IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社IHIの特許一覧 ▶ 新潟原動機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-エンジンの吸排気システム 図1
  • 特開-エンジンの吸排気システム 図2
  • 特開-エンジンの吸排気システム 図3
  • 特開-エンジンの吸排気システム 図4
  • 特開-エンジンの吸排気システム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103688
(43)【公開日】2023-07-27
(54)【発明の名称】エンジンの吸排気システム
(51)【国際特許分類】
   F02M 35/104 20060101AFI20230720BHJP
   F02M 33/00 20060101ALI20230720BHJP
   F02B 37/18 20060101ALI20230720BHJP
【FI】
F02M35/104 A
F02M33/00 A
F02B37/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022004346
(22)【出願日】2022-01-14
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(71)【出願人】
【識別番号】503116899
【氏名又は名称】株式会社IHI原動機
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久下 喬弘
(72)【発明者】
【氏名】山田 敬之
(72)【発明者】
【氏名】原 崇
(72)【発明者】
【氏名】田貝 哲哉
(72)【発明者】
【氏名】中山 貞夫
【テーマコード(参考)】
3G005
【Fターム(参考)】
3G005EA04
3G005EA16
3G005GB27
(57)【要約】
【課題】未燃の燃料の排出を抑制する。
【解決手段】エンジン100の吸排気システム1は、エンジン100の燃焼室108と連通し、燃料噴射弁が設けられる吸気流路200と、吸気流路200における第1部分P1と第2部分P2とを接続する接続流路500と、接続流路500に設けられるガス送出部(コンプレッサ602)と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの燃焼室と連通し、燃料噴射弁が設けられる吸気流路と、
前記吸気流路における第1部分と第2部分とを接続する接続流路と、
前記接続流路に設けられるガス送出部と、
を備える、
エンジンの吸排気システム。
【請求項2】
第1タービンと、前記接続流路に設けられる第1コンプレッサとを有する第1過給機を備え、
前記ガス送出部は、前記第1コンプレッサである、
請求項1に記載のエンジンの吸排気システム。
【請求項3】
前記燃焼室と連通する排気流路を備え、
前記第1タービンは、前記排気流路に設けられる、
請求項2に記載のエンジンの吸排気システム。
【請求項4】
前記排気流路に設けられる第2タービンと、前記吸気流路に設けられる第2コンプレッサとを有する第2過給機を備え、
前記排気流路は、前記排気流路のうち前記第2タービンより上流側と下流側とを接続し、第1ウェストゲートバルブが設けられる第1ウェストゲート流路を含み、
前記第1タービンは、前記第1ウェストゲート流路に設けられる、
請求項3に記載のエンジンの吸排気システム。
【請求項5】
前記第1タービンは、前記吸気流路に設けられる、
請求項2に記載のエンジンの吸排気システム。
【請求項6】
前記第1タービンが設けられる流路のうち前記第1タービンより上流側と下流側とは、第2ウェストゲートバルブが設けられる第2ウェストゲート流路によって接続される、
請求項2、3または5に記載のエンジンの吸排気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エンジンの吸排気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼室、吸気弁および排気弁を有するエンジンがある。このようなエンジンでは、例えば、特許文献1に開示されているように、燃焼室と連通する吸気ポートが吸気弁によって開閉される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2019/049878号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、吸気流路に燃料噴射弁が設けられるシステムでは、吸気弁が閉弁した状態において、燃料噴射弁から噴射された燃料の一部が吸気ポート内に残留している場合がある。ここで、排気行程から吸気行程に切り替わる際に、吸気弁および排気弁の双方が開弁している状況が生じ得る。吸気弁および排気弁の双方が開弁している状況において、吸気ポート内に残留している未燃の燃料が排気ポートを通って排出される吹き抜けが生じることがある。熱効率を向上させる観点、または、温室効果ガスの排出を抑制する観点では、未燃の燃料の吹き抜けによる排出を抑制することが望ましい。
