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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103729
(43)【公開日】2023-07-27
(54)【発明の名称】乗物用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/75 20180101AFI20230720BHJP
   B60N 2/68 20060101ALI20230720BHJP
   A47C 7/54 20060101ALI20230720BHJP
【FI】
B60N2/75
B60N2/68
A47C7/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022004421
(22)【出願日】2022-01-14
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000100791
【氏名又は名称】アイシン軽金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】熊▲崎▼ 義之
(72)【発明者】
【氏名】本井 嘉浩
(72)【発明者】
【氏名】柴田 浩文
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087BD01
3B087DB03
3B087DB04
3B087DB10
3B087DC01
(57)【要約】
【課題】アームレストの振動を抑制できる乗物用シートを提供する。
【解決手段】本開示の一態様は、シートクッションと、アームレストと、シートクッションを支持するクッションフレームとを備える乗物用シートである。アームレストは、アームレストの上面を構成するアーム保持部と、アーム保持部の下方に配置されたアームレストフレームとを有する。アームレストフレームは、上下方向に延伸すると共に、クッションフレームに連結された第1フレームを有する。第1フレームは、上下方向に延伸すると共に互いにシート幅方向に対向する第1側壁及び第2側壁と、第1側壁と第2側壁とをシート幅方向に連結する複数の補強板とを有する。複数の補強板の厚み方向は、シート前後方向と交差する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッションと、
シートバックと、
アームレストと、
前記シートクッションを支持するクッションフレームと、
を備え、
前記アームレストは、
前記アームレストの上面を構成するアーム保持部と、
前記アーム保持部の下方に配置されたアームレストフレームと、
を有し、
前記アームレストフレームは、上下方向に延伸すると共に、前記クッションフレームに連結された第1フレームを有し、
前記第1フレームは、
上下方向に延伸すると共に互いにシート幅方向に対向する第1側壁及び第2側壁と、
前記第1側壁と前記第2側壁とをシート幅方向に連結する複数の補強板と、
を有し、
前記複数の補強板の厚み方向は、シート前後方向と交差する、乗物用シート。
【請求項2】
請求項1に記載の乗物用シートであって、
前記複数の補強板は、前記第1側壁及び前記第2側壁と共に、トラス構造を構成する、乗物用シート。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の乗物用シートであって、
前記アームレストフレームは、上下方向に延伸すると共に、前記第1フレームよりもシート後方において前記クッションフレームに連結された第2フレームを有し、
前記第1フレームのシート幅方向の振動に対する剛性は、前記第2フレームのシート幅方向に対する剛性よりも大きい、乗物用シート。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の乗物用シートであって、
前記第1フレームは、連結部と、前記連結部よりも上方に設けられた補助連結部とにおいて、前記クッションフレームと連結される、乗物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
