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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103602
(43)【公開日】2023-07-27
(54)【発明の名称】帽子
(51)【国際特許分類】
   A42B 1/22 20060101AFI20230720BHJP
   A42B 1/019 20210101ALI20230720BHJP
   A42B 1/04 20210101ALI20230720BHJP
【FI】
A42B1/22 Z
A42B1/019 B
A42B1/04 R
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022004215
(22)【出願日】2022-01-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-05-06
(71)【出願人】
【識別番号】399029662
【氏名又は名称】株式会社シゲマツ
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】重松 良克
(57)【要約】
【課題】本発明は、十分な長さのサイズ調整を行うことができる帽子を提供する。
【解決手段】帽子1は、面状の複数の布パーツ11が面方向に縫合されて構成されるクラウン部10とブリム部20とを備える帽子であって、クラウン部10の下部の全周または一部にわたって設けられる帯状の布からなるサイズ調整部30を備え、サイズ調整部30は、帯状の布が形成する袋状の空間の中に、所定の温度以上の温度によって、所定の長さだけクラウン部10の周方向に延びる形状可変部材31を有し、複数の布パーツ11、および、帯状の布のうちの少なくとも1つは、布がバイアス裁断されることによって形成される輪郭と網目とを有し、(1)複数の布パーツ11同士、(2)クラウン部10とブリム部20と、および、(3)クラウン部10とサイズ調整部30とのうちの少なくとも1つは、伸縮性のある糸で互いに縫合される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
面状の複数の布パーツが面方向に縫合されて構成されるクラウン部とブリム部とを備える帽子であって、
前記クラウン部の下部の全周または一部にわたって設けられる帯状の布からなるサイズ調整部を備え、
前記サイズ調整部は、前記帯状の布が形成する袋状の空間の中に、所定の温度以上の温度によって、所定の長さだけ前記クラウン部の周方向に延びる形状可変部材を有し、
前記複数の布パーツ、および、前記帯状の前記布のうちの少なくとも1つは、布がバイアス裁断されることによって形成される輪郭と網目とを有し、
(1)前記複数の布パーツ同士、(2)前記クラウン部と前記ブリム部と、および、(3)前記クラウン部と前記サイズ調整部とのうちの少なくとも1つは、伸縮性のある糸で互いに縫合される、
帽子。
【請求項2】
前記形状可変部材は、前記所定の温度以上の温度において、前記形状可変部材にかかる前記周方向への張力に応じた割合で、前記周方向に延びる、
請求項1に記載の帽子。
【請求項3】
前記形状可変部材は、前記所定の温度以上の温度が一定に保たれている間、前記クラウン部の周方向に延びた状態を維持する、
請求項1または2に記載の帽子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帽子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クラウン部の周のサイズを調整することができる帽子が提案されている。特許文献1には、汗受けに設けられた弾性バンドによってサイズ調整が行われる帽子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-088800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示される帽子は、十分な長さのサイズ調整が難しいという課題がある。
【0005】
