(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103595
(43)【公開日】2023-07-27
(54)【発明の名称】プラスチック光ファイバケーブル
(51)【国際特許分類】
G02B 6/44 20060101AFI20230720BHJP
【FI】
G02B6/44 301A
G02B6/44 381
G02B6/44 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022004208
(22)【出願日】2022-01-14
(71)【出願人】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】木村 剛
【テーマコード(参考)】
2H201
2H250
【Fターム(参考)】
2H201AX03
2H201AX11
2H201AX14
2H201BB03
2H201BB14
2H201BB24
2H201BB85
2H201DD02
2H201DD05
2H201DD07
2H201DD21
2H201DD33
2H201KK17
2H201KK34C
2H201KK76
2H201MM02
2H250AB32
2H250AB33
2H250AB34
2H250AB37
2H250AB38
2H250AB43
2H250AB70
2H250AC66
2H250AC83
2H250AC93
2H250AC96
2H250AD13
2H250AD32
2H250AD36
2H250AD37
2H250AH02
2H250AH04
2H250BA02
2H250BA34
2H250BB08
2H250BB10
2H250BB35
2H250BC02
2H250BD02
2H250BD06
2H250BD18
2H250BD20
(57)【要約】
【課題】プラスチック光ファイバの有する光学特性を損なうことなく、十分な機械的強度を有し、外観が良好なプラスチック光ファイバケーブルを提供する。
【解決手段】メタクリル酸メチル単位を有する重合体を含むコアと、前記コアの外周面上に設けられた1層以上のクラッド層と、を有するプラスチック光ファイバ素線と、
前記プラスチック光ファイバ素線の外周部を被覆する被覆層と、
を、有し、
前記被覆層が、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnにより定義される分子量分布Mw/Mnが3.0以上7.0未満の低密度ポリエチレン樹脂を含む、
プラスチック光ファイバケーブル。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタクリル酸メチル単位を有する重合体を含むコアと、前記コアの外周面上に設けられた1層以上のクラッド層と、を有するプラスチック光ファイバ素線と、
前記プラスチック光ファイバ素線の外周部を被覆する被覆層と、
を、有し、
前記被覆層が、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnにより定義される分子量分布Mw/Mnが3.0以上7.0未満の低密度ポリエチレン樹脂を含む、
プラスチック光ファイバケーブル。
【請求項2】
前記低密度ポリエチレン樹脂は、密度が0.910g/cm3以上0.930g/cm3以下であり、190℃、荷重2.16kgfで測定したメルトフローレートが0.3g/10分以上25g/10分以下である、
請求項1に記載のプラスチック光ファイバケーブル。
【請求項3】
前記低密度ポリエチレン樹脂は、植物原料由来のポリエチレン樹脂である、
請求項1又は2に記載のプラスチック光ファイバケーブル。
【請求項4】
前記ポリエチレン樹脂は、放射性炭素(14C)の測定値から算定される、バイオベース炭素含有率が80質量%以上である、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のプラスチック光ファイバケーブル。
【請求項5】
前記プラスチック光ファイバケーブルを構成する全樹脂に対する植物原料由来の成分の割合である、バイオマスプラスチック度が、25質量%以上である、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のプラスチック光ファイバケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック光ファイバケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック光ファイバ素線は、透明樹脂からなるコアの外周を、前記透明樹脂より低屈折率の樹脂からなるクラッド層で囲んだ構造を有し、コアとクラッド層の境界で光を反射させることによりコア内で光信号を伝送する媒体である。
通常、プラスチック光ファイバ素線は、物理的損傷又は化学的損傷を防止するためにプラスチック光ファイバ素線の外側に被覆層を設けたプラスチック光ファイバケーブルとして使用されている。
【0003】
前記被覆層用の樹脂としては、プラスチック光ファイバ素線へ被覆する際に、プラスチック光ファイバ素線への熱的ダメージが少ない、融点が100℃~220℃程度の範囲にある熱可塑性樹脂が選定されている。特に、ポリエチレン樹脂やポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂が好適に用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来提案されているポリエチレン樹脂を被覆層に用いたプラスチック光ファイバケーブルおいては、前記被覆層用の樹脂の種類や、その材料特性に関する検討がなされておらず、プラスチック光ファイバに被覆する樹脂として、未だ改善の余地がある、という問題点を有している。
【0006】
そこで本発明においては、プラスチック光ファイバの光学特性を損なうことなく、プラスチック光ファイバケーブルとしての十分な機械的強度を有し、外観が良好なプラスチック光ファイバケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上述した従来技術の課題を解決すべく鋭意検討した結果、光ファイバ素線の外周部を被覆する被覆層の材料として、特定のポリエチレン樹脂を用いることにより、従来技術の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
【0008】
〔1〕
メタクリル酸メチル単位を有する重合体を含むコアと、前記コアの外周面上に設けられた1層以上のクラッド層と、を有するプラスチック光ファイバ素線と、
前記プラスチック光ファイバ素線の外周部を被覆する被覆層と、
を、有し、
前記被覆層が、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnにより定義される分子量分布Mw/Mnが3.0以上7.0未満の低密度ポリエチレン樹脂を含む、
プラスチック光ファイバケーブル。
〔2〕
