(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103697
(43)【公開日】2023-07-27
(54)【発明の名称】炭素固定・水素生成システム
(51)【国際特許分類】
C01B 32/50 20170101AFI20230720BHJP
C01B 3/12 20060101ALI20230720BHJP
C01F 5/24 20060101ALI20230720BHJP
C01F 5/04 20060101ALI20230720BHJP
C01B 32/205 20170101ALI20230720BHJP
【FI】
C01B32/50
C01B3/12
C01F5/24
C01F5/04
C01B32/205
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022004368
(22)【出願日】2022-01-14
(71)【出願人】
【識別番号】506213382
【氏名又は名称】アンヴァール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 重利
【テーマコード(参考)】
4G076
4G146
【Fターム(参考)】
4G076AA02
4G076AA16
4G076AB06
4G076AB18
4G076BA09
4G076BH01
4G076DA29
4G076DA30
4G146AA02
4G146BA09
4G146BB22
4G146BC04
4G146BC35
4G146BC36
4G146CB13
4G146CB26
4G146DA04
4G146DA38
4G146JA02
4G146JB03
4G146JB06
4G146JC02
4G146JC03
4G146JC36
(57)【要約】
【課題】二酸化炭素の排出を抑制しつつ、高効率で水素を生成可能な炭素固定・水素生成システムを提供する。
【解決手段】酸化マグネシウムと炭素と水を反応室60で反応させて水素を生成させる水素生成装置6を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化マグネシウムと炭素と水を反応室で反応させて水素を生成させる水素生成装置を備えることを特徴とする炭素固定・水素生成システム。
【請求項2】
二酸化炭素をマグネシウムと反応させる燃焼装置を備え、前記燃焼装置で生成された酸化マグネシウムと炭素を前記反応室に供給することを特徴とする請求項1に記載の炭素固定・水素生成システム。
【請求項3】
二酸化炭素をマグネシウムと反応させる燃焼装置を備え、前記燃焼装置で生成された酸化マグネシウムと炭素と一酸化炭素を前記反応室に供給することを特徴とする請求項1に記載の炭素固定・水素生成システム。
【請求項4】
前記炭素は、1000℃以上の高温状態で前記水素生成装置に供給されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の炭素固定・水素生成システム。
【請求項5】
前記酸化マグネシウムと前記炭素は、粉末状の酸化マグネシウム粉末と炭素粉末であり、
前記酸化マグネシウム粉末と前記炭素粉末を混合させた状態で前記水素生成装置に供給する流路を備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の炭素固定・水素生成システム。
【請求項6】
前記燃焼装置は、前記二酸化炭素と前記マグネシウムの反応を利用して回転されるガスタービンを有し、
前記流路は、前記ガスタービンのケーシングに設けられることを特徴とする請求項5に記載の炭素固定・水素生成システム。
【請求項7】
前記炭素は、黒鉛化されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の炭素固定・水素生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素固定・水素生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
水素は、燃焼させても二酸化炭素を排出せず、水の電気分解による生成だけでなく、石油や天然ガスなどの化石燃料をはじめとする様々な資源からの生成が可能であることから、クリーンな次世代エネルギ資源として注目されている。
【0003】
水の電気分解による水素の生成は、二酸化炭素を排出しないクリーンな生成方法ではあるものの、電気分解に使用される電力を全て再生可能エネルギにより賄うにはコスト高となるという問題があり、工業的な水素の生成方法としては、天然ガス(メタン)の水蒸気改質(CH4+H2O→CO+3H2)がコスト安であることから主流となっている。しかし、天然ガスのような化石燃料の埋蔵量には限りがあることから、これらに頼らない水素生成の技術開発が進められている。
【0004】
