(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103639
(43)【公開日】2023-07-27
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/91 20110101AFI20230720BHJP
【FI】
H01R12/91
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022004272
(22)【出願日】2022-01-14
(71)【出願人】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128912
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 徹
(72)【発明者】
【氏名】新堂 悟
(72)【発明者】
【氏名】北村 裕
(72)【発明者】
【氏名】上辻 哲平
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AA21
5E223AB02
5E223AB26
5E223AC21
5E223BA01
5E223BA07
5E223BB01
5E223CB24
5E223CB36
5E223CB62
5E223CD01
5E223DB08
5E223DB11
5E223EA02
5E223EA13
(57)【要約】
【課題】固定ハウジングに対して可動ハウジングが相対変位可能に構成されたコネクタにおいて、可動ハウジングの固定ハウジングに対する変位量を規制でき、幅方向にコネクタが大型化してしまうことを抑制できる、コネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ1は、固定ハウジング11と、可動ハウジング12と、複数の端子13と、固定ハウジング11に取り付けられる金属製の移動規制部材14とを備える。可動ハウジング12は、固定ハウジング11の挿入孔29に遊嵌状態で挿入される本体部30と、本体部30から突出した凸部31とを有する。凸部31は、本体部30が挿入孔29に挿入された状態で、挿入方向X1と幅方向X2との両方の方向に垂直な垂直方向X3に沿って、本体部30から突出する。移動規制部材14は、本体部30が挿入方向X1と反対方向に変位した際に、凸部31と当接し、可動ハウジング12の変位量を規制する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対して設置される固定ハウジングと、前記固定ハウジングに対して相対変位可能に装着される可動ハウジングと、前記固定ハウジングに対して前記可動ハウジングを変位可能に支持するともに相手側接続部材に対して電気的に接続される複数の端子と、を備えたコネクタであって、
前記固定ハウジングに前記可動ハウジングが挿入された状態で前記固定ハウジングに取り付けられる金属製の移動規制部材を更に備え、
前記可動ハウジングは、前記固定ハウジングに形成された挿入孔に対して遊嵌状態で挿入される本体部と、前記本体部から突出して設けられた凸部と、を有し、
前記凸部は、前記本体部が前記挿入孔に挿入された状態で、前記本体部が前記挿入孔に挿入される方向である挿入方向と前記固定ハウジングにおいて複数の前記端子が並ぶ方向である幅方向との両方の方向に垂直な方向である垂直方向に沿って、前記本体部から突出するように設けられ、
前記移動規制部材は、前記挿入孔に挿入された前記本体部が前記固定ハウジングに対して前記挿入方向と反対方向に変位した際に、前記凸部と当接することで、前記可動ハウジングの前記固定ハウジングに対する変位量を規制するように設けられていることを特徴とする、コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタであって、
前記端子は、前記基板に対して接続される基板接続部と、前記固定ハウジングに取り付けられて固定される固定部と、前記可動ハウジングに保持されるとともに前記相手側接続部材に接続される相手側接続部と、前記固定部と前記相手側接続部とを一体に連結するとともに前記固定部に対して前記相手側接続部を相対変位可能に支持する可動バネ部と、を有し、
前記凸部は、前記本体部が前記挿入孔に挿入された状態で、前記垂直方向において、前記固定ハウジングにおける前記固定部が固定されている側に向かって前記本体部から突出して設けられていることを特徴とする、コネクタ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のコネクタであって、
前記移動規制部材は、前記固定ハウジングに対して前記幅方向に沿って板状に延びた状態で配置される板状部と、前記板状部における前記幅方向の両端部にそれぞれ設けられて前記固定ハウジングに取り付けられる取付け部と、を有し、
前記凸部は、前記本体部が前記挿入孔に挿入された状態で、前記垂直方向に沿って前記本体部から突出するとともに、前記幅方向に沿って延びるように設けられていることを特徴とする、コネクタ。
【請求項4】
請求項3に記載のコネクタであって、
前記取付け部は、前記固定ハウジングに対して、前記幅方向における内側において、圧入されて取り付けられていることを特徴とする、コネクタ。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のコネクタであって、
前記挿入孔は、前記幅方向及び前記垂直方向のいずれの方向においても、前記可動ハウジングの前記本体部の前記固定ハウジングに対する変位量を規制するように設けられていることを特徴とする、コネクタ。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のコネクタであって、
前記移動規制部材には、当該コネクタが吸着されて搬送される際に吸着される吸着面を構成する平坦な面が設けられていることを特徴とする、コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に対して設置される固定ハウジングと、固定ハウジングに対して相対変位可能に装着される可動ハウジングと、固定ハウジングに対して可動ハウジングを変位可能に支持するともに相手側接続部材に対して電気的に接続される複数の端子と、を備えたコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、基板と端子等の相手側接続部材とを接続する際には、コネクタが用いられている。このようなコネクタとして、基板に対して設置される固定ハウジングと、固定ハウジングに対して相対変位可能に装着される可動ハウジングと、固定ハウジングに対して可動ハウジングを変位可能に支持するともに相手側接続部材に対して電気的に接続される複数の端子と、を備えたコネクタが知られている。このようなコネクタは、固定ハウジングに対して可動ハウジングが相対変位可能に支持されるため、基板と相手側接続部材との間での位置ずれを吸収することができる。例えば、基板に対してコネクタを介して相手側接続部材が接続された状態で、基板側の振動が発生した場合であっても、基板と相手側接続部材との間において、基板に発生した振動を端子で吸収し、相手側接続部材への振動の伝達を抑制することができる。このようなコネクタとして、例えば、特許文献1に開示されたものが知られている。
【0003】
特許文献1に開示されたレセプタクルコネクタ1は、フローティング型コネクタとして構成され、基板2に設置される固定ハウジング10と、可動ハウジング20と、複数の端子としての複数のレセプタクルコンタクト30と、一対のレセプタクル側固定金具50と、を有して構成されている。固定ハウジング10には、複数のレセプタクルコンタクト30が並んで取り付けられる固定側本体部11と、固定側本体部11の両端部として設けられた一対の固定側移動規制部15とが設けられている。一対の固定側移動規制部15は、固定ハウジング10において複数のレセプタクルコンタクト30が並ぶピッチ方向である幅方向の両端部に設けられ、コの字状に凹み形成されて上方に開放された受容空間15aが形成されている。可動ハウジング20には、レセプタクルコンタクト30が取り付けられる可動側本体部21と、可動側本体部21の幅方向の両端部で幅方向外側に突出して形成された一対の可動側移動規制部25とが設けられている。
【0004】
また、レセプタクルコネクタ1における複数のレセプタクルコンタクト30は、それぞれの基端側の部分が固定ハウジング10に取り付けられ、それぞれの先端側の部分が可動ハウジング20に取り付けられている。これにより、レセプタクルコンタクト30を介して、固定ハウジング10と可動ハウジング20とが連結されている。そして、レセプタクルコネクタ1は、レセプタクルコンタクト30における先端側の部分と基端側の部分との間の中間部の弾性変形により、固定ハウジング10に対して可動ハウジング20が相対変位可能に構成されている。また、レセプタクルコネクタ1における一対のレセプタクル側固定金具50は、固定ハウジング10の幅方向両端部の固定側移動規制部15にそれぞれ取り付けられるとともに、基板2に対してそれぞれ固定される。
【0005】
特許文献1のレセプタクルコネクタ1の組立においては、レセプタクルコンタクト30が固定ハウジング10と可動ハウジング20とに取り付けられる。これにより、固定ハウジング10に対してレセプタクルコンタクト30を介して可動ハウジング20が変位可能に支持される。また、レセプタクルコンタクト30が固定ハウジング10と可動ハウジング20とに取り付けられる際には、可動ハウジング20の幅方向両端部で幅方向に突出した可動側移動規制部25が、固定ハウジング10の幅方向両端部の固定側移動規制部15に設けられた受容空間15aに挿入された状態で、可動ハウジング20が固定ハウジング10に装着される。この状態で、一対のレセプタクル側固定金具50が、固定ハウジング10における幅方向両端部の固定側移動規制部15に対して受容空間15aの上方を覆った状態で取り付けられるとともに、基板2に固定される。これにより、レセプタクルコネクタ1は、可動ハウジング20が固定ハウジング10に対して変位した際に、可動側移動規制部25が固定側移動規制部15及びレセプタクル側固定金具50に当接し、可動ハウジング20の固定ハウジング10に対する変位量を規制するように構成されている。可動ハウジング20の固定ハウジング10に対する変位が規制されることで、レセプタクルコンタクト30が過大に変形してしまうことを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示されたレセプタクルコネクタ1においては、可動ハウジング20の幅方向両端部で幅方向に突出した可動側移動規制部25が、固定ハウジング10の幅方向両端部の固定側移動規制部15に設けられた受容空間15aに挿入されている。そして、一対のレセプタクル側固定金具50が、固定ハウジング10における幅方向両端部の固定側移動規制部15に対して受容空間15aの上方を覆った状態で取り付けられる。これにより、固定ハウジング10に対して可動ハウジング20が相対変位可能に構成されたレセプタクルコネクタ1において、可動ハウジング20の固定ハウジング10に対する変位量を規制できるように構成されている。
