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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023010353
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】計測装置及び計測プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0484 20220101AFI20230113BHJP
   G06F 3/0481 20220101ALI20230113BHJP
【FI】
G06F3/0484
G06F3/0481
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021114437
(22)【出願日】2021-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】000105062
【氏名又は名称】グラフテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【弁理士】
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】伊澤 耕一
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA24
5E555AA42
5E555AA45
5E555AA71
5E555AA77
5E555BA21
5E555BB21
5E555BC01
5E555BE09
5E555CA12
5E555CB12
5E555CB38
5E555DB05
5E555DB24
5E555DC11
5E555DC13
5E555DD01
5E555EA03
5E555FA00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】より簡単に計測諸元の確認と設定変更を行うことが可能な計測記録装置及び計測プログラムを提供する。
【解決手段】計測データを取得する取得部20と、計測データを記録する記録部26と、電力を供給する電源部22とを有する計測装置1であって、基本機能と詳細機能とパラメータに関する設定入力を受け付ける設定入力画面を介して設定情報を取得する諸元設定部28と、基本機能又は詳細機能の選別入力を受け付ける機能選別画面を介して基本機能又は詳細機能を選別する機能選別部29と、基本機能と詳細機能とパラメータとは階層関係を有し、機能選別部29によって選別されていない基本機能又は詳細機能と、そのパラメータを、階層関係に基づいて設定入力画面に表示しないように制御する表示制御部30と、機能選別部29による選別結果に基づいて、電源部22が出力する電力の供給を遮断する電力制御部32と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測データを取得する取得部と、前記取得部が取得した計測データを記録する記録部と、前記取得部及び前記記録部に対して電力を供給する電源部と、を有する計測装置であって、
基本機能と、前記基本機能に関する詳細機能と、前記基本機能又は前記詳細機能に関するパラメータについての設定入力を受け付ける設定入力画面を介して設定情報を取得する設定情報取得部と、
前記基本機能又は前記詳細機能の選別入力を受け付ける機能選別画面を介して前記基本機能又は前記詳細機能を選別する機能選別部と、
前記基本機能と、前記詳細機能と、前記基本機能又は前記詳細機能に関するパラメータとは、階層関係を有し、前記機能選別部によって選別されていない前記基本機能又は前記詳細機能と、該選別されていない前記基本機能又は前記詳細機能に関するパラメータを、前記階層関係に基づいて前記設定入力画面に表示しないように制御する表示制御部と、
前記機能選別部による選別結果に基づいて、前記電源部が出力する電力の供給を遮断する電力制御部と、
を備えることを特徴とする計測装置。
【請求項2】
前記設定入力画面は、前記基本機能と、前記詳細機能と、前記基本機能又は前記詳細機能に関するパラメータであってユーザが設定入力可能な独立パラメータと、前記独立パラメータから算出される従属パラメータとを表示し、
前記表示制御部は、前記機能選別部によって選別されていない前記基本機能又は前記詳細機能と、該選別されていない前記基本機能又は前記詳細機能に関する前記独立パラメータ及び前記従属パラメータを前記設定入力画面に表示しないように表示制御することを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記機能選別部によって所定の前記基本機能が選別されていない場合、前記所定の基本機能と、該所定の前記基本機能の下位の階層関係にある前記詳細機能と、前記所定の基本機能及び前記詳細機能に関する前記パラメータを表示しないように制御するとともに、前記機能選別部によって所定の前記詳細機能が選別されていない場合、前記所定の詳細機能の上位の階層関係にある前記基本機能に関する前記設定入力画面内の配置を変更することを特徴とする請求項2に記載の計測装置。
【請求項4】
前記基本機能は、
前記計測データを取得する取得機能と、
前記取得部が取得した前記計測データを前記記録部に記録する記録機能と、
前記計測データが所定の条件を満たすことを通知する通知機能と、
前記計測データを、外部の情報通信機器との間で送受信する通信機能と、
前記計測データの経時変化を示す波形を表示する表示機能と、
を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の計測装置。
【請求項5】
前記基本機能及び前記詳細機能の案内情報を記憶する案内情報記憶部を有し、
前記機能選別部は、前記案内情報を前記機能選別画面に表示するとともに、前記基本機能又は前記詳細機能の選別を受け付けることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の計測装置。
【請求項6】
前記基本機能及び前記詳細機能の利用状況を判定する利用状況判定部を有し、
前記機能選別部は、前記利用状況判定部による判定結果を前記機能選別画面に表示するとともに、前記基本機能又は前記詳細機能の選別を受け付けることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の計測装置。
【請求項7】
計測データを取得する取得部と、前記取得部が取得した計測データを記録する記録部と、前記取得部及び前記記録部に対して電力を供給する電源部と、を有する計測装置を、
基本機能と、前記基本機能に関する詳細機能と、前記基本機能又は前記詳細機能に関するパラメータについての設定入力を受け付ける設定入力画面を介して設定情報を取得する設定情報取得手段、
前記基本機能又は前記詳細機能の選別入力を受け付ける機能選別画面を介して前記基本機能又は前記詳細機能を選別する機能選別手段、
前記基本機能と、前記詳細機能と、前記基本機能又は前記詳細機能に関するパラメータとは、階層関係を有し、前記機能選別手段によって選別されていない前記基本機能又は前記詳細機能と、該選別されていない前記基本機能又は前記詳細機能に関するパラメータを、前記階層関係に基づいて前記設定入力画面に表示しないように制御する表示制御手段、
