(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103619
(43)【公開日】2023-07-27
(54)【発明の名称】甘味料及び果汁含有飲料の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 27/00 20160101AFI20230720BHJP
A23L 27/24 20160101ALI20230720BHJP
A23L 2/02 20060101ALI20230720BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20230720BHJP
A23L 2/60 20060101ALI20230720BHJP
【FI】
A23L27/00 E
A23L27/24
A23L2/02 A
A23L2/52 101
A23L2/60
A23L2/02 B
A23L2/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022004240
(22)【出願日】2022-01-14
(71)【出願人】
【識別番号】515219931
【氏名又は名称】株式会社くだものかふぇ
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168114
【弁理士】
【氏名又は名称】山中 生太
(74)【代理人】
【識別番号】100162259
【弁理士】
【氏名又は名称】末富 孝典
(74)【代理人】
【識別番号】100146916
【弁理士】
【氏名又は名称】廣石 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 聡
【テーマコード(参考)】
4B047
4B117
【Fターム(参考)】
4B047LB07
4B047LB08
4B047LB09
4B047LF07
4B047LG22
4B047LG23
4B047LG26
4B047LG38
4B047LG59
4B047LP02
4B117LC01
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4B117LK08
4B117LK12
4B117LK13
4B117LK25
4B117LP01
(57)【要約】
【課題】無添加でも長期間にわたって品質を維持することができる甘味料及び果汁含有飲料の製造方法を提供する。
【解決手段】甘味料は、イソマルトオリゴ糖と、重合度2以上の澱粉分解物又は転移反応物の還元末端側のアルデヒド基が酸化された糖カルボン酸、その塩類及びそのラクトンからなる群から選択される少なくとも1種以上の成分と、発酵酸味液と、を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソマルトオリゴ糖と、
重合度2以上の澱粉分解物又は転移反応物の還元末端側のアルデヒド基が酸化された糖カルボン酸、その塩類及びそのラクトンからなる群から選択される少なくとも1種以上の成分と、
発酵酸味液と、
を含む、甘味料。
【請求項2】
前記糖カルボン酸は、
マルトビオン酸である、
請求項1に記載の甘味料。
【請求項3】
前記糖カルボン酸は、
水飴酸化物として含まれる、
請求項1又は2に記載の甘味料。
【請求項4】
前記成分が、
0.3~0.5質量%で含まれる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の甘味料。
【請求項5】
果汁含有飲料用である、
請求項1から4のいずれか一項に記載の甘味料。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の甘味料と、果実と、氷と、を混合する混合ステップと、
前記混合ステップで得られた混合物を粉砕し、撹拌する撹拌ステップと、
を含む、果汁含有飲料の製造方法。
【請求項7】
前記混合物における前記甘味料の含有量は、
9~12質量%である、
請求項6に記載の果汁含有飲料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、甘味料及び果汁含有飲料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