【0008】
しかし、特許文献1に開示されたレセプタクルコネクタ1においては、可動ハウジング20の固定ハウジング10に対する変位量を規制するために可動ハウジング20と当接する要素である固定側移動規制部15とレセプタクル側固定金具50とが、固定ハウジング10の幅方向両端部に設けられる。更に、可動ハウジング20において固定ハウジング10及びレセプタクル側固定金具50に当接する要素である可動側移動規制部25も、可動ハウジング20の幅方向両端部で幅方向に突出して設けられる。このため、特許文献1のレセプタクルコネクタ1は、端子であるレセプタクルコンタクト30が並ぶピッチ方向である幅方向において大型化してしまうという問題がある。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、固定ハウジングに対して可動ハウジングが相対変位可能に構成されたコネクタにおいて、可動ハウジングの固定ハウジングに対する変位量を規制できるとともに、端子が並ぶピッチ方向である幅方向にコネクタが大型化してしまうことを抑制することができる、コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記目的を達成するための本発明のある局面に係るコネクタは、基板に対して設置される固定ハウジングと、前記固定ハウジングに対して相対変位可能に装着される可動ハウジングと、前記固定ハウジングに対して前記可動ハウジングを変位可能に支持するともに相手側接続部材に対して電気的に接続される複数の端子と、を備えたコネクタに関する。そして、本発明のある局面に係るコネクタは、前記固定ハウジングに前記可動ハウジングが挿入された状態で前記固定ハウジングに取り付けられる金属製の移動規制部材を更に備え、前記可動ハウジングは、前記固定ハウジングに形成された挿入孔に対して遊嵌状態で挿入される本体部と、前記本体部から突出して設けられた凸部と、を有し、前記凸部は、前記本体部が前記挿入孔に挿入された状態で、前記本体部が前記挿入孔に挿入される方向である挿入方向と前記固定ハウジングにおいて複数の前記端子が並ぶ方向である幅方向との両方の方向に垂直な方向である垂直方向に沿って、前記本体部から突出するように設けられ、前記移動規制部材は、前記挿入孔に挿入された前記本体部が前記固定ハウジングに対して前記挿入方向と反対方向に変位した際に、前記凸部と当接することで、前記可動ハウジングの前記固定ハウジングに対する変位量を規制するように設けられている。
【0011】
この構成によると、コネクタは、端子が可動ハウジングを固定ハウジングに対して支持することで、固定ハウジングに対して可動ハウジングが相対変位可能に構成されている。また、上記の構成によると、可動ハウジングの本体部が固定ハウジングの挿入孔に遊嵌状態で挿入された状態で、本体部から突出する凸部が、固定ハウジングに取り付けられた金属製の移動規制部材と当接可能に設けられている。そして、本体部が固定ハウジングから抜けてしまう方向である挿入方向と反対方向に変位すると、可動ハウジングの凸部と移動規制部材とが当接し、可動ハウジングの固定ハウジングに対する変位量が規制される。このため、上記の構成によると、可動ハウジングの固定ハウジングに対する変位量を規制でき、端子が過大に変形して破損してしまうことを防止することができる。また、上記の構成によると、可動ハウジングの変位量を規制する移動規制部材と当接する可動ハウジングの凸部は、端子が並ぶピッチ方向である幅方向と可動ハウジングの挿入方向との両方に垂直な方向である垂直方向に突出して設けられている。このため、可動ハウジングが、幅方向に大型化することが抑制される。更に、可動ハウジングの凸部と当接して可動ハウジングの変位量を規制する移動規制部材は、固定ハウジングに取り付けられた部材として設けられるため、固定ハウジングが幅方向に大型化することも抑制される。これにより、コネクタが大型化してしまうことが抑制される。
【0012】
したがって、上記の構成によると、固定ハウジングに対して可動ハウジングが相対変位可能に構成されたコネクタにおいて、可動ハウジングの固定ハウジングに対する変位量を規制できるとともに、端子が並ぶピッチ方向である幅方向にコネクタが大型化してしまうことを抑制することができる。
【0013】
(2)前記端子は、前記基板に対して接続される基板接続部と、前記固定ハウジングに取り付けられて固定される固定部と、前記可動ハウジングに保持されるとともに前記相手側接続部材に接続される相手側接続部と、前記固定部と前記相手側接続部とを一体に連結するとともに前記固定部に対して前記相手側接続部を相対変位可能に支持する可動バネ部と、を有し、前記凸部は、前記本体部が前記挿入孔に挿入された状態で、前記垂直方向において、前記固定ハウジングにおける前記固定部が固定されている側に向かって前記本体部から突出して設けられていてもよい。
【0014】
この構成によると、端子は、基板接続部において基板に接続され、固定部において固定ハウジングに固定され、固定部に対して可動バネ部を介した反対側の相手側接続部において相手側接続部材に接続される。このため、基板接続部、固定部、可動バネ部、相手側接続部が一体に連結された簡素な構造で、可動ハウジングを固定ハウジングに対して変位可能に支持する端子を構成することができる。また、上記の構成では、可動ハウジングの本体部には、端子の相手側接続部が保持される。そして、上記の構成では、可動ハウジングの本体部から突出する凸部は、固定ハウジングにおいて、幅方向及び挿入方向に垂直な方向で端子の固定部が固定されている側に向かって突出するように設けられている。このため、凸部は、固定ハウジングにおいて、端子の相手側接続部を保持する可動ハウジングの本体部が挿入された挿入孔側から、端子の固定部が固定された側へ向かって突出した状態で、配置されることになる。これにより、固定ハウジングにおいて、端子の固定部が固定されている側のスペースを効率よく活用して凸部を配置することができる。したがって、可動ハウジングの凸部が、固定ハウジングにおける固定部が固定されている側と反対側に突出する構造となってコネクタが大型化してしまうことを防止でき、幅方向及び挿入方向に垂直な方向においてコネクタが大型化してしまうことを更に抑制することができる。
【0015】
(3)前記移動規制部材は、前記固定ハウジングに対して前記幅方向に沿って板状に延びた状態で配置される板状部と、前記板状部における前記幅方向の両端部にそれぞれ設けられて前記固定ハウジングに取り付けられる取付け部と、を有し、前記凸部は、前記本体部が前記挿入孔に挿入された状態で、前記垂直方向に沿って前記本体部から突出するとともに、前記幅方向に沿って延びるように設けられていてもよい。
【0016】
この構成によると、固定ハウジングの幅方向に沿って延びた移動規制部材の板状部と、固定ハウジングの幅方向に延びた状態で幅方向及び挿入方向に垂直な方向に突出した可動ハウジングの凸部とが当接し、可動ハウジングの固定ハウジングに対する変位が規制される。このため、移動規制部材と可動ハウジングの凸部とを、固定ハウジングの幅方向に亘る広い領域において当接させることができる。よって、板状部と凸部との当接領域を広く確保し、可動ハウジングの固定ハウジングに対する変位を確実に安定して規制することができる。
【0017】
(4)前記取付け部は、前記固定ハウジングに対して、前記幅方向における内側において、圧入されて取り付けられていてもよい。
【0018】
この構成によると、移動規制部材の取付け部は、固定ハウジングに圧入されて取り付けられるため、金属製の移動規制部材を容易に且つ強固に固定ハウジングに固定して取り付けることができる。また、移動規制部材の取付け部は、固定ハウジングに対して幅方向の内側で圧入されるため、移動規制部材が、固定ハウジングから幅方向に突出した状態で固定ハウジングに取付けられてしまうことを防止できる。よって、移動規制部材が幅方向に延びてしまってコネクタが幅方向に大型化してしまうことを防止できる。
【0019】
(5)前記挿入孔は、前記幅方向及び前記垂直方向のいずれの方向においても、前記可動ハウジングの前記本体部の前記固定ハウジングに対する変位量を規制するように設けられていてもよい。
【0020】
この構成によると、可動ハウジングの本体部は、固定ハウジングの挿入孔に挿入された状態では、固定ハウジングの幅方向及び垂直方向の変位量が規制される。このため、可動ハウジングの本体部を固定ハウジングの挿入孔に挿入する簡素な構成によって、可動ハウジングの固定ハウジングに対する幅方向及び垂直方向の変位量を規制することができる。
【0021】
(6)前記移動規制部材には、当該コネクタが吸着されて搬送される際に吸着される吸着面を構成する平坦な面が設けられていてもよい。
【0022】
コネクタが基板に実装される際には、コネクタは吸着されて搬送される。上記の構成によると、移動規制部材において、コネクタの吸着搬送の際に吸着される吸着面が設けられている。このため、コネクタにおいて、可動ハウジングの固定ハウジングに対する変位量を規制する金属製の移動規制部材を、コネクタの吸着搬送時の吸着面としても活用することができる。また、上記の構成によると、固定ハウジングに取り付けられる移動規制部材に吸着面が設けられるため、コネクタの吸着搬送の際に、固定ハウジングに対して変位可能な可動ハウジング側ではなく、基板に対して設置される固定ハウジング側においてコネクタを吸着して搬送することができる。このため、基板に対して固定ハウジングの位置がずれてしまうことなく安定した状態で基板へのコネクタの実装を行うことができる。また、上記の構成によると、移動規制部材に吸着面を設けるため、固定ハウジングにおいて別途吸着面を形成するためのスペースを設ける必要がなく、固定ハウジングの大型化を更に抑制することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、固定ハウジングに対して可動ハウジングが相対変位可能に構成されたコネクタにおいて、可動ハウジングの固定ハウジングに対する変位量を規制できるとともに、端子が並ぶピッチ方向である幅方向にコネクタが大型化してしまうことを抑制することができる、コネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施の形態に係るコネクタを基板及び相手側コネクタとともに示す斜視図である。
【
図3】
図3(A)は、コネクタの平面図であり、
図3(B)は、コネクタの正面図である。
【
図5】
図5(A)は、コネクタの側面図であり、
図5(B)は、コネクタの断面図であって
図5(A)のA-A線矢視位置における断面図である。
【
図6】
図6(A)は、コネクタの正面図であり、
図6(B)は、コネクタの断面図であって
図6(A)のB-B線矢視位置における断面図である。
【
図7】コネクタと相手側コネクタとが接続された状態を示す断面図である。
【
図8】コネクタの斜視図であって、コネクタにおける可動ハウジングの固定ハウジングへの挿入方向に垂直な面での断面を含んだ状態で示す斜視図である。
