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特開2023-103584内部取引消去業務支援装置、内部取引消去業務支援方法および内部取引消去業務支援プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103584
(43)【公開日】2023-07-27
(54)【発明の名称】内部取引消去業務支援装置、内部取引消去業務支援方法および内部取引消去業務支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/12 20230101AFI20230720BHJP
【FI】
G06Q40/00 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022004196
(22)【出願日】2022-01-14
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川口 直人
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB63
(57)【要約】
【課題】内部取引について、売上又は仕入を発生させずに取引額を相殺消去する業務を支援できる装置等の提供を課題とする。
【解決手段】本実施形態では、(1)請求主体と請求先と売上日と売上額と取引内容とを有する債権計上明細データ中の請求主体と請求先の組合せがマスタにある場合、当該組合せ間の取引を内部取引と判定し、取引主体としての請求主体と、請求先に対応する取引相手と、計上日としての売上日と、金額としての売上額と、取引内容に対応する科目情報と、を含む債権側明細データを生成し、(2)仕入主体と仕入先と仕入日と仕入額と取引内容とを有する債務計上明細データ中の仕入主体と仕入先の組合せがマスタにある場合、当該組合せ間の取引を内部取引と判定し、取引主体としての仕入主体と、仕入先に対応する取引相手と、計上日としての仕入日と、金額としての仕入額と、取引内容に対応する科目情報と、を含む債務側明細データを生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グループ内部での取引である内部取引について、売上または仕入を発生させずに取引額を相殺消去する業務を支援することができる、制御部および記憶部を備える内部取引消去業務支援装置であって、
前記記憶部には、
内部取引と判定されるもの同士の組合せを含む内部取引先特定マスタと、
取引内容と科目情報とを含む内部取引用科目マスタと、
が格納されており、
前記制御部は、
請求主体識別データと、請求先識別データと、売上日と、売上額と、取引内容と、を有する債権計上明細データを含む債権計上データ中の前記請求主体識別データおよび前記請求先識別データの組合せが、前記内部取引先特定マスタに存在する場合、当該組合せの間で行われる取引を内部取引と判定し、取引主体識別データとしての前記請求主体識別データと、前記請求先識別データに対応する取引相手識別データと、計上日としての前記売上日と、金額としての前記売上額と、前記取引内容に対応する前記内部取引用科目マスタ中の前記科目情報と、を有する債権側明細データを生成する債権側明細データ生成手段と、
仕入主体識別データと、仕入先識別データと、仕入日と、仕入額と、取引内容と、を有する債務計上明細データを含む債務計上データ中の前記仕入主体識別データおよび前記仕入先識別データの組合せが、前記内部取引先特定マスタに存在する場合、当該組合せの間で行われる取引を内部取引と判定し、取引主体識別データとしての前記仕入主体識別データと、前記仕入先識別データに対応する取引相手識別データと、計上日としての前記仕入日と、金額としての前記仕入額と、前記取引内容に対応する前記内部取引用科目マスタ中の前記科目情報と、を有する債務側明細データを生成する債務側明細データ生成手段と、
前記債権側明細データ生成手段で生成した前記債権側明細データおよび前記債務側明細データ生成手段で生成した前記債務側明細データを含む内部取引データを生成する内部取引データ生成手段と、
を備えること、
を特徴とする内部取引消去業務支援装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記債権側明細データに基づいて、債権を計上した側の、内部取引用の仕訳データを生成する債権側仕訳データ生成手段を更に備え、
前記債権側仕訳データ生成手段は、
前記債権を計上した側を識別するための情報としての前記取引主体識別データと、前記取引相手識別データに対応する借方科目と、借方金額としての前記金額と、貸方科目としての前記科目情報と、貸方金額としての前記金額と、を含む内部取引用の仕訳データを生成すること、
を特徴とする請求項1に記載の内部取引消去業務支援装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記債務側明細データに基づいて、債務を計上した側の、内部取引用の仕訳データを生成する債務側仕訳データ生成手段を更に備え、
前記債務側仕訳データ生成手段は、
前記債務を計上した側を識別するための情報としての前記取引主体識別データと、借方科目としての前記科目情報と、借方金額としての前記金額と、前記取引相手識別データに対応する貸方科目と、貸方金額としての前記金額と、を含む内部取引用の仕訳データを生成すること、
を特徴とする請求項1または2に記載の内部取引消去業務支援装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記内部取引データ中の前記債権側明細データおよび前記債務側明細データの組合せのうち、
(i)前記債権側明細データ中の前記取引主体識別データが、前記債務側明細データ中の前記取引相手識別データと同じであり、
(ii)前記債務側明細データ中の前記取引主体識別データが、前記債権側明細データ中の前記取引相手識別データと同じであり、
(iii)前記計上日が同じであり、かつ、
(iv)前記科目情報が同じである
前記組合せについて、前記債権側明細データ中の前記金額と前記債務側明細データ中の前記金額の差額を算出する差額算出手段
を更に備えること、
を特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の内部取引消去業務支援装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記債務側明細データに基づいて、前記差額を調整するための調整仕訳の仕訳データを、前記債務を計上した側の、内部取引用の仕訳として生成する調整仕訳データ生成手段を更に備え、
前記調整仕訳データ生成手段は、
前記債務を計上した側を識別するための情報としての前記取引主体識別データと、借方科目としての前記科目情報と、借方金額としての前記差額算出手段で算出した前記差額と、前記取引相手識別データに対応する貸方科目と、貸方金額としての前記差額算出手段で算出した前記差額と、を含む内部取引用の調整仕訳の仕訳データを生成すること、
を特徴とする請求項4に記載の内部取引消去業務支援装置。
【請求項6】
前記内部取引が、同一会社内の事業所間または部門間での取引であること、
を特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の内部取引消去業務支援装置。
【請求項7】
同一会社内の事業所または部門が、複数の会社の合併後に当該複数の会社それぞれに対応する組織として作成されたものであること、
を特徴とする請求項6に記載の内部取引消去業務支援装置。
【請求項8】
グループ内部での取引である内部取引について、売上または仕入を発生させずに取引額を相殺消去する業務を支援することができる、制御部および記憶部を備える情報処理装置で実行される内部取引消去業務支援方法であって、
前記記憶部には、
内部取引と判定されるもの同士の組合せを含む内部取引先特定マスタと、
取引内容と科目情報とを含む内部取引用科目マスタと、
が格納されており、
前記制御部で実行される、
請求主体識別データと、請求先識別データと、売上日と、売上額と、取引内容と、を有する債権計上明細データを含む債権計上データ中の前記請求主体識別データおよび前記請求先識別データの組合せが、前記内部取引先特定マスタに存在する場合、当該組合せの間で行われる取引を内部取引と判定し、取引主体識別データとしての前記請求主体識別データと、前記請求先識別データに対応する取引相手識別データと、計上日としての前記売上日と、金額としての前記売上額と、前記取引内容に対応する前記内部取引用科目マスタ中の前記科目情報と、を有する債権側明細データを生成する債権側明細データ生成ステップと、
仕入主体識別データと、仕入先識別データと、仕入日と、仕入額と、取引内容と、を有する債務計上明細データを含む債務計上データ中の前記仕入主体識別データおよび前記仕入先識別データの組合せが、前記内部取引先特定マスタに存在する場合、当該組合せの間で行われる取引を内部取引と判定し、取引主体識別データとしての前記仕入主体識別データと、前記仕入先識別データに対応する取引相手識別データと、計上日としての前記仕入日と、金額としての前記仕入額と、前記取引内容に対応する前記内部取引用科目マスタ中の前記科目情報と、を有する債務側明細データを生成する債務側明細データ生成ステップと、
前記債権側明細データ生成ステップで生成した前記債権側明細データおよび前記債務側明細データ生成ステップで生成した前記債務側明細データを含む内部取引データを生成する内部取引データ生成ステップと、
を含むこと、
を特徴とする内部取引消去業務支援方法。
【請求項9】