前記機能選別手段による選別結果に基づいて、前記電源部が出力する電力の供給を遮断する電力制御手段、
として機能させることを特徴とする計測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測装置及び計測プログラムに係り、特に、記録機能を有する計測装置及び計測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
計測記録装置は、各種の信号を取得して記録する機能を有しており、一般にデータ・ロガーとも呼ばれている。
近年、計測記録装置は様々な場面で利用されている。例えば、製造現場の環境条件(温度、及び湿度)を管理する目的で、製造現場に温度センサと湿度センサを設置し、これらの出力を監視するために計測記録装置が利用されている。また、プラントの運転状態や各種装置の内部温度を監視するために計測記録装置が利用される場合もある。
計測記録装置の普及に伴って、計測記録装置の多機能化及び高性能化が進んでいる。すなわち、計測記録装置の利用環境の多様化に対応するべく、1台の計測記録装置に対して、豊富な機能を搭載することが行われている。例えば計測対象として、温度、湿度に加えて照度、紫外線、二酸化炭素の計測が可能な計測記録装置が普及している。また、同時に測定可能なチャンネル数の増加や外部の情報通信機器と計測データを送受信するための通信機能の拡張等が行われている。
【0003】
ここで、計測記録装置を操作するユーザは、豊富な機能と性能を十分に活用するために、予め計測記録装置に対して適切な諸元(設定情報)を入力しなければならないところ、計測記録装置に不慣れなユーザにとって、設定情報の役割を十分に理解したうえで最適な設定情報を入力することは容易ではなかった。
【0004】
特許文献1には、設定値の確認や設定変更が容易な画面表示方法及びこれを用いた測定器が提案されている。すなわち、特許文献1には、1つの画面上に全ての計測諸元を一覧表示するとともに、スクロールバーを操作することによって表示範囲を変更可能な設定値詳細表示画面が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-029591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された測定器によれば、測定器の全ての諸元を網羅的に確認し、設定変更することができる。
しかしながら、計測記録装置の多機能化や高性能化にともない、設定しなければならない諸元の数と種類が増加し、複雑化する傾向にあり、諸元の設定方法に関して、更なる改善が望まれていた。
【0007】
また、計測記録装置の多機能化と高性能化が進むにつれて、計測記録装置が消費する電力が増加する傾向があった。そこで、省エネルギー性の向上と、バッテリー駆動時間の長期化の観点から、計測記録装置の消費電力の抑制が望まれていた。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、より簡単に諸元の確認と設定変更を行うことが可能な計測記録装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、消費電力を抑制することが可能な計測記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題は、本発明の計測装置によれば、計測データを取得する取得部と、前記取得部が取得した計測データを記録する記録部と、前記取得部及び前記記録部に対して電力を供給する電源部と、を有する計測装置であって、基本機能と、前記基本機能に関する詳細機能と、前記基本機能又は前記詳細機能に関するパラメータについての設定入力を受け付ける設定入力画面を介して設定情報を取得する設定情報取得部と、前記基本機能又は前記詳細機能の選別入力を受け付ける機能選別画面を介して前記基本機能又は前記詳細機能を選別する機能選別部と、前記基本機能と、前記詳細機能と、前記基本機能又は前記詳細機能に関するパラメータとは、階層関係を有し、前記機能選別部によって選別されていない前記基本機能又は前記詳細機能と、該選別されていない前記基本機能又は前記詳細機能に関するパラメータを、前記階層関係に基づいて前記設定入力画面に表示しないように制御する表示制御部と、前記機能選別部による選別結果に基づいて、前記電源部が出力する電力の供給を遮断する電力制御部と、を備えることにより解決される。
【0010】
上記構成によれば、基本機能、詳細機能及びこれらのパラメータからなる設定情報は、設定入力画面において、階層的に表示されるため、基本機能と、詳細機能とこれらのパラメータの関係性を直感的に把握することが容易となり、計測記録装置に不慣れなユーザであっても、設定入力画面の表示内容の把握が容易となる。
また、機能選別されていない計測機能は、設定入力画面に表示されないように表示制御されるため、不要な機能に関する計測諸元によって設定入力画面が複雑化してしまうことを防止することができる。これにより、ユーザは設定入力画面の表示内容の把握が容易となり、より簡単に諸元の確認と設定変更を行うことが可能となる。
また、電力制御部は、機能選別結果に基づいて電気回路に対する電力の供給を遮断するため、不要な構成によって電気エネルギーが消費されてしまうことが防止され、消費電力を抑制することが可能となる。
【0011】
また、前記設定入力画面は、前記基本機能と、前記詳細機能と、前記基本機能又は前記詳細機能に関するパラメータであってユーザが設定入力可能な独立パラメータと、前記独立パラメータから算出される従属パラメータとを表示し、前記表示制御部は、前記機能選別部によって選別されていない前記基本機能又は前記詳細機能と、該選別されていない前記基本機能又は前記詳細機能に関する前記独立パラメータと前記従属パラメータを前記設定入力画面に表示しないように表示制御すると好適である。
上記構成によれば、独立パラメータとともに従属パラメータを設定入力画面に表示することにより、ユーザは、独立パラメータを設定変更することによる影響を、従属パラメータを確認することによって把握することができるため、計測記録装置に不慣れなユーザであっても、設定入力画面の表示内容の把握が容易となる。また、機能選別されていない計測機能と、その計測機能に関する独立パラメータと従属パラメータを一括して設定入力画面に表示しないように制御するため、ユーザは設定入力画面の表示内容の把握が容易となり、より簡単に諸元の確認と設定変更を行うことが可能となる。
【0012】
また、前記表示制御部は、前記機能選別部によって所定の前記基本機能が選別されていない場合、前記所定の基本機能と、該所定の前記基本機能の下位の階層関係にある前記詳細機能と、前記所定の基本機能及び前記詳細機能に関する前記パラメータを表示しないように制御するとともに、前記機能選別部によって所定の前記詳細機能が選別されていない場合、前記所定の詳細機能の上位の階層関係にある前記基本機能に関する前記設定入力画面内の配置を変更すると好適である。
上記構成によれば、機能選別部によって選別されていない機能が基本機能と詳細機能のいずれかに基づいて、設定入力画面が適切に表示制御される。これにより、ユーザは設定入力画面の表示内容の把握が容易となり、より簡単に諸元の確認と設定変更を行うことが可能となる。
【0013】