乗物用シートにおいて、シートクッションの側方にアームレストを設けた構成が公知である(特許文献1参照)。アームレストは、クッションフレームに片持ち梁状に連結されたアームレストフレームを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国実用新案公告第212313363号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の片持ち梁状のアームレストフレームでは、クッションフレームから伝達された車両の振動によって、アームレストフレームの上端部が大きく変位する。そのため、アームレストにおいて着席者の手が触れる部位の振動が大きくなる。
【0005】
本開示の一局面は、アームレストの振動を抑制できる乗物用シートを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、シートクッション(2)と、シートバック(3)と、アームレスト(5)と、シートクッション(2)を支持するクッションフレーム(6)と、を備える乗物用シート(1)である。アームレスト(5)は、アームレスト(5)の上面を構成するアーム保持部(51)と、アーム保持部(51)の下方に配置されたアームレストフレーム(52)と、を有する。
【0007】
アームレストフレーム(52)は、上下方向に延伸すると共に、クッションフレーム(6)に連結された第1フレーム(521)を有する。第1フレーム(521)は、上下方向に延伸すると共に互いにシート幅方向に対向する第1側壁(53)及び第2側壁(54)と、第1側壁(53)と第2側壁(54)とをシート幅方向に連結する複数の補強板(55)と、を有する。複数の補強板(55)の厚み方向は、シート前後方向と交差する。
【0008】
このような構成によれば、上下方向に延伸する第1フレーム(521)のシート幅方向の剛性が、複数の補強板(55)によって高められる。そのため、アームレストフレーム(52)を軽量化しつつ、アームレスト(5)の振動を抑制できる。
【0009】
本開示の一態様では、複数の補強板(55)は、第1側壁(53)及び第2側壁(54)と共に、トラス構造を構成してもよい。このような構成によれば、第1フレーム(521)のシート幅方向の剛性向上効果を促進できる。
【0010】
本開示の一態様では、アームレストフレーム(52)は、上下方向に延伸すると共に、第1フレーム(521)よりもシート後方においてクッションフレーム(6)に連結された第2フレーム(522)を有してもよい。第1フレーム(521)のシート幅方向の振動に対する剛性は、第2フレーム(522)のシート幅方向に対する剛性よりも大きくてもよい。このような構成によれば、シート前方に配置された第1フレーム(521)の振動による変位がシート後方に配置された第2フレーム(522)よりも小さくされることで、アーム保持部(51)のうち、着席者の手が触れる前方部分の振動が抑制される。
【0011】
本開示の一態様では、第1フレーム(521)は、連結部(521A)と、連結部(521A)よりも上方に設けられた補助連結部(521B)とにおいて、クッションフレーム(6)と連結されてもよい。このような構成によれば、第1フレーム(521)が上下の2か所でクッションフレーム(6)に固定されるため、第1フレーム(521)の振動に対する剛性を比較的簡潔な構造にて高められる。
【0012】
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態の乗物用シートを示す模式的な斜視図である。
図2図2は、図1のクッションフレーム及びアームレストフレームの模式的な斜視図である。
図3図3は、図2のクッションフレーム及びアームレストフレームの模式的な斜視図である。
図4図4は、図1の第2アームレストの模式的な側面図である。
図5図5A図5B図5C及び図5Dは、図4の第1アームレストにおける第1補強部の模式的な正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1に示す乗物用シート1は、シートクッション2と、シートバック3と、第1アームレスト4と、第2アームレスト5と、クッションフレーム6と、バックフレーム7とを備える。
【0015】
乗物用シート1は、乗用車の座席シートとして使用される。なお、以下の説明及び各図面における方向は、乗物用シート1を乗物(つまり乗用車)に組み付けた状態における方向を意味する。本実施形態では、シート幅方向は、乗物の左右方向に一致し、シート前方は、乗物の前方に一致する。
【0016】
シートクッション2は、着席者の臀部を支持するための部位である。シートバック3は、着席者の背部を支持するための部位である。第1アームレスト4は、着席者の右腕を支持するための部位である。第2アームレスト5は、着席者の左腕を支持するための部位である。クッションフレーム6は、シートクッション2を支持する。バックフレーム7は、シートバック3を支持する。
