(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103516
(43)【公開日】2023-07-27
(54)【発明の名称】データロガーにおける時刻データの補正方法
(51)【国際特許分類】
G04G 3/02 20060101AFI20230720BHJP
G01D 9/00 20060101ALI20230720BHJP
【FI】
G04G3/02 D
G01D9/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022004054
(22)【出願日】2022-01-14
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、研究成果展開事業「バイオロギングのための超小型データロガーの開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】595115592
【氏名又は名称】学校法人鶴学園
(72)【発明者】
【氏名】升井 義博
【テーマコード(参考)】
2F002
2F070
【Fターム(参考)】
2F002AA13
2F002AB01
2F002AD06
2F002AE02
2F002CB02
2F002GA04
2F070AA01
2F070CC03
2F070CC06
2F070DD14
2F070DD20
2F070FF01
2F070FF12
2F070GG07
2F070HH05
(57)【要約】
【課題】 データロガーの小型化が可能であり、かつ回路面積の増大と消費電力の増大を引き起こさない時刻誤差補正方法の提供。
【解決手段】 温度センサとリアルタイムクロックを備えたデータロガーにおいて、前記温度センサで計測した計測結果と前記リアルタイムクロックの温度特性を用いて、前記リアルタイムクロックを用いて収集した時刻データの補正を行う。データロガーに追加のハードウエア(回路や素子等)を必要とせず、ソフトウエア的な補正により、温度変動により発生する時刻誤差の影響を小さくすることが可能となる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度センサとリアルタイムクロックを備えたデータロガーにおいて、前記温度センサで計測した計測結果と前記リアルタイムクロックの温度特性を用いて、前記リアルタイムクロックを用いて収集した時刻データの補正を行うことを特徴とする時刻補正方法。
【請求項2】
温度センサとリアルタイムクロックを備えたデータロガーにおいて、前記温度センサで計測した計測結果と前記リアルタイムクロックの温度特性を用いて、前記リアルタイムクロックを用いて収集した時刻データの補正を、データ収集後、外部デバイスにて行うことを特徴とする時刻補正方法。
【請求項3】
リアルタイムクロックを備えたデータロガーにおいて、外部の温度センサで計測した計測結果と前記リアルタイムクロックの温度特性を用いて、前記リアルタイムクロックを用いて収集した時刻データの補正を行うことを特徴とする時刻補正方法。
【請求項4】
リアルタイムクロックを備えたデータロガーにおいて、外部の温度センサで計測した計測結果と前記リアルタイムクロックの温度特性を用いて、前記リアルタイムクロックを用いて収集した時刻データの補正を、データ収集後、外部デバイスにて行うことを特徴とする時刻補正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデータロガーで収集した時刻データの補正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
温度、湿度、圧力、加速度、角速度等、あらゆるデータを収集するデータロガーにおいて温度変動に起因するRTC(リアルタイムクロック)の時刻誤差を補正するための手法が提案されてきた(例えば特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-47705号広報
【特許文献2】特開2015-184038号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1ではRTCの実現に水晶振動子が使われており、データロガーのサイズが大きくなるという課題があった。また特許文献2では小型化が可能な振動子を使用しないRTCが提案されているが、時刻誤差を補正する回路が必要となり、回路面積と消費電力の増大が課題となる。小型化が可能であり、かつ回路面積と消費電力の増大を引き起こさない時刻誤差の補正方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明ではデータロガーに追加のハードウエア(回路や素子等)を必要とせず、ソフトウエア的な補正により、温度変動により発生する時刻誤差の影響を小さくする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によればデータロガーに追加のハードウエア(回路や素子等)を必要とせず、ソフトウエア的な補正により、温度変動で発生する時刻誤差を補正することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】発明を実施するための一形態を示すブロック図である。
【
図3】20℃におけるRTC1の出力と理想時刻の関係を示した図である。
【
図4】-10℃におけるRTC1の出力と理想時刻の関係を示した図である。
【
図5】-10℃におけるRTC1の出力に本発明方法で補正をかけた時刻と理想時刻の関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
図1は本発明を実施するための一形態を示すブロック図である。RTC1と温度センサ5を備える一般的なデータロガー8を用いてデータを収集する場合、各センサが情報をいつ収集したかを決めるのはRTC1が刻む時刻である。例えばRTC1を構成する分周器3の出力パルスを1Hzとすると、カウンタ4で出力パルスを10回カウントすれば10秒、100回カウントすれば100秒経過したことがわかる。この時、RTC1が
図2に示すような温度特性を持つ場合は環境温度が変化することでRTC1が刻む時刻に誤差が発生することになる。
【0009】
例えば
図3に示すとおり環境温度20℃においてはRTC1の出力と理想時間の関係には誤差は発生しない。しかし、
図4に示すとおり環境温度が-10℃におけるRTC1の出力と理想時間の関係には誤差が発生する。これは、通常RTC1を構成する分周器3のパルス出力の周期を1秒としてカウントするが、-10℃においてはRTC1を構成する分周器3のパルス出力の周期はおよそ1.1008秒にずれるためである。
【0010】
この時、温度センサ5の出力データと
図2に示したRTC1の温度特性を参照し、RTC1を構成する分周器3のパルス出力の周期を1秒ではなく1.1008秒として時刻を補正すると
図5に示すとおり補正後のRTC1の出力と理想時間との誤差を小さくすることができる。
【0011】
温度センサ5の出力データとRTC1の温度特性を利用して時刻補正を行う本発明において、RTC1と温度センサ5を備える一般的なデータロガー8にハードウエア(回路や素子等)を追加する必要はなく、データロガーでデータを収集した後、収集したデータを外部デバイス(PCや電子計算機、電子端末等)でソフトウエア的に処理することで時刻を補正することが可能となる。そのためデータロガー本体のサイズが大きくなることも無く、データロガーがデータを収集する時の消費電力が増大することも無い。
【0012】
温度センサ5の出力データとRTC1の温度特性を利用して時刻補正を行う本発明において、RTC1の温度特性が2次特性、3次特性を持ったとしても時刻補正が可能である。当然、時間と共に環境温度が変化した場合も本発明方法にて時刻補正が可能である。また、
図2に例として示したRTC1の温度特性において、より高い分解能で温度特性を用意することで時刻補正の精度を上げることが可能となる。また、RTC1の温度特性を数式で表現し、時刻補正に用いてもよい。
【0013】
温度センサ5の出力データとRTC1の温度特性を利用して時刻補正を行う本発明において、温度センサはデータロガーが備えている温度センサ5を利用してもよいし、データロガー外部の温度センサを用いて時刻補正を行ってもよい。
【0014】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施するための形態に記載の範囲に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明(データロガーにおける時刻データの補正方法)はデータロガーで収集したデータに対して利用することができる。
【符号の説明】
【0016】
1 RTC(リアルタイムクロック)
2 発振器
3 分周器
4 カウンタ
5 温度センサ
6 その他のセンサ
7 メモリ
8 一般的なデータロガー