【
図9】コネクタの固定ハウジングを示す斜視図である。
【
図10】コネクタの可動ハウジングを示す斜視図である。
【
図12】コネクタの移動規制部材を示す斜視図である。
【
図13】第1の変形例に係るコネクタを示す斜視図である。
【
図14】
図14(A)は、第1の変形例に係るコネクタの正面図であり、
図14(B)は、第1の変形例に係るコネクタの断面図であって
図14(A)のC-C線矢視位置での断面図である。
【
図15】第2の変形例に係るコネクタを示す斜視図である。
【
図16】
図16(A)は、第2の変形例に係るコネクタの正面図であり、
図16(B)は、第2の変形例に係るコネクタの断面図であって
図16(A)のD-D線矢視位置での断面図である。
【
図17】第3の変形例に係るコネクタを示す斜視図である。
【
図18】第3の変形例に係るコネクタの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本発明は、基板に対して設置される固定ハウジングと、固定ハウジングに対して相対変位可能に装着される可動ハウジングと、固定ハウジングに対して可動ハウジングを変位可能に支持するともに相手側接続部材に対して電気的に接続される複数の端子と、を備えたコネクタとして、種々の用途に広く適用することができるものである。
【0026】
[コネクタの概略構成]
図1は、本発明の一実施の形態に係るコネクタ1を基板100及び相手側コネクタ101とともに示す斜視図である。尚、
図1は、コネクタ1が基板100に設置されて基板100に対して電気的に接続された状態を図示しており、また、相手側コネクタ101がコネクタ1に接続されていない状態を図示している。
図2は、コネクタ1を示す斜視図である。
図3(A)は、コネクタ1の平面図であり、
図3(B)は、コネクタ1の正面図である。
図4は、コネクタ1の分解斜視図である。
図5(A)は、コネクタ1の側面図であり、
図5(B)は、コネクタ1の断面図であって
図5(A)のA-A線矢視位置における断面図である。
図6(A)は、コネクタ1の正面図であり、
図6(B)は、コネクタ1の断面図であって
図6(A)のB-B線矢視位置における断面図である。
図7は、コネクタ1と相手側コネクタ101とが接続された状態を示す図である。尚、
図7では、コネクタ1については断面図を示しており、相手側コネクタ101については一部のみを断面図で示している。
【0027】
図1乃至
図7に示すコネクタ1は、固定ハウジング11と、可動ハウジング12と、複数の端子13と、金属製の移動規制部材14と、一対の固定金具15と、を備えて構成されている。固定ハウジング11及び可動ハウジング12は、絶縁性を有する樹脂材料で形成されている。複数の端子13は、導電性を有する金属材料で形成されている。移動規制部材14及び一対の固定金具15は、金属材料で形成されている。
【0028】
コネクタ1は、基板100に対して設置されて実装されることで、基板100に対して機械的及び電気的に接続されるように構成されている。尚、コネクタ1が基板100に接続される際には、コネクタ1における複数の端子13のそれぞれが、基板100に対してはんだ付けされるとともに、コネクタ1における一対の固定金具15も基板100に対してはんだ付けされる。また、コネクタ1は、基板100に設置された状態で、相手側コネクタ101に対して機械的及び電気的に接続されるように構成されている。コネクタ1が基板100に設置された状態で相手側コネクタ101に接続されることで、基板100と相手側コネクタ101とがコネクタ1を介して電気的に接続されることになる。
【0029】
コネクタ1が設置される基板100については、
図1において、一部のみを切り欠き状態で模式的に図示しており、コネクタ1が設置された部分及びその近傍の部分のみを図示している。コネクタ1が設置される基板100は、導電回路パターンが表面に設けられた基板として構成されている。
図1では、基板100における導電回路パターンの図示は省略されている。基板100は、例えば、一例として、車載用の機器(図示省略)に設けられる基板として用いられる。
【0030】
コネクタ1が接続される相手側コネクタ101は、複数の相手側端子101aと、複数の相手側端子101aを保持する相手側ハウジング101bとを有している。尚、
図1では、相手側ハウジング101bについては、その一部のみを切欠き状態で図示している。相手側コネクタ101は、例えば、基板100が設けられた車載用の機器に電源を供給する電源ユニット(図示省略)に対して接続される。
【0031】
相手側コネクタ101における複数の相手側端子101aは、導電性を有する金属材料で形成され、ピン状に形成されたオス型の端子として設けられている。相手側端子101aは、コネクタ1における端子13に対して電気的に接続される相手側接続部材を構成している。コネクタ1に対して相手側コネクタ101が接続される際には、相手側コネクタ101における複数の相手側端子101aがコネクタ1における可動ハウジング12に対して挿入される。そして、可動ハウジング12に挿入された複数の相手側端子101aが、コネクタ1における複数の端子13に対してそれぞれ接触して電気的に接続される。
【0032】
尚、本実施形態では、端子13に対して電気的に接続される相手側接続部材がピン状に形成された相手側端子101aとして構成される形態を例示したが、この通りでなくてもよい。端子13は、ピン状の相手側端子101aとは異なる形状を有する端子として設けられた相手側接続部材に対して電気的に接続されるように構成されていてもよい。
【0033】
以下、コネクタ1のさらに詳細な構成について説明する。尚、以下の説明では、説明の便宜上、
図1乃至
図7及び後述の図面において矢印X1、両端矢印X2、及び両端矢印X3で示すように、コネクタ1における挿入方向X1、幅方向X2、及び垂直方向X3を定義する。挿入方向X1は、コネクタ1において、固定ハウジング11に対して可動ハウジング12における後述の本体部30が挿入される方向として構成される。尚、挿入方向X1は、可動ハウジング12に対して相手側コネクタ101の相手側端子101aが挿入されて接続される方向としても構成される。また、本実施形態では、挿入方向X1は、コネクタ1が基板100に設置された状態において、平坦に広がる基板100の表面に対して垂直な方向として構成される。幅方向X2は、固定ハウジング11において複数の端子13が列を形成して並ぶピッチ方向として構成される。尚、幅方向X2は、挿入方向X1に対して垂直な方向として構成されるとともに、平坦に広がる基板100の表面と平行な方向として構成される。垂直方向X3は、挿入方向X1と幅方向X2との両方の方向に対して垂直な方向として構成される。即ち、垂直方向X3は、挿入方向X1に対して垂直な方向であるとともに、幅方向X3に対しても垂直な方向として構成される。更に、本実施形態では、垂直方向X3は、平坦に広がる基板100の表面と平行に延びる方向として構成される。
【0034】
[固定ハウジング]
図8は、コネクタ1の斜視図であって、コネクタ1における可動ハウジング12の固定ハウジング11への挿入方向X1に垂直な面での断面を含んだ状態で示す斜視図である。
図9は、コネクタ1の固定ハウジング11を示す斜視図である。
図1乃至
図9に示す固定ハウジング11は、可動ハウジング12が挿入されて装着されるとともに、複数の端子13を保持するように構成されている。更に、固定ハウジング11は、複数の端子13と一対の固定金具15とを介して、基板100に設置されるように構成されている。
【0035】
固定ハウジング11は、複数の端子13を保持する端子保持壁21、端子保持壁21と対向する背面壁22、端子保持壁21及び背面壁22に対して垂直に延びる一対の側壁23及び側壁24とを有している。端子保持壁21と、側壁23と、背面壁22と、側壁24とは、挿入方向X1に垂直な面において矩形の断面を形成するように並び、固定ハウジング11の4つの外周面を構成するように一体に設けられている。このため、固定ハウジング11は、略直方体状の基本外形を有している。
【0036】
端子保持壁21は、固定ハウジング11の垂直方向X3における一端側の壁部として設けられ、複数の端子13を保持するように構成されている。端子保持壁21には、複数の端子13のそれぞれにおける後述の固定部33が圧入されることで固定される複数の端子固定部25が設けられている。複数の端子固定部25は、端子保持壁21において、挿入方向X1における端部側に設けられ、幅方向X2に沿って並んで設けられている。複数の端子固定部25のそれぞれは、複数の端子13のそれぞれにおける後述の固定部33が圧入される一対の圧入溝25aを有して構成されている。圧入溝25aは、挿入方向X1及び幅方向X2に沿ってスリット状に凹む溝として形成されており、端子13の固定部33が差し込まれて圧入されるように構成されている。端子固定部25の一対の圧入溝25aに端子13の固定部33が圧入されることで、端子13が端子保持壁21に固定された状態で保持される。
【0037】
また、端子保持壁21には、複数のスリット26が設けられている。複数のスリット26は、端子保持壁21において、幅方向X2に沿って並んで設けられており、挿入方向X1と平行な方向において複数の端子固定部25にそれぞれ対応する位置に設けられている。複数のスリット26は、それぞれ、端子保持壁21を垂直方向X3と平行な方向に貫通するとともに、挿入方向X1と平行な方向に沿って延びるように設けられている。複数のスリット26のそれぞれには、端子保持壁21に保持された状態の複数の端子13のそれぞれにおける後述の可動バネ部35の一部が配置される。
【0038】
また、
図4、
図6(B)、
図7、
図9を参照して、固定ハウジング11においては、端子保持壁21から固定ハウジング11の内側に向かって延びる複数の区画壁27が設けられている。複数の区画壁27は、固定ハウジング11の内側において、幅方向X2に沿って並んで設けられている。また、複数の区画壁27は、固定ハウジング11の内側において、端子保持壁21から垂直方向X3と平行な方向に沿って延びて設けられている。複数の区画壁27は、固定ハウジング11内において幅方向X2に沿って並んで配置される複数の端子13の間を区画する内壁として設けられている。即ち、固定ハウジング11内においては、幅方向X2に沿って並んで配置される複数の端子13のうち隣り合って配置される端子13同士の間が、区画壁27によって区画されている。
【0039】
また、
図6(B)、
図7、
図9を参照して、複数の区画壁27のそれぞれには、挿入方向X1と平行な方向の長さが異なる第1壁部27aと第2壁部27bとが設けられている。第1壁部27aと第2壁部27bとは、一体に設けられ、本実施形態では、第1壁部27aは、区画壁27における垂直方向X3の一端側の部分として設けられ、第2壁部27bは、区画壁27における垂直方向X3の他端側の部分として設けられている。第1壁部27aは、挿入方向X1と平行な方向の長さが長い壁部として設けられ、第2壁部27bは、挿入方向X1と平行な方向の長さが短い壁部として設けられている。このため、区画壁27は、挿入方向X1と平行な方向における長さが垂直方向X3に沿って段状に異なるように形成されており、第1壁部27aにおいて挿入方向X1と反対方向に向かって突出し、第2壁部27bにおいて挿入方向X1に向かって段状に凹むように形成されている。
