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特開2023-103504作業ログ記録システムおよび作業ログ記録方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103504
(43)【公開日】2023-07-27
(54)【発明の名称】作業ログ記録システムおよび作業ログ記録方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20230720BHJP
   H05K 13/00 20060101ALI20230720BHJP
   G06Q 10/20 20230101ALI20230720BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
H05K13/00 Z
G06Q10/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022004030
(22)【出願日】2022-01-14
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】相良 博喜
(72)【発明者】
【氏名】丸田 晟央
【テーマコード(参考)】
3C100
5E353
5L049
【Fターム(参考)】
3C100AA29
3C100AA38
3C100AA57
3C100AA59
3C100BB13
3C100BB15
3C100BB17
3C100EE07
5E353AA01
5E353CC04
5E353CC23
5E353EE37
5E353EE54
5E353EE62
5E353EE89
5E353JJ01
5E353LL04
5E353LL07
5E353MM04
5E353MM08
5E353NN18
5E353QQ05
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】複数の作業装置間を移動しながら多様な作業を行う作業者の作業時間を記録することができる作業ログ記録システムおよび作業ログ記録方法を提供する。
【解決手段】作業ログ記録方法は、複数の作業装置で作業を行う作業者の位置情報を時系列に記憶し(ST1)、複数の作業装置で発生したイベントのイベント情報を時系列に記憶し(ST2)、複数の作業装置のうちの第1作業装置のイベント情報に基づいて、第1作業装置で行う作業の作業種別を判定し(ST3)、作業者の位置情報と第1作業装置のイベント情報に基づいて、作業者による第1作業装置での作業時間を算出し(ST7)、算出された作業時間を、作業者を特定する情報、第1作業装置を特定する情報、作業種別を特定する情報と関連付けて記憶する(ST8)、ことを含む。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の作業装置で作業を行う作業者の位置を時系列に監視する作業者監視部と、
前記複数の作業装置で発生するイベントをイベント情報として時系列に監視する作業装置監視部と、
前記複数の作業装置のうちの第1作業装置のイベント情報に基づいて、前記第1作業装置で行う作業の作業種別を判定する作業種別判定部と、
前記作業者の時系列の位置情報と前記第1作業装置の時系列のイベント情報に基づいて、前記作業者による前記第1作業装置での作業時間を算出する作業時間算出部と、
算出された前記作業時間を、前記作業者を特定する情報、前記第1作業装置を特定する情報、前記作業種別を特定する情報と関連付けて記憶する作業ログ記憶部と、を備える、作業ログ記録システム。
【請求項2】
前記作業者の位置情報に基づいて、前記作業者が前の作業位置から前記第1作業装置の作業位置まで移動した移動時間を算出する移動時間算出部を、さらに備え、
前記作業ログ記憶部は、算出された前記移動時間を、前記作業者を特定する情報、前記第1作業装置を特定する情報、前記前の作業位置を特定する情報と関連付けて記憶する、請求項1に記載の作業ログ記録システム。
【請求項3】
前記作業者の位置情報と前記第1作業装置のイベント情報に基づいて、前記第1作業装置で前記作業者が作業を行うべきイベントが発生してから前記作業者が前記前の作業位置から移動を開始するまでの滞留時間を算出する滞留時間算出部を、さらに備え、
前記作業ログ記憶部は、算出された前記滞留時間を、前記作業者を特定する情報、前記第1作業装置を特定する情報、前記前の作業位置を特定する情報と関連付けて記憶する、請求項2に記載の作業ログ記録システム。
【請求項4】
前記作業時間算出部は、前記第1作業装置で前記作業者が作業を行うべきイベントが発生してから当該イベントに対する作業が終了するまでの時間から、前記滞留時間と前記移動時間を減算して前記作業時間を算出する、請求項3に記載の作業ログ記録システム。
【請求項5】
前記作業者監視部は、複数の作業者を監視する、請求項1から4のいずれか1項に記載の作業ログ記録システム。
【請求項6】
複数の作業装置で作業を行う作業者の位置を時系列に監視する作業者監視部と、
前記複数の作業装置で発生するイベントをイベント情報として時系列に監視する作業装置監視部と、
前記複数の作業装置のうちの第1作業装置で発生したイベントのイベント情報に基づいて、前記第1作業装置で行う作業の作業種別を判定して計測対象のイベントか否かを判断する計測対象判断部と、
前記作業者監視部による作業者監視結果と前記計測対象の前記第1作業装置のイベント情報に基づいて、前記作業者による前記第1作業装置での作業時間を計測する作業時間計測部と、
計測された前記作業時間を、前記作業者を特定する情報、前記第1作業装置を特定する情報、前記作業種別を特定する情報と関連付けて記憶する作業ログ記憶部と、を備える、作業ログ記録システム。
【請求項7】
前記作業時間計測部は、
前記第1作業装置で前記作業者が作業を行うべきイベントが発生した際に前記作業者が前記第1作業装置の作業位置にいる場合は、
当該イベントが発生してから当該イベントに対する作業が終了するまでの時間を前記作業時間として計測する、請求項6に記載の作業ログ記録システム。
【請求項8】
前記作業時間計測部は、
当該イベントが発生した際に前記作業者が前記第1作業装置に対して別の作業を実行している場合は、
前記作業者による前記第1作業装置での前の作業が終了してから当該イベントに対する作業が終了するまでの時間を前記作業時間として計測する、請求項7に記載の作業ログ記録システム。
【請求項9】
前記作業時間計測部は、
前記第1作業装置で前記作業者が作業を行うべきイベントが発生した際に前記作業者が前記第1作業装置の作業位置にいない場合は、
前記作業者が前記第1作業装置に到着してから当該イベントに対する作業が終了するまでの時間を前記作業時間として計測する、請求項6から8のいずれか1項に記載の作業ログ記録システム。
【請求項10】