【0017】
<クッションフレーム>
図2に示すように、クッションフレーム6は、第1サイドフレーム61と、第2サイドフレーム62と、フロントフレーム63と、リアフレーム64と、第1連結ブラケット65と、第2連結ブラケット66と、第3連結ブラケット67と、第4連結ブラケット68と、第5連結ブラケット69とを有する。
【0018】
第1サイドフレーム61及び第2サイドフレーム62は、それぞれシート前後方向に延伸しており、シート幅方向において互いに離れて配置されている。第1サイドフレーム61は、第2サイドフレーム62に対し左側に配置されている。第1サイドフレーム61及び第2サイドフレーム62は、それぞれ乗物用シート1が設置される車両の床に固定されるように構成されている。
【0019】
フロントフレーム63は、シート幅方向に延伸する円筒状の部材である。フロントフレーム63は、第1サイドフレーム61の前端部と第2サイドフレーム62の前端部とをシート幅方向に連結している。
【0020】
リアフレーム64は、シート幅方向に延伸する円筒状の部材である。リアフレーム64は、フロントフレーム63よりもシート後方において、第1サイドフレーム61と第2サイドフレーム62とをシート幅方向に連結している。
【0021】
第1連結ブラケット65は、第1サイドフレーム61よりもシート幅方向外側(つまり左側)において、フロントフレーム63の外周面に例えば溶接によって固定された板材である。第1連結ブラケット65は、フロントフレーム63から上方に向かって延伸している。
【0022】
第2連結ブラケット66は、第1サイドフレーム61よりもシート幅方向外側(つまり左側)において、リアフレーム64の外周面に例えば溶接によって固定された板材である。第2連結ブラケット66は、リアフレーム64から上方に向かって延伸している。
【0023】
第3連結ブラケット67は、第2サイドフレーム62のシート幅方向外側の面に、例えば溶接によって固定された板材である。第3連結ブラケット67は、フロントフレーム63の下方に配置されている。
【0024】
第4連結ブラケット68は、第2サイドフレーム62の前端部に上方から重なるように配置されている。第4連結ブラケット68は、フロントフレーム63の外周面に例えば溶接によって固定された板材である。第4連結ブラケット68は、第2サイドフレーム62よりもシート幅方向外側(つまり右側)に突出している。
【0025】
第5連結ブラケット69は、第2サイドフレーム62のシート幅方向外側の面に例えば溶接によって固定された板材である。第5連結ブラケット69は、第4連結ブラケット68よりもシート後方に配置されている。
【0026】
<第1アームレスト>
図1に示すように、第1アームレスト4は、アーム保持部41と、アームレストフレーム42とを有する。
【0027】
アーム保持部41は、シート前後方向に延伸し、第1アームレスト4の上面(つまり腕を載置する面)を構成している。アーム保持部41は、シートクッション2よりも上方において、着席者の左腕を下方から支持する。アーム保持部41は、弾性を有するパッドと、パッドを被覆する皮革カバーとを有する。
【0028】
アームレストフレーム42は、アーム保持部41の下方に配置され、アーム保持部41を下方から支持している。アームレストフレーム42は、例えば、鉄、アルミニウム、マグネシウム等の金属で構成される。図2に示すように、アームレストフレーム42は、第1連結ブラケット65及び第2連結ブラケット66によって、クッションフレーム6に連結されている。
【0029】
<第2アームレスト>
図1に示すように、第2アームレスト5は、アーム保持部51と、アームレストフレーム52とを有する。
【0030】
(アーム保持部)
アーム保持部51は、シート前後方向に延伸し、第2アームレスト5の上面を構成している。
【0031】
アーム保持部51は、シートクッション2よりも上方において、着席者の右腕を下方から支持する。アーム保持部51は、弾性を有するパッドと、パッドを被覆する皮革カバーとを有する。
【0032】
(アームレストフレーム)
アームレストフレーム52は、アーム保持部51の下方に配置され、アーム保持部51を下方から支持している。
【0033】
アームレストフレーム52は、例えば、鉄、アルミニウム、マグネシウム等の金属で構成される。図3に示すように、アームレストフレーム52は、第1フレーム521と、第2フレーム522と、第3フレーム523と、第4フレーム524とを有する。