果汁飲料及び果汁含有飲料等の果汁を原料とする飲料には良好な果汁感及びフレッシュ感が求められている。果汁を原料とする飲料に甘味を付与するために加えられる甘味料の主成分として、主にグラニュー糖(ショ糖又はスクロース)が使用されてきた。さらに、グラニュー糖よりも低カロリーで、かつ甘みが強いスクラロース、アセスルファムカリウム及びアスパルテーム等の高甘味度甘味料も使用されている。また、呈味改善効果に優れた甘味料として、例えば、特許文献1にはマルトオリゴ糖酸化物を含む高甘味度甘味料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の健康志向の高まりから、酸味付与、防腐、酸化防止及びpH調整等のための食品添加物を含まない、いわゆる無添加の甘味料への関心が高まっている。しかし、無添加の甘味料は、食品添加物を含まないため、腐りやすかったり、変色したりと、品質の維持において不都合があった。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、無添加でも長期間にわたって品質を維持することができる甘味料及び果汁含有飲料の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の観点に係る甘味料は、
イソマルトオリゴ糖と、
重合度2以上の澱粉分解物又は転移反応物の還元末端側のアルデヒド基が酸化された糖カルボン酸、その塩類及びそのラクトンからなる群から選択される少なくとも1種以上の成分と、
発酵酸味液と、
を含む。
【0007】
前記糖カルボン酸は、
マルトビオン酸である、
こととしてもよい。
【0008】
前記糖カルボン酸は、
水飴酸化物として含まれる、
こととしてもよい。
【0009】
前記成分が、
0.3~0.5質量%で含まれる、
こととしてもよい。
【0010】
上記本発明の第1の観点に係る甘味料は、
果汁含有飲料用である、
こととしてもよい。
【0011】
本発明の第2の観点に係る果汁含有飲料の製造方法は、
上記本発明の第1の観点に係る甘味料と、果実と、氷と、を混合する混合ステップと、
前記混合ステップで得られた混合物を粉砕し、撹拌する撹拌ステップと、
を含む。
【0012】
前記混合物における前記甘味料の含有量は、
9~12質量%である、
こととしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、無添加でも長期間にわたって品質を維持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施の形態について詳細に説明する。
【0015】
(実施の形態1)
本実施の形態に係る甘味料は、イソマルトオリゴ糖と、重合度2以上の澱粉分解物又は転移反応物の還元末端側のアルデヒド基が酸化された糖カルボン酸、その塩類及びそのラクトンからなる群から選択される少なくとも1種以上の成分(以下、“糖カルボン酸”とも称する)と、発酵酸味液と、を含む。
【0016】
イソマルトオリゴ糖は、α-1,2結合、α-1,3結合及びα-1,6結合の分岐オリゴ糖を多く含むオリゴ糖をいう。α-1,2結合を有するイソマルトオリゴ糖としては、コージビオース等が挙げられる。α-1,3結合を有するイソマルトオリゴ糖としては、ニゲロース等が挙げられる。α-1,6結合を有するイソマルトオリゴ糖としては、イソマルトース、パノース、イソマルトトリオース及びイソマルトテトラオース等が挙げられる。イソマルトオリゴ糖は、天然物から精製又は粗精製されたものであってもよく、例えば、澱粉を原料として転移酵素を作用させることで得られる。イソマルトオリゴ糖は、熱及び酸に対して安定で分解されにくいうえ、味質調整及び風味調整の効果を有する。
【0017】
糖カルボン酸は、重合度2以上の澱粉分解物又は転移反応物の還元末端側のアルデヒド基が酸化されたものであれば、特に限定されない。澱粉分解物又は転移反応物の重合度は、例えば、2~100又は2~50、2~10等であってもよい。より具体的には、糖カルボン酸として、マルトビオン酸、イソマルトビオン酸、マルトトリオン酸、イソマルトトリオン酸、マルトテトラオン酸、マルトヘキサオン酸、セロビオン酸及びパノース酸化物等が挙げられる。糖カルボン酸として、好ましくはマルトビオン酸及びマルトトリオン酸が挙げられ、マルトビオン酸が特に好ましい。糖カルボン酸は、1種であっても、2種以上を併用してもよい。また、糖カルボン酸は、遊離の酸であってもよく、その塩類及びラクトンであってもよい。
