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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103640
(43)【公開日】2023-07-27
(54)【発明の名称】焼き網
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/06 20060101AFI20230720BHJP
【FI】
A47J37/06 331
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022004274
(22)【出願日】2022-01-14
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】596156875
【氏名又は名称】真鍋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100151208
【弁理士】
【氏名又は名称】植田 吉伸
(72)【発明者】
【氏名】花山 恵典
(72)【発明者】
【氏名】岡前 恭平
(72)【発明者】
【氏名】奥田 健一
【テーマコード(参考)】
4B040
【Fターム(参考)】
4B040AA10
4B040AC02
4B040AE13
4B040EA02
(57)【要約】
【課題】火加減の調整に悩まずに、じっくりと食材を焼くことができる焼き網を提供することである。
【解決手段】焼き網10は、下方に設けられる加熱媒体から供給される熱による引火を防止するために予め定められた線径、目開き及び材質で構成される引火防止用網部12と、引火防止用網部12の上部に重ねて設けられ、引火防止用網部12に比べて10倍以上太い線径を有し、被加熱物体を載置する本体網部14と、を備えることを特徴とする。また、引火防止用網部12は、線径が0.12mm~0.40mm、かつ、目開きが0.2mm~0.7mmに設定されており、本体網部14は、線径が2.0mm~6.0mm、かつ、目開きが2.0mm~12mmに設定されていることが好ましい。
【選択図】図1


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方に設けられる加熱媒体から供給される熱による引火を防止するために予め定められた線径、目開き及び材質で構成される引火防止用網部と、
前記引火防止用網部の上部に重ねて設けられ、前記引火防止用網部に比べて10倍以上太い線径を有し、被加熱物体を載置する本体網部と、
を備えることを特徴とする焼き網。
【請求項2】
請求項1に記載の焼き網において、
前記引火防止用網部は、前記線径が0.12mm~0.40mm、かつ、前記目開きが0.2mm~0.7mmに設定されており、
前記本体網部は、前記線径が2.0mm~6.0mm、かつ、前記目開きが2.0mm~12mmに設定されていることを特徴とする焼き網。
【請求項3】
請求項2に記載の焼き網において、
前記引火防止用網部は、前記線径が0.35mm、かつ、前記目開きが0.497mmに設定され、かつ、前記材質がステンレスであり、
前記本体網部は、前記線径が4.0mm、かつ、前記目開きが8.0mmに設定され、かつ、前記材質がステンレスであることを特徴とする焼き網。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の焼き網において、
前記引火防止用網部は、前記本体網部に係合するための係合部を有することを特徴とする焼き網。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼き網に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、キャンプブームに伴って様々なキャンプ用品が開発されている。本発明に関連する技術として、例えば、特許文献1には、枠状に形成された枠部材と、枠部材の枠内領域を覆って設けられ、枠部材より小さい弾性率を有するとともに複数の開口が形成された支持部材と、を備え、枠部材は、枠部材の枠に沿って形成された複数の係止部を有し、支持部材は、複数の係止部に引っかけて編みこまれたワイヤで形成される焼き網が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、肉、魚、野菜、その他の食品のバーベキューのための炭火グリル、ガスのグリル、又は電気グリルのグリル焼き網としての平らな板の配置であって、スリットが板へと等間隔で垂直方向に切断されており、一方で、ラックとスリットは均一に湾曲した形状を示し、ラックは垂直方向から見ると板の厚みよりも小さい事を特徴とする、板の配置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-41278号公報
【特許文献2】特表2017-516606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
キャンプの楽しみの1つとして、炭火で食べるバーベキューが挙げられる。しかしながら、炭火のバーベキューにおける火加減の調整は難しく、例えば、お肉の外側は焦げているものの内側は生焼けのまま、また、脂が落ち切ってパサパサしてしまうなどのように、せっかく購入した良いお肉が台無しになってしまうことがある。
【0006】