前記低密度ポリエチレン樹脂は、密度が0.910g/cm3以上0.930g/cm3以下であり、190℃、荷重2.16kgfで測定したメルトフローレートが0.3g/10分以上25g/10分以下である、前記〔1〕に記載のプラスチック光ファイバケーブル。
〔3〕
前記低密度ポリエチレン樹脂は、植物原料由来のポリエチレン樹脂である、前記〔1〕又は〔2〕に記載のプラスチック光ファイバケーブル。
〔4〕
前記ポリエチレン樹脂は、放射性炭素(14C)の測定値から算定される、バイオベース炭素含有率が80質量%以上である、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載のプラスチック光ファイバケーブル。
〔5〕
前記プラスチック光ファイバケーブルを構成する全樹脂に対する植物原料由来の成分の割合である、バイオマスプラスチック度が、25質量%以上である、前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載のプラスチック光ファイバケーブル。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、プラスチック光ファイバの有する光学特性を損なうことなく、十分な機械的強度を有し、外観が良好なプラスチック光ファイバケーブルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態の単芯プラスチック光ファイバケーブルの一例の概略断面図を示す。
【
図2】本実施形態の単芯プラスチック光ファイバケーブルの他の一例の概略断面図を示す。
【
図3】本実施形態の多芯プラスチック光ファイバケーブルの他の一例の概略断面図を示す。
【
図4】本実施形態の多芯プラスチック光ファイバケーブルの他の一例の概略断面図を示す。
【
図5】本実施形態の多芯プラスチック光ファイバケーブルの他の一例の概略断面図を示す。
【
図6】本実施形態の2芯プラスチック光ファイバケーブルの一例の概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。
以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
なお、図面中、同一要素について重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0012】
〔プラスチック光ファイバケーブル〕
本実施形態のプラスチック光ファイバケーブル(以下、POFケーブルと記載する場合がある。)は、メタクリル酸メチル単位を有する重合体を含むコアと、前記コアの外周面上に設けられた1層以上のクラッド層を有するプラスチック光ファイバ素線と、前記プラスチック光ファイバ素線の外周部を被覆する被覆層と、を、有する。
前記被覆層は、分子量分布Mw/Mnが3.0以上7.0未満の低密度ポリエチレン樹脂を含む。
上記構成を有することにより、十分な機械的強度を有し、ケーブル外観が良好なPOFケーブルが得られる。
【0013】
本実施形態のPOFケーブルの一例の概略断面図を
図1~
図6に示す。
【0014】
図1は、本実施形態の一例の概略断面図を表す。
POFケーブル10は、1本のコア12を有する単芯POFケーブルである。
POFケーブル10は、中央にコア12を有し、コア12の外周に被覆形成されたクラッド層14と、クラッド層14の外周に被覆形成された被覆層18を備えている。
なお、本実施形態ではコア12とクラッド層14を含めてプラスチック光ファイバ素線16という。
また、図示はしないが、被覆層18の外周に外被覆層を更に設けてもよい。これにより、屋外での長期的使用や接触する化学薬品等の影響から、プラスチック光ファイバ素線を一層確実に保護することができる。
【0015】
図2は、本実施形態のPOFケーブルの他の一例の概略断面図である。
図2に示すように、POFケーブル20は、中央にコア22を有し、コア22の外周に被覆形成されたクラッド層24と、クラッド層24の外周に被覆形成された保護層28と、保護層28の外周に被覆形成された被覆層29と、を備えている。
そして、コア22とクラッド層24と保護層28とがプラスチック光ファイバ素線26を構成している。
POFケーブル20が、クラッド層24の外周に被覆形成された保護層28を更に有することで、野外での長期的使用や接触する化学薬品等の影響等から、プラスチック光ファイバ素線26を一層確実に保護することができる。
【0016】
図3は、本実施形態のPOFケーブルの、他の一例の概略断面図である。
図3に示すように、POFケーブル30は、複数のコア32を有する多芯POFケーブルである。
POFケーブル30は、7芯タイプの光ファイバケーブルであるが、本実施形態のPOFケーブルは、7芯に限定されるものではない。
POFケーブル30は、7本のコア32がクラッド層34によって被覆されていることにより多芯化されている。そして、コア32とクラッド層34とによりプラスチック光ファイバ素線36を構成している。クラッド層34の外周を被覆層38により被覆形成されている。また、図示はしないが、被覆層38の外周に外被覆層を更に設けてもよい。これにより屋外での長期的使用や接触する化学薬品等の影響等から、コア32を一層確実に保護することができる。
【0017】
図4は、本実施形態のPOFケーブルの他の一例の概略断面図である。
図4に示すように、POFケーブル40は、各々のコア42が個別にクラッド層44によって被覆されている。
POFケーブル40はコア42が第一のクラッド層441によって夫々被覆されており、これらを第二のクラッド層442によって被覆することで多芯化されている。
第二のクラッド層442の外周に被覆層48が被覆形成されている。そして、コア42と第一のクラッド層441と第二のクラッド層442とによりプラスチック光ファイバ素線46を構成している。
【0018】
図5は、本実施形態のPOFケーブルの、他の一例の概略断面図である。
図5に示すように、POFケーブル50は、7本のコア52がクラッド層54によって被覆され、多芯化されている。さらにクラッド層54の外周に保護層58が設けられており、プラスチック光ファイバ素線56を構成している。そして保護層58の外周に被覆層59が被覆形成されている。
なおPOFケーブル50は、7芯タイプの光ファイバケーブルであるが、本実施形態のPOFケーブルは、7芯に限定されるものではない。
【0019】
図6は、本実施形態のPOFケーブルの2芯構造の概略断面図である。
POFケーブル60は、2本のコア62a及び62bを有する単芯ペア線光ファイバケーブルである。
POFケーブル60は、内部にコア62a及び62bを有し、コア62a及び62bの外周を被覆形成したクラッド層64a及び64bと、これらクラッド層64a及び64bの外周を被覆形成した被覆層68と、を備えている。
本実施形態では、コア62aとクラッド層64aを含めて各々プラスチック光ファイバ素線66aを構成しており、コア62bとクラッド層64bを含めて各々プラスチック光ファイバ素線66bを構成している。