グループ内部での取引である内部取引について、売上または仕入を発生させずに取引額を相殺消去する業務を支援することができる、制御部および記憶部を備える情報処理装置に実行させるための内部取引消去業務支援プログラムであって、
前記記憶部には、
内部取引と判定されるもの同士の組合せを含む内部取引先特定マスタと、
取引内容と科目情報とを含む内部取引用科目マスタと、
が格納されており、
前記制御部に実行させるための、
請求主体識別データと、請求先識別データと、売上日と、売上額と、取引内容と、を有する債権計上明細データを含む債権計上データ中の前記請求主体識別データおよび前記請求先識別データの組合せが、前記内部取引先特定マスタに存在する場合、当該組合せの間で行われる取引を内部取引と判定し、取引主体識別データとしての前記請求主体識別データと、前記請求先識別データに対応する取引相手識別データと、計上日としての前記売上日と、金額としての前記売上額と、前記取引内容に対応する前記内部取引用科目マスタ中の前記科目情報と、を有する債権側明細データを生成する債権側明細データ生成ステップと、
仕入主体識別データと、仕入先識別データと、仕入日と、仕入額と、取引内容と、を有する債務計上明細データを含む債務計上データ中の前記仕入主体識別データおよび前記仕入先識別データの組合せが、前記内部取引先特定マスタに存在する場合、当該組合せの間で行われる取引を内部取引と判定し、取引主体識別データとしての前記仕入主体識別データと、前記仕入先識別データに対応する取引相手識別データと、計上日としての前記仕入日と、金額としての前記仕入額と、前記取引内容に対応する前記内部取引用科目マスタ中の前記科目情報と、を有する債務側明細データを生成する債務側明細データ生成ステップと、
前記債権側明細データ生成ステップで生成した前記債権側明細データおよび前記債務側明細データ生成ステップで生成した前記債務側明細データを含む内部取引データを生成する内部取引データ生成ステップと、
を含むこと、
を特徴とする内部取引消去業務支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部取引消去業務支援装置、内部取引消去業務支援方法および内部取引消去業務支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の0008段落には「本発明は、ネットワークにより結ばれたグループ企業の連結会計システムにおける、企業グループ内での相互取引の整合性確認方法である。確認方法としては、各社の取引先相手別の連結勘定科目残高と、各社の業務取引データをそれぞれをネットワークを通じて連結データ整合性確認システムに集める。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-230582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、企業の吸収および合併が激しい今日においては、例えば複数の会社が合併して1社に統合されて、同一会社内の各事業所となることがある。この場合に、統合後の事業所間での取引は、一旦、債権計上データ(売上)および債務計上データ(仕入)として計上されるものの、この取引は、本来は、同一会社内での商品移動(言い換えると、グループ内部での内部取引)に過ぎない。
【0005】
このようなグループ内部での内部取引について、売上または仕入を発生させてしまうのは適当ではないため、会社内の経理担当者は、一度計上した債権計上データ(売上)および債務計上データ(仕入)を互いに相殺して消去する必要があったが、この相殺消去の業務は、非常に煩雑かつ労力を要するものとなっていた。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、グループ内部での取引である内部取引について、売上または仕入を発生させずに取引額を相殺消去する業務を支援することができる内部取引消去業務支援装置、内部取引消去業務支援方法および内部取引消去業務支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る内部取引消去業務支援装置においては、グループ内部での取引である内部取引について、売上または仕入を発生させずに取引額を相殺消去する業務を支援することができる、制御部および記憶部を備える内部取引消去業務支援装置であって、前記記憶部には、内部取引と判定されるもの同士の組合せを含む内部取引先特定マスタと、取引内容と科目情報とを含む内部取引用科目マスタと、が格納されており、前記制御部は、請求主体識別データと、請求先識別データと、売上日と、売上額と、取引内容と、を有する債権計上明細データを含む債権計上データ中の前記請求主体識別データおよび前記請求先識別データの組合せが、前記内部取引先特定マスタに存在する場合、当該組合せの間で行われる取引を内部取引と判定し、取引主体識別データとしての前記請求主体識別データと、前記請求先識別データに対応する取引相手識別データと、計上日としての前記売上日と、金額としての前記売上額と、前記取引内容に対応する前記内部取引用科目マスタ中の前記科目情報と、を有する債権側明細データを生成する債権側明細データ生成手段と、仕入主体識別データと、仕入先識別データと、仕入日と、仕入額と、取引内容と、を有する債務計上明細データを含む債務計上データ中の前記仕入主体識別データおよび前記仕入先識別データの組合せが、前記内部取引先特定マスタに存在する場合、当該組合せの間で行われる取引を内部取引と判定し、取引主体識別データとしての前記仕入主体識別データと、前記仕入先識別データに対応する取引相手識別データと、計上日としての前記仕入日と、金額としての前記仕入額と、前記取引内容に対応する前記内部取引用科目マスタ中の前記科目情報と、を有する債務側明細データを生成する債務側明細データ生成手段と、前記債権側明細データ生成手段で生成した前記債権側明細データおよび前記債務側明細データ生成手段で生成した前記債務側明細データを含む内部取引データを生成する内部取引データ生成手段と、を備えること、を特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る内部取引消去業務支援装置においては、前記制御部は、前記債権側明細データに基づいて、債権を計上した側の、内部取引用の仕訳データを生成する債権側仕訳データ生成手段を更に備え、前記債権側仕訳データ生成手段は、前記債権を計上した側を識別するための情報としての前記取引主体識別データと、前記取引相手識別データに対応する借方科目と、借方金額としての前記金額と、貸方科目としての前記科目情報と、貸方金額としての前記金額と、を含む内部取引用の仕訳データを生成すること、を特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る内部取引消去業務支援装置においては、前記制御部は、前記債務側明細データに基づいて、債務を計上した側の、内部取引用の仕訳データを生成する債務側仕訳データ生成手段を更に備え、前記債務側仕訳データ生成手段は、前記債務を計上した側を識別するための情報としての前記取引主体識別データと、借方科目としての前記科目情報と、借方金額としての前記金額と、前記取引相手識別データに対応する貸方科目と、貸方金額としての前記金額と、を含む内部取引用の仕訳データを生成すること、を特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る内部取引消去業務支援装置においては、前記制御部は、前記内部取引データ中の前記債権側明細データおよび前記債務側明細データの組合せのうち、(i)前記債権側明細データ中の前記取引主体識別データが、前記債務側明細データ中の前記取引相手識別データと同じであり、(ii)前記債務側明細データ中の前記取引主体識別データが、前記債権側明細データ中の前記取引相手識別データと同じであり、(iii)前記計上日が同じであり、かつ、(iv)前記科目情報が同じである前記組合せについて、前記債権側明細データ中の前記金額と前記債務側明細データ中の前記金額の差額を算出する差額算出手段を更に備えること、を特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る内部取引消去業務支援装置においては、前記制御部は、前記債務側明細データに基づいて、前記差額を調整するための調整仕訳の仕訳データを、前記債務を計上した側の、内部取引用の仕訳として生成する調整仕訳データ生成手段を更に備え、前記調整仕訳データ生成手段は、前記債務を計上した側を識別するための情報としての前記取引主体識別データと、借方科目としての前記科目情報と、借方金額としての前記差額算出手段で算出した前記差額と、前記取引相手識別データに対応する貸方科目と、貸方金額としての前記差額算出手段で算出した前記差額と、を含む内部取引用の調整仕訳の仕訳データを生成すること、を特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る内部取引消去業務支援装置においては、前記内部取引が、同一会社内の事業所間または部門間での取引であること、を特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る内部取引消去業務支援装置においては、同一会社内の事業所または部門が、複数の会社の合併後に当該複数の会社それぞれに対応する組織として作成されたものであること、を特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る内部取引消去業務支援方法においては、グループ内部での取引である内部取