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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103695
(43)【公開日】2023-07-27
(54)【発明の名称】梁、揺動素子および光走査装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/10 20060101AFI20230720BHJP
   G02B 26/08 20060101ALI20230720BHJP
   H02K 33/18 20060101ALI20230720BHJP
【FI】
G02B26/10 104Z
G02B26/08 E
H02K33/18 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022004361
(22)【出願日】2022-01-14
(71)【出願人】
【識別番号】000242600
【氏名又は名称】北陽電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】西村 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】粟田 陽光
(72)【発明者】
【氏名】茶谷 直希
【テーマコード(参考)】
2H045
2H141
5H633
【Fターム(参考)】
2H045AB02
2H045AB03
2H045AB72
2H045BA02
2H045DA02
2H045DA04
2H141MB24
2H141MC04
2H141MC05
2H141MD12
2H141MD16
2H141MD19
2H141MD23
2H141MD24
2H141MD40
2H141MF03
2H141MZ06
2H141MZ17
5H633BB02
5H633GG03
5H633GG08
5H633HH02
5H633HH05
5H633JA03
(57)【要約】
【課題】短時間でかつ十分な強度で基板に固定することができる梁、ならびにそれを備えた揺動素子および光走査装置を提供する。
【解決手段】梁は、ベース基板に接続されるベース接続部、コイル基板に接続されるコイル接続部、およびベース接続部とコイル接続部とを連結する梁部を備える。ベース接続部およびコイル接続部のうちの少なくとも一方は、ベース基板またはコイル基板に半田付けされる半田付け部を有し、半田付け部は、第1接続部と、第1接続部に隣接する第2接続部とを含み、第1接続部と第2接続部とが隣接する方向を隣接方向とした場合、第1接続部の隣接方向に直交する断面の面積は、第2接続部の隣接方向に直交する断面の面積よりも小さい。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光走査装置において光を反射するミラーを揺動させる揺動素子において、ベース基板とコイル基板とを接続し、かつ前記コイル基板を揺動させる電流を前記ベース基板から前記コイル基板に供給する梁であって、
前記ベース基板に接続されるベース接続部、前記コイル基板に接続されるコイル接続部、および前記ベース接続部と前記コイル接続部とを連結する梁部を備え、
前記ベース接続部および前記コイル接続部のうちの少なくとも一方は、前記ベース基板または前記コイル基板に半田付けされる半田付け部を有し、
前記半田付け部は、第1接続部と、前記第1接続部に隣接する第2接続部とを含み、
前記第1接続部と前記第2接続部とが隣接する方向を隣接方向とした場合、前記第1接続部の前記隣接方向に直交する断面の面積は、前記第2接続部の前記隣接方向に直交する断面の面積よりも小さい、梁。
【請求項2】
前記第1接続部の厚みは、前記第2接続部の厚みよりも小さい、請求項1に記載の梁。
【請求項3】
前記第1接続部の幅は、前記第2接続部の幅よりも小さい、請求項1または2に記載の梁。
【請求項4】
前記コイル接続部は、前記梁部から離れる方向に設けられる延設部と、前記延設部を介して設けられる前記半田付け部と、を有する、請求項1から3のいずれかに記載の梁。
【請求項5】
前記第1接続部の表面粗さは、前記第2接続部の表面粗さよりも粗い、請求項1から4のいずれかに記載の梁。
【請求項6】
前記第1接続部はエッチング部である、請求項1から5のいずれかに記載の梁。
【請求項7】
ステンレス鋼からなる、請求項1から6のいずれかに記載の梁。
【請求項8】
光を反射するミラーおよびコイル基板を含む可動部と、
前記コイル基板から互いに逆方向に延びるように設けられ、かつ前記コイル接続部によって前記コイル基板を支持する一対の請求項1から7のいずれかに記載の梁と、
各前記梁の前記ベース接続部を支持するベース基板と、
前記コイル基板の位置に磁界を形成する磁界形成部と、を備え、