また、前記基本機能は、前記計測データを取得する取得機能と、前記取得部が取得した前記計測データを前記記録部に記録する記録機能と、前記計測データが所定の条件を満たすことを通知する通知機能と、前記計測データを、外部の情報通信機器との間で送受信する通信機能と、前記計測データの経時変化を示す波形を表示する表示機能と、を含むと好適である。
上記構成によれば、計測装置は少なくとも取得機能と、記録機能と、通知機能と、通信機能と、表示機能とを含む豊富な機能を搭載するため、1台の計測記録装置で多様な利用状況に対応することが可能となる。
【0014】
また、前記基本機能及び前記詳細機能の案内情報を記憶する案内情報記憶部を有し、前記機能選別部は、前記案内情報を前記機能選別画面に表示するとともに、前記基本機能又は前記詳細機能の選別を受け付けると好適である。
上記構成によれば、ユーザは、案内情報を確認しながら必要な機能の選別を行うことができるため、計測装置に不慣れなユーザであっても適切に機能選別を行うことが可能となる。
【0015】
また、前記基本機能及び前記詳細機能の利用状況を判定する利用状況判定部を有し、前記機能選別部は、前記利用状況判定部による判定結果を前記機能選別画面に表示するとともに、前記基本機能又は前記詳細機能の選別を受け付けると好適である。
上記構成によれば、計測装置の利用状況に基づいて自動的に判定するため、計測装置に不慣れなユーザであっても適切に機能選別を行うことが可能となる。
【0016】
前記課題は、本発明の計測プログラムによれば、計測データを取得する取得部と、前記取得部が取得した計測データを記録する記録部と、前記取得部及び前記記録部に対して電力を供給する電源部と、を有する計測装置を、基本機能と、前記基本機能に関する詳細機能と、前記基本機能又は前記詳細機能に関するパラメータについての設定入力を受け付ける設定入力画面を介して設定情報を取得する設定情報取得手段、前記基本機能又は前記詳細機能の選別入力を受け付ける機能選別画面を介して前記基本機能又は前記詳細機能を選別する機能選別手段、前記基本機能と、前記詳細機能と、前記基本機能又は前記詳細機能に関するパラメータとは、階層関係を有し、前記機能選別手段によって選別されていない前記基本機能又は前記詳細機能と、該選別されていない前記基本機能又は前記詳細機能に関するパラメータを、前記階層関係に基づいて前記設定入力画面に表示しないように制御する表示制御手段、前記機能選別手段による選別結果に基づいて、前記電源部が出力する電力の供給を遮断する電力制御手段、として機能させることにより解決される。
【0017】
上記構成によれば、基本機能、詳細機能及びこれらのパラメータからなる設定情報は、設定入力画面において、階層的に表示されるため、基本機能と、詳細機能とこれらのパラメータの関係性を直感的に把握することが容易となり、計測記録装置に不慣れなユーザであっても、設定入力画面の表示内容の把握が容易となる。
また、機能選別されていない計測機能は、設定入力画面に表示されないように表示制御されるため、不要な機能に関する計測諸元によって設定入力画面が複雑化してしまうことを防止することができる。これにより、ユーザは設定入力画面の表示内容の把握が容易となり、より簡単に諸元の確認と設定変更を行うことが可能となる。
また、電力制御部は、機能選別結果に基づいて電気回路に対する電力の供給を遮断するため、不要な構成によって電気エネルギーが消費されてしまうことが防止され、消費電力を抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の計測記録装置によれば、より簡単に計測諸元の確認と設定変更を行うことができる。また、計測記録装置の消費電力の抑制が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】計測記録装置の外観を示す正面図である。
図2】計測記録装置の外観を示す斜視図である。
図3】計測記録装置の機能構成を示す図である。
図4】設定情報の階層関係を説明するための図である。
図5A】設定入力画面の一例であって、機能選別される前の状態を示す図である。
図5B】設定入力画面の一例であって、機能選別された後の状態を示す図である。
図6】リング収録機能及びリレー収録機能を説明するための図である。
図7】機能選別画面の一例を示す図である。
図8A】設定入力画面の一例を示す図であって、機能選別される前の状態を示す図である。
図8B】設定入力画面の一例であって、機能選別された後の状態を示す図である。
図9】電源遮断機能を説明するための図である。
図10】制御部が実行する処理の流れを示す図である。
図11】機能選別画面の第一変形例を示す図である。
図12】機能選別画面の第二変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図1乃至図12を参照しながら、本発明の一実施形態(以下、本実施形態)に係る計測記録装置1について説明する。本実施形態に係る計測記録装置1(計測装置)は、持ち運び可能な外形寸法及び重量を有し、温度及び湿度等の計測が可能な複数の計測チャンネルと、計測データを記録可能な記録媒体を備えている。
なお、計測記録装置1は、図2に示すように、横置きの状態、又は後述する背面2bに配設された支持脚によって水平面に対して若干の傾きを持たせた状態で使用される。
【0021】
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、以下に説明する部材の形状、寸法、配置等については、本発明の趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0022】
<計測記録装置1の主要構成>
本実施形態に係る計測記録装置1の主要構成について説明する。
図1及び図2は、それぞれ計測記録装置1の外観を示す正面図、及び斜視図である。
図1及び図2に示すように、計測記録装置1は、筐体2を有する。
本明細書において、図2に示すように計測記録装置1を横置きにした状態において、筐体2の鉛直方向上向きに形成された面を、正面2aとし、鉛直方向下向きであって正面2aと反対側の面を背面2bとする。また、計測記録装置1の正面2aに正対するユーザの右手側、左手側に形成された側面を、それぞれ筐体2の右側面2c、左側面2dとする。そして、図1に示すように、計測記録装置1の正面2a、右側面2c、及び左側面2dと直交する面を上面2e及び下面2fとする。
【0023】
筐体2の上面2eには、複数のセンサを同時に接続可能な多チャンネル入力コネクタ3と、湿度センサを接続可能な湿度センサ用コネクタ4が配設されている。
多チャンネル入力コネクタ3は、20組の入力端子(入力チャンネル)から構成されており、各入力チャンネルに温度センサ(熱電対又は三線式の測温抵抗体)等を接続することにより最大で20チャンネルの計測データを同時に取得することができる。
なお、多チャンネル入力コネクタ3の入力チャンネル数は、20チャンネルに限定されない。すなわち、多チャンネル入力コネクタ3が20以上の入力チャンネルを有していてもよい。また、接続するセンサの種類は、温度センサに限定されない。電圧センサ又は電流センサを接続することも可能である。
湿度センサ用コネクタ4には、容量式湿度センサ又は抵抗式湿度センサを接続することができる。
【0024】
