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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023010351
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】調理用湯沸かし器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/21 20060101AFI20230113BHJP
【FI】
A47J27/21 101Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021114433
(22)【出願日】2021-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167438
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100166800
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 裕治
(72)【発明者】
【氏名】藤原 凜津
(72)【発明者】
【氏名】河阪 雅之
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA34
4B055BA31
4B055CA21
4B055CA90
(57)【要約】
【課題】蓋体内に侵入した液体を容易に取り除くことができる調理用湯沸かし器を提供する。
【解決手段】調理用湯沸かし器は、上部に開口を有する容器本体と、容器本体の開口を塞ぐ蓋体7と、載置された容器本体を加熱する加熱装置とを備え、蓋体7は底板70と天板72とを備え、天板72は、底板70と天板72とで形成される内部空間と連通する貫通孔720aを有し、底板70は、内部空間内の液体8を貫通孔720a側に誘導するガイド部709を有する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に開口を有する容器本体と、
前記容器本体の開口を塞ぐ蓋体と、
載置された前記容器本体を加熱する加熱装置と
を備え、
前記蓋体は底板と天板とを備え、
前記天板は、前記底板と前記天板とで形成される内部空間と連通する貫通孔を有し、
前記底板は、前記内部空間内の液体を前記貫通孔側に誘導するガイド部を有する、
調理用湯沸かし器。
【請求項2】
前記ガイド部は、前記貫通孔に近づくにしたがって、前記天板との間隔が近づく傾斜部に設けられている、
請求項1に記載の調理用湯沸かし器。
【請求項3】
前記底板と前記天板は、互いに係合する係合部を有する、
請求項1又は2に記載の調理用湯沸かし器。
【請求項4】
前記貫通孔と前記ガイド部とは蓋体の厚み方向に対向し、
前記貫通孔は、前記天板の係合部の近傍に設けられ、
前記底板の係合部は前記ガイド部に設けられている、
請求項3に記載の調理用湯沸かし器。
【請求項5】
前記底板の係合部は、前記天板側に延伸するリブ部と、前記リブ部に形成された貫通孔とを有し、
前記天板の係合部は、前記リブ部に形成された前記貫通孔に対して、前記天板の中心と反対側から係合し、
前記天板の前記内部空間と連通する前記貫通孔は、前記天板の係合部に対して前記天板の中心と反対側に設けられている、
請求項3又は4に記載の調理用湯沸かし器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、お湯を沸かすと共に食材の加熱調理を行うことが可能な調理用湯沸かし器に関する。
【背景技術】
【0002】
