(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103674
(43)【公開日】2023-07-27
(54)【発明の名称】界面活性ポリマー
(51)【国際特許分類】
C08G 65/26 20060101AFI20230720BHJP
【FI】
C08G65/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022004326
(22)【出願日】2022-01-14
(71)【出願人】
【識別番号】000106438
【氏名又は名称】サンノプコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112438
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 健一
(72)【発明者】
【氏名】北村 匠
【テーマコード(参考)】
4J005
【Fターム(参考)】
4J005AA04
4J005AA14
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、界面活性能(特に分散性)に優れたポリマーを提供することである。
【解決手段】式(1)で表されるポリアミン(A)からなる単位とポリエポキシド及び/又はエポキシプレポリマー(B)からなる単位とを必須構成単位としてなることを特徴とする界面活性ポリマーを用いる。
Rは炭素数2~36の炭化水素基、Hは水素原子、Nは窒素原子、AOは炭素数2~4のオキシアルキレン基、xは1~6の整数、yは1~80の整数を表す。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表されるポリアミン(A)からなる単位とポリエポキシド及び/又はエポキシプレポリマー(B)からなる単位とを必須構成単位としてなることを特徴とする界面活性ポリマー。
【化1】
Rは炭素数2~20の炭化水素基、Hは水素原子、Nは窒素原子、AOは炭素数2~4のオキシアルキレン基、xは1~6の整数、yは1~80の整数を表す。
【請求項2】
ポリアミン(A)からなる単位の含有モル数に対するポリエポキシド及び/又はエポキシプレポリマー(B)からなる単位の含有モル数の比(B/A)が0.1~4である請求項1に記載の界面活性ポリマー。
【請求項3】
ポリエポキシド及び/又はエポキシプレポリマー(B)がジエポキシドである請求項1又は2に記載の界面活性ポリマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、界面活性ポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
「The invention relates to a composition containing a polyepoxide with polyether lateral chains and pendant hydrocarbyl groups. The invention further relates to a composition containing a particulate solid, an organic or aqueous medium, and a polyepoxide with polyether lateral chains and pendant hydrocarbyl groups. The invention further relates to novel compounds, and the use of the polyepoxide with polyether lateral chains and pendant hydrocarbyl groups as a dispersant.(本発明は、ポリエーテル側鎖とペンダント炭化水素基とを有するポリエポキシドを含む組成物に関する。さらに、本発明は、固体粒子、有機媒体又は水性媒体、及びポリエーテル側鎖とペンダント炭化水素基とを有するポリエポキシドを含む組成物に関する。さらに、本発明は、ポリエーテル側鎖とペンダント炭化水素基とを有するポリエポキシドの分散剤としての使用及び新規化合物に関する。)」が知られている(特許文献1の要約)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2011/133415パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている新規化合物(分散剤組成物)では界面活性能(顔料に対する分散性を含む)が不十分であるという問題がある。
