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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023010350
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】決済システム及び決済方法
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/12 20060101AFI20230113BHJP
   G07G 1/01 20060101ALI20230113BHJP
   G07D 11/26 20190101ALI20230113BHJP
   G07D 11/60 20190101ALI20230113BHJP
   G07D 1/06 20060101ALI20230113BHJP
   G07G 1/00 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
G07G1/12 331A
G07G1/01 301E
G07D11/26
G07D11/60
G07D1/06
G07G1/00 331A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021114428
(22)【出願日】2021-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(74)【代理人】
【識別番号】100148655
【弁理士】
【氏名又は名称】諏訪 淳一
(72)【発明者】
【氏名】中川 和俊
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 治
【テーマコード(参考)】
3E141
3E142
【Fターム(参考)】
3E141DA05
3E141FF09
3E141FJ09
3E142DA07
3E142FA42
3E142FA50
3E142GA24
3E142GA41
3E142KA20
(57)【要約】
【課題】客との取引時に発生した釣銭を確実に客に返す。
【解決手段】
決済システムを、客が店舗から購入する商品の取引金額を支払う第1エリアに設置され、客が入金する現金を受け付けて入金金額を取得する第1現金処理装置と、客が商品を受け取る第2エリアに設置され、取引金額と入金金額とに基づく客に返される釣銭の情報を報知する報知装置とを備え、報知装置が、第2エリアで客に商品が引き渡される際に、第1エリアで客に返されなかった釣銭の情報を報知するように構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
客が店舗から購入する商品の取引金額を支払う第1エリアに設置され、前記客が入金する現金を受け付けて入金金額を取得する第1現金処理装置と、
前記客が前記商品を受け取る第2エリアに設置され、前記取引金額と前記入金金額とに基づく前記客に返される釣銭の情報を報知する報知装置と
を備え、
前記報知装置は、前記第2エリアで客に商品が引き渡される際に、前記第1エリアで前記客に返されなかった釣銭の情報を報知する
ことを特徴とする決済システム。
【請求項2】
前記第1現金処理装置が、客に返す釣銭を出金していない場合には、該釣銭の情報が前記報知装置によって報知されることを特徴とする請求項1に記載の決済システム。
【請求項3】
前記第1現金処理装置が、客に返す釣銭を出金したにも拘わらず、前記客が前記釣銭を取り忘れたことを検知した場合には、
前記報知装置は、前記客が前記第1エリアで釣銭を取り忘れたことを報知する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の決済システム。
【請求項4】
前記報知装置は、前記客が前記第1エリアで取り忘れた釣銭の金額を報知することを特徴とする請求項3に記載の決済システム。
【請求項5】
前記第1現金処理装置は、出金した釣銭の一部又は全部を客が取り忘れたことを検知した場合には、取り忘れられた釣銭を装置内に取り込んで該釣銭の金額を取得し、
前記報知装置は、前記第1現金処理装置が取得した前記釣銭の金額を報知する
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の決済システム。
【請求項6】
前記第1エリアに設置され、客からの商品の注文を受け付けて前記取引金額を取得する注文受付装置をさらに備えることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の決済システム。
【請求項7】
前記報知装置は、表示部を有し、前記釣銭の情報を前記表示部に表示して報知することを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の決済システム。
【請求項8】
前記報知装置は、前記釣銭の情報に基づく釣銭金額分の現金を出金する第2現金処理装置を含むことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の決済システム。
【請求項9】
前記第2エリアに設置され、前記釣銭の情報に基づく釣銭金額分の現金を出金する第2現金処理装置をさらに備えることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の決済システム。
【請求項10】
前記第2現金処理装置は、前記釣銭の情報に基づく釣銭の出金を指示する操作が行われたことを受けて現金の出金を開始することを特徴とする請求項8又は9に記載の決済システム。
【請求項11】
客が店舗に商品を注文する第1エリアで、現金処理装置により前記商品の取引金額を支払うために前記客が入金する現金を受けて入金金額を取得する支払工程と、
前記客が注文した商品が前記客に引き渡される第2エリアで、報知装置により前記取引金額と前記入金金額とに基づく前記客に返される釣銭の情報を報知する報知工程と
を含み、
前記報知工程で、前記第1エリアで客に返されなかった釣銭の情報が報知される
ことを特徴とする決済方法。
【請求項12】
前記支払工程で、前記現金処理装置により客に返す釣銭を出金していない場合には、該釣銭の情報が前記報知工程で報知されることを特徴とする請求項11に記載の決済方法。
【請求項13】
前記支払工程で、前記現金処理装置により客に返す釣銭を出金したにも拘わらず、前記客が前記釣銭を取り忘れたことを検知した場合には、
前記報知工程で、前記客が前記第1エリアで釣銭を取り忘れたことが報知される
ことを特徴とする請求項11又は12に記載の決済方法。
【請求項14】
前記報知工程で、前記客が前記第1エリアで取り忘れた釣銭の金額が報知されることを特徴とする請求項13に記載の決済方法。
【請求項15】
前記現金処理装置により前記支払工程で客が取り忘れた釣銭を装置内に取り込んで該釣銭の金額を取得する工程
をさらに含み、
前記報知工程で、前記現金処理装置により取得した前記釣銭の金額が報知される
ことを特徴とする請求項13又は14に記載の決済方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、客との取引時に取引金額の決済処理を行うための決済システム及び決済方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、店舗で行われる客との取引時に、客が店舗に支払う取引金額の決済処理が様々な装置を利用して行われている。例えば、特許文献1には、商品の代金を支払うための装置への現金の入金と、装置から出金される釣銭の受け取りとを、客が自ら行うセルフチェックアウト用の決済装置が開示されている。近年、取引金額の支払い及び釣銭の受け取りを客に行わせるセルフ式及びセミセルフ式の決済システムを利用する店舗が増えている。
【0003】