【0005】
本開示の目的は、未燃の燃料の排出を抑制することが可能なエンジンの吸排気システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のエンジンの吸排気システムは、エンジンの燃焼室と連通し、燃料噴射弁が設けられる吸気流路と、吸気流路における第1部分と第2部分とを接続する接続流路と、接続流路に設けられるガス送出部と、を備える。
【0007】
第1タービンと、接続流路に設けられる第1コンプレッサとを有する第1過給機を備え、ガス送出部は、第1コンプレッサであってもよい。
【0008】
燃焼室と連通する排気流路を備え、第1タービンは、排気流路に設けられてもよい。
【0009】
排気流路に設けられる第2タービンと、吸気流路に設けられる第2コンプレッサとを有する第2過給機を備え、排気流路は、排気流路のうち第2タービンより上流側と下流側とを接続し、第1ウェストゲートバルブが設けられる第1ウェストゲート流路を含み、第1タービンは、第1ウェストゲート流路に設けられてもよい。
【0010】
第1タービンは、吸気流路に設けられてもよい。
【0011】
第1タービンが設けられる流路のうち第1タービンより上流側と下流側とは、第2ウェストゲートバルブが設けられる第2ウェストゲート流路によって接続されてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、未燃の燃料の排出を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本開示の実施形態に係る吸排気システムの構成を示す模式図である。
図2図2は、本開示の実施形態に係るエンジンの各気筒の構成を示す模式図である。
図3図3は、第1の変形例に係る吸排気システムの構成を示す模式図である。
図4図4は、第2の変形例に係る吸排気システムの構成を示す模式図である。
図5図5は、第3の変形例に係る吸排気システムの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について説明する。実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0015】
図1は、本実施形態に係る吸排気システム1の構成を示す模式図である。吸排気システム1は、エンジン100の吸気および排気に関するシステムである。図1に示すように、吸排気システム1は、エンジン100と、吸気流路200と、排気流路300と、過給機400と、接続流路500と、還流過給機600と、制御装置700とを備える。
【0016】
エンジン100は、複数の気筒を有する。図1の例では、エンジン100は、第1気筒#1と、第2気筒#2と、第3気筒#3と、第4気筒#4と、第5気筒#5と、第6気筒#6とを有する。ただし、エンジン100の気筒数は、6つ以外であってもよい。図2は、本実施形態に係るエンジン100の各気筒の構成を示す模式図である。図2では、吸気ポート104a、排気ポート104b、燃料噴射弁112および点火装置114が、同一断面上に図示されている。ただし、吸気ポート104a、排気ポート104b、燃料噴射弁112および点火装置114は、同一断面上に位置しなくてもよい。
【0017】
図2に示すように、エンジン100は、シリンダライナ102、シリンダヘッド104、および、ピストン106を備える。ピストン106は、シリンダライナ102内に収容される。シリンダライナ102、シリンダヘッド104およびピストン106によって、燃焼室108が形成される。
【0018】
シリンダヘッド104には、吸気ポート104aおよび排気ポート104bが形成される。吸気ポート104aおよび排気ポート104bは、燃焼室108に開口する。吸気弁110aは、吸気ポート104aのうち、燃焼室108側の開口を開閉する。排気弁110bは、排気ポート104bのうち、燃焼室108側の開口を開閉する。吸気弁110aおよび排気弁110bの開閉動作は、不図示のカムシャフトの回転に伴って行われる。
【0019】
