IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ライテクの特許一覧 ▶ 株式会社トーエスの特許一覧 ▶ 株式会社T.クリエーションセンターの特許一覧

<>
  • 特開-シェッドとその施工方法 図1
  • 特開-シェッドとその施工方法 図2
  • 特開-シェッドとその施工方法 図3
  • 特開-シェッドとその施工方法 図4
  • 特開-シェッドとその施工方法 図5
  • 特開-シェッドとその施工方法 図6
  • 特開-シェッドとその施工方法 図7
  • 特開-シェッドとその施工方法 図8
  • 特開-シェッドとその施工方法 図9
  • 特開-シェッドとその施工方法 図10
  • 特開-シェッドとその施工方法 図11
  • 特開-シェッドとその施工方法 図12
  • 特開-シェッドとその施工方法 図13
  • 特開-シェッドとその施工方法 図14
  • 特開-シェッドとその施工方法 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103666
(43)【公開日】2023-07-27
(54)【発明の名称】シェッドとその施工方法
(51)【国際特許分類】
   E01F 7/04 20060101AFI20230720BHJP
【FI】
E01F7/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022004314
(22)【出願日】2022-01-14
(71)【出願人】
【識別番号】501047173
【氏名又は名称】株式会社ライテク
(71)【出願人】
【識別番号】508112852
【氏名又は名称】株式会社トーエス
(71)【出願人】
【識別番号】512077273
【氏名又は名称】株式会社T.クリエーションセンター
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】庄田 浩二
(72)【発明者】
【氏名】北島 幹士
【テーマコード(参考)】
2D001
【Fターム(参考)】
2D001PA05
2D001PA06
2D001PC03
2D001PD02
2D001PE01
(57)【要約】
【課題】施工性に優れたシェッドを提供する。
【解決手段】山側の斜面Sに沿って設けられた通路Tを覆う屋根2を備え、屋根2を山側の擁壁3により支持した片持ち式のシェッド1である。屋根2の主桁4は、通路Tの幅方向に設けられる主桁本体5と、主桁本体5の山側下部に連結され、山側に向かって斜め下方に傾斜した方杖部6とを備え、主桁本体5の山側端部5Tを擁壁3の上部に固定すると共に、方杖部6の下端を擁壁3の下側支持面26に固定したから、主桁本体5の山側下部に連結され、山側に向かって斜め下方に傾斜した方杖部6を備えるから、方杖部6を取り付けるために擁壁3が大型化することがないと共に、通路Tの幅を確保することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
山側の斜面に沿って設けられた通路を覆う屋根を備え、前記屋根を山側の擁壁により支持した片持ち式のシェッドにおいて、
前記屋根の主桁は、前記通路の幅方向に設けられる主桁本体と、前記主桁本体の山側下部に連結され、山側に向かって斜め下方に傾斜した方杖部とを備え、
前記主桁本体の山側端部を前記擁壁の上部に固定すると共に、前記方杖部の下端を前記擁壁の方杖用支持部に固定したことを特徴とするシェッド。
【請求項2】
前記擁壁の上部にコンクリート打設部が設けられ、このコンクリート打設部に前記主桁本体の山側端部を埋設したことを特徴とする請求項1記載のシェッド。
【請求項3】
請求項1記載のシェッドの施工方法において、
前記主桁本体の山側端部の下部には本体側ベース部が設けられ、前記方杖部の下部には方杖側ベース部が設けられており、
前記擁壁の本体用支持部にアンカーボルトを立設し、
前記主桁本体に前記方杖部を一体に設けた前記主桁を上方に移動し、前記本体側ベース部に前記アンカーボルトを挿通し、前記本体側ベース部を挿通した前記アンカーボルトの上部に固定用雌螺子体を螺合した後、前記主桁本体の山側端部の高さを調整し、前記方杖部の高さを調整することを特徴とするシェッドの施工方法。
【請求項4】
前記アンカーボルトに高さ調整用雌螺子体を螺合し、前記高さ調整用雌螺子体の高さを所定高さに設定した後、前記本体側ベース部に前記アンカーボルトを挿通し、前記本体側ベース部を前記高さ調整用雌螺子体に位置合わせすることを特徴とする請求項3記載のシェッドの施工方法。
【請求項5】
前記方杖側ベース部にアンカーを設け、前記擁壁の前記方杖用支持部に前記アンカーを挿入する凹所を形成し、前記アンカーの下部側を前記凹所に挿入すると共に、前記方杖部の高さを調整した後、前記凹所内に硬化性充填材を充填することを特徴とする請求項3又は4記載のシェッドの施工方法。
【請求項6】