【0034】
第1フレーム521は、上下方向に延伸する部材である。第1フレーム521の下端部は、第1フレーム521の上端部よりもシート後方に位置する。第1フレーム521は、クッションフレーム6の第2サイドフレーム62よりもシート幅方向外側に配置されている。第1フレーム521は、第1連結部521A及び補助連結部521Bの2か所において、クッションフレーム6に支持されている。
【0035】
具体的には、第1フレーム521は、第1連結部521Aにおいて、クッションフレーム6の第3連結ブラケット67にボルト及びナットによって固定されている。第1連結部521Aでのボルト及びナットによる締結方向は、シート前後方向と直交する。
【0036】
また、第1フレーム521は、補助連結部521Bにおいて、クッションフレーム6の第4連結ブラケット68にボルト及びナットによって固定されている。補助連結部521Bでのボルト及びナットによる締結方向は、シート前後方向と直交する。
【0037】
補助連結部521Bは、第1連結部521Aよりも上方、かつシート前方に位置する。また、補助連結部521Bは、第1フレーム521の長手方向において、第1フレーム521の上端部よりも下端部の近くに位置する。
【0038】
図4に示すように、第1フレーム521は、長手方向の一部に設けられた第1補強部521Dを有する。第1補強部521Dは、第1フレーム521の第1連結部521Aよりも上方、かつ第1フレーム連結部521C(つまり第3フレーム523)よりも下方に配置されている。
【0039】
補助連結部521Bは、第1補強部521Dに設けられている。また、第1フレーム521のうち、第1補強部521Dよりも下方の部位及び第1補強部521Dよりも上方の部位は、それぞれ、角筒状の部材で構成されている。
【0040】
図5Aに示すように、第1補強部521Dは、第1側壁53と、第2側壁54と、複数の補強板55とを有する。第1側壁53及び第2側壁54は、上下方向に延伸すると共に互いにシート幅方向に対向する板材である。第1側壁53は、第2側壁54よりもシート幅方向外側(つまり右側)に配置されている。
【0041】
第1側壁53及び第2側壁54の外面及び内面は、それぞれ、シート前後方向と平行である。第1側壁53の外面(つまり第2側壁54とは反対側の面)は、第1補強部521Dのシート幅方向外側の側面を構成している。第2側壁54の外面(つまり第1側壁53とは反対側の面)は、第1補強部521Dのシート幅方向内側の側面を構成している。
【0042】
複数の補強板55は、第1側壁53と第2側壁54とをシート幅方向に連結している。補強板55は、湾曲及び屈曲していない平板である。
【0043】
補強板55の板面は、シート前後方向と平行である。つまり、補強板55の厚み方向は、シート前後方向と交差(具体的には直交)している。また、補強板55の厚みは、第1側壁53及び第2側壁54の厚みよりも小さい。
【0044】
図5A及び図5Bの第1補強部521Dでは、隣接する補強板55のシート幅方向の端部同士が接続されている。このケースでは、1つの補強板55の一方の端部が、上方において隣接する補強板55の一方の端部と、第1側壁53及び第2側壁54の一方とに同時に接続されている。
【0045】
このように図5A及び図5Bの第1補強部521Dは、3つの板材が1か所で連結されたトラス構造を有する。つまり、複数の補強板55は、第1側壁53及び第2側壁54と共に、トラス構造を構成している。
【0046】
トラス構造を有する第1補強部521Dには、第1フレーム521の延伸方向に沿って並んだ複数の三角柱状の空間が形成されている。三角柱状の空間の軸方向はシート前後方向と平行である。
【0047】
また、図5Bに示す第1補強部521Dでは、第2側壁54の湾曲部分の上端Eと、湾曲部分の頂点C(つまり最も曲率半径の小さい部位)とに、それぞれ補強板55が連結されている。これにより、頂点Cにおける応力が分散され、第1補強部521Dの強度が向上する。
【0048】
一方、図5C及び図5Dの第1補強部521Dは、複数の補強板55が第1フレーム521の延伸方向に沿って互いに離れて配置されたラーメン構造を有する。つまり、複数の補強板55は、第1側壁53及び第2側壁54と共に、ラーメン構造を構成している。
【0049】
ラーメン構造を有する第1補強部521Dには、第1フレーム521の延伸方向に沿って並んだ複数の四角柱状の空間が形成されている。四角柱状の空間の軸方向はシート前後方向と平行である。