特許文献1には、廃棄物から水分を回収し、回収した水を過熱水蒸気として廃棄物に噴射し乾留した後、乾留ガスおよび乾留残渣(炭)を過熱水蒸気と共に高温反応室に導入することにより、水性ガス反応(C+H2O→CO+H2)により水素と一酸化炭素主体の燃料ガスを精製する技術が記載されている。詳しくは、水蒸気と乾留ガスの混合物の温度を900℃以上に高めることにより、乾留ガスに含まれる油分や炭から水性ガス反応により水素と一酸化炭素を生成する。また、乾留ガス中に含まれ、水素と混合されることで爆発の危険性がある酸素は、水性ガス反応により生成された水素や一酸化炭素と酸化反応させることにより、水や二酸化炭素とする。さらに、乾留残渣(炭)は、20ミクロン以下に粉砕し、水蒸気との混合物として温度を900℃以上に高めることにより、乾留残渣(炭)から水性ガス反応により水素と一酸化炭素を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-297527号公報(第4頁~第7頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1では、水性ガス反応により生成された水素や一酸化炭素主体の燃料ガスを精製しているが、水性ガス反応に付随して起こる水性ガスシフト反応(CO+H2O→CO2+H2)により二酸化炭素も生成されてしまうという問題がある。さらに、特許文献1では、水性ガス反応により生成された水素や一酸化炭素の一部を酸素との酸化反応に利用しなければならず、二酸化炭素の生成量が増加するだけでなく、水素の生成効率を低下させる原因となっていた。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、二酸化炭素の排出を抑制しつつ、高効率で水素を生成可能な炭素固定・水素生成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の炭素固定・水素生成システムは、
酸化マグネシウムと炭素と水を反応室で反応させて水素を生成させる水素生成装置を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、水素生成装置の反応室において、炭素と水蒸気の水性ガス反応により水素と一酸化炭素を生成し、さらに水性ガス反応に付随して起こる一酸化炭素と水との水性ガスシフト反応により生成される二酸化炭素は、酸化マグネシウムと水蒸気の水和反応により生成される水酸化マグネシウムに吸収され炭酸マグネシウムとして炭素固定されるため、二酸化炭素の排出を抑制しつつ、水性ガス反応および水性ガスシフト反応が平衡状態となることを防止し反応を生成系に偏らせることにより高効率で水素を生成することができる。
【0009】
二酸化炭素をマグネシウムと反応させる燃焼装置を備え、前記燃焼装置で生成された酸化マグネシウムと炭素を前記反応室に供給することを特徴としている。
この特徴によれば、燃焼装置において、二酸化炭素中でマグネシウムを燃焼させることにより生成される不純物の少ない炭素と酸化マグネシウムを、水素生成装置における水素の生成反応に利用することができるため、塩化水素等の有害ガスが生成されない。また、燃焼装置における二酸化炭素中でのマグネシウムの燃焼反応により得られる1000℃以上の反応熱を水素生成装置における水性ガス反応に有効利用することができる。
【0010】
二酸化炭素をマグネシウムと反応させる燃焼装置を備え、前記燃焼装置で生成された酸化マグネシウムと炭素と一酸化炭素を前記反応室に供給することを特徴としている。
この特徴によれば、燃焼装置において、二酸化炭素中でマグネシウムを燃焼させることにより生成される不純物の少ない炭素と酸化マグネシウムを、水素生成装置における水素の生成反応に利用することができるため、塩化水素等の有害ガスが生成されない。また、燃焼装置における二酸化炭素中でのマグネシウムの燃焼反応により得られる1000℃以上の反応熱を水素生成装置における水性ガス反応に有効利用することができる。さらに、燃焼装置において二酸化炭素がマグネシウムと完全に反応しない場合に生じる一酸化炭素を水素生成装置における水性ガスシフト反応に利用して水素を生成することができるため、水素の生成効率を高めることができる。
【0011】
前記炭素は、1000℃以上の高温状態で前記水素生成装置に供給されることを特徴としている。
この特徴によれば、燃焼装置におけるマグネシウムの燃焼反応により1000℃以上の高温状態となった炭素を水素生成装置にそのまま供給することができ、高温状態で反応性の高い炭素を水蒸気と即座に反応させることができるため、言い換えれば水素生成装置内で水性ガス反応のために炭素を再加熱する必要がなく、水蒸気と即座に反応させることができるため、水素の生成効率を高めることができる。
【0012】
前記酸化マグネシウムと前記炭素は、粉末状であり、