そして、図示はしないが、被覆層68の外周に外被覆層を更に設けてもよい。これにより、屋外での長期的使用や接触する化学薬品等の影響等から、コア62a及び62bを一層確実に保護することができる。
【0020】
以下、上述したPOFケーブルを構成する部位や材料等について詳細に説明する。
【0021】
(コア)
コアを構成する樹脂(以下、「コア樹脂」ともいう。)は、メタクリル酸メチル単位を有する重合体を含む。
コアを構成する樹脂は、透明樹脂であることが好ましい。
コア樹脂としては、前記メタクリル酸メチル単位を有する重合体の他、プラスチック光ファイバのコア樹脂として公知のものを含んでいてもよい。
コア樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート系樹脂が好適なものとして挙げられ、ポリカーボネート系樹脂等を含んでいてもよい。それらの中でも、透明性の観点から、ポリメチルメタクリレート系樹脂が好ましい。
【0022】
ポリメチルメタクリレート系樹脂とは、メチルメタクリレートの単独重合体、あるいはメチルメタクリレート単量体を50質量%以上含む共重合体をいう。すなわち、ポリメチルメタクリレート系樹脂は、メチルメタクリレート単量体と、メチルメタクリレート単量体と共重合可能な他の単量体との共重合体であってもよい。
メチルメタクリレート単量体と共重合可能な他の単量体としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸シクロヘキシル等のメタクリル酸エステル類;イソプロピルマレイミド等のマレイミド類;アクリル酸、メタクリル酸、スチレン等が挙げられる。メチルメタクリレート単量体と共重合可能な他の単量体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0023】
ポリメチルメタクリレート系樹脂の重量平均分子量Mwは、特に限定されないが、コアの成形性の観点から、好ましくは8万以上20万以下であり、より好ましくは10万以上12万以下である。重量平均分子量Mwは、従来公知のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法により測定できる。
【0024】
(クラッド層)
本実施形態のプラスチック光ファイバケーブルは、前記コアの外周面上に設けられた1層以上のクラッド層を有する。
光信号がクラッド層とコアの界面で反射することで、光ファイバ内を光信号が伝搬される。かかる観点から、クラッド層はコアの表面を直接被覆することが好ましい。
クラッド層は、単層でもよいし、2層以上の複数層であってもよい。クラッド層が複数層である場合、例えば、コアを直接被覆する第一のクラッド層と、第一のクラッド層の外周を被覆形成する第二のクラッドとを有する場合、内側に位置する第一のクラッド層よりも、外側に位置する第二のクラッド層の屈折率が低いことが好ましい。これにより、第一のクラッド層を突き抜けた光信号の一部を第一のクラッド層と第二のクラッド層の界面反射により回収することが可能となる。よって、クラッド層が複数層である場合、内側に配置されているクラッド層の屈折率が、外側に配置されているクラッド層の屈折率よりも低いことが好ましい。
【0025】
クラッド層を構成する樹脂(以下、「クラッド樹脂」ともいう。)としては、特に限定されないが、具体的には、前記コアよりも屈折率が低いフッ素系樹脂等が好適なものとして挙げられる。特に、光透過率が高いフッ素系樹脂が好ましい。ここで光線透過率は紫外可視近赤外分光光度計を用いて測定することができる。樹脂を200μm程度の薄膜に成形した後、波長380nmから780nmの可視光を照射し、透過した光を測定することで光透過率を算出できる。プラスチック光ファイバのクラッド層に用いる樹脂は可視光透過率が90%であることが好ましい。このようなフッ素系樹脂を用いることにより、伝送損失を一層抑制することができる。
【0026】
フッ素系樹脂としては、例えば、フッ化メタクリレート系重合体やポリビニリデンフロライド系樹脂、エチレン-テトラフロロエチレン系共重合体等が挙げられる。
フッ化メタクリレート系重合体としては、特に限定されないが、光透過率が高く耐熱性や成形性に優れるという観点から、フルオロアルキルメタクリレート、フルオロアルキルアクリレート、α-フロロ-フルオロアルキルアクリレート等のフッ素を含有するアクリレートモノマー又はメタクリレートモノマーの重合体が好ましい。また、フッ素を含有する(メタ)アクリレートモノマー由来の単位と、これらと共重合可能な他の成分由来の単位とを含む共重合体であってもよく、前記フッ素を含有する(メタ)アクリレート由来の単位と、メチルメタクリレート等の共重合可能な炭化水素系のモノマー由来の単位との共重合体が好ましい。フッ素を含有する(メタ)アクリレートモノマー由来の単位と、これと共重合可能な炭化水素系のモノマー由来の単位との共重合体とすることで、屈折率をコントロールすることができるため好ましい。
【0027】
ポリビニリデンフロライド系樹脂としては、特に限定されないが、耐熱性や成形性に優れるという観点から、ビニリデンフロライドの単独重合体;ビニリデンフロライドと、テトラフロロエチレン、ヘキサフロロプロペン、トリフロロエチレン、ヘキサフロロアセトン、パーフロロアルキルビニルエーテル、クロロトリフロロエチレン、エチレン、及びプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種類以上のモノマーとの共重合体;これらのビニリデンフロライド成分由来の単位を含む重合体とポリメチルメタクリレート系樹脂とのアロイが好ましい。
【0028】
さらには、耐熱性の観点から、前記クラッド層を構成するフッ素系樹脂としては、ビニリデンフロライド、ヘキサフロロプロペン及びテトラフロロエチレンを含む共重合体が好ましく、より好ましくはビニリデンフロライド成分が40モル%以上62モル%以下、テトラフロロエチレン成分が28モル%以上40モル%以下、ヘキサフロロプロペン成分が8モル%以上22%モル%以下からなる共重合体が好ましく、さらには前記共重合体において、ナトリウムD線で20℃で測定した屈折率が1.35以上1.37以下、23℃におけるショアD硬度(ASTMD2240)の値が38以上45以下、240℃におけるMFR(ASTM D1238、荷重10kg)が5g/10分以上100g/10分以下を満たす樹脂が、光ファイバの製造が容易なため好ましい。
前記ビニリデンフロライド、ヘキサフロロプロペン及びテトラフロロエチレンの共重合体は、前記成分比内であれば、トリフロロエチレン、ヘキサフロロアセトン、パーフロロアルキルビニルエーテル、クロロトリフロロエチレン、エチレン、プロピレン等との共重合体であってもよい。
【0029】
前記クラッド層を構成するフッ素系樹脂としての、エチレン-テトラフロロエチレン系共重合体は、特に制限はないが、150~200℃の範囲に融点を有し、ナトリウムD線で20℃で測定した屈折率が1.37以上1.41以下であり、MFR(230℃、荷重3.8kg、オリフィスの直径2mm、長さ8mm)が5g/10分以上100g/10分以下であり、反応性官能基末端を有する、変性エチレン-テトラフルオロエチレン系共重合体樹脂等の変性フッ素系樹脂が好ましい。