前記ベース基板から前記一対の梁を介して前記コイル基板に電流を供給することによって、前記一対の梁の前記梁部を軸心として前記可動部が揺動する、揺動素子。
【請求項9】
前記コイル基板の厚み方向における一方側に前記ミラーが設けられ、前記コイル基板の前記厚み方向における前記一方側または他方側に各前記梁の前記コイル接続部が設けられている、請求項8に記載の揺動素子。
【請求項10】
前記コイル基板のうち、前記一対の梁の前記梁部に対向する部分にそれぞれ切欠き部が形成されている、請求項8または9に記載の揺動素子。
【請求項11】
請求項8または9に記載の揺動素子と、
前記揺動素子の前記ミラーに対して測定光を出力する投光部と、
を備える、光走査装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梁、揺動素子および光走査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、測距装置等において、光を走査させるために、光源からの光をミラーで反射することによって光の進行方向を変化させる光走査装置が利用されている。また、従来、このような光走査装置においてミラーを揺動させるために、磁界中に電流を流した際に発生するローレンツ力を用いた、電磁駆動方式の素子が利用されている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示された微小機械装置は、可動部と、固定部と、可動部を固定部に支持する一対の梁部と、一対の永久磁石とを備えている。可動部は、偏向ミラーと、コイル基板とを備えている。
【0004】
上記の微小機械装置では、固定部に設けられたピンから梁部を介してコイル基板に形成されたコイルに交流電流を印加すると、当該交流電流と永久磁石によって形成される磁界とによってローレンツ力が発生する。このローレンツ力によって、可動部が揺動する。すなわち、偏向ミラーが揺動する。これにより、偏向ミラーで反射される光の進行方向を変化させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-95837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、特許文献1の微小機械装置では、固定部のピンから梁部を介してコイル基板に電流が供給される。すなわち、特許文献1の微小機械装置では、ミラーを揺動可能に支持する梁部が、電流を供給する役割も担う。このような構成を有する従来の装置では、ミラーを揺動させるための梁を、導電性接着剤によって基板(特許文献1の微小機械装置では、コイル基板および固定部)に固定する必要がある。
【0007】
しかしながら、導電性接着剤を用いた接着では、通常の接着剤を用いた接着に比べて、接着強度が弱くなりやすい。また、接着剤によって梁を基板に接着する際には、接着剤が硬化するまで次工程に進むことができないので、製造時間を短縮することが難しい。
【0008】
そこで、本発明の目的の一例は、短時間でかつ十分な強度で基板に固定することができる梁、ならびにそれを備えた揺動素子および光走査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記目的を達成するため、本発明の一側面における梁は、光走査装置において光を反射するミラーを揺動させる揺動素子において、ベース基板とコイル基板とを接続し、かつコイル基板を揺動させる電流をベース基板からコイル基板に供給する梁であって、ベース基板に接続されるベース接続部、コイル基板に接続されるコイル接続部、およびベース接続部とコイル接続部とを連結する梁部を備え、ベース接続部およびコイル接続部のうちの少なくとも一方は、ベース基板またはコイル基板に半田付けされる半田付け部を有し、半田付け部は、第1接続部と、第1接続部に隣接する第2接続部とを含み、第1接続部と第2接続部とが隣接する方向を隣接方向とした場合、第1接続部の隣接方向に直交する断面の面積は、第2接続部の隣接方向に直交する断面の面積よりも小さい、ことを特徴とする。
【0010】
上記の構成を有する梁は、半田付けされることによって、ベース基板またはコイル基板に電気的および機械的に接続される。この場合、従来のように導電性接着剤を用いて梁を基板に接着する場合に比べて、短時間でかつ十分な強度で梁をベース基板またはコイル基板に接続することができる。
【0011】
また、半田付け部において、第1接続部の隣接方向に直交する断面の面積は、第2接続部の隣接方向に直交する断面の面積よりも小さい。第1接続部および第2接続部の断面積を上記のように設定することによって、半田付け部に凹凸を形成することができる。これにより、半田付け部において、半田と半田付け部との接触面積を十分に確保することができる。その結果、半田付け部をベース基板またはコイル基板により確実に接続することができる。
【0012】