前記酸化マグネシウムと前記炭素を混合させた状態で前記水素生成装置に供給する流路を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、粉末状の炭素の中心まで温度が高温となっており炭素はガス化しやすく、流路から水素生成装置に供給されて即座に水蒸気と水性ガスシフト反応させることができるとともに、酸化マグネシウムと水蒸気の水和反応も促進することができる。
【0013】
前記燃焼装置は、前記二酸化炭素と前記マグネシウムの反応を利用して回転されるガスタービンを有し、
前記流路は、前記ガスタービンのケーシングに設けられることを特徴としている。
この特徴によれば、タービンの回転を利用してケーシング内に捕集された高温状態の炭素や酸化マグネシウムをケーシングに設けられる流路から水素生成装置に直接供給することができるため、炭素の温度低下を抑制することができる。
【0014】
前記炭素は、黒鉛化されていることを特徴としている。
この特徴によれば、燃焼装置における高温の燃焼反応により生成される炭素が黒鉛化されていることにより、水素生成装置における水蒸気との反応性が高まり、水素の生成効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施例における炭素固定・水素生成システムを示す概要図である。
【
図2】実施例における燃焼装置を示す模式図である。
【
図3】実施例における水素生成装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、水素生成装置において、酸化マグネシウム(MgO)と炭素(C)と水蒸気(H2O)を反応させることで、二酸化炭素(CO2)の排出を抑制しつつ、高効率で水素(H2)を生成することが可能であることを見出し、これを契機とするものである。
【0017】
本発明に係る炭素固定・水素生成システムを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0018】
本実施例の炭素固定・水素生成システム1は、
図1に示されるように、電解装置2と、低温焼成装置3と、還元装置4と、Mg/CO
2発電装置5(燃焼装置)と、H
2生成装置6(水素生成装置)と、H
2回収装置7と、から主に構成されており、Mg/CO
2発電装置5における燃焼反応により生成された1000℃以上の高温状態のMgOとCをH
2生成装置6に供給することにより、H
2生成装置6で生成されるCO
2をMgOに吸着させCO
2の排出を抑制しつつ、高効率でH
2を生成するものである。さらに、炭素固定・水素生成システム1は、システム上流のMg/CO
2発電装置5におけるマグネシウム(Mg)の燃焼反応によりCO
2を炭素固定しつつ、システム下流のH
2生成装置6におけるH
2生成の材料となるMgOとCを生成するクリーンな水素生成システムである。
【0019】
電解装置2においては、海水を電解して水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)を生成する。
【0020】
低温焼成装置3においては、電解装置2で得られたMg(OH)2に後述するMg/CO2発電装置5で発生した熱(600℃)を与えて熱分解させ(反応式1参照)、MgOを生成する。
Mg(OH)2→MgO+H2O・・・(反応式1)
【0021】
還元装置4においては、CaC2を還元剤として、低温焼成装置3で得られたMgOの還元反応を行わせ(反応式2参照)、Mg/CO2発電装置5の反応に利用されるMgを生成する。
MgO+CaC2→Mg+CaO+2C・・・(反応式2)
【0022】
MgOの還元反応に必要なエネルギは、例えばパルスパワー波によって与えることができ、不活性ガスおよび還元性ガスの雰囲気下でパルスパワー波を照射することにより、MgOの還元効率を高めることができる。不活性ガスとしては、アルゴンガス、ネオンガス、ヘリウムガス、窒素ガス等を挙げることができる。還元性ガスとしては、CaC2との反応性が低い一酸化炭素(CO)が用いられることが好ましく、パルスパワー波の照射によりMgOがプラズマ化して発生する副産物としての酸素(O2)とCOが反応してCO2が発生する。尚、還元性ガスとしてのCOには、後述する反応式3によって得られたCOを回収したものが利用されてもよい。
【0023】
Mg/CO2発電装置5においては、還元装置4や後述する低温焼成装置8で得られるCO2をMgと反応させ(下記反応式3,4参照)、炭素の固定が行われる。尚、CO2とMgの反応は、発熱反応である。
【0024】
詳しくは、例えば火力発電所で生じた排気等、CO2リッチな気体に含まれるCO2をMgと反応させると、CO2はMgとは完全に反応せずCOが一部生じ、反応熱の温度が約1500℃~約2000℃となる(反応式3参照)。
Mg+CO2→MgO+CO・・・(反応式3)
【0025】
また、CO2濃度が高濃度、例えば95%以上である場合には、CO2はMgと略完全に反応し、MgOと炭素(C)とが生成されCOは生成されず、反応熱の温度が約3000℃以上となる(反応式4参照)。CO2とMgの反応の観点からはCO2濃度が100%であることが好ましい。本実施例においては、反応熱の温度が約2000℃~約3000℃となるようにCO2濃度が調整されることが好ましい。