本発明は、界面活性能(特に分散性)に優れたポリマーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の界面活性ポリマーの特徴は、式(1)で表されるポリアミン(A)からなる単位とポリエポキシド及び/又はエポキシプレポリマー(B)からなる単位とを必須構成単位としてなることを要旨とする。
【0006】
【0007】
Rは炭素数2~36の炭化水素基、Hは水素原子、Nは窒素原子、AOは炭素数2~4のオキシアルキレン基、xは1~6の整数、yは1~80の整数を表す。
【発明の効果】
【0008】
本発明の界面活性ポリマーは、優れた界面活性能(消泡性、抑泡性、分散性及び減粘性等、特に分散性)を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
炭素数2~20の炭化水素基(R)としては、アルキレン、アルケニレン及びアリーレンが含まれ、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、テトラデシレン、ペンタデシレン、ヘキサデシレン、ヘプタデシレン、オクタデシレン、ノナデシレン、イコシレン、フェニレン及びキシレン(-CH2C6H4CH2-)等が挙げられる。これらのうち、界面活性能の観点から、アルキレン及びアリーレンが好ましく、さらに好ましくはエチレン及びフェニレンである。
【0010】
炭素数2~4のオキシアルキレン基(AO)としては、オキシエチレン、オキシプロピレン及びオキシブチレンが含まれる。これらのうち、界面活性能の観点から、オキシエチレン及びオキシプロピレンが好ましい。yが2以上の場合、y個のAOは同じでも異なっていてもよく、異なっている場合結合形式はブロック状、ランダム状及びこれらの組み合わせのいずれでもよい(界面活性能の観点からブロック状が好ましい)。
【0011】
xは、1~6の整数が好ましく、さらに好ましくは1~4の整数である。この範囲であると、さらに優れた界面活性能を発揮する。
【0012】
yは、1~80の整数が好ましく、さらに好ましくは5~70、特に好ましくは10~60である。この範囲であると、さらに優れた界面活性能を発揮する。
【0013】
xが2以上の場合、x個の「-N((AO)y-H)-R-」、「-N((AO)y-H)-」及び「-R-」はそれぞれ同じであっても異なってもよい。、
【0014】
式(1)で表されるポリアミン(A)は、公知のポリアミン(ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジプロピレントリアミン、ペンタエチレンヘキサミン及び4,4’-イミノビスアニリン等)等を出発原料として、公知の方法(たとえば、特開平1―249748号公報)の方法等で容易に製造できる。
【0015】
ポリエポキシド及び/又はエポキシプレポリマー(B)のうち、ポリエポキシド(B1)としては、ジエポキシド、トリエポキシド及びテトラエポキシドが含まれる。
【0016】
ジエポキシドとしては、アルカジエンジエポキシド(1,3-ブタジエンジエポキシド、1,4?ペンタジエンジエポキシド、1,5-ヘキサジエンジエポキシド、1,7-オクタジエンジエポキシド、1,9-デカジエンジエポキシド、1,11-ドデカジエンジエポキシド、2,2-ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロパン及び1,3-シクロヘキサジエンジエポキシド等);並びにジオールジグリシジルエーテル(エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリオキシエチレングリコール(重合度2~25)ジグリシジルエーテル、ポリオキシプロピレングリコール(重合度2~25)ジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオールジグリシジルエーテル、2,2-ビス[4-(グリシジルオキシ)シクロヘキシル]プロパン(水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル)、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、1,2-ベンゼンジオールジグリシジルエーテル、1,3-ベンゼンジオールジグリシジルエーテル及び1,4-ベンゼンジオールジグリシジルエーテル等)が含まれる。