筐体2の右側面2cには、多目的入力コネクタ5が配設されている。多目的入力コネクタ5は、温度センサ、湿度センサの他に、照度センサ、紫外線センサ、二酸化炭素センサなど、さまざまな計測データを取得可能なセンサ・インターフェースを有している。計測記録装置1は、多目的入力コネクタ5に接続するセンサを交換することによって様々な種類の計測データを取得することができる。
なお、接続可能なセンサの種類は上述したセンサに限定されない。例えば加速度センサが接続可能であってもよい。
【0025】
筐体2の正面2aには、液晶表示装置からなる表示パネル6及び3つの発光ダイオードからなる状態表示部7が配設されている。表示パネル6には、多チャンネル入力コネクタ3、湿度センサ用コネクタ4、又は多目的入力コネクタ5から入力された計測データの経時変化を示す波形を表示する波形表示画面や、後述する設定入力画面50及び機能選別画面60が表示される。
状態表示部7は、電源LED7aと、収録中LED7bと、充電中LED7cと、を有している。電源LED7aは、点灯、又は消灯することによって、計測記録装置1に対して電気エネルギーが投入された状態にあるか否かを示す。収録中LED7bは、後述する記録部26に対して計測データを記録中の状態であるか否かを示す。充電中LED7cは、後述する二次電池15が充電中の状態にあるか否かを示す。
【0026】
筐体2の正面2aには、操作キー8が配設されている。操作キー8は、計測記録装置1が有する取得機能、記録機能、通知機能、通信機能、表示機能など、各機能の設定入力等を行うために操作される。各機能の詳細については後述する。
また、筐体2の右側面2cには、電源投入スイッチ9が配設されており、ユーザは、電源投入スイッチ9を操作することにより、計測記録装置1に対して電気エネルギーを投入することができる。
【0027】
筐体2の右側面2cには、第一の記録媒体挿入部10が形成されており、第一の記録媒体を挿入することができる。また、筐体2の上面2eには、第二の記録媒体挿入部11が形成されており、第二の記録媒体を挿入することができる。第一の記録媒体及び第二の記録媒体は、カード型の不揮発性記録媒体であって、フラッシュメモリである。
第一の記録媒体挿入部10及び第二の記録媒体挿入部11を、保護カバーで被覆することによって異物が侵入することを防止してもよい。これにより、異物の侵入によって第一の記録媒体、又は第二の記録媒体の電気的接続状態が悪化してしまうことを防止することができる。
計測記録装置1は、取得した計測データを、計測記録装置1に内蔵された記録媒体、第一の記録媒体、及び第二の記録媒体のいずれかに記録することができる。
【0028】
計測記録装置1は、左側面2dに、外部の情報通信機器と通信するための通信ケーブルを接続可能な通信コネクタ(不図示)を有している。これにより、計測記録装置1は、取得した計測データを外部の情報通信機器に送信することができるとともに、外部の情報通信機器から計測データを受信して表示パネル6に再生表示することができる。
また、筐体2の上面2eには、無線通信ユニットを装着可能な無線通信ユニット接続コネクタ13が形成されている。計測記録装置1に無線通信ユニットを装着することにより、無線通信回線を介して計測データを送受信することができる。これにより、計測記録装置1を持ち運びながら計測を行う場合であっても、通信ケーブルを引き回す必要がないため、利便性が向上する。
【0029】
筐体2の左側面2dには、電源コネクタ(不図示)が形成されており、計測記録装置1が必要とする電気エネルギーを、電源コネクタを介して外部電源から供給することができる。
また、筐体2の背面2bには、二次電池15を装着可能なバッテリー装着スロット(不図)が形成されている。計測記録装置1は、左側面2dに形成された電源コネクタを介して外部電源から電源供給されていない時には、二次電池15に蓄積された電気エネルギーを利用することができる。
【0030】
筐体2の背面2bには、支持脚(不図示)が配設されている。支持脚は、背面2bから突出した状態と突出しない状態との間で変位可能な突片である。支持脚を背面2bから突出した状態とすることにより、計測記録装置1を、横置き状態(水平状態)に対して所定の傾斜角度を有する状態に固定することができる。これにより、計測記録装置1とユーザとの相対的な位置関係に応じて計測記録装置1を適切な角度に固定して使用することが可能となり、表示パネル6の視認性及び操作キー8の操作性が向上する。
【0031】
<計測記録装置1の機能構成>
次に、計測記録装置1の機能構成について説明する。
図3は、計測記録装置1の機能構成を示す図である。図3に示すように、計測記録装置1は、その機能構成として、取得部20と、操作入力部21と、電源部22と、表示部23と、通知部24と、通信部25と、記録部26、制御部27と、を有している。
取得部20は、各種センサSが検出した計測データを取得する。取得部20は、各種センサSが出力する電気信号を増幅するための増幅器や、検出信号からノイズ成分を除去するためのノイズ除去フィルタや、アナログ信号をディジタル信号に変換するA/D変換器を含んでいる。
なお、本明細書において、取得部20が取得した計測データと、予め記録部26に格納されていた計測データと、外部の情報通信機器から通信部25を介して受信した計測データを区別する必要がない場合には、単に計測データと呼ぶ。
【0032】
操作入力部21は、ユーザの操作入力を受け付ける操作キー8を有している。操作キー8を介してユーザが入力する操作については、図4図6及び図7を参照して後述する。操作入力部21は、表示パネル6を介してユーザの操作を入力可能なタッチ式センサであってもよい。
電源部22は、外部電源から(例えば商用電源からACアダプタを介して)電力の供給を受けることができ、計測記録装置1の各構成部品に対して電力を供給する。
電源部22はまた、二次電池15を有している。二次電池15は、リチウムイオン電池であって、電源コネクタに外部電源が接続された場合には、外部電源から供給される電気エネルギーを蓄電する。電源コネクタに外部電源が接続されていない場合には、蓄電された電気エネルギーを、計測記録装置1の各構成部品に対して供給する。二次電池15は、計測記録装置1の背面2bに着脱可能なバッテリーパックである。
【0033】
表示部23は、液晶表示装置からなり、取得部20が取得した計測データの経時的な変化を示す波形をリアルタイム表示する。また、後述する記録部26に記録された計測データを再生して表示(オフライン表示)することも可能である。そして表示部23は、計測記録装置1に対する設定入力を受け付ける設定入力画面50と、所定の機能の選別を受け付ける機能選別画面60を表示する。設定入力画面50と機能選別画面60については後述する。
【0034】
通知部24は、取得部20が取得した計測データが所定の条件を満たした場合にその旨を通知する。通知は、音又は表示を出力することによって行われる。所定の条件とは、例えば計測データが予め定められた振幅レベルを上回ることや、逆に下回ることである。
通信部25は、外部の情報通信機器との間に通信回線を確立可能な通信インターフェースである。通信回線は、有線、又は無線による通信回線であって、例えばイーサネット通信回線、USB通信回線、無線LAN通信回線が含まれる。
【0035】