2Mg+CO2→2MgO+C・・・(反応式4)
【0026】
Mg/CO
2発電装置5では、反応を利用して回転されるタービン42(ガスタービン,
図2参照)を利用して、発電がおこなわれている。
【0027】
尚、Mg/CO2発電装置5で生成されたCは、約2000℃~約3000℃で焼成されることにより、黒鉛化されている。また、Mg/CO2発電装置5で生成されたCは、主にsp2混成軌道による結合を有しており、H2をほとんど含有していない。すなわち、H2の含有量は極微量またはゼロである。詳しくは、Mg/CO2発電装置5で生成されたCは、炭素原子間においてsp2混成軌道による結合とsp3混成軌道による結合が混在するアモルファス構造を一部有しており、sp3混成軌道による結合の割合は1%~50%程度となっており、Mg/CO2発電装置5の燃焼状態にもよるが当該割合は好ましくは1%~10%である。
【0028】
H2生成装置6においては、Mg/CO2発電装置5で生成された1000℃以上の高温状態のMgOとCを水蒸気(H2O)と反応させ(下記反応式5~8参照)、H2の生成が行われる。尚、水蒸気の一部には、上述した反応式3によって低温焼成装置3において得られたH2Oを回収したものが利用されてもよい。
MgO+H2O→Mg(OH)2・・・(反応式5)
C+H2O→CO+H2・・・(反応式6)
CO+H2O→CO2+H2・・・(反応式7)
Mg(OH)2+CO2→MgCO3+H2O・・・(反応式8)
【0029】
反応式5で示されるMgOとH2Oとの水和反応は、発熱反応である。反応式6で示されるCとH2Oとの水性ガス反応は、900℃以上の高温が必要な吸熱反応である。反応式7で示されるCOとH2Oとの水性ガスシフト反応は、発熱反応である。反応式8で示されるMg(OH)2によるCO2の吸収は、発熱反応である。反応式5,7,8の発熱反応により放出される熱は、反応式6で示される水性ガス反応やH2生成装置6内の温度維持に使われる。
【0030】
H2生成装置6において生成されたH2は、H2回収装置7に供給される。また、H2生成装置6において生成された炭酸マグネシウム(MgCO3)は、低温焼成装置8に供給される。
【0031】
低温焼成装置8においては、H2生成装置6で生成されたMgCO3にMg/CO2発電装置5で発生した熱(350℃以上)を与えて熱分解させ(反応式9参照)、MgOを生成する。
MgCO3→MgO+CO2・・・(反応式9)
【0032】
低温焼成装置8において生成されたMgOは、還元装置4やH2生成装置6に供給されることにより、Mgの生成(反応式2参照)やH2の生成(下記反応式5~8参照)に利用される。
【0033】
尚、電解装置2において、電解によりMg(OH)2が回収された海水には、同時に炭酸カルシウム(CaCO3)が回収されることにより炭酸ガス(重炭酸イオン)が含まれていないため、該海水に還元装置4や低温焼成装置8で発生したCO2やH2生成装置6でMg(OH)2により吸着しきれなかったCO2の一部を吸収させることにより、炭素を固定してもよい(点線矢印参照)。
【0034】
次いで、Mg/CO
2発電装置5について
図2を用いて詳しく説明する。
図2に示されるように、本実施例のMg/CO
2発電装置5は、還元装置4において還元反応に必要なエネルギをパルスパワー波によって与えることで発生したCO
2リッチな導入気体A1を用いて炭素固定および発電が可能となっている。
【0035】
Mg/CO2発電装置5は、CO2をMgと反応させる反応室30と、CO2リッチな導入気体A1を圧縮して反応室30に供給する供給手段20と、反応室30内にパルスパワー波を照射する第2パルスパワー波照射器31と、反応室30から供給された気体A4のエネルギを用いて発電する発電手段40と、発電手段40の下流側に配設されCO2とCOを分離可能なセパレータ51と、セパレータ51によりCOが分離されたCO2を含む気体A9を供給手段20に供給する循環手段80と、発電手段40により発電にエネルギが使用された残気体A10を排出する排出手段90と、を備えている。尚、以降の説明において、還元装置4側を上流側、排出手段90の後述する第8連通路91側を下流側として説明する。
【0036】
まず、供給手段20について説明する。供給手段20は、上流側から順に、還元装置4の下流側に連結された第1連通路21と、第1連通路21内にパルスパワー波を照射する第1パルスパワー波照射器22と、第1連通路21の下流側に配設された冷却器23と、冷却器23の下流側に配設された第2連通路24と、第2連通路24の下流側に連結された軸流式の圧縮機25と、圧縮機25の下流側および反応室30の上流側に連結された第3連通路26と、から主に構成されている。
【0037】
第1連通路21は、還元装置4ばかりでなく、後述する循環手段80の逆止弁82とも連結されており、逆止弁82から第1連通路21内に気体A9が流入可能となっている。