(2)第1接続部の厚みは、第2接続部の厚みよりも小さくてもよい。このように第1接続部および第2接続部の厚みを変えることにより、半田と半田付け部との接触面積を簡単に大きくすることができる。
【0013】
(3)前記第1接続部の幅は、前記第2接続部の幅よりも小さくてもよい。このように第1接続部および第2接続部の幅を変えることにより、半田と半田付け部との接触面積を簡単に大きくすることができる。
【0014】
(4)コイル接続部は、梁部から離れる方向に設けられる延設部と、延設部を介して設けられる半田付け部とを有していてもよい。この場合、梁部から十分に離れた位置で、半田付け部をコイル基板に半田付けすることができる。これにより、コイル基板およびミラーが揺動する際に、半田付け部とコイル基板との接続部に過剰な負荷がかかることを防止することができる。
【0015】
(5)第1接続部の表面粗さは、第2接続部の表面粗さよりも粗くてもよい。この場合、第1接続部の表面において、半田との接触面積を十分に大きくすることができる。これにより、第1接続部をベース基板またはコイル基板により確実に半田付けすることができる。
【0016】
(6)第1接続部はエッチング部であってもよい。例えば、ハーフエッチングによって第1接続部を形成することによって、第1接続部の表面粗さを適度に粗くすることができる。
【0017】
(7)梁は、ステンレス鋼からなってもよい。この場合、十分な強度を確保することができる。
【0018】
(8)本発明の一側面における揺動素子は、光を反射するミラーおよびコイル基板を含む可動部と、コイル基板から互いに逆方向に延びるように設けられ、かつコイル接続部によってコイル基板を支持する一対の上記梁と、各梁のベース接続部を支持するベース基板と、コイル基板の位置に磁界を形成する磁界形成部と、を備え、ベース基板から一対の梁を介してコイル基板に電流を供給することによって、一対の梁の梁部を軸心として可動部が揺動することを特徴とする。
【0019】
上記の構成を有する揺動素子では、コイル基板に流れる電流と磁界形成部によって形成される磁界とによってローレンツ力が発生し、一対の梁の梁部を軸心として可動部を揺動させることができる。これにより、ミラーを揺動させることができる。
【0020】
(9)コイル基板の厚み方向における一方側にミラーが設けられ、コイル基板の厚み方向における一方側または他方側に各梁のコイル接続部が設けられてもよい。この場合、コイル基板の揺動をミラーに適切に伝達することができるので、ミラーを適切に揺動させることができる。
【0021】
(10)コイル基板のうち、一対の梁の梁部に対向する部分にそれぞれ切欠き部が形成されていてもよい。この構成によれば、コイル基板の厚み方向においてコイル基板の一方側に梁部の一部が位置付けられていても、コイル基板と梁部とが接触することを防止することができる。この場合、一方の梁のコイル接続部と他方の梁のコイル接続部とを十分に近付けることができる。その結果、梁の軸方向(梁部の長さ方向)における揺動素子の小型化が可能になる。
【0022】
(11)本発明の一側面における光走査装置は、上記の揺動素子と、揺動素子のミラーに対して測定光を出力する投光部と、を備える。
【0023】
上記の構成を有する光走査装置では、揺動素子においてミラーを揺動させつつ、当該ミラーに対して投光部から測定光を照射することにより、ミラーで反射された測定光を所定の走査範囲に走査させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、梁を短時間でかつ十分な強度で基板に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る光走査装置を示す概略図である。
図2図2は、揺動素子の構成を説明するための図である。
図3図3は、揺動素子の構成を説明するための図である。
図4図4は、可動部を裏面側(図1とは反対側)から見た斜視図である。
図5図5は、梁を示す斜視図である。
図6図6は、可動部および梁を裏面側(図1とは反対側)から見た斜視図である。
図7図7は、梁の他の例を示す斜視図である。
図8図8は、梁、コイル基板およびミラーの他の配置例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態に係る梁ならびにそれを備えた揺動素子および光走査装置について、図面を用いて説明する。
【0027】
(光走査装置の構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る光走査装置を示す概略図である。図1に示すように、光走査装置1は、ミラー100を有する揺動素子10と、ミラー100に対して測定光(レーザ光等)を出力する投光部102とを備えている。ミラー100は、揺動素子10において、後述する梁20の梁部28を軸心として揺動できるように設けられている。投光部102は、公知の光走査装置の投光部と同様に構成することができ、例えば、レーザダイオード等の発光素子を含む。