前記変性フッ素系樹脂とは、全部又は一部の水素原子がフッ素原子で置換されたエチレン性モノマー(塩素等のフッ素以外のハロゲン原子を含んでいてもよい。以下、「含フッ素モノマー」ともいう。)の重合体、又は当該含フッ素モノマーと共重合可能な単量体との共重合体であって、主鎖あるいは側鎖に反応性官能基(例えば、カーボネート基(カルボニルジオキシ基)、エステル基、ハロホルミル基、カルボキシル基等)を導入して、変性することにより、反応性官能基末端を有するものをいう。ここで、「反応性官能基末端を有する」とは、主鎖及び/又は側鎖の末端に反応性官能基を有することをいう。
【0030】
上述したように、前記クラッド層に、反応性官能基を導入した変性フッ素系樹脂を用いることにより、耐薬品性や耐熱性等に優れるプラスチック光ファイバ素線が得られる。耐薬品性と耐熱性の観点から、反応性官能基の中でもカーボネート基を有するものが特に好ましい。カーボネート基を有する反応性官能基を導入した変性フッ素系樹脂は、変性フッ素系樹脂の重合時に重合開始剤としてパーオキシカーボネートを用いることにより容易に製造できる。
【0031】
フッ素系樹脂への反応性官能基の導入は、公知の方法によって行うことができる。例えば、所定の重合開始剤を用いることにより、共重合体に反応性官能基を導入する方法が好ましい。具体的には、得られるフッ素系樹脂100質量部に対して、所定の重合開始剤0.05質量部以上20質量部以下を用いて重合を行うことにより、反応性官能基をフッ素系樹脂へ導入することが好ましい方法として挙げられる。
【0032】
前記クラッド層を形成する前記変性フッ素系樹脂は、エチレン-テトラフルオロエチレン系共重合体を主骨格とするものが好ましい。
エチレン-テトラフルオロエチレン系共重合体における、エチレン/テトラフルオロエチレンのモル比は、特に限定されないが、成形性と耐薬品性のバランスの観点から、70/30~30/70の範囲にあることが好ましい。
【0033】
前記エチレン-テトラフルオロエチレン系共重合体を主骨格とする変性フッ素系樹脂は、さらに、テトラフルオロエチレン、及びエチレンとともに、これらと共重合可能な他の単量体を共重合させたものであってもよい。前記他の単量体としては、例えば、ヘキサフルオロプロピレン、ヘキサフルオロイソブテン、プロピレン、1-ブテン、2-ブテン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニル、ヘキサフルオロイソブテン、パーフルオロアルキルビニルエーテル等のオレフィンが挙げられる。
【0034】
この場合、エチレン/テトラフルオロエチレン/共重合可能な他の単量体のモル比は、特に限定されないが、成形性と耐薬品性のバランスの観点から、(10~80)/(20~80)/(0~40)の範囲にあることが好ましい。
【0035】
前記クラッド層を形成する変性フッ素系樹脂としては、より好ましくは、テトラフルオロエチレン62モル%以上80モル%以下、エチレン20モル%以上38モル%以下、及びこれらと共重合可能な単量体0モル%以上10モル%以下からなる単量体成分から得られるポリマー鎖を有するカルボニルジオキシ基含有共重合体;テトラフルオロエチレン20モル%以上80モル%以下、エチレン10モル%以上80モル%以下、ヘキサフルオロプロピレン0モル%以上30モル%以下、及びこれらと共重合可能な単量体0モル%以上10モル%以下からなる単量体成分から得られるポリマー鎖を有するカルボニルジオキシ基含有共重合体が挙げられる。
上述した変性フッ素系樹脂は、特に耐薬品性や耐熱性に優れるため、好ましい。
【0036】
前記クラッド層を形成する変性フッ素系樹脂は、融点が150℃~200℃の範囲であることが好ましい。融点がかかる温度範囲であることにより、コア樹脂であるポリメチルメタクリレート系樹脂の熱分解が許容できる300℃以下の成形温度で成形可能であるため好ましい。融点の測定は、示差走査熱量測定によって行うことができる。例えば、セイコーインスツルメンツ社製の示差走査熱量計(EXSTAR DSC6200)を用いて、サンプルを昇温速度20℃/分で昇温することで測定できる。
【0037】
本実施形態のPOFケーブルを構成するクラッド層の材料として用いられる変性フッ素系樹脂は、反応性官能基末端を有するエチレン-テトラフルオロエチレン系共重合体樹脂であることが好ましい。エチレン-テトラフルオロエチレン系共重合体樹脂は、テトラフルオロエチレン、及びエチレンとともに、プロピレン等のモノマーを共重合させたものであってもよい。これらの中でも融点が150℃~200℃の範囲で、MFR(230℃、荷重3.8kg)が5~100g/10分の範囲にあれば、コアを構成するポリメチルメタクリレート系樹脂の熱分解が許容できる300℃以下の成形温度で成形可能であるため好ましい。前記反応性官能基末端を有するエチレン-テトラフルオロエチレン系共重合体樹脂は、通常、23℃におけるショアD硬度(ASTM D2240)の値が60~80の範囲にある。クラッド樹脂に反応性官能基を導入すると、コアとの接着性が生じ、硬いクラッド樹脂でもコアから容易に剥離し難く、コアがクラッド層から飛び出したりするという問題は生じにくくなると考えられる。
【0038】
上述したような、クラッド層を構成する変性フッ素系樹脂としては、市販品を使用することができる。以下に限定されないが、例えば、ダイキン工業社製のネオフロンEFEP RP5000及びRP4020、並びに旭硝子社製のフルオンLM-ETFE AH2000等が挙げられる。これらのうち、ネオフロンEFEP RP5000及びRP4020は、反応性官能基としてカルボニルジオキシ基を含有するカーボネート変性エチレン-テトラフルオロエチレン系共重合体であるため好ましい。
【0039】
本実施形態のPOFケーブルにおいて、クラッド層の厚みは特に制限はないが、光を十分に反射させ、かつ、受光面積の低下を抑制する観点、及び機械的強度を実用上十分なものとする観点から、コアに接するクラッド層の厚みは、1μm以上50μm以下が好ましく、5μm以上50μm以下がより好ましい。コアに接するクラッド層以外にも、その他のクラッド層を有している場合、前記その他のクラッド層の厚みは、機械的強度に影響がないため、1μm以上20μm以下が好ましく、さらには1μm以下10μm以下がより好ましい。
【0040】
コアとクラッド層とから構成される単芯のプラスチック光ファイバ素線の断面の直径は、特に限定されないが、通常、200μm~3000μmであり、クラッド層の厚みの合計は1μm~50μmであることが好ましい。クラッド層の厚みが5μm以上であれば、プラスチック光ファイバ素線やPOFケーブルの機械的強度及び耐熱性を一層向上させることができる。また、クラッド層の厚さが50μm以下であれば、光ファイバとして機能するコアの断面積を十分に確保することができ、光信号を十分に伝播させることができる。