引について、売上または仕入を発生させずに取引額を相殺消去する業務を支援することができる、制御部および記憶部を備える情報処理装置で実行される内部取引消去業務支援方法であって、前記記憶部には、内部取引と判定されるもの同士の組合せを含む内部取引先特定マスタと、取引内容と科目情報とを含む内部取引用科目マスタと、が格納されており、前記制御部で実行される、請求主体識別データと、請求先識別データと、売上日と、売上額と、取引内容と、を有する債権計上明細データを含む債権計上データ中の前記請求主体識別データおよび前記請求先識別データの組合せが、前記内部取引先特定マスタに存在する場合、当該組合せの間で行われる取引を内部取引と判定し、取引主体識別データとしての前記請求主体識別データと、前記請求先識別データに対応する取引相手識別データと、計上日としての前記売上日と、金額としての前記売上額と、前記取引内容に対応する前記内部取引用科目マスタ中の前記科目情報と、を有する債権側明細データを生成する債権側明細データ生成ステップと、仕入主体識別データと、仕入先識別データと、仕入日と、仕入額と、取引内容と、を有する債務計上明細データを含む債務計上データ中の前記仕入主体識別データおよび前記仕入先識別データの組合せが、前記内部取引先特定マスタに存在する場合、当該組合せの間で行われる取引を内部取引と判定し、取引主体識別データとしての前記仕入主体識別データと、前記仕入先識別データに対応する取引相手識別データと、計上日としての前記仕入日と、金額としての前記仕入額と、前記取引内容に対応する前記内部取引用科目マスタ中の前記科目情報と、を有する債務側明細データを生成する債務側明細データ生成ステップと、前記債権側明細データ生成ステップで生成した前記債権側明細データおよび前記債務側明細データ生成ステップで生成した前記債務側明細データを含む内部取引データを生成する内部取引データ生成ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る内部取引消去業務支援プログラムにおいては、グループ内部での取引である内部取引について、売上または仕入を発生させずに取引額を相殺消去する業務を支援することができる、制御部および記憶部を備える情報処理装置に実行させるための内部取引消去業務支援プログラムであって、前記記憶部には、内部取引と判定されるもの同士の組合せを含む内部取引先特定マスタと、取引内容と科目情報とを含む内部取引用科目マスタと、が格納されており、前記制御部に実行させるための、請求主体識別データと、請求先識別データと、売上日と、売上額と、取引内容と、を有する債権計上明細データを含む債権計上データ中の前記請求主体識別データおよび前記請求先識別データの組合せが、前記内部取引先特定マスタに存在する場合、当該組合せの間で行われる取引を内部取引と判定し、取引主体識別データとしての前記請求主体識別データと、前記請求先識別データに対応する取引相手識別データと、計上日としての前記売上日と、金額としての前記売上額と、前記取引内容に対応する前記内部取引用科目マスタ中の前記科目情報と、を有する債権側明細データを生成する債権側明細データ生成ステップと、仕入主体識別データと、仕入先識別データと、仕入日と、仕入額と、取引内容と、を有する債務計上明細データを含む債務計上データ中の前記仕入主体識別データおよび前記仕入先識別データの組合せが、前記内部取引先特定マスタに存在する場合、当該組合せの間で行われる取引を内部取引と判定し、取引主体識別データとしての前記仕入主体識別データと、前記仕入先識別データに対応する取引相手識別データと、計上日としての前記仕入日と、金額としての前記仕入額と、前記取引内容に対応する前記内部取引用科目マスタ中の前記科目情報と、を有する債務側明細データを生成する債務側明細データ生成ステップと、前記債権側明細データ生成ステップで生成した前記債権側明細データおよび前記債務側明細データ生成ステップで生成した前記債務側明細データを含む内部取引データを生成する内部取引データ生成ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、グループ内部での取引である内部取引について、売上または仕入を発生させずに取引額を相殺消去する業務を支援することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、内部取引消去業務支援装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、売上データが債権計上データとして連携される場合における本実施形態に係る処理のフローの一例を示す図である。
図3図3は、仕入データが債務計上データとして連携される場合における本実施形態に係る処理のフローの一例を示す図である。
図4図4は、パターン1の例(単一取引かつ差額なしの事業所間取引)、パターン2の例(単一取引かつ差額ありの事業所間取引)およびパターン3の例(複数取引かつ差額ありの事業所間取引)で共通して用いるマスタを示す図である。
図5図5は、パターン1の例における債権計上データおよび債務計上データを示す図である。
図6図6は、パターン1の例における債権側明細データの生成を示す図である。
図7図7は、パターン1の例における債務側明細データの生成を示す図である。
図8図8は、パターン1の例における内部取引データおよび内部取引チェックリストを示す図である。
図9図9は、パターン1の例における売上計上側での仕訳の生成を示す図である。
図10図10は、パターン1の例における仕入計上側での仕訳の生成を示す図である。
図11図11は、パターン1の例における調整仕訳の生成のための判断を示す図である。
図12図12は、パターン2の例における債権計上データおよび債務計上データを示す図である。
図13図13は、パターン2の例における債権側明細データの生成を示す図である。
図14図14は、パターン2の例における債務側明細データの生成を示す図である。
図15図15は、パターン2の例における内部取引データおよび内部取引チェックリストを示す図である。
図16図16は、パターン2の例における売上計上側での仕訳の生成を示す図である。
図17図17は、パターン2の例における仕入計上側での仕訳の生成を示す図である。
図18図18は、パターン2の例における調整仕訳の生成のための判断を示す図である。
図19図19は、パターン2の例における調整仕訳の生成を示す図である。
図20図20は、パターン3の例における債権計上データおよび債務計上データを示す図である。
図21図21は、パターン3の例における債権側明細データの生成を示す図である。
図22図22は、パターン3の例における債務側明細データの生成を示す図である。
図23図23は、パターン3の例における内部取引データおよび内部取引チェックリストを示す図である。
図24図24は、パターン3の例における売上計上側での仕訳の生成を示す図である。
図25図25は、パターン3の例における仕入計上側での仕訳の生成を示す図である。
図26図26は、パターン3の例における調整仕訳の生成のための判断を示す図である。
図27図27は、パターン3の例における調整仕訳の生成を示す図である。
図28図28は、パターン4の例(単一取引かつ差額なしの部門間取引)で用いるマスタを示す図である。
図29図29は、パターン4の例における債権計上データおよび債務計上データを示す図である。
図30図30は、パターン4の例における債権側明細データの生成を示す図である。
図31図31は、パターン4の例における債務側明細データの生成を示す図である。
図32図32は、パターン4の例における内部取引データおよび内部取引チェックリストを示す図である。
図33図33は、パターン4の例における売上計上側での仕訳の生成を示す図である。
図34図34は、パターン4の例における仕入計上側での仕訳の生成を示す図である。
図35図35は、パターン4の例における調整仕訳の生成のための判断を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明に係る内部取引消去業務支援装置、内部取引消去業務支援方法および内部取引消去業務支援プログラムの実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0019】
[1.概要]
複数の会社が合併して1社に統合された場合、販売管理のシステムは、合併される会社毎に存在するのが一般的である。このため、合併により、複数の会社が同じ会社の各事業者や各部門になったとしても、各事業者や各部門は、それぞれ異なるシステムを使用し続けることがある。この結果、合併前と同様に、売上(売掛)および仕入(買掛)が発生する。
【0020】
しかしながら、同じ会社内での取引が、売上および仕入として計上されるのは適切ではなく、商品の移動として計上されるべきである。このため、担当者は、発生した売上および仕入が、同じ会社内での取引である場合、当該発生した売上および仕入を取り消す必要があり、経理処理が非常に煩雑なものとなっていた。
【0021】
そこで、本実施形態においては、例えば、他システムから連携した売上データおよび仕入データについて、取引先が、社内の相手なのか社外の相手なのかを自動判断することで、社内取引の消去をできるようにした。具体的には、販売管理のシステムはそのままで、債権債務管理機能を全社統合した状態で、販売管理システムから債権債務管理システムにデータ連携を行う際に、社内取引については、売上の仕訳および仕入の仕訳を発生させずに、商品の移動の仕訳を発生させるようにした。
【0022】
これにより、本実施形態においては、売上および仕入が社内取引に該当する場合の取消処理を経理担当者が手動で行う必要がなくなったため、経理処理の手間が大幅に軽減した。
