、偏心粗リゾルバーディスク705は、上述のように成され得るように、ディスク705の回転が、粗ディスク(図示せず)のためのI及びQコイルに対して端部位置を変化させるように、シャフト715上に配置される。前述のように、端部位置変化は、比較的低周波数である。回転リゾルバー700は、個別の細ディスク710及び712を用いる。各々が、それぞれ、同様のスカラップ型にされた(又はその他の方式で交互に規則的な突出を有する)、端部セグメント730及び732を有する。しかし、細ディスク720及び722は、それぞれ、I及びQコイル735及び740を過ぎてそれらが回転するにつれて、一方の細ディスクが歯毎に全正弦周期を出力し、他方の細ディスクが歯毎に全余弦周期を出力するように搭載される。これらのサイクルは、(例えば、そのI及びQコイルに関する粗リゾルバーディスク705の位置変化に対して)比較的高周波数である。有利にも、(細ディスク710及び712から出力される)細利得のためのI及びQコイル735及び740は、インラインで、リゾルバーディスクに対して同じ角度位置で搭載され得、機械的位相シフトを最小化し、同じPCBの共用を可能にし、そのため、機械的に実現することがより容易となり得る。
【0039】
回転リゾルバー700(
図7及び
図8)の
図1のシステム100への適用において、細分解能ディスクの一つ(710など)は同相配置され得、他方の細分解能ディスク(712など)は、第1の細分解能ディスク(710など)に対して直交して配置され得る。このようなシステムにおいて、(a)シャフト715(及び、それによるディスク)の回転が、各細ディスク感知コイル735及び740と細分解能ディスク間との距離を、各端部セグメント(730及び732)の通過の間、最大、最小、及び最大の間で循環させ、(b)細分解能ディスクの一つの細分解能ディスク(710)の端部に近接して配置される伝導性コイル(735)は、概して正弦波状の周期的な第1の信号を、インダクタンス・デジタルコンバータに出力し、及び(c)他の細分解能ディスク(712)の端部に近接して配置される他の伝導性コイル(740)が、第1の信号に概して直交する概して正弦波状の周期的な第2の信号を出力する。これらの信号は、インダクタンス・デジタル信号コンバータ110への出力である。このようなシステムにおいて、回転リゾルバー粗ディスク感知コイルは、(a)(同相(I)粗ディスク感知コイルと直交(Q)粗ディスク感知コイルとを有する粗ディスク感知コイルのペアを含み得る。また、(a)細ディスク感知コイルのペアが、同相(I)細ディスク感知コイル735及び直交(Q)細ディスク感知コイル740を有し得る。このようなシステムにおいて、同相(I)細ディスク感知コイル735は、細分解能ディスクの一つ(710)に近接して配置され、直交(Q)細ディスク感知コイル740は、他の細分解能ディスク(712)に近接して配置される。これらのコイルは、互いに概して整合され得、回転リゾルバーシャフト(715)に概して平行配置に配置され得る。
【0040】
有利にも、共にスタックされ、互いに90の電気的角度、位相が異なる、2つの細分解能ディスク(710及び712)を有することにより、細分解能I及びQコイルは、一つのPCB上の、同じ、整合された位置に配置され得、上述のようにこれらを(例えば+/-3+/-m×12度)分離する必要性をなくす。こういった分離は、より厳しい機械的許容差を要求し得る。
【0041】
図9は、幾つかの実施例に従って、インダクタンス・デジタルコンバータに関連する使用に基づいて誘導センサを用いるマルチレベル高分解能回転位置及び速度感知回転リゾルバーのための、例示の計算された最大回転速度を表にしたものである。
図10は、