【0038】
第1パルスパワー波照射器22は、第1連通路21内かつ後述する逆止弁82との合流箇所よりも上流側に配置されたプラグ22aから第1パルスストリーマ放電を実行可能となっている。本実施例では、第1パルスパワー波照射器22は、半値幅80nsの高電圧を繰り返し動作で発生可能であり、充電電圧を20kV、放電電流を170Aとし、電源を5pps(Pulses Per Second)で運転させることで、第1パルスパワー波を照射し、第1パルスストリーマ放電を生じせしめる。このように、短パルス、高電圧小電流、短サイクルで運転させ、グロー放電やアーク放電とならないようにすることが肝要である。尚、本実施例においては、パルスパワー波によって与えることで発生したCO2リッチかつ不純物が少ない導入気体A1が用いられることから、第1パルスパワー波照射器22は配設されなくてもよい。また、導入気体A1の温度によっては、冷却器23も配設されなくてもよい。
【0039】
反応室30は、高耐熱かつ高耐圧に形成されており、図示しない投入口からMg粉末を投入可能となっている。尚、投入するMgは粉末以外の形状例えばフレーク状、バー状であってもよい。また、反応室30内には、第2パルスパワー波照射器31のプラグ31aが配置されており、反応室30内で第2パルスストリーマ放電を実行可能となっている。また、反応室30内の下流側には、ガスタービン発電装置41のタービン42が配置されている。本実施例では、第2パルスパワー波照射器31は、半値幅40nsの高電圧を繰り返し動作で発生可能であり、充電電圧を100kV、放電電流を170Aとし、電源を10ppsで運転させることで、第2パルスパワー波を照射し、第2パルスストリーマ放電を生じせしめる。このように、短パルス、高電圧小電流、短サイクルで運転させ、グロー放電やアーク放電とならないようにすることが肝要である。
【0040】
発電手段40は、反応室30内でCO2とMgとが反応することで発生した高温高圧の気体A4を用いて発電可能なガスタービン発電装置41を有している。ガスタービン発電装置41は、高温高圧の気体A4の圧力により回転されるタービン42と、タービン42の回転に応じて発電可能な発電装置43と、から主に構成されている。
【0041】
セパレータ51は、反応室30の下流側に連結された第4連通路50の下流側に配設されている。また、セパレータ51の下流側には、気体A7からCOが回収された気体A8が流入する第5連通路70と、回収したCOによりCO濃度が高い気体A11が流入する第7連通路71がそれぞれ連結されている。また、第7連通路71の下流側には、COの貯蔵タンク72が連結されている。
【0042】
循環手段80は、上述した第5連通路70と、第5連通路70の下流側に連結された三方向弁Vと、三方向弁Vの一方の下流側に連結された第6連通路81と、第6連通路81の下流側に連結された逆止弁82と、から主に構成されている。
【0043】
排出手段90は、上述した第5連通路70と、三方向弁Vと、三方向弁Vの他方の下流側に連結され、Mg/CO
2発電装置5の外部に連通する第8連通路91と、から主に構成されている。尚、
図2では、三方向弁Vの第8連通路91が連結されている弁が閉弁状態となっている。
【0044】
次に、Mg/CO2発電装置5の動作について説明する。還元装置4で得られたCO2リッチな導入気体A1は、第1連通路21に流入される。導入気体A1は、CO2濃度が約70%以上であり、CO2以外にも、窒素(N2)、水素(H2)、酸素(O2)、水蒸気(H2O)等が含まれている。また、導入気体A1の温度は、300℃程度であり、単位時間当たりの流量は、0.1×10-4m3/sである。
【0045】
矢印で示されるように、第1連通路21内に導入された導入気体A1は、第1パルスパワー波照射器22のプラグ22aから連続的に照射され続けている第1パルスストリーマ放電により発生している非熱平衡プラズマにより、導入気体A1に含まれるH2、O2、H2O等の反応が促進され不純物がさらに少なくなる。
【0046】
導入気体A1は、矢印で示されるように、冷却器23に導出されて冷却され、約30℃程度の気体A2となる。気体A2は、矢印で示されるように、第2連通路24を通過した後、圧縮機25により圧縮される。
【0047】
矢印で示されるように、圧力約2.0MPa、単位時間当たり流量5.0×10-5m3/sの圧縮・加圧された気体A3が第3連通路26を通過してMg粉末が投入されている反応室30に流入する。反応室30内では第2パルスパワー波照射器31のプラグ31aから短時間の第2パルスストリーマ放電が行われ、反応室30内に非熱平衡プラズマが発生する。この非熱平衡プラズマにより、気体A3に含まれるCO2とMgが直接反応し、酸化マグネシウム(MgO)、炭素(C)、一酸化炭素(CO)等が生成されることを確認した。すなわち、CO2の炭素固定がなされ、気体A3のCO2濃度が低減された。