【0041】
(保護層)
本実施形態のPOFケーブルは、
図2に示すように、コア/クラッド構造の最外周を形成するクラッド層24の、さらに外周に、保護層28を有する構成とすることが好ましい。クラッド層24のさらに外周に保護層28を設けることにより、後述する被覆層29との密着性を向上させたり、POFケーブルに耐熱性を付与したりすることが可能となり、本実施形態のPOFケーブルの性能を一層向上させることができる。
【0042】
保護層28に用いる材料としては、コア/クラッド構造を形成する材料と一括紡糸することができる熱可塑性樹脂であれば特に限定されないが、クラッド層24との密着性や、成形性の観点から、熱可塑性フッ素系樹脂であることが好ましく、上述したポリビニリデンフロライド系樹脂であることがより好ましい。
特に、保護層28としてクラッド層24よりも屈折率の低い材料を用いる場合、前記の効果に加え保護層28は、前記クラッド層24を第一のクラッド層として、先述したような第二のクラッド層としての機能を発揮でき、第一のクラッド24から漏れた光を低屈折率層である保護層28で反射することができる。保護層28の厚みについては、プラスチック光ファイバケーブルの光量を低下させない範囲で、かつ適度な機械的強度を付与する目的で、1μm以上20μm以下が好ましく、1μm以上10μm以下がより好ましい。
【0043】
(被覆層)
本実施形態のPOFケーブルは、プラスチック光ファイバ素線の外周に、被覆層が形成された構成を有している。
本実施形態においては、被覆層が、分子量分布Mw/Mnが3.0以上7.0未満の低密度ポリエチレン樹脂を含む。
被覆層を形成する低密度ポリエチレン樹脂は、被覆した際に十分な可撓性や機械的強度を付与できる観点から、分子量分布が3.0以上7.0未満の低密度ポリエチレンであるものとする。
ポリエチレン樹脂の製造方法としては、一般的に、重合時の圧力により1000atm以上もの高圧下で重合を行う高圧法、100atm以下の圧力で重合する中圧法、数atm程度の低圧で重合する低圧法に分類することができる。本実施形態のPOFケーブルの被覆層に用いる低密度ポリエチレン樹脂は、例えば、高圧ラジカル重合法で得ることができる。
【0044】
一般的に、高圧ラジカル重合法により得られる低密度ポリエチレンの分子量分布は3.0~12.0と広い分布を持つ。このように高圧ラジカル重合法で得られるポリエチレン樹脂の分子量分布が広い理由は、ポリマー側鎖に長鎖分岐を有することに起因する。長鎖分岐が生成することでポリエチレン樹脂中の高分子量成分の存在比率が高まり、分子量分布が広くなるためである。
【0045】
なお、この高圧ラジカル重合法により得られる低密度ポリエチレン樹脂は、重合の際に使用する反応器の形状によって、オートクレーブ型又はチューブラー型に大別できる。これらの反応器の形状の選択によって、得られる低密度ポリエチレン樹脂の分子量分布を制御することができる。
【0046】
オートクレーブ型の反応器を用いて得られた低密度ポリエチレン樹脂は、反応槽内の攪拌によりフリーラジカルの高い領域にポリマーが存在することで、ポリマーとの連鎖移動が起こりやすく長鎖分岐の生成が多くなる。この長鎖分岐の存在は高分子鎖の絡み合いを大きくすることから、分子量分布が広くなり、溶融張力が大きくなる傾向にある。
一方、チューブラー型の反応器を用いて得られた低密度ポリエチレン樹脂は、チューブ内の各位置で異なった分子量のポリマーが生成することから、オートクレーブ型の反応器を用いた重合法に比べて長鎖分岐の量は少なくなる。そのため加工性に優れ、押出した際のポリエチレン樹脂の外観が良好になる傾向にある。
【0047】
本実施形態のPOFケーブルの被覆層に用いる低密度ポリエチレン樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって得られる重合平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比Mw/Mnが、3.0以上7.0未満である。かかる低密度ポリエチレン樹脂は、チューブラー型の重合器により得られたものであることが好ましい。
分子量分布の値が3.0以上であることにより、ポリエチレン樹脂を溶融押出する際に、樹脂の流れが均一になり、メルトフラクチャーと呼ばれる外観不良の発生を抑制でき、良好な外観のPOFケーブルが得られる。したがって、分子量分布の下限は3.0以上であるものとし、好ましくは3.3以上、より好ましくは3.5以上である。
一方、分子量分布の値が7.0未満であると、上述した長鎖分岐による側鎖の絡み合いによる溶融粘度の向上による加工性の低下を抑制でき、様々な分子量のポリエチレンが含有されることを防止できるため、低分子量成分が多くなりすぎることを抑制でき、POFケーブルとした際、ケーブル同士の粘着を防止でき、耐熱性の低下を防止できる。したがって、分子量分布の上限は7.0未満とし、好ましくは6.8以下、さらに好ましくは6.5以下である。
上記範囲にある低密度ポリエチレン樹脂を用いることで、光学特性を損なうことなく、機械的強度やケーブル表面の平滑性に極めて優れるプラスチック光ファイバケーブルが得られる。
低密度ポリエチレン樹脂の分子量分布は、重合時の開始剤の種類や重合圧力、重合温度を調整することにより、上記数値範囲に制御することができる。
【0048】
また、本実施形態のPOFケーブルの被覆層を形成する低密度ポリエチレン樹脂は、密度が0.910g/cm3以上0.930g/cm3以下であり、190℃、荷重2.16kgfで測定したMFRが0.3g/10分以上25g/10分以下であることが好ましく、より好ましくは0.5g/10分以上15g/10分以下であり、さらに好ましくは1.0g/10分以上~10g/10分以下である。
【0049】
なお、前記低密度ポリエチレン樹脂の密度(d、単位:g/cm3)は、前記低密度ポリエチレン樹脂を150℃でプレス成形して得られた厚さ1mmのシートを用い、ASTM D792に従って測定を行ったものである。
また、MFR(単位:g/10分)は、ASTM D1238に準じ、試験温度190℃の条件にて、試験荷重2.16kgfで測定したものである。
【0050】
上述した密度及びMFRの範囲にある低密度ポリエチレン樹脂を、被覆層に用いることで、良好な成形性が得られ、かつケーブルの引張りや曲げ、ねじり等に対して十分な強度を付与することができる。
低密度ポリエチレン樹脂の密度、MFRは、重合条件、例えば、重合温度、重合圧力、及び重合反応器を調整することにより、上記数値範囲に制御できる。
【0051】
さらに被覆層用の低密度ポリエチレン樹脂は、樹脂を構成する原料であるエチレンモノマーの出発原料が石油由来であっても、植物原料由来であってもよい。石油原料由来のエチレンとしては公知のとおりナフサ等の原油を出発原料として得られるエチレンを使用することができる。
【0052】
植物由来の原料から得られるエチレンは、例えば、以下の方法により得られる。