湯沸かし器として、「貯湯用の内容器3を有する容器本体1と、前記内容器3内の水を加熱する加熱手段4と、該容器本体1に対して着脱自在とされた蓋体2と、前記内容器3内の液体を外部へ注出すべく前記容器本体1側に配設されたポンプ装置とを備えた電気貯湯容器において、前記蓋体2を、丸洗い可能な複数個の構成部品(例えば、蓋上板11,蓋下板12および内蓋13)に分解できるように構成して、蓋体2を容器本体1から取り外した状態で、蓋体2を複数個の構成部品に分解することにより、それぞれの構成部品を丸洗いすることができるようにしている。」が開示されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-102065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記湯沸かし器は、蓋体内に水が侵入した場合、蓋体を分解できるため、侵入した水を取り出すこともできるが、手間がかかるという課題がある。
なお、上記の蓋体では、蓋体を再度組み立てる際に、取り外した内蓋13を付け忘れることもあり、そのままの状態で使用すると、蒸気漏れやその蒸気により樹脂製の蓋体の劣化も早まる可能性がある。
本発明は、蓋体内に侵入した液体を容易に取り除くことができる調理用湯沸かし器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る調理用湯沸かし器は、上部に開口を有する容器本体と、前記容器本体の開口を塞ぐ蓋体と、載置された前記容器本体を加熱する加熱装置とを備え、前記蓋体は底板と天板とを備え、前記天板は、前記底板と前記天板とで形成される内部空間と連通する貫通孔を有し、前記底板は、前記内部空間内の液体を前記貫通孔側に誘導するガイド部を有する。
【発明の効果】
【0006】
上記構成によれば、蓋体内の液体を容易に取り除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る調理用湯沸かし器を上方から見た斜視図であり、(a)は容器を加熱装置に載置した状態であり、(b)は容器を加熱装置から離した状態である。
図2】容器本体から蓋体を離した状態の斜視図であり、(a)は下方から見た図であり、(b)は上方から見た図である。
図3】加熱装置の断面図である。
図4】加熱装置のブロック図である。
図5】蓋体の分解斜視図であり、一部を拡大している。
図6】(a)は水抜き用の貫通孔付近の断面を上方から見た斜視図であり、(b)は水抜き用の貫通孔付近の断面を下方から見た斜視図であり、(c)は内部の様子を内側から見た断面斜視図であり、(d)は内部の様子を外側から見た断面斜視図である。
図7】蓋体の内部の水抜きを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<概要>
実施形態の一態様に係る第1の調理用湯沸かし器は、上部に開口を有する容器本体と、前記容器本体の開口を塞ぐ蓋体と、載置された前記容器本体を加熱する加熱装置とを備え、前記蓋体は底板と天板とを備え、前記天板は、前記底板と前記天板とで形成される内部空間と連通する貫通孔を有し、前記底板は、前記内部空間内の液体を前記貫通孔側に誘導するガイド部を有する。これにより、内部空間の液体が貫通孔に誘導され易くなる。
実施形態の別態様に係る第2の調理用湯沸かし器は、第1の調理用湯沸かし器において、前記ガイド部は、前記貫通孔に近づくにしたがって、前記天板との間隔が近づく傾斜部に設けられている。これにより、内部空間の液体を抜きやすくできる。
実施形態の別態様に係る第3の調理用湯沸かし器は、第1又は第2の調理用湯沸かし器において、前記底板と前記天板は、互いに係合する係合部を有する。これにより、簡単な構造で底板と天板とを結合できる。
実施形態の別態様に係る第4の調理用湯沸かし器は、第3の調理用湯沸かし器において、前記貫通孔と前記ガイド部とは蓋体の厚み方向に対向し、前記貫通孔は、前記天板の係合部の近傍に設けられ、前記底板の係合部は前記ガイド部に設けられている。これにより、ガイド部材をわざわざ設ける必要がなくなり、安価に実施できる。
実施形態の別態様に係る第5の調理用湯沸かし器は、第3又は第4の調理用湯沸かし器において、前記底板の係合部は、前記天板側に延伸するリブ部と、前記リブ部に形成された貫通孔とを有し、前記天板の係合部は、前記リブ部に形成された前記貫通孔に対して、前記天板の中心と反対側から係合し、前記天板の前記内部空間と連通する前記貫通孔は、前記天板の係合部に対して前記天板の中心と反対側に設けられている。これにより、内部空間内の液体を抜きやすくできる。