前記作業者監視部は前記作業者を撮像するカメラを含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の作業ログ記録システム。
【請求項11】
前記作業者監視部は前記作業者が持ち歩くビーコン端末を含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の作業ログ記録システム。
【請求項12】
前記作業時間の作業終了タイミングは、前記作業者が前記第1作業装置を離れたタイミングである、請求項1から9のいずれか1項に記載の作業ログ記録システム。
【請求項13】
前記作業時間の作業終了タイミングは、前記第1作業装置で前記作業者が作業を行うべきイベントが発生した後、前記第1作業装置でイベントが発生せずに所定時間を経過したタイミングである、請求項1から9のいずれか1項に記載の作業ログ記録システム。
【請求項14】
前記作業時間の作業終了タイミングは、前記第1作業装置で前記作業者が作業を行うべきイベントが発生した後、前記第1作業装置で当該イベントに関連するイベントが発生したタイミングである、請求項1から9のいずれか1項に記載の作業ログ記録システム。
【請求項15】
前記複数の作業装置は、基板に部品を実装した実装基板を生産する部品実装ラインを構成する複数の部品実装用装置である、請求項1から14のいずれか1項に記載の作業ログ記録システム。
【請求項16】
複数の作業装置で作業を行う作業者の位置情報を時系列に記憶する位置情報記憶工程と、
前記複数の作業装置で発生したイベントのイベント情報を時系列に記憶するイベント情報記憶工程と、
前記複数の作業装置のうちの第1作業装置のイベント情報に基づいて、前記第1作業装置で行う作業の作業種別を判定する作業種別判定工程と、
前記作業者の位置情報と前記第1作業装置のイベント情報に基づいて、前記作業者による前記第1作業装置での作業時間を算出する作業時間算出工程と、
算出された前記作業時間を、前記作業者を特定する情報、前記第1作業装置を特定する情報、前記作業種別を特定する情報と関連付けて記憶する作業ログ記憶工程と、を含む、作業ログ記録方法。
【請求項17】
複数の作業装置で作業を行う作業者の位置を時系列に監視する作業者監視工程と、
前記複数の作業装置で発生するイベントをイベント情報として時系列に監視する作業装置監視工程と、
前記複数の作業装置のうちの第1作業装置で発生したイベントのイベント情報に基づいて、前記第1作業装置で行う作業の作業種別を判定して計測対象のイベントか否かを判断する計測対象判断工程と、
前記作業者監視工程による作業者監視結果と前記計測対象の前記第1作業装置のイベント情報に基づいて、前記作業者による前記第1作業装置での作業時間を計測する作業時間計測工程と、
計測された前記作業時間を、前記作業者を特定する情報、前記第1作業装置を特定する情報、前記作業種別を特定する情報と関連付けて記憶する作業ログ記憶工程と、を含む、作業ログ記録方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業者による作業装置での作業時間を記録する作業ログ記録システムおよび作業ログ記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に部品を実装した実装基板を生産する部品実装ラインは、基板にはんだを印刷する印刷装置やはんだが印刷された基板に部品を装着する部品実装装置などの複数の作業装置を備えて構成されている。部品実装ラインでは、作業装置でのエラー、はんだや部品の補給などのイベントが発生すると、作業者による対処作業が行われる。部品実装ラインが生産する実装基板の生産能力を推定するシミュレーションでは、生産能力を高精度に推定するために、作業装置のタクトタイムに加えて作業者による作業時間も考慮される(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、特許文献2に記載のエラー対処支援装置では、部品実装装置でエラーが発生すると、部品実装装置が有するカメラで作業者が行った操作を撮像し、エラーに対処する操作の作業時間を計測している。このエラー対処支援装置では、エラーに対処した作業時間の実績に基づいて、エラーが発生した際にエラー対処作業が効率的に実施できるようにエラー対処操作手順を提示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-199741号公報
【特許文献2】国際公開第2016/157303号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献2を含む従来技術では、作業者を撮像するカメラを備えた作業装置では作業者が作業装置で行う作業の作業時間を計測することができるものの、カメラを備えていない作業装置では作業時間を計測することができないという問題点があった。また、部品実装ラインで発生する多様な種類の作業種別に作業時間の実績を取得して、部品実装ラインの生産能力のシミュレーションなどの精度を向上させるためには更なる改善の余地があった。
【0006】
そこで本発明は、複数の作業装置間を移動しながら多様な作業を行う作業者の作業時間を記録することができる作業ログ記録システムおよび作業ログ記録方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の作業ログ記録システムは、複数の作業装置で作業を行う作業者の位置を時系列に監視する作業者監視部と、前記複数の作業装置で発生するイベントをイベント情報として時系列に監視する作業装置監視部と、前記複数の作業装置のうちの第1作業装置のイベント情報に基づいて、前記第1作業装置で行う作業の作業種別を判定する作業種別判定部と、前記作業者の時系列の位置情報と前記第1作業装置の時系列のイベント情報に基づいて、前記作業者による前記第1作業装置での作業時間を算出する作業時間算出部と、算出された前記作業時間を、前記作業者を特定する情報、前記第1作業装置を特定する情報、前記作業種別を特定する情報と関連付けて記憶する作業ログ記憶部と、を備える。
【0008】
本発明の他の作業ログ記録システムは、複数の作業装置で作業を行う作業者の位置を時系列に監視する作業者監視部と、前記複数の作業装置で発生するイベントをイベント情報として時系列に監視する作業装置監視部と、前記複数の作業装置のうちの第1作業装置で発生したイベントのイベント情報に基づいて、前記第1作業装置で行う作業の作業種別を判定して計測対象のイベントか否かを判断する計測対象判断部と、前記作業者監視部による作業者監視結果と前記計測対象の前記第1作業装置のイベント情報に基づいて、前記作業者による前記第1作業装置での作業時間を計測する作業時間計測部と、計測された前記作業時間を、前記作業者を特定する情報、前記第1作業装置を特定する情報、前記作業種別を特定する情報と関連付けて記憶する作業ログ記憶部と、を備える。