サトウキビやトウモロコシを出発原料とし、これらの出発原料から取り出した糖液を加熱濃縮して結晶化させた可食用の粗糖と非食用の廃糖密とに分離し、この廃糖密を適切な濃度まで水で希釈、酵母菌により発酵させたバイオエタノールを生成する。次いでこのバイオエタノールを加熱して触媒存在下で分子内脱水反応によりエチレンを得る。このエチレンを重合触媒により重合させてポリエチレンが得られる。
なお、植物原料由来のエチレン及びポリエチレン樹脂は、石油原料由来のエチレン及びポリエチレン樹脂と品質及びび加工性が同等であることが確認されている。
【0053】
なお、本実施形態のPOFケーブルの被覆層に用いる植物性原料由来のポポリエチレン樹脂は、ポリエチレン樹脂を構成する全炭素質量のうち、放射性炭素(14C)の測定値から算出される、バイオマス由来成分の炭素質量の割合である、バイオベース炭素含有量(バイオマス度)が80質量%以上であることが好ましい。より好ましくは85質量%以上であり、さらに好ましくは100質量%である。
【0054】
ここでバイオマス度について説明する。
一般的に植物性原料由来の樹脂組成物と石油由来の樹脂組成物は、その製法が同じであれば分子量や結晶化度等、ポリマーの構造に起因する機械物性や、融点等の熱物性に差を生じない。そこで両者を区別するために放射性同位体である14Cの含有量を測定することで特定できるバイオマス度が用いられる。この14Cは植物が成長のために大気中の二酸化炭素を取り込む際に大気中の14Cも一緒に取り込むため、植物由来の原料のみに14Cが含有される。一方で、石油由来の樹脂組成物の炭素には、放射性炭素14が含まれていない。そのため放射性炭素14Cの濃度を加速器質量分析により測定し、樹脂組成物において、植物原料由来の樹脂組成物の含有割合を算出することにより、両者を区別できる。
【0055】
このバイオベース炭素含有率は、ISO 16620-2に記載の方法で測定することができる。
まず、測定対象試料を燃焼して二酸化炭素を発生させ、真空ラインで精製した二酸化炭素を、鉄を触媒として水素で還元することで生成するグラファイトを、14C-AMS専用装置に装着して、14Cの計数、13Cの濃度(13C/12C)、14Cの濃度(14C/12C)の測定を行い、この測定値から標準現代炭素に対する試料炭素の14C濃度の割合を算出することができる。
【0056】
本実施形態においては、上述したような植物原料由来のポリエチレン樹脂を用いて被覆層の構成成分とすることにより、ケーブル材の原料であるポリエチレン樹脂の製造時に排出される二酸化炭素排出量を抑制することができるため、結果的にPOFケーブルの製造時における二酸化炭素の発生を抑制することができる。
【0057】
また、本実施形態のPOFケーブルは、被覆層に、分子量分布が3.0以上7.0未満、密度が0.910~0.930g/cm3、MFRが0.3~2025g/10分の範囲にある植物性原料由来のポリエチレン樹脂を用いる場合において、石油由来のポリエチレン樹脂と物性的に違いがなく、既存のPOFケーブルの製造工程をそのまま用いることができ、加工性や機械物性を損ねることなく原料を切替えることができる。
【0058】
さらに、本実施形態のPOFケーブルの被覆層を構成する低密度ポリエチレン樹脂として、放射性炭素年代測定14Cの測定値から算定される所定のバイオマス度を有する植物性原料由来のポリエチレン樹脂を用いることにより、本実施形態に含まれる多種のPOFケーブルに関して、前記バイオマス度を指標にして、被覆層を構成するポリエチレン樹脂の原料由来を識別できる。
【0059】
(バイオマスプラスチック度)
また、本実施形態のPOFケーブルにおいては、このPOFケーブルを構成する全樹脂の質量に対する、植物原料由来の成分の割合であるバイオマスプラスチック度は、25質量%以上であることが好ましい。より好ましくは28質量%以上であり、さらに好ましくは30質量%以上である。
【0060】
前記バイオマスプラスチック度とは、植物原料由来の成分の質量割合であり、POFケーブルを構成する全樹脂成分中、バイオマスプラスチックがどの程度使用されているのかを示す指標である。
【0061】
本実施形態のPOFケーブルは、プラスチック光ファイバ素線の断面の外径が0.5~1.0mmであることが好ましく、被覆層の材料として植物性原料由来のポリエチレン樹脂を用いることが好ましい形態である。
被覆層の厚みは100μm以上であることが好ましい。このような形態とすることにより、本実施形態のPOFケーブルのバイオマスプラスチック度を25質量%以上とすることができ、二酸化炭素の発生を抑制することが可能となり、環境負荷を低減することができる。
【0062】
また、本実施形態のPOFケーブルにおいては、上述したバイオマスプラスチック度が25質量%を下回らない範囲で、プラスチック光ファイバ素線への外光の入射を防止するために、植物性原料由来のポリエチレン樹脂に、難燃剤やカーボンブラック等の遮光剤、その他の添加剤等を含有させてもよい。また、プラスチック光ファイバケーブルの識別性、意匠性を高めるために、被覆層に着色剤を含有させてもよい。着色剤としては、染料系や無機系の公知のものが用いられるが、耐熱性の観点から無機顔料を用いることが好ましい。
【0063】
被覆層の形成方法としては、プラスチック光ファイバ素線のケーブル化方法として一般的に使用されている方法をいずれも採用できるが、クロスヘッドダイを用いて被覆層を形成する方法が、本発明の効果を十分に発現したPOFファイバケーブルを得ることができる観点から好ましい。
【実施例0064】
以下、本実施形態について具体的な実施例及び比較例を挙げて説明するが、本実施形態は、後述する実施例に限定されない。
まず、本発明の実施例及び比較例における評価方法について説明する。
【0065】
(屈折率)
後述する実施例及び比較例で用いたコア樹脂、クラッド層樹脂を用いて、溶融プレスにより厚さ200μmのフィルム状試験片を作製した。アッベの屈折計を用い、20℃におけるナトリウムD線の屈折率(nD20)を測定した。
【0066】
(伝送損失)
後述する実施例及び比較例で製造したPOFケーブルを用いて、測定波長650nm、励振NA=0.15の条件で、22m-2mのカットバック法により、伝送損失を測定した。
【0067】
(1000時間後の伝送損失)
後述する実施例及び比較例で製造したPOFケーブル22mを、カセ巻きの状態で、70℃、又は85℃の乾熱環境下、及び70℃95%RH、又は85℃85%RHの湿熱環境下の、4種の環境下にそれぞれ静置し、1000時間後の伝送損失を測定した。
測定条件は、測定波長650nm、励振NA=0.15とし、22m-2mのカットバック法により伝送損失を測定した。
前記4種の環境:(1)~(4)を、表中の備考の欄に示す。
【0068】
(分子量分布)
ポリエチレン樹脂の分子量が測定可能な市販の高温GPC装置を用いて、カラム温度140℃、溶剤o-ジクロロベンゼン、サンプル濃度1.0mL/1mL、注入量0.3mLの条件下で測定を行った。ポリスチレンに換算した重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnから分子量分布Mw/Mnを算出した。