【0028】
本実施形態に係る光走査装置1では、揺動素子10によってミラー100を揺動させつつ投光部102からミラー100に測定光を照射することにより、ミラー100で反射された測定光の進行方向を変化させることができる。これにより、所定の走査範囲で測定光を偏向させ走査させることができる。以下、揺動素子10について説明する。
【0029】
(揺動素子の構成)
図2および図3は、揺動素子10の構成を説明するための図である。具体的には、図2は、揺動素子10を示す分解斜視図であり、図3(a)は、揺動素子10を示す平面図であり、図3(b)は、図3(a)のB-B部分を示す断面図であり、図3(c)は、図3(a)のC-C部分を示す断面図である。
【0030】
図1図3に示すように、揺動素子10は、ヨーク12と、ヨーク12に支持される一対の永久磁石14と、ヨーク12に支持されるベース基板16と、ベース基板16の中央部に設けられる可動部18と、ベース基板16に接続されかつ可動部18を支持する一対の梁20とを備えている。可動部18は、コイル基板22と、ミラー100とを含む。
【0031】
図2および図3に示すように、本実施形態では、ヨーク12は、板状部12aと、板状部12aから上方に突出する一対の突出部12bとを有している。板状部12aの中央部において、一対の突出部12bの間に凹部12cが形成されている。本実施形態では、一対の永久磁石14は、直方体形状を有している。一対の永久磁石14は、ヨーク12の凹部12cに保持されている。本実施形態では、ヨーク12および一対の永久磁石14は磁界形成部として機能し、コイル基板22を含む空間に磁界を形成する。
【0032】
ベース基板16は、例えば、樹脂材料からなる。ベース基板16は、単層基板であってもよく、多層基板であってもよい。本実施形態では、ベース基板16は、複数のビス17によってヨーク12に固定されている。
【0033】
ベース基板16の中央部には、貫通孔16aが形成されている。ヨーク12の一対の突出部12bおよび一対の永久磁石14は、貫通孔16a内に配置されている。貫通孔16aの縁部には、一対の切欠き部16bが形成されている。一対の切欠き部16bは、ベース基板16において、後述する梁部28(図1参照)に対向する部分に形成されている。
【0034】
図2に示すように、ベース基板16の上面には、複数のランド16cが形成されている。後述するように、ランド16cには、梁20のベース接続部24(図3参照)が接続される。本実施形態では、各梁20は、いずれかのランド16cを介してベース基板16に形成された配線(図示は省略)に電気的に接続されていればよい。したがって、複数のランド16cのうち所定数のランド16cは、ベース基板16に形成された配線に電気的に接続されていなくてもよい。
【0035】
図1および図3に示すように、ベース基板16の貫通孔16aの中央部を横切るように、可動部18および一対の梁20が設けられている。本実施形態では、可動部18は、平面視において一対の永久磁石14の間に位置するように、貫通孔16aの中央部に設けられている。また、可動部18は、一対の梁20を介してベース基板16に支持されている。一対の梁20は、コイル基板22の厚み方向と直交する方向に沿って可動部18(コイル基板22)から互いに逆方向に延びるように設けられている。言い換えると、一対の梁20は、コイル基板22に形成された後述するパターンコイル(図示は省略)の巻き軸方向から見て、コイル基板22から互いに逆方向に延びるように設けられている。
【0036】
図4は、可動部18を裏面側(図1とは反対側)から見た斜視図である。コイル基板22は、例えば、樹脂材料からなる。コイル基板22は、単層基板であってもよく、多層基板であってもよい。本実施形態では、コイル基板22の表面に、ミラー100が固定されている。本実施形態で、ミラー100は、例えば、接着剤またはビスによってコイル基板22の表面に固定されている。
【0037】
図2および図4に示すように、コイル基板22の外縁には、一対の切欠き部22aが形成されている。一対の切欠き部22aは、後述する梁部28(図1参照)に対向する部分に形成されている。
【0038】
図示は省略するが、コイル基板22には、パターンコイルが形成されている。図4に示すように、コイル基板22の裏面には、複数のランド22bが形成されている。後述するように、ランド22bには、梁20のコイル接続部26(図6参照)が接続される。本実施形態では、一方の梁20が、パターンコイルの一端に電気的に接続され、他方の梁20が、パターンコイルの他端に電気的に接続される。したがって、複数のランド22bのうち所定数のランド22bは、コイル基板22に形成されたパターンコイルに電気的に接続されていなくてもよい。
【0039】