本発明の目的は、火加減の調整に悩まずに、じっくりと食材を焼くことができる焼き網を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る焼き網は、下方に設けられる加熱媒体から供給される熱による引火を防止するために予め定められた線径、目開き及び材質で構成される引火防止用網部と、前記引火防止用網部の上部に重ねて設けられ、前記引火防止用網部に比べて10倍以上太い線径を有し、被加熱物体を載置する本体網部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る焼き網において、前記引火防止用網部は、前記線径が0.12mm~0.40mm、かつ、前記目開きが0.2mm~0.7mmに設定されており、前記本体網部は、前記線径が2.0mm~6.0mm、かつ、前記目開きが2.0mm~12mmに設定されていることが好ましい。
【0009】
また、本発明に係る焼き網において、前記引火防止用網部は、前記線径が0.35mm、かつ、前記目開きが0.497mmに設定され、かつ、前記材質がステンレスであり、 前記本体網部は、前記線径が4.0mm、かつ、前記目開きが8.0mmに設定され、かつ、前記材質がステンレスであることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る焼き網において、前記引火防止用網部は、前記本体網部に係合するための係合部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、火加減の調整に悩まずに、じっくりと食材を焼くことができるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る実施形態の焼き網を示す図である。
図2】本発明に係る実施形態の焼き網において、本体網部を示す図である。
図3】本発明に係る実施形態の焼き網において、引火防止用網部を示す図である。
図4】本発明に係る実施形態の焼き網において、引火防止用網部の斜視図である。
図5】本発明に係る実施形態の焼き網を用いてバーベキューをしている様子を示す図である。
図6】従来技術の焼き網でバーベキューをしている様子を示す図である。
図7】従来技術の焼き網で焼いた肉の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0014】
図1は、本発明に係る実施形態の焼き網10を示す図である。図2は、本発明に係る実施形態の焼き網10において、本体網部14を示す図である。図3は、本発明に係る実施形態の焼き網10において、引火防止用網部12を示す図である。
【0015】
図4は、本発明に係る実施形態の焼き網10において、引火防止用網部12の斜視図である。図5は、本発明に係る実施形態の焼き網10を用いてバーベキューをしている様子を示す図である。
【0016】
焼き網10は、炭火などの加熱媒体により加熱しながら食材を焼き調理するバーベキュー(以下ではBBQ)に用いられる網である。BBQは、屋外で実施する場合が多いため、風などの風圧により、想像以上に火が強くなってしまうことがある。焼き網10は、引火防止用網部12と、本体網部14とを備える。
【0017】
加熱媒体は、ここでは炭火であるものとして説明するが、その他の媒体、例えば、加熱コンロであってもよい。食材は、ここでは牛肉であるものとして説明するが、もちろん、豚肉や鶏肉であってもよく、野菜や魚介類であってもよい。
【0018】
引火防止用網部12は、下方に設けられる加熱媒体から供給される熱による引火を防止するために予め定められた線径、目開き及び材質で構成される金網(メッシュ)である。
【0019】
金網(メッシュ)の業界では、1インチ(25.4mm)が基準になっている。メッシュとは、1インチの長さの間にある網目の数を表しており、100メッシュは1インチの長さの間に100の網目があることを示している。
【0020】
一般的に、線径×メッシュ数で表示され、φ0.1×100m/s(メッシュ)は、「線径0.1mm、1インチのメッシュ数100」のことを意味する。線径が細く、メッシュ数が多くなればなるほど、密度が高い(細かい)金網ということになる。
【0021】
目開きは、メッシュの平織や綾織の網目密度を確認する際に使用される。「目開き」とは、網目の大きさ(密度)を表す基準の一つで、縦線と横線が交差して形成された1個(目)当たりの空間(正方形)における天地幅または左右幅を表している。
【0022】
一例として、φ0.1×100m/sの場合における目開き寸法について求める。1インチにおける線径の合算数値は、φ0.1×100m/s=(線径0.1mm×100メッシュ)=10mmとなる。1網目空間の一辺を合算した数値は、25.4mm(1インチ)-10mm=15.4mmとなる。したがって、目開き寸法は、15.4mm÷100m/s=0.154mmとなる。
【0023】
引火防止用網部12は、線径が0.12mm~0.40mm、かつ、目開きが0.2mm~0.7mmに設定されていることが好ましく、線径が0.35mmであり、目開きが0.497mmであることがより好適である。
【0024】
また、引火防止用網部12は、耐熱に適した材質で構成されていることが好ましく、例えば、ステンレス、耐熱鋼、鉄であることが好ましく、その中でもSUS304であることがより好適である。
【0025】
SUS304は、クロムを18%、ニッケルを8%含んで構成されており、オーステナイト系ステンレス鋼の代表的な材料であり、良好な耐食性、加工性、溶接性など多くの優れた特性を備えいる。また、高温酸化に強く、高温環境(約900℃まで)での耐熱性にも優れている。
【0026】
引火防止用網部12は、丸型、角型、小判型、5角形、6角形などの形状がある。丸型のときは、直径が100mm~400mmに設定することが好ましく、角型のときは、縦横の長さが100mm~400mmに設定することが好ましい。
【0027】
引火防止用網部12は、角型であることが好ましく、その寸法は、図3に示されるように、縦方向に152mmであり、横方向に222mmである。
【0028】