吸気ポート104aには、後述する吸気流路200の分岐流路202を形成する配管が接続される。吸気ポート104aを介して、燃焼室108に混合気が流入する。排気ポート104bには、後述する排気流路300の分岐流路302を形成する配管が接続される。燃焼室108から排気ポート104bを介して排気ガスが排出される。
【0020】
燃料噴射弁112は、燃料供給源と接続される。燃料供給源は、例えば、不図示の燃料タンク、または、都市ガス等のパイプラインである。燃料噴射弁112は、吸気流路200の分岐流路202に設けられる。燃料噴射弁112の先端部は、吸気ポート104aに臨む。燃料噴射弁112は、燃料ガスを吸気ポート104aに噴射する。燃料ガスは、例えば、LNG(液化天然ガス)をガス化して生成される。燃料ガスは、LNGに限らず、例えば、LPG(液化石油ガス)、軽油、重油、アンモニアまたは水素等をガス化したものであってもよい。エンジン100は、燃料ガスを燃料として用いるガスエンジンである。以下では、燃料ガスを単に燃料とも呼ぶ。
【0021】
点火装置114は、シリンダヘッド104に設けられる。点火装置114の先端部は、燃焼室108内に突出する。
【0022】
エンジン100は、4サイクルエンジンである。吸気行程において、燃料噴射弁112から燃料が噴射され、吸気弁110aが開弁し、排気弁110bが閉弁した状態になる。ピストン106が下死点に向かい、吸気ポート104aから燃焼室108に吸気および燃料が吸入される。圧縮行程において、吸気弁110aおよび排気弁110bが閉弁した状態になる。ピストン106が上死点に向かい、燃焼室108内の混合気が圧縮される。混合気は点火装置114により着火されて燃焼し、燃焼行程において、ピストン106が下死点側に押圧される。排気行程において、吸気弁110aが閉弁し、排気弁110bが開弁した状態になる。ピストン106が上死点に向かい、燃焼後の排気ガスが排気ポート104bを通って燃焼室108から排出される。以下、図1に戻り、説明を続ける。
【0023】
吸気流路200は、エンジン100の燃焼室108と連通する。吸気流路200には、燃焼室108に供給される空気である吸気が流通する。吸気流路200の上流側の端部には、空気が外部から取り込まれる不図示の吸気口が設けられる。吸気流路200は、複数の燃焼室108とそれぞれ連通する複数の分岐流路202を有する。複数の分岐流路202は、吸気流路200の下流側に設けられる。上述したように、分岐流路202を形成する配管は、エンジン100の吸気ポート104aと接続される。吸気ポート104aは、分岐流路202のうちの下流側の端部に相当する。吸気ポート104aは、吸気流路200に含まれる。
【0024】
排気流路300は、エンジン100の燃焼室108と連通する。排気流路300には、燃焼室108から排出された排気ガスが流通する。排気流路300の下流側の端部には、排気ガスが外部に排出される不図示の排気口が設けられる。排気流路300は、複数の燃焼室108とそれぞれ連通する複数の分岐流路302を有する。複数の分岐流路302は、排気流路300の上流側に設けられる。上述したように、分岐流路302を形成する配管は、エンジン100の排気ポート104bと接続される。排気ポート104bは、分岐流路302のうちの上流側の端部に相当する。排気ポート104bは、排気流路300に含まれる。
【0025】
過給機400は、コンプレッサ402とタービン404とを有する。コンプレッサ402の翼車、および、タービン404の翼車は、一体として回転する。コンプレッサ402の翼車とタービン404の翼車とは、シャフトによって連結されている。過給機400は、第2過給機の一例に相当する。コンプレッサ402は、第2コンプレッサの一例に相当する。タービン404は、第2タービンの一例に相当する。
【0026】
コンプレッサ402は、吸気流路200のうち分岐流路202より上流側に設けられている。コンプレッサ402は、吸気口から取り込まれた吸気を圧縮して、下流側に送出する。吸気流路200のうち分岐流路202より上流側、かつ、コンプレッサ402より下流側には、インタークーラC1が設けられている。インタークーラC1の内部を流通する吸気は、インタークーラC1の外部の空気と熱交換することによって冷却される。インタークーラC1を通過した吸気は、各分岐流路202を介して各燃焼室108に送られる。なお、インタークーラC1として、吸気の冷却にエンジン冷却水や工業用水などの冷却水を用いるものを使用することもできる。
【0027】