図5は、梁20を示す斜視図である。梁20は、例えば、ステンレス鋼等の金属材料からなる。なお、梁20の素材は、非磁性の材料であることが好ましい。
【0040】
梁20は、ベース接続部24、コイル接続部26、およびベース接続部24とコイル接続部26とを連結する梁部28を有している。本実施形態では、ベース接続部24、コイル接続部26および梁部28はそれぞれ、板状に形成されている。また、梁部28は、長尺形状を有している。
【0041】
ベース接続部24は、延設部40と、半田付け部42とを有している。延設部40は、梁部28から離れる方向に延びるように設けられている。本実施形態では、ベース接続部24は、一対の延設部40と、一対の半田付け部42とを有している。一対の延設部40はそれぞれ、梁部28から離れる方向に延びるように設けられている。本実施形態では、一対の延設部40は、梁部28の長さ方向に直交する方向において、互いに離れる方向に延びるように設けられている。
【0042】
各半田付け部42は、延設部40の先端部に設けられている。半田付け部42は、一方向に沿って並ぶように設けられた第1接続部42aおよび第2接続部42bを有している。本実施形態では、各第1接続部42aは、一対の第2接続部42bに挟まれるように設けられている。
【0043】
第1接続部42aと第2接続部42bとが隣接する方向を隣接方向Aとした場合、第1接続部42aの隣接方向Aに直交する断面の面積は、第2接続部42bの隣接方向Aに直交する断面の面積よりも小さい。本実施形態では、第1接続部42aの厚みは、第2接続部42bの厚みよりも小さい。また、本実施形態では、半田付け部42の厚み方向における一方の面は平坦面となり、他方の面が凹凸面となるように、第1接続部42aおよび第2接続部42bが形成されている。
【0044】
なお、本実施形態では、第1接続部42aの幅および第2接続部42bの幅は略等しい。本明細書において、半田付け部42の幅方向(第1接続部42aおよび第2接続部42bの幅方向)とは、半田付け部42の厚み方向と隣接方向Aとに直交する方向を意味する。
【0045】
コイル接続部26は、延設部60と、半田付け部62とを有している。延設部60は、梁部28から離れる方向に延びるように設けられている。本実施形態では、コイル接続部26は、一対の延設部60と、一対の半田付け部62とを有している。一対の延設部60はそれぞれ、梁部28から離れる方向に延びるように設けられている。本実施形態では、一対の延設部60は、梁部28の長さ方向に直交する方向において、互いに離れる方向に延びるように設けられている。
【0046】
各半田付け部62は、延設部60の先端部に設けられている。本実施形態では、各半田付け部62は、延設部60の先端部からベース接続部24側に向かって延びるように設けられている。半田付け部62は、一方向に沿って並ぶように設けられた第1接続部62aおよび第2接続部62bを有している。本実施形態では、各第1接続部62aは、一対の第2接続部62bに挟まれるように設けられている。
【0047】
第1接続部62aと第2接続部62bとが隣接する方向を隣接方向Bとした場合、第1接続部62aの隣接方向Bに直交する断面の面積は、第2接続部62bの隣接方向Bに直交する断面の面積よりも小さい。本実施形態では、第1接続部62aの厚みは、第2接続部62bの厚みよりも小さい。本実施形態では、半田付け部62の厚み方向における一方の面は平坦面となり、他方の面が凹凸面となるように、第1接続部62aおよび第2接続部62bが形成されている。なお、本実施形態では、梁20の厚み方向において、半田付け部42の凹凸面が一方側を向き、半田付け部62の凹凸面が他方側を向くように、半田付け部42,62が形成されている。
【0048】
なお、本実施形態では、第1接続部62aの幅および第2接続部62bの幅は略等しい。本明細書において、半田付け部62の幅方向(第1接続部62aおよび第2接続部62bの幅方向)とは、半田付け部62の厚み方向と隣接方向Bとに直交する方向を意味する。
【0049】
詳細な説明は省略するが、梁20は、例えば、エッチング法を用いて、所定の厚さを有する金属板から製造することができる。また、第1接続部42a,62aは、例えば、ハーフエッチングによって形成することができる。この場合、第1接続部42aの表面粗さは、第2接続部42bの表面粗さよりも粗くなる。同様に、第1接続部62aの表面粗さは、第2接続部62bの表面粗さよりも粗くなる。なお、半田付け部42,62の表面粗さとは、半田付け部42,62のうち凹凸面となる部分の粗さを意味する。本実施形態では、表面粗さは、先端半径が2μmの触針を用い、測定力を0.75mNに設定して測定される最大高さRz(JIS B0651:2001)を意味する。
【0050】