【0009】
<実施形態>
1.全体構成
調理用湯沸かし器Xは、図1に示すように、加熱装置1と容器3とを備える。容器3は加熱装置1に載置され、加熱されることで容器3内の食材が調理されたり、水、スープ等の液体が温められる。つまり、お湯を沸かすだけでなく、食材の加熱調理を行うことができる。
以下、各部について説明する。
【0010】
2.加熱装置
加熱装置1は、図1及び図3に示すように、上面に開口部を有する筐体10と、筐体10の開口部に嵌合する状態で配された加熱ユニット11と、加熱ユニット11を制御する制御ユニット12と、操作部131と表示部133とを有する操作表示ユニット13と、加熱ユニット11や制御ユニット12や操作表示ユニット13等に電力を供給する電源ユニット14と、電源コード17と接続する接続ユニット15とを備える。
【0011】
(1)筐体
筐体10は、ここでは、中空円柱状をし、内部に加熱ユニット11等を収容する。筐体10は、周壁部に接続ユニット15用の開口を有し、当該開口に接続ユニット15が設けられている。筐体10は、内部と外部とで空気が流れるように連通孔10aを有している。
【0012】
(2)加熱ユニット
加熱ユニット11は、ヒータ111と、ヒータ111を保持する加熱板112と、加熱板112が取り付けられ且つ筐体10に固定される固定板113とを備えている。ここでは、加熱板112の中央に貫通孔112aを有する円環状をし、ヒータ111が渦巻き状又は円環状に配されている。
加熱装置1は、加熱ユニット11に載置された容器3の温度に対応する温度を検出する第1温度センサ161と、ヒータ111の温度に対応する温度を検出する第2温度センサ163とを備える。
第1温度センサ161は、加熱板112の貫通孔112aに配され且つ当該加熱板112よりも上方に出没可能に支持された可動部材114に設けられている。つまり、第1温度センサ161は、容器3の温度に対応する温度として、容器3に当接する可動部材114の温度又は可動部材114の内部の空気の温度を検出する。
可動部材114は、有蓋筒状をし、その開口側端から径方向の外側に屈曲する屈曲部を有する。屈曲部は貫通孔112aを通過できない大きさである。可動部材114は、下端が固定板113により支持されたコイルばね115によって上下動可能に支持されている。
第2温度センサ163は、固定板113側に設けられている。つまり、第2温度センサ163は、ヒータ111の温度に対応する温度として、ヒータ111を収容する加熱板112と接触する固定板113の温度又は当該固定板113に取り付けられた取付板116の温度を検出する。
コイルばね115の下端は、取付板116を介して固定板113に取り付けられる。ここでは、コイルばね115を支持する支持部の加工性を考慮して、加工した取付板116を固定板113に固定している。
【0013】
(3)制御ユニット
制御ユニット12は、使用者の操作に対応して加熱ユニット11を駆動したり、使用者が選択した調理内容に対応したプログラムを実行したり、容器3の温度が設定値以上になると加熱ユニット11の駆動を停止したり等する。これにより、加熱装置1の安全性を高めることができる。また、使用者が選択した内容で自動的に調理されるので、使い勝手よく、上手に料理ができる。
制御部121は、容器3が加熱板112に載置されているか否かを検知する容器検知センサ165が容器3の載置を検知している場合にヒータ111を加熱する。ここでは、容器検知センサ165としてリードスイッチが利用され、容器3の載置が検知されると通電して、制御部121が作動する構成としてもよい。これにより、簡単な構成で安全性を高めることができる。
制御ユニット12は、図4に示すように、マイクロコンピュータ等で構成される制御部121と、あらかじめ複数の自動調理メニューに対応したプログラムや各種データを記憶する記憶部123と、時間をカウントするためのタイマ125とを少なくとも備える。
制御ユニット12は、複数の電子部品から構成され、当該電子部品は電源ユニット14の基板143(図3参照)に実装されている。