記録部26は、計測記録装置1に内蔵されたEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、あるいはフラッシュメモリ、SDメモリカード等からなる不揮発性の補助記憶装置である。記録部26には、計測データと、後述する諸元設定部28が取得した設定情報と、機能選別部29が取得する機能選別情報が格納される。
記録部26には、計測記録装置1に内蔵された補助記憶媒体の他に、上述した第一の記録媒体挿入部10又は第二の記録媒体挿入部11に挿入された着脱式の記録媒体が含まれる。
【0036】
制御部27は、CPU(コンピュータに相当)と、ROM(不揮発性メモリ)とRAM(揮発性メモリ)から構成されており、計測記録装置1全体の制御を司る。CPUは、ROMに格納されたプログラム・モジュール群から、必要なプログラム・モジュールをRAMにロードして順次実行する。これにより、制御部27は、後述する諸元設定部28、機能選別部29、表示制御部30、通知制御部31及び電力制御部32として機能する。
【0037】
設定情報取得部及び設定情報取得手段に相当する諸元設定部28は、設定入力画面50を介したユーザの入力操作に基づいて、計測記録装置1に対する設定情報を取得し、計測記録装置1に対する設定処理を行う。諸元設定部28が取得する設定情報には、計測記録装置1が有する機能の有効又は無効に関する情報(オン/オフ情報)と、その機能に関するパラメータの値が含まれる。
【0038】
ここで、設定情報が有する階層関係について説明する。
図4は、設定情報の階層関係を説明するための図である。
図4に示すように、設定情報は、基本機能と、基本機能に関するパラメータと、基本機能に関する詳細機能と、詳細機能に関するパラメータによって構成されている。図4において、基本機能Aと、基本機能Aに関するパラメータB、パラメータCと、詳細機能D、詳細機能H、詳細機能Jが示されている。また、詳細機能Dに関するパラメータとして、パラメータE、パラメータF、及びパラメータGが、詳細機能Hに関するパラメータとしてパラメータIが示されている。
【0039】
基本機能に関する設定情報は、基本機能の有効又は無効に関する情報と、基本機能に関するパラメータ値と、詳細機能に関する設定情報によって構成されている。そして、詳細機能に関する設定情報は、詳細機能の有効又は無効に関する情報と、詳細機能に関するパラメータ値とによって構成されている。このような関係を、設定情報に関する階層関係と呼ぶ。すなわち、基本機能は、詳細機能に対して上位の階層関係にあり、逆に詳細機能は、基本機能に対して下位の階層関係にある。
なお、図4では基本機能に関するパラメータが2つ、詳細機能が3つ示されているが、パラメータ及び詳細機能の数は、図4に示されている数に限定されない。また、基本機能に対して下位の階層関係にある詳細機能が、さらに下位の階層関係にある機能の設定情報を含んでいてもよい。
【0040】
次に、設定情報の入力を受け付ける設定入力画面50について説明する。
図5Aは、設定入力画面50の一例を示している。図5Aに示すように、設定入力画面50は、タブ選択領域51と、設定情報入力領域52を有している。タブ選択領域51には、「AMP」タブと、「DATA」タブと、「ALARM」タブと、「I/F」タブと、「DISP」タブが表示されている。ユーザがいずれかのタブを選択することで、そのタブに関連付けられた設定情報が設定情報入力領域52に表示されて、設定情報の入力が可能となる。タブ選択領域51に表示される各タブは、計測記録装置1が有する5つの基本機能、すなわち取得機能、記録機能、通知機能、通信機能及び表示機能に対応している。
このように、計測記録装置1の設定情報を、その階層関係に基づいて表示することにより、ユーザによる設定情報の把握が容易となる。
【0041】
「AMP」タブが選択されると、取得機能に関する設定情報が設定情報入力領域52に表示される。取得機能とは、計測記録装置1に接続される各種センサSを介して、温度、湿度等の計測データを取得する機能である。
「AMP」タブを選択することによって、ユーザは取得機能に関する設定情報の確認と設定入力を行うことができる。具体的には、ユーザは、取得する計測データの種類、センサSが接続される入力チャンネル、ダイナミックレンジ(増幅率)、雑音除去フィルタ等に関する設定入力等を行うことができる。
【0042】
「DATA」タブが選択されると、記録機能に関する設定情報が設定情報入力領域52に表示される。記録機能とは、取得部20によって取得された計測データを記録部26に記録する機能である。
「DATA」タブを選択することによって、ユーザは記録機能に関する設定情報の確認と設定入力を行うことができる。
図5Aは、「DATA」タブが選択された状態の設定入力画面50を示している。図5Aにおいて、設定情報入力領域52には、機能概要表示53と、パラメータ入力領域54と、詳細機能諸元入力領域55が形成されている。機能概要表示53は、「DATA」タブに対応する記録機能に関する概要案内文が表示される。
【0043】
パラメータ入力領域54は、記録機能に関するパラメータの設定入力が可能な領域であって、図5Aには、サンプリング間隔を入力可能なサンプリング間隔入力領域54aと、収録先ファイル名を入力可能な収録先ファイル名入力領域54bが形成されている。
サンプリング間隔とは、計測データの記録タイミング(記録時刻の間隔)を規定するパラメータである。そして収録先ファイル名とは、記録部26に格納される計測データのファイル名を規定するパラメータである。
【0044】
詳細機能諸元入力領域55は、基本機能である記録機能の下位の詳細機能に関する設定情報を入力可能な領域である。すなわち、詳細機能諸元入力領域55には、リング収録諸元入力領域55aと、リレー収録諸元入力領域55bと、外部サンプリング諸元入力領域55cが形成されている。リング収録諸元入力領域55aは、リング収録機能に関する設定入力を行う領域である。リレー収録諸元入力領域55bは、リレー収録機能に関する設定入力を行う領域である。外部サンプリング諸元入力領域55cは、外部サンプリング機能に関する設定入力を行う領域である。
【0045】
ここで、リング収録機能、リレー収録機能、外部サンプリング機能について、順番に説明する。
リング収録機能とは、計測データを格納するファイルを、所定のデータ点数(予め設定されたデータ点数であって、以下ではこれをリング収録点数と呼ぶ)ごとに切り替えるとともに、過去に保存されたファイルを記録部26から順次消去する機能である。
【0046】
図6に示すように、時刻T0においてユーザが操作キー8を操作することによって計測データの記録を開始すると、取得部20が取得する計測データは、ファイルAに格納される。時間の経過とともに、計測データのデータ点数が上述したリング収録点数に到達すると、この時点T1以降、取得部20が取得する計測データは、ファイルBに格納される。そして、ファイルBに格納された計測データのデータ点数が再びリング収録点数に到達すると、この時点T2以降、取得部20が取得する計測データは、ファイルCに格納される。このとき、ファイルAは記録部26から削除される。そして、ファイルCに格納された計測データのデータ点数が再びリング収録点数に到達すると、この時点T3以降、取得部20が取得する計測データは、ファイルDに格納される。このとき、ファイルBは記録部26から削除される。
【0047】