店員が客に釣銭を手渡しする場合とは異なり、装置から出金される釣銭の受け取りを客が行う決済システムでは、客が釣銭を取り忘れることがある。特許文献1の決済装置は、客が釣銭を取り忘れたことを検知して店員に報知する。決済装置は、釣銭の取り忘れが発生した取引の情報を印字した取り忘れ票を発行する。報知を受けた店員は、取り忘れ票を利用して、客が取り忘れた釣銭を管理し、釣銭を取りに戻った客に釣銭を返すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-13619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術では、店員は、客が釣銭を取り忘れたことに気付いて釣銭を回収し、店舗内で管理することができる。しかし、客が釣銭の取り忘れに気付かずに店舗から出てしまい、客に釣銭を返すことができない場合がある。
【0006】
本開示は、上記課題を含む従来技術を鑑みてなされたもので、その目的の1つは、店舗で行われる客との取引時に釣銭を確実に客に返すことができる決済システム及び決済方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る決済システムは、客が店舗から購入する商品の取引金額を支払う第1エリアに設置され、前記客が入金する現金を受け付けて入金金額を取得する第1現金処理装置と、前記客が前記商品を受け取る第2エリアに設置され、前記取引金額と前記入金金額とに基づく前記客に返される釣銭の情報を報知する報知装置とを備え、前記報知装置は、前記第2エリアで客に商品が引き渡される際に、前記第1エリアで前記客に返されなかった釣銭の情報を報知する。
【0008】
上記構成において、前記第1現金処理装置が、客に返す釣銭を出金していない場合には、該釣銭の情報が前記報知装置によって報知されてもよい。
【0009】
上記構成において、前記第1現金処理装置が、客に返す釣銭を出金したにも拘わらず、前記客が前記釣銭を取り忘れたことを検知した場合には、前記報知装置は、前記客が前記第1エリアで釣銭を取り忘れたことを報知してもよい。
【0010】
上記構成において、前記報知装置は、前記客が前記第1エリアで取り忘れた釣銭の金額を報知してもよい。
【0011】
上記構成において、前記第1現金処理装置は、出金した釣銭の一部又は全部を客が取り忘れたことを検知した場合には、取り忘れられた釣銭を装置内に取り込んで該釣銭の金額を取得し、前記報知装置は、前記第1現金処理装置が取得した前記釣銭の金額を報知してもよい。
【0012】
上記構成において、前記第1エリアに設置され、客からの商品の注文を受け付けて前記取引金額を取得する注文受付装置をさらに備えてもよい。
【0013】
上記構成において、前記報知装置は、表示部を有し、前記釣銭の情報を前記表示部に表示して報知してもよい。
【0014】
上記構成において、前記報知装置は、前記釣銭の情報に基づく釣銭金額分の現金を出金する第2現金処理装置を含んでいてもよい。
【0015】
上記構成において、前記第2エリアに設置され、前記釣銭の情報に基づく釣銭金額分の現金を出金する第2現金処理装置をさらに備えていてもよい。
【0016】
上記構成において、前記第2現金処理装置は、前記釣銭の情報に基づく釣銭の出金を指示する操作が行われたことを受けて現金の出金を開始してもよい。
【0017】
本開示に係る決済方法は、客が店舗に商品を注文する第1エリアで、現金処理装置により前記商品の取引金額を支払うために前記客が入金する現金を受けて入金金額を取得する支払工程と、前記客が注文した商品が前記客に引き渡される第2エリアで、報知装置により前記取引金額と前記入金金額とに基づく前記客に返される釣銭の情報を報知する報知工程とを含み、前記報知工程で、前記第1エリアで客に返されなかった釣銭の情報が報知される。
【0018】
上記構成において、前記支払工程で、前記現金処理装置により客に返す釣銭を出金していない場合には、該釣銭の情報が前記報知工程で報知されてもよい。
【0019】
上記構成において、前記支払工程で、前記現金処理装置により客に返す釣銭を出金したにも拘わらず、前記客が前記釣銭を取り忘れたことを検知した場合には、前記報知工程で、前記客が前記第1エリアで釣銭を取り忘れたことが報知されてもよい。
【0020】
上記構成において、前記報知工程で、前記客が前記第1エリアで取り忘れた釣銭の金額が報知されてもよい。
【0021】
上記構成において、前記現金処理装置により前記支払工程で客が取り忘れた釣銭を装置内に取り込んで該釣銭の金額を取得する工程をさらに含み、前記報知工程で、前記現金処理装置により取得した前記釣銭の金額が報知されてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本開示に係る決済システムによれば、客は、第1エリアで商品を注文して取引金額を支払うための現金を現金処理装置に入金した後、第2エリアへ移動して、注文した商品を受け取ることができる。第1エリアで客に返されなかった釣銭がある場合、この釣銭の情報が、第2エリアで商品の受け渡しが行われる際に報知される。これにより、例えば、第1エリアで客が釣銭を取り忘れた場合でも、第2エリアで店員が客に釣銭を返すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、第1の実施形態に係る決済システムの概要を説明するための図である。
図2図2は、注文受付装置の構成概略を示すブロック図である。
図3図3は、取引情報報知装置の構成概略を示すブロック図である。
図4図4は、客が商品を注文した際に注文受付装置の操作表示部に表示される画面の例を示す図である。
図5図5は、取引情報報知装置の操作表示部に表示される画面の例を示す図である。
図6図6は、第2の実施形態に係る決済システムの概要を説明するための図である。
図7図7は、第2の実施形態に係る注文受付装置の構成概略を示すブロック図である。
図8図8は、第2の実施形態に係る第1現金処理装置の構成概略を示すブロック図である。
図9図9は、注文エリアで客が釣銭を取り忘れた際に、引渡エリアの取引情報報知装置の操作表示部に表示される画面の例を示す図である。
図10図10は、第3の実施形態に係る第1現金処理装置の動作を説明するためのブロック図である。
図11図11は、第3の実施形態に係る決済システムで客が釣銭を取り忘れた際に、取引情報報知装置の操作表示部に表示される画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照しながら、本開示に係る決済システム及び決済方法の実施の形態について説明する。決済システム及び決済方法は、商品を販売する店舗及びサービスを提供する店舗を含む様々な場所で利用することができるが、本実施形態では、商品を販売する店舗を例に、決済システム及び決済方法について説明する。
【0025】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る決済システム1の概要を説明するための図である。決済システム1は、注文受付装置100、第1現金処理装置311、取引情報報知装置200及び第2現金処理装置320を含む。第1現金処理装置311は注文受付装置100に接続して利用される。第2現金処理装置320は、取引情報報知装置200に接続して利用される。注文受付装置100と取引情報報知装置200の間は通信可能に接続されている。
【0026】
店舗で商品を購入する客は、注文受付装置100及び第1現金処理装置311を利用して、商品の注文と代金の支払いとを行うことができる。店舗の店員は、取引情報報知装置200及び第2現金処理装置320を利用して、客が注文した商品の準備と、客に返す釣銭の処理とを行うことができる。
【0027】
店舗内には、客が商品を注文する注文エリアと、客が注文した商品を店員が客に引き渡す引渡エリアとが設けられている。注文受付装置100及び第1現金処理装置311は注文エリアに設置されている。取引情報報知装置200及び第2現金処理装置320は引渡エリアに設置されている。例えば、引渡エリアは、注文エリアから離れた場所に設けられる。注文エリアで注文を終えた客は、引渡エリアに移動して、注文した商品を受け取る。