制御部121は、加熱ユニット11の駆動中に、第1温度センサ161から検出された温度が第1温度よりも高く又は第1温度以上になるとヒータ111の加熱(駆動)を停止し、第2温度センサ163から検出された温度が第2温度よりも高く又は第2温度以上になるとヒータ111の加熱(駆動)を停止する。これにより、第1温度センサ161又は第2温度センサ163が何らかの原因で動作しない場合でも、安全性を確保できる。
ここで、第1温度センサ161の設定値である第1温度は、第2温度センサ163の設定値よりも低い。これにより、例えば、容器検知センサ165が容器3以外を容器として検知した場合でも、ヒータ111が駆動され続けることはなく、安全性を向上できる。
【0014】
(4)操作表示部
操作部131は、図1の(a)に示すように、例えばボタン等により構成され、複数ある。使用者は、操作部131のボタンを選択することにより、お湯を沸かしたり、温度や時間を適宜設定して調理したり、また予め登録されている調理メニューを選択して、当該選択内容に対応したプログラムにより自動調理したりもできる。
表示部133は、時間や温度等を表示したり、稼働中であることを報知したりする。
操作部131及び表示部133は例えば、基板135に実装され、操作部131や表示部133が表側に露出する状態で、筐体10の周壁の張出部に設けられている。
【0015】
(5)電源ユニット
電源ユニット14は、商用電源からヒータ111、制御ユニット12、操作表示ユニット13等の駆動電力を生成する。電源ユニット14は、複数の電子部品141と基板143とを有して、回路ケース145に収容された状態で、筐体10に固定されている。
【0016】
(6)接続ユニット
接続ユニット15に接続する電源コード17は、コード171の一端に電源プラグ(図示省略)が、コード171の他端にマグネットプラグ173がそれぞれ設けられている。このため、接続ユニット15として、マグネットプラグ173が着脱可能に接続するマグネットプラグ受けを利用している。
【0017】
3.容器
容器3は、図2に示すように、上部に開口51aを有する容器本体5と、容器本体5の開口51aを塞ぐ蓋体7とを備える。
以下、各部について説明する。
【0018】
(1)容器本体
容器本体5は、図2の(b)に示すように、有底筒状の容器部51を少なくとも有する。容器本体5は、持ち運んだり、向きを変えたりするためのハンドル部52を有している。
容器本体5は、加熱装置1側(下側)に膨出する膨出部分511を容器部51の底に有し、その外周側に取り付けられた環状体53とで形成された環状の溝部54を有する。溝部54は、図1の(b)に示す加熱装置1の環状の突条部103と嵌合する。これにより、容器本体5が加熱装置1に対して径方向に位置決めされる。
環状体53は、図2の(a)に示すように、中心を挟んで対向する部位に、径方向の外方に凹入する凹入部531を有している。凹入部531は、図1の(b)に示す加熱装置1の突条部103から径方向の外方に突出する突出部105と嵌合する。これにより、容器本体5が加熱装置1に対して周方向に位置決めされる。
なお、環状体53には、容器検知センサ165であるリードスイッチ用のマグネットが所定位置に配されている。
容器本体5は、容器部51の中心に対してハンドル部52と反対側であって上端部側に、径方向の外方へ張り出す注ぎ口部55を有する。
【0019】
(2)蓋体
蓋体7は、少なくとも底板70と天板72とを備える。蓋体7は、図5に示すように、底板70と天板72の他、パッキン74を備え、天板72につまみ体76を備える。
底板70と天板72は円形状をし、パッキン74は円環状をする。底板70と天板72は、内部に空間(以下、「内部空間」とする)が形成されるように、パッキン74を挟んで上下に結合される。なお、内部空間を有することで、蓋体7の軽量化、容器本体5からの伝熱による温度上昇を抑制できる。
以下、底板70と天板72の構成の説明において、両者を区別しやすいように、便宜上、底板70側の構成には「底」又は「底側」を、天板72側の構成には「天」又は「天側」をそれぞれ付す場合がある。