前記本体側ベース部に本体側の高さ調整用螺子を螺合し、この本体側の高さ調整用螺子により前記本体用支持部に対して前記本体側ベース部を支持すると共に前記主桁本体の山側端部の高さを調整し、前記方杖側ベース部に方杖側の高さ調整用螺子を螺合し、この方杖側の高さ調整用螺子により前記方杖用支持部に対して前記方杖側ベース部を支持すると共に前記方杖部の高さを調整することを特徴とする請求項3~5のいずれか1項の記載のシェッドの施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、山沿いの道路や鉄道用軌道を落石、土砂崩落、雪崩等から防護するためのシェッドとその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものとして、山沿いの道路を覆う屋根の両側を柱で支持したシェッドや、前記屋根の谷側を柱で支持すると共に、山側を擁壁により支持したシェッド(例えば特許文献1)がある。
【0003】
上記特許文献1のシェッドでは、谷側に複数の柱が道路の長さ方向に間隔を置いて設けられているため、それら複数の柱により眺望が妨げられるという問題があった。また、谷側の地盤条件の悪いところでは、柱の基礎工事の施工が困難な場合があり、出来ても基礎工事費が増大するという問題があった。
【0004】
これに対して、谷側の柱を不要としたシェッドとして、片持ち式の屋根を構成するプレキャストコンクリート梁材の基端部近くを山側の擁壁上に立設した柱体で支承すると共に両者を緊結し、前記基端部を山側擁壁に固定したもの(例えば特許文献2)や、屋根を構成する張出し部を有するプレキャスト張出し材を、前記張出し部の先端にグランドアンカーに接続し、このグランドアンカーを地山に定着したもの(例えば特許文献3)がある。
【0005】
上記特許文献2のシェッドでは、梁材の仮設時に該梁材の遊離端を谷側に立設したサポート(支保工)で支持する必要があり、また、梁材の基端部と山側擁壁の固定のために擁壁の上方にコンクリートを打設し、このコンクリート内に基端部を埋設して固定するため、施工に時間を要すると共に、打設したコンクリートが硬化するまで前記サポートを外すことが困難なことが予想される。
【0006】
また、上記特許文献2のシェッドでは、擁壁に中間段部を形成し、この中間段部上に柱体を立設し、この柱体と擁壁の上部に梁材を固定するため、施工工数が増加すると共に、道路方向に並設する複数の梁材の高さ合わせ作業に時間を要する。さらに、擁壁の中間段部に垂直に柱体を立設するため、中間段部が大型になるという問題もある。
【0007】
また、特許文献3のシェッドでは、グランドアンカーを地山に打ち込むという大がかりな工事が必要になると共に、仮設作業において、グランドアンカーによりプレキャスト張出し材を支持するまで、プレキャスト張出し材の山側端を支保工などにより支持する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7-34418号公報
【特許文献2】特開昭59-80506号公報
【特許文献3】特開平7-247515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は上記した問題点に鑑み、谷側を支持する支保工が不要で、施工性に優れたシェッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、山側の斜面に沿って設けられた通路を覆う屋根を備え、前記屋根を山側の擁壁により支持した片持ち式のシェッドにおいて、前記屋根の主桁は、前記通路の幅方向に設けられる主桁本体と、前記主桁本体の山側下部に連結され、山側に向かって斜め下方に傾斜した方杖部とを備え、前記主桁本体の山側端部を前記擁壁の上部に固定すると共に、前記方杖部の下端を前記擁壁の方杖用支持部に固定したことを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る発明は、前記擁壁の上部にコンクリート打設部が設けられ、このコンクリート打設部に前記主桁本体の山側端部を埋設したことを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項1記載のシェッドの施工方法において、前記主桁本体の山側端部の下部には本体側ベース部が設けられ、前記方杖部の下部には方杖側ベース部が設けられており、前記擁壁の本体用支持部にアンカーボルトを立設し、前記主桁本体に前記方杖部を一体に設けた前記主桁を上方に移動し、前記本体側ベース部に前記アンカーボルトを挿通し、前記本体側ベース部を挿通した前記アンカーボルトの上部に固定用雌螺子体を螺合した後、前記主桁本体の山側端部の高さを調整し、前記方杖部の高さを調整することを特徴とする。
【0013】
請求項4に係る発明は、前記アンカーボルトに高さ調整用雌螺子体を螺合し、前記高さ調整用雌螺子体の高さを所定高さに設定した後、前記本体側ベース部に前記アンカーボルトを挿通し、前記本体側ベース部を前記高さ調整用雌螺子体に位置合わせすることを特徴とする。
【0014】