【0028】
客は、注文受付装置100を利用して商品を注文する(A1)。それぞれの客が購入した商品の情報は注文番号によって区別される。注文した商品の代金を支払うため、客は、第1現金処理装置311に現金を入金することができる(A2)。
【0029】
なお、本実施形態で言う現金は、紙幣のみであってもよいし、硬貨のみであってもよいし、紙幣と硬貨の両方であってもよい。客が支払う代金とは、客が1又は複数の商品を店舗から購入する取引が行われる際に、客が店舗に支払う取引金額である。例えば、取引金額が、商品の販売価格及び商品購入に課せられる税金の他に、商品の包装料金、手数料等の金額を含んでいてもよい。以下、店舗で商品を購入するために客が店舗に支払う金額を取引金額と記載する。
【0030】
第1現金処理装置311は、客が入金した現金を識別計数して入金金額を取得する。注文受付装置100は、第1現金処理装置311から入金金額を取得する。注文受付装置100は、入金金額から取引金額を差し引いた釣銭金額を算出する。注文受付装置100は、注文番号、注文された商品の情報及び釣銭金額を含む取引情報を、取引情報報知装置200へ送信する(A3)。入金金額が取引金額を超えて、客に釣銭を返す必要がある場合も第1現金処理装置311から釣銭は出金されず、客は引渡エリアで商品を受け取る際に釣銭を受け取ることができる。
【0031】
取引情報報知装置200は、注文受付装置100から受信した取引情報を店員に報知することができる。例えば、取引情報報知装置200が備える表示部に、注文番号と、注文された商品の種類及び数とが表示される。店員は、報知された情報に基づいて、引渡エリアで客へ引き渡す商品を注文番号毎に準備することができる。
【0032】
注文エリアで商品の注文と現金の入金とを終えた客は引渡エリアへ移動する。客又は店員が取引情報報知装置200に注文番号を入力する。注文番号を受け付けた取引情報報知装置200は、注文番号に基づいて、この客が注文した商品の情報と、客に返す釣銭の情報とを店員に報知することができる(A4)。釣銭の情報には釣銭金額が含まれる。取引情報報知装置200は、釣銭金額を第2現金処理装置320に送信する。第2現金処理装置320は、受信した釣銭金額分の現金を出金する(A5)。
【0033】
例えば、取引情報報知装置200が備える表示部に、注文番号と、客が注文した商品の種類及び数と、客へ返す釣銭の金額とが表示されて、この金額分の釣銭が第2現金処理装置320から出金される。
【0034】
店員は、取引情報報知装置200が報知した情報を確認しながら商品を客へ引き渡すと共に、第2現金処理装置320が出金した釣銭を客に返すことができる。このように、決済システム1では、店員が、注文された商品を客に引き渡す際に釣銭を客に返すことができる。これにより、店舗は釣銭を確実に客に返すことができる。
【0035】
なお、図1に示す決済システム1の構成は例示であって、決済システム1を構成する注文受付装置100及び取引情報報知装置200の数は特に限定されない。例えば、複数台の注文受付装置100が1台の取引情報報知装置200と通信可能に接続され、各注文受付装置100で行われた注文が1台の取引情報報知装置200で順に処理される態様であってもよい。複数台の注文受付装置100それぞれが、複数台の取引情報報知装置200それぞれと通信可能に接続され、各注文受付装置100で行われた注文が、複数台のうちいずれかの取引情報報知装置200で処理される態様であってもよい。注文受付装置100と取引情報報知装置200の組み合わせを1セットとして、複数セットが店舗内に設けられる態様であってもよい。
【0036】
注文受付装置100と第1現金処理装置311とが独立した装置である態様に限定されず、注文受付装置100が第1現金処理装置311を含む態様であってもよい。同様に、取引情報報知装置200と第2現金処理装置320とが独立した装置である態様に限定されず、取引情報報知装置200が第2現金処理装置320を含む態様であってもよい。
【0037】
第2現金処理装置320が決済システム1に含まれない態様であってもよい。例えば、店員が、取引情報報知装置200によって報知された釣銭金額分の現金を、引渡エリア内に別途設けられた現金処理装置から出金して、客に釣銭として返す態様であってもよい。店員が、現金処理装置を利用せずに現金を手元で管理し、この現金の中から、取引情報報知装置200によって報知された釣銭金額分の現金を取り出して、客に釣銭として返す態様であってもよい。いずれの場合も、注文エリアの第1現金処理装置311に入金された現金から取引金額を差し引いた金額分の釣銭を、注文エリアから離れた場所にある引渡エリアで確実に客に返すことができる。
【0038】
次に、決済システム1の具体的な構成及び動作について説明する。図2は、注文受付装置100の構成概略を示すブロック図である。注文受付装置100は、操作表示部110、通信部120、記憶部130及び制御部140を含む。
【0039】
操作表示部110は、客が注文受付装置100に各種情報を入力するための操作部として機能する。操作表示部110は、注文受付装置100が客に提示する各種情報を表示する表示部としても機能する。例えば、タッチパネル式の液晶表示装置が操作表示部110として利用される。ただし、操作表示部110が、操作部と表示部の機能を兼ねる態様に限定されず、操作部と表示部が独立して設けられる態様であってもよい。
【0040】
通信部120は、有線又は無線で外部装置と情報を送受信する。情報の送受信は、専用回線を利用して行われてもよいし公衆回線を利用して行われてもよい。注文受付装置100は、通信部120を利用して、取引情報報知装置200との間で、取引情報を含む各種情報を送受信することができる。注文受付装置100は、通信部120を利用して、第1現金処理装置311との間で、第1現金処理装置311に入金された現金の金額と、第1現金処理装置311内にある現金を特定するための情報とを含む各種情報を送受信することができる。通信部120は、客の注文内容を含む注文票の発行にも利用されるが詳細は後述する。
【0041】
記憶部130は、不揮発性の記憶装置である。記憶部130には、第1現金処理装置311内にある現金の情報を示す在高情報131が保存されている。在高情報131は、第1現金処理装置311の収納部に収納されている現金の金種及び金種別の金額と、全金種の現金の合計金額とを特定可能な情報を含んでいる。記憶部130は、制御部140の動作に必要なプログラム及びデータの保存にも利用される。
【0042】
制御部140は、記憶部130に保存されている情報を利用しながら、操作表示部110で入力された情報及び通信部120で送受信される情報に基づいて、注文受付装置100の各部を制御することができる。これにより、本実施形態に記載する注文受付装置100の機能及び動作が実現されている。
【0043】
制御部140は、取引情報取得部141及び在高管理部142を含む。例えば、制御部140と、取引情報取得部141及び在高管理部142を含む各機能部とに対応するプログラムが記憶部130又は専用の記憶装置に予め記憶されており、このプログラムがCPU等のハードウェアによって実行されることにより、制御部140及び各機能部の機能及び動作が実現される。
【0044】
取引情報取得部141は取引情報を取得する。取引情報は、客が購入する商品の種類及び数と、取引金額とを含む。取引情報は、客が取引金額を支払うために第1現金処理装置311に入金した現金の入金金額と、入金金額と取引金額から算出された釣銭金額とを含む。
【0045】