タービン404は、排気流路300のうち分岐流路302より下流側に設けられている。エンジン100から排出された排気ガスは、各分岐流路302を介してタービン404に送られる。タービン404に送られた排気ガスは、タービン404を通過して、排気口から排出される。タービン404は、タービン404の翼車が排気ガスによって回されることによって、回転動力を生成する。タービン404により生成された回転動力は、シャフトを介してコンプレッサ402に伝達される。
【0028】
接続流路500は、吸気流路200における第1部分P1と第2部分P2とを接続する。接続流路500は、後述するように、エンジン100の吸気ポート104a内に残留する燃料を吸気流路200における他の場所に還流させるために設けられている。接続流路500では、第1部分P1から第2部分P2に向かってガスが流れる。以下では、接続流路500における上流側は第1部分P1側を意味し、接続流路500における下流側は第2部分P2側を意味する。
【0029】
図1および図2の例では、各気筒の吸気ポート104aが第1部分P1に相当する。図1および図2の例では、吸気流路200のうち分岐流路202より上流側、かつ、インタークーラC1より下流側が第2部分P2に相当する。接続流路500の上流側には、複数の分岐流路502が設けられる。各分岐流路502は、各気筒の吸気ポート104aとそれぞれ接続される。各分岐流路502には、開閉弁V1が設けられている。開閉弁V1は、分岐流路502を開閉可能である。接続流路500の下流端は、吸気流路200のうち分岐流路202より上流側、かつ、インタークーラC1より下流側と接続される。ただし、吸気流路200における第1部分P1および第2部分P2の各位置は、後述するように、図1および図2の例に限定されない。また、図1および図2の例では、第2部分P2は、吸気流路200のうち第1部分P1よりも上流側に位置する。ただし、吸気流路200における第1部分P1と第2部分P2との位置関係も、後述するように、図1および図2の例に限定されない。
【0030】
還流過給機600は、コンプレッサ602とタービン604とを有する。コンプレッサ602の翼車、および、タービン604の翼車は、一体として回転する。コンプレッサ602の翼車とタービン604の翼車とは、シャフトによって連結されている。還流過給機600は、接続流路500を介したガスの還流を実現するために設けられる。還流過給機600は、第1過給機の一例に相当する。コンプレッサ602は、第1コンプレッサの一例に相当する。タービン604は、第1タービンの一例に相当する。
【0031】
コンプレッサ602は、接続流路500のうち分岐流路502より下流側に設けられている。後述するように、コンプレッサ602の翼車は、タービン604の翼車が回されることによって得られる回転動力を用いて回転駆動される。コンプレッサ602は、接続流路500中のガスを圧縮して、下流側に送出する。ゆえに、開閉弁V1が開弁している分岐流路502を介して、吸気流路200の第1部分P1から接続流路500にガスが吸引される。つまり、吸気ポート104aから接続流路500にガスが吸引される。
【0032】
ここで、吸気弁110aが閉弁した状態において、燃料噴射弁112から噴射された燃料の一部が吸気ポート104a内に残留している場合がある。このような場合に、接続流路500へのガスの吸引が行われることによって、吸気ポート104aに残留している燃料を接続流路500に送ることができる。具体的には、吸気弁110aが閉弁している気筒の吸気ポート104aと接続される分岐流路502の開閉弁V1を開弁させることによって、吸気ポート104aに残留している燃料を接続流路500に送ることができる。それにより、排気行程から吸気行程に切り替わる際に、吸気弁110aおよび排気弁110bの双方が開弁している状況において、未燃の燃料が排気ポート104bを通って排出される吹き抜けが抑制される。
【0033】
上記のように、コンプレッサ602は、第1部分P1から第2部分P2に向けてガスを送出するガス送出部の一例に相当する。ただし、後述するように、ガス送出部として、還流過給機600のコンプレッサ602以外のものが用いられてもよい。
【0034】
接続流路500のうちコンプレッサ602より下流側には、インタークーラC2が設けられている。インタークーラC2の内部を流通するガスは、インタークーラC2の外部の空気と熱交換することによって冷却される。インタークーラC2を通過したガスは、吸気流路200の第2部分P2に送られる。なお、インタークーラC2として、吸気の冷却にエンジン冷却水や工業用水などの冷却水を用いるものを使用することもできる。
【0035】