【0069】
(バイオベース炭素含有率)
ISO 16620-2に記載の方法で、ポリエチレン樹脂中に含まれる炭素(12C)及びその他の同位元素の濃度を測定し、ポリエチレン樹脂を構成する全炭素中の、放射性炭素(14C)の割合を算出し、これにより、バイオマス由来成分の炭素の質量割合である、バイオベース炭素含有率(質量%)を測定した。
【0070】
(バイオマスプラスチック度)
後述する実施例及び比較例で作製したPOFケーブルのバイオマスプラスチック度を、POFケーブルを構成する全樹脂の質量に対する、バイオマス由来のポリエチレンの質量割合として算出した。
POFケーブル1mの質量を測定し、その後、被覆層とプラスチック光ファイバに分解し、被覆層の質量を測定した。
被覆層が、着色剤やその他の添加物が含有している場合は、その配合割合をもとに、被覆層に含まれるバイオマス由来のポリエチレンの質量を算出した。
最後に、算出したバイオマス由来のポリエチレンの質量と、あらかじめ計量しておいたプラスチック光ファイバの質量から、バイオマス由来のポリエチレンの質量割合を算出した。
【0071】
(引張破断強度)
温度23℃、引張速度100mm/分にてASTM D1708の方法に準じてPOFケーブルが破断する際の最大破断強を測定した。
【0072】
(繰り返し屈曲回数)
長さ3mのPOFケーブルの一端に、荷重500gfをかけ、前記POFケーブルの中央部分を直径15mmの2本の円管にて挟持した。このPOFケーブルの他端を一方の円管側に移動させてPOFケーブルが90度折れ曲がるように円管外周に巻き付けた後、他方の円管側に移動させてPOFケーブルが90度折れ曲がるように円管外周に巻き付けて合計180度屈曲させた。これを繰り返し、POFケーブルが切断した際の曲げ回数を測定した。
【0073】
(POFケーブルの外観)
後述する実施例及び比較例で作製したPOFケーブルの外観を、目視及び触診により、下記の基準で評価した。
〇;POFケーブル表面が平滑で艶がある。
×;POFケーブル表面にざらつきがあり、艶がない。
【0074】
〔実施例1〕
コア樹脂として、屈折率が1.49、MFRが1.5g/10分である、ポリメチルメタクリレート系樹脂を用い、コアと接するクラッド樹脂として、ビニリデンフロライド72質量%とテトラフルオロエチレン28質量%の共重合体(屈折率1.40)を用いた。
これらの樹脂を溶融して、220℃の紡糸ヘッドに供給し、同心円状複合ノズルを用いて溶融複合紡糸した後、150℃の熱風加熱炉中で繊維軸方向に2倍に延伸し、クラッド層の厚みが10μm、直径1.0mmのプラスチック光ファイバ素線を得た。
【0075】
次に、スクリュー径30mmφ二軸押出機を用いて、石油由来のエチレン原料を用いて高圧チューブラー法によって製造した市販の低密度ポリエチレン樹脂(d=0.921、MFR=2.1g/10分、分子量分布=4.2、バイオベース炭素含有率0質量%)100質量部に、着色剤としてカーボンブラックを3質量部添加し、200℃で溶融混練し、ポリエチレン樹脂組成物を得た。
次いで、上述のようにして得られたプラスチック光ファイバ素線を、クロスヘッドダイを有するスクリュー径40mmφの単軸押出機を用い、180℃にて、前記ポリエチレン樹脂組成物を押出しながら厚み0.60mmとなるようにプラスチック光ファイバ素線に被覆して被覆層を形成した。これにより、外径2.2mm、バイオマスプラスチック度0質量%のPOFケーブルを得た。
得られたPOFケーブルの外観は滑らかで艶があり良好であった。
また各種特性を評価し、その結果を表1に示した。
【0076】
〔実施例2〕
前記実施例1と同様の方法で直径1.0mmのプラスチック光ファイバ素線を得た。
被覆層用樹脂として、サトウキビ由来のエタノールを高圧チューブラー法で重合して得られた低密度ポリエチレン樹脂(d=0.923、MFR=2.7g/10分、分子量分布=4.7、バイオベース炭素含有率95質量%)を用いた。その他の条件は、実施例1と同様の方法でポリエチレン樹脂組成物を製造し、被覆層を形成した。
これにより、外径2.2mm、バイオマスプラスチック度64質量%のPOFケーブルを得た。
得られたPOFケーブルの外観は滑らかで艶があり良好であった。
また各種特性を評価し、その結果を表1に示した。
【0077】
〔実施例3〕
プラスチック光ファイバ素線のコア樹脂は実施例1と同一の樹脂を用いた。
プラスチック光ファイバ素線を構成するクラッド層を2層構造とし、第一のクラッド層の樹脂として、テトラフルオロプロピルメタクリレート(4FM)20質量%、ペンタフルオロプロピルメタクリレート(5FM)60質量%、及びメチルメタクリレート20質量%をキャスト重合させて得られたフッ化メタクリレート系樹脂を用いた。フッ化メタクリレート系樹脂の屈折率は1.42であった。
また第一のクラッド層の外側に設ける第二のクラッド層用の樹脂として、ビニリデンフロライド72質量%とテトラフルオロエチレン28質量%の共重合体(屈折率1.40)を用いた。
これらの樹脂を溶融して、220℃の紡糸ヘッドに供給し、同心円状複合ノズルを用いて溶融複合紡糸した後、150℃の熱風加熱炉中で繊維軸方向に2倍に延伸し、第一のクラッド層と第二のクラッド層の厚みが各々10μm、直径1.0mmのプラスチック光ファイバ素線を得た。
これに、実施例2で用いたポリエチレン樹脂組成物を、実施例1と同様の方法で被覆して被覆層を形成した。
これにより、外径2.2mm、バイオマスプラスチック度64質量%のPOFケーブルを得た。
得られたPOFケーブルの外観は表面が平滑で艶があり良好であった。
また各種特性を評価し、その結果を表1に示した。
【0078】
〔実施例4〕
クラッド層を構成する樹脂(クラッド樹脂)として、パーフロロアルキルビニルエーテル、ビニリデンフロライドとテトラフロロエチレン、ヘキサフロロプロペンとの4元共重合体(屈折率1.36)を用いた。
保護層を構成する樹脂(保護層用樹脂)として、ビニリデンフロライド72質量%とテトラフルオロエチレン28質量%の共重合体(屈折率1.40)を用いた。これらの重合体を溶融して、その他の条件は、実施例3と同様の操作で、直径1.0mmのプラスチック光ファイバ素線を作製した。
すなわち、実施例3は、クラッド層が2層構造であるが、この実施例4においては、第二のクラッド層に替えて保護層を形成した。
被覆層形成用の樹脂として、トウモロコシ由来の原料を高圧チューブラー法により製造した市販の低密度ポリエチレン(d=0.923、MFR=22g/10分、分子量分布=3.6、バイオベース炭素含有率は90質量%)を用いた。
その他は、実施例1と同様の方法で、外径2.2mm、バイオマスプラスチック度60質量%のPOFケーブルを得た。
得られたPOFケーブルの外観は、表面が平滑で艶があり、良好であった。
また、各種特性を評価し、その結果を表1に示した。
【0079】
〔比較例1〕
市販の高圧オートクレーブ法により重合した石化由来の低密度ポリエチレン樹脂(d=0.918、MFR=2.8g/10分、分子量分布=8.4、バイオベース炭素含有率0質量%)を用い、実施例1と同様の方法で低密度ポリエチレンと着色用カーボンブラックを溶融混錬しポリエチレン樹脂組成物を得た。