例えば、注文受付装置100はPOS(Point Of Sales)システムに接続される。客が操作表示部110を操作して、購入する商品の種類及び数を選択すると、取引情報取得部141は、POSサーバにある商品データベースを参照して商品の価格を特定し、客が支払う取引金額を算出することができる。ただし、取引金額を算出する方法は特に限定されない。例えば、取引金額が外部装置から入力される態様であってもよい。例えば、記憶部130が、商品の種類及び価格が予め登録された商品データベースを有し、取引情報取得部141が、記憶部130の商品データベースを参照して取引金額を算出する態様であってもよい。
【0046】
在高管理部142は、第1現金処理装置311の在高を管理する。店舗の営業開始時には、第1現金処理装置311に収納されている現金の金種及び金種別枚数を含む在高情報131が記憶部130に保存されている。店舗の営業が開始されて、客が第1現金処理装置311に現金を入金すると、在高管理部142は、入金された現金の金種及び金種別枚数を第1現金処理装置311から取得して在高情報131を更新する。第1現金処理装置311が、装置内に収納されている現金を装置外へ排出する出金処理を行った場合、在高管理部142は、出金された現金の金種及び金種別枚数を第1現金処理装置311から取得して在高情報131を更新する。
【0047】
図3は、取引情報報知装置200の構成概略を示すブロック図である。取引情報報知装置200は、操作表示部210、通信部220、記憶部230及び制御部240を含む。
【0048】
操作表示部210は、客が取引情報報知装置200に各種情報を入力するための操作部として機能する。操作表示部210は、取引情報報知装置200が客に提示する各種情報を表示する表示部としても機能する。例えば、タッチパネル式の液晶表示装置が操作表示部210として利用される。ただし、操作表示部110が、操作部と表示部の機能を兼ねる態様に限定されず、操作部と表示部が独立して設けられる態様であってもよい。
【0049】
通信部220は、有線又は無線で外部装置と情報を送受信する。情報の送受信は、専用回線を利用して行われてもよいし公衆回線を利用して行われてもよい。取引情報報知装置200は、通信部220を利用して、注文受付装置100との間で、取引情報を含む各種情報を送受信することができる。取引情報報知装置200は、通信部220を利用して、第2現金処理装置320との間で、第2現金処理装置320から出金する釣銭の金額と、第2現金処理装置320内にある現金を特定するための情報とを含む各種情報を送受信することができる。
【0050】
記憶部230は、不揮発性の記憶装置である。記憶部230には、第2現金処理装置320内にある現金の情報を示す在高情報231と、取引情報232とが保存される。在高情報231は、第2現金処理装置320の収納部に収納されている現金の金種及び金種別の金額と、全金種の現金の合計金額とを特定可能な情報を含んでいる。取引情報232は、注文受付装置100で行われた各注文を区別するための注文番号と、客が注文した商品の種類及び数と、客に返す釣銭の金額とを含んでいる。取引情報232は、各注文の取引金額と、この取引金額を支払うために客が第1現金処理装置311に入金した現金の入金金額とを含んでいる。例えば、店員は、操作表示部210を操作して、注文番号に基づいて取引情報232を参照することにより、客に引き渡す商品の種類及び数と、客に返す釣銭の金額とを特定することができる。記憶部230は、制御部240の動作に必要なプログラム及びデータの保存にも利用される。
【0051】
制御部240は、記憶部230に保存されている情報を利用しながら、操作表示部210で入力された情報及び通信部220で送受信される情報に基づいて、取引情報報知装置200の各部を制御することができる。これにより、本実施形態に記載する取引情報報知装置200の機能及び動作が実現されている。
【0052】
制御部240は、取引管理部241、在高管理部242、取引情報報知部243、釣銭情報報知部244及び釣銭出金指示部245を含む。例えば、制御部240と、取引管理部241、在高管理部242、取引情報報知部243、釣銭情報報知部244及び釣銭出金指示部245を含む各機能部とに対応するプログラムが記憶部230又は専用の記憶装置に予め記憶されており、このプログラムがCPU等のハードウェアによって実行されることにより、制御部240及び各機能部の機能及び動作が実現される。
【0053】
取引管理部241は、客との間で行われる取引の情報を管理する。取引管理部241は、注文受付装置100から受信した取引情報を、記憶部230の取引情報232に登録する。取引情報232には、注文受付装置100で客が行った各注文の情報が、注文番号と関連付けて保存される。
【0054】
在高管理部242は、第2現金処理装置320の在高を管理する。店舗の営業開始時には、第2現金処理装置320に収納されている現金の金種及び金種別枚数を含む在高情報231が記憶部230に保存されている。店舗の営業が開始されて、第2現金処理装置320が客に釣銭として返す現金を出金すると、在高管理部242は、出金された現金の金種及び金種別枚数を第2現金処理装置320から取得して在高情報231を更新する。第2現金処理装置320が、装置外から現金を受け付けて識別計数し、装置内に収納する入金処理を行った場合、在高管理部142は、入金された現金の金種及び金種別枚数を第2現金処理装置320から取得して在高情報231を更新する。
【0055】
取引情報報知部243は、店員に取引情報を報知する。客が注文エリアの注文受付装置100で注文を終えた後、注文内容を含む取引情報が記憶部230の取引情報232に登録される。これを認識した取引情報報知部243は、新たに登録された注文内容を操作表示部210に表示して店員に報知する。例えば、注文番号、注文された商品の種類及び数が操作表示部210の画面上に表示される。店員は、この表示を確認して、客に引き渡す商品の準備を開始することができる。
【0056】
客が商品を受け取りに引渡エリアに来た際、客又は店員が操作表示部210を操作して注文番号を入力すると、取引情報報知部243は、注文番号に基づいて記憶部230の取引情報232を参照する。取引情報報知部243は、注文番号と関連付けて取引情報232に登録されている商品の情報を操作表示部210の画面に表示して店員に報知する。店員は、この表示を確認して、商品の種類及び数に誤りがないことを確認してから商品を客に引き渡すことができる。
【0057】
釣銭情報報知部244は、店員に釣銭情報を報知する。客又は店員が操作表示部210を操作して注文番号を入力すると、釣銭情報報知部244は、注文番号に基づいて記憶部230の取引情報232を参照する。釣銭情報報知部244は、注文番号と関連付けて取引情報232に登録されている釣銭金額を操作表示部210の画面に表示して店員に報知する。店員は、この表示を確認して、客に釣銭を返すことができる。
【0058】
釣銭出金指示部245は第2現金処理装置320に釣銭の出金を指示する。釣銭出金指示部245は、釣銭情報報知部244が注文番号に基づいて特定した釣銭金額を取得して、この釣銭金額分の現金の出金を第2現金処理装置320に指示する。店員は、釣銭出金指示部245からの指示に応じて第2現金処理装置320が出金した現金、すなわち釣銭を客に返すことができる。
【0059】
注文番号に基づいて釣銭金額が特定された後、釣銭出金指示部245の指示により自動的に第2現金処理装置320から釣銭出金が出金される設定とすることができる。この他、第2現金処理装置320による釣銭の出金が、店員による釣銭出金の指示が行われたことを受けて開始されるよう設定することも可能であるが、これについては後述する。
【0060】
注文エリアの第1現金処理装置311は、装置外から受け付けた現金を識別計数して装置内に収納する入金処理を実行する。引渡エリアの第2現金処理装置320は、出金する現金の金額を受け付けて、装置内に収納している現金を装置外へ排出する出金処理を実行する。第1現金処理装置311が、入金処理に加えて、第2現金処理装置320と同様に出金処理を実行してもよい。第2現金処理装置320が、出金処理に加えて、第1現金処理装置311と同様に入金処理を実行してもよい。入金処理を実行する現金処理装置及び出金処理を実行する現金処理装置は従来知られているため詳細な説明は省略する。