請求項5に係る発明は、前記方杖側ベース部にアンカーを設け、前記擁壁の前記方杖用支持部に前記アンカーを挿入する凹所を形成し、前記アンカーの下部側を前記凹所に挿入すると共に、前記方杖部の高さを調整した後、前記凹所内に硬化性充填材を充填することを特徴とする。
【0015】
請求項6に係る発明は、前記本体側ベース部に本体側の高さ調整用螺子を螺合し、この本体側の高さ調整用螺子により前記本体用支持部に対して前記本体側ベース部を支持すると共に前記主桁本体の山側端部の高さを調整し、前記方杖側ベース部に方杖側の高さ調整用螺子を螺合し、この方杖側の高さ調整用螺子により前記方杖用支持部に対して前記方杖側ベース部を支持すると共に前記方杖部の高さを調整することを特徴とする。
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の構成によれば、前記主桁本体の山側下部に連結され、山側に向かって斜め下方に傾斜した方杖部を備えるから、方杖部を取り付けるために擁壁が大型化することがないと共に、通路の幅を確保することができる。
【0017】
請求項2の構成によれば、主桁本体の山側端部を擁壁の上部にコンクリートにより剛結したことにより強度を確保することができる。
【0018】
請求項3の構成によれば、前記アンカーボルトの上部に固定用ナットを螺合することにより、アンカーボルトから本体側ベース部が外れることがなく、主桁の高さ調整を安定して行うことができる。
【0019】
請求項4の構成によれば、擁壁の本体用支持部の高さに施工誤差があっても、基準に対して高さ調整用ナットの高さを所定高さに設定すれば、本体側ベース部を所定の高さに合わせることができ、その後の高さの微調整も簡便に行うことができる。
【0020】
請求項5の構成によれば、方杖部の高さを調整した状態で、凹所に充填した硬化性充填材が硬化することにより、方杖部が方杖用支持部に固定される。
【0021】
請求項6の構成によれば、高さ調整用ボルトにより簡便に高さ調整を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施例1を示す断面図である。
図2】同上、主桁の正面図である。
図3】同上、施工方法を説明する正面説明図であり、主桁を吊上げた状態を示す。
図4】同上、施工方法を説明する正面説明図であり、方杖部のアンカーを凹所に挿入する状態を示す。
図5】同上、主桁本体の山側端部の構造を示す要部の正面図である。
図6】同上、硬化性充填材の充填前の要部の正面図である。
図7】同上、擁壁を断面にした屋根の要部の平面図である。
図8】同上、擁壁を断面にした方杖部の平面図である。
図9】同上、主桁と横桁の連結箇所の断面図である。
図10】同上、図10(A)は一部を断面にした主桁本体の固定構造の断面図、図10(B)は図10(A)のX-X線断面図である。
図11】同上、一部を断面にした方杖部の固定構造の正面図である。
図12】同上、図11のY-Y線断面図である。
図13】同上、コンクリート打設部の断面図である。
図14】同上、主桁本体の山側端部の断面図である。
図15】同上、屋根の上部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例0024】
図1図15は本発明の実施例1を示す。図1に示すように、片持ち式のシェッド1は、山側の斜面Sに沿って設けられた通路T(道路、鉄道用軌道等)に設置され、通路Tを落石、土砂崩落、雪崩等から防護する。尚、実施例のシェッド1はスノーシェッドである。
【0025】
前記シェッド1は、山側の斜面Sに沿って設けられた通路Tを覆う屋根2と、この屋根2を支持する山側の擁壁3とを備え、この擁壁3は、鉄筋コンクリートからなり、通路Tの長さ方向に連続して形成されている。また、前記屋根2の主桁4は、鋼製からなり、通路Tの長さ方向に間隔を置いて設けられ、前記通路Tの幅方向に設けられる主桁本体5と、この主桁本体5の山側下部に連結され、山側に向かって斜め下方に傾斜した方杖部6とを一体に備え、この方杖部6は通路Tの幅方向で主桁本体5の真下に位置し、複数の前記主桁4を通路Tの長さ方向に間隔を置いて複数配置している。尚、シェッド1の架設時に前記方杖部6の中心と水平との挟角は20度~50度程度である。
【0026】
主桁本体5は、上,下フランジ部11,12を有する断面H型をなし、図2などに示すように、上フランジ部11は主桁本体5の全長に渡って平坦に形成され、上,下フランジ部11,12の間に上下方向のウエブ部13が設けられている。尚、主桁4の取付状態で、上フランジ部11は反山側が山側より低くなるように斜めに配置される。
【0027】
また、方杖部6は、上,下フランジ部14,15を有する断面H型をなし、下端から上端に向かって上,下フランジ部14,15の間隔が開くように形成され、上,下フランジ部14,15の間には、上下方向のウエブ部16が設けられている。
【0028】
前記主桁本体5の下フランジ部12は、方杖部6の位置より反山側に下フランジ反山側部12Aを有し、この下フランジ反山側部12Aは、反山側端(先端)から方杖部6に向かって上フランジ部11との間隔が開くように斜めに形成され、その山側端(基端)と前記方杖部6の下フランジ部15の先端との間に、上に凸に湾曲した下フランジ湾曲部12Bが設けられている。即ち、平坦な下フランジ反山側部12Aと下フランジ部15とを下フランジ湾曲部12Bにより連結している。