【0040】
また、
図1乃至
図4、
図6乃至
図9を参照して、固定ハウジング11においては、後述の移動規制部材14が取り付けられる一対の取付け溝28が設けられている。一対の取付け溝28は、固定ハウジング11における挿入方向X1と反対方向における端部に設けられている。そして、一対の取付け溝28は、固定ハウジング11において、幅方向X2における両端側に設けられている。
【0041】
一対の取付け溝28のうちの一方の取付け溝28は、固定ハウジング11における挿入方向X1と反対方向における端部であって且つ幅方向X2における一方側において、端子保持壁21側から側壁23側にかけてスリット状に形成された溝として設けられている。一対の取付け溝28のうちの他方の取付け溝28は、固定ハウジング11における挿入方向X1と反対方向における端部であって且つ幅方向X2における他方側において、端子保持壁21側から側壁24側にかけてスリット状に形成された溝として設けられている。また、一対の取付け溝28は、いずれも、垂直方向X3における一方側に向かって開口するとともに、幅方向X2における内側に向かって開口する溝として設けられている。一対の取付け溝28のそれぞれに対して、後述する移動規制部材14における幅方向X2の両端部の取付け部37がそれぞれ圧入されて取り付けられる。
【0042】
また、
図4乃至
図7、
図9を参照して、固定ハウジング11においては、可動ハウジング12が遊嵌状態で挿入される挿入孔29が形成されている。挿入孔29は、固定ハウジング11の内側を外部に開放する孔として設けられ、挿入方向X1と反対方向に向かって開口する孔として設けられている。また、挿入孔29は、端子保持壁21から固定ハウジング11の内側に突出する複数の区画壁27における第1壁部27aと、側壁23と、背面壁22と、側壁24とで囲まれた固定ハウジング11の内側の領域として設けられている。
【0043】
また、
図1乃至
図8を参照して、固定ハウジング11は、側壁23及び側壁24において、固定金具15が取り付けられるように構成されている。側壁23及び側壁24には、挿入方向X1の端部において、固定金具15が圧入される圧入溝が設けられている。側壁23及び側壁24にそれぞれ設けられた圧入溝に固定金具15が圧入されることで、固定金具15が側壁23及び側壁24に取り付けられる。尚、固定金具15には、側壁23及び側壁24の圧入溝に圧入される圧入部15bと、圧入部15bに対して屈曲形成された部分として設けられて基板100に対してはんだ付けによって固定されるはんだ付け部15aとが設けられている。
【0044】
[可動ハウジング]
図10は、コネクタ1の可動ハウジング12を示す斜視図である。
図1乃至
図8、
図10に示す可動ハウジング12は、固定ハウジング11の挿入孔29に対して遊嵌状態で挿入され、固定ハウジング11に対して相対変位可能に装着される。また、可動ハウジング12は、複数の端子13を介して固定ハウジング11に対して相対変位可能に支持される。そして、可動ハウジング12は、固定ハウジング11の挿入孔29に挿入される本体部30と、本体部30から突出して設けられた凸部31と、を有して構成されている。
【0045】
本体部30は、幅方向X2に沿って長く延びる略直方体状の基本外形部分を有する部材として形成されており、固定ハウジング11に形成された挿入孔29に対して遊嵌状態で挿入されるように構成されている。本体部30は、固定ハウジング11の挿入孔29に対して遊嵌状態で挿入されるため、挿入孔29の内側で相対変位可能に配置される。尚、本体部30は、挿入孔29に挿入された状態では、複数の端子13を介して固定ハウジング11に対して支持されている。
【0046】
また、本体部30が挿入される挿入孔29の挿入方向X1に垂直な断面の断面積は、本体部30の挿入孔29に挿入される部分における挿入方向X1に垂直な断面の断面積よりも大きく設定されている。このため、挿入孔29に挿入された本体部30は、挿入孔29内において幅方向X2及び垂直方向X3に変位した際に、幅方向X2及び垂直方向X3における変位量が所定の変位量以下となるように規制される。よって、コネクタ1においては、固定ハウジング11の挿入孔29は、幅方向X2及び垂直方向X3のいずれの方向においても、可動ハウジング12の本体部30の固定ハウジング11に対する変位量を規制するように設けられている。
【0047】
図5を参照して、本体部30が、固定ハウジング11の挿入孔29に挿入されるとともに、複数の端子13を介して固定ハウジング11に支持された状態では、本体部30の幅方向X2における両端部30a、30bと一対の側壁23及び側壁24との間には、隙間が形成されている。即ち、本体部30の幅方向X2における一方の端部30aと側壁23の内側の面23aとの間には隙間が形成され、本体部30の幅方向X2における他方の端部30bと側壁24の内側の面24aとの間にも隙間が形成されている。そして、本体部30が幅方向X2の一方側へ変位すると、本体部30の端部30aと側壁23の内側の面23aとが当接し、本体部30の幅方向X2の一方側への変位量が規制される。また、本体部30が幅方向X2の他方側へ変位すると、本体部30の端部30bと側壁24の内側の面24aとが当接し、本体部30の幅方向X2の他方側への変位量が規制される。これにより、挿入孔29に挿入された本体部30の幅方向X2における固定ハウジング11に対する変位量が規制される。即ち、本体部30が挿入孔29に挿入された状態では、可動ハウジング12の幅方向X2における固定ハウジング11に対する変位量が規制される。
【0048】
また、
図6及び
図7を参照して、本体部30が、固定ハウジング11の挿入孔29に挿入されるとともに、複数の端子13を介して固定ハウジング11に支持された状態では、本体部30の垂直方向X3における両端部30c、30dと複数の区画壁27の第1壁部27a及び背面壁22との間には、隙間が形成されている。尚、複数の区画壁27のそれぞれの第1壁部27aは、第2壁部27bと連続する部分において挿入方向X1に向かって段状に凹むように形成されている。また、第1壁部27aの縁部27cであって、第1壁部27aにおいて端子保持壁21側と反対側で第2壁部27b側に向かって段状に凹むように形成された部分の縁部27cは、垂直方向X3において挿入孔29に対向している。そして、本体部30の垂直方向X3における一方の端部30cと、複数の区画壁27の第1壁部27aの縁部27cとの間には隙間が形成されている。また、本体部30の垂直方向X3における他方の端部30dと背面壁22の内側の面22aとの間には隙間が形成されている。そして、本体部30が垂直方向X3の一方側へ変位すると、本体部30の端部30cと、複数の区画壁27の第1壁部27aの縁部27cとが当接し、本体部30の垂直方向X3の一方側への変位量が規制される。また、本体部30が垂直方向X3の他方側へ変位すると、本体部30の端部30dと背面壁22の内側の面22aとが当接し、本体部30の垂直方向X3の他方側への変位量が規制される。これにより、挿入孔29に挿入された本体部30の垂直方向X3における固定ハウジング11に対する変位量が規制される。即ち、本体部30が挿入孔29に挿入された状態では、可動ハウジング12の垂直方向X3における固定ハウジング11に対する変位量が規制される。
【0049】
また、
図1乃至
図8、
図10を参照して、本体部30には、挿入方向X1と反対方向の端部において、フランジ状に突出したフランジ部30eが設けられている。フランジ部30eは、本体部30の端部において、幅方向X2の両側と垂直方向X3における背面壁22側とに向かってフランジ状に突出した部分として設けられている。そして、
図5乃至
図7を参照して、本体部30が、固定ハウジング11の挿入孔29に挿入されるとともに、複数の端子13を介して固定ハウジング11に支持された状態では、本体部30のフランジ部30eと、側壁23、側壁24、及び背面壁22との間には、隙間が形成されている。即ち、フランジ部30eと側壁23の挿入方向X1と反対方向における端部との間には隙間が形成され、フランジ部30eと側壁24の挿入方向X1と反対方向における端部との間にも隙間が形成され、フランジ部30eと背面壁22の挿入方向X1と反対方向における端部との間にも隙間が形成されている。そして、本体部30が挿入方向X1に変位すると、本体部30のフランジ部30eと、側壁23、側壁24、及び背面壁22における挿入方向X1と反対方向における端部とが当接し、本体部30の挿入方向X1への変位量が規制される。これにより、挿入孔29に挿入された本体部30の挿入方向X1における固定ハウジング11に対する変位量が規制される。即ち、本体部30が挿入孔29に挿入された状態では、可動ハウジング12の挿入方向X1における固定ハウジング11に対する変位量が規制される。
【0050】
また、
図5乃至
図7を参照して、本体部30には、複数の端子13における後述の相手側接続部34をそれぞれ収容して保持する複数の保持室30fが設けられている。複数の保持室30fは、本体部30の内部における複数の空間領域として設けられ、本体部30の内側において幅方向X2に並んで設けられている。また、複数の保持室30fのそれぞれは、本体部30の内側における略直方体状の空間領域として設けられており、挿入方向X1に向かって開口している。各端子13の相手側接続部34は、各保持室30fに対して、各保持室30fの開口から挿入方向X1と反対方向に向かって挿入される。各端子13の相手側接続部34は、各保持室30fに対して圧入された状態で挿入され、各保持室30fに保持される。
【0051】
また、
図1乃至
図4、
図6乃至
図8、
図10を参照して、本体部30には、挿入方向X1と反対方向の端部において、相手側コネクタ101の複数の相手側端子101aがそれぞれ挿入される複数の接続用孔30gが設けられている。複数の接続用孔30gは、本体部30における挿入方向X1と反対方向における端部において、幅方向X2に並んで設けられている。また、複数の接続用孔30gのそれぞれは、本体部30の外部から本体部30の内部の保持室30fに向かって本体部30の端部を挿入方向X1に貫通する貫通孔として設けられている。コネクタ1と相手側コネクタ101とが接続される際には、相手側コネクタ101の複数の相手側端子101aが、コネクタ1の可動ハウジング12の複数の接続用孔30gに対してそれぞれ挿入される。そして、各接続用孔30gに挿入された各相手側端子101aは、各保持室30fに保持された各端子13の相手側接続部34と接触して電気的に接続される。
【0052】
図1乃至
図4、
図6乃至
図8、