【0050】
図5Cに示すように、複数の補強板55の上下方向の間隔は、第1補強部521Dの幅(つまり、第1側壁53の外面と第2側壁54の外面との距離)よりも大きくてもよい。また、図5Dに示すように、複数の補強板55の上下方向の間隔は、第1補強部521Dの幅よりも小さくてもよい。
【0051】
第1補強部521Dは、全体がトラス構造であってもよいし、一部のみがトラス構造であってもよい。第1補強部521Dは、トラス構造とラーメン構造との複合構造を有してもよい。
【0052】
第1補強部521Dをアルミウムで構成する場合は、例えば押出成形によって第1補強部521Dを形成することができる。これにより、トラス構造、ラーメン構造等のシート幅方向に対する剛性の高い形状を、薄板を用いて形成できる。また、押出成形した長尺状の成形物を所定寸法で切断することで、第1フレーム521の品質安定性と生産性とが向上する。
【0053】
図3に示す第2フレーム522は、上下方向に延伸する部材である。第2フレーム522の下端部は、第2フレーム522の上端部よりもシート前方に位置する。第2フレーム522は、クッションフレーム6の第2サイドフレーム62よりもシート幅方向外側に配置されている。第2フレーム522は、第2連結部522Aにおいて、クッションフレーム6に連結されている。
【0054】
第2連結部522Aは、第1フレーム521よりもシート後方に位置する。具体的には、第2フレーム522は、第2連結部522Aにおいて、クッションフレーム6の第5連結ブラケット69にボルト及びナットによって固定されている。
【0055】
第2連結部522Aでのボルト及びナットによる締結方向は、シート前後方向と直交する。第2フレーム522は、第2連結部522Aのみにおいてクッションフレーム6に支持されている。
【0056】
図4に示すように、第1フレーム521の第1連結部521Aは、第2フレーム522の第2連結部522Aよりも下方に位置する。また、第1フレーム521の補助連結部521Bは、第2フレーム522の第2連結部522Aよりも上方に位置する。
【0057】
第2フレーム522は、長手方向の一部に設けられた第2補強部522Dを有する。第2補強部522Dは、第2フレーム連結部522B(つまり第3フレーム523)よりも下方に配置され、第2フレーム522の下端部を含んでいる。
【0058】
第2連結部522Aは、第2補強部522Dに設けられている。また、第2フレーム522のうち、第2補強部522Dよりも上方の部位は、角筒状の部材で構成されている。
【0059】
第2補強部522Dは、第1補強部521Dと同様の構成を有する。すなわち、第2補強部522Dは、図5A-5Dに示す第1側壁53と、第2側壁54と、複数の補強板55とを有する。第2補強部522Dは、第1補強部521Dと同様に、トラス構造、ラーメン構造、及びトラス構造とラーメン構造との複合構造のいずれかで構成される。
【0060】
第1フレーム521のシート幅方向の振動に対する剛性は、第2フレーム522のシート幅方向に対する剛性よりも大きい。つまり、アームレストフレーム52が連結されたクッションフレーム6に振動を加えた際に、第1フレーム521に発生する振動のシート幅方向の変位量は、第2フレーム522に発生する振動のシート幅方向の変位量よりも小さい。
【0061】
図4に示す第3フレーム523は、シート前後方向に延伸する角筒状の部材である。つまり、第3フレーム523は閉断面を有する。第3フレーム523は、第1フレーム521と第2フレーム522とをシート前後方向に連結している。
【0062】
具体的には、第3フレーム523の前端部は、第1フレーム連結部521Cにおいて、第1フレーム521に例えば溶接によって固定されている。第1フレーム連結部521Cは、第1フレーム521の補助連結部521Bよりも上方に位置する。
【0063】
第3フレーム523の後端部は、第2フレーム連結部522Bにおいて、第2フレーム522に例えば溶接によって固定されている。第2フレーム連結部522Bは、第2フレーム522の第2連結部522Aよりも上方に位置する。
【0064】
第4フレーム524は、シート前後方向に延伸する部材である。第4フレーム524は、第3フレーム523よりも下方において、第1フレーム521と第2フレーム522とをシート前後方向に連結している。
【0065】
具体的には、第4フレーム524は、第1フレーム521と第2フレーム522とをシート前後方向に連結する前部524Aと、第2フレーム522よりもシート後方に突出した後部524Bとを有する。