【0023】
また、売上側と仕入側とで同じ金額が発生しない場合(例えば、売上から仕入まで期間があり、売上は計上されているが仕入はまだ計上されていない場合等)もあるため、本実施形態においては、差額が発生した場合には、調整勘定を発生させ、内部取引チェックリストおよび調整仕訳により当該差額を確認できるようにした。以下、具体的な構成および動作について説明する。
【0024】
[2.構成]
本実施形態に係る内部取引消去業務支援装置100の構成の一例について、図1を参照して説明する。図1は、内部取引消去業務支援装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0025】
内部取引消去業務支援装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、内部取引消去業務支援装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0026】
内部取引消去業務支援装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。内部取引消去業務支援装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0027】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、内部取引消去業務支援装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、内部取引消去業務支援装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、後述する各種マスタ等のデータは、例えばサーバ200に格納されてもよい。
【0028】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0029】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブルおよびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0030】
記憶部106は、例えば、事業所マスタ106aと、部門マスタ106bと、内部取引先特定マスタ106cと、内部取引用科目マスタ106dと、本支店勘定科目マスタ106eと、債権計上データ106fと、債務計上データ106gと、内部取引データ106hと、仕訳データ106iと、を備えている。
【0031】
本実施形態に係る内部取引消去業務支援装置100によれば、グループ内部での取引である内部取引について、売上または仕入を発生させずに取引額を相殺消去する業務を支援することができる。
【0032】
ここで、本実施形態において、前記内部取引は、広い意味に捉えることができ、例えば、同一企業グループ内の会社間の取引であってもよいし、あるいは、同一会社内の事業所間または部門間での取引であってもよい。また、同一会社内の事業所または部門は、複数の会社の合併後に当該複数の会社それぞれに対応する組織として作成されたものであってもよいし、あるいは、一つの会社内に元々存在していた組織であってもよい。
【0033】
事業所マスタ106aは、図4に示すように、例えば、事業所等を含む。図4の事業所マスタ106aは、株式会社A社、株式会社B社および株式会社C社が合併して、それぞれ、同一会社内の事業所であるA支社、B支社およびC支社となった場合の設定例である。
【0034】
部門マスタ106bは、図28に示すように、例えば、部門等を含む。図28の部門マスタ106bは、株式会社A社および株式会社B社が合併して、それぞれ、同一会社内の部門であるA部門およびB部門となった場合の設定例である。
【0035】
内部取引先特定マスタ106cは、例えば、内部取引と判定されるもの同士の組合せ(図4では、「事業所」と「取引先」の組合せ)と、相手事業所と、等を含む。図4の内部取引先特定マスタ106cにおいては、事業所「A支社」の内部取引先として「株式会社B社」および「株式会社C社」が設定されており、事業所「B支社」の内部取引先として「株式会社A社」および「株式会社C社」が設定されており、事業所「C支社」の内部取引先として「株式会社A社」および「株式会社B社」が設定されている。
【0036】
内部取引用科目マスタ106dは、図4に示すように、例えば、取引内容(科目)と、科目情報(内部取引科目および内部取引調整科目)と、等を含む。当該内部取引科目は、内部取引用の仕訳(調整仕訳を除く)の生成に用いる科目情報である。当該内部取引調整科目は、内部取引用の調整仕訳の生成および差額の算出に用いる科目情報である。
【0037】
本支店勘定科目マスタ106eは、図4に示すように、例えば、事業所と、内部取引用の仕訳の生成に用いる科目情報(本支店勘定科目)と、等を含む。
【0038】
債権計上データ106fは、例えば、合併後の各支社から連携された売上データを起源とするデータであり、債権計上明細データを含む。当該債権計上明細データは、図5に示すように、例えば、請求主体識別データ(事業所)と、請求先識別データ(請求先)と、売上日と、売上額と、消費税と、取引内容と、等を有する。
【0039】
債務計上データ106gは、例えば、合併後の各支社から連携された仕入データを起源とするデータであり、債務計上明細データを含む。当該債務計上明細データは、図5に示すように、例えば、仕入主体識別データ(事業所)と、仕入先識別データ(仕入先)と、仕入日と、仕入額と、消費税と、取引内容と、等を有する。
【0040】
内部取引データ106hは、生成された債権側明細データおよび生成された債務側明細データを含むデータである。
【0041】
前記債権側明細データは、取引が内部取引である場合に、前記債権計上明細データに基づいて生成されるデータである。つまり、取引が内部取引である場合には、債権計上データ106fは、内部取引データ106hへと集約されるということである。前記債権側明細データは、図6に内部取引データ106hとして示すように、例えば、取引主体識別データ(事業所)と、区分「債権」と、前記請求先識別データ(取引先)と、取引相手識別データ(相手事業所)と、計上日と、金額と、消費税と、前記科目情報(内部取引科目および内部取引調整科目)と、等を有する。
【0042】
前記債務側明細データは、取引が内部取引である場合に、前記債務計上明細データに基づいて生成されるデータである。つまり、取引が内部取引である場合には、債務計上データ106gは、内部取引データ106hへと集約されるということである。前記債務側明細データは、図7に内部取引データ106hとして示すように、例えば、取引主体識別データ(事業所)と、区分「債務」と、前記仕入先識別データ(取引先)と、取引相手識別データ(相手事業所)と、計上日と、金額と、消費税と、前記科目情報(内部取引科目および内部取引調整科目)と、等を含む。
【0043】
仕訳データ106iは、内部取引用の仕訳のデータである。当該内部取引用の仕訳としては、債権を計上した側の内部取引用の通常仕訳、債務を計上した側の内部取引用の通常仕訳、および、債務を計上した側の内部取引用の調整仕訳の3種類が存在する。当該調整仕訳は、債権を計上した側と債務を計上した側とで差額が発生した場合に、債権を計上した側の金額に合わせるために、債務を計上した側で生成される仕訳である。例えば、差額が1,000である場合、1,000分の調整仕訳が、債務を計上した側で生成される。なお、債権を計上した側とは、例えば、売上を計上した側であり、一方で、債務を計上した側とは、例えば、仕入を計上した側である。
【0044】
仕訳データ106iは、図9図10および図19等に示すように、例えば、前記取引主体識別データ(事業所)と、前記計上日と、借方科目と、借方金額と、借方消費税と、貸方科目と、貸方金額と、貸方消費税と、等を含む。
【0045】
制御部102は、内部取引消去業務支援装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0046】
制御部102は、機能概念的に、例えば、(1)請求主体識別データと、請求先識別データと、売上日と、売上額と、取引内容と、を有する債権計上明細データを含む債権計上データ中の前記請求主体識別データおよび前記請求先識別データの組合せが、前記内部取引先特定マスタに存在する場合、当該組合せの間で行われる取引を内部取引と判定し、取引主体識別データとしての前記請求主体識別データと、前記請求先識別データに対応する取引相手識別データと、計上日としての前記売上日と、金額としての前記売上額と、前記取引内容に対応する前記内部取引用科目マスタ中の前記科目情報と、を有する債権側明細データを生成する債権側明細データ生成手段としての債権側明細データ生成部102aと、(2)仕入主体識別データと、仕入先識別データと、仕入日と、仕入額と、取引内容と、を有する債務計上明細データを含む債務計上データ中の前記仕入主体識別データおよび前記仕入先識別データの組合せが、前記内部取引先特定マスタに存在する場合、当該組合せの間で行われる取引を内部取引と判定し、取引主体識別データとしての前記仕入主体識別データと、前記仕入先識別データに対応する取引相手識別データと、計上日としての前記仕入日と、金額としての前記仕入額と、前記取引内容に対応する前記内部取引用科目マスタ中の前記科目情報と、を有する債務側明細データを生成する債務側明細データ生成手段としての債務側明細データ生成部102bと、(3)前記債権側明細データ生成手段で生成した前記債権側明細データおよび前記債務側明細データ生成手段で生成した前記債務側明細データを含む内部取引データを生成する内部取引データ生成手段としての内部取引データ生成部102cと、(4)前記債権側明細データに基づいて、債権を計上した側の、内部取引用の仕訳データを生成する債権側仕訳データ生成手段としての債権側仕訳データ生成部102dと、(5)前記債務側明細データに基づいて、債務を計上した側の、内部取引用の仕訳データを生成する債務側仕訳データ生成手段としての債務側仕訳データ生成部102eと、(6)前記内部取引データ中の前記債権側明細データおよび前記債務側明細データの組合せのうち、(i)前記債権側明細データ中の前記取引主体識別データが、前記債務側明細データ中の前記取引相手識別データと同じであり、(ii)前記債務側明細データ中の前記取引主体識別データが、前記債権側明細データ中の前記取引相手識別データと同じであり、(iii)前記計上日が同じであり、かつ、(iv)前記科目情報が同じである前記組合せについて、前記債権側明細データ中の前記金額と前記債務側明細データ中の前記金額の差額を算出する差額算出手段としての差額算出部102fと、(7)前記債務側明細データに基づいて、前記差額を調整するための調整仕訳の仕訳データを、前記債務を計上した側の、内部取引用の仕訳として生成する調整仕訳データ生成手段としての調整仕訳データ生成部102gと、を備えている。