図10を参照して、可動ハウジング12の凸部31は、本体部30から突出した部分として設けられており、幅方向X2に沿って長く延びる略直方体状の形状を有している。そして、凸部31は、本体部30が挿入孔29に挿入された状態で、本体部30が挿入孔29に挿入される方向である挿入方向X1と固定ハウジング11において複数の端子13が並ぶ方向である幅方向X2との両方に垂直な方向である垂直方向X3に沿って、本体部30から突出するように設けられている。
【0053】
また、凸部31は、本体部30が挿入孔29に挿入された状態で、垂直方向X3において、固定ハウジング11において端子13が固定されている端子保持壁21側に向かって本体部30から突出して設けられている。尚、端子13には、固定ハウジング11の端子保持壁21に固定される部分としての固定部33が設けられている。よって、凸部31は、本体部30が挿入孔29に挿入された状態で、垂直方向X3において、固定ハウジング11における端子13の固定部33が固定されている側に向かって本体部30から突出して設けられている。尚、固定ハウジング11の内側における端子保持壁21側の領域には、複数の区画壁27の第1壁部27aが配置されている。そして、固定ハウジング11の内側において、複数の第1壁部27aに対して挿入方向X1と反対方向の領域には、空間が形成されている。本体部30から突出する凸部31は、固定ハウジング11の内側において、複数の第1壁部27aに対して挿入方向X1と反対方向の領域の空間で、垂直方向X3における端子保持壁21側に向かって突出するように設けられている。また、凸部31は、本体部30が挿入孔29に挿入された状態で、垂直方向X3に沿って本体部30から突出するとともに、幅方向X2に沿って延びるように設けられている。
【0054】
[端子]
図11は、端子13を示す斜視図であり、コネクタ1における複数の端子13のうちの1つを拡大して示す斜視図である。
図1乃至
図8、
図11を参照して、コネクタ1においては複数の端子13が備えられており、複数の端子13は、コネクタ1において幅方向X2に並んで配置されている。複数の端子13のそれぞれは、一方の端部側が固定ハウジング11に固定され、他方の端部側が可動ハウジング12に保持され、両方の端部の間の部分が弾性変形可能に構成されている。これにより、複数の端子13は、固定ハウジング11に対して可動ハウジング12を変位可能に支持するように構成されている。また、複数の端子13のそれぞれは、一方の端部側において基板100に対してはんだ付けで実装されて固定されるとともに、他方の端部側において相手側コネクタ101の複数の相手側端子101aのそれぞれに対して接触して電気的に接続されるように構成されている。
【0055】
また、複数の端子13のそれぞれは、具体的には、基板接続部32と、固定部33と、相手側接続部34と、可動バネ部35とを備えて構成されている。端子13において、基板接続部32、固定部33、可動バネ部35、及び相手側接続部34は、この順番で並んで一体に設けられている。基板接続部32及び固定部33は、端子13における一方の端部側に設けられ、相手側接続部34は、端子13における他方の端部側に設けられている。
【0056】
図1乃至
図4、
図6乃至
図8、
図9を参照して、基板接続部32は、端子13における一方の端部として設けられ、基板100に対して接続される部分として設けられている。基板接続部32は、基板100の表面に対してはんだ付けによって固定されることで基板100に対して電気的及び機械的に接続される。
【0057】
図2乃至
図4、
図6乃至
図8、
図11を参照して、固定部33は、固定ハウジング11に取り付けられて固定される部分として設けられ、端子13の一方の端部側において基板接続部32に隣接して配置された部分として設けられている。固定部33は、固定ハウジング11の端子保持壁21における端子固定部25に対して圧入されることで、端子保持壁21に固定される。尚、固定部33には、幅方向両側に突出した一対の圧入用爪部33aが設けられている。そして、固定部33が端子固定部25に圧入される際には、固定部33の一対の圧入用爪部33aが、端子固定部25における一対の圧入溝25aにそれぞれ差し込まれて圧入される。固定部33の一対の圧入用爪部33aが端子固定部25の一対の圧入溝25aに圧入されることで、固定部33が端子固定部25に固定され、端子13が固定ハウジング11の端子保持壁21に固定される。
【0058】
図4乃至
図7、
図11を参照して、相手側接続部34は、端子13における他方の端部側の部分として設けられ、可動ハウジング12に保持されるとともに相手側コネクタ101の相手側端子101aに接続される部分として設けられている。相手側接続部34は、メス型端子としての接続部分として設けられており、筒状部34a、バネ接点部34b、及び圧入部34cを有している。
【0059】
相手側接続部34の筒状部34aは、角筒状に折り曲げられて形成された部分として設けられている。相手側接続部34が可動ハウジング12に保持される際には、筒状部34aが可動ハウジング12の本体部30の保持室30fに挿入されて保持される。筒状部34aは、挿入方向X1と反対方向において開口しており、筒状部34aが保持室30fに挿入された状態では、筒状部34aの開口が本体部30の接続用孔30gに対向した状態で配置される。そして、端子13が相手側端子101aと接続される際には、接続用孔30gから挿入された相手側端子101aが、保持室30f内の筒状部34aの内側に差し込まれる。
【0060】
相手側接続部34のバネ接点部34bは、筒状部34aの内側で屈曲形成された板バネ状に設けられており、相手側端子101aと接触して電気的に接続される接点部分を有して構成されている。端子13が相手側端子101aと接続される際には、可動ハウジング12の接続用孔30gから挿入されて筒状部34aの内側に差し込まれた相手側端子101aに対してバネ接点部34bが接触して電気的に接続される。
【0061】
相手側接続部34の圧入部34cは、筒状部34aに隣接して設けられ、可動ハウジング12の本体部30に対して圧入される部分として設けられている。筒状部34aが可動ハウジング12の本体部30の保持室30fに挿入された際、圧入部34cは、保持室30fの内壁に対して圧入される。圧入部34cが本体部30に圧入されることで、相手側接続部34は、可動ハウジング12の本体部30に対して強固に保持される。
【0062】
図3乃至
図8、
図11を参照して、可動バネ部35は、端子13において、固定部33と相手側接続部34とを一体に連結するとともに固定部33に対して相手側接続部34を相対変位可能に支持するバネ部分として設けられている。可動バネ部35は複数回に亘って屈曲しながら延びる細長い板バネ状の部分として設けられている。尚、可動バネ部35は、本実施形態では、固定部33から挿入方向X1と反対方向に延びた後、垂直方向X3における背面壁22側に向かって略直角に屈曲して延び、次いで、挿入方向X1に向かって略直角に屈曲して延び、更に、挿入方向X1から挿入方向X1と反対方向へと略180度に亘って半円弧状に屈曲して延び、相手側接続部34へと連続するように設けられている。
【0063】
また、コネクタ1において幅方向X2の両端側以外の位置に配置された端子13の可動バネ部35は、固定ハウジング11内では、幅方向X2において隣接する区画壁27の間において複数回に亘って屈曲しながら延びるように配置されている。また、コネクタ1において幅方向X2の両端側の位置に配置された端子13の可動バネ部35は、固定ハウジング11内では、側壁23と区画壁27との間において、又は、側壁24と区画壁27との間において複数回に亘って屈曲しながら延びるように配置されている。
【0064】
[移動規制部材]
図12は、コネクタ1の移動規制部材14を示す斜視図である。
図1乃至
図4、
図6乃至
図8、
図12を参照して、移動規制部材14は、固定ハウジング11の挿入孔29に可動ハウジング12の本体部30が挿入された状態で固定ハウジング11に取り付けられる金属製の部材として設けられている。
【0065】
移動規制部材14は、固定ハウジング11に対して、垂直方向X3における端子保持壁21側であって挿入方向X1と反対方向における端部側に配置された状態で取り付けられる。更に、移動規制部材14は、固定ハウジング11に対して、垂直方向X3における端子保持壁21側において、可動ハウジング12の凸部31よりも、挿入方向X1の反対側に配置された状態で、取り付けられる。そして、移動規制部材14は、固定ハウジング11の挿入孔29に挿入された可動ハウジング12の本体部30が固定ハウジング11に対して挿入方向X1と反対方向に変位した際に、可動ハウジング12の凸部31と当接する。即ち、移動規制部材14は、挿入孔29に挿入された本体部30が固定ハウジング11の挿入孔29から抜ける方向に変位した際に、可動ハウジング12の凸部31と当接する。このように、移動規制部材14は、可動ハウジング12が挿入方向X1と反対方向に変位した際に(即ち、可動ハウジング12が固定ハウジング11から抜ける方向に変位した際に)、可動ハウジング12の凸部31と当接することで、可動ハウジング12の固定ハウジング11に対する変位量を規制するように構成されている。
【0066】
また、移動規制部材14は、具体的には、板状部36と、一対の取付け部37とを有して構成されている。板状部36は、移動規制部材14において、細長く板状に延びた部分として設けられている。そして、板状部36は、移動規制部材14が固定ハウジング11に取り付けられた状態において、固定ハウジング11に対して幅方向X2に沿って平坦な板状に延びた状態で配置される部分として設けられている。また、板状部36は、固定ハウジング11において、垂直方向X3における端子保持壁21側であって且つ可動ハウジング12の凸部31よりも挿入方向X1の反対側で、挿入方向X1に垂直な面に沿って平坦に広がるように配置される。
【0067】
また、板状部36の表面は、平坦な面として設けられた吸着面36aを構成している。板状部36の表面の平坦な吸着面36aは、コネクタ1が吸着されて搬送される際に吸着される面として設けられている。吸着面36aは、固定ハウジング11において、垂直方向X3における端子保持壁21側であって且つ可動ハウジング12の凸部31よりも挿入方向X1の反対側で、挿入方向X1に垂直な面に沿って平坦に広がるように配置される。コネクタ1が基板100に設置されて実装される際、コネクタ1は、搬送装置(図示省略)によって吸着された状態で搬送され、基板100に対して設置される。このとき、コネクタ1は、固定ハウジング11に取り付けられた移動規制部材14の板状部36の吸着面36aにおいて搬送装置によって吸着され、搬送される。
【0068】
移動規制部材14の一対の取付け部37は、板状部36の幅方向X2における両端部で板状部36と一体に設けられ、移動規制部材14において固定ハウジング11に取り付けられる部分として設けられている。一対の取付け部37は、固定ハウジング11において幅方向X2における両端部に設けられた一対の取付け溝28に対して、それぞれ圧入されることで取り付けられる。このため、一対の取付け部37は、固定ハウジング11に対して、幅方向X2における内側において、圧入されて取り付けられている。一対の取付け部37が一対の取付け溝28のそれぞれに圧入されて取り付けられることで、移動規制部材14が固定ハウジング11に固定された状態で取り付けられる。