タービン604は、排気流路300のうちタービン404より下流側に設けられている。排気流路300は、タービン404より下流側において、分岐流路304と分岐流路306とに分岐している。分岐流路304の下流端と分岐流路306の下流端は合流している。タービン604は、分岐流路306に設けられる。タービン404に送られた排気ガスは、分岐流路304と分岐流路306とに分かれて送られる。タービン604は、タービン604の翼車が分岐流路306に送られた排気ガスによって回されることによって、回転動力を生成する。タービン604により生成された回転動力は、シャフトを介してコンプレッサ602に伝達される。なお、分岐流路304と分岐流路306の各流路における排気ガスの流量は、例えば、流量調整弁等を用いて調整され得る。
【0036】
制御装置700は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む。制御装置700は、吸排気システム1中の各装置の動作を制御する。例えば、制御装置700は、エンジン100の動作を制御する。例えば、制御装置700は、開閉弁V1の動作を制御する。具体的には、制御装置700は、吸気弁110aが閉弁している気筒の吸気ポート104aと接続される分岐流路502の開閉弁V1を開弁させる。一方、制御装置700は、吸気弁110aが開弁している気筒の吸気ポート104aと接続される分岐流路502の開閉弁V1を閉弁させる。
【0037】
上記のように、吸排気システム1では、吸気流路200における第1部分P1と第2部分P2とが接続流路500により接続される。接続流路500には、ガス送出部としてコンプレッサ602が設けられる。それにより、吸気ポート104aに残留している燃料を接続流路500に送ることができる。ゆえに、未燃の燃料が排気ポート104bを通って排出される吹き抜けが抑制される。よって、熱効率の向上、および、温室効果ガスの排出の抑制が実現される。
【0038】
また、吸排気システム1では、接続流路500に設けられるガス送出部は、還流過給機600のコンプレッサ602である。還流過給機600では、吸排気システム1におけるガスの流れによりタービン604の翼車が回されることによって、コンプレッサ602の翼車が回転駆動される。ゆえに、吸排気システム1におけるガスの流れを利用して接続流路500中のガスを送出することができる。よって、吸気ポート104aに残留している燃料を接続流路500に送ることが適切に実現される。
【0039】
ただし、接続流路500に設けられるガス送出部は、還流過給機600のコンプレッサ602以外のものであってもよい。例えば、電動ファンまたは電動コンプレッサ等の電力を用いて駆動されるガス送出部が接続流路500に設けられてもよい。
【0040】
また、吸排気システム1では、還流過給機600のタービン604は、排気流路300に設けられる。それにより、コンプレッサ602の翼車を回転駆動することが、排気流路300を流通する排気ガスの流れを利用して適切に実現される。ゆえに、接続流路500中のガスを送出することが、排気ガスの流れを利用して適切に実現される。特に、タービン604は、排気流路300の分岐流路306に設けられる。ゆえに、排気流路300を流通する排気ガスの一部がタービン604に送られるので、タービン604の過回転が抑制される。ただし、タービン604は、後述するように、排気流路300以外の箇所に設けられてもよい。
【0041】
また、吸排気システム1では、接続流路500に、インタークーラC2が設けられている。それにより、接続流路500において、コンプレッサ602により送出された高温のガスを冷却することができる。ゆえに、燃料を含む高温のガスが吸気流路200に還流され、異常燃焼が生じることが抑制される。ただし、インタークーラC2は設けられなくてもよい。
【0042】
また、吸排気システム1では、各分岐流路502には、開閉弁V1が設けられている。それにより、吸気ポート104aに残留している燃料を接続流路500に送るタイミングを気筒ごとに適正化できる。例えば、吸気弁110aが開弁している気筒については、吸気ポート104aから接続流路500に不要に燃料が送られることを抑制できる。ただし、開閉弁V1は設けられなくてもよい。
【0043】
上記では、吸気ポート104aが吸気流路200の第1部分P1に相当する例を説明した。ただし、吸気流路200における第1部分P1の位置は、上記の例に限定されない。ここで、吸気ポート104aに残留している燃料を接続流路500に効果的に送る観点では、第1部分P1は、吸気ポート104aにできるだけ近いことが好ましい。ただし、第1部分P1を吸気ポート104aにする場合には、接続流路500をシリンダヘッド104内に通す必要がある。接続流路500をシリンダヘッド104内に通すことが設計上困難である場合等には、例えば、第1部分P1を吸気流路200の分岐流路202のうちシリンダヘッド104より外側の部分にしてもよい。この場合、第1部分P1は、燃料噴射弁112よりシリンダヘッド104側であってもよく、燃料噴射弁112よりシリンダヘッド104側と逆側であってもよい。