【0018】
糖カルボン酸は、どのような形態で含まれてもよいが、例えば、マルトオリゴ糖酸化物、分岐オリゴ糖酸化物、水飴酸化物、粉飴酸化物又はデキストリン酸化物の形態で含まれてもよい。好ましくは、糖カルボン酸は、水飴酸化物として含まれる。
【0019】
糖カルボン酸は、常法に従って製造することができる。例えば、澱粉分解物又は転移反応物を化学的な酸化反応により酸化する方法で糖カルボン酸を得ることができる。また、澱粉分解物又は転移反応物にオリゴ糖酸化能を有する微生物又は酸化酵素を作用させる反応によって糖カルボン酸を製造してもよい。
【0020】
化学的な酸化反応としては、例えば、パラジウム、白金又はビスマス等を活性炭に担持させた酸化触媒の存在下で、マルトース等の重合度2以上のアルドースと酸素とをアルカリ雰囲気下で接触酸化させることにより、糖カルボン酸を製造することができる。
【0021】
マルトビオン酸の塩は、マルトビオン酸に塩類を添加することで調製できる。例えば、マルトビオン酸カルシウムを製造するには、マルトビオン酸溶液に炭酸カルシウム等のカルシウム源を2:1のモル比となるように添加し、溶解させればよい。
【0022】
糖カルボン酸のラクトンを調製する方法は、特に限定されないが、脱水操作により調製することができる。例えばマルトビオン酸を脱水操作することで、マルトビオノラクトンを調製することができる。また、マルトビオノラクトン等のラクトンは、水に溶かすと速やかにマルトビオン酸等の糖カルボン酸となる。
【0023】
オリゴ糖酸化能を有する微生物を用いた方法としては、例えば、アシネトバクター属、ブルクホルデリア属、アセトバクター属又はグルコノバクター属等を用いた微生物変換発酵法が挙げられる。酵素反応による製造方法としては、例えば、Acremonium chrysogenum(アクレモニウムクリソゲナム)等のオリゴ糖酸化能を有する微生物から酸化酵素を抽出し作用させる方法が挙げられる。
【0024】
糖カルボン酸として、市販のものを使用してもよい。市販の糖カルボン酸としては、サンエイ糖化社製のサワーオリゴ(商標)が好ましい。
【0025】
糖カルボン酸は、酸味及びとろみを付与することができ、甘味料の酸度を高めることができる。
【0026】
発酵酸味液(発酵調味液ともいう)は、澱粉粕を発酵させることで得られる発酵麹を抽出し濃縮した食品である。発酵酸味液は、クエン酸及び乳酸を含む。発酵酸味液は、例えば、10質量%以上又は20質量%以上、好ましくは、30質量%以上のクエン酸を含有する。澱粉粕は、さつまいも(甘藷)等の原料から澱粉を分離した際に産生される固形残渣物である。澱粉粕の原料は、澱粉を含有するものであれば特に限定されず、例えば、甘藷、タピオカ、米及び馬鈴薯糖である。澱粉粕の原料は、1種でも複数種でもよく、例えば、甘藷澱粉粕、タピオカ澱粉粕及び米糠である。発酵酸味液としては、市販のものを使用してもよい。市販の発酵酸味液としては、九州化工社製の発酵酸味液が好ましい。
【0027】
発酵酸味液は、芳醇な発酵香とまろやかな酸味を付与することができる。酸味料及びpH調整剤の代わりに発酵酸味液を使用することで、食品添加物を含まない甘味料が提供される。なお、ここでの食品添加物とは、食品の加工または保存の目的で添加される物質である。食品添加物の例としては、厚生労働省の“指定添加物リスト”、“既存添加物名簿収載品目リスト”、“天然香料基原物質リスト”及び“一般に食品として飲食に供させている物であって添加物として使用される品目リスト”等に収載される物質等が挙げられ、保存料・日持向上剤、酸化防止剤、pH調整剤(水素イオン濃度調整剤)、甘味料、着色料・色素、乳化剤、増粘ゲル化剤、品質改良剤、調味料、酸味料、強化剤、香料、及び酵素等に分類される。例えば、pH調整剤は、アジピン酸、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、DL-酒石酸、L-酒石酸、DL-酒石酸水素カリウム、L-酒石酸水素カリウム、DL-酒石酸ナトリウム、L-酒石酸ナトリウム、炭酸カリウム(無水)、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、二酸化炭素、乳酸、乳酸カリウム、乳酸ナトリウム、氷酢酸、ピロリン酸二水素二ナトリウム、フマル酸、フマル酸一ナトリウム、DL-リンゴ酸、DL-リンゴ酸ナトリウム、リン酸、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム及びリン酸二水素ナトリウム等である。