【0069】
また、
図8及び
図12を参照して、一対の取付け部37のそれぞれには、圧入用突起37aと係合バネ37bとが設けられている。圧入用突起37aは、取付け部37において、幅方向X2の外側に突出した突起として設けられている。一対の取付け部37が一対の取付け溝28にそれぞれ圧入されると、圧入用突起37aが取付け溝28の内面と係合し、一対の取付け部37が一対の取付け溝28に固定されて取り付けられる。
【0070】
係合バネ37bは、取付け部37において、片持ち状に延びるとともに途中において屈曲形成された部分が設けられた板バネ部分として設けられている。一対の取付け部37が一対の取付け溝28にそれぞれ圧入される際には、係合バネ37bが取付け溝28の内側で一旦撓む。そして、取付け部37の取付け溝28への圧入が完了した状態では、一旦撓んだ係合バネ37bが弾性回復し、係合バネ37bの先端部が、取付け溝28の入口の縁部に設けられた凸部に対して係合する。係合バネ37bの先端部が取付け溝28の縁部に係合することで、取付け溝28に圧入された取付け部37の抜け止めが図られる。
【0071】
図3、
図6、
図7を参照して、取付け部37が取付け溝28に圧入されて移動規制部材14が固定ハウジング11に取り付けられた状態では、可動ハウジング12の凸部31と移動規制部材14の板状部36との間には、挿入方向X1と反対方向において、隙間が形成されている。そして、可動ハウジング12が固定ハウジング11に対して挿入方向X1と反対方向へ変位すると、可動ハウジング12の凸部31と移動規制部材14の板状部36とが当接し、可動ハウジング12の挿入方向X1と反対方向への変位量が規制される。
【0072】
[コネクタの組み立て]
上述したコネクタ1は、固定ハウジング11、一対の固定金具15、複数の端子13、可動ハウジング12、移動規制部材14が組み立てられることで構成される。コネクタ1の組み立てにおいては、まず、固定ハウジング11に対して、一対の固定金具15が取り付けられる。一対の固定金具15は、固定ハウジング11の側壁23及び側壁24に設けられた圧入溝に対してそれぞれ圧入されることで、固定ハウジング11に取り付けられる。
【0073】
また、可動ハウジング12に対して、複数の端子13が取り付けられ、複数の端子13が可動ハウジング12に保持される。 複数の端子13は、複数の端子13の相手側接続部34が可動ハウジング12の複数の保持室30fにそれぞれ圧入状態で挿入されることで、可動ハウジング12に取り付けられる。より具体的には、複数の端子13のそれぞれは、相手側接続部34の筒状部34aが保持室30fに挿入されるとともに、相手側接続部34の圧入部34cが保持室30fの内壁に対して圧入される。これにより、複数の端子13は、相手側接続部34が保持室30fに圧入状態で挿入されて固定され、可動ハウジング12に取り付けられて保持される。
【0074】
固定ハウジング11への固定金具15の取付けと、可動ハウジング12への複数の端子13の取付けとが終了すると、固定ハウジング11に対して、複数の端子13が取り付けられるとともに、可動ハウジング12が装着される。固定ハウジング11への複数の端子13の取付けと可動ハウジング12の装着とは、略同時タイミングで行われる。即ち、可動ハウジング12に保持された状態の複数の端子13が固定ハウジング11へ取り付けられ、このとき、複数の端子13を保持した可動ハウジング12が固定ハウジング11に装着される。
【0075】
可動ハウジング12に取り付けられた複数の端子13が固定ハウジング11に取り付けられる際には、端子13の可動バネ部35が固定ハウジング11の内側に挿入されるとともに、端子13の固定部33が固定ハウジング11の端子保持壁21における複数の端子固定部25にそれぞれ圧入される。複数の端子13のそれぞれの固定部33が端子保持壁21の複数の端子固定部25のそれぞれに圧入されることで、複数の端子13が、固定ハウジング11に固定されて取り付けられる。
【0076】
また、複数の端子13が固定ハウジング11に取り付けられる際には、複数の端子13を保持している可動ハウジング12の本体部30が、固定ハウジング11の挿入孔29に挿入される。そして、本体部30が挿入孔29に挿入され、可動ハウジング12に保持された複数の端子13の固定部33が固定ハウジング11に固定された状態になると、可動ハウジング12が、複数の端子13を介して、固定ハウジング11に対して変位可能に支持された状態となる。これにより、可動ハウジング12の固定ハウジング11への装着が完了する。尚、本体部30が挿入孔29に挿入されて可動ハウジング12が固定ハウジング11へ装着された状態では、凸部31は、固定ハウジング11の幅方向X2における内側で、垂直方向X3において端子保持壁21側に向かって突出した状態で配置される。
【0077】
固定ハウジング11への複数の端子13の取付けと可動ハウジング12の装着とが終了すると、次いで、移動規制部材14が固定ハウジング11へ取り付けられる。移動規制部材14は、移動規制部材14の幅方向X2における両端部に設けられた一対の取付け部37が、固定ハウジング11の幅方向X2の両端側に設けられた一対の取付け溝28にそれぞれ圧入されることで、取り付けられる。取付け部37が取付け溝28に圧入されて移動規制部材14が固定ハウジング11に取り付けられた状態では、移動規制部材14の板状部36が、可動ハウジング12の凸部31に対して挿入方向X1の反対側に配置される。このため、可動ハウジング12が固定ハウジング11に対して挿入方向X1と反対方向へ変位した際には(可動ハウジング12が固定ハウジング11から抜ける方向に変位した際には)、可動ハウジング12の凸部31が移動規制部材14の板状部36と当接し、可動ハウジング12の挿入方向X1と反対方向への変位量が規制される。
【0078】
[コネクタによる基板と相手側コネクタとの接続]
次に、上述のように組み立てられたコネクタ1による基板100と相手側コネクタ101との接続について説明する。基板100には、例えば、表面に導電回路パターン(図示省略)が設けられており、その基板100に対して、コネクタ1が実装されて接続される。
【0079】
基板100へのコネクタ1の接続の際には、コネクタ1が、搬送装置(図示省略)によって吸着された状態で搬送されて、基板100上に設置される。このとき、コネクタ1は、移動規制部材14の板状部36の吸着面36aにおいて搬送装置によって吸着され、搬送される。コネクタ1が基板100上に設置されると、コネクタ1の複数の端子13の基板接続部32が基板100に対してはんだ付けされるとともに、コネクタ1の一対の固定金具15も基板100に対してはんだ付けされる。これにより、コネクタ1と基板100との接続が完了する。
【0080】
基板100にコネクタ1が接続されると、コネクタ1に対して相手側コネクタ101が接続される。これにより、基板100と相手側コネクタ101とがコネクタ1を介して電気的に接続される。コネクタ1への相手側コネクタ101の接続の際には、相手側コネクタ101の複数の相手側端子101aが、可動ハウジング12に対して挿入される。このとき、相手側端子101aは、可動ハウジング12の本体部30に設けられた接続用孔30gに挿入される。接続用孔30gに挿入された相手側端子101aは、可動ハウジング12の内側で保持された端子13の相手側接続部34のバネ接点部34bと接触し、端子13に対して電気的に接続される。これにより、コネクタ1と相手側コネクタ101とが接続され、基板100と相手側コネクタ101とがコネクタ1を介して電気的に接続される。
【0081】
コネクタ1においては、相手側コネクタ101の複数の相手側端子101aが接続された可動ハウジング12が、基板100に接続された固定ハウジング11に対して、複数の端子13を介して相対変位可能に支持されている。このため、基板100と相手側コネクタ101との間での位置ずれが生じた場合であっても、可動ハウジング12と固定ハウジング11との間での相対変位によって、その位置ずれが吸収される。例えば、基板100側に振動が発生した場合であっても、基板100と相手側コネクタ101との間において、基板100側で発生した振動を端子13の可動バネ部35の弾性変形で吸収し、相手側コネクタ101への振動の伝達が抑制される。
【0082】
コネクタ1と相手側コネクタ101との接続が解除される場合は、相手側コネクタ101が、コネクタ1に対して挿入方向X1と反対方向へ相対移動するように操作される。即ち、コネクタ1と相手側コネクタ101との接続の解除の際には、相手側コネクタ101が、コネクタ1から引き抜かれる方向に移動するように操作される。これにより、相手側コネクタ101の複数の相手側端子101aが可動ハウジング12から引き抜かれるように移動する。複数の相手側端子101aが可動ハウジング12から引き抜かれることで、コネクタ1と相手側コネクタ101との接続が解除される。
【0083】
尚、コネクタ1と相手側コネクタ101とが接続された状態では、コネクタ1の複数の端子13の相手側接続部34と、相手側コネクタ101の複数の相手側端子101aとは、互いに押圧し合った状態で接触している。このため、コネクタ1と相手側コネクタ101との接続の解除の際には、相手側端子101aから端子13の相手側接続部34に対して働く摩擦力により、相手側端子101aが相手側接続部34を挿入方向X1と反対方向に引っ張る力が生じる。このため、端子13が大きく変形する虞がある。
【0084】
しかし、相手側接続部34が挿入方向X1と反対方向へ所定の変位量以上変位しようとすると、相手側接続部34が固定された可動ハウジング12の凸部31が、固定ハウジング11に固定された移動規制部材14と当接する。これにより、可動ハウジング12の挿入方向X1と反対方向への移動が規制され、相手側接続部34の挿入方向X1と反対方向への過大な変位が防止される。このため、相手側端子101aと相手側接続部34との間で生じた摩擦力に抗して相手側端子101aが相手側接続部34に対して変位して離間し、相手側端子101aの可動ハウジング12からの引き抜きが完了する。これにより、コネクタ1と相手側コネクタ101との接続の解除の際において、端子13に過大な変形が生じて端子13が破損してしまうことが防止される。
【0085】
[本実施形態の作用及び効果]