【0047】
債権側明細データ生成部102aは、請求主体識別データ(事業所)と請求先識別データ(請求先)と売上日と売上額と取引内容とを有する債権計上明細データを含む債権計上データ106f中の前記請求主体識別データ(事業所)および前記請求先識別データ(請求先)の組合せが、内部取引先特定マスタ106cに存在する場合、当該組合せの間で行われる取引を内部取引と判定する。
【0048】
内部取引と判定した場合、債権側明細データ生成部102aは、取引主体識別データ(事業所)としての前記請求主体識別データ(事業所)と、前記請求先識別データ(請求先)に対応する取引相手識別データ(相手事業所)と、計上日としての前記売上日と、金額としての前記売上額と、前記取引内容に対応する内部取引用科目マスタ106d中の前記科目情報(科目および内部取引調整科目)と、を有する債権側明細データを生成する。なお、当該債権側明細データとは、既に説明したとおりであるが、簡単にいうと、内部取引データ106hにおいて、「債権」の区分を有する明細データである。
【0049】
債務側明細データ生成部102bは、仕入主体識別データ(事業所)と仕入先識別データ(仕入先)と仕入日と仕入額と取引内容とを有する債務計上明細データを含む債務計上データ106g中の前記仕入主体識別データ(事業所)および前記仕入先識別データ(仕入先)の組合せが、内部取引先特定マスタ106cに存在する場合、当該組合せの間で行われる取引を内部取引と判定する。
【0050】
内部取引と判定した場合、債務側明細データ生成部102bは、取引主体識別データ(事業所)としての前記仕入主体識別データ(事業所)と、前記仕入先識別データ(仕入先)に対応する取引相手識別データ(相手事業所)と、計上日としての前記仕入日と、金額としての前記仕入額と、前記取引内容に対応する内部取引用科目マスタ106d中の前記科目情報(科目および内部取引調整科目)と、を有する債務側明細データを生成する。なお、当該債務側明細データとは、既に説明したとおりであるが、簡単にいうと、内部取引データ106hにおいて、「債務」の区分を有する明細データである。
【0051】
内部取引データ生成部102cは、債権側明細データ生成部102aで生成した前記債権側明細データおよび債務側明細データ生成部102bで生成した前記債務側明細データを含む内部取引データ106hを生成する。
【0052】
債権側仕訳データ生成部102dは、前記債権側明細データに基づいて、債権を計上した側(例えば、売上を計上した側)の、内部取引用の仕訳データ106iを生成する。具体的には、債権側仕訳データ生成部102dは、前記債権を計上した側を識別するための情報(事業所)としての前記債権側明細データ中の前記取引主体識別データ(事業所)と、前記債権側明細データ中の前記取引相手識別データ(相手事業所)に対応する借方科目と、借方金額としての前記債権側明細データ中の前記金額と、貸方科目としての前記債権側明細データ中の前記科目情報(科目)と、貸方金額としての前記債権側明細データ中の前記金額と、を含む内部取引用の仕訳データ106iを生成する。
【0053】
債務側仕訳データ生成部102eは、前記債務側明細データに基づいて、債務を計上した側(例えば、仕入を計上した側)の、内部取引用の仕訳データ106iを生成する。具体的には、債務側仕訳データ生成部102eは、前記債務を計上した側を識別するための情報(事業所)としての前記債務側明細データ中の前記取引主体識別データ(事業所)と、借方科目としての前記債務側明細データ中の前記科目情報(科目)と、借方金額としての前記債務側明細データ中の前記金額と、前記債務側明細データ中の前記取引相手識別データ(相手事業所)に対応する貸方科目と、貸方金額としての前記債務側明細データ中の前記金額と、を含む内部取引用の仕訳データ106iを生成する。
【0054】
差額算出部102fは、内部取引データ106h中の前記債権側明細データおよび前記債務側明細データの組合せのうち、
(i)前記債権側明細データ中の前記取引主体識別データ(事業所)が、前記債務側明細データ中の前記取引相手識別データ(相手事業所)と同じであり、
(ii)前記債務側明細データ中の前記取引主体識別データ(事業所)が、前記債権側明細データ中の前記取引相手識別データ(相手事業所)と同じであり、
(iii)前記計上日が同じであり、かつ、
(iv)前記科目情報(内部取引調整科目)が同じである
前記組合せについて、前記債権側明細データ中の前記金額と前記債務側明細データ中の前記金額の差額を算出する。
【0055】
調整仕訳データ生成部102gは、前記債務側明細データに基づいて、前記差額を調整するための調整仕訳の仕訳データ106iを、前記債務を計上した側(例えば、仕入を計上した側)の、内部取引用の仕訳として生成する。具体的には、調整仕訳データ生成部102gは、前記債務を計上した側を識別するための情報(事業所)としての前記債務側明細データ中の前記取引主体識別データ(事業所)と、借方科目としての前記債務側明細データ中の前記科目情報(内部取引調整科目)と、借方金額としての差額算出部102fで算出した前記差額と、前記債務側明細データ中の前記取引相手識別データ(相手事業所)に対応する貸方科目と、貸方金額としての差額算出部102fで算出した前記差額と、を含む内部取引用の調整仕訳の仕訳データ106iを生成する。
【0056】
[3.処理の概要等]
本項目では、本実施形態に係る処理の概要および処理フローについて説明する。
【0057】
[3-1.処理の概要]
本実施形態に係る処理の概要としては、以下の(1)~(4)に示すとおりである。
(1)支社毎の社内取引先を予め内部取引先特定マスタ106cに設定しておく。
(2)売上(債権)計上データおよび仕入(債務)計上データ連携時に、取引先が、社内の相手なのか社外の相手なのかの判断を行い、社内の相手であれば、売上および仕入を発生させずに、内部取引データ106hを生成する。
(3)内部取引データ106hに基づいて商品移動の仕訳を発生させる。なお、売上の金額と仕入の金額が異なる場合には、売上の金額に合わせる形で、仕入側で調整仕訳を発生させる。
(4)売上の金額と仕入の金額が異なる場合には、差額を求めてチェックリストにより確認できるようした。そして、必要に応じて各支社に確認の上、それぞれの販売システムで適宜対応を行えるようにした。
【0058】
[3-2.処理フロー]
本項目では、本実施形態に係る処理のフローについて、連携されるデータの種類別に分けて説明する。
【0059】
[3-2-1.売上データが連携される場合]
売上データが連携される場合について、図2を用いて説明する。
【0060】
まず、各支社販売システムから、確定した売上データが、例えばCSV形式の債権計上データ106fとして連携される。
【0061】
次に、連携された債権計上データ106fが読み込まれて、外部データ受入処理により、取引先が内部取引先に該当するか否かが判定される。
【0062】
内部取引先に該当しない場合、連携された債権計上データ106fは、債権計上データとして登録され、続けて、仕訳データの生成が行われる。本段落で説明した処理は、一般的な債権計上処理である。
【0063】
これに対して、内部取引先に該当する場合、連携された債権計上データ106fは、内部取引データ106hとして登録され、続けて、内部取引チェックリストおよび仕訳データ106iの生成が行われる。内部取引チェックリストにより、支社毎の発生額および調整額を確認可能である。また、仕訳データ106iは、内部取引データ106hに基づいて生成される。本段落で説明した処理は、本実施形態の処理である。
【0064】
[3-2-2.仕入データが連携される場合]
仕入データが連携される場合について、図3を用いて説明する。
【0065】
まず、各支社販売システムから、確定した仕入データが、例えばCSV形式の債務計上データ106gとして連携される。
【0066】
次に、連携された債務計上データ106gが読み込まれて、外部データ受入処理により、取引先が内部取引先に該当するか否かが判定される。
【0067】
内部取引先に該当しない場合、連携された債務計上データ106gは、債務計上データとして登録され、続けて、仕訳データの生成が行われる。本段落で説明した処理は、一般的な債務計上処理である。
【0068】