底板70と天板72の結合は係合構造により行われる。つまり、底板70は複数個の底側係合部702を、天板72は複数個の天側係合部722をそれぞれ有し、これらは互いに係合する。
天板72は内部空間と連通する貫通孔を有し、底板70は内部空間内の液体を天板72の貫通孔720aに誘導するガイド部709を有する。これらは、例えば、容器本体5の注ぎ口部55に対応した部位に設けられ、蓋体7の厚み方向に対向する。
貫通孔720a及びガイド部709は、複数の底側係合部702と天側係合部722のうちの1つを利用して設けられており、貫通孔720a及びガイド部709と関係する底側係合部702及び天側係合部722の符号に「A」を付し、関係しない底側係合部702及び天側係合部722の符号に「B」を付する。
【0020】
(2-1)底板
底板70は、円形状の底板部700と、底板部700の周縁から上方に延伸する底周板部701とを有する。
底板部700は、図2に示すように、容器本体5の注ぎ口部55に対応した部分に、凹入部700aと張出部700bとを有する。凹入部700aは、例えば、径方向を中心から離れにしたがって凹入量が大きくなり且つ周方向に徐々に広がるように構成されている。換言すると、凹入部700aは、貫通孔720aに近づくにしたがって天板72との間隔が近づく傾斜部ともいえる。張出部700bは、凹入部700aの外周縁から径方向の外方へ三角形状に張り出す。なお、張出部700bには湯切り用の貫通孔700cが複数設けられている。
底板部700は、図5に示すように、つまみ体76を天板72に固定するためのねじ765が螺合するねじ穴を有するボス部700dが中心部に有している。
【0021】
底側係合部702A,702Bは、底板部700の周縁側であって周方向に間隔をおいて設けられている。底側係合部702A,702Bは、底板部700から天板72側に延伸する底側延伸部と、当該底側延伸部に形成された凹み又は貫通孔とにより構成される。ここでは、底側延伸部は板状の底リブ部703A,703Bにより構成され、底リブ部703A,703Bに貫通孔704A,704Bが形成されている。
底リブ部703A,703Bは底板部700の周方向に沿って延伸するように設けられ、底リブ部703A,703Bにおける周方向と上下方向との中央部分に、周方向に長い矩形状の貫通孔704A,704Bが設けられている。
【0022】
底リブ部703Aは、図5の拡大図Cに示すように、貫通孔704Aの下部側に、水たまり部を有している。つまり、底リブ部703Aにおける貫通孔704Aの周辺部分が、貫通孔704Aの周方向の両側にある段差部705Aによって、径方向の中心側に張り出すように位置し、貫通孔704Aの下側部分706Aが、貫通孔704Aの上側部分707Aよりも径方向の外方側に位置する。これにより、下側部分706Aが周方向の両側の段差部705Aの内面(中心に向かう面)に対して凹入し、当該凹入部分で水溜り部が形成される。
底板70は、底リブ部703Aと底周板部701とを、貫通孔704Aに対して周方向の両側で連結する連結部708Aを有する。連結部708Aは径方向に延伸する板状のリブ部により構成されている。これにより、貫通孔704Aを介して底リブ部703Aの下側部分706Aを乗り越えた液体が、周方向に流れるのを規制できる。
連結部708Aは、パッキン74の内周部744(図6の(a)及び(b)参照)と干渉しないように、径方向の外側であって上部側が欠けている。なお、一対の連結部708A間に位置する凹入部700a及び底周板部701の内面は、一対の連結部708、凹入部700a及び底周板部701に囲まれた空間の液体が蓋体7の傾斜により、スムーズに貫通孔720aに向かうように、滑らかに形成されている。
底リブ部703Bは、図5の拡大図Dに示すように、貫通孔704Bの上側部分707Bが、貫通孔704Bの周方向の両側にある段差部705Bによって、径方向の中心側に張り出すように位置する。
底板70は、底リブ部703Bと底周板部701とを、貫通孔704Bに対して周方向の両側で連結する連結部708Bを有する。連結部708Aは径方向に延伸する板状のリブ部により構成されている。
【0023】
(2-2)天板