本実施形態によると、コネクタ1は、複数の端子13が可動ハウジング12を固定ハウジング11に対して支持することで、固定ハウジング11に対して可動ハウジング12が相対変位可能に構成されている。また、本実施形態によると、可動ハウジング12の本体部30が固定ハウジング11の挿入孔29に遊嵌状態で挿入された状態で、本体部30から突出する凸部31が、固定ハウジング11に取り付けられた金属製の移動規制部材14と当接可能に設けられている。そして、本体部30が固定ハウジング11から抜けてしまう方向である挿入方向X1と反対方向に変位すると、可動ハウジング12の凸部31と移動規制部材14とが当接し、可動ハウジング12の固定ハウジング11に対する変位量が規制される。このため、本実施形態によると、可動ハウジング12の固定ハウジング11に対する変位量を規制でき、端子13が過大に変形して破損してしまうことを防止することができる。また、本実施形態によると、可動ハウジング12の変位量を規制する移動規制部材14と当接する可動ハウジング12の凸部31は、端子13が並ぶピッチ方向である幅方向と可動ハウジング12の挿入方向X1との両方に垂直な方向である垂直方向X3に突出して設けられている。このため、可動ハウジング12が、幅方向に大型化することが抑制される。更に、可動ハウジング12の凸部31と当接して可動ハウジング12の変位量を規制する移動規制部材14は、固定ハウジング11に取り付けられた部材として設けられるため、固定ハウジング11が幅方向に大型化することも抑制される。これにより、コネクタ1が大型化してしまうことが抑制される。
【0086】
したがって、本実施形態によると、固定ハウジング11に対して可動ハウジング12が相対変位可能に構成されたコネクタ1において、可動ハウジング12の固定ハウジング11に対する変位量を規制できるとともに、端子13が並ぶピッチ方向である幅方向X2にコネクタ1が大型化してしまうことを抑制することができる。
【0087】
また、本実施形態によると、端子13は、基板接続部32において基板100に接続され、固定部33において固定ハウジング11に固定され、固定部33に対して可動バネ部35を介した反対側の相手側接続部34において相手側接続部材である相手側端子101aに接続される。このため、基板接続部32、固定部33、可動バネ部35、相手側接続部34が一体に連結された簡素な構造で、可動ハウジング12を固定ハウジング11に対して変位可能に支持する端子13を構成することができる。また、本実施形態では、可動ハウジング12の本体部30には、端子13の相手側接続部34が保持される。そして、本実施形態では、可動ハウジング12の本体部30から突出する凸部31は、固定ハウジング11において、幅方向X2及び挿入方向X1に垂直な方向(垂直方向X3)で端子13の固定部33が固定されている側に向かって突出するように設けられている。このため、凸部31は、固定ハウジング11において、端子13の相手側接続部34を保持する可動ハウジング12の本体部30が挿入された挿入孔29側から、端子13の固定部33が固定された側へ向かって突出した状態で、配置されることになる。これにより、固定ハウジング11において、端子13の固定部33が固定されている側のスペースを効率よく活用して凸部31を配置することができる。したがって、可動ハウジング12の凸部31が、固定ハウジング11における固定部33が固定されている側と反対側に突出する構造となってコネクタ1が大型化してしまうことを防止でき、幅方向X2及び挿入方向X1に垂直な方向(垂直方向X3)においてコネクタ1が大型化してしまうことを更に抑制することができる。
【0088】
また、本実施形態によると、固定ハウジング11の幅方向X2に沿って延びた移動規制部材14の板状部36と、固定ハウジング11の幅方向X2に延びた状態で幅方向X2及び挿入方向X1に垂直な方向(垂直方向X3)に突出した可動ハウジング12の凸部31とが当接し、可動ハウジング12の固定ハウジング11に対する変位が規制される。このため、移動規制部材14と可動ハウジング12の凸部31とを、固定ハウジング11の幅方向X2に亘る広い領域において当接させることができる。よって、板状部36と凸部31との当接領域を広く確保し、可動ハウジング12の固定ハウジング11に対する変位を確実に安定して規制することができる。
【0089】
また、本実施形態によると、移動規制部材14の取付け部37は、固定ハウジング11に圧入されて取り付けられるため、金属製の移動規制部材14を容易に且つ強固に固定ハウジング11に固定して取り付けることができる。また、移動規制部材14の取付け部37は、固定ハウジング11に対して幅方向X2の内側で圧入されるため、移動規制部材14が、固定ハウジング11から幅方向X2に突出した状態で固定ハウジング11に取付けられてしまうことを防止できる。よって、移動規制部材14が幅方向X2に延びてしまってコネクタ1が幅方向に大型化してしまうことを防止できる。
【0090】
また、本実施形態によると、可動ハウジング12の本体部30は、固定ハウジング11の挿入孔29に挿入された状態では、固定ハウジング11の幅方向X2及び垂直方向X3の変位量が規制される。このため、可動ハウジング12の本体部30を固定ハウジング11の挿入孔29に挿入する簡素な構成によって、可動ハウジング12の固定ハウジング11に対する幅方向X2及び垂直方向X3の変位量を規制することができる。
【0091】
また、本実施形態によると、コネクタ1が基板100に実装される際におけるコネクタ1の吸着搬送のときに吸着される吸着面36aが、移動規制部材14において設けられている。このため、コネクタ1において、可動ハウジング12の固定ハウジング11に対する変位量を規制する金属製の移動規制部材14を、コネクタ1の吸着搬送時の吸着面36aとしても活用することができる。また、本実施形態によると、固定ハウジング11に取り付けられる移動規制部材14に吸着面36aが設けられるため、コネクタ1の吸着搬送の際に、固定ハウジング11に対して変位可能な可動ハウジング12側ではなく、基板100に対して設置される固定ハウジング11側においてコネクタ1を吸着して搬送することができる。このため、基板100に対して固定ハウジング11の位置がずれてしまうことなく安定した状態で基板100へのコネクタ1の実装を行うことができる。また、本実施形態によると、移動規制部材14に吸着面36aを設けるため、固定ハウジング11において別途吸着面を形成するためのスペースを設ける必要がなく、固定ハウジング11の大型化を更に抑制することができる。
【0092】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、次のように変更して実施してもよい。
【0093】
(1)前述の実施形態では、コネクタ1の端子13に対して接続される相手側接続部材としての相手側端子101aが、ピン状に形成されたオス型の端子である形態を例示したが、この例の通りでなくてもよい。例えば、相手側接続部材としての相手側端子101aは、板状に形成された端子として設けられていてもよく、また、板状の金属板が屈曲形成されることで板バネ部分が設けられた形状の端子として設けられていてもよい。また、コネクタ1の端子13がオス型の端子として構成されている場合は、相手側接続部材としての相手側端子101aは、メス型の端子として構成されていてもよい。
【0094】
(2)前述の実施形態では、コネクタ1の端子13の基板接続部32が、基板100の表面にはんだ付けで実装されることで基板100に接続される形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。例えば、基板100にスルーホールが設けられ、コネクタ1の端子13の基板接続部32が、基板100のスルーホールに対して挿入されてはんだ付けされることで基板100に接続される形態が実施されてもよい。
【0095】
(3)前述の実施形態では、コネクタ1において、複数の端子13が、幅方向X2に沿って1列に並んで配置された形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。複数の端子13が幅方向X2に沿って2列に並んで配置されたコネクタの形態が実施されてもよく、例えば、
図13及び
図14に示すような変形例が実施されてもよい。
【0096】
図13は、第1の変形例に係るコネクタ2を示す斜視図である。
図14(A)は、第1の変形例に係るコネクタ2の正面図であり、
図14(B)は、第1の変形例に係るコネクタ2の断面図であって
図14(A)のC-C線矢視位置での断面図である。尚、以下の第1の変形例についての説明においては、前述の実施形態と同様に構成される要素及び前述の実施形態と対応して構成される要素については、図面において同一の符号を付すことで、或いは同一の符号を引用することで、説明を省略する。
【0097】
図13及び
図14に示す第1の変形例に係るコネクタ2は、複数の端子13が幅方向X2に沿って2列に並んで配置されている。即ち、コネクタ2においては、複数の端子13が列を形成して並ぶピッチ方向として構成される幅方向X2に沿って、端子13が2列に並んで配置されている。コネクタ2においては、端子13が2列に並んで配置されることに対応して、固定ハウジング41、可動ハウジング42、移動規制部材14に関する構成が、前述の実施形態のコネクタ1とは一部異なっている。
【0098】
基板100に対して設置される固定ハウジング41は、コネクタ1の固定ハウジング11と略同様に構成されるが、固定ハウジング11とは異なり、背面壁22が設けられておらず、端子保持壁21が一対で設けられている。即ち、固定ハウジング41は、互いに対向して配置されるとともに互いに平行に延びる一対の端子保持壁21と、一対の端子保持壁21に対して垂直に延びる一対の側壁23及び側壁24とを有して構成されている。一対の端子保持壁21のうちの一方の端子保持壁21は、幅方向X2に沿って2列に並んだ複数の端子13のうちの一方の列の複数の端子13を保持する壁部として設けられている。そして、一対の端子保持壁21のうちの他方の端子保持壁21は、幅方向X2に沿って2列に並んだ複数の端子13のうちの他方の列の複数の端子13を保持する壁部として設けられている。
【0099】
固定ハウジング41に対して相対変位可能に装着される可動ハウジング42は、コネクタ1の可動ハウジング12と略同様に構成されるが、可動ハウジング12とは異なり、本体部30において、複数の保持室30fと複数の接続用孔30gとが、それぞれ、幅方向X2に沿って2列に並んで設けられている。即ち、可動ハウジング42の本体部30においては、複数の保持室30fが幅方向X2に沿って2列に並んで設けられているとともに、複数の接続用孔30gも幅方向X2に沿って2列に並んで設けられている。可動ハウジング42の本体部30において、2列に並んで設けられた複数の保持室30fにおける各列の複数の保持室30fと、2列に並んで設けられた複数の接続用孔30gにおける各列の複数の接続用孔30gとは、互いに対応して設けられている。また、可動ハウジング42の本体部30の2列に並んだ複数の保持室30fのうちの一方の列の複数の保持室30fは、コネクタ2において2列に並んで配置される複数の端子13のうちの一方の列の複数の端子13の相手側接続部34を保持するように構成されている。そして、可動ハウジング42の本体部30の2列に並んだ複数の保持室30fのうちの他方の列の複数の保持室30fは、コネクタ2において2列に並んで配置される複数の端子13のうちの他方の列の複数の端子13の相手側接続部34を保持するように構成されている。
【0100】