そこで、本発明は、十分な長さのサイズ調整を行うことができる帽子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る帽子は、面状の複数の布パーツが面方向に縫合されて構成されるクラウン部とブリム部とを備える帽子であって、前記クラウン部の下部の内側面の全周にわたって設けられる帯状の布からなるサイズ調整部を備え、前記サイズ調整部は、前記帯状の布が形成する袋状の空間の中に、所定の温度以上の温度によって、所定の長さだけ前記クラウン部の周方向に延びる形状可変部材を有し、前記複数の布パーツ、および、前記帯状の前記布のうちの少なくとも1つは、布がバイアス裁断されることによって形成される輪郭と網目とを有し、(1)前記複数の布パーツ同士、(2)前記クラウン部と前記ブリム部と、および、(3)前記クラウン部と前記サイズ調整部とのうちの少なくとも1つは、伸縮性のある糸で互いに縫合される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様に係る帽子は、十分な長さのサイズ調整を行うことができる帽子を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態における帽子の全体を表す斜視図である。
図2図2は、実施の形態における帽子の全体を表す側面図である。
図3図3は、実施の形態における帽子のサイズ調整部の全周を表す図である。
図4図4は、実施の形態における帽子の形状可変部材を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の帽子は、クラウン部の下部の内側面の全周にわたって設けられる帯状の布からなるサイズ調整部を備え、サイズ調整部は、帯状の布が形成する袋状の空間の中に、所定の温度以上の温度によって、所定の長さだけクラウン部の周方向に延びる形状可変部材を有する。そして、本発明の帽子において、複数の布パーツ、および、帯状の布のうちの少なくとも1つは、布がバイアス裁断されることによって形成される輪郭と網目とを有し、伸縮性のある糸で縫製される。これにより、本発明の帽子は、例えば、約55cm~約61cm以上までの、約6cm以上にわたる十分な長さの、クラウン部のサイズ調整を可能とする。
【実施例0010】
以下、図面に従って、一実施例を説明する。
【0011】
[構造]
図1は、実施の形態における帽子1の全体を表す斜視図である。帽子1は、クラウン部10と、ブリム部20とを備える。ここで、クラウン部10とは、ユーザの頭部を覆う帽子1の側面と上面とを構成する部分である。そして、ブリム部20とは、クラウン部10から外方に突出した部分である。
【0012】
帽子1を構成する生地は、木綿、ウール、麻、植物性の材料、または、ポリエステル等の化学繊維で実現される、帽子1の外面を構成する布地である。生地は、例えば、フェルト生地またはニット生地であってもよい。生地は、1枚の布であってもよいし、複数の布パーツ11から構成されていてもよい。
【0013】
帽子1は、クラウン部10に、サイズ調整部30と、菊穴40とを有する。クラウン部10は、菊穴40を複数有してもよい。クラウン部10は、面状の複数の布パーツ11が面方向に縫合されて構成される。
【0014】
サイズ調整部30は、クラウン部10の下部の全周または一部にわたって設けられる帯状の布からなる。サイズ調整部30は、クラウン部10の下部をなす周の内側に取り付けられてもよいし、図1に示されるように、クラウン部10と一体となって、クラウン部10の下部を成してもよい。
【0015】
なお、帽子1は、クラウン部10にすべりを有さない。ここで、すべりとは、クラウン部10の内側の全周にわたって設けられる帯状の布のことである。
【0016】
図2は、実施の形態における帽子1の全体を表す側面図である。サイズ調整部30は、幅約2cmの帯状の形状をしていてもよい。例えば、サイズ調整部30は、クラウン部10の後方の下部に設けられてもよい。具体的には、サイズ調整部30は、クラウン部10がブリム部20と接していない部分において、クラウン部の下端から2cmの幅で、帯状に設けられてもよい。
【0017】
また、クラウン部10が有する菊穴40は、クラウン部10を構成する複数の布パーツ11のそれぞれに1つずつ設けられてもよい。例えば、クラウン部10が6つの布パーツ11から構成される場合は、6つの布パーツ11のそれぞれが、1つずつ菊穴40を有することで、帽子1は、6つの菊穴を有してもよい。
【0018】
図3は、実施の形態における帽子1のサイズ調整部30の全周を表す図である。図3は、帽子1を下面から見た図である。図3に示されるように、サイズ調整部30は、クラウン部10の下部の全周に渡って設けられていてもよい。なお、図3に示されるサイズ調整部30は、便宜的に、サイズ調整部30の幅をそのまま図面上に投影して示している。