【0044】
上記では、吸気流路200のうち分岐流路202より上流側、かつ、インタークーラC1より下流側が第2部分P2に相当する例を説明した。ただし、吸気流路200における第2部分P2の位置は、上記の例に限定されない。ここで、吸気流路200における第2部分P2には接続流路500を介して燃料が還流されるので、逆火を抑制する観点では、第2部分P2は、エンジン100にできるだけ近いことが望ましい。ただし、第2部分P2は、例えば、吸気流路200のうちインタークーラC1より上流側、かつ、コンプレッサ402より下流側であってもよい。
【0045】
さらに、第2部分P2は、例えば、各分岐流路202に配置されてもよい。この場合、吸気流路200の流れ方向において、第2部分P2は、第1部分P1より上流側に位置してもよく、第1部分P1より下流側に位置してもよく、第1部分P1の流れ方向位置と略一致する流れ方向位置に位置してもよい。ここで、吸気ポート104aに残留している燃料が第1部分P1から接続流路500に送られるタイミングと、接続流路500に送られた燃料が第2部分P2に到達するタイミングとの間には時間差がある。つまり、第1部分P1から接続流路500に燃料が送られた後、直ちに第2部分P2に燃料が届くわけではない。ゆえに、第2部分P2が第1部分P1より上流側に位置しない場合であっても、吸気ポート104aに残留している燃料を接続流路500に送ることによって、未燃の燃料の吹き抜けが抑制される。
【0046】
以下、図3から図5を参照して、各変形例に係る吸排気システムについて説明する。
【0047】
図3は、第1の変形例に係る吸排気システム1Aの構成を示す模式図である。図3に示すように、第1の変形例に係る吸排気システム1Aでは、上述した吸排気システム1と比較して、還流過給機600のタービン604の配置が異なる。
【0048】
図3に示すように、吸排気システム1Aでは、排気流路300のうちタービン404より上流側と下流側とは、ウェストゲート流路308によって接続されている。ウェストゲート流路308は、排気流路300に含まれる。ウェストゲート流路308には、ウェストゲートバルブV2が設けられる。ウェストゲート流路308は、第1ウェストゲート流路の一例に相当する。ウェストゲートバルブV2は、第1ウェストゲートバルブの一例に相当する。
【0049】
ウェストゲートバルブV2の開度を調整することによって、ウェストゲート流路308に流れる排気ガスの流量を調整することができる。それにより、タービン404を通過する排気ガスの流量が調整されるので、例えば、タービン404の過回転が抑制される。ウェストゲートバルブV2の動作は、制御装置700によって制御される。
【0050】
吸排気システム1Aでは、還流過給機600のタービン604は、ウェストゲート流路308に設けられる。それにより、ウェストゲート流路308を流通する排気ガスによってタービン604の翼車を回し、コンプレッサ602の翼車を回転駆動することができる。ゆえに、接続流路500中のガスを送出することが、ウェストゲート流路308を流通する排気ガスの流れを利用して適切に実現される。よって、上述した吸排気システム1と同様に、未燃の燃料が排気ポート104bを通って排出される吹き抜けが抑制される。
【0051】
図4は、第2の変形例に係る吸排気システム1Bの構成を示す模式図である。図4に示すように、第2の変形例に係る吸排気システム1Bでは、上述した吸排気システム1と比較して、還流過給機600のタービン604の配置が異なる。
【0052】
図4に示すように、吸排気システム1Bでは、吸気流路200のうちコンプレッサ402より下流側と上流側とは、還流路204によって接続されている。コンプレッサ402から送出される吸気の一部は、還流路204を通って、コンプレッサ402の上流側に還流される。還流路204は、吸気流路200に含まれる。タービン604は、還流路204に設けられている。タービン604は、タービン604の翼車が還流路204に送られた吸気によって回されることによって、回転動力を生成する。タービン604により生成された回転動力は、シャフトを介してコンプレッサ602に伝達される。なお、吸気が流通する還流路204の下流端は、排気流路300のうちタービン404より下流側と接続されていてもよい。この場合、タービン604を通過した吸気は、排気流路300のうちタービン404より下流側に送られる。