【0009】
本発明の作業ログ記録方法は、複数の作業装置で作業を行う作業者の位置情報を時系列に記憶する位置情報記憶工程と、前記複数の作業装置で発生したイベントのイベント情報を時系列に記憶するイベント情報記憶工程と、前記複数の作業装置のうちの第1作業装置のイベント情報に基づいて、前記第1作業装置で行う作業の作業種別を判定する作業種別判定工程と、前記作業者の位置情報と前記第1作業装置のイベント情報に基づいて、前記作業者による前記第1作業装置での作業時間を算出する作業時間算出工程と、算出された前記作業時間を、前記作業者を特定する情報、前記第1作業装置を特定する情報、前記作業種別を特定する情報と関連付けて記憶する作業ログ記憶工程と、を含む。
【0010】
本発明の他の作業ログ記録方法は、複数の作業装置で作業を行う作業者の位置を時系列に監視する作業者監視工程と、前記複数の作業装置で発生するイベントをイベント情報として時系列に監視する作業装置監視工程と、前記複数の作業装置のうちの第1作業装置で発生したイベントのイベント情報に基づいて、前記第1作業装置で行う作業の作業種別を判定して計測対象のイベントか否かを判断する計測対象判断工程と、前記作業者監視工程による作業者監視結果と前記計測対象の前記第1作業装置のイベント情報に基づいて、前記作業者による前記第1作業装置での作業時間を計測する作業時間計測工程と、計測された前記作業時間を、前記作業者を特定する情報、前記第1作業装置を特定する情報、前記作業種別を特定する情報と関連付けて記憶する作業ログ記憶工程と、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数の作業装置間を移動しながら多様な作業を行う作業者の作業時間を記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態の部品実装システムの構成説明図
図2】本発明の一実施の形態の部品実装ラインが配置された作業フロア内の構成説明図
図3】本発明の一実施の形態の部品実装システム(作業ログ記録システム)の情報処理系の構成を示すブロック図
図4】本発明の一実施の形態の部品実装システム(作業ログ記録システム)による作業時間の算出の説明図
図5】本発明の一実施の形態の作業ログ記録方法のフロー図
図6】本発明の一実施の形態の部品実装システム(作業ログ記録システム)の他の実施例の情報処理系の構成を示すブロック図
図7】本発明の一実施の形態の部品実装システム(作業ログ記録システム)の他の実施例による作業時間の算出の説明図
図8】本発明の一実施の形態の作業ログ記録方法の他の実施例のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、作業フロア、作業装置の仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、作業装置として、基板に部品を実装した実装基板を生産する作業装置を例に説明する。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図1、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸として、基板搬送方向のX軸(図1における左右方向)、基板搬送方向に直交するY軸(図1における上下方向)が示される。図2、及び後述する一部では、水平面と直交する高さ方向としてZ軸(図2における上下方向)が示される。
【0014】
まず図1を参照して、作業装置を備える部品実装システム1の構成を説明する。部品実装システム1は、作業フロアFに配置された3本の部品実装ラインL1~L3を通信ネットワーク2によって接続し、管理装置3によって管理する構成となっている。各部品実装ラインL1~L3は、後述するように部品搭載装置を含む複数の作業装置(部品実装用装置)を連結して構成され、基板に部品を実装した実装基板を生産する機能を有している。なお、部品実装システム1が備える部品実装ラインL1~L3は3本である必要はなく、1本、2本及び4本以上でも良い。作業フロアFには、部品実装ラインL1~L3の作業装置で使用されるはんだ、部品を保持するキャリアテープを巻回して収納するリールなどを保管する部材保管棚Sが設置されている。
【0015】
図1図2において、作業フロアFを移動しながら部品実装ラインL1~L3が備える複数の作業装置で作業を行う作業者Wは、電波を送信するビーコン端末Bを携行している。作業フロアFの天井Faには、ビーコン端末Bから送信される電波を受信する複数(ここでは8台)の受信機R1~8が設置されている。また、作業フロアFの天井Faには、作業フロアFに設置された複数の作業装置や作業者Wを撮像する複数(ここでは7台)のカメラC1~C7が設置されている。受信機R1~8とカメラC1~C7は、それぞれ通信ネットワーク2によって作業ログ記録装置4と接続されている。なお、ビーコン端末Bは後述する作業者が携帯する情報端末Tと一体となっていてもよい。
【0016】
ビーコン端末Bから送信され、複数の受信機R1~R8によって受信された情報は、ビーコン情報として作業ログ記録装置4に送信される。また、複数のカメラC1~C7によって撮像された映像は、監視映像として作業ログ記録装置4に送信される。後述するように、作業ログ記録装置4は、ビーコン情報または監視映像、もしくはビーコン情報と監視映像の両方に基づいて、作業者Wの位置情報を取得する。なお、受信機R1~8とカメラC1~C7の数、設置位置は、作業フロアFのサイズや形状、部品実装ラインL1~L3の配置、作業装置の構成などに応じて、適宜変更される。
【0017】
次に図2を参照して、部品実装ラインL1~L3の詳細な構成を説明する。部品実装ラインL1~L3は同様の構成をしており、以下、部品実装ラインL3について説明する。図2は、部品実装ラインL3が設置された作業フロアF内をフロント側(図1における下方側)から見た概略図である。
【0018】
部品実装ラインL3は、基板搬送方向の上流(紙面左側)から下流(紙面右側)に向けて、基板供給装置M1、印刷装置M2、印刷検査装置M3、部品搭載装置M4~M5、実装検査装置M6、リフロー装置M7、基板回収装置M8などの作業装置を直列に連結して構成されている。なお、部品実装ラインL3は通信ネットワーク2を介して接続される作業装置群であって、物理的に作業装置同士が連結されていなくてもよい。また、部品実装ラインL3が備える部品搭載装置M4~M5は2台に限定されることなく、1台であっても3台以上であってもよい。
【0019】