また、可動ハウジング42においては、コネクタ1の可動ハウジング12とは異なり、本体部30から突出して設けられる凸部31が一対で設けられている。可動ハウジング42の一対の凸部31は、いずれとも、本体部30が挿入孔29に挿入された状態で、挿入方向X1と幅方向X2との両方に垂直な垂直方向X3に沿って、本体部30から突出するように設けられている。そして、一対の凸部31のうちの一方の凸部31は、固定ハウジング41における一対の端子保持壁21のうちの一方の端子保持壁21側に向かって本体部30から突出して設けられている。そして、一対の凸部31のうちの他方の凸部31は、固定ハウジング41における一対の端子保持壁21のうちの他方の端子保持壁21側に向かって本体部30から突出して設けられている。このため、コネクタ2においては、一対の凸部31のそれぞれは、本体部30から、垂直方向X3において互いに逆向きに突出するように設けられている。
【0101】
また、コネクタ2においては、固定ハウジング41に可動ハウジング42が挿入された状態で固定ハウジング41に取り付けられる金属製の移動規制部材14は、コネクタ1とは異なり、1つではなく、一対で設けられている。一対の移動規制部材14のうちの一方の移動規制部材14は、固定ハウジング41に対して、垂直方向X3における一方の端子保持壁21側であって挿入方向X1と反対方向における端部側に配置された状態で取り付けられる。そして、一対の移動規制部材14のうちの他方の移動規制部材14は、固定ハウジング41に対して、垂直方向X3における他方の端子保持壁21側であって挿入方向X1と反対方向における端部側に配置された状態で取り付けられる。
【0102】
また、一対の移動規制部材14のそれぞれは、固定ハウジング41に対して、垂直方向X3における各端子保持壁21側において、可動ハウジング42の一対の凸部31のそれぞれよりも、挿入方向X1の反対側に配置された状態で、取り付けられる。そして、一対の移動規制部材14のそれぞれは、固定ハウジング41の挿入孔29に挿入された可動ハウジング42の本体部30が固定ハウジング41に対して挿入方向X1と反対方向に変位した際に、可動ハウジング42の一対の凸部31のそれぞれと当接する。即ち、一対の移動規制部材14のそれぞれは、挿入孔29に挿入された本体部30が固定ハウジング41の挿入孔29から抜ける方向に変位した際に、可動ハウジング42の一対の凸部31のそれぞれと当接する。このように、一対の移動規制部材14のそれぞれは、可動ハウジング42が挿入方向X1と反対方向に変位した際に(即ち、可動ハウジング42が固定ハウジング41から抜ける方向に変位した際に)、可動ハウジング42の一対の凸部31のそれぞれと当接することで、可動ハウジング42の固定ハウジング41に対する変位量を規制するように構成されている。
【0103】
図13及び
図14に示す第1の変形例のように、複数の端子13が幅方向X2に沿って2列に並んで配置されたコネクタ2の形態が実施されてもよい。尚、第1の変形例のコネクタ2においては、可動ハウジング42において凸部31が一対で設けられ、移動規制部材14も一対で設けられた形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。第1の変形例のコネクタ2において、可動ハウジング42における凸部が1つのみ設けられ、移動規制部材14も1つのみ設けられた形態が実施されてもよい。即ち、複数の端子13が幅方向X2に沿って2列に並んで配置されたコネクタ2において、一対の端子保持壁21のうちの一方側のみに対応して、可動ハウジング42の1つの凸部31が本体部30から突出し、1つの移動規制部材14が取り付けられている形態が実施されてもよい。
【0104】
(4)前述の実施形態では、コネクタ1における挿入方向X1が、コネクタ1が基板100に設置された状態において、平坦に広がる基板100の表面に対して垂直な方向として構成された形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。コネクタにおける挿入方向X1が、コネクタが基板100に設置された状態において、平坦に広がる基板100の表面と平行な方向として構成された形態が実施されてもよく、例えば、
図15及び
図16に示すような変形例が実施されてもよい。
【0105】
図15は、第2の変形例に係るコネクタ3を示す斜視図である。
図16(A)は、第2の変形例に係るコネクタ3の正面図であり、
図16(B)は、第2の変形例に係るコネクタ3の断面図であって
図16(A)のD-D線矢視位置での断面図である。尚、以下の第2の変形例についての説明においては、前述の実施形態と同様に構成される要素及び前述の実施形態と対応して構成される要素については、図面において同一の符号を付すことで、或いは同一の符号を引用することで、説明を省略する。
【0106】
図15及び
図16に示す第2の変形例に係るコネクタ3は、固定ハウジング11に対して可動ハウジング12が挿入される方向である挿入方向X1が、コネクタ3が基板100に設置された状態において、平坦に広がる基板100の表面と平行な方向として構成されている。また、コネクタ3においては、挿入方向X1と幅方向X2との両方の方向に対して垂直な方向である垂直方向X3が、平坦に広がる基板100の表面に垂直な方向として構成されている。尚、
図15及び
図16では、基板100の図示は省略している。
【0107】
図15及び
図16に示す第2の変形例のように、コネクタ3における挿入方向X1が、コネクタ3が基板100に設置された状態において、平坦に広がる基板100の表面と平行な方向として構成された形態が実施されてもよい。
【0108】
(5)前述の実施形態では、コネクタ1の移動規制部材14において、幅方向X2に沿って平坦な板状に延びるとともに可動ハウジング12の凸部31に当接する板状部36が設けられた形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。移動規制部材における可動ハウジング12の凸部31に当接する部分が、平坦な板状部36とは異なる形状を有している形態が実施されてもよく、例えば、
図17及び
図18に示すような変形例が実施されてもよい。
【0109】
図17は、第3の変形例に係るコネクタ4を示す斜視図である。
図18は、第3の変形例に係るコネクタ4の正面図である。尚、以下の第3の変形例についての説明においては、前述の実施形態と同様に構成される要素及び前述の実施形態と対応して構成される要素については、図面において同一の符号を付すことで、或いは同一の符号を引用することで、説明を省略する。
【0110】
図17及び
図18に示す第3の変形例に係るコネクタ4においては、固定ハウジング11に可動ハウジング12が挿入された状態で固定ハウジング11に取り付けられる金属製の移動規制部材43が設けられている。移動規制部材43は、固定ハウジング11に対して、垂直方向X3における端子保持壁21側であって挿入方向X1と反対方向における端部側に配置された状態で取り付けられる。
【0111】
移動規制部材43は、規制部44と、一対の取付け部37とを有して構成されている。規制部44は、移動規制部材43が固定ハウジング11に取り付けられた状態において、固定ハウジング11に対して幅方向X2に沿って延びた状態で配置される。そして、一対の取付け部37は、規制部44の幅方向X2の両端部で規制部44と一体に設けられ、固定ハウジング11に取り付けられる部分として設けられている。一対の取付け部37は、コネクタ1の移動規制部材14の一対の取付け部37と同様に、固定ハウジング11において幅方向X2の両端部に設けられた一対の取付け溝28に対して、それぞれ圧入されることで取り付けられる。
【0112】
また、移動規制部材43の規制部44は、可動ハウジング12の凸部31と当接して可動ハウジング12の挿入方向X1と反対方向への変位を規制する部分として設けられている。そして、規制部44は、移動規制部材43において、複数回に亘って屈曲形成された状態で板状に延びた部分として形成される。このため、規制部44は、移動規制部材43が固定ハウジング11に取り付けられた状態において、固定ハウジング11に対して幅方向X2に沿って途中で複数回に亘って屈曲しながら延びた状態で配置される。
【0113】
また、規制部44には、幅方向X2における中央部分において、垂直方向X3と平行な方向から視て挿入方向X1と反対方向に向かって矩形の凸状に突出するように屈曲形成された屈曲凸部44aが設けられている。移動規制部材43が固定ハウジング11に取り付けられた状態では、規制部44の屈曲凸部44aは、可動ハウジング12の凸部31よりも挿入方向X1の反対側に配置される。このため、可動ハウジング12の凸部31に対して、垂直方向X1と反対方向、及び、幅方向X2においては、屈曲凸部44aが隙間を介して隣接した状態で配置される。また、屈曲凸部44aには、幅方向X2に沿って平坦に延びるとともに挿入方向X1において凸部31と対向する当接面44bが設けられている。当接面44bは、可動ハウジング12が挿入方向X1と反対方向に変位した際に、可動ハウジング12の凸部31と当接する面を構成している。
【0114】
移動規制部材43が固定ハウジング11に取り付けられた状態では、可動ハウジング12の凸部31と、移動規制部材43の規制部44における屈曲凸部44aの当接面44bとの間には、挿入方向X1と反対方向において、隙間が形成されている。そして、移動規制部材43は、固定ハウジング11の挿入孔29に挿入された可動ハウジング12の本体部30が固定ハウジング11に対して挿入方向X1と反対方向に変位した際に、規制部44の当接面44bにおいて、可動ハウジング12の凸部31と当接する。即ち、移動規制部材43は、挿入孔29に挿入された本体部30が固定ハウジング11の挿入孔29から抜ける方向に変位した際に、規制部44の当接面44bにおいて、可動ハウジング12の凸部31と当接する。このように、移動規制部材43は、可動ハウジング12が挿入方向X1と反対方向に変位した際に(即ち、可動ハウジング12が固定ハウジング11から抜ける方向に変位した際に)、可動ハウジング12の凸部31と当接することで、可動ハウジング12の固定ハウジング11に対する変位量を規制するように構成されている。
【0115】
図17及び
図18に示す第3の変形例のように、移動規制部材43における可動ハウジング12の凸部31に当接する部分が、平坦な形状ではなく屈曲形成された形状を有している形態が実施されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明は、基板に対して設置される固定ハウジングと、固定ハウジングに対して相対変位可能に装着される可動ハウジングと、固定ハウジングに対して可動ハウジングを変位可能に支持するとともに相手側接続部材に対して電気的に接続される複数の端子と、を備えたコネクタとして、広く適用することができるものである。
【符号の説明】
【0117】
1、2、3 コネクタ
11、41 固定ハウジング
12 可動ハウジング
13 端子
14、43 移動規制部材
29 挿入孔
30 本体部
31 凸部
32 基板接続部
33 固定部
34 相手側接続部
35 可動バネ部
36 板状部
37 取付け部
100 基板
101a 相手側端子(相手側接続部材)