【0053】
上記のように、吸排気システム1Bでは、還流過給機600のタービン604は、吸気流路200に設けられる。それにより、吸気流路200を流通する吸気によってタービン604の翼車を回し、コンプレッサ602の翼車を回転駆動することができる。ゆえに、接続流路500中のガスを送出することが、吸気の流れを利用して適切に実現される。よって、上述した吸排気システム1と同様に、未燃の燃料が排気ポート104bを通って排出される吹き抜けが抑制される。
【0054】
上述した吸排気システム1のように、還流過給機600のタービン604は、排気流路300に設けられてもよい。この場合、タービン604が吸気流路200に設けられる場合と比較して、高温のガスによりタービン604の翼車が回されるので、コンプレッサ602の翼車に伝達される回転動力を大きくすることができる。一方、吸排気システム1Bのように、タービン604が吸気流路200に設けられる場合、タービン604が排気流路300に設けられる場合と比較して、タービン604の耐熱性を低くすることができる。
【0055】
上記では、タービン604は、吸気流路200のうちコンプレッサ402より下流側、かつ、インタークーラC1より上流側に設けられる例を説明した。ただし、タービン604は、吸気流路200のうちインタークーラC1より下流側に設けられてもよい。
【0056】
図5は、第3の変形例に係る吸排気システム1Cの構成を示す模式図である。図5に示すように、第3の変形例に係る吸排気システム1Cでは、上述した吸排気システム1と比較して、ウェストゲート流路800が追加されている点が異なる。
【0057】
図5に示すように、吸排気システム1Cでは、タービン604が設けられる流路である分岐流路306のうちタービン604より上流側と下流側とは、ウェストゲート流路800によって接続されている。ウェストゲート流路800には、ウェストゲートバルブV3が設けられる。ウェストゲート流路800は、第2ウェストゲート流路の一例に相当する。ウェストゲートバルブV3は、第2ウェストゲートバルブの一例に相当する。
【0058】
上記のように、吸排気システム1Cでは、上述した吸排気システム1と比較して、ウェストゲートバルブV3が設けられるウェストゲート流路800が追加されている。それにより、ウェストゲートバルブV3の開度を調整することによって、ウェストゲート流路800に流れる排気ガスの流量を調整することができる。それにより、タービン604を通過する排気ガスの流量が調整されるので、タービン604の過回転が抑制される。ウェストゲートバルブV3の動作は、制御装置700によって制御される。なお、分岐流路304と分岐流路306の各流路における排気ガスの流量は、例えば、図示を省略する流量調整弁等を用いて調整され得る。
【0059】
上記では、還流過給機600のタービン604が排気流路300に設けられる場合について説明した。ただし、タービン604が吸気流路200に設けられる場合において、ウェストゲート流路800が設けられてもよい。この場合、タービン604が設けられる流路である吸気流路200のうちタービン604より上流側と下流側とが、ウェストゲートバルブV3が設けられるウェストゲート流路800によって接続される。そして、ウェストゲートバルブV3の開度を調整することによって、ウェストゲート流路800に流れる吸気の流量を調整することができる。それにより、タービン604を通過する吸気の流量が調整されるので、タービン604の過回転が抑制される。
【0060】
以上、添付図面を参照しながら本開示の実施形態について説明したが、本開示はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0061】
1 吸排気システム
1A 吸排気システム
1B 吸排気システム
1C 吸排気システム
100 エンジン
108 燃焼室
112 燃料噴射弁
200 吸気流路
300 排気流路
308 ウェストゲート流路(第1ウェストゲート流路)
400 過給機(第2過給機)
402 コンプレッサ(第2コンプレッサ)
404 タービン(第2タービン)
500 接続流路
600 還流過給機(第1過給機)
602 コンプレッサ(第1コンプレッサ、ガス送出部)
604 タービン(第1タービン)
800 ウェストゲート流路(第2ウェストゲート流路)
P1 第1部分
P2 第2部分
V2 ウェストゲートバルブ(第1ウェストゲートバルブ)
V3 ウェストゲートバルブ(第2ウェストトゲートバルブ)
図1
図2
図3
図4
図5