図2において、基板供給装置M1は、複数の基板を収納するラック等の収納部を備え、収納部から取り出した基板を下流の装置に供給する基板供給作業を実行する作業装置である。作業者Wは、収納部から全ての基板が供給されて空になると、複数の基板を収納する収納部と交換する基板補給作業を実行する。この作業に対応して、基板供給装置M1では、収納部が空になる基板切れイベントや、収納部が交換されて基板が補給される基板補給イベントなどが発生する。収納部が収納する基板の残数などの生産状況や、発生したイベントのイベント情報などは、適宜、基板供給装置M1から管理装置3に送信される。
【0020】
図2において、印刷装置M2は、印刷作業部に装着されたスクリーンマスクを介して上流から搬入された基板にペースト状のはんだを印刷するはんだ印刷作業を実行する作業装置である。印刷装置M2は、複数の開口が形成されたスクリーンマスクに基板を当接させ、スクリーンマスクに当接させたスキージを移動させてスクリーンマスク上に供給されたはんだを開口に押し込むことで、基板にはんだを印刷する。
【0021】
作業者Wは、はんだ印刷作業が反復継続される間に収容されるはんだが消費されて無くなると(はんだ切れ)、はんだの補給作業を実行する。この作業に対応して、印刷装置M2では、供給しているはんだが無くなるはんだ切れイベント、はんだが補給されるはんだ補給イベントなどが発生する。印刷された基板の枚数、はんだの残量などの生産状況や、発生したイベントのイベント情報などは、適宜、印刷装置M2から管理装置3に送信される。
【0022】
図2において、印刷検査装置M3は、はんだ検査カメラや各種センサを含む印刷検査作業部によって基板に印刷されたはんだの状態を検査する印刷検査作業を実行する作業装置である。印刷検査装置M3が検査したはんだを堆積した基板の表面状態などの検査結果は、適宜、管理装置3に送信される。
【0023】
図2において、部品搭載装置M4~M5は、搭載ヘッドに装着されたノズルでテープフィーダやトレイフィーダなどの部品供給装置が供給する部品を取り出し、はんだが印刷された基板に実装する部品実装作業を実行する作業装置である。テープフィーダは、部品を保持するキャリアテープをテープ送りして部品を供給する部品供給装置である。トレイフィーダは、複数の部品を保持するトレイを入れ替えながら部品を供給する部品供給装置である。部品搭載装置M4~M5は、ノズルが保持する部品を撮像する部品認識カメラ、ノズルに流入するエアの流量を計測するセンサ、部品供給装置が供給する部品を撮像するヘッドカメラなどを備えている。
【0024】
部品搭載装置M4~M5は、部品実装作業中にカメラや各種センサを用いて、搭載ヘッドによる実装ミス、ノズルが部品を正常に吸着していない吸着ミス、部品供給装置が部品を正常に供給していない供給ミスなどを監視する。作業者Wは、部品実装作業が反復継続される間に部品供給部が保有する部品が消費されて所定の残数を下回ると(部品切れ警告)、もしくは部品が無くなると(部品切れ)、部品の補給作業(キャリアテープの補給、トレイの交換など)を実行する。この作業に対応して、部品搭載装置M4~M5では、部品切れ警告イベント、部品切れイベント、キャリアテープの補給やトレイ交換の際の部品照合イベント、部品の補給作業後に部品残数が増加する部品残数増加イベント、テープフィーダが交換されてフィーダ番号が変わるフィーダ交換イベントなどが発生する。
【0025】
また、作業者Wは、ノズルが部品を正常に吸着していない吸着エラー、キャリアテープが絡まること(ジャミング)によるテープフィーダによる部品の供給停止エラーなど部品搭載装置M4~M5が停止する装置エラーが発生すると、装置エラーからの復旧作業を実行する。これらの作業に対応して、部品搭載装置M4~M5では、ノズルの部品吸着位置を修正する吸着位置ティーチイベント、部品認識カメラの撮像条件を修正する認識ティーチイベント、装置エラーから正常状態に復旧するエラー復旧イベントなどが発生する。部品が実装された基板の枚数、部品の残数などの生産状況や、発生したイベントのイベント情報などは、適宜、部品搭載装置M4~M5から管理装置3に送信される。
【0026】
図2において、実装検査装置M6は、実装検査カメラを含む実装検査作業部によって基板に実装された部品の状態を検査する実装検査作業を実行する作業装置である。実装検査装置M6が検査した基板の所定の位置に部品が実装されていない実装位置ずれなどの検査結果は、適宜、管理装置3に送信される。リフロー装置M7は、装置内に搬入された基板を基板加熱部によって加熱して、基板上のはんだを硬化させ、基板の電極部と部品とを接合する基板加熱作業を実行する作業装置である。
【0027】
基板回収装置M8は、複数の基板を収納するラック等の収納部を備え、上流の装置が搬出する基板を受け取って収納部に回収する基板回収作業を実行する作業装置である。作業者Wは、収納部に実装基板が回収されて満杯になると、空の収納部と交換する実装基板回収作業を実行する。この作業に対応して、基板回収装置M8では、収納部が一杯になる基板満杯イベントや、空の収納部に交換される実装基板回収イベントなどが発生する。収納部が回収した基板の数などの生産状況や、発生したイベントのイベント情報などは、適宜、基板回収装置M8から管理装置3に送信される。
【0028】
図1において、管理装置3は、部品実装ラインL1~L3が備える作業装置の稼働に必要なデータやパラメータを作成し、各作業装置に送信する機能を有している。また、管理装置3は、部品実装ラインL1~L3が備える複数の作業装置から生産状況、イベント情報、検査結果などを収集して記憶する機能を有している。また、管理装置3は、作業装置で作業者Wが作業を行うイベントが発生した場合は、作業者Wが携帯する情報端末Tなどに発生した作業装置の情報、イベントの内容、対応作業の情報などを送信する機能を有している。
【0029】
次に、図3を参照して、部品実装システム1の情報処理系の構成を説明する。ここでは、部品実装システム1が備える機能のち、作業フロアFにおける作業者Wの位置情報と複数の作業装置で発生するイベントを記憶し、記憶された情報から作業ログを作成して記憶する作業ログ記録システムとしての機能を中心について説明する。作業フロアFに設置された部品実装ラインL1~L3の複数の作業装置(基板供給装置M1、印刷装置M2、印刷検査装置M3、部品搭載装置M4~M5、実装検査装置M6、リフロー装置M7、基板回収装置M8)、管理装置3、作業ログ記録装置4、カメラC1~C7、受信機R1~R8は、通信ネットワーク2を介して相互に接続されている。
【0030】
管理装置3が備える管理処理装置10は、管理記憶部11、作業装置監視部12、作業指示処理部13、無線通信部14、管理通信部15を備えている。管理記憶部11は記憶装置であり、生産データ11a、イベント情報データ11bなどを記憶する。無線通信部14は、作業者Wが携帯する情報端末Tとの間で、無線により各種データの授受を行う。管理通信部15は通信インターフェースであり、通信ネットワーク2を介して作業ログ記録装置4、部品実装ラインL1~L3の複数の作業装置との間で、各種データの授受を行う。
【0031】