【0017】
トリエポキシドとしては、アルカトリエントリエポキシド(1,3,5?ヘキサトリエントリエポキシド等);並びにトリオールトリグリシジルエーテル(グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、1,2,3-ベンゼントリオールトリグリシジルエーテル及び1,2,4-ベンゼントリオールトリグリシジルエーテル等)が含まれる。
【0018】
テトラエポキシドとしては、アルカテトラエンテトラエポキシド(スクアレンテトラエポキシド等);並びにテトラオールテトラグリシジルエーテル(ジグリセリンテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、1,2,3,4-ベンゼンテトラオールテトラグリシジルエーテル及び1,2,4,5-ベンゼンテトラオールテトラグリシジルエーテル等)が含まれる。
【0019】
ポリエポキシド及び/又はエポキシプレポリマー(B)のうち、エポキシプレポリマー(B2)としては、ビスフェノールA型エポキシプレポリマー(ビスフェノールA単位の含有量が1分子あたり1~3個の混合物等)、ビスフェノールF型エポキシプレポリマー(ビスフェノールF単位の含有量が1分子あたり1~3個の混合物等)、クレゾールノボラック型エポキシプレポリマー(クレゾール単位の含有量が1分子当たり1~4個の混合物等)及びフェノールノボラック型エポキシプレポリマー(フェノール単位の含有量が1分子当たり1~4個の混合物等)が含まれる。なお、市場から入手したエポキシプレポリマーを用いる場合、希釈溶剤、希釈エポキシド、未反応の原材料等が含まれていてもよい。
【0020】
これらのポリエポキシド(B1)及びエポキシプレポリマー(B2)のうち、界面活性能の観点から、ジエポキシド及びエポキシプレポリマーが好ましく、さらに好ましくはジオールジグリシジルエーテル及びビスフェノールA型エポキシプレポリマーである。
【0021】
本発明の界面活性ポリマーは、式(1)で表されるポリアミン(A)からなる単位及びポリエポキシド及び/又はエポキシプレポリマー(B)からなる単位以外に、他の構成単位を含んでもよい。他の構成単位を形成できる化合物(C)としては、モノエポキシド、カルボン酸、モノアミン、式(1)で表されるポリアミン以外のポリアミンが含まれる。
【0022】
モノエポキシドとしては、炭素数5~18のモノエポキシドが含まれ、アルケンオキシド(1,2―ペンチレンオキシド、1,2―へキシレンオキシド、1,2―へプチレンオキシド、1,2-オクチレンオキシド、1,2-ノニレンオキシド、1,2-デシレンオキシド、1,2―ウンデシレンオキシド、1,2-ドデシレノキシド、1,2-トリデシレンオキシド、1,2-テトラデシレンオキシド、1,2-ペンタデシレンオキシド、1,2―ヘキサデシレンオキシド、1,2―ヘプタデシレンオキシド、1,2―オクタデシレンオキシド、2,3-オクタデシレンオキシド及び1,2-シクロヘキセンオキシド等);並びにモノオールモノグリシジルエーテル(ブチルアルコールモノグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルアルコールグリシジルエーテル及びドデシルアルコールモノグリシジエルエーテル等)等が挙げられる。
【0023】
カルボン酸としては、炭素数2~18のカルボン酸が含まれ、モノカルボン酸(酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、へプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸及びオクタデセン酸等);並びにジカルボン酸(ブテンジカルボン酸、ヘキサンジカルボン酸、オクタンジカルボン酸及びテレフタル酸等);トリカルボン酸(プロパントリカルボン酸及び1,3,5―ベンゼントリカルボン酸等)等が挙げられる。
【0024】