【0048】
この反応により、反応熱が発生し、反応室30内の温度が約2000℃~約3000℃となった。第2パルスパワー波照射を停止した以降にも、反応室30内に気体A3が流入することで、CO2とMgとが連続的に反応することが観察された。
【0049】
このように、MgとCO2とがまだ反応していない状態では、第2パルスストリーマ放電をトリガーとしてMgとCO2とを反応させることが可能であり、MgとCO2との反応が開始して以降の反応については、発生する高温の反応熱により連続的に反応させ続けることができる。
【0050】
また、CO2とMgとの反応により、気体A3の温度が急激に上昇することに伴って、気体A3が急激に膨張するため、高温高圧の気体A4となり、下流側に噴出される。
【0051】
気体A4は、矢印で示されるように、反応室30の下流側からセパレータ51に流入しようとする。このとき、気体A4は、反応室30とセパレータ51との間に配設されているガスタービン発電装置41のタービン42を回転させる。この気体A4の通過に伴いタービン42が回転されることにより、ガスタービン発電装置41の発電装置43による発電が行われる。
【0052】
セパレータ51では、気体A7に含まれるCOが分離されるため、高濃度のCOが含まれる気体A11と、COが分離された残りの気体である気体A8に分離される。高濃度のCOが含まれる気体A11は、矢印で示されるように、第7連通路71を通じて貯蔵タンク72に封入される。
【0053】
一方、COが分離された残りの気体である気体A8は、矢印で示されるように、第5連通路70に導出される。第5連通路70には、気体A8に含まれるCO2濃度を測定可能な図示しない濃度センサが設けられており、CO2濃度が一定(本実施例では、10vol%)以上である気体A9の場合には、三方向弁Vの第8連通路91側が閉弁状態となり、第5連通路70および第6連通路81側が開弁状態となる。これにより、気体A9は、矢印で示されるように、三方向弁V、第6連通路81および逆止弁82を通じて、第1連通路21に導出され、導入気体A1と共に上述したサイクルが繰り返し行われることとなる。
【0054】
また、CO2濃度が一定(本実施例では、10vol%)未満である残気体A10の場合には、三方向弁Vの第6連通路81側が閉弁状態となり、第5連通路70および第8連通路91側が開弁状態となる。これにより、残気体A10は、点線矢印で示されるように、三方向弁Vおよび第8連通路91を通じて外部に排出される。
【0055】
次いで、H
2生成装置6について
図2および
図3を用いて詳しく説明する。
図2および
図3に示されるように、本実施例のH
2生成装置6は、Mg/CO
2発電装置5から供給されるMgO、CおよびCOが含有される気体A5と水蒸気を用いて水素生成および炭素固定が可能となっている。
【0056】
H
2生成装置6は、MgO、CおよびCOを水蒸気と反応させる反応室60と、MgO、CおよびCOを含む気体A5を反応室60に供給するフィーダ61(
図3参照)と、反応室60内に100℃程度の高温の水蒸気を噴射する水蒸気噴射器62(
図3参照)と、反応室60の下流側に配設されCO
2とH
2を分離可能なセパレータ10と、セパレータ10によりCO
2が分離されたH
2を含む気体A6を回収するH
2回収装置7と、を備えている。尚、以降の説明において、Mg/CO
2発電装置5側を上流側、H
2回収装置7側を下流側として説明する。
【0057】
次に、H2生成装置6の動作について説明する。Mg/CO2発電装置5を構成するガスタービン発電装置41のタービン42を回転させる気体A4には、反応室30における反応により生成され主にMgOとCからなるMgO粒子とC粒子が含まれており、タービン42の動翼やタービン42を被覆するケーシング44に形成される図示しない静翼に衝突したMgO粒子とC粒子は、さらに細かい微粒子状に粉砕された状態で気体A5と共にケーシング44と一体に設けられる流路45内に誘導され、1000℃以上の高温状態でH2生成装置6の反応室60に供給される。尚、反応室30における反応により生成されたMgO粒子とC粒子を複数回採取して光学顕微鏡および電子顕微鏡を用いた画像解析法によりMgO粒子とC粒子の粒子径を測定したところ、気体A5に含まれH2生成装置6の反応室60に供給されるMgO粒子の粒子径は4μm~110μmの範囲、C粒子の粒子径は10μm~350μmの範囲であった。また、粒度分布(個数基準分布)の算術平均による平均粒子径は、MgO粒子が50μm~60μm、C粒子が80μm~110μmであった。また、MgO粒子の形状は、アスペクト比が小さい粒状であり、C粒子の形状は、MgO粒子と比べてアスペクト比が大きい鱗片状であった。C粒子の形状は、詳細には平面状に結合された炭素原子の薄層が積層構造を成しており、積層方向の寸法が最も小さい鱗片状であった。
【0058】