図1および図3に示すように、各梁20のベース接続部24は、半田30によってベース基板16に接続されている。本実施形態では、ベース接続部24をベース基板16に接続する際には、各半田付け部42の平坦面がベース基板16側を向くように、各半田付け部42を一対のランド16c(図2参照)の間に配置する。その状態で、半田付け部42を一対のランド16cに半田付けする。これにより、梁20がベース基板16に機械的および電気的に接続される。本実施形態では、半田付け部42を跨ぐように、半田30が設けられている。つまり、半田30は、半田付け部42を跨いで隣接する一対のランド16cをブリッジさせるようにして、梁20(半田付け部42)をベース基板16に機械的および電気的に接続する。
【0051】
図6は、可動部18および梁20を裏面側(図1とは反対側)から見た斜視図である。図6に示すように、各梁20のコイル接続部26は、半田32によってコイル基板22に接続されている。本実施形態では、コイル接続部26をコイル基板22に接続する際には、各半田付け部62の平坦面がコイル基板22側を向くように、各半田付け部62を一対のランド22b(図4参照)の間に配置する。その状態で、半田付け部62を一対のランド22bに半田付けする。これにより、梁20がコイル基板22に機械的および電気的に接続される。本実施形態では、半田付け部62を跨ぐように、半田32が設けられている。つまり、半田32は、半田付け部62を跨いで隣接する一対のランド22bをブリッジさせるようにして、梁20(半田付け部62)をコイル基板22に機械的および電気的に接続する。
【0052】
以上のようにして、図1に示すように、可動部18が、一対の梁20を介してベース基板16に支持される。本実施形態では、ベース基板16に交流電源(図示は省略)が接続され、当該交流電源から、ベース基板16に形成された配線および一対の梁20を介して、コイル基板22(図2参照)のパターンコイル(図示は省略)に交流電流が供給される。この際、パターンコイルに流れる電流と、ヨーク12および一対の永久磁石14によって形成される磁界とによってローレンツ力が発生し、梁部28を軸心として可動部18が揺動する。
【0053】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、上述したように、梁20は、半田付けされることによって、ベース基板16およびコイル基板22に電気的および機械的に接続される。この場合、従来のように導電性接着剤を用いて梁を基板に接着する場合に比べて、短時間でかつ十分な強度で梁20をベース基板16およびコイル基板22に接続することができる。
【0054】
また、本実施形態では、半田付け部62において、第1接続部62aの隣接方向Bに直交する断面の面積は、第2接続部62bの隣接方向Bに直交する断面の面積よりも小さい。第1接続部62aおよび第2接続部62bの断面積を上記のように設定することによって、半田付け部62の表面に凹凸面を形成することができる。これにより、半田付け部62において、半田32と半田付け部62との接触面積を十分に確保することができる。その結果、半田付け部62をコイル基板22により確実に接続することができる。半田付け部42についても同様である。
【0055】
また、本実施形態では、第1接続部62aの表面粗さは第2接続部62bの表面粗さよりも粗い。これにより、凹部となる第1接続部62aの表面において、半田32との接触面積を十分に大きくすることができる。これにより、第1接続部62aをコイル基板22により確実に半田付けすることができる。半田付け部42の第1接続部42aについても同様である。
【0056】
また、本実施形態では、梁部28から離れる方向に延びるように延設部60が設けられ、延設部60の先端部に半田付け部62が設けられている。これにより、梁部28から十分に離れた位置で、半田付け部62をコイル基板22に半田付けすることができる。この場合、可動部18が揺動する際に、半田付け部62とコイル基板22との接続部に過剰な負荷がかかることを防止することができる。半田付け部42とベース基板16との接続部についても同様である。
【0057】
また、本実施形態では、コイル基板22において、梁20の梁部28に対向する部分に切欠き部22aが形成されている。これにより、コイル基板22の厚み方向においてコイル基板22の一方側に梁部28の一部が位置付けられていても、コイル基板22と梁部28とが接触することを防止することができる。この場合、一方の梁20のコイル接続部26と他方の梁20のコイル接続部26とを十分に近付けることができる。その結果、梁20の軸方向(梁部28の長さ方向)における揺動素子10(光走査装置1)の小型化が可能になる。
【0058】