モノアミンとしては、炭素数4~18のモノアミンが含まれ、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、へプチルアミン、オクチルアミン、ジブチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、オクタデセニルアミン、アニリン、トルイジン、N-メチルアニリン及びベンジルアミン等が挙げられる。
【0025】
式(1)で表されるポリアミン以外のポリアミンとしては、炭素数4~10のポリアミンが含まれ、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、ジブチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トリプロピレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン及びフェニレンジアミン等が挙げられる。
【0026】
ポリアミン(A)からなる単位の含有モル数に対するポリエポキシド及び/又はエポキシプレポリマー(B)からなる単位の含有モル数の比(B/A)は、0.1~4が好ましく、さらに好ましくは0.5~2である。この範囲であると、さらに優れた界面活性能を発揮する。
【0027】
他の構成単位を含む場合、ポリアミン(A)からなる単位の含有モル数に対する他の構成単位{化合物(C)からなる単位}の含有モル数の比(C/A)は、0.1~1程度が好ましい。
【0028】
本発明の界面活性ポリマーは、式(1)で表されるポリアミン(A)、ポリエポキシド及び/又はエポキシプレポリマー(B)並びに必要により他の構成単位を形成できる化合物(C)の公知の化学反応によって容易に製造できる。化学反応させる際、非プロトン性の反応溶媒{脂肪族炭化水素溶媒(ヘキサン、へプタン及びオクタン等)、芳香族炭化水素溶媒(ベンゼン、トルエン及びキシレン等)、ケトン溶媒(アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等)、エステル溶媒(酢酸エチル及び酢酸ブチル等)、アミド溶媒(N,N―ジメチルホルムアミド及びN-メチルピロリドン等)、並びにエーテル溶媒(テトラハイドロフラン、トリエチレングリコールジブチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等)等}を用いてもよい。反応溶媒は除去してもよいし、除去せずそのまま用いることもできる。
【0029】
式(1)で表されるポリアミン(A)には第1級アミノ基、第3級アミノ基及び水酸基が存在し、これらのうち、第1級アミノ基が優先的にポリエポキシド及び/又はエポキシプレポリマー(B)のエポキシ基{化合物(C)のうちモノエポキシドを使用する場合モノエポキシドのエポキシ基も含まれる。}と化学反応する。なお、これらのエポキシ基の開環反応により生じる水酸基や第2級アミノ基は、エポキシ基をさらに反応し得る(第1級アミノ基との反応性に比べ劣勢であると考えられる。)。また、式(1)で表されるポリアミン(A)からなる単位及びポリエポキシド及び/又はエポキシプレポリマー(B)からなる単位により環状構造を形成してもよい。
【0030】
化合物(C)のうち、モノアミン及び/又は式(1)で表されるポリアミン以外のポリアミンを使用する場合、上記と同様に、エポキシ基と反応する。
【0031】
化合物(C)のうちカルボン酸を使用する場合、上記と同様にエポキシ基と反応する以外に、アミノ基{ポリアミン(A)に含まれる第1級アミノ基、第3級アミノ基、エポキシ基の開環により生成する第2級アミノ基}と中和塩を構成でき、さらにアミノ基又は水酸基との脱水反応によりアミド又はエステルを形成してもよい。
【0032】
本発明の界面活性ポリマーは優れた界面活性能(特に分散性)を発揮するので、界面活性剤として非常に有用である。
界面活性剤は、界面活性ポリマーと他の化合物(消泡剤原料、分散剤原料及びその他の活性剤原料等)と共に構成してもよいし、界面活性ポリマーのみからも構成できる。
【0033】
本発明の界面活性ポリマーは、消泡剤、抑泡剤、分散剤、減粘剤、増粘剤、乳化剤、洗浄剤、帯電防止剤、潤滑剤又は防錆剤等として応用できる。これらの界面活性剤のうち、消泡剤、分散剤としての応用が好適である。
【実施例0034】
以下、特記しない限り、部は重量部を、%は重量%を意味する。
【0035】
<製造例1>