図3において、生産データ11aには、実装基板の生産機種名(基板名)、基板に実装される部品の種類(部品名)、部品のサイズ、実装位置(XY座標)、実装方向(図示しない回転方向)、生産作業を実行する作業装置を特定する情報などが含まれている。作業装置監視部12は、部品実装ラインL1~L3を構成する複数の作業装置を監視し、作業装置でイベントが発生したことを検知すると、検知したイベントに関するイベント情報を発生した時刻と関連付けて、イベント情報データ11bとして管理記憶部11に記憶させる。すなわち、管理記憶部11は、作業装置監視部12が検知した作業装置で発生したイベントをイベント情報として時系列に記憶するイベント情報記憶部である。
【0032】
作業指示処理部13は、作業装置監視部12によって収集されたイベント情報に基づいて、作業者Wが対応すべき作業が発生したか否かを判断する。作業指示処理部13は、作業者Wが対応すべき作業が発生したと判断すると、無線通信部14を介して作業者Wが携帯する情報端末Tに、作業対象の作業装置を特定する情報、作業内容などを送信する。
【0033】
図3において、作業ログ記録装置4が備える作業ログ処理装置20は、作業ログ記憶部21、映像処理部22、ビーコン処理部23、取得部24、作業種別判定部25、移動時間算出部26、滞留時間算出部27、作業時間算出部28、作業ログ作成部29、作業ログ通信部30を備えている。作業ログ記憶部21は記憶装置であり、フロア情報21a、位置情報データ21b、イベント情報データ21c、移動時間情報21d、滞留時間情報21e、作業時間情報21f、作業ログ情報21gなどを記憶する。作業ログ通信部30は通信インターフェースであり、通信ネットワーク2を介して管理装置3、部品実装ラインL1~L3の複数の作業装置、作業フロアFに設置されたカメラC1~C7、受信機R1~R8との間で、各種データの授受を行う。
【0034】
フロア情報21aには、作業フロアFに配置された部品実装ラインL1~L3を構成する複数の作業装置の位置、作業者Wが移動する通路など、作業フロアFのレイアウトに関する情報が含まれている。映像処理部22は、作業フロアFに設置されたカメラC1~C7が撮像した映像を画像処理して、作業フロアFにおける作業者Wの位置を検出する。映像処理部22は、フロア情報21aに基づいて、映像から検出した作業者Wの位置情報を検出した時刻と関連付け、位置情報データ21bとして作業ログ記憶部21に記憶させる。すなわち、カメラC1~C7と映像処理部22は、作業フロアFに設置された複数の作業装置や部材保管棚Sで作業を行う作業者Wを監視するカメラ監視部31を構成する。
【0035】
図3において、ビーコン処理部23は、作業フロアFに設置された受信機R1~R8が受信した作業者Wが携行するビーコン端末Bが送信するビーコン情報を処理して、作業フロアFにおける作業者Wの位置を検出する。ビーコン処理部23は、フロア情報21aに基づいて、ビーコン情報から検出した作業者Wの位置情報を検出した時刻と関連付け、位置情報データ21bとして作業ログ記憶部21に記憶させる。すなわち、ビーコン端末Bと受信機R1~R8とビーコン処理部23は、作業フロアFに設置された複数の作業装置や部材保管棚Sで作業を行う作業者Wを監視するビーコン監視部32を構成する。
【0036】
このように、作業者Wを撮像するカメラC1~C7を含むカメラ監視部31(カメラC1~C7、映像処理部22)、または、作業者Wが持ち歩くビーコン端末Bを含むビーコン監視部32(ビーコン端末B、受信機R1~R8、ビーコン処理部23)は、複数の作業装置や部材保管棚Sで作業を行う作業者Wの位置を時系列に監視する作業者監視部である。また、作業ログ記憶部21は、作業者監視部(カメラ監視部31、ビーコン監視部32)が監視する作業者Wの位置情報を時系列に記憶する位置情報記憶部である。作業フロアFにおいて複数の作業者Wが作業している場合、作業者監視部は、複数の作業者Wを監視し、位置情報記憶部は、作業者Wの位置情報を、作業者Wを特定する情報と関連付けて記憶する。
【0037】
図3において、取得部24は、管理装置3の管理記憶部11が記憶するイベント情報データ11bを取得して、イベント情報データ21cとして作業ログ記憶部21に記憶させる。作業種別判定部25は、イベント情報データ21cに含まれる複数の作業装置のうちの第1作業装置のイベント情報に基づいて、第1作業装置で行う作業の作業種別を判定する。すなわち、作業種別判定部25は、イベント情報データ21cに基づいて、作業者Wが作業を行うべきイベント(以下、「作業対象イベント」と称する。)が発生した作業装置(第1作業装置)と、発生した作業対象イベントに対して作業者Wが実行する作業の作業種別を判定する。
【0038】
移動時間算出部26は、位置情報データ21bに含まれる作業者Wの位置情報に基づいて、作業者Wが前の作業位置から作業対象の第1作業装置の作業位置まで移動した移動時間を算出する。移動時間算出部26は、算出した移動時間を、作業者Wを特定する情報、第1作業装置を特定する情報、前の作業位置を特定する情報と関連付けて、移動時間情報21dとして作業ログ記憶部21に記憶させる。
【0039】
図3において、滞留時間算出部27は、位置情報データ21bに含まれる作業者Wの位置情報とイベント情報データ21cに含まれる第1作業装置のイベント情報に基づいて、第1作業装置で作業者Wが作業を行うべき作業対象イベントが発生してから作業者Wが前の作業位置から移動を開始するまでの滞留時間を算出する。滞留時間算出部27は、算出した記滞留時間を、作業者Wを特定する情報、第1作業装置を特定する情報、前の作業位置を特定する情報と関連付けて、滞留時間情報21eとして作業ログ記憶部21に記憶させる。
【0040】
作業時間算出部28は、第1作業装置で作業者Wが作業を行うべき作業対象イベントが発生してから当該イベントに対する作業が終了するまでの時間から、滞留時間情報21eに含まれる滞留時間と移動時間情報21dに含まれる移動時間を減算して作業時間を算出する。すなわち、作業時間算出部28は、位置情報データ21bに含まれる作業者Wの時系列の位置情報とイベント情報データ21cに含まれる第1作業装置の時系列のイベント情報に基づいて、作業者Wによる第1作業装置での作業時間を算出する。作業時間算出部28は、算出した作業時間を、作業者Wを特定する情報、第1作業装置を特定する情報、作業種別を特定する情報と関連付けて、作業時間情報21fとして作業ログ記憶部21に記憶させる。
【0041】
作業ログ作成部29は、記憶された移動時間情報21dに含まれる移動時間、滞留時間情報21eに含まれる滞留時間、作業時間情報21fに含まれる作業時間を作業ログ情報21gとして作業ログ記憶部21に記憶させる。このように作成された作業ログ情報21gは、実装基板を生産する生産時間を予測したり、部品実装ラインL1~L3の生産能力を予測したりする生産シミュレーションや、作業フロアFのレイアウト見直し、作業者Wの業務改善活動などに使用される。