【0029】
また、前記主桁本体5の前記下フランジ部12は、山側端に上フランジ部11と平行な下フランジ山側端部12Dと、この下フランジ山側端部12Dと前記方杖部6の上フランジ部14とを連結する下フランジ山側連結部12Cとを有する。この下フランジ山側連結部12Cは、前記上フランジ部11との間隔が反山側に向かって開くように斜めに形成されている。また、前記方杖部6の上フランジ部14の先端と前記下フランジ山側連結部12Cの反山側とが、上に凸に湾曲した下フランジ湾曲部12B´(図2)により連結されている。
【0030】
前記擁壁3は、上側に向かって山側に斜めに向いた擁壁本体21と、この擁壁本体21の下部に設けられ、反山側に突出した脚部22とを一体に備え、脚部22の上部には前記通路Tが設けられている。
【0031】
また、前記擁壁3は、前記擁壁本体21の上面を水平に形成した本体用支持部たる上側支持面23を有し、この上側支持面23は、横方向に形成され、前記主桁本体5の山側端部5Tが定着される。さらに、主桁本体5を上側支持面23に定着した後、前記上側支持面23の上に現場打ちコンクリートを打設してコンクリート打設部24が形成され、このコンクリート打設部24は、擁壁3の上部であって、擁壁3の一部を構成する。
【0032】
また、主桁4の方杖部6の下端に対応して擁壁本体21の反山側面21Mに凸所25を設け、この凸所25に方杖用支持部たる下側支持面26が形成され、この下側支持面26に前記方杖部6の下端が定着される。尚、前記下側支持面26は、前記方杖部6の縦方向の中心線6S(図2)と直交する。そして、下側支持面26の水平に対する角度は、反山側面21Mの水平に対する角度より小さく形成されている。
【0033】
下フランジ山側端部12Dを設けた前記主桁本体5の基端には、H型鋼からなる取付脚部31が下向き突設され、この取付脚部31は、H型鋼からなり、前記下フランジ山側端部12Dの下面に直交して該下面に固定され、山側と反山側に配置したフランジ部31F,31Fをウエブ部31Uにより連結している。また、取付脚部31の下端には、板状で長方形形状の本体側ベース部32が設けられ、この本体側ベース部32は主桁4の架設状態で水平に設けられている。尚、前記取付脚部31を、前記上側支持面23に直交して下フランジ山側端部12Dの下面に固定してもよく、前記取付脚部31は縦方向に設けられていればよい。
【0034】
図2図13及び図14に示すように、前記主桁本体5の山側端部5Tのウエブ部13には、その両面に複数のスタッドジベル(頭付きジベル)18が通路長さ方向両側に突設され、それらスタッドジベル18は、上下に間隔を置くと共に、主桁本体5の長さ方向に間隔を置いて設けられている。尚、スタッドジベル18の替りに孔あきジベル(図示せず)などのコンクリート付着用ジベルをウエブ部13に取り付けたり、スタッドジベル18と孔あきジベルの両者をウエブ部13に取り付けたりしてもよく、スタッドジベル18又は/及び孔あきジベルを用いればよい。
【0035】
前記上側支持面23には、前記取付脚部31に対応して、縦方向のアンカーボルト41が複数本(4本)埋設固定され、そのアンカーボルト41の螺子部42を有する上部を、上側支持面23から上方に突出すると共に、アンカーボルト41の下部を擁壁本体21に埋設して固定している。尚、この例では、通路幅方向と通路長さ方向に間隔を置いて4本のアンカーボルト41が配置されている。そして、螺子部42には、本体側ベース部32を上下から挟んで高さ調整用ナット43と固定用ナット44が螺合されている。尚、アンカーボルト41は複数本が好ましいが、4本に限定されることはなく、また、1本でもよい。
【0036】
尚、本体側ベース部32と高さ調整用ナット43との間には、アンカーボルト41を挿通したワッシャ45が配置され、本体側ベース部32と高さ調整用ナット43との間には、アンカーボルト41を挿通したワッシャ45が配置される。そして、高さ調整用ナット43が高さ調整用雌螺子体であり、固定用ナット44が固定用雌螺子体である。
【0037】
前記本体側ベース部32には、前記アンカーボルト41を遊挿する透孔32T(図10)が複数(4個)穿設され、この透孔32Tは、円形以外でも、通路幅方向に長い長孔であってもよい。そして、重機51などにより主桁4を上昇せしめ、アンカーボルト41に前記高さ調整用ナット43を螺合し、高さ調整用ナット43を所定の高さに合わせた状態で、透孔32Tにアンカーボルト41を挿通するようにして高さ調整用ナット43の上に本体側ベース部32を載置することにより、主桁本体5の山側端部5Tが所定の高さに設定される。
【0038】
そして、高さ調整用ナット43とワッシャ45により、雌螺子部を有する高さ調整用部材46(図3)を構成しており、上側支持面23の高さに施工誤差があっても、基準に対してワッシャ45の上面の高さを所定高さに設定することにより、高さ調整用部材46の高さに合わせて本体側ベース部32を所定高さに設定することができ、その後、高さ調整が必要になっても、微調整で済み、高さ合わせの工程を簡便に行うことができる。