ジエチレントリアミン103部(1モル部)とメチルイソプロピルケトン344部(4モル部)とを副生する水を系外に留去しながら100℃で6時間反応させた(1級アミノ基をケチミン化して保護した)後、水酸化カリウム5.6部(0.1モル部)を加えて均一攪拌してから、120℃で0.5時間脱水し、エチレンオキシド(EO)440部(10モル部)を2時間かけて滴下し、付加反応させた(2級アミノ基に付加反応する)。その後、水72部(4モル部)を加え、100℃で2時間撹拌し、加水分解によりケチミンの保護を外した。さらに減圧下でメチルイソプロピルケトン及び水を留去して、ポリアミン(A1、ジエチレントリアミンのEO10モル付加体<式(1)において、R=エチレン、AO=オキシエチレン、x=1、y=10>)を調製した。
【0036】
<製造例2>
「エチレンオキシド(EO)の440部(10モル部)」を「プロピレンオキシド(PO)580部(10モル部)」に変更したこと、及び「2時間かけて滴下し」を「6時間かけて滴下し」に変更したこと以外、製造例1と同様にして、ポリアミン(A2、ジエチレントリアミンのPO10モル付加体<式(1)において、R=エチレン、AO=オキシプロピレン、x=1、y=10>)を調製した。
【0037】
<製造例3>
「エチレンオキシド(EO)の440部(10モル部)」を「プロピレンオキシド(PO)2320部(40モル部)」に変更したこと、及び「2時間かけて滴下し」を「6時間かけて滴下し」に変更したこと以外、製造例1と同様にして、ポリアミン(A3、ジエチレントリアミンのPO40モル付加体<式(1)において、R=エチレン、AO=オキシプロピレン、x=1、y=40>)を調製した。
【0038】
<製造例4>
ジエチレントリアミン103部(1モル部)とメチルイソプロピルケトン344部(4モル部)とを副生する水を系外に留去しながら100℃で6時間反応させた(1級アミノ基をケチミン化して保護した)後、水酸化カリウム5.6部(0.1モル部)を加えて均一攪拌してから、120℃、0.5時間脱水し、エチレンオキシド(EO)1320部(30モル部)を2時間かけて滴下した。続いてプロピレンオキシド(PO)1740部(30モル部)を6時間かけて滴下し、2時間撹拌し付加反応させた。その後、水72部(4モル部)を加え、100℃で2時間攪拌し、加水分解によりケチミンの保護を外した。さらに、メチルイソプロピルケトン及び水を減圧留去して、ポリアミン(A4、ジエチレントリアミンのEO30モルPO30モルブロック付加体<式(1)において、R=エチレン、AO=オキシエチレン及びオキシプロピレン、x=1、y=60>)を調製した。
【0039】
<製造例5>
ペンタエチレンヘキサミン232部(1モル部)とメチルイソプロピルケトン344部(4モル部)とを副生する水を系外に留去しながら100℃で6時間反応させた(1級アミノ基をケチミン化して保護した)後、水酸化カリウム5.6部(0.1モル部)を加えて均一攪拌してから、120℃で0.5時間脱水し、プロピレンオキシド(PO)2320部(40モル部)を6時間かけて滴下し、滴下終了から2時間撹拌し、付加反応させた。その後、水72部(4モル部)を加え、100℃で2時間攪拌し加水分解によりケチミンの保護を外した。さらに、メチルイソプロピルケトン及び水を減圧留去して、ポリアミン(A5、ペンタエチレンヘキサミンのPO40モル付加体<式(1)において、R=エチレン、AO=オキシプロピレン、x=4、y=10>)を調製した。
【0040】
<製造例6>
「ジエチレントリアミン103部(1モル部)」を「4,4’-イミノビスアニリン199部(1モル部)」に変更したこと、「エチレンオキシド(EO)の440部(10モル部)」を「プロピレンオキシド(PO)580部(10モル部)」に変更したこと、及び「2時間かけて滴下し」を「6時間かけて滴下し」に変更したこと以外、製造例1と同様にして、ポリアミン(A6、4,4’-イミノビスアニリンのPO10モル付加体<式(1)において、R=p-フェニレン、AO=オキシプロピレン、x=1、y=10>)を調製した。
【0041】
<実施例1>
ポリアミン(A1)543部(1モル部)及びポリエポキシド(B11){グリシエールPP-300P、三洋化成工業株式会社、エポキシ当量296g/eq.、ポリオキシプロピレングリコールジグリシジルエーテル(エポキシ当量からオキシプロピレンの繰り返し数8)、「グリシエール」は三洋化成工業株式会社の登録商標である。}1184部(2モル部)を密閉下、110℃、24時間反応させ、本発明の界面活性ポリマー(P1、褐色液体)を得た。なお、JIS K7236:2001(対応する国際規格;ISO3001:1999)に準拠して測定したエポキシ当量が1万以上になった点を反応終了とした(以下、同様である。)。