引火防止用網部12のメッシュは、30メッシュ~60メッシュであることが好ましいが、30メッシュであることがより好適である。
【0029】
引火防止用網部12は、本体網部14に係合するための係合部16を備える。引火防止用網部12が、例えば、角型である矩形形状である場合に、図3及び図4に示されるように、長手方向である横方向の中央部に、係合部16が設けられている。
【0030】
係合部16は、引火防止用網部12の長手方向の端辺の中央部から反対側の端辺に向けて伸びる一対の突起物である。一対の突起物は、図4に示されるように起立するように折り曲げ可能であり、この状態で、本体網部14を載置し、網目を通過させて、本体網部14の動きを規制する。
【0031】
本体網部14は、引火防止用網部12の上部に重ねて設けられ、引火防止用網部12に比べて10倍以上太い線径を有し、被加熱物体を載置する金網(メッシュ)である。被加熱物体は、BBQで焼く食材であり、肉、野菜、魚介類などである。
【0032】
本体網部14は、線径が2.0mm~6.0mm、かつ、目開きが2.0mm~12mmに設定されていることが好ましく、線径が4.0mmであり、目開きが8.0mmであることがより好適である。
【0033】
また、本体網部14は、耐熱に適した材質で構成されていることが好ましく、例えば、ステンレス、耐熱鋼、鉄であることが好ましく、その中でもSUS304であることがより好適である。
【0034】
本体網部14は、丸型、角型、小判型、5角形、6角形などの形状がある。丸型のときは、直径が100mm~400mmに設定することが好ましく、角型のときは、縦横の長さが100mm~400mmに設定することが好ましい。
【0035】
本体網部14は、角型であることが好ましく、その寸法は、図4に示されるように、縦方向に155mmであり、横方向に225mmであり、引火防止用網部12に比べて若干大きく設定されている。
【0036】
また、本体網部14の天井側の面は、平坦となるフラット加工が施されていることが好ましい。
【0037】
続いて、上記構成の焼き網10の作用について説明する。近年、新型コロナウィルス感染症の流行の影響もあり、キャンプブームが到来しており、一人でキャンプをするソロキャンプも流行している。
【0038】
キャンプは、山、川、海などの自然を楽しむことが目的とされることが多いが、BBQ(食事)を楽しみにしている人も多い。BBQは、ガスコンロなどを用いるものも存在するが、炭火を用いて焼く焼肉は格別に美味しいと感じる人も多い。
【0039】
炭火の理想的な焼き方は、織火の状態で食材を焼くことと言われている。しかしながら、BBQは屋外でされることが多く、風などの影響を受けることがあるため、火加減の調整が難しい。
【0040】
火が強くなると、図6に示されるように、お肉から出る脂により火力が増してしまい、図7に示されるように、お肉の外側は焦げ付いているのに対し、内側は生焼けなどの状態となることがある。また、脂が落ちてしまうと、お肉がパサパサとなってしまうといった課題がある。このような課題に対し、本発明に係る実施形態の焼き網10は顕著な効果を発揮する。
【0041】
最初に、図1に示されるように、引火防止用網部12の上部に本体網部14を重ね合わせる。この際に、引火防止用網部12は係合部16を図3に示されるように起立させた状態で、本体網部14を重ね合わせる。
【0042】
起立した係合部16を本体網部14の網目を通過させて、本体網部14の移動を規制する。これにより、焼き網10を完成する。
【0043】
この後、図5に示されるように、火が、いこった炭火の上方に焼き網10を設置し、この焼き網10にお肉を載せる。ここで、焼き網10のうち、お肉に接触しているのは本体網部14であり、本体網部14は、上述したように、線径が2.0mm~6.0mm、かつ、目開きが2.0mm~12mmに設定されていることが好ましく、線径が4.0mmであり、目開きが8.0mmであることがより好適とされて設定される。
【0044】
本体網部14は、ステンレスで構成されており、線径が太いため、蓄熱性に優れている。また、この太さの線径のまま目開きが狭く設定されているため、網目が細かい。さらに、本体網部14によれば、お肉に接触する部分が平坦に加工されている。これらの構成により、お肉に当接する面積が大きいため、お肉を均一に焼くことができる。
【0045】
また、焼き網10のうち、本体網部14の下部には引火防止用網部12が設けられている。そして、引火防止用網部12は、上述したように、線径が0.12mm~0.40mm、かつ、目開きが0.2mm~0.7mmに設定されていることが好ましく、線径が0.35mmであり、目開きが0.497mmであることがより好適とされて設定される。このため、網目は非常に細かく設定されており、下方に位置する加熱媒体である炭火からの引火を防ぐ。
【0046】
引火防止用網部12は、上記のように、非常に細かい網部であり、炭火からの火を広く分散して熱を伝えるため、お肉を焦がしにくく、かつ、じっくり焼くことが出来る。また、火が強くなり過ぎず、弱火程度の温度を保ったままお肉を焼くことができるため、肉汁を閉じ込めてジューシーな仕上がりにすることが出来るという顕著な効果を奏する。
【0047】
なお、焼き網10は、角型サイズで、縦方向に約155cmであり、横方向に約225cmのサイズであって、ソロキャンプに適したサイズとしているが、もちろん、そのサイズを大きくすることで、複数の人数でBBQを楽しむサイズにしても同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0048】
10 焼き網、12 引火防止用網部、14 本体網部、16 係合部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7