この後、ユーザが操作キー8を操作することによって計測データの記録を停止すると、削除されることなく残存したファイルCとファイルDに格納された計測データが記録部26に保存される。一方、ファイルAとファイルBは記録部26から削除されている。これにより、最新の計測データを確実に収録しつつ、記録部26の記録容量の節約を図ることが可能となる。すなわち、リング収録機能を利用すると、リング収録点数の2倍を超える計測データが一度に記録部26に収録されることはない。
【0048】
リング収録機能を利用して計測データの記録を行う場合、ユーザは、図5Aに示すように、リング収録機能有効化入力領域55a1に対して、リング収録機能を有効化するように設定入力(「ON」を選択)する。そして、リング収録点数入力領域55a2に表示された、「リング収録点数」のパラメータにユーザが希望する計測データ点数を入力する。すると、リング収録時間表示領域55a3における「リング収録時間」のパラメータには、1ファイルに収録可能な計測時間が表示される。
【0049】
このように、設定入力画面50には、計測記録装置1が有する機能について、その機能の有効化(「ON」)と、無効化(「OFF」)を設定入力することができる。そして機能を有効化した場合には、その機能に関するパラメータであって、ユーザが設定入力可能な独立パラメータである「リング収録点数」の入力が可能となる。ユーザが独立パラメータを設定入力すると、独立パラメータに対する従属パラメータである「リング収録時間」が表示される。リング収録時間は、リング収録点数とサンプリング間隔の2つのパラメータを乗算することによって得られるパラメータであり、計測データを格納するファイルが切り替えられるタイミングを示している。なお、ユーザは、従属パラメータを直接、設定入力することはできない。
独立パラメータとともに従属パラメータを設定入力画面50に表示させることにより、ユーザは、自らが入力した独立パラメータが他のパラメータ(従属パラメータ)に及ぼす影響を認識することができる。これにより、計測記録装置1に不慣れなユーザであっても、設定入力画面50の表示された設定情報が有する役割を認識することが可能となる。
【0050】
次に、再び図6を参照してリレー収録機能について説明する。
リレー収録機能とは、ファイルの最大容量(予め設定された容量であって、以下ではこれをリレー容量と呼ぶ)ごとに計測データを格納するファイルを切り替えることにより、ファイルの最大容量より大きな容量を有する計測データの記録を可能とする機能である。
【0051】
図6に示すように、時刻T0においてユーザが操作キー8を操作することによって計測データの記録を開始すると、取得部20が取得する計測データは、ファイルAに格納される。時間の経過とともに、計測データのデータ容量が上述したリレー容量に到達すると、この時点T1以降、取得部20が取得する計測データは、ファイルBに格納される。そして、ファイルBに格納される計測データのデータ点数が再びリレー容量に到達すると、この時点T2以降、取得部20が取得する計測データは、ファイルCに格納される。そして、ファイルCに格納される計測データのデータ点数が再びリレー容量に到達すると、その時点以降、取得部20が計測する計測データは、ファイルDに格納される。
【0052】
この後、ユーザが操作キー8を操作するまで、計測データのデータ容量がリレー容量に到達するたびに計測データを格納するファイルを切り替えることが繰り返される。これにより、1ファイルの最大ファイル容量を超えたデータ容量を有する計測データを記録部26に記録することが可能となる。
なお、リレー収録機能を利用して計測データを記録する場合、リング収録機能の場合と異なり、過去に保存されたファイル(ファイルA及びファイルB)は、記録部26から削除されることなく残存する。
【0053】
リレー収録機能を利用して計測データの記録を行う場合、ユーザは、図5Aに示す設定入力画面50中のリレー収録諸元入力領域55bに対して、リレー収録機能を有効化するように設定入力(「ON」を選択)する。続いてユーザは、リレー収録機能に関するパラメータの設定入力を行う(不図示)。
なお、リング収録機能とリレー収録機能を同時に有効化することはできない。図5Aでは、リング収録機能を有効化した場合について図示している。
【0054】
最後に、外部サンプリング機能について説明する。外部サンプリング機能とは、外部から入力されるタイミング信号に基づいて、取得部20が取得したデータを記録部26に記録する機能である。
外部サンプリング機能を有効化するためには、ユーザは、図5Aに示す設定入力画面50中の外部サンプリング諸元入力領域55cに対して、外部サンプリング機能を有効化するように設定入力(「ON」を選択)する。
【0055】
続いて、「ALARM」タブが選択されると、通知機能に関する設定情報が設定情報入力領域52に表示される。通知機能とは、計測データが予め定められた所定の条件を満たすことをユーザに通知する機能である。
「ALARM」タブを選択することによって、ユーザは通知機能に関する設定情報の確認と設定入力を行うことができる。具体的には、ユーザは、計測記録装置1がアラームを出力する条件(例えば振幅レベル)に関する設定入力を行うことができる。
【0056】
「I/F」タブが選択されると、通信機能に関する設定情報が設定情報入力領域52に表示される。通信機能とは、計測データ等を外部の情報通信機器との間で送受信する機能である。
「I/F」タブを選択することによって、ユーザは通信機能に関する設定情報の確認と設定入力を行うことができる。具体的には、設定情報入力領域52には、有線LAN通信機能、無線LAN通信機能、USB通信機能、FTPサーバ機能、HTTPサーバ機能、メール通知機能等が表示され、ユーザはこれらの詳細機能に関する設定情報の入力を行うことができる。
【0057】
FTPサーバ機能は、計測記録装置1をFTP(File Transfer Protocol)のサーバ装置として動作させ、外部の情報通信機器に保存された計測データを計測記録装置1に転送して記録部26に格納することを可能とする機能である。FTPサーバ機能に関するパラメータには、ポート番号やユーザ認証情報が含まれる。
WEBサーバ機能は、計測記録装置1をHTTP(HyperText Transfer Protocol)のサーバ装置として動作させ、外部の情報通信機器に搭載されたWEBブラウザを介して計測記録装置1の設定、操作及び計測データの表示を可能とする機能である。WEBサーバ機能に関するパラメータには、ポート番号やユーザ認証情報が含まれる。
メール通知機能は、計測記録装置1の警告情報(二次電池15の蓄電量が低下したことや、記録部26の空き容量が少ないことなど)を電子メールで外部の情報通信機器に通知する機能である。メール通知機能に関するパラメータには、宛先や通知内容が含まれる。
なお、通信機能に関する詳細機能は、上述した機能に限定されない。例えば、インターネットを介して時刻情報を取得するNTPクライアント機能を含んでいてもよい。
【0058】
「DISP」タブが選択されると、表示機能に関する設定情報が設定情報入力領域52に表示される。表示機能とは、計測データの経時変化を示す波形を表示パネル6に表示する機能である。
「DISP」タブを選択することによって、ユーザは表示機能に関する設定情報の確認と設定入力を行うことができる。具体的には、ユーザは、表示パネル6の輝度設定や、スクリーンセーバ設定、使用言語(日本語、又は英語を含む外国語)に関する設定入力を行うことができる。