【0061】
次に、注文エリア及び引渡エリアで行われる処理について説明する。まず、店舗を訪れた客は、注文エリアにある注文受付装置100の操作表示部110を操作して、画面上に表示される商品の中から商品を選択して注文する。取引情報取得部141は、POSサーバ又は記憶部130の商品データベースを参照して、客が注文した各商品の価格を特定し、客が支払う取引金額を算出する。取引情報取得部141は、算出した取引金額と、取引金額を支払うために第1現金処理装置311に現金を入金するよう客に指示する情報とを操作表示部110に表示する。
【0062】
客が第1現金処理装置311に現金を入金すると、第1現金処理装置311は、入金された現金を識別計数して入金金額を取得する。入金された現金は第1現金処理装置311内の収納部に収納される。取引情報取得部141は、第1現金処理装置311で算出された入金金額を取得して、操作表示部110に、取引内容を示す画面を表示する。
【0063】
図4は、客が商品を注文した際に注文受付装置100の操作表示部110に表示される画面400の例を示す図である。画面400には、各注文を区別するための注文番号401と、注文内容402と、客が店舗に支払う取引金額403と、客が第1現金処理装置311に入金した入金金額404と、取引金額403と入金金額404との差額である釣銭金額405とが表示される。画面400には、注文及び入金を完了した客に、受渡カウンタ、すなわち受渡エリアへ移動するよう促す情報406も表示される。この情報406には、客に返す釣銭が、注文エリアではなく受渡エリアで返されることを示す情報が含まれる。
【0064】
図4に示すように、操作表示部110の画面400にOKボタン407が表示される。客が操作表示部110でOKボタン407を押す操作を行うと、取引情報取得部141は、通信部120を介して、注文内容402及び釣銭金額405を含む取引情報を取引情報報知装置200へ送信する。
【0065】
OKボタン407が押された後、取引情報取得部141は、図4に示す画面400の情報を印字した注文票を発行する。例えば、取引情報取得部141は、通信部120を介してプリンタを制御することにより注文票を発行する。ただし、注文受付装置100がプリンタを備え、該プリンタから注文票を発行してもよい。
【0066】
客は、注文番号が印字された注文票を持って注文エリアから引渡エリアへ移動する。客は、注文票に印字された注文番号を引渡エリアの店員に提示して、注文した商品を受け取ることができる。
【0067】
引渡エリアでは、取引情報報知装置200が、注文受付装置100が送信した取引情報を受信する。取引管理部241は、受信した取引情報を、記憶部230の取引情報232に登録する。
【0068】
店舗内に複数の注文受付装置100が設けられている場合は、各注文受付装置100が装置番号によって区別され、各注文受付装置100は、取引情報報知装置200に送信する取引情報に装置番号を含めるようになっている。装置番号は、注文番号と関連付けて取引情報232に登録される。これにより、取引情報232を参照すれば、複数の注文受付装置100のうちいずれの注文受付装置100を操作して行われた注文であるかを特定できるようになっている。
【0069】
取引情報報知部243は、取引情報232に新たに登録された注文内容を操作表示部210の画面上に表示する。例えば、画面上には、新しい注文が入ったことを示す情報と共に、図4に示した注文番号401及び注文内容402が表示される。引渡エリアの店員は、注文内容402に従って、客に引き渡す商品の準備を開始する。
【0070】
注文エリアから引渡エリアへ移動してきた客が注文票を店員に提示すると、店員は、取引情報報知装置200の操作表示部210を操作して、注文票に印字されている注文番号を入力する。ただし、取引情報報知装置200に注文番号を入力する方法は、操作表示部210を利用して手入力する態様に限定されない。例えば、注文票に注文番号を符号化した図形コードが印刷され、取引情報報知装置200が、読取装置を利用して注文票の図形コードを読み取ることにより注文番号を取得する態様であってもよい。注文受付装置100から、客のスマートフォン等の携帯通信端末へ注文票の内容が送信され、携帯通信端末の画面に表示した注文番号、又は注文番号を符号化した図形コードを、取引情報報知装置200が読み取って注文番号を取得する態様であってもよい。取引情報報知装置200が、無線通信技術を利用して、携帯通信端末から注文番号を示す情報を受信する態様であってもよい。
【0071】
取引情報報知装置200に注文番号が入力されると、取引情報報知部243は、記憶部230の取引情報232を参照して、注文番号と関連付けられている商品の情報を操作表示部210の画面上に表示する。同様に、釣銭情報報知部244は、入力された注文番号と関連付けられている釣銭金額を操作表示部210の画面上に表示する。
【0072】
図5は、取引情報報知装置200の操作表示部210に表示される画面500の例を示す図である。画面500には、注文番号501、注文内容502、取引金額503、入金金額504及び釣銭金額505が表示される。これらは、図4に示す注文番号401、注文内容402、取引金額403、入金金額404及び釣銭金額405と対応している。店員は、操作表示部210に表示された注文内容502と一致することを確認しながら客に商品を引き渡す。
【0073】
操作表示部210の画面500には、注文を受け付けた注文受付装置100の装置番号506と、釣銭出金ボタン507及び完了ボタン508とが表示される。客への商品の引渡時に問題が生じた場合、店員は、注文を受け付けた注文受付装置100を装置番号506に基づいて特定して調査を行うことができる。
【0074】
店員は、操作表示部210を操作して釣銭出金ボタン507を押すことにより、第2現金処理装置320から釣銭を出金することができる。釣銭出金ボタン507が押されると、釣銭出金指示部245は、第2現金処理装置320に釣銭金額を送信して、釣銭金額分の現金の出金を指示する。指示を受けた第2現金処理装置320は、釣銭金額分の現金、すなわち釣銭を出金する。このように、店員による釣銭出金の指示操作が行われたことを受けて、第2現金処理装置320が出金を開始する設定とすることで、店員は、客への商品の引き渡しを問題なく行えることを確認してから、客に返す釣銭を出金することができる。
【0075】
店員は、客が注文した商品を客に引き渡して、第2現金処理装置320が出金した釣銭を客に返す。店員は、操作表示部210の画面500に表示された完了ボタン508を押して取引を終了する。完了ボタン508が押されると、商品の引き渡し及び釣銭返却が複数回行われることがないよう、取引管理部241が記憶部230の取引情報232を取引の完了が分かるように更新する。
【0076】
このように、店員が、引渡エリアで客に商品を引き渡す際に、第2現金処理装置320から出金された釣銭を客に手渡しで返すことにより、客に確実に釣銭を返すことができる。
【0077】
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態に係る決済システム1の概要を説明するための図である。第2の実施形態に係る決済システム1は、注文エリアの注文受付装置102で客からの注文を受けた際に、第1現金処理装置312から釣銭が出金される点が、第1の実施形態に係る決済システム1と異なっている。以下、第1の実施形態で説明した構成と同じ構成には第1の実施形態と同じ符号を付して詳細な説明は省略し、第1の実施形態とは異なる点を中心に第2の実施形態に係る決済システム1の説明を続ける。
【0078】
客は、注文受付装置102を利用して商品を注文する(B1)。注文した商品の取引金額を支払うため、客は第1現金処理装置312に現金を入金する(B2)。第1現金処理装置312は客が入金した現金を識別計数して入金金額を取得する。注文受付装置102は、注文番号及び注文内容を含む取引情報を取引情報報知装置200へ送信する(B3)。