【0019】
サイズ調整部30は、帯状に裁断された布によって形成されてもよく、帯状に裁断された布は、袋状に縫合されていてもよい。そして、サイズ調整部30は、帯状の布が形成する袋状の空間の中に、所定の温度以上の温度によって、所定の長さだけクラウン部10の周方向に延びる形状可変部材31を有する。
【0020】
つまり、帽子1は、クラウン部10の下部に、袋状に縫合された帯状の布を有し、袋状に縫合された帯状の布の中に、芯を備える構成であり、当該芯は、所定の温度以上の温度によって、所定の長さだけクラウン部10の周方向に延びる形状可変部材31である。
【0021】
なお、形状可変部材31は、クラウン部10の周方向だけでなく、クラウン部10の周方向と垂直な方向等に延びてもよい。形状可変部材31は、所定の温度以上の温度によって、あらゆる方向に延びてもよい。
【0022】
また、クラウン部10を構成する複数の布パーツ11、および、サイズ調整部30を構成する帯状の布のうちの少なくとも1つは、布がバイアス裁断されることによって形成される輪郭と網目とを有し、伸縮性のある糸で縫合される。つまり、クラウン部10を構成する複数の布パーツ11、および、サイズ調整部30を構成する帯状の布のうちの少なくとも1つは、バイアス裁断によって裁断された布地を用いて形成される。
【0023】
ここで、バイアス裁断とは、布を縦糸または横糸に対して45度の角度で裁断することを指す。なお、バイアス裁断とは、厳密に45度の角度で裁断されることのみを指すのではなく、縦糸または横糸に対して、角度をつけて裁断されることを含んでもよい。これにより、クラウン部10を構成する複数の布パーツ11、および、サイズ調整部30を構成する帯状の布のうちの少なくとも1つは、通常の裁断方法で裁断された場合よりも、伸縮性を有することができる。
【0024】
図4は、実施の形態における帽子1の形状可変部材31を表す図である。図4は、帽子1のサイズ調整部30と、サイズ調整部30が有する形状可変部材31のみを一部取り出して示した図である。
【0025】
上述したように、形状可変部材31は、所定の温度以上の温度によって、所定の長さだけクラウン部10の周方向に延びる。つまり、形状可変部材31は、所定の温度以上の温度になることによって、形状が可変となる部材である。具体的には、形状可変部材31は、所定の温度以上の温度となることによって、形状可変部材31に対して張力がかかる方向に延びることができる。ここで、所定の温度とは、例えば、摂氏28度でもよい。形状可変部材31において、例えば、約摂氏28度で軟化が開始される。
【0026】
例えば、形状可変部材31は、サイズ調整部30に接するユーザの頭部の体温によって、数cm~約6cm、クラウン部10の周方向に延びてもよい。言い換えると、形状可変部材31は、ユーザの頭部の体温程度の温度を与えられた場合、例えばクラウン部10の周方向に、数cm~約6cm以上伸長してもよい。つまり、帽子1は、形状可変部材31が約6cm以上伸長することによって、例えば、クラウン部の周の大きさについて、約55cm~約61cmまでのサイズ変更が可能となる。
【0027】
形状可変部材31は、所定の温度以上の温度において、形状可変部材31にかかる周方向への張力に応じた割合で、周方向に延びる。例えば、形状可変部材31は、ユーザが頭部に帽子1を被ったときに、サイズ調整部30にかかるユーザの頭部からの圧力によってもたらされる形状可変部材31の張力に応じて、ユーザの体温によってクラウン部10の周方向に延びてもよい。
【0028】
例えば、形状可変部材31は、ユーザの頭部の体温程度の温度を与えられた場合、サイズ調整部30がユーザの頭部になじむようにサイズ調整部30が引っ張られる方向において、サイズ調整部30がユーザの頭部になじむようにする程度の長さだけ、クラウン部10の周方向に延びる。
【0029】
また、形状可変部材31は、所定の温度以上の温度が一定に保たれている間、クラウン部10の周方向に延びた状態を維持する。例えば、形状可変部材31は、ユーザの頭部がサイズ調整部30に接している間、形状可変部材31の温度がユーザの体温によって、所定の温度以上に一定に保たれるため、形状可変部材31にかかる周方向への張力に応じた割合で、周方向に延びた状態を維持する。
【0030】