【0039】
また、固定用ナット44とワッシャ45により、固定用部材47(図5)を構成しており、本体側ベース部32から突出したアンカーボルト41の上端に、ワッシャ45を挿通すると共に固定用ナット44を螺合する。こうすれば片持ちの主桁4が自重により反山側に倒れようとする力に対して、固定用部材47により本体側ベース部32がアンカーボルト41から抜け出すことを防止でき、主桁4を安定した姿勢で保持することができる。
【0040】
また、複数(4個)の透孔32Tの外側で本体側ベース部32の角部側に雌螺子部32M(図10)が貫通形成されている。上述したように主桁4を安定した姿勢で保持した状態で、前記雌螺子部32Mに高さ調整用螺子たる高さ調整用ボルト33を螺合する。また、上側支持面23上に、板状の台座34を配置し、この台座34の上面には、調整用ボルト33の下端を遊挿する筒状部35が一体に設けられており、前記筒状部35内に高さ調整用ボルト33の下端を挿入するようにして、ボルト33の下端を台座34に当接し、前記高さ調整用ナット43と共に高さ調整用ボルト33により主桁本体5の山側端を支持する。
【0041】
従って、主桁本体5の山側端を高くするように微調整するには、固定用ナット44を緩めて上方に移動し、固定用ナット44と本体側ベース部32の上面との間に高さ調整代を形成し、前記高さ調整用ボルト33を捻じ込むようにして主桁本体5を持ち上げ、高さを微調整した後、高さ調整用ナット43を本体側ベース部32の下面に圧接する位置まで回し、この後、前記固定用ナット44を本体側ベース部32の上面に圧接するように締める。
【0042】
一方、主桁本体5の山側端を低くするように微調整するには、高さ調整用ナット43を緩めて下方に移動し、高さ調整用ナット43と本体側ベース部32の下面との間に高さ調整代を形成し、前記高さ調整用ボルト33を反対に回し、主桁4が低くなるように微調整して高さを決めた後、高さ調整用ナット43を本体側ベース部32の下面に圧接する位置まで回し、この後、前記固定用ナット44を本体側ベース部32の上面に圧接するように締める。
【0043】
或いは、微調整分だけ高さ調整用ナット43を回して下げ、高さ調整用ボルト33を操作して高さ調整用ナット43に本体側ベース部32が当接するまで下げて高さを決め、固定用ナット44を、下げた本体側ベース部32に当たるまで下げ、高さ調整することができる。また、同様に、微調整分だけ固定用ナット44を回して上げ、高さ調整用ボルト33を操作して固定用ナット44に本体側ベース部32が当接するまで上げて高さを決め、高さ調整用ナット43を、上げた本体側ベース部32に当たるまで上げ、高さ調整することができる。
【0044】
前記方杖部6の基端には、板状で長方形形状の方杖側ベース部37が固定され、この方杖側ベース部37は、前記方杖部6の縦方向の中心線6Sと略直交する。前記方杖側ベース部37には、前記方杖部6の長さ方向のアンカーボルト41Aを遊挿する透孔37T(図11)が複数穿設され、この透孔37Tは、円形以外でも、上下方向に長い長孔であってもよい。尚、この例では、4個の透孔37Tが上下方向と通路長さ方向に間隔を置いて配置されている。
【0045】
そして、アンカーたるアンカーボルト41Aの螺子部42を透孔37Tに挿通し、アンカーボルト41Aに螺合した上下のナット44A,43Aにより、方杖側ベース部37を上下から挟み付けて方杖側ベース部37にアンカーボルト41Aを取り付ける。尚、方杖側ベース部37とナット44A,43Aとの間には、アンカーボルト41Aを挿通したワッシャ45が配置され、本体側ベース部32と高さ調整用ナット43との間には、アンカーボルト41Aを挿通したワッシャ45が配置される。また、4個の透孔37Tの外側で方杖側ベース部37の角部側に雌螺子部37M(図11)を貫通形成されており、この雌螺子部37Mに高さ調整用ボルト33を螺合する。
【0046】
また、前記下側支持面26には、前記4本のアンカーボルト41A,41A,41A,41Aを遊挿する凹所27が形成され、この凹所27は直方体形状をなし、相互に平行な上内面28U及び下内面28Sと、相互に平行な左,右内側面28L,28Rと、底面29を有する。
【0047】
従って、方杖部6の下端の高さを微調整するには、雌螺子部37Mに前記高さ調整用ボルト33を螺合し、凹所27の周囲の下側支持面26に前記台座34を配置すると共に、台座34に高さ調整用ボルト33を当てて複数の高さ調整用ボルト33により方杖部6から擁壁3に加わる荷重を支持する。この場合、方杖部6から下側支持面26に垂直な荷重以外に、方杖部6に加わる下向きの力に対しては、前記本体側ベース部32とアンカーボルト41が対抗する。
【0048】
高さ調整用ボルト33により方杖部6から加わる荷重を支持した状態で、高さ調整用ボルト33を回すことにより、方杖部6の高さ調整、即ち、下側支持面26と方杖側ベース部37との間隔を調整することができる。
【0049】