尚、MgO粒子の平均粒子径は、Mg/CO2発電装置5の反応室30に投入されるMg粉末の平均粒子径に依存しており、予めMg粉末の平均粒子径を反応室30において生成されるC粒子の平均粒子径に近づけておく、例えばMg粉末の平均粒子径を80~110μmとすることにより、後述するH2生成装置6の反応室60における反応性を高めるようにしてもよい。また、C粒子の形状および平均粒子径は、Mg/CO2発電装置5の反応室30におけるCO2濃度や反応熱の温度だけでなく、Mg/CO2発電装置5を構成する反応室30、タービン42、ケーシング44等の形状や寸法によっても変化することから、Mg/CO2発電装置5の稼働が安定した段階で反応室30において生成されたC粒子を採取し、C粒子の平均粒子径を測定することにより、Mg/CO2発電装置5の反応室30に投入されるMg粉末の平均粒子径を決定してもよい。
【0059】
また、H2生成装置6においては、反応室60で起こる反応による内部圧力の変化を測定しフィードバック制御を行うことにより、フィーダ61によるMgO、CおよびCOの供給量と水蒸気噴射器62による水蒸気の噴射量が調整される。これにより、H2生成装置6の反応室60において、安定してH2生成を行うことができる。尚、反応室60の内部圧力に加えて内部温度やCO濃度、特に温度を制御パラメータに加えると一層よい。
【0060】
反応室60の入り口においては、先ず1000℃以上の高温状態のCと水蒸気の水性ガス反応によりH2とCOが生成される。また、反応室60の入り口では、CO2濃度が低いため、MgOが水蒸気と反応してMg(OH)2となる。尚、Mg/CO2発電装置5で生成されたMgOは2000℃~3000℃の高温で焼成されることにより、塩基点が減少しており、CO2吸収能が低下しているが、反応室60に供給された直後に水蒸気との反応によりMg(OH)2となることで、CO2吸収能を高めることができる。
【0061】
次に、気体A5に含まれるCOおよび水性ガス反応による生成物であるCOと水蒸気との水性ガスシフト反応によりH2とCO2が生成される。水性ガスシフト反応により生成されたCO2は、Mg(OH)2に吸収されMgCO3として炭素固定される。さらに、気体A5に含まれるCOによって反応室60内のCO濃度が高められるため、水性ガスシフト反応が促進され、H2の生成が効率よく行われる。
【0062】
この反応により、反応室60内のCO2濃度が所定値以下に維持される。また、Mg/CO2発電装置5で生成された1000℃以上の高温状態のMgOとCが供給されてくることで、反応室60内のCOが略全てH2とCO2になることが観察された。これは、Mg(OH)2によるCO2吸収によって、水性ガス反応および水性ガスシフト反応が平衡状態となることを防止し反応を生成系、すなわちH2の生成方向に偏らせたことによるものと推測される。
【0063】
また、Mg(OH)2は、化学量論的にCO2を吸収するため、所定量のCO2を吸収すると吸収能が低下するが、Mg/CO2発電装置5が稼働している間、生成されたMgOとCが反応室60内に供給され続けるため、水蒸気の供給が滞ることなく行われれば、Mg(OH)2によるCO2の吸収が常時行われ、H2生成装置6内におけるCO2濃度の上昇が抑制され、安定してH2生成が行われる。
【0064】
また、H2生成装置6にセパレータ10を介してH2回収装置7が接続されることにより、気体A6に含まれる高純度のH2の回収が常時行われ、H2生成装置6内におけるH2濃度が所定値以下に維持される。これにより、H2の生成がさらに効率よく行われる。尚、セパレータ10は、H2生成装置6で生成されたCO2とH2を分離可能である。セパレータ10としては、例えばH2分離膜やCO2吸着材が用いられる。
【0065】
以上説明したように、本実施例の炭素固定・水素生成システム1は、H2生成装置6の反応室60において、Cと水蒸気の水性ガス反応によりH2とCOを生成し、さらに水性ガス反応に付随して起こるCOと水蒸気との水性ガスシフト反応により生成されるCO2は、MgOと水蒸気の水和反応により生成されるMg(OH)2に吸収されMgCO3として炭素固定されるため、CO2の排出を抑制しつつ、水性ガス反応および水性ガスシフト反応が平衡状態となることを防止し反応を生成系に偏らせることにより高効率でH2を生成することができる。
【0066】
また、本実施例の炭素固定・水素生成システム1は、Mg/CO2発電装置5において、CO2中でMgを燃焼させることにより生成される不純物の少ないCとMgOを、H2生成装置6におけるH2の生成反応に利用することができるため、塩化水素(HCl)等の有害ガスが生成されない。また、Mg/CO2発電装置5におけるCO2中でのMgの燃焼反応により得られる1000℃以上(2000℃~3000℃)の反応熱をH2生成装置6における水性ガス反応に有効利用することができる。
【0067】