【0042】
次に、図4を参照して、記憶された位置情報データ21bに含まれる作業者Wの位置情報とイベント情報データ21cに含まれるイベント情報に基づく移動時間、滞留時間、作業時間の算出の具体例について説明する。図4では、作業者W1による作業フロアFにおける作業について説明する。
【0043】
まず、作業者W1は、部品実装ラインL1の部品搭載装置M4(第1作業装置)の前側に位置しており、時刻T1に、吸着位置ティーチイベントI1が発生している。そこで、作業種別判定部25は、部品実装ラインL1の部品搭載装置M4でノズルの部品吸着位置を修正する吸着位置ティーチ作業が開始されたと判定する。ここで、吸着位置ティーチ作業では、作業が完了したイベントは記録されないとする。その場合、作業時間算出部28は、吸着位置ティーチイベントI1が発生した時刻T1から作業者W1が次の作業位置に向けて移動を開始した時刻T3までの時間を作業時間T13として算出する。
【0044】
すなわち、作業時間T13の作業終了タイミング(作業終了の時刻)は、作業者W1が部品実装ラインL1の部品搭載装置M4(第1作業装置)の作業位置を離れたタイミング(時刻T3)である。なお、作業が完了したイベントが記録されない作業であり、かつ、作業が完了した後も作業者W1が同じ作業位置に滞留するような場合は、作業時間の作業終了タイミングは、第1作業装置で作業者W1が作業を行うべきイベントが発生した後(時刻T1後)、第1作業装置でイベントが発生せずに所定時間を経過したタイミング(例えば、時刻T1から5分後)とするようにしてもよい。
【0045】
図4において、時刻T2に、部品実装ラインL3の部品搭載装置M5(第2作業装置)の後側の部品供給部において、スロットS10に装着されているテープフィーダの部品の残数が所定値より少なくなり、部品切れ警告イベントI2が発生している。そこで、作業種別判定部25は、部品実装ラインL3の部品搭載装置M5の後側の部品供給部で部品補給作業が行われたと判定する。また、時刻T7に、スロットS10の部品残数が増加する部品残数増加イベントI5が発生している。そこで、作業時間算出部28は、部品切れ警告イベントI2が発生した時刻T2から部品残数増加イベントI5が発生した時刻T7までの時間を対象時間T27として算出する。
【0046】
滞留時間算出部27は、部品切れ警告イベントI2(第2作業装置の作業対象イベント)が発生した時刻T2から作業者W1が部品実装ラインL1の部品搭載装置M4(前の作業位置)から移動を開始した時刻T3までの時間を滞留時間T23として算出する。移動時間算出部26は、作業者W1が部品実装ラインL1の部品搭載装置M4(前の作業位置)から移動を開始した時刻T3から部品実装ラインL3の部品搭載装置M5(第2作業装置)に到着した時刻T4までの時間を移動時間T34として算出する。そして、作業時間算出部28は、対象時間T27から滞留時間T23と移動時間T34を減算して作業時間T47を算出する。
【0047】
なお、移動時間T34の間に、作業者W1が部材保管棚Sまで移動してリールなどの補給部材をピックアップした場合、作業者W1の位置情報に部材保管棚Sに移動して停止し、その後、部品実装ラインL3の部品搭載装置M5(第2作業装置)まで移動したことが記憶される。その場、作業時間算出部28は、作業者W1が部材保管棚Sの前に停止していた時間を作業者W1による部材のピックアップ作業時間として記憶する。
【0048】
図4において、時刻T6に、部品実装ラインL3の部品搭載装置M5(第2作業装置)の後側の部品供給部において、スロットS15の部品切れ警告イベントI4が発生している。また、時刻T9に、スロットS15の部品残数増加イベントI7が発生している。そこで、作業時間算出部28は、部品切れ警告イベントI4が発生した時刻T6から部品残数増加イベントI7が発生した時刻T9までの時間を対象時間T69として算出する。
【0049】
滞留時間算出部27は、部品切れ警告イベントI4(第2作業装置の作業対象イベント)が発生した時刻T6からスロットS10の部品補給作業が終了した時刻T7までの時間を滞留時間T67として算出する。時刻T8に、スロットS15に装着されているテープフィーダに補給する部品を照合する部品照合イベントI6が発生している。そこで、移動時間算出部26は、前の作業が終了した時刻T7から時刻T8までの時間を移動時間T78として算出する。そして、作業時間算出部28は、対象時間T69から滞留時間T67と移動時間T78を減算して作業時間T89を算出する。
【0050】
このように、作業時間T47,T89の作業終了タイミングは、部品実装ラインL3の部品搭載装置M5(第2作業装置)で作業者W1が作業を行うべきイベント(部品切れ警告イベントI2,I4)が発生した後、第2作業装置で当該イベントに関連するイベント(部品残数増加イベントI5,I7)が発生したタイミング(時刻T7,T9)である。
【0051】
上記説明したように、本実施の形態の部品実装システム1は、作業者W1を監視する作業者監視部(カメラ監視部31、ビーコン監視部32)と、作業者W1の位置情報を時系列に記憶する位置情報記憶部(作業ログ記憶部21)と、イベントを監視する作業装置監視部12と、イベント情報を時系列に記憶するイベント情報記憶部(管理記憶部11)と、イベント情報に基づいて、第1作業装置で行う作業の作業種別を判定する作業種別判定部25と、作業者W1の位置情報と第1作業装置のイベント情報に基づいて、作業者W1による第1作業装置での作業時間T13を算出する作業時間算出部28と、作業時間T13を、作業者W1を特定する情報、第1作業装置を特定する情報、作業種別を特定する情報と関連付けて記憶する作業ログ記憶部21と、を備える、作業ログ記録システムである。
【0052】
これによって、複数の作業装置間を移動しながら多様な作業を行う作業者Wの作業時間を記録することができる。
【0053】
次に、図5に示すフローに沿って、図4を参照しながら、作業ログを記録する作業ログ記録方法について説明する。部品実装システム1では、実装基板の生産中に、作業者監視部(カメラ監視部31、ビーコン監視部32)は、作業フロアFに配置された複数の作業装置で作業を行う作業者W1の位置情報を時系列に位置情報データ21bとして記憶させる(ST1:位置情報記憶工程)。また、実装基板の生産中に、作業装置監視部12は、複数の作業装置で発生したイベントのイベント情報を時系列にイベント情報データ21cとして記憶させる(ST2:イベント情報記憶工程)。位置情報記憶工程(ST1)とイベント情報記憶工程(ST2)は、実装基板の生産中に、並行して継続的に実行される。
【0054】