【0059】
図3に戻り、機能選別手段に相当する機能選別部29は、機能選別画面60を介したユーザの選別入力に基づいて、計測記録装置1が有する機能の選別を行う。機能選別画面60は、工場出荷後であって、計測記録装置1の初回起動時に表示パネル6に表示される。
なお、計測記録装置1が有する「機能」とは、計測データの取得、記録、通知、通信、及び表示に関する機能を含むこととする。
【0060】
機能の「選別」とは、機能選別画面60に表示される機能の一覧から、ユーザが利用を希望する機能を選択することをいう。すなわち、機能選別画面60で選別されなかった機能とは、ユーザが利用を希望しない機能である。
機能選別部29は、機能選別画面60を介して入力された選別/非選別に関する情報を、機能選別情報として記録部26に記憶する。
【0061】
表示制御部30は、機能選別情報を記録部26から読み込んで、機能選別画面60で選別されなかった機能について、上述した設定入力画面50に表示しないように表示制御する。
また、電力制御部32は、機能選別情報を記録部26から読み込んで、機能選別画面60で選別されなかった機能を実装する回路基板について、電源部22からの電力供給が遮断されるように電力制御する。電力制御部32による電力制御処理については、後述する。
【0062】
図7は、機能選別画面60の一例を示している。
図7に示すように、機能選別画面60には、選択機能入力領域61が形成されて、ユーザが選択することができる機能と、その機能を選別するか否かを入力するためのチェックボックスがリスト形式で表示される。
ユーザが選択することができる機能には、上述した基本機能と、基本機能の下位の詳細機能を含む。例えば、上述した記録機能の詳細機能である「リング収録機能」と「リレー収録機能」が含まれる。また、基本機能である「アラーム機能」が含まれる。そして、上述した通信機能の詳細機能である「FTPサーバ機能」や「HTTPサーバ機能」等が含まれる。
【0063】
一例として、図7の機能選別画面60においてリング収録機能を選別した場合の設定入力画面50を、図5Aに示す。図5Aに示すように、設定入力画面50には、リング収録諸元入力領域55aが形成されて、リング収録機能の有効/無効(ON/OFF)と、リング収録機能に関する独立パラメータ(リング収録点数)及び従属パラメータ(リング収録時間)が表示される。
【0064】
一方、図7の機能選別画面60においてリング収録機能を選別しなかった場合の設定入力画面50を、図5Bに示す。図5Bに示すように、設定入力画面50には、リング収録諸元入力領域55aは形成されない。すなわち、リング収録機能の有効/無効と、リング収録機能に関する独立パラメータ(リング収録点数)及び従属パラメータ(リング収録時間)が表示されないように表示制御される。また、図5Aでリング収録諸元入力領域55aが形成されていた位置には、リレー収録諸元入力領域55bと外部サンプリング諸元入力領域55cがその配置を変更して表示される。
【0065】
このように、ユーザが利用する予定の機能を、機能選別画面60を介して予め選別し、選別されなかった機能(利用を予定しない機能)を設定入力画面50において非表示となるように表示制御する。
これにより、設定入力画面50にはユーザが利用する機能に関する諸元のみが表示されることとなるため、ユーザによる設定入力画面50の表示内容の把握が容易となり、より簡単に計測諸元の確認と設定変更を行うことが可能となる。
【0066】
他の例として、図7の機能選別画面60においてアラーム機能とFTPサーバ機能とHTTPサーバ機能を選別した場合の設定入力画面50を、図8Aに示す。図8Aに示すように、設定入力画面50のタブ選択領域51には、アラーム機能に関する「ALARM」タブとFTPサーバ機能及びHTTPサーバ機能に関する「I/F」タブが表示される。
一方、図7の機能選別画面60においてアラーム機能とFTPサーバ機能とHTTPサーバ機能を選別しなかった場合の設定入力画面50を、図8Bに示す。アラーム機能は、「ALARM」タブに対応付けられた基本機能であり、アラーム機能を選別しなかった場合には、図8Bに示すように、タブ選択領域51に「ALARM」タブが表示されない。
また、FTPサーバ機能とHTTPサーバ機能は、通信機能の下位の詳細機能であり、通信機能に関する詳細機能が全て選別されなかったことにより、通信機能に対応付けられた「I/F」タブが表示されない。
【0067】
図3に戻り、表示制御手段に相当する表示制御部30は、表示部23の制御を行う。詳細には、表示制御部30は、表示パネル6に、計測データの経時変化を示す波形表示画面や、上述した設定入力画面50、及び機能選別画面60を表示するように制御する。
通知制御部31は、通知部24の出力制御を行う。すなわち、計測データが所定の条件を満たしたときに、通知部24から通知信号が出力されるように制御する。通知信号は、音声、又は表示によって出力される。
【0068】
電力制御手段に相当する電力制御部32は、電源部22が出力する電力の供給を制御する。
図9は、電力制御部32によって行われる電力制御を説明するための図である。図9に示すように、電力制御部32は、機能選別情報に基づいて、電源部22から出力される電力の供給を遮断可能な回路基板を判定し、その回路基板に対する電力の供給を遮断する。
図9では、USB(Universal Serial Bus)通信機能とUSBドライブ機能がともに選別されなかった場合に、USB通信のインターフェース回路であるUSB回路基板に対する電力の供給を遮断することを示している。
また図9では、FTPサーバ機能、HTTPサーバ機能及びメール通知機能が全て選別されなかった場合に、イーサネット通信のインターフェース回路であるイーサネット回路基板に対する電力の供給を遮断することを示している。
【0069】
電力制御部32は、電力の供給を遮断可能な回路基板を判定するための条件が定められた電力遮断条件テーブルを有している。電力遮断条件テーブルには、機能選別画面60を介して選別可能な機能と、選別されなかった場合に遮断可能な回路基板との対応関係が記憶されている。そして電力制御部32は、機能選別情報を取得すると、電力遮断条件テーブルに基づいて電力の供給を遮断可能な回路基板を判定し、判定結果に基づいて電力の供給を遮断する。
以上のように、電力制御部32は、機能選別部29の選別結果に基づいて、電源部22から出力される電力の供給を遮断する。これにより、計測記録装置1の消費電力を抑制することが可能となる。また、二次電池15の駆動時間を長期化することが可能となる。
【0070】
<計測記録装置1の制御処理>
次に、計測記録装置1の起動後の制御処理の流れについて説明する。
図10は、制御部27によって実行される処理の流れを示している。図10に示すように、制御部27は、起動後に記録部26に格納された機能選別情報を読み込む(ステップS10)。機能選別情報は、工場出荷後の初回起動時に機能選別部29によって記録部26に記憶される。
続いて制御部27の電力制御部32は、読み込んだ機能選別情報に基づいて電力を遮断する制御を行う(ステップS11)。これにより、ユーザが使用しない機能に関する回路基板への電力供給が遮断され、計測記録装置1の消費電力を抑制することが可能となる。
【0071】