これに対して、内部取引先に該当する場合、連携された債務計上データ106gに対して、[3-2-1]の最終段落で説明した処理と同様の処理が行われる。
【0069】
[4.処理の具体例]
本項目では、本実施形態に係る処理の具体例について、4つのパターンに分けて説明する。
【0070】
[4-1.パターン1:事業所間での取引(単一取引かつ差額なし)]
本項目では、A支社からB支社に対する売上が計上される場合であって取引内容が単一かつ差額が発生しない場合について、図5図11を主に用いて説明する。なお、本項目においては、事業所マスタ106a、内部取引先特定マスタ106c、内部取引用科目マスタ106dおよび本支店勘定科目マスタ106eは、図4に示す内容で予め設定されているものとする。
【0071】
(1)各支社販売システムからのデータ連携
まず、確定した売上データが、図5に示す債権計上データ106f(csv形式)として出力され、A支社の販売システムから本実施形態の債権債務管理システムへと連携される。同様に、確定した仕入データが、図5に示す債務計上データ106g(csv形式)として出力され、B支社の販売システムから本実施形態の債権債務管理システムへと連携される。
【0072】
(2)内部取引データの生成
次に、外部データ受入処理によって、(1)で連携された債権計上データ106fおよび債務計上データ106g中の取引先が、内部の取引先に該当するか否かが、内部取引先特定マスタ106cを参照して判定される。
【0073】
(2-1)債権計上データ106fについて
まず、連携された債権計上データ106fについて説明する。図6に改めて示す債権計上データ106fの1行目の債権計上明細データにおいては、事業所が「A支社」であり、請求先が「株式会社B社」である。ここで、図6に改めて示す内部取引先特定マスタ106cを参照すると、事業所「A支社」および取引先「株式会社B社」という組合せが存在するため、債権側明細データ生成部102aは、「A支社」から「株式会社B社」への売上が内部取引に該当すると判定する(言い換えると、「株式会社B社」は、「A支社」にとって内部の取引先に該当すると判定する)。内部取引に該当する場合、債権側明細データ生成部102aは、図6の内部取引先特定マスタ106cから、取引先「株式会社B社」と紐付く情報として、相手事業所「B支社」を取得する。
【0074】
また、図6の債権計上データ106fの1行目の債権計上明細データにおいては、取引内容が「商品売上」である。この場合、債権側明細データ生成部102aは、図6に改めて示す内部取引用科目マスタ106dから、取引内容「商品売上」と紐付く情報として、内部取引科目「商品」および内部取引調整科目「商品(調整)」を取得する。
【0075】
そして、債権側明細データ生成部102aは、図6に示す内部取引データ106hを構成する債権側明細データを生成する。図6の債権側明細データ中の事業所「A支社」、取引先「株式会社B社」、計上日「11/30」、金額「5,000」および消費税「500」は、それぞれ、図6の債権計上データ106fの1行目の債権計上明細データ中の事業所「A支社」、請求先「株式会社B社」、計上日「11/30」、売上額「5,000」および消費税「500」を取得元とするものである。また、図6の債権側明細データ中の相手事業所「B支社」、科目「商品」および内部取引調整科目「商品(調整)」は、前記取得した情報である。そして、債権側明細データは、債権計上データ106fに基づいて生成されたものであるため、区分は、「債権」となる。
【0076】
このようにして、図6の債権計上データ106fの1行目の債権計上明細データに基づいて、債権側明細データ(図6の内部取引データ106h)が生成される。
【0077】
これに対して、図6の債権計上データ106fの2行目の債権計上明細データにおいては、事業所が「A支社」であり、請求先が「株式会社D社」である。ここで、図6の内部取引先特定マスタ106cを参照すると、事業所「A支社」および取引先「株式会社D社」という組合せが存在しないため、債権側明細データ生成部102aは、「A支社」から「株式会社D社」への売上が内部取引に該当しないと判定する(言い換えると、「株式会社D社」は、「A支社」にとって外部の取引先に該当すると判定する)。この場合、当該2行目の債権計上明細データは、通常の債権計上データとして登録される。
【0078】
(2-2)債務計上データ106gについて
次に、連携された債務計上データ106gについて説明する。図7に改めて示す債務計上データ106gの1行目の債務計上明細データにおいては、事業所が「B支社」であり、仕入先が「株式会社A社」である。ここで、図7に改めて示す内部取引先特定マスタ106cを参照すると、事業所「B支社」および取引先「株式会社A社」という組合せが存在するため、債務側明細データ生成部102bは、「株式会社A社」から「B支社」への仕入が内部取引に該当すると判定する(言い換えると、「B支社」は、「株式会社A社」にとって内部の取引先に該当すると判定する)。内部取引に該当する場合、債務側明細データ生成部102bは、図7の内部取引先特定マスタ106cから、取引先「株式会社A社」と紐付く情報として、相手事業所「A支社」を取得する。
【0079】
また、図7の債務計上データ106gの1行目の債務計上明細データにおいては、取引内容が「商品仕入」である。この場合、債務側明細データ生成部102bは、図7に改めて示す内部取引用科目マスタ106dから、取引内容「商品仕入」と紐付く情報として、内部取引科目「商品」および内部取引調整科目「商品(調整)」を取得する。
【0080】
そして、債務側明細データ生成部102bは、図7に示す内部取引データ106hを構成する債務側明細データを生成する。図7の債務側明細データ中の事業所「B支社」、取引先「株式会社A社」、計上日「11/30」、金額「5,000」および消費税「500」は、それぞれ、図7の債務計上データ106gの1行目の債務計上明細データ中の事業所「B支社」、仕入先「株式会社A社」、計上日「11/30」、仕入額「5,000」および消費税「500」を取得元とするものである。また、図7の債権側明細データ中の相手事業所「A支社」、科目「商品」および内部取引調整科目「商品(調整)」は、前記取得した情報である。そして、債務側明細データは、債務計上データ106gに基づいて生成されたものであるため、区分は、「債務」となる。
【0081】
このようにして、図7の債務計上データ106gの1行目の債務計上明細データに基づいて、債務側明細データ(図7の内部取引データ106h)が生成される。
【0082】
これに対して、図7の債務計上データ106gの2行目の債務計上明細データにおいては、事業所が「B支社」であり、請求先が「株式会社E社」である。ここで、図7の内部取引先特定マスタ106cを参照すると、事業所「B支社」および取引先「株式会社E社」という組合せが存在しないため、債務側明細データ生成部102bは、「株式会社E社」から「B支社」への仕入が内部取引に該当しないと判定する(言い換えると、「B支社」は、「株式会社E社」にとって外部の取引先に該当すると判定する)。この場合、当該2行目の債務計上明細データは、通常の債務計上データとして登録される。
【0083】
(2-3)内部取引データの生成
そして、内部取引データ生成部102cは、(2-1)で生成した債権側明細データおよび(2-2)で生成した債務側明細データを含む内部取引データ106hを、図8に示すように生成する。
【0084】
(3)差額の算出および内部取引チェックリストの出力
次に、生成された図8の内部取引データ106h中の債権側明細データおよび債務側明細データを参照すると、
(i)債権側明細データ中の事業所「A支社」が、債務側明細データ中の相手事業所「A支社」と同じであり、
(ii)債務側明細データ中の事業所「B支社」が、債権側明細データ中の相手事業所「B支社」と同じであり、
(iii)計上日が共に「11/30」であり、
(iv)内部取引調整科目が共に「商品(調整)」
である。このように、条件(i)~(iv)をすべて満たす場合、差額算出部102fは、債権側明細データ中の金額と債務側明細データ中の金額との差額を算出する。具体的には、5,000と5,000の差額として、0を算出する。
【0085】
そして、当該金額および当該算出された差額に基づいて、図8に示す内部取引チェックリストが出力される。内部取引チェックリストにより、A支社側の発生額(請求金額)、B支社側の発生額(仕入金額)および両発生額の差額を確認することが可能である。
【0086】
(4)仕訳データの生成
最後に、仕訳の生成対象の月が指定されて、仕訳データ生成処理により、内部取引データ106hを参照して、各支社の組合せでの内部取引用仕訳が生成される。
【0087】
(4-1)A支社側(売上計上側)の仕訳の生成
債権側仕訳データ生成部102dは、(2-1)で生成した債権側明細データ(図9の内部取引データ106h)に基づいて、債権(売上)を計上した側であるA支社側の、内部取引用の仕訳データ106iを、図9に示すように生成する。
【0088】
図9の仕訳データ106i中の事業所「A支社」、計上日「11/30」、借方金額「5,000」および貸方金額「5,000」は、それぞれ、図9の債権側明細データ中の事業所「A支社」、計上日「11/30」、金額「5,000」および金額「5,000」を取得元とするものである。
【0089】
また、図9の仕訳データ106i中の借方科目「B支店勘定」は、図9に改めて示す本支店勘定科目マスタ106eにおいて、図9の債権側明細データ中の相手事業所「B支社」に対応する本支店勘定科目「B支店勘定」を取得元とするものである。図9の仕訳データ106i中の貸方科目「商品」は、図9の債権側明細データ中の科目「商品」を取得元とするものである。