例えば、形状可変部材31は、ユーザの体温によってクラウン部10の周方向に延びたあと、サイズ調整部30がユーザの頭部と接してサイズ調整部30にユーザの頭部の体温程度の温度が与えられている間、クラウン部10の周方向に延びた分だけの延びを維持する。
【0031】
また、複数の布パーツ11同士、クラウン部10とブリム部20と、および、クラウン部10とサイズ調整部30とのうちの少なくとも1つは、伸縮性のある糸32で互いに縫合される。帽子1の全体にわたって、伸縮性のある糸32で縫合されてもよい。ここで、伸縮性のある糸とは、例えば、ウーリー糸であってもよい。
【0032】
これにより、形状可変部材31が、クラウン部10の周方向に延びた場合に、サイズ調整部30と、サイズ調整部30と縫合されているクラウン部10の複数の布パーツ11同士に張力がはたらいても、伸縮性のある糸32が伸びることで、複数の布パーツ11およびサイズ調整部30等が若干伸びることができる。つまり、帽子1は、形状可変部材31が、クラウン部10の周方向に延びた場合に、帽子1全体にはたらく張力に対応することができる。
【0033】
例えば、形状可変部材31が、クラウン部10の周方向に延びた場合、サイズ調整部30を構成する帯状の布が、形状可変部材31の延びに合わせて延びる。そして、帯状の布と縫合されているクラウン部10を構成する複数の布パーツ11が、帯状の布の延びに合わせて一定程度延びる。このとき、帯状の布と複数の布パーツ11とを縫合している伸縮性のある糸32も、帯状の布の延びに合わせて伸びる。これにより、帽子1全体が、形状可変部材31の延びに合わせて延びることにより、帽子1は、従来よりも大幅なサイズの調整を行うことができる。
【0034】
[効果]
実施の形態における帽子1は、面状の複数の布パーツ11が面方向に縫合されて構成されるクラウン部10とブリム部20とを備える帽子であって、クラウン部10の下部の全周または一部にわたって設けられる帯状の布からなるサイズ調整部30を備え、サイズ調整部30は、帯状の布が形成する袋状の空間の中に、所定の温度以上の温度によって、所定の長さだけクラウン部10の周方向に延びる形状可変部材31を有し、複数の布パーツ11、および、帯状の布のうちの少なくとも1つは、布がバイアス裁断されることによって形成される輪郭と網目とを有し、(1)複数の布パーツ11同士、(2)クラウン部10とブリム部20と、および、(3)クラウン部10とサイズ調整部30とのうちの少なくとも1つは、伸縮性のある糸で互いに縫合される。
【0035】
これにより、実施の形態における帽子1は、所定の温度以上の温度がサイズ調整部30に与えられたときに、形状可変部材31が所定の長さだけ伸長することによってサイズ調整部30が十分に伸長し、それに合わせて帽子1全体も十分に伸長することができる。また、実施の形態における帽子1は、形状可変部材31が所定の長さだけ伸長するときに、帽子1を構成する各パーツの縫合箇所において、形状可変部材31の延びに合わせて帽子1が伸長することを妨げない。よって、実施の形態における帽子1は、十分な長さのサイズ調整を行うことができる。
【0036】
実施の形態における帽子1において、形状可変部材31は、所定の温度以上の温度において、形状可変部材31にかかる周方向への張力に応じた割合で、周方向に延びる。
【0037】
これにより、実施の形態における帽子1は、ユーザの頭部の体温がサイズ調整部30に与えられたときに、ユーザの頭部の大きさにフィットするように帽子のサイズ調整を行うことができる。よって、実施の形態における帽子1は、十分な長さのサイズ調整を行うことができる。
【0038】
実施の形態における帽子1において、形状可変部材31は、所定の温度以上の温度が一定に保たれている間、クラウン部10の周方向に延びた状態を維持する。
【0039】
これにより、実施の形態における帽子1は、ユーザの頭部の体温がサイズ調整部30に与えられている間、ユーザの頭部の大きさにフィットするように帽子のサイズ調整を行うことを維持することができる。よって、実施の形態における帽子1は、十分な長さのサイズ調整を行うことができる。
【0040】
以上、本発明の帽子1について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
1 帽子
10 クラウン部
11 布パーツ
20 ブリム部
30 サイズ調整部
31 形状可変部材
32 伸縮性のある糸
40 菊穴
図1
図2
図3
図4