【0079】
第1現金処理装置312は、釣銭金額分の現金を出金する(B4)。例えば、注文受付装置102が、第1現金処理装置312から入金金額を取得して釣銭金額を算出し、第1現金処理装置312に釣銭金額分の現金の出金を指示することにより、第1現金処理装置312から釣銭が出金される。ただし、第1現金処理装置312が、注文受付装置102から取引金額を取得して釣銭金額を算出し、釣銭を出金する態様であってもよい。
【0080】
客は、第1現金処理装置312が出金した釣銭を受け取り、注文受付装置102が発行した注文票を持って引渡エリアに移動する。客は、第1の実施形態で説明したように、注文票に印字された注文番号を引渡エリアの店員に提示することにより、注文した商品を受け取ることができる。
【0081】
客が、注文エリアで第1現金処理装置312が出金した釣銭を取り忘れた場合、第1現金処理装置312はこれを検知することができる(B5)。第1現金処理装置312は、客が取り忘れた釣銭を装置内に取り込んで保管する。第1現金処理装置312が、釣銭の取り忘れを検知して装置内に保管する方法は後述する。
【0082】
注文エリアの第1現金処理装置312で釣銭の取り忘れが検知された場合、注文受付装置102は、引渡エリアにある取引情報報知装置200へ釣銭情報を送信する(B6)。釣銭情報には、注文番号と、客が取り忘れた釣銭の金額とが含まれる。取引情報報知装置200が釣銭情報を受信すると、取引管理部241は、記憶部230の取引情報232に既に登録されている注文番号と関連付けて、客が釣銭を取り忘れたことを示す情報と、客が取り忘れた釣銭の金額を示す情報とを登録する。
【0083】
注文エリアで釣銭を取り忘れた客が引渡エリアに移動して、取引情報報知装置200に注文番号が入力されると、第1の実施形態で説明したように、取引情報報知部243が、客の注文内容を報知する(B7)。釣銭情報報知部244は、注文番号に基づいて記憶部230の取引情報232を参照し、釣銭の取り忘れを示す情報が登録されているか否かを判定する。釣銭の取り忘れを示す情報が登録されていた場合、この釣銭を第2現金処理装置320から出金して客に返却する処理が行われる(B8)。
【0084】
具体的には、釣銭情報報知部244は、取引情報232に登録されている、客が取り忘れた釣銭の金額を取得する。釣銭情報報知部244は、客が注文エリアで釣銭を取り忘れたことを示す情報と、客が取り忘れた釣銭の金額とを操作表示部210の画面に表示して店員に報知する。釣銭出金指示部245は、客が取り忘れた釣銭の金額を第2現金処理装置320へ送信して、この金額分の現金の出金を指示する。指示を受けた第2現金処理装置320は、指示された金額分の釣銭を出金する。これにより、店員は、客に商品を引き渡す際に、注文エリアで釣銭を取り忘れたことを客に伝えて、この釣銭を客に返すことができる。
【0085】
図7は、第2の実施形態に係る注文受付装置102の構成概略を示すブロック図である。第2の実施形態に係る注文受付装置102は、制御部140に釣銭処理部143を有する点が、図2に示す第1の実施形態に係る注文受付装置100と異なっている。
【0086】
釣銭処理部143は、第1現金処理装置312に釣銭金額分の現金の出金を指示する。釣銭処理部143は、第1現金処理装置312が出金した釣銭を監視して、客が取り忘れた釣銭を検知することができる。
【0087】
第1現金処理装置312が紙幣を出金する紙幣出金口に紙幣検知センサが設けられる。釣銭処理部143は、紙幣検知センサを利用して、紙幣出金口における紙幣の有無を判定する。
【0088】
例えば、投光部と受光部との間で検知光を投受光する光学式の紙幣検知センサが、紙幣出金口に出金された紙幣によって検知光が遮られるように配置される。客が紙幣出金口の釣銭紙幣を抜き取れば、投光部と受光部との間で検知光を投受光できる状態となる。一方、客が釣銭紙幣を取り忘れた場合は、検知光が釣銭紙幣で遮られた状態が続くことから、釣銭処理部143は、客が釣銭紙幣を取り忘れたことを検知することができる。
【0089】
同様に、硬貨を出金する硬貨出金口に硬貨検知センサが設けられ、釣銭処理部143は、硬貨検知センサを利用して、硬貨出金口における硬貨の有無を判定することができる。
【0090】
第1現金処理装置312が釣銭を出金した後、予め設定された所定時間が経過しても、紙幣出金口に紙幣が残っている場合、又は硬貨出金口に硬貨が残っている場合に、釣銭処理部143は、客が釣銭を取り忘れたと判定する。
【0091】
ただし、釣銭処理部143が、客が取り忘れた釣銭を検知する方法は、紙幣検知センサ及び硬貨検知センサを利用する態様に限定されない。例えば、紙幣出金口及び硬貨出金口を撮像可能なカメラが設けられ、釣銭処理部143が、このカメラで撮像した画像に基づいて釣銭の取り忘れを検知する態様であってもよい。
【0092】
客が釣銭を取り忘れたか否かを釣銭処理部143が判定する処理が、釣銭出金後、所定時間が経過した時点で行われる態様に限定されない。例えば、注文受付装置100で、次の注文を受け付ける操作が開始されたときに、釣銭処理部143が釣銭の取り忘れを判定する態様であってもよい。例えば、第1現金処理装置312から釣銭を取り出す客を撮像可能なカメラが設けられ、釣銭処理部143が、このカメラで撮像した画像に基づいて釣銭の取り忘れを検知する態様であってもよい。
【0093】
客が釣銭を取り忘れたことを検知した釣銭処理部143は、取り忘れられた釣銭を第1現金処理装置312内に取り込んで保管することができる。図8は、第2の実施形態に係る第1現金処理装置312の構成概略を示すブロック図である。
【0094】
入金処理時、紙幣入金口351から入金された紙幣が、紙幣搬送部350によって装置内を搬送され、紙幣識別部352で識別された後、紙幣を金種別に収納する複数の紙幣収納部353(353a、353b…)のいずれかに収納される。硬貨入金口361から入金された硬貨は、硬貨搬送部360によって装置内を搬送され、硬貨識別部362で識別された後、硬貨を金種別に収納する複数の硬貨収納部363(363a、363b…)のいずれかに収納される。図8で紙幣入金口351、紙幣識別部352、紙幣収納部353、紙幣出金口354、紙幣保管部355を結ぶ矢印は紙幣搬送部350を示し、硬貨入金口361、硬貨識別部362、硬貨収納部363、硬貨出金口364、硬貨保管部365、取込口366を結ぶ矢印は硬貨搬送部360を示している。
【0095】
釣銭出金時、釣銭紙幣が紙幣収納部353から繰り出される。繰り出された釣銭紙幣は、紙幣搬送部350によって、紙幣識別部352を経て紙幣出金口354へ搬送される。紙幣出金口354は、釣銭紙幣の後端側を装置内に残して、先端側の一部のみを装置外へ露出する形で釣銭紙幣を出金する。上述した紙幣検知センサは、この釣銭紙幣を検知できるように配置されている。客が取り忘れた釣銭紙幣は、後端側から再び装置内へ取り込まれ、紙幣搬送部350によって紙幣保管部355へ搬送されて保管される。
【0096】
釣銭出金時、釣銭硬貨は硬貨収納部363から繰り出される。繰り出された釣銭硬貨は、硬貨搬送部360によって、硬貨識別部362を経て硬貨出金口364へ搬送される。上述した硬貨検知センサは、硬貨出金口364へ排出されて底に貯まった釣銭硬貨を検知できるように配置されている。硬貨出金口364の底面には、釣銭硬貨を再び装置内へ取り込むための取込口366が設けられている。客が釣銭硬貨を取り忘れると、通常は閉じている取込口366が開き、釣銭硬貨が取込口366から落下して装置内へ取り込まれ、硬貨搬送部360によって硬貨保管部365に搬送されて保管される。
【0097】
なお、図8に示す第1現金処理装置312の構成は一例であって、紙幣及び硬貨の入金処理及び出金処理と、客が取り忘れた釣銭紙幣及び釣銭硬貨を装置内へ取り込んで保管する処理とを行うことができれば、第1現金処理装置312の構成は特に限定されない。
【0098】