【0028】
本実施の形態に係る甘味料における、イソマルトオリゴ糖、糖カルボン酸及び発酵酸味液の配合量は、用途に応じて適宜設定される。甘味料におけるイソマルトオリゴ糖の配合量は、例えば、90~99質量%、91~98質量%又は92~97質量%、好ましくは、92~96質量%、より好ましくは93~96質量%、特に好ましくは94~96質量%である。好適には、甘味料におけるイソマルトオリゴ糖の配合量は96質量%である。
【0029】
甘味料における酸カルボン酸の配合量は、例えば、0.2~2質量%、0.25~1.2質量%又は0.28~0.8質量%、好ましくは、0.3~0.72質量%、より好ましくは0.3~0.6質量%、特に好ましくは0.3~0.5質量%である。好適には、甘味料における糖カルボン酸の配合量は0.4質量%である。甘味料が、糖カルボン酸として、例えばマルトビオン酸含有水飴を含む場合、甘味料におけるマルトビオン酸含有水飴の配合量は、例えば、0.5~5質量%、0.6~3質量%又は0.7~2質量%、好ましくは、0.8~1.8質量%、より好ましくは0.8~1.5質量%、特に好ましくは0.8~1.2質量%である。好適には、甘味料における糖カルボン酸の配合量は1質量%である。
【0030】
甘味料における発酵酸味液の配合量は、例えば、0.05~0.5質量%、0.06~0.3質量%又は0.07~0.2質量%、好ましくは、0.08~0.1質量%、より好ましくは0.09~0.098質量%、特に好ましくは0.09~0.095質量%である。好適には、甘味料における発酵酸味液の配合量は0.091質量%である。
【0031】
本実施の形態に係る甘味料は、食品添加物を除外して、イソマルトオリゴ糖、糖カルボン酸及び発酵酸味液以外の他の成分を含有してもよい。他の成分としては、例えば水が挙げられる。甘味料がイソマルトオリゴ糖、糖カルボン酸及び発酵酸味液に含まれる水分以外の水を含む場合、甘味料における水の配合量は、イソマルトオリゴ糖、糖カルボン酸及び発酵酸味液に含まれる水分を除いて、例えば、25~30質量%、26~30質量%又は27~30質量%、好ましくは、28~30質量%、より好ましくは28.5~29.5質量%である。本実施の形態に係る甘味料は、イソマルトオリゴ糖、糖カルボン酸及び発酵酸味液以外の質量部の全部が水であってもよい。
【0032】
本実施の形態に係る甘味料の製造方法は、イソマルトオリゴ糖、糖カルボン酸、発酵酸味液及びその他の成分(例えば水)を混合する。甘味料の製造方法は、混合した後に、混合物をフィルターに通して濾過してもよいし、その後に殺菌ステップを含んでもよい。殺菌ステップにおける殺菌条件は、食品の製造で採用される条件でよいが、例えば、110~125℃又は113~122℃、好ましくは116~120℃で15秒間以上、例えば15~60秒間、15~40秒間又は15~30秒間である。
【0033】
本実施の形態に係る甘味料の用途は、食品全般であるが、特には、果汁含有飲料に適している。果汁の由来となる果実は、特に限定されず、例えば、パイナップル、メロン、オレンジ、みかん、グレープフルーツ、バナナ、いちご、りんご、マンゴー、ブルーベリー、ぶどう、もも、レモン、すいか及びキュウイ等が挙げられる。果実は1種でも複数種でもよく、2~5種類、2~4種類又は3種類の果実を組み合わせてもよい。
【0034】
本実施の形態に係る果汁含有飲料用甘味料としての甘味料は、果汁との相性が良好で、良好な後味、果汁感及びフレッシュ感を果汁含有飲料に与える。当該甘味料は、イソマルトオリゴ糖による糖度の向上に加え、糖カルボン酸及び発酵酸味液による酸度の向上によって、無添加でも腐りにくく、変色しにくく、長期間にわたって品質を維持することができる。このため、当該甘味料は、常温でも長期間にわたって保管できるので利便性が高い。
【0035】
(実施の形態2)