図9と同じ実施例に従って、インダクタンス・デジタルコンバータに関連する使用に基づき誘導センサを用いるマルチレベル高分解能回転位置及び速度感知回転リゾルバーのための、例示の計算された最大分解能を表にしたものである。
【0042】
従って、記載される例において、シャフト(及び、それによるディスク)の回転が、各粗ディスク感知コイル及び粗分解能ディスク間の距離を、回転サイクル毎に一つの感知サイクルに対応して、各回転サイクルに最大距離と最小距離との間で循環させる。また、シャフト(及び、それによるディスク)の回転が、端部セグメントの数に等しい回転サイクル毎の多数の感知サイクルに対応して、各細ディスク感知コイル及び細分解能ディスク間の距離を、各端部セグメントの通過の間、最大、最小、及び最大の間で循環させる。
【0043】
粗ディスク感知コイルは、(a)同相粗ディスク感知コイルと直交粗ディスク感知コイルとを含む粗ディスク感知コイルのペアであり得る。同様に、細ディスク感知コイルは、(a)同相細ディスク感知コイルと直交細ディスク感知コイルとを含む細ディスク感知コイルのペアであり得る。
【0044】
幾つかの実装は、伝導性細分解能ディスクのペアを用い得、一つの伝導性粗分解能ディスクが伝導性細分解能ディスク間に配置される。第1の細分解能ディスクが同相に配置され得、第2の細分解能ディスクが、第1の細分解能ディスクに対して直交して配置され得る。このような実施例において、(a)シャフト(及び、それによるディスク)の回転が、各細ディスク感知コイル及び細分解能ディスク間の距離を、各端部セグメントの通過の間、最大、最小、及び最大の間で循環させ、(b)第1又は第2の細分解能ディスクの端部に近接して配置されるコイルが、概して正弦波状の周期的な第1の信号を出力し、及び(c)他方の細分解能ディスクの端部に近接して配置される他の伝導性コイルが、第1の信号(即ち、余弦信号)に対して概して直交する概して正弦波状の周期的な第2の信号を出力する。また、このような実装において、粗ディスク感知コイルは、(a)粗ディスク感知コイルのペアを含み、粗ディスク感知コイルのペアは、同相粗ディスク感知コイル及び直交粗ディスク感知コイルを含み、細ディスク感知コイルは、(a)同相細ディスク感知コイルと直交細ディスク感知コイルとを含む細ディスク感知コイルのペアを含む。同相細ディスク感知コイルは、細分解能ディスクの一つに近接して配置され、直交細ディスク感知コイルは、他方の細分解能ディスクに近接して配置される。同相細ディスク感知コイル及び直交細ディスク感知コイルは、互いに整合され得、シャフトに概して平行に配置され得る。
【0045】
このように、回転位置感知の或る方法が、シャフト上に偏心伝導性粗分解能ディスクを搭載すること、及びそのシャフト上に複数の概して半円形の突出する端部セグメントを画定する伝導性細分解能ディスクを搭載することを要求し得る。回転位置感知のこのような方法において、(a)直交して配置される伝導性粗ディスク感知コイルのペアが、粗分解能ディスクの軸感知のため粗分解能ディスクの端部に近接して配置され得、及び(a)伝導性細ディスク感知コイルが、細分解能ディスクの軸感知のため細分解能ディスクの端部に近接して配置され得る。回転位置感知のこのような方法が、シャフト(及び、それによりディスク)を回転させることを要求し得、それにより、(a)各粗ディスク感知コイル及び粗分解能ディスク間の距離を、回転サイクル毎に一つの感知サイクルに対応して、各回転サイクルに最大距離と最小距離との間で循環させ、及び(b)各細ディスク感知コイル及び細分解能ディスク間の距離を、端部セグメントの数に等しい回転サイクル毎の多数の感知サイクルに対応して、各端部セグメントの通過の間、最大、最小、及び最大の間で循環させる。回転位置感知のこのような方法において、伝導性粗ディスク感知コイルの各々は、回転サイクル毎に一つの感知サイクルを感知し、一つ又は複数の伝導性細ディスク感知コイルの各々は、ディスクの回転位置に対応する回転毎に複数の感知サイクルを感知する。