天板72は、円形状の天板部720と、天板部720の周縁から下方に延伸する天周板部721とを有する。
天板部720は、図2に示すように、容器本体5の注ぎ口部55に対応し且つ注ぎ口部55に近い部位に貫通孔720aを有する。なお、貫通孔720aは、内部空間に入った液体を外部に抜くためのものであり、底板70の凹入部700aと対向する。
天板部720は下方に凹入する凹入部720bを中央部に有し、つまみ体76を固定するためのねじ765の貫通孔と、底板70のボス部700dの外周に嵌合する筒部720cとを有する。
【0024】
天側係合部722A,722Bは、天板部720の周縁側であって周方向に間隔をおいて設けられている。天側係合部722A,722Bは、天板部720から底板70側に延伸する天側延伸部と、当該天側延伸部に形成された凸部とにより構成される。ここでは、天側延伸部は板状の天リブ部723A,723Bにより構成され、天リブ部723A,723Bの先端部に凸部724A,724Bが径方向の内側に突出するように形成されている。
凸部724A,724Bは底板70の貫通孔704A,704Bに嵌合することで、底側係合部702A,702Bと天側係合部722A,722Bとが係合する。なお、天リブ部723Aの延伸量は、底板70の凹入部700aのため、天リブ723Bの延伸量よりも少ない。
【0025】
天リブ部723A,723Bは天板部720の周方向に沿って延伸するように設けられ、周方向の両端に径方向(例えば、外側である)に延伸する一対の補助リブ部728A、728Bを有している。これにより、天リブ部723A,723Bを補強できる。
なお、底板70と天板72との結合状態では、天リブ部723A,723Bは、底リブ部703A,703Bに対して径方向の外側であって、一対の連結部708A,708B間に位置する。これにより、天板72が底板70に対して周方向と径方向とに位置規制される。
天リブ部723Aは、図6の(a)及び(b)に示すように、貫通孔720aに対して、径方向の内側に位置する。ここでは、天リブ部723Aは貫通孔720aに近接して設けられている。
天板72は、図5に示すように、天リブ部723Aに対して周方向の両側に、下側に延伸する一対の第2延伸部729を有している。一対の第2延伸部729は、天リブ部723Aに対して、周方向に間隔をおいて設けられている。一対の第2延伸部729の天リブ部723A側の端面は、図6の(c)及び(d)に示すように、一対の連結部708Aの周方向の外面に当接又は近接するように設けられている。これにより、天板72と底板70との周方向の位置決めが高い精度で行うことができ、内部の液体を抜けやすくできる。
一対の第2延伸部729は、延伸方向と直交する断面において、例えば「L」字状をしている。一対の第2延伸部729は、図5に示すように、その延伸先端(下端)であって天リブ部723A側に傾斜部729aを有している。傾斜部729aは、下方に移るにしたがって天リブ部723Aから離れるように傾斜している。これにより、天板72と底板70とを近づけた際に、天板72の凸部724Aが底板70の貫通孔704Aに嵌合するようにガイドされる。
【0026】
(2-3)パッキン
パッキン74は、図5並びに図6の(a)及び(b)に示すように、底板70の底周板部71が下方から嵌合する嵌合溝740を有する本体741と、本体741の外周部742の下端から径方向の外方へ折り返された折返部743とを有する。外周部742の外周面に、図6の(a)及び(b)に示すように、天板72の天周板部721が対向する。
【0027】
(2-4)つまみ体
つまみ体76は、図5に示すように、大径部761を上部、小径部763を下部に有する。大径部761は小径部763に対して着脱可能であり、小径部763は、底板70及び天板72側に固定するためのねじ765を収容すると共にその貫通孔を有する。
つまみ体76は、天板72の中央の凹入部720bに取り付けられる。これにより、容器3及び蓋体7の高さを抑えつつ、つまみ体76をつまみやすくできる。
【0028】
4.液体抜き方法
内部の液体を抜く方法について、図7を用いて説明する。