次いで、記憶された位置情報データ21bに含まれる位置情報とイベント情報データ21cに含まれるイベント情報に基づいて、時系列に沿って作業時間が算出される(ST3~ST7)。すなわち、作業種別判定部25は、複数の作業装置のうちの第1作業装置(部品実装ラインL1の部品搭載装置M4)のイベント情報(図4に示す吸着位置ティーチイベントI1)に基づいて、第1作業装置で行う作業の作業種別を判定する(ST3:作業種別判定工程)。次いで作業時間算出部28は、作業者W1が第1作業装置の作業位置にいるか否かを判断する(ST4:作業位置判断工程)。
【0055】
図5において、作業者W1が第1作業装置の作業位置にいる場合(ST4においてYes)、作業時間算出部28は、作業者W1の位置情報と第1作業装置のイベント情報に基づいて、作業者W1による第1作業装置での作業時間T13を算出する(ST7:作業時間算出工程)。次いで作業ログ作成部29は、算出された作業時間T13を、作業者W1を特定する情報、第1作業装置を特定する情報、作業種別を特定する情報と関連付けて作業ログ情報21gとして記憶する(ST8:作業ログ記憶工程)。次いで記憶された情報に基づく作業時間の算出が完了していない場合(ST9においてNo)、作業種別判定工程(ST3)に戻って、作業時間が算出される。
【0056】
作業対象イベント(図4に示す部品切れ警告イベントI2)が発生した時に、作業者W1が第2作業装置(部品実装ラインL3の部品搭載装置M5)の作業位置にいない場合(ST4においてNo)、滞留時間算出部27は作業対象イベントが発生してから作業者Wが移動を開始するまでの滞留時間T23を算出する(ST5:滞留時間算出工程)。また、移動時間算出部26は、前の作業位置から第2作業装置の作業位置まで移動した移動時間T34を算出する(ST6:移動時間算出部工程)。
【0057】
図5において、次いで作業時間算出工程(ST7)と作業ログ記憶工程(ST8)が実行される。すなわち、作業時間算出部28は、対象時間T27から滞留時間T23と移動時間T34を減算して作業時間T47を算出する。そして、作業ログ作成部29は、算出された作業時間T47を、作業者W1を特定する情報、第2作業装置を特定する情報、作業種別を特定する情報と関連付けて作業ログ情報21gとして記憶する。これによって、複数の作業装置(部品実装ラインL1の部品搭載装置M4と部品実装ラインL3の部品搭載装置M5)間を移動しながら多様な作業(吸着位置ティーチ作業、部品補給作業)を行う作業者W1の作業時間T13,T47を記録することができる。
【0058】
次に、図6を参照して、作業ログを作成して記憶する部品実装システムの他の実施例(以下、「部品実装システム1A」と称する。)の情報処理系の構成を説明する。部品実装システム1Aは、作業者監視部(カメラ監視部31、ビーコン監視部32)が監視している複数の作業装置で作業を行う作業者Wと、作業装置監視部34が監視している複数の作業装置で発生するイベントに基づいて、リアルタイムに作業時間を算出して作業ログ記憶部21Aに記憶するところが、図3に示す部品実装システム1と異なる。また、作業装置監視部34は、作業ログ記録装置4Aが備えるところも、部品実装システム1と異なる。以下、部品実装システム1と同じ部分には同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0059】
管理装置3Aが備える管理処理装置10Aは、管理記憶部11A、取得部33、作業指示処理部13、無線通信部14、管理通信部15を備えている、管理記憶部11Aは、生産データ11a、イベント情報データ11bなどを記憶している。取得部33は、作業ログ記録装置4Aの作業装置監視部34が検知したイベント情報データ21cを取得して、イベント情報データ11bとして管理記憶部11Aに記憶させる。作業指示処理部13は、イベント情報データ11bに基づいて、作業者Wの情報端末Tに作業対象イベントに関する情報を送信させる。
【0060】
図6において、作業ログ記録装置4Aが備える作業ログ処理装置20Aは、作業ログ記憶部21A、映像処理部22、ビーコン処理部23、作業装置監視部34、計測対象判断部35、作業時間計測部36、作業ログ作成部29A、作業ログ通信部30を備えている。作業ログ記憶部21Aは、フロア情報21a、位置情報データ21b、イベント情報データ21c、作業ログ情報21gなどを記憶する。作業装置監視部34は、部品実装ラインL1~L3を構成する複数の作業装置を監視し、複数の作業装置で発生するイベントのイベント情報をイベント情報データ21cとして作業ログ記憶部21Aに記憶させる。
【0061】
計測対象判断部35は、複数の作業装置のうちの第1作業装置で発生したイベントのイベント情報に基づいて、第1作業装置で行う作業の作業種別を判定して計測対象のイベント(以下、「計測対象イベント」と称する。)か否かを判断する。計測対象判断部35により計測対象イベントが発生したと判断されると、作業時間計測部36は、作業者監視部(カメラ監視部31、ビーコン監視部32)による作業者監視結果と計測対象イベントの第1作業装置のイベント情報に基づいて、作業者Wによる第1作業装置での作業時間を計測する。作業ログ作成部29Aは、計測された作業時間を、作業者Wを特定する情報、第1作業装置を特定する情報、作業種別を特定する情報と関連付けて作業ログ記憶部21Aに記憶させる。
【0062】
次に、図7を参照して、作業時間計測部36による計測対象イベントの作業時間の計測の具体例について説明する。図7のイベント情報と位置情報は、図4と同じである。作業時間計測部36は、第1作業装置(部品実装ラインL1の部品搭載装置M4)で作業者W1が作業を行うべきイベント(吸着位置ティーチイベントI1)が発生した際(時刻T1)に作業者W1が第1作業装置の作業位置にいる場合は、当該イベントが発生してから当該イベントに対する作業が終了する(時刻T3)までの時間を作業時間T13として計測する。
【0063】
すなわち、作業時間計測部36は、計測対象判断部35により計測対象イベント(吸着位置ティーチイベントI1)が発生したと判断されると、発生した時刻T1から作業時間T13の計測を開始する。そして、作業時間計測部36は、作業者監視部により作業者W1が第1作業装置(部品実装ラインL1の部品搭載装置M4)の作業位置を離れたと判断されると、離れたタイミング(時刻T3)に作業時間T13の計測を終了する。作業ログ作成部29Aは、計測された作業時間T13を、作業者W1を特定する情報、第1作業装置を特定する情報、作業種別(吸着位置ティーチ作業)を特定する情報と関連付けて作業ログ情報21gとして作業ログ記憶部21Aに記憶させる。
【0064】
図7において、作業時間計測部36は、作業者W1が作業位置を離れた時刻T3から、次の第2作業装置(部品実装ラインL3の部品搭載装置M5)の作業位置に到着して次の計測対象イベント(部品照合イベントI3)が発生したと判断された時刻T5までを、移動時間T35として計測する。作業ログ作成部29Aは、計測された移動時間T35を、作業者W1を特定する情報、移動前の第1作業装置を特定する情報、移動後の第2作業装置を特定する情報と関連付けて作業ログ情報21gとして作業ログ記憶部21Aに記憶させる。