【0042】
<実施例2>
「ポリアミン(A1)543部(1モル部)」を「ポリアミン(A2)683部(1モル部)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の界面活性ポリマー(P2、褐色液体)を得た。
【0043】
<実施例3>
「ポリアミン(A1)543部(1モル部)」を「ポリアミン(A3)2423部(1モル部)」に変更したこと、並びに「ポリエポキシド(B11)1184部(2モル部)」を「ポリエポキシド(B11)592部(1モル部)」及び「ポリエポキシド(B12){エポゴーセーBD、四日市合成株式会社、エポキシ当量101g/eq、ブタンジオールジグリシジルエーテル、「エポゴーセー」は四日市合成株式会社の登録商標である}202部(1モル部)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の界面活性ポリマー(P3、褐色液体)を得た。
【0044】
<実施例4>
ポリアミン(A2)683部(1モル部)及びエポキシプレポリマー(B21){jER828、三菱ケミカル株式会社、エポキシ当量189g/eq.、ビスフェノールA型エポキシプレポリマー、「jER」は三菱ケミカル株式会社の登録商標である。}378部(1モル部)及びN―メチルピロリドン1061部を約25℃で均一に混合した後、密閉下、110℃、24時間反応させ、本発明の界面活性ポリマー(P4、50%褐色液体)を得た。
【0045】
<実施例5>
「ポリアミン(A2)683部(1モル部)」を「ポリアミン(A3)2423部(1モル部)」に変更したこと以外、実施例4と同様にして、本発明の界面活性ポリマー(P5、50%褐色液体)を得た。
【0046】
<実施例6>
「ポリアミン(A2)683部(1モル部)」を「ポリアミン(A4)3163部(1モル部)」に変更したこと以外、実施例4と同様にして、本発明の界面活性ポリマー(P6、50%褐色液体)を得た。
【0047】
<実施例7>
「ポリアミン(A2)683部(1モル部)」を「ポリアミン(A5)2552部(1モル部)」に変更したこと以外、実施例4と同様にして、本発明の界面活性ポリマー(P7、50%褐色液体)を得た。
【0048】
<実施例8>
ポリアミン(A6)779部(1モル部)及びエポキシプレポリマー(B21)189部(0.5モル部)、他の構成単位を形成できる化合物(C1){デナコールEX-121、ナガセケムテックス株式会社、エポキシ当量187g/eq.、2―エチルヘキシルグリシジルエーテル、「デナコール」は長瀬産業株式会社の登録商標である。}187部(1モル部)及びN―メチルピロリドン1155部を約25℃で均一に混合した後、密閉下、110℃、24時間反応させ、本発明の界面活性ポリマー(P8、50%褐色液体)を得た。
【0049】
<実施例9>
「ポリアミン(A1)543部(1モル部)」を「ポリアミン(A2)683部(1モル部)」に変更したこと、及び「ポリエポキシド(B11)1184部(2モル部)」を「ポリエポキシド(B11)592部(1モル部)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の界面活性ポリマー(P9、褐色液体)を得た。
【0050】
<実施例10>
「ポリアミン(A1)543部(1モル部)」を「ポリアミン(A3)2423部(1モル部)」に変更したこと、及び「ポリエポキシド(B11)1184部(2モル部)」を「ポリエポキシド(B11)592部(1モル部)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の界面活性ポリマー(P10、褐色液体)を得た。
【0051】
<実施例11>
ポリアミン(A3)2423部(1モル部)、ポリエポキシド(B11)296部(0.5モル部)及び他の構成単位を形成できる化合物(C1)187部(1モル部)を密閉下、110℃、24時間反応させて、本発明の界面活性ポリマー(P11、褐色液体)を得た。
【0052】
<比較例>