客が取り忘れた釣銭は、第1現金処理装置312が装置内に自動的に取り込んで保管する態様に限定されない。例えば、第1現金処理装置312又は注文受付装置102が釣銭の取り忘れを店員に報知して、取り忘れられた釣銭を店員が回収する態様であってもよい。
【0099】
客が取り忘れた釣銭が第1現金処理装置312の装置内に保管されると、在高管理部142は、在高情報131で、客が取り忘れた釣銭の金額を、他の現金の金額と区別して管理する。これにより、決済システム1では、第1現金処理装置312内にある現金の合計金額を管理すると共に、合計金額のうち一部は客が取り忘れた釣銭の金額であることを認識して、売上金の処理等を行うことができる。
【0100】
例えば、釣銭出金用に10万円分の紙幣及び硬貨を第1現金処理装置312内に準備して店舗の営業が開始され、営業終了後の装置内の現金の合計金額が20万円、営業中に装置内に保管された取り忘れの釣銭金額が1万円であった場合、決済システム1は、合計金額20万円から、取り忘れの釣銭金額1万円分を減額した19万円を、売上金額として処理することができる。
【0101】
第1現金処理装置312で釣銭の取り忘れがあった場合、釣銭処理部143は、注文番号及び釣銭金額を、通信部120を介して取引情報報知装置200へ送信する。釣銭の一部を客が取り忘れた場合、取り忘れられた釣銭の金額が、取引情報報知装置200へ送信される。具体的には、紙幣出金口354から釣銭紙幣が出金されて硬貨出金口364から硬貨が出金された後、客が釣銭紙幣と釣銭硬貨のいずれか一方のみを取り忘れた場合、釣銭処理部143は紙幣検知センサ及び硬貨検知センサを利用してこれを検知する。釣銭紙幣のみが取り忘れられた場合は、釣銭紙幣の金額が取引情報報知装置200へ送信され、釣銭硬貨のみが取り忘れられた場合は、釣銭硬貨の金額が取引情報報知装置200へ送信されることになる。
【0102】
客が取り忘れた釣銭の金額を受信した取引情報報知装置200が、上述したように釣銭に関する処理を実行することにより、釣銭が第2現金処理装置320から出金されて客に返却される。
【0103】
具体的には、釣銭を取り忘れた客が注文エリアから引渡エリアに移動して、注文番号が取引情報報知装置200に入力されると、操作表示部210の画面上に、この客が釣銭を取り忘れたことを示す情報が表示される。
【0104】
図9は、注文エリアで客が釣銭を取り忘れた際に、引渡エリアの取引情報報知装置200の操作表示部210に表示される画面520の例を示す図である。画面520には、図5に示した画面500と同様に、注文番号501、注文内容502、取引金額503、入金金額504、釣銭金額505、装置番号506、釣銭出金ボタン507及び完了ボタン508が表示される。
【0105】
操作表示部210の画面520には、さらに、客に釣銭を返すよう店員に指示する情報521が表示される。この情報521には、注文エリアの第1現金処理装置312で客が釣銭を取り忘れたことを示す情報と、客が取り忘れた釣銭の金額を示す情報とが含まれる。
【0106】
店員は、操作表示部210を操作して釣銭出金ボタン507を押すことにより、第2現金処理装置320から、注文エリアで客が取り忘れた釣銭金額分の現金を出金する。店員は、商品を客に引き渡すと共に、注文エリアで客が釣銭を取り忘れたことを伝えて、第2現金処理装置320が出金した釣銭を客に返すことができる。
【0107】
注文エリアで客が取り忘れた釣銭が第2現金処理装置320から出金されると、在高管理部242は、出金された釣銭の金額を在高情報231に登録して管理する。これにより、決済システム1では、第2現金処理装置320内にある現金の合計金額に、出金された釣銭の金額を加算した金額が、第2現金処理装置320内に本来あるべき金額であることを認識して、売上金等の処理を行うことができる。
【0108】
例えば、10万円分の紙幣及び硬貨が第2現金処理装置320内にある状態で店舗の営業が開始され、営業終了後の装置内の現金の合計金額が20万円、営業中に出金した釣銭金の額が1万円であった場合、決済システム1は、合計金額20万円に、取り忘れの釣銭金額1万円分を加算した21万円を、第2現金処理装置320内に本来あるべき金額として各種処理を行うことができる。
【0109】
引渡エリアの店員は、商品を客へ引き渡し、必要に応じて、客が注文エリアで取り忘れた釣銭を客に返却した後、操作表示部210を操作して画面520の完了ボタン508を押すことにより取引を終了する。
【0110】
このように、注文エリアの第1現金処理装置312から釣銭を出金する場合、客が釣銭を取り忘れる可能性があるが、客が釣銭を取り忘れた場合も、これが引渡エリアにある取引情報報知装置200によって店員に報知される。店員が、注文エリアで客が取り忘れた釣銭を第2現金処理装置320から出金して客に返すことにより、客に確実に釣銭を返すことができる。
【0111】
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係る決済システム1は、注文エリアにある第1現金処理装置312が、客が取り忘れた釣銭を装置内に取り込んだ後、この釣銭を識別計数して金額を特定する点が、第2の実施形態に係る決済システム1と異なっている。以下、第2の実施形態で説明した構成と同じ構成には第2の実施形態と同じ符号を付して詳細な説明は省略し、第2の実施形態とは異なる点を中心に第3の実施形態に係る決済システム1の説明を続ける。
【0112】
図10は、第3の実施形態に係る第1現金処理装置312の動作を説明するためのブロック図である。釣銭出金時、第1現金処理装置312は、第2の実施形態で説明したように、紙幣出金口354から釣銭紙幣を出金して、硬貨出金口364から釣銭硬貨を出金する。
【0113】
第1現金処理装置312が、客が釣銭紙幣を取り忘れたことを検知した場合、取り忘れられた釣銭紙幣は装置内へ取り込まれる。紙幣出金口354は、取り忘れられた複数枚の釣銭紙幣を1枚ずつ紙幣搬送部350へ繰り出せるように構成されている。紙幣搬送部350に繰り出された各釣銭紙幣は、紙幣識別部352へ搬送される。各釣銭紙幣は、紙幣識別部352で識別計数された後、紙幣保管部355へ搬送されて保管される。識別された各釣銭紙幣が、識別結果に基づいて、対応する紙幣収納部353へ搬送されて収納される態様であってもよい。
【0114】
第1現金処理装置312が、客が釣銭硬貨を取り忘れたことを検知した場合、取り忘れられた釣銭硬貨も、釣銭紙幣と同様に装置内へ取り込まれる。硬貨出金口364から釣銭硬貨を受けた取込口366は、釣銭硬貨を1枚ずつ硬貨搬送部360へ繰り出せるように構成されている。硬貨搬送部360へ繰り出された各釣銭硬貨は、硬貨識別部362へ搬送される。各釣銭硬貨は、硬貨識別部362で識別計数された後、硬貨保管部365へ搬送されて保管される。識別された各釣銭硬貨が、識別結果に基づいて、対応する硬貨収納部363へ搬送されて収納される態様であってもよい。
【0115】
なお、図10に示す第1現金処理装置312の構成は一例であって、紙幣及び硬貨の入金処理及び出金処理と、取り忘れられた釣銭紙幣及び釣銭硬貨を装置内で識別計数して保管する処理を行うことができれば、第1現金処理装置312の構成は特に限定されない。
【0116】
客が取り忘れた釣銭が第1現金処理装置312の装置内に保管されると、在高管理部142は、紙幣識別部352及び硬貨識別部362で得られた識別結果に基づいて釣銭金額を在高情報131に登録する。客が取り忘れた釣銭の金額は、第2の実施形態で説明したように、他の現金の金額と区別して管理される。
【0117】
第1現金処理装置312で釣銭の取り忘れがあった場合、釣銭処理部143は、注文番号と、取り忘れられた釣銭を第1現金処理装置312で識別計数して得られた釣銭金額とを、取引情報報知装置200へ送信する。取引情報報知装置200の取引管理部241は、記憶部230の在高情報231に既に登録されている注文番号と関連付けて、客が釣銭を取り忘れたことを示す情報と、この釣銭の金額を示す情報とを登録する。