【0066】
第4フレーム524の前部524Aは、角筒状の部位である。前部524Aのシート幅方向に対向する2つの側壁は、それぞれ、第1フレーム521の第1補強部521Dにおける第1側壁53及び第2側壁54と一体化されている。また、前部524Aの2つの側壁は、それぞれ、第2フレーム522の第2補強部522Dにおける第1側壁53及び第2側壁54とも一体化されている。
【0067】
前部524Aは、U字状のハブフレーム525の一部を構成している。ハブフレーム525は、前部524Aと、前部524Aのシート前端部から上方に延伸する第1補強部521Dと、前部524Aのシート後端部から上方に延伸する第2補強部522Dとを有する。
【0068】
ハブフレーム525は、2つの側壁に挟まれた複数の補強板を有する。つまり、ハブフレーム525は、内部にトラス構造及び/又はラーメン構造を有する。また、ハブフレーム525は、補助連結部521Bと、第2連結部522Aの前後2か所でクッションフレーム6に連結されている。
【0069】
第4フレーム524の後部524Bは、第2フレーム522(つまりハブフレーム525)に例えば溶接によって固定されている。第4フレーム524のシート後端部は、第2フレーム522の上端部よりもシート前方に位置する。
【0070】
[1-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)上下方向に延伸する第1フレーム521のシート幅方向の剛性が、複数の補強板55によって高められる。そのため、アームレストフレーム52を軽量化しつつ、第2アームレスト5の振動を抑制できる。
【0071】
(1b)補強板55が第1側壁53及び第2側壁54と共にトラス構造を構成することで、第1フレーム521のシート幅方向の剛性向上効果を促進できる。
【0072】
(1c)第1フレーム521のシート幅方向の振動に対する剛性が第2フレーム522のシート幅方向に対する剛性よりも大きいことで、シート前方に配置された第1フレーム521の振動による変位がシート後方に配置された第2フレーム522よりも小さくされる。その結果、アーム保持部51のうち、着席者の手が触れる前方部分の振動が抑制される。
【0073】
(1d)第1連結部521A及び補助連結部521Bにより、第1フレーム521が上下の2か所でクッションフレーム6に固定されるため、第1フレーム521の振動に対する剛性を比較的簡潔な構造にて高められる。
【0074】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0075】
(2a)上記実施形態の乗物用シートにおいて、第1フレームは、補助連結部を必ずしも有しなくてもよい。つまり、第1フレームは、連結部のみにおいてクッションフレームに固定されてもよい。
【0076】
(2b)上記実施形態の乗物用シートにおいて、第1フレームのシート幅方向の振動に対する剛性は、必ずしも第2フレームのシート幅方向の振動に対する剛性よりも大きくなくてもよい。
【0077】
(2c)上記実施形態の乗物用シートにおいて、第2フレームは、必ずしも第1側壁、第2側壁及び複数の補強板を有しなくてもよい。例えば、第2フレームは、全体が筒状の部材で構成されてもよい。
【0078】
(2d)上記実施形態の乗物用シートは、乗用車以外の自動車に用いられるシートや、自動車以外の例えば、鉄道車両、船舶、航空機等の乗物に用いられるシートにも適用できる。
【0079】
(2e)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0080】
1…乗物用シート、2…シートクッション、3…シートバック、
4…第1アームレスト、5…第2アームレスト、6…クッションフレーム、
7…バックフレーム、51…アーム保持部、52…アームレストフレーム、
53…第1側壁、54…第2側壁、55…補強板、61…第1サイドフレーム、
62…第2サイドフレーム、63…フロントフレーム、64…リアフレーム、
65,66,67,68,69…連結ブラケット、521…第1フレーム、
521A…第1連結部、521B…補助連結部、521C…第1フレーム連結部、
521D…第1補強部、522…第2フレーム、522A…第2連結部、
522B…第2フレーム連結部、522D…第2補強部、523…第3フレーム、
524…第4フレーム、524A…前部、524B…後部、525…ハブフレーム。
図1
図2
図3
図4
図5