図7の(a)に示すように、液体8が、水平状態の蓋体7の内部空間内であって底板70の底板部700に存在する。
【0029】
液体8を抜くには、図7の(b)に示すように、天板72の貫通孔720aが下になるように、蓋体7を傾斜させる。これにより、液体8は、矢印Aのように、貫通孔704Aを通り、底周板部701側に移動する。この際、凹入部700aは、その周方向の中央部分、つまり、底板部700の中心と貫通孔704Aの周方向の中央位置とを結ぶ領域が周方向において最も低くなるように湾曲(少し凹入)しているため、内部空間内の液体8は、当該湾曲した部分を通り、貫通孔704Aへと向かう。
また、蓋体7を傾斜させることで、貫通孔704Aの下側に位置する下側部分706Aに達した液体8は、下側部分706Aの両側に段差部705A(図6の(c)参照)が存在するため、下側部分706Aから周方向に流れるのを防止できる。つまり、下側部分706Aと一対の段差部705Aとが水たまり部として機能するため、液体8が貫通孔704Aから離れるように流れるのを防止できる。
また、底リブ部703Aには、その貫通孔704Aの周方向の両側に一対の連結部708A(図6の(c)参照)を有しているため、下側部分706Aを乗り越えた液体8が、周方向に流れるのを防止できる。
【0030】
図7の(c)に示すように、さらに、蓋体7を傾斜させる。これにより、液体8は、矢印Bのように、貫通孔720aから流出する。この際、天リブ部723Aとパッキン74とが近接し、貫通孔720aが天リブ部723Aとパッキン74との間に位置するため、液体を抜けやすくできる。
【0031】
以上、実施形態を説明したが、この実施形態に限られるものではなく、例えば、以下のような変形例であってもよい。また、実施形態と変形例、変形例同士を組み合わせたものであってもよい。
また、実施形態や変形例に記載していない例や、要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。
【0032】
<変形例>
1.加熱装置
加熱装置1は、プログラムで自動調理可能としていたが、自動調理機能を有していなくてもよい。
安全対策として温度センサを2つ備えていたが、特許的には、備えてなくてもよいし、1つ備えてもよいし、3つ以上備えてもよい。
加熱装置1は、リードスイッチを備え、容器本体5が載置されると、容器本体5の磁石により通電可能(ON状態)となるが、他のスイッチを利用してもよい。他のスイッチとしては、可動部材114の下方の移動を検知する、ボタンスイッチやフォトセンサ等を利用できる。
【0033】
2.容器
容器3は、断面が円形状をしていたが、楕円、矩形状等の他の形状でもよい。また、容器3は、直径が高さの2倍以上ある偏平状をしていたが、直径が高さの2倍未満の容器であってもよい。
(1)容器本体
容器本体5は、上下方向に延伸する把持部分を有するハンドル部52、つまり、片手で容器本体5を持つことが可能なハンドル部52を有していたが、容器本体5の中央を挟んだ対向する部位に設けられ且つ両手で容器本体を持つことが可能なハンドル部であってもよいし、これら両方のタイプのハンドル部を有してもよいし、ハンドル部を着脱可能に設けてもよい。
【0034】
(2)蓋体
蓋体7は、内部空間の液体を抜くための貫通孔720a及びガイド部709を1個備えていたが、2個以上備えてもよい。但し、貫通孔720aを多くすることで、蓋体7を洗浄した際に内部空間に水等が入りやすくなる。このため、貫通孔720aは、1個又は2個が好ましい。
貫通孔720aは、周方向に長い矩形状をしていたが、径方向に長い矩形状であってもよいし、方形状であってもよいし、対角線が径方向と平行な方形や平行四辺形であってもよいし、楕円状、円形状、長円形状等であってもよい。
貫通孔720aとガイド部709は、底板70の張出部700bや凹入部700aに対応して設けられていたが、他の部位に設けてもよい。この場合、底板の内面、つまり、内部空間に面する部位が、凹入部700aの内面と同じように傾斜していることが好ましい。