【0090】
なお、本例(4-1)で生成する仕訳は内部取引に関する仕訳であるため、消費税は発生しない。このため、図9の仕訳データ106iにおいて、借方消費税および貸方消費税は、0となっている。
【0091】
そして、生成された図9の仕訳データ106iに基づいて、図9に「仕訳イメージ」として示すA支社側の内部取引用仕訳が生成される。
【0092】
(4-2)B支社側(仕入計上側)の仕訳の生成
債務側仕訳データ生成部102eは、(2-2)で生成した債務側明細データ(図10の内部取引データ106h)に基づいて、債務(仕入)を計上した側であるB支社側の、内部取引用の仕訳データ106iを、図10に示すように生成する。
【0093】
図10の仕訳データ106i中の事業所「B支社」、計上日「11/30」、借方金額「5,000」および貸方金額「5,000」は、それぞれ、図10の債務側明細データ中の事業所「B支社」、計上日「11/30」、金額「5,000」および金額「5,000」を取得元とするものである。
【0094】
また、図10の仕訳データ106i中の貸方科目「A支店勘定」は、図10に改めて示す本支店勘定科目マスタ106eにおいて、図10の債務側明細データ中の相手事業所「A支社」に対応する本支店勘定科目「A支店勘定」を取得元とするものである。図10の仕訳データ106i中の借方科目「商品」は、図10の債務側明細データ中の科目「商品」を取得元とするものである。
【0095】
なお、本例(4-2)で生成する仕訳も内部取引に関する仕訳であるため、消費税は発生しない。このため、図10の仕訳データ106iにおいて、借方消費税および貸方消費税は、0となっている。
【0096】
そして、生成された図10の仕訳データ106iに基づいて、図10に「仕訳イメージ」として示すB支社側の内部取引用仕訳が生成される。
【0097】
(4-3)調整仕訳の生成
最後に、債権側明細データ中の金額と債務側明細データ中の金額との間で差額があれば、調整仕訳が生成される。債権側明細データ中の金額を抜き出したものを図11の「内部取引データA支社データより」に示し、債務側明細データ中の金額を抜き出したものを図11の「内部取引データB支社データより」に示す。これら2つの金額は、(3)で説明した方法において、差額算出の対象とした2つの金額である。このようにして、内部取引調整科目単位で、賃借金額の比較を行うことができる。
【0098】
図11に示すように、「内部取引データA支社データより」の金額は「5,000」であり、「内部取引データB支社データより」の金額も「5,000」であるため、差額が発生していない。このため、調整仕訳は生成されない。
【0099】
[4-2.パターン2:事業所間での取引(単一取引かつ差額あり)]
本項目では、A支社からB支社に対する売上が計上される場合であって取引内容が単一かつ差額が発生する場合について、図12図19を主に用いて説明する。なお、本項目においては、事業所マスタ106a、内部取引先特定マスタ106c、内部取引用科目マスタ106dおよび本支店勘定科目マスタ106eは、図4に示す内容で予め設定されているものとする。
【0100】
(1)各支社販売システムからのデータ連携
まず、確定した売上データが、図12に示す債権計上データ106f(csv形式)として出力され、A支社の販売システムから本実施形態の債権債務管理システムへと連携される。同様に、確定した仕入データが、図12に示す債務計上データ106g(csv形式)として出力され、B支社の販売システムから本実施形態の債権債務管理システムへと連携される。
【0101】
ここで、図12の債権計上データ106fの1行目の債権計上明細データにおいては、売上額が「5,000」であるが、当該明細データに対応する図12の債務計上データ106gの1行目の債務計上明細データにおいては、仕入額が「4,000」である。このように売上額と仕入額が異なるのは、例えば、月末にA支社からB支社に出荷したものの、月末時点ではB支社に商品が未着である等の理由による。
【0102】
(2)内部取引データの生成
次に、外部データ受入処理によって、内部取引データ106hが生成されるが、処理内容は、[4-1]の(2)と同様であるため、詳細な説明は割愛する。債権計上データ106fからの債権側明細データの生成を図13に示し、債務計上データ106gからの債務側明細データの生成を図14に示し、生成される内部取引データ106hを図15に示す。
【0103】
(3)差額の算出および内部取引チェックリストの出力
次に、生成された図15の内部取引データ106h中の債権側明細データおよび債務側明細データを参照すると、
(i)債権側明細データ中の事業所「A支社」が、債務側明細データ中の相手事業所「A支社」と同じであり、
(ii)債務側明細データ中の事業所「B支社」が、債権側明細データ中の相手事業所「B支社」と同じであり、
(iii)計上日が共に「11/30」であり、
(iv)内部取引調整科目が共に「商品(調整)」
である。このように、条件(i)~(iv)をすべて満たす場合、差額算出部102fは、債権側明細データ中の金額と債務側明細データ中の金額との差額を算出する。具体的には、5,000と4,000の差額として、1,000を算出する。
【0104】
このように、本項目[4-2]においては、[4-1]と異なり、債権側明細データ中の金額と債務側明細データ中の金額が異なるため、差額が発生する点がポイントである。そして、当該金額および当該算出された差額に基づいて、図15に示す内部取引チェックリストが出力される。
【0105】
(4)仕訳データの生成
最後に、仕訳の生成対象の月が指定されて、仕訳データ生成処理により、内部取引データ106hを参照して、各支社の組合せでの内部取引用仕訳が生成される。
【0106】
(4-1)A支社側(売上計上側)の仕訳の生成
A支社側(売上計上側)の仕訳の生成についての処理内容は、[4-1]の(4-1)と同様であるため、詳細な説明は割愛する。生成されるA支社側の、内部取引用の仕訳データ106iを図16に示す。また、生成されるA支社側の、内部取引用の仕訳を、「仕訳イメージ」として図16に示す。
【0107】
(4-2)B支社側(仕入計上側)の仕訳の生成
B支社側(仕入計上側)の仕訳の生成についての処理内容は、[4-1]の(4-2)と同様であるため、詳細な説明は割愛する。生成されるB支社側の、内部取引用の仕訳データ106iを図17に示す。また、生成されるB支社側の、内部取引用の仕訳を、「仕訳イメージ」として図17に示す。
【0108】
(4-3)調整仕訳の生成
最後に、債権側明細データ中の金額と債務側明細データ中の金額との間で差額があれば、調整仕訳が生成される。債権側明細データ中の金額を抜き出したものを図18の「内部取引データA支社データより」に示し、債務側明細データ中の金額を抜き出したものを図18の「内部取引データB支社データより」に示す。これら2つの金額は、(3)で説明した方法において、差額算出の対象とした2つの金額である。このようにして、内部取引調整科目単位で、賃借金額の比較を行うことができる。
【0109】
図18に示すように、「内部取引データA支社データより」の金額は「5,000」であり、「内部取引データB支社データより」の金額は「4,000」であるため、差額として1,000が発生している。
【0110】
このように差額が発生している場合、調整仕訳データ生成部102gは、(2-2)で生成した債務側明細データ(図17の内部取引データ106h)に基づいて、差額を調整するための調整仕訳の仕訳データ106iを生成する。当該仕訳データ106iは、債務(仕入)を計上した側である「B支社側」の、内部取引用の仕訳として生成される。生成される当該仕訳データ106iを、図19に示す。
【0111】
図19の仕訳データ106i中の事業所「B支社」および計上日「11/30」は、それぞれ、図17の債務側明細データ中の事業所「B支社」および計上日「11/30」を取得元とするものである。
【0112】
また、図19の仕訳データ106i中の貸方科目「A支店勘定」は、図17に示す本支店勘定科目マスタ106eにおいて、図17の債務側明細データ中の相手事業所「A支社」に対応する本支店勘定科目「A支店勘定」を取得元とするものである。図19の仕訳データ106i中の借方科目「商品(調整)」は、図17の債務側明細データ中の内部取引調整科目「商品(調整)」を取得元とするものである。
【0113】
そして、図19の仕訳データ106i中の借方金額1,000および貸方金額1,000は、(3)において差額算出部102fで算出した差額1,000を取得元とするものである。なお、本例(4-3)で生成する調整仕訳も内部取引に関する仕訳であるため、消費税は発生しない。このため、図19の仕訳データ106iにおいて、借方消費税および貸方消費税は、0となっている。
【0114】
最後に、生成された図19の仕訳データ106iに基づいて、図19に「仕訳イメージ」として示すB支社側の内部取引用仕訳が生成される。この仕訳は、B支社側で債務(借方)が1,000不足しているため、当該不足分1,000を調整するための調整仕訳である。
【0115】
[4-3.パターン3:事業所間での取引(複数取引かつ差額あり)]
本項目では、C支社からB支社に対する売上が計上される場合であって取引内容が複数かつ差額が発生する場合について、図20図27を主に用いて説明する。なお、本項目においては、事業所マスタ106a、内部取引先特定マスタ106c、内部取引用科目マスタ106dおよび本支店勘定科目マスタ106eは、図4に示す内容で予め設定されているものとする。