同様に、ベース基板16において、梁20の梁部28に対向する部分に切欠き部16bが形成されている。これにより、ベース基板16の厚み方向においてベース基板16の一方側に梁部28の一部が位置付けられていても、ベース基板16と梁部28とが接触することを防止することができる。この場合、梁20の軸方向(梁部28の長さ方向)において、ベース基板16を延長しなくても、十分な長さのランド16cを形成するために必要な領域、あるいはビス17用の孔を形成するために必要な領域を、ベース基板16において十分確保可能になる。その結果、梁20の軸方向(梁部28の長さ方向)における揺動素子10(光走査装置1)の小型化が可能になる。
【0059】
本実施形態では、各半田付け部62は、延設部60の先端部からベース接続部24側に向かって延びるように設けられている。この場合、一方の梁20をコイル基板22に接続するための半田32と、他方の梁20をコイル基板22に接続するための半田32とが接触することを確実に防止することができる。これにより、一対の梁20の梁部28の先端部同士を近接させても、一方の梁20と他方の梁20とが半田32によって直接的に接続されることを十分に防止することができる。その結果、梁20の軸方向(梁部28の長さ方向)における揺動素子10(光走査装置1)の長さを長くすることなく梁部28の長さを十分に長くすることが可能になる。
【0060】
(他の実施形態)
上述の実施形態では、複数の第1接続部42aおよび複数の第2接続部42bが交互に並ぶように設けられ、複数の第1接続部62aおよび複数の第2接続部62bが交互に並ぶように設けられている。しかしながら、図7に示すように、半田付け部42においては、少なくとも、一つの第1接続部42aと一つの第2接続部42bとが隣接するように設けられていればよい。同様に、半田付け部62においては、少なくとも、一つの第1接続部62aと一つの第2接続部62bとが隣接するように設けられていればよい。
【0061】
上述の実施形態では、第1接続部42aの幅および第2接続部42bの幅は略等しく、第1接続部62aの幅および第2接続部62bの幅は略等しい。しかしながら、第1接続部42aの幅が第2接続部42bの幅よりも小さくてもよい。この場合、第1接続部42aの厚みおよび第2接続部42bの厚みは略等しくてもよい。また、第1接続部62aの幅が第2接続部62bの幅よりも小さくてもよい。この場合、第1接続部62aの厚みおよび第2接続部62bの厚みは略等しくてもよい。
【0062】
上述の実施形態では、コイル基板22の厚み方向における一方側の面に一対の梁20が接続され、コイル基板22の厚み方向における他方側の面を覆うようにミラー100が設けられているが、梁20、コイル基板22およびミラー100の位置関係は上述の例に限定されない。図8は、梁20、コイル基板22およびミラー100の他の配置例を示す図である。
【0063】
例えば、図8(a)に示すように、コイル基板22の一方側の面に一対の梁20が接続され、コイル基板22の他方側の面とミラー100の反射面とが略面一になるように、コイル基板22にミラー100が保持されてもよい。また、図8(b)に示すように、梁20とコイル基板22との間に挟まれるようにミラー100が設けられてもよい。この場合、例えば、ミラー100を露出させるための貫通孔22cがコイル基板22に形成される。
【0064】
また、例えば、図8(c),(d)に示すように、コイル基板22の厚み方向における一方側に、一対の梁20およびミラー100が設けられてもよい。なお、図8(c)に示す例では、梁20の表面、コイル基板22の表面およびミラー100の反射面が略面一となるように、コイル基板22の厚み方向における一方側に一対の梁20およびミラー100が接続されている。また、図8(d)に示す例では、一対の梁20がコイル基板22とミラー100とによって挟まれてもよい。
【0065】
上述の実施形態では、揺動素子10が、梁20またはコイル基板22とは別個の部材としてミラー100を備える場合について説明したが、例えば、梁20に対して、めっき、蒸着、または鏡面加工等を施すことによって、梁20にミラーを一体的に形成してもよい。同様に、コイル基板22にミラーを一体的に形成してもよい。
【0066】
上述の実施形態では、ベース接続部24がベース基板16に半田付けされ、コイル接続部26がコイル基板22に半田付けされる場合について説明したが、ベース接続部24またはコイル接続部26のうちの一方は半田付けではなく、接着剤によって基板に接続されていてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 光走査装置
10 揺動素子
12 ヨーク
14 永久磁石
16 ベース基板
18 可動部
20 梁
22 コイル基板
22a 切欠き部
24 ベース接続部
26 コイル接続部
28 梁部
30,32 半田
40,60 延設部
42,62 半田付け部
42a,62a 第1接続部
42b,62b 第2接続部
100 ミラー
102 投光部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8