貫通孔720aは、天板72側に設けられていたが、内部空間の液体を抜くことのみに着目すると、底板70側に設けてもよい。この場合、調理時の水蒸気等の侵入を防止するため、容器本体5の開口端面に当接する位置に設けるのが好ましい。
ガイド部709は、凹入部(傾斜部)700aに設けられているが、凹入していない部分に設けられてもよい。但し、液体の貫通孔720aへの誘導を考慮すると、少なくとも内面が貫通孔に近づくにしたがって天板72に近づくように傾斜している方が好ましい。
貫通孔720aとガイド部709は、底側係合部702Aと天側係合部722Aを利用して設けられているが、係合構造を有しないリブ部等を利用してもよい。つまり、ガイド部709は、液体を貫通孔720aに誘導する機能のみを有するように構成されてもよい。
蓋体7は、底板70と天板72とが係合することで一体に組み立てられているが、例えば、係合構造に代えて、ねじ等により、組み立てられる構造としてもよい。
つまみ体76は上方から見ると、円形状をしていたが、他の形状であってもよい。
【0035】
<その他>
実施形態では、蓋体7内に侵入した、水、洗剤、スープ、汁等の液体の取り出しに着目しているが、実施形態では、例えば、以下の発明が含まれている。
1.発明1
容器3と加熱装置1を備える調理用湯沸かし器が提案されている。しかしながら、提案されている調理用湯沸かし器では、料理の加熱を手動で行うため、加熱の強弱、時間等の調整(ヒータの調整)が面倒という課題がある。
本発明1は、容器と加熱装置とを備える調理用湯沸かし器において、前記加熱装置は、ヒータと、前記ヒータの加熱を制御する制御部とを備え、前記制御部は、調理内容に対応したプログラムを複数有し、使用者が選択した内容に対応したプログラムにしたがって前記ヒータを制御する。
これにより、ヒータの調整を行う必要がなく、容易に調理できる。
なお、発明1においては、容器3は蓋体7を有してもよいし、有しなくてもよい。また、蓋体7の構造、例えば、液体を抜けやすくする構造を有しなくてもよいし、後述の発明2のような温度センサを有しなくてもよい。
【0036】
2.発明2
容器と加熱装置とを備える調理用湯沸かし器が提案されている。加熱装置は容器を加熱することから、安全性を高めたいという要望がある。
発明2は、容器と加熱装置とを備える調理用湯沸かし器において、前記加熱装置は、ヒータを備える加熱ユニットと、前記ヒータの加熱を制御する制御ユニットと、前記加熱ユニットに載置された容器の温度に対応する温度を検出する第1温度センサと、前記ヒータの温度に対応する温度を検出する第2温度センサとを備える。
これにより、一方の温度センサが何らかの原因で動作しない場合でも、他方の温度センサにより温度が検出され、安全性を確保できる。
また、加熱装置は、前記ヒータを収容し且つ上面に前記容器が載置される加熱板と、前記加熱板の貫通孔に配され且つ前記加熱板よりも上方に出没可能に支持された可動部材とを有し、前記第1温度センサは前記可動部材に直接的又は間接的に設けられ、前記第2温度センサは前記加熱板に直接的又は間接的に設けられている。
あるいは、加熱装置は、前記ヒータを収容し且つ上面に前記容器が載置される加熱板と、前記加熱板の貫通孔に配され且つ前記加熱板よりも上方に出没可能に支持された可動部材と、前記加熱板を筐体に固定するための固定板とを有し、前記第1温度センサは前記可動部材に直接的又は間接的に設けられ、前記第2温度センサは、前記固定板に直接的又は間接的に設けられている。
これにより、例えば、容器以外の部材が可動部材を凹入させてヒータが駆動した場合、第1温度センサは、容器と当接していないため温度が過度に高くなることはないが、第2温度センサは容器が載置されていなくてもヒータの温度を検知できる。
前記制御部は、前記第1温度センサが第1温度になると前記ヒータの加熱を停止し、前記第2温度線センサが、前記第1温度よりも高い第2温度になると前記ヒータの加熱を停止する。これにより安全性をより一層向上できる。
【符号の説明】
【0037】
1 加熱装置
3 容器
5 容器本体
7 蓋体
70 底板
72 天板
709 ガイド部
720a 貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7