次に制御部27は、操作キー8に対するユーザの入力を監視し、設定入力画面50の表示を要求する操作が入力されたか否かを判定する(ステップS12)。設定入力画面50の表示を要求する操作が入力されていないと判定された場合(ステップS12:No)、制御部27は、そのまま待機する。
【0072】
一方、設定入力画面50の表示を要求する操作が入力されたと判定された場合(ステップS12:Yes)、表示制御部30は、表示パネル6に設定入力画面50を表示する(ステップS13)。このとき表示制御部30は、ステップS10で読み込んだ機能選別情報に基づいて、設定入力画面50に表示する諸元の一部を非表示とするとともに、諸元の配置を変更するように表示制御する。諸元設定部28は、設定入力画面50を介して設定情報を取得して計測記録装置1に対して諸元の設定を行う。
【0073】
次に制御部27は、操作キー8に対するユーザの入力を監視し、計測を開始するための操作が入力されたか否かを判定する(ステップS14)。計測を開始するための操作が入力されていないと判定された場合(ステップS14:No)、制御部27は、そのまま待機する。
【0074】
一方、計測を開始するための操作が入力されたと判定された場合(ステップS14:Yes)、制御部27は、計測データを取得し、波形表示画面に表示するともに、記録部26に記録して(ステップS15)、処理を終了する。なお制御部27は、過去に記録した計測データや、外部の情報通信機器から通信回線を介して受信した計測データを再生して表示してもよい。
また、ステップS13で諸元の設定入力を行った後に計測を開始することとして説明したが、計測を開始した後に、諸元の設定入力を行ってもよい。
【0075】
<変形例>
上述した実施形態では、機能選別画面60は、工場出荷後の初回起動時に表示パネル6に表示されることとして説明したが、これに限定されない。例えば、操作キー8の所定の入力ボタンを操作することによって機能選別画面60を表示することとしてもよい。この場合、工場出荷後の初回起動時において記憶された機能選別情報を新しい内容に更新することができる。これにより、工場出荷後の初回起動時は選別しなかった機能を、後から選択して追加することができる。
【0076】
図11は、第一変形例に関する機能選別画面60Aを示している。
図11に示すように、機能選別画面60Aは、機能の案内情報を表示してもよい。詳細に説明すると、図11に示すように、機能選別画面60Aは、最初に、機能選定案内ボタン62Aを表示する。ユーザが機能選定案内ボタン62Aを押下すると、機能選別画面60Aには、機能の案内情報と、「使用する」、「使用しない」の選択を受け付けるボタンが表示される。ユーザが「使用する」、又は「使用しない」のいずれかを選択することによって機能選別情報が記録部26に格納されるとともに、次の機能の案内情報が表示される。
これにより、ユーザは案内情報を確認しながら機能選別を行うことが可能となるため、計測記録装置1に不慣れなユーザであっても、自らが必要とする機能を適切に選択することが可能となる。ここで、案内情報は、予め記録部26の中に形成された案内情報記憶領域に格納されていることとする。すなわち記録部26は、案内情報記憶部に相当する。
【0077】
第二変形例では、制御部27が、計測記録装置1が有する機能の利用状況を判定する利用状況判定部を有することとする。
図12は、第二変形例に関する機能選別画面60Bを示している。
図12に示すように、機能選別画面60Bには、自動機能選別ボタン63Bが表示される。ユーザが自動機能選別ボタン63Bを押下すると、利用状況判定部は、計測記録装置1が有する機能の利用状況を判定し、判定結果を機能選別画面60Bに出力する(判定結果がチェックボックスに入力される)。ユーザは、必要に応じて判定結果を修正することによって、自らが必要とする機能を入力することができるため、機能選別に係るユーザの負担を軽減することが可能となる。
利用状況判定部は、自動機能選別ボタン63Bが押下されたときの諸元設定情報を記録部26から読み出して、諸元設定情報に基づいて機能を判定してもよい。また、過去に入力された諸元設定情報を履歴データとして記録部26に蓄積し、過去に入力された諸元設定情報に基づいてユーザが必要とする機能を判定してもよい。
【0078】
また、上述した実施形態では、電力制御部32が、機能選別部29による選別結果に基づいて、電気回路に対する電力の供給を遮断することとして説明した。これに加えて、プログラム制御部を有し、該プログラム制御部が、機能選別部29による選別結果に基づいて、ROMに格納されたプログラム・モジュール群の一部を制御部27のRAM(揮発性メモリ)にロードしないように制御することとしてもよい。この場合、プログラム制御部は、計測記録装置1の起動時に機能選別情報を読み込んで、機能選別情報に基づいてRAMにロードする必要がないプログラム・モジュールを判定し、判定結果に基づいて記録部26からRAMへのロードを行わないように制御する。
これにより、制御部27のRAMの容量に余裕が生じ、計測記録装置1の計算資源を有効に利用することが可能となる。
【0079】
(まとめ)
多機能化と高性能化が進む計測記録装置1に不慣れなユーザにとって、計測記録装置1が有する機能と、その機能に関するパラメータを的確に理解した上で最適な設定情報を入力することは困難である。そこで、本発明の計測記録装置1は、予めユーザが必要とする機能を選別し、その選別結果に基づいて設定入力画面50を簡素化する。これにより、自らが必要とする機能に関する設定情報の把握が容易となるため、計測諸元の確認と設定を容易に行うことが可能となる。
【0080】
また、選別結果に基づいて、選別された機能とは関係ない回路基板に対する電力の供給を遮断する。これにより、計測記録装置1の消費電力の抑制が可能となり、より長時間わたって二次電池15による駆動が可能となる。
【符号の説明】
【0081】
1 計測記録装置(計測装置)
2 筐体
2a 正面
2b 背面
2c 右側面
2d 左側面
2e 上面
2f 下面
3 多チャンネル入力コネクタ
4 湿度センサ用コネクタ
5 多目的入力コネクタ
6 表示パネル
7 状態表示部
7a 電源LED
7b 収録中LED
7c 充電中LED
8 操作キー
9 電源投入スイッチ
10 第一の記録媒体挿入部
11 第二の記録媒体挿入部
13 無線通信ユニット接続コネクタ
15 二次電池
20 取得部
21 操作入力部
22 電源部
23 表示部
24 通知部
25 通信部
26 記録部(案内情報記憶領域)
27 制御部
28 諸元設定部(設定情報取得部、設定情報取得手段)
29 機能選別部(機能選別手段)
30 表示制御部(表示制御手段)
31 通知制御部
32 電力制御部(電力制御手段)
50 設定入力画面
51 タブ選択領域
52 設定情報入力領域
53 機能概要表示
54 パラメータ入力領域
54a サンプリング間隔入力領域
54b 収録先ファイル名入力領域
55 詳細機能諸元入力領域
55a リング収録諸元入力領域
55a1 リング収録機能有効化入力領域
55a2 リング収録点数入力領域
55a3 リング収録時間表示領域
55b リレー収録諸元入力領域
55c 外部サンプリング諸元入力領域
60、60A、60B 機能選別画面
61 選択機能入力領域
62A 機能選定案内ボタン
63B 自動機能選別ボタン
S センサ
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12