本実施の形態に係る果汁含有飲料の製造方法は、混合ステップと、撹拌ステップと、を含む。混合ステップでは、上記実施の形態1に係る甘味料と、果実と、氷と、を混合する。果実の態様は特に限定されず、例えば、カットされた果実である。果実は、皮及び種子を適宜除去してもよい。果実に含まれる食物繊維等は除去してもよいし除去しなくてもよい。
【0036】
撹拌ステップでは、混合ステップで得られた混合物を粉砕し、撹拌する。粉砕及び撹拌は公知の方法で行えばよく、例えばミキサー等を使用すればよい。混合物における甘味料の含有量は、例えば、5~20質量%、6~18質量%、7~16質量%、8~14質量%又は9~12質量%である。好ましくは、混合物における果実の含有量は、例えば、50~70質量%、52~65質量%、54~62質量%又は55~60質量%である。混合物における氷の含有量は、例えば、20~30質量%、22~28質量%又は23~27質量%である。
【0037】
粉砕ステップを経て得られる果汁含有飲料の提供時の温度は、例えば、10℃未満、好ましくは2~8℃、より好ましくは3~6℃である。なお、果実の種類によっては、氷を水に置き換えて、室温付近の温度で果汁含有飲料が提供されてもよい。
【0038】
本実施の形態に係る果汁含有飲料の製造方法は、果汁含有飲料の販売店舗において受注時に実施されるのが好ましい。こうすることで、果汁感及びフレッシュ感が極めて高い果汁含有飲料を提供することができる。
【実施例0039】
以下の実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
【0040】
表1に示す成分を配合し、水を加えることで各1Lの試料1~7を調製した。イソマルトオリゴ糖には、N.S.-200C(日本コーンスターチ社製)を使用した。水飴にはスイトーズ(サナス社製)を使用した。マルトビオン酸含有水飴には、サワーオリゴ(商標)(サンエイ糖化社製)を使用した。発酵酸味液は九州化工社製である。なお、サワーオリゴ(商標)に含まれるマルトビオン酸は40質量%以上である。
【0041】
【0042】
ネーブルオレンジの外皮及び種は取り除き、じょうのう(薄皮)は除去せずに使用した。ネーブルオレンジの個体差による味のばらつきを均一化するため、酸糖度計(アタゴ社製)を用いて電気伝導度法により酸度及び糖度を計測し、最も近い個体を使用した。1片10g前後に切り分けたネーブルオレンジの果肉160g、水(氷)60g及び試料1~7のいずれか30mLを混合し、ミキサーで粉砕及び撹拌することで調製した果汁含有飲料の食味を評価した。食味の評価では、酸味、甘み、苦味、塩味、渋み、香り、温度及び滑らかさを評価した。3回評価した結果を表2~4に示す。なお、食味の各項目の評価では試料7を基準点「3」として相対的に多少をポイントで評価した。
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
食味の評価が高かった試料2をさらに最適化するために、試料2の成分を表5に示すように配合し、水を加えることで各1Lの実施例1~3を調製した。オレンジ果肉160g、氷60g及び実施例1~3のいずれか30mLを混合し、ミキサーで粉砕及び撹拌することで調製した果汁含有飲料について4名の評価者A~Dがそれぞれ食味を5段階で評価した。
【0047】
【0048】
評価者A、B、C及びDの評価結果をそれぞれ表6、表7、表8及び表9に示す。苦味及び渋みはレモン果汁によるものと推測されるため、酸味、甘み及び香りを重点的に評価した。評価者A~Dが総合的に評価して最も良好な食味を有するものを実施例1~3から選択した。その結果、評価者3名が最も良好な食味を有するものとして実施例2を選択した。ネーブルオレンジの代わりにバナナ、パイナップル及びメロンの果実でも同様の評価を行ったが、実施例2を使用した果汁含有飲料の食味の評価が最も高かった。実施例1~3は、レモン果汁を含まないため、長期保存しても褐変せず、長期間にわたって品質を維持することができる。
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
この発明は、この発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、この発明の範囲を限定するものではない。すなわち、この発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。