【0046】
幾つかの方法の実装において、直交して配置される伝導性粗ディスク感知コイルの各ペアは、同相粗ディスク感知コイル及び直交粗ディスク感知コイルを含み得、及び/又は細ディスク感知コイルは、(a)同相細ディスク感知コイルと直交細ディスク感知コイルとで構成される細ディスク感知コイルのペアを含み得る。
【0047】
回転位置感知の方法の幾つかの実装が、シャフト上で複数の概して半円形の突出する端部セグメントを画定する第2の伝導性細分解能ディスクを搭載することを要求し得、例えば、粗分解能ディスクが細分解能ディスク間に配置され、細分解能ディスクの一つが同相に配置され、他方の細分解能ディスクが第1の細分解能ディスクに対して直交して配置される。このような方法の実装において、シャフト(及び、それによりディスク)を回転させることが、各細ディスク感知コイル及び細分解能ディスク間の距離を、各端部セグメントの通過の間、最大、最小、及び最大の間で循環させる。その結果、細分解能ディスクの一つの細分解能ディスクの端部に近接して配置される伝導性コイルが、概して正弦波状の周期的な第1の信号を出力し、他方の細分解能ディスクの端部に近接して配置される別のコイルが、第1の信号に対して概して直交する概して正弦波状の周期的な第2の信号を出力する。回転位置感知のこのような方法の実装において、細ディスク感知コイルは、(a)同相細ディスク感知コイルと直交細ディスク感知コイルとを含む細ディスク感知コイルのペアであり得る。この同相細ディスク感知コイルは、細分解能ディスクの一つに近接して配置され得、直交コイル細ディスク感知は、他方の細分解能ディスクに近接し、同相細ディスク感知コイルと概して整合されて配置され、同相細ディスク感知コイル及び直交細ディスク感知コイルが、シャフトに概して平行に配置される。
【0048】
従って、或る回転位置及び速度感知システムが、インダクタンス・デジタルコンバータ、複数のインダクタンスタンク回路、及び複数のインダクタンスタンク回路を介してインダクタンス・デジタルコンバータに作用可能に結合される回転リゾルバーを含み得る。このようなシステムにおいて、回転リゾルバーは、回転シャフト、シャフト上に固定される伝導性偏心粗分解能ディスク、及びシャフト上に固定される伝導性細分解能ディスクを含み得、細分解能ディスクは、複数の概して半円形の突出する端部セグメントを画定する。伝導性粗ディスク感知コイルは粗分解能ディスクの端部に近接して配置されて、シャフト(及び、それによるディスク)の回転が、各粗ディスク感知コイル及び粗分解能ディスク間の距離を、各回転サイクルに最大距離と最小距離との間で循環させ、その結果、回転サイクル毎に一つの感知サイクルに対応するインダクタンス・デジタルコンバータへのインダクタンス信号の出力となるようになっている。伝導性細ディスク感知コイルは細分解能ディスクの端部に近接して配置されて、シャフト(及び、それによるディスク)の回転が、各細ディスク感知コイル及び細分解能ディスク間の距離を、各端部セグメントの通過の間、最大、最小、及び最大間で循環させ、ディスクの回転位置に対応するインダクタンス・デジタルコンバータへの(正弦波状の周期的な)インダクタンス信号の出力が生じるようになっている。これらの回転リゾルバーコイルは、それぞれのディスクの軸感知のために方向付けられ得る。回転リゾルバー粗ディスク感知コイルは、(a)同相粗ディスク感知コイルと直交粗ディスク感知コイルとを有する粗ディスク感知コイルのペア、及び/又は同相細ディスク感知コイルと直交細ディスク感知コイルとを含む細ディスク感知コイルペアを含み得る。