また、本実施例の炭素固定・水素生成システム1は、Mg/CO2発電装置5において、CO2がMgと完全に反応しない場合に生じるCOをH2生成装置6の反応室60における水性ガスシフト反応に利用してH2を生成することができるため、H2の生成効率を高めることができる。尚、水性ガスシフト反応により生成されるCO2は、Mg(OH)2に吸収され、水性ガスシフト反応を生成系に偏らせることができるため、水性ガス反応が反応系に偏ることが防止されている。
【0068】
また、Mg/CO2発電装置5において、CO2中でMgを燃焼させることにより1000℃以上の高温状態となったCをH2生成装置6における反応室60にそのまま供給することができ、高温状態で反応性の高いCを水蒸気と即座に反応させることができるため、H2生成装置6内で水性ガス反応のためにCを900℃以上に再加熱する必要がなく、水蒸気と即座に反応させることができるため、H2の生成効率を高めることができる。
【0069】
また、Mg/CO2発電装置5において生成されるMgOとCは、粉末状であり、MgOとCを混合させた状態で流路45からH2生成装置6における反応室60に供給することにより、粉末状のCの中心まで温度が高温となっておりCはガス化しやすく、流路45からH2生成装置6における反応室60に供給されて即座に水蒸気と水性ガスシフト反応させることができるとともに、MgOと水蒸気の水和反応も促進することができる。
【0070】
また、流路45は、ガスタービン発電装置41のタービン42を被覆するケーシング44に設けられることにより、タービン42の回転を利用してケーシング44内に捕集された高温状態のMgOやCを気体A5と共に流路45からH2生成装置6における反応室60に直接供給することができるため、Cの温度低下を抑制することができる。
【0071】
また、Mg/CO2発電装置5において約2000℃~約3000℃で焼成されることにより生成されるCは、黒鉛化されていることにより、H2生成装置6における水蒸気との反応性が高まり、水素の生成効率を高めることができる。具体的には、黒鉛化されているCは、平面状に結合された薄層の積層構造を有し、この薄層の層間に水分子が入り込むことにより、反応性が高まると考えられる。また、黒鉛化されているCは、薄層の層間が弱いファンデルワールス力で結合されているため、薄層が剥離しやすく、剥離されることで表面積が大きくなり、水蒸気と反応しやすくなっていると考えられる。
【0072】
また、H2生成装置6における反応室60では、MgOと水蒸気の水和反応により生成されるMg(OH)2によりCO2の吸収を行うため、CO2吸収材として知られるCaO等と比べて比較的低温(300℃~500℃程度)で反応させることができる。
【0073】
また、H
2生成装置6において生成されたMgCO
3を低温焼成装置8において熱分解させてMgOを生成し、これを還元装置4におけるMgの生成や、H
2生成装置6におけるH
2の生成に再利用することにより循環させるマグネシウムルーピングにより、本発明の炭素固定・水素生成システム1から排出される廃棄物を少なくすることができる。尚、
図1に示されるように、低温焼成装置8においてMgCO
3の熱分解によりMgOと共に生成されたCO
2(反応式9参照)は、Mg/CO
2発電装置5に供給されることにより、Mgの生成(反応式3,4参照)に利用することができる。
【0074】
さらに、本発明に係る炭素固定・水素生成システム1は、システム上流のMg/CO2発電装置5におけるMgの燃焼反応によりCO2を炭素固定し、これにより生成されたMgOとCをシステム下流のH2生成装置6におけるH2生成の材料として利用し、CO2の排出を抑制しつつ、高効率でクリーンなH2を生成することができるものである。
【0075】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0076】
例えば、前記実施例では、Mg/CO2発電装置5において生成されるMgOとCをH2生成装置6における反応室60に供給することにより、H2の生成を行う態様について説明したが、これに限らず、H2生成装置6で水蒸気と反応させるMgOとCは、別途供給されるものであってもよい。
【0077】
また、前記実施例では、Mg/CO2発電装置5において、CO2中でMgを燃焼させることにより1000℃以上の高温状態となったCをH2生成装置6にそのまま供給する態様について説明したが、これに限らず、H2生成装置6に供給されるまでにCの温度が低下した場合には、水性ガス反応に必要な900℃以上に再加熱してもよい。
【0078】
また、前記実施例では、ガスタービン発電装置41のタービン42を被覆するケーシング44にH2生成装置6へMgOとCを供給する流路45が設けられる態様について説明したが、これに限らず、例えば、タービン42よりも下流の第4連通路50にH2生成装置6へ繋がる分岐路を設け、整流板等によりMgOとCを分離して分岐路を経由してH2生成装置6へ供給するようにしてもよい。
【0079】
また、H2生成装置6において生成された炭酸マグネシウム(MgCO3)は、別途回収してコンクリートの骨材等として使用してもよい。