次に、前記主桁4の架設方法について説明する。取付脚部31の上側支持面23への固定作業の前、詳細には、前記アンカーボルト41を前記本体側ベース部32の透孔32Tに挿通する前に、上側支持面23において、上述したように高さ調整用ナット43を所定高さに設定する。また、方杖部6の下側支持面26への固定作業の前に、方杖部6において、ナット43,44により方杖側ベース部37に対して所定の位置にアンカーボルト41Aを固定する。
【0050】
図3に示すように、重機51により索条体52を吊上げ、この索条体52の下端に山側索条体52Yと反山側索条体52Hを連結し、山側索条体52Yを主桁本体5の山側に連結し、反山側索条体52Hを主桁本体5の反山側に連結する。尚、山側索条体52Yと反山側索条体52Hの一方、この例では、反山側索条体52Hの途中に長さ調整手段たるチェーンブロック53を設ける。通路T上に搬入した主桁4を重機51で吊上げ、本体側ベース部32を上側支持面23に合わせると共に、方杖側ベース部37を下側支持面26に合わせ、且つ、チェーンブロック53により主桁4の通路幅方向の傾きを略架設時に合わせる。
【0051】
主桁4を吊上げた後、自走式の高所作業車55のバケット56に作業員が乗り、この作業員がチェーンブロック53を調整することにより、主桁4の傾きを調整することができる。尚、バケット56は傾動アーム57により昇降可能に設けられている。
【0052】
重機51により主桁4を吊り上げ、方杖部6のアンカーボルト41Aの下端側を凹所27に挿入した後、本体側ベース部32の透孔32Tにアンカーボルト41の上部を挿入するようにして本体側ベース部32を高さ調整用部材46上に載置する。次に、固定用ナット44を締めて高さ調整用ナット43と固定用ナット44により挟んで本体側ベース部32を固定する。
【0053】
次に、両ベース部32,37に高さ調整用ボルト33を螺合し、高さ調整用ボルト33の先端に台座34を配置し、台座34を支持面23,26に当接し、高さ調整用ボルト33と台座34によりベース部32,37からの荷重を支持面23,26が支持する。高さの微調整が必要な場合は、上述したように高さ調整用ナット43,固定用ナット44及び高さ調整用ボルト33を操作して、主桁本体5の山側端側の高さと方杖部6の高さを微調整し、高さを決め、本体側ベース部32をナット43,44により挟んで定着し、方杖側ベース部37を高さ調整用ボルト33により支持し、高さ調整が完了する。
【0054】
高さ調整が完了し、両ベース部32,37をそれぞれ複数の高さ調整用ボルト33により支持したら、主桁4から索条体52を外すことができ、主桁4が擁壁3により安定して支持される。
【0055】
主桁4の高さ調整が完了し、主桁4から索条体52を外し、重機51による吊上げを解除した後、通路Tの長さ方向に隣り合う主桁4を、H鋼からなる通路長さ方向の横桁により連結する。横桁として第1~第4の横桁61,62,63,64が用いられ、第1の横桁61は主桁本体5の反山側端部、第3の横桁63は、主桁本体5の方杖部6の中心線6Sの延長位置、第2の横桁62は第1の横桁61と第3の横桁63の中央位置、第4の横桁64は山側端側に配置されている。そして、図9に示すように、前記主桁本体5のウエブ部13に縦方向のガゼットプレート66を固定し、重ね合わせた横桁61,62,63,64のウエブ部65の端部65Tと前記ガゼットプレートとをボルト・ナットなどの固定手段(図示せず)により締め付けて連結している。
【0056】
また、図7に示すように、主桁本体5の先端側と第2の横桁62の主桁4,4間の中央反山側とをブレース材71により連結し、第2の横桁62の主桁4,4間の中央山側と主桁本体5の第3の横梁63の連結箇所の反山側とをブレース材71Aにより連結し、主桁本体5の第3の横梁63の連結箇所の山側と第4の横桁64の主桁4,4間の中央反山側とをブレース材71Bにより連結している。それらブレース材71,71A,71Bは山形鋼からなる筋交いである。また、ブレース材71,71A,71Bの連結箇所の上フランジ部11には、ガゼットプレート72を溶接などにより取り付け、前記ガゼットプレート72とブレース材71,71A,71Bにボルト(図示せず)を挿通し、このボルトにナット(図示せず)を螺合して連結している。
【0057】
高さ調整が完了し、横桁61,62,63,64及びブレース材71,71A,71Bの設置が完了した後、上側支持面23において、本体側ベース部32の四方を囲むように型枠75を組み、この型枠75内に硬化性充填材たる無収縮モルタル76を充填し、この無収縮モルタル76が硬化して上側支持面23と本体側ベース部32との間に台座モルタル部76Aが形成される。
【0058】
また、下側支持面26において、方杖側ベース部37の三方を囲むように型枠77を組み、この型枠77内及び前記凹所27内に硬化性充填材たる無収縮モルタル78を充填し、この無収縮モルタル76が硬化して上側支持面23と本体側ベース部32との間に台座モルタル部78Aが形成されると共に、凹所27内に凹所モルタル部78Bが前記台座モルタル部78Aと一体に形成される。