【0049】
幾つかのシステムにおいて、回転リゾルバーは、それらの間に配置される一つの伝導性粗分解能ディスクを備えた、伝導性細分解能ディスクのペアを有する。細分解能ディスクの一方が同相に配置され得、他方の細分解能ディスクが、第1の細分解能ディスクに対して直交して配置され得る。このようなシステムにおいて、シャフト(及び、それによるディスク)の回転が、各細ディスク感知コイル及び細分解能ディスク間の距離を、各端部セグメントの通過の間、最大、最小、及び最大間で循環させ、細分解能ディスクの一方の細分解能ディスクの端部に近接して配置される伝導性コイルは、概して正弦波状の周期的な第1の信号をインダクタンス・デジタルコンバータに出力し、他方の細分解能ディスクの端部に近接して配置される他の伝導性コイルが、第1の信号に概して直交する概して正弦波状の周期的な第2の信号をインダクタンス・デジタル信号コンバータに出力する。また、このようなシステムにおいて、回転リゾルバー粗ディスク感知コイルは、(a)同相粗ディスク感知コイルと直交粗ディスク感知コイルとを有する粗ディスク感知コイルのペア、及び(a)同相細ディスク感知コイルと直交細ディスク感知コイルとを有する細ディスク感知コイルのペアを含む。同相細ディスク感知コイルは、細分解能ディスクの一方に近接して配置され、直交細ディスク感知コイルは他方の細分解能ディスクに近接し、同相細ディスク感知コイルと概して整合されて配置され、同相細ディスク感知コイル及び直交細ディスク感知コイルは、回転リゾルバーシャフトに概して平行に配置される。
【0050】
本発明の特許請求の範囲内で、説明した例示の実施例に変形が成され得、他の実施例が可能である。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転リゾルバーであって、
回転シャフトと、
前記シャフト上に固定される少なくとも1つの伝導性偏心粗分解能ディスクと、
前記シャフト上に固定される少なくとも1つの伝導性細分解能ディスクであって、複数の概して半円形の突出する端部セグメントを画定して前記粗分解能ディスクよりも大きい回転分解能を提供する、前記細分解能ディスクと、
前記粗分解能ディスクの端部に近接して配置される少なくとも1組の伝導性粗ディスク感知コイルと、
前記細分解能ディスクの端部に近接して配置される少なくとも1組の伝導性細ディスク感知コイルと、
を含み、
前記1組の伝導性粗ディスク感知コイルは、同相粗ディスク感知コイルと直交粗ディスク感知コイルを含み、
前記1組の伝導性細ディスク感知コイルは、同相細ディスク感知コイルと直交細ディスク感知コイルを含み、
前記粗分解能ディスクの半径は、少なくとも前記伝導性細ディスク感知コイルの直径のサイズだけ前記細分解能ディスクの半径よりも小さい、回転リゾルバー。
【請求項2】
請求項1に記載の回転リゾルバーであって、
前記粗分解能ディスクの厚みは、前記細分解能ディスクの厚みよりも大きい、回転リゾルバー。
【請求項3】
請求項2に記載の回転リゾルバーであって、
前記粗分解能ディスクの厚みは、前記伝導性粗ディスク感知コイルの直径よりも大きく、
前記細分解能ディスクの厚みは、前記伝導性細ディスク感知コイルの直径よりも大きく、
前記伝導性粗ディスク感知コイルの直径は、前記伝導性細ディスク感知コイルの直径よりも大きい、回転リゾルバー。
【請求項4】
請求項1に記載の回転リゾルバーであって、
前記伝導性粗ディスク感知コイルおよび前記伝導性細ディスク感知コイルのコイル軸が前記回転シャフトの回転軸に直交する、回転リゾルバー。
【請求項5】
請求項1に記載の回転リゾルバーであって、
前記伝導性粗ディスク感知コイルおよび前記伝導性細ディスク感知コイルのコイル軸が前記回転シャフトの回転軸に平行である、回転リゾルバー。