これを実施例1と同様の方法で製造したプラスチック光ファイバ素線に被覆し、被覆層を形成し、POFケーブルを作製した。
得られたPOFケーブルの外観は、艶がなく、梨地状であった。
作製したPOFケーブルのバイオマスプラスチック度は0質量%であった。
各種特性を評価し、その結果を表1に示した。
【0080】
〔比較例2〕
POFケーブルの被覆層形成用の樹脂として、比較例1と同一の低密度ポリエチレンを使用した。その他は実施例3と同様にしてPOFケーブルを得た。
作製したPOFケーブルのバイオマスプラスチック度は0質量%であった。
得られたPOFケーブルの外観は比較例1と同様に艶がなく、梨地状であった。
また、各種特性を評価し、その結果を表1に示した。
【0081】
【0082】
上記結果から、分子量分布が3.0以上7.0未満の範囲にある高圧チューブラー法で重合した低密度ポリエチレンを被覆した実施例1~4は、比較例1及び2に比べて良好なケーブル外観を有し、機械的強度においても引張破断強度や繰返し屈曲強度が高いことが分かった。また、植物性原料由来のポリエチレン樹脂を被覆した実施例2~4は、従来の石油由来の原料から得られたポリエチレン樹脂を被覆した比較例1及び2と比較し、同等以上の物性を有し、石化由来低密度ポリエチレン樹脂の製造性は遜色ないことが分かった。
【0083】
〔実施例5〕
コアを構成する材料として、ポリメチルメタクリレート(屈折率1.49)、クラッド層を構成する樹脂(クラッド樹脂)として、ビニリデンフロライド72質量%とテトラフルオロエチレン28質量%の共重合体(屈折率1.40)を、それぞれ、217芯複合紡糸ダイの、コア樹脂分配室とクラッド樹脂分配室とに入れ、直径1.0mmの217芯プラスチック光ファイバ素線を複合紡糸により製造した。
次いで、上述のようにして得たプラスチック光ファイバ素線を用いて、実施例2と同様の方法で直径1.5mmのPOFケーブルを得た。
作製したPOFケーブルのバイオマスプラスチック度は41質量%であった。
得られたPOFケーブルの外観は、表面が平滑で艶があり、良好であった。
また各種特性を評価し、その結果を表2に示した。
【0084】
〔比較例3〕
スクリュー径40mmφ押出機を用いて、中圧重合法により得られた石油由来の市販の直鎖状低密度ポリエチレン(d=0.918、MFR=2.3g/10分、分子量分布=2.5、バイオベース炭素含有率は0質量%)100質量部に、着色剤としてカーボンブラックを3質量部添加し、200℃で溶融混練し、ポリエチレン樹脂組成物を得た。
実施例5で製造したプラスチック光ファイバ素線を、クロスヘッドダイにて、前記ポリエチレン樹脂組成物を0.25mmの厚みで被覆し、被覆層を形成し、これにより、外径1.5mmのPOFケーブルを作製した。この際、被覆時にメルトフラクチャーが発生し、サメ肌状の表面異常が確認され、外観が不良であった。
得られたPOFケーブルのバイオマスプラスチック度は0質量%であった。
またPOFケーブルの各種特性を評価し、その結果を表2に示した。
【0085】
〔実施例6〕
コア層形成用の樹脂として、実施例1と同じく、屈折率が1.49、MFRが1.5g/10分である、ポリメチルメタクリレート系樹脂を用いた。
クラッド層形成用の樹脂(クラッド樹脂)として、パーフロロアルキルビニルエーテル、ビニリデンフロライドとテトラフロロエチレン、ヘキサフロロプロペンとの4元共重合体(屈折率1.36)を用いた。
保護層形成用の樹脂として、ビニリデンフロライド72質量%とテトラフルオロエチレン28質量%の共重合体(屈折率1.40)を用いた。
それぞれ、コア層用樹脂分配室とクラッド層用樹脂分配室、保護層用樹脂分配室とに入れ、217芯複合紡糸ダイを用いて、
図5に示すようなコア/クラッド層/保護層から成る、外径1.0mmの217芯プラスチック光ファイバ素線を作製した。
これに植物由来の原料を高圧チューブラー法により製造した市販の低密度ポリエチレン(d=0.923、MFR=0.3g/10分、分子量分布=6.9、バイオベース炭素含有率は88.0質量%)を用い、実施例1と同様の方法で、外径2.2mmのPOFケーブルを得た。
得られたPOFケーブルのバイオマスプラスチック度は約58質量%であった。
POFケーブルの外観は、表面が平滑で艶があり良好であった。
またPOFケーブルの各種特性を評価し、その結果を表2に示した。
【0086】
〔実施例7〕
第一のクラッド層を構成する樹脂(クラッド樹脂)として、エチレン-テトラフルオロエチレン系共重合体を主骨格としたフッ素系共重合体にカーボネート基を導入した変性した変性フッ素共重合体(屈折率1.38)を用いた。
第二のクラッド層用の樹脂として、エチレン、テトラフロロエチレン、ヘキサフロロプロペンの共重合体(屈折率1.36)を用いた。
その他の条件は、実施例3と同様に、外径1.0mmのプラスチック光ファイバ素線を製造した。
次いで、被覆層形成用の樹脂として高圧チューブラー法により重合した石化由来の市販の低密度ポリエチレン樹脂(d=0.924、MFR=1.0g/10分、分子量分布=3.2、バイオベース炭素含有率0質量%)を用いた。
その他の条件は、実施例1と同様の方法で外径1.3mm(被覆厚み0.15mm)のPOFケーブルを得た。
得られたPOFケーブルのバイオマスプラスチック度は0質量%であった。
また本POFケーブルの外観は、表面が平滑で艶があり良好であった。
その他の評価結果を表2に示した。
【0087】
〔実施例8〕
コアを構成する材料としてポリメチルメタクリレート(屈折率1.49)を用いた。
クラッド層を構成する樹脂(クラッド樹脂)としてビニリデンフロライド72質量%とテトラフルオロエチレン28質量%の共重合体(屈折率1.40)を用いた。これらを、それぞれ、217芯複合紡糸ダイのコア層用樹脂分配室とクラッド層用樹脂分配室とに入れ、外径0.5mmの217芯プラスチック光ファイバ素線を複合紡糸により製造した。
次に、スクリュー径30mmφ二軸押出機を用いて、植物由来の原料を高圧チューブラー法により製造した市販の低密度ポリエチレン(d=0.924、MFR=0.6g/10分、分子量分布=5.5、バイオベース炭素含有率95%)100質量部に、着色剤としてカーボンブラックを3質量部添加し、200℃で溶融混練し、ポリエチレン樹脂組成物を得た。
次いで、得られたプラスチック光ファイバ素線に、クロスヘッドダイにて、前記ポリエチレン樹脂組成物を厚み0.25mmとなるように被覆して被覆層を形成し、外径1.0mmのPOFケーブルを作製した。
得られたPOFケーブルのバイオマスプラスチック度は約63質量%であった。
また本POFケーブルの外観は、表面が平滑で艶があり良好であった。
POFケーブルの各種特性を評価し、その結果を表2に示した。
【0088】
本発明のプラスチック光ファイバケーブルは、石油資源の節約、二酸化炭素の総排出量削減による環境負荷の少ないPOFケーブルとして、産業上の利用可能性を有している。