【0059】
上記の工程を繰り返して、複数の主桁4を通路長さ方向に間隔をおいて架設すると共に、横桁とブレース材を架設する。
【0060】
また、前記擁壁本体21内には、その山側と反山側に縦方向の縦鉄筋81,82を埋設すると共に、それら縦鉄筋81,82を通路Tの長さ方向に間隔を置いて複数配置し、それら複数の縦鉄筋81,82の上部を前記上側支持面23から上方に突出している。
【0061】
図1及び図13に示すように、前記主桁本体5の山側端部5Tは上側支持面23上に打設された前記コンクリート打設部24により擁壁本体21に剛結される。このため打設前に通路幅方向の幅方向鉄筋83,84,85,86をコンクリート打設部24内に多段に配筋すると共に、それら幅方向鉄筋83,84,85,86及び前記縦鉄筋81,82に沿うように通路長さ方向の長さ方向鉄筋87を複数配筋する。
【0062】
最上段の幅方向鉄筋83の山側端と最下段の幅方向鉄筋86の反山側端との間に、隅角補強筋たる斜め鉄筋88が配筋されている。また、最上段の幅方向鉄筋83の中央側と山側の縦鉄筋81の下部側との間に、隅角補強筋たる斜め鉄筋89が配筋されている。
【0063】
また、主桁本体5の山側端部5T側には、ポータルラーメン構造の補強筋91が設けられ、前記主桁本体5のスタッドジベル18を設けた箇所に近接して、同箇所を通路長さ方向から挟むように、縦方向の前記補強筋91が通路幅方向に間隔を置いて複数配置されている。
【0064】
そして、前記コンクリート打設部24を形成する型枠(図示せず)を組み、配筋が完了したら、型枠内に現場打ちコンクリートを打設し、養生後に型枠を取り外すことにより、擁壁3の上部に主桁本体5の山側端が剛結される。
【0065】
屋根2に横桁61,62,63,64とブレース材71,71A,71Bを取り付けた後、主桁4と61,62,63,64とブレース材71,71A,71B上に、デッキプレート101を敷設すると共に、スタッドボルトなどの取付手段102により取り付けられている。また、デッキプレート101上には薄鋼板103がルーフボルトなどの取付手段104により取り付けられている。
【0066】
このように本実施例では、請求項1に対応して、山側の斜面Sに沿って設けられた通路Tを覆う屋根2を備え、屋根2を山側の擁壁3により支持した片持ち式のシェッド1において、屋根2の主桁4は、通路Tの幅方向に設けられる主桁本体5と、主桁本体5の山側下部に連結され、山側に向かって斜め下方に傾斜した方杖部6とを備え、主桁本体5の山側端部5Tを擁壁3の上部に固定すると共に、方杖部6の下端を擁壁3の方杖用支持部たる下側支持面26に固定したから、主桁本体5の山側下部に連結され、山側に向かって斜め下方に傾斜した方杖部6を備えるから、方杖部6を取り付けるために擁壁3が大型化することがないと共に、通路Tの幅を確保することができる。
【0067】
このように本実施例では、請求項2に対応して、擁壁3の上部にコンクリート打設部24が設けられ、このコンクリート打設部24に主桁本体5の山側端部5Tを埋設したから、主桁本体5の山側端部5Tを擁壁3の上部にコンクリートにより剛結したことにより強度を確保することができる。
【0068】
このように本実施例では、請求項3に対応して、請求項1記載のシェッド1の施工方法において、主桁本体5の山側端部5Tの下部には本体側ベース部32が設けられ、方杖部6の下部には方杖側ベース部37が設けられており、擁壁3の本体用支持部たる上側支持面23にアンカーボルト41を立設し、主桁本体5に方杖部6を一体に設けた主桁4を吊上げなどにより上方に移動し、本体側ベース部32にアンカーボルト41を挿通し、本体側ベース部32を挿通したアンカーボルト41の上部に固定用ナット44を螺合した後、主桁本体5の山側端部5Tの高さを調整し、方杖部6の高さを調整するから、アンカーボルト41の上部に固定用ナット44を螺合することにより、アンカーボルト41から本体側ベース部32が外れることがなく、主桁4の高さ調整を安定して行うことができる。
【0069】
このように本実施例では、請求項4に対応して、アンカーボルト41に高さ調整用雌螺子体たる高さ調整用ナット43を螺合し、高さ調整用ナット43の高さを所定高さに設定した後、本体側ベース部32にアンカーボルト41を挿通し、本体側ベース部32を高さ調整用ナット43に位置合わせするから、擁壁3の本体用支持部たる上側支持面23の高さに施工誤差があっても、基準に対して高さ調整用ナット43の高さを所定高さに設定すれば、本体側ベース部32を所定の高さに合わせることができ、その後の高さの微調整も簡便に行うことができる。
【0070】
このように本実施例では、請求項5に対応して、方杖側ベース部37にアンカーたるアンカーボルト41Aを設け、擁壁3の方杖用支持部たる下側支持面26にアンカーボルト41Aを挿入する凹所27を形成し、アンカーボルト41Aの下部側を凹所27に挿入すると共に、方杖部6の高さを調整した後、凹所27内に硬化性充填材たる無収縮モルタル78を充填するから、方杖部6の高さを調整した状態で、凹所27に充填した無収縮モルタル78が硬化することにより、方杖部6が下側支持面26に固定される。