特許文献1の実施例1に準拠して、Sulfonamine L-207{CH3(EO)m-(PO)n-NH2、m/n=33/10、重量平均分子量2000}100部(0.05モル部)、DER331{ビスフェノールA型エポキシプレポリマー、エポキシ当量187g/eq.}29.09部(0.08モル部)及びドデシルアミン7.96部(0.04モル部)を90℃で20時間反応させて、比較用の界面活性ポリマー{重量平均分子量17400}を得た。
【0053】
<界面活性の評価1>
アクロナール295DN(アクリルスチレンエマルション、BASF社、「ACRONAL」はビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアの登録商標である。)80部、水20部及び評価試料{実施例1~3で得た界面活性ポリマー(P1)~(P3)又は比較用の界面活性ポリマー(H1)のいずれか}0.1部をホモディスパーで1500rpm×5分間均一混合して、試験液をそれぞれ調製した。
試験液それぞれについて、500mLメスシリンダーに試験液100mL入れ、25℃に調整した後、ガラスフィルター(G4)を通じ、窒素ガスを1.0L/分の流量でメスシリンダーの最下部へ通気し、1分後の試験液及び泡の容量(mL)をそれぞれ、測定し、下表に示した。この容量の値が小さい程、界面活性(消泡性、抑泡性等)が優れていることを意味する。
【0054】
【0055】
<界面活性の評価2>
N-メチルピロリドン82部、アセチレンブラック15部(デンカブラック、デンカ株式会社、「デンカ ブラック」は同社の登録商標である。)、評価試料{実施例4~8で得た界面活性ポリマー(P4)~(P8)又は比較用の界面活性ポリマー(H1}3部及びガラスビーズ(直径1mm)100部をペイントシェーカーで1時間均一混合した後、ガラスビーズを濾別してスラリーを得た。
このスラリーを25℃に調整した後、粘度測定(TVB15粘度計、東機産業株式会社、25℃、60rpm)し、下表に示した。この粘度の値が小さい程、界面活性(分散性)が優れていることを意味する。
なお、界面活性ポリマー(4)~(8)にはN-メチルピロリドンが含まれているため、評価試料(ブランク)として、N-メチルピロリドンを用いて上記のように評価した。
【0056】
【表2】
表中、「-」は、著しく高粘度となりガラスビーズを濾別できず粘度測定できなかったことを意味する。
【0057】
<界面活性の評価3>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート64部、銅フタロシアニン(Heliogen Blue D 6700T、BASF社、「Heliogen」はビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアの登録商標である。)20部、評価試料{実施例4~8で得た界面活性ポリマー(P4)~(P8)又は比較用の界面活性ポリマー(H1}16部及びガラスビーズ(直径1mm)100部をペイントシェーカーで1時間均一混合した後、ガラスビーズを濾別してスラリーを得た。
このスラリーを25℃に調整した後、粘度測定(TVB15粘度計、東機産業株式会社、25℃、60rpm)し、下表に示した。この粘度の値が小さい程、界面活性(分散性)が優れていることを意味する。
なお、界面活性ポリマー(4)~(8)にはN-メチルピロリドンが含まれているため、評価試料(ブランク)として、N-メチルピロリドンを用いて上記のように評価した。
【0058】
【表3】
表中、「-」は、著しく高粘度となりガラスビーズを濾別できず粘度測定できなかったことを意味する。
【0059】
<界面活性の評価4>
トルエン14.5部、エタノール14.5部及び評価試料{実施例9~11で得た界面活性ポリマー(P9)~(P11)又は比較用の界面活性剤(H1}1部を均一混合してからホモディスパー(2000rpm)で撹拌しながら、チタン酸バリウム(BT-01、堺化学工業株式会社)70部を徐々に加え、チタン酸バリウムを全量加え終わってからさらに10分間撹拌して、スラリーを調製した。
各スラリーを25℃に調整した後、粘度測定(TVB15粘度計、東機産業株式会社、25℃、60rpm)し、下表に示した。この粘度の値が小さい程、界面活性(分散性)が優れていることを意味する。
【0060】
【0061】
以上に示すとおり、本発明の界面活性ポリマーは、比較用の界面活性ポリマーと比べて、優れた界面活性を示した。したがって、本発明の界面活性ポリマーは、各種界面活性剤として応用できる。