【0118】
注文エリアで釣銭を取り忘れた客が引渡エリアに移動して、取引情報報知装置200に注文番号が入力されると、操作表示部210の画面上に、この客が釣銭を取り忘れたことを示す情報が表示される。
【0119】
図11は、第3の実施形態に係る決済システム1で客が釣銭を取り忘れた際に、取引情報報知装置200の操作表示部210に表示される画面530の例を示す図である。画面530には、図9に示した画面520と同様に、注文番号501、注文内容502、取引金額503、入金金額504、釣銭金額505、装置番号506、釣銭出金ボタン507及び完了ボタン508が表示される。
【0120】
操作表示部210の画面530には、客に釣銭を返すよう店員に指示する情報531が表示される。この情報531には、客が釣銭を取り忘れたことを示す情報と、客が取り忘れた釣銭を第1現金処理装置312で識別計数して得られた釣銭金額とが含まれる。
【0121】
第3の実施形態に係る決済システム1の第1現金処理装置312は、客が取り忘れた釣銭紙幣及び釣銭硬貨を識別計数することができる。これにより、客が釣銭の一部だけを取り忘れた場合に、この取り忘れられた釣銭の金額を特定することができる。図11に示す例は、第1現金処理装置312が出金したZ円の釣銭のうち、客がW円分(W<Z)の釣銭を取り忘れたことを示している。
【0122】
店員は、操作表示部210を操作して釣銭出金ボタン507を押すことにより、第2現金処理装置320から、注文エリアで客が取り忘れた金額分の釣銭を出金する。店員は、商品を客に引き渡すと共に、注文エリアで釣銭の全部又は一部を取り忘れたことを客に伝えて、第2現金処理装置320が出金した釣銭を客に返すことができる。店員は、操作表示部210で画面530の完了ボタン508を押す操作を行って取引を終了する。
【0123】
第1現金処理装置312で客が釣銭紙幣のみ又は釣銭硬貨のみを取り忘れた場合、取り忘れられた釣銭を識別しない第2の実施形態に係る決済システム1でも、釣銭紙幣の金額又は釣銭硬貨の金額を、取り忘れられた釣銭の一部として処理することができる。第3の実施形態に係る決済システム1では、さらに、取り忘れられた釣銭を識別計数することにより、釣銭紙幣の一部又は釣銭硬貨の一部が取り忘れられた場合でも、取り忘れられた釣銭の金額を特定して引渡エリアで客に返すことができる。例えば、悪意ある客が、第1現金処理装置312の紙幣出金口354に出金された複数枚の紙幣のうち一部だけを残して他の紙幣を抜き取った場合でも、引渡エリアの店員は、この客が紙幣出金口354に残した釣銭紙幣のみを客に返すことができる。
【0124】
第1~第3の実施形態で説明した決済システム1の構成及び動作は、それぞれが独立して実現される態様に限定されない。1つの決済システム1が、各実施形態に記載した機能及び動作を選択的に実現する態様であってもよい。例えば、第1の実施形態に係る決済システム1が、第2の実施形態に係る決済システム1として動作するよう設定可能であってもよいし、第3の実施形態に係る決済システム1として動作するよう設定可能であってもよい。
【0125】
1つの決済システム1が、状況に応じて、各実施形態に記載した機能及び動作を実現する態様であってもよい。第1~第3の実施形態に記載した決済システム1の動作をそれぞれ第1~第3モードとして具体的に説明する。
【0126】
例えば、通常は、決済システム1が第3モード(第3の実施形態)で動作するよう設定される。第3モードでは、注文エリアの第1現金処理装置312から釣銭が出金され、客が釣銭を取り忘れた場合には、この釣銭を第1現金処理装置312に取り込んで識別計数した結果に基づいて、引渡エリアで釣銭が返却される。
【0127】
第3モードで動作している間に第1現金処理装置311の装置内に収納されている現金が不足して客に返す釣銭を出金できない状況となった場合、これを認識した決済システム1は、動作モードを第1モード(第1の実施形態)に切り替える。これにより、注文エリアの第1現金処理装置312から釣銭を出金せず、引渡エリアで客に釣銭を返すことができる。同様に、通常は第2モード(第2の実施形態)で動作する決済システム1が、第1現金処理装置311から釣銭を出金できない状況になった場合に、動作モードを第1モードに切り替えて動作する態様であってもよい。
【0128】
注文受付装置100の在高管理部142は、第1現金処理装置312の在高情報131を管理している。在高管理部142は、取引情報取得部141又は第1現金処理装置312から釣銭金額を取得して、在高情報131に基づいて、第1現金処理装置312から釣銭を出金可能であるか否かを判定することができる。この判定結果に応じて制御部140、240が動作モードを切り替えるようにすればよい。
【0129】
決済システム1が、釣銭金額に応じて動作モードを切り替える態様であってもよい。例えば、釣銭金額が、予め設定された閾値以下である場合、決済システム1は第2モードで動作し、第1現金処理装置312から釣銭を返却して、釣銭の取り忘れがあれば引渡エリアで釣銭を返却するよう動作する。一方、釣銭金額が閾値を超える場合、決済システム1は第1モードで動作し、第1現金処理装置312から釣銭を出金せずに、引渡エリアで客に釣銭を返すよう動作する。同様に、釣銭金額が閾値以下である場合は、決済システム1が、注文エリアで取り忘れられた釣銭を識別計数せずに保管する第2モードで動作して、釣銭金額が閾値を超える場合は、取り忘れられた釣銭を識別計数する第3モードで動作してもよい。動作モードの切り替えが、釣銭金額ではなく、釣銭を構成する紙幣枚数及び/又は硬貨枚数に基づいて行われる態様であってもよい。
【0130】
各実施形態において、店員に報知するとした情報が客にも報知される態様であってもよいし、店員が行うと記載した操作及び処理の一部が客によって行われる態様であってもよい。例えば、引渡エリアで報知される釣銭の情報が客に報知される態様であってもよいし、第2現金処理装置320による釣銭の出金が、取引情報報知装置200又は第2現金処理装置320で行われる客の操作に基づいて開始される態様であってもよい。
【0131】
各実施形態に示した決済システム1の構成は機能概略的なものであり、決済システム1の構成が、物理的に上述した構成に限定されるものではない。各装置の分散、統合の形態は上述した例に限定されず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散、統合して構成することができる。
【0132】
上述したように、本開示に係る決済システムは、注文エリアに設置された注文受付装置及び第1現金処理装置と、引渡エリアに設置された取引情報報知装置及び第2現金処理装置を含む。客は、注文エリアの注文装置で商品を注文して、取引金額を支払うための現金を第1現金処理装置に入金した後、引渡エリアへ移動して、注文した商品を受け取ることができる。注文エリアで客に返されなかった釣銭がある場合、この釣銭の金額が、引渡エリアで商品の受け渡しが行われる際に、取引情報報知装置によって店員に報知される。店員は、報知された釣銭金額分の釣銭を第2現金処理装置から出金して客に返すことができる。これにより、注文エリアの第1現金処理装置が釣銭を出金しない場合でも、引渡エリアで客に釣銭を返すことができる。また、注文エリアで客が釣銭の一部又は全部を取り忘れた場合でも、取り忘れられた釣銭を引渡エリアで客に返すことができる。
【符号の説明】
【0133】
1 決済システム
100、102 注文受付装置
110、210 操作表示部
120、220 通信部
130、230 記憶部
140、240 制御部
141 取引情報取得部
143 釣銭処理部
200 取引情報報知装置
241 取引管理部
142、242 在高管理部
243 取引情報報知部
244 釣銭情報報知部
245 釣銭出金指示部
311、312 第1現金処理装置
320 第2現金処理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11