【0065】
図7において、作業時間計測部36は、計測対象判断部35により計測対象イベント(部品照合イベントI3)が発生したと判断されると(時刻T5)、作業時間T57の計測を開始する。そして、作業時間計測部36は、計測対象判断部35により計測対象イベント(部品残数増加イベントI5)が発生したと判断されると(時刻T7)、作業時間T57の計測を終了する。作業ログ作成部29Aは、計測された作業時間T57を作業ログ情報21gとして作業ログ記憶部21Aに記憶させる。
【0066】
すなわち、作業時間計測部36は、第2作業装置(部品実装ラインL3の部品搭載装置M5)で作業者W1が作業を行うべきイベント(部品切れ警告イベントI2)が発生した際(時刻T2)に作業者W1が第2作業装置の作業位置にいない場合は、作業者W1が第2作業装置に到着してから(時刻T5)当該イベントに対する作業が終了するまでの時間(時刻T7)を作業時間T57として計測する。
【0067】
図7において、作業時間計測部36は、計測対象判断部35により計測対象イベント(部品照合イベントI6)が発生したと判断されると(時刻T8)、作業時間T89の計測を開始する。そして、作業時間計測部36は、計測対象判断部35により計測対象イベント(部品残数増加イベントI7)が発生したと判断されると(時刻T9)、作業時間T89の計測を終了する。作業ログ作成部29Aは、計測された作業時間T89を作業ログ情報21gとして作業ログ記憶部21Aに記憶させる。
【0068】
すなわち、作業時間計測部36は、当該イベント(部品切れ警告イベントI4)が発生した際に作業者W1が第2作業装置に対して別の作業(部品供給作業)を実行している場合は、作業者W1による第2作業装置での前の作業が終了してから(時刻T8)当該イベントに対する作業が終了するまでの時間(時刻T9)を作業時間T89として計測する。
【0069】
上記説明したように、本実施の形態の部品実装システム1Aは、作業を行う作業者Wを監視する作業者監視部(カメラ監視部31、ビーコン監視部32)と、イベントを監視する作業装置監視部34と、第1作業装置で発生したイベントのイベント情報に基づいて、第1作業装置で行う作業の作業種別を判定して計測対象のイベントか否かを判断する計測対象判断部35と、作業者監視部による作業者監視結果と計測対象の第1作業装置のイベント情報に基づいて、作業者W1による第1作業装置での作業時間T13を計測する作業時間計測部36と、作業時間T13を、作業者W1を特定する情報、第1作業装置を特定する情報、作業種別を特定する情報と関連付けて記憶する作業ログ記憶部21Aと、を備える、作業ログ記録システムである。
【0070】
これよって、複数の作業装置間を移動しながら多様な作業を行う作業者Wの作業時間をリアルタイムに記録することができる。
【0071】
次に、図8のフローに沿って、図7を参照しながら、作業ログを記録する作業ログ記録方法の他の実施例について説明する。作業ログ記録方法の他の実施例は、作業者監視工程(ST11)と作業装置監視工程(ST12)と並行して、作業時間計測工程(ST14)がリアルタイムに実行されるところが、図5に示す作業ログ記録方法とは異なる。以下、図5に示す作業ログ記録方法と同じ工程には同じ符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0072】
部品実装システム1Aでは、実装基板の生産中に、作業者監視部(カメラ監視部31、ビーコン監視部32)が複数の作業装置で作業を行う作業者W1の位置を時系列に監視し(ST11:作業者監視工程)、作業装置監視部34が複数の作業装置で発生するイベントをイベント情報として時系列に監視する(ST12:作業装置監視工程)。さらに、実装基板の生産中に、作業時間計測部36が作業時間を計測する(ST14)。
【0073】
具体的には、計測対象判断部35は、複数の作業装置のうちの第1作業装置で発生したイベントのイベント情報(図7に示す吸着位置ティーチイベントI1)に基づいて、第1作業装置で行う作業の作業種別を判定して計測対象の計測対象イベントか否かを判断する(ST13:計測対象判断工程)。計測対象イベントが発生すると(ST13においてYes)、作業者監視工程(ST11)による作業者監視結果と作業装置監視工程(ST12)により監視されている計測対象の第1作業装置のイベント情報に基づいて、作業時間計測部36は、作業者W1による第1作業装置での作業時間T13を計測する(ST14:作業時間計測工程)。
【0074】
図8において、次いで作業ログ記憶工程(ST8)が実行され、作業ログ作成部29Aは、計測された作業時間T13を、作業者W1を特定する情報、第1作業装置を特定する情報、作業種別を特定する情報と関連付けて作業ログ記憶部21Aに記憶させる。次いで部品実装システム1Aにおいて実装基板の生産が完了していない場合(ST15においてNo)、計測対象判断工程(ST13)に戻って、作業時間が計測される。これによって、複数の作業装置間を移動しながら多様な作業を行う作業者W1の作業時間をリアルタイムに記録することができる。
【0075】
なお上記では、作業者監視部としてカメラ監視部31とビーコン監視部32を用いて説明したが、これに限定されることはない。例えば、カメラ監視部31を複数設けて広域に監視して作業者を特定できるのであればカメラ監視部31のみで作業者管理部を構成してもよい。また上記では、作業装置として、基板に部品を実装して実装基板を生産する部品実装用装置を用いて説明したが、本実施の形態における作業装置は部品実装用装置に限定されることはない。例えば作業装置は、家電製品を組み立てる組み立て装置であっても、食品加工製品を生産する食品加工装置であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の作業ログ記録システムおよび作業ログ記録方法は、複数の作業装置間を移動しながら多様な作業を行う作業者の作業時間を記録することができるという効果を有し、作業装置によって製造作業が行われる製造分野において有用である。
【符号の説明】
【0077】
1、1A 部品実装システム(作業ログ記録システム)
31 カメラ監視部(作業者監視部)
32 ビーコン監視部(作業者監視部)
B ビーコン端末
C1~C7 カメラ
M1 基板供給装置(作業装置)
M2 印刷装置(作業装置)
M3 印刷検査装置(作業装置)
M4~M5 部品搭載装置(作業装置)
M6 実装検査装置(作業装置)
M7 リフロー装置(作業装置)
M8 基板回収装置(作業装置)
R1~R8 受信機
W、W1 作業者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8