【0071】
このように本実施例では、請求項6に対応して、本体側ベース部32に本体側の高さ調整用螺子たる高さ調整用ボルト33を螺合し、この本体側高さ調整用ボルト33により本体用支持部たる上側支持面23に対して本体側ベース部32を支持すると共に主桁本体5の山側端部5Tの高さを調整し、方杖側ベース部37に方杖側の高さ調整用螺子たる高さ調整用ボルト33を螺合し、この方杖側の高さ調整用ボルト33により方杖用支持部たる下側支持面26に対して方杖側ベース部37を支持すると共に方杖部6の高さを調整するから、高さ調整用ボルト33により簡便に高さ調整を行うことができる。
【0072】
以下、実施例上の効果として、主桁本体5は、方杖部6を連結した箇所の上下寸法が大きく、山側及び反山側に向かって上下寸法が小さくなるように形成されているから、同一上下寸法で形成した場合に比べて、軽量で強度的に優れる。また、平坦な下フランジ反山側部12Aと下フランジ部15とを下フランジ湾曲部12Bにより連結すると共に、前記方杖部6の上フランジ部14の先端と前記下フランジ山側連結部12Cの反山側とを、上に凸に湾曲した下フランジ湾曲部12B´により連結したから、主桁本体5への方杖部6の連結箇所の強度を向上することができる。
【0073】
前記主桁本体5の山側端部5Tには、H型鋼からなる取付脚部31を下向き突設し、取付脚部31の下端に本体側ベース部32を設けたから、本体側ベース部32の上方に作業スペースを確保することができ、本体側ベース部32に係る作業を簡便に行うことができる。また、主桁本体5の山側端部5Tには、通路長さ方向の両側に複数のスタッドジベル18を突設したから、現場打ちコンクリートによるコンクリート打設部24との連結強度を確保することができる。
【0074】
固定用ナット44,本体側の高さ調整用ボルト33,方杖側の高さ調整用ボルト33と重機51を用いることにより、支保工が不要になると共に、無収縮モルタル76、78を充填する前に、重機51による吊上げを解除することができ、重機51を外した状態で、主桁4の高さの微調整を行うことができる。また、吊上げを解除した重機51により、横桁やフレーズ材の仮設を行うことができる。
【0075】
また、上側支持面23にアンカーボルト41を突設し、下側支持面26に凹所27を形成すると共に、方杖側ベース部37にアンカーたるアンカーボルト41Aを突設したから、主桁4を吊上げた状態で、凹所27にアンカーボルト41Aの下端を挿入することにより、本体側ベース部32の透孔32Tがアンカーボルト41の上方に案内されるため、主桁4の架設作業を簡便に行うことができる。
【0076】
前記擁壁本体21内には、その山側と反山側に縦方向の縦鉄筋81,82を埋設すると共に、それら縦鉄筋81,82を通路Tの長さ方向に間隔を置いて複数配置し、それら複数の縦鉄筋81,82の上部を前記上側支持面23から上方に突出し、幅方向鉄筋83,84,85,86をコンクリート打設部24内に多段に配筋すると共に、それら幅方向鉄筋83,84,85,86及び前記縦鉄筋81,82に沿うように通路長さ方向の長さ方向鉄筋87を複数配筋したから、主桁本体5の山側端部5Tをコンクリート打設部24により擁壁3に強固に固定することができる。
【0077】
尚、本発明は、本実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、実施例では、ベース部に形成した雌螺子孔に高さ調整用ボルトを螺合する例を示したが、ベース部に透孔を穿設し、この透孔に連通するナットをベース部に設け、そのナットの雌螺子孔に高さ調整用ボルトを螺合するようにしてもよい。また、実施例では、方杖側ベース部にナットによりアンカーを取り付けたが、溶接などにより取り付けても良い。また、高さ調整用螺子は、ボルト以外でも、雌螺子部に螺合する雄螺子部と、回るための工具が係合する工具係合部などを有するものであれば、各種のものを用いることができる。また、固定用雌螺子体及び高さ調整用雌螺子体は、ナット以外でも、オス螺子部に螺合する雌螺子部と、回るための工具が係合する工具係合部などを有するものであれば、各種のものを用いることができる。また、実施例では、主桁を吊上げて上方に移動したが、主桁を下から支持した状態で持上げて上方に移動してもよく、主桁を上下に昇降する手段は各種の手段を用いることができる。
【符号の説明】
【0078】
1 シェッド
2 屋根
3 擁壁
4 主桁
5 主桁本体
5T 山側端部
6 方杖部
23 上側支持面(本体用支持部)
24 コンクリート打設部
26 下側支持面(方杖用支持部)
27 凹所
32 本体側ベース部
33 高さ調整用ボルト(高さ調整用螺子)
37 方杖側ベース部
41 アンカーボルト
42 螺子部
43 高さ調整用ナット(高さ調整用雌螺子体)
41A アンカーボルト(アンカー)
78 無収縮モルタル(硬化性充填材)
S 斜面
T 通路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15