【0116】
(1)各支社販売システムからのデータ連携
まず、確定した売上データが、図20に示す債権計上データ106f(csv形式)として出力され、C支社の販売システムから本実施形態の債権債務管理システムへと連携される。同様に、確定した仕入データが、図20に示す債務計上データ106g(csv形式)として出力され、B支社の販売システムから本実施形態の債権債務管理システムへと連携される。
【0117】
ここで、本項目[4-3]においては、図20の債権計上データ106fに示すように、商品売上(1行目の債権計上明細データ)および販促品売上(2行目の債権計上明細データ)という2つの売上をC支社がB支社に対して行っており、また、図20の債務計上データ106gに示すように、商品仕入(1行目の債務計上明細データ)および販促品仕入(2行目の債務計上明細データ)という2つの仕入をB支社がC支社から行っている点がポイントである。つまり、本項目[4-3]においては、2つの取引を行っている。
【0118】
債権計上明細データ中の売上額と対応する債務計上明細データ中の仕入額とが異なる理由は、[4-2]の(1)で説明した理由と同様である。
【0119】
(2)内部取引データの生成
次に、外部データ受入処理によって、内部取引データ106hが生成される。なお、本項目[4-3]では、債権計上データ106fまたは債務計上データ106g中の1行目の明細データのみならず、2行目の明細データについても内部取引の明細データであると判定される点で、[4-1]の(2)と異なるが、処理内容自体は同様であるため、詳細な説明は割愛する。
【0120】
債権計上データ106fからの債権側明細データの生成を図21に示し、債務計上データ106gからの債務側明細データの生成を図22に示し、生成される内部取引データ106hを図23に示す。
【0121】
(3)差額の算出および内部取引チェックリストの出力
次に、差額の算出および内部取引チェックリストの出力が行われる。本項目[4-3]においては、2つの取引を行っているため、内部取引調整科目についても、「商品(調整)」および「貯蔵品(調整)」の2つが存在する。内部取引調整科目毎に差額が算出されるため、差額は2つ算出され、また、差額が2つ算出されるため内部取引チェックリストも2明細となる点で、[4-2]の(3)と異なるが、処理内容自体は同様であるため、詳細な説明は割愛する。出力される内部取引チェックリストを図23に示す。
【0122】
(4)仕訳データの生成
最後に、仕訳の生成対象の月が指定されて、仕訳データ生成処理により、内部取引データ106hを参照して、各支社の組合せでの内部取引用仕訳が生成される。本項目[4-3]においては、2つの取引を行っているため、生成される内部取引用の仕訳データ106iおよび生成される内部取引用の仕訳が2行となる点で、[4-2]の(4)と異なるが、処理内容自体は同様であるため、詳細な説明は割愛する。
【0123】
生成されるC支社側の、内部取引用の仕訳データ106iを図24に示す。生成されるC支社側の、内部取引用の仕訳を、「仕訳イメージ」として図24に示す。生成されるB支社側の、内部取引用の仕訳データ106iを図25に示す。生成されるB支社側の、内部取引用の仕訳を、「仕訳イメージ」として図25に示す。
【0124】
また、債権側明細データ中の金額を抜き出したものを図26の「内部取引データC支社データより」に示し、債務側明細データ中の金額を抜き出したものを図26の「内部取引データB支社データより」に示す。生成されるB支社側の、内部取引用の仕訳データ106iを図27に示す。当該仕訳データ106iは、調整仕訳の仕訳データ106iである。生成されるB支社側の、内部取引用の仕訳を、「仕訳イメージ」として図27に示す。当該仕訳は、B支社側で債務(借方)が、1,000(商品(調整)の分)および500(貯蔵品(調整)の分)不足しているため、当該不足分1,000および500を調整するための調整仕訳である。
【0125】
[4-4.パターン4:部門間での取引(単一取引かつ差額なし)]
本項目は、A部門からB部門に対する売上が計上される場合であって取引内容が単一かつ差額が発生しない場合の例である。本項目のパターン4は、パターン1におけるA支社およびB支社を、それぞれ、A部門およびB部門に置き換えた(つまり、内部取引の単位を「事業所」から「部門」に置き換えた)例であり、処理内容は、[4-1]で説明したパターン1と同様である。このため、パターン4における処理内容の説明は、割愛する。
【0126】
参考までに、処理の流れ、用いるデータ、生成されるデータおよび生成される仕訳を、図29図35に示す。なお、処理の前提となる部門マスタ106b、内部取引先特定マスタ106c、内部取引用科目マスタ106dおよび本支店勘定科目マスタ106eは、図28に示す内容で予め設定されているものとする。
【0127】
[5.本実施形態のまとめ]
以上説明してきたように、本実施形態に係る内部取引消去業務支援装置100によれば、グループ内部での取引である内部取引について、売上または仕入を発生させずに取引額を相殺消去する業務を支援することができる。
【0128】
具体的には、本実施形態に係る内部取引消去業務支援装置100によれば、各支社の販売システムから連携した売上データおよび仕入データを、債権のデータおよび債務のデータとして確定させるのではなく、内部取引用のデータ(内部取引データ106h)として登録することができるため、経理担当者は、内部取引データ106hを参照するのみで、内部取引についての取引額を相殺消去することが可能となる。
【0129】
また、本実施形態に係る内部取引消去業務支援装置100によれば、売上計上側の金額と仕入計上側の金額とで差額が発生する場合(例えば、売上から仕入まで期間があり、売上は計上されているが仕入はまだ計上されていない場合等)、当該差額を自動算出できるため、経理担当者は、内部取引の際に発生する当該差額を正確かつ迅速に把握することが可能となる。
【0130】
そして、本実施形態に係る内部取引消去業務支援装置100によれば、売上計上側の内部取引用の通常仕訳、仕入計上側の内部取引用の通常仕訳および仕入計上側の内部取引用の調整仕訳を自動生成できるため、内部取引用の仕訳生成のために従来要していた時間および労力をカットすることが可能となる。
【0131】
[6.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0132】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0133】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0134】
[7.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0135】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0136】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0137】
また、内部取引消去業務支援装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0138】
例えば、内部取引消去業務支援装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて内部取引消去業務支援装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0139】
また、このコンピュータプログラムは、内部取引消去業務支援装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0140】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0141】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0142】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0143】
また、内部取引消去業務支援装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、内部取引消去業務支援装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0144】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0145】
本発明は、あらゆる業界において有用であるが、特に、吸収、合併および組織再編等を頻繁に行う業界において極めて有用である。
【符号の説明】
【0146】
100 内部取引消去業務支援装置
102 制御部
102a 債権側明細データ生成部
102b 債務側明細データ生成部
102c 内部取引データ生成部
102d 債権側仕訳データ生成部
102e 債務側仕訳データ生成部
102f 差額算出部
102g 調整仕訳データ生成部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 事業所マスタ
106b 部門マスタ
106c 内部取引先特定マスタ
106d 内部取引用科目マスタ
106e 本支店勘定科目マスタ
106f 債権計上データ
106g 債務計上データ
106h 内部